JP6945062B2 - ハードコート層形成用組成物、ハードコートフィルム、ハードコートフィルムを有する物品、画像表示装置、及びハードコートフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ハードコート層形成用組成物、ハードコートフィルム、ハードコートフィルムを有する物品、画像表示装置、及びハードコートフィルムの製造方法に関する。
陰極管(CRT)を利用した表示装置、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表示ディスプレイ(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、及び液晶ディスプレイ(LCD)のような画像表示装置では、表示面への傷付きを防止するために、基材上にハードコート層を有する光学フィルム(ハードコートフィルム)を設けることが好適である。
ハードコート層を形成するための組成物としては、たとえば、特許文献1には、オキセタニル基をもつシルセスキオキサン化合物からなる光カチオン硬化性組成物が記載されている。
特許文献2には、エポキシ基を含有するシリコン化合物を加水分解して得られたシリカゾルが記載されている。
特許文献3、4には、エポキシ基及びオキセタニル基を含み、オキセタニル基よりもエポキシ基が高比率含まれるシルセスキオキサン化合物を含有する硬化性組成物が記載されている。
特許文献2には、エポキシ基を含有するシリコン化合物を加水分解して得られたシリカゾルが記載されている。
特許文献3、4には、エポキシ基及びオキセタニル基を含み、オキセタニル基よりもエポキシ基が高比率含まれるシルセスキオキサン化合物を含有する硬化性組成物が記載されている。
近年、たとえばスマートフォンなどにおいて、フレキシブルなディスプレイに対するニーズが高まってきており、これに伴って、繰り返し折り曲げても破断しにくい(繰り返し折り曲げ耐性に優れる)光学フィルムが強く求められている。
しかしながら、特許文献1〜4に記載のハードコート層用組成物から形成されるハードコートフィルムでは、硬度及び耐擦性と、繰り返し折り曲げ耐性とを鼎立することができないことが、本発明者らの検討により明らかになった。
本発明の課題は、硬度が高く、耐擦性に優れ、且つ、繰り返し折り曲げ耐性にも優れたハードコート層を形成できるハードコート層形成用組成物、上記ハードコート層形成用組成物により形成されるハードコートフィルム、上記ハードコートフィルムを有する物品及び画像表示装置、並びに上記ハードコートフィルムの製造方法を提供することにある。
しかしながら、特許文献1〜4に記載のハードコート層用組成物から形成されるハードコートフィルムでは、硬度及び耐擦性と、繰り返し折り曲げ耐性とを鼎立することができないことが、本発明者らの検討により明らかになった。
本発明の課題は、硬度が高く、耐擦性に優れ、且つ、繰り返し折り曲げ耐性にも優れたハードコート層を形成できるハードコート層形成用組成物、上記ハードコート層形成用組成物により形成されるハードコートフィルム、上記ハードコートフィルムを有する物品及び画像表示装置、並びに上記ハードコートフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討したところ、下記手段により上記課題が解消できることを見出した。
[1]
ポリオルガノシルセスキオキサンと重合開始剤を含むハードコート層形成用組成物であって、上記ポリオルガノシルセスキオキサンが、少なくとも、オキセタニル基を含有するシロキサン構成単位、及びエポキシ基を含有するシロキサン構成単位を有し、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシルセスキオキサンであるハードコート層形成用組成物。
ポリオルガノシルセスキオキサンと重合開始剤を含むハードコート層形成用組成物であって、上記ポリオルガノシルセスキオキサンが、少なくとも、オキセタニル基を含有するシロキサン構成単位、及びエポキシ基を含有するシロキサン構成単位を有し、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシルセスキオキサンであるハードコート層形成用組成物。
一般式(1)中、Raはオキセタニル基を含有する基を表し、Rbはエポキシ基を含有する基を表し、Rcは1価の置換基を表す。Ra、Rb、Rcの構造中にアミド結合、ウレア結合、及びウレタン結合のいずれも含まない。p及びqは1以上の整数を表し、rは0以上の整数を表す。但し、p/qは1.0以上99未満である。p、q及びrが2以上の整数である場合、複数のRa、複数のRb及び複数のRcはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。rが2以上の整数である場合、複数のRcは、互いに結合を形成してもよい。
[2]
上記一般式(1)中、(p+q)/(p+q+r)が0.5〜1.0である[1]に記載のハードコート層形成用組成物。
[3]
上記一般式(1)中のRaが下記一般式(1a)で表される基である[1]又は[2]に記載のハードコート層形成用組成物。
[2]
上記一般式(1)中、(p+q)/(p+q+r)が0.5〜1.0である[1]に記載のハードコート層形成用組成物。
[3]
上記一般式(1)中のRaが下記一般式(1a)で表される基である[1]又は[2]に記載のハードコート層形成用組成物。
一般式(1a)中、*は一般式(1)中のSiとの連結部分を表し、L1aは2価の連結基を表し、R1aは置換又は無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表す。但し、L1aはアミド結合、ウレア結合及びウレタン結合のいずれも含まない。
[4]
上記一般式(1)中のRbが、エポキシ基と脂環基の縮環構造を有する基である[1]〜[3]のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
[5]
上記一般式(1)中のRbが、エポキシシクロヘキシル基を有する基である[1]〜[4]のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
[6]
上記一般式(1)中、rが2以上の整数であって、複数のRcは互いに結合を形成しており、r/(p+q+r)が0.005〜0.20である[1]〜[5]のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
[7]
上記ポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量が2000〜20000である[1]〜[6]のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
[8]
基材と、上記基材上に[1]〜[7]のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物により形成されたハードコート層とを含むハードコートフィルム。
[9]
上記基材がプラスチック基材である[8]に記載のハードコートフィルム。
[10]
[8]又は[9]に記載のハードコートフィルムを有する物品。
[11]
[8]又は[9]に記載のハードコートフィルムを表面保護フィルムとして有する画像表示装置。
[12]
(I)基材上に、[1]〜[7]のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物を塗布して塗膜を形成する工程、及び
(II)上記塗膜を硬化処理することによりハードコート層を形成する工程、
を含むハードコートフィルムの製造方法。
[4]
上記一般式(1)中のRbが、エポキシ基と脂環基の縮環構造を有する基である[1]〜[3]のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
[5]
上記一般式(1)中のRbが、エポキシシクロヘキシル基を有する基である[1]〜[4]のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
[6]
上記一般式(1)中、rが2以上の整数であって、複数のRcは互いに結合を形成しており、r/(p+q+r)が0.005〜0.20である[1]〜[5]のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
[7]
上記ポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量が2000〜20000である[1]〜[6]のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
[8]
基材と、上記基材上に[1]〜[7]のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物により形成されたハードコート層とを含むハードコートフィルム。
[9]
上記基材がプラスチック基材である[8]に記載のハードコートフィルム。
[10]
[8]又は[9]に記載のハードコートフィルムを有する物品。
[11]
[8]又は[9]に記載のハードコートフィルムを表面保護フィルムとして有する画像表示装置。
[12]
(I)基材上に、[1]〜[7]のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物を塗布して塗膜を形成する工程、及び
(II)上記塗膜を硬化処理することによりハードコート層を形成する工程、
を含むハードコートフィルムの製造方法。
本発明の特定のポリオルガノシルセスキオキサン等を含むハードコート層形成用組成物から形成されるハードコート層を有するフィルムが、硬度が高く、耐擦性と繰り返し折り曲げ耐性にも優れるメカニズムについては定かではないが、本発明者らは以下のように推察している。
本発明に用いる特定のポリオルガノシルセスキオキサンは、無機構造(シロキサン結合によって形成される構造)と、重合反応により有機架橋を形成する有機架橋基(エポキシ基及びオキセタニル基)とを有し、得られるフィルムにおいては、上記無機構造のネットワークと有機架橋基が形成するネットワークが相互貫入した、IPN(Interpenetrating polymer networks)構造を形成する。そのため、上記無機構造に由来する硬度の高さ及び耐擦性と、有機架橋に由来する繰り返し折り曲げ耐性が鼎立するものと考えている。
また、本発明に用いるポリオルガノシルセスキオキサンは、エポキシ基及びオキセタニル基の両方を有し、且つ、エポキシ基に対してオキセタニル基を高比率で含有するものである。光重合速度としては、初期反応は環のゆがみの大きいエポキシ基の方がオキセタニル基に比べて早く、中期〜後期の成長反応は塩基性の高いオキセタニル基の方が早いと考えられる。また、最終的な重合度としてはオキセタニル基の方が高いと考えられる。本発明において用いられるポリオルガノシルセスキオキサンは、エポキシ基の初期高反応性を活かしつつ、オキセタニル基の後期高反応性を十分に利用することにより、より重合率の高い硬化物が得られると考えられ、上記3性能をより高い水準で鼎立できるものと考えている。
なお、本発明に用いるポリオルガノシルセスキオキサンは、構造中にアミド結合、ウレア結合及びウレタン結合のいずれも含まない。極性の高い上記結合がポリオルガノシルセスキオキサン中に存在すると、IPN構造が形成されないため、かえって硬度、繰り返し折り曲げ耐性が低下すると考えられる。
本発明に用いる特定のポリオルガノシルセスキオキサンは、無機構造(シロキサン結合によって形成される構造)と、重合反応により有機架橋を形成する有機架橋基(エポキシ基及びオキセタニル基)とを有し、得られるフィルムにおいては、上記無機構造のネットワークと有機架橋基が形成するネットワークが相互貫入した、IPN(Interpenetrating polymer networks)構造を形成する。そのため、上記無機構造に由来する硬度の高さ及び耐擦性と、有機架橋に由来する繰り返し折り曲げ耐性が鼎立するものと考えている。
また、本発明に用いるポリオルガノシルセスキオキサンは、エポキシ基及びオキセタニル基の両方を有し、且つ、エポキシ基に対してオキセタニル基を高比率で含有するものである。光重合速度としては、初期反応は環のゆがみの大きいエポキシ基の方がオキセタニル基に比べて早く、中期〜後期の成長反応は塩基性の高いオキセタニル基の方が早いと考えられる。また、最終的な重合度としてはオキセタニル基の方が高いと考えられる。本発明において用いられるポリオルガノシルセスキオキサンは、エポキシ基の初期高反応性を活かしつつ、オキセタニル基の後期高反応性を十分に利用することにより、より重合率の高い硬化物が得られると考えられ、上記3性能をより高い水準で鼎立できるものと考えている。
