以下、本発明に係る加熱調理器を、家庭用IH(Induction Heating)式加熱調理器に適用した場合の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の各実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含むものである。また、図面に示す加熱調理器は、本発明の加熱調理器が適用される機器の一例を示すものであり、図面に示された加熱調理器によって本発明の適用機器が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これらは説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
(加熱調理器の構成)
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器1の概略斜視図である。図1に示すように、加熱調理器1は、本体2と、本体2の上に配置されたトッププレート3とを備えている。本体2の前面には、前面操作部5が設けられている。前面操作部5は、加熱調理器1の電源をON又はOFFするための電源スイッチ及び火力を調節するための複数の操作ダイヤルなどを含んでいる。
トッププレート3は、例えば、耐熱性のガラス板と、ガラス板の周囲に取り付けられた金属の枠体とにより構成される。トッププレート3には、加熱領域である加熱口20が設けられている。本実施の形態では、3つの加熱口20が設けられている。加熱口20に対応するトッププレート3の上面又は下面には、鍋又はフライパンなどの調理容器が載置される領域を示す表示が設けられている。加熱口20の下側の本体2の内部には、加熱源である加熱コイル4が設けられている。加熱口20は、加熱源である加熱コイル4の外形と同じ形状、あるいは、加熱コイル4の外形よりも若干大きい形状に形成される。本実施の形態では、加熱口20の表示は平面視で円形状に形成されている。
それぞれの加熱口20の外側には、加熱口20の下に配置される加熱源の駆動状態を表示する透過部32が設けられている。透過部32は、トッププレート3の下に配置される発光部30(図2参照)から出射される光が透過するように構成されている。本実施の形態の透過部32は、ガラス板で構成されたトッププレート3の一部であって、塗装が設けられていない、あるいは光が透過する程度に塗装が設けられた領域である。トッププレート3を構成する不透明なガラス板をくりぬき、このくりぬかれた位置にはめ込まれた透明なガラス板によって、透過部32を構成することもできる。このような構成のほか、光が透過する材料及び構造を、透過部32として用いることができる。加熱口20ごとに設けられた透過部32の全体形状は、加熱口20の外周から離れる方向に向かって延びている。
本実施の形態の透過部32は、それぞれ、複数の透過部を含んでいる。本実施の形態では、透過部32を構成する複数の透過部を、第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、及び第4透過部32Dと称する。図1では、図面の煩雑化を防ぐため、紙面左端の加熱コイル4に対応して設けられた透過部32に対してのみ、符号32A、32B、32C、32Dを付している。なお、第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、第4透過部32Dに共通する構成を説明する場合には、単に透過部32と称する。
第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、第4透過部32Dは、この順に、加熱口20から外側へ離れるように順に配置されている。すなわち、第1透過部32Aが加熱口20の最も近くに配置され、第2透過部32Bは、第1透過部32Aよりも加熱口20から離れた位置に配置されている。
なお、図1で例示した加熱コイル4の数及び形状は、図示のものに限定されない。加熱コイル4の数、すなわち加熱源の数は、少なくとも一つであればよい。
トッププレート3の手前側には、操作表示部6が設けられている。本実施の形態の操作表示部6は、複数の発光ダイオード(LED)又は液晶ディスプレイ(LCD)等を有する表示画面と、静電容量式のタッチセンサとを備える。タッチセンサは、トッププレート3を介して使用者の操作入力を取得する。操作表示部6は、操作部と、操作部で設定された火力の大きさを表す火力表示部と、加熱調理器1の設定状態及び動作状態に関する情報が表示される情報表示部とを含む。操作表示部6の操作部は、各加熱口20に対応した加熱コイル4の火力、温度、及び調理モードなどの設定に関する操作入力を受け付け、また、加熱開始及び加熱停止などの指示に関する操作入力を受け付ける。ここで、加熱調理器1の動作状態に関する情報とは、選択された調理モード、自動調理の進行状況、加熱口20に載置された調理容器の温度及び警告情報等が含まれうる。
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器1の主要部の概略構成図である。図2は、トッププレート3に載置された調理容器300とともに、加熱調理器1の概略断面と機能構成とを併せて示している。図2では、一つの加熱コイル4についてのみ図示しているが、他の加熱コイル4に関連する構造も同様の構造である。図2に示すように、加熱調理器1の本体2の内部であって、トッププレート3の下には、加熱コイル4と、加熱コイル4を支持するコイルベース9と、コイルベース9の下面に配置される複数のフェライトコア10と、赤外線センサ11とが設けられている。トッププレート3の下面には、接触式温度センサ12が取り付けられている。また、温度検出部13、制御部14、インバータ15、及び発光部30が設けられている。
加熱コイル4は、トッププレート3に設けられた加熱口20の下方に配置される。加熱コイル4は、例えば銅線またはアルミ線などの導線を巻回して構成されたコイルであり、高周波電流が供給されることで高周波磁界を発生する。本実施の形態の加熱コイル4は、二重環状であるが、加熱コイル4の形状及び配置は図示のものに限定されない。なお、加熱コイル4に代えてあるいはこれに加えて、発熱体に電気を流すことにより熱を発生させる抵抗加熱式の電気ヒータを加熱源として設けてもよい。
コイルベース9は、合成樹脂などで構成され、加熱コイル4を収容し支持する。
フェライトコア10は、非導電性で高透磁率を有する強磁性材料からなる棒状の部材である。フェライトコア10を設けることで、加熱コイル4の下方向への漏れ磁束が抑制され、加熱効率の向上及び調理容器300の均熱化を図ることができる。フェライトコア10の形状及び構成は本発明を限定しない。
接触式温度センサ12は、トッププレート3の下面、すなわち加熱コイル4と対向する面に接触して配置される。接触式温度センサ12を、1つの加熱コイル4に対して複数設けてもよい。接触式温度センサ12は、トッププレート3の上に載置される調理容器300の温度を、トッププレート3を介して検出する。
