JP6948174B2 - アンカーコート用塗布組成物の製造方法及びアンカーコート用塗布組成物を用いた基板の表面処理方法 - Google Patents

アンカーコート用塗布組成物の製造方法及びアンカーコート用塗布組成物を用いた基板の表面処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、基板に機能性付着物を結着させる際、1〜10000nmの粒子径を持つアルミニウムアルコキシドを加水分解し酸性条件下で解膠して得られるアルミナ水和物又は、アルミナと、脂肪酸アルカノールアミド又は、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミドを含むアンカーコート層形成用塗布組成物の製造方法及び、これを使用する表面処理方法に関する。
アルミナ(「酸化アルミニウム」と称されることがある。)は、硬度、機械強度、及び耐熱性が高く、絶縁性及び熱伝導性に優れ、化学的に安定であり、代表的な工業用セラミックスの1つである。これらの優れた化学的性質により、アルミナは各種工業において多量に生産及び使用されている。近年では、これらアルミナ自体の特性に関する開発が進み、応用分野が拡大の一途を辿っている。
特に表面コーティングの分野においては、各種の部材単独で用いるには難がある場合であっても、部材表面をアルミナ等をフィラーとして含むコーティング剤を塗布すること又は、蒸着等の手法で被覆して表面を改質することで耐熱性、耐摩耗性、絶縁性、バリア性、接着性や意匠性等の機能性を付与する方法が多数考案されており、すでに広く一般に用いられている。
一方で、アルミナ単独で部材表面を被覆して、新たな機能性を付与する分野においては、アルミナ水和物表面に水酸基が存在して親水性となっているため、水を分散媒として被覆に用いることが出来、優れた作業性と安全性を確保できるが、疎水性である樹脂表面等に適用する場合において、濡れ性が不十分であると、均一に表面を覆うことが難しく十分な密着性を得られず、アンカーコートとして期待される性能が発揮されない場合が有った。
これらを解決する手段として、特許文献1では、特定の繊維状又は、針状の形状と特定の大きさを持つアルミナナノファイバーを用いることで結着剤として用いる提案を行っているが、自己組織化と適度な粘性をもって結着性を発揮するには、繊維集合体である織布や不織布、多数の微細な空孔が設けられたフィルム等の凹凸のある表面形状であれば十分であったが、凹凸の無い疎水性平面への結着性は、十分に発揮されない場合が有った。
特開2015−203043号公報
基板表面を機能性部材で被覆する際、基板と機能性部材の結着性を向上させるレベリング性の高いアンカーコート用塗布組成物を提供する。
本発明者らは、基板表面へのレベリング性を向上させることでアルミナの形状にとらわれずに、結着性の高いアンカーコート層を形成できるとの発想に基づき、鋭意検討を行った結果、1〜10000nmの粒子径を持つアルミニウムアルコキシドの加水分解で得られるアルミナ水和物又は、アルミナと、脂肪酸アルカノールアミド又は、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミドを含む塗布組成物を用いることで、基板の形状に左右されず従来に無い高いレベリング性を持つアンカーコート用塗布組成物の製造方法及びその利用方法を完成させるに至った。
即ち、本発明は下記の発明を提供する。
(1)(A)アルミニウムアルコキシドの加水分解で得られるアルミナ水和物又は、アルミナ
(A1)アルミニウムアルコキシドの加水分解後、酸性条件下で解膠を行い、
(A2)アルミナ水和物又は、アルミナの粒子径が1〜10000nmであって、
(A3)アルミナ含量が0.001〜20重量部で、
(B)脂肪酸アルカノールアミド又は、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド0.005〜5重量部
を含有するアンカーコート用塗布組成物の製造方法
(2)アルミナ水和物又は、アルミナ表面を、シランカップリング剤を用いて修飾を行う(1)記載のアンカーコート用塗布組成物の製造方法。
(3)基板表面を、(1)〜(2)のいずれかに記載のアンカーコート用塗布組成物を用いてアンカーコート層を形成することを特徴とする基板の表面処理方法に関する。
