以下に図1〜図3、図7〜図9を用いてレーザプリンタからなる画像形成装置201に設けられる感光ドラム203に対して接離可能な一次転写ローラ214の駆動制御装置2の比較例について説明する。
図2(a)〜(c)に示す中間転写ベルト206の内周側には、四本の一次転写ローラ214Y,214M,214C,214Bkが取り付けられている。各一次転写ローラ214は、四色のプロセスカートリッジ202の各感光ドラム203Y,203M,203C,203Bkにそれぞれ対向する。
一次転写ローラ214は、中間転写ベルト206の内周部に設けられた図3(a)〜(c)に示す接離装置1によって、各感光ドラム203に対して当接または離間できるようになっている。四本の一次転写ローラ214の当接及び離間動作は、プリント信号に基づいて、図2(a)〜(c)に示す三つの当接及び離間モードを有する。
図2(a)に示す第一の当接及び離間モードは、全ての一次転写ローラ214が感光ドラム203から離間している全離間状態である。これは、プリント動作の前回転及び後回転において、中間転写ベルト206と感光ドラム203とを離間させて摺擦を無くし、摺擦抵抗の低減や、摺擦部の磨耗を防止するためのモードである。
図2(b)に示す第二の当接及び離間モードは、一次転写ローラ214BkがブラックBkのプロセスカートリッジ202Bkの感光ドラム203Bkに中間転写ベルト206を介在して当接する。そして、残り三本の一次転写ローラ214Y,214M,214Cが感光ドラム203Y,203M,203Cから離間されているモノカラー当接状態である。
これは、モノカラープリント動作において、ブラックBkの感光ドラム203Bkから中間転写ベルト206の外周面上に感光ドラム203Bkの表面上のトナー画像を一次転写するためのモードである。中間転写ベルト206にプリント動作に必要ない感光ドラム203Y,203M,203Cを接触させないことで、該感光ドラム203Y,203M,203Cの回転を停止させることができる。
図2(c)に示す第三の当接及び離間モードは、全ての一次転写ローラ214が感光ドラム203にそれぞれ当接しているフルカラー当接状態である。これは、フルカラープリント動作において、全ての感光ドラム203から中間転写ベルト206の外周面上に該感光ドラム203の表面上のトナー画像をそれぞれ一次転写するためのモードである。
次に、図3(a)〜(c)を用いて図2(a)〜(c)に示す三つの当接及び離間モードを切り替える構成について説明する。図3(a)〜(c)に示すように、中間転写ベルト206の内周部に設けられた接離装置1によって四本の一次転写ローラ214をそれぞれ図3(a)〜(c)の上下方向(鉛直方向)に往復移動させる。
一次転写ローラ214は、各一次転写ローラ214を回転可能に支持する支持部材301に取り付けられている。支持部材301は、中間転写ベルト206を回転可能に支持する図示しない支持フレームに設けられた摺動部302によって摺動自在に支持されている。また、各支持部材301の上端部にはボス303が設けられている。
111は回転中心111dを中心に回転可能に設けられたカムである。カム111は三つのカム面111a,111b,111cを有している。カム111の回転中心111dと同軸上には歯車110が固定されており、図7及び図8に示して後述する駆動制御装置2によって歯車110を介してカム111が回転中心111dを中心に連続的に120度ずつ回転するようになっている。
112は、図3(a)〜(c)の左右方向(水平方向)にスライド可能に設けられたスライダである。スライダ112は、一端部が装置フレームに係止された圧縮バネ113の他端部がスライダ112に設けられた当接部112aに当接係止される。これによりスライダ112は、圧縮バネ113の伸長力によりカム111に向かって図3(a)〜(c)の右方向に常時付勢されている。
これによりスライダ112の当接面112bがカム111の三つのカム面111a,111b,111cに当接摺動する。スライダ112は当接面112bが当接するカム111の三つのカム面111a,111b,111cに応じて、図3(a)〜(c)に示す三つの停止位置を有する。
図3(a)〜(c)に示すように、スライダ112には、四本の一次転写ローラ214の各々に対応する位置にクランク形状の貫通穴304Y,304M,304C,304Bkが形成されている。クランク形状の各貫通穴304は以下の通りである。一次転写ローラ214を回転可能に支持する支持部材301の端部に突出してボス303が設けられており。該ボス303がクランク形状の各貫通穴304内に摺動自在に挿通されている。これによりスライダ112の図3(a)〜(c)の左右方向(水平方向)位置によって一次転写ローラ214を図3(a)〜(c)の上下方向(鉛直方向)に移動させる。
図3(a)〜(c)に示すように、スライダ112に設けられた四つの貫通穴304のクランク形状は以下の通りである。該スライダ112が停止する図3(a)〜(c)に示す三つの位置により図2(a)〜(c)に示す三つの当接及び離間モードに対応する。そのように四本の一次転写ローラ214を図2(a)〜(c)の上下方向に移動させる。
図3(a)〜(c)に示すように、カム111を図3(a)〜(c)の時計回り方向に120度ずつ回転させる。これにより図3(a)に示す全離間モードから、図3(b)に示すモノカラー当接モード、更に、図3(c)に示すフルカラー当接モードの順に切り替えられるように貫通穴304のクランク形状が設定されている。
図3(a)に示す全離間モードに対して、図3(b)に示すモノカラー当接モードでは以下の通りである。図2(b)に示すように、一次転写ローラ214Bkのみが図3(b)に示す貫通穴304Bkのクランク形状の図3(b)の上下方向のズレ量dだけ図3(b)の鉛直方向下方である感光ドラム203Bk側へ移動して当接される。
