JP6938012B2 - AlNウィスカーの製造方法および樹脂成形体とその製造方法 - Google Patents

AlNウィスカーの製造方法および樹脂成形体とその製造方法 Download PDF

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Description

本明細書の技術分野は、AlNウィスカーの製造方法および樹脂成形体との製造方法に関する。
電子機器類は、一般に使用すると発熱する。このような熱は電子機器の性能に影響を及ぼすおそれがある。そのため、電子機器類には、放熱部材が設けられることが多い。また、放熱部材には絶縁性が求められることがある。そのため、絶縁基板が電子機器に用いられることがある。
絶縁基板として例えば、AlN基板が用いられることがある。AlNは、高い熱伝導性と高い絶縁性とを兼ね備えている。しかし、用途によってはAlN基板の靱性は十分ではない。そのため、十分な脆性破壊強度を要求される用途に対して、高い熱伝導性と高い絶縁性とを兼ね備える材料は非常に稀である。
そのため、本発明者らの一部は、AlNウィスカーを製造する方法を研究開発した(特許文献1)。AlNウィスカーは、繊維状の材料である。また、AlNウィスカーは、高い熱伝導性と高い絶縁性とを備えている。そして、樹脂材料にAlNウィスカーを混合して固化することにより、種々の性能を備える複合材料を設計することができる。
特開2014−073951号公報
しかし、従来のAlNウィスカーは、樹脂材料との密着性が低かった。そのため、AlNウィスカーを樹脂材料に混入して固化した場合に、樹脂材料とAlNウィスカーとの間に空隙ができることがあった。空隙、すなわち空気は熱伝導性が高くない。そのため、製造された複合材料の熱伝導性がそれほど高くなかった。
本明細書の技術は、前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。その課題とは、樹脂材料との密着性の高いAlNウィスカーの製造方法および樹脂成形体との製造方法を提供することである。
の態様におけるAlNウィスカーの製造方法においては、まず、第1室の内部でAl含有材料を加熱してAlガスを発生させる。次に、第1の導入口から第2室にAlガスを導入するとともに第2の導入口から第2室に窒素ガスを導入する。次に、第2室の内部に配置された絶縁性基材の表面から繊維状のAlN単結晶を成長させる。次に、AlN単結晶の表面に酸素原子含有層を形成する。そして、酸素原子含有層の表面に炭化水素基を形成する。
この製造方法により製造されたAlNウィスカーは、樹脂材料との高い密着性を備えている。疎水化処理により形成された疎水層が樹脂材料と結合しやすいからである。したがって、このAlNウィスカーを樹脂材料に混入して製造した複合材料においては、AlNウィスカーと樹脂材料との間に空隙が生じにくい。つまり、この複合材料の熱伝導性は高い。また、酸素原子含有層は、AlN単結晶が少なくとも酸素原子を取り込むことにより生成された層である。そのため、酸素原子含有層の結晶性は、AlN単結晶の結晶性をある程度引き継いでいる。つまり、酸素原子含有層の結晶性は、緻密である。ゆえに、酸素原子が酸素原子含有層の奥深くまで到達しにくい。その結果、酸素原子含有層の膜厚は、AlNに酸化処理した場合の膜厚に比べて十分に薄い。AlNに酸化処理した場合には、酸素原子を含む層の厚みは1μm以上である。
の態様におけるAlNウィスカーの製造方法においては、炭化水素基を形成する場合に、酸素原子含有層を有するAlN単結晶とステアリン酸とシクロヘキサンとを混合して混合物とする。そして、混合物を還流する。
の態様における樹脂成形体は、絶縁性粒子と、絶縁性粒子を覆う複数のAlNウィスカーと、複数のAlNウィスカーを覆う樹脂と、を有する。この樹脂成形体では、AlNウィスカー同士が接触している。そのため、絶縁性粒子とAlNウィスカーとにより、熱伝導パスが形成されている。
の態様における樹脂成形体においては、AlNウィスカーは、繊維状のAlN単結晶と、AlN単結晶を覆う酸素原子含有層と、酸素原子含有層を覆う疎水層と、を有する。酸素原子含有層は、AlN単結晶が少なくとも酸素原子を取り込むことにより生成された層である。そして疎水層は、炭化水素基を有する。
の態様における樹脂成形体の製造方法においては、まず、第1の端部を有するAlNウィスカーに電界をかけることによりAlNウィスカーの第1の端部を粘着部材に接着させる。次に、粘着部材にAlNウィスカーの第1の端部が接着している状態でAlNウィスカーに液状の樹脂を含浸させる。次に、樹脂を固化する。そして、AlNウィスカーの第1の端部から粘着部材を剥離させる。
の態様における樹脂成形体の製造方法においては、まず、絶縁性粒子の表面に接着剤を付与する。次に、AlNウィスカーを気流により舞い上がらせる。そして、AlNウィスカーが舞い上がっている領域に接着剤を付与済みの絶縁性粒子を投入することにより熱伝導粒子体を製造する。そして、熱伝導粒子体同士の隙間に樹脂を流し込む。
本明細書では、樹脂材料との密着性の高いAlNウィスカーの製造方法および樹脂成形体との製造方法が提供されている。
第1の実施形態におけるAlNウィスカーの構造を示す部分断面図である。 第1の実施形態におけるAlNウィスカーの内部構造を模式的に示す図である。 第1の実施形態におけるAlNウィスカーの製造装置の概略構成を示す図である。 第2の実施形態における樹脂成形体の断面構造を示す図である。 第2の実施形態におけるAlNウィスカーを整列させる整列装置の概略構成を示す図である。 第2の実施形態における樹脂成形体の製造方法を説明するための図(その1)である。 第2の実施形態における樹脂成形体の製造方法を説明するための図(その2)である。 第2の実施形態における樹脂成形体の製造方法を説明するための図(その3)である。 第3の実施形態における樹脂成形体の内部構造を示す図である。 第3の実施形態における樹脂成形体の熱伝導粒子体の構造を示す図である。 第3の実施形態における熱伝導粒子体の製造装置の概略構成を示す図である。 疎水化処理前のAlNウィスカーを示す走査型顕微鏡写真である。 疎水化処理前のAlNウィスカーにおける電子エネルギー損失分光法による酸素マッピング画像(その1)である。 疎水化処理前のAlNウィスカーにおける電子エネルギー損失分光法による酸素マッピング画像(その2)である。 疎水化処理前のAlNウィスカーを示す走査型顕微鏡写真である。 疎水化処理後のAlNウィスカーを示す走査型顕微鏡写真である。
