JP6948155B2 - 揚げ物の製造方法、及び揚げ物 - Google Patents

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Description

本発明は、揚げ物の製造方法に関し、特に常温又は冷蔵保存後に電子レンジで再加熱して喫食しても、揚げ立てのようなサクサクとした良好な食感で、且つ口溶けが良く、油っこくない揚げ衣を有する揚げ物の製造方法に関する。
揚げ物は、魚介類、野菜類、畜肉類等の具材に、小麦粉等を含むバッターを付着させたものを油ちょうしたものをいう。例えば、天ぷら、から揚げ、フリッター等が挙げられる。これらの揚げ物は、コンビニエンスストアーやスーパーマーケットにおいて、惣菜として、又は天丼の具やお弁当のおかずとして、常温又は冷蔵保存で販売され、その後、電子レンジで再加熱され、喫食される場合がある。一般に、このような場合、揚げ物の揚げ衣に空気中や具材から水分が移行して柔らかくなり、揚げ立てのようなサクサクとした良好な食感は得られない。特に、密閉容器に入れた状態で、常温又は冷蔵保存されたり、電子レンジで再加熱されたりする場合、揚げ衣への水分移行が起こりやすく、揚げ立てのようなサクサクとした良好な食感の揚げ衣を有する揚げ物を提供することは困難であった。
従来から、電子レンジ等で再加熱しても良好な食感の揚げ衣を有する揚げ物を製造する技術が検討されている。例えば、特許文献1では、衣付食品を常法によりフライ後、中鎖脂肪酸トリグリセリドを少なくとも10%以上含む130℃以下の食用油を衣層に噴霧することを特徴とするフライ済み食品の製造方法によって、長期保存、とりわけ冷凍保存した場合及び電子レンジで再加熱した場合に生ずる衣の軟質化を防ぎ、揚げたてのサクサクした食感を長期間持続するフライ済み食品を製造できることが開示されている。また、特許文献2では、油ちょう後の衣の表面に液状油脂を付着させることを特徴とするフライ食品の製造方法によって、常温での放置時間、冷凍での保存期間が長くなっても、電子レンジ加熱後の衣のサクサクとした食感が維持できる油ちょう済みフライ食品を製造できることが開示されており、油ちょう後に付着させる前記油脂量は、製品重量に対して0.5〜15%であることが好ましいことが開示されている。さらに、特許文献3では、原料具にバッターミックスとパン粉からなる衣を付けて油ちょうした後、液汁と共に袋詰めしてなるフライ類・てんぷら類のボイリングタイプ食品において、少なくとも衣の表面を融点が5℃〜60℃の油脂でコーティングし、融点以下に冷却するとともに液汁を当該油脂の融点以下の温度に冷却した上、袋内に注入するようにしたことを特徴とするフライ類・てんぷら類のボイリングタイプ食品の製造方法によって、フライ類・てんぷら類が液汁の中に長時間浸ったまま流通しても衣がふやけたり、柔らかくなりすぎたり、剥がれたりしないボイリングタイプ食品が得られることが開示されている。
特開2002−272389号公報 特開平11−137199号公報 特開昭63−28358号公報
しかしながら、特許文献1及び2では、冷凍保存中の揚げ物の揚げ衣の食感を維持することができても、常温又は冷蔵保存中の食感の維持については十分な効果が得られない場合がある。また、特許文献3では、液汁中でも揚げ衣への水分の移行を抑制する程のコーティングであるため、常温又は冷蔵保存する揚げ物に応用すると、揚げ物の表面に固形脂が白く浮き出て外観が悪化したり、喫食時に口溶けが悪化したり、油っこくなる場合がある。すなわち、特許文献1〜3の技術を用いても、常温又は冷蔵保存後に電子レンジで再加熱して喫食しても、良好な食感が維持された揚げ物を製造することは困難であり、さらなる開発が望まれている。
したがって、本発明の目的は、常温又は冷蔵保存後に電子レンジで再加熱して喫食しても、揚げ立てのようなサクサクとした良好な食感で、且つ口溶けが良く、油っこくない揚げ衣を有する揚げ物の製造方法、及び揚げ物を提供することにある。