赤外線センサ11は、加熱コイル4上のトッププレート3に載置された調理容器300の底部から放射される赤外線エネルギーを検出する。赤外線センサ11は、加熱コイル4の近傍を流れる冷却風が直接当たらないように、周囲をセンサケース110で覆われている。赤外線センサ11の周囲の雰囲気温度が一様となるように、赤外線センサ11はセンサケース110に空間距離を保ちながら保持されている。センサケース110は、コイルベース9にタッピングネジなどで止められる、あるいはコイルベース9と一部が一体で形成されるなどしている。このようなセンサケース110の保持構造により、トッププレート3と赤外線センサ11との間の距離が一定に保たれている。
トッププレート3の加熱口20には、透過窓16が設けられている。透過窓16は、トッププレート3を透過する調理容器300の赤外線を赤外線センサ11が検出できるようにするために設けられたものである。透過窓16は、加熱口20の範囲内であって、赤外線センサ11の検出部と対向する位置に、設けられている。赤外線が透過しやすいように、透過窓16には塗装を施さないことが望ましい。しかしながら、透過窓16に塗装を施さない場合、トッププレート3の上から本体2の内部の加熱コイル4や配線などが視認されてしまうおそれがあり、意匠上望ましくない。このため、透過窓16に塗装を施さない場合には、加熱コイル4を保持するコイルベース9及びセンサケース110に、トッププレート3の方向に向かって筒や板を設けるようにすればよい。このような目隠しのための筒や板を設けることで、加熱コイル4及び配線などを外部から見えにくくすることができる。また、透過窓16の全面を塗装で覆うのではなく、透過窓16に対してドット状又はストライプ状に塗装を施して塗装されていない開口部の割合を少なくするようにしてもよく、このようにすることで意匠性と機能性とを担保することが可能となる。
温度検出部13は、赤外線センサ11及び接触式温度センサ12からの出力値を受信し、受信した出力値に基づいて調理容器300の温度を算出する。温度検出部13は、その機能を実現する回路デバイスなどのハードウェア、またはマイコン等の演算装置及びその上で実行されるソフトウェアで構成される。
制御部14は、前面操作部5または操作表示部6に入力された設定内容に基づいて、加熱調理器1の動作を制御する。また、制御部14は、使用者によって設定された調理温度と、温度検出部13によって算出された調理容器300の温度とに基づいてインバータ15を制御し、加熱制御を行う。また、制御部14は、前面操作部5または操作表示部6に入力された操作入力に基づいて、発光部30の動作を制御する。
制御部14は、専用のハードウェア、またはメモリとメモリに格納されるプログラムを実行するCPUとを有するマイクロコンピュータで構成される。制御部14が、温度検出部13の機能を備える構成としてもよい。
制御部14が専用のハードウェアである場合、制御部14は、例えば、単一回路、複合回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。制御部14が実現する各機能部のそれぞれを、個別のハードウェアで実現してもよいし、各機能部を一つのハードウェアで実現してもよい。
制御部14がマイクロコンピュータの場合、制御部14が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアやファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。CPUは、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、制御部14の各機能を実現する。ここで、メモリは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリである。
インバータ15は、商用電源200の交流電源を高周波電流に変換して、加熱コイル4へ供給する駆動回路である。なお、加熱調理器1は、図2に示す以外の構成を含んでもよく、例えば、加熱調理器1は外部機器との通信を行う通信部などを備えてもよい。
発光部30は、複数の光源とその光源の発光動作を個別に制御する制御回路とを備える。本実施の形態の発光部30は、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C、及び第4光源31Dを備える。本実施の形態の発光部30は、4つの光源を備えているが、光源の数は2以上であればよい。本実施の形態の第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C、及び第4光源31Dは、基板に実装された発光ダイオード(LED)を有する。複数の光源である第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C、第4光源31Dは、一つの基板に実装されていてもよいし、複数の基板に分かれて実装されていてもよい。発光部30に設けられた制御回路は、制御部14からの指令に応じて、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C、及び第4光源31Dを個別に点灯あるいは消灯させる。
第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C、及び第4光源31Dは、それぞれ、光の出射面が、第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、第4透過部32Dと対向している。第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C、及び第4光源31D出射された光は、それぞれ、対向する第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、又は第4透過部32Dを透過して、トッププレート3の上に出る。使用者は、第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、又は第4透過部32Dから出た光を視認することができる。
なお、本実施の形態では、一つの透過部に対向して一つの光源が配置された例を示すが、一つの透過部に対して独立して制御される複数の光源が配置されていてもよい。各光源は、発光ダイオードなどの発光素子を一つ又は複数有することができる。また、一つの光源に対して、互いに異なる色の光を出射する複数の発光素子を設けてもよい。この場合、異なる色の光を出射する複数の発光素子を、発光部30の制御回路が個別に点灯又は消灯させることで、一つの光源から出射される光の色を変えることができる。
第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、第4透過部32Dは、光が透過するように構成されているため、トッププレート3の上から本体2の内部の発光部30の基板及び配線などが視認されてしまうおそれがあり、意匠上望ましくない。また、対向する光源以外の光源からの光が、透過部に入り込む場合もある。例えば、第1透過部32Aに対して、第1光源31Aからの光のみならず第2光源31Bからの光が入射しうる。これらの事項に該当する場合には、光源の出射面側と透過部との間に、光源からの光が対向する透過部以外の透過部へ入射することを防ぐ筒又は板を設けてもよい。