アルミニウムアルコキシドを加水分解し酸性条件下で解膠することにより、1〜10000nmの所望の粒子径を持ち、異種金属の含量が低い高純度のアルミナ水和物又は、アルミナを合成することが可能となり、アルミナ含量が0.001〜20重量部であることによりアルミナ水和物又は、アルミナが分散媒に均一に分散し安定な塗布組成物として用いることが可能となり、脂肪酸アルカノールアミド又は、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド0.005〜5重量部を含むことにより基板に塗布液を塗布する際に、高いレベリング性を持つことから結着性及び均一性の高い透明なアンカーコート層を形成することが出来る。前記のアルミナ水和物又は、アルミナの表面をシランカップリング剤で修飾することにより、分散媒を有機溶媒としたアンカーコート用塗布液を製造することが可能となり、分散媒として水を使用することが難しい場合においても用いることが可能となる。本発明によるアンカーコート用塗布組成物を用いることにより、基板への結着性の高い透明なアンケーコート層を形成する基板の処理方法を提供することが出来る。
発明を実施する為の形態
以下に具体例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの説明により何ら限定されるものでは無い。
本発明は、以下の特徴を有しているアンカーコート層形成用塗布組成物の製造方法に関する。
(A)アルミニウムアルコキシドの加水分解で得られるアルミナ水和物又は、アルミナであって、
(A1)アルミニウムアルコキシドの加水分解後、酸性条件下で解膠を行い、
(A2)アルミナ水和物又は、アルミナの粒子径が1〜10000nmであって、
(A3)アルミナ含量が0.001〜20重量部で、
(B)脂肪酸アルカノールアミド又は、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド0.005〜5重量部
を含有するアンカーコート用塗布組成物の製造方法である。
これらの特徴を有するアンカーコート用塗布組成物は、バイヤー法等で製造されたアルミナに対して、アルミニウムアルコキシドの加水分解により製造されることにより、異種金属の含有量が低く、基板と機能性被覆の双方への異種金属由来の電気特性の不均一化、バリア性の低下、着色や経時的な劣化を防止することが出来、加水分解後に酸性条件下で解膠を行うことにより、1〜10000nmの所望の粒子径と形状のアルミナ水和物又は、アルミナとなり、製造時の濃度を調整することで0.001〜20重量部の所望の塗布方法に適した濃度とすることが出来、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド0.005〜5重量部を含むことにより基板に対する塗布時のレベリング性が高く均一なアンカーコート層を形成することが出来る。
本発明で使用することが出来るアルミナ水和物又は、アルミナは、アルミニウムアルコキシドを加水分解し、次いで酸性条件下で解膠を行う、一般にゾルゲル法と呼ばれる方法で製造を行うことが出来る。
このゾルゲル法において、加水分解時の反応条件及び解膠の処理条件を後述のように調整することにより、所望の粒子径及び結晶形状のアルミナ水和物又は、アルミナを得ることが出来る。
本発明を構成するアルミナ水和物又は、アルミナ粒子の結晶系は、ギブサイト、ベーマイト、γ、δ、θから選ばれる少なくとも1種であり、好ましくは、ギブサイト、ベーマイトから選ばれる少なくとも1種である。アルミナ水和物を加熱処理することによって結晶系がベーマイト、γ、δ、θなどに遷移する。
使用することが出来るアルミニウムアルコキシドとしては、加水分解性を持つ一般に流通している物を使用することが出来、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムsec−ブトキシド等が例示され、中でも広く一般に用いられており入手の容易なアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムエトキシドが好適に使用することが出来る。
形成するアンカーコート層に異種金属の混入が望ましくない用途においては、使用するアルミニウムアルコキシドを、蒸留等の精製方法で所望の純度となるまで精製を行ってから用いることで、アルミニウムソース由来の異種金属の混入を低減することが出来る。
アルミニウムアルコキシドの加水分解は、大過剰の水を加えて一度に加水分解しても、不足量の水を数次にわたって加えて段階的に加水分解を行うことも出来るが、最終的に加水分解に用いる水の総量は、使用するアルミニウム原子に対して3当量以上であることが好ましく、加水分解時に解膠で用いる酸を添加して加水分解を行っても支障は無い。最終的に加水分解に用いる水の総量が、生成するアルミナ水和物又は、アルミナの濃度が0.001重量部を大幅に下回る濃度となると濃縮操作が必要となるだけでなく生産性が悪化し、3当量未満であると反応が完結せず、均一な結晶形とならない場合があることから好ましくない。