上記目的は、油ちょうした揚げ物を加熱融解した油脂で被覆する工程を含む揚げ物の製造方法であって、前記揚げ物が、具材にバッターを付着させて油ちょうした、天ぷら、から揚げ、又はフリッターであり、前記油脂の固体脂含量が、5℃で75%以上であり、40℃で70%以下であることを特徴とする製造方法によって達成される。また、上記目的は、揚げ衣の表面に油脂層を有する揚げ物であって、前記揚げ物が、具材にバッターを付着させて油ちょうした、天ぷら、から揚げ、又はフリッターであり、前記油脂層を形成する油脂が、前記油脂の固体脂含量が、5℃で75%以上であり、40℃で70%以下であることを特徴とする揚げ物によって達成される。なお、本発明において、「揚げ物」は、天ぷら、から揚げ、フリッター等の揚げ衣付きの揚げ物のことをいい、パン粉を付けて揚げるフライ製品は含まない。
本発明によって、常温又は冷蔵保存後に電子レンジで再加熱して喫食しても、揚げ立てのようなサクサクとした良好な食感で、且つ口溶けが良く、油っこくない揚げ衣を有する揚げ物を提供することができる。
[揚げ物の製造方法]
本発明の揚げ物の製造方法は、油ちょうした揚げ物を加熱融解した油脂で被覆する工程を含み、前記油脂の固体脂含量が、5℃で75%以上であり、40℃で70%以下であることを特徴とする。本発明の製造方法において、揚げ物を油脂で被覆するとは、揚げ物の揚げ衣の表面の少なくとも一部に油脂層を形成することを意味する。なお、揚げ物の油ちょうに用いる油脂は常温で液状であるものが好ましく、揚げ物の被覆に用いる油脂は常温で固体状であるものが好ましい。上述の通り、油ちょうした揚げ物を油脂で被覆する技術は当業者に公知である。しかしながら、従来技術では、使用する油脂の融点が規定されているものはあっても、各温度における固体脂含量が規定されているものはない。本発明においては、上記のように5℃及び40℃における固体脂含量を規定した油脂を用いて揚げ物を被覆することにより、常温又は冷蔵保存後に電子レンジで再加熱して喫食しても、揚げ立てのようなサクサクとした良好な食感で、且つ口溶けが良く、油っこくない揚げ物を製造することができる。この作用機作は明確ではないが、揚げ物を被覆する油脂が、前記規定の油脂であれば、揚げ物の保存温度では固体脂含量が高いため、保存中の揚げ物の揚げ衣表面への空気中や具材からの水分の移行が抑制され、揚げ立てのようなサクサクとした良好な食感が維持される。さらに、喫食する温度では前記油脂の固体脂含量が低いため、口溶けが良く、油っこくない揚げ衣になるものと考えられる。揚げ物を前記油脂で被覆する範囲は、揚げ衣の表面の一部でも良く、揚げ衣の表面全体でもよい。保存中の揚げ物の揚げ衣表面への空気中や具材からの水分の移行を効果的に抑制するためには、揚げ衣の表面全体を被覆することが好ましい。
本発明の製造方法において、前記油脂の固体脂含量は、40℃で3〜70%であることが好ましく、10〜70%であることがさらに好ましい。これにより、喫食する温度における前記油脂の固体脂含量のバランスが良く、さらにサクサクとした良好な食感の揚げ衣を有する揚げ物を製造することができる。なお、本発明において、固体脂含量は(社)日本油化学会編「基準油脂分析試験法」2.2.9−2003固体脂含量(NMR法)に従って測定することができる。
本発明の製造方法において、前記油脂は、固体脂含量が5℃で75%以上であり、40℃で70%以下である食品用油脂であれば、特に制限はない。例えば、菜種油、ハイオレイック菜種油、大豆油、コーン油、米油、ヒマワリ油、ハイオレイックヒマワリ油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー油、綿実油、ゴマ油、落花生油、パーム油、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の天然油脂、又はこれらの1種又は2種以上を組み合わせたものに分別操作、エステル交換、水素添加等の加工処理を行った加工油脂、及びこれらの2種以上を組み合わせた混合油脂から、上記規定を満たす油脂を適宜選択して、又は調製して用いることができる。各種油脂の加工処理や組み合わせによって、固体脂含量を調節した油脂を調製する方法は、常法に従う。
