JP2013122537A - 画像形成装置、および駆動伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】係合腕に挿入腕の先端が突き当たって移動部が後退しても移動部が円錐運動の停止状態を保持して姿勢を保ち続け、その後に係合腕と挿入腕が係合した際に新たな軸心のずれが発生しないで済む画像形成装置を提供する。
【解決手段】カップリング61は、軸心のずれた駆動軸81とスリーブ軸31との間でも係合突起611aと係合突起614eを介して動力伝達が可能である。間隙埋め部材617は、駆動軸81に沿って移動可能に配置される。与負荷歯車801及びハスバ歯車617aは、駆動軸81に沿って間隙埋め部材617を移動させて、駆動軸81と出力側係合部材614の隙間に対する間隙埋め部材617の挿入と抜き取りを切り替える。係合突起614eが係合突起611aの間隔に挿入されるまで、間隙埋め部材617を隙間へ挿入して出力側係合部材614の首振り動作を停止させる。
【選択図】図4

Description

本発明は、着脱可能な駆動伝達装置を介して通じて画像形成装置からユニットアセンブリへ動力伝達する画像形成装置、詳しくは着脱時に駆動伝達装置が係合不良を起こしても駆動軸と被駆動軸との間に新たな軸心のずれを発生させない機構に関する。
トナー像を記録材に転写して加熱定着する画像形成装置には、駆動軸の軸線方向に移動させて保守点検又は着脱交換が可能な複数台のユニットアセンブリが取り付けられている。そのようなユニットアセンブリの例は、現像装置ユニット、感光ドラムを含むプロセスカートリッジ、中間転写ユニット、搬送ベルトユニット、定着装置ユニットである。
図3を参照して説明する。ユニットアセンブリ(21)を備えた画像形成装置では、通常、画像形成装置の装置本体側に動力を出力する駆動軸(81)が配置され、ユニットアセンブリ(21)側に、駆動軸(81)に連結されて駆動力を取り込む被駆動軸(31)が配置される。駆動軸(81)と被駆動軸(31)の突合せ部分には、ユニットアセンブリ(21)の移動に伴って動力伝達を着脱する継手機構を兼ねた駆動伝達装置(61)が設けられている(特許文献1)。
特許文献1に記載された駆動伝達装置は、被駆動軸(31)の端部に放射状に突出させて設けられた複数の係合腕(611a)に、駆動軸(81)側の移動部(614)に固定された挿入腕(614e)を係合させて動力伝達を行う。
移動部(614)は、駆動軸(81)を中心とする円錐運動と駆動軸(81)に沿った移動とが可能である。移動部(614)の円錐運動は、運転時に、被駆動軸(31)と駆動軸(81)の軸ずれを吸収する。移動部(614)の駆動軸(81)に沿った移動は、ユニットアセンブリ(21)を挿入する過程で係合腕(611a)に挿入腕(614e)の先端が突き当たった際に、移動部(614)を駆動軸(81)に沿って後退させる。これにより、ユニットアセンブリ(21)の移動が妨げられない。
特開2001−225985号公報
特許文献1に記載された駆動伝達装置(61)は、係合腕(611a)に挿入腕(614e)が突き当たって移動部(614)が後退すると、移動部(614)の円錐運動を強制停止していた機構が外れて、移動部(614)が円錐運動可能になる。そのため、その後に移動部(614)が大きく傾いた状態で係合すると、係合腕(611a)と挿入腕(614e)との間に、それまでに存在しなかった新たな軸心のずれが発生する可能性がある。係合腕(611a)と挿入腕(614e)とが軸心のずれを起こしていると、運転時の駆動軸(81)と被駆動軸(31)との間にラジアル力が発生してユニットアセンブリ(21)が振動を発生する可能性がある。
本発明は、係合腕に挿入腕の先端が突き当たって移動部が後退しても移動部が円錐運動の停止状態を保持して姿勢を保ち続け、その後に係合腕と挿入腕が係合した際に新たな軸心のずれが発生しないで済む画像形成装置を提供することを目的としている。
本発明の画像形成装置は、画像形成装置の装置本体側に配置されて動力を出力する駆動軸と、前記駆動軸の軸線方向に移動可能なユニットアセンブリに前記駆動軸と軸線方向を一致させて配置した被駆動軸と、前記被駆動軸の端部に放射状に突出させて設けられた複数の係合腕と、前記駆動軸を囲んで配置され、前記駆動軸を中心とする円錐運動と前記駆動軸に沿った移動とが可能であって、前記複数の係合腕の間隔に挿入されて動力伝達を行う複数の挿入腕が固定された移動部と、を備え、軸心のずれた前記駆動軸と前記被駆動軸との間でも前記係合腕と前記挿入腕を介して動力伝達が可能なものである。そして、前記駆動軸に沿って移動可能に配置され、前記駆動軸と前記移動部の隙間へ挿入されて前記移動部の円錐運動を停止させる間隙埋め部材と、前記駆動軸に沿って前記間隙埋め部材を移動させて前記隙間に対する前記間隙埋め部材の挿入と抜き取りを切り替える駆動手段とを備える。
本発明の画像形成装置では、ユニットアセンブリを移動させて画像形成装置側の駆動軸に連結する際に、間隙埋め部材によって移動部の駆動軸に対する円錐運動を停止した状態で、被駆動軸の係合腕の間に駆動軸側の挿入腕を挿入して係合できる。そして、挿入する際に係合腕に挿入腕が突き当たって移動部が駆動軸に沿って後退しても、間隙埋め部材によって移動部の円錐運動を停止した状態が維持される。また、運転時には、駆動手段が、駆動軸と移動部の隙間から間隙埋め部材を強制的に退去させて移動部の円錐運動を可能にするため、軸心のずれた駆動軸と被駆動軸との間で動力伝達しても駆動軸と被駆動軸との間にラジアル力が作用しない。
したがって、係合腕に挿入腕の先端が突き当たって移動部が後退しても移動部が円錐運動の停止状態を保持して姿勢を保ち続け、その後に係合腕と挿入腕が係合した際に新たな軸心のずれやラジアル力が発生しないで済む。