なお、本発明に用いるポリオルガノシルセスキオキサンは、構造中にアミド結合、ウレア結合及びウレタン結合のいずれも含まない。極性の高い上記結合がポリオルガノシルセスキオキサン中に存在すると、IPN構造が形成されないため、かえって硬度、繰り返し折り曲げ耐性が低下すると考えられる。
本発明によれば、硬度が高く、繰り返し折り曲げ耐性に優れ、かつ耐擦性にも優れたハードコート層形成用組成物、ハードコート層形成用組成物により形成されるハードコートフィルム、ハードコートフィルムを有する物品及び画像表示装置、並びに上記ハードコートフィルムの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一種を表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一種を表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの少なくとも一種を表す。
〔ハードコート層形成用組成物〕
本発明のハードコート層形成用組成物は、少なくとも、下記一般式(1)で表される特定のポリオルガノシルセスキオキサンと重合開始剤とを含む。以下、本発明のハードコート層形成用組成物(「本発明の組成物」ともいう)に含まれる各成分につき、詳細に説明する。
本発明のハードコート層形成用組成物は、少なくとも、下記一般式(1)で表される特定のポリオルガノシルセスキオキサンと重合開始剤とを含む。以下、本発明のハードコート層形成用組成物(「本発明の組成物」ともいう)に含まれる各成分につき、詳細に説明する。
<ポリオルガノシルセスキオキサン>
本発明のハードコート層形成用組成物に含まれるポリオルガノシルセスキオキサン(「本発明のポリオルガノシルセスキオキサン」ともいう)は、少なくとも、オキセタニル基を含有するシロキサン構成単位、及びエポキシ基を含有するシロキサン構成単位を有し、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシルセスキオキサンである。
本発明のハードコート層形成用組成物に含まれるポリオルガノシルセスキオキサン(「本発明のポリオルガノシルセスキオキサン」ともいう)は、少なくとも、オキセタニル基を含有するシロキサン構成単位、及びエポキシ基を含有するシロキサン構成単位を有し、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシルセスキオキサンである。
一般式(1)中、Raはオキセタニル基を含有する基を表し、Rbはエポキシ基を含有する基を表し、Rcは1価の置換基を表す。Ra、Rb、Rcの構造中にアミド結合、ウレア結合、及びウレタン結合のいずれも含まない。p及びqは1以上の整数を表し、rは0以上の整数を表す。但し、p/qは1.0以上99未満である。p、q及びrが2以上の整数である場合、複数のRa、複数のRb及び複数のRcはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。rが2以上の整数である場合、複数のRcは、互いに結合を形成してもよい。
一般式(1)中の[SiO1.5]は、ポリオルガノシルセスキオキサン中、シロキサン結合(Si−O−Si)により構成される構造部分を表す。
ポリオルガノシルセスキオキサンとは、加水分解性三官能シラン化合物に由来するシロキサン構成単位を有するネットワーク型ポリマー又は多面体クラスターであり、シロキサン結合によって、ランダム構造、ラダー構造、ケージ構造などを形成し得る。本発明において、[SiO1.5]が表す構造部分は、上記のいずれの構造であってもよく、複数の構造の混合物であっても良いが、全体の50%以上がランダム構造またはラダー構造であることが好ましく、全体の70%以上がランダム構造またはラダー構造であることがより好ましく、全体の80%以上がランダム構造またはラダー構造であることがさらに好ましい。
ポリオルガノシルセスキオキサンとは、加水分解性三官能シラン化合物に由来するシロキサン構成単位を有するネットワーク型ポリマー又は多面体クラスターであり、シロキサン結合によって、ランダム構造、ラダー構造、ケージ構造などを形成し得る。本発明において、[SiO1.5]が表す構造部分は、上記のいずれの構造であってもよく、複数の構造の混合物であっても良いが、全体の50%以上がランダム構造またはラダー構造であることが好ましく、全体の70%以上がランダム構造またはラダー構造であることがより好ましく、全体の80%以上がランダム構造またはラダー構造であることがさらに好ましい。
一般式(1)中、Raはオキセタニル基を含有する基を表す。但し、Raの構造中にアミド結合、ウレア結合、及びウレタン結合のいずれも含まない。
上記オキセタニル基を含有する基としては、オキセタン環を有する公知の基が挙げられる。
Raは下記一般式(1a)で表される基であることが好ましい。
上記オキセタニル基を含有する基としては、オキセタン環を有する公知の基が挙げられる。
Raは下記一般式(1a)で表される基であることが好ましい。
一般式(1a)中、*は一般式(1)中のSiとの連結部分を表し、L1aは2価の連結基を表し、R1aは置換又は無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表す。但し、L1aはアミド結合、ウレア結合及びウレタン結合のいずれも含まない。
L1aが表す2価の連結基としては、置換又は無置換の炭素数1〜10のアルキレン基、−O−、−CO−、−COO−、−S−、及びこれらの組み合わせによって得られる2価の連結基が挙げられる。
R1aは置換又は無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表す。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
上記アルキル基が置換基を有する場合の置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。
R1aは無置換の炭素数1〜3の直鎖アルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
上記アルキル基が置換基を有する場合の置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。
R1aは無置換の炭素数1〜3の直鎖アルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
上記一般式(1a)で表される基は、下記一般式(2a)で表される基であることが好ましい。
一般式(2a)中、*は一般式(1)中のSiとの連結部分を表し、L2aは置換又は無置換の炭素数1〜10のアルキレン基を表し、T2aは、−O−又は−COO−を表し、R2aは置換又は無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表す。但し、L2aはアルキレン基中の炭素−炭素結合の間に−S−を有していてもよい。
L2aは置換又は無置換の炭素数1〜10のアルキレン基を表す。但し、L2aはアルキレン基中の炭素−炭素結合の間に−S−を有していてもよい。
炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、s−ペンチレン基、t−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、イソヘキシレン基、s−ヘキシレン基、t−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、イソヘプチレン基、s−ヘプチレン基、t−ヘプチレン基、n−オクチレン基、イソオクチレン基、s−オクチレン基、t−オクチレン基等が挙げられる。
上記アルキレン基が置換基を有する場合の置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。
L2aは炭素数1〜7のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基であることがより好ましい。
L2aは無置換のアルキレン基であることが好ましい。
炭素数1〜10のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、s−ペンチレン基、t−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、イソヘキシレン基、s−ヘキシレン基、t−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、イソヘプチレン基、s−ヘプチレン基、t−ヘプチレン基、n−オクチレン基、イソオクチレン基、s−オクチレン基、t−オクチレン基等が挙げられる。
上記アルキレン基が置換基を有する場合の置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。
L2aは炭素数1〜7のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基であることがより好ましい。
L2aは無置換のアルキレン基であることが好ましい。
T2aは、−O−又は−COO−を表す。ここで、−COO−は、基中の炭素原子が一般式(2a)中のL2aと連結するものとする。
R2aは置換又は無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表す。R2aは、一般式(1a)中のR1aと同義であり、好ましい例も同様である。
なお、一般式(1)中のRaは、ポリオルガノシルセスキオキサンの原料として使用する加水分解性三官能シラン化合物におけるケイ素原子に結合した基(アルコキシ基及びハロゲン原子以外の基;例えば、後述の式(A)で表される加水分解性シラン化合物におけるRa等)に由来する。
以下にRaの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例において、*は一般式(1)中のSiとの連結部分を表す。
一般式(1)中、Rbは、エポキシ基を含有する基を表す。但し、Rbの構造中にアミド結合、ウレア結合、及びウレタン結合のいずれも含まない。
上記エポキシ基を含有する基としては、オキシラン環を有する公知乃至慣用の基が挙げられる。
Rbは、下記式(1b)〜(4b)で表される基であることが好ましい。
上記エポキシ基を含有する基としては、オキシラン環を有する公知乃至慣用の基が挙げられる。
Rbは、下記式(1b)〜(4b)で表される基であることが好ましい。
上記式(1b)〜(4b)中、**は一般式(1)中のSiとの連結部分を表し、R1b、R2b、R3b及びR4bは、置換又は無置換のアルキレン基を示す。
R1b、R2b、R3b及びR4bが表すアルキレン基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、i−プロピレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−デシレン基等が挙げられる。
R1b、R2b、R3b及びR4bが表すアルキレン基が置換基を有する場合の置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。
R1b、R2b、R3b及びR4bとしては、硬化物の表面硬度及び硬化性の観点で、無置換の炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基、無置換の炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、エチレン基、n−プロピレン基、又はi−プロピレン基がより好ましく、さらに好ましくはエチレン基、又はn−プロピレン基である。
R1b、R2b、R3b及びR4bが表すアルキレン基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、i−プロピレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−デシレン基等が挙げられる。
R1b、R2b、R3b及びR4bが表すアルキレン基が置換基を有する場合の置換基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、シリル基等が挙げられる。
