以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット印刷装置の構成を示すブロック図である。図2は、図1に示すインクジェット印刷装置の制御部の構成を示すブロック図である。図3は、図1に示すインクジェット印刷装置の印刷部および圧力付与部の概略構成図である。なお、以下の説明における上下方向は鉛直方向であり、図3における紙面の上下を上下方向とする。
図1に示すように、本実施の形態に係るインクジェット印刷装置1は、4つの印刷部2と、圧力付与部3と、搬送部4と、操作パネル5と、制御部6とを備える。
印刷部2は、インクを循環させつつ、搬送部4により搬送される用紙にインクを吐出して画像を印刷する。4つの印刷部2は、それぞれ異なる色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクを吐出する。4つの印刷部2は、吐出するインクの色が異なる以外は、同様の構成を有する。
図3に示すように、印刷部2は、インクジェットヘッド11と、インク循環部12と、インク補給部13とを備える。
インクジェットヘッド11は、インク循環部12により供給されるインクを吐出する。インクジェットヘッド11は、複数のヘッドモジュール16と、インクトレイ17とを有する。
ヘッドモジュール16は、インクを貯留するインクチャンバ(図示せず)と、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)とを有する。インクチャンバ内には、ピエゾ素子(図示せず)が配置されている。ピエゾ素子の駆動により、ノズルからインクが吐出される。
インクトレイ17は、パージや強制排出により各ヘッドモジュール16のノズルから吐出されたインクを受けるものである。インクトレイ17は、各ヘッドモジュール16のノズルから吐出されたインク液滴の飛翔経路に対して不図示の駆動源により進出および退避できるように構成されている。
インクトレイ17は、用紙への印刷が行われる際には、ノズルから吐出されたインク液滴と干渉しないように、例えば図3の想像線で示すような、インク液滴の飛翔経路から退避した箇所に配置される。また、パージや強制排出のために各ヘッドモジュール16のノズルからインクが吐出される際には、各ヘッドモジュール16の下方でノズルから吐出されたインク液滴を受けるために、例えば図3の実線で示すような、インク液滴の飛翔経路に進出した箇所に配置される。
インクトレイ17は、インク液滴の飛翔経路に進出した状態で、上方のヘッドモジュール16に開口した有底状の容器で構成されている。インクトレイ17は、上方からの平面視にて、インクジェットヘッド11のヘッドモジュール16が配置されている領域よりも大きい外形で形成されている。インクトレイ17の内部は、フレキシブル配管18を介して、後述のオーバーフローパン95に接続されている。
インク循環部12は、インクを循環させつつインクジェットヘッド11にインクを供給する。インク循環部12は、加圧タンク21と、負圧タンク22と、循環経路23と、インクポンプ24と、インク温度調整部25と、インク温度センサ26と、インク検出センサ27とを備える。
加圧タンク21は、インクジェットヘッド11に供給するインクを貯留する。加圧タンク21のインクは、後述のインク循環管41および分配器44を介してインクジェットヘッド11に供給される。加圧タンク21内には、インクの液面上に空気層31が形成されている。加圧タンク21は、後述の加圧側連通管73を介して、後述の加圧共通気室71に接続されている。加圧タンク21は、インクジェットヘッド11より低い位置(下方)に配置されている。
加圧タンク21には、加圧タンク液面センサ32と、インクフィルタ33とが設けられている。
加圧タンク液面センサ32は、加圧タンク21内のインクの液面高さが基準高さに達しているか否かを検出するためのものである。基準高さは、加圧タンク21の上端より下方にある。加圧タンク液面センサ32は、加圧タンク21内の液面高さが基準高さ以上である場合に「オン」を示す信号を出力し、基準高さ未満である場合に「オフ」を示す信号を出力する。
インクフィルタ33は、インク内のゴミ等を除去する。
負圧タンク22は、インクジェットヘッド11で消費されなかったインクを後述の回収器45から受け取って貯留する。また、負圧タンク22は、後述するインク補給部13のインクカートリッジ66から供給されるインクを貯留する。負圧タンク22内には、インクの液面上に空気層36が形成されている。負圧タンク22は、後述の負圧側連通管81を介して、後述の負圧共通気室79に接続されている。負圧タンク22は、加圧タンク21と同じ高さに配置されている。
負圧タンク22には、負圧タンク液面センサ37が設けられている。負圧タンク液面センサ37は、負圧タンク22内のインクの液面高さが基準高さに達しているか否かを検出するためのものである。基準高さは、負圧タンク22の上端より下方にある。負圧タンク液面センサ37は、負圧タンク22内の液面高さが基準高さ以上である場合に「オン」を示す信号を出力し、基準高さ未満である場合に「オフ」を示す信号を出力する。
循環経路23は、加圧タンク21とインクジェットヘッド11と負圧タンク22との間でインクを循環させるための経路である。循環経路23は、インク循環管41〜43と、分配器44と、回収器45とを備える。
インク循環管41は、加圧タンク21と分配器44とを接続する。インク循環管41の一部は、後述のヒータ61を経由する部分と後述のヒートシンク63を経由する部分とに分岐している。インク循環時において、インク循環管41には、加圧タンク21から分配器44に向かってインクが流れる。
インク循環管42は、回収器45と負圧タンク22とを接続する。インク循環時において、インク循環管42には、回収器45から負圧タンク22に向かってインクが流れる。
インク循環管43は、負圧タンク22と加圧タンク21とを接続する。インク循環時において、インク循環管43には、負圧タンク22から加圧タンク21に向かってインクが流れる。
分配器44は、インク循環管41を介して加圧タンク21から供給されるインクを、インクジェットヘッド11の各ヘッドモジュール16に分配する。分配器44は、インクバス51と、複数の入力管52と、複数の入力側開閉弁53とを備える。
インクバス51は、各ヘッドモジュール16に分配されるインクを貯留する。インク循環時において、インク循環管41を介して加圧タンク21からインクバス51にインクが流入し、入力管52を介してインクバス51からヘッドモジュール16へインクが流出する。
入力管52は、インクバス51とヘッドモジュール16の入力ポート(図示せず)とを接続する。入力管52は、各ヘッドモジュール16に1本ずつ対応して設けられている。インク循環時において、入力管52には、インクバス51からヘッドモジュール16に向かってインクが流れる。
入力側開閉弁53は、入力管52内のインクの流路を開閉する。入力側開閉弁53と後述の出力側開閉弁58とにより、パージ時におけるヘッドモジュール16へのインクの流入を個別に遮断することができる。
回収器45は、インクジェットヘッド11で消費されなかったインクを各ヘッドモジュール16から回収する。回収器45は、インクバス56と、複数の出力管57と、複数の出力側開閉弁58とを備える。
