JP6946446B2 - ブロックポリイソシアネート組成物、一液型コーティング組成物、塗膜及び塗装物品 - Google Patents
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Description
本願は、2017年10月2日に日本に出願された特願2017−193093号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本発明の第1態様に係るブロックポリイソシアネート組成物は、ブロックポリイソシアネートと非プロトン性の極性化合物とを含み、前記ブロックポリイソシアネートは、脂肪族及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートを含み、該ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部又は全部が下記一般式(I)で表される化合物(但し、下記一般式(I−2)で示されるベンゾイミダゾール系化合物、2−フェニルイミダゾール、及び5−メチルイミダゾールは除く)でブロックされて構成されており、前記非プロトン性の極性化合物が、SP値が9.3以上の化合物であるブロックポリイソシアネート組成物。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、ブロックポリイソシアネートと非プロトン性の極性化合物とを含む。また、前記ブロックポリイソシアネートは、脂肪族及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートを含む。さらに、該ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部又は全部が下記一般式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」と略記する)でブロックされて構成されている。非プロトン性の極性化合物は 、SP値が9.3以上の化合物である。
本実施形態において、ブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネートと化合物(I)との反応により得られる反応物である。また、ブロックポリイソシアネートにおいて、ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部又は全部が化合物(I)でブロックされて構成されている。好ましくは、ブロックポリイソシアネートにおいて、ポリイソシアネートのイソシアネート基は、化合物(I)のみでブロックされて構成されている。
本実施形態において、ブロックポリイソシアネートのイソシアネート基平均数の下限値は、2.0であることが好ましく、2.4であることがより好ましく、2.8であることがさらに好ましく、3.0であることが特に好ましい。イソシアネート基平均数が上記下限値以上であることで、低温硬化性がより良好となる傾向にある。
本実施形態において、ブロックポリイソシアネートの総質量に対する、ブロックポリイソシアネートの有効イソシアネート基含有量(以下、「有効NCO含有量」と略記する)の下限値は、1.0質量%であることが好ましく、2.0質量%であることがより好ましく、4.0質量%であることがさらに好ましく、4.5質量%であることが特に好ましい。ここで、「有効NCO」とは、ブロック化反応後のブロックポリイソシアネート組成物中に存在する架橋反応に関与しうるイソシアネート基を意味する。
有効NCO含有量が上記下限値以上であることにより、低温硬化性がより良好となる傾向にある。
化合物(I)と反応させるポリイソシアネートは、1つ以上のイソシアネート基(−NCO)を有するイソシアネートモノマーを複数反応させて得られる反応物である。中でも、本実施形態で用いられるポリイソシアネートとしては、脂肪族及び脂環族ジイソシアネートからなる群から選択される1種以上のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートであることが好ましい。すなわち、本実施形態で用いられるポリイソシアネートとしては、イソシアネートモノマーとして、脂肪族及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上を用いたものであることが好ましい。
(1)2つのイソシアネート基を環化二量化して得られるウレトジオン構造を有するポリイソシアネート化合物。
(2)3つのイソシアネート基を環化三量化して得られるイソシアヌレート構造及びイミノオキサジアジンジオン構造を有するポリイソシアネート化合物。
(3)3つのイソシアネート基と1つの水分子とを反応させて得られるビウレット構造を有するポリイソシアネート化合物。
(4)2つのイソシアネート基と1分子の二酸化炭素とを反応させて得られるオキサダイアジントリオン構造を有するポリイソシアネート化合物。
(5)1つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応させて得られるウレタン基を複数有するポリイソシアネート化合物。
(6)2つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応させて得られるアロファネート構造を有するポリイソシアネート化合物。
(7)1つのイソシアネート基と1つのカルボキシル基とを反応させて得られるアシル尿素基を有するポリイソシアネート化合物。
(8)1つのイソシアネート基と1つの1級又は2級アミンとを反応させて得られる尿素構造を有するポリイソシアネート化合物。
ポリイソシアネートの製造方法について、以下に詳細を説明する。