画像形成装置の構成の説明図である。 プロセスカートリッジの構成の説明図である。 プロセスカートリッジの駆動系の説明図である。 入力側係合部材に出力側係合部材をかみ合わせた連結状態の説明図である。 入力側係合部材の斜視図である。 出力側係合部材を分解した斜視図である。 入力側係合部材に出力側係合部材をかみ合わせた連結状態の断面図である。 出力側係合部材の円錐運動の説明図である。 間隙埋め部材の配置と構造の説明図である。 間隙埋め部材の動作の説明図である。 実施例2の駆動伝達装置の構成の説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、カップリングが噛み合っていない押し込み状態でもカップリングの半径方向のがたつきが防止され続ける限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
したがって、ユニットアセンブリは、画像形成装置の装置本体に対して着脱可能な着脱ユニットには限らず、駆動軸の軸線方向に引き出し可能であってもそのままでは装置本体から取り外せない引き出しユニットも含む。
画像形成装置は、フルカラー/モノクロ、1ドラム型/タンデム型、直接転写方式/記録材搬送方式/中間転写方式、像担持体の種類、帯電方式、露光方式、現像方式、転写方式、定着方式によらず実施できる。画像形成装置は、電子写真方式の画像形成を行わない印刷装置、インクジェットプリンタを含む。本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図2はプロセスカートリッジの構成の説明図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、記録材搬送ベルト4に沿って画像形成部10Y、10M、10C、10Kを配列したタンデム型記録材搬送方式のフルカラープリンタである。
給送分離部2は、記録材カセット1から引き出した記録材Pを1枚ずつに分離して、レジストローラ3へ送り出す。レジストローラ3は、感光ドラム11Yのトナー像にタイミングを合わせて、記録材Pを記録材搬送ベルト4へ送り出す。
画像形成部10Yでは、感光ドラム11Yにイエロートナー像が形成されて、記録材搬送ベルト4に担持された記録材Pに転写される。画像形成部10Mでは、感光ドラム11Mにマゼンタトナー像が形成されて、記録材搬送ベルト4に担持された記録材Pに転写される。画像形成部10C、10Kでは、それぞれ感光ドラム11C、11Kにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて、記録材搬送ベルト4に担持された記録材Pに転写される。
四色のトナー像を転写された記録材Pは、記録材搬送ベルト4から曲率分離されて定着装置6へ送り込まれる。記録材Pは、定着装置6で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、機体外部へ排出される。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、現像装置13Y、13M、13C、13Kで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、同一に構成される。以下では、画像形成部10Y、10M、10C、10Kの区別を表す符号末尾のY、M、C、Kを省略した符号を構成部材に付して画像形成部10の構成及び動作を総括的に説明する。
図2に示すように、画像形成部10は、感光ドラム11を囲んで、帯電装置14、露光装置12、現像装置13、転写ブレード5を配置している。感光ドラム11は、外周面に感光層が形成され、所定のプロセススピードで矢印R1方向に回転する。
帯電装置14は、感光ドラム11を一様な負極性の暗部電位VDに帯電させる。露光装置12は、各色の分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム11の表面に画像の静電像を書き込む。現像装置13は、トナーを感光ドラム11に供給して、静電像をトナー像に現像する。
転写ブレード5は、記録材搬送ベルト4を押圧して、感光ドラム11と記録材搬送ベルト4との間に転写部を形成する。転写ブレード5にトナーの帯電極性と逆極性の直流電圧が印加されることにより、感光ドラム11に担持されたトナー像が、記録材搬送ベルト4上の記録材へ転写される。
感光ドラム11、帯電装置14、現像装置13は、プロセスカートリッジ21に収納されて、画像形成装置(100:図1)に取り付けられ、一体での交換若しくは部分的な交換・保守が可能である。
<プロセスカートリッジの駆動系>
図3はプロセスカートリッジの駆動系の説明図である。図3は図2のプロセスカートリッジ21を画像形成装置100に装着した状態で上方から見た平断面図である。
図3に示すように、画像形成装置100は、駆動軸81とスリーブ軸31を同軸上に接離可能に配置し、カップリング61を介して駆動軸81からスリーブ軸31に駆動を伝達する。
画像形成装置100において、現像装置13の現像剤、ドラムクリーニング装置14のクリーニングブレード、及び感光ドラム11は、消耗部材である。このため、現像装置13、ドラムクリーニング装置14、及び感光ドラム11は、プロセスカートリッジ21として、一体的に画像形成装置100の装置本体から着脱交換される。
そして、プロセスカートリッジ21には、現像スリーブ、現像剤搬送スクリュー、回収トナー搬送スクリュー、感光ドラム11等の被駆動回転体を有する。プロセスカートリッジ21内の被駆動回転体を駆動するために、画像形成装置100の装置本体にモータを配して、カップリング61、71を通じてプロセスカートリッジ21に駆動力を伝達している。
画像形成装置100は、装置本体の前面からプロセスカートリッジ21を着脱するため、プロセスカートリッジ21の着脱方向は、駆動軸81の軸線に平行な方向である。駆動軸81の軸線に平行な方向で駆動軸81とスリーブ軸31とを着脱するため、設計が簡便で設置スペースが小さなカップリング61を採用している。カップリング61は、同軸上に配された駆動軸81とスリーブ軸31の相対向する端部に複数の係合部を設けた一対の継手部材で構成される。
図3に示すように、感光ドラム11、帯電装置14、現像装置13は、プロセスカートリッジ21のキット側板22、23に支持されている。プロセスカートリッジ21は、画像形成装置100の装置本体に対して前後方向に移動させて取り出し/取り付けが可能である。