インクバス56は、各ヘッドモジュール16から回収されるインクを貯留する。インク循環時において、出力管57を介してヘッドモジュール16からインクバス56にインクが流入し、インク循環管42を介してインクバス56から負圧タンク22へインクが流出する。
出力管57は、ヘッドモジュール16の出力ポート(図示せず)とインクバス56とを接続する。出力管57は、各ヘッドモジュール16に1本ずつ対応して設けられている。インク循環時において、出力管57には、ヘッドモジュール16からインクバス56へインクが流出する。
出力側開閉弁58は、出力管57内のインクの流路を開閉する。
このように構成された循環経路23では、加圧タンク21側の経路が、インク循環管41、インクバス51、入力管52で構成され、負圧タンク22側の経路が、インク循環管42、インクバス56、出力管57で構成される。
インクポンプ24は、負圧タンク22から加圧タンク21へインクを送液する。インクポンプ24は、インク循環管43の途中に設けられている。
インク温度調整部25は、インク循環部12におけるインクの温度を調整する。インク温度調整部25は、加圧タンク21側の経路を構成するインク循環管41の途中に設けられている。インク温度調整部25は、ヒータ61と、ヒータ温度センサ62と、ヒートシンク63と、冷却ファン64とを備える。
ヒータ61は、インク循環管41内のインクを加熱する。ヒータ温度センサ62は、ヒータ61の温度を検出する。ヒートシンク63は、放熱によりインク循環管41内のインクを冷却する。冷却ファン64は、ヒートシンク63に冷却風を送る。
インク温度調整部25をインク循環管41の途中に設ける分、加圧タンク21側のインク経路の経路長は、負圧タンク22側のインク経路の経路長よりも長くなる。
インク温度センサ26は、インク循環部12におけるインクの温度を検出する。インク温度センサ26は、インク循環管41の途中に設けられている。
インク補給部13は、インク循環部12にインクを補給する。インク補給部13は、インクカートリッジ66と、インク補給弁67と、インク補給管68とを備える。
インクカートリッジ66は、インクジェットヘッド11による印刷に用いるインクを収容している。インクカートリッジ66内のインクは、インク補給管68を介してインク循環部12の負圧タンク22に供給される。
インク補給弁67は、インク補給管68内のインクの流路を開閉する。負圧タンク22へインクを補給する際、インク補給弁67が開かれる。
インク補給管68は、インクカートリッジ66と負圧タンク22とを接続する。インク補給管68には、インクカートリッジ66から負圧タンク22に向かってインクが流れる。
インク検出センサ27は、加圧タンク21からインクジェットヘッド11に至る循環経路23の加圧タンク21側の経路をインクジェットヘッド11に向けて通過するインクの量が、加圧タンク21側のインク経路と負圧タンク22側のインク経路との経路長差に応じた量に達したことを、インク循環管41において検出する。
インク検出センサ27は、インク循環管41内に配置されたりインク循環管41の流路の一部を構成する接触式の流量計(例えば渦流量計)でもよく、インク循環管41の外側から計測波を照射等する非接触式の流量計(例えば超音波流量計)でもよい。あるいは、インク検出センサ27は、透明管で構成したインク循環管41を通過するインクの終端を検出する透過型光学センサでもよい。
流量計で構成する場合のインク検出センサ27は、加圧タンク21側のインク経路の任意の箇所に配置することができる。また、透過型光学センサで構成する場合のインク検出センサは、インク循環管41の特定の箇所に配置される。この特定の箇所とは、インク循環管41における加圧タンク21との接続端から、加圧タンク21側のインク経路と負圧タンク22側のインク経路との経路長差に応じたインクの容量分だけ、インクジェットヘッド11側に位置をずらした箇所である。なお、インク検出センサ27の検出信号は制御部6に入力される。
圧力付与部3は、加圧タンク21に正圧を付与し、負圧タンク22に負圧および正圧を選択的に付与する。圧力付与部3は、すべての印刷部2に共通のものである。圧力付与部3は、加圧共通気室71と、4つの加圧側連通弁72と、4本の加圧側連通管73と、加圧側大気開放弁74と、加圧側大気開放管75と、加圧側圧力調整弁76と、加圧側圧力調整管77と、加圧側圧力センサ78と、負圧共通気室79と、4つの負圧側連通弁80と、4本の負圧側連通管81と、負圧側大気開放弁82と、負圧側大気開放管83と、負圧側圧力調整弁84と、負圧側圧力調整管85と、負圧側圧力センサ86と、エアポンプ87と、負圧側加圧用切替弁88と、エアポンプ用配管89と、切替弁大気連通管90と、加圧側切替弁接続管91と、負圧側切替弁接続管92と、合流管93と、エアフィルタ94と、オーバーフローパン95とを備える。
加圧共通気室71は、複数の印刷部2の加圧タンク21の圧力を等しくするための気室である。加圧共通気室71は、4本の加圧側連通管73により4つの印刷部2の加圧タンク21の空気層31に接続されている。
加圧側連通弁72は、加圧側連通管73内の空気の流路を開閉する。4つの加圧側連通弁72は、各印刷部2に1つずつ対応して設けられている。加圧側連通弁72は、加圧側連通管73の途中に配置されている。加圧側連通弁72が開放されているとき、当該加圧側連通弁72に対応する印刷部2の加圧タンク21の空気層31と加圧共通気室71とが連通される。これにより、対応する加圧側連通弁72が開放されている各印刷部2の加圧タンク21どうしが、加圧共通気室71および加圧側連通管73を介して連通される。加圧側連通弁72が閉鎖されているとき、当該加圧側連通弁72に対応する印刷部2の加圧タンク21と加圧共通気室71との接続が切断される。
加圧側連通管73は、加圧共通気室71と加圧タンク21の空気層31とを接続する。4本の加圧側連通管73は、各印刷部2に1本ずつ対応して設けられている。
加圧側大気開放弁74は、加圧共通気室71を介して加圧タンク21を密閉状態(大気から遮断した状態)と大気開放状態(大気に通じた状態)との間で切り替えるために、加圧側大気開放管75内の空気の流路を開閉する。
加圧側大気開放管75は、加圧共通気室71を介して加圧タンク21を大気開放するための空気の流路を形成する。加圧側大気開放管75は、一端が加圧共通気室71に接続され、他端が合流管93に接続されている。
加圧側圧力調整弁76は、加圧共通気室71および加圧タンク21の圧力を調整するために、加圧側圧力調整管77内の空気の流路を開閉する。
加圧側圧力調整管77は、加圧共通気室71および加圧タンク21の圧力調整のための空気の流路を形成する。加圧側圧力調整管77は、一端が加圧共通気室71に接続され、他端が合流管93に接続されている。
加圧側圧力センサ78は、加圧共通気室71内の圧力を検出する。加圧共通気室71内の圧力は、開放されている加圧側連通弁72に対応する印刷部2の加圧タンク21の圧力と等しい。開放されている加圧側連通弁72に対応する印刷部2の加圧タンク21の空気層31と加圧共通気室71とが連通されているためである。
負圧共通気室79は、複数の印刷部2の負圧タンク22の圧力を等しくするための気室である。負圧共通気室79は、4本の負圧側連通管81により4つの印刷部2の負圧タンク22の空気層36に接続されている。