(1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド;その酢酸塩、オクチル酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩。
(2)トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド;その酢酸塩、オクチル酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩。
(3)酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛等の金属塩。
(4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート。
(5)ヘキサメチレンジシラザン等のアミノシリル基含有化合物。
(6)マンニッヒ塩基類。
(7)第3級アミン類とエポキシ化合物との混合物。
(8)トリブチルホスフィン等の燐系化合物。
本実施形態において、ポリイソシアネートと反応させるブロック剤としては、下記一般式(I)で表される化合物(化合物(I))が好ましい。
R1及びR3:
一般式(I)におけるR1及びR3は、それぞれ独立に水素原子、又は、イミノ基(−NR−(式中、Rは水素原子、又は、炭素数1以上18以下の炭化水素基を表す))及びエーテル結合(−O−)からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭素数1以上18以下の炭化水素基である。R1及びR3は互いに同一でも異なっていてもよい。
−(CH2)n41−O−R41 (IV)
−(CH2)n51−N(R51)−R52 (V)
R41及びR52は、それぞれ独立に、炭素数1以上18以下の炭化水素基である。炭素数1以上18以下の炭化水素基としては、上述において例示されたものと同様のものが挙げられる。
R51は、水素原子、又は、炭素数1以上18以下の炭化水素基である。炭素数1以上18以下の炭化水素基としては、上述において例示されたものと同様のものが挙げられる。
n41及びn51はそれぞれメチレン基(−CH2−)の繰り返し数である。n41及びn51はそれぞれ独立して0以上18以下の整数である。
*1−(CH2)n411−O−(CH2)n412−*2 (IV−1)
*3−(CH2)n511−N(R511)−(CH2)n512−*4 (V−1)
R511は、水素原子、又は、炭素数1以上18以下の炭化水素基である。炭素数1以上18以下の炭化水素基としては、上述のR1及びR3において例示されたものと同様のものが挙げられる。
n411及びn412はそれぞれメチレン基の繰り返し数である。n411及びn412は、それぞれ0以上18以下の整数である。また、n411とn412との関係は、1≦n411+n412≦18で表される。すなわち、n411=0のとき、n412は1以上18以下の整数である。また、n412=0(単結合)のとき、n411は1以上18以下の整数である。
n511及びn512はそれぞれメチレン基の繰り返し数である。n511及びn512は、それぞれ0以上18以下の整数である。
R2は、水素原子、又は、炭素数1以上18以下の炭化水素基である。炭素数1以上18以下の炭化水素基としては、上述のR1及びR3において例示されたものと同様のものが挙げられる。
R4は、水素原子、又は、イミノ基を含んでもよい炭素数1以上18以下の炭化水素基である。
R111、R112、R113、R114、R122、R123、R131、R132、R133、R134、R135、R136、R142、R143、R151及びR152は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1以上18以下の炭化水素基である。炭素数1以上18以下の炭化水素基としては、上述のR1及びR3において例示されたものと同様のものが挙げられる。
R121はベンゾイミダゾール環を構成するベンゼン環の置換基であり、炭素数1以上18以下の炭化水素基である。また、n121個のR121は互いに同一でも異なっていてもよい。中でも、合成が容易であることから、R121を2つ以上有する場合、R121は同一であることが好ましい。
R141はピリミジン環の置換基であり、炭素数1以上18以下の炭化水素基である。n141個のR141は互いに同一でも異なっていてもよい。中でも、合成が容易であることから、R141を2つ以上有する場合、R141は同一であることが好ましい。
水素原子、又は、イミノ基を含んでもよい炭素数1以上18以下の炭化水素基である。
イミノ基を含んでもよい炭素数1以上18以下の炭化水素基としては、上述のR4において例示されたものと同様のものが挙げられる。
n121は置換基R121の数を示し、0以上4以下の整数である。中でも、合成が容易であることから、n121は0以上3以下であることが好ましく、0以上2以下であることがより好ましく、0以上1以下であることがさらに好ましい。
n141は置換基R141の数を示し、0以上4以下の整数である。中でも、合成が容易であることから、n141は0以上3以下であることが好ましく、0以上2以下であることがより好ましく、0以上1以下であることがさらに好ましい。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物に含まれる非プロトン性の極性化合物は、SP値が9.3以上の化合物である。
δ=(ΔE/V)1/2 (1)
ΔH=ΔE+PΔV (2)
δ=[(ΔH−RT)/V]1/2 (3)
前記SP値が9.3以上の化合物として具体的には、例えば、以下に示すものが挙げられる。
(2)アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類;
(3)アセトニトリル、ブチロニトリル、カプリルニトリル等のニトリル類;