本発明の製造方法において、揚げ物を前記油脂で被覆する工程における前記油脂の付着量は、揚げ物の種類や大きさに応じて、本発明の効果が得られる量が付着すれば、特に制限はない。前記油脂の付着量は、少な過ぎると前記効果が得られない場合があり、多過ぎると油っこくなる場合があるため、油脂で被覆する前の揚げ物の揚げ衣の質量に対して、15〜40質量%であることが好ましく、18〜38質量%であることがより好ましく、20〜36質量%であることがさらに好ましい。なお、油脂の付着量は、例えば、油脂を被覆する工程前後の揚げ物の質量の差から油脂の付着量を算出し、その後、揚げ衣を除去した具材の質量を測定することで、油脂を被覆する前の揚げ衣の質量を算出する。これらの数値を用いて、式[{(油脂の付着量)/(油脂を被覆する前の揚げ衣の質量)}×100]から、油脂を被覆する前の揚げ衣に対する付着量(質量%)を求めることができる。
本発明の製造方法において、揚げ物の油ちょうは、常法に従って実施することができる。例えば、野菜類、魚介類、畜肉類、練物類、卵等を必要に応じて加工成形した具材に、必要に応じて打ち粉をまぶした後、揚げ物の種類に応じて調製したバッターを付着させ、得られた揚げ種を適切な温度のフライ油に投入し、適切な時間油ちょうすることで実施することができる。また、油ちょうした揚げ物を加熱融解した油脂で被覆する工程は、どのような方法が用いられてもよく、従来公知の方法で実施することができる。例えば、融点より高い温度で加熱融解した前記油脂に、油ちょうした揚げ物を浸漬する、又は加熱融解した油脂を、油ちょうした揚げ物に流し掛けたり、噴霧したりして塗布する方法によって実施することができる。揚げ物を被覆する際の油脂の温度は、前記油脂が完全に融解する温度であれば特に制限はない。ただし、前記油脂の温度が高過ぎると、前記油脂が揚げ衣の内部に浸透し易くなり、揚げ衣の表面が十分に被覆されなくなる場合がある。したがって、揚げ物を被覆する際の油脂の温度は、150℃以下が好ましく、130℃以下がさらに好ましく、110℃以下が特に好ましい。さらに、本発明の製造方法において、前記揚げ物を油脂で被覆する工程は、前記揚げ衣への前記油脂の付着量を上記のような範囲に調整する手段を含むことが好ましい。そのような手段として、例えば、前記油脂を噴霧して塗布する際の噴霧量を調整して付着量を調整する手段や、浸漬法や流し掛けによって前記油脂を過剰に付着させた後、エアブロー等によって過剰な油脂を除去して付着量を調整する手段を適用することができる。
本発明の製造方法において、前記油脂で被覆する工程の前に、前記油ちょうした揚げ物を焼成する工程を含むことが好ましい。これにより、前記揚げ物の水分や油分を減少させることができ、さらにサクサクとした良好な食感で、且つ油っこくない揚げ衣を有する揚げ物を製造することができる。前記焼成工程は、常法に従って実施することができる。焼成温度及び焼成時間は、特に制限はなく、揚げ物の種類や大きさに応じて、適宜設定することができる。焼成温度は、例えば140〜200℃、好ましくは150〜180℃であり、焼成時間は、例えば1〜60分間、好ましくは1〜30分間である。
本発明の製造方法において、油脂で被覆する工程前の揚げ物の表面温度には特に制限はない。ただし、油脂で被覆する際に、揚げ物の表面温度が高過ぎると、前記油脂が揚げ衣の内部に浸透し易くなり、揚げ衣の表面が十分に被覆されなくなる場合がある。したがって、本発明の製造方法において、前記油脂で被覆する工程前の前記揚げ物の表面温度は70℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、45℃以下であることがさらに好ましい。揚げ物の表面温度の調整は、常法に従って実施することができ、例えば、真空冷却、風乾冷却等の方法によって実施することができる。特に、短時間で降温できる方法によって実施することが好ましい。揚げ物の表面温度の調整は、前記焼成工程を実施する場合も、前記焼成工程の後、前記油脂で被覆する工程前に実施することが好ましい。なお、本発明の製造方法において、上述の各工程は、バッチ式の設備で実施してもよく、連続式の設備で実施してもよい。
本発明の製造方法において、揚げ物の種類には特に制限はない。ただし、比較的揚げ衣の割合が多く、本発明の効果が最も要求されることから、前記揚げ物は、天ぷらであることが好ましい。天ぷらは、単一の具材の天ぷらでも、かき揚げであってもよい。また、本発明の製造方法において、前記揚げ物は、常温又は冷蔵保存される揚げ物であることが好ましい。上述の通り、本発明の製造方法によって得られた揚げ物は、常温又は冷蔵保存後に電子レンジで再加熱して喫食しても、揚げ立てのようなサクサクとした良好な食感で、且つ口溶けが良く、油っこくない揚げ衣を有する揚げ物であるため、本発明の効果が特に有効である。なお、本発明の製造方法によって得られた揚げ物は、冷凍保存後に電子レンジで再加熱して喫食する場合であっても、同様な効果が期待できる。
