図1は、ゼリー性状試験の外観写真である。それぞれ、(a)白濁、(b)透明、(c)析出(若干褐変化含む)を示す。
ゼリー飲料の製造方法
本発明によれば、高糖質ゼリー飲料の製造方法が提供され、具体的には、DE12〜40のデンプン分解物およびDE12〜40のオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1種の糖質(以下「本発明の糖質」ともいう。)と、単糖および二糖類からなる群から選択される少なくとも1種の糖類(以下、「本発明の糖類」ともいう。)とを、ゲル化剤(以下、「本発明のゲル化剤」ともいう。)とを混合して、ブリックス値40%以上となるように調製する工程を含んでなる、高糖質ゼリー飲料の製造方法が提供される。
「高糖質ゼリー飲料」とは、ブリックス値40%以上のゼリー飲料を意味する。よって、本発明によれば、ブリックス値40%以上のゼリー飲料の製造方法であって、DE12〜40のデンプン分解物およびDE12〜40のオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1種の糖質と、単糖および二糖類からなる群から選択される少なくとも1種の糖類と、ゲル化剤とを混合して、ブリックス値40%以上となるように調製する工程を含んでなる、製造方法が提供される。
「ゼリー飲料」とは、ゼリーを崩しながら飲用する飲料であり、ゲル化剤の作用によってゲル化したゼリーを、容器、例えばパウチに充填してなるものを意味し、生菓子に分類されるゼリーやゲル化剤を含まない清涼飲料水とは異なるものである。
本発明の高糖質ゼリー飲料は、具体的には、ブリックス(Brix)値40%以上、好ましくは41%以上、より好ましくは43%以上のゼリー飲料を指す。ブリックス値の上限は、用いる糖質により変動し、好ましくは59%以下、より好ましくは50%以下である。「ブリックス値」は、20℃のショ糖(砂糖)溶液の質量百分率に相当する値で決められ、具体的には、ショ糖1gのみを溶質として含む水溶液100gをBrix屈折計で測定したときの示度がブリックス値1%となる。ブリックス値は、好ましくは、Brix測定装置(糖度計PAL−S、アタゴ社製)により測定することができる。好ましい態様によれば、ブリックス値40%以上のゼリー飲料は、ゼリー飲料100質量部に対して、糖質を40質量部以上配合することにより得られる。
「糖質」とは、エネルギー源となる、炭水化物から食物繊維を除去した残りの部分を意味し、ここには、デンプン分解物、オリゴ糖および糖類が包含される。糖質の質量は、特に記載のない限り、固形分量(乾燥重量)に換算した質量を指す。
「DE12〜40」とは、デキストロース当量(DE)が12〜40であることを意味する。デキストロース当量(DE)は、デキストロース(ブドウ糖、グルコース)の還元力を100とした場合の相対的な尺度であり、デンプン分解物またはオリゴ糖の加水分解度(糖化度)の指標となる単位であり、下記式によって求められる。
[式1]
DE(デキストロース当量)=直接還元糖のグルコース換算量(質量)/デンプン分解物またはオリゴ糖の固形分量(質量)×100
ここで、直接還元糖のグルコース換算量(還元糖量)を定量する方法としては、例えば、リンエイノン法、ベルトラン法、ウイルシュテッターシューデル法が知られており、適宜選択することができる。
「デンプン分解物」は、DEの値により原材料表示が異なり、DE10未満は、デキストリン、DE10以上20未満程度はマルトデキストリン、DE20以上40未満程度は粉あめと呼ばれる。本発明の製造方法で用いられるDE12〜40のデンプン分解物としては、例えば、マルトデキストリン(10≦DE<20)または粉あめ(DE20以上)が挙げられる。本発明の製造方法で用いられるデンプン分解物は、DE12〜40のデンプン分解物であり、好ましくは、味がより良好な観点から、DE12〜22のデンプン分解物であり、より好ましくは、望ましい粘度を有しておりゼリー飲料の調製が容易である観点から、DE22のデンプン分解物である。本発明の製造方法で用いられるDE12〜40のデンプン分解物は、コンスターチ、馬鈴薯、キャッサバ芋などのデンプンを常法に従って化学的または酵素的な方法で低分子化して得てもよく、あるいは市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、マルトデキストリン(DE10〜11)(NSD300、サンエイ糖化株式会社製)、マルトデキストリン(DE11)(パインデックス#2、松谷化学工業株式会社製)、マルトデキストリン(DE12〜15)(NSD500、サンエイ糖化株式会社製)、マルトデキストリン(DE15)(グリスターP、松谷化学工業株式会社製)、マルトデキストリン(DE17〜21)(NSD700、サンエイ糖化株式会社製)、マルトデキストリン(DE18)(TK16、松谷化学工業株式会社製)、マルトデキストリン(DE19)(パインデックス#4、松谷化学工業株式会社製)、粉あめ(DE25)(パインデックス#3、松谷化学工業株式会社製)、粉あめ(DE25)(MPD、松谷化学工業株式会社製)、粉あめ(DE40)(パインデックス#6、松谷化学工業株式会社製)が挙げられる。