以下、具体的な実施形態について、AlNウィスカーおよび樹脂成形体とこれらの製造方法を例に挙げて図を参照しつつ説明する。なお、図面中の各層の厚みの比率は、実際の比率を反映したものではない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態について説明する。
1.AlNウィスカー
1−1.AlNウィスカーの構造
図1は、本実施形態のAlNウィスカー100の構造を示す部分断面図である。図1に示すように、AlNウィスカー100は、繊維状の材料である。AlNウィスカー100は、AlN単結晶110と酸素原子含有層120と疎水層130とを有する。AlN単結晶110は、繊維状である。AlNウィスカー100の長さは、1μm以上5cm以下である。AlNウィスカー100の直径は、0.1μm以上50μm以下である。これらの数値範囲は目安であり、必ずしも上記の数値範囲に限るものではない。
1−2.酸素原子含有層
酸素原子含有層120は、AlN単結晶110が少なくとも酸素原子を取り込むことにより生成された第1の層である。酸素原子含有層120はAlN単結晶110の表面を筒状に覆っている。酸素原子含有層120の形状は筒形状である。酸素原子含有層120の膜厚は7nm以上500nm以下である。前述のように、酸素原子含有層120は、AlN単結晶110に由来する。そのため、AlN単結晶110が十分に緻密な結晶性を備えていれば、酸素原子含有層120の膜厚は7nm以上10nm以下である。上記の数値範囲は目安であり、必ずしも上記の数値範囲に限るものではない。
酸素原子含有層120は、AlN単結晶110の表面が大気中の酸素分子もしくは水分と反応したものである。つまり、酸素原子含有層120は、製造過程においてAlN単結晶110であったものである。AlNが酸素分子もしくは水分子と反応すると、Al2 3 と、AlONと、Al(OH)3 とのうちの少なくとも一つが発生する可能性がある。したがって、酸素原子含有層120は、Al2 3 とAlONとAl(OH)3 とのうちの少なくとも一種類を含有する。また、これらの材料の複合材料である可能性がある。Al2 3 と、AlONと、Al(OH)3 とは、いずれもAl原子と酸素原子とを含む。酸素原子含有層120は絶縁性である。そして、酸素原子含有層120の熱伝導率はAlN単結晶110の熱伝導率よりも低い。
1−3.疎水層
疎水層130は疎水性を示す第2の層である。疎水層130は、AlNウィスカー100における最も外側に位置する最表層である。疎水層130は酸素原子含有層120の表面を筒状に覆っている。疎水層130の形状は筒形状である。疎水層130の膜厚は、例えば、1nm以上50nm以下である。
疎水層130は、炭化水素基を有する。また、酸素原子含有層120のAl原子と疎水層130の炭化水素基とはエステル結合により結合されている。疎水層130は、酸素原子含有層120のAl2 3 とAlONとAl(OH)3 とのうちの少なくとも一つに脂肪酸が結合したものである。脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とを含む。飽和脂肪酸は、例えば、ステアリン酸を含む。そのため、本明細書において、炭化水素基とは、炭素原子および水素原子のみを有する。また、その炭素原子の数は、いずれであってもよい。疎水層130は絶縁性である。疎水層130の熱伝導率はAlN単結晶110の熱伝導率よりも低い。
図2は、本実施形態のAlNウィスカー100の内部構造を模式的に示す図である。図2に示すように、AlN単結晶110の外側に酸素原子含有層120があり、酸素原子含有層120の外側にエステル結合により結合された炭化水素基を備える疎水層130がある。ここで、エステル結合する酸素原子含有層120は、Al2 3 とAlONとAl(OH)3 とのうちのいずれかである。
1−4.本実施形態のAlNウィスカーの性質
AlNウィスカー100は、高い熱伝導性と高い絶縁性とを備えている。また、十分な脆性破壊強度を備えている。また、疎水層130は樹脂材料と結合しやすい。つまり、疎水層130と樹脂材料との密着性は十分に高い。そのため、AlNウィスカー100を樹脂材料に混合して固化することにより、AlNウィスカー100と樹脂材料との間の密着性の高い複合材料を製造することができる。
酸素原子含有層120は、前述のように、製造過程においてAlN単結晶110であったものである。そのため、酸素原子含有層120は、緻密な結晶構造を備えている。酸素原子含有層120が一旦生成された後には、酸素原子含有層120が酸素分子および水分子の侵入を防止する。そのため、酸素原子含有層120の膜厚は、例えば、7nm以上10nm以下と十分に薄いままである。したがって、AlNウィスカー100におけるAlN単結晶110の体積比は十分に大きい。つまり、AlNウィスカー100の熱伝導性は非常に高い。
従来のAlN材料においては、このような緻密な酸素原子含有層を形成することが困難である。そのため、従来のAlN材料は、比較的厚い酸化層(もしくは水酸化物層)を有している。本実施形態では熱伝導性の低い酸素原子含有層120が薄いため、本実施形態のAlNウィスカー100は、従来のAlN材料より熱伝導性に優れている。
2.製造装置
2−1.製造装置の構造
図3は、本実施形態のAlNウィスカー100を製造するための製造装置1000を示す概略構成図である。製造装置1000は、炉本体1100と、ヒーター1400と、窒素ガス供給部1500と、アルゴンガス供給部1600と、を有する。炉本体1100は、材料収容部1200と、反応室1300と、を内部に収容している。炉本体1100の材質は、例えば、カーボンまたは石英である。
