JP6946900B2 - 積層体、シリコーン樹脂層付き支持基材、シリコーン樹脂層付き樹脂基板、および、電子デバイスの製造方法 - Google Patents

積層体、シリコーン樹脂層付き支持基材、シリコーン樹脂層付き樹脂基板、および、電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、積層体、シリコーン樹脂層付き支持基材、シリコーン樹脂層付き樹脂基板、および、電子デバイスの製造方法に関する。
近年、太陽電池(PV)、液晶パネル(LCD)、有機ELパネル(OLED)、電磁波、X線、紫外線、可視光線、赤外線などを感知する受信センサーパネル等のデバイス(電子機器)の薄型化、軽量化が進行しており、これらのデバイスに用いるガラス基板に代表される基板の薄板化が進行している。薄板化により基板の強度が不足すると、デバイスの製造工程において、基板のハンドリング性が低下する。
最近では、上記の課題に対応するため、ガラス基板と補強板とを積層したガラス積層体を用意し、ガラス積層体のガラス基板上に表示装置等の電子デバイス用部材を形成した後、ガラス基板から補強板を分離する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。補強板は、支持板と、該支持板上に固定されたシリコーン樹脂層とを有し、シリコーン樹脂層とガラス基板とが剥離可能に密着される。
国際公開第2007/018028号
薄膜トランジスタ等に使用される材料として、例えば、600℃以下で形成される低温ポリシリコン(LTPS)が知られている。
電子デバイス用部材(の一部)としてLTPSを用いる場合、ガラス積層体に対して、例えば、不活性ガス雰囲気下にて、500〜600℃の高温での加熱処理が施される。
また、半導体製造工程においても、金属配線の焼きなまし(シンタリング)や、高信頼性の絶縁膜を形成するため、高温CVD成膜などが行われており、400℃以上の高温耐性が必要である。
本発明者らは、特許文献1に記載のガラス積層体を用意して、上記条件下での加熱処理を実施したところ、ガラス積層体中のシリコーン樹脂層に気泡が発生する場合があることを知見した。
本発明は、上記実情に鑑みて、耐発泡性に優れる積層体を提供することを課題とする。 本発明は、上記積層体に適用できるシリコーン樹脂層付き支持基材、シリコーン樹脂層付き樹脂基板、および、電子デバイスの製造方法を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
[1]支持基材と、シリコーン樹脂層と、基板と、をこの順で備え、上記シリコーン樹脂層が、ジルコニウム、アルミニウム、および、スズからなる群から選択される少なくとも1種の金属の元素を含む、積層体。
[2]上記シリコーン樹脂層が、ジルコニウム、および、スズからなる群から選択される少なくとも1種の金属の元素を含む、上記[1]に記載の積層体。
[3]上記シリコーン樹脂層が、ジルコニウムの元素を含む、上記[1]または[2]に記載の積層体。
[4]上記シリコーン樹脂層中における上記金属の元素のそれぞれの含有量が、0.02〜1.5質量%である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]複数の上記基板が、上記シリコーン樹脂層を介して、上記支持基材に積層されている、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]上記基板がガラス基板である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]上記基板が樹脂基板である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[8]上記樹脂基板がポリイミド樹脂基板である、上記[7]に記載の積層体。
[9]上記基板が半導体材料を含む基板である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[10]上記半導体材料がSi、SiC、GaN、酸化ガリウムまたはダイヤモンドである、上記[9]に記載の積層体。
[11]支持基材と、シリコーン樹脂層と、をこの順で備え、上記シリコーン樹脂層が、ジルコニウム、アルミニウム、および、スズからなる群から選択される少なくとも1種の金属の元素を含む、シリコーン樹脂層付き支持基材。
[12]上記[1]〜[10]のいずれかに記載の積層体の上記基板の表面上に電子デバイス用部材を形成し、電子デバイス用部材付き積層体を得る部材形成工程と、上記電子デバイス用部材付き積層体から上記支持基材および上記シリコーン樹脂層を含むシリコーン樹脂層付き支持基材を除去し、上記基板と上記電子デバイス用部材とを有する電子デバイスを得る分離工程と、を備える電子デバイスの製造方法。
[13]樹脂基板と、シリコーン樹脂層と、をこの順で備え、上記シリコーン樹脂層が、ジルコニウム、アルミニウム、および、スズからなる群から選択される少なくとも1種の金属の元素を含む、シリコーン樹脂層付き樹脂基板。
[14]上記[13]に記載のシリコーン樹脂層付き樹脂基板と、支持基材とを用いて積層体を形成する工程と、上記積層体の上記樹脂基板の表面上に電子デバイス用部材を形成し、電子デバイス用部材付き積層体を得る部材形成工程と、上記電子デバイス用部材付き積層体から上記支持基材および上記シリコーン樹脂層を除去し、上記樹脂基板と上記電子デバイス用部材とを有する電子デバイスを得る分離工程と、を備える電子デバイスの製造方法。
本発明によれば、耐発泡性に優れる積層体を提供できる。
本発明によれば、上記積層体に適用できるシリコーン樹脂層付き支持基材、シリコーン樹脂層付き樹脂基板、および、電子デバイスの製造方法を提供もできる。
本発明に係るガラス積層体の一実施形態の模式的断面図である。 本発明に係る電子デバイスの製造方法の一実施形態を工程順に示す模式的断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、以下の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
図1は、本発明に係る積層体の一態様であるガラス積層体の一実施形態の模式的断面図である。
図1に示すように、ガラス積層体10は、支持基材12およびガラス基板16と、それらの間に配置されたシリコーン樹脂層14とを含む積層体である。シリコーン樹脂層14は、その一方の面が支持基材12に接すると共に、その他方の面がガラス基板16の第1主面16aに接している。
ガラス積層体10において、シリコーン樹脂層14とガラス基板16との間の剥離強度が、シリコーン樹脂層14と支持基材12との間の剥離強度より低く、シリコーン樹脂層14とガラス基板16とが剥離し、シリコーン樹脂層14および支持基材12の積層体と、ガラス基板16とに分離する。言い換えれば、シリコーン樹脂層14は支持基材12上に固定されており、ガラス基板16はシリコーン樹脂層14上に剥離可能に積層されている。
支持基材12およびシリコーン樹脂層14からなる2層部分は、ガラス基板16を補強する機能を有する。ガラス積層体10の製造のためにあらかじめ製造される支持基材12およびシリコーン樹脂層14からなる2層部分をシリコーン樹脂層付き支持基材18という。
このガラス積層体10は、後述する手順によって、ガラス基板16と、シリコーン樹脂層付き支持基材18とに分離される。シリコーン樹脂層付き支持基材18は、新たなガラス基板16と積層され、新たなガラス積層体10として再利用できる。
支持基材12とシリコーン樹脂層14との間の剥離強度は剥離強度(x)であり、支持基材12とシリコーン樹脂層14との間に剥離強度(x)を越える引き剥がし方向の応力が加えられると、支持基材12とシリコーン樹脂層14とが剥離する。シリコーン樹脂層14とガラス基板16との間の剥離強度は剥離強度(y)であり、シリコーン樹脂層14とガラス基板16との間に剥離強度(y)を越える引き剥がし方向の応力が加えられると、シリコーン樹脂層14とガラス基板16とが剥離する。
ガラス積層体10においては、上記剥離強度(x)は上記剥離強度(y)よりも高い。従って、ガラス積層体10に支持基材12とガラス基板16とを引き剥がす方向の応力が加えられると、ガラス積層体10は、シリコーン樹脂層14とガラス基板16との間で剥離して、ガラス基板16とシリコーン樹脂層付き支持基材18とに分離する。
剥離強度(x)は、剥離強度(y)と比較して、充分高いことが好ましい。
支持基材12に対するシリコーン樹脂層14の付着力を高めるためには、後述する硬化性シリコーンを支持基材12上で硬化させてシリコーン樹脂層14を形成することが好ましい。硬化の際の接着力で、支持基材12に対して高い結合力で結合したシリコーン樹脂層14を形成できる。
一方、硬化後のシリコーン樹脂のガラス基板16に対する結合力は、上記硬化時に生じる結合力よりも低いのが通例である。従って、支持基材12上でシリコーン樹脂層14を形成し、その後シリコーン樹脂層14の面にガラス基板16を積層することにより、ガラス積層体10を製造できる。
以下では、まず、ガラス積層体10を構成する各層(支持基材12、ガラス基板16、シリコーン樹脂層14)について詳述し、その後、ガラス積層体の製造方法について詳述する。
<支持基材>
支持基材12は、ガラス基板16を支持して補強する部材である。
支持基材12としては、例えば、ガラス板、プラスチック板、金属板(例えば、SUS板)等が用いられる。通常、支持基材12はガラス基板16との線膨張係数の差の小さい材料で形成されることが好ましく、ガラス基板16と同一材料で形成されることがより好ましい。特に、支持基材12は、ガラス基板16と同じガラス材料からなるガラス板であることが好ましい。
支持基材12の厚さは、ガラス基板16よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。ガラス積層体10の取り扱い性の点からは、支持基材12の厚さはガラス基板16よりも厚いことが好ましい。
支持基材12がガラス板の場合、ガラス板の厚さは、扱いやすく、割れにくい等の理由から、0.03mm以上であることが好ましい。ガラス板の厚さは、ガラス基板を剥離する際に、割れずに適度に撓むような剛性が望まれる理由から、1.0mm以下であることが好ましい。
支持基材12とガラス基板16との25〜300℃における平均線膨張係数の差は、10×10-7/℃以下が好ましく、3×10-7/℃以下がより好ましく、1×10-7/℃以下がさらに好ましい。
<ガラス基板>