負圧側連通弁80は、負圧側連通管81内の空気の流路を開閉する。4つの負圧側連通弁80は、各印刷部2に1つずつ対応して設けられている。負圧側連通弁80は、負圧側連通管81の途中に配置されている。負圧側連通弁80が開放されているとき、当該負圧側連通弁80に対応する印刷部2の負圧タンク22の空気層36と負圧共通気室79とが連通される。これにより、対応する負圧側連通弁80が開放されている各印刷部2の負圧タンク22どうしが、負圧共通気室79および負圧側連通管81を介して連通される。負圧側連通弁80が閉鎖されているとき、当該負圧側連通弁80に対応する印刷部2の負圧タンク22と負圧共通気室79との接続が切断される。加圧側連通弁72と負圧側連通弁80とを閉鎖することで、印刷部2の圧力付与部3との接続を個別に切断できる。
負圧側連通管81は、負圧共通気室79と負圧タンク22の空気層36とを接続する。4本の負圧側連通管81は、各印刷部2に1本ずつ対応して設けられている。
負圧側大気開放弁82は、負圧共通気室79を介して負圧タンク22を密閉状態と大気開放状態との間で切り替えるために、負圧側大気開放管83内の空気の流路を開閉する。
負圧側大気開放管83は、負圧共通気室79を介して負圧タンク22を大気開放するための空気の流路を形成する。負圧側大気開放管83は、一端が負圧共通気室79に接続され、他端が合流管93に接続されている。
負圧側圧力調整弁84は、負圧共通気室79および負圧タンク22の圧力を調整するために、負圧側圧力調整管85内の空気の流路を開閉する。
負圧側圧力調整管85は、負圧共通気室79および負圧タンク22の圧力調整のための空気の流路を形成する。負圧側圧力調整管85は、一端が負圧共通気室79に接続され、他端が合流管93に接続されている。
負圧側圧力センサ86は、負圧共通気室79内の圧力を検出する。負圧共通気室79内の圧力は、開放されている負圧側連通弁80に対応する印刷部2の負圧タンク22の圧力と等しい。開放されている負圧側連通弁80に対応する印刷部2の負圧タンク22の空気層36と負圧共通気室79とが連通されているためである。
エアポンプ87は、負圧側加圧用切替弁88から加圧共通気室71へ向けて空気を送る。エアポンプ87は、エアポンプ用配管89の途中に設けられている。
負圧側加圧用切替弁88は、エアポンプ87の駆動により負圧共通気室79に付与される圧力を正圧と負圧との間で切り替える。負圧側加圧用切替弁88は、四方弁からなる。負圧側加圧用切替弁88は、第1ポート96a、第2ポート96b、第3ポート96c、第4ポート96d、および第5ポート96eを有する。
第1ポート96aにはエアポンプ用配管89が接続されている。第2ポート96bには切替弁大気連通管90が接続されている。第3ポート96cは、キャップ97により封止されている。第4ポート96dには負圧側切替弁接続管92が接続されている。第5ポート96eには加圧側切替弁接続管91が接続されている。
負圧側加圧用切替弁88は、内部の弁体(図示せず)の駆動により、各ポートの接続関係を切り替えることができる。これにより、負圧側加圧用切替弁88は、負圧側減圧設定と負圧側加圧設定との間で設定変更可能になっている。負圧側減圧設定における各ポートの接続関係を図4(a)に、負圧側加圧設定における各ポートの接続関係を図4(b)にそれぞれ示す。
図4(a)に示すように、負圧側減圧設定では、第1ポート96aと第4ポート96dとが接続され、第2ポート96bと第3ポート96cとが接続される。このとき、第5ポート96eは、負圧側加圧用切替弁88の内部の弁体により閉鎖される。この設定では、エアポンプ87の駆動により、負圧共通気室79から空気が吸引されて負圧共通気室79が減圧されるとともに、加圧共通気室71に空気が流入して加圧共通気室71が加圧される。すなわち、負圧共通気室79に負圧が付与され、加圧共通気室71に正圧が付与される。なお、第3ポート96cはキャップ97により封止されているため、外部の空気が第3ポート96c、第2ポート96bを通過して切替弁大気連通管90に流入することはない。
図4(b)に示すように、負圧側加圧設定では、第1ポート96aと第2ポート96bとが接続され、第4ポート96dと第5ポート96eとが接続される。このとき、第3ポート96cは、負圧側加圧用切替弁88の内部の弁体により閉鎖される。この設定では、エアポンプ87の駆動により、エアポンプ用配管89から加圧共通気室71に空気が流入して加圧共通気室71が加圧される。また、加圧共通気室71から加圧側切替弁接続管91、負圧側加圧用切替弁88、負圧側切替弁接続管92を介して負圧共通気室79に空気が送られて負圧共通気室79も加圧される。すなわち、加圧共通気室71および負圧共通気室79に正圧が付与される。
エアポンプ用配管89は、エアポンプ87の駆動により負圧側加圧用切替弁88から加圧共通気室71へ流れる空気の流路を形成する。エアポンプ用配管89は、一端が負圧側加圧用切替弁88の第1ポート96aに接続され、他端が加圧共通気室71に接続されている。
切替弁大気連通管90は、負圧側加圧用切替弁88の第2ポート96bと図3に示す合流管93とを接続する。加圧側切替弁接続管91は、負圧側加圧用切替弁88の第5ポート96eと加圧共通気室71とを接続する。負圧側切替弁接続管92は、負圧側加圧用切替弁88の第4ポート96dと負圧共通気室79とを接続する。
図3に示すように、合流管93は、一端がオーバーフローパン95に接続され、他端(上端)がエアフィルタ94を介して大気に通じている。合流管93のオーバーフローパン95側の端は、通常時は、後述のオーバーフローボール98により閉鎖されている。合流管93には、加圧側大気開放管75、加圧側圧力調整管77、負圧側大気開放管83、負圧側圧力調整管85、および切替弁大気連通管90が接続されている。これにより、加圧側大気開放管75、加圧側圧力調整管77、負圧側大気開放管83、負圧側圧力調整管85、および切替弁大気連通管90が大気に連通される。
エアフィルタ94は、合流管93への空気中のゴミ等の進入を防止する。エアフィルタ94は、合流管93の上端に設置されている。
オーバーフローパン95は、例えばインク補給弁67の異常により、加圧タンク21、負圧タンク22からインクが溢れ、さらに加圧共通気室71、負圧共通気室79からもインクが溢れ出た場合に、合流管93を流れてくるインクを受け取る。また、オーバーフローパン95は、インクトレイ17が飛翔経路上で受けたヘッドモジュール16のノズルからのインク液滴を、フレキシブル配管18を介して受け取る。
オーバーフローパン95には、オーバーフローボール98が設けられている。オーバーフローボール98は、オーバーフローパン95にインクがない場合に、オーバーフローパン95の底面に開口する合流管93の端を閉鎖し、合流管93への外部の空気の流入を防ぐものである。合流管93からオーバーフローパン95へインクが流れてくると、オーバーフローボール98は浮き上がり、オーバーフローパン95にインクが流入できる。
また、オーバーフローパン95には、オーバーフロー液面センサ99が設けられている。オーバーフロー液面センサ99は、オーバーフローパン95内のインクの液面高さが所定高さに達しているか否かを検出するためのものである。
オーバーフローパン95は、廃液タンク(図示せず)に接続されており、オーバーフロー液面センサ99で液面が検出されると、廃液タンクへインクが排出されるようになっている。
搬送部4は、給紙台(図示せず)から用紙を取り出し、その用紙を搬送経路に沿って搬送する。搬送部4は、用紙を搬送するためのローラ、ローラを駆動させるモータ(いずれも図示せず)等を有する。
