(一実施形態)
以下に、一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本実施形態においては、回転電機の一例としてアキシャルギャップモータを開示する。ただし、本実施形態に示す構造の一部は、他種の回転電機に適用することも可能である。
図1は、本実施形態に係るトランスバースフラックスモータA(以下、モータAと称す)を示す斜視図である。
図1に示すように、モータAは、4つのハウジング10A,10B,10C,10Dと、3つの矩形状のフレーム20A,20B,20Cと、シャフトSと、を備えている。
フレーム20Aは、ハウジング10A,10Bの間に配置されている。フレーム20Bは、ハウジング10B,10Cの間に配置されている。フレーム20Cは、ハウジング10C,10Dの間に配置されている。ハウジング10Aは有底筒状であり、開口した一端がフレーム20Aに連結されている。ハウジング10Bは筒状であり、一端がフレーム20Aに連結され、他端がフレーム20Bに連結されている。ハウジング10Cは筒状であり、一端がフレーム20Bに連結され、他端がフレーム20Cに連結されている。ハウジング10Cは有底筒状であり、開口した一端がフレーム20Cに連結されている。
シャフトSは、ハウジング10A〜10Dおよびフレーム20A〜20Cに通されている。例えば、シャフトSは、ベアリングを介してハウジング10A,10Dに回転可能に支持されている。
フレーム20A〜20Cの4つの角部には、貫通孔Hが設けられている。モータAは、これら貫通孔Hを利用して、設置場所に固定することができる。図1においては、フレーム20A,20Cの下方の貫通孔Hを設置場所の取付具Fに連結した状態を示しているが、モータAの設置方法はこれに限定されない。
図2は、モータAを示す分解斜視図である。ここでは、ハウジング10A〜10Dの図示を省略している。
図2に示すように、モータAは、ハウジング10Aに収容される回転子RAと、ハウジング10Bに収容される回転子RBと、ハウジング10Cに収容される回転子RCと、ハウジング10Dに収容される回転子RDとを備えている。さらに、モータAは、フレーム20Aを含む固定子2Aと、フレーム20Bを含む固定子2Bと、フレーム20Cを含む固定子2Cとを備えている。
シャフトSは、回転子RA〜RDおよび固定子2A〜2Cの中央に通される。回転子RA〜RDは、シャフトSに取り付けられ、シャフトSに固定される。これにより、シャフトSの回転軸AX1に沿って、回転子RA、固定子2A、回転子RB、固定子2B、回転子RC、固定子2C、回転子RDは、順に並び、互いに隙間を空けて対向している。
回転子RA〜RDは、支持板Pと、複数の永久磁石Mと、複数の鉄心Cとを備え、回転軸AX1を中心に回転する。例えば、支持板Pは、回転軸AX1を中心に回転する。鉄心Cは、例えば鉄などの強磁性体の粉末を圧縮して固めた圧粉磁心で形成されている。例えば、永久磁石Mおよび鉄心Cは、回転軸AX1を中心として放射状に延びる長尺な形状を有しており、回転軸AX1を中心とした周方向に交互に配列されている。回転子RAにおいては、固定子2Aと対向する支持板Pの一面に、永久磁石Mおよび鉄心Cが配置されている。回転子RB,RCにおいては、支持板Pの両面に永久磁石Mおよび鉄心Cが配置されている。なお、回転子RB,RCの支持板Pは、回転軸AX1に平行な方向に2枚の支持板を接合し、一体となった2枚の支持板で構成されていてもよい。回転子RDにおいては、固定子2Cと対向する支持板Pの一面に、永久磁石Mおよび鉄心Cが配置されている。
図3は、モータAの一部を示す断面図である。本実施形態のモータAは、2つの回転子の間に固定子を配置した構造を3組、備えている。ここでは、上記構造のうち1組を代表して説明する。そこで、図3には、回転子RA,RB、固定子2Aの一部、及びシャフトSを示し、他の要素の図示を省略している。
図3に示すように、固定子2Aは、第1支持板3と、第2支持板4とを備えている。各支持板3,4は、非磁性かつ非導電性の材料で形成することが好ましい。例えば、各支持板3,4は、繊維強化プラスチック(FRP)で形成することができる。また、各支持板3,4は、セラミック材料で形成することもできる。セラミック材料は熱伝導率に優れるため、固定子2A〜2Cからの放熱が容易となり、モータAの小型軽量化や高出力化に寄与する。
さらに、固定子2Aは、これら支持板3,4の間に配置された第1鉄心81と、第2鉄心82と、第3鉄心83と、第1コイル91と、第2コイル92とを備えている。第1鉄心81、第2鉄心82および第3鉄心83は、回転軸AX1に向けて順に並んでいる。第1コイル91は第1鉄心81と第2鉄心82の間に配置され、第2コイル92は第2鉄心82と第3鉄心83の間に配置されている。各鉄心81〜83は、各支持板3,4から露出し、回転子RA,RBと対向している。
回転子RA,RBは、それぞれ筒状の接続部Iをさらに備えている。各々の接続部Iは、シャフトSと支持板Pとの間の環状の空間に位置に、シャフトSと支持板Pとを接続している。回転子RA,RBは、それぞれ接続部Iを介してシャフトSに固定されている。