ガラス基板16のガラスの種類は特に制限されないが、無アルカリホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスが好ましい。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40〜90質量%のガラスが好ましい。
ガラス基板16として、より具体的には、LCD、OLEDといった表示装置用のガラス基板、電磁波、X線、紫外線、可視光線、赤外線などの受信センサーパネル用のガラス基板として無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(旭硝子株式会社製商品名「AN100」)が挙げられる。
ガラス基板16の厚さは、薄型化および/または軽量化の観点から、0.5mm以下が好ましく、0.4mm以下がより好ましく、0.2mm以下がさらに好ましく、0.10mm以下が特に好ましい。0.5mm以下の場合、ガラス基板16に良好なフレキシブル性を与えることが可能である。0.2mm以下の場合、ガラス基板16をロール状に巻き取ることが可能である。
ガラス基板16の厚さは、ガラス基板16の取り扱いが容易である点から、0.03mm以上が好ましい。
さらに、ガラス基板16の面積(主面の面積)は特に制限されないが、300cm以上であることが好ましい。
ガラス基板16は2層以上からなっていてもよく、この場合、各々の層を形成する材料は同種材料であってもよいし、異種材料であってもよい。この場合、「ガラス基板16の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
ガラス基板16の製造方法は特に制限されず、通常、ガラス原料を溶融し、溶融ガラスを板状に成形して得られる。このような成形方法は、一般的なものであってよく、例えば、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法等が挙げられる。
<シリコーン樹脂層>
シリコーン樹脂層14は、ガラス基板16の位置ずれを防止すると共に、ガラス基板16が分離操作によって破損するのを防止する。シリコーン樹脂層14のガラス基板16と接する表面14aは、ガラス基板16の第1主面16aに密着する。
シリコーン樹脂層14とガラス基板16とは、弱い接着力やファンデルワールス力に起因する結合力で結合していると考えられる。
シリコーン樹脂層14は、強い結合力で支持基材12表面に結合されており、両者の密着性を高める方法としては、公知の方法を採用できる。例えば、後述するように、シリコーン樹脂層14を支持基材12表面上で形成する(より具体的には、所定のシリコーン樹脂を形成し得る硬化性シリコーン(オルガノポリシロキサン)を支持基材12上で硬化させる)ことにより、シリコーン樹脂層14中のシリコーン樹脂を支持基材12表面に接着させ、高い結合力を得ることができる。支持基材12表面とシリコーン樹脂層14との間に強い結合力を生じさせる処理(例えば、カップリング剤を使用した処理)を施して支持基材12表面とシリコーン樹脂層14との間の結合力を高めることができる。
シリコーン樹脂層14の厚さは特に制限されないが、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、0.001μm以上の場合が多い。シリコーン樹脂層14の厚さがこのような範囲であると、シリコーン樹脂層14にクラックが生じにくく、シリコーン樹脂層14とガラス基板16との間に気泡や異物が介在することがあっても、ガラス基板16のゆがみ欠陥の発生を抑制できる。
上記厚さは平均厚さを意図し、5点以上の任意の位置におけるシリコーン樹脂層14の厚みを接触式膜厚測定装置で測定し、それらを算術平均したものである。
シリコーン樹脂層14のガラス基板16側の表面の表面粗さRaは特に制限されないが、ガラス基板16の積層性および剥離性がより優れる点より、0.1〜20nmが好ましく、0.1〜10nmがより好ましい。
表面粗さRaの測定方法としては、JIS B 0601−2001に準じて行われ、任意の5箇所以上の点において測定されたRaを、算術平均した値が上記表面粗さRaに該当する。
(特定元素)
シリコーン樹脂層は、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、および、スズ(Sn)からなる群から選択される少なくとも1種の金属の元素(以後、これらを総称して「特定元素」とも称する)を含む。
これらの特定元素がシリコーン樹脂層に含まれることにより、不活性ガス雰囲気下での高温加熱処理(例えば500〜600℃)の際に、シリコーン樹脂層における気泡の発生が抑制される。すなわち、耐発泡性が優れる。
上記効果が得られる理由(メカニズム)は明らかではないが、上記特定元素によりシリコーン樹脂層において重合反応が進行する、シリコーン樹脂層における分解部分を上記特定元素が架橋する等の理由が考えられる。
上記特定元素のうち、耐発泡性がより優れるという理由から、シリコーン樹脂層は、ジルコニウム(Zr)およびスズ(Sn)からなる群から選択される少なくとも1種の金属の元素を含むことが好ましく、ジルコニウム(Zr)の元素を含むことがより好ましい。
加熱処理後にシリコーン樹脂層からガラス基板を分離しやすいという理由からは、シリコーン樹脂層は、ZrおよびSnを含むことが好ましい。
シリコーン樹脂層中における上記特定元素のそれぞれの含有量は、耐発泡性がより優れるという理由から、0.02〜1.5質量%が好ましく、0.03〜1.0質量%がより好ましく、0.04〜0.3質量%がさらに好ましく、0.06〜0.3質量%が特に好ましい。
この含有量は、シリコーン樹脂層の質量を100質量%とした場合における上記特定元素の割合(単位:質量%)である。
この含有量は、上記特定元素の「合計の含有量」ではなく、上記特定元素の「それぞれ単独の含有量」を意味する。
シリコーン樹脂層には、上述した特定元素以外の他の金属の元素(以後、単に「他の金属元素」とも称する)が含まれていてもよい。
シリコーン樹脂層中における上記特定元素および上記他の金属元素の形態は、金属の形態、イオンの形態、化合物の形態、および、錯体の形態のいずれであってもよい。
シリコーン樹脂層中における特定元素および上記他の金属元素の測定方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、ICP発光分光分析法(ICP−AES)、または、ICP質量分析法(ICP−MS)が挙げられる。上記方法に使用される装置としては、誘導結合型プラズマ発光分光分析装置PS3520UVDDII(日立ハイテクノロジーズ社)、誘導結合プラズマ(トリプル四重極)質量分析計Agilent8800(Agilent technologies社)が挙げられる。
上記した方法による具体的な手順の一例としては、まず、シリコーン樹脂層の質量を測定する。次に、酸素バーナー等を用いて、シリコーン樹脂層を酸化させ、シリカ化する。その後、酸化されたシリコーン樹脂層からSiO成分を除去するため、酸化されたシリコーン樹脂層をフッ酸にて洗浄する。得られた残渣を塩酸に溶解させ、上述したICP発光分光分析法(ICP−AES)、または、ICP質量分析法(ICP−MS)にて所定の特定元素および/または他の金属元素の定量を行う。その後、予め測定しておいたシリコーン樹脂層の質量に対する、特定元素または他の金属元素の含有量を算出する。
特定元素を含むシリコーン樹脂層を形成する方法は特に制限されず、例えば、後述する硬化性シリコーンおよび特定元素を含む金属化合物を含む硬化性組成物を用いてシリコーン樹脂層を形成する方法が挙げられる。
他の金属元素をシリコーン樹脂層に導入する方法としては、例えば、上記特定元素と同様に、後述する硬化性シリコーン、特定元素を含む金属化合物、および、他の金属元素を含む金属化合物を含む上記硬化性組成物を用いてシリコーン樹脂層を形成する方法が挙げられる。
詳細は、後段で詳述する。
(シリコーン樹脂)
シリコーン樹脂層14は、主に、シリコーン樹脂からなる。
一般的に、オルガノシロキシ単位には、M単位と呼ばれる1官能オルガノシロキシ単位、D単位と呼ばれる2官能オルガノシロキシ単位、T単位と呼ばれる3官能オルガノシロキシ単位、および、Q単位と呼ばれる4官能オルガノシロキシ単位がある。Q単位はケイ素原子に結合した有機基(ケイ素原子に結合した炭素原子を有する有機基)を有しない単位であるが、本発明においてはオルガノシロキシ単位(含ケイ素結合単位)とみなす。M単位、D単位、T単位、Q単位を形成するモノマーを、それぞれMモノマー、Dモノマー、Tモノマー、Qモノマーともいう。
全オルガノシロキシ単位とは、M単位、D単位、T単位、および、Q単位の合計を意図する。M単位、D単位、T単位、および、Q単位の数(モル量)の割合は、29Si−NMRによるピーク面積比の値から計算できる。
オルガノシロキシ単位において、シロキサン結合は2個のケイ素原子が1個の酸素原子を介して結合した結合であることより、シロキサン結合におけるケイ素原子1個当たりの酸素原子は1/2個とみなし、式中O1/2と表現される。より具体的には、例えば、1つのD単位においては、その1個のケイ素原子は2個の酸素原子と結合し、それぞれの酸素原子は他の単位のケイ素原子と結合していることより、その式は−O1/2−(R)2Si−O1/2−(Rは、水素原子または有機基を表す)となる。O1/2が2個存在することより、D単位は(R)2SiO2/2(言い換えると、(R)2SiO)と表現されるのが通常である。
以下の説明において、他のケイ素原子に結合した酸素原子Oは、2個のケイ素原子間を結合する酸素原子であり、Si−O−Siで表される結合中の酸素原子を意図する。従って、Oは、2つのオルガノシロキシ単位のケイ素原子間に1個存在する。
M単位とは、(R)3SiO1/2で表されるオルガノシロキシ単位を意図する。ここで、Rは、水素原子または有機基を表す。(R)の後に記載の数字(ここでは、3)は、水素原子または有機基が3つケイ素原子に結合することを意図する。つまり、M単位は、1個のケイ素原子と、3個の水素原子または有機基と、1個の酸素原子Oとを有する。より具体的には、M単位は、1個のケイ素原子に結合した3個の水素原子または有機基と、1個のケイ素原子に結合した酸素原子Oを有する。
D単位とは、(R)2SiO2/2(Rは、水素原子または有機基を表す)で表されるオルガノシロキシ単位を意図する。つまり、D単位は、1個のケイ素原子を有し、そのケイ素原子に結合した2個の水素原子または有機基と、他のケイ素原子に結合した酸素原子Oを2個有する単位である。
T単位とは、RSiO3/2(Rは、水素原子または有機基を表す)で表されるオルガノシロキシ単位を意図する。つまり、T単位は、1個のケイ素原子を有し、そのケイ素原子に結合した1個の水素原子または有機基と、他のケイ素原子に結合した酸素原子Oを3個有する単位である。