(4)ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジアミル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のエステル類;
(5)フラン、ジオキサン、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル類;
(6)シクロヘキサノールアセテート、エチレングリコールジアセテー ト、プロピレングリコールジアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のグリコールエーテルエステル類;
(7)炭化水素類;
(8)トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;
(9)硫化ジメチル、チオフェン、二硫化炭素等の硫黄化合物類;
(10)塩化メチル、テトラクロロエチレン、ペンタクロロエタン、クロロホルム、臭化メチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル等のハロゲン化炭化水素類;
(11)下記一般式(II)で表される化合物(以下、「化合物(II)」と略記する);
(R5及びR6)
R5及びR6は、それぞれ独立に、イミノ基(−NR−(式中、Rは水素原子、又は、炭素数1以上18以下の炭化水素基を表す))、エーテル結合(−O−)及びカルボニル基(−C(=O)−)からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭素数1以上18以下の炭化水素基である。R5及びR6は互いに同一でも異なっていてもよい。中でも、合成が容易であることから、R5及びR6は互いに同一であることが好ましい。
−(CH2)n61−C(=O)−R61 (VI)
R61は、炭素数1以上17以下の炭化水素基である。炭素数1以上17以下の炭化水素基としては、上述のR1及びR3において例示されたもののうち、炭素数が1以上17以下のものが挙げられる。
n61はメチレン基(−CH2−)の繰り返し数である。n61は0以上17以下の整数である。
*5−(CH2)n611−C(=O)−(CH2)n612−*6 (VI−1)
n611及びn612はそれぞれメチレン基の繰り返し数である。n611及びn612は、それぞれ0以上17以下の整数である。また、n611とn612との関係は、1≦n611+n612≦17で表される。すなわち、n611=0(単結合)のとき、n612は1以上17以下の整数である。また、n612=0(単結合)のとき、n611は1以上17以下の整数である。
R7は水素原子、シアノ基、又は、イミノ基(−NR−(式中、Rは水素原子、又は、炭素数1以上18以下の炭化水素基を表す))、エーテル結合(−O−)、カルボニル基(−C(=O)−)及びエステル結合(−COO−)からなる群より選ばれる1種以上を含んでもよい炭素数1以上18以下の炭化水素基である。
−(CH2)n71−COO−R71 (VII)
R61は、水素原子、又は、炭素数1以上17以下の炭化水素基である。炭素数1以上17以下の炭化水素基としては、上述のR1及びR3において例示されたもののうち炭素数1以上17以下のものが挙げられる。
n71はメチレン基(−CH2−)の繰り返し数である。n71は0以上17以下の整数である。
*7−(CH2)n711−COO−(CH2)n712−*8 (VII−1)
n711及びn712はそれぞれメチレン基の繰り返し数である。n711及びn712は、それぞれ0以上17以下の整数である。また、n711とn712との関係は、1≦n711+n712≦17で表される。すなわち、n711=0(単結合)のとき、n712は1以上17以下の整数である。また、n712=0(単結合)のとき、n711は1以上17以下の整数である。
(1)R5及びR6が炭素数1以上18以下の鎖状アルキル基であり、R7が水素原子であるもの;
(2)R5、R6及びR7が炭素数1以上18以下の鎖状アルキル基であるもの;
(3)R5及びR6が炭素数1以上18以下の鎖状アルキル基であり、R7が炭素数6以上18以下のアリール基であるもの;
(4)R5及びR6が炭素数1以上18以下の鎖状アルキル基であり、R7が炭素数2以上18以下の鎖状アルケニル基であるもの;
(5)R5及びR6が炭素数1以上18以下の鎖状アルキル基であり、R7がカルボニル基を含む炭素数1以上18以下の鎖状アルキル基であるもの;
(6)R5及びR6が炭素数1以上18以下の鎖状アルキル基であり、R7がシアノ基であるもの;
(7)R5とR6とが互いに結合して環を形成しており、R7が炭素数1以上18以下の鎖状アルキル基であるもの;
(8)R5が炭素数1以上18以下の鎖状アルキル基であり、R6とR7とが互いに結合して環を形成しているもの;
(R8及びR9)
R8及びR9は、それぞれ独立に、炭素数1以上6以下の炭化水素基である。R8及びR9は互いに同一でも異なっていてもよい。中でも、合成が容易であることから、R8及びR9は互いに同一であることが好ましい。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法は、上記ポリイソシアネートと、上記ブロック剤とを混合反応させて、ブロックポリイソシアネートを得る工程(反応工程)と、ブロックポリイソシアネートに、上記非プロトン性の極性化合物を添加混合させる工程(添加工程)とを含む方法である。
反応工程において、ポリイソシアネートと、ブロック剤との混合比率は、一液型コーティング組成物のポットライフの観点から、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基を1とした場合におけるブロック剤に含まれる活性水素基のモル比が、0.5以上2.0以下であることが好ましく、1以上1.5以下であることがより好ましい。