また、図2(c)及び図3(c)に示すフルカラー当接モードでは、全ての一次転写ローラ214が感光ドラム203側へ移動して当接される。
次に図7(a),(b)を用いて第1比較例の駆動制御装置2の構成について説明する。図7(a),(b)において、101は駆動歯車である。駆動歯車101は、制御手段となる制御部8に制御されて所定のタイミングと回転数で回転する駆動源となるモータ9によって図7(a)の時計回り方向に一定方向で回転される。
102は欠歯歯車である。欠歯歯車102の両面側には係止部103と歯車102bとが一体的に形成されている。本比較例では、特許文献1に示されたと同様に欠歯歯車102は、係止部103を有し、ソレノイド104と引張りバネ105とによって、欠歯部102aが駆動歯車101に噛合しない状態で停止可能となっている。
ソレノイド104を解除すると、引張りバネ105の引っ張り力により欠歯歯車102が図7(a)の反時計回り方向に回転する。これにより欠歯歯車102の歯部102cが駆動歯車101に噛合して該駆動歯車101から欠歯歯車102に回転駆動力が伝達される。
駆動歯車101に噛合して欠歯歯車102が図7(a)の反時計回り方向に一回転して欠歯部102aが駆動歯車101に対向すると、欠歯歯車102は、引張りバネ105の引っ張り力によって図7(a)の反時計回り方向に回転する。これにより欠歯歯車102に設けられた係止部103と、ソレノイド104の係止部104aとが係止されて欠歯歯車102が回転を停止する。図7(a),(b)において、108は二つの歯車108a,108bが一体的に形成された段歯車である。109は段歯車108の回転を歯車110に伝達する歯車である。
次に図7(a),(b)に示す歯車102b,108a,108b,109,110から成る歯車列7の減速比について説明する。歯車102b,108a,108b,109,110から成る歯車列7は、歯車102bと歯車110との減速比が3:1となるようにそれぞれの歯数が設定されている。従って、欠歯歯車102が一回転する度に、図3(a)〜(c)に示すように、歯車110と同軸上で一体的に設けられたカム111が3分の1回転、つまり120度(=360度/3)ずつ回転するようになっている。
これにより図3(a)〜(c)に示すように、三つのカム位置を切り替えることが可能である。図7(a)に示すソレノイド104の係止部104aと、欠歯歯車102に一体的に設けられた係止部103との係止及び解除を繰り返す。これにより図2(a)〜(c)に示すように、一次転写ローラ214を感光ドラム203に対して所望の制御位置に遷移することが出来る。
また、同様の機能を有する駆動制御装置2として、図8(a),(b)に示すように、二つの欠歯歯車502,503を組み合わせた第2比較例がある。本比較例では、特許文献2に示されたと同様に二つの欠歯歯車502,503からなる欠歯クラッチを用いている。
図8(a),(b)に示す欠歯歯車502の片面側には係止部504が一体的に設けられている。ソレノイド104の係止部104aが係止部504に係止されることにより欠歯歯車502の欠歯部502aが駆動歯車101に対向して該欠歯歯車502の歯部502cが駆動歯車101に噛合しない状態で停止可能となっている。
また、欠歯歯車503の片面側には歯車503bが一体的に設けられており、該歯車503bの片面側にはボス503cが突出して設けられている。そして、欠歯歯車502と、欠歯歯車503との間に設けられた図示しない圧縮バネの付勢力によって、欠歯歯車503の欠歯部503aが駆動歯車101に対向して該欠歯歯車503の歯部503dが駆動歯車101に噛合しない状態で停止可能となっている。
本比較例によれば、ソレノイド104を解除すると、欠歯歯車502と、欠歯歯車503との間に設けられた図示しない圧縮バネの付勢力によって、欠歯歯車502が回転を開始し、該欠歯歯車502の歯部502cが駆動歯車101と噛合する。欠歯歯車502と、欠歯歯車503との間には、図示しない回転止め部が形成されており、欠歯歯車502が所定の回転角度だけ回転すると、回転止め部が作用して欠歯歯車503が回転を開始する。
そして、駆動歯車101に噛合する欠歯歯車502が図8(a)の反時計回り方向に一回転する。すると、該欠歯歯車502の欠歯部502aが駆動歯車101に対向して該駆動歯車101との噛合が解除される。そして、該欠歯歯車502に一体的に設けられた係止部504と、ソレノイド104の係止部104aとが係止されて該欠歯歯車502の回転が再び停止する。
続いて、欠歯歯車503が、該欠歯歯車503と欠歯歯車502との間に設けられた図示しない圧縮バネを圧縮しながら回転し、該欠歯歯車503の欠歯部503aが駆動歯車101に対向して該駆動歯車101との噛合が解除される。
引張りバネ506の一端が装置フレーム3に係止され、他端が回動中心505aを中心に回動可能に設けられたレバー505に係止されている。この引張りバネ506の引っ張り力により該レバー505に当接可能に設けられたボス503cが回動中心505aを中心に回動するレバー505により押圧されて欠歯歯車503が停止位置まで回転する。
尚、レバー505の回動中心505aを中心とする回動範囲は、該回動中心505aに設けられた図示しない規制部材により規制されている。これにより欠歯歯車503が駆動歯車101と噛合していない状態において、レバー505がボス503cを付勢しないように該レバー505の回転止めがなされている。
本比較例によっても前記第1比較例の駆動制御装置2と同様に図3(a)〜(c)に示すように、三つのカム位置を切り替えることが可能である。図8(a)に示すソレノイド104の係止部104aと、欠歯歯車502に一体的に設けられた係止部504との係止及び解除を繰り返す。これにより図2(a)〜(c)に示すように、一次転写ローラ214を感光ドラム203に対して所望の制御位置に遷移することが出来る。