Q単位とは、SiO2で表されるオルガノシロキシ単位を意図する。つまり、Q単位は、1個のケイ素原子を有し、他のケイ素原子に結合した酸素原子Oを4個有する単位である。
有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ハロゲン化アルキル基(例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等)等のハロゲン置換の一価の炭化水素基が挙げられる。有機基としては、炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜10程度)の、非置換またはハロゲン置換の一価の炭化水素基が好ましい。
シリコーン樹脂層14を構成するシリコーン樹脂はその構造は特に制限されないが、ガラス基板16の積層性および剥離性のバランスがより優れる点で、(R)3SiO1/2で表されるオルガノシロキシ単位(M単位)および(R)SiO3/2で表されるオルガノシロキシ単位(T単位)からなる群から選択される少なくとも1種の特定オルガノシロキシ単位を含むことが好ましい。
上記特定オルガノシロキシ単位の割合が、全オルガノシロキシ単位に対して、60モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、100モル%以下の場合が多い。
M単位、T単位の数(モル量)の割合は、29Si−NMRによるピーク面積比の値から計算できる。
(硬化性シリコーン)
シリコーン樹脂は、通常、硬化処理により該シリコーン樹脂となり得る硬化性シリコーンを硬化(架橋硬化)して得られる。つまり、シリコーン樹脂は、硬化性シリコーンの硬化物に該当する。
硬化性シリコーンは、その硬化機構により縮合反応型シリコーン、付加反応型シリコーン、紫外線硬化型シリコーンおよび電子線硬化型シリコーンに分類されるが、いずれも使用することができる。
縮合反応型シリコーンとしては、モノマーである加水分解性オルガノシラン化合物若しくはその混合物(モノマー混合物)、または、モノマー若しくはモノマー混合物を部分加水分解縮合反応させて得られる部分加水分解縮合物(オルガノポリシロキサン)を好適に用いることができる。部分加水分解縮合物とモノマーとの混合物であってもよい。モノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
この縮合反応型シリコーンを用いて、加水分解・縮合反応(ゾルゲル反応)を進行させることにより、シリコーン樹脂を形成できる。
上記モノマー(加水分解性オルガノシラン化合物)は、通常、(R’−)Si(−Z)4−aで表される。ただし、aは0〜3の整数、R’は水素原子または有機基、Zは水酸基または加水分解性基を表す。この化学式において、a=3の化合物がMモノマー、a=2の化合物がDモノマー、a=1の化合物がTモノマー、a=0の化合物がQモノマーである。モノマーにおいて、通常、Z基は加水分解性基である。R’が2または3個存在する場合(aが2または3の場合)、複数のR’は異なっていてもよい。
部分加水分解縮合物である硬化性シリコーンは、モノマーのZ基の一部を酸素原子Oに変換する反応により得られる。モノマーのZ基が加水分解性基の場合、Z基は加水分解反応により水酸基に変換され、次いで別々のケイ素原子に結合した2個の水酸基の間における脱水縮合反応により、2個のケイ素原子が酸素原子Oを介して結合する。硬化性シリコーン中には水酸基(または加水分解しなかったZ基)が残存し、硬化性シリコーンの硬化の際にこれら水酸基やZ基が上記と同様に反応して硬化する。硬化性シリコーンの硬化物は、通常、3次元的に架橋したポリマー(シリコーン樹脂)となる。
モノマーのZ基が加水分解性基である場合、そのZ基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子)、アシルオキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。多くの場合、モノマーとしてはZ基がアルコキシ基のモノマーが使用され、このようなモノマーはアルコキシシランとも称される。
アルコキシ基は塩素原子等の他の加水分解性基と比較すると反応性の比較的低い加水分解性基であり、Z基がアルコキシ基であるモノマー(アルコキシシラン)を使用して得られる硬化性シリコーン中にはZ基として水酸基と共に未反応のアルコキシ基が存在することが多い。
上記縮合反応型シリコーンとしては、反応の制御や取り扱いの面から、加水分解性オルガノシラン化合物から得られる部分加水分解縮合物(オルガノポリシロキサン)が好ましい。部分加水分解縮合物は、加水分解性オルガノシラン化合物を部分的に加水分解縮合させて得られる。部分的に加水分解縮合させる方法は、特に制限されない。通常は、加水分解性オルガノシラン化合物を溶媒中、触媒存在下で反応させて製造される。触媒としては、酸触媒およびアルカリ触媒が挙げられる。加水分解反応には通常、水を使用することが好ましい。部分加水分解縮合物としては、溶媒中で加水分解性オルガノシラン化合物を酸またはアルカリ水溶液の存在下で反応させて製造された物が好ましい。
使用される加水分解性オルガノシラン化合物の好適態様としては、上述したように、アルコキシシランが挙げられる。つまり、硬化性シリコーンの好適態様の一つとしては、アルコキシシランの加水分解反応および縮合反応により得られた硬化性シリコーンが挙げられる。
アルコキシシランを使用した場合、部分加水分解縮合物の重合度が大きくなりやすく、本発明の効果がより優れる。
付加反応型シリコーンとしては、主剤および架橋剤を含み、白金触媒等の触媒の存在下で硬化する硬化性の組成物が好適に使用できる。付加反応型シリコーンの硬化は、加熱処理により促進される。付加反応型シリコーン中の主剤は、ケイ素原子に結合したアルケニル基(ビニル基等)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノアルケニルポリシロキサン。直鎖状が好ましい)であることが好ましく、アルケニル基等が架橋点となる。付加反応型シリコーン中の架橋剤は、ケイ素原子に結合した水素原子(ハイドロシリル基)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノハイドロジェンポリシロキサン。直鎖状が好ましい)であることが好ましく、ハイドロシリル基等が架橋点となる。 付加反応型シリコーンは、主剤と架橋剤の架橋点が付加反応をすることにより硬化する。架橋構造に由来する耐熱性がより優れる点で、オルガノアルケニルポリシロキサンのアルケニル基に対する、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子に結合した水素原子のモル比が0.5〜2であることが好ましい。
上記縮合反応型シリコーンおよび付加反応型シリコーン等の硬化性シリコーンの重量平均分子量(Mw)は特に制限されないが、5000〜60000が好ましく、5000〜30000がより好ましい。Mwが5000以上だと塗布性の観点で優れており、Mwが60000以下だと溶媒への溶解性、塗布性の観点でよい。
(硬化性組成物)
上述したシリコーン樹脂層14の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。なかでも、シリコーン樹脂層14の生産性が優れる点で、シリコーン樹脂層14の製造方法としては、支持基材12上に上記シリコーン樹脂となる硬化性シリコーンおよび特定元素を含む金属化合物を含む硬化性組成物を塗布して、必要に応じて溶媒を除去して、塗膜を形成して、塗膜中の硬化性シリコーンを硬化させて、シリコーン樹脂層14とすることが好ましい。
上述したように、硬化性シリコーンとしては、モノマーである加水分解性オルガノシラン化合物、および/または、モノマーを部分加水分解縮合反応させて得られる部分加水分解縮合物(オルガノポリシロキサン)が使用できる。硬化性シリコーンとしては、オルガノアルケニルポリシロキサンおよびオルガノハイドロジェンポリシロキサンの混合物も使用できる。
上記硬化性組成物に含まれる特定元素を含む金属化合物は、所定の特定元素が含まれていればその構造は特に制限されず、公知の金属化合物が挙げられる。本明細書においては、いわゆる錯体は、上記金属化合物に含まれる。
特定元素を含む金属化合物としては、特定元素を含む錯体が好ましい。錯体とは、金属元素の原子またはイオンを中心として、これに配位子(原子・原子団・分子またはイオン)が結合した集団体である。
上記錯体中に含まれる配位子の種類は特に制限されないが、例えば、β−ジケトン、カルボン酸、アルコキシド、および、アルコールからなる群から選択される配位子が挙げられる。
β−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、ベンゾイルアセトン等が挙げられる。
カルボン酸としては、例えば、酢酸、2−エチルヘキサン酸、ナフテン酸、ネオデカン酸等が挙げられる。
アルコキシドとしては、例えば、メトキシド、エトキシド、ノルマルプロポキシド(n−プロポキシド)、イソプロポキシド、ノルマルブトキシド(n−ブトキシド)等が挙げられる。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等が挙げられる。
上記特定元素を含む金属化合物としては、具体的には、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシジアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシドなどのジルコニウム化合物;アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリn−プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナートなどのアルミニウム化合物;ビス(2−エチルヘキサン酸)スズ、ビス(ネオデカン酸)スズ、ジブチルスズビス(アセチルアセトネート)、ジラウリン酸ジブチルスズなどのスズ化合物;等が挙げられるが、これらに限定されない。
硬化性組成物中における特定元素を含む金属化合物の含有量は特に制限されないが、上述したシリコーン樹脂層中における特定元素の含有量の好適範囲となるように調整されることが好ましい。
上述したように、硬化性組成物には、他の金属元素を含む金属化合物が含まれていてもよい。
他の金属元素を含む金属化合物としては、他の金属元素を含む錯体が好ましい。錯体の定義は、上述の通りであり、錯体に含まれ得る配位子の好適範囲も上記特定金属を含む錯体の場合と同じである。