加水分解又は、分散媒として用いる水は、イオン交換水、蒸留水又は、高度精製された超純水を用いることが好ましい。精製処理を行っていない水を用いると、異種金属が混入する恐れがあり、着色や結晶制御に問題が発生する場合がある。加水分解の温度は、特に限定されるものでは無いが、0℃を下回ると加水分解に用いる水が凍ってしまい操作性が悪化する場合があり、100℃を超えると加水分解に用いる水が蒸散してしまい濃度制御が困難となる場合が有るので、特段の理由が無い限りこの範囲内で操作を行うことが好ましい。加水分解は、0.1〜12時間程度で反応が完結し、0.1時間を下回ると温度調整が困難であり、12時間を超えて反応を行っても特段の効果は認められない。また、加水分解時又は、加水分解終了後に、遊離したアルコールの留去を行うことが好ましく、解膠終了後には粘度が高く遊離したアルコールの留去が難しくなる場合がある。
解膠は、酸性条件下で行うことで、不定形、柱状、鱗片状、繊維状、板状、羽毛状等の各種の所望の結晶形状のアルミナ水和物又は、アルミナを製造することが出来、アルカリ性で解膠を行うと所望の結晶形状のアルミナ水和物又は、アルミナを得られない場合があり好ましくない。
解膠時に使用する酸に特に制限は無いが、硝酸、塩酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの有機酸等の1価の酸が好ましいが、アンカーコート層への酸由来元素が残留する恐れがある硫酸等の使用は、望ましくない。無機酸としては、製造装置に制限が少なくアンカーコート層の硬化後に酸由来の残留成分の無い硝酸が特に好ましく、有機酸としては、操作性、経済性との観点より酢酸が特に好ましい。酸の使用量は、使用したアルミニウムアルコキシドに含まれるアルミニウム原子に対して0.2〜10.0倍モルであることが好ましく、0.3〜1.8倍モルであることが特に好ましい。0.2倍モルを下回ると結晶形状の制御が困難となる場合があり、10.0倍モルを超えて使用するとアルミナ水和物又は、アルミナ分散液の安定性が低下し塗布が困難となる場合がある。
解膠によるアルミナ水和物又は、アルミナの結晶形状及び粒子径は、異方性を持たない粒子であれば直径、異方性を持つ粒子であれば最も大きな長径で1〜10000nmであることが好ましく、このような結晶を得るには、公知の手法を用いることが出来る(例えば、特開2015−203043号公報や特開2010−105846号公報記載の手法)。アルミナ水和物又は、アルミナの粒子径が、1nmを下回ると分散液の粘度が高く均一な厚さのアンカーコート層を形成するのに難があり、10000nmを超えると緻密なアンカーコート層を形成することが困難となることから好ましくない。
解膠の温度は、目的とする結晶形状により適時選択することが出来、特に限定されるものでは無いが、一般に80〜200℃が好ましく、100〜180℃が更に好ましい。80℃を下回ると解膠に長時間を要し工業的な生産を行うのに難があり、200℃を超えると特段に耐圧性の高い製造装置を必要とすることから汎用装置での製造に難がある。解膠の反応時間は、目的とする結晶形状により適時選択することが出来、特に限定されるものでは無いが、特段の理由のない限り0.5〜24時間の反応時間が好ましく、特に1〜5時間の反応時間が好ましい。反応時間が0.5時間を下回ると温度制御が困難であり均一な結晶とすることが難しく、24時間を超えて反応を行っても得られる結晶形に差が生じない場合がある。
このような使用に適したアルミナ水和物又は、アルミナがコロイド状に分散している酸性のアルミナゾルは、広く一般に使用されており、不定形、柱状、鱗片状、繊維状、板状、羽毛状等の各種の結晶形状、粒子径、濃度の分散液が市販され、所望のアンカーコート層の性状に合わせ、適時選択して用いることが出来る。
アンカーコート用塗布組成物に含まれるアルミナ水和物又は、アルミナは、0.001〜20重量部が好ましく、0.001〜10重量部がより好ましく、0.001〜5重量部が特に好ましい。0.001重量部を下回ると均一に塗布することが困難となりアンカーコート層の効果が発揮されない場合があり、20重量部を超えると粘度が上昇し均一な厚みのアンカーコート層を形成することが困難となる場合があり好ましくない。