好ましい態様によれば、市販品は、マルトデキストリン(DE10〜11)(NSD300、サンエイ糖化株式会社製)、マルトデキストリン(DE11)(パインデックス#2、松谷化学工業株式会社製)、マルトデキストリン(DE12〜15)(NSD500、サンエイ糖化株式会社製)、マルトデキストリン(DE15)(グリスターP、松谷化学工業株式会社製)、マルトデキストリン(DE18)(TK16、松谷化学工業株式会社製)、マルトデキストリン(DE17〜21)(NSD700、サンエイ糖化株式会社製)、マルトデキストリン(DE18)(TK16、松谷化学工業株式会社製)、マルトデキストリン(DE19)(パインデックス#4、松谷化学工業株式会社製)、粉あめ(DE25)(パインデックス#3、松谷化学工業株式会社製)、粉あめ(DE25)(MPD、松谷化学工業株式会社製)であり、より好ましくは、マルトデキストリン(DE10〜11)(NSD300、サンエイ糖化株式会社製)、マルトデキストリン(DE11)(パインデックス#2、松谷化学工業株式会社製)、マルトデキストリン(DE12〜15)(NSD500、サンエイ糖化株式会社製)、マルトデキストリン(DE15)(グリスターP、松谷化学工業株式会社製)、マルトデキストリン(DE18)(TK16、松谷化学工業株式会社製)、マルトデキストリン(DE17〜21)(NSD700、サンエイ糖化株式会社製)、マルトデキストリン(DE18)(TK16、松谷化学工業株式会社製)、マルトデキストリン(DE19)(パインデックス#4、松谷化学工業株式会社製)であり、さらに好ましくは、マルトデキストリン(DE12〜15)(NSD500、サンエイ糖化株式会社製)、またはマルトデキストリン(DE17〜21)(NSD700、サンエイ糖化株式会社製)である。これらは、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
「オリゴ糖」は、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖またはニゲロオリゴ糖などが挙げられ、好ましくは、マルトオリゴ糖である。本発明の製造方法で用いられるオリゴ糖は、DE12〜40のオリゴ糖であり、好ましくは、DE12〜26のオリゴ糖、より好ましくはDE12〜24のオリゴ糖である。本発明の製造方法で用いられるDE12〜40のオリゴ糖は、常法に従って、微生物由来の酵素を用いて合成、または、植物由来の多糖類を酵素分解などにより製造してもよく、あるいは、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、マルトオリゴ糖(DE22)(パインオリゴ20、松谷化学工業株式会社製)またはマルトオリゴ糖(DE26)(フジオリゴG67、日本食品化工株式会社)などが挙げられ、好ましくはマルトオリゴ糖(DE22)(パインオリゴ20、松谷化学工業株式会社製)である。これらは、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の糖質は、好ましくは、DE12〜24のデンプン分解物またはDE12〜24のオリゴ糖であり、より好ましくは、味と物性がより良好な観点から、DE22のデンプン分解物またはDE22のマルトオリゴ糖である。
「糖類」とは、単糖類または二糖類を意味し、ここには三糖類以上の糖類は包含されない。本発明の製造方法で用いられる単糖類は、例えば、ブドウ糖(グルコース、デキストロース)、果糖(フルクトース)、ガラクトース、またはマンノースが挙げられ、好ましくは、ブドウ糖、または果糖であり、より好ましくはブドウ糖である。本発明の製造方法で用いられる二糖類は、例えば、砂糖(ショ糖またはスクロースともいう)、乳糖(ラクトース)、麦芽糖(マルトース)、トレハロース、イソマルチュロース(パラチノースともいう)が挙げられ、好ましくは、砂糖、麦芽糖、トレハロース、またはイソマルチュロース、より好ましくは、麦芽糖、トレハロース、またはイソマルチュロース、さらに好ましくは、麦芽糖、またはイソマルチュロースである。本発明の製造方法で用いられる糖類は、好ましくは二糖類であり、より好ましくは、味と物性がより良好な観点から、麦芽糖、トレハロース、またはイソマルチュロースである。これらは、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の製造方法では、糖類としてイソマルチュロースを用いる。イソマルチュロースは、喫食後、ブドウ糖とは異なり、血糖値を急激に上昇させないという機能を有する糖であることから、血糖値の上昇を抑制しながらエネルギーを補給できるという機能性を付与したゼリー飲料を調製するのに、特に好ましい。
「ゲル化剤」は、望ましい味と物性のゼリー飲料が得られる限り特に限定されない。本発明の製造方法で用いられるゲル化剤は、例えば、寒天、ジェランガム(例えば、脱アシル型ジェランガム、ネイティブジェランガム)、ペクチン、グルコマンナン、カラギーナン、アルギン酸、アルギン酸塩酸、キサンタンガム、ローカストビーンガム、またはグアーガムが挙げられる。これらは単独であっても2種以上を用いてもよい。好ましくは、ゲル化剤は、寒天、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガムまたはグアーガムであり、より好ましくは、味と物性がより良好な観点から、寒天、ジェランガムまたはこれらの混合物であり、より好ましくは、寒天、脱アシル型ジェランガムまたはこれらの混合物であり、さらに好ましくは寒天と脱アシル型ジェランガムとの混合物である。好ましい態様によれば、寒天と脱アシル型ジェランガムとの混合比(質量比)(寒天:脱アシル型ジェランガム)は、1:1であり、より好ましくは、2:3、さらに好ましくは1:4である。ジェランガムおよび脱アシル型ジェランガムは、耐熱性が高く、酸にも強いため、溶解しにくい糖質(例えば、イソマルチュロース)を使用する場合、特に有利である。
本発明の一つの態様によれば、本発明のゼリー飲料の製造方法は、DE12〜40のデンプン分解物およびDE12〜40のオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1種の糖質と、単糖および二糖類からなる群から選択される少なくとも1種の糖類と、ゲル化剤とを混合して、ブリックス値40%以上、好ましくは40%〜59%、より好ましくは41%〜59%、さらに好ましくは43%〜59%、さらに好ましくは43〜50%となるように調製する工程を含んでなる。