画像形成装置100の装置本体に準備されたドラム軸51、駆動軸81、駆動軸91によって、プロセスカートリッジ21に動力が供給される。ドラム軸51は、プロセスカートリッジ21の取り付けに伴って感光ドラム11の中心を貫通して感光ドラム11に連結される。駆動軸81、駆動軸91は、プロセスカートリッジ21の取り付けに伴ってカップリング61、71を勘合させて、現像スリーブ13a、帯電ローラ14aにそれぞれ連結される。
現像装置13及び帯電装置14は、感光ドラム11に挿入されたドラム軸51に対してキット側板22、23の軸受部24、25が嵌合する。更に、キット側板23から突出したピン23aが画像形成装置100の側板52の長孔部52aの短径部に嵌合することによって、現像装置13及び帯電装置14は、キット側板22、23に位置決められる。
現像装置13は、キット側板22、23に固定されている。現像スリーブ13aの回転軸は、キット側板22、23に固定された軸受けによって位置決められている。現像スリーブ13aは、感光ドラム11の軸受部24との距離が予め高精度に調整されて、キット側板22、23に対して組み付けられている。このため、現像スリーブ13aは、プロセスカートリッジ21を画像形成装置100へ装着した状態で、ドラム軸51に対して半径方向に高精度に位置決めされる。
同様に、帯電装置14は、キット側板22、23に固定されている。帯電ローラ14aの回転軸は、キット側板22、23に固定された軸受けによって位置決められている。帯電ローラ14aは、軸受部24、25との距離が予め高精度に調整されてキット側板22、23に対して組み付けられている。このため、帯電ローラ14aは、プロセスカートリッジ21を画像形成装置100へ装着した状態でドラム軸51に対して半径方向に高精度に位置決めされる。
感光ドラム11は、キット側板22、23には位置決めされておらず、ドラム軸51に嵌合することによって位置決めされる。感光ドラム11がドラム軸51に対して位置決めされることで、現像スリーブ13aと帯電ローラ14aの感光ドラム11表面とのクリアランス(SDギャップ)が高精度に設定される。
現像スリーブ13aを駆動する駆動軸81は、現像スリーブ13aに対して、同軸的に配設されている。駆動軸81には電磁クラッチ83が備えられており、電磁クラッチ83を作動させることで、駆動軸81は所定のタイミングで回転可能である。現像スリーブ13aの先端と駆動軸81の先端はカップリング61によって連結され、カップリング61を介して駆動軸81から現像スリーブ13aに駆動力が伝達される。
帯電ローラ14aを駆動する駆動軸91は、帯電ローラ14aに対して、同軸的に配設されている。駆動軸91には電磁クラッチ93が備えられており、電磁クラッチ93を作動させることで、駆動軸91は所定のタイミングで回転可能である。帯電ローラ14aの先端と駆動軸91の先端は、カップリング71によって連結され、カップリング71を介して駆動軸91から帯電ローラ14aに駆動力が伝達される。
現像装置13のカップリング61と帯電装置14のカップリング71の構成は同一である。以下、現像装置13におけるカップリング61を用いた駆動伝達部について説明し、帯電装置14の駆動伝達部に関しては、重複した説明を省略する。
<軸線のずれ>
図3に示すように、画像形成装置100では、プロセスカートリッジ21の位置決めに関して、感光ドラム11の中心を装置本体に固定されたドラム軸51に嵌合させて、プロセスカートリッジ21を位置決め固定する。
しかし、画像形成装置100の装置本体に対するプロセスカートリッジ21の取り付け位置にはバラツキがある。プロセスカートリッジ21に対する各部品の取り付け位置にもバラツキがある。画像形成装置100の装置本体に対するドラム軸51の取り付け位置にもバラツキがある。これらの誤差の集積により、現像スリーブ13aのスリーブ軸31を設計上意図した位置に常に一致して固定することは困難である。
このため、現像スリーブ13aに駆動を伝達するカップリング61においては、装置本体側の駆動軸81とプロセスカートリッジ21側のスリーブ軸31とに軸線のずれが生じる。駆動軸81とスリーブ軸31とに軸線のずれがあると、カップリング61の複数の駆動伝達部(係合部)の接触圧が均一でなくなるため、個々の駆動伝達部の駆動伝達力にアンバランスが生じる。個々の駆動伝達部の駆動伝達力にアンバランスが生じると、駆動軸81からスリーブ軸31へトルクを伝達する以外に、軸線に垂直な面内の或る方向に余った力が作用する。余った力の方向は一定ではなく、回転しながら変化するため、回転周期でプロセスカートリッジ21に対して振動が発生する。プロセスカートリッジ21に振動が加わると、現像スリーブ13aと感光ドラム11のクリアランスに変動が生じて現像品質が低下する。
プロセスカートリッジ21において、スリーブ軸31は、駆動軸81に対して直接に位置決めするものではないため、介在する部品公差を積み上げた量だけスリーブ軸31と駆動軸81の間に軸線ずれ(芯ずれ)が生じる。
<駆動伝達装置>
図4は入力側係合部材に出力側係合部材をかみ合わせた連結状態の説明図である。図3に示すように、駆動軸81は、画像形成装置100の装置本体側に配置されて動力を出力する。被駆動軸の一例であるスリーブ軸31は、駆動軸81の軸線方向に移動可能なユニットアセンブリの一例であるプロセスカートリッジ21に駆動軸81と軸線方向を一致させて配置される。
図4に示すように、複数の係合腕の一例である係合突起611aは、スリーブ軸31の端部に放射状に突出させて設けられる。移動部の一例である出力側係合部材614は、駆動軸81を環状に囲んで配置され、駆動軸81を中心とする円錐運動の一例である首振り動作と駆動軸81に沿った移動とが可能である。出力側係合部材614に固定された複数の挿入腕の一例である係合突起614eは、複数の係合突起611aの間隔に挿入されて動力伝達を行う。
ばね部材の一例である付勢ばね616は、スリーブ軸31へ向かって出力側係合部材614を付勢する。駆動軸81とスリーブ軸31の連結に伴って係合突起611aに係合突起614eの先端が突き当たった際には、付勢ばね616の付勢に逆らって出力側係合部材614が駆動軸81に沿って後退する。
カップリング61は、軸心のずれた駆動軸81とスリーブ軸31との間でも係合突起611aと係合突起614eを介して動力伝達が可能である。カップリング61は、駆動軸81とスリーブ軸31との間に軸線のずれがある場合でも、振動の発生を抑制できる着脱可能な駆動継手である。