本発明の構成要件である脂肪酸アルカノールアミド又は、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミドは、公知の手法で製造した物を使用することが出来、例えば油脂誘導体である脂肪酸の酸クロライドとアルカノールアミンをアシル化反応で合成した脂肪酸アルカノールアミド又は、この脂肪酸アルカノールアミドにアルキレンオキサイドを反応して合成したポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミドの製造法を例示することが出来る。
原料となる脂肪酸に特に制限は無く、単一のアルキル鎖長のものでも複数のアルキル鎖長の混合物であっても使用することが出来、アルキル鎖は直鎖であっても分岐鎖であっても使用することが出来、特に容易に入手可能な天然物由来の植物性混合脂肪酸としては、炭素数8〜20の脂肪酸が含まれるヤシ油由来脂肪酸、パーム核油由来脂肪酸又は、パーム油由来脂肪酸を好適に用いることが出来、容易に入手可能な合成脂肪酸としては、オクチル酸を好適に用いることが出来る。アルキル鎖長が長くなると疎水性が増し、短くなると親水性が増すことから、塗布する基板の性質に合わせ適時アルキル鎖長を選択することで、各種基板へ塗布した場合のレベリング性を向上させることが出来る。アンカーコート層のピンホールを抑制する場合には、C12〜14の脂肪酸含量を低下させることで、達成される場合がある。
使用できるアルカノールアミンは、1級又は、2級アミンであれば用いることが出来、特に限定されるものでは無いが、脂肪酸とのアミド結合を形成することが出来ない3級アミンを用いることは出来ない。1級のアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2級アルカノールアミンとしては、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンが広く一般に流通しており容易に使用できるものとして例示され、単独又は、任意の割合で混合して用いることが出来る。
脂肪酸アルカノールアミドに付加するアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを例示することが出来、単独、任意の割合で混合又は、任意の付加モル数で逐次反応して用いることが出来、所望の親水性に適した任意の付加モル数を選択することが出来る。アルキレンオキサイドの付加モル数については、エチレンオキサイドの付加量が増加するにつれ親水性が増加し、プロピレンオキサイドの付加量が増加すると疎水性が増加し、これらを組み合わせることで所望の特性を発現させることが可能であり、脂肪酸アルカノールアミドに対して付加モル数の平均値として合計で0〜20倍モルが好ましく、0〜15倍モルが特に好ましい。
脂肪酸アルカノールアミド又は、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミドは、アンカーコート用塗布組成物100重量部に対して0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部含まれる。0.01重量部を下回るとレベリング性が改善されない場合があり、5重量部を超えると塗布組成物としての安定性に乏しく実用性に難がある場合が有る。添加の順番は、特に限定されるものでは無いが、アルミナ水和物又は、アルミナがコロイド状に分散している酸性のアルミナゾルに、添加量が少量である脂肪酸アルカノールアミドに付加するアルキレンオキサイドを添加することが好ましい。また、十分に混合後に、必要に応じて公知の手法で脱気操作を行うことで、塗布時に起泡による欠損を低減することが出来る。
本発明に用いるアルミナ水和物又は、アルミナは、シランカップリング剤で表面修飾を行うことが出来る。表面修飾を行うことで、分散媒を水以外の有機溶媒を用いることが出来、水への濡れ性に乏しい基板表面へ用いることが出来る。シランカップリング剤としては、市販のものを使用することが出来、具体的には2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等を例示することが出来る。
シランカップリング剤の添加は、特に制限されるものでは無いが、アルミナ水和物又は、アルミナをシランカップリング剤で修飾する場合には、あらかじめアルミナ水和物又は、アルミナ分散液に添加して修飾処理を行った後に、脂肪酸アルカノールアミド又は、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミドを添加することが好ましい。シランカップリング剤を添加していないアンカーコート用塗布組成物に、シランカップリング剤を添加すると、アルミナ水和物又は、アルミナが十分に修飾されず効果が添加量に比例して発現しない場合がある。