R1b、R2b、R3b及びR4bとしては、硬化物の表面硬度及び硬化性の観点で、無置換の炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基、無置換の炭素数3又は4の分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、エチレン基、n−プロピレン基、又はi−プロピレン基がより好ましく、さらに好ましくはエチレン基、又はn−プロピレン基である。
Rbは、エポキシ基と脂環基の縮環構造を有する基であることが好ましく、エポキシシクロヘキシル基を有する基であることがより好ましく、上記式(1b)で表される基であることがさらに好ましい。
なお、一般式(1)中のRbは、ポリオルガノシルセスキオキサンの原料として使用する加水分解性三官能シラン化合物におけるケイ素原子に結合した基(アルコキシ基及びハロゲン原子以外の基;例えば、後述の式(B)で表される加水分解性シラン化合物におけるRb等)に由来する。
以下にRbの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例において、**は一般式(1)中のSiとの連結部分を表す。
一般式(1)中、Rcは1価の置換基を表す。但し、Rcの構造中にアミド結合、ウレア結合、ウレタン結合は含まない。
Rcが表す1価の置換基としては、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のアラルキル基が挙げられる。
Rcが表す1価の置換基としては、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のアラルキル基が挙げられる。
Rcが表すアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
Rcが表すシクロアルキル基としては、炭素数3〜15のシクロアルキル基が挙げられ、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
Rcが表すアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられ、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。
Rcが表すアリール基としては、炭素数6〜15のアリール基が挙げられ、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
Rcが表すアラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
Rcが表すシクロアルキル基としては、炭素数3〜15のシクロアルキル基が挙げられ、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
Rcが表すアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられ、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルケニル基が挙げられる。
Rcが表すアリール基としては、炭素数6〜15のアリール基が挙げられ、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
Rcが表すアラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
上述の置換アルキル基、置換シクロアルキル基、置換アルケニル基、置換アリール基、置換アラルキル基としては、上述のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基のそれぞれにおける水素原子又は主鎖骨格の一部若しくは全部が、エーテル基、エステル基、カルボニル基、ハロゲン原子(フッ素原子等)、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、及びヒドロキシ基(水酸基)からなる群より選択された少なくとも1種で置換された基等が挙げられる。
Rcは、置換又は無置換のアルキル基が好ましく、無置換の炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
rが2以上の整数である場合、複数のRcは互いに結合を形成していてもよい。2つ又は3つのRcが互いに結合を形成していることが好ましく、2つのRcが互いに結合を形成していることがより好ましい。
2つのRcが互いに結合して形成される基(Rc2)としては、上述のRcが表す置換又は無置換のアルキル基が結合して形成されるアルキレン基であることが好ましい。
Rc2が表すアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、s−ペンチレン基、t−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、イソヘキシレン基、s−ヘキシレン基、t−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、イソヘプチレン基、s−ヘプチレン基、t−ヘプチレン基、n−オクチレン基、イソオクチレン基、s−オクチレン基、t−オクチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
Rc2が表すアルキレン基としては、無置換の炭素数2〜20のアルキレン基が好ましく、より好ましくは無置換の炭素数2〜20のアルキレン基、さらに好ましくは無置換の炭素数2〜8のアルキレン基であり、特に好ましくはn−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−ヘプチレン基、n−オクチレン基である。
3つのRcが互いに結合して形成される基(Rc3)としては、上述のRc2が表すアルキレン基において、アルキレン基中の任意の水素原子をひとつ減らした3価の基であることが好ましい。
なお、一般式(1)中のRcは、ポリオルガノシルセスキオキサンの原料として使用する加水分解性シラン化合物におけるケイ素原子に結合した基(アルコキシ基及びハロゲン原子以外の基;例えば、後述の式(C1)〜(C3)で表される加水分解性シラン化合物におけるRc1〜Rc3等)に由来する。
一般式(1)中、p及びqは1以上の整数を表し、rは0以上の整数を表す。但し、p/qが1.0以上99未満である。
p/qを1.0以上99未満とすることによって、重合率の高い硬化物が得られ、高硬度、耐擦性、及び繰り返し折り曲げ耐性を高水準で鼎立することが可能となる。
p/qは1.0〜20であることが好ましく、1.0〜10がより好ましく、1.0〜5.0であることがさらに好ましい。
p/qを1.0以上99未満とすることによって、重合率の高い硬化物が得られ、高硬度、耐擦性、及び繰り返し折り曲げ耐性を高水準で鼎立することが可能となる。
p/qは1.0〜20であることが好ましく、1.0〜10がより好ましく、1.0〜5.0であることがさらに好ましい。
(p+q)/(p+q+r)は0.5〜1.0であることが好ましい。本発明のポリオルガノシルセスキオキサンに含まれるRa、Rb又はRcで表される基全量に対して、Ra又はRbで表される基を半数以上とすることで、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンを含むハードコートフィルムにおいて、有機架橋基が作るネットワークが十分に形成され、IPN構造がより良好に形成されるため、硬度、繰り返し折り曲げ耐性、耐刷性の各性能がさらに向上する。
(p+q)/(p+q+r)は0.7〜1.0であることがより好ましく、0.8〜1.0がさらに好ましく、0.9〜1.0であることが特に好ましい。
(p+q)/(p+q+r)は0.7〜1.0であることがより好ましく、0.8〜1.0がさらに好ましく、0.9〜1.0であることが特に好ましい。
一般式(1)中、rが2以上の整数であって、複数のRcが互いに結合を形成していることも好ましい。この場合、r/(p+q+r)が0.005〜0.20であることが好ましい。
r/(p+q+r)は0.005〜0.20がより好ましく、0.005〜0.10がさらに好ましく、0.005〜0.050であることが特に好ましい。
r/(p+q+r)は0.005〜0.20がより好ましく、0.005〜0.10がさらに好ましく、0.005〜0.050であることが特に好ましい。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレン換算で2000〜20000であることが好ましく、2500〜10000がより好ましく、2700〜8000がさらに好ましく、特に好ましくは2900〜6000である。
重量平均分子量を2000以上とすることにより、硬化物の耐熱性、耐擦性がより向上する傾向がある。一方、重量平均分子量を20000以下とすることにより、硬化性組成物における他の成分との相溶性が向上する傾向がある。
重量平均分子量を2000以上とすることにより、硬化物の耐熱性、耐擦性がより向上する傾向がある。一方、重量平均分子量を20000以下とすることにより、硬化性組成物における他の成分との相溶性が向上する傾向がある。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンのGPCによる標準ポリスチレン換算の分子量分散度(Mw/Mn)は、例えば1.0〜5.0であり、好ましくは1.1〜4.0であり、より好ましくは1.2〜3.5であり、さらに好ましくは1.3〜3.0であり、特に好ましくは1.45〜2.0である。分子量分散度を上記範囲とすることにより、硬化物の表面硬度がより高くなり、また、液状となりやすく、取り扱い性が向上する傾向がある。なおMnは数平均分子量を表す。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量、分子量分散度は、下記の装置及び条件により測定した。
測定装置:商品名「LC−20AD」((株)島津製作所製)
カラム:Shodex KF−801×2本、KF−802、及びKF−803(昭和電工(株)製)
測定温度:40℃
溶離液:THF、試料濃度0.1〜0.2質量%
流量:1mL/分
検出器:UV−VIS検出器(商品名「SPD−20A」、(株)島津製作所製)
分子量:標準ポリスチレン換算
測定装置:商品名「LC−20AD」((株)島津製作所製)
カラム:Shodex KF−801×2本、KF−802、及びKF−803(昭和電工(株)製)
測定温度:40℃
溶離液:THF、試料濃度0.1〜0.2質量%
流量:1mL/分
検出器:UV−VIS検出器(商品名「SPD−20A」、(株)島津製作所製)
分子量:標準ポリスチレン換算
本発明の組成物中、上記ポリオルガノシルセスキオキサンは一種のみ用いてもよく、構造の異なる二種以上を併用してもよい。
本発明の組成物中のポリオルガノシルセスキオキサンの含有量としては、全固形分に対して、50質量%〜100質量%であることが好ましく、50質量%〜99.9質量%であることがより好ましく、70質量%〜99.5質量%であることが更に好ましく、90質量%〜99.0質量%であることが特に好ましい。
<ポリオルガノシルセスキオキサンの製造方法>
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、公知のポリシロキサンの製造方法により製造することができ、特に限定されないが、好ましくは2種以上の加水分解性シラン化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造できる。但し、上記加水分解性シラン化合物としては、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおける、オキセタニル基を含有するシロキサン構成単位を形成するための加水分解性三官能シラン化合物(下記式(A)で表される化合物)、及びエポキシ基を含有するシロキサン構成単位を形成するための加水分解性三官能シラン化合物(下記式(B)で表される化合物)を加水分解性シラン化合物として使用することが好ましい。
一般式(1)中のrが1以上の整数である場合には、加水分解性シラン化合物として、下記式(C1)、(C2)又は(C3)で表される化合物を併用することが好ましい。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンは、公知のポリシロキサンの製造方法により製造することができ、特に限定されないが、好ましくは2種以上の加水分解性シラン化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造できる。但し、上記加水分解性シラン化合物としては、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおける、オキセタニル基を含有するシロキサン構成単位を形成するための加水分解性三官能シラン化合物(下記式(A)で表される化合物)、及びエポキシ基を含有するシロキサン構成単位を形成するための加水分解性三官能シラン化合物(下記式(B)で表される化合物)を加水分解性シラン化合物として使用することが好ましい。