カップリング61は、出力側伝達部61bを入力側伝達部61aに結合して駆動伝達する際には、出力側伝達部61bが駆動軸81に駆動ピン613で支持されて円錐運動が可能である。出力側伝達部61bを入力側伝達部61aに結合した状態では、駆動軸81とスリーブ軸31との間に軸線ずれが存在しても、出力側伝達部61bがその姿勢を適宜変化(首振り)させることで、軸線のずれを許容してプロセスカートリッジ21の振動を低減している。
カップリング61は、スリーブ軸31と駆動軸81の間に軸線ずれがある状態でも、入力側伝達部61aと出力側伝達部61bとが係合して動力伝達を行うことができる。首振り自在な出力側係合部材614によって駆動軸81とスリーブ軸31が連結されているため、駆動軸81とスリーブ軸31との間に軸線ずれ(芯ずれ)があっても被駆動ユニットであるプロセスカートリッジ21の振動が低減される。
スリーブ軸31の端部に配設された入力側伝達部61aと駆動軸81の端部に配設された出力側伝達部61bとがカップリング61を構成する。入力側係合部材611の外周に配設された係合突起611aの間隔に、出力側係合部材614の係合突起614eを係合させて出力側伝達部61bが入力側伝達部61aへ駆動力を伝達する。
<入力側伝達部>
図5は入力側係合部材の斜視図である。図5に示すように、スリーブ軸31の端部には、連結ピン612を用いて入力側係合部材611が固定されている。スリーブ軸31は、アルミニウムあるいはステンレス鋼によって形成されている。入力側係合部材611は、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、あるいはこれらの樹脂を含有する樹脂材料によって形成されている。
入力側係合部材611の内径部とスリーブ軸31の外径部とは嵌合して、スリーブ軸31の半径方向に入力側係合部材611は遊び(ガタ)無く固定されている。連結ピン612がスリーブ軸31と入力側係合部材611を連結する位置には、連結ピン612の外径に対応してスリーブ軸31と入力側係合部材611とに嵌合孔が設けられている。
連結ピン612の外径は、φ2mmである。スリーブ軸31に形成された連結ピン612の嵌合孔の内径は、連結ピン612の外径より0〜40μm程度大きく設定している。入力側係合部材611に形成された連結ピン612の嵌合孔の内径は、連結ピン612の外径より50〜100μm程度小さく設定している。したがって、連結ピン612は、入力側係合部材611の嵌合孔とスリーブ軸31の嵌合孔とを貫通して、入力側係合部材611に圧入されて、スリーブ軸31と入力側係合部材611とを一体的に固定している。
スリーブ軸31の嵌合孔の内径を連結ピン612の外径よりも大きく設定した理由は、連結ピン612を挿入する際に、スリーブ軸31が変形することを避けるためである。しかし、スリーブ軸31の嵌合孔の内径は、連結ピン612の外径よりも小さく設定してもよい。スリーブ軸31の嵌合孔に連結ピン612を圧入する場合、嵌合ガタが無くなるため、より大きな振動低減効果が得られるからである。
入力側係合部材611の外周には、駆動力の伝達を受ける係合突起611aが配設されている。係合突起611aは、スリーブ軸31と直交する平面内で90度間隔に4箇所配設されている。係合突起611aの相手部材と接触する係合面(斜線部)は円筒面の一部で形成されていて、係合突起611aの円筒面の軸線は、スリーブ軸31の軸線と直交している。なお、入力側係合部材611の外周に、係合突起611aは、等角度間隔に2箇所あるいは3箇所、あるいは5箇所以上設けても良い。
<出力側伝達部>
図6は出力側係合部材を分解した斜視図である。図7は入力側係合部材に出力側係合部材をかみ合わせた連結状態の断面図である。図8は出力側係合部材の円錐運動の説明図である。
図6に示すように、出力側係合部材614は、駆動軸81の端部を隙間を隔てて挿入可能な円筒形状の内径面614aを有している。内径面614aは、装着する駆動軸81の対向する外径81bよりも大きく設定されている。出力側係合部材614の内径面614aの内径をφ9mmとし、駆動軸81の外径81bをφ6mmとして、駆動軸81と出力側係合部材614との間に、大きな半径方向の遊び(ガタ)を形成している。
また、出力側係合部材614の円筒形状部には軸線を挟んで対向する位置に一対の溝614dが形成され、スライド部材615の突起部(615a:図7の(b))と嵌合している。
図7の(a)に示すように、入力側伝達部61aと対向する側の出力側係合部材614の端部には、4本の円柱状の係合突起614eが配設されている。係合突起614eは、内径面614aの軸線と直交する平面内で内径面614aの軸線を中心とする同心円上に図5に示す入力側伝達部61aの係合突起611aに対応する数だけ等角度間隔に設けられている。係合突起614eの円柱面の軸線は、内径面614aの軸線と平行である。
円筒形の部材であるスライド部材615の内径は、出力側係合部材614の円筒部の外径よりも大きく設定され、出力側係合部材614の円筒部は、スライド部材615の内側に嵌められている。
図7の(b)に示すように、スライド部材615の軸線を挟んで対向する位置には一対の溝孔615bが形成されている。溝孔615bの周囲には内径方向に突起部615aが形成され、装着状態において出力側係合部材614の溝614dと嵌合する。
図6に示すように、スライド部材615の円筒部の一部には半径方向に弾性的に変形可能な係止爪615cが形成されている。出力側係合部材614の外径面に形成された溝部614fに係止爪615cを引っ掛けることにより、出力側係合部材614にスライド部材615を一体的に固定している。スライド部材615は、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、あるいはこれらの樹脂を含有する樹脂材料によって形成されている。スライド部材615は、駆動ピン613となめらかに摺動することができる。
