図により本発明に係る駆動装置を備える画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
〔第1実施形態〕
図1〜図5を用いて本発明に係る駆動装置を備える画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
<画像形成装置>
先ず、図1を用いて本発明に係る駆動装置を備える画像形成装置の構成について説明する。図1は、本発明に係る駆動装置を備える画像形成装置の構成を示す断面説明図である。図1に示す画像形成装置1は、カラーレーザプリンタの一例である。画像形成装置1の下部には、記録材を収容する給送カセット11が画像形成装置1本体に対して着脱可能に設けられている。給送カセット11内に収容された記録材は、ピックアップローラ12により繰り出され、給送ローラ13により一枚ずつ分離搬送されて最上位の記録材が取り出される。その後、搬送ローラ14により挟持搬送されて停止したレジストローラ15のニップ部に記録材の先端部が付き当てられて記録材の斜行が補正される。
<画像形成部>
画像形成部は、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックKの四色のプロセスカートリッジ2Y,2M,2C,2Kが図1の左から右に順に配置されている。尚、説明の都合上、プロセスカートリッジ2Y,2M,2C,2Kを代表してプロセスカートリッジ2を用いて説明する場合もある。他の画像形成プロセス手段についても同様である。
<画像形成動作>
各プロセスカートリッジ2内に設けられた図示しない帯電手段となる帯電ローラにより図1の時計回り方向に回転する像担持体となる感光ドラム22の表面が一様に帯電される。その後、像露光手段となるレーザスキャナ21から画像情報に応じたレーザ光を一様に帯電された各感光ドラム22の表面に照射する。これにより各感光ドラム22の表面上に画像情報に応じた静電潜像が形成される。
各プロセスカートリッジ2内に設けられた図示しない現像手段となる現像装置内に収容された各色のトナーが図示しない供給ローラを介して現像剤担持体となる図示しない現像ローラの表面に供給されて該現像ローラの表面に担持される。この現像ローラには、図示しない現像バイアス電源から現像バイアスが印加され、該現像ローラの表面に担持されたトナーが感光ドラム22の表面に形成された静電潜像に供給されてトナー像として現像される。
各感光ドラム22の表面に対向して張架ローラ3a,3bにより図1の反時計回り方向に回転可能に張架された中間転写ベルト23が設けられている。中間転写ベルト23の内周面側には、各感光ドラム22に対向して一次転写手段となる一次転写ローラ24が設けられている。図示しない一次転写バイアス電源により各一次転写ローラ24に一次転写バイアスが印加される。これにより各感光ドラム22の表面上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト23の外周面上に順次、一次転写されて重畳される。
張架ローラ3aと二次転写手段となる二次転写ローラ25とにより中間転写ベルト23を介在して二次転写ニップ部Nが形成される。中間転写ベルト23の外周面上に形成されたトナー像が二次転写ニップ部Nに到達するタイミングに合わせてレジストローラ15により記録材が挟持搬送される。
図示しない二次転写バイアス電源により二次転写ローラ25に二次転写バイアスが印加される。これにより中間転写ベルト23の外周面上に形成されたトナー像が記録材に二次転写される。トナー像が二次転写された記録材は、定着手段となる定着装置31に搬送され、定着装置31に設けられた定着ローラと加圧ローラとにより挟持搬送される過程において加熱及び加圧されてトナー像が熱溶融して記録材に熱定着される。
トナー像が定着された記録材は、図示しないフラッパにより進路が選択され、装置外に設けられた排出トレイ34上に排出する場合には、図示しないフラッパにより排出路4に導かれて排出ローラ32により挟持搬送されて排出トレイ34上に排出される。
一方、両面印刷が指定された場合で、記録材の二面目に印刷する場合には、図示しないフラッパにより反転路5に導かれて反転ローラ33により挟持搬送される。そして、記録材の進行方向後端部が反転ローラ33により挟持された状態で、該反転ローラ33が逆回転して記録材は反転路6に導かれて搬送ローラ41,42により挟持搬送されて表裏が反転する。
その後、再び搬送路7に合流して停止したレジストローラ15のニップ部に記録材の先端部が付き当てられて記録材の斜行が補正される。その後、中間転写ベルト23の外周面上に形成された二面目に印刷するトナー像が二次転写ニップ部Nに到達するタイミングに合わせてレジストローラ15により記録材が挟持搬送される。その後は、一面目と同様の手順で二面目にトナー像が形成され、定着されて図示しないフラッパにより排出路4に導かれて排出ローラ32により挟持搬送されて排出トレイ34上に排出される。
<駆動装置>
画像形成装置1本体内には、各プロセスカートリッジ2内の感光ドラム22や図示しない現像ローラ等を回転駆動する駆動手段として駆動装置が設けられている。駆動装置には、駆動源となる複数のモータが設けられている。第一の被駆動部材として感光ドラム22を回転駆動する駆動列がある。更に、第二の被駆動部材として図示しない現像ローラを回転駆動する駆動列がある。更に、第三の被駆動部材として、感光ドラム22、図示しない現像ローラ、中間転写ベルト23等を回転駆動する駆動列がある。
