JP6945438B2 - マウント部材 - Google Patents

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Description

本発明は、マウント部材に関するものである。
自動車等の車両の軽量化の観点から、マウント部材等の車両用部品の樹脂化が進められているが、強度上の要請から、金属部材と樹脂部材とを接合させてなる金属/樹脂複合構造体を採用することが行われている。
このような金属/樹脂複合構造体では、金属部材と樹脂部材との接合部における接合強度が問題となるが、その接合強度を向上させる技術が報告されている(例えば特許文献1、2参照)。
特許第5714193号公報 特開2016−190411号公報
本願発明者らは、鋭意研究の結果、特許文献1、2に記載の技術において、例えば特許文献1の明細書中に記載の樹脂組成物を使用した場合であっても、所定の樹脂組成物では所望の接合強度を得ることが困難な場合があることを見出した。
本発明では、軽量且つ高強度のマウント部材を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明では、樹脂部材の樹脂材料として、所定範囲の結晶化温度及び溶融粘度を有する熱可塑性樹脂組成物を用いることにした。
すなわち、ここに開示するマウント部材は、振動部材を支持部材に対して防振支持するマウント部材であって、前記振動部材及び前記支持部材の少なくとも一方に取り付けられるブラケット部を備え、前記ブラケット部は、金属部材と、該金属部材に接合された熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂部材とを備え、前記金属部材における前記樹脂部材との接合面の算術平均表面粗さRaは5nm以上500μm以下であり、前記熱可塑性樹脂組成物は、ガラス繊維強化脂肪族ポリアミド樹脂組成物であり、前記熱可塑性樹脂組成物は、35質量%以上70質量%以下のガラス繊維を含有しており、示差走査熱量測定(DSC測定)で、前記熱可塑性樹脂組成物のペレットを室温から300℃まで昇温速度10℃/minで昇温後、降温速度10℃/minで降温させて得られる降温結晶化温度を射出成形時の結晶化温度としたときに、前記熱可塑性樹脂組成物の射出成形時の結晶化温度は230℃以下であり、JIS K 7210に準拠し、温度300℃、荷重5.325kgで測定した前記熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度(MVR)は72cm/10min以上92cm/10min以下であり、引張環境温度23℃及び引張速度10mm/minで行われたせん断試験により測定された、前記金属部材と前記樹脂部材との接合部のせん断接合強度は25MPa以上であることを特徴とする。
軽量化の観点から、マウント部材の材質として樹脂を採用する場合、強度の確保が問題となり得る。特に、マウント部材のうち、振動部材又は支持部材に取り付けられるブラケット部には、一部金属を採用してマウント部材の強度を確保することが考えられる。
このとき、金属部材と樹脂部材との接合部分は、応力が集中し破壊の起点となり得るため、高い接合強度を確保することが重要となる。上記構成によれば、マウント部材の一部を樹脂製とすることでマウント部材の軽量化をすすめることができるとともに、金属部材と樹脂部材との接合において高い接合強度を確保することができるので、マウント部材の強度を向上させることができる。
好ましくは、前記振動部材は、車両用エンジンを含むパワートレインであり、前記支持部材は、車体である。
自動車等の車両の軽量化に伴い、車両用のマウント部材においても軽量化が求められている。同時に、車両用のマウント部材は、重量物を長期間に亘り確実に支持する観点から、高強度であることが求められている。上記構成のマウント部材を車両用として採用することで、車両用マウント部材の軽量化に資するとともに高い強度を確保することができる。
前記熱可塑性樹脂組成物は、ガラス繊維強化脂肪族ポリアミド樹脂組成物である。そして、前記熱可塑性樹脂組成物は、35質量%以上70質量%以下のガラス繊維を含有している。
本構成によれば、樹脂部材の原料である熱可塑性樹脂組成物を、強化材としてのガラス繊維を含有する脂肪族ポリアミド樹脂とすることで、軽量且つ高剛性のマウント部材とすることができる。
なお、前記溶融粘度(MVR)は75cm /10min以上88cm /10min以下であることが好ましい。