本発明によるアンカーコート用塗布組成物を用いることが出来る基板は、20℃における臨界表面自由エナルギーが30γ(erg/cm)を超えるものに限定され、単体の鉄、アルミニウム、銅、クロム、コバルト、ニッケル、タングステン、マグネシウム、マンガン、モリブデン、シリコン又は、これらの単体金属が複数含まれる合金から構成される金属、単体のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド、ポリエチレンテレフタレート(PETとも称する)、セルロース、ポリヘキサメチレンアジピンアミド、ナイロン等の樹脂、これらの混合物又は、これらを構成するモノマーの共重合物から構成される樹脂、セラミック等の単体又は、複数の素材により構成された基板に用いることが出来、特に金属又は、樹脂からなる基板に好適に用いることが出来る。
20℃における臨界表面自由エナルギーが30γ(erg/cm)を超える基板に対しては、アンカーコート用塗布組成物に含まれる脂肪酸アルカノールアミド又は、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミドにより表面張力が低下して高いレベリング性を発揮するが、30以下であるとアンカーコート用塗布組成物よりも基板の臨界表面自由エナルギーが低く均一に塗布することが困難となり、適用することは出来ない。
本発明のアンカーコート用塗布組成物の基板への塗布は、公知の方法で行うことが出来る。例えば、ディップコート、スプレーコート、ロールコート、スピンコート、ドクターブレード等を例示することが出来、塗布方法に応じて更なる添加剤の添加や濃度の調整を、行うことが出来る。基板への塗布は、一回で行っても複数回で行っても良く、塗布組成物の濃度と塗布回数を適時選択することで、所望の膜厚の透明なアンカーコート層を形成することが出来る。塗布組成物に含まれるアルミナ水和物又は、アルミナの濃度が高いと一度の塗布で厚膜が形成され、濃度が低いと一度の塗布で薄膜が形成される。
本発明のアンカーコート用塗布組成物を塗布した基板は、必要に応じて乾燥後、40から800℃の温度範囲内から、基板の耐熱限界を下回る温度範囲を選択して硬化処理することで、基板の表面に透明なアンカーコート層を形成することが出来る。乾燥温度が40℃を下回ると硬化に時間がかかり作業性に難があり、800℃を超えるとアルミナ水和物又は、アルミナの結晶構造又は、結晶形状の維持が困難となる場合があり、アンカーコートとしての十分な効果が得られない場合がある。
以下、具体的に実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。比率を示す%表記は、特に断らない限り組成物全量に対する質量%を意味する。以下に記載した原料を、塗布液として100mlとなるよう記載順に添加し、マグネチックスターラーで30分間室温で撹拌した後に、減圧脱気を行って種々のアンカーコート用塗布組成物を調整した。種々のアンカーコート用塗布組成物について、濡れ性、塗布後の外観及び、接着した後の引張せん断強度を比較して評価した。
PETフィルム:ルミラーT60#100(登録商標 東レ株式会社製)
PTFEフィルム:ePTFE GORE(R) Flat Joint Sealant #3330 厚さ1mm FJ1025(登録商標:日本ピラー工業株式会社製)
接着剤:アロンアルフア一般用(登録商標 東亞合成株式会社製)
(実施例1)Al(アルミゾル-F1000:川研ファインケミカル社製) 0.1質量%、界面活性剤(アミゼット 10C(ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド):登録商標 川研ファインケミカル社製) 0.05質量%、残り精製水
(実施例2)Al(アルミゾル-F1000:川研ファインケミカル社製) 0.5質量%、界面活性剤(アミゼット 10C(ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド):登録商標 川研ファインケミカル社製) 0.05質量%、残り精製水
(実施例3)Al(アルミゾル-F1000:川研ファインケミカル社製) 0.01質量%、界面活性剤(アミゼット 10C(ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド):登録商標 川研ファインケミカル社製) 0.05質量%、残り精製水