これらの駆動列に一つの駆動源となるモータから分岐して回転駆動力を伝達する。即ち、本実施形態では、一つの駆動源となるモータにより少なくとも二つ以上の被駆動部材を回転駆動する。このような被駆動部材としては、感光ドラム22(像担持体)と、現像ローラ(現像剤担持体)とを含む。
<クラッチ装置>
次に、図2〜図5を用いて第二の被駆動部材として図示しない現像ローラを回転駆動する駆動列内に設けられたクラッチ手段となるクラッチ装置50の構成について説明する。図2は、本実施形態のクラッチ装置50の構成を示す斜視説明図である。図3は、本実施形態のクラッチ装置50の連結状態を示す断面説明図である。図4は、本実施形態のクラッチ装置50の解除状態を示す断面説明図である。図5(a)は、本実施形態のクラッチ装置50の従動側の係合部材に設けられた溝形状の構成を示す断面説明図である。図5(b)は、本実施形態のクラッチ装置50の従動側の係合部材と従動部材とが係合状態にあるときの溝形状の構成を示す断面説明図である。
駆動装置に設けられるクラッチ装置50(クラッチ手段)は、駆動源となるモータからの回転駆動力(駆動)を少なくとも一つ以上の被駆動部材に連結又は解除する。図3に示すように、クラッチ装置50を連結させると、図示しない現像ローラが回転駆動され、図4に示すように、クラッチ装置50を解除すると、図示しない現像ローラの回転が止まる構成である。
図2〜図4に示すクラッチ装置50の側板56aには、回転方向への移動が規制された状態で軸55が支持されている。軸55には、駆動源となる図示しないモータから回転駆動力を受け取る駆動部材51が回転可能に支持されている。
駆動部材51は、側板56a(フレーム)に回転不可能に支持されている軸55に対して回転可能に支持され、駆動源となるモータからの回転駆動力(駆動)を伝達する。駆動部材51は、歯車の内側が大きく肉抜きされており、肉抜き部の内周面は、駆動側の係合部材52の位置決め面であって、かつ摺動面として構成されている。
駆動側の係合部材52は、駆動部材51と同期して軸55を中心にして回転し、軸55方向(軸方向)に移動可能に構成される。駆動側の係合部材52は、回転止め部52bを有しており、該回転止め部52bが駆動部材51の溝部51aに係合する。これにより駆動側の係合部材52は、駆動部材51と同期して回転する。
駆動側の係合部材52は、駆動部材51に対して軸55方向(図3及び図4の上下方向)に移動可能に支持されている。駆動部材51と駆動側の係合部材52との間には、付勢部材57が設けられている。付勢部材57は、駆動側の係合部材52を従動側の係合部材53と係合する方向に付勢する。
付勢部材57は、駆動側の係合部材52を駆動部材51から離れる方向へ付勢している。本実施形態の付勢部材57は、圧縮バネを使用している。駆動側の係合部材52の円筒部52eの外周面にはスナップフィット部52cが設けられている。スナップフィット部52cが駆動部材51に設けられた抜け止め部51bに引っ掛かる。これにより付勢部材57の付勢力により駆動側の係合部材52が駆動部材51から外れることを規制している。
軸55に回転可能に支持されている従動側の係合部材53は、側板56bに設けられた貫通穴からなるバーリング部56b1に対して摺動可能に設けられている。軸55は、従動側の係合部材53を介して側板56bに対して支持されている。従動側の係合部材53は、軸55に対して回転可能に支持され、駆動側の係合部材52と係合する。
従動側の係合部材53は、ラチェット部53aを有している。ラチェット部53aは、軸55を中心として周方向に90度の位相差を有して4つのラチェット爪部が形成されている。一方、駆動側の係合部材52には、従動側の係合部材53のラチェット部53aに対向するラチェット部52aが設けられている。ラチェット部52aは、軸55を中心として周方向に90度の位相差を有してラチェット部53aの爪形状部と対応する形状を有する4つのラチェット爪部が形成されている。第一、第二のラチェット部52a,53aは、軸55を回転中心として周方向に90度の位相差を有して4つのラチェット爪部が形成されている。
図3に示すように、駆動側の係合部材52の円筒部53cの内周面側に第一のラチェット部52aが設けられている。従動側の係合部材53に設けられた第二のラチェット部53aが第一のラチェット部52aに係合する。これによりクラッチ装置50が連結状態となり、駆動側の係合部材52から従動側の係合部材53に駆動を伝達する。
また、図4に示すように、駆動側の係合部材52のラチェット部52aと、従動側の係合部材53のラチェット部53aとが離れると、クラッチ装置50が解除状態となる。従動部材54は、従動側の係合部材53と同期して軸55を中心として回転する。
従動部材54の中心部には、図5(a)に示す溝部54aが設けられている。図5(b)に示すように、従動部材54の溝部54aが従動側の係合部材53に設けられた回転止め部53bと係合する。これにより従動部材54が従動側の係合部材53と一体的に同期して回転する。
図5(b)に示すように、従動側の係合部材53の円筒部53cの外周面に設けられた複数の第一の回転止め部53bが従動部材54に設けられた複数の溝部54aに嵌合される。溝部54aの壁面の一部には、図5(a)に示す突起部54bが設けられている。
従動側の係合部材53の円筒部53cに支持された軸受け部材60は、側板56bに設けられた貫通穴56b2に対してリブ60aが挿入されている。これにより軸受け部材60は、側板56bに対して軸55を中心とした回転方向の移動は規制されている。