材料収容部1200は、Al材料を収容するとともにAlを気化させることによりAlガスを発生させるための第1室である。材料収容部1200の材質は、例えば、カーボンまたは石英である。材料収容部1200は、容器1210と、1以上の連通部1220と、ガス導入口1230と、を有する。容器1210は、Al材料を収容するためのものである。容器1210の材質は、例えば、アルミナである。ガス導入口1230は、アルゴンガス等の希ガスを材料収容部1200に導入するための希ガス導入口である。
連通部1220は、材料収容部1200と反応室1300とを連通する。連通部1220は、材料収容部1200と反応室1300との間に配置されている。連通部1220は、材料収容部1200側に開口している開口部1220aと、反応室1300側に開口している開口部1220bと、を有する。連通部1220の開口部1220bは、材料収容部1200で発生させたAlガスを反応室1300に供給するための第1の導入口である。
反応室1300は、Alガスと窒素ガスとを反応させてAlNウィスカー100を成長させるための第2室である。反応室1300は、Al2 3 基板1310と、ガス導入口1320、1330と、排気口1340と、を有する。Al2 3 基板1310は、アルミナ基板である。ここでAl2 3 基板1310は、絶縁性基材の一種である。反応室1300の内部には、多数のAl2 3 基板1310が並んで配列されている。Al2 3 基板1310は、その表面にAlNウィスカー100を成長させるためのものである。Al2 3 基板1310は、基板の板面が水平面に交差するように並んで配置されている。ガス導入口1320は、窒素ガスを反応室1300の内部に導入するための第2の導入口である。ガス導入口1330は、アルゴンガスを反応室1300の内部に導入するためのものである。排気口1340は、反応室1300の内部のガスを製造装置1000の外部に排出するためのものである。
ヒーター1400は、炉本体1100の内部を加熱するためのものである。ヒーター1400は、材料収容部1200を加熱する第1の加熱部である。そのため、ヒーター1400は、材料収容部1200のAl材料を加熱するとともに蒸発させる。また、ヒーター1400は、反応室1300をも加熱する。ヒーター1400は、反応室1300の内部の炉内温度を上昇させる。
窒素ガス供給部1500は、ガス導入口1320から反応室1300の内部に窒素ガスを供給するためのものである。アルゴンガス供給部1600は、ガス導入口1330から反応室1300の内部にアルゴンガスを供給するためのものである。
2−2.製造装置の効果および製造条件
反応室1300は、材料収容部1200の上部に配置されている。つまり、材料収容部1200は、反応室1300からみて鉛直下方側の位置に配置されている。そのため、材料収容部1200の内部で発生したAlガスは、材料収容部1200から上部の反応室1300に向かって流入しやすい。
また、ヒーター1400は、材料収容部1200と反応室1300とを同時に加熱するため、材料収容部1200と反応室1300とで温度差はほとんどない。AlNウィスカー100を成長させる成長温度は、1500℃以上1800℃以下である。また、基板温度は、炉内の雰囲気温度とほぼ同じである。また、材料収容部1200と反応室1300との内圧は、ほぼ大気圧である。ただし、材料収容部1200の内圧は、反応室1300の内圧よりわずかに高いとよい。その場合、反応室1300の窒素ガスが材料収容部1200に入るおそれはほとんどない。つまり、溶融状態のAl材料の表面が窒化されることはほとんどない。
3.AlNウィスカーの製造方法
3−1.材料準備工程
まず、製造装置1000の容器1210の内部にAl材料を収容する。このAl材料は、工業的に製錬されたアルミニウムである。この段階ではAl材料は固体の金属である。
3−2.気化工程(Alガス発生工程)
次に、材料収容部1200の内部でAl材料を加熱してAlガスを発生させる。そのために、ヒーター1400により炉本体1100を加熱する。これにより、材料収容部1200および反応室1300の内部の温度が上昇する。この材料収容部1200を加熱する際に、アルゴンガス供給部1600が材料収容部1200の内部にアルゴンガスを供給する。そして、Alの融点に達したときにAlが溶融し始める。そして、その後、Alの沸点には達しないもののAlの一部が蒸発し始める。つまり、Al材料を気化させてAlガスとする。これにより、材料収容部1200の内部にはアルゴンガスとAlガスとの混合ガスが充満する。
3−3.AlN単結晶形成工程(ガス供給工程)
続いて、材料収容部1200の内部に発生したアルゴンガスとAlガスとの混合ガスを、連通部1220の開口部1220bから反応室1300の内部に流入させる。この際に、Alガスとアルゴンガスとの混合ガスは、Al2 3 基板1310の板面にほぼ平行な向きに反応室1300の内部に供給される。一方、アルゴンガス供給部1600は、ガス導入口1330から反応室1300の内部にアルゴンガスを供給する。ここで、Al2 3 基板1310の周囲をArガスで満たした後にAlガスをAl2 3 基板に供給するとよい。また、窒素ガス供給部1500は、ガス導入口1320から反応室1300の内部に窒素ガスを供給する。そして、反応室1300の内部では、アルゴンガスとAlガスと窒素ガスとが混合する。そして、Al2 3 基板1310の表面では、Alガスと窒素ガスとが反応して繊維状のAlN単結晶110が成長する。
AlN単結晶110の成長温度は、1500℃以上1800℃以下である。そのため、AlN単結晶110を成長させる際の反応室1300の内部の雰囲気温度を1500℃以上1800℃以下とする。また、AlN単結晶110の製造時間は十分に長いため、基板温度は雰囲気温度とほとんど等しいと考えられる。つまり、Al2 3 基板1310の温度も1500℃以上1800℃以下である。反応室1300の内圧はほぼ1気圧である。つまり、0.9atm以上1.1atm以下である。