本発明の糖質と、本発明の糖類とを、ゼリー飲料100質量部に対して、合計で、40質量部以上含まれるように混合することにより、ブリックス値40%以上のゼリー飲料を調製できる。よって、本発明の好ましい態様によれば、本発明のゼリー飲料の製造方法は、DE12〜40のデンプン分解物およびDE12〜40のオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1種の糖質ならびに単糖および二糖類からなる群から選択される少なくとも1種の糖類の合計が、ゼリー飲料100質量部に対して、40質量部以上である。本発明の糖質ならびに本発明の糖類の合計は、ゼリー飲料100質量部に対して、好ましくは40質量部〜59質量部、より好ましくは41質量部〜59質量部、さらに好ましくは43質量部〜59質量部、さらに好ましくは43質量部〜50質量部である。
DE12〜40のデンプン分解物およびDE12〜40のオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1種の糖質(A)と、単糖および二糖類からなる群から選択される少なくとも1種の糖類(B)との質量比(糖質質量比)(A:B)は、望ましい味と物性のゼリー飲料が得られる限り特に限定されない。本発明の一つの態様によれば、本発明の糖質および本発明の糖類の糖質質量比は、1:9〜9:1であり、より好ましくは1:9〜4:1、さらに好ましくは1:9〜3:2、さらに好ましくは1:9〜1:1、さらに好ましくは1:4〜1:1、さらに好ましくは1:4〜2:3である。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の製造方法は、本発明の糖質を、ゼリー飲料100質量部に対して、好ましくは4〜53質量部であり、より好ましくは4〜47質量部であり、さらに好ましくは4〜36質量部であり、さらに好ましくは8〜24質量部であり、さらに好ましくは12〜20質量部で混合する工程を含んでなる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の製造方法は、本発明の糖類は、ゼリー飲料100質量部に対して、好ましくは4〜53質量部であり、より好ましくは4〜47質量部であり、さらに好ましくは4〜36質量部であり、さらに好ましくは16〜32質量部であり、さらに好ましくは20〜28質量部で混合する工程を含んでなる。
本発明の一つの態様によれば、本発明の製造方法は、ゼリー飲料100質量部に対して、本発明の糖質を4〜53質量部、かつ、本発明の糖類を4〜53質量部で混合する工程を含んでなる。好ましい態様によれば、本発明の製造方法は、ゼリー飲料100質量部に対して、本発明の糖質を4〜36質量部、かつ、本発明の糖類を4〜36質量部で混合する工程を含んでなる。より好ましい態様によれば、本発明の製造方法は、ゼリー飲料100質量部に対して、本発明の糖質を8〜24質量部、かつ、本発明の糖類を16〜32質量部で混合する工程を含んでなる。さらに好ましい態様によれば、本発明の製造方法は、ゼリー飲料100質量部に対して、本発明の糖質を12〜20質量部、かつ、本発明の糖類を20〜28質量部で混合する工程を含んでなる。
本発明の一つの態様によれば、本発明の製造方法は、ゲル化剤を、ゼリー飲料100質量部に対して、乾燥重量に換算して、0.1〜0.5質量部、より好ましくは0.2〜0.3質量部で混合する工程を含んでなる。好ましくは、ゼリー飲料100質量部に対して、0.01〜0.1質量部の寒天、0.05〜0.2質量部のジェランガム、0.05〜0.5質量部のペクチン、0.1〜0.5質量部のカラギーナン、0.1〜0.5質量部のアルギン酸、0.1〜0.5質量部のアルギン酸塩酸、0.01〜0.5質量部のキサンタンガム、0.05〜0.2質量部のローカストビーンガム、0.05〜0.2質量部のグアーガムを、単独もしくは2種以上混合する工程を含んでなる。より好ましくは、ゼリー飲料100質量部に対して、寒天およびジェランガムの混合物を、それぞれ、0.01〜0.1質量部および0.05〜0.2質量部、より好ましくは0.05〜0.1質量部および0.1〜0.2質量部で混合する工程を含んでなる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明のゼリー飲料の製造方法は、DE12〜24のデンプン分解物およびオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1種の糖質と、麦芽糖、イソマルチュロース、およびトレハロースからなる群から選択される少なくとも1種の糖類と、寒天と、ジェランガムとを混合する工程を含んでなる。本発明のより好ましい態様によれば、本発明のゼリー飲料の製造方法は、DE12〜24のオリゴ糖と、麦芽糖、イソマルチュロース、およびトレハロースからなる群から選択される少なくとも1種の糖類と、寒天と、ジェランガムとを含んでなる。