(発光透過部の配置)
図3は、実施の形態1に係るトッププレート3の概略平面図である。第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、及び第4透過部32Dの配置及び形状を説明する。一組の第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、及び第4透過部32Dが、それぞれの加熱口20に対して、加熱口20の外側に配置されている。第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、及び第4透過部32Dは、この順で、加熱口20から離れる方向に沿って、直線的に配置されている。本実施の形態の第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、及び第4透過部32Dは、平面形状は矩形であり、面積はすべて同じである。
第1透過部32Aは、円形の加熱口20の外周に相対して設けられている。図3の第1透過部32Aは、円形の加熱口20の外周に相対する辺が長辺である長方形である。第2透過部32Bは、第1透過部32Aに相対して設けられ、第1透過部32Aの長辺と平行な長辺を有する。同様に、第3透過部32Cは、第2透過部32Bに相対して設けられ、第2透過部32Bの長辺と平行な長辺を有する。また、第4透過部32Dは、第3透過部32Cに相対して設けられ、第3透過部32Cの長辺と平行な長辺を有する。
なお、一つの加熱口20に対して設けられる透過部の数(本実施の形態では4)は、一つであってもよい。この場合、一つの透過部32に対向して複数の光源を設けることができる。一つの加熱口20に対して設けられる透過部の数は、加熱源である加熱コイル4の出力レベルの数と同数であってもよいし、異なる数であってもよい。
なお、透過部32の発光透過窓は、火力設定数と同数を必要とするものではなく、火力1、2の場合は第1光源31Aを点灯し、火力3、4の場合は、第1光源31Aと第2光源31Bを点灯させるというように、火力設定を割り付けてもよい。
(点灯制御例1)
図4は、実施の形態1に係る光源の点灯制御例を説明するタイミングチャートである。図4では、第1光源31A〜第4光源31Dのそれぞれについて、消灯と点灯のタイミングを示している。図4の横軸は時間であり、期間t1は火力1が設定されている期間、期間t2は火力1よりも大きい火力3が設定されている期間を例示している。火力1から火力3へ設定変更された場合を例に、第1光源31A〜第4光源31Dの点灯制御を説明する。
期間t1に示すように、制御部14は、前面操作部5または操作表示部6で火力1が設定され、加熱開始の指示が入力されると、第1光源31Aを点灯させ、期間aが経過すると、第1光源31Aを消灯させ、第2光源31Bを点灯させる。第2光源31Bを点灯させて期間bが経過すると、第2光源31Bを消灯させ、第1光源31Aを点灯させる。すなわち、第1光源31Aと第2光源31Bとを、交互に点灯させる。第1光源31Aが点灯する1回あたりの期間aの長さは、固定の値である。第2光源31Bが点灯する1回あたりの期間bの長さも、固定の値である。制御部14は、このような点灯期間が重複しないように第1光源31Aと第2光源31Bとを点滅させる制御を、火力1が設定されている期間t1の間に行う。
次に、火力1から火力3へ設定変更が行われたとする。ここで、火力3>火力1である。そうすると制御部14は、火力1における点灯制御を停止し、期間t2に示すように新たに火力3における点灯制御を開始する。図4の期間t2に示すように、制御部14は、第1光源31Aを点灯させ、期間aが経過すると、第1光源31Aを消灯させ、第2光源31Bを点灯させる。第2光源31Bを点灯させて期間bが経過すると、第2光源31Bを消灯させ、第3光源31Cを点灯させる。第3光源31Cを点灯させて期間cが経過すると、第3光源31Cを消灯させ、第4光源31Dを点灯させる。第4光源31Dを点灯させて期間dが経過すると、第4光源31Dを消灯させて第1光源31Aを点灯させる。すなわち、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C、第4光源31Dの順に沿った方向を第1方向とすると、この第一方向に沿った順で順次光源を点滅させる。第1光源31A〜第4光源31Dが点灯する期間a〜dの長さは、それぞれ固定の値である。制御部14は、このような点灯期間が重複しないように第1光源31A〜第4光源31Dを点滅させる制御を、火力3が設定されている期間t2の間に行う。
制御部14は、期間t1及び期間t2に例示した点灯制御を、火力が変更される、あるいは加熱停止の操作が行われるまで続ける。
また、図4では図示しないが、火力2が設定されている場合には、制御部14は、第1光源31A、第2光源31B及び第3光源31Cを、この順で順次点滅させる。ここで、火力1<火力2<火力3である。また、火力0.5が設定されている場合には、制御部14は、第1光源31Aのみを点滅させる。ここで、火力0.5<火力1である。
このように制御部14は、加熱源が加熱動作をしているときに、第1光源31A〜第4光源31Dのうち隣り合う光源であって火力に応じた数の光源を、一方向に順次点滅させる。火力が小さい場合には、加熱口20に近い第1光源31Aと第2光源31Bのみが点灯制御され、火力の増大に伴って、点灯制御される光源として第3光源31Cと第4光源31Dとがこの順で追加される。隣り合う光源を順次点滅させることで、トッププレート3の上方に視点を有する使用者には、トッププレート3の表面と平行な方向に沿った一方向の流れの光が透過部32から出射されているように視認される。図4の期間t2に示す点灯制御が行われた場合、図3に示す例では、第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、第4透過部32D、第1透過部32A・・・の順に一方向に順次光が出射されるのが使用者に視認される。すなわち使用者には、加熱口20に最も近い位置から外側に向かう一筋の光の流れが、視認される。
なお、図4の例では、火力の増大に伴って、加熱口20に最も近い位置の第1光源31Aから最も離れた位置の第4光源31Dに向かう方向に沿った順序で、点灯させる光源の数を増加させることを説明した。しかし、光源を点灯させる順序は、図4の逆方向であってもよい。具体的には、火力が最も小さい場合には、制御部14は、加熱口20から最も遠い位置の第4光源31Dのみを点滅させ、火力の増大に伴って、点滅させる光源を、第3光源31C、第2光源31B、第1光源31Aの順に増加させる。このようにすると、トッププレート3の上方に視点を有する使用者には、加熱口20に近づく方向の光の流れが、透過部32から出射されているように視認される。