図6に示すように、駆動ピン613は、出力側係合部材614の溝614dおよびスライド部材615の溝孔615bを貫通して駆動軸81の端部に設けられた孔81aに圧入されている。駆動軸81と一体的に結合された駆動ピン613は、外径がφ2mmである。スライド部材615の溝孔615bの幅は、駆動ピン613の外径よりも0〜40μm程度大きく設定している。このため、出力側係合部材614とスライド部材615は、駆動軸81に固定された駆動ピン613の周りを溝孔615bの長さ範囲内で自在に変位可能である。
付勢ばね616は、スライド部材615を介して出力側係合部材614を入力側伝達部材(61a:図5)側に付勢するとともに、出力側係合部材614の軸線が傾かないように出力側係合部材614の姿勢を水平に保持させる。付勢ばね616は、一方端を間隙埋め部材617に形成された台座面617bに保持されている。
図4に示すように、出力側係合部材614とスライド部材615とは、付勢ばね616によって入力側伝達部材61a側に付勢される。入力側伝達部61aと出力側伝達部61bとが係合した状態では、駆動ピン613が溝孔615bのおよそ中央に位置する。
図8の(a)に示すように、このとき、出力側係合部材614とスライド部材615は、駆動ピン613を中心として矢印A方向に変位(首振り)可能である。図8の(a)は、出力側伝達部61bを駆動ピン613と平行な方向から見た状態である。
図8の(b)に示すように、出力側係合部材614とスライド部材615は、溝孔615bの作用によって矢印B方向へも変位(首振り)可能である。図8の(b)は、出力側伝達部61bを(a)の矢印F方向から見た状態である。
図8の(a)に示す矢印A方向の変位(首振り)と図8の(b)に示す矢印B方向の変位(首振り)とが組み合わさることで、出力側係合部材614は、駆動軸81周りの全方位へ変位(首振り)可能である。
図7の(b)に示すように、係合突起614eが設けられた側の出力側係合部材614の端部には、内径面614aの軸線上に位置規制突起614bが設けられている。位置規制突起614bの作用によって、駆動ピン613を溝孔615bの長手方向の中間位置に位置させた状態で、付勢ばね616に付勢された出力側係合部材614の軸方向の位置が決まり、出力側係合部材614の360度の首振り動作が可能になる。
出力側係合部材614は、駆動軸81に固定された駆動ピン613を回転方向に拘束しつつ軸線方向に案内可能な溝孔615bを有する。位置規制突起614bは、付勢ばね616に付勢されてスリーブ軸31に突き当たることにより溝孔615bの長手方向の中間位置に駆動ピン613を位置させた状態で出力側係合部材614を軸線方向に位置決める。
位置規制突起614bは、入力側伝達部61aと出力側伝達部61bとが係合した状態にて、入力側係合部材611と出力側係合部材614との間に軸線方向に一定の隙間を確保して出力側係合部材614の首振り動作を妨げない。位置規制突起614bは、出力側係合部材614が首振り変位するときには変位動作の支点となる。
なお、図9の(b)では、図示の都合上、駆動軸81と出力側係合部材614の間隔は、図10の(b)に示す入力側係合部材611の外周に配設された係合突起611aの幅よりも狭く記載されている。しかし、実際には、駆動軸81と出力側係合部材614の間隔は、係合突起611aの幅に首振り動作に伴う出力側係合部材614の傾き余地を加算した十分な距離を確保しており、出力側係合部材614の軸方向移動及び首振り動作を妨げない。
<係合不良の場合>
カップリング61では、駆動軸81とスリーブ軸31の軸線のずれ量の許容範囲を拡大すべく、特許文献1のものよりも出力側係合部材614の首振り動作の角度範囲を大きく設計している。このため、プロセスカートリッジ21が挿入される際に、出力側係合部材614の首振り動作が解除されたままだと、出力側係合部材614が大きく傾いた状態で入力側伝達部61aに連結されてしまう可能性がある。極端な場合には、出力側係合部材614の係合突起614eのうち隣り合う2本が入力側伝達部61aの2本の係合突起611aの間隔に挿入されて、斜めにロックした状態で駆動を伝達することも考えられる。出力側係合部材614が大きく傾いて駆動を伝達した場合、駆動軸81の回転周期でプロセスカートリッジ21に振動が発生する。
つまり、装置本体側のカップリングとユニット側のカップリングの互いに正対する面(先端面)が押し合う位相で、プロセスカートリッジが挿入された場合、装置本体側のカップリングは、プロセスカートリッジの挿入を妨げないように軸線方向に退去する。装置本体側のカップリングが所定の結合位置よりもさらに押し込まれた状態で、装置本体側のカップリングとユニット側のカップリングが部分的に係合すると、ばね付勢によって装置本体側のカップリングが部分的に係合した側へ傾く可能性がある。
駆動側と非駆動側の軸線のずれをより多く許容するようにカップリングを構成すると、必然的に装置本体側のカップリングの首振り可動範囲を大きく設定しなければならない。装置本体側のカップリングの首振り可動範囲を大きくすると、カップリングの部分的な係合に際して装置本体側のカップリングの姿勢を規制できないため、装置本体側のカップリングが傾いた状態でユニット側のカップリングと係合する可能性がある。このように係合不良が生じたときには、本体側のカップリングが大きく傾いて、所定の係合位置とは異なる位置に係合してしまため、駆動伝達が不安定になって駆動軸の1回転の周期で振動や回転ムラが生じる。
このような係合不良を低減するには、装置本体側のカップリングの首振りの自由度を少なくすれば良いが、その分、装置本体側のカップリングとユニット側のカップリングとの間の軸線ずれの許容量が少なくなって好ましくない。
そこで、以下の実施例では、カップリング61の連結を解除する際には、駆動軸81上の軸線方向に離れた二か所で出力側伝達部61bを支持させて出力側伝達部61bの首振り動作を不可能にしている。新しいプロセスカートリッジ21を装置本体に挿入する際には、装置本体側のカップリングの首振り動作を規制し、プロセスカートリッジ21を挿入後に強制的に規制を解除して首振り動作を可能にしている。これにより、プロセスカートリッジ21の挿入時には、装置本体側のカップリングが斜めに押し込まれて部分的に結合することを防止している。
<実施例1>
図9は間隙埋め部材の配置と構造の説明図である。図10は間隙埋め部材の動作の説明図である。