また、前記算術平均表面粗さRaは1μm以上5μm以下であることが好ましい。
前記金属部材はアルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。本構成によれば、マウント部材の強度を確保しつつ効果的に軽量化させることができる。
好ましくは、前記振動部材に取り付けられるブラケット部と、前記支持部材に取り付けられる追加のブラケット部とを備え、前記金属部材は、前記ブラケット部と前記追加のブラケット部との接続部を構成する。
マウント部材における振動部材側に取り付けられるブラケット部と支持部材側に取り付けられる追加のブラケット部との接続部には、振動部材に発生する振動を吸収する構造を採用しているため、応力の集中部となり得る。本構成によれば、ブラケット部を樹脂製としつつ接続部に金属部材を採用することで、マウント部材の軽量化を図りつつ応力集中部の強度を高めることができる。
好ましくは、前記ブラケット部は、前記振動部材及び前記支持部材の少なくとも一方にボルト締結により取り付けられるものであり、前記金属部材は、前記ボルト締結のための締結孔を含むインサート金具である。
マウント部材が振動部材及び支持部材の双方に例えばボルト締結により取り付けられる場合、その締結部は振動部材の振動により高負荷となりやすく樹脂製では破損や変形を生じやすい。上記構成によれば、ブラケット部に樹脂部材を採用しつつボルト締結のための締結孔を含む部分を金属部材とすることで、マウント部材全体の軽量化を図りつつ締結部の強度を確保することができる。
以上述べたように、本発明によると、金属部材と樹脂部材との接合強度を向上させることができるので、軽量であり且つ高強度のマウント部材をもたらすことができる。
一実施形態に係るエンジンマウントを右上前方から見た斜視図である。 図1のエンジンマウントを左上後方から見た斜視図である。 図1のエンジンマウントのパワートレイン側ブラケット200を右上前方から見た斜視図である。 エンジンマウントのブラケットの製造方法を示すためのフローチャートである。 せん断接合強度を測定するための試験片の斜視図である。 せん断接合強度の測定方法を説明するための図である。 実施例及び比較例の試験片のせん断接合強度と、樹脂部材の熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度との関係を示すグラフである。 実施例及び比較例の試験片のせん断接合強度と、樹脂部材の熱可塑性樹脂組成物のMVRとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
<エンジンマウント>
−全体構成−
図1及び図2は、本実施形態に係るマウント部材としてのエンジンマウントEMを示している。
エンジンマウントEMは、自動車等の車両に搭載される車両用エンジンを含む振動部材としてのパワートレイン(不図示)を支持部材としての車体のフレーム(不図示)に対して防振支持するためのものであり、ブロックタイプの液体封入式エンジンマウントである。なお、パワートレインは、車両用のエンジンと、当該エンジンに配設されたトランスミッション等の車両部材を含んでいる。
エンジンマウントEMは、図1〜図3に示すように、車体側ブラケット100(追加のブラケット部)と、パワートレイン側ブラケット200(ブラケット部)とを備えている(以下、車体側ブラケット100及びパワートレイン側ブラケット200を総称して「ブラケット100,200」と称することがある)。
−車体側ブラケット−
図1及び図2に示すように、車体側ブラケット100は、下側部材1と、上側部材2と、弾性支持体3と、ストッパ部材4とを備えている。なお、詳細は後述するが、下側部材1及びストッパ部材4は、金属/樹脂複合構造体である。
下側部材1は、矩形板状で、長手方向が例えば車体前後方向に沿うように配置されて車体上に載置される。下側部材1の長手方向の端部にはそれぞれ幅方向(左右方向)に並んだ2つの締結孔11,11,…が貫通して形成されている。下側部材1は、これらの締結孔11,11,…に挿通されるボルト(不図示)により車体のフレームに固定される。
上側部材2は、下側部材1の中央部上方に配置された角筒状の部材であり、内部に左右方向に延びる挿通孔20を有している。上側部材2は、下側部材1と同様に金属/樹脂複合構造体であってもよいし、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、鋳物、鉄等の金属製であってもよい。なお、挿通孔20の内壁面はゴムなどの弾性体で構成された被膜でコーティングされている。挿通孔20内には、パワートレイン側ブラケット200の突起部5が挿通されるようになっている。