本発明の製造方法に用いられる本発明の糖質と、本発明の糖類と、本発明のゲル化剤とは、ゼリー飲料の製造方法のどの段階で加えてもよいし、またどのような順序で(同時を含む)加えてもよい。例えば、本発明の糖質を、ゼリー飲料の製造工程の初めに加えて、該製造工程の最終工程、好ましくは充填工程前、より好ましくはゲル化以降は本発明の糖質が溶解しにくいことから冷却工程前、に本発明の糖類および本発明のゲル化剤を同時に混ぜて加えてもよい。また、これらの本発明の糖質と、本発明の糖類と、本発明のゲル化剤とは、溶液として、製造工程に加えてゼリー飲料を製造してもよく、粉体の状態で製造工程に加えてゼリー飲料を製造してもよいが、本発明の糖質と、本発明の糖類と、本発明のゲル化剤とは、粉体の状態でゼリー飲料の製造工程に加えることがより好ましい。本発明の好ましい態様によれば、製造効率がよいという観点から、本発明の糖質と、本発明の糖類と、本発明のゲル化剤との全てを粉体の状態で混合(粉体混合)し、粉体混合物を水等溶媒に対して溶解して混合する工程を含んでなる。本発明のより好ましい態様によれば、ゲル化剤の溶解性を高める観点から、本発明の糖質および本発明の糖類の粉体混合物の一部と、本発明のゲル化剤とを、質量比(本発明の糖質+本発明の糖類の一部:本発明のゲル化剤)が3:1、より好ましくは4:1、さらに好ましくは5:1となるように粉体の状態で混合し、その粉体混合物を水等溶媒に対して溶解し、その溶液に、残りの本発明の糖質および本発明の糖類(粉体であっても、溶液であってもよい)を添加して混合する工程を含んでなる。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、ゲル化剤の溶解性を高める観点から、本発明の糖質および本発明の糖類の粉体混合物の1〜5質量%と、本発明のゲル化剤とを粉体の状態で混合して、水等溶媒に対して溶解し、その溶液に、残りの本発明の糖質および本発明の糖類(粉体であっても、溶液であってもよい)を添加して混合する工程を含んでなる。
本発明の糖質と、本発明の糖類と、本発明のゲル化剤とを、溶液とする場合、溶解工程は、水等溶媒に対して全てを同時に混合し、全ての原料が完全に溶解できるように適宜調整でき、例えば、80〜90℃で10〜30分撹拌、混合してもよい。本発明の糖質と、本発明の糖類と、本発明のゲル化剤とを、それぞれ別々に溶液とする場合、溶解工程は、それぞれが水等溶媒に対して完全に溶解できれば特に制限されず、本発明の糖質の溶液は、例えば、60〜90℃で10〜30分撹拌、溶解して得てもよく、本発明の糖類の溶液は、例えば、60〜90℃で10〜30分撹拌、溶解して得てもよく、本発明のゲル化剤の溶液は、例えば、80〜90℃で10〜30分撹拌、溶解して得てもよい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の製造方法は、原料として、DE12〜40のデンプン分解物およびDE12〜40のオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1種の糖質と、単糖および二糖類からなる群から選択される少なくとも1種の糖類と、ゲル化剤とを含んでなるゼリー、具体的には、これらの原料を、水等溶媒に添加し、溶解して、冷却(ゲル化を含む)することにより得られたゼリーを、容器(好ましくはパウチ、より好ましくはストロー付きパウチ)に充填する工程をさらに含んでなる。ここで、容器は特に制限されず、スクリュータイプ、プルトップタイプ、クリンプタイプなど、その容器が備える密閉構造で、容器に充填したゼリーの飲食出口が密閉可能とされていればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)容器、アルミニウム容器、スチール容器が挙げられる。好ましい態様によれば、容器は、ストロー(例えば、口径(内径)φ20〜50mm程度等比較的狭い飲食出口)付き容器であり、このような容器を用いることで、容器内で崩したゼリーを、飲食出口を通じて直接飲食できたり、容器を傾けて飲食出口を通じて別の容器に移してから飲食できるなど、独特の喫食形態を楽しむことができる。本発明の一つの好ましい態様によれば、本発明の製造方法により得られるゼリー飲料は、パウチに充填されたパウチ入りのゼリー飲料であり、より好ましくはストロー付きパウチ入りのゼリー飲料である。
本発明の製造方法は、味と物性に影響を与えない限り、その他の原料をさらに混合する工程を含んでいてもよい。その他の原料は、例えば、酸味料、ミネラル、ビタミン類、アミノ酸等の他の栄養成分、香料、果汁、色素、食物繊維が挙げられる。これらの他の原料は、水等溶媒にあらかじめ溶解、分散させて用いることで、速やかに混合することができる。他の原料のゼリー飲料に対する含有率は、味と物性に影響を与えない限り、適宜調整できる。
酸味料は、食品分野で使用されるものであれば特に制限されず、例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸、グルコン酸、リン酸またはそれらの塩が挙げられる。これらは、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。酸味料を含むことにより、ゼリー飲料のpHを低くすることができる。本発明の一つの態様によれば、本発明のゼリー飲料は、酸味料をその他の原料として含んでなり、pH3〜4である。このようなゼリー飲料は、細菌の増殖抑制効果が高いため、長期間保存することができ、またすっきりとした味わいを付与できる。
ミネラルは、食品分野で使用されるものであれば特に制限されず、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、乳酸カルシウム、または乳酸ナトリウムが挙げられる。これらは、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビタミン類は、食品分野で使用されるものであれば特に制限されず、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンH、ビタミンK、ビタミンP、パントテン酸、コリン、葉酸、イノシトール、ナイアシン、またはパラアミノ安息香酸(PABA)が挙げられる。これらは、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ酸は、食品分野で使用されるものであれば特に制限されず、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリンが挙げられる。これらは、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法は、必要に応じて殺菌工程をさらに含んでいてもよい。ここで、殺菌工程としては、加熱殺菌しながら容器に充填する方法、容器に充填密封後、加熱殺菌する方法、容器に充填する前に加熱殺菌し、その後無菌条件下で充填する無菌充填等いずれの方法であってもよい。