図により本発明に係る駆動制御装置を備えた画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
[第1実施形態]
<画像形成装置>
先ず、図1〜図5を用いて本発明に係る駆動制御装置を備えた画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。図1はレーザプリンタからなる画像形成装置201の構成を示す断面説明図である。図1において、202Y,202M,202C,202Bkは、それぞれイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBkの四色に対応する四本のプロセスカートリッジである。尚、説明の都合上、各プロセスカートリッジ202Y,202M,202C,202Bkを代表して単にプロセスカートリッジ202を用いて説明する場合もある。他の画像形成プロセス手段についても同様である。
プロセスカートリッジ202の内部には、トナー像が担持される像担持体となる感光ドラム203が設けられている。感光ドラム203の周囲には、該感光ドラム203の表面を一様に帯電する帯電手段となる帯電ローラ4が設けられる。
更に、帯電ローラ4により一様に帯電された感光ドラム203の表面に画像情報に応じたレーザ光204aを照射する像露光手段となるレーザスキャナ204が設けられる。更に、レーザスキャナ204によりレーザ光204aが照射されて静電潜像が形成された感光ドラム203の表面に現像剤となるトナーを供給する現像手段であって現像剤担持体となる現像ローラ5が設けられている。
現像ローラ5により感光ドラム203の表面に現像剤となるトナーを供給する。これにより画像情報に基づいてレーザスキャナ204から照射されるレーザ光204aによって感光ドラム203の表面上に形成された静電潜像を公知の電子写真プロセスによりトナー像として現像する。
各感光ドラム203に対向してローラ206a,206bにより回転可能に張架された中間転写体となる中間転写ベルト206が設けられている。中間転写ベルト206の内周部には一次転写手段(転写手段)となる一次転写ローラ214が設けられている。一次転写ローラ214は、図4(a),(b)に示して後述する駆動制御装置2により回転駆動される被駆動体となるカム111により制御される。そして各感光ドラム203に対して中間転写ベルト206を介在して接離可能に構成される。
各一次転写ローラ214は、図3に示す接離手段となる接離装置1により図2に示すように、中間転写ベルト206を介在して各感光ドラム203に当接したり離間するように構成される。
各感光ドラム203の表面に現像されたトナー像は、各一次転写ローラ214にそれぞれ一次転写バイアス電圧が印加されて中間転写ベルト206の外周面上に転写される。各色を連続的に中間転写ベルト206の外周面上に転写していくことで、該中間転写ベルト206の外周面上に四色からなるトナー画像が形成される。中間転写ベルト206の外周面上に形成されたトナー画像は二次転写手段となる二次転写ローラ207が対向する二次転写ニップ部に搬送される。
一方、画像形成装置201の下部にはシート208を収納可能な給送ユニット209が設けられている。給送ユニット209内に収容されたシート208の先端部付近に配置された給送ローラ210が回転する。
これによりシート208は、図示しない分離手段との協働により一枚ずつ分離給送される。その後、レジストローラ211によって更に下流の中間転写ベルト206と二次転写ローラ207とが当接する二次転写ニップ部に所定のタイミングで搬送される。
続いて、二次転写ローラ207に二次転写バイアス電圧が印加されることで中間転写ベルト206の外周面上のトナー画像が二次転写ニップ部に所定のタイミングで搬送されたシート208上に転写される。
未定着のトナー画像が転写されたシート208は、更に下流に搬送され、定着手段となる定着装置212によって加熱及び加圧されてシート208上のトナーが溶融することでトナー画像がシート208に定着される。その後、シート208は排出トレイ213上に排出される。以上の一連の画像形成動作によりシート208の表面にトナー画像の形成が行なわれる。
<転写手段の当接及び離間モード>
次に、図2(a)〜(c)を用いて各一次転写ローラ214の各感光ドラム203に対する当接及び離間モードについて説明する。中間転写ベルト206には、四色のプロセスカートリッジ202の各感光ドラム203に対向するように、四本の一次転写ローラ214Y,214M,214C,214Bkが取り付けられている。
各一次転写ローラ214は中間転写ベルト206の内周部に設けられた接離装置1によって該中間転写ベルト206を介在して各感光ドラム203に対して当接したり離間できるようになっている。
各一次転写ローラ214の各感光ドラム203に対する当接及び離間動作は、プリント信号に基づいて、図2(a)〜(c)に示す三つの当接及び離間モードを有している。図2(a)に示す第一の当接及び離間モードは、全ての一次転写ローラ214が各感光ドラム203から離間している全離間モードである。
これは、プリント動作の前回転及び後回転において、中間転写ベルト206と感光ドラム203とを離間させて摺擦を無くし、摺擦抵抗の低減や、摺擦部の磨耗を防止するためのモードである。
図2(b)に示す第二の当接及び離間モードは、一次転写ローラ214Bkが中間転写ベルト206を介在してブラックBkのプロセスカートリッジ202Bkの感光ドラム203Bkに当接する。そして、残り三本の一次転写ローラ214Y,214M,214Cは各感光ドラム203の表面から離間しているモノカラー当接モードである。
これは、モノカラープリント動作において、ブラックBkの感光ドラム203Bkから中間転写ベルト206の外周面上に該感光ドラム203Bkの表面上のトナー画像を一次転写するためのモードである。