図4の例において、期間a、期間b、期間c及び期間dの長さは、すべて同じである。このように複数の光源を等間隔で順次点滅させる場合には、3つ以上の光源を並んだ順に点滅させる。このようにすることで、透過部32から出射される光が、一方向に流れているように使用者に視認させることができる。また、3つ以上の光源を並んだ順に点滅させ、最後の光源を点滅させた後に、再び1番目の光源から順に点滅させるループを繰り返すことで、より光の方向性を強調することができる。図4の例では、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C、第4光源31Dの順に点滅させ、再び1番目の第1光源31Aから順に点滅させる。このような3つ以上の光源による点滅のループを繰り返すことで、使用者に一方向の光の流れを連続的に視認させることができる。一方向の流れの光を使用者に視認させることで、加熱源である加熱コイル4が動作していることを使用者は認識しやすくなる。
図4の例において、期間a、期間b、期間c、期間dの長さは、1秒以内とすることができる。また、期間a、期間b、期間c、期間dの長さを、1秒以上、例えば2秒〜3秒程度としてもよく、このようにすると視覚的認知能力が低下した高齢者などの使用者にも、光の流れが視認されやすい。また、図4の例及びこれ以降の例において、期間a〜dの長さを使用者が変更できるようにしてもよい。この場合、例えば前面操作部5に、点灯期間の長さを入力する入力部を設け、制御部14は、入力部に入力された点灯期間に基づいて、期間a〜dの長さを決定する。
(点灯制御例2)
図5は、実施の形態1に係る光源の他の点灯制御例を説明するタイミングチャートである。図5を図4と対比して分かるように、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dが点灯する1回あたりの期間a、期間b、期間c及び期間dは、図4に示したものよりも短い。すなわち、複数の光源の点滅の周期が、点灯制御例1とは異なる。
制御部14は、図4で示した点灯制御例1と、図5で示す点灯制御例2とを、加熱源の動作状態、あるいは加熱調理器1の状態に応じて切り替える。このようにすることで、加熱源の動作状態の変化あるいは加熱調理器1の状態の変化を、使用者はより認識しやすい。
例えば、赤外線センサ11又は接触式温度センサ12によって、調理容器300の温度が目標温度に近づいたことが検出された場合に、制御部14は、点灯制御例1から点灯制御例2に切り替える。ここで目標温度は、前面操作部5、操作表示部6又は自動調理機能で設定されうる。点灯制御例1から点灯制御例2に切り替えられると、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dのうち点滅している光源の数が維持されたまま、点滅する周期が変更される。点灯制御例2に切り替えられると、使用者には、一方向の光の流れがそれ以前よりも速いスピードの流れに変化したことが視認される。このようにすることで、透過部32から出射される一方向の光の流れを、調理容器300の温度が目標温度に近づいたことを示す警告表示として用いることができる。
そのほかに例えば、光源の点滅スピードの異なる点灯制御例1と点灯制御例2とを、加熱源の出力の違いを表現するために用いることもできる。具体的には、制御部14は、加熱コイル4の出力が大きい場合と小さい場合のいずれか一方において点灯制御例1を実行し、他方において点灯制御例2を実行する。このようにすることで、使用者に加熱源の出力の違いを認識させやすくすることができる。
(点灯制御例3)
図6は、実施の形態1に係る光源の他の点灯制御例を説明するタイミングチャートである。図6に示す点灯制御例3では、制御部14は、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dを、同時に点灯及び消灯させる。このようにすべての光源をその点灯及び消灯タイミングが同期するようにして点滅させる点灯制御例3は、図4の点灯制御例1と図5の点灯制御例2の何れか又は両方と組み合わせて用いられる。制御部14は、加熱源の動作状態、あるいは加熱調理器1の状態に応じて、図4で示した点灯制御例1又は図5で示した点灯制御例2から、図6で示す点灯制御例3に切り替える。このようにすることで、加熱源の動作状態の変化あるいは加熱調理器1の状態の変化を、使用者はより認識しやすい。
例えば、赤外線センサ11又は接触式温度センサ12によって、調理容器300の温度が目標温度に到達したことが検出された場合に、制御部14は、点灯制御例1又は点灯制御例2から点灯制御例3に切り替える。点灯制御例3に切り替えられると、使用者には、一方向の光の流れが、止まったように視認される。このようにすることで、同時に点滅する第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dから出射され、透過部32から出る点滅する光を、使用者に対する警告表示として用いることができる。なお、制御部14は、調理容器300の温度が目標温度に到達したことが検出された場合に、点灯制御例3に加え、加熱源による加熱を停止させる制御を行ってもよい。
(点灯制御例4)
図7は、実施の形態1に係る光源の他の点灯制御例を説明するタイミングチャートである。図7において縦軸は、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dから出射される光の輝度の大きさを、簡易的に示している。
この点灯制御例4は、複数の光源を順次点滅させるという点では、前述の点灯制御例1及び点灯制御例2と同じであるが、光源の輝度を段階的にあるいは連続的に低下させる点で点灯制御例1及び点灯制御例2と異なる。制御部14は、第1光源31Aを周期的に点灯させ、かつ1回の点灯期間において、輝度を段階的にあるいは連続的に低下させる。このようにすることで、減衰する光の点滅が使用者によって視認される。
この点灯制御例4は、前述の点灯制御例1〜点灯制御例3の一以上と組み合わせて用いられる。制御部14は、加熱源の動作状態、あるいは加熱調理器1の状態に応じて、点灯制御例1、点灯制御例2及び点灯制御例3のいずれかから、図7で示す点灯制御例4に切り替える。このようにすることで、加熱源の動作状態の変化あるいは加熱調理器1の状態の変化を、使用者はより認識しやすい。
例えば、赤外線センサ11又は接触式温度センサ12によって、調理容器300の温度が目標温度に到達したことが検出されたときに、点灯制御例3が実行される。点灯制御例3をしばらくの間実行した後に、制御部14は加熱源の出力を小さくするとともに、点灯制御例3から点灯制御例4に切り替える。点灯制御例4に切り替えられると、使用者には、減衰しながら点滅する光が視認される。このように、透過部32から出る減衰しながら点滅する光を、使用者に対して加熱源の出力が抑制されている状態であることを示す警告表示として用いることができる。
(点灯制御例5)
点灯制御例5は、複数の光源の中からランダムに選択された光源を、順次点滅させるものである。制御部14は、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dの中から、乱数などを用いてランダムに1つの光源を選択して点灯させ、その他の光源を消灯させる、という制御を繰り返す。制御部14は、点灯期間が重複しないように、光源を点灯させる。点灯期間は、固定の値でもよいし、ランダムに変化させた値であってもよい。