(1)オクタン酸スズ、2−エチル−1−ヘキサン酸スズ、エチルカプロン酸スズ、ラウリン酸スズ、パルミチン酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジマレート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート等の有機スズ化合物;
(2)塩化亜鉛、オクタン酸亜鉛、2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛、2−エチルカプロン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;
(3)有機チタン化合物;
(4)有機ジルコニウム化合物;
(5)トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン等の三級アミン類;
(6)トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のジアミン類。
添加工程において、非プロトン性の極性化合物の配合率の下限値は、上記ブロックポリイソシアネート及び上記非プロトン性の極性化合物の合計質量(100質量%)に対して、10質量%であることが好ましく、20質量%であることがより好ましく、30質量%であることがさらに好ましい。非プロトン性の極性化合物の配合率が上記下限値以上であることにより、得られる一液型コーティング組成物のポットライフがより良好となる傾向にある。
(1)ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、LAWS(Low Aromatic White Spirit)、HAWS(High Aromatic White Spirit)、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の炭化水素類;
(2)酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル等のエステル類;
(3)メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン類
(1)ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;
(2)ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類;
(3)アルコール類
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物において、前記ブロックポリイソシアネート及び前記非プロトン性の極性化合物の合計質量に対して、非プロトン性の極性化合物の含有率の下限値は、10質量%であることが好ましく、20質量%であることがより好ましく、30質量%であることがさらに好ましい。非プロトン性の極性化合物の含有率が上記下限値以上であることにより、得られる一液型コーティング組成物のポットライフがより良好となる傾向にある。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物の不揮発分とは、加熱前の質量に対する、105℃で1時間加熱後の質量の比率(%)である。不揮発分は、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。不揮発分が上記上限値以下であることで、ブロックポリイソシアネート組成物の粘度がより低くなるため、より取扱いやすくなる傾向にある。一方、不揮発分が上記下限値以上であることで、有機溶剤使用量をより減少させることができるため、環境問題がより改善される傾向にある。
本実施形態の一液型コーティング組成物は、上記実施形態のブロックポリイソシアネート組成物と、多価活性水素化合物とを含む。
多価活性水素化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリオール、ポリアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。これらの多価活性水素化合物を、1種単独で含んでいてもよく、2種以上組み合わせて含んでいてもよい。中でも、多価活性水素化合物としては、ポリオールであることが好ましい。
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。これらポリオールを、1種を単独で含んでいてもよく、2種以上組み合わせて含んでいてもよい。
ポリエステルポリオールは、例えば、二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。
ポリエーテルポリオール類としては、特に限定されないが、例えば、以下(1)〜(3)に示すもの等が挙げられる。
(i)ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等。
(ii)エリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物。
(iii)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類。
(iv)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類。
(v)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類。
(vi)スタキオース等の四糖類。
アクリルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、これと共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、を共重合させることにより得られるものが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
本明細書において、「フッ素ポリオール」とは、分子内にフッ素を含むポリオールを意味する。フッ素ポリオールとして具体的には、例えば、特開昭57−34107号公報(参考文献1)、特開昭61−275311号公報(参考文献2)等で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオール類としては、特に限定されないが、例えば、以下の(1)〜(4)に示すもの等が挙げられる。
(1)ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;
(2)エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;
(3)ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート等の低分子カーボネート化合物;
(4)上記(1)〜(3)のポリエステルポリオールに用いられる低分子ポリオールを縮重合して得られるもの。
ポリウレタンポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、常法によりカルボキシル基を含有しないポリオールとイソシアネート成分とを反応させることにより得ることができる。
ポリオールの樹脂あたりの水酸基価は、特に限定されないが、10mgKOH/樹脂g以上300mgKOH/樹脂g以下であることが好ましい。
樹脂あたりの水酸基価が上記下限値以上であることによって、架橋密度が減少することを抑制し、目的とする物性をより十分に達成することができる傾向にある。樹脂あたりの水酸基価が上記上限値以下であることによって、架橋密度が過度に増大することを抑制し、本実施形態の一液型コーティング組成物を硬化させて得られる塗膜の機械的物性をより向上させることができる傾向にある。
ポリアミンとしては、特に限定されないが、一級アミン基又は二級アミン基を1分子中に2個以上有するものが好ましく、一級アミン基又は二級アミン基を1分子中に3個以上有するものがより好ましい。
(1)エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン等のジアミン類;
(2)ビスヘキサメチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタメチレンヘキサミン、テトラプロピレンペンタミン等の3個以上のアミノ基を有する鎖状ポリアミン類;
(3)1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン、1,4,7,10−テトラアザシクロデカン、1,4,8,12−テトラアザシクロペンタデカン、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン等の環状ポリアミン類。
本明細書において、「アルカノールアミン」とは、1分子中に、アミノ基と水酸基とを有する化合物を意味する。
本実施形態の一液型コーティング組成物は、上記ブロックポリイソシアネート、上記非プロトン性の極性化合物、及び、上記多価活性水素化合物以外に、必要に応じて、既存のメラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等のその他樹脂成分をさらに含有してもよい。
また、本実施形態の一液型コーティング組成物がカルボキシル基を有するポリオールを含有する場合には、オキサゾリン基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物等のその他添加剤をさらに含有してもよい。これらの化合物を1種単独で含有してもよく、2種以上組み合わせて含有してもよい。
本実施形態の一液型コーティング組成物は、上記ポリイソシアネート及び上記非プロトン性の極性化合物と、上記多価活性水素化合物と、必要に応じて、その他樹脂成分及びその他添加剤等とを、公知の方法を用いて、混合することで得られる。
本実施形態の一液型コーティング組成物は、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装、浸漬、ローラー塗装、刷毛塗装等によって、鋼板や表面処理鋼板等の金属、プラスチック、無機材料等のセラミック、ガラス、コンクリートに対して、プライマー、中塗り又は上塗りとして好適に使用される。
本実施形態の塗膜は、上記実施形態の一液型コーティング組成物により形成されたものである。
本実施形態の塗装物品は、上記実施形態の塗膜を備える。
[物性1]不揮発分
実施例及び比較例で製造された各ブロックポリイソシアネート組成物を試料として用いた。まず、底直径38mmのアルミニウム製カップの質量を精秤した。次いで、試料約1gを入れて、加熱乾燥前のカップ質量を精秤した。次いで、試料を入れたカップを105℃の乾燥機中で1時間加熱した。次いで、加熱後のカップを室温まで冷却した後、再度カップの質量を精秤した。試料中の乾燥残分の質量%を不揮発分とした。不揮発分の計算方法は以下の式(A)に示すとおりである。
不揮発分[質量%]
=(加熱乾燥後のカップ質量−アルミニウム製カップ質量)/(加熱乾燥前のカップ質量−アルミニウム製カップ質量)×100% (A)
実施例及び比較例で製造された各ブロックポリイソシアネート組成物を試料として用いて、非プロトン性の極性化合物の含有率[質量%]を、ガスクロマトグラフィー(GC)により分離した後の質量分析の測定から、求めた。
GCに用いた装置及び条件は以下のとおりである。
GC装置:Agilent6890