中間転写ベルト206にプリント動作に必要ない感光ドラム203Y,203M,203Cを接触させないことで、該感光ドラム203Y,203M,203Cの回転を停止させることができる。
図2(c)に示す第三の当接及び離間モードは、全ての一次転写ローラ214が中間転写ベルト206を介在して感光ドラム203の表面に当接しているフルカラー当接モードである。これは、フルカラープリント動作において、全ての感光ドラム203の表面上のトナー画像を中間転写ベルト206の外周面上に一次転写するためのモードである。
<接離装置>
次に、図3(a)〜(c)を用いて図2(a)〜(c)に示す三つの当接及び離間モードを切り替える接離装置1の構成について説明する。図3(a)〜(c)は中間転写ベルト206の内周部に設けられた接離装置1により四本の一次転写ローラ214を図3(a)〜(c)の上下方向(鉛直方向)に往復移動させる様子を示す。
図3(a)〜(c)に示すように、各一次転写ローラ214は、それぞれの支持部材301により回転可能に支持されている。支持部材301は、中間転写ベルト206の装置フレームに設けられた摺動部302によって図3(a)〜(c)の上下方向に摺動可能に支持されている。支持部材301の端部にはボス303が突出して設けられている。
111は中間転写ベルト206の装置フレームに設けられた回転中心111dを中心に回転可能に軸支されたカムである。カム111は三つのカム面111a,111b,111cを有して略三角形状を有して構成されている。カム111の回転中心111dと同軸上には、該カム111と一体的に回転する歯車110が設けられている。歯車110は図4(a),(b)に示して後述する駆動制御装置2によって連続的に120度ずつ回転するようになっている。
図3(a)〜(c)において、112は、図3(a)〜(c)の左右方向(水平方向)にスライド可能に取り付けられたスライダである。スライダ112は、図示しない装置フレームに設けられた移動手段によって図3(a)〜(c)の左右方向(水平方向)にスライド可能に取り付けられている。
スライダ112は、一端が装置フレームに係止された圧縮バネ113の他端がスライダ112に設けられた当接部112aに係止されている。これによりスライダ112は、圧縮バネ113の伸長力によってカム111に向かって常時付勢されている。
一方、図3(a)〜(c)に示すように、略三角形状のカム111の三つの角部に設けられたカム面111a,111b,111cは、該回転中心111dを中心に120度ずつずれた位置に配置されている。
そして、回転中心111dを中心に歯車110と一体的に回転するカム111のカム面111a,111b,111cがスライダ112の当接面112bに当接摺動する。これによりスライダ112が圧縮バネ113の伸長力による付勢力に抗して図3(a)〜(c)の左右方向に往復移動可能に構成される。
カム111のカム面111a,111b,111cが図3(a)〜(c)に示す姿勢位置で停止することによりスライダ112はカム111の三つのカム面111a,111b,111cに応じて図3(a)〜(c)に示す三つの停止位置を有する。
スライダ112には、四本の一次転写ローラ214の各々に対応するクランク形状の貫通穴304Y,304M,304C,304Bkが形成されている。スライダ112の貫通穴304Y,304M,304C,304Bkには、一次転写ローラ214を支持する支持部材301の端部に設けられたボス303が摺動自在に挿通されている。ボス303は、該貫通穴304Y,304M,304C,304Bkのクランク形状に沿って移動する。
各貫通穴304のクランク形状は以下の通りである。スライダ112の図3(a)〜(c)の左右方向(水平方向)位置によって支持部材301の端部に設けられたボス303が各貫通穴304内を移動する。これにより一次転写ローラ214を図3(a)〜(c)の上下方向(鉛直方向)に移動させる。
スライダ112に設けられる四つの貫通穴304のクランク形状は以下の通りである。図3(a)〜(c)に示すように、スライダ112が停止する三つの位置が図2(a)〜(c)で示した三つの当接及び離間モードに対応する。各モードとなるように四本の一次転写ローラ214を移動する。
図3(a)〜(c)に示すように、カム111を120度ずつ回転させる。これにより図2(a)〜(c)及び図3(a)〜(c)に示すように、全離間モード→モノカラー当接モード→フルカラー当接モードの順に切り替えられる。このように貫通穴304のクランク形状が設定されている。
図2(a)及び図3(a)に示す全離間モードに対して、図2(b)及び図3(b)に示すモノカラー当接モードでは以下の通りである。ブラックBkの一次転写ローラ214Bkのみが貫通穴304Bkのクランク形状のズレ量dだけ図3(b)の下方向(鉛直方向下方)に移動する。これによりモノカラー当接モードでは、ブラックBkの一次転写ローラ214Bkのみが中間転写ベルト206を介在して感光ドラム203Bkの表面に当接する。
また、図2(c)及び図3(c)に示すフルカラー当接モードでは以下の通りである。全ての一次転写ローラ214が図2(b)及び図3(b)に示すモノカラー当接モードのブラックBkの一次転写ローラ214Bkと同様に中間転写ベルト206を介在して感光ドラム203の表面に当接する。
<駆動制御装置>
次に図4を用いて駆動制御装置2の構成について説明する。図4(a),(b)に示す駆動制御装置2は、制御手段となる制御部8により所定のタイミングで係止手段となるソレノイド104を作動させる。これにより駆動源となるモータ9から駆動歯車101、歯車列7を介して被駆動体となるカム111に回転を伝達する。
図4(a),(b)において、101は、駆動源となるモータ9等に接続されて回転駆動される駆動歯車である。駆動歯車101は所定のタイミングと回転数で回転する駆動源となるモータ9によって図4(a)の時計回り方向で示す一定方向に回転される。