硬化性シリコーンとして付加反応型シリコーンを用いる場合、必要に応じて、硬化性組成物は、他の金属元素を含む金属化合物として、白金触媒を含んでいてもよい。
白金触媒は、上記オルガノアルケニルポリシロキサン中のアルケニル基と、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサン中の水素原子とのヒドロシリル化反応を、進行・促進させるための触媒である。
硬化性組成物には溶媒が含まれていてもよく、その場合、溶媒の濃度の調整により塗膜の厚さを制御できる。なかでも、取扱い性に優れ、シリコーン樹脂層14の膜厚の制御がより容易である点から、硬化性シリコーンを含む硬化性組成物中における硬化性シリコーンの含有量は、組成物全質量に対して、1〜80質量%が好ましく、1〜50質量%がより好ましい。
溶媒としては、作業環境下で硬化性シリコーンを容易に溶解でき、かつ、容易に揮発除去できる溶媒であれば、特に制限されない。具体的には、例えば、酢酸ブチル、2−ヘプタノン、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート等が挙げられる。
硬化性組成物には、種々の添加剤が含まれていてもよい。例えば、レベリング剤が含まれていてもよい。レベリング剤としては、メガファックF558、メガファックF560、メガファックF561(いずれもDIC株式会社製)等のフッ素系のレベリング剤が挙げられる。
<ガラス積層体およびその製造方法>
ガラス積層体10は、上述したように、支持基材12およびガラス基板16と、それらの間に配置されたシリコーン樹脂層14とを含む積層体である。
ガラス積層体10の製造方法は特に制限されないが、剥離強度(x)が剥離強度(y)よりも高い積層体を得るために、支持基材12表面上でシリコーン樹脂層14を形成する方法が好ましい。なかでも、硬化性シリコーンおよび特定元素を含む金属化合物を含む硬化性組成物を支持基材12の表面に塗布し、得られた塗膜に対して硬化処理を施してシリコーン樹脂層を得た後、次いで、シリコーン樹脂層14の表面にガラス基板16を積層して、ガラス積層体10を製造する方法が好ましい。
硬化性シリコーンを支持基材12表面で硬化させると、硬化反応時の支持基材12表面との相互作用により接着し、シリコーン樹脂と支持基材12表面との剥離強度は高くなると考えられる。従って、ガラス基板16と支持基材12とが同じ材質からなるものであっても、シリコーン樹脂層14と両者間の剥離強度に差を設けることができる。
以下、硬化性シリコーンの層を支持基材12の表面に形成し、支持基材12表面上でシリコーン樹脂層14を形成する工程を樹脂層形成工程1、シリコーン樹脂層14の表面にガラス基板16を積層してガラス積層体10とする工程を積層工程1といい、各工程の手順について詳述する。
(樹脂層形成工程1)
樹脂層形成工程1では、硬化性シリコーンの層を支持基材12の表面に形成し、支持基材12表面上でシリコーン樹脂層14を形成する。
まず、支持基材12上に硬化性シリコーンの層を形成するためには、上述した硬化性組成物を支持基材12上に塗布する。次いで、硬化性シリコーンの層に対して硬化処理を施して硬化層を形成することが好ましい。
支持基材12表面上に硬化性組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。例えば、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法等が挙げられる。
次いで、支持基材12上の硬化性シリコーンを硬化させて、硬化層を形成する。
硬化の方法は特に制限されず、使用される硬化性シリコーンの種類によって適宜最適な処理が実施される。例えば、縮合反応型シリコーンおよび付加反応型シリコーンを用いる場合は、硬化処理として熱硬化処理が好ましい。
熱硬化させる温度条件は、150〜550℃が好ましく、200〜450℃がより好ましい。加熱時間は、通常、10〜300分が好ましく、20〜120分がより好ましい。加熱条件は、温度条件を変えて段階的に実施してもよい。
熱硬化処理においては、プレキュア(予備硬化)を行った後硬化(本硬化)を行うことが好ましい。プレキュアを行うことにより耐熱性に優れたシリコーン樹脂層14が得られる。
(積層工程1)
積層工程1は、上記の樹脂層形成工程で得られたシリコーン樹脂層14の表面上にガラス基板16を積層し、支持基材12とシリコーン樹脂層14とガラス基板16とをこの順で備えるガラス積層体10を得る工程である。
ガラス基板16をシリコーン樹脂層14上に積層する方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
例えば、常圧環境下でシリコーン樹脂層14の表面上にガラス基板16を重ねる方法が挙げられる。必要に応じて、シリコーン樹脂層14の表面上にガラス基板16を重ねた後、ロールやプレスを用いてシリコーン樹脂層14にガラス基板16を圧着させてもよい。ロールまたはプレスによる圧着により、シリコーン樹脂層14とガラス基板16との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入が抑制され、かつ、量良好な密着が実現でき、好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、ガラス基板16のゆがみ欠陥につながりにくいという利点もある。
ガラス基板16を積層する際には、シリコーン樹脂層14に接触するガラス基板16の表面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが好ましい。クリーン度が高いほど、ガラス基板16の平坦性は良好となるので好ましい。
ガラス基板16を積層した後、必要に応じて、プレアニール処理(加熱処理)を行ってもよい。該プレアニール処理を行うことにより、積層されたガラス基板16のシリコーン樹脂層14に対する密着性が向上し、適切な剥離強度(y)とすることができる。
上記においては、基板としてガラス基板を用いる場合について詳述したが、基板の種類は特に制限さない。
例えば、基板としては、金属基板、半導体基板、樹脂基板、および、ガラス基板が挙げられる。基板は、例えば、2種の異なる金属から構成される金属板のように、複数の同種材料から構成される基板であってもよい。さらに、基板は、例えば、樹脂とガラスとから構成される基板のように、異種材料(例えば、金属、半導体、樹脂、および、ガラスから選択される2種以上の材料)の複合体基板であってもよい。
金属板、半導体基板等の基板の厚みは特に制限されないが、薄型化および/または軽量化の観点から、0.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.4mm以下であり、さらに好ましくは0.2mm以下であり、特に好ましくは0.10mm以下である。厚みの下限は特に制限されないが、0.005mm以上であることが好ましい。
基板の面積(主面の面積)は特に制限されないが、電子デバイスの生産性の点から、300cm以上であることが好ましい。
基板の形状も特に制限されず、矩形状であっても、円形状であってもよい。基板には、オリエンテーションフラット(いわゆるオリフラ。基板の外周に形成された平坦部分)や、ノッチ(基板の外周縁に形成された一つまたはそれ以上のV型の切欠き)が形成されていてもよい。
<樹脂基板および樹脂基板を用いた積層体の製造方法>
上記樹脂基板としては、デバイスの製造工程での熱処理に耐えうる、耐熱性に優れた樹脂基板を用いることが好ましい。
樹脂基板を構成する樹脂としては、例えば、ポリベンゾイミダゾール樹脂(PBI)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリアミド樹脂(PA)、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等が挙げられる。特に、優れた耐熱性、優れた耐薬品性、低い熱膨張係数、高い機械的特性等の観点から、ポリイミド樹脂からなるポリイミド樹脂基板が好ましい。
樹脂基板上に電子デバイスの高精細な配線等を形成するために、樹脂基板の表面は平滑であることが好ましい。具体的には、樹脂基板の表面粗度Raは、50nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましい。
樹脂基板の厚みは、製造工程でのハンドリング性の観点から、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。柔軟性の観点からは、1mm以下が好ましく、0.2mm以下がより好ましい。
樹脂基板の熱膨張係数は、電子デバイスや支持基材との熱膨張係数差が小さい方が加熱後または冷却後の積層体の反りを抑制できるため好ましい。具体的には、樹脂基板と支持基材との熱膨張係数の差は、0〜90×10-6/℃が好ましく、0〜30×10-6/℃がより好ましい。
基板として樹脂基板を用いる場合における積層体の製造方法は特に制限されず、例えば、上述した、ガラス基板を用いた場合と同様の方法で積層体を製造できる。つまり、支持基材上にシリコーン樹脂層を形成して、シリコーン樹脂層上に樹脂基板を積層して、積層体を製造できる。
支持基材とシリコーン樹脂層と樹脂基板とをこの順で備える積層体を以後、樹脂積層体ともいう。
樹脂積層体の他の製造方法としては、樹脂基板表面上でシリコーン樹脂層を形成して、樹脂積層体を製造する方法も好ましい。
シリコーン樹脂層の樹脂基板に対する密着性は一般に低い傾向がある。そのため、樹脂基板表面上にシリコーン樹脂層を形成し、得られたシリコーン樹脂層付き樹脂基板と支持基材とを積層させて樹脂積層体を得る場合においても、支持基材とシリコーン樹脂層との間の剥離強度(x)が、シリコーン樹脂層と樹脂基板との間の剥離強度(y´)を上回る傾向にある。特に、支持基材としてガラス板を用いた場合、その傾向が強い。
つまり、樹脂積層体は、ガラス積層体の場合と同様に、樹脂基板と、シリコーン樹脂層付き支持基材とに分離することが可能である。
上述した樹脂積層体の他の製造方法は、主に、硬化性シリコーンの層を樹脂基板の表面に形成し、樹脂基板表面上でシリコーン樹脂層を形成する工程(樹脂層形成工程2)と、シリコーン樹脂層の表面に支持基材を積層して樹脂積層体とする工程(積層工程2)とを有する。
以下、上記各工程の手順について詳述する。
(樹脂層形成工程2)
樹脂層形成工程2は、硬化性シリコーンの層を樹脂基板の表面に形成し、樹脂基板表面上でシリコーン樹脂層を形成する工程である。本工程によって、樹脂基板と、シリコーン樹脂層と、をこの順で備えるシリコーン樹脂層付き樹脂基板が得られる。