この点灯制御例5は、前述の点灯制御例1〜点灯制御例4の一以上と組み合わせて用いられる。制御部14は、加熱源の動作状態、あるいは加熱調理器1の状態に応じて、点灯制御例1、点灯制御例2及び点灯制御例3のいずれかから、図6で示す点灯制御例5に切り替える。このようにすることで、加熱源の動作状態の変化あるいは加熱調理器1の状態の変化を、使用者はより認識しやすい。
例えば、赤外線センサ11又は接触式温度センサ12によって、調理容器300の温度が目標温度に到達したことが検出されたときに、点灯制御例3が実行される。点灯制御例3をしばらくの間実行した後に、赤外線センサ11又は接触式温度センサ12によって、調理容器300の温度が過度に上昇したことを示す閾値を超えたことが検出されたとする。この場合、制御部14は、点灯制御例3から点灯制御例5に切り替える。点灯制御例5に切り替えられると、使用者には、ランダムな光の点滅が視認される。このように、透過部32からばらばらと出射される光を、使用者に対して調理容器300が過度に加熱されている異常状態であることを示す警告表示として用いることができる。
以上のように、本実施の形態の加熱調理器1は、トッププレート3の下に設けられ、独立して制御される第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dを有する発光部30を備えた。また、トッププレート3の加熱口20の外側には、第1光源31A〜第4光源31Dから出射される光が透過する透過部32を備えた。そして、加熱コイル4が調理容器300を加熱しているときに、第1光源31A〜第4光源31Dのうち光を出射する光源の位置を連続的に変更する。具体的には、図4、5、7で例示したように、直線上に並んで配置された第1光源31A〜第4光源31Dが、この並んだ順に順次点滅し、かつこの点滅がループするように繰り返される。このような第1光源31A〜第4光源31Dの動作により、トッププレート3の表面と平行な方向に沿った一方向の流れの光が透過部32から出射される。これにより、使用者には光の流れが視認される。したがって、使用者が色覚に障害を有している場合であっても、加熱調理器1が動作していることを認識しやすくなる。加熱調理器1が動作していることを認識しやすくなることで、使用者は、加熱調理器1の電源の切り忘れ及び不要な加熱源への電力投入を抑制することができる。
また、本実施の形態では、加熱源である加熱コイル4の出力の大きさに応じて、第1光源31A〜第4光源31Dのうち点滅するものの数が異なる。図4で示した点灯制御例1では、加熱コイル4の出力が大きいほど、光を出射する光源の数が増加する。配置された第1光源31A〜第4光源31Dのうち点滅するものの数を異ならせると、使用者には加熱コイル4の出力に応じて点滅する光の位置が変化したように視認される。このため、使用者は、加熱源の出力が変化したことを視覚的に認識しやすい。したがって、使用者は、加熱源の出力の調整を行いやすくなるとともに出力の調整をしたときに安心感を得ることができる。また、使用者は、加熱源の出力の調整を行いやすくなることで、調理に適した出力で調理容器300を加熱することができ、調理の仕上がりを向上させることができるとともに消費電力を低減させることができる。
(透過部の変形例)
以下、図面を参照して、透過部32の形状の変形例を説明する。
図8は、実施の形態1の変形例1に係るトッププレート3の概略平面図である。図8に示す例では、透過部32を構成する第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C及び第4透過部32Dは、加熱口20に相似する形状の一部と同じ形状である。図8の例では、第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C及び第4透過部32Dは、円弧形状である。そして、加熱口20から離れるほど、この円弧形状の円弧の長さが長くなっていて、表面積も大きくなっている。図8の例では、第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、第4透過部32Dの順で、円弧の長さが長くなっており、最も外側にある第4透過部32Dの円弧の長さが最も長い。このように構成することで、透過部32から出る光が加熱口20を中心に広がる印象を、使用者に与えることができる。
また、加熱源の出力の増大に伴って、光が出射される透過部32の範囲を加熱口20の外側に向かって増やしていくとよい。具体的には、加熱コイル4に火力1が設定されている場合には、第1透過部32Aと第2透過部32Bから光が出射される。加熱コイル4に火力1よりも大きい火力が設定されている場合には、第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C及び第4透過部32Dから光が出射される。このように、火力が大きくなるほど、光が出射される面積を大きくすることで、火力の大きさを使用者に認識させやすくなる。
なお、第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C及び第4透過部32Dの形状は、円弧形状に限定されず、例えば矩形であってもよい。
図9は、実施の形態1の変形例2に係るトッププレート3の概略平面図である。図9に示す例では、透過部32を構成する第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C及び第4透過部32Dは、加熱口20から離れた位置にあるものほど、加熱口20の径方向に沿った方向の長さが長い。図9の例では、第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、第4透過部32Dの順で、加熱口20の径方向に沿った辺の長さが長くなっており、最も外側にある第4透過部32Dの辺の長さが最も長い。このように構成することで、透過部32から出る光が加熱口20を中心に広がる印象を、使用者に与えることができる。
また、加熱源の出力の増大に伴って、光が出射される透過部32の範囲を加熱口20の外側に向かって増やしていくとよい。具体的には、加熱コイル4に火力1が設定されている場合には、第1透過部32Aと第2透過部32Bから光が出射される。加熱コイル4に火力1よりも大きい火力が設定されている場合には、第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C及び第4透過部32Dから光が出射される。このように、火力が大きくなるほど、光が出射される面積を大きくすることで、火力の大きさを使用者に認識させやすくなる。
(点灯制御例1の変形例1)