図4(a),(b)において、102は、両面側に係止部103と歯車102bとが一体的に設けられた欠歯歯車である。欠歯歯車102は駆動歯車101と噛合可能な位置に設けられる。
欠歯歯車102の片面側には、係止手段となるソレノイド104の係止部104aが係止可能な係止部103が設けられている。図4(a)に示すように、ソレノイド104の係止部104aが欠歯歯車102の係止部103に係止された状態で欠歯歯車102の欠歯部102aが駆動歯車101に対向して歯部102cが駆動歯車101と噛合しない状態で停止する。
欠歯歯車102に一体的に設けられた係止部103には、該欠歯歯車102を回転方向となる図4(a)の反時計回り方向に付勢する付勢手段となる引張りバネ105の一端が係止されるボス103aが突出されている。
引張りバネ105の他端は、装置フレーム3に係止されている。欠歯歯車102は、ソレノイド104の係止部104aが係止部103に係止され、引張りバネ105によって引っ張られる。これにより図4(a)に示すように、欠歯歯車102の欠歯部102aが駆動歯車101に対向して歯部102cが駆動歯車101に噛合しない状態で停止する。
ソレノイド104を駆動して係止部104aと、欠歯歯車102の係止部103との係止を解除する。すると、引張りバネ105の引っ張り力により欠歯歯車102を図4(a)の反時計回り方向に回転させる。これにより欠歯歯車102の歯部102cが駆動歯車101に噛合して該駆動歯車101の回転駆動力が欠歯歯車102に伝達される。
駆動歯車101に噛合した欠歯歯車102が図4(a)の反時計回り方向に一回転して欠歯部102aが駆動歯車101に対向する。すると、該欠歯歯車102は、引張りバネ105の引っ張り力によって図4(a)の反時計回り方向に回転する。そして、該欠歯歯車102の係止部103がソレノイド104の係止部104aに係止されて欠歯歯車102の回転が停止する。
図4(b)に示すように、欠歯歯車102と同軸上で駆動歯車101と噛合可能な位置には速度制御歯車106が設けられている。本実施形態の速度制御歯車106は駆動歯車101に常時噛合されている。これにより欠歯歯車102の歯部102cが駆動歯車101と噛合して回転している間は、速度制御歯車106と欠歯歯車102とは、駆動歯車101を介して等しい角速度で回転する。
速度制御歯車106は、回転抑止手段となるワンウェイクラッチ107を介して欠歯歯車102と連結されている。ワンウェイクラッチ107は、欠歯歯車102と速度制御歯車106との相対的な回転方向が、回転している速度制御歯車106から見て該欠歯歯車102の回転方向が速度制御歯車106の回転方向に対して逆回転しているように見える場合には空転する。また、ワンウェイクラッチ107は、欠歯歯車102と速度制御歯車106との相対的な回転方向が、回転している速度制御歯車106から見て該欠歯歯車102の回転方向が速度制御歯車106の回転方向に対して同方向に回転しているように見え、且つ欠歯歯車102が速度制御歯車106よりも速く回転しようとする場合はロックするように構成されている。
即ち、ワンウェイクラッチ107は、回転している速度制御歯車106から見て欠歯歯車102の回転方向が速度制御歯車106の回転方向に対して逆方向に回転するように見えるときのみに回転可能である。本実施形態では、遊星歯車を用いたワンウェイクラッチ107を使用している。欠歯歯車102の係止部103がソレノイド104の係止部104aに係止されて欠歯歯車102の回転が停止している状態においては、ワンウェイクラッチ107の作用により欠歯歯車102と速度制御歯車106とは空転する。これにより駆動制御装置2の駆動動作を妨げることはない。
図4(a),(b)において、108は二つの歯車108a,108bが一体的に形成された段歯車である。109は段歯車108の回転を歯車110に伝える歯車である。111は、図3(a)〜(c)に示したカムであり回転軸6を介して歯車110と一体的に回転する。図3(a)〜(c)に示すように、歯車110と一体的に回転するカム111の回転によって圧縮バネ113の伸長力によって付勢されたスライダ112の停止位置を制御する。
歯車110と一体的に回転するカム111のカム面111a,111b,111cがスライダ112の当接面112bに当接摺動して圧縮バネ113の伸長力に抗してスライダ112を図3(a)〜(c)の左右方向に移動する。これにより図2(a)〜(c)及び図3(a)〜(c)に示すように、中間転写ベルト206を介在して一次転写ローラ214を感光ドラム203の表面に当接、或いは、離間を切り替える三つのモードを切り替える。圧縮バネ113の伸長力によってカム111に作用する力も前記第1、第2比較例で説明したと同様である。
<歯車列の減速比>
次に、図4(a),(b)に示す駆動制御装置2の歯車102b,108a,108b,109,110から成る歯車列7の減速比について説明する。図4(a),(b)に示すように、駆動制御装置2の歯車列7は歯車102b,108a,108b,109,110から成る。歯車列7は、欠歯歯車102に一体的に設けられた歯車102bと、カム111と一体的に回転する歯車110との減速比が3:1となるように各歯車102b,108a,108b,109,110の歯数が設定されている。従って、欠歯歯車102が一回転する度に、歯車110と同軸上に固定されたカム111が3分の1回転する。つまり120度(360度/3)ずつ回転するようになっている。
本実施形態では、図3(a)〜(c)に示すように、接離装置1はカム111の回転角度によって三つ(少なくとも2つ)の制御位置を有する。そして、図4(a)に示す欠歯歯車102の一回転動作によって接離装置1の三つ(少なくとも2つ)の制御位置を切り替えるように該欠歯歯車102からカム111に至る歯車列7の減速比が設定されている。