操作パネル5は、各種の入力画面等を表示するとともに、ユーザによる入力操作を受け付ける。操作パネル5は、各種の操作キー、タッチパネル等を有する入力部と、液晶表示パネル等を有する表示部(いずれも図示せず)とを備える。
制御部6は、インクジェット印刷装置1全体の動作を制御する。図2に示すように、制御部6は、主コントローラ101と、メカコントローラ102とを備える。
主コントローラ101は、インクジェット印刷装置1全体の制御を司る。主コントローラ101は、CPU(Central Processing Unit)111と、メモリ112と、HDD(Hard Disk Drive)113と、外部I/F(インタフェース)114と、メカコントローラI/F115と、ユーザI/F116と、ヘッドI/F117とを備える。
CPU111は、演算処理を実行する。メモリ112は、一時的なデータの保存や演算時におけるCPU111のワークエリアとして使用されるものである。HDD113は、各種のプログラム等を記憶する。
外部I/F114は、ネットワークを介して外部の装置との間でデータの送受信を行う。メカコントローラI/F115は、主コントローラ101にメカコントローラ102を接続する。ユーザI/F116は、主コントローラ101に操作パネル5を接続する。ヘッドI/F117は、主コントローラ101にインクジェットヘッド11を接続する。
メカコントローラ102は、印刷部2におけるインク循環およびインク補給の制御、圧力付与部3による圧力制御、および搬送部4による用紙搬送の制御を行う。メカコントローラ102は、CPU121と、メモリ122と、センサI/F123と、主コントローラI/F124と、アクチュエータI/F125と、ドライバユニット126とを備える。
CPU121は、演算処理を実行する。メモリ122は、一時的なデータの保存や演算時におけるCPU121のワークエリアとして使用されるものである。
センサI/F123は、メカコントローラ102に加圧タンク液面センサ32等の各種センサを接続する。主コントローラI/F124は、メカコントローラ102を主コントローラ101に接続する。アクチュエータI/F125は、ドライバユニット126に制御信号を送信する。
ドライバユニット126は、インクポンプ24、エアポンプ87、搬送部4のモータ等のそれぞれを駆動させる各種ドライバを有する。
制御部6は、インク循環動作を行いつつ、インクジェットヘッド11からインクを吐出させて印刷を行う。インク循環動作は、圧力付与部3により加圧タンク21、負圧タンク22にそれぞれ正圧、負圧を付与し、加圧タンク21および負圧タンク22の液面高さに応じてインクポンプ24の駆動を制御することで、循環経路23に沿ってインクを循環させる動作である。
また、制御部6は、メンテナンスとして、インクジェットヘッド11のヘッドモジュール16のノズルの詰まりを予防又は解消するために、ノズルからインクを強制的に排出させるパージを実行する。具体的には、制御部6は、圧力付与部3を制御して加圧タンク21および負圧タンク22に正圧を付与することで、強制的にノズルからインクを排出させる。
ところで、インクジェット印刷装置1では、インクジェットヘッドのノズル内において、表面張力によって形成されるインクのメニスカスが振動により破壊されることがある。インクのメニスカスが破壊されると、ノズルのインクに対する加圧タンクや負圧タンクのインクの水頭差による負圧と表面張力とのバランスでノズル内に滞留していたインクが、ノズル内に留まれなくなりノズル外に漏出してしまう。
特に、大きい振動がインクジェット印刷装置1に加わると、加圧タンク21や負圧タンク22の中でインクが揺れて生じた波動がインク循環管41,42内のインクに伝わり、インクバス51,56や入力管52、出力管57、ヘッドモジュール16のインクが振動してノズルから外に漏出してしまう。
ノズルから漏出したインクは、ノズルの下方に進出させたインクトレイ17で受けることができる。しかし、インクジェット印刷装置1に加わる振動が大きいと、インクトレイ17のインクが波打って、廃液口からフレキシブル配管18に流れ出る前にインクトレイ17から溢れて周囲に飛散してしまう。
また、インクジェット印刷装置1の姿勢が傾いて、インクジェットヘッド11と加圧タンク21や負圧タンク22とのインクの水頭差に変化が生じた場合にも、ノズルから外にインクが漏出する可能性がある。その場合は、漏出したインクをインクトレイ17で受けても、インクトレイ17が傾いているため、やはりインクトレイ17からインクが溢れて周囲に飛散してしまう。
このような、振動や傾斜等によりノズルから漏出したインクがインクトレイ17から溢れて周囲に飛散する可能性は、循環経路23にインクが存在している限りなくならない。
そこで、制御部6は、操作パネル5等からのリクエスト入力があった場合に、別のメンテナンスとして、加圧タンク21や負圧タンク22のインクを強制的にノズルから排出させるインク排出動作を実行する。
このインク排出動作は、インクポンプ24から加圧タンク21や負圧タンク22に正圧を付与することで行われる。したがって、インク排出動作では、加圧タンク21側において、インクポンプ24から加圧タンク21、インク循環管41および分配器44を経てインクジェットヘッド11に至るインク経路にあるインクが、インクジェットヘッド11のノズルから全て排出される。また、負圧タンク22側においては、インクポンプ24から負圧タンク22、インク循環管42および回収器45を経てインクジェットヘッド11に至るインク経路にあるインクが、インクジェットヘッド11のノズルから全て排出される。
次に、インクジェット印刷装置1の印刷時の動作について説明する。以下の動作は、各色の印刷部2においてそれぞれ行われる。
印刷ジョブが入力されると、主コントローラ101のCPU111は、印刷ジョブを画像データとジョブデータとに分割し、ジョブデータをメカコントローラ102へ送信する。ジョブデータは、印刷枚数、用紙種類等を示す情報を含むものである。
次いで、メカコントローラ102のCPU121は、加圧側大気開放弁74および負圧側大気開放弁82を閉鎖する。これにより、各印刷部2の加圧タンク21が加圧共通気室71を介して密閉状態となり、負圧タンク22が負圧共通気室79を介して密閉状態となる。
なお、インクジェット印刷装置1が動作しない待機状態では、加圧側大気開放弁74および負圧側大気開放弁82は開放されている。また、加圧側圧力調整弁76および負圧側圧力調整弁84は、待機中から閉鎖されている。入力側開閉弁53、出力側開閉弁58、加圧側連通弁72、および負圧側連通弁80は、待機中からすべて開放されている。負圧側加圧用切替弁88は、負圧側減圧設定になっている。
次いで、CPU121は、エアポンプ87を起動する。これにより、負圧共通気室79から加圧共通気室71へ空気が送られることで、負圧共通気室79および負圧タンク22が減圧され、加圧共通気室71および加圧タンク21が加圧される。これにより、加圧タンク21からインクジェットヘッド11を経由して負圧タンク22へ向かうインクの流れが生じ、インク循環が始まる。
エアポンプ87の起動後、CPU121は、加圧タンク21および負圧タンク22の圧力がそれぞれの設定圧に達し、それが維持されるように、エアポンプ87の駆動、および、加圧側圧力調整弁76および負圧側圧力調整弁84の開閉を制御する。加圧タンク21および負圧タンク22の設定圧は、インクを循環させつつインクジェットヘッド11のノズル圧を適正値にするための圧力値として予め設定されたものである。