一般式(1)中のrが1以上の整数である場合には、加水分解性シラン化合物として、下記式(C1)、(C2)又は(C3)で表される化合物を併用することが好ましい。
式(A)中のRaは、上記一般式(1)中のRaと同義であり、好ましい例も同様である。
式(A)中のX1は、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す。
X1におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基等が挙げられる。
X1におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
X1としては、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。なお、3つのX1は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
X1におけるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基等が挙げられる。
X1におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
X1としては、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。なお、3つのX1は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
上記式(A)で表される化合物は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおけるRaを有するシロキサン構成単位を形成する化合物である。
式(B)中のRbは、上記一般式(1)中のRbと同義であり、好ましい例も同様である。
式(B)中のX2は、上記式(A)中のX1と同義であり、好ましい例も同様である。3つのX2は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
上記式(B)で表される化合物は、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおけるRbを有するシロキサン構成単位を形成する化合物である。
式(C1)中のRc1は、上記一般式(1)中のRcと同義であり、好ましい例も同様である。
式(C2)中のRc2は、上記一般式(1)中の2つのRcが互いに結合することにより形成される基(Rc2)と同義であり、好ましい例も同様である。
式(C3)中のRc3は、上記一般式(1)中の3つのRcが互いに結合することにより形成される基(Rc3)と同義であり、好ましい例も同様である。
式(C2)中のRc2は、上記一般式(1)中の2つのRcが互いに結合することにより形成される基(Rc2)と同義であり、好ましい例も同様である。
式(C3)中のRc3は、上記一般式(1)中の3つのRcが互いに結合することにより形成される基(Rc3)と同義であり、好ましい例も同様である。
上記式(C1)〜(C3)中のX3は、上記式(A)中のX1と同義であり、好ましい例も同様である。複数のX3は、それぞれ同一であっても、異なっていてもよい。
上記加水分解性シラン化合物としては、上記式(A)、(B)、(C1)〜(C3)で表される化合物以外の加水分解性シラン化合物を併用してもよい。例えば、上記式(A)、(B)、(C1)〜(C3)で表される化合物以外の加水分解性三官能シラン化合物、加水分解性単官能シラン化合物、加水分解性二官能シラン化合物等が挙げられる。
本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおいて、一般式(1)中のp/qを調整するには、ポリオルガノシルセスキオキサンの製造において用いる上記式(A)で表される化合物と、上記式(B)で表される化合物の配合比(モル比)を調整すればよい。
具体的には、例えば、p/qを1.0以上99未満とするには、下記(Z1)で表される値を1.0以上99未満とし、これらの化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造すればよい。
具体的には、例えば、p/qを1.0以上99未満とするには、下記(Z1)で表される値を1.0以上99未満とし、これらの化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造すればよい。
(Z1)=式(A)で表される化合物(モル量)/式(B)で表される化合物(モル量)
また、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンにおいて、Rcが上記式(C1)〜(C3)で表される加水分解性シラン化合物におけるRc1〜Rc3に由来する場合、一般式(1)中の(p+q)/(p+q+r)を調整するには、上記式(A)、(B)、(C1)〜(C3)で表される化合物の配合比(モル比)を調整すればよい。
具体的には、例えば、(p+q)/(p+q+r)を0.5〜1.0とするには、下記(Z2)で表される値を0.5〜1.0とし、これらの化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造すればよい。
具体的には、例えば、(p+q)/(p+q+r)を0.5〜1.0とするには、下記(Z2)で表される値を0.5〜1.0とし、これらの化合物を加水分解及び縮合させる方法により製造すればよい。
(Z2)={式(A)で表される化合物(モル量)+式(B)で表される化合物(モル量)}/{式(A)で表される化合物(モル量)+式(B)で表される化合物(モル量)+式(C1)で表される化合物(モル量)+式(C2)で表される化合物(モル量)×2+式(C3)で表される化合物(モル量)×3}
上記加水分解性シラン化合物の使用量や組成は、所望する本発明のポリオルガノシルセスキオキサンの構造に応じて適宜調整できる。
また、上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、同時に行うことも、逐次行うこともできる。上記反応を逐次行う場合、反応を行う順序は特に限定されない。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、溶媒の存在下で行うことも、非存在下で行うこともでき、溶媒の存在下で行うことが好ましい。
上記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール等が挙げられる。
上記溶媒としては、ケトン又はエーテルが好ましい。なお、溶媒は1種を単独で使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
上記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール等が挙げられる。
上記溶媒としては、ケトン又はエーテルが好ましい。なお、溶媒は1種を単独で使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
溶媒の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量100質量部に対して、0〜2000質量部の範囲内で、所望の反応時間等に応じて、適宜調整することができる。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応は、触媒及び水の存在下で進行させることが好ましい。上記触媒は、酸触媒であってもアルカリ触媒であってもよい。
上記酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸;リン酸エステル;酢酸、蟻酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸;活性白土等の固体酸;塩化鉄等のルイス酸等が挙げられる。
上記アルカリ触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム等のアルカリ金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;ナトリウムフェノキシド等のアルカリ金属のフェノキシド;トリエチルアミン、N−メチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等のアミン類(第3級アミン等);ピリジン、2,2'−ビピリジル、1,10−フェナントロリン等の含窒素芳香族複素環化合物等が挙げられる。
なお、触媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、触媒は、水や溶媒等に溶解又は分散させた状態で使用することもできる。
上記酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸;リン酸エステル;酢酸、蟻酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸;活性白土等の固体酸;塩化鉄等のルイス酸等が挙げられる。
上記アルカリ触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム等のアルカリ金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の有機酸塩(例えば、酢酸塩);リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド;ナトリウムフェノキシド等のアルカリ金属のフェノキシド;トリエチルアミン、N−メチルピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等のアミン類(第3級アミン等);ピリジン、2,2'−ビピリジル、1,10−フェナントロリン等の含窒素芳香族複素環化合物等が挙げられる。
なお、触媒は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、触媒は、水や溶媒等に溶解又は分散させた状態で使用することもできる。
上記触媒の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1モルに対して、0.002〜0.200モルの範囲内で、適宜調整することができる。
上記加水分解及び縮合反応に際しての水の使用量は、特に限定されず、加水分解性シラン化合物の全量1モルに対して、0.5〜20モルの範囲内で、適宜調整することができる。
上記水の添加方法は、特に限定されず、使用する水の全量(全使用量)を一括で添加しても、逐次的に添加してもよい。逐次的に添加する際には、連続的に添加しても、間欠的に添加してもよい。
上記加水分解及び縮合反応の反応温度は、例えば40〜100℃であり、好ましくは45〜80℃である。また、上記加水分解及び縮合反応の反応時間は、例えば0.1〜10時間であり、好ましくは1.5〜8時間である。また、上記加水分解及び縮合反応は、常圧下で行うこともできるし、加圧下又は減圧下で行うこともできる。なお、上記加水分解及び縮合反応を行う際の雰囲気は、例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気下、空気下等の酸素存在下等のいずれであってもよいが、不活性ガス雰囲気下が好ましい。
上記加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合反応により、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンが得られる。上記加水分解及び縮合反応の終了後には、オキセタニル基及びエポキシ基の開環を抑制するために触媒を中和することが好ましい。また、本発明のポリオルガノシルセスキオキサンを、例えば、水洗、酸洗浄、アルカリ洗浄、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段等により分離精製してもよい。
<重合開始剤>