本工程において、樹脂基板上に硬化性シリコーンの層を形成するためには、上述した硬化性組成物を樹脂基板上に塗布する。次いで、硬化性シリコーンの層に対して硬化処理を施して硬化層を形成することが好ましい。
樹脂基板表面上に硬化性組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。例えば、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法等が挙げられる。
次いで、樹脂基板上の硬化性シリコーンを硬化させて、硬化層(シリコーン樹脂層)を形成する。
硬化の方法は特に制限されず、使用される硬化性シリコーンの種類によって適宜最適な処理が実施される。例えば、縮合反応型シリコーンおよび付加反応型シリコーンを用いる場合は、硬化処理として熱硬化処理が好ましい。
熱硬化処理の条件は、樹脂基板の耐熱性の範囲内で実施され、例えば、熱硬化させる温度条件は、50〜400℃が好ましく、100〜300℃がより好ましい。加熱時間は、通常、10〜300分が好ましく、20〜120分がより好ましい。
形成されるシリコーン樹脂層の態様は、上述した通りである。
(積層工程2)
積層工程2は、シリコーン樹脂層の表面に支持基材を積層して樹脂積層体とする工程である。つまり、本工程は、シリコーン樹脂層付き樹脂基板と、支持基材とを用いて樹脂積層体を形成する工程である。
支持基材をシリコーン樹脂層上に積層する方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられ、上述したガラス積層体の製造における積層工程1の説明で挙げた方法が挙げられる。
支持基材を積層した後、必要に応じて、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことにより、積層された支持基材のシリコーン樹脂層に対する密着性が向上し、適切な剥離強度(x)とすることができる。
加熱処理の温度条件は、50〜400℃が好ましく、100〜300℃がより好ましい。加熱時間は、通常、1〜120分が好ましく、5〜60分がより好ましい。加熱は、温度条件を変えて段階的に実施してもよい。
後述する電子デバイス用部材を形成する工程において樹脂積層体が加熱される場合は、加熱処理を省略してもよい。
剥離強度(x)を向上させ、剥離強度(x)と剥離強度(y´)とのバランスを調節する観点から、支持基材をシリコーン樹脂層上に積層する前に、支持基材およびシリコーン樹脂層の少なくとも一方に表面処理を施すのが好ましく、シリコーン樹脂層に表面処理を施すのがより好ましい。
表面処理の方法としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UVオゾン処理等が挙げられ、中でもコロナ処理が好ましい。
シリコーン樹脂層付き樹脂基板は、ロール状に巻いた樹脂基板の表面上にシリコーン樹脂層を形成してから再びロール状に巻き取る、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)方式での製造が可能であり、生産効率に優れる。
シリコーン樹脂層を支持基材上に形成する場合、硬化性組成物を支持基材に塗布する際に、いわゆるコーヒーリング現象によって、シリコーン樹脂層の外周部の厚みが中央部の厚みと比較して厚くなる傾向がある。この場合、シリコーン樹脂層の外周部が配置された支持基材部分を切断して除去する必要が生じるが、支持基材がガラス基板の場合、その手間とコストが大きい。
一方で、シリコーン樹脂層を樹脂基板上に形成する場合、一般に樹脂基板は取り扱い性やコストに優れるため、上記のような問題が生じてもシリコーン樹脂層の外周部が配置された樹脂基板部分の切除が比較的容易である。
<半導体基板および半導体基板を用いた積層体の製造方法>
上記半導体基板は、半導体材料を含む基板である。半導体材料としては、Si、SiC、GaN、酸化ガリウムまたはダイヤモンド等が挙げられる。Siの基板をSiウェハともいう。
半導体基板上に電子デバイスの高精細な配線等を形成するために、半導体基板の表面は平滑であることが好ましい。具体的には、半導体基板の表面粗度Raは、50nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましい。
半導体基板の厚みは、製造工程でのハンドリング性の観点から、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。電子デバイスの小型化の観点からは、1mm以下が好ましく、0.2mm以下がより好ましい。
半導体基板の熱膨張係数は、電子デバイスや支持基材との熱膨張係数差が小さい方が加熱後または冷却後の積層体の反りを抑制できるため好ましい。具体的には、半導体基板と支持基材との熱膨張係数の差は、0〜90×10-6/℃が好ましく、0〜30×10-6/℃がより好ましい。
基板として半導体基板を用いる場合における積層体の製造方法は特に制限されず、例えば、上述した、ガラス基板を用いた場合と同様の方法で積層体を製造できる。つまり、支持基材上にシリコーン樹脂層を形成して、シリコーン樹脂層上に半導体基板を積層して、積層体を製造できる。
支持基材とシリコーン樹脂層と半導体基板とをこの順で備える積層体を以後、半導体積層体ともいう。
なお、図1には、1つ基板(ガラス基板、樹脂基板または半導体基板)がシリコーン樹脂層を介して支持基材に積層される態様を図示した。しかし、本発明の積層体は、この態様に限定されず、例えば、複数の基板がシリコーン樹脂層を介して支持基材に積層される態様(以下、「多面貼り態様」ともいう)であってもよい。
多面貼り態様は、より詳細には、複数の基板のいずれもが、シリコーン樹脂層を介して支持基材に接する態様である。すなわち、複数枚の基板が重なる(複数枚のうちの1枚の基板のみが、シリコーン樹脂層を介して、支持基材に接する)態様ではない。
多面貼り態様においては、例えば、個々の基板ごとに複数のシリコーン樹脂層が設けられ、複数の基板およびシリコーン樹脂層が、1つの支持基材上に配置される。もっとも、これに限定されず、例えば、1つの支持基材上に形成された1枚のシリコーン樹脂層(例えば、支持基材と同サイズ)上に、個々の基板が配置されてもよい。
<積層体の用途>
本発明の積層体(例えば、上述したガラス積層体10)は、種々の用途に使用でき、例えば、後述する表示装置用パネル、PV、薄膜2次電池、表面に回路が形成された半導体ウェハ、受信センサーパネル等の電子部品を製造する用途が挙げられる。該用途では、積層体が大気雰囲気下にて、高温条件(例えば、450℃以上)で曝される(例えば、20分以上)場合もある。
ここで、表示装置用パネルとは、LCD、OLED、電子ペーパー、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネル、量子ドットLEDパネル、マイクロLEDディスプレイパネル、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッターパネル等が含まれる。
ここで、受信センサーパネルとは、電磁波受信センサーパネル、X線受光センサーパネル、紫外線受光センサーパネル、可視光線受光センサーパネル、赤外線受光センサーパネルなどが含まれる。これら受信センサーパネルに用いる基板は、樹脂などの補強シートなどで補強されていてもよい。
<電子デバイスおよびその製造方法>
本発明においては、上述した積層体を用いて、基板と電子デバイス用部材とを含む電子デバイス(以後、適宜「部材付き基板」とも称する)が製造される。
以下では、上述したガラス積層体10を用いた電子デバイスの製造方法について詳述する。
電子デバイスの製造方法は特に制限されないが、電子デバイスの生産性に優れる点から、上記ガラス積層体中のガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して電子デバイス用部材付き積層体を製造し、得られた電子デバイス用部材付き積層体からシリコーン樹脂層のガラス基板側界面を剥離面として電子デバイス(部材付き基板)とシリコーン樹脂層付き支持基材とに分離する方法が好ましい。
以下、上記ガラス積層体中のガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して電子デバイス用部材付き積層体を製造する工程を部材形成工程、電子デバイス用部材付き積層体からシリコーン樹脂層のガラス基板側界面を剥離面として部材付き基板とシリコーン樹脂層付き支持基材とに分離する工程を分離工程という。
以下に、各工程で使用される材料および手順について詳述する。
(部材形成工程)
部材形成工程は、上記ガラス積層体10中のガラス基板16上に電子デバイス用部材を形成する工程である。より具体的には、図2(A)に示すように、ガラス基板16の第2主面16b(露出表面)上に電子デバイス用部材20を形成し、電子デバイス用部材付き積層体22を得る。
まず、本工程で使用される電子デバイス用部材20について詳述し、その後工程の手順について詳述する。
(電子デバイス用部材(機能性素子))
電子デバイス用部材20は、ガラス積層体10中のガラス基板16上に形成され電子デバイスの少なくとも一部を構成する部材である。より具体的には、電子デバイス用部材20としては、表示装置用パネル、太陽電池、薄膜2次電池、または、表面に回路が形成された半導体ウェハ等の電子部品、受信センサーパネル等に用いられる部材(例えば、LTPSなどの表示装置用部材、太陽電池用部材、薄膜2次電池用部材、電子部品用回路、受信センサー用部材)が挙げられる。
例えば、太陽電池用部材としては、シリコン型では、正極の酸化スズ等透明電極、p層/i層/n層で表されるシリコン層、および負極の金属等が挙げられ、その他に、化合物型、色素増感型、量子ドット型等に対応する各種部材等を挙げることができる。
薄膜2次電池用部材としては、リチウムイオン型では、正極および負極の金属または金属酸化物等の透明電極、電解質層のリチウム化合物、集電層の金属、封止層としての樹脂等が挙げられ、その他に、ニッケル水素型、ポリマー型、セラミックス電解質型等に対応する各種部材等を挙げることができる。
電子部品用回路としては、CCDやCMOSでは、導電部の金属、絶縁部の酸化ケイ素や窒化珪素等が挙げられ、その他に圧力センサー・加速度センサー等各種センサーやリジッドプリント基板、フレキシブルプリント基板、リジッドフレキシブルプリント基板等に対応する各種部材等を挙げることができる。
(工程の手順)
上述した電子デバイス用部材付き積層体22の製造方法は特に制限されず、電子デバイス用部材の構成部材の種類に応じて従来公知の方法にて、ガラス積層体10のガラス基板16の第2主面16b上に、電子デバイス用部材20を形成する。