各コイル91,92に電流を流すと、破線および矢印で示したように、各コイル91,92の周囲に磁束が発生する。各鉄心81〜83を通る磁束は、回転軸AX1と概ね平行である。これらの磁束が回転子RA,RBの永久磁石Mに作用し、回転軸AX1を中心に回転子RA,RBおよびシャフトSが回転する。
なお、上述した固定子2B,2Cにおいても、固定子2Aと同様の磁束が発生する。固定子2A〜2Cの各コイル91,92には、それぞれ3相交流が供給される。
続いて、固定子2A〜2Cを代表して、固定子2Aについて説明する。固定子2B,2Cについては、固定子2Aと同様の構造を有するため、説明を省略する。図4は、固定子2Aを示す分解斜視図である。
図4に示すように、固定子2Aは、上述したように、第1支持板3、第2支持板4、フレーム20A、複数の第1鉄心81、複数の第2鉄心82、複数の第3鉄心83、第1コイル91および第2コイル92を備えている。さらに、固定子2Aは、第1押え部材5A,5Bと、第2押え部材6A,6Bと、第3押え部材7A,7Bと、を備えている。これら押え部材は、非磁性かつ非導電性の材料で形成することが好ましく、例えば各種のプラスチックで形成することができる。
複数の第1鉄心81は、回転軸AX1を中心とした第1円周B1に沿って配列されている。複数の第2鉄心82は、回転軸AX1を中心とし、かつ第1円周B1よりも小さい半径を有する第2円周B2に沿って配列されている。複数の第3鉄心83は、回転軸AX1を中心とし、かつ第2円周B2よりも小さい半径を有する第3円周B3に沿って配列されている。第1円周B1に沿った周方向における第1鉄心81の配置間隔は、一定であってもよいし、少なくとも一部において異なってもよい。第2鉄心82および第3鉄心83についても同様である。
第1コイル91および第2コイル92は環状であり、回転軸AX1を中心として同心円状に配置されている。第2コイル92の半径は、第1コイル91の半径よりも小さい。第1コイル91および第2コイル92は、回転軸AX1を中心とした周方向に扁平な素線を巻回して構成されている。第1コイル91および第2コイル92の各々において、例えば素線は、回転軸AX1と平行な軸方向および回転軸AX1を中心とした径方向に複数段重ねられている。
第1支持板3は、回転軸AX1を中心とした環状の円板であり、シャフトSを通すための円形の中央開口30と、第1鉄心81に対応する複数の第1開口31と、第2鉄心82に対応する複数の第2開口32と、第3鉄心83に対応する複数の第3開口33とを有している。
第2支持板4は第1支持板3と概ね同様の形状であり、中央開口40と、複数の第1開口41と、複数の第2開口42と、複数の第3開口43とを有している。さらに、第2支持板4は、第2コイル92の素線を引き出すためのスリット46を有している。
第1押え部材5Aは、例えば外径が第1支持板3の外径と等しい環状の円板である。第1押え部材5Aは、複数の第1鉄心81と同じピッチで並ぶ複数のノッチ50を内周側に有している。複数の第2押え部材6Aは、複数の第2鉄心82と同じピッチで環状に並んでいる。第3押え部材7Aは、例えば内径が中央開口30の径と等しい環状の円板である。第3押え部材7Aは、複数の第3鉄心83と同じピッチで並ぶ複数のノッチ70を外周側に有している。第1押え部材5B、各第2押え部材6Bおよび第3押え部材7Bの形状および配置態様は、第1押え部材5A、各第2押え部材6Aおよび第3押え部材7Aと同じである。
フレーム20Aは、各支持板3,4の外径よりも小さくかつ第1押え部材5A,5Bの外径よりも大きい径の円形の開口21を有している。さらに、フレーム20Aは環状の段差部22を有し、段差部22は上記開口21を有している。段差部22は、第1支持板3の側および第2支持板4の側の双方に設けられている。
図5は、固定子2Aを示す平面図である。ここでは固定子2Aを第2支持板4側から見た状態を示し、一部の領域では第2支持板4の一部を破断した場合を仮定して、第1コイル91、第2コイル92、第1押え部材5B、第2押え部材6B、第3押え部材7B、第1鉄心81、第2鉄心82、及び第3鉄心83を示している。
図5に示すように、回転軸AX1を中心とした周方向において、第2鉄心82は第3鉄心83に対してずれて位置し、第2鉄心82が第3鉄心83に対して成す角度は電気角で例えば120°に相当している。同様に、第1鉄心81は第2鉄心82に対してずれて位置し、第1鉄心81が第2鉄心82に対して成す角度は電気角で例えば120°に相当している。
本実施形態において、第1円周B1に沿った第1鉄心81のピッチE1は、一定ではなく、少なくとも一部において異なっている。ここで、ピッチE1は、第1円周B1上において、任意の第1鉄心81の中心から隣の第1鉄心81の中心までの距離である。同様に、第2円周B2に沿った第2鉄心82のピッチE2、及び第3円周B3に沿った第3鉄心83のピッチE3は、それぞれ、一定ではなく、少なくとも一部において異なっている。第1コイル91の素線の2つのリード部91aおよび第2コイル92の素線の2つのリード部92aは、例えばフレーム20Aに設けられた孔を通じてフレーム20Aの外部に引き出されている。
続いて、回転子RA〜RDを代表して、回転子RAについて説明する。図6は、図3に示した回転子RAを示す斜視図である。なお、図6において、第1ねじT1に関しては全てを示していない。