図10は、実施の形態1に係る光源の点灯制御例1の変形例1を説明する図である。この変形例1は、点灯期間が重複しないように第1光源31A〜第4光源31Dのいずれか2以上を順次点滅させるという点では図4の点灯制御例1と同じである。変形例1は、ある光源が点灯してから次の光源が点灯するまでの間に、いずれの光源も点灯しないOFF期間を有する点で、図4の点灯制御例1と異なる。図10では、OFF期間を符号eで示している。このように、複数の光源が順次点滅する構成において、光源の点灯期間と点灯期間との間に、いずれの光源も点灯しない期間を設けることで、各光源の点灯状態と消灯状態が明確に区別されて使用者に視認されやすくなる。このため、第1光源31A〜第4光源31Dからの光を用いて伝達される火力などの情報を、使用者により明確に認識させることができる。
(点灯制御例1の変形例2)
図11は、実施の形態1に係る光源の点灯制御例1の変形例2を説明する図である。変形例2は、複数の光源が固有の周期で点滅を繰り返し、かつ複数の光源のうちの1番目の光源が点灯してから2番目の光源が点灯するまでの期間の長さと、2番目の光源が点灯してから3番目の光源が点灯するまでの期間の長さとが異なる例の一つである。この変形例2は、点灯期間が重複しないように第1光源31A〜第4光源31Dのいずれか2以上を順次点滅させるという点では図4の点灯制御例1と同じである。
変形例2は、各光源が点灯する期間の長さを、光源によって異ならせるものである。本実施の形態では、加熱口20から離れた位置にある光源ほど1回あたりの点灯時間が長く、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C、第4光源31Dの順に、点灯時間が長くなっている。すなわち、期間a<期間b<期間c<期間dという関係である。ここで、期間aは例えば1秒程度、期間dは例えば3秒程度である。1回あたりの点灯期間の長さを異ならせて複数の光源を点滅させることで、どの光源から光が出射されているのか使用者に認識されやすくなる。このため、第1光源31A〜第4光源31Dからの光を用いて伝達される火力などの情報を、使用者により明確に認識させることができる。
なお、この変形例2においても、変形例1と同様に、ある光源が点灯してから次の光源が点灯するまでの間に、いずれの光源も点灯しないOFF期間を設けてもよい。このようにすることで、変形例1と同様の作用効果を得ることができる。また、変形例2においては、OFF期間を設けることなく光源が順次点滅してもよい。
(点灯制御例1の変形例3)
図12は、実施の形態1に係る光源の点灯制御例1の変形例3を説明する図である。変形例3は、複数の光源が固有の周期で点滅を繰り返す。さらに、複数の光源のうちの1番目の光源が点灯してから2番目の光源が点灯するまでの期間の長さと、最後の光源が点灯してから次に1番目の光源が点灯するまでの期間の長さとが異なる例の一つである。この変形例3は、点灯期間が重複しないように第1光源31A〜第4光源31Dのそれぞれに着目すると、点滅を繰り返すという点では図4の点灯制御例1と同じである。
変形例3は、点滅するループに加わっている光源のうち、最も加熱口20から離れた位置にある光源の1回あたりの点灯期間を、他の光源の点灯期間よりも長くするものである。図12では、第1光源31A、第2光源31B及び第3光源31Cの3つが順次点滅する例を示しているが、加熱口20から最も離れた位置にある第3光源31Cが点灯する期間cが、期間a及び期間bよりも長い。図12で例示したものよりも火力が小さい場合には、期間a<期間bとなるように第1光源31Aと第2光源31Bとが順次点滅する。図12で例示したものよりも火力が大きい場合には、期間a=期間b=期間c<期間dとなるように、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dを順次点滅させる。このように、点滅のループに加わっている光源のうち、最も外側に位置する光源の点灯期間を他の光源の点灯期間よりも長くすることで、透過部32から出射される光の外縁を使用者が認識しやすくなる。このため、第1光源31A〜第4光源31Dからの光を用いて伝達される火力などの情報を、使用者により明確に認識させることができる。
なお、この変形例3においても、変形例1と同様に、ある光源が点灯してから次の光源が点灯するまでの間に、いずれの光源も点灯しないOFF期間を設けてもよい。このようにすることで、変形例1と同様の作用効果を得ることができる。また、変形例3においては、OFF期間を設けることなく光源が順次点滅してもよい。
(点灯制御例1の変形例4)
図13は、実施の形態1に係る光源の点灯制御例1の変形例4を説明する図である。変形例4は、複数の光源が固有の周期で点滅を繰り返し、かつ複数の光源のうちの1番目の光源が点灯してから2番目の光源が点灯するまでの期間の長さと、2番目の光源が点灯してから3番目の光源が点灯するまでの期間の長さとが異なる例の一つである。この変形例4は、第1光源31A〜第4光源31Dの2以上が点滅するという点では図4の点灯制御例1と同じである。
変形例4は、点滅する光源が点灯を開始するタイミングがずれているが、光源の点灯期間が重複しており、光源が消灯するタイミングが同じである。詳しくは、第1光源31Aが点灯を開始し、その後、第1光源31Aが点灯した状態のまま第2光源31Bが点灯を開始する。その後、第1光源31A及び第2光源31Bが点灯した状態のまま、第3光源31Cが点灯を開始する。その後、第1光源31A、第2光源31B及び第3光源31Cが点灯した状態のまま、第4光源31Dが点灯を開始する。その後、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dが、同時に消灯する。各光源に着目すると、点滅を繰り返すという点では点灯制御例1と同じであるが、複数の光源の点灯期間が重複しているため、一方向の流れの光が増幅していくように使用者に視認され、使用者は光の流れを認識しやすくなる。このため、第1光源31A〜第4光源31Dからの光を用いて伝達される火力などの情報を、使用者により明確に認識させることができる。
図13では、点滅する光源が点灯を開始するタイミングがずれている例を示したが、これに代えて、点滅する光源の点灯開始タイミングをすべて同期させ、消灯するタイミングを順次ずらすようにしてもよい。例えば、第1光源31A〜第3光源31Cが同時に点灯し、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31Cの順に、時間をおいて消灯する。このようにしても、複数の光源が同時に点灯している状態から、一方向に光の流れが減衰していくように使用者に視認され、使用者は光の流れを認識しやすくなる。また、点滅する光源が点灯を開始するタイミング及び消灯するタイミングをともにずらしてもよい。具体的には、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31Cが、時間をおいて順次点灯し、これら3つの光源が同時に点灯している期間を設ける。その後、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31Cの順に、時間をおいて消灯する。このようにすると、一方向の流れの光が増幅していき、その後同じ方向の流れで光が減衰していくように使用者に視認され、使用者は光の流れを認識しやすくなる。
実施の形態2.