電子デバイス用部材20は、ガラス基板16の第2主面16bに最終的に形成される部材の全部(以下、「全部材」という)ではなく、全部材の一部(以下、「部分部材」という)であってもよい。シリコーン樹脂層14から剥離された部分部材付き基板を、その後の工程で全部材付き基板(後述する電子デバイスに相当)とすることもできる。
シリコーン樹脂層14から剥離された、全部材付き基板には、その剥離面(第1主面16a)に他の電子デバイス用部材が形成されてもよい。さらに、全部材付き積層体を2枚用いて組み立て、その後、全部材付き積層体から2枚のシリコーン樹脂層付き支持基材を剥離して、2枚のガラス基板を有する部材付き基板を製造することもできる。
例えば、OLEDを製造する場合を例にとると、ガラス積層体10のガラス基板16のシリコーン樹脂層14側とは反対側の表面上(ガラス基板16の第2主面16bに該当)に有機EL構造体を形成するために、透明電極を形成する、さらに透明電極を形成した面上にホール注入層・ホール輸送層・発光層・電子輸送層等を蒸着する、裏面電極を形成する、封止板を用いて封止する、等の各種の層形成や処理が行われる。これらの層形成や処理として、具体的には、例えば、成膜処理、蒸着処理、封止板の接着処理等が挙げられる。
例えば、TFT−LCDを製造する場合は、ガラス積層体10のガラス基板16の第2主面16b上に、例えばLTPS等の材料を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を形成するTFT形成工程と、別のガラス積層体10のガラス基板16の第2主面16b上に、レジスト液をパターン形成に用いてカラーフィルタ(CF)を形成するCF形成工程と、TFT形成工程で得られたTFT付き積層体とCF形成工程で得られたCF付き積層体とを積層する貼合わせ工程等の各種工程を有する。
例えば、マイクロLEDディスプレイを製造する場合は、少なくともガラス積層体10のガラス基板16の第2主面16b上に、例えばLTPS等の材料を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を形成するTFT形成工程と、上記で形成したTFT上に、LEDチップを実装するLED実装工程とを有する。また、それ以外に、平坦化、配線形成、封止などの工程を実施してもよい。
TFT形成工程やCF形成工程では、周知のフォトリソグラフィ技術やエッチング技術等を用いて、ガラス基板16の第2主面16bにTFTやCFを形成する。この際、パターン形成用のコーティング液としてレジスト液が用いられる。
TFTやCFを形成する前に、必要に応じて、ガラス基板16の第2主面16bを洗浄してもよい。洗浄方法としては、周知のドライ洗浄やウェット洗浄を用いることができる。
貼合わせ工程では、TFT付き積層体の薄膜トランジスタ形成面と、CF付き積層体のカラーフィルタ形成面とを対向させて、シール剤(例えば、セル形成用紫外線硬化型シール剤)を用いて貼り合わせる。その後、TFT付き積層体とCF付き積層体とで形成されたセル内に、液晶材を注入する。液晶材を注入する方法としては、例えば、減圧注入法、滴下注入法がある。
電子デバイス用部材20の製造の際には、例えば、不活性ガス雰囲気下にて、500〜600℃で加熱する条件が含まれていてもよい。本発明の積層体であれば、上記条件下でも、耐発泡性に優れる。
(分離工程)
分離工程は、図2(B)に示すように、上記部材形成工程で得られた電子デバイス用部材付き積層体22から、シリコーン樹脂層14とガラス基板16との界面を剥離面として、電子デバイス用部材20が積層したガラス基板16(部材付き基板)と、シリコーン樹脂層付き支持基材とに分離して、電子デバイス用部材20およびガラス基板16を含む部材付き基板(電子デバイス)24を得る工程である。
剥離時のガラス基板16上の電子デバイス用部材20が必要な全構成部材の形成の一部である場合には、分離後、残りの構成部材をガラス基板16上に形成することもできる。
ガラス基板16とシリコーン樹脂層14とを剥離する方法は、特に制限されない。例えば、ガラス基板16とシリコーン樹脂層14との界面に鋭利な刃物状のものを差し込み、剥離のきっかけを与えた上で、水と圧縮空気との混合流体を吹き付けたりして剥離することができる。好ましくは、電子デバイス用部材付き積層体22の支持基材12が上側、電子デバイス用部材20側が下側となるように定盤上に設置し、電子デバイス用部材20側を定盤上に真空吸着し、この状態でまず刃物をガラス基板16−シリコーン樹脂層14界面に刃物を侵入させる。そして、その後に支持基材12側を複数の真空吸着パッドで吸着し、刃物を差し込んだ箇所付近から順に真空吸着パッドを上昇させる。そうするとシリコーン樹脂層14とガラス基板16との界面やシリコーン樹脂層14の凝集破壊面へ空気層が形成され、その空気層が界面や凝集破壊面の全面に広がり、シリコーン樹脂層付き支持基材18を容易に剥離することができる。
シリコーン樹脂層付き支持基材18は、新たなガラス基板と積層して、本発明のガラス積層体10を製造することができる。
電子デバイス用部材付き積層体22から部材付き基板24を分離する際においては、イオナイザによる吹き付けや湿度を制御することにより、シリコーン樹脂層14の欠片が部材付き基板24に静電吸着することをより抑制できる。
上述した部材付き基板24の製造方法は、携帯電話やPDAのようなモバイル端末に使用される小型の表示装置の製造に好適である。表示装置は主としてLCDまたはOLEDであり、LCDとしては、TN型、STN型、FE型、TFT型、MIM型、IPS型、VA型等を含む。基本的にパッシブ駆動型、アクティブ駆動型のいずれの表示装置の場合でも適用できる。
上記方法で製造された部材付き基板24としては、ガラス基板と表示装置用部材を有する表示装置用パネル、ガラス基板と太陽電池用部材を有する太陽電池、ガラス基板と薄膜2次電池用部材を有する薄膜2次電池、ガラス基板と受信センサー用部材を有する受信センサーパネル、ガラス基板と電子デバイス用部材を有する電子部品等が挙げられる。表示装置用パネルとしては、液晶パネル、有機ELパネル、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネル等を含む。受信センサーパネルとしては、電磁波受信センサーパネル、X線受光センサーパネル、紫外線受光センサーパネル、可視光線受光センサーパネル、赤外線受光センサーパネルなどを含む。
上記説明では、ガラス積層体10を用いた電子デバイスの製造方法について詳述したが、上述した樹脂積層体を用いた場合でも、同様の手順により電子デバイスの製造が可能である。
より具体的には、電子デバイスの製造方法の他の態様としては、シリコーン樹脂層付き樹脂基板と支持基材とを用いて樹脂積層体を形成する工程と、樹脂積層体の樹脂基板の表面上に電子デバイス用部材を形成し、電子デバイス用部材付き積層体を得る部材形成工程と、電子デバイス用部材付き積層体から支持基材およびシリコーン樹脂層を除去し、樹脂基板と電子デバイス用部材とを有する電子デバイスを得る分離工程とを備える態様が挙げられる。
樹脂積層体を形成する工程は、上述した樹脂層形成工程2および積層工程2を含む工程が挙げられる。
樹脂積層体を用いた場合の部材形成工程および分離工程の手順としては、ガラス積層体を用いた場合の部材形成工程および分離工程と同様の手順が挙げられる。
上述したように、樹脂基板とシリコーン樹脂層との密着性は比較的弱いため、分離工程においては、シリコーン樹脂層と支持基材との間よりも樹脂基板とシリコーン樹脂層との間で分離しやすい。特に、支持基材としてガラス板を使用した場合、その傾向が顕著となる。
また、上記説明におけるガラス積層体10を用いた電子デバイスの製造方法において、ガラス基板の代わりに半導体基板を用いた半導体積層体でも同様の手順により電子デバイスの製造が可能である。
以下に、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって制限されるものではない。
以下の例1〜19では、支持基材および基板(ガラス基板)として無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(線膨張係数38×10-7/℃、旭硝子株式会社製商品名「AN100」)を使用した。
以下の例20〜26では、支持基材として無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(線膨張係数38×10-7/℃、旭硝子株式会社製商品名「AN100」)を使用し、基板としてポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製)を使用した。
例1〜13は実施例であり、例14〜16は比較例であり、例17〜18は実施例であり、例19は比較例であり、例20〜22は実施例であり、例23〜26は比較例であり、例27は実施例であり、例28は比較例である。
<例1>
(硬化性シリコーン1の調製)
1Lのフラスコに、トリエトキシメチルシラン(179g)、トルエン(300g)、酢酸(5g)を加えて、混合物を25℃で20分間撹拌後、さらに、60℃に加熱して12時間反応させた。得られた反応粗液を25℃に冷却後、水(300g)を用いて、反応粗液を3回洗浄した。
洗浄された反応粗液にクロロトリメチルシラン(70g)を加えて、混合物を25℃で20分間撹拌後、さらに、50℃に加熱して12時間反応させた。得られた反応粗液を25℃に冷却後、水(300g)を用いて、反応粗液を3回洗浄した。
洗浄された反応粗液からトルエンを減圧留去し、スラリー状態にした後、真空乾燥機で終夜乾燥することにより、白色のオルガノポリシロキサン化合物である硬化性シリコーン1を得た。硬化性シリコーン1は、T単位の個数:M単位の個数=87:13(モル比)であった。
(硬化性組成物1の調製)
硬化性シリコーン1(50g)と、金属化合物としてジルコニウムテトラノルマルプロポキシド(「オルガチックスZA−45」、マツモトファインケミカル株式会社製、金属含有率21.1%)(0.12g)と、溶媒としてIsoper G(東燃ゼネラル石油株式会社製)(75g)とを混合し、得られた混合液を、孔径0.45μmのフィルタを用いてろ過することにより、硬化性組成物1を得た。
(ガラス積層体の作製)
得られた硬化性組成物1を、200×200mm、厚み0.5mmの支持基材にスピンコート法により塗布し、ホットプレートを用いて100℃で10分間加熱した。その後、オーブンを用いて大気下250℃で30分間加熱し、膜厚4μmのシリコーン樹脂層を形成した。
その後、200×200mm、厚み0.2mmのガラス基板を、シリコーン樹脂層上に置き、貼合装置を用いて貼り合わせ、ガラス積層体を作製した。