カム部58aが設けられたカムギア部材58は、軸受け部材60により回転可能に支持されている。カムギア部材58は、制御手段となる図示しないCPU(Central Processing Unit;中央演算装置)により駆動制御される駆動源となるモータの回転駆動力が図示しないギア列に噛合する歯車58bを介して伝達されて回転駆動される。カムギア部材58には、解除部材59に設けられた第一のカム面となる天面部59a1と底面部59a2と斜面部59a3と当接摺動して係合する第二のカム面となるカム部58aが設けられている。
解除部材59に設けられた凹部59bに対して軸受け部材60に設けられた凸部60bが軸55方向に摺動可能に嵌合する。これにより解除部材59は、軸受け部材60に対して軸55を中心とした回転方向の移動が規制されている。解除部材59は、軸受け部材60に対して軸55方向にのみ移動可能に支持されている。
解除部材59は、カムギア部材58と対向する面にカム部59aを有する。解除部材59のカム部59aは、第一のカム面となる天面部59a1と底面部59a2とが設けられており、該天面部59a1と底面部59a2とは斜面部59a3により連続的に接続されている。カムギア部材58に設けられたカム部58aは、解除部材59に設けられたカム部59aに対応した形状を有している。
<駆動伝達経路>
次に、図2及び図3を用いてクラッチ装置50が連結状態にあるときの駆動伝達経路について説明する。駆動源となるモータの回転駆動力が駆動部材51の外周面に設けられた歯車51cに噛合する図示しないギア列を介して該駆動部材51に伝達される。該駆動部材51の溝部51aに駆動側の係合部材52の回転止め部52bが係合している。これにより駆動部材51が受け取った回転駆動力は、駆動側の係合部材52に伝達される。
駆動側の係合部材52のラチェット部52aは、従動側の係合部材53のラチェット部53aと係合している。これにより駆動側の係合部材52に伝達された回転駆動力は、従動側の係合部材53に伝達される。図5(b)に示すように、従動側の係合部材53の回転止め部53bと、従動部材54の溝部54aとが係合している。これにより従動側の係合部材53に伝達された回転駆動力は、従動部材54に伝達される。その後、従動部材54に伝達された回転駆動力は、該従動部材54の外周面に設けられた歯車54cに噛合する図示しないギア列等の駆動伝達部材を介して図示しない現像ローラに伝達される。
<連結/解除の変更>
クラッチ装置50の回転駆動力の連結と解除とは、カムギア部材58の外周面に設けられた歯車58bに噛合する図示しないギア列等の駆動伝達部材を介して図示しない駆動源となるステッピングモータから回転駆動力が入力されることにより制御される。
図示しないステッピングモータから回転駆動力が伝達されたカムギア部材58が回転する。すると、カムギア部材58に設けられたカム部58aと、解除部材59に設けられたカム部59aとが同位相になる。すると、カム部58aと、カム部59aの天面部59a1とが接触している状態になる。これにより解除部材59を軸55方向に沿って駆動部材51に向かう方向に移動する。
解除部材59は、駆動側の係合部材52と接触して該駆動側の係合部材52と一体的に付勢部材57の付勢力に抗して軸55方向に沿って駆動部材51に向かう方向に移動する。駆動側の係合部材52が駆動部材51方向に移動すると、図4に示すように、係合していた駆動側の係合部材52のラチェット部52aと、従動側の係合部材53のラチェット部53aと引き離される。これにより駆動側の係合部材52と従動側の係合部材53との間の駆動伝達経路を遮断することができる。
クラッチ装置50を図4に示す解除状態から図3に示す連結状態に変更するときは、図示しないステッピングモータからの回転駆動力をカムギア部材58に伝達して該カムギア部材58を回転させる。これによりカムギア部材58のカム部58aと、解除部材59のカム部59aとの位相が異なる状態になる。すると、カム部58aと、カム部59aの底面部59a2とが接触する。
この状態になると、図3に示すように、付勢部材57の付勢力により駆動側の係合部材52が軸55方向に沿って従動側の係合部材53に向かう方向に移動する。これにより駆動側の係合部材52のラチェット部52aと、従動側の係合部材53のラチェット部53aとが係合される。これにより駆動側の係合部材52に伝達された回転駆動力が従動側の係合部材53に伝達される。
このように、制御手段となる図示しないCPUにより駆動制御されるステッピングモータによりカムギア部材58を回転させる。これにより解除部材59が軸55方向に移動して駆動側の係合部材52を軸55方向に移動させて該駆動側の係合部材52と従動側の係合部材53とを係合または解除する。
このようなクラッチ装置50は、図1に示す各プロセスカートリッジ2の図示しない現像ローラの駆動列に設けられている。全色のクラッチ装置50を図3に示す連結状態にすればカラーポジションとなる。ブラック色のクラッチ装置50のみを図3に示す連結状態にすれば、モノポジションとなる。全色のクラッチ装置50を図4に示す解除状態にすれば、ホームポジションに切り替えることができる。
それぞれのポジションが成立するように、各クラッチ装置50のカムギア部材58のカム部58aと、解除部材59のカム部59aとの位相は、適宜調整して組み立てられている。カムギア部材58に回転駆動力を伝達する駆動源であるステッピングモータのステップ数を制御する。これにより各ポジションを切り替えることができる。
各プロセスカートリッジ2の長寿命化に伴い、図示しない現像装置に設けられる現像ローラ、供給ローラ、該現像装置内に収容されるトナーの各寿命を延命する。そのために現像ローラや供給ローラを回転駆動する時間を最低限に抑えることが必要となる。そのため、感光ドラム22が回転して表面に静電潜像を形成している間は、クラッチ装置50を図4に示す解除状態にして現像ローラや供給ローラの回転を止める。そして、感光ドラム22の表面に形成された静電潜像に現像ローラの表面に担持したトナーを供給してトナー像として現像する直前にクラッチ装置50を図3に示す連結状態にして現像ローラや供給ローラを回転駆動する。