弾性支持体3は、上側部材2を下側部材1に相対移動可能に連結支持する。弾性支持体3の下部は下側部材1の上面に一体的に加硫接着されている一方、上部は上側部材2の外周面を上側及び前後両側から取り囲んだ状態で上側部材2と一体的に加硫接着されている。
ストッパ部材4は、略コ字状に折り曲げられたような形状に形成され、弾性支持体3及び上側部材2を上側から覆うように配置されている。ストッパ部材4は、弾性支持体3及び上側部材2の上方に配置された天板部44と、この天板部44の前後端部から下側に向かって互いに平行に延びる前後一対の側壁部43,43と、これら側壁部43,43の下端部に連続し、前後方向に延びる前後一対のフランジ部42,42とを備えている。両フランジ部42,42は、下側部材1の前後方向端部と接するように設けられ、各フランジ部42には下側部材1の前記締結孔11,11,…と対応する位置に貫通状のストッパ部材締結孔41,41,…が設けられている。上述の下側部材1の締結孔11,11,…に挿通されるボルトは、ストッパ部材締結孔41,41,…にも挿通されてストッパ部材4及び下側部材1の両者が車体のフレームにボルト締結されることで、当該フレームに固定されるようになっている。なお、天板部44には、左側に延設された延設部45が形成されており、延設部45には開口46が形成されている。開口46には、後述するパワートレイン側ブラケット200の突起部5に形成された凸部51が係合される。
−パワートレイン側ブラケット−
図1〜図3に示すように、パワートレイン側ブラケット200は、左右方向に延び、上側部材2の挿通孔20内に挿通される角筒状(断面矩形状)の突起部5を備えている。突起部5の左端側の上側表面には、上述の開口46に係合される凸部51が形成されており、当該凸部51が上記開口46に係合されることで、突起部5の上側部材2からの抜けが防止される構造となっている。また、突起部5内には、後述するように、突起部5の強度を高めるための突起部金具5Bが内蔵されている。
そして、突起部5の左端には、前後方向両側に下方に向かって延びる前後一対の脚部6,6が延設されている。この脚部6,6の下端部には、前後一対の脚部締結孔61,61が形成されている。脚部締結孔61,61に図外のボルトが挿通され、パワートレインの例えばトランスミッション(不図示)に締結され、固定される。そうして、パワートレインは、車体のフレームに対し、エンジンマウントEMを介して防振支持される。
<エンジンマウントの特徴>
ここに、本実施形態に係るエンジンマウントEMは、車体側ブラケット100の下側部材1及びストッパ部材4、並びに、パワートレイン側ブラケット200が、金属/樹脂複合構造体であることを特徴とする。
すなわち、図1〜図3に示すように、下側部材1は、樹脂部材としての下側部材本体1Aと、金属部材としての上記締結孔11,11,…を含む計4つの下側部材締結用金具1B,1B,…とを備えている。
また、ストッパ部材4は、樹脂部材としてのストッパ部材本体4Aと、ストッパ部材締結孔41,41,…を含む計4つのストッパ部材締結用金具4B,4B,…とを備えている。
さらに、パワートレイン側ブラケット200は、突起部5及び脚部6,6を構成するパワートレイン側ブラケット本体200A(樹脂部材)と、突起部5に内蔵された突起部金具5B(金属部材)と、脚部6,6の脚部締結孔61,61を含む計2つの脚部締結用金具200B,200B(金属部材)とを備えている。
−金具−
ブラケット100,200における車体やパワートレインとの締結部は、締結時や車両の運転時においても応力の集中部となり得るため、高強度であることが要求される。従って、下側部材締結用金具1B,1B,…、ストッパ部材締結用金具4B,4B,…、及び脚部締結用金具200B,200Bは、このような締結部の強度を向上させるためのものであり、それぞれ、締結孔11,11,…、ストッパ部材締結孔41,41,…、脚部締結孔61,61に相当する孔を備えた筒状の金属部材である。