本発明の組成物は、重合開始剤を含む。重合開始剤は、上記ポリオルガノシルセスキオキサンの重合反応を光照射により開始し進行させるために、カチオン光重合開始剤を含むことが好ましい。なおカチオン光重合開始剤は一種のみ用いてもよく、構造の異なる二種以上を併用してもよい。
以下、カチオン光重合開始剤について説明する。
本発明の組成物は、重合開始剤を含む。重合開始剤は、上記ポリオルガノシルセスキオキサンの重合反応を光照射により開始し進行させるために、カチオン光重合開始剤を含むことが好ましい。なおカチオン光重合開始剤は一種のみ用いてもよく、構造の異なる二種以上を併用してもよい。
以下、カチオン光重合開始剤について説明する。
(カチオン光重合開始剤)
カチオン光重合開始剤としては、光照射により活性種としてカチオンを発生することができるものであればよく、公知のカチオン光重合開始剤を、何ら制限なく用いることができる。具体例としては、公知のスルホニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩(例えばジアリールヨードニウム塩)、トリアリールスルホニウム塩、ジアゾニウム塩、イミニウム塩などが挙げられる。より具体的には、例えば、特開平8−143806号公報段落0050〜0053に示されている式(25)〜(28)で表されるカチオン光重合開始剤、特開平8−283320号公報段落0020にカチオン重合触媒として例示されているもの等を挙げることができる。また、カチオン光重合開始剤は、公知の方法で合成可能であり、市販品としても入手可能である。市販品としては、例えば、日本曹達社製CI−1370、CI−2064、CI−2397、CI−2624、CI−2639、CI−2734、CI−2758、CI−2823、CI−2855およびCI−5102等、ローディア社製PHOTOINITIATOR2047等、ユニオンカーバイト社製UVI−6974、UVI−6990、サンアプロ社製CPI−10P等を挙げることができる。
カチオン光重合開始剤としては、光照射により活性種としてカチオンを発生することができるものであればよく、公知のカチオン光重合開始剤を、何ら制限なく用いることができる。具体例としては、公知のスルホニウム塩、アンモニウム塩、ヨードニウム塩(例えばジアリールヨードニウム塩)、トリアリールスルホニウム塩、ジアゾニウム塩、イミニウム塩などが挙げられる。より具体的には、例えば、特開平8−143806号公報段落0050〜0053に示されている式(25)〜(28)で表されるカチオン光重合開始剤、特開平8−283320号公報段落0020にカチオン重合触媒として例示されているもの等を挙げることができる。また、カチオン光重合開始剤は、公知の方法で合成可能であり、市販品としても入手可能である。市販品としては、例えば、日本曹達社製CI−1370、CI−2064、CI−2397、CI−2624、CI−2639、CI−2734、CI−2758、CI−2823、CI−2855およびCI−5102等、ローディア社製PHOTOINITIATOR2047等、ユニオンカーバイト社製UVI−6974、UVI−6990、サンアプロ社製CPI−10P等を挙げることができる。
カチオン光重合開始剤としては、光重合開始剤の光に対する感度、化合物の安定性等の点からは、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が好ましい。また、耐候性の点からは、ヨードニウム塩が最も好ましい。
ヨードニウム塩系のカチオン光重合開始剤の具体的な市販品としては、例えば、東京化成社製B2380、みどり化学社製BBI−102、和光純薬工業社製WPI−113、和光純薬工業社製WPI−124、和光純薬工業社製WPI−169、和光純薬工業社製WPI−170、東洋合成化学社製DTBPI−PFBSを挙げることができる。
また、カチオン光重合開始剤として使用可能なヨードニウム塩化合物の具体例としては、下記化合物FK−1、FK−2を挙げることもできる。
本発明の組成物中の重合開始剤の含有量は、上記ポリオルガノシルセスキオキサンの重合反応(カチオン重合)を良好に進行させる範囲で適宜調整すればよく、特に限定されるものではない。上記ポリオルガノシルセスキオキサン100質量部に対して、例えば0.1〜200質量部の範囲であり、好ましくは1〜150質量部、より好ましくは2〜100質量部の範囲である。
<任意成分>
本発明の組成物は、上記のポリオルガノシルセスキオキサン、重合開始剤以外に、一種以上の任意成分を更に含むこともできる。任意成分の具体例としては、溶媒および各種添加剤を挙げることができる。
本発明の組成物は、上記のポリオルガノシルセスキオキサン、重合開始剤以外に、一種以上の任意成分を更に含むこともできる。任意成分の具体例としては、溶媒および各種添加剤を挙げることができる。
(溶媒)
任意成分として含まれ得る溶媒としては、有機溶媒が好ましく、有機溶媒の一種または二種以上を任意の割合で混合して用いることができる。有機溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;ジアセトンアルコール等が挙げられる。上記組成物中の溶媒量は、組成物の塗布適性を確保できる範囲で適宜調整することができる。例えば、上記のポリオルガノシルセスキオキサンおよび重合開始剤の合計量100質量部に対して、50〜500質量部とすることができ、好ましくは80〜200質量部とすることができる。
任意成分として含まれ得る溶媒としては、有機溶媒が好ましく、有機溶媒の一種または二種以上を任意の割合で混合して用いることができる。有機溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;トルエン、キシレン等の芳香族類;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;ジアセトンアルコール等が挙げられる。上記組成物中の溶媒量は、組成物の塗布適性を確保できる範囲で適宜調整することができる。例えば、上記のポリオルガノシルセスキオキサンおよび重合開始剤の合計量100質量部に対して、50〜500質量部とすることができ、好ましくは80〜200質量部とすることができる。
(添加剤)
上記組成物は、更に必要に応じて、公知の添加剤の一種以上を任意に含むことができる。そのような添加剤としては。表面調整剤、レベリング剤、重合禁止剤等を挙げることができる。それらの詳細については、例えば特開2012−229412号公報段落0032〜0034を参照できる。ただしこれらに限らず、重合性組成物に一般に使用され得る各種添加剤を用いることができる。また、組成物への添加剤の添加量は適宜調整すればよく、特に限定されるものではない。
上記組成物は、更に必要に応じて、公知の添加剤の一種以上を任意に含むことができる。そのような添加剤としては。表面調整剤、レベリング剤、重合禁止剤等を挙げることができる。それらの詳細については、例えば特開2012−229412号公報段落0032〜0034を参照できる。ただしこれらに限らず、重合性組成物に一般に使用され得る各種添加剤を用いることができる。また、組成物への添加剤の添加量は適宜調整すればよく、特に限定されるものではない。
<組成物の調製方法>
本発明のハードコート層形成用組成物は、以上説明した各種成分を同時に、または任意の順序で順次混合することにより調製することができる。調製方法は特に限定されるものではなく、調製には公知の攪拌機等を用いることができる。
本発明のハードコート層形成用組成物は、以上説明した各種成分を同時に、または任意の順序で順次混合することにより調製することができる。調製方法は特に限定されるものではなく、調製には公知の攪拌機等を用いることができる。
〔ハードコートフィルム〕
本発明のハードコートフィルムは、基材と、上記基材上に、本発明のハードコート層形成用組成物により形成されるハードコート層とを有するハードコートフィルムである。
本発明のハードコートフィルムは、上記ポリオルガノシルセスキオキサンをハードコード層形成用組成物中に用いることにより、硬度が高く、耐擦性、繰り返し折り曲げ耐性にも優れたフィルムとなる。
本発明のハードコートフィルムは、基材と、上記基材上に、本発明のハードコート層形成用組成物により形成されるハードコート層とを有するハードコートフィルムである。
本発明のハードコートフィルムは、上記ポリオルガノシルセスキオキサンをハードコード層形成用組成物中に用いることにより、硬度が高く、耐擦性、繰り返し折り曲げ耐性にも優れたフィルムとなる。
<ハードコート層>
本発明のハードコートフィルムのハードコート層について説明する。ハードコート層は、上記本発明のハードコート層形成用組成物により形成される。すなわち、上記ハードコート層形成用組成物中の溶媒以外の固形分を含むものである。
本発明のハードコートフィルムのハードコート層について説明する。ハードコート層は、上記本発明のハードコート層形成用組成物により形成される。すなわち、上記ハードコート層形成用組成物中の溶媒以外の固形分を含むものである。
(膜厚)
ハードコート層の膜厚は特に限定されない。例えば1つの態様としてハードコート層の膜厚が1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましく、5〜20μmであることが更に好ましい。また、別の態様としては、ハードコート層の膜厚が1〜10μmであることが好ましく、1.5〜8μmであることがより好ましく、2〜5μmであることが更に好ましい。
ハードコート層の膜厚は特に限定されない。例えば1つの態様としてハードコート層の膜厚が1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることがより好ましく、5〜20μmであることが更に好ましい。また、別の態様としては、ハードコート層の膜厚が1〜10μmであることが好ましく、1.5〜8μmであることがより好ましく、2〜5μmであることが更に好ましい。
<基材>
本発明のハードコートフィルムの基材について説明する。
基材は、可視光領域の透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
基材はポリマー樹脂を含むことが好ましい。すなわち、基材はプラスチック基材であることが好ましい。
本発明のハードコートフィルムの基材について説明する。
基材は、可視光領域の透過率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
基材はポリマー樹脂を含むことが好ましい。すなわち、基材はプラスチック基材であることが好ましい。
(ポリマー樹脂)
ポリマー樹脂としては、光学的な透明性、機械的強度、熱安定性などに優れるポリマーが好ましい。
ポリマー樹脂としては、光学的な透明性、機械的強度、熱安定性などに優れるポリマーが好ましい。
例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系ポリマー、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロン、芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、トリアセチルセルロースに代表されるセルロース系ポリマー、又は上記ポリマー同士の共重合体や上記ポリマー同士を混合したポリマーも例として挙げられる。
特に、芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー及びイミド系ポリマーは、JIS P8115(2001)に従いMIT試験機によって測定した破断折り曲げ回数が大きく、硬度も比較的高いことから、基材として好ましく用いることができる。例えば、特許第5699454号公報の実施例1にあるような芳香族ポリアミド、特表2015−508345号公報及び特表2016−521216号公報に記載のポリイミドを基材として好ましく用いることができる。
また、基材は、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の紫外線硬化型、熱硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
(柔軟化素材)
基材は、上記のポリマー樹脂を更に柔軟化する素材を含有しても良い。柔軟化素材とは、破断折り曲げ回数を向上させる化合物を指し、柔軟化素材としては、ゴム質弾性体、脆性改良剤、可塑剤、スライドリングポリマー等を用いることが出来る。
柔軟化素材として具体的には、特開2016−167043号公報における段落番号[0051]〜[0114]に記載の柔軟化素材を好適に用いることができる。
基材は、上記のポリマー樹脂を更に柔軟化する素材を含有しても良い。柔軟化素材とは、破断折り曲げ回数を向上させる化合物を指し、柔軟化素材としては、ゴム質弾性体、脆性改良剤、可塑剤、スライドリングポリマー等を用いることが出来る。