本実施形態では、図示しない現像ローラと、感光ドラム22とは、同一の駆動源で構成される。クラッチ装置50を図4に示す解除状態から図3に示す連結状態に変更するときは、駆動部材51と駆動側の係合部材52とは、一体的に回転している状態である。
<比較例>
図8に示す比較例のクラッチ装置110の駆動伝達経路は、図示しない駆動源となるモータから駆動部材111に回転駆動力が入力される。駆動部材111から付勢部材117を介して駆動側の係合部材112に回転駆動力が伝達される。付勢部材117は、駆動側の係合部材112と従動側の係合部材113とを金属製の軸115に沿って図8の上方向に付勢している。
これにより駆動側の係合部材112から従動側の係合部材113に回転駆動力が伝達される。更に、従動側の係合部材113から金属製の軸115に設けられた平行ピン121aに回転駆動力が伝達される。更に、平行ピン121aから金属製の軸115に回転駆動力が伝達される。更に、金属製の軸115に設けられた平行ピン121bに回転駆動力が伝達される。更に、平行ピン121bから従動部材114の順に回転駆動力が伝達されていく。
クラッチ装置110を解除状態から連結状態へ切り替えるときは、駆動側の係合部材112が回転している状態で、駆動側の係合部材112と従動側の係合部材113とが摺動しつつ連結する。このため駆動側の係合部材112と従動側の係合部材113との摺動連結時に衝撃が生じ易い。
図8に示す比較例のクラッチ装置110は、感光ドラム22に回転駆動力を伝達する駆動列と繋がっている。このためクラッチ装置110を解除状態から連結状態へ切り替える際に駆動側の係合部材112と従動側の係合部材113との摺動連結時に衝撃が生じると、感光ドラム22に回転駆動力を伝達する駆動列のギアに衝撃が伝わり、ギアの回転が不安定になる。これによりスジ等の画像不良が発生する。
図8に示す比較例のクラッチ装置110の駆動伝達経路は、剛性の高い金属製で回転可能な軸115を介在している。このためクラッチ装置110を解除状態から連結状態に切り替える際に駆動側の係合部材112と従動側の係合部材113との摺動連結時に生じる大きな衝撃が吸収され難い。これにより感光ドラム22に回転駆動力を伝達する駆動列のギアに衝撃が伝わり、ギアの回転が不安定になり、スジ等の画像不良が発生する恐れがあった。
画像不良以外にもクラッチ装置110を解除状態から連結状態に切り替える際に駆動側の係合部材112と従動側の係合部材113との摺動連結時に衝突音が発生する可能性があった。また、画像形成装置1の印刷速度の高速化に伴い駆動側の係合部材112の回転速度がより速くなっている。これによりクラッチ装置110を解除状態から連結状態に切り替える際に駆動側の係合部材112と従動側の係合部材113との摺動連結時に生じる衝撃が大きくなっており、画像不良や衝突音への影響が大きくなっている。
図2〜図5に示す本実施形態のクラッチ装置50は、駆動源となるモータから被駆動部材となる現像ローラや感光ドラム22への駆動を伝達する駆動伝達経路を構成する。このような駆動伝達経路を構成する部材である駆動部材51、駆動側の係合部材52、従動側の係合部材53、従動部材54は、全て樹脂材料で形成されている。更に、該駆動伝達経路を解除する解除手段を構成するカムギア部材58、軸受け部材60、解除部材59の部品も全て樹脂材料で形成されている。
図8に示す比較例のクラッチ装置110では、駆動伝達経路の一部に剛性の高い金属製で回転可能な軸115を介在している。一方、図2〜図5に示す本実施形態のクラッチ装置50では、剛性の高い金属製の軸55は、フレームとなる側板56aに回転不可能に支持されている。このため軸55は、駆動伝達経路を構成する駆動部材51、駆動側の係合部材52、従動側の係合部材53、従動部材54を回転可能に支持するだけで駆動伝達経路の一部を構成するものではない。また、軸55は、該駆動伝達経路を解除する解除手段を構成するカムギア部材58、軸受け部材60、解除部材59を回転可能に支持するだけで駆動伝達経路を解除する解除手段の一部を構成するものでもない。
このため図2に示すクラッチ装置50の駆動側の係合部材52と、従動側の係合部材53とを連結した際に生じる衝撃を比較的剛性の低い樹脂材料が吸収することができる。クラッチ装置50が感光ドラム22に回転駆動力を伝達する駆動列と繋がっている場合を考慮する。その場合でもクラッチ装置50を図4に示す解除状態から図3に示す連結状態に切り替える際に駆動側の係合部材52と、従動側の係合部材53とを連結した際に生じる衝撃を樹脂材料が吸収する。これにより感光ドラム22の駆動列に衝撃が伝わり難くすることができる。これにより画像品質を向上させることができる。また、衝撃時に発生する衝突音も低減することができる。
図8に示す比較例のクラッチ装置110では、駆動伝達経路の一部に剛性の高い金属製で回転可能な軸115を介在している。この場合には、金属製の軸115に平行ピン121a,121bを取り付けて金属製の軸115の回転を介して回転駆動力を伝達する必要があった。平行ピン121a,121bが挿入される金属製の軸115を貫通する貫通穴115aは、平行ピン121a,121bの外径よりも大きな径を有して形成される。このため金属製の軸115の貫通穴115aと、平行ピン121a,121bとの間にガタが発生する。