また、突起部5は、上側部材2の挿通孔20に挿通されることで、エンジンマウントEMの防振支持機能を確保しつつブラケット100,200を接続する接続部の役割を有しており、応力の集中部となり得る。従って、突起部金具5Bは、ブラケット100,200間の接続部の強度を高めるためのものである。突起部金具5Bは、図3に示すように、突起部5の左端側から右端側にかけて全体に延びるように略T字状且つ断面矩形状に形成された金属部材である。突起部金具5Bの内部には、軽量化の観点から左右方向に貫通する孔が形成されている。なお、この左右方向に貫通する孔は、特に限定されるものではなく、設計に応じて適宜変更され得るものであり、形成しない構成としてもよい。
これら下側部材締結用金具1B,1B,…、ストッパ部材締結用金具4B,4B,…、突起部金具5B及び脚部締結用金具200B,200B(以下、これらを総称して「金具B」と称することがある。)は、後述するようにインサート成形によりブラケット100,200に組み込まれるインサート金具として構成されている。
金具Bの材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス鋼、鋳物等一般的な金属製とすることができるが、エンジンマウントEMの軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金製とすることが望ましい。
金具Bの表面のうち、下側部材本体1A、ストッパ部材本体4A、及びパワートレイン側ブラケット本体200A(以下、これらを総称して「本体A」と称することがある。)と接合されている接合面には、微細な凹凸が形成されている。微細な凹凸は、樹脂部材である本体Aとの接合強度を高めるためのものである。接合面の算術平均表面粗さRaは、好ましくは5nm以上500μm以下、より好ましくは10nm以上100μm以下、特に好ましくは20nm以上5μm以下である。
−本体−
本体Aは、ブラケット100,200の骨格を形成するものであり、熱可塑性樹脂組成物からなる。
熱可塑性樹脂組成物は、主成分としての熱可塑性樹脂材料と、必要に応じて充填材とを含む。
熱可塑性樹脂材料は、特に限定されるものではないが、例えば、PA6、PA12、PA66等の脂肪族ポリアミド系樹脂、PA6T、PA9T、PA10T等の芳香族ポリアミド系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等の群から選ばれる1種又は2種以上の混合物である。
充填材は、本体Aの剛性を高めるための強化材として熱可塑性樹脂組成物に添加されるものであり、具体的には例えば、ガラス繊維、炭素繊維、炭素粒子、セルロース繊維、粘土、タルク、シリカ等が挙げられ、好ましくはガラス繊維及び炭素繊維である。充填材の形状は特に限定されるものではなく、繊維状、粒子状等種々の形状をとり得る。充填材の最大長さは、特に限定されるものではなく、例えば10μm以上10mm以下とすることができる。
熱可塑性樹脂組成物が充填材を含む場合、熱可塑性樹脂組成物中における充填材の含有量は、樹脂部材の剛性を向上させるとともに金具Bとの高い接合強度を得る観点から、好ましくは35質量%以上70質量%以下、より好ましくは38質量%以上65質量%以下、特に好ましくは40質量%以上60質量%以下である。
本体Aの熱可塑性樹脂組成物としては、エンジンマウントEMの剛性向上の観点から、脂肪族ポリアミド樹脂に充填材としてガラス繊維を含有するガラス繊維強化脂肪族ポリアミド樹脂組成物を採用することが特に望ましい。
なお、熱可塑性樹脂組成物には、上記充填材に加え、顔料、安定剤などの一般的な添加材が添加されていてもよい。
熱可塑性樹脂組成物の後述する示差走査熱量測定(DSC測定)において得られた射出成形時の結晶化温度は、射出成形時に金具B表面の微細凹凸間への充填性を高める観点から、好ましくは230℃以下、より好ましくは200℃以上229℃以下である。特に、射出成形時の結晶化温度が230℃よりも高いと射出成形時に微細凹凸間への充填性が低下し、接合強度が低下するおそれがある。
熱可塑性樹脂組成物の後述する流動性試験において得られた300℃における溶融粘度(MVR)は、好ましくは70cm/10min以上92cm/10min以下、より好ましくは72cm/10min以上90cm/10min以下、特に好ましくは75cm/10min以上88cm/10min以下である。MVRが70cm/10min未満では、射出成形時における熱可塑性樹脂組成物の流動性が不足し、金具B表面の微細凹凸間への熱可塑性樹脂組成物の流入が不十分となり、本体Aと金具Bとの接合強度が低下するおそれがある。また、MVRが92cm/10min超では、射出成形時における熱可塑性樹脂組成物の流動性が高すぎ、金具B表面の微細凹凸間への熱可塑性樹脂組成物の流出入が容易となるため、本体Aと金具Bとの接合強度が低下するおそれがある。