本実施の形態では、透過部32の形状及び配置並びに光源の配置を説明する。透過部32の形状及び配置並びに光源の配置以外の構成については、実施の形態1と同様であるので、本実施の形態では実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図14は、実施の形態2に係るトッププレート3の概略平面図である。本実施の形態の透過部32は、加熱口20ごとに加熱口20の外側に設けられている点では実施の形態1と同じである。本実施の形態の透過部32の全体形状は、加熱口20から操作表示部6に近づく方向に向かって延びている点で、実施の形態1と異なる。
本実施の形態の透過部32に含まれる第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C及び第4透過部32Dは、この順で、操作表示部6から離れる方向に沿った直線上に配置されている。透過部32の全体形状は、二等辺三角形であり、その頂角が底角よりも操作表示部6に近い位置にある。三角形の第1透過部32Aと、台形の第2透過部32B、第3透過部32C及び第4透過部32Dとで、三角形を形作っている。操作表示部6から最も離れた位置にある第4透過部32Dの左右の幅が最も長く、操作表示部6に最も近い位置にある第1透過部32Aの左右の幅が最も短い。
図14では、トッププレート3の下側に配置される第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dを、破線で示している。第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dは、実施の形態1で述べたものと同様の基本構成を有する。第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dは、発する光が透過部32を透過する位置に、設けられている。好ましくは、複数の光源は、平面視において透過部32と重なる位置に配置されている。第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dは、この順で、操作表示部6から離れる方向に沿った直線上に配置されている。図14では、透過部32を構成する複数の透過部と同数(本実施の形態では4つ)の光源を設け、この複数の光源を、複数の透過部のうち対応するものと平面視において重なる位置に配置した例を示している。しかし、一つの透過部に対して複数の光源が配置されていてもよい。
第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dは、実施の形態1の点灯制御例に示されたように、点灯制御される。第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dが点灯すると、光源からの光が透過部32を透過して、透過した光が使用者に視認される。
本実施の形態によれば、操作表示部6に対面する位置において加熱調理器1を扱う使用者に、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dからの光が視認されやすくなる。このため、第1光源31A〜第4光源31Dからの光を用いて伝達される火力などの情報を、使用者により明確に認識させることができる。
また、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態によれば、第1光源31A〜第4光源31Dを、高温になる加熱源から離れた位置に配置しやすい。このため、熱による第1光源31A〜第4光源31Dの劣化が抑制され、第1光源31A〜第4光源31Dの耐久性を向上させることができる。第1光源31A〜第4光源31Dの耐久性が向上することで、第1光源31A〜第4光源31Dのために設けられる耐熱構造を簡素化でき、加熱調理器1の材料費を削減することができる。
実施の形態3.
本実施の形態では、透過部32の形状及び配置並びに光源の配置を説明する。透過部32の形状及び配置並びに光源の配置以外の構成については、実施の形態1と同様であるので、本実施の形態では実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図15は、実施の形態3に係るトッププレート3の概略平面図である。本実施の形態の透過部32は、加熱口20ごとに加熱口20の外側に設けられている点では実施の形態1と同じである。本実施の形態の透過部32の全体形状は、トッププレート3の幅方向に沿って延びている点で、実施の形態1と異なる。
本実施の形態の透過部32に含まれる第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C及び第4透過部32Dは、この順で、トッププレート3の幅方向に沿った直線上に、左から右に向かって配置されている。第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C及び第4透過部32Dは、平面形状が矩形であり、透過部32の矩形の全体形状を形作っている。
図15では、トッププレート3の下側に配置される第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dを、破線で示している。第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dは、実施の形態1で述べたものと同様の基本構成を有する。第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dは、発する光が透過部32を透過する位置に、設けられている。好ましくは、複数の光源は、平面視において透過部32と重なる位置に配置されている。第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dは、この順で、トッププレート3の幅方向に沿った直線上に、左から右に向かって配置されている。図15では、透過部32を構成する複数の透過部と同数(本実施の形態では4つ)の光源を設け、この複数の光源を、複数の透過部のうち対応するものと平面視において重なる位置に配置した例を示している。しかし、一つの透過部に対して複数の光源が配置されていてもよい。
第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dは、実施の形態1の点灯制御例に示されたように、点灯制御される。第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dが点灯すると、光源からの光が透過部32を透過して、透過した光が使用者に視認される。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。なお、図15で示した第1光源31A〜第4光源31D及び第1透過部32A〜第4透過部32Dを、左右反転させて配置してもよい。
実施の形態4.
本実施の形態では、透過部32から出射される光の属性の例を説明する。本実施の形態では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図16は、実施の形態4に係る透過部及び複数の光源を説明する図である。図16では、透過部32の下側に配置される第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dを、破線で示している。本実施の形態の第1光源31A〜第4光源31Dは、この順に、出射する光の波長が長い。複数の光源から出射される光の波長を異ならせることで、光の色相を異ならせ、透過部32から出る色相の異なる光を使用者に視認させる。例えば、第1光源31Aは黄色、第2光源31Bはオレンジ色、第3光源31Cは朱色、第4光源31Dは赤色の光を出射する。そのほか、波長の異なる2種類の光を発する光源を、交互に配置してもよい。図4で示した点灯制御例1と組み合わされた場合、加熱源の出力が小さい場合には、第1光源31Aから相対的に波長の短い光が出射される。そして、加熱源の出力の増大に伴って、第2光源31B、第3光源31C、第4光源31Dの順で波長の長い光が出射されるようになる。
第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dが、出射する光の波長の異なる複数の発光素子を有していてもよい。例えば、一つの光源である第1光源31Aが、発光色の異なる複数の発光素子を備える。そして、第1光源31Aに設けられた複数の発光素子のうちの一つ以上から、同時に光を出射させる。そうすると、光を出射する発光素子の組み合わせによって、透過部32から出射され使用者に視認される光の色(RGB)を異ならせることができる。例えば、第1光源31Aからは青色、第2光源31Bからは緑色、第3光源31Cからは橙色、第4光源31Dからは赤色の光を出射する。
第1光源31A〜第4光源31Dから出射される光の波長を異ならせることに代えて、あるいはこれに加えて、第1透過部32A〜第4透過部32Dの色を異ならせてもよい。例えば、第1透過部32A〜第4透過部32Dを、着色された透明部材とする。第1光源31A〜第4光源31Dが、単一色、例えば白色の光を出射すると、出射された光は、第1透過部32A〜第4透過部32Dを透過する過程において屈折し、第1透過部32A〜第4透過部32Dの色に応じた色の光として、使用者に認識される。
第1光源31A〜第4光源31Dから出射される光の波長を異ならせること及び第1透過部32A〜第4透過部32Dの色を異ならせることに代えて、あるいはこれに加えて、第1透過部32A〜第4透過部32Dの光の透過率を異ならせてもよい。例えば、第1透過部32A、第2透過部32B、第3透過部32C、第4透過部32Dの順に、光の透過量を多くするものである。具体的には、透過部32の表面又は裏面にガラス系無機質、熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等で構成された塗料を用いて印刷を施す。そして、この印刷の塗装の密度を変更することで、光の透過率を変更することができる。なお、印刷に用いられる塗料は、上記に限らず、比較的高い剛性と低い脆性を持ち、有害物質を含まない素材であれば、広範な材料を用いることができる。
このように本実施の形態によれば、色相の異なる光を使用者に視認させることができる。このため、第1光源31A〜第4光源31Dからの光を用いて伝達される火力などの情報を、使用者により明確に認識させることができる。
実施の形態5.