加圧タンク21および負圧タンク22の圧力が設定圧になった後、主コントローラ101のCPU111およびメカコントローラのCPU121は、印刷ジョブを実行する。具体的には、メカコントローラのCPU121は、ジョブデータに基づき、搬送部4により用紙を搬送させる。また、主コントローラ101のCPU111は、画像データに基づき、搬送される用紙にインクジェットヘッド11からインクを吐出させる。これにより、用紙に画像が印刷される。印刷ジョブの実行中は、加圧タンク21からインクジェットヘッド11へインクが供給され、インクジェットヘッド11で消費されなかったインクが負圧タンク22に流入する。
このようにインク循環および印刷を行う際、CPU121は、液面維持制御を行う。液面維持制御は、加圧タンク21および負圧タンク22の液面高さを基準高さで維持しつつインク循環するための、加圧タンク21および負圧タンク22の液面高さに応じたインクポンプ24およびインク補給弁67の制御である。
具体的には、図5に示すように、加圧タンク液面センサ32および負圧タンク液面センサ37がともにオンの状態では、CPU121は、インクポンプ24をオフとし、インク補給弁67を閉鎖する。加圧タンク液面センサ32がオンで負圧タンク液面センサ37がオフの状態でも同様に、CPU121は、インクポンプ24をオフとし、インク補給弁67を閉鎖する。
加圧タンク液面センサ32がオフで負圧タンク液面センサ37がオンの状態では、CPU121は、インクポンプ24をオンとし、インク補給弁67を閉鎖する。
加圧タンク液面センサ32および負圧タンク液面センサ37がともにオフの状態では、CPU121は、インクポンプ24をオフとし、インク補給弁67を開放する。
すなわち、加圧タンク液面センサ32がオフで負圧タンク液面センサ37がオンの状態になると、液面維持制御により、インクポンプ24が負圧タンク22から加圧タンク21へインクを送る。また、加圧タンク液面センサ32および負圧タンク液面センサ37がともにオフの状態になると、液面維持制御により、インクカートリッジ66から負圧タンク22へインクが補給される。このようにして、加圧タンク21および負圧タンク22の液面高さが維持されつつ、インク循環および印刷が行われる。
印刷ジョブが終了すると、CPU121は、加圧側大気開放弁74および負圧側大気開放弁82を開放する。ここで、インクポンプ24、エアポンプ87が駆動中の場合は、CPU121は、それを停止する。また、加圧側圧力調整弁76、負圧側圧力調整弁84、インク補給弁67が開放されている場合は、CPU121は、それを閉鎖する。これにより、インク循環動作が終了し、インクジェット印刷装置1が待機状態となる。
次に、インクジェット印刷装置1のパージ時の動作について説明する。
インクジェット印刷装置1において、吐出検査により吐出不良が検出されると、パージを行う。吐出検査は、例えば、次のように行われる。まず、制御部6は、所定のテストパターンを各印刷部2により用紙に印刷させる。制御部6は、テストパターンの印刷画像がスキャナで読み取られた画像データを取得し、その画像データを解析して、各インクジェットヘッド11の各ヘッドモジュール16に吐出不良のノズルがあるか否かを判断する。少なくともいずれかのヘッドモジュール16に吐出不良のノズルがあると判断すると、制御部6は、吐出不良のノズルがある色の印刷部2において、パージを実行する。
図6は、パージ時の動作を説明するためのフローチャートである。なお、パージを開始する際、インクジェット印刷装置1は待機状態である。また、以下に説明するパージ動作は、ヘッドモジュール16のノズルから吐出されたインク液滴の飛翔経路上にインクトレイ17を進出させた状態で行われる。
図6のステップS1において、メカコントローラのCPU121は、パージ対象外の印刷部2に対応する加圧側連通弁72および負圧側連通弁80を閉鎖する。これにより、パージ対象外の印刷部2と圧力付与部3との接続が切断される。
ここで、パージ対象の印刷部2は、インクジェットヘッド11にパージ対象のヘッドモジュール16がある印刷部2である。パージ対象のヘッドモジュール16は、吐出不良のノズルがあるヘッドモジュール16である。パージ対象外の印刷部2は、パージ対象の印刷部2以外の印刷部2であり、すべてのヘッドモジュール16がパージ対象外のヘッドモジュール16である印刷部2である。パージ対象外のヘッドモジュール16は、パージ対象のヘッドモジュール16以外のヘッドモジュール16であり、吐出不良のノズルがないヘッドモジュール16である。
次いで、ステップS2において、CPU121は、パージ対象の印刷部2のインクジェットヘッド11におけるパージ対象外のヘッドモジュール16に対応する入力側開閉弁53および出力側開閉弁58を閉鎖する。
次いで、ステップS3において、CPU121は、加圧側大気開放弁74および負圧側大気開放弁82を閉鎖する。これにより、パージ対象の印刷部2の加圧タンク21が加圧共通気室71を介して密閉状態となり、負圧タンク22が負圧共通気室79を介して密閉状態となる。
次いで、ステップS4において、CPU121は、負圧側加圧用切替弁88を負圧側加圧設定とする。
次いで、ステップS5において、CPU121は、エアポンプ87を起動する。これにより、加圧共通気室71およびパージ対象の印刷部2の加圧タンク21が加圧され始めるとともに、負圧共通気室79およびパージ対象の印刷部2の負圧タンク22も加圧され始める。パージ対象の印刷部2の加圧タンク21および負圧タンク22の圧力は徐々に上昇する。そして、ある程度の圧力まで達すると、パージ対象のヘッドモジュール16のノズルからインクが排出され始める。
ここで、インクジェット印刷装置1の待機状態において、インク循環管41,42、インクバス51,56、入力管52、出力管57、およびヘッドモジュール16は、インクで満たされている。この状態で、エアポンプ87の駆動により加圧タンク21および負圧タンク22が加圧されるので、パージ対象のヘッドモジュール16のノズルからインクが押し出されるように排出される。
負圧タンク22が加圧されることで、負圧タンク22側の経路(インク循環管42、インクバス56、出力管57)では、インク循環時(印刷時)とは逆方向の、負圧タンク22からヘッドモジュール16へ向かうインクの流れが生じることになる。加圧タンク21側の経路(インク循環管41、インクバス51、入力管52)では、インク循環時と同方向の、加圧タンク21からヘッドモジュール16へ向かうインクの流れが生じる。
エアポンプ87の起動後、ステップS6において、CPU121は、パージ終了条件が満足されたか否かを判断する。具体的には、CPU121は、加圧側圧力センサ78および負圧側圧力センサ86の少なくともいずれか一方の検出値に基づき、加圧タンク21および負圧タンク22の圧力が、パージ終了の指標となる規定圧力に到達したか否かを判断する。なお、パージ時には、負圧側加圧用切替弁88を負圧側加圧設定として加圧タンク21および負圧タンク22を加圧しているため、加圧タンク21の圧力と負圧タンク22の圧力とは等しくなる。
パージ終了条件は満足されていないと判断した場合(ステップS6:NO)、CPU121は、ステップS6を繰り返す。
パージ終了条件が満足されたと判断した場合(ステップS6:NO)、ステップS7において、CPU121は、エアポンプ87を停止する。これにより、ノズルからのインクの排出が終了する。