図6に示すように、回転子RAは、上述したように、支持板Pと、接続部Iと、複数の永久磁石Mと、複数の鉄心Cと、を備えている。さらに、回転子RAは、複数の押え部材Gと、締め具としての複数の第1ねじT1及び複数の第2ねじT2と、を備えている。本実施形態において、第1ねじT1及び第2ねじT2は、ボルトである。
支持板Pは、ステンレス鋼(SUS)で形成されている。但し、本実施形態と異なり、支持板Pは、各種のプラスチックで形成されていてもよい。支持板Pは、例えば、少なくとも中央に開口を有する円板である。
複数の永久磁石Mは、支持板Pに配置されている。各々の永久磁石Mを回転軸AX1に平行な方向からみた場合、永久磁石Mは線対称な形状を有している。永久磁石Mは、支持板Pの外周縁Po側から内側(内周Pi側)に延在する対称軸AX2を有している。本実施形態において、各々の永久磁石Mの対称軸AX2は、回転軸AX1から半径方向d2に平行である。複数の永久磁石Mは、回転軸AX1を中心とする周方向d1に互いに間隔を置いて並べられている。隣合う一対の永久磁石Mにおいて、同一の磁極同士が隣合っている。
複数の鉄心Cは、支持板Pに固定され、周方向d1に複数の永久磁石Mとともに交互に並べられ、それぞれ隣合う永久磁石Mの一方の磁極を支持板P側に押さえつけ、支持板Pとともに複数の永久磁石Mを固定している。各々の鉄心Cが押圧する一方の永久磁石Mの磁極の磁性と、上記鉄心Cが押圧する他方の永久磁石Mの磁極の磁性とは、同一である。上記のことから、各々の鉄心Cが押圧する磁極は、N極及びS極のうちの何れか一方である。なお、全ての磁極に符号N、Sを付してはいないが、N極の磁極にはNを、S極の磁極にはSを、それぞれ付している。複数の鉄心Cは、それぞれ支持板Pの外周縁Po側から内側(内周Pi側)に延在する長軸AX3を有している。本実施形態において、各々の長軸AX3は、半径方向d2に平行である。
鉄心Cのうち、内周Pi側の第1端部C3は第1ねじT1により支持板Pに固定され、外周縁Po側の第2端部C4は第2ねじT2により支持板Pに固定されている。これにより、永久磁石Mは、鉄心Cにより、周方向d1に締め付けられ、支持板P側に押し付けられ、位置が固定される。上記のことから、第1ねじT1及び第2ねじT2は、止めねじとして機能している。
押え部材Gは、周方向d1に延在する円弧状の板である。押え部材Gは、鉄心Cとともに第2ねじT2により支持板Pに固定されている。押え部材Gは、永久磁石Mより外周縁Po側に位置している。押え部材Gは、複数の鉄心Cの第2本体部C1と半径方向d2に対向し、複数の永久磁石Mをガードしている。なお、対称軸AX2に平行な方向において、第2本体部C1は、第1端部C3と第2端部C4との間に位置している。このため、永久磁石Mが鉄心Cの間から抜ける事態が発生しても、押え部材Gは、回転子RAから永久磁石Mの脱落を防止することができる。
上記のように、回転子RAは、周方向d1に並べられた複数の押え部材Gを備えているが、本実施形態に限定されるものではない。例えば、回転子RAは、複数の押え部材Gの替わりに、周方向d1に延在した単個の環状の押え部材を備えていてもよい。
次に、回転子RAの組立て方法について説明する。図7は、図6に示した回転子RAを示す分解斜視図である。なお、図7において、第1ねじT1及び第2ねじT2に関しては全てを示していない。
図7に示すように、回転子RAの組立てを開始すると、まず、第1ねじT1を、鉄心Cの第1端部C3の穴h1に通し、支持板Pの内周Pi側のねじ穴Ph1に締め付ける。これにより、第1ねじT1の本締めが行われる。
続いて、第2ねじT2を、鉄心Cの第2端部C4の穴h2に通し、押え部材Gの穴h3には通さず、支持板Pの外周縁Po側のねじ穴Ph2に締め付ける。これにより、第2ねじT2の仮締めが行われる。なお、穴h3を通す予定の無い第2ねじT2に関しては、仮締めではなく本締めを行ってもよい。次いで、半径方向d2に平行な方向に、永久磁石Mを外周縁Po側から内周Pi側に向けて挿入する。その後、第2ねじT2を外す。続けて、第2ねじT2を、穴h3と穴h2に順に通し、ねじ穴Ph2に締め付ける。これにより、第2ねじT2の本締めが行われる。これにより、回転子RAの組立てが終了する。
次に、永久磁石Mについて説明する。図8は、図6に示した永久磁石Mを示す構成図である。ここでは、図8(A)は、永久磁石Mを回転軸AX1に平行な方向からみた平面図であり、図8(B)は、図8(A)の線VIIIB−VIIIBに沿った永久磁石Mの断面を支持板Pの断面とともに示す断面図である。
図8に示すように、平面視にて、永久磁石Mは、扇形の形状を有している。永久磁石Mは、対称軸AX2に沿って延在する第1本体部M1と、一対の第1つば部M2と、を含んでいる。各々の第1つば部M2は、第1本体部M1に沿って第1本体部M1とともに延在し、支持板P側とは反対側を向いた第1当接面Msを有し、第1本体部M1と一体に形成されている。
各々の第1つば部M2において、対称軸AX2に直交する方向における第1当接面Msの幅W1は、外周縁Po側より内周Pi側の方が狭い。また、対称軸AX2に直交する仮想の平面において、第1つば部M2の断面積は、外周縁Po側より内周Pi側の方が小さい。