図9の(a)に示すように、間隙埋め部材617は、駆動軸81に沿って移動可能に配置される。間隙埋め部材617は、出力側係合部材614を首振り動作させる支持位置から離れた位置で駆動軸81と出力側係合部材614の隙間へ挿入されて出力側係合部材614の首振り動作を停止させる。隙間は、軸線方向で出力側係合部材614の首振り支持位置を挟んだスリーブ軸31と反対側に、駆動軸81を囲んで円筒状に設けられる。
間隙埋め部材617は、駆動軸81に嵌合して駆動軸81に沿って移動可能であって、隙間に挿入される円筒部の一例である間隙埋め部617cを有する。間隙埋め部材617は、駆動軸81に対して回転を拘束されて駆動軸81と一体に回転する。
駆動手段の一例である与負荷歯車801及びハスバ歯車617aは、駆動軸81に沿って間隙埋め部材617を移動させて隙間に対する間隙埋め部材617の挿入と抜き取りを切り替える。ハスバ歯車617aは、間隙埋め部材617の外周面に形成される。駆動負荷の一例である与負荷歯車801は、ハスバ歯車617aを介して駆動軸81から動力供給を受ける。
制御部110は、駆動軸81とスリーブ軸31の連結開始前に、駆動軸81とスリーブ軸31の連結後とは反対方向に駆動軸81を回転させる。ハスバ歯車617aの噛み合いのスラスト力により間隙埋め部材617を移動させて隙間に間隙埋め部材617を挿入させる。これにより、少なくとも係合突起614eが係合突起611aの間隔に挿入されるまでは出力側係合部材614の首振り動作を停止させることが可能である。
図9の(a)に示すように、駆動軸81の端部にはDカット面81cが形成されている。間隙埋め部材617の内周面に形成されたDカット面は、駆動軸81のDカット面81cと数十μ程度の隙間を設けて嵌合している。したがって、間隙埋め部材617は、駆動軸81に対して回転方向には固定されながら、軸線方向には自在に進退可能である。
間隙埋め部材617の円筒面には、ハスバ歯車617aが設けられている。ハスバ歯車617aは、駆動軸81と平行に設けられた与負荷軸800の端部に固定された与負荷歯車801と噛み合っている。
ハスバ歯車617aの歯面のねじれ角は、駆動軸81が正回転したときに与負荷軸800を駆動することによる駆動反力が矢印D方向に働いて間隙埋め部材617を矢印D方向に後退させるように設定されている。
与負荷軸800は、画像形成装置の装置本体に配置された不図示の駆動歯車列に連結されている。駆動軸81を正回転させて駆動することにより、与負荷軸800を通じて装置本体側へ駆動力の一部が戻される。与負荷軸800は、回収トナー搬送スクリューを駆動するものとしてもよく、プロセスカートリッジ21内の機構を駆動してもよく、トルクリミッタや他の固定部材との摺擦面などを設けてハスバ歯車617aに負荷を与える構成としてもよい。
図9の(b)に示すように、間隙埋め部材617の出力側係合部材614側の端部には、間隙埋め部617cが設けられている。間隙埋め部617cは、駆動軸81の外径81bとスライド部材615の一方端に設けられた内周面615dとの間の円筒状の間隙に嵌合してスライド部材615の首振り動作を規制する。
図7の(a)に示すように、駆動軸81が正回転したときに、間隙埋め部617cは、矢印B方向に駆動される。間隙埋め部617cが駆動軸81の外径81bとスライド部材615の内周面615dとの間の円筒状の間隙から退去して、スライド部材615の首振り動作が可能になる。
通常、プロセスカートリッジ21の着脱の必要が生じるのはプロセスカートリッジ21の交換寿命の警告が出て、プロセスカートリッジ21を交換する場合である。
図9の(a)に示すように、プロセスカートリッジ21の交換時、古いプロセスカートリッジ21を抜き取る前に、あらかじめ駆動軸81を逆回転させる。すると、間隙埋め部材617に形成されたハスバ歯車617aが与負荷軸800を駆動する際の駆動反力によって、間隙埋め部材617は、矢印C方向へ移動して、台座面617bがスライド部材615の端面に突き当たったところで停止する。
ここで、間隙埋め部材617は、付勢ばね616を押し縮めて停止するため、付勢ばね616の作用によって矢印C方向へ力を受ける。しかし、付勢ばね616が与える力よりもハスバ歯車617aの駆動反力としてのスラスト力のほうが大きくなるように付勢ばね616が選択されているため、間隙埋め部材617の移動を妨げない。付勢ばね616から与えられる力は約0.8〜1N(80〜100gf)、駆動反力としてのスラスト力は約1.5〜2.5N(150〜250gf)に設定している。
駆動軸81の回転が停止した状態では、圧縮された付勢ばね616の力がハスバ歯車617aを介して駆動軸81を正方向へ回転させようとする。しかし、付勢ばね616の力が駆動軸81を正方向へ回転させる力は、与負荷軸800の回転負荷に比べて十分小さいため、駆動軸81は回転せず、間隙埋め部材617を矢印D方向へ移動させることはない。
図9の(b)に示すように、矢印C方向に移動した間隙埋め部材617は、その外周面に形成された間隙埋め部617cが駆動軸81の外径81bとスライド部材615の内周面615dとの間隙に挿入されてスライド部材615の首振り動作を規制する。このとき、出力側係合部材614は、付勢ばね616によって駆動ピン613が溝孔615bの端部に突き当たる位置まで付勢されるとともに、間隙埋め部617cの作用によって首振り動作を規制された状態で、その位置と姿勢が決められている。
図10の(a)は入力側伝達部材61aに対して出力側伝達部61bが正常に係合した状態である。図10の(a)に示すように、入力側の係合突起611aが出力側の係合突起614eと嵌合する位相であった場合は、入力側伝達部61aの先端面と出力側係合部材614が押し合った状態で挿入されていく。そして、最終的に出力側係合部材614は軸線方向の所定の係合位置で停止する。
プロセスカートリッジ21の挿入直後は、出力側係合部材614とスライド部材615とが所定の係合位置にあるが、間隙埋め部617cが駆動軸81の外径81bと内周面615dとの間隙に挿入されているため、依然首振り動作は規制されている。