本発明の製造方法により得られるゼリー飲料は、ブリックス値40%以上の高糖質ゼリー飲料であり、喫食により、糖質をエネルギー源とする、高いエネルギーを体内に摂取することができる。よって、本発明の製造方法により得られるゼリー飲料を摂取することにより、カロリーに換算すると、内容量が180gの製品の場合、少なくとも288kcal以上のカロリーを摂取できる。また、本発明の製造方法により得られるゼリー飲料は、喫食容量が少なくても高いエネルギーを摂取できることから、持ち運びの観点から有利である。さらに、本発明の製造方法により得られるゼリー飲料は、良好な味(好ましくは良好な甘み)および良好な物性(好ましくは、良好なゼリー性状、良好な飲み込みやすさ、良好な硬さ、または良好な口の中の残留感)を有し、より好ましいゼリー飲料は、良好なゼリー性状、ならびに、良好な甘みおよび良好な飲み込みやすさを有し、さらに好ましいゼリー飲料は、良好なゼリー性状、良好な甘みおよび良好な飲み込みやすさ、ならびに、良好なゼリー飲料としての総合評価を有する。良好な甘み、良好なゼリー性状、良好な飲み込みやすさ、良好な硬さ、良好な口の中の残留感、良好なゼリー飲料としての総合評価は、例えば、後述する実施例のゼリー性状試験および官能評価に基づいて判断することができる。具体的には、良好なゼリー性状とは、得られたゼリー飲料の外観を目視で確認し、白濁、糖質の析出および褐変色のない、透明なゼリー飲料であることをいう。また、良好な甘みとは、官能評価において、−1.0〜2.5、より好ましくは−0.5〜2.0、さらに好ましくは0〜2.0と判断されることをいう。良好な飲み込みやすさとは、官能評価において、0以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上と判断されることをいう。良好な硬さとは、官能評価において、−3.0〜3.0、より好ましくは−2.5〜2.5、さらに好ましくは−2.0〜2.0、特に好ましくは−1.5〜1.5と判断されることをいう。良好な口の中の残留感とは、官能評価において、1以下、より好ましくは0以下、さらに好ましくは−1以下、特に好ましくは−2以下と判断されることをいう。良好なゼリー飲料としての総合評価とは、官能評価において、0以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1以上、特に好ましくは1.5以上と判断されることをいう。
本発明の製造方法により得られるゼリー飲料は、1回の喫食(摂取)量単位で包装された形態で提供することが好ましい。1回の摂取量当たりの単位包装形態としては、容器等で一定量を規定する形態が挙げられ、それらの表面には1回の摂取量の成分表示、および、用途表示を付していてもよい。
本発明の一つの態様によれば、本発明の製造方法により得られるゼリー飲料は、エネルギー補給用またはエネルギー効率改善用のゼリー飲料として用いることができる。また、本発明の製造方法により得られるゼリー飲料は、運動時のエネルギー補給用のゼリー飲料として用いることができる。本発明の一つの態様によれば、エネルギー補給用またはエネルギー効率改善用のゼリー飲料の製造方法が提供される。
「エネルギー補給用」とは、運動時(運動前、運動中、運動後を含む)のみならず、日常生活で、ヒトが必要とするエネルギーを補給するために用いられることを意味し、すなわち、必要とされるカロリーを体内に補給することを意味する。必要とされるカロリーは、基礎代謝量と身体活動レベルに基づいて算出できる。エネルギー補給用ゼリー飲料の喫食対象には、成人健常者だけでなく、例えば、食欲のない疾患罹患者、低栄養患者、寝たきりの患者、咀嚼・嚥下困難者、高齢者、幼児も包含される。本発明の製造方法により得られるゼリー飲料は、好ましくは運動時のエネルギー補給用ゼリー飲料として用いることができる。運動は、有酸素運動であっても、無酸素運動であってもよく、好ましくは、持久系運動である。ここで、持久系運動(競技)とは、長時間(例えば90分以上)継続的に行う低強度の運動を意味し、これは緩急の動作を含んでもよく、例えば、陸上競技の5000〜10000m、10km以上のマラソン、トライアスロンが挙げられる。
本発明の製造方法により得られるエネルギー補給用ゼリー飲料は、持久系運動で有利に用いられる。持久系運動では、運動中、および運動直前のエネルギー補給が重要となる。持久系運動直前(好ましくは、1〜4時間前)の糖質補給量は、1〜4g/kg体重が望ましく、高たんぱく質、高脂質、食物繊維が多い食品を控えることで、運動中の胃腸障害リスクを軽減することができる。また、持久系運動中の糖質補給量は、30〜60g/時間が望ましい(Burke LM et al., Carbohydrates for training and competition. J Sports Sci, 29: S17-27, 2011、および田口素子ら, 体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学, 市村出版, 2014参照)。本発明の製造方法により得られるゼリー飲料は、例えば、糖質73g/1袋(180g)のゼリー飲料の場合、1袋摂取することで、体重60kgあたりのヒトにおける運動前の望ましい糖質補給量を達成でき、かつ持久系運動中の望ましい糖質補給量も達成できる。