この後、製造装置1000の炉内温度を室温に降下する。そして、AlN単結晶110を製造装置1000から取り出す。このAlN単結晶110の取り出し時にAlN単結晶110の表面が酸素分子もしくは水分子と反応して酸素原子含有層120が形成されると考えられる。このように、製造装置1000から取り出したAlN単結晶110の表面には薄い酸素原子含有層120が形成されている。
3−4.疎水層形成工程(表面処理工程)
次に、酸素原子含有層120の表面に疎水層130として炭化水素基を形成する。このように炭化水素基を形成する際に、酸素原子含有層120を有するAlN単結晶110とステアリン酸とシクロヘキサンとを混合して混合物とする。そして、その混合物を溶媒沸点まで加熱した後に還流する。そして、40℃まで冷却した後に、濾過する。その後、シクロヘキサンで洗浄する。そして、減圧乾燥を実施する。これにより、酸素原子含有層120の表面に疎水層130が形成される。
4.本実施形態の効果
4−1.疎水層の効果
本実施形態のAlNウィスカー100は、酸素原子含有層120の外側に疎水層130を有する。疎水層130は、酸素原子含有層120の表面に疎水化処理を施したものである。疎水層130は、樹脂材料と密着しやすい。したがって、本実施形態のAlNウィスカー100を樹脂材料に混入して固化した場合に、AlNウィスカー100の周囲に空隙が発生するおそれはほとんどない。
4−2.AlNウィスカーの純度
本実施形態の技術においては、特開2014−073951号公報の技術のように、TiやSiを成長活性剤として用いない。金属を触媒としないため、AlNウィスカー100の周囲に金属の塊が発生するおそれがほとんどない。また、原材料のAl材料は純度の高いAlである。そのため、AlNウィスカー100に不純物がほとんど混入しない。したがって、高純度なAlNウィスカー100を製造することができる。本実施形態においては、Al2 3 が触媒に似た働きをしていると考えられる。
4−3.AlNの粉末と収率
また、AlNウィスカー100にAlNの粉末がほとんど混入しない。そのため、原材料に対するAlNウィスカー100の収率は非常に高い。
4−4.AlNウィスカーの生産性
本実施形態では材料収容部1200と反応室1300とが別々に配置されている。つまり、Alガスの発生箇所とAlNの発生箇所とが異なっている。そして、材料収容部1200の内圧は、反応室1300の内圧よりも高い。そのため、窒素ガスは材料収容部1200にほとんど入らない。したがって、溶融しているAl材料の表面が窒化されることはほとんどない。つまり、Al材料を長時間にわたって反応室1300に供給することができる。ゆえに、本実施形態では、長さの長いAlNウィスカーを製造することができる。
また、従来の技術(例えば、特開2014−073951)においては、Al−Ti−Siを主成分とする材料を溶融させてその液面からAlNウィスカーを発生させていた。そのため、AlNウィスカーの発生面は液面に限られていた。したがって、大量に生産しようとすると、非常に大きな炉が必要となる。
本実施形態では、Alガスと窒素ガスとがAl2 3 基板1310の表面で反応してAlNウィスカー100が成長する。そのため、AlNウィスカーの発生面は必ずしも液面(水平面)に限らない。よって、それほど大きくない炉から、多数のAl2 3 基板1310の表面に大量のAlNウィスカーを製造することができる。
5.変形例
5−1.酸素原子含有層
酸素原子含有層120は、Al2 3 とAlONとAl(OH)3 とのうちの少なくとも一種類を含有する。しかし、酸素原子含有層120は、上記以外のAl化合物であって酸素原子を含むものであってもよい。すなわち、酸素原子含有層120は、Al原子と酸素原子とを含む層である。
5−2.開口部のシャッター
連通部1220は、材料収容部1200と反応室1300との間に位置している。連通部1220の開口部1220aまたは開口部1220bに開閉可能なシャッターを設けてもよい。シャッターは、開口部1220aまたは開口部1220bを開いた状態と閉じた状態とのいずれかの状態にする開閉部である。これにより、Alガスが反応室1300の内部に流入する時期を調整することができる。
5−3.加熱部
図3に示すように、材料収容部1200は、炉本体1100の内部に配置されている。しかし、材料収容部1200と反応室1300とを別体としてもよい。この場合には、製造装置1000は、材料収容部1200を加熱する第1の加熱部と、反応室1300を加熱する第2の加熱部と、を有する。これにより、材料収容部1200と反応室1300とを別々に加熱することができる。つまり、Alガスを蒸発させる温度と、反応室1300の炉内温度と、を別々に設定することができる。
5−4.絶縁性基材
本実施形態のAl2 3 基板1310はアルミナ基板である。Al2 3 基板1310は、サファイア基板であってもよい。そのため、Al2 3 基板はアルミナ基板とサファイア基板とを含む。また、絶縁性基材は、AlN粒子やAlN多結晶基板であってもよい。
5−5.Al含有材料
本実施形態では、工業的に製錬されたアルミニウムであるAl材料を用いる。しかし、このような純度の高いAl材料の代わりにAl合金を用いてもよい。このようにAl原子を含むAl含有材料を用いてもAlNウィスカー100を製造することができる。ただし、工業的に製錬されたアルミニウムを用いたほうが、製造されるAlNウィスカー100に不純物が混じりにくい。
5−6.組み合わせ
上記の変形例について、自由に組み合わせてもよい。
6.本実施形態のまとめ
本実施形態のAlNウィスカー100は、AlN単結晶110と酸素原子含有層120と疎水層130とを有する。疎水層130は、炭化水素基を有する層である。そのため、AlNウィスカー100は、樹脂材料との高い密着性を備えている。したがって、本実施形態のAlNウィスカー100と樹脂材料とで熱伝導性に優れた複合材料を製造することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、繊維状のAlNウィスカーを1方向に整列させた状態で樹脂成形した樹脂成形体とその製造方法について説明する。