駆動を伝達する部材間でガタをもっていると動体が静止体に衝突しながら駆動を伝達していくことになる。このため図8に示す比較例のクラッチ装置110を解除状態から連結状態に切り替える際に駆動側の係合部材112と従動側の係合部材113との摺動連結時に生じる衝突音が大きくなる。
また、図8に示す比較例のクラッチ装置110の軸115と平行ピン121a,121bとは、何れも剛性の高い金属材料で構成される。軸115の貫通穴115aと、平行ピン121a,121bとの間にガタがあるため、これらの金属部材同士が衝突すると、樹脂材料からなる部材同士が衝突するときよりも大きな衝突音が発生する。
軸115の貫通穴115aと、平行ピン121a,121bとの間のガタを無くすためには、平行ピン121a,121bの外径よりも軸115の貫通穴115aの径を僅かに小さくして圧入することが考えられる。金属同士を圧入するには、圧入工具を使用して金属製の軸115を温めて熱膨張させた状態で平行ピン121a,121bを挿入する等の作業が必要になり、組み立て工程が煩雑になる。一方、剛性の低い樹脂材料を使用すれば、部材間のガタを無くすために部材を変形させながら組み付けることができ、軽く圧入することでガタを無くすことが可能である。
本実施形態では、駆動伝達に使用されている部材を樹脂材料で構成し、軽く圧入してガタを無くして衝突音を低減している。図5(a)に示すように、樹脂製の従動部材54の溝部54aの入り口付近に円弧状の突起部54bを設けている。これにより図5(b)に示す従動側の係合部材53の外周面に突出して設けられた回転止め部53bのリブ幅よりも溝部54aの溝幅を少し小さく設定している。
樹脂製の従動部材54を従動側の係合部材53に組み付ける際に、図5(b)に示すように、従動部材54の溝部54a内に従動側の係合部材53の回転止め部53bを挿入する。その際に図5(a)に示す円弧状の突起部54bが回転止め部53bに押されて変形しながら装着される。これにより従動側の係合部材53の回転止め部53bが従動部材54の溝部54a内に軽く圧入された状態となる。これにより従動側の係合部材53と従動部材54との間の軸55を中心とした回転方向のガタを無くすことができる。これにより衝突音を低減することが可能である。
図8に示す比較例のクラッチ装置110では、組み立て工程において、金属製の軸115に対して、駆動部材111、駆動側の係合部材112、従動側の係合部材113、付勢部材117を嵌合する。そして、平行ピン121aを金属製の軸115に設けた貫通穴115a内に挿入して装着する。その後、金属製の軸115の外周面に設けた溝部115bにEリング122を係止する必要があった。Eリング122により駆動部材111の軸115方向の移動を規制しないと、付勢部材117の付勢力により駆動部材111が金属製の軸115から外れてしまい、組み立てが困難になるためである。
図8に示す比較例のクラッチ装置110では、駆動伝達経路の一部を構成する金属製の軸115が回転する。このため側板116aには、軸115を回転可能に軸支する軸受け123を設ける必要がある。軸受け123の上部には、金属製の軸115と一体的に回転するEリング122が設けられる。このため軸受け123は、Eリング122に干渉しないスペースを確保した状態で設けられる。駆動部材111は、付勢部材117の付勢力により金属製の軸115に沿って図8の下方に押される。受け部123aは、駆動部材111に摺動可能に設けられ駆動部材111の軸115方向の位置を規制する。
図8に示す比較例のクラッチ装置110の軸受け123やEリング122は、クラッチ装置110の軸115方向においてスペースを要する部品であった。このため軸115方向における側板116aと側板116bとの間の距離が大きくなりクラッチ装置110が軸115方向において大型化する。
一方、本実施形態では、図2に示すように、駆動側の係合部材52にスナップフィット部52cを設けて、駆動部材51の抜け止め部51bに引っ掛ける。これにより付勢部材57の付勢力により駆動側の係合部材52が駆動部材51から外れることを規制できる。付勢部材57の付勢力を受けても駆動側の係合部材52が駆動部材51から外れずに支持される。このため図8に示すEリング122を使用することなく、クラッチ装置50の組立性を改善することできる。
図3及び図4に示すクラッチ装置50の金属製の軸55は、駆動伝達経路の一部を構成しないため回転しない。このため側板56aとの間に軸受けを設けなくても良い。本実施形態では、図8に示す比較例のクラッチ装置110の軸受け123と、Eリング122を設けるスペースを省略することが出来る。これにより図3及び図4に示すクラッチ装置50の軸55方向における小型化が可能である。
図3及び図4に示すクラッチ装置50の軸55方向における小型化により側板56aと側板56bとの間の距離を短くすることができる。これによりプロセスカートリッジ2(画像形成部)に駆動源となるモータの回転駆動力を伝達する駆動装置の外形(厚み)を小さくすることができ、画像形成装置1の小型化ができる。図8に示す比較例のクラッチ装置110の軸受け123と、Eリング122を省略することでコストダウンを図ることもできる。
本実施形態のクラッチ装置50は、駆動伝達経路の一部に剛性の高い金属製の軸を介さずに、衝撃を吸収できる樹脂部品のみで駆動伝達を行うことができる。これにより駆動を連結する際の衝撃を吸収することができる。衝撃を吸収することにより、感光ドラム22の駆動列に与える衝撃を低減することができ、画像品質を向上でき、衝撃時に発生する衝突音も低減することができる。
<変形例>