カラム:DB−1(0.25mm i.d.×30m)
液相厚:0.25μm
カラム温度:40℃(5分)から10℃/分で昇温し、300℃9分保持。
カラム流量:1.0mL/分
注入口温度:300℃
注入法:スプリット法(スプリット比:1/10)
注入量:1μL
MS装置:日本電子AutomassII
イオン源温度:240℃
インターフェイス温度:300℃
イオン化法:電子衝撃イオン化(EI)法、PM=350V
実施例及び比較例で製造された各ブロックポリイソシアネート組成物を試料として用いて、ブロックポリイソシアネート組成物の有効NCO含有率は、次のように求めた。なお、ここでいう「有効NCO含有率[質量%]」とは、ブロック化反応後のブロックポリイソシアネート組成物中に存在する架橋反応に関与しうるイソシアネート基量を定量化したものである。有効NCO含有率は、イソシアネート基の質量%として表し、下記式(B)により算出した。
有効NCO含有率[質量%]
=(ポリイソシアネート[質量部]×ポリイソシアネートのNCO含有率[質量%])/(ポリイソシアネート[質量部]+ブロック剤[質量部]+非プロトン性の極性化合物[質量部]+溶剤[質量部]) (B)
実施例及び比較例で製造された各ブロックポリイソシアネート組成物に含まれるブロックポリイソシアネートのイソシアネート基平均数は、使用したポリイソシアネートのイソシアネート基平均数に等しい。又は、[物性3]で測定した有効NCO含有率と、[物性1]で測定した不揮発分と、ゲルパーミエーションクロマトグラフから求めた数平均分子量とから下記式(C)に基づいて算出した。
イソシアネート基平均数
=有効NCO含有率[質量%]
/{不揮発分[質量%]×(数平均分子量/42)} (C)
実施例及び比較例で製造された各一液型コーティング組成物をPP板に、エアースプレーガンで乾燥膜厚30μmになるように塗装した。次いで、23℃で15分間乾燥させた。次いで、100℃で30分間焼付けし、硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜を、23℃で1時間放置し、PP板から剥がした。次いで、質量(以下、「浸漬前質量」と称する)を精秤後、アセトン中に20℃で24時間浸漬した。次いで、浸漬後の質量(以下、「未溶解部質量」と称する)を精秤した。次いで、浸漬前質量に対する未溶解部質量の割合(ゲル分率)を計算した。次いで、算出されたゲル分率について、下記の評価基準に基づいて、低温硬化性を評価した。
(評価基準)
○:ゲル分率が90%以上
△:ゲル分率が60%以上90%未満
×:ゲル分率が60%未満
まず、一液型コーティング組成物(a−1)〜(a−4)及び(b−1)〜(b−4)について、それぞれの粘度(以下、「保存前の初期粘度(1)」と称する)を測定した。
次いで、各一液型コーティング組成物を40℃10日間保存した。次いで、各一液型コーティング組成物について、保存後の粘度(1)を測定した。次いで、保存前の初期粘度に対する粘度変化(1)を以下の式(D−1)により求めた。
粘度変化(1)
=(保存後の粘度(1))/(保存前の初期粘度(1)) (D−1)
(評価基準)
○:1.5倍未満
×:1.5倍以上
まず、一液型コーティング組成物(a−5)〜(a−13)及び(b−5)〜(b−6)について、それぞれの粘度(以下、「保存前の初期粘度(2)」と称する)を測定した。次いで、各一液型コーティング組成物を10℃20日間保存した。次いで、各一液型コーティング組成物について、保存後の粘度(2)を測定した。次いで、保存前の初期粘度に対する粘度変化(2)を以下の式(D−2)により求めた。
粘度変化(2)
=(保存後の粘度(2))/(保存前の初期粘度(2)) (D−2)
(評価基準)
◎:2倍未満
○:2倍以上、2.6倍未満
△:2.6倍以上、3倍未満
×:3倍以上
撹拌器、温度計及び冷却管を取り付けた四ツ口フラスコ(反応器)の内部を窒素置換し、該反応器に、HDI 500gを仕込んだ。撹拌下反応器内温度が70℃に到達したら、該反応器に、イソシアヌレート化触媒としてN,N,N−トリメチル−N−ベンジルアンモニウムヒドロキシドを0.05g加えた。次いで、反応液の屈折率の変化が0.011になった時点でリン酸85%水溶液を0.04g加え、反応を停止させた。その後、該反応液を90℃で1時間保持して触媒を完全に失活させた。該反応液を濾過後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、濾液から未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネート組成物を得た。得られたポリイソシアネート(P−1)の物性は、不揮発分が100質量%、NCO%が23.4質量%、平均イソシアネート官能基数が3.4であった。
製造例1と同様の反応器に、HDI 500gを仕込み、撹拌下反応器内温度を90℃にした。次いで、該反応器にイソシアヌレート化触媒としてテトラメチルアンモニウムカプリエートを0.05g加えて、イソシアヌレート化反応を行い、反応液の屈折率の変化が0.026になった時点でリン酸85%水溶液を0.04g加え、反応を停止させた。その後、該反応液を100℃で1時間保持して触媒を完全に失活させた。該反応液を濾過後、流下式薄膜蒸留装置を用いて、未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネート組成物を得た。得られたポリイソシアネート(P−2)の物性は、不揮発分が100質量%、NCO%が21.0質量%、平均イソシアネート官能基数が3.3であった。