−製造方法−
本実施形態に係るブラケット100,200の製造方法について、図4を参照し、パワートレイン側ブラケット200を例にとって説明する。すなわち、パワートレイン側ブラケット200の製造方法は、金具準備工程S1、凹凸形成工程S2、及び成形工程S3を備えている。
金具準備工程S1は、突起部金具5B及び脚部締結用金具200Bを準備する工程である。突起部金具5B及び脚部締結用金具200Bとしては、特に限定されるものではないが、市販の金属製部品をそのまま、又はカットして採用する構成としてもよい。また、突起部金具5B及び脚部締結用金具200Bは、例えば鋳造、ダイカスト成形、プレス成形等により製造してもよい。
次に、凹凸形成工程S2において、上記の突起部金具5B及び脚部締結用金具200Bのパワートレイン側ブラケット本体200Aとの接合面に相当する表面に、微細な凹凸を形成する。具体的には例えば、三井化学株式会社のPOLYMETAC(登録商標)技術(例えば特許文献1、2参照)、大成プラス株式会社のNMT(登録商標)技術、コロナ工業株式会社のアルプラス処理等を使用して微細凹凸を形成することができる。
そして、成形工程S3において、インサート成形によりパワートレイン側ブラケット200を製造する。具体的には、表面に微細凹凸を形成させた突起部金具5B及び脚部締結用金具200Bを金型内にセットし、射出成形により突起部金具5B及び脚部締結用金具200Bに熱可塑性樹脂組成物が接合したパワートレイン側ブラケット200を製造する。
−ブラケットのせん断接合強度−
ブラケット100,200の本体Aと金具Bとの接合部のせん断接合強度は、高強度のエンジンマウントEMを得る観点から、好ましくは10MPa以上、より好ましくは20MPa以上、特に好ましくは25MPa以上である。
<作用効果>
エンジンマウントEMのうち、パワートレイン及び車体フレームの双方にボルトにより締結される締結部や、ブラケット100,200を接続する接続部はパワートレインの振動により高負荷となりやすい。締結部に金具Bを用いることで、エンジンマウントEMの強度を確保することができる。一方、エンジンマウントEMのブラケット100,200の本体Aを樹脂製とすることでエンジンマウントEMの軽量化をすすめることができる。そして、金具Bと本体Aとの接合部はパワートレインの振動に起因する応力の集中部となり得るが、上記構成とすることにより、高い接合強度を確保することができる。そうして、締結部や接続部の強度を確保しつつエンジンマウントEM全体の軽量化を図ることができるので、延いては車両全体の軽量化に資することができる。
(その他の実施形態)
以下、本発明に係る他の実施形態について説明する。なお、これらの実施形態の説明において、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
上記実施形態では、ブラケット100,200のいずれも金属/樹脂複合構造体を採用する構成であったが、ブラケット100,200のいずれか一方のみが金属/樹脂複合構造体を採用する構成であってもよい。
また、上記実施形態では、インサート成形によりブラケット100,200を製造する構成であったが、インサート成形に限られるものではなく、例えば別途本体Aを射出成形等により成形しておき、後から金具Bを装着する構成であってもよい。
さらに、上記実施形態では、締結部の締結孔周りや、ブラケット100,200の接続部に、金具Bを採用することで、その強度を高める構成であったが、締結孔周りや接続部に限られるものではなく、強度を必要とする部分に適宜金属部材を採用して金属/樹脂複合構造体とすることができる。
また、上記実施形態では、エンジンマウントEMは、液体封入型ブロックタイプであったが、本構成に限定されるものではなく、メガネ形状のブロックタイプ、円筒状防振マウント(コンベンショナルマウント)、ソリッドタイプのマウントブラケット等の種々の形状のエンジンマウントであってもよい。
上記実施形態では、マウント部材としてエンジンマウントEMについて説明したが、エンジンマウントEMに限られるものではなく、自動車等の車両に搭載されるその他のマウント部材、具体的には例えばトランスミッション、ラジエタ、ボディ、エキゾースト、タンク系用のマウント部材であってもよい。また、マウント部材は、車両用のマウント部材に限らず、ポンプやエアコンプレッサ等の装置、精密機器等や、建物用等に用いられるマウント部材であってもよい。