次に、図6を用いて第1実施形態のクラッチ装置50の変形例としてのクラッチ装置90の構成について説明する。図6は、変形例のクラッチ装置90の構成を示す斜視説明図である。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
図6に示す変形例のクラッチ装置90は、駆動側の係合部材92と、従動側の係合部材93の形状のみが図2に示す第1実施形態のクラッチ装置50の駆動側の係合部材52と、従動側の係合部材53の形状と異なる。従動側の係合部材93は、軸95に対して回転可能に支持され、駆動側の係合部材92と係合する。駆動側の係合部材92は、駆動部材91と同期して軸95を中心にして回転し、軸95方向(軸方向)に移動可能に構成される。
図6に示す変形例のクラッチ装置90の駆動側の係合部材92と従動側の係合部材93とが、図2に示す第1実施形態のクラッチ装置50の駆動側の係合部材52と従動側の係合部材53と異なる箇所は以下の通りである。駆動側の係合部材92のラチェット部92aと、従動側の係合部材93のラチェット部93aのそれぞれのラチェット爪の個数が増えていることである。
図2に示す第1実施形態のクラッチ装置50では、駆動側の係合部材52と従動側の係合部材53のラチェット部52a,53aのそれぞれのラチェット爪は、軸55を中心とする周方向に90度の位相差を有して4個のラチェット爪が形成された一例であった。
一方、図6に示す変形例のクラッチ装置90では、駆動側の係合部材92と従動側の係合部材93のラチェット部92a,93aのそれぞれのラチェット爪は、軸95を中心とする周方向に60度の位相差を有して6個のラチェット爪が形成された一例である。ラチェット爪の個数が増えることで、軸95を中心とする周方向において爪と爪との間隔が短くできる。
第一、第二のラチェット部92a,93aは、軸95を回転中心として周方向に60度の位相差を有して6つのラチェット爪部が形成されている。駆動側の係合部材92と従動側の係合部材93との駆動の連結動作は、付勢部材97の付勢力を受けて駆動側の係合部材92のラチェット部92aのラチェット爪が、対向する従動側の係合部材93のラチェット部93aのラチェット爪に接触する。
駆動側の係合部材92は、駆動部材91に対して軸95方向に移動可能に支持されている。駆動部材91と駆動側の係合部材92との間には、付勢部材97が設けられている。付勢部材97は、駆動側の係合部材92を従動側の係合部材93と係合する方向に付勢する。
駆動部材91から回転駆動力が伝達された駆動側の係合部材92が回転すると、駆動側の係合部材92のラチェット部92aのラチェット爪がラチェット部93aの次のラチェット爪と係合する。駆動部材91は、側板96a(フレーム)に回転不可能に支持されている軸95に対して回転可能に支持され、駆動源となるモータからの回転駆動力(駆動)を伝達する。
駆動側の係合部材92と従動側の係合部材93との駆動の連結動作は、爪と爪の間隔が長いと、ラチェット部92aが対向するラチェット部93aに着地してから次のラチェット爪と係合するまでの距離が長くなる。このため駆動側の係合部材92の軸95を中心とする回転方向の運動量が大きくなってラチェット爪が係合するときの衝撃が大きくなり、衝突音が大きくなる。
本変形例では、図6に示すように、駆動側の係合部材92と従動側の係合部材93とのラチェット部92a,93aの爪と爪との間隔を短くする。これにより駆動側の係合部材92のラチェット部92aのラチェット爪が、対向する従動側の係合部材93のラチェット部93aに着地してから、次のラチェット爪に係合するまでの距離を短くすることができる。そのため駆動側の係合部材92の軸95を中心とする回転方向の運動量が小さくなる。これにより駆動側の係合部材92と従動側の係合部材93との駆動が連結するときに発生する衝撃を小さくでき、衝突音を低減することができる。
駆動側の係合部材92と従動側の係合部材93とのラチェット部92a,93aのラチェット爪の個数が増えると、駆動側の係合部材92と従動側の係合部材93との駆動が連結する際に一つ一つのラチェット爪にかかる荷重が小さくなる。これにより一つ一つのラチェット爪に対する衝撃を低減することができ、衝突音を低減することができる。
尚、本変形例のクラッチ装置90では、駆動側の係合部材92と従動側の係合部材93のラチェット部92a,93aのそれぞれのラチェット爪は、軸95を中心とする周方向に60度の位相差を有して6個のラチェット爪が形成された一例である。ラチェット爪の数は多くなればなるほど衝突音を低減することができる。
図6に示す96a,96bは側板である。91aは駆動部材91に設けられた溝部である。91bは駆動部材91に設けられた抜け止め部である。91cは駆動部材91の外周面に設けられた歯車である。92bは駆動部材91に設けられた溝部91aに嵌入される回転止め部である。
図6に示す92cは駆動側の係合部材92の円筒部92eの外周面に設けられるスナップフィット部である。スナップフィット部92cは駆動部材91の内周面に設けられた抜け止め部91bに係合される。93bは従動側の係合部材93に設けられた回転止め部である。93cは従動側の係合部材93に設けられた円筒部である。99は解除部材である。99aはカム部である。99a1はカム部99aの天面部である。99a2はカム部99aの底面部である。
解除部材99のカム部99aは、第一のカム面となる天面部99a1と底面部99a2とが設けられており、該天面部99a1と底面部99a2とは斜面部99a3により連続的に接続されている。99bは凹部である。100は軸受け部材である。100aはリブである。100bは凸部である。98はカムギア部材である。98aはカム部である。