次に、駆動軸81を駆動して正回転させると、与負荷軸800を駆動するための駆動反力により、間隙埋め部材617が矢印D方向に付勢されて間隙埋め部617cが装置本体側へ退避する。これにより、駆動軸81の外径81bと内周面615dとの間隙が確保されて、出力側係合部材614は、駆動軸81(駆動ピン613)を中心にして首振り動作が可能となる。
図10の(b)は、入力側伝達部材61aに対して出力側伝達部61bの先端が突き当たって正常な係合が妨げられた状態である。図10の(b)に示すように、入力側の係合突起611aと出力側の係合突起614eの軸線方向に対向する面が押し合う位相であると、出力側係合部材614は所定の係合位置よりも奥まで押し込まれてしまう。
しかし、挿入される過程で常に間隙埋め部617cが出力側係合部材614とスライド部材615の首振り動作を規制している。このため、出力側係合部材614とスライド部材615はその軸線を駆動軸81の軸線に対して略一致したまま進退するのみであり、途中で傾いて係合することはない。図10の(b)は、プロセスカートリッジ21が挿入された直後の出力側伝達部61bの側面図を示す。
その後、駆動軸81に駆動を入力するとほどなく、係合突起611aと出力側の係合突起614eの軸線方向に対向する面がスリップして正しい係合状態に移行する。出力側係合部材614が姿勢を保って傾くことなく軸線方向に進退できるため、正しい係合状態の位相に到達した時点で、付勢ばね616の作用によって、出力側係合部材614が入力側伝達部61aの方向に付勢されて正常な係合状態に復帰する。
図9の(a)に示すように、駆動軸81の回転に伴って、間隙埋め部材617が矢印D方向に付勢されて、駆動軸81の外径81bと内周面615dとの間隙から間隙埋め部617cが退避する。このため、出力側係合部材614とスライド部材615は、駆動ピン613を中心にして首振り動作が可能となる。
与負荷軸800の駆動反力によって矢印D方向に移動した間隙埋め部材617は、駆動軸81に設けられたDカットの端面81cに突き当たって位置が決められる。
なお、プロセスカートリッジ21を挿入していく過程で、付勢ばね616の反力やハスバ歯車617aを介した与負荷軸800の回転負荷が軸線方向の負荷となる。しかし、これらの軸線方向の負荷は、作業者の押し込み力に比べて十分小さいため、プロセスカートリッジ21の挿入作業を阻害するものではない。
実施例1によれば、駆動側と非駆動側の軸線のずれをより多く許容するようにカップリングの首振り可動範囲を大きく設定することができる。画像形成装置100の装置本体にプロセスカートリッジ21を装着する際には、間隙埋め部材617の働きにより出力側係合部材614の姿勢変化が規制されるため、係合不良を低減することができる。また、駆動伝達時には間隙埋め部材617が退避することで、出力側係合部材614と駆動軸81との間隙を確保して、出力側係合部材614の首振り動作を阻害しない。
駆動伝達軸と被駆動軸に軸線のずれが生じた場合であっても、軸線のずれを許容するとともに、ユニットの挿抜などにより駆動伝達装置の着脱が生じる際に、確実に所定の係合姿勢で駆動を伝達することができる。
実施例1は、レーザービームプリンタや複写機等の電子写真画像形成装置等に使用されるプロセスカートリッジに関しているが、本発明の実施はプロセスカートリッジには限定されない。また、プロセスカートリッジ21において、駆動軸81側に入力側伝達部材61aを設け、スリーブ軸31側に出力側伝達部61bを設けて、駆動伝達を行ってもよい。
<実施例2>
図11は実施例2の駆動伝達装置の構成の説明図である。実施例2のカップリング(駆動伝達装置)61Dは、図3の画像形成装置100において、実施例1のカップリング61を置き換えて使用される。カップリング61Dは、第2付勢ばね618が付設されている以外は、実施例1のカップリング61と同一に構成される。したがって、図11中、実施例1のカップリング61と共通する構成には、図3〜図10と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
図11に示すように、第2付勢ばね618は、間隙埋め部材617を矢印C方向に付勢する。留め輪619は、駆動軸81に固定された第2付勢ばね618の着座部材である。第2台座面620は、間隙埋め部材617の一方端に設けられて、第2付勢ばね618の付勢力を受ける。
付勢ばね616は、間隙埋め部材617に対して矢印D方向の力を作用する。第2付勢ばね618は、間隙埋め部材617に対して矢印C方向の力を作用する。ここで、付勢ばね616と第2付勢ばね618の力には、常に、次式の関係となるようばね力が設定されている。
(第2付勢ばね618の力)>(付勢ばね616の力) ・・・(1)
また、付勢ばね616と第2付勢ばね618と与負荷軸800を駆動する際の駆動反力としての軸線方向の力との大小関係が常に次式の関係となるように、ばね力および与負荷軸800の負荷トルクが設定されている。
(第2付勢ばね618の力)−(付勢ばね616の力)<(与負荷軸800の駆動反力) ・・・(2)
図3に示すように、実施例2においては、プロセスカートリッジ21の交換のためにプロセスカートリッジ21を取り出す際には、電磁クラッチ83を解除して、駆動軸81を、駆動軸81よりも上流の駆動列から切り離している。このとき、上記(1)式により、第2付勢ばね618の力が付勢ばね616の力に打ち勝つため、間隙埋め部材617は矢印C方向に付勢される。押し縮められた第2付勢ばね618の付勢力は、ハスバ歯車617aを介して駆動軸81を逆回転させる方向に作用する。
入力側係合部材611と出力側係合部材614とが係合している間は、互いの係合突起が噛み合っているので、駆動軸81は逆回転ができない。しかし、プロセスカートリッジ21を外して入力側係合部材611と出力側係合部材614との係合を解除すると、電磁クラッチ83が解除されている駆動軸81は、逆回転を始めて間隙埋め部材617がスライド部材615の方向にスラスト移動する。そして、間隙埋め部材617は、スライド部材615の端面に突き当たって停止する。このとき、間隙埋め部材617の間隙埋め部617cが駆動軸81の外径81bと内周面615dとの間に挿入されて、出力側係合部材614の首振り動作が規制される。