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
実施例1〜3及び比較例1〜4の金属/樹脂複合構造体の試験片を作製し、せん断試験により接合強度を評価した。また、実施例1〜3及び比較例1〜4の試験片に用いた熱可塑性樹脂組成物について、結晶化温度及びMVRを測定した。実施例1〜3及び比較例1〜4の構成及び結果を表1に示す。
Figure 0006945438
<熱可塑性樹脂組成物>
実施例1〜3及び比較例1〜4に用いた熱可塑性樹脂組成物は、表1に示す通りである。なお、表1中、Zytel(登録商標)70G50HSLR及びZytel(登録商標)70G43L(N)はDupont社製、アミラン(登録商標)CM3001G45(B)は東レ株式会社製、レオナ(登録商標)14G50(N)、レオナ(登録商標)14G33(N)及びレオナ(登録商標)14G50(B)は旭化成株式会社製、Ultramid(登録商標)A3WG10はBASF社製のガラス繊維強化PA66である。
−示差走査熱量測定−
示差走査熱量計(日立ハイテクサイエンス社製)を用いて熱可塑性樹脂組成物の射出成形時の結晶化温度(℃)を測定した。
DSC測定の試験条件は以下のとおりである。すなわち、室温(約30℃)から300℃まで昇温速度10℃/minで昇温させた後、300℃から室温(約30℃)まで降温速度10℃/minで降温させた。そして、降温時に観測された結晶化に伴う発熱ピークから得られる降温結晶化温度を射出成形時の結晶化温度として計測した。
すなわち、本明細書において、「射出成形時の結晶化温度」とは、DSC測定で、熱可塑性樹脂組成物のペレットを室温から300℃まで昇温速度10℃/minで昇温後、降温速度10℃/minで降温させて得られる降温結晶化温度のことをいう。言い換えると、当該結晶化温度は、市販の熱可塑性樹脂組成物のペレタライズの影響が排除されていない測定値である。
−流動性試験−
メルトインデクサー(東洋精機株式会社製セミオートメルト2A型)を用いて熱可塑性樹脂組成物のMVR(cm/10min)を測定した。
流動性試験の試験条件は以下のとおりである。すなわち、JIS K 7210に準拠し、温度300℃、荷重5.325kgで測定した。
<金属/樹脂複合構造体>
−せん断試験−
図5にせん断試験に用いた試験片300の模式的な斜視図を示す。試験片300は、金属片301と、金属片301に接合された樹脂片302とにより構成されている。
金属片301は、アルミニウム合金A5052−H32からなる幅18mm×長さ45mm×厚さ2mmのアルミニウム合金板である。樹脂片302は、表1の熱可塑性樹脂組成物からなる幅10mm×長さ40mm×厚さ3mmの樹脂板である。金属片301における樹脂片302との接合面301a(図6参照)の大きさは、幅10mm×長さ5mmである。
以下、試験片300の製造方法を説明する。
アルミニウム合金製の板をレーザーカットで所定の寸法に裁断して得られた金属片301に、特許文献2(特開2016−190411号公報)の実施例3記載の金属部材と同様の方法で処理を施し、その表面に微細凹凸を形成した。なお、当該処理により形成される金属片301の接合面301aの算術平均表面粗さRaは1〜5μmである。
そして、表面に微細凹凸が形成された金属片301を型内にセットし、シリンダ温度300℃、型温140℃、射出圧105〜110MPa、保圧90MPa、射出保圧時間8s、冷却時間30s、射出遅延10s、成形後アニール150℃×1hの成形条件で樹脂片302を射出成形した。
以下、せん断試験方法について説明する。
せん断試験は、引張試験機(インテスコ社製2005X−5)を用い、引張速度10mm/minで行った。なお、引張環境温度は23℃であった。
図6にせん断試験の様子を示す。具体的には、試験片300のうち、樹脂片302部分の全体が治具401,402内に収納されるように、これら治具401,402にセットした。治具401,402から金属片301の一部が突出した状態で、金属片301及び治具402を互いに反対方向に引張り、せん断時の荷重をせん断接合強度(MPa)として測定した。
<考察>
熱可塑性樹脂組成物の結晶化温度及びMVR、金属/樹脂複合構造体の試験片のせん断接合強度を表1に示す。また、図7及び図8に、せん断接合強度と、熱可塑性樹脂組成物のそれぞれ結晶化温度及びMVRとの関係を示している。