柔軟化素材として具体的には、特開2016−167043号公報における段落番号[0051]〜[0114]に記載の柔軟化素材を好適に用いることができる。
柔軟化素材は、ポリマー樹脂に単独で混合しても良いし、複数を適宜併用して混合しても良いし、また、樹脂と混合せずに、柔軟化素材のみを単独又は複数併用で用いて基材としても良い。
これらの柔軟化素材を混合する量は、ポリマー樹脂100質量部に対して10質量部の柔軟化素材を混合した際に式(11)を満たせば、とくに制限はない。すなわち、単独で十分な破断折り曲げ回数を持つポリマー樹脂を単独でフィルムの基材としても良いし、柔軟化素材を混合しても良いし、すべてを柔軟化素材(100%)として十分な破断折り曲げ回数を持たせても良い。
(その他の添加剤)
基材には、用途に応じた種々の添加剤(例えば、紫外線吸収剤、マット剤、酸化防止剤、剥離促進剤、レターデーション(光学異方性)調節剤、など)を添加できる。それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点又は沸点において特に限定されるものではない。また添加剤を添加する時期は基材を作製する工程において何れの時点で添加しても良く、素材調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。
その他の添加剤としては、特開2016−167043号公報における段落番号[0117]〜[0122]に記載の添加剤を好適に用いることができる。
基材には、用途に応じた種々の添加剤(例えば、紫外線吸収剤、マット剤、酸化防止剤、剥離促進剤、レターデーション(光学異方性)調節剤、など)を添加できる。それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点又は沸点において特に限定されるものではない。また添加剤を添加する時期は基材を作製する工程において何れの時点で添加しても良く、素材調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。
その他の添加剤としては、特開2016−167043号公報における段落番号[0117]〜[0122]に記載の添加剤を好適に用いることができる。
以上の添加剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
基材は、透明性の観点から、基材に用いる柔軟性素材及び各種添加剤と、ポリマー樹脂との屈折率の差が小さいことが好ましい。
(基材の厚み)
基材の厚みは、100μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることが更に好ましく、50μm以下が最も好ましい。基材の厚みが薄くなれば、折れ曲げ時の表面と裏面の曲率差が小さくなり、クラック等が発生し難くなり、複数回の折れ曲げでも、基材の破断が生じなくなる。一方、基材取り扱いの容易さの観点から基材の厚みは10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましい。光学フィルムが組み込まれる画像表示装置の薄型化の観点からは、光学フィルムの総厚は、70μm以下であることが好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
基材の厚みは、100μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることが更に好ましく、50μm以下が最も好ましい。基材の厚みが薄くなれば、折れ曲げ時の表面と裏面の曲率差が小さくなり、クラック等が発生し難くなり、複数回の折れ曲げでも、基材の破断が生じなくなる。一方、基材取り扱いの容易さの観点から基材の厚みは10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましい。光学フィルムが組み込まれる画像表示装置の薄型化の観点からは、光学フィルムの総厚は、70μm以下であることが好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
(基材の作製方法)
基材は、熱可塑性のポリマー樹脂を熱溶融して製膜しても良いし、ポリマーを均一に溶解した溶液から溶液製膜(ソルベントキャスト法)によって製膜しても良い。熱溶融製膜の場合は、上述の柔軟化素材及び種々の添加剤を、熱溶融時に加えることができる。一方、基材を溶液製膜法で作製する場合は、ポリマー溶液(以下、ドープともいう)には、各調製工程において上述の柔軟化素材及び種々の添加剤を加えることができる。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
基材は、熱可塑性のポリマー樹脂を熱溶融して製膜しても良いし、ポリマーを均一に溶解した溶液から溶液製膜(ソルベントキャスト法)によって製膜しても良い。熱溶融製膜の場合は、上述の柔軟化素材及び種々の添加剤を、熱溶融時に加えることができる。一方、基材を溶液製膜法で作製する場合は、ポリマー溶液(以下、ドープともいう)には、各調製工程において上述の柔軟化素材及び種々の添加剤を加えることができる。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
<その他の層>
本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層以外の層を有してもよい。
例えば、ハードコートフィルムのハードコート層の基材とは反対側の最表面に、更に耐擦層を設けることも好ましく、これにより耐擦性を向上することができる。
本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層以外の層を有してもよい。
例えば、ハードコートフィルムのハードコート層の基材とは反対側の最表面に、更に耐擦層を設けることも好ましく、これにより耐擦性を向上することができる。
(耐擦層)
耐擦層としては、1分子中の架橋基数が3つ以上の架橋性化合物の硬化物を耐擦層の全質量に対して80質量%以上含有する層であることが好ましい。
1分子中の架橋基数が3つ以上の架橋性化合物は、架橋性モノマーであっても、架橋性オリゴマーであっても、架橋性ポリマーであってもよい。架橋性化合物の1分子中の架橋基数が3つ以上であると、緻密な三次元架橋構造が形成しやすく、架橋基当量(架橋基として(メタ)アクリロイル基を持つ場合は一般的にアクリル当量と呼ばれる)の小さな架橋性化合物を用いても、耐擦層の押し込み硬度を高くすることができる。耐擦層の押し込み硬度は300MPa以上であることが好ましい。
1分子中の架橋基数が3つ以上の、架橋性化合物の硬化物の含有率は、耐擦層の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
架橋基としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、又はオキセタニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基が最も好ましい。
1分子中の架橋基数が3つ以上の架橋性モノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが挙げられる。具体的には、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート,ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、高架橋という点ではペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、もしくはジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、又はこれらの混合物が好ましい。
耐擦層の膜厚は、350nm以下であることが好ましい。
耐擦層としては、1分子中の架橋基数が3つ以上の架橋性化合物の硬化物を耐擦層の全質量に対して80質量%以上含有する層であることが好ましい。
1分子中の架橋基数が3つ以上の架橋性化合物は、架橋性モノマーであっても、架橋性オリゴマーであっても、架橋性ポリマーであってもよい。架橋性化合物の1分子中の架橋基数が3つ以上であると、緻密な三次元架橋構造が形成しやすく、架橋基当量(架橋基として(メタ)アクリロイル基を持つ場合は一般的にアクリル当量と呼ばれる)の小さな架橋性化合物を用いても、耐擦層の押し込み硬度を高くすることができる。耐擦層の押し込み硬度は300MPa以上であることが好ましい。
1分子中の架橋基数が3つ以上の、架橋性化合物の硬化物の含有率は、耐擦層の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
架橋基としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、又はオキセタニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基が最も好ましい。
1分子中の架橋基数が3つ以上の架橋性モノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが挙げられる。具体的には、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート,ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、高架橋という点ではペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、もしくはジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、又はこれらの混合物が好ましい。
耐擦層の膜厚は、350nm以下であることが好ましい。
〔ハードコートフィルムの製造方法〕
本発明のハードコートフィルムの製造方法について説明する。
本発明のハードコートフィルムの製造方法は、下記工程(I)及び(II)を含む製造方法であることが好ましい。
(I)基材上に、上記本発明のハードコート層形成用組成物を塗布して塗膜を形成する工程
(II)上記塗膜を硬化処理することによりハードコート層を形成する工程
本発明のハードコートフィルムの製造方法について説明する。
本発明のハードコートフィルムの製造方法は、下記工程(I)及び(II)を含む製造方法であることが好ましい。
(I)基材上に、上記本発明のハードコート層形成用組成物を塗布して塗膜を形成する工程
(II)上記塗膜を硬化処理することによりハードコート層を形成する工程
<工程(I)>
工程(I)は、基材上にハードコート層形成用組成物を塗布して塗膜を設ける工程である。
基材、ハードコート層形成用組成物については前述したとおりである。
工程(I)は、基材上にハードコート層形成用組成物を塗布して塗膜を設ける工程である。
基材、ハードコート層形成用組成物については前述したとおりである。
ハードコート層形成用組成物の塗布方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法等が挙げられる。
<工程(II)>
工程(II)は、上記塗膜を硬化処理することによりハードコート層を形成する工程である。
工程(II)は、上記塗膜を硬化処理することによりハードコート層を形成する工程である。
塗膜の硬化は、電離放射線を塗膜側から照射して硬化させるか、または熱により硬化させることが好ましい。
電離放射線の種類については、特に制限はなく、X線、電子線、紫外線、可視光、赤外線などが挙げられるが、紫外線が好ましく用いられる。例えば塗膜が紫外線硬化性であれば、紫外線ランプにより10mJ/cm2〜1000mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して硬化性化合物を硬化するのが好ましい。50mJ/cm2〜1000mJ/cm2であることがより好ましく、100mJ/cm2〜500mJ/cm2であることが更に好ましい。紫外線ランプ種としては、メタルハライドランプや高圧水銀ランプ等が好適に用いられる。
熱により硬化する場合、温度に特に制限はないが、80℃以上200℃以下であることが好ましく、100℃以上180℃以下であることがより好ましく、120℃以上160℃以下であることがさらに好ましい。
硬化時の酸素濃度は0〜1.0体積%であることが好ましく、0〜0.1体積%であることが更に好ましく、0〜0.05体積%であることが最も好ましい。硬化時の酸素濃度を1.0体積%よりも小さくすることで、酸素による硬化阻害の影響を受けにくくなり、強固な膜となる。