カムギア部材98には、解除部材99に設けられた第一のカム面となる天面部99a1と底面部99a2と斜面部99a3と当接摺動して係合する第二のカム面となるカム部98aが設けられている。98bはカムギア部材98の外周面に設けられた歯車である。
カムギア部材98は、制御手段となる図示しないCPU(Central Processing Unit;中央演算装置)により駆動制御される駆動源となるモータの回転駆動力が図示しないギア列に噛合する歯車98bを介して伝達されて回転駆動される。
96b1は貫通穴からなるバーリング部である。96b2は貫通穴である。94は従動部材である。従動部材94は、従動側の係合部材93と同期して軸95を中心として回転する。94aは溝部である。94cは従動部材94の外周面に設けられた歯車である。従動部材94の溝部94aと、従動側の係合部材93の回転止め部93bも図5(a),(b)に示して前述したと同様に構成される。
図5(b)に示すと同様に、従動側の係合部材93の円筒部93cの外周面に設けられた複数の第一の回転止め部93bが従動部材94に設けられた複数の溝部94aに嵌合される。溝部94aの壁面の一部には、図5(a)に示すと同様な図示しない突起部94bが設けられている。
このように、制御手段となる図示しないCPUにより駆動制御されるステッピングモータによりカムギア部材98を回転させる。これにより解除部材99が軸95方向に移動して駆動側の係合部材92を軸95方向に移動させて該駆動側の係合部材92と従動側の係合部材93とを係合または解除する。
駆動側の係合部材92の円筒部92eの内周面側に第一のラチェット部92aが設けられる。従動側の係合部材93に設けられた第二のラチェット部93aが第一のラチェット部92aに係合して駆動側の係合部材92から従動側の係合部材93に駆動を伝達する。
図6に示す本実施形態のクラッチ装置90は、駆動源となるモータから被駆動部材となる現像ローラや感光ドラム22への駆動を伝達する駆動伝達経路を構成する。このような駆動伝達経路を構成する部材である駆動部材91、駆動側の係合部材92、従動側の係合部材93、従動部材94の部品は、全て樹脂材料で形成されている。更に、該駆動伝達経路を解除する解除手段を構成するカムギア部材98、軸受け部材100、解除部材99の部品は、全て樹脂材料で形成されている。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
〔第2実施形態〕
次に、図7を用いて本発明に係る駆動装置を備える画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態及び変形例と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
図7に示す本実施形態のクラッチ装置70は、駆動側の係合部材72と従動側の係合部材73の形状が図2に示す第1実施形態の駆動側の係合部材52と従動側の係合部材53の形状とは異なる。他の部材は同様に構成されるため重複する説明は省略する。従動側の係合部材73は、軸75に対して回転可能に支持され、駆動側の係合部材72と係合する。
駆動側の係合部材72の円筒部72eの内周面側に第一のラチェット部72aが設けられる。従動側の係合部材73に設けられた第二のラチェット部73aが第一のラチェット部72aに係合して駆動側の係合部材72から従動側の係合部材73に駆動を伝達する。駆動側の係合部材72は、第二の回転止め部72bと、第一のラチェット部72aとの間に円筒部72eが設けられている。該円筒部72eには、貫通穴からなる開口72dが設けられている。
従動側の係合部材73は、第二のラチェット部73aと、第一の回転止め部73bとの間に第二の円筒部73cが設けられている。該第二の円筒部73cには、貫通穴からなる第二の開口73dが設けられている。駆動側の係合部材72は、駆動部材71と同期して軸75を中心にして回転し、軸75方向(軸方向)に移動可能に構成される。
図7に示す本実施形態のクラッチ装置70の駆動側の係合部材72と、従動側の係合部材73に対して、図2に示す第1実施形態の駆動側の係合部材52と、従動側の係合部材53とが異なる箇所は以下の構成である。駆動側の係合部材72の円筒部72eと、従動側の係合部材73の円筒部73cとに、それぞれ貫通穴からなる開口72d,73dが設けられている。
駆動側の係合部材72の円筒部72eは、以下の部材間に設けられている。駆動部材71に設けられた溝部71aに嵌合されて回転駆動力が入力される回転止め部72bと、従動側の係合部材73のラチェット部73aに噛合して回転駆動力を従動側の係合部材73側に出力するラチェット部72aとの間に設けられている。駆動部材71は、側板76a(フレーム)に回転不可能に支持されている軸75に対して回転可能に支持され、駆動源となるモータからの回転駆動力(駆動)を伝達する。
従動側の係合部材73の円筒部73cは、以下の部材間に設けられている。駆動側の係合部材72のラチェット部72aに噛合して回転駆動力が入力されるラチェット部73aと、従動部材74の溝部74a内に嵌合して回転駆動力を従動部材74側に出力する回転止め部73bとの間に設けられている。従動部材74は、従動側の係合部材73と同期して軸75を中心として回転する。
駆動側の係合部材72と従動側の係合部材73とは、回転駆動力を伝達する駆動伝達経路の入力部と出力部との間に設けられる円筒部72e,73cにそれぞれ開口72d,73dが設けられている。これにより駆動側の係合部材72と従動側の係合部材73の部品単体の剛性を下げることができる。