表1、図7及び図8に示すように、結晶化温度が235℃の比較例3及び比較例4、MVRが54cm/10min及び93cm/10minの比較例1及び比較例2の試験片300では、せん断接合強度が0〜3.3MPaとなり、金属片301と樹脂片302との接合強度は極めて低いものであった。一方、結晶化温度が230℃以下であり且つMVRが77〜84cm/10minの実施例1〜3の試験片300ではせん断接合強度が20cm/10min以上となり、金属片301と樹脂片302との接合強度は高くなることが判った。
本発明は、マウント部材の分野において、極めて有用である。
1 下側部材
1A 下側部材本体(樹脂部材)
1B 下側部材締結用金具(金属部材)
2 上側部材
3 弾性支持体
4 ストッパ部材
4A ストッパ部材本体(樹脂部材)
4B ストッパ部材締結用金具(金属部材)
5 突起部
5B 突起部金具(金属部材)
6 脚部
11 締結孔
20 挿通孔
41 ストッパ部材締結孔
42 フランジ部
43 側壁部
44 天板部
45 延設部
46 開口
51 凸部
61 脚部締結孔
100 車体側ブラケット(追加のブラケット部)
200 パワートレイン側ブラケット(ブラケット部)
200A パワートレイン側ブラケット本体(樹脂部材)
200B 脚部締結用金具(金属部材)
EM エンジンマウント

Claims (7)

  1. 振動部材を支持部材に対して防振支持するマウント部材であって、
    前記振動部材及び前記支持部材の少なくとも一方に取り付けられるブラケット部を備え、
    前記ブラケット部は、金属部材と、該金属部材に接合された熱可塑性樹脂組成物からなる樹脂部材とを備え、
    前記金属部材における前記樹脂部材との接合面の算術平均表面粗さRaは5nm以上500μm以下であり、
    前記熱可塑性樹脂組成物は、ガラス繊維強化脂肪族ポリアミド樹脂組成物であり、
    前記熱可塑性樹脂組成物は、35質量%以上70質量%以下のガラス繊維を含有しており、
    示差走査熱量測定(DSC測定)で、前記熱可塑性樹脂組成物のペレットを室温から300℃まで昇温速度10℃/minで昇温後、降温速度10℃/minで降温させて得られる降温結晶化温度を射出成形時の結晶化温度としたときに、前記熱可塑性樹脂組成物の射出成形時の結晶化温度は230℃以下であり、
    JIS K 7210に準拠し、温度300℃、荷重5.325kgで測定した前記熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度(MVR)は72cm/10min以上92cm/10min以下であり、
    引張環境温度23℃及び引張速度10mm/minで行われたせん断試験により測定された、前記金属部材と前記樹脂部材との接合部のせん断接合強度は25MPa以上である
    ことを特徴とするマウント部材。
  2. 前記振動部材は、車両用エンジンを含むパワートレインであり、
    前記支持部材は、車体である
    ことを特徴とする請求項1に記載のマウント部材。
  3. 前記溶融粘度(MVR)は75cm /10min以上88cm /10min以下である
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマウント部材。
  4. 前記算術平均表面粗さRaは1μm以上5μm以下である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマウント部材。
  5. 前記金属部材はアルミニウム又はアルミニウム合金製である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマウント部材。
  6. 前記振動部材に取り付けられるブラケット部と、
    前記支持部材に取り付けられる追加のブラケット部とを備え、
    前記金属部材は、前記ブラケット部と前記追加のブラケット部との接続部を構成する
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマウント部材。
  7. 前記ブラケット部は、前記振動部材及び前記支持部材の少なくとも一方にボルト締結により取り付けられるものであり、
    前記金属部材は、前記ボルト締結のための締結孔を含むインサート金具である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマウント部材。
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