また、本発明の製造方法により得られるエネルギー補給用ゼリー飲料は、運動後のエネルギー回復用ゼリー飲料としても用いることができる。運動後は、速やかなグリコーゲン回復のために、運動直後(好ましくは、2時間以内)に、1〜1.2g/kgの糖質を摂取することが望ましい(Burke LM et al., Carbohydrates for training and competition. J Sports Sci, 29: S17-27, 2011、および田口素子ら, 体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学, 市村出版, 2014参照)。本発明の製造方法により得られるゼリー飲料は、例えば、糖質73g/1袋(180g)のゼリー飲料の場合、1袋摂取することで、体重60kgあたりのヒトにおける糖質必要量を達成できる。
「エネルギー効率改善用」とは、例えば、持久系運動において、長時間継続的(持続的)に良好な運動パフォーマンスを発揮するため、体内のエネルギーを効率良く使い、かつ、長時間体内にエネルギーを蓄えられるように、体内のグリコーゲンの貯蔵レベルを最大限に増加させることをいう。このような方法として、カーボローディング(グリコーゲンンローディングともいう)が挙げられる。ここで、カーボローディングは、試合など、望ましい運動パフォーマンスが期待される持久系運動を行う前の約1週間、高糖質食(糖質エネルギー比70%以上の食事、または、糖質を8〜10g/kg体重含む食事)と運動との組み合わせにより、筋グリコーゲンの貯蔵レベルを高めるための方法として知られており、持久系運動(競技)に対して、特に有効な食事法といわれている。具体的には、試合前約1週間の前半3日間は糖質エネルギー比50%程度の普通食とし、試合前の3日間は高糖質食を摂取することでグリコーゲンの貯蔵レベルを最大限にする方法である(田口素子ら, 体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学, 市村出版, 2014参照)。本発明のゼリー飲料は、糖質をエネルギー源とする、高糖質ゼリー飲料であるため、カーボローディングに用いられる高糖質食の代替品として用いることができる。よって、本発明の別の態様によれば、カーボローディング用のゼリー飲料の製造方法が提供される。
本発明の製造方法により、高糖質ゼリー飲料が得られる。よって、本発明の別の態様によれば、DE12〜40のデンプン分解物およびDE12〜40のオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1種の糖質と、単糖および二糖類からなる群から選択される少なくとも1種の糖類と、ゲル化剤とを本質的に含んでなる、ブリックス値40%以上のゼリー飲料が提供される。本質的とは、上記本発明に用いられる糖質、本発明に用いられる糖類、ゲル化剤を必須成分とし、また上記その他の原料を本発明のゼリー飲料の味と物性に影響を与えない限り含んでいてもよいことを意味する。
本発明の別の態様によれば、DE12〜40のデンプン分解物およびオリゴ糖からなる群から選択される少なくとも1種の糖質と、単糖および二糖類からなる群から選択される少なくとも1種の糖類とを混合して、ブリックス値40%以上となるように調製することを含んでなる、ブリックス値40%以上のゼリー飲料の甘みおよび飲み込みやすさの改善方法が提供される。本発明の改善方法は、上述した製造方法に準じて実施できる。甘みの改善および飲み込みやすさの「改善」とは、本発明の方法により、甘みおよび飲み込みやすさにおいて、ヒトの官能をより満足させることを意味する。甘みの改善および飲み込みやすさの改善は、例えば、後述する実施例の官能評価に基づいて判断することができる。例えば、甘みの改善は、本発明のゼリー飲料がそうでないものと比較して、好ましくは、本発明の糖質または本発明の糖類のいずれかを含まないゼリー飲料と比較して、官能評価において良好な甘みの範囲(好ましくは−1.0〜2.5、より好ましくは−0.5〜2.0、さらに好ましくは0〜2.0)にわずかでも近づければ、甘みが改善していることを意味する。また飲み込みやすさの改善は、本発明のゼリー飲料がそうでないものと比較して、好ましくは、DE4〜11のデンプン分解物を含むゼリー飲料と比較して、官能評価において良好な飲み込みやすさの範囲(好ましくは0以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上)に近づければ、飲み込みやすさが改善していることを意味する。
本発明を以下の例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、特に記載が無い限り、「%」は質量基準である。
例1:ゼリー飲料の調製
下記表1の配合で、常法に従い、ゼリー飲料(比較例1および2ならびに試験例1〜4)を調製した。具体的には、水500mlに対して、下記配合となるように、糖質、ゲル化剤、酸味料、乳酸カルシウム、および香料を添加し、最終的に酸性条件(pH4.0未満)下で混合して、アルミパウチ(容量:180ml)に充填し、4℃で16時間保存することにより、ゼリー飲料(180g)を得た。糖質としては、デンプン分解物としてマルトデキストリン(DE12〜15)(NSD500、サンエイ糖化株式会社製)、オリゴ糖としてマルトオリゴ糖(DE22)(パインオリゴ20、松谷化学工業株式会社製)、ならびに、糖類として、イソマルチュロース(パラチノース)(結晶パラチノースPST−N、三井製糖株式会社製)を用いた。デンプン分解物またはオリゴ糖と糖類との糖質配合比(質量比)は約40:60であった。また、ゲル化剤として、脱アシル型ジェランガム(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)および寒天(旭東化学産業株式会社製)を用いた。