次に、鉄心Cについて説明する。図9は、図6に示した鉄心Cを示す構成図である。ここでは、図9(A)は、鉄心Cを回転軸AX1に平行な方向からみた平面図であり、図9(B)は、図9(A)の線IXB−IXBに沿った鉄心Cの断面を支持板Pの断面とともに示す断面図である。
図9に示すように、平面視にて、鉄心Cは、扇形の形状を有している。鉄心Cは、上述した第1端部C3及び第2端部C4の他に、長軸AX3に沿って延在する第2本体部C1と、一対の第2つば部C2と、をさらに含んでいる。第2本体部C1、第2つば部C2、第1端部C3、及び第2端部C4は、一体に形成されている。各々の第2つば部C2は、第2本体部C1に沿って第2本体部C1とともに延在し、支持板P側を向いた第2当接面Csを有している。
各々の第2つば部C2において、長軸AX3に直交する方向における第2当接面Csの幅W2は、外周縁Po側より内周Pi側の方が狭い。また、長軸AX3に直交する仮想の平面において、第2つば部C2の断面積は、外周縁Po側より内周Pi側の方が小さい。
次に、図6に示した永久磁石Mと、図9に示した鉄心Cを含む一対の鉄心Cと、の対応関係について説明する。
図10は、図6に示した永久磁石Mと、図9に示した鉄心Cを含む一対の鉄心Cと、を示す構成図である。鉄心Cに関しては、第2本体部C1及び第2つば部C2を取り出して示している。図10(A)は、永久磁石Mと一対の鉄心Cとを回転軸AX1に平行な方向からみた平面図であり、図10(B)は、図10(A)の線XB−XBに沿った永久磁石Mと、一対の鉄心Cと、支持板Pとを示す断面図である。
なお、永久磁石Mは一対の鉄心Cの間に挿入されているが、図10(A)においては、永久磁石Mに関して対称軸AX2のみ示している。図10(A)において、線XB−XBは、左側の鉄心Cの長軸AX3に直交し左側の鉄心Cと重なる線分と、対称軸AX2に直交し左側の鉄心Cと右側の鉄心Cとの間の領域と重なる線分と、右側の鉄心Cの長軸AX3に直交し右側の鉄心Cと重なる線分と、を含んでいる。
図10に示すように、一対の鉄心Cは、対称軸AX2に対して線対称の位置関係にある。一対の第1つば部M2は、それぞれ、第1本体部M1から複数の鉄心Cのうち隣合う鉄心C側に突出している。一対の第2つば部C2は、それぞれ、第2本体部C1から複数の永久磁石Mのうち隣合う永久磁石M側に突出している。
隣合う鉄心C及び永久磁石Mにおいて、第2つば部C2の第2当接面Csは、第1つば部M2の第1当接面Msに接している。当接面Csと当接面Msとが対向する領域において、当接面Csの少なくとも一部は、当接面Msに接している。一対の鉄心Cは、永久磁石Mを支持板Pに押さえつけている。上記のことから、複数の鉄心Cは、複数の永久磁石Mを支持板Pに押さえつけている。なお、第2本体部C1は、支持板Pに隙間を空けて位置している。
対称軸AX2に直交し第1本体部M1及び第1つば部M2を通る仮想の平面上において、支持板Pを下側、永久磁石Mを上側とした場合、永久磁石Mの断面は、T字を上下反転した形状を有している。長軸AX3に直交し第2本体部C1及び第2つば部C2を通る仮想の平面上において、支持板Pを下側、鉄心Cを上側とした場合、鉄心Cの断面は、T字の形状を有している。
図11は、図6の線XI−XIに沿った回転子RAを示す断面図である。図11において、線XI−XIは、永久磁石Mの対称軸AX2を通る線分と、鉄心Cの長軸AX3を通る線分と、を含んでいる。
図11に示すように、第1端部C3は、第1ねじT1により支持板Pに固定され、第2本体部C1と一体に形成されている。本実施形態において、第1端部C3は、支持板Pに接している。
第2端部C4は、第2本体部C1より外周縁Po側に位置し、第2ねじT2により支持板Pに固定され、第2本体部C1と一体に形成されている。本実施形態では、第2端部C4は、支持板Pに隙間を空けて位置している。但し、鉄心Cにより永久磁石Mを支持板Pに押さえつけることができるのであれば、第2端部C4は、支持板Pに接していてもよい。
各々の押え部材Gは、複数の永久磁石M及び複数の第2本体部C1より外周縁Po側に位置している。各々の押え部材Gは、回転軸AX1に垂直な方向に複数の永久磁石M及び前記複数の第2本体部C1と対向している。各々の押え部材Gは、第2ねじT2により複数の第2端部C4とともに支持板Pに固定されている。
複数の第1ねじT1及び複数の第2ねじT2を支持板Pに締め付けた状態にて、各々の第1端部C3の支持板Pと対向する側とは反対側の面C3s、各々の第2端部C4の支持板Pと対向する側とは反対側の面C4s、各々の押え部材Gの支持板Pと対向する側とは反対側の面Gs、各々の第1ねじT1の頭部T1h、及び各々の第2ねじT2の頭部T2hは、それぞれ、第2本体部C1の支持板Pと対向する側とは反対側の面C1sから延長する仮想上の面Y1より支持板P側に位置している。なお、第1ねじT1及び第2ねじT2に関しては、第1ねじT1の支持板Pに締め付けられる側とは反対側の端と、第2ねじT2の支持板Pに締め付けられる側とは反対側の端とが、面Y1より支持板P側に位置している。また、面C1sと面Y1は、同一平面上にある。
本実施形態において、上記の状態にて、上記面C3s、上記面C4s、上記面Gs、上記頭部T1h、及び上記頭部T2hは、それぞれ、第1本体部M1の支持板Pと対向する側とは反対側の面M1sから延長する仮想上の面Y2より支持板P側に位置している。なお、面M1sと面Y2は、同一平面上にある。