1.樹脂成形体
図4は、本実施形態の樹脂成形体200の内部構造を示す図である。樹脂成形体200は、第1の実施形態のAlNウィスカー100と樹脂210とを有する。AlNウィスカー100は、第1の端部100aと第2の端部100bとを有する。樹脂210は、AlNウィスカー100を覆う樹脂材料である。つまり、樹脂210は、AlNウィスカー100の隙間を充填している。樹脂成形体200は、第1面200aと第2面200bとを有する。第2面200bは、第1面200aの反対側の面である。
図4に示すように、樹脂成形体200においては、AlNウィスカー100が第1面200aから第2面200bにかけて配置されている。つまり、AlNウィスカー100の第1の端部100aが第1面200aに表出し、AlNウィスカー100の第2の端部100bが第2面200bに表出している。このように、AlNウィスカー100が、第1面200aから第2面200bまで樹脂成形体200を貫通している。
そのため、AlNウィスカー100が、第1面200aから第2面200bへの熱伝導パスを形成している。この樹脂成形体200においては、この熱伝導パスが高密度で存在している。したがって、第1面200aから第2面200bへ熱が好適に伝導する。また、AlNウィスカー100同士の間には樹脂210が充填されている。この樹脂210はAlNに比べて熱伝導性が低い。そのため、熱は、樹脂成形体200の面方向には拡散しにくい。
ここで、AlNウィスカー100は、樹脂成形体200の表面に対して必ずしも垂直に配置されているとは限らない。図4に示すように、樹脂成形体200において、AlNウィスカー100の軸方向と第1面200aとがなす角の角度θは60°以上120°以下である。好ましくは、角度θは75°以上105°以下である。もちろん、角度θは90°であるとよい。
また、図4では、AlNウィスカー100の様子が分かりやすいようにAlNウィスカー100の本数を少なく描いてある。実際には、AlNウィスカー100は、もっと高密度で存在している。
2.AlNウィスカーの整列装置
図5は、本実施形態のAlNウィスカー100を整列させる整列装置2000である。図5に示すように、整列装置2000は、種々の方向に伸びて絡まっているAlNウィスカー100の束を整列している状態にするための装置である。整列装置2000は、容器2001と、蓋体2002と、AlNウィスカー配置部2100と、流路2110と、エア導入口2120と、電極2200a、2200bと、テープ2300と、を有する。
容器2001は、AlNウィスカー配置部2100と、流路2110と、エア導入口2120と、を有する。蓋体2002は、容器2001を一時的に密封するためのものである。蓋体2002には、電極2000bと、テープ2300とが固定されている。
AlNウィスカー配置部2100は、初期状態のAlNウィスカー100を配置する場所である。初期状態においてAlNウィスカー100は種々の方向に伸びて絡まっている状態にある。AlNウィスカー配置部2100には、貫通孔2100aが形成されている。貫通孔2100aは、流路2110を流れるエアをAlNウィスカー配置部2100から蓋体2002の側に噴出させるためのものである。
流路2110は、AlNウィスカー配置部2100の鉛直下方側に位置するとともにエアを流すためのものである。エア導入口2120は、流路2110にエアを導入するためのものである。
電極2200a、2200bは、AlNウィスカー配置部2100を間に挟んだ状態で配置されている。電極2200aは、容器2001の外部であって下側に配置されている。そして、電極2200a、2200bの間に電圧を印加することにより、AlNウィスカー配置部2100から電極2200bに向かってAlNウィスカー100を飛翔させることができる。
テープ2300は、飛翔してきたAlNウィスカー100を接着するためのものである。テープ2300におけるAlNウィスカー配置部2100側の面には粘着剤2400が塗られている。飛翔してきたAlNウィスカー100を好適に粘着するためである。
3.AlNウィスカーの整列方法
3−1.分散工程
まず、AlNウィスカー100の塊を整列装置2000のAlNウィスカー配置部2100の上に配置する。この段階では、多数のAlNウィスカー100は絡まりあった状態にある。そのため、エア導入口2120からエアを供給する。これにより、貫通孔2100aから蓋体2002に向かってエアが噴出する。そして、AlNウィスカー100は一時的に大気中に舞い上がる。また、エアの供給およびエアの供給の停止を繰り返すことにより、AlNウィスカー100の束をほぐす。
3−2.電圧印加工程
次に、電極2200a、2200bの間に直流電圧を印加する。これにより、AlNウィスカー100およびその周辺に電界がかかる。これにより、AlNウィスカー100が電界により空中に浮きあがる。そして、AlNウィスカー100の第1の端部100aが、テープ2300に接着する。この後、電極2200a、2200bの間への電圧の印加を停止する。
この段階で、AlNウィスカー100のうちのいくらかはテープ2300に接着された状態にある。しかし、テープ2300に接着されているAlNウィスカー100の密度はそれほど高くない。そのため、上記の電極2200a、2200bの間への直流電圧の印加と停止とを複数回繰り返す。これにより、テープ2300に接着されているAlNウィスカー100の密度は高くなる。テープ2300にAlNウィスカー100を高密度で接着させたところで、テープ2300に接着されたAlNウィスカー100を取り出す。
なお、場合によって、電極2200a、2200bの間に直流電圧を印加している期間内に、エア導入口2120からエアを導入することとしてもよい。AlNウィスカー100のテープ2300への接着を効率よく行えるからである。
4.樹脂成形方法
次に、AlNウィスカー100を立たせて整列させた状態で樹脂成形する。
4−1.AlNウィスカー準備工程