次いで、ステップS8において、CPU121は、負圧側加圧用切替弁88を負圧側減圧設定とする。
次いで、ステップS9において、CPU121は、加圧側大気開放弁74および負圧側大気開放弁82を開放する。
次いで、ステップS10において、CPU121は、パージ対象の印刷部2におけるパージ対象外のヘッドモジュール16に対応する入力側開閉弁53および出力側開閉弁58を開放する。すなわち、CPU121は、ステップS2で閉鎖した入力側開閉弁53および出力側開閉弁58を開放する。
次いで、ステップS11において、CPU121は、パージ対象外の印刷部2に対応する加圧側連通弁72および負圧側連通弁80を開放する。すなわち、CPU121は、ステップS2で閉鎖した加圧側連通弁72および負圧側連通弁80を開放する。これにより、一連の動作が終了となる。
なお、パージ後は、図示しないワイパによりヘッドモジュール16のノズル面(下面)がワイプされる。これにより、パージにより排出されてノズル面に付着したインクや増粘インク等がノズル面から除去される。
そして、以上に説明したパージ動作の終了後には、ヘッドモジュール16のノズルから吐出されたインク液滴の飛翔経路上からインクトレイ17が退避される。
次に、インクジェット印刷装置1のインク排出時の動作について説明する。
インクジェット印刷装置1において、長距離輸送によって大きな振動が加わることが予想される等の理由で、操作パネル5等からインク排出動作のリクエスト入力があると、インク排出動作を行う。
インク排出動作では、循環経路23の加圧タンク21側の経路(インク循環管41、インクバス51、入力管52)のインクと、負圧タンク22側の経路(インク循環管42、インクバス56、出力管57)のインクとを、加圧タンク21および負圧タンク22の加圧により、加圧タンク21および負圧タンク22のインクと共に、パージ対象としたヘッドモジュール16のノズルから排出させる。
このとき、インク温度調整部25をインク循環管41の途中に設ける分、加圧タンク21側のインク経路の経路長が負圧タンク22側のインク経路の経路長よりも長いので、加圧タンク21および負圧タンク22の加圧を同時に始めると、加圧タンク21からインクジェットヘッド11までのインクがヘッドモジュール16のノズルから全て排出されるよりも先に、負圧タンク22からインクジェットヘッド11までのインクがヘッドモジュール16のノズルから全て排出されて、負圧タンク22のインクが空になる。
負圧タンク22のインクが空になると負圧タンク22を加圧できなくなり、これにより、インク循環管43により負圧タンク22と接続されている加圧タンク21も加圧できなくなる。すると、循環経路23の加圧タンク21側のインク経路のインクを排出することができなくなり、大きな振動がインクジェット印刷装置1に加わったときの、加圧タンク21側の経路に残ったインクのノズルからの漏出を防げなくなる。
そこで、インク排出動作では、インクジェットヘッド11からのインク経路長が長い方の加圧タンク21の加圧を先に開始し、切り替え条件が成立したら負圧タンク22の加圧を遅れて開始する。
図7は、インク排出時の動作を説明するためのフローチャートである。なお、インク排出動作を開始する際、インクジェット印刷装置1は待機状態である。また、以下に説明するインク排出動作は、ヘッドモジュール16のノズルから吐出されたインク液滴の飛翔経路上にインクトレイ17を進出させた状態で行われる。
インク排出動作では、図7のステップS21において、メカコントローラのCPU121は、循環経路23のインク排出動作を行わないインク排出対象外の印刷部2に対応する加圧側連通弁72および負圧側連通弁80を閉鎖する。これにより、インク排出対象外の印刷部2と圧力付与部3との接続が切断される。
ここで、インク排出対象の印刷部2とは、循環経路23のインク排出動作を行う印刷部2である。インク排出対象の印刷部2は、例えば、操作パネル5等からのインク排出動作のリクエスト入力において指定してもよい。無論、全ての印刷部2をインク排出対象の印刷部2と予め定めておき、インク排出対象の印刷部2の指定を不要とすることもできる。
次いで、ステップS22において、CPU121は、インク排出対象の印刷部2のインクジェットヘッド11におけるパージ対象外のヘッドモジュール16に対応する入力側開閉弁53および出力側開閉弁58を閉鎖する。
ここで、パージ対象の印刷部2は、例えば、予め定めておいてもよい。パージ対象の印刷部2が多ければ多いほど、インク排出動作における単位時間当たりのインク排出量が多くなるので、インク排出動作の所要時間を短くすることができる。その代わり、インクジェットヘッド11へのインク経路長が短い負圧タンク22の加圧を遅れて開始するタイミングの誤差を小さくする必要が生じるので、CPU121の負担が大きくなる。
一方、パージ対象の印刷部2が少なければ少ないほど、インク排出動作における単位時間当たりのインク排出量が少なくなるので、インク排出動作の所要時間が長くなる。その代わり、負圧タンク22の加圧を遅れて開始するタイミングの誤差の許容範囲が大きくなるので、CPU121の負担を減らすことができる。
このため、パージ対象の印刷部2をどのようにするかは、上記の事情を勘案して適切に決定すればよい。
次いで、ステップS23において、CPU121は、加圧側大気開放弁74を閉鎖し、負圧側大気開放弁82を開放する。これにより、パージ対象の印刷部2の加圧タンク21が加圧共通気室71を介して密閉状態となり、負圧タンク22は負圧共通気室79および負圧側大気開放弁82を介して大気開放状態となる。
次いで、ステップS24において、CPU121は、負圧側加圧用切替弁88を負圧側減圧設定とする。
次いで、ステップS25において、CPU121は、エアポンプ87を起動する。これにより、加圧共通気室71およびパージ対象の印刷部2の加圧タンク21が加圧され始める。一方、大気開放状態の負圧共通気室79に接続されたパージ対象の印刷部2の負圧タンク22は大気圧のままとなる。パージ対象の印刷部2の加圧タンク21の圧力だけが徐々に上昇する。そして、ある程度の圧力まで達すると、インクジェットヘッド11へのインク経路長が長い加圧タンク21側の経路(インク循環管41、インクバス51、入力管52)のインクが、パージ対象のヘッドモジュール16のノズルから排出され始める。
エアポンプ87の起動後、ステップS26において、CPU121は、切り替え条件が満足されたか否かを判断する。具体的には、CPU121は、インクジェットヘッド11からのインク経路長が長い加圧タンク21側のインク経路とインク経路長が短い負圧タンク22側のインク経路との経路長差に応じた量のインクが、加圧タンク21側の経路からパージ対象のヘッドモジュール16のノズルを経て排出されたか否かを判断する。
加圧タンク21側のインク経路と負圧タンク22側のインク経路との経路長差に応じた量のインクが加圧タンク21側のインク経路から排出されたか否かは、例えば、流量計で構成したインク検出センサ27がステップS25のエアポンプ87の起動後に検出した、加圧タンク21側の経路を通過するインク流量で、判断することができる。
また、加圧タンク21側のインク経路と負圧タンク22側のインク経路との経路差に応じた量のインクが加圧タンク21側のインク経路から排出されたか否かは、例えば、透過型光学センサで構成したインク検出センサ27が、加圧タンク21からインクジェットヘッド11に向けてインク循環管41内を通過するインクの終端の通過を検出することで、判断することができる。