<例2>
金属化合物の添加量を0.24gとした以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例3>
金属化合物の添加量を0.71gとした以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例4>
溶媒としてエチレングリコールモノプロピルエーテル(東京化成工業株式会社製)を用いたこと、金属化合物としてアルミニウム(III)アセチルアセトナート(東京化成工業株式会社製、金属含有率8.3%)を用いたこと、および、金属化合物の添加量を0.6gとしたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例5>
溶媒としてエチレングリコールモノプロピルエーテル(東京化成工業株式会社製)を用いたこと、金属化合物としてアルミニウム(III)アセチルアセトナート(東京化成工業株式会社製、金属含有率8.3%)を用いたこと、および、金属化合物の添加量を1.8gとしたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例6>
金属化合物としてビス(2−エチルヘキサン酸)錫(II)(「ネオスタン U−28」、日東化成株式会社製、金属含有率29%)を用いたこと、および、金属化合物の添加量を0.17gとしたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例7>
金属化合物としてビス(2−エチルヘキサン酸)錫(II)(「ネオスタン U−28」、日東化成株式会社製、金属含有率29%)を用いたこと、および、金属化合物の添加量を0.86gとしたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例8>
金属化合物として、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド(「オルガチックスZA−45」、マツモトファインケミカル株式会社製、金属含有率21.1%)をIsper G(東燃ゼネラル石油株式会社製)で10倍に希釈した溶液を用いたこと、および、その添加量を0.24gとしたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例9>
金属化合物の添加量を4.74gとした以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例10>
溶媒としてエチレングリコールモノプロピルエーテル(東京化成工業株式会社製)を用いたこと、金属化合物としてアルミニウム(III)アセチルアセトナート(東京化成工業株式会社製、金属含有率8.3%)をエチレングリコールモノプロピルエーテル(東京化成工業株式会社製)で10倍に希釈した溶液を用いたこと、および、その添加量を0.6gとしたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例11>
溶媒としてエチレングリコールモノプロピルエーテル(東京化成工業株式会社製)を用いたこと、金属化合物としてアルミニウム(III)アセチルアセトナート(東京化成工業株式会社製、金属含有率8.3%)を用いたこと、および、金属化合物の添加量を12.05gとしたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例12>
金属化合物として、ビス(2−エチルヘキサン酸)錫(II)(「ネオスタン U−28」、日東化成株式会社製、金属含有率29%)をIsper G(東燃ゼネラル石油株式会社製)で10倍に希釈した溶液を用いたこと、および、その添加量を0.17gとしたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例13>
金属化合物としてビス(2−エチルヘキサン酸)錫(II)(「ネオスタン U−28」、日東化成株式会社製、金属含有率29%)を用いたこと、および、金属化合物の添加量を3.45gとしたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例14>
金属化合物としてテトラノルマルブチルチタネート(「オルガチックス TA−21」、マツモトファインケミカル株式会社製、金属含有率14.1%)を用いたこと、および、金属化合物の添加量を1.06gとしたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例15>
溶媒としてエチレングリコールモノプロピルエーテル(東京化成工業株式会社製)を用いたこと、および、金属化合物として亜鉛(II)アセチルアセトナート(東京化成工業株式会社製、金属含有率24.8%)を用いたこと、および、金属化合物の添加量を0.6gとしたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例16>
金属化合物としてネオデカン酸ビスマス(III)(「ネオデカン酸ビスマス16%」、日本化学産業株式会社製、金属含有率16%)を用いたこと、および、金属化合物の添加量を0.94gとしたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
<例17>
金属化合物として、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド(「オルガチックスZA−45」、マツモトファインケミカル株式会社製、金属含有率21.1%)(0.24g)と、ビス(2−エチルヘキサン酸)錫(II)(「ネオスタン U−28」、日東化成株式会社製、金属含有率29%)(0.52g)と用いたこと以外は、例1と同様にして、ガラス積層体を作製した。
例17のガラス積層体については、室温から550℃まで加熱し、その後、室温まで冷却した後、シリコーン樹脂層とガラス基板との境界に剃刀の刃を差し込むことにより、ガラス基板を分離することが可能であることを確認した。
<例18>
(オルガノハイドロジェンシロキサンの合成)
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(5.4g)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(96.2g)、および、オクタメチルシクロテトラシロキサン(118.6g)の混合物を5℃に冷却し、混合液を撹拌しながら、濃硫酸11.0gを混合液にゆっくり加えた後、さらに水3.3gを混合液に1時間かけて滴下した。混合液の温度を10〜20℃に保ちながら8時間撹拌した後、混合液にトルエンを加え、シロキサン層が中性になるまで水洗および廃酸分離を行った。中性になったシロキサン層を減圧加熱濃縮してトルエン等の低沸点留分を除去し、下記式(1)において、k=40、l=40のオルガノハイドロジェンシロキサンを得た。
Figure 0006946900
(アルケニル基含有シロキサンの合成)
1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(3.7g)、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン(41.4g)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(355.9g)に水酸化カリウムのシリコネートをSi/K=20000/1(mol比)量加え、窒素雰囲気下で150℃、6時間平衡化反応させた。その後、エチレンクロロヒドリンをK(カリウム)に対して2mol量添加し、混合液を120℃で2時間中和した。その後、得られた混合液を160℃、666Paで6時間加熱バブリング処理して、揮発分をカットして、100gあたりのアルケニル当量数La=0.9、Mw:26,000のアルケニル基含有シロキサンを得た。
(硬化性シリコーン2の調製)
オルガノハイドロジェンシロキサンとアルケニル基含有シロキサンとを、全アルケニル基と全ケイ素原子に結合した水素原子とのモル比(水素原子/アルケニル基)が0.9となるように混合することにより、硬化性シリコーン2を得た。
この硬化性シリコーン2(100質量部)に、下記式(2)で示されるアセチレン系不飽和基を有するケイ素化合物(1質量部)を混合し、白金元素の含有量が100ppmとなるように白金触媒を加えて、混合物Aを得た。
HC≡C−C(CH−O−Si(CH (2)
(硬化性組成物2の調製)
混合物A(50g)と、金属化合物としてジルコニウムテトラノルマルプロポキシド(「オルガチックスZA−45」、マツモトファインケミカル株式会社製、金属含有率21.1%)(0.71g)と、溶媒としてPMX−0244(東レダウコーニング株式会社製)(50g)とを混合し、得られた混合液を、孔径0.45μmのフィルタを用いてろ過することにより、硬化性組成物2を得た。
(ガラス積層体の作製)
得られた硬化性組成物2を、200×200mm、厚み0.5mmの支持基材にスピンコート法により塗布し、ホットプレートを用いて140℃で10分間加熱した。その後、オーブンを用いて大気下220℃で30分間加熱し、膜厚8μmのシリコーン樹脂層を形成した。
その後、200×200mm、厚み0.2mmのガラス基板をシリコーン樹脂層上に置き、貼合装置を用いて貼り合わせ、ガラス積層体を作製した。
<例19>
金属化合物としてテトラノルマルブチルチタネート(「オルガチックス TA−21」、マツモトファインケミカル株式会社製、金属含有率14.1%)を用いたこと、および、金属化合物の添加量を1.06gとしたこと以外は、例18と同様にして、硬化性組成物を作製した。得られた硬化性組成物を、200×200mm、厚み0.5mmの支持基材にスピンコート法により塗布し、ホットプレートを用いて140℃で10分間加熱した。その後、オーブンを用いて大気下220℃で30分間加熱し、膜厚8μmのシリコーン樹脂層を形成した。
その後、200×200mm、厚み0.2mmのガラス基板をシリコーン樹脂層上に置き、貼合装置を用いて貼り合わせ、ガラス積層体を作製した。
<例20>
例3と同様の手順で調製した硬化性組成物を、200×200mm、厚み0.5mmの支持基材にスピンコート法により塗布し、ホットプレートを用いて100℃で10分間加熱した。その後、オーブンを用いて大気下250℃で30分間加熱し、膜厚4μmのシリコーン樹脂層を形成した。
その後、厚み0.038mmのポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製商品名「ゼノマックス」)を、シリコーン樹脂層上に置き、貼合装置を用いて貼り合わせ、樹脂積層体を作製した。
<例21>