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例1で得られたポリイソシアネート(P−1)85.0gに、水酸基及びノニオン親水基を有するポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日油株式会社製、商品名「ユニオックスM−400」、水酸基価:140mgKOH/g、不揮発分:100質量%)15.0gを添加し、100℃で4時間撹拌して反応を行った。反応終了後、ポリイソシアネート(P−3)を得た。得られたポリイソシアネート(P−3)の物性は、不揮発分が100質量%、NCO%が18.3質量%、平均イソシアネート官能基数が3.1であった。
製造例1と同様の反応器に、HDI 1000g、3価アルコールであるトリメチロールプロパン(分子量134)22gを仕込み、攪拌下反応器内温度を90℃で1時間保持しウレタン化を行った。その後反応液温度を60℃に保持し、イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、転化率が48%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。その後、反応液を濾過した後、未反応のHDIを薄膜蒸留装置により除去した。得られたポリイソシアネート(P−4)の物性は、不揮発分が100質量%、NCO%が19.9質量%、平均イソシアネート官能基数が5.1であった。
(1)ブロックポリイソシアネート組成物(a−1)の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例1で得られたポリイソシアネート(P−1)(100質量部)に、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(63.0質量部)、N,N−ジメチルホルムアミド(33.0質量部)及びメチルイソブチルケトン(MIBK)(130.0質量部)を添加し、室温から50℃を超えないように、2時間撹拌して反応を行った。その後、FT−IRスペクトルを測定し、イソシアネート基がブロックされていることを確認した。反応終了後、ブロックポリイソシアネート組成物(a−1)を得た。得られたブロックポリイソシアネート組成物(a−1)の物性は、不揮発分が49.8質量%、非プロトン性の極性化合物の含有率が10.6質量%、有効NCO%が7.1質量%、イソシアネート基平均数が3.4であった。また、ブロックポリイソシアネート組成物(a−1)の物性を下記第1表にも示す。
次いで、アクリルポリオール(Nuplex Resins社製、商品名「Setalux1767」、水酸基価:148.5mgKOH/樹脂g、固形分濃度:65質量%)と、ブロックポリイソシアネート組成物(a−1)とを、NCO/OH=1.0になるように配合した。次いで、フォードカップNo.4を用いて、23℃の条件で、流下時間が20秒になるように酢酸ブチルを添加し、一液型コーティング組成物(a−1)を得た。得られた一液型コーティング組成物(a−1)を用いて、上記の評価方法に従い、低温硬化性及びポットライフを評価した。結果を下記第1表に示す。
(1)ブロックポリイソシアネート組成物(a−2)〜(a−4)及び(b−1)〜(b−3)の製造
下記第1表に示す配合とした以外は、実施例1の(1)と同様の方法を用いて、ブロックポリイソシアネート組成物(a−2)〜(a−4)及び(b−1)〜(b−3)を得た。
得られた各ブロックポリイソシアネート組成物の物性を下記第1表に示す。また、第1表における略号の詳細を下記に示す。また、第1表におけるSP値は、参考文献3「C.M.Hansen, “The three-dimensional solubility parameter - key to paint component affinities: solvents, plasticizers, polymers, and resins. II. Dyes, emulsifiers, mutual solubility and compatibility, and pigments. III. Independent cal-culation of the parameter components.”, J. Paint Tech., Vol. 39, No. 505, p104-117, 1967.」から引用した。
TMG:1,1,3,3−テトラメチルグアニジン
IZ:イミダゾール
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
MIBK:メチルイソブチルケトン
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
次いで、実施例1の(2)と同様の方法を用いて、一液型コーティング組成物(a−2)〜(a−4)及び(b−1)〜(b−3)を得た。また、得られた一液型コーティング組成物(a−2)〜(a−4)及び(b−1)〜(b−3)を用いて、上記の評価方法に従い、低温硬化性及びポットライフを評価した。結果を下記第1表に示す。
(1)ブロックポリイソシアネート組成物(b−4)
攪拌機の付いた1Lのセパラブルフラスコに、ポリカーボネートジオール(旭化成社製、商品名「L−5651」、数平均分子量:1010、水酸基価:111mgKOH/g)(200質量部)と、DMF(30質量部)とを仕込んだ。なお、「L−5651」は、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールとを原料とした共重合ポリカーボネートジオールである。次いで、攪拌しながら温度を40℃まで昇温した。次いで、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(74.26質量部)を、DMF30gに溶解させて、MDI溶液を調製した。次いで、このMDI溶液を先のポリカーボネートジオール溶液に温度40℃で10分かけて滴下した。その後、30分間、温度を40℃に維持し、プレポリマー溶液を調製した。次いで、このプレポリマー溶液を300質量部採取した。次いで、イミダゾール13.0質量部(NCO基量の1.05倍)をDMF30質量部に溶解させて、イミダゾール溶液を調製した。次いで、採取したプレポリマー溶液300質量部に、このイミダゾール溶液を温度40℃で30分かけて滴下した。その後、30分間、温度を40℃に維持しながら撹拌を続けた後、取り出し、ブロックポリイソシアネート組成物(b−4)を得た。得られたブロックポリイソシアネート組成物(b−4)の物性を下記第1表に示す。