[揚げ物]
本発明の揚げ物は、揚げ衣の表面に油脂層を有する揚げ物であって、前記油脂層を形成する油脂の固体脂含量が、5℃で75%以上であり、40℃で70%以下であることを特徴とする揚げ物である。本発明の揚げ物は、本発明の揚げ物の製造方法によって製造することができる。本発明の揚げ物は、本発明の揚げ物の製造方法において説明したように、揚げ衣の表面に、上記規定の油脂からなる油脂層を有することにより、常温又は冷蔵保存後に電子レンジで再加熱して喫食しても、揚げ立てのようなサクサクとした良好な食感で、且つ口溶けが良く、油っこくない揚げ衣を有する揚げ物とすることができる。本発明の揚げ物において、前記油脂層は、揚げ衣の表面の少なくとも一部に有していればよいが、上述の通り、保存中の揚げ物の揚げ衣表面への空気中や具材からの水分の移行を効果的に抑制するためには、揚げ衣の表面全体に有していることが好ましい。
本発明の揚げ物において、前記油脂層を形成する油脂の好ましい態様は、本発明の揚げ物の製造方法において説明した通りである。また、本発明の揚げ物の揚げ衣における油脂層を形成する油脂の含有量は、揚げ物の種類や大きさに応じて、本発明の効果が得られる量であれば、特に制限はない。前記油脂層を形成する油脂の含有量は、少な過ぎると前記効果が得られない場合があり、多過ぎると油っこくなる場合があるため、前記油脂層を形成する油脂の含有量は、前記揚げ物の揚げ衣の質量に基づいて(揚げ物に油脂を付着させた後の揚げ衣を100質量%とする)、13〜29質量%であることが好ましく、15〜28質量%であることがより好ましく、16〜27質量%であることがさらに好ましい。この油脂の含有量は、油脂層を形成する油脂が、油脂を付着させる前の揚げ衣の質量に対して、それぞれ15〜40質量%、18〜38質量%、20〜36質量%付着した状態に相当する。本発明の揚げ物において、揚げ物の種類には特に制限はない。ただし、比較的揚げ衣の割合が多く、本発明の効果が最も要求されることから、前記揚げ物は、天ぷらであることが好ましい。天ぷらは、単一の具材の天ぷらでも、かき揚げであってもよい。また、本発明の揚げ物は、常温又は冷蔵保存される揚げ物であることが好ましい。上述の通り、本発明の揚げ物は、常温又は冷蔵保存後に電子レンジで再加熱して喫食しても、揚げ立てのようなサクサクとした良好な食感で、且つ口溶けが良く、油っこくない揚げ衣を有する揚げ物であるため、本発明の効果が特に有効である。なお、本発明の揚げ物は、冷凍保存後に電子レンジで再加熱して喫食する場合であっても、同様な効果が期待できる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.天ぷらの油ちょう
揚げ物として、えびの天ぷらを選定して、以下のように油ちょうした。2Lサイズのえびに、薄力粉(フレンド(昭和産業株式会社製))の打ち粉をまぶした後、市販天ぷら粉(天ぷら維新(昭和産業株式会社製))を用いて調製したバッターを付着させた。その後、170℃のフライ油(昭和大豆白絞油(昭和産業株式会社製))中に投入して、15mlの追いダネを行い、2分30秒間油ちょうした。
2.揚げ物を油脂で被覆する工程
上記1.で油ちょうした天ぷらを、表1に示した5℃及び40℃の固体脂含量を有するラード、及び適宜調製した各調製油脂を用いて、表2〜6に示した条件で被覆し、各実施例及び比較例の天ぷらを調製した。油脂で被覆する工程において、油脂の付着量の調整は、天ぷらを加熱融解した各油脂に浸漬した後、ドライヤーを用いて、余分な油脂を吹き飛ばして除去することによって行なった。油脂の付着量は、油脂を被覆する工程前後の天ぷらの質量の差から油脂の付着量を算出し、その後、揚げ衣を除去した具材の質量を測定することで、油脂を被覆する前の揚げ衣の質量を算出した。これらの数値を用いて、式[{(油脂の付着量)/(油脂を被覆する前の揚げ衣の質量)}×100]から、油脂を被覆する前の揚げ衣に対する付着量(質量%)を求めた。また、前記油脂で被覆する工程前に、揚げ物の表面温度を調整する場合は、油ちょうした天ぷらを風乾冷却にて、表に示した揚げ物の表面温度に調整した。さらに、前記油脂で被覆する工程前に、焼成工程を行なう場合は、油ちょうした天ぷらを、コンベクションオーブンを用いて、表6に示した温度及び時間で焼成した。