(実施例4)Al(アルミゾル-F1000:川研ファインケミカル社製) 0.1質量%、界面活性剤(アミゾールCDE(ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド):登録商標 川研ファインケミカル社製) 0.05質量%、残り精製水
(実施例5)Al(アルミゾル-F1000:川研ファインケミカル社製) 0.1質量%、界面活性剤(アミゾールCME(ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド):登録商標 川研ファインケミカル社製) 0.05質量%、残り精製水
(比較例1)Al(アルミゾル-F1000:川研ファインケミカル社製) 0.1質量%、残り精製水
(比較例2)実施例1のPETフィルムをPTFEフィルムに変更した以外は、実施例1と同様に実施
(比較例3)未コート
PETフィルムの表面に、各実施例及び各比較例に記載した組成のコート液を、バーコーター(#4)を用いて塗布厚さが8μmとなるよう調整して塗布を行い、塗布後80℃で10min乾燥を行い試料片とした。
実施例1の表面コート液はPETフィルムに均一に濡れ広がるが、比較例1の界面活性剤を添加していないコート液及び、比較例2のPETフィルムからPTFEフィルムに変更したものでは、基板に密着せずはじいてしまうため均一にコートできず斑が生じたが、実施例と同様に試験を継続した。試料片の表面に接着剤を塗布し、接着剤塗布面にPETフィルムを密着させ、80℃で30min加熱した。引張せん断試験によるアンカーコート効果の評価は、株式会社今田製作所製引張圧縮試験機SV−3を使用してJIS K6850に準じて試験を行った。試料は、10mm幅、引張速度300mm/minで試験を3回行い、その平均値を引張せん断強度とした。
それぞれの試験で得られた結果は、表1に示す。
塗布時のレベリング性については、均一に斑なくコートされている場合は○、均一にコートされず斑が生じたものを×と評価し、透明性は、80℃で30min加熱後に塗布前後で用いた基板の外観に目視で差が無い物は透明性が有ると判断した。
Figure 0006948174
各種アンカーコート液を用いたアンカーコート層を、塗布性及び引張せん断強度により評価した結果、本願にて提供を行うレベリング性の高いアンカーコート用塗布液を用いて作成したアンカーコート層を有するPETフィルム同士を接着した場合に、比較例3に記載のアンカーコートを持たないもの及び、比較例1に記載のレベリング剤を添加しないアンカーコート層を有するものに比べて、塗布時の斑が無く均一に塗布することが出来、外観を損なうことなく引張せん断強度が大きく向上するこれまでにない効果を示した。
また、比較例2の結果の通り20℃における臨界表面自由エナルギーが30γ(erg/cm)を下回る18.5γ(erg/cm)であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の基板に対しては、均一に塗布することが出来ずアンカーコート層を形成することが出来なかった。
基板同士を接着する際の結着性を改善、基板に機能性被覆を行う際に、外観に影響を与えることなく基板と機能性被膜との結着性を改善する表面処理方法であり、これまでにない難塗装基板及び、又は基板への塗装時の密着性及び、又は耐剥離性を付与することが出来、広く産業の発展に寄与するものである。

Claims (3)

  1. ルミニウムアルコキシド加水分解した、酸性条件下で解膠することを少なくともうことによって、粒子径が1〜10000nmであるアルミナ水和物又はアルミナ0.001〜20重量部と、脂肪酸アルカノールアミド又はポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド0.005〜5重量部と、を含有するアンカーコート用塗布組成物を得る工程を含む、
    アンカーコート用塗布組成物の製造方法。
  2. 前記アルミナ水和物又は前記アルミナ表面を、シランカップリング剤を用いて修飾する工程さらに行う
    請求項1記載のアンカーコート用塗布組成物の製造方法。
  3. 基板表面、請求項1又は2に記載の製造方法により得られるアンカーコート用塗布組成物を塗布することにより、アンカーコート層を形成する工程を含む、
    基板の表面処理方法。
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