例18と同様の手順で調製した硬化性組成物を、200×200mm、厚み0.5mmの支持基材にスピンコート法により塗布し、ホットプレートを用いて140℃で10分間加熱した。その後、オーブンを用いて大気下220℃で30分間加熱し、膜厚8μmのシリコーン樹脂層を形成した。
その後、厚み0.038mmのポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製商品名「ゼノマックス」)を、シリコーン樹脂層上に置き、貼合装置を用いて貼り合わせ、樹脂積層体を作製した。
<例22>
例18と同様の手順で調製した硬化性組成物を、厚み0.038mmのポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製商品名「ゼノマックス」)に塗布し、ホットプレートを用いて140℃で10分間加熱した。
次に、200×200mm、厚み0.5mmの支持基材をシリコーン樹脂層上に置き、貼合装置を用いて貼り合わせた。その後、オーブンを用いて大気下220℃で30分間加熱し、樹脂積層体を作製した。
<例23>
例14と同様の手順で調製した硬化性組成物を、200×200mm、厚み0.5mmの支持基材にスピンコート法により塗布し、ホットプレートを用いて100℃で10分間加熱した。その後、オーブンを用いて大気下250℃で30分間加熱し、膜厚4μmのシリコーン樹脂層を形成した。
その後、厚み0.038mmのポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製商品名「ゼノマックス」)を、シリコーン樹脂層上に置き、貼合装置を用いて貼り合わせ、樹脂積層体を作製した。
<例24>
金属化合物としてテトラノルマルブチルチタネート(「オルガチックス TA−21」、マツモトファインケミカル株式会社製、金属含有率14.1%)を用いたこと、および、金属化合物の添加量を1.06gとしたこと以外は、例18と同様にして、硬化性組成物を作製した。作製した硬化性組成物を、200×200mm、厚み0.5mmの支持基材にスピンコート法により塗布し、ホットプレートを用いて140℃で10分間加熱した。その後、オーブンを用いて大気下220℃で30分間加熱し、膜厚8μmのシリコーン樹脂層を形成した。
その後、厚み0.038mmのポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製商品名「ゼノマックス」)を、シリコーン樹脂層上に置き、貼合装置を用いて貼り合わせ、樹脂積層体を作製した。
<例25>
硬化性シリコーン2(100質量部)に、上述した式(2)で示されるアセチレン系不飽和基を有するケイ素化合物(1質量部)を混合し、白金元素の含有量が100ppmとなるように白金触媒を加えて、混合物Aを得た。
混合物A(50g)と、溶媒としてPMX−0244(東レダウコーニング株式会社製)(50g)とを混合し、得られた混合液を、孔径0.45μmのフィルタを用いてろ過をし、混合物B(硬化性組成物)を得た。
混合物B(硬化性組成物)を、200×200mm、厚み0.5mmの支持基材にスピンコート法により塗布し、ホットプレートを用いて140℃で10分間加熱した。その後、オーブンを用いて大気下220℃で30分間加熱し、膜厚8μmのシリコーン樹脂層を形成した。
その後、厚み0.038mmのポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製商品名「ゼノマックス」)を、シリコーン樹脂層上に置き、貼合装置を用いて貼り合わせ、樹脂積層体を作製した。
<例26>
混合物B(硬化性組成物)を、厚み0.038mmのポリイミドフィルム(東洋紡株式会社製商品名「ゼノマックス」)に塗布し、ホットプレートを用いて140℃で10分間加熱した。
次に、200×200mm、厚み0.5mmの支持基材をシリコーン樹脂層上に置き、貼合装置を用いて貼り合わせた。その後、オーブンを用いて大気下220℃で30分間加熱し、樹脂積層体を作製した。
<耐発泡性の評価>
各例にて得られたガラス積層体および樹脂積層体を切り出して、直径1mm以上の気泡がない15×15mmのサンプルを得た。得られた各サンプルを、赤外線加熱炉に入れ、炉内雰囲気を窒素に置換した。その後、炉内のサンプルの様子を観察しながら、20℃/minの速度で、室温から600℃まで昇温した。昇温中、直径が5mm以上の気泡の発生が認められた温度を、このサンプルの「耐熱温度」とした。
サンプルの耐熱温度から、耐発泡性を下記基準により評価した。「A」〜「D」であれば、耐発泡性に優れると評価できる。・「A」:耐熱温度が600℃以上・「B」:耐熱温度が550℃以上、600℃未満・「C」:耐熱温度が530℃以上、550℃未満・「D」:耐熱温度が500℃以上、530℃未満・「E」:耐熱温度が500℃未満
以上の結果を、まとめて下記表1〜表4に示す。
下記表1〜表4には、各例において使用した硬化性シリコーンの種類(硬化性シリコーン1または2)を記載した。
下記表1〜表4には、各例における、シリコーン樹脂層に含まれる金属元素の種類、および、その含有量を記載した。このとき、1種類の場合は「金属元素1」に記載し、「金属元素2」には「−」を記載した。2種類の場合は「金属元素1」および「金属元素2」に記載した。含有量は、シリコーン樹脂層中の金属元素それぞれの含有量(割合)であり、単位は「質量%」であるが、下記表1〜表3においては、単に「%」としている。
さらに、下記表1〜表4には、各例における耐熱温度および耐発泡性の評価結果も記載した。
下記表4にのみ、硬化性組成物を塗布した基板(塗布基板)の商品名を記載した。
Figure 0006946900
Figure 0006946900
Figure 0006946900
Figure 0006946900
上記表1〜表4に示す結果から明らかなように、シリコーン樹脂層が、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、および、スズ(Sn)からなる群から選択される少なくとも1種の金属の元素(特定元素)を含む例1〜13および、例17〜18のガラス積層体ならびに、例20〜22の樹脂積層体は、耐発泡性に優れていた。
これに対して、上記特定元素を含まない例14〜16のガラス積層体、例19のガラス積層体、および、例23〜26の樹脂積層体は、耐発泡性が劣っていた。
例2,4,6を対比すると、シリコーン樹脂層がAlまたはSnを含有する例4および6よりも、シリコーン樹脂層がZrを含有する例2の方が、より耐発泡性が良好であった。
<例27>
例18で200×200mm、厚み0.2mmのガラス基板の代わりに、直径150mm、厚み625μmのSiウェハを貼り合せた積層体を作製する。この積層体を例18と同じ条件で耐発泡評価を実施したところ、耐発泡性はDである。例27の半導体積層体は耐発泡性に優れる。
<例28>
例19で200×200mm、厚み0.2mmのガラス基板の代わりに、直径150mm、厚み625μmのSiウェハを貼り合せた積層体を作製する。この積層体を例19と同じ条件で耐発泡評価を実施したところ、耐発泡性はEである。例28の半導体積層体は耐発泡性が劣っている。
10 ガラス積層体
12 支持基材
14 シリコーン樹脂層
14a シリコーン樹脂層の表面
16 ガラス基板
16a ガラス基板の第1主面
16b ガラス基板の第2主面
18 シリコーン樹脂層付き支持基材
20 電子デバイス用部材
22 電子デバイス用部材付き積層体
24 部材付き基板(電子デバイス)

Claims (13)

  1. 支持基材と、シリコーン樹脂層と、基板と、をこの順で備え、
    前記シリコーン樹脂層が、ジルコニウム、よび、スズからなる群から選択される少なくとも1種の金属の元素を含み、
    前記支持基材がガラス板または金属板からなる、積層体。
  2. 前記シリコーン樹脂層が、ジルコニウムの元素を含む、請求項1記載の積層体。
  3. 前記シリコーン樹脂層中における前記金属の元素のそれぞれの含有量が、0.02〜1.5質量%である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 複数の前記基板が、前記シリコーン樹脂層を介して、前記支持基材に積層されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記基板がガラス基板である、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記基板が樹脂基板である、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記樹脂基板がポリイミド樹脂基板である、請求項に記載の積層体。
  8. 前記基板が半導体材料を含む基板である、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記半導体材料がSi、SiC、GaN、酸化ガリウムまたはダイヤモンドである、請求項に記載の積層体。
  10. 支持基材と、シリコーン樹脂層と、をこの順で備え、
    前記シリコーン樹脂層が、ジルコニウム、よび、スズからなる群から選択される少なくとも1種の金属の元素を含み、
    前記支持基材がガラス板または金属板からなる、シリコーン樹脂層付き支持基材。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体の前記基板の表面上に電子デバイス用部材を形成し、電子デバイス用部材付き積層体を得る部材形成工程と、
    前記電子デバイス用部材付き積層体から前記支持基材および前記シリコーン樹脂層を含むシリコーン樹脂層付き支持基材を除去し、前記基板と前記電子デバイス用部材とを有する電子デバイスを得る分離工程と、を備える電子デバイスの製造方法。
  12. 樹脂基板と、シリコーン樹脂層と、をこの順で備え、
    前記シリコーン樹脂層が、ジルコニウム、アルミニウム、および、スズからなる群から選択される少なくとも1種の金属の元素を含む、シリコーン樹脂層付き樹脂基板。
  13. 請求項12に記載のシリコーン樹脂層付き樹脂基板と、支持基材とを用いて積層体を形成する工程と、
    前記積層体の前記樹脂基板の表面上に電子デバイス用部材を形成し、電子デバイス用部材付き積層体を得る部材形成工程と、
    前記電子デバイス用部材付き積層体から前記支持基材および前記シリコーン樹脂層を除去し、前記樹脂基板と前記電子デバイス用部材とを有する電子デバイスを得る分離工程と、を備える電子デバイスの製造方法。
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