あるいは、加圧タンク21側のインク経路と負圧タンク22側のインク経路との経路差に応じた量のインクが加圧タンク21側のインク経路から排出されたか否かを、インク検出センサ27を用いずに判断してもよい。その場合は、例えば、加圧タンク21側のインク経路と負圧タンク22側のインク経路との経路長差に応じた量のインクが、加圧タンク21側のインク経路からパージ対象のヘッドモジュール16のノズルを経て排出されるのに要する時間を定めておき、ステップS25のエアポンプ87の起動後に経過した時間がその時間に達したことを検出すればよい。
切り替え条件は満足されていないと判断した場合(ステップS26:NO)、CPU121は、ステップS26を繰り返す。
切り替え条件が満足されたと判断した場合(ステップS26:NO)、ステップS27において、CPU121は、切り替え条件の成立までの所定期間が経過したものとして、エアポンプ87を一旦停止する。これにより、ノズルからのインクの排出が一旦終了する。
次いで、ステップS28において、CPU121は、加圧側大気開放弁74および負圧側大気開放弁82を閉鎖する。これにより、パージ対象の印刷部2の加圧タンク21が加圧共通気室71を介して密閉状態となり、負圧タンク22が負圧共通気室79を介して密閉状態となる。
次いで、ステップS29において、CPU121は、負圧側加圧用切替弁88を負圧側加圧設定とする。
次いで、ステップS30において、CPU121は、エアポンプ87を起動(再起動)する。これにより、加圧共通気室71およびパージ対象の印刷部2の加圧タンク21が加圧され始めるとともに、負圧共通気室79およびパージ対象の印刷部2の負圧タンク22も加圧され始める。
負圧タンク22が加圧されることで、負圧タンク22側の経路(インク循環管42、インクバス56、出力管57)では、インク循環時(印刷時)とは逆方向の、負圧タンク22からヘッドモジュール16へ向かうインクの流れが生じることになる。加圧タンク21側の経路(インク循環管41、インクバス51、入力管52)では、インク循環時と同方向の、加圧タンク21からヘッドモジュール16へ向かうインクの流れが生じる。
パージ対象の印刷部2の加圧タンク21および負圧タンク22の圧力は、ステップS30のエアポンプ87の再起動により徐々に上昇する。そして、ある程度の圧力まで達すると、加圧タンク21側の経路(インク循環管41、インクバス51、入力管52)のインクと、負圧タンク22側の経路(インク循環管42、インクバス56、出力管57)のインクとが、パージ対象のヘッドモジュール16のノズルから排出され始める。
エアポンプ87の再起動後、ステップS31において、CPU121は、加圧タンク21と加圧タンク21側のインク経路および負圧タンク22と負圧タンク22側のインク経路のインクがインクジェットヘッド11から全て排出されて、インク排出終了条件が満足されたか否かを判断する。具体的には、CPU121は、加圧側圧力センサ78および負圧側圧力センサ86の少なくともいずれか一方の検出値に基づき、加圧タンク21および負圧タンク22の圧力が、インク排出終了の指標となる規定圧力に到達したか否かを判断する。なお、エアポンプ87の再起動により負圧タンク22への加圧を開始した後、インク排出時には、負圧側加圧用切替弁88を負圧側加圧設定として加圧タンク21および負圧タンク22を加圧しているため、加圧タンク21の圧力と負圧タンク22の圧力とは等しくなる。
そして、加圧タンク21と加圧タンク21側のインク経路のインクおよび負圧タンク22と負圧タンク22側のインク経路のインクが、それぞれインクジェットヘッド11から全て排出されると、加圧タンク21および負圧タンク22が、それぞれのインク経路とインクジェットヘッド11のノズルを介して大気と連通する。このため、加圧側圧力センサ78および負圧側圧力センサ86が検出する圧力の値は、加圧タンク21と負圧タンク22に付与される正圧と、インクジェットヘッド11のノズル径に応じた流路抵抗とによって定まる等しい値となる。
インク排出終了条件は満足されていないと判断した場合(ステップS31:NO)、CPU121は、ステップS31を繰り返す。
インク排出終了条件が満足されたと判断した場合(ステップS31:NO)、ステップS32において、CPU121は、エアポンプ87を停止する。これにより、ノズルからのインクの排出が終了する。
次いで、ステップS33において、CPU121は、負圧側加圧用切替弁88を負圧側減圧設定とする。
次いで、ステップS34において、CPU121は、加圧側大気開放弁74および負圧側大気開放弁82を開放する。
次いで、ステップS35において、CPU121は、インク排出対象の印刷部2におけるパージ対象外のヘッドモジュール16に対応する入力側開閉弁53および出力側開閉弁58を開放する。すなわち、CPU121は、ステップS28で閉鎖した入力側開閉弁53および出力側開閉弁58を開放する。
次いで、ステップS36において、CPU121は、インク排出対象外の印刷部2に対応する加圧側連通弁72および負圧側連通弁80を開放する。すなわち、CPU121は、ステップS22で閉鎖した加圧側連通弁72および負圧側連通弁80を開放する。これにより、一連の動作が終了となる。
これにより、インクジェットヘッド11のノズルから加圧タンク21および負圧タンク22までの加圧タンク21側のインク経路のインクと負圧タンク22側のインク経路のインクが、加圧タンク21および負圧タンク22に付与される正圧によって全てインクジェットヘッド11のノズルから排出される。
なお、インク排出後は、図示しないワイパによりヘッドモジュール16のノズル面(下面)がワイプされる。これにより、パージ対象のヘッドモジュール16のノズルにより排出されてノズル面に付着したインクや増粘インク等がノズル面から除去される。
そして、以上に説明したインク排出動作の終了後には、ヘッドモジュール16のノズルから吐出されたインク液滴の飛翔経路上からインクトレイ17が退避される。
以上説明したように、インクジェット印刷装置1では、制御部6は、圧力付与部3により当初は加圧タンク21のみに正圧を付与して、加圧タンク21側のインク経路と負圧タンク22側のインク経路との経路長差に応じた量のインクを、インクジェットヘッド11からのインク経路長が長い加圧タンク21側のインク経路から排出する。続けて、加圧タンク21および負圧タンク22に正圧を付与することで、加圧タンク21側のインク経路のインクと負圧タンク22側のインク経路のインクとを、インクジェットヘッド11のノズルから排出させる。
このようなインク排出動作を実行することで、加圧タンク21からインクジェットヘッド11までのインクがヘッドモジュール16のノズルから全て排出されるよりも先に、負圧タンク22からインクジェットヘッド11までのインクがヘッドモジュール16のノズルから全て排出されて、負圧タンク22のインクが空になり、負圧タンク22と共に加圧タンク21が加圧できなくなるのを防ぐことができる。このため、加圧タンク21および加圧タンク21側のインク経路のインクと、負圧タンク22および負圧タンク22側のインク経路のインクとを、インクジェットヘッド11のノズルから全て確実に排出することができる。