まず、図6に示すように、第1の端部100aをテープ2300の上に接着されたAlNウィスカー100を準備する。図6では、テープ2300側がAlNウィスカー100より下側に位置している。なお、テープ2300側をAlNウィスカー100より上側に配置してもよい。
4−2.樹脂含浸工程
次に、図7に示すように、直立しているAlNウィスカー100同士の隙間に樹脂を流し込む。つまり、テープ2300にAlNウィスカー100の第1の端部100aが接着している状態でAlNウィスカー100に液状の樹脂を含浸させる。これにより、AlNウィスカー100同士の隙間に樹脂が充填される。そして、その状態で樹脂を固化させる。
4−3.テープ剥離工程
次に、図8に示すように、AlNウィスカー100が直立状態で樹脂中に固化されているものから、テープ2300を剥離させる。つまり、AlNウィスカー100の第1の端部100aからテープ2300を剥離させる。
5.テープおよび樹脂の材料
5−1.テープ等の材料
テープ2300の材料として例えば、発泡基材テープ、ポリオレフィン基材テープ、アクリル基材テープ、耐熱性ポリイミド、耐熱絶縁性ノーメックス、ガラスクロス基材テープ、耐強度・耐絶縁性PPS基材、PP基材、ポリエステルテープ、フッ素樹脂テープが挙げられる。粘着剤2400として例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤が挙げられる。
5−2.樹脂の材料
樹脂として例えば、シリコーン樹脂(SI)、エポキシ樹脂(EP)、フェノール樹脂(PF)、メラミン樹脂(MF)、ユリア樹脂(UF)、熱硬化性ポリイミド(PI)、不飽和ポリエステル樹脂(FRP)、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
また、樹脂として例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ酢酸ビニル(PBAc)、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリルエチレンプロピレンジエンスチレン共重合体(AES)、メタクリル樹脂(PMMA)等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
また、樹脂として例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂を用いることができる。
また、樹脂として例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)を用いることができる。
また、樹脂として例えば、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)、アタクチックポリプロピレン(APP)、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、塩素化塩化ビニル(CPVC)、クロロプレンゴム(CR)、ジアリルフタレート(DAP)、エチレンエチルアクリレート(EEA)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチルビニルエーテル(EVE)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、パーフロロゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、軟質ウレタンフォーム(FPF)が挙げられる。
また、樹脂として例えば、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)、ガラス繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)、ブチルゴム(IIR)、アイオノマー(IO)、イソプレンゴム(IR)、メラミンホルムアルデヒド(MF)、メチルメタクリレート(MMA)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)、ポリエステルアルキド樹脂(PAK)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアリレート(PAR)が挙げられる。
また、樹脂として例えば、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)、ポリブタジエンスチレン(PBS)、ポリカーボネート(PC)、ジアリルテレフタレート(DAP)、ポリジシクロペンタジエン(PDCPD)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエーテルスルホン(PES)、フェノールホルムアルデヒド(PF)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリメチルペンテン(PMP)が挙げられる。
また、樹脂として例えば、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、反応性ポリウレタン(PUR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリル変性ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニル(PVD)、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(PVCA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)が挙げられる。