実施例1の(2)と同様の方法を用いて、一液型コーティング組成物(b−4)を得た。また、得られた一液型コーティング組成物(b−4)を用いて、上記の評価方法に従い、低温硬化性及びポットライフを評価した。結果を下記第1表に示す。
(1)ブロックポリイソシアネート組成物(a−5)の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例1で得られたポリイソシアネート(P−1)(100質量部)に、2−エチルイミダゾール(53.5質量部)及びメチルエチルケトン(230.0質量部)を添加し、室温から70℃を超えないように、2時間撹拌して反応を行った。その後、FT−IRスペクトルを測定し、イソシアネート基がブロックされていることを確認した。反応終了後、ブロックポリイソシアネート組成物(a−5)を得た。得られたブロックポリイソシアネート組成物(a−5)の物性は、不揮発分が40.0質量%、非プロトン性の極性化合物の含有率が60.0質量%、有効NCO%が6.1質量%、イソシアネート基平均数が3.4であった。また、ブロックポリイソシアネート組成物(a−5)の物性を下記第2表にも示す。
次いで、実施例1の(2)と同様の方法を用いて、一液型コーティング組成物(a−5)を得た。また、得られた一液型コーティング組成物(a−5)を用いて、上記の評価方法に従い、低温硬化性及びポットライフを評価した。結果を下記第2表に示す。
(1)ブロックポリイソシアネート組成物(a−6)〜(a−13)及び(b−5)〜(b−7)の製造
下記第2表に示す配合とした以外は、実施例5の(1)と同様の方法を用いて、ブロックポリイソシアネート組成物(a−6)〜(a−13)及び(b−5)〜(b−7)を得た。得られた各ブロックポリイソシアネート組成物の物性を下記第2表に示す。また、第2表における略号の詳細を下記に示す。
2MZ:2−メチルイミダゾール
2EZ:2−エチルイミダゾール
MEK:メチルエチルケトン
DMAC:N,N−ジメチルアセトアミド
NMP:1−メチル−2−ピロリドン
DMI:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
DMSO:ジメチルスルホキシド
次いで、実施例1の(2)と同様の方法を用いて、一液型コーティング組成物(a−6)〜(a−13)及び(b−5)〜(b−7)を得た。また、得られた一液型コーティング組成物(a−6)〜(a−13)及び(b−5)〜(b−7)を用いて、上記の評価方法に従い、低温硬化性及びポットライフを評価した。結果を下記第2表に示す。
また、非プロトン性の極性化合物としてSP値が10.4〜12.9である化合物を含む実施例7〜13は、非プロトン性の極性化合物としてSP値が9.3〜9.9である化合物を含む実施例5〜6よりも、10℃20日間の保管試験におけるポットライフがより良好であった。
Claims (9)
- ブロックポリイソシアネートと非プロトン性の極性化合物とを含み、
前記ブロックポリイソシアネートは、脂肪族及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートを含み、該ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部又は全部が下記一般式(I)で表される化合物(但し、下記一般式(I−2)で示されるベンゾイミダゾール系化合物、2−フェニルイミダゾール、及び5−メチルイミダゾールは除く)でブロックされて構成されており、
前記非プロトン性の極性化合物が、SP値が9.3以上の化合物であるブロックポリイソシアネート組成物。
- 前記一般式(I)で表される化合物が、イミダゾール系化合物、イミダゾリン系化合物、ピリミジン系化合物及びグアニジン系化合物からなる群より選ばれる1種以上である請求項1に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
- 前記非プロトン性の極性化合物が、SP値が10.0以上の化合物である請求項1又は2に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
- 前記非プロトン性の極性化合物が、三級アミド系化合物及びスルホキシド化合物からなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
- 前記非プロトン性の極性化合物が、下記一般式(II)で表される化合物及び下記一般式(III)で表される化合物からなる群より選ばれる1種以上である請求項4に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
- 前記ブロックポリイソシアネート及び前記非プロトン性の極性化合物の合計質量に対して、前記非プロトン性の極性化合物を10質量%以上90質量%以下含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物を含む一液型コーティング組成物。
- 請求項7に記載の一液型コーティング組成物により形成された塗膜。
- 請求項8に記載の塗膜を備える塗装物品。
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