また、制御部6は、インク排出対象外の印刷部2に対応する加圧側連通弁72および負圧側連通弁80を閉鎖することで、インク排出対象外の印刷部2と圧力付与部3との接続を切断する。これにより、圧力付与部3がすべての印刷部2に共通の構成であるインクジェット印刷装置1でも、インク排出が不要な印刷部2ではインク排出動作が行われないようにすることができる。この結果、インクの無駄を抑制できる。
また、制御部6は、インク排出対象の印刷部2のインクジェットヘッド11におけるパージ対象外のヘッドモジュール16に対応する入力側開閉弁53および出力側開閉弁58を閉鎖することで、パージ対象外のヘッドモジュール16へのインクの流入を遮断する。これにより、インク排出対象の印刷部2でも、パージ対象外のヘッドモジュール16があれば、ヘッドモジュール16ごとにパージを省略することができる。この結果、インクの無駄をより抑制できる。
なお、上記実施の形態では、加圧タンク21および負圧タンク22の圧力が規定圧力に到達したことをインク排出終了条件としたが、インク排出終了条件はこれに限らない。
例えば、エアポンプ87の再起動からの経過時間が規定時間に到達したことをインク排出終了条件としてもよい。
また、この場合において、全印刷部2におけるパージ対象のヘッドモジュール16の数に応じた規定時間を設定してもよい。具体的には、パージ対象のヘッドモジュール16が少ないほど、規定時間を短くすることができる。
ここで、前述のように、エアポンプ87の再起動後、インク排出対象の印刷部2の加圧タンク21および負圧タンク22の圧力は徐々に上昇する。そして、パージ対象のヘッドモジュール16のノズルからのインクの排出が始まると、加圧タンク21および負圧タンク22の圧力の上昇率が低下する。パージ対象のヘッドモジュール16が少ないほど、加圧タンク21および負圧タンク22の圧力の上昇率の低下の度合いが小さくなる。このため、パージ対象のヘッドモジュール16が少ないほど、各ヘッドモジュール16から所定量のインクを排出するために要する時間が短くなる。そこで、パージ対象のヘッドモジュール16の数に応じた規定時間を設定することで、インクの無駄を抑制できる。
また、加圧タンク21および負圧タンク22の液面高さを検出する液面高さセンサを設け、インク排出対象の各印刷部2における加圧タンク21および負圧タンク22の液面高さが規定高さにまで下降したことをインク排出終了条件としてもよい。
また、この場合において、インク排出対象の印刷部2ごとに、パージ対象のヘッドモジュール16の数に応じた規定高さを設定してもよい。具体的には、インク排出対象の各印刷部2において、パージ対象のヘッドモジュール16が少ないほど、規定高さを高くすることができる。
インク排出対象の印刷部2において、パージ対象のヘッドモジュール16が少ないほど、各ヘッドモジュール16から所定量のインクを排出するために必要な合計のインク量は少ない。そこで、パージ対象のヘッドモジュール16の数に応じた規定高さを設定することで、インクの無駄を抑制できる。
上記実施の形態では、循環経路23に入力側開閉弁53および出力側開閉弁58を備え、圧力付与部3に加圧側連通弁72および負圧側連通弁80を備えた構成について説明したが、入力側開閉弁53、出力側開閉弁58、加圧側連通弁72、および負圧側連通弁80を省略してもよい。
この場合、パージ時の動作において、図6のフローチャートのステップS1,S2,S10,S11が省略され、すべての印刷部2のすべてのヘッドモジュール16でパージが行われる。
また、インク排出時の動作において、図7のフローチャートのステップS21,S22,S35,S36が省略され、すべての印刷部2のすべてのヘッドモジュール16でインク排出動作が行われる。
また、入力側開閉弁53および出力側開閉弁58を備え、加圧側連通弁72および負圧側連通弁80を省略した構成としてもよい。この場合、インク排出対象外の印刷部2では、すべてのヘッドモジュール16に対応する入力側開閉弁53および出力側開閉弁58を閉鎖すればよい。
また、加圧側連通弁72および負圧側連通弁80を備え、入力側開閉弁53および出力側開閉弁58を省略した構成としてもよい。この場合、インク排出対象の印刷部2では、すべてのヘッドモジュール16でインク排出動作が行われる。この場合でも、インク排出動作が不要な印刷部2のインク排出動作を省略することができ、インクの無駄を抑制できる。
上記実施の形態では、インクジェットヘッド11が複数のヘッドモジュール16からなる場合について説明したが、インクジェットヘッドが主走査方向における印字幅をカバーする単一部材からなるものでもよい。
上記実施の形態では、4つの印刷部2を有するインクジェット印刷装置1について説明したが、印刷部2の数はこれに限らない。
上記実施の形態では、インク温度調整部25をインク循環管41に設けた加圧タンク21側のインクジェットヘッド11までの経路が、負圧タンク22側のインクジェットヘッド11までの経路よりも、経路長が長くなるので、加圧タンク21側のインク経路と負圧タンク22側のインク経路との経路長差に応じた量のインクが加圧タンク21側のインク経路から排出されるまでの期間、加圧タンク21のみを先に加圧するものとした。
しかし、インクジェットヘッド11までのインク経路の経路長が、加圧タンク21側の経路よりも負圧タンク22側のインク経路の方が長くなる場合は、両インク経路の経路長差に応じた期間、負圧タンク22のみを先に加圧するようにしてもよい。
なお、上記実施の形態では、インクジェットヘッド11までの経路が長い方のタンクのみを、インクジェットヘッド11までの経路が短い方のタンクとのインク経路長差に応じた期間だけ先に加圧して、加圧タンク21および加圧タンク21側のインク経路のインクが全て排出されるタイミングに、負圧タンク22および負圧タンク22側のインク経路のインクが全て排出されるタイミングを合わせるようにした。
しかし、実施形態とは異なる参考例として、インクジェットヘッド11までの経路が長い方のタンクとインクジェットヘッド11までの経路が短い方のタンクとを同時に加圧するようにし、その代わり、インクジェットヘッド11までの経路が長い方のタンクとインクジェットヘッド11までの経路が短い方のタンクとの経路長の比率と同じ圧力比で、それぞれのタンクを加圧するようにすることも考えられる。
その場合のインク排出動作では、メカコントローラのCPU121は、図7のステップS21およびステップS22を実行した後、図7のステップS28〜ステップS36を実行する。
なお、ステップS30でエアポンプ87を起動(再起動)する際に、CPU121は、併せて、加圧共通気室71およびパージ対象の印刷部2の加圧タンク21の加圧圧力と、負圧共通気室79およびパージ対象の印刷部2の負圧タンク22の加圧圧力とが、加圧タンク21側のインク経路長と負圧タンク22側のインク経路長との比率と同じ圧力比で、それぞれのタンクが加圧されるようにする。
例えば、インクジェットヘッド11までの経路が長い加圧タンク21側のインク経路とインクジェットヘッド11までの経路が短い負圧タンク22側のインク経路との経路長の比率と同じ圧力比で、加圧タンク21と負圧タンク22とをそれぞれ加圧する場合は、負圧側切替弁接続管92上に設けた圧力調整弁(図示せず)によって、エアポンプ87から負圧タンク22に付与される正圧の圧力を、エアポンプ87から加圧タンク21に付与される正圧の圧力よりも下げればよい。
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。