得られたゼリー飲料について、ゼリー性状試験および官能評価試験を行った。また、ブリックス値およびpHを測定した。ここで、ブリックス値は糖度計PAL−S(株式会社アタゴ製)で測定し、pHはガラス電極式水素イオン濃度指示計(株式会社堀場製作所製)で測定した。
ゼリー性状試験
ゼリー性状試験は、得られたゼリー飲料の外観を目視で確認し、白濁していないか、糖質が析出、褐変化していないかを確認した。白濁、析出および褐変化が確認されたゼリー飲料はゼリー性状不良と判断し、透明のゼリー飲料は、ゼリー性状良好と判断した(図1参照)。
官能評価試験
官能評価は、訓練を受けたパネリスト2〜5名で行い、味および物性に深く影響する5項目:甘さ、飲み込みやすさ、硬さ、口の中の残留感、ゼリー飲料としての総合評価について評価した。評価は独立記帳方式で行い、各項目−4〜+4の9段階評価とし、該当する数字に○印を付す形で実施し、その平均値を結果に示した。ここで、比較対象となる、糖質が果糖のみである糖質配合量40%のゼリー飲料および糖質がデンプン分解物(DE12〜15)のみである糖質配合量40%のゼリー飲料は、それぞれ、果糖(フラクトフィン、ダニスコジャパン株式会社製)およびマルトデキストリン(NSD500、サンエイ糖化株式会社製)を用いて製造した。
(官能試験の評価基準)
「甘さ」について、ゼリー飲料を口に含んだ際の糖質の甘みについて、パネラーの好みとは無関係に、以下の判断基準で評価した。ゼリー飲料の良好な甘さ(甘み)は、−1.0〜2.5であり、より好ましくは−0.5〜2.0、さらに好ましくは0〜2.0である。糖質配合量40%のゼリー飲料において、糖質が果糖のみの場合、一般的に4前後になり、デンプン分解物(DE12〜15)のみの場合、一般的に−3前後となる。甘みは、糖質の量および種類に依存する。
4:非常に甘い、甘過ぎる。
3:とても甘い。
2:やや甘い。
1:どちらかといえば甘い。
0:どちらでもない。
−1:どちらかといえば甘くない。
−2:やや甘くない。
−3:とても甘くない。
−4:全く甘くない。
「飲み込みやすさ」について、ゼリー飲料3ml程度を口に含んで、飲み込んだときの、のど越し(するっと飲み下せる、抵抗なく飲める、喉にひっかからないといった感覚)について、パネラーの好みとは無関係に、以下の判断基準で評価した。ゼリー飲料の良好な飲み込みやすさは、0以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1.0以上である。糖質配合量40%のゼリー飲料において、糖質が果糖のみの場合、一般的に1前後になり、デンプン分解物(DE12〜15)のみの場合、一般的に−3前後となる。
4:非常に飲み込みやすい。
3:とても飲み込みやすい。
2:やや飲み込みやすい。
1:どちらかといえば飲み込みやすい。
0:どちらでもない。
−1:どちらかといえば飲み込みにくい。
−2:やや飲み込みにくい。
−3:とても飲み込みにくい。
−4:全く飲み込めない。
「硬さ」について、ゼリー飲料を口に含んだ際の硬さについて、パネラーの好みとは無関係に、以下の判断基準で評価した。ゼリー飲料の良好な硬さは、−3.0〜3.0、より好ましくは−2.5〜2.5、さらに好ましくは−2.0〜2.0、特に好ましくは−1.5〜1.5である。糖質配合量40%のゼリー飲料において、糖質が果糖のみの場合、一般的に−1前後になり、デンプン分解物(DE12〜15)のみの場合、一般的に3前後となる。
4:非常に硬い。
3:とても硬い。
2:やや硬い。
1:どちらかといえば硬い。
0:どちらでもない。
−1:どちらかといえば柔らかい。
−2:やや柔らかい。
−3:とても柔らかい。
−4:非常に柔らかい。
「口の中の残留感」について、ゼリー飲料を飲み込んだ後の残留感について、パネラーの好みとは無関係に、以下の判断基準で評価した。ゼリー飲料の良好な口の中の残留感は1以下、より好ましくは0以下、さらに好ましくは−1以下、特に好ましくは−2以下である。糖質配合量40%のゼリー飲料において、糖質が果糖のみの場合、一般的に1前後になり、デンプン分解物(DE12〜15)のみの場合、一般的に3前後となる。
4:非常に残留感がある
3:とても残留感がある。
2:やや残留感がある。
1:どちらかといえば残留感がある。
0:どちらでもない。
−1:どちらかといえば残留感がない。
−2:やや残留感がない。
−3:とても残留感がない。
−4:残留感が全くない。
「ゼリー飲料としての総合評価」について、「甘み」、「飲み込みやすさ」、「硬さ」、「口の中の残留感」の4項目の個別評価の値を平均して算出するものではなく、パネラーがゼリー飲料として、良いか悪いか(おいしいか、おいしくないか)を感覚で総合的に判断した。良好なゼリー飲料としての総合評価は、0以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは1以上、特に好ましくは1.5以上である。糖質配合量40%のゼリー飲料において、糖質が果糖のみの場合、一般的に−2前後になり、デンプン分解物(DE12〜15)のみの場合、一般的に−3前後となる。
4:非常によい。
3:とてもよい。
2:ややよい。
1:どちらかといえばよい。
0:どちらでもない。
−1:どちらかといえば悪い。
−2:やや悪い。
−3:とても悪い。