3.揚げ物の評価
上記2.で油脂を被覆した各実施例及び比較例の天ぷらを、2尾ずつ密閉容器に入れ、5℃で冷蔵保存した。冷蔵保存1日後(表6においては冷蔵保存1日後及び2日後)の各天ぷらを、密閉容器に入れた状態で電子レンジ(1500W)で20秒間加熱して、喫食し、以下の評価基準で天ぷらの揚げ衣の食感を評価した。評価結果は、10名のパネラーによる評価点の平均値を求めた。
(1)硬さ
5:非常に良好な硬さがあり、サクサクとした食感を強く感じる
4:良好な硬さがあり、サクサクとした食感を感じる
3:弱い硬さがあり、サクサクとした食感を弱く感じる
2:やや柔らかく、サクサクとした食感をほとんど感じない
1:柔らかく、サクサクとした食感を感じない
(2)口溶け
5:非常に良い
4:良い
3:普通
2:悪い
1:非常に悪い
(3)油っこさ
5:油っこさがほとんどなく、非常に良い
4:油っこさがあまりなく、良い
3:許容範囲である
2:やや油っこい
1:油っこさが強い
評価結果を表2〜6に示した。
Figure 0006948155
Figure 0006948155
表2に示した通り、油ちょうした天ぷらを加熱融解した油脂で被覆する工程において、固体脂含量が、5℃で81.6〜96.0%であり、40℃で0.7〜65.0%である調製油脂を用いた実施例1〜4の天ぷらは、上記評価において、良好な硬さ、すなわちサクサクとした良好な食感で、口溶けが良く、油っこくない揚げ衣を有していた。一方、油脂を被覆していない比較例1、固体脂含量が5℃で43.4%のラードを用いた比較例2、並びにそれぞれ固体脂含量が5℃で47.6%及び63.2%の調製油脂を用いた比較例3及び4では、口溶けや油っこさの評価は良好であったが、硬さの評価が非常に悪かった。また、固体脂含量が、40℃で98.0%の調製油脂を用いた比較例5では、硬さは良好であったが、口溶けが非常に悪かった。したがって、油ちょうした揚げ物を被覆する工程において、固体脂含量が、5℃で75%以上であり、40℃で70%以下である油脂を用いることで、冷蔵保存後に電子レンジで再加熱して喫食しても、サクサクとした良好な食感で、口溶けが良く、油っこくない揚げ衣を有する揚げ物を製造することができることが示唆された。
Figure 0006948155
表3においては、実施例1と同様な調製油脂Dを用いて、前記油脂で被覆する工程における油脂の付着量の影響について調べた。表3に示した通り、油ちょうした揚げ物の揚げ衣の質量に対して、油脂の付着量が20.7〜35.5質量%の実施例1及び5〜7の天ぷらは、上記評価において、サクサクとした良好な食感で、口溶けが良く、油っこくない揚げ衣を有していた。ただし、油脂の付着量が多くなる程、揚げ衣の油っこさの評価が低下する傾向が認められた。したがって、前記油脂で被覆する工程において、油脂の付着量は、油ちょうした揚げ物の揚げ衣の質量に対して、油脂の付着量が15〜40質量%が好ましいことが示唆された。
Figure 0006948155
表4においては、実施例1と同様な調製油脂Dを用いて、前記油脂で被覆する工程における加熱融解した油脂の温度の影響について調べた。表4に示した通り、60〜140℃の油脂の温度の実施例1及び8〜11の天ぷらは、上記評価において、サクサクとした良好な食感で、口溶けが良く、油っこくない揚げ衣を有していた。ただし、油脂の温度が高いほど、揚げ衣の硬さ、口溶け、油っこさの評価が低下する傾向が認められた。表4の結果から、前記油脂で被覆する工程において、加熱融解した油脂の温度は、150℃以下であることが好ましいことが示唆された。
Figure 0006948155
表5においては、実施例1と同様な調製油脂Dを用いて、前記油脂で被覆する工程前の油ちょうした揚げ物の表面温度の影響について調べた。表5に示した通り、油ちょうした揚げ物の表面温度を45℃、30℃及び5℃に調整した実施例12〜14は、揚げ物の表面温度が70℃の実施例1と比較して、揚げ衣の硬さの評価が向上した。したがって、前記油脂で被覆する工程前の、前記揚げ物の表面温度が50℃以下であることがより好ましいことが示唆された。