本実施の形態では、複数の光源ごとに、出射する光の輝度を異ならせる例を説明する。本実施の形態では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図17は、実施の形態5に係る光源の点灯制御例を説明するタイミングチャートである。図17において縦軸は、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dから出射される光の輝度の大きさを、簡易的に示している。
図17に示すように、第1光源31A、第2光源31B、第3光源31C及び第4光源31Dは、この順で、出射する光の輝度が高い。このような構成とすることで、色覚に障害があって異なる色相の光を識別するのが困難な使用者にとっても、各光源が出射する光の違いを認識しやすい。例えば、先天性疾患に多く見られる、赤緑色覚異常の使用者にとって、青と緑と橙という色相の異なる色の光が出射されたとしても、それらを区別することが難しい。しかし本実施の形態によれば、複数の光源から出射される光の輝度が異なるため、第1光源31A〜第4光源31Dからの光を用いて伝達される火力などの情報を、使用者により明確に認識させることができる。
実施の形態6.
本実施の形態では、透過部32から出射される光の色を使用者が選択できる構成とした点で、実施の形態1と異なる。本実施の形態は、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
図18は、実施の形態6に係るトッププレート3の概略平面図である。本実施の形態の加熱調理器1では、透過部32から出射される光の色を設定する設定部33を備える。設定部33は、例えばタッチパネル又は押圧式のボタンなど、色の設定の入力を受け付けるインタフェースである。図18では設定部33を加熱調理器1の上面に設けた例を示しているが、設定部33の位置は図示のものに限定されない。
トッププレート3が黒色の場合であって、透過部32から出射される光の色が赤色であると、赤緑色覚に障害のある使用者にとっては、出射された光が濃いグレーにしか見えない。そうすると、透過部32から出射される光を用いて伝達される火力などの情報は、使用者にとって認識が難しいものとなる。このような場合には、使用者は、設定部33を用いて透過部32から出射される光の色を設定する。制御部14は、設定部33での設定に基づいて、複数の光源から出射される光の色を変化させる。赤緑色覚に障害のある使用者にとっては、透過部32から出射される光の色が、白成分を有する色、特に白色、白成分の強い色であるいわゆるパステル色、又は黄色であると、出射された光を認識しやすい。このため、トッププレート3が黒色である場合には、設定部33で設定できる色として、白成分を有する色を設けておくとよい。各光源は、発光色を変更可能な一つの発光素子を備えているか、あるいは互いに異なる色の光を出射する複数の発光素子を備えている。この場合、異なる色の光を出射する複数の発光素子を、発光部30の制御回路が個別に点灯又は消灯させることで、一つの光源から出射される光の色を変えることができる。
トッププレート3が白色又は白色に近い色の場合には、透過部32から出射される光の色が、白色、黄色、又はパステル色等の白成分が強い色であると、使用者にとって、透過部32から出射される光を視認しづらい。このような場合には、使用者は、設定部33を用いて透過部32から出射される光の色を設定する。制御部14は、設定部33での設定に基づいて、複数の光源から出射される光の色を変化させる。設定部33で設定できる色として、赤、青、緑の三原色、あるいはこれに近似した色を設けておくとよい。
本実施の形態によれば、加熱調理器1を使用する使用者が、透過部32から出射される光の色を選択することができる。このため、使用者が、自身の色覚に適した色を、設定部33を用いて設定することで、透過部32から出射される光を使用者が認識しやすくなる。
なお、上記した複数の実施の形態およびその変形例のうちの2以上が、互いに組み合わせて用いられうる。このようにすることで、第1光源31A〜第4光源31Dからの光を用いて伝達される火力などの情報を、使用者により明確に認識させることができる。
また、上記した実施の形態に加えて、発光部30に設けられる複数の光源を、文字又は記号を表現するように配置してもよい。このように配置した複数の光源を、文字又は記号のまとまりで一つの光源として扱って、上記実施の形態で述べたような点灯制御を行う。このようにすることで、文字又は記号として視認される光が一方向に流れているように使用者に認識させることができる。たとえば、複数の光源を環状に配置し、この環状に配置された光源の組を複数設ける。そして、環状に配置された複数の光源を一つの光源として扱われて点灯制御されることで、環状の光が一方向に流れているように使用者に認識させることができる。
また、発光部30に設けられる複数の光源を、マトリクス状に配置してもよい。そして、マトリクス状に配置した複数の光源を、文字又は記号を表すまとまりで一つの光源として扱って、上記実施の形態で述べたような点灯制御を行う。このようにすることで、文字又は記号として視認される光が一方向に流れているように使用者に認識させることができる。