回転駆動力を伝達する駆動伝達経路の入力部と出力部との間で開口72d,73dを設けることで駆動側の係合部材72と従動側の係合部材73の部品単体の剛性を下げる。これにより駆動側の係合部材72と従動側の係合部材73との駆動が連結するときに発生する衝撃を開口72d,73dを設けた剛性の低い部分がねじれることで吸収することができる。衝撃を吸収することにより感光ドラム22の駆動列に衝撃が伝わり難くすることで画像品質を向上させることができ、かつ、衝撃時に発生する衝突音も低減することができる。
尚、図7に示す76a,76bは側板である。75は、側板76aに設けられる金属製の軸である。71bは駆動部材71に設けられた抜け止め部である。71cは駆動部材71の外周面に設けられた歯車である。駆動側の係合部材72は、駆動部材71に対して軸75方向に移動可能に支持されている。駆動部材71と駆動側の係合部材72との間には、付勢部材77が設けられている。付勢部材77は、駆動側の係合部材72を従動側の係合部材73と係合する方向に付勢する。付勢部材77は、駆動側の係合部材72を軸75方向に沿って駆動部材71から離間させる方向に付勢する。
72cは駆動側の係合部材72の円筒部72eの外周面に設けられるスナップフィット部である。スナップフィット部72cは駆動部材71の内周面に設けられた抜け止め部71bに係合される。79は解除部材である。79aはカム部である。79a1はカム部79aの天面部である。79a2はカム部79aの底面部である。
解除部材79のカム部79aは、第一のカム面となる天面部79a1と底面部79a2とが設けられており、該天面部79a1と底面部79a2とは斜面部79a3により連続的に接続されている。79bは凹部である。80は軸受け部材である。80aはリブである。80bは凸部である。78はカムギア部材である。78aはカム部である。
カムギア部材78には、解除部材79に設けられた第一のカム面となる天面部79a1と底面部79a2と斜面部79a3と当接摺動して係合する第二のカム面となるカム部78aが設けられている。78bはカムギア部材78の外周面に設けられた歯車である。
カムギア部材78は、制御手段となる図示しないCPU(Central Processing Unit;中央演算装置)により駆動制御される駆動源となるモータの回転駆動力が図示しないギア列に噛合する歯車78bを介して伝達されて回転駆動される。
76b1は貫通穴からなるバーリング部である。76b2は貫通穴である。74cは従動部材74の外周面に設けられた歯車である。従動部材74の溝部74aと、従動側の係合部材73の回転止め部73bも図5(a),(b)に示して前述したと同様に構成される。
図5(b)に示すと同様に、従動側の係合部材73の円筒部73cの外周面に設けられた複数の第一の回転止め部73bが従動部材74に設けられた複数の溝部74aに嵌合される。溝部74aの壁面の一部には、図5(a)に示すと同様な図示しない突起部74bが設けられている。
このように、制御手段となる図示しないCPUにより駆動制御されるステッピングモータによりカムギア部材78を回転させる。これにより解除部材79が軸75方向に移動して駆動側の係合部材72を軸75方向に移動させて該駆動側の係合部材72と従動側の係合部材73とを係合または解除する。
図7に示す本実施形態のクラッチ装置70は、駆動源となるモータから被駆動部材となる現像ローラや感光ドラム22への駆動を伝達する駆動伝達経路を構成する。このような駆動伝達経路を構成する部材である駆動部材71、駆動側の係合部材72、従動側の係合部材73、従動部材74の部品は、全て樹脂材料で形成されている。更に、該駆動伝達経路を解除する解除手段を構成するカムギア部材78、軸受け部材80、解除部材79の部品は、全て樹脂材料で形成されている。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
尚、前述した第1、第2実施形態及び変形例では、各軸55,75,95は、各側板56a,76a,96aにそれぞれ固定せずに回転止めだけされている。他に、各軸55,75,95を各側板56a,76a,96aにカシメて固定しても良い。各軸55,75,95を各側板56a,76a,96aに固定する。その場合は、部品精度等を考慮すると、各軸55,75,95が各側板56a,76a,96aに対向する各側板56b,76b,96bに設けられたバーリング部56b1,76b1,96b1の穴中心に対してズレてしまう場合がある。
このため各従動側の係合部材53,73,93が各側板56b,76b,96bとの摺動により過剰な負荷がかかりバーリング部56b1,76b1,96b1の周縁部に接触する部分が削れる可能性がある。そのため各軸55,75,95を各側板56a,76a,96aにそれぞれ固定する。その場合は、各側板56b,76b,96bに設けられたバーリング部56b1,76b1,96b1の穴径を大きくする。そして、各従動側の係合部材53,73,93と、各側板56b,76b,96bに設けられたバーリング部56b1,76b1,96b1の周縁部との間にガタを設ける必要がある。
各側板56a,56b,76a,76b,96a,96bは、金属素材の板金で構成されている。他に、強度及び耐熱性に優れた樹脂材料で構成することも出来る。このような樹脂材料としては、ポリカーボネート樹脂とABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂とのポリマーアロイ素材が好適である。各側板56a,76a,96aを樹脂材料で構成する場合は、各軸55,75,95も各側板56a,76a,96aと一体で形成することも可能である。