Figure 0006948155
表6においては、実施例1と同様な調製油脂Dを用いて、前記油脂で被覆する工程の前に、油ちょうした揚げ物を焼成する工程を行なった場合の影響について調べた。表6に示した通り、油ちょうした揚げ物を170℃で5分、及び10分の焼成工程を行なった実施例15及び16は、焼成工程を行なっていない実施例1と比較して、揚げ衣の硬さ、油っこさの評価が向上した。さらに、170℃で10分の焼成工程の後、前記油脂で被覆する工程の前に揚げ物の表面温度を45℃に調整した実施例17は、さらに揚げ衣の硬さの評価が向上した。なお、冷蔵2日後も良好な食感が維持されていた。したがって、前記油脂で被覆する工程の前に、前記油ちょうした揚げ物を焼成する工程を含むことが好ましく、焼成工程を行なった場合も、前記油脂で被覆する工程前の、前記揚げ物の表面温度が50℃以下であることがより好ましいことが示唆された。
以上により、油ちょうした揚げ物を加熱融解した油脂で被覆する工程を含む揚げ物の製造方法であって、前記油脂の固体脂含量が、5℃で75%以上であり、40℃で70%以下であることを特徴とする製造方法によって、常温又は冷蔵保存後に電子レンジで再加熱して喫食しても、揚げ立てのようなサクサクとした良好な食感で、且つ口溶けが良く、油っこくない揚げ物を製造することができることが示された。また、同様に、揚げ衣の表面に油脂層を有する揚げ物であって、前記油脂層を形成する油脂の固体脂含量が、5℃で75%以上であり、40℃で70%以下であることを特徴とする揚げ物は、常温又は冷蔵保存後に電子レンジで再加熱して喫食しても、揚げ立てのようなサクサクとした良好な食感で、且つ口溶けが良く、油っこくない揚げ物であることが示された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明によって、コンビニエンスストアーやスーパーマーケットにおいて、常温又は冷蔵保存で販売され、その後、電子レンジで再加熱して喫食する形態に適した揚げ物を提供することができる。特に、密閉容器に入れた状態で、常温又は冷蔵保存されたり、電子レンジで再加熱されたりする場合においても、優れた食感の揚げ物を提供することができる。

Claims (8)

  1. 油ちょうした揚げ物を加熱融解した油脂で被覆する工程を含む揚げ物の製造方法であって、
    前記揚げ物が、具材にバッターを付着させて油ちょうした、天ぷら、から揚げ、又はフリッターであり、
    前記油脂の固体脂含量が、5℃で75%以上であり、40℃で70%以下であることを特徴とする製造方法。
  2. 前記油脂で被覆する工程後の揚げ物における前記油脂の付着量が、油脂で被覆する前の揚げ物の揚げ衣の質量に対して、15〜40質量%である請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記油脂で被覆する工程の前に、前記油ちょうした揚げ物を焼成する工程を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記油脂で被覆する工程前の、前記揚げ物の表面温度が70℃以下である請求項1〜3いずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記揚げ物が、常温又は冷蔵保存される揚げ物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の揚げ物の製造方法。
  6. 揚げ衣の表面に油脂層を有する揚げ物であって、
    前記揚げ物が、具材にバッターを付着させて油ちょうした、天ぷら、から揚げ、又はフリッターであり、
    前記油脂層を形成する油脂の固体脂含量が、5℃で75%以上であり、40℃で70%以下であることを特徴とする揚げ物。
  7. 前記油脂層を形成する油脂の含有量が、前記揚げ物の揚げ衣の質量に基づいて、13〜29質量%である請求項6に記載の揚げ物。
  8. 前記揚げ物が、常温又は冷蔵保存される揚げ物である請求項6又は7に記載の揚げ物。
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