また、樹脂として例えば、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルピロリドン(PVP)、スチレンブタジエン(SB)、スチレンブタジエンラバー(SBR)、スチレンブロック共重合体(SBC)、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、シートモールディングコンパウンド(SMC)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、熱可塑性エラストマー(TPE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ユリアホルムアルデヒド樹脂(UF)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、塩化ビニルエチレン(VCE)、塩化ビニルアクリル酸オクチル(VCOA)、架橋ポリエチレン(XLPE)が挙げられる。
6.AlNウィスカー樹脂成形体の製造方法
6−1.AlNウィスカー製造工程
第1の実施形態で説明したようにAlNウィスカー100を製造する。
6−2.AlNウィスカー整列工程
本実施形態で説明したように、テープ2300にAlNウィスカー100を縦に並んだ整列状態で接着させる。
6−3.樹脂成形工程
本実施形態で説明したように、整列状態のAlNウィスカー100を樹脂に固める。また、AlNウィスカー100からテープ2300を剥離する。これにより、樹脂成形体が製造される。
7.変形例
7−1.AlNウィスカー
第2の実施形態で用いるAlNウィスカー100は、第1の実施形態で説明したものである。しかし、第1の実施形態で説明した以外のAlNウィスカーを用いることもできる。
7−2.減圧工程
AlNウィスカー100同士の隙間に樹脂を流し込んだ後に、テープ2300にAlNウィスカー100の第1の端部100aが接着している状態で減圧してもよい。樹脂が硬化する前に樹脂を減圧下におくことにより、AlNウィスカー100と樹脂との間の空気を除去することができるからである。そして、樹脂を固化した後にこれらの部材を大気圧下に戻す。この工程を実施することにより、AlNウィスカー100と樹脂210との間の密着性はより向上する。
7−3.組み合わせ
第2の実施形態およびその変形例と第1の実施形態およびその変形例とを、自由に組み合わせてもよい。
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の樹脂成形体は、絶縁性粒子とAlNウィスカーとを有する。
1.樹脂成形体
図9は、本実施形態の樹脂成形体300の内部構造を示す図である。樹脂成形体300は、第1の実施形態のAlNウィスカー100と絶縁性粒子310と樹脂320とを有する。絶縁性粒子310は、高い絶縁性と高い熱伝導性とを有する。絶縁性粒子310として例えば、アルミナ粒子と、AlN粒子と、窒化珪素粒子とが挙げられる。もちろん、絶縁性粒子310は、その他の粒子であってもよい。ただし、熱伝導性の高い材料が好ましい。複数のAlNウィスカー100は、絶縁性粒子310を覆っている。樹脂320は、複数のAlNウィスカー100を覆っている。樹脂320の一部は、AlNウィスカー100の隙間から絶縁性粒子310の表面の一部を覆ってもよい。樹脂320の種類は、第2の実施形態の樹脂210と同様のものを用いることができる。
2.熱伝導粒子体
図10は、熱伝導粒子体TP1の構造を示す図である。熱伝導粒子体TP1は、絶縁性粒子310とAlNウィスカー100とを有する。熱伝導粒子体TP1は、高い熱伝導性と高い絶縁性とを備えている。図10に示すように、熱伝導粒子体TP1においては、絶縁性粒子310の表面は、多数のAlNウィスカー100により覆われている。そして、多数のAlNウィスカー100は、接着剤311により絶縁性粒子310に接着されている。
そして、図9に示すように、樹脂成形体300の内部では、隣接する熱伝導粒子体TP1のAlNウィスカー100同士が接触している。例えば、第1の熱伝導粒子体TP1に属するAlNウィスカー100と、第2の熱伝導粒子体TP1に属するAlNウィスカー100とが互いに接触している。
3.熱伝導粒子体の製造装置
図11は、熱伝導粒子体TP1を製造する製造装置3000である。製造装置3000は、容器3100と、空気ポンプ3200と、粒子導入口3300と、ヒーター3400と、を有する。
容器3100は、AlNウィスカー100を収容するとともに、AlNウィスカー100と絶縁性粒子3100とを接着させるための処理室である。容器3100は、回転楕円体に近い形状をしている。容器3100は、球形に近い形状であってもよい。空気ポンプ3200は、容器3100の内部の空気を循環するとともにAlNウィスカー100を容器3100の内部に舞い上がらせるためのものである。
粒子導入口3300は、絶縁性粒子310を容器3100の内部に導入するためのものである。そのため、粒子導入口3300は、開閉が可能なようになっている。ヒーター3400は、容器3100の内部を加熱するためのものである。そのため、ヒーター3400は、AlNウィスカー100および絶縁性粒子310を加熱することができる。
4.熱伝導粒子体の製造方法
まず、絶縁性粒子310の表面に接着剤を付与する。一方、AlNウィスカー100を製造装置3000の内部に配置する。この際に、ヒーター3400によりAlNウィスカー100および容器3100の内部の空気を加熱しておいてもよい。そして、空気ポンプ3200により容器3100の内部の空気を循環させる。AlNウィスカー100は、この循環する気流によって舞い上がる。そして、粒子導入口3300からAlNウィスカー100が舞い上がっている領域に接着剤を付与済みの絶縁性粒子310を投入する。これにより、AlNウィスカー100が絶縁性粒子310の周囲に接着剤を介して接着する。
5.樹脂成形体の製造方法
樹脂成形体300を形成する領域に多数の熱伝導粒子体TP1を敷き詰める。そのため、熱伝導粒子体TP1同士がそれらの表面のAlNウィスカー100を介して互いに接触する。つまり、この状態で固化すれば、熱伝導粒子体TP1を介した熱伝導パスが形成される。そして、この状態で熱伝導粒子体TP1同士の隙間に樹脂を流し込む。樹脂は、第2の実施形態で挙げたものであればよい。そして、樹脂を固化する。これにより、樹脂成形体300が製造される。
6.変形例
第2の実施形態の変形例を第3の実施形態の技術に適用してもよい。また、第1の実施形態およびその変形例を第3の実施形態に組み合わせてもよい。