新しいプロセスカートリッジ21の装着後、入力側係合部材611と出力側係合部材614とが係合して駆動軸81からスリーブ軸31へ駆動力が伝達されると、間隙埋め部材617は矢印D方向に移動する。上記(2)式により、付勢ばね616と与負荷軸800の駆動反力の作用が第2付勢ばね618の反発力に打ち勝つからである。これにより、実施例2でも、プロセスカートリッジ21の初回起動時には、実施例1と同様に、間隙埋め部材617が駆動軸81とスライド部材615の間隙から退去して、出力側係合部材614は、駆動ピン613を中心にした首振り動作が可能になる。
実施例2では、実施例1に比べて、プロセスカートリッジ21交換前に駆動軸81を逆方向に駆動する必要がなく、出力側係合部材614とスライド部材615の首振り動作を規制することができる。
1 記録材カセット、3 レジストローラ、4 記録材搬送ベルト
5 転写ブレード、6 定着装置、11 感光ドラム、12 露光装置
13 現像装置、14 帯電装置、21 プロセスカートリッジ
31 スリーブ軸(被駆動軸)、61 カップリング(駆動伝達手段)
61a 入力側伝達部、61b 出力側伝達部、81 駆動軸
83 電磁クラッチ、100 画像形成装置、611 入力側係合部材
611a 係合突起、613 駆動ピン、614 出力側係合部材
614e 係合突起、615 スライド部材、615b 溝孔
616 付勢ばね、617 間隙埋め部材、617b 台座面
617c 間隙埋め部、618 第2付勢ばね
800 与負荷軸、801 与負荷歯車

Claims (7)

  1. 画像形成装置の装置本体側に配置されて動力を出力する駆動軸と、
    前記駆動軸の軸線方向に移動可能なユニットアセンブリに前記駆動軸と軸線方向を一致させて配置した被駆動軸と、
    前記被駆動軸の端部に放射状に突出させて設けられた複数の係合腕と、
    前記駆動軸を囲んで配置され、前記駆動軸を中心とする円錐運動と前記駆動軸に沿った移動とが可能であって、前記複数の係合腕の間隔に挿入されて動力伝達を行う複数の挿入腕が固定された移動部と、を備え、
    軸心のずれた前記駆動軸と前記被駆動軸との間でも前記係合腕と前記挿入腕を介して動力伝達が可能な画像形成装置において、
    前記駆動軸に沿って移動可能に配置され、前記駆動軸と前記移動部の隙間へ挿入されて前記移動部の円錐運動を停止させる間隙埋め部材と、
    前記駆動軸に沿って前記間隙埋め部材を移動させて前記隙間に対する前記間隙埋め部材の挿入と抜き取りを切り替える駆動手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記隙間は、軸線方向で前記支持位置を挟んだ前記被駆動軸と反対側に、前記駆動軸を囲んで円筒状に設けられ、
    前記間隙埋め部材は、前記駆動軸に嵌合して前記駆動軸に沿って移動可能であって、前記隙間に挿入される円筒部を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記間隙埋め部材は、前記駆動軸に対して回転を拘束されて前記駆動軸と一体に回転し、
    前記駆動手段は、前記間隙埋め部材の外周面に形成されたハスバ歯車と、前記ハスバ歯車を介して前記駆動軸から動力供給を受ける駆動負荷と、を有し、前記駆動軸と前記被駆動軸の連結開始前に、前記駆動軸と前記被駆動軸の連結後とは反対方向に前記駆動軸を回転させて、前記ハスバ歯車の噛み合いのスラスト力により前記間隙埋め部材を移動させて前記隙間に前記円筒部を挿入させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  4. 前記被駆動軸へ向かって前記移動部を付勢するばね部材を備え、前記駆動軸と前記被駆動軸の連結に伴って前記係合腕に前記挿入腕の先端が突き当たった際には、前記ばね部材の付勢に逆らって前記移動部が前記駆動軸に沿って後退することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記移動部は、前記駆動軸に固定された駆動ピンを回転方向に拘束しつつ軸線方向に案内可能な溝孔を有し、
    前記移動部は、前記ばね部材に付勢されて前記被駆動軸に突き当たることにより前記溝孔の長手方向の中間位置に前記駆動ピンを位置させた状態で前記移動部を軸線方向に位置決める位置規制突起を有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
  6. 駆動軸と軸線方向を一致させて配置した被駆動軸の端部に放射状に突出させて設けられた複数の係合腕と、
    前記駆動軸を囲んで配置され、前記駆動軸を中心とする円錐運動と前記駆動軸に沿った移動とが可能であって、前記複数の係合腕の間隔に挿入されて動力伝達を行う複数の挿入腕が固定された移動部と、を備え、
    軸心のずれた前記駆動軸と前記被駆動軸との間で前記係合腕と前記挿入腕を介して動力伝達が可能な駆動伝達装置において、
    前記駆動軸に沿って移動可能に配置され、前記駆動軸と前記移動部の隙間へ挿入されて前記移動部の円錐運動を停止させる間隙埋め部材と、
    前記駆動軸に沿って前記間隙埋め部材を移動させて前記隙間に対する前記間隙埋め部材の挿入と抜き取りを切り替える駆動手段と、を備えることを特徴とする駆動伝達装置。
  7. 被駆動軸と軸線方向を一致させて配置した駆動軸の端部に放射状に突出させて設けられた複数の係合腕と、
    前記被駆動軸を囲んで配置され、前記被駆動軸を中心とする円錐運動と前記被駆動軸に沿った移動とが可能であって、前記複数の係合腕の間隔に挿入されて動力伝達を行う複数の挿入腕が固定された移動部と、を備え、
    軸心のずれた前記駆動軸と前記被駆動軸との間で前記係合腕と前記挿入腕を介して動力伝達が可能な駆動伝達装置において、
    前記被駆動軸に沿って移動可能に配置され、前記被駆動軸と前記移動部の隙間へ挿入されて前記移動部の円錐運動を停止させる間隙埋め部材と、
    前記被駆動軸に沿って前記間隙埋め部材を移動させて前記隙間に対する前記間隙埋め部材の挿入と抜き取りを切り替える駆動手段と、を備えることを特徴とする駆動伝達装置。
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