これによりカム111は、欠歯歯車102が一回転する度に図3(a)〜(c)に示す接離装置1の三つのカム111の制御位置を切り替えることが可能である。図4(a)に示すソレノイド104の係止部104aと欠歯歯車102の係止部103との係止と解除とを繰り返す。これにより図2(a)〜(c)に示すように、一次転写ローラ214を中間転写ベルト206を介在して感光ドラム203の表面に対して所望の制御位置に遷移することが出来る。
<歯車列に加わる負荷>
次に図5を用いてカム111の回転と、スライダ112の移動動作とにより駆動制御装置2の歯車102b,108a,108b,109,110から成る歯車列7に加わる負荷について説明する。図5(a)〜(c)は、欠歯歯車102が一回転する度にカム111が120度ずつ回転して図3(a)〜(c)に示す三つの停止位置に移行する状態を示す。図5(a)〜(c)には、実線のカム111と、破線のカム111が示されており、実線はカム111が制御完了位置にある場合を示す。破線はカム111が制御完了直前の位置を示す。
図3(a)〜(c)に示す三つの制御位置における圧縮バネ113の長さは、カム111の各カム面111a,111b,111cがスライダ112の当接面112bを押す距離によって変化する。本実施形態においてカム111の回転中心111dから各カム面111a,111b,111cの頂点までのカム半径ra,rb,rcを図5(a)〜(c)に示すように以下の数9式の関係とする。
[数9]
ra<rb<rc
すると、圧縮バネ113の伸長力による付勢力Pa,Pb,Pcは、該圧縮バネ113の圧縮距離に比例することから以下の数10式で示す関係となる。
[数10]
Pa<Pb<Pc
図5(a)〜(c)に示すカム111のカム面111a,111b,111cと、スライダ112の端部(図5(a)〜(c)の右端部)に設けられる当接面112bと間の接触部には摩擦力が働く。その摩擦力は、カム111のカム面111a,111b,111cと、スライダ112の当接面112bとの接触摩擦係数をμとすると、それぞれμ×Pa,μ×Pb,μ×Pcで表わされる。
図5(a)〜(c)で破線で示された制御完了直前の位置にあるカム111の状態から、図5(a)〜(c)で実線で示された制御完了位置にカム111を図5(a)〜(c)の時計回り方向に回転させる。
そのためには、カム111のカム面111a,111b,111cと、スライダ112の当接面112bとの接触摩擦係数μを用いて以下の数11式で示されるトルクTが必要となる。尚、圧縮バネ113の伸長力からなる付勢力Pa,Pb,Pcを代表的に付勢力Pで示し、カム111の回転中心111dから各カム面111a,111b,111cの頂点までのカム半径ra,rb,rcを代表的にカム半径rで示す。
[数11]
T=μ×P×r
図5(a)〜(c)に示された三つの制御位置におけるカム111に加わるトルクT1a,T1b,T1cを比較すると、前記数9式〜数11式により、以下の数12式に示す関係となる。
[数12]
T1a<T1b<T1c
これにより図2(a)〜(c)に示すように、一次転写ローラ214を感光ドラム203に対して遷移させたい制御位置によって必要なトルクTが違うことが分かる。図4(a)に示すように、欠歯歯車102は、欠歯部102aが駆動歯車101に対向する係止位置では、該駆動歯車101による駆動力が伝わらない。このため図4(a)に示す係止位置まで回転させるために引張りバネ105の引っ張り力による付勢力は、図5(a)〜(c)に示すカム111に加わるトルクT1a,T1b,T1cの最大値であるトルクT1cに打ち勝つ必要がある。
このとき、図4(a)に示す欠歯歯車102に働くトルクT2a,T2b,T2cは以下の通りである。引張りバネ105の引っ張り力によるトルクをTsa,Tsb,Tscとする。すると、カム111に加わるトルクT1a,T1b,T1cを用い、欠歯歯車102に一体的に設けられた歯車102bと、カム111と一体的に回転する歯車110との減速比が3:1を考慮して、それぞれ以下の数13式により表わされる。
[数13]
T2a=Tsa−3×T1a
T2b=Tsb−3×T1b
T2c=Tsc−3×T1c
前記数12式及び数13式を用いて図4(a)に示す欠歯歯車102に働くトルクT2a,T2b,T2cの関係は、以下の数14式により表わされる。
[数14]
T2a>T2b>T2c
これは、図5(a),(b)に示すように、圧縮バネ113の伸長力によってカム111のカム面111a,111bを押圧する負荷が比較的小さい制御位置を考慮する。更に、図5(c)に示すように、圧縮バネ113の伸長力によってカム111のカム面111cを押圧する負荷が比較的大きい制御位置を考慮する。図5(a),(b)に示す制御位置は、図5(c)に示す制御位置に比べて、図4(a)に示す引張りバネ105の引っ張り力が大きくなる。これにより欠歯歯車102に加えられる回転トルクが大きくなる。
これにより図4(a)に示す引張りバネ105の引っ張り力によって歯車列7を介してカム111が回転しているときには、カム111の角速度ωを速めるトルクが加わる。このためカム111を含む欠歯歯車102よりも下流の歯車列7は、引張りバネ105の引っ張り力によって駆動歯車101から与えられる回転速度よりも速く回転しようとする。
本実施形態では、図4(b)に示すように、欠歯歯車102にワンウェイクラッチ107を介して速度制御歯車106が接続されている。引張りバネ105の引っ張り力によってカム111を含む欠歯歯車102よりも下流側の歯車列7が駆動歯車101から与えられる回転速度よりも速く回転しようとする。その状態において欠歯歯車102が駆動歯車101よりも先行して回転しようとする。その場合、欠歯歯車102と速度制御歯車106との相対的な回転方向は、回転している速度制御歯車106から見て該欠歯歯車102の回転方向と速度制御歯車106の回転方向とは同方向に回転しようとするように見え、且つ欠歯歯車102が速度制御歯車106よりも速く回転しようとするときは、ワンウェイクラッチ107がロックされる。