A.実験A(疎水化処理)
A−1.実験方法
以下のような手順で疎水化処理を行った。酸素原子含有層を有する繊維状のAlN単結晶0.66gとステアリン酸4.56gとを混合して第1の混合物とした。モル比は1:1である。そして、第1の混合物にシクロヘキサン150mlを混合して第2の混合物とした。
次に、第2の混合物を還流した。水温の設定温度は88.5℃であった。還流の時間は3時間であった。3時間経過後、40℃まで冷却した後に濾過してAlNウィスカーを第2の混合物から分離した。そして、AlNウィスカーをシクロヘキサンで洗浄した。その後、減圧下で5分間乾燥した。以上により、第1の実施形態のAlNウィスカー100が得られた。
A−2.実験結果
A−2−1.疎水化処理前
図12は、疎水化処理前のAlNウィスカーを示す走査型顕微鏡写真である。図12に示すように、AlNウィスカーの表面は滑らかである。
図13および図14は、疎水化処理前のAlNウィスカーにおける電子エネルギー損失分光法による酸素マッピング画像である。図13には、厚さ10nmの酸素原子含有層が観測されている。図14には、厚さ8nmの酸素原子含有層が観測されている。なお、この酸素マッピング画像により、酸素原子含有層が酸素原子を含有することを確認できるが、酸素原子含有層の組成を特定することは困難である。
A−2−2.疎水化処理の前後の比較
図15は、疎水化処理前のAlNウィスカーを示す走査型顕微鏡写真である。図16は、疎水化処理後のAlNウィスカーを示す走査型顕微鏡写真である。疎水化処理により薄い層が形成されたことが観測された。この薄い層が疎水層130である。疎水層130の膜厚は非常に薄い。そのため、AlNウィスカーの基本的な形状は、疎水化処理によってほとんど変化しない。また、ステアリン酸による汚れも見られなかった。疎水層130があるため、樹脂材料とAlNウィスカー100との密着性は高い。
B.実験B(整列状態の樹脂成形体)
B−1.実験方法
実験Aの方法で直径1μm以上3μm以下で長さ200μm以上500μmのAlNウィスカーを作製した。そして、これらのAlNウィスカーを整列装置2000を用いて整列させた。そして、AlNウィスカーの一方の端部がテープに接着している状態でエポキシ樹脂を流し込んだ。エポキシ樹脂中のAlNウィスカーの混合比は1wt%であった。そして、AlNウィスカーが整列している状態でエポキシ樹脂を減圧下においてエポキシ樹脂を固化した。以上により、AlNウィスカーが第1面から第2面まで貫通している樹脂成形体が得られた。
B−2.実験結果
樹脂成形体における第1面から第2面にかけての熱伝導率は3W/mkから5W/mkであった。なお、エポキシ樹脂自体の熱伝導率は約0.2W/mkであった。また、AlNウィスカーの添加量を増加させると、樹脂成形体の熱伝導率も大きくなった。そのため、種々の熱伝導率を備える樹脂成形体を製造することができる。なお、疎水化処理を施していない直径約50μm長さ約10mmのAlNウィスカーの熱伝導率は約250W/mkであった。
100…AlNウィスカー
100a…第1の端部
100b…第2の端部
110…AlN単結晶
120…酸素原子含有層
130…疎水層
200…樹脂成形体
200a…第1面
200b…第2面
210…樹脂
1000…製造装置
1100…炉本体
1200…材料収容部
1210…容器
1220…連通孔
1230…ガス導入口
1300…反応室
1310…Al2 3 基板
1320、1330…ガス導入口
1340…排気口
1400…ヒーター
1500…窒素ガス供給部
1600…アルゴンガス供給部

Claims (6)

  1. 第1室の内部でAl含有材料を加熱してAlガスを発生させ、
    第1の導入口から第2室に前記Alガスを導入するとともに第2の導入口から前記第2室に窒素ガスを導入し、
    前記第2室の内部に配置された絶縁性基材の表面から繊維状のAlN単結晶を成長させ、
    前記AlN単結晶の表面に酸素原子含有層を形成し、
    前記酸素原子含有層の表面に炭化水素基を形成すること
    を特徴とするAlNウィスカーの製造方法。
  2. 請求項に記載のAlNウィスカーの製造方法において、
    前記炭化水素基を形成する場合に、
    前記酸素原子含有層を有する前記AlN単結晶とステアリン酸とシクロヘキサンとを混合して混合物とし、
    前記混合物を還流すること
    を特徴とするAlNウィスカーの製造方法。
  3. 絶縁性粒子と、
    前記絶縁性粒子を覆う複数のAlNウィスカーと、
    前記複数のAlNウィスカーを覆う樹脂と、
    を有すること
    を特徴とする樹脂成形体。
  4. 請求項に記載の樹脂成形体において、
    前記AlNウィスカーは、
    繊維状のAlN単結晶と、
    前記AlN単結晶を覆う酸素原子含有層と、
    前記酸素原子含有層を覆う疎水層と、
    を有し、
    前記酸素原子含有層は、
    前記AlN単結晶が少なくとも酸素原子を取り込むことにより生成された層であり、
    前記疎水層は、
    炭化水素基を有すること
    を特徴とする樹脂成形体。
  5. 第1の端部を有するAlNウィスカーに電界をかけることにより前記AlNウィスカーの前記第1の端部を粘着部材に接着させ、
    前記粘着部材に前記AlNウィスカーの前記第1の端部が接着している状態で前記AlNウィスカーに液状の樹脂を含浸させ、
    前記樹脂を固化し、
    前記AlNウィスカーの前記第1の端部から前記粘着部材を剥離させること
    を特徴とする樹脂成形体の製造方法。
  6. 絶縁性粒子の表面に接着剤を付与し、
    AlNウィスカーを気流により舞い上がらせ、
    前記AlNウィスカーが舞い上がっている領域に前記接着剤を付与済みの前記絶縁性粒子を投入することにより熱伝導粒子体を製造し、
    前記熱伝導粒子体同士の隙間に樹脂を流し込むこと
    を特徴とする樹脂成形体の製造方法。
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