工程(I)後、工程(II)の前に、若しくは工程(II)の後に、又はその両方において、必要に応じて乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理は、温風の吹き付け、加熱炉内への配置、加熱炉内での搬送等により行うことができる。加熱温度は、溶媒を乾燥除去できる温度に設定すればよく、特に限定されるものではない。ここで加熱温度とは、温風の温度または加熱炉内の雰囲気温度をいうものとする。
上記ハードコートフィルムの製造方法においては、前述の工程(II)の後に、ハードコート層上に、耐擦層形成用組成物を塗布し、硬化させて、耐擦層を形成することも好ましい。
本発明は、上記の本発明のハードコートフィルムを有する物品、上記の本発明のハードコートフィルムを有する画像表示装置(好ましく本発明のハードコートフィルムを表面保護フィルムとして有する画像表示装置)にも関する。本発明のハードコートフィルムは、特に、スマートフォンなどにおけるフレキシブルディスプレイに好ましく適用される。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれによって限定して解釈されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(ポリオルガノシロセスキオキサンの合成に使用したシラン化合物)
以下、本発明に用いるポリオルガノシロセスキオキサンの合成に用いたシラン化合物を示す。
以下、本発明に用いるポリオルガノシロセスキオキサンの合成に用いたシラン化合物を示す。
−オキセタニル基含有シラン化合物−
化合物(A−1):7−トリメトキシシリル−4−チアヘプタン酸−(3−エチル−オキセタン−3−イル)は、特開平10−330485に記載の方法で合成した。
化合物(A−2):(3−エチル−オキセタン−3−イル)メチルオキシプロピルトリエトキシシラン(TESOX)は、東亜合成研究年報TREND、第3号(1999年)27〜33頁に記載の方法で合成した。
比較用化合物(A−1x):N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−(3−エチル−オキセタン−3−イル)−メチルカルバメートは、特開平10−330485に記載の方法で合成した。
化合物(A−1):7−トリメトキシシリル−4−チアヘプタン酸−(3−エチル−オキセタン−3−イル)は、特開平10−330485に記載の方法で合成した。
化合物(A−2):(3−エチル−オキセタン−3−イル)メチルオキシプロピルトリエトキシシラン(TESOX)は、東亜合成研究年報TREND、第3号(1999年)27〜33頁に記載の方法で合成した。
比較用化合物(A−1x):N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−(3−エチル−オキセタン−3−イル)−メチルカルバメートは、特開平10−330485に記載の方法で合成した。
−エポキシ基含有シラン化合物−
化合物(B−1):2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは、東京化成工業(株)製を用いた。
化合物(B−2):3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランは、東京化成工業(株)製を用いた。
化合物(B−1):2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランは、東京化成工業(株)製を用いた。
化合物(B−2):3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランは、東京化成工業(株)製を用いた。
−他のシラン化合物−
化合物(C−1):1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンは、東京化成工業(株)製を用いた。
化合物(C−2):1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタンは、東京化成工業(株)製を用いた。
化合物(C−1):1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンは、東京化成工業(株)製を用いた。
化合物(C−2):1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタンは、東京化成工業(株)製を用いた。
(調製例1)
−ポリオルガノシルセスキオキサン(PSQ−1)の合成−
窒素雰囲気下、7−トリメトキシシリルー4−チアヘプタン酸−(3−エチルーオキセタン−3−イル)(上記化合物(A−1))を38.12g(104mmol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(上記化合物(B−1))を13.80g(56mmol)、アセトン160gを50℃で撹拌しながら、5%炭酸カリウム水溶液4.42gを5分間かけて滴下した。さらに純水28.8gを20分かけて滴下し、そのまま50℃で5時間撹拌した。
反応液を室温(20℃)に戻した後、メチルイソブチルケトン(MIBK)160g、5%食塩水160gを添加し、分液ロートに移して有機層を抽出し、5%食塩水160g、純水160g×2回で順次洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、ポリオルガノシルセスキオキサン(PSQ−1)を59.8質量%含有するMIBK溶液、46.78gを得た(収率71%)。得られたポリオルガノシルセスキオキサン化合物(PSQ−1)の重量平均分子量(Mw)は2900であった。
−ポリオルガノシルセスキオキサン(PSQ−1)の合成−
窒素雰囲気下、7−トリメトキシシリルー4−チアヘプタン酸−(3−エチルーオキセタン−3−イル)(上記化合物(A−1))を38.12g(104mmol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(上記化合物(B−1))を13.80g(56mmol)、アセトン160gを50℃で撹拌しながら、5%炭酸カリウム水溶液4.42gを5分間かけて滴下した。さらに純水28.8gを20分かけて滴下し、そのまま50℃で5時間撹拌した。
反応液を室温(20℃)に戻した後、メチルイソブチルケトン(MIBK)160g、5%食塩水160gを添加し、分液ロートに移して有機層を抽出し、5%食塩水160g、純水160g×2回で順次洗浄した。有機層を減圧濃縮することにより、ポリオルガノシルセスキオキサン(PSQ−1)を59.8質量%含有するMIBK溶液、46.78gを得た(収率71%)。得られたポリオルガノシルセスキオキサン化合物(PSQ−1)の重量平均分子量(Mw)は2900であった。
ポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量は、下記の装置及び条件により測定した。
測定装置:商品名「LC−20AD」((株)島津製作所製)
カラム:Shodex KF−801×2本、KF−802、及びKF−803(昭和電工(株)製)
測定温度:40℃
溶離液:THF、試料濃度0.1〜0.2質量%
流量:1mL/分
検出器:UV−VIS検出器(商品名「SPD−20A」、(株)島津製作所製)
分子量:標準ポリスチレン換算
測定装置:商品名「LC−20AD」((株)島津製作所製)
カラム:Shodex KF−801×2本、KF−802、及びKF−803(昭和電工(株)製)
測定温度:40℃
溶離液:THF、試料濃度0.1〜0.2質量%
流量:1mL/分
検出器:UV−VIS検出器(商品名「SPD−20A」、(株)島津製作所製)
分子量:標準ポリスチレン換算
(調製例2〜4、比較調製例1〜4)
本発明の実施例及び比較例にて用いるポリオルガノシルセスキオキサン(PSQ−2)〜(PSQ−4)、(PSQ−1x)〜(PSQ−4x)を含むMIBK溶液は、上記調製例1において、使用するシラン化合物及びその混合比率を表1に示すように変更した以外は同様にして調製した。得られたポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量を表1に併記する。なお、下記表1中の混合比率は、左から順に、オキセタニル基を有するシラン化合物、エポキシ基を有するシラン化合物、他のシラン化合物の混合比率を表す。
本発明の実施例及び比較例にて用いるポリオルガノシルセスキオキサン(PSQ−2)〜(PSQ−4)、(PSQ−1x)〜(PSQ−4x)を含むMIBK溶液は、上記調製例1において、使用するシラン化合物及びその混合比率を表1に示すように変更した以外は同様にして調製した。得られたポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量を表1に併記する。なお、下記表1中の混合比率は、左から順に、オキセタニル基を有するシラン化合物、エポキシ基を有するシラン化合物、他のシラン化合物の混合比率を表す。
<実施例1>
(ハードコート層形成用組成物1の調製)
上記合成例にて得られたポリオルガノシルセスキオキサン(PSQ−1)を含有するMIBK溶液に、CPI−100P(カチオン光重合開始剤、サンアプロ(株)製)、サンエイドSI−B2A(カチオン熱重合開始剤、サンアプロ(株)製)、メガファックF−554(レベリング剤、DIC(株)社製)、及びMIBKを添加し、各含有成分の濃度が下記表2の濃度となるように調整し、ハードコート層形成用組成物1を得た。なお、下記表2において、ポリオルガノシルセスキオキサン、CPI−100P、サンエイドSI−B2A、及びメガファックF−554の含有量は、ハードコート層形成用組成物1中の全固形分(溶媒以外の全成分)に対するものである。固形分は、ハードコート層形成用組成物1の全質量に対する全固形分の含有量(固形分濃度)を示す。
(ハードコート層形成用組成物1の調製)
上記合成例にて得られたポリオルガノシルセスキオキサン(PSQ−1)を含有するMIBK溶液に、CPI−100P(カチオン光重合開始剤、サンアプロ(株)製)、サンエイドSI−B2A(カチオン熱重合開始剤、サンアプロ(株)製)、メガファックF−554(レベリング剤、DIC(株)社製)、及びMIBKを添加し、各含有成分の濃度が下記表2の濃度となるように調整し、ハードコート層形成用組成物1を得た。なお、下記表2において、ポリオルガノシルセスキオキサン、CPI−100P、サンエイドSI−B2A、及びメガファックF−554の含有量は、ハードコート層形成用組成物1中の全固形分(溶媒以外の全成分)に対するものである。固形分は、ハードコート層形成用組成物1の全質量に対する全固形分の含有量(固形分濃度)を示す。
[基材の作製]
(ポリイミド粉末の製造)
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素気流下、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)832gを加えた後、反応器の温度を25℃にした。ここに、ビストリフルオロメチルベンジジン(TFDB)64.046g(0.2mol)を加えて溶解した。得られた溶液を25℃に維持しながら、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)31.09g(0.07mol)とビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)8.83g(0.03mol)を投入し、一定時間撹拌して反応させた。その後、塩化テレフタロイル(TPC)20.302g(0.1mol)を添加して、固形分濃度13質量%のポリアミック酸溶液を得た。次いで、このポリアミック酸溶液にピリジン25.6g、無水酢酸33.1gを投入して30分撹拌し、さらに70℃で1時間撹拌した後、常温に冷却した。ここにメタノール20Lを加え、沈澱した固形分を濾過して粉砕した。その後、100℃下、真空で6時間乾燥させて、111gのポリイミド粉末を得た。
(ポリイミド粉末の製造)