上記のように構成された一実施形態に係るモータAによれば、モータAは、回転子RAなどの回転子Rを備えている。回転子Rは、支持板Pと、支持板に配置された複数の永久磁石Mと、支持板Pに固定され周方向d1に複数の永久磁石Mとともに交互に並べられそれぞれ隣合う永久磁石Mの一方の磁極を支持板P側に押さえつけ支持板Pとともに複数の永久磁石Mを固定する複数の鉄心Cと、を有している。永久磁石Mを、永久磁石Mを利用して固定することができる。
鉄心C、及び鉄心Cを支持板Pに固定するための第1ねじT1及び第2ねじT2以外の部材を使用すること無く、永久磁石Mを固定することができる。永久磁石Mの固定に使用する部材を少なくすることができる。そのため、製造コストの低減に寄与することができる。又は、製造時間の短縮に寄与することができる。
又は、モータAのトルクを大きくすることができる。なぜなら、上記のように部材を少なくすることができる分、永久磁石Mが専有する空間を拡大することができるためである。これにより、各々の永久磁石Mの大型化を図ることができ、各々の永久磁石Mの磁石力を強くすることができる。
又は、回転子Rの小型化を図ることができ、モータAの小型化に寄与することができる。
永久磁石Mにおいて、第1つば部M2の幅W1は、外周縁Po側より内周Pi側の方が狭い。その分、第1本体部M1の内周Pi側の体積の減少を抑制することができるため、永久磁石Mの内周Pi側の体積の減少を抑制することができる。これにより、モータAのトルクを大きくすることができるなど、モータAの特性の向上に寄与することができる。また、第1つば部M2の内周Pi側に使用する磁石量を低減することができるため、永久磁石Mの固定に必要な磁石量を低減することができる。
鉄心Cは、圧粉磁心で形成されている。型を使用することにより、鉄心Cを一体物として自由度の高い形状に製作することが可能となる。鉄心Cの構成の単一化を図ることができるため、LT短縮に寄与することができる。また、鉄心Cを作製する工程を低減することができる。またさらに、モータAの特性の向上に寄与することができる。
次に、上記実施形態に係るモータAの変形例について説明する。
(変形例1)
次に、変形例1に係るモータAについて説明する。図12は、変形例1に係る永久磁石Mと、一対の鉄心Cと、を示す構成図である。図12(A)は、永久磁石Mと一対の鉄心Cとを回転軸AX1に平行な方向からみた平面図であり、図12(B)は、図12(A)の線XIIB−XIIBに沿った永久磁石Mと、一対の鉄心Cと、支持板Pとを示す断面図である。
なお、一対の鉄心Cは、永久磁石Mの両側に位置しているが、図12(A)においては、鉄心Cに関して長軸AX3のみ示している。図12(A)において、線XIIB−XIIBは、対称軸AX2に直交し第1つば部M2を通り永久磁石Mと重なる線分と、左側の鉄心Cの長軸AX3に直交し永久磁石Mの左側の領域と重なる線分と、右側の鉄心Cの長軸AX3に直交し永久磁石Mの右側の領域と重なる線分と、を含んでいる。
図12に示すように、鉄心Cは、図10に示した鉄心Cと同様に構成されている。永久磁石Mは、第1本体部M1と、複数の第1つば部M2と、を含んでいる。複数の第1つば部M2は、それぞれ、第1本体部M1から複数の鉄心Cのうち隣合う鉄心C側に突出し、第1本体部M1が延在する方向に断続的に設けられ、支持板P側とは反対側を向いた第1当接面Msを有し、第1本体部M1と一体に形成されている。各々の第1つば部M2において、第1当接面Msの面積は、外周縁Po側より内周Pi側の方が小さい。
本変形例1において、第1本体部M1は、物理的に独立した第1部材M1a、第2部材M1b、及び第3部材M1cを、対称軸AX2に沿って並べて形成している。平面視にて、第1部材M1aは扇形の形状を有し、第2部材M1bは第1部材M1aより大きいサイズ及び扇形の形状を有し、第3部材M1cは第2部材M1bより大きいサイズ及び扇形の形状を有している。第1部材M1a、第2部材M1b、及び第3部材M1cは、接合され、一体に形成されている。但し、第1部材M1a、第2部材M1b、及び第3部材M1cは、接合されること無しに、物理的に独立していてもよい。一対の第1つば部M2は、第1部材M1a、第2部材M1b、及び第3部材M1cの各々と一体に形成されている。
上記のように構成された変形例1に係るモータAによれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
(変形例2)
次に、変形例2に係るモータAについて説明する。図13は、変形例2に係る永久磁石Mと、一対の鉄心Cと、を示す構成図である。図13(A)は、永久磁石Mを回転軸AX1に平行な方向からみた平面図であり、図13(B)は、永久磁石Mと一対の鉄心Cとを回転軸AX1に平行な方向からみた平面図であり、図13(C)は、図13(B)の線XIIIC−XIIICに沿った永久磁石Mと、一対の鉄心Cと、支持板Pとを示す断面図である。