その結果、欠歯歯車102は、速度制御歯車106の角速度と等しい角速度で回転する。つまり欠歯歯車102と駆動歯車101とが噛合したときの角速度で回転する。このため図7及び図8に示す各比較例のように欠歯歯車102の角速度が速くなることはない。
これにより欠歯歯車102は、カム111に加えられる負荷や反力に関係なく、常に等角速度で回転することが可能である。これにより図7及び図8に示す各比較例において発生していたソレノイド104の係止部104aと係止部103とが係止する際の衝突音や誤動作を防止することができる。
また、図3(a)〜(c)に示すように、複数の制御位置を有するカム111を動作させる場合に、該カム111の各制御位置における該カム111の駆動トルクの相違が欠歯歯車102の角速度に影響を与えない。これにより図4(a)に示す引張りバネ105や図3(a)〜(c)に示す圧縮バネ113等のパラメータを十分にマージンを持たせて設定できる。
更に、本実施形態によれば、図4(a)に示す駆動歯車101を図4(a)の反時計回り方向に逆回転させて欠歯歯車102を図4(a)の時計回り方向に逆回転させることが可能である。駆動歯車101を図4(a)の反時計回り方向に逆回転させると、該駆動歯車101に常時噛合する速度制御歯車106も逆回転を開始する。このとき、速度制御歯車106と欠歯歯車102とを連結するワンウェイクラッチ107は、速度制御歯車106と欠歯歯車102との相対的な回転方向が逆回転する方向になるためにロックされる。これにより欠歯歯車102が図4(a)に示す引張りバネ105の引っ張り力に抗しながら図4(a)の時計回り方向に逆回転する。
本実施形態では、制御部8により制御される駆動源となるモータ9により回転駆動される駆動歯車101が、図4(a)の時計回り方向で示す正回転と、図4(a)の反時計回り方向で示す逆回転とに切り替え可能である。これにより図7及び図8に示す各比較例では実行できなかった図2(a)及び図3(a)に示す全離間モードから、図2(c)及び図3(c)に示すフルカラー当接モードに直接遷移することが可能となり動作時間を短縮することができる。
尚、本実施形態のワンウェイクラッチ107は、より製造コストの低い、ラチェット式ワンウェイクラッチやトルクリミッタ等を制御対象物に合わせて適宜選択することができる。
本実施形態によれば、図4(a)に示す引張りバネ105や図3(a)〜(c)に示す圧縮バネ113等の付勢手段の付勢力等の構成要件に左右されない。そして、ソレノイド104の係止部104aと、欠歯歯車102に一体的に設けられた係止部103とからなる係止手段を確実に動作させることが出来る。
また、駆動歯車101の下流の歯車列7の負荷変動に関係なく、欠歯歯車102の回転速度を速度制御歯車106の回転速度以下にすることができる。これによりソレノイド104の係止部104aと、欠歯歯車102に一体的に設けられた係止部103とが係止する際の衝突音や誤動作を防止することができる。
また、欠歯歯車102を図4(a)に示す係止位置に復帰させる付勢手段となる引張りバネ105の引っ張り力(付勢力)を駆動歯車101の下流のカム111の形状や負荷や反力の影響に関係なく設定できる。
また、欠歯歯車102を逆回転させることが可能になり、図3(a)〜(c)に示すように、カム111の複数の制御位置を切り替える際に、最適な遷移順番を選択可能となる。
[第2実施形態]
次に、図6(a),(b)を用いて本発明に係る駆動制御装置を備えた画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
本実施形態の駆動制御装置2は、図6(a),(b)に示すように、二つの欠歯歯車502,503を組み合わせた欠歯クラッチである。図6(a),(b)において、101は駆動歯車である。駆動歯車101は、制御部8により制御されて所定のタイミングと回転数で回転する駆動源となるモータ9によって図6(a)の時計回り方向に一定方向に回転される。モータ9に接続された駆動歯車101と噛合可能な位置に設けられた欠歯歯車502の片面側には係止部504が一体的に設けられている。
係止手段となるソレノイド104の係止部104aが、欠歯歯車502に一体的に設けられた係止部504に係止される。これにより欠歯歯車502の欠歯部502aが駆動歯車101に対向して該欠歯歯車502の歯部502cが駆動歯車101に噛合しない状態で停止可能となっている。
また、欠歯歯車503の片側面には歯車503bが一体的に設けられており、該歯車503bの片側面にはボス503cが突出して設けられている。そして、欠歯歯車502と、欠歯歯車503との間に設けられた図示しない圧縮バネの付勢力によって、欠歯歯車503の欠歯部503aが駆動歯車101に対向して該欠歯歯車503の歯部503dが駆動歯車101に噛合しない状態で停止可能となっている。
本実施形態によれば、制御部8によりソレノイド104を解除する。すると、欠歯歯車502と、欠歯歯車503との間に設けられた図示しない圧縮バネの付勢力によって、欠歯歯車502が回転を開始する。そして、該欠歯歯車502の歯部502cが駆動歯車101と噛合する。
欠歯歯車502と、欠歯歯車503との間には、更に図示しない回転止め部が形成されており、欠歯歯車502が所定の回転角度だけ回転すると、該回転止め部が作用して欠歯歯車503が回転を開始する。
その後、欠歯歯車502の歯部502cと駆動歯車101との噛合により該欠歯歯車502が図6(a)の反時計回り方向に一回転する。すると、図6(a)に示すように、該欠歯歯車502の欠歯部502aが駆動歯車101に対向して該駆動歯車101との噛合が解除される。そして、該欠歯歯車502に一体的に設けられた係止部504と、ソレノイド104の係止部104aとが係止されて該欠歯歯車502の回転が再び停止する。