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器及び冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素気流下、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)832gを加えた後、反応器の温度を25℃にした。ここに、ビストリフルオロメチルベンジジン(TFDB)64.046g(0.2mol)を加えて溶解した。得られた溶液を25℃に維持しながら、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)31.09g(0.07mol)とビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)8.83g(0.03mol)を投入し、一定時間撹拌して反応させた。その後、塩化テレフタロイル(TPC)20.302g(0.1mol)を添加して、固形分濃度13質量%のポリアミック酸溶液を得た。次いで、このポリアミック酸溶液にピリジン25.6g、無水酢酸33.1gを投入して30分撹拌し、さらに70℃で1時間撹拌した後、常温に冷却した。ここにメタノール20Lを加え、沈澱した固形分を濾過して粉砕した。その後、100℃下、真空で6時間乾燥させて、111gのポリイミド粉末を得た。
(基材S−1の作製)
100gのポリイミド粉末を670gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13質量%の溶液を得た。得られた溶液をステンレス板に流延し、130℃の熱風で30分乾燥させた。その後フィルムをステンレス板から剥離して、フレームにピンで固定し、フィルムが固定されたフレームを真空オーブンに入れ、100℃から300℃まで加熱温度を徐々に上げながら2時間加熱し、その後、徐々に冷却した。冷却後のフィルムをフレームから分離した後、最終熱処理工程として、さらに300℃で30分間熱処理して、ポリイミドフィルムからなる、厚み30μmの基材S−1を得た。
100gのポリイミド粉末を670gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13質量%の溶液を得た。得られた溶液をステンレス板に流延し、130℃の熱風で30分乾燥させた。その後フィルムをステンレス板から剥離して、フレームにピンで固定し、フィルムが固定されたフレームを真空オーブンに入れ、100℃から300℃まで加熱温度を徐々に上げながら2時間加熱し、その後、徐々に冷却した。冷却後のフィルムをフレームから分離した後、最終熱処理工程として、さらに300℃で30分間熱処理して、ポリイミドフィルムからなる、厚み30μmの基材S−1を得た。
(ハードコートフィルムの製造)
厚さ30μmのポリイミド基材S−1上に上記ハードコート層形成用組成物をワイヤーバー#26を用いて、硬化後の膜厚が17μmとなるようにバー塗布した。塗布後、塗膜を120℃で5分間加熱した。次いで、高圧水銀灯ランプを1灯用いて、塗膜表面から18cmの高さから、積算照射量が600mJ/cm2となるよう紫外線を照射した。さらに140℃で3時間加熱し、塗膜を硬化させた。こうして、基材フィルム上にハードコート層を有するハードコートフィルムを作製した。
厚さ30μmのポリイミド基材S−1上に上記ハードコート層形成用組成物をワイヤーバー#26を用いて、硬化後の膜厚が17μmとなるようにバー塗布した。塗布後、塗膜を120℃で5分間加熱した。次いで、高圧水銀灯ランプを1灯用いて、塗膜表面から18cmの高さから、積算照射量が600mJ/cm2となるよう紫外線を照射した。さらに140℃で3時間加熱し、塗膜を硬化させた。こうして、基材フィルム上にハードコート層を有するハードコートフィルムを作製した。
<実施例2〜4、比較例1〜4>
ポリオルガノシルセスキオキサン(PSQ−1)を含むMIBK溶液を(PSQ−2)〜(PSQ−4)、(PSQ−1x)〜(PSQ−4x)を含むMIBK溶液にそれぞれ変更した以外は同様にして、実施例2〜4、比較例1〜4のハードコート層形成用組成物及びハードコートフィルムを得た。
ポリオルガノシルセスキオキサン(PSQ−1)を含むMIBK溶液を(PSQ−2)〜(PSQ−4)、(PSQ−1x)〜(PSQ−4x)を含むMIBK溶液にそれぞれ変更した以外は同様にして、実施例2〜4、比較例1〜4のハードコート層形成用組成物及びハードコートフィルムを得た。
〔評価〕
得られたハードコートフィルムについて、下記の評価を実施した。
(鉛筆硬度)
JIS(JISは、Japanese Industrial Standards(日本工業規格)である) K5400に従い鉛筆硬度評価を行った。各実施例及び比較例のハードコートフィルムを、温度25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、ハードコート層表面の異なる5箇所について、JIS S 6006に規定するH〜9Hの試験用鉛筆を用いて4.9Nの荷重にて引っ掻いた。その後、目視で傷が認められる箇所が0〜2箇所であった鉛筆の硬度のうち、最も硬度の高い鉛筆硬度を評価結果とし、下記A〜Cの3段階で記載した。鉛筆硬度は、「H」の前に記載される数値が高いほど、硬度が高く好ましい。
A:5H以上
B:4H
C:3H以下
得られたハードコートフィルムについて、下記の評価を実施した。
(鉛筆硬度)
JIS(JISは、Japanese Industrial Standards(日本工業規格)である) K5400に従い鉛筆硬度評価を行った。各実施例及び比較例のハードコートフィルムを、温度25℃、相対湿度60%で2時間調湿した後、ハードコート層表面の異なる5箇所について、JIS S 6006に規定するH〜9Hの試験用鉛筆を用いて4.9Nの荷重にて引っ掻いた。その後、目視で傷が認められる箇所が0〜2箇所であった鉛筆の硬度のうち、最も硬度の高い鉛筆硬度を評価結果とし、下記A〜Cの3段階で記載した。鉛筆硬度は、「H」の前に記載される数値が高いほど、硬度が高く好ましい。
A:5H以上
B:4H
C:3H以下
(繰り返し折り曲げ耐性)
各実施例及び比較例により製造されたハードコートフィルムの折曲性を評価するために、屈曲半径2.0mmの屈曲試験(bending test)をハードコート層を内側にして繰り返し、これによるクラック(crack)発生有無を確認し、その結果を下記A〜Cの3段階で評価した。
A:500000回以上でもクラックの発生なし
B:100000回以上、500000回未満の間でクラック発生
C:100000回未満でクラック発生
各実施例及び比較例により製造されたハードコートフィルムの折曲性を評価するために、屈曲半径2.0mmの屈曲試験(bending test)をハードコート層を内側にして繰り返し、これによるクラック(crack)発生有無を確認し、その結果を下記A〜Cの3段階で評価した。
A:500000回以上でもクラックの発生なし
B:100000回以上、500000回未満の間でクラック発生
C:100000回未満でクラック発生
(耐擦性)
ラビングテスターを用いて、温度25℃、相対湿度60%の環境下で、評価対象(ハードコートフィルム)と接触するテスターの擦り先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール製、No.0)を巻いて動かないようバンド固定し、各実施例及び比較例のハードコートフィルムのハードコート層表面を以下の条件で擦った。
移動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:200g、先端部
接触面積:1cm×1cm。
試験後の各実施例および比較例のハードコートフィルムのハードコート層とは逆側の面に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、スチールウールと接触していた部分に傷が入ったときの擦り回数を計測し、以下の3段階で評価した。
A:100回擦っても傷が付かない。
B:10回擦っても傷が付かないが、100回擦る間に傷が付く。
C:10回擦る間に傷が付く。
ラビングテスターを用いて、温度25℃、相対湿度60%の環境下で、評価対象(ハードコートフィルム)と接触するテスターの擦り先端部(1cm×1cm)にスチールウール(日本スチールウール製、No.0)を巻いて動かないようバンド固定し、各実施例及び比較例のハードコートフィルムのハードコート層表面を以下の条件で擦った。
移動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:200g、先端部
接触面積:1cm×1cm。
試験後の各実施例および比較例のハードコートフィルムのハードコート層とは逆側の面に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、スチールウールと接触していた部分に傷が入ったときの擦り回数を計測し、以下の3段階で評価した。
A:100回擦っても傷が付かない。
B:10回擦っても傷が付かないが、100回擦る間に傷が付く。
C:10回擦る間に傷が付く。
表3に示した結果から、本発明の実施例のハードコートフィルムは、硬度が高く、繰り返し折り曲げ耐性に優れ、耐擦性にも優れることが分かった。
本発明によれば、硬度が高く、繰り返し折り曲げ耐性に優れ、かつ耐擦性にも優れたハードコート層形成用組成物、ハードコート層形成用組成物により形成されるハードコートフィルム、ハードコートフィルムを有する物品及び画像表示装置、並びに上記ハードコートフィルムの製造方法を提供することができる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2018年3月30日出願の日本特許出願(特願2018−069955)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本出願は、2018年3月30日出願の日本特許出願(特願2018−069955)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
Claims (12)
- ポリオルガノシルセスキオキサンと重合開始剤を含むハードコート層形成用組成物であって、前記ポリオルガノシルセスキオキサンが、少なくとも、オキセタニル基を含有するシロキサン構成単位、及びエポキシ基を含有するシロキサン構成単位を有し、下記一般式(1)で表されるポリオルガノシルセスキオキサンであるハードコート層形成用組成物。
一般式(1)中、Raはオキセタニル基を含有する基を表し、Rbはエポキシ基を含有する基を表し、Rcは1価の置換基を表す。Ra、Rb、Rcの構造中にアミド結合、ウレア結合、及びウレタン結合のいずれも含まない。p及びqは1以上の整数を表し、rは0以上の整数を表す。但し、p/qは1.0以上99未満である。p、q及びrが2以上の整数である場合、複数のRa、複数のRb及び複数のRcはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。rが2以上の整数である場合、複数のRcは、互いに結合を形成してもよい。 - 前記一般式(1)中、(p+q)/(p+q+r)が0.5〜1.0である請求項1に記載のハードコート層形成用組成物。
- 前記一般式(1)中のRbが、エポキシ基と脂環基の縮環構造を有する基である請求項1〜3のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
- 前記一般式(1)中のRbが、エポキシシクロヘキシル基を有する基である請求項1〜4のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
- 前記一般式(1)中、rが2以上の整数であって、複数のRcは互いに結合を形成しており、r/(p+q+r)が0.005〜0.20である請求項1〜5のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
- 前記ポリオルガノシルセスキオキサンの重量平均分子量が2000〜20000である請求項1〜6のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物。
- 基材と、前記基材上に請求項1〜7のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物により形成されたハードコート層とを含むハードコートフィルム。
- 前記基材がプラスチック基材である請求項8に記載のハードコートフィルム。
- 請求項8又は9に記載のハードコートフィルムを有する物品。
- 請求項8又は9に記載のハードコートフィルムを表面保護フィルムとして有する画像表示装置。
- (I)基材上に、請求項1〜7のいずれか1項に記載のハードコート層形成用組成物を塗布して塗膜を形成する工程、及び
(II)前記塗膜を硬化処理することによりハードコート層を形成する工程、
を含むハードコートフィルムの製造方法。
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