−4:非常に悪い。
ゼリー性状試験の結果、全てのゼリー飲料が透明であり、ゼリー性状良好であった。官能評価試験の結果を下記表2に示す。
表2に示されるように、試験例1〜4のゼリー飲料は、味と物性、特に甘みと飲み込みやすさにおいて良好なゼリー飲料であった。比較例1は、離水が少なく大変飲み込みにくいものであった。このように、本発明の製造方法によって、糖類を含まないゼリー飲料(比較例1および2)と比較して、甘さと飲み込みやすさを両立できるゼリー飲料が得られることが分かった。また、これらの飲料は総合評価の観点からも、好ましいものであった。
また本発明の製造方法で得られたゼリー飲料のBrix値は42.5±0.50であり、pHは3.7±0.20であり、高エネルギー(1袋180gあたり302kcal)を補給できるすっきりと飲みやすい高糖質ゼリー飲料であった。
例2:デキストロース当量(DE)の検討
例1の方法に従って、下記表3の配合でゼリー飲料(比較例3〜5および試験例5〜8)を調製した。糖質としては、デンプン分解物として、デキストリン(DE4)(パインデックス#100、松谷化学工業株式会社製)、デキストリン(DE8〜10)(NSD100、サンエイ糖化株式会社製)、マルトデキストリン(DE10〜11)(NSD300、サンエイ糖化株式会社製)、マルトデキストリン(DE12〜15)(NSD500、サンエイ糖化株式会社製)、マルトデキストリン(DE17〜21)(NSD700、サンエイ糖化株式会社製)、粉あめ(DE25)(MPD、松谷化学工業株式会社製)、粉あめ(パインデックス#6、松谷化学工業株式会社製)、オリゴ糖としてマルトオリゴ糖(DE22)(パインオリゴ20、松谷化学工業株式会社製)、ならびに、糖類として、麦芽糖(サンマルト−Nミドリ、株式会社林原製)を用いた。デンプン分解物またはオリゴ糖と糖類との糖質配合比(質量比)は2:3であった。
得られたゼリー飲料について、例1の方法に従って、ゼリー性状試験、および官能評価試験を行った。結果を表4に示す。
表4に示されるように、試験例5〜8のゼリー飲料は、味と物性において良好なゼリー飲料であった。このように、本発明の製造方法によって、DEが4〜11のデンプン分解物を含むゼリー飲料(比較例3〜5)と比較して、甘さと飲み込みやすさを両立できるゼリー飲料が得られることが分かった。また、これらの飲料は総合評価の観点から、好ましいものであった。
また得られたゼリー飲料のBrix値は42.5±0.50、pHは3.7±0.20であり、高エネルギー(1袋180gあたり302kcal)を補給できるすっきりと飲みやすい高糖質ゼリー飲料であった。
例3:糖類の検討
例1の方法に従って、下記表5の配合でゼリー飲料(比較例6〜7および試験例5、9〜11)を調製した。糖質としては、デンプン分解物として、マルトデキストリン(DE12〜15)(NSD500、サンエイ糖化株式会社製)、ならびに、糖類として、ブドウ糖(結晶ブドウ糖、大象株式会社製)、麦芽糖(サンマルト−Nミドリ、株式会社林原製)、トレハロース(トレハ−N、株式会社林原製)、パラチノース(結晶パラチノースPST−N、三井製糖株式会社製)を用いた。試験例5および9〜11では、デンプン分解物またはオリゴ糖と糖類との糖質配合比(質量比)は2:3であった。
得られたゼリー飲料について、例1の方法に従って、ゼリー性状試験、および官能評価試験を行った。結果を下記表6に示す。
表6に示されるように、試験例5および9〜11のゼリー飲料は、味と物性において良好なゼリー飲料であった。このように、本発明の製造方法によって、DEが12〜40のデンプン分解物を含まないゼリー飲料(比較例6および7)と比較して、甘さと飲み込みやすさを両立できるゼリー飲料が得られることが分かった。また、これらの飲料は総合評価の観点から、好ましいものであった。
得られたゼリー飲料のBrix値は42.5±0.50、pHは3.7±0.20であり、高エネルギー(1袋180gあたり302kcal)を補給できるすっきりと飲みやすい高糖質ゼリー飲料であった。
ところで、トレハロースまたはパラチノース単独でブリックス値50%のゼリー飲料を調製したところ、これら糖類の溶解度は麦芽糖よりも低いため、4℃保管により白濁が発生し、ゼリー性状が好ましくないものであった。
例4:糖質配合比率の検討
例1の方法に従って、下記表7の配合でゼリー飲料(比較例2および試験例12〜15)を調製した。糖質としては、オリゴ糖として、マルトオリゴ糖(DE22)(パインオリゴ20、松谷化学工業株式会社製)、ならびに、糖類として、パラチノース(結晶パラチノースPST−N、三井製糖株式会社製)を用いた。糖質の全体に対する質量%は変更せず、デンプン分解物と糖類との糖質配合比(質量比)を表8に記載の比率になるように調製した。
得られたゼリー飲料について、例1の方法に従って、ゼリー性状試験、および官能評価試験を行った。結果を表8に示す。
表8に示されるように、試験例12〜15のゼリー飲料は、味と物性において良好なゼリー飲料であった。また、ゼリー飲料としての総合評価においても、比較例2のゼリー飲料と比較して、試験例12〜15は、良好なゼリー飲料としての総合評価を有するものであり、試験例14は、試験例12、13および15よりも、一層好ましい総合評価を有するものであった。このように、本発明の製造方法によって、糖類を含まないゼリー飲料(比較例2)と比較して、甘さと飲み込みやすさを両立できるゼリー飲料が得られることが分かった。また、これらの飲料は総合評価の観点から、好ましいものであった。
また得られたゼリー飲料のBrix値は42.5±0.50、pHは3.7±0.20であり、高エネルギー(1袋180gあたり302kcal)を補給できるすっきりと飲みやすい高糖質ゼリー飲料であった。