続いて、欠歯歯車503が、該欠歯歯車503と欠歯歯車502との間に設けられた図示しない圧縮バネを圧縮しながら回転する。そして、該欠歯歯車503の欠歯部503aが駆動歯車101に対向して歯部503dと駆動歯車101との噛合が解除される。
付勢手段となる引張りバネ506の一端が装置フレーム3に係止され、他端が回動中心505aを中心に回動可能に設けられたレバー505に係止されている。引張りバネ506の引っ張り力により該レバー505に当接可能に設けられたボス503cが回動中心505aを中心に回動するレバー505により押圧されて欠歯歯車503が停止位置まで回転する。
尚、レバー505の回動中心505aを中心とする回動範囲は、該回動中心505aに設けられた図示しない規制部材により規制されている。これにより欠歯歯車503の歯部503dが駆動歯車101と噛合していない状態において、レバー505がボス503cを付勢しないように該レバー505の回転止めがなされている。
欠歯歯車503と同軸上で駆動歯車101と噛合可能な位置に速度制御歯車106が設けられている。本実施形態の速度制御歯車106は駆動歯車101に常時噛合して回転駆動される。欠歯歯車503の歯部503dが駆動歯車101に噛合して回転駆動される間は、速度制御歯車106と欠歯歯車503とは等しい角速度で回転する。
速度制御歯車106は、回転抑止手段となるワンウェイクラッチ107を介して欠歯歯車503と一体的に設けられた歯車503bと連結されている。ワンウェイクラッチ107は、歯車503bと速度制御歯車106との相対的な回転方向が、回転している速度制御歯車106から見て欠歯歯車503の回転方向が速度制御歯車106の回転方向と逆方向に見える場合に空転する。また、歯車503bの回転方向と、速度制御歯車106の回転方向とが、回転している速度制御歯車106から見て欠歯歯車503の回転方向が速度制御歯車106の回転方向と同方向に見え、且つ欠歯歯車503が速度制御歯車106よりも速く回転しようとするときは、ワンウェイクラッチ107は、ロックするように構成されている。
即ち、ワンウェイクラッチ107は、速度制御歯車106の回転方向に対して欠歯歯車503が逆方向のみに回転可能である。これにより欠歯歯車502の係止部504がソレノイド104の係止部104aに係止される。そして、欠歯歯車502と欠歯歯車503との間に設けられた図示しない圧縮バネの付勢力によって欠歯歯車503が係止されている状態においては以下の通りである。欠歯歯車503に一体的に設けられた歯車503bと、速度制御歯車106とは空転する。このため駆動制御装置2の動作を妨げることはない。
ここで、歯車503bよりも下流の歯車列7の構成が前記第1実施形態と同様である場合の速度制御歯車106の効果について説明する。前記第1実施形態と同様に引張りバネ506の引っ張り力(付勢力)は、図3(a)〜(c)に示すように、カム111の全ての制御位置おいて、該カム111に加わる負荷トルクに打ち勝つように設定することが求められる。
図3(a),(b)に示すように、圧縮バネ113の圧縮距離が比較的小さく、負荷が小さい制御位置では以下の通りである。図3(c)に示すように、圧縮バネ113の圧縮距離が比較的大きく、負荷が大きい制御位置に比べて、欠歯歯車503に加えられる回転トルクが大きくなる。
図6(a)に示すように、回動中心505aを中心に回動可能に設けられたレバー505の一端が装置フレーム3に一端が係止された付勢手段となる引張りバネ506の他端に係止されている。引張りバネ506の引っ張り力(付勢力)によりレバー505が回動中心505aを中心に図6(a)の時計回り方向に回動する。そして、欠歯歯車503に一体的に設けられた歯車503bの片面側に突出したボス503cに当接摺動して該ボス503cを図6(a)の右方向に押圧する。これにより付勢手段となる引張りバネ506が欠歯歯車503を回転方向となる図6(a)の反時計回り方向に付勢する。
図6(a)に示す引張りバネ506の引っ張り力によって欠歯歯車503に一体的に設けられた歯車503bから歯車110に至る歯車列7を介してカム111が回転しているときがある。そのときには、該引張りバネ506の引っ張り力によって該カム111の角速度ωを速めるトルクが加わる。このためカム111を含む欠歯歯車503よりも下流側の歯車列7は、該引張りバネ506の引っ張り力によって駆動歯車101から与えられる回転速度よりも速く回転しようとする。
本実施形態では、欠歯歯車503にワンウェイクラッチ107を介して速度制御歯車106が接続されている。このため引張りバネ506の引っ張り力によってカム111を含む欠歯歯車503よりも下流の歯車列7が駆動歯車101から与えられる回転速度よりも速く回転しようとする。しかし、該駆動歯車101に常時噛合する速度制御歯車106により該駆動歯車101の回転速度以下に抑制される。
これにより前記第1実施形態と同様に欠歯歯車503の角速度を一定に保つことができ、図7及び図8に示す各比較例において発生していたソレノイド104の係止部104aと係止部504とが係止する際の衝突音や誤動作を防止することができる。
また、図3(a)〜(c)に示すように、複数の制御位置を有するカム111を動作させる場合に、該カム111の各制御位置における該カム111の駆動トルクの相違が欠歯歯車503の角速度に影響を与えない。これにより図6(a)に示す引張りバネ506や図3(a)〜(c)に示す圧縮バネ113等のパラメータを十分にマージンを持たせて設定できる。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
尚、前記第1、第2実施形態で説明した駆動制御装置2は、画像形成装置201の例えば給送ローラ210等の給送ユニット(シート給送装置)209を駆動する駆動制御装置にも適用することが可能である。