なお、図13(B)においては、永久磁石Mに関して対称軸AX2のみ示し、鉄心Cに関して第2本体部C1を取り出して示している。図13(B)において、線XIIIC−XIIICは、左側の鉄心Cの長軸AX3に直交し左側の鉄心Cと重なる線分と、対称軸AX2に直交し左側の鉄心Cと右側の鉄心Cとの間の領域と重なる線分と、右側の鉄心Cの長軸AX3に直交し右側の鉄心Cと重なる線分と、を含んでいる。
図13に示すように、永久磁石Mは、第1本体部M1を含み、第1つば部M2を含んでいない。第1本体部M1は、それぞれ、複数の鉄心Cのうち隣合う鉄心Cと対向した一対の第1当接面Msを有している。各々の鉄心Cは、第2本体部C1を含み、第2つば部C2を含んでいない。各々の第2本体部C1は、複数の永久磁石Mのうち隣合う永久磁石Mの第1当接面Msと対向した一対の第2当接面Csを有している。
対称軸AX2に直交し一対の第1当接面Msを通る仮想の平面上において、支持板Pを下側、永久磁石Mを上側とした場合、一対の第1当接面Msは、順テーパ面である。長軸AX3に直交し一対の第2当接面Csを通る仮想の平面上において、支持板Pを下側、鉄心Cを上側とした場合、一対の第2当接面Csは、逆テーパ面である。
言い換えると、対称軸AX2に直交し一対の第1当接面Msを通る仮想の平面上において、各々の第1当接面Msは、支持板Pの永久磁石Mと対向する側の面Psと、上記面Psに垂直な平面Uと、に対して傾斜している。
隣合う鉄心C及び永久磁石Mにおいて、第2当接面Csは第1当接面Msに接している。複数の鉄心Cは、複数の永久磁石Mを支持板Pに押さえつけている。
上記のように構成された変形例2に係るモータAによれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
(変形例3)
次に、変形例3に係るモータAについて説明する。図14は、変形例3に係る永久磁石Mと、一対の鉄心Cと、を示す構成図である。図14(A)は、永久磁石Mを回転軸AX1に平行な方向からみた平面図であり、図14(B)は、永久磁石Mと一対の鉄心Cとを回転軸AX1に平行な方向からみた平面図である。なお、図14(B)においては、永久磁石Mに関して対称軸AX2のみ示し、鉄心Cに関して第2本体部C1及び第2つば部C2を取り出して示している。
図14に示すように、永久磁石Mの第1つば部M2の幅W1は、外周縁Po側より内周Pi側の方が狭い。本変形例3の第1つば部M2の最も内周Pi側の幅W1は、0である。上記の点で図8に示した永久磁石Mと相違している。平面視において、第1本体部M1は、扇形の形状ではなく長方形の形状を有している。対称軸AX2に直交する仮想の平面において、第1本体部M1の断面積を一定にすることができる。
鉄心Cの形状は、永久磁石Mに対応付けられている。鉄心Cの第2つば部C2の幅W2は、外周縁Po側より内周Pi側の方が狭い。例えば、本変形例3の第2つば部C2の最も内周Pi側の幅W2は、0である。上記の点で図9に示した鉄心Cと相違していてもよい。平面視において、第2本体部C1は、扇形の形状ではなく長方形の形状を有している。但し、第2つば部C2の最も内周Pi側の幅W2が0を超える場合、第2本体部C1は扇形の形状を有している。
本変形例3では、鉄心Cは、圧粉磁心で形成されていなくともよい。鉄心Cは、複数の無方向性電磁鋼板を長軸AX3に平行な方向に積層して形成されてもよい。積層された電磁鋼板は、接着材により固定されてもよいし、樹脂に含浸した後に上記樹脂を硬化させることで固定されてもよい。これらの場合には、電磁鋼板が変形しないので、鉄心Cの電磁特性が全体的に良好となる。また、積層された電磁鋼板を溶接により固定することもできる。この場合には、鉄心Cの製造が容易となる。
また、電磁鋼板を積層する場合、各々の電磁鋼板の外形を加工する必要がある。但し、プレス加工により電磁鋼板を製作することで、鉄心Cの寸法精度を向上させることができ、モータAの特性の向上を図ることもできる。
上記のように構成された変形例3に係るモータAによれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
(変形例4)
次に、変形例4に係るモータAについて説明する。図15は、変形例4に係る永久磁石Mと、一対の鉄心Cと、を示す構成図である。図15(A)は、永久磁石Mを回転軸AX1に平行な方向からみた平面図であり、図15(B)は、永久磁石Mと一対の鉄心Cとを回転軸AX1に平行な方向からみた平面図であり、図15(C)は、図15(B)の線XVC−XVCに沿った永久磁石Mと、一対の鉄心Cと、支持板Pとを示す断面図である。
なお、図15(B)においては、永久磁石Mに関して対称軸AX2のみ示し、鉄心Cに関して第2本体部C1及び第2つば部C2を取り出して示している。図15(B)において、線XVC−XVCは、左側の鉄心Cの長軸AX3に直交し左側の鉄心Cと重なる線分と、対称軸AX2に直交し左側の鉄心Cと右側の鉄心Cとの間の領域と重なる線分と、右側の鉄心Cの長軸AX3に直交し右側の鉄心Cと重なる線分と、を含んでいる。
図15に示すように、永久磁石Mは、第1本体部M1と、一対の第1つば部M2aと、一対の第1つば部M2bとを含んでいる。一対の第1つば部M2aは、支持板Pと一対の第1つば部M2bとの間に位置し、支持板Pに接している。第1つば部M2a,M2bの、対向する鉄心C側への突出量は、外周縁Po側より内周Pi側の方が少ない。第1つば部M2aは、支持板P側とは反対側を向いた第1当接面Msを有している。
一方、鉄心Cにおいて、第2つば部C2は、第1つば部M2aと第1つば部M2bとの間に位置している。第2つば部C2の、対向する永久磁石M側への突出量は、外周縁Po側より内周Pi側の方が少ない。第2つば部C2は、支持板P側を向いた第2当接面Csを有している。
隣合う鉄心C及び永久磁石Mにおいて、第2つば部C2の第2当接面Csは、第1つば部M2aの第1当接面Msに接している。
対称軸AX2に直交し第1本体部M1及び第1つば部M2a,M2bを通る仮想の平面上において、支持板Pを下側、永久磁石Mを上側とした場合、永久磁石Mの断面は、I字の形状を有している。長軸AX3に直交し第2本体部C1及び第2つば部C2を通る仮想の平面上において、支持板Pを下側、鉄心Cを上側とした場合、鉄心Cの断面は、十字の形状を有している。
上記のように構成された変形例4に係るモータAによれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
(変形例5)
次に、変形例5に係るモータAについて説明する。図16は、変形例5に係る永久磁石Mと、一対の鉄心Cと、を示す構成図である。図16(A)は、永久磁石Mを回転軸AX1に平行な方向からみた平面図であり、図16(B)は、永久磁石Mと一対の鉄心Cとを回転軸AX1に平行な方向からみた平面図であり、図16(C)は、図16(B)の線XVIC−XVICに沿った永久磁石Mと、一対の鉄心Cと、支持板Pとを示す断面図である。
なお、図16(B)においては、永久磁石Mに関して対称軸AX2のみ示し、鉄心Cに関して第2本体部C1及び第2つば部C2を取り出して示している。図16(B)において、線XVIC−XVICは、左側の第2本体部C1の長軸AX3に直交し左側の鉄心Cと重なる線分と、対称軸AX2に直交し左側の鉄心Cと右側の鉄心Cとの間の領域と重なる線分と、右側の第2本体部C1の長軸AX3に直交し右側の鉄心Cと重なる線分と、を含んでいる。
図16に示すように、平面視にて、永久磁石Mは平行四辺形の形状を有し、第1本体部M1は長方形の形状を有している。対称軸AX2に直交する仮想の平面において、第1本体部M1の断面積は一定である。一対の第1つば部M2のうち、左側の第1つば部M2の幅W1は、外周縁Po側より内周Pi側の方が狭く、最も内周Pi側で0である。一方、右側の第1つば部M2の幅W1は、内周Pi側より外周縁Po側の方が狭く、最も外周縁Po側で0である。
鉄心Cの形状は、永久磁石Mに対応付けられている。平面視において、第2本体部C1は、扇形の形状を有している。各々の鉄心Cの一対の第2つば部C2のうち、左側の第2つば部C2の幅W2は、内周Pi側より外周縁Po側の方が狭く、最も外周縁Po側で0である。一方、右側の第2つば部C2の幅W2は、外周縁Po側より内周Pi側の方が狭く、最も内周Pi側で0である。ここで、幅W2は、長軸AX3に直交する方向の幅である。
隣合う鉄心C及び永久磁石Mにおいて、第2つば部C2の第2当接面Csは、第1つば部M2の第1当接面Msに接している。一対の第2当接面Csが一対の第1当接面Msに接する総面積は、内周Pi側においても外周縁Po側と実質同一である。そのため、内周Pi側においても、永久磁石Mの固定を強化することができる。
上記のように構成された変形例5に係るモータAによれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
(変形例6)
次に、変形例6に係るモータAについて説明する。ここでは、複数の回転子Rのうち回転子RAを代表して説明する。図17は、変形例6に係るモータAの回転子RAを示す平面図であり、支持板P及び複数の永久磁石Mを示す図である。ここでは、支持板P及び永久磁石M以外の図示を省略している。
図17に示すように、複数の永久磁石Mは、周方向d1に等機械角で配列されている。周方向d1に隣合う永久磁石Mの対称軸AX2が間に成す機械角βは、一定である。中心が回転軸AX1である円周Jに沿った永久磁石MのピッチKは、一定である。ここで、ピッチKは、円周J上において、任意の永久磁石Mの対称軸AX2から隣の永久磁石Mの対称軸AX2までの距離である。
各々の永久磁石Mの対称軸AX2は、支持板Pの回転軸AX1を通らず、回転軸AX1を外れた領域を通っている。上記のような、複数の永久磁石Mの構成を、スキュー構成と称する。なお、上述した固定子2A〜2Cに注目すると、変形例6では、図5に示した第1鉄心81のピッチE1、第2鉄心82のピッチE2、及び第3鉄心83のピッチE3は、それぞれ一定である。
本変形例6において、回転子Rの複数の永久磁石Mの構成はスキュー構成であるため、回転子R側でスキュー効果を得ることができる。そして、モータAのトルクリップルを低減することができる。
固定子2A〜2C側において、ピッチE1,E2,E3を、それぞれ一定にすることができる。第2押え部材6A,6Bなどの部品形状を統一することができ、第1押え部材5A,5B及び第3押え部材7A,7Bなどの部品を簡便な形状や配置とすることができる。部品の標準化を図ることが可能であるため、LT短縮や、製造コストの低減に寄与することができる。
そして、本変形例6においても、鉄心Cは支持板Pとともに永久磁石Mを固定している。
上記のように構成された変形例6に係るモータAによれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
(変形例7)
次に、変形例7に係るモータAについて説明する。ここでは、複数の回転子Rのうち回転子RAを代表して説明する。図18は、変形例7に係るモータAの回転子RAを示す平面図であり、支持板P及び複数の永久磁石Mを示す図である。ここでは、支持板P及び永久磁石M以外の図示を省略している。
図18に示すように、各々の永久磁石Mは、複数の永久磁石で構成されている。本変形例7において、各々の永久磁石Mは、第1永久磁石MAと、第2永久磁石MBと、を有している。第2永久磁石MBは、第1永久磁石MAとは物理的に独立し、第1永久磁石MAより外周縁Po側に位置している。
複数の第1永久磁石MAは、周方向dに互いに間隔を置いて並べられている。複数の第2永久磁石MBは、周方向dに互いに間隔を置いて並べられている。各々の永久磁石Mにおいて、回転軸AX1と第1永久磁石MAの重心MAcとを通る第1直線L1は第2永久磁石MBを通り、回転軸AX1と第2永久磁石MBの重心MBcとを通る第2直線L2は第1永久磁石MAを通り第1直線L1に対して傾斜している。
各々の永久磁石Mにおいて、重心MBcを通る第2直線L2は、重心MAcを通る第1直線L1から周方向dにずれている。ここで、第2直線L2と第1直線L1とが成す電気角をαとする。電気角αは0度でも、360度の倍数でもない。
複数の第1永久磁石MAは周方向dに等機械角で配列され、複数の第2永久磁石MBも周方向dに等機械角で配列されている。周方向d1に隣合う第1永久磁石MAの重心MAcを通る第1直線L1が間に成す機械角β1は、一定である。また、周方向d1に隣合う第2永久磁石MBの重心MBcを通る第2直線L2が間に成す機械角β2は、一定である。複数の第1永久磁石MAを通る円周J1に沿った第1永久磁石MAのピッチK1は、一定である。同様に、複数の第2永久磁石MBを通る円周J2に沿った第2永久磁石MBのピッチK2は、一定である。
鉄心Cの形状は、永久磁石Mに対応付けられている。
なお、変形例7においても、変形例6と同様に、ピッチE1、ピッチE2、及びピッチE3は、それぞれ一定である。
本変形例7において、上記変形例6と同様に、回転子Rの複数の永久磁石Mの構成はスキュー構成であるため、上記変形例6と同様の効果を得ることができる。
そして、本変形例7においても、鉄心Cは支持板Pとともに永久磁石M(第1永久磁石MA及び第2永久磁石MB)を固定している。
上記のように構成された変形例7に係るモータAによれば、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
本発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記の新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記の実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。必要に応じて、実施形態及び変形例を組合せることも可能である。
例えば、上記実施形態及び上記変形例3以外の変形例においても、鉄心Cは、複数の無方向性電磁鋼板を積層して形成されてもよい。
上述した実施形態においては、4つの回転子RA〜RDと3つの固定子2A〜2Cを備えるモータAを開示した。しかしながら、モータAは、より多い数の固定子と回転子を備えてもよいし、より少ない数の固定子と回転子を備えてもよい。
上述したモータAは、鉄道車両などの各種の車両に適用可能である。車両は、モータAと、上記モータのシャフトSの両側に設けられる車輪と、を備えている。上記車輪はシャフトSに直結されている。ギアを有する伝動装置を介して、モータAが車輪に伝動するように構成されていない。伝動装置を使用する場合と比較して、伝達ロスがなくなるため、エネルギ効率を高めることができる。また、車両の小型化に寄与することができる。
図19に示すように、モータAは、例えば、鉄道車両100の主電動機に適用することができる。この鉄道車両100は、車体110と、車体110の下方に配置された台車120と、駆動装置130と、車体110の上方に配置されたパンタグラフ140とを備えている。図示した例では、車体110に対して台車120およびパンタグラフ140が2つずつ設けられ、各台車120に駆動装置130が2つずつ設けられているが、この例に限られない。
台車120は、台車フレーム121と、台車フレーム121に取り付けられた複数の車輪122と、台車フレーム121と車体110の間に配置された空気ばね123とを備えている。駆動装置130は、主電動機としてモータAを備えている。さらに、駆動装置130は、モータAを制御する制御装置や、モータAの回転力を車輪122に伝達する伝達機構などを備えている。パンタグラフ140は、架線150と接触している。パンタグラフ140を介して架線150から取り込まれる電力は駆動装置130に供給され、この電力によりモータAが回転する。
なお、上述したモータAは、車両だけでなく、回転動力を要する種々の装置に適用することができる。