JP6936766B2 - 流体漏れ検出システム - Google Patents

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Description

本発明は、流体漏れ検出システムに関するものである。
特許文献1には、流体圧装置に供給される作動流体の状態を検出する流体検出器として、作動流体の圧力を検出する圧力検出器が開示されている。このような圧力検出器は、作動流体に接触する検出部と、検出部で検出された値を外部に出力する出力部と、を有する。
特開2006−28744号公報
流体圧シリンダにおいて、ピストンロッドの外周のシール部材を通じた流体漏れを検出するために、特許文献1に開示されるような流体検出器を用いて漏れ出した流体を検出することが考えられる。この場合には、例えば、検出器による検出間隔が短いほど、早期かつ確実に流体漏れを検出できる。その一方、検出間隔が短いと、例えば、流体圧シリンダが作動していない状態のデータなど、不要なデータを収集することがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、流体圧シリンダにおいて効率よく流体漏れを検出できる流体漏れ検出システムを提供することを目的とする。
本発明は、流体漏れ検出システムであって、流体圧シリンダに設けられ、ピストンロッドとシリンダヘッドとの間の隙間を通じて漏れる作動流体の状態量を測定する測定ユニットと、測定ユニットの測定結果を取得するコントローラと、を備え、測定ユニットは、シリンダヘッドに設けられピストンロッドとシリンダヘッドとの間の隙間を封止するロッドシールと、ロッドシールから漏れる作動流体が導かれる検出空間と、検出空間の作動流体の状態量の測定と測定結果の出力とを所定の作動条件で実行する測定部と、を有し、測定部は、作動流体の漏れを検出するための状態量と、検出空間内の温度と、を測定可能に構成され、コントローラは、測定部が測定した測定温度に応じて、流体圧シリンダが稼働しているかを判断する判断部と、判断部の判断結果に応じて、測定部の作動条件を設定する条件設定部と、を有し、条件設定部は、判断部によって流体圧シリンダが稼働状態にあると判断されると、作動条件を通常作動条件とし、判断部によって流体圧シリンダが稼働していない休止状態にあると判断されると、作動条件を通常作動条件よりも測定部の作動頻度が低い休止作動条件とすることを特徴とする。
本発明は、判断部が、測定温度と所定の温度閾値とを比較して、流体圧シリンダが稼働しているかを判断することを特徴とする。
これらの発明では、測定ユニットが測定した温度に基づき、判断部は、流体圧シリンダが稼働しているかを判断する。判断部により流体圧シリンダが休止状態にあると判断されると、測定ユニットの作動頻度が低減される。これにより、流体圧シリンダが稼働していない休止状態において不要なデータを収集することが抑制される。
本発明は、判断部が、外気温に基づいて温度閾値を設定して流体圧シリンダが稼働しているかを判断することを特徴とする。
この発明では、流体圧シリンダの稼働状態を判断する際、外気温の影響を抑制することができる。よって、流体圧シリンダの稼働状態の判断をより正確に行うことができる。
本発明は、判断部が、測定温度が温度閾値以上であれば流体圧シリンダは稼働状態にあると判断し、測定温度が温度閾値未満であって測定温度が前回測定された温度よりも上昇している場合には流体圧シリンダは暖機状態にあると判断し、測定温度が温度閾値未満であって測定温度が前回測定された温度以下の場合には流体圧シリンダは休止状態にあると判断し、条件設定部は、流体圧シリンダが稼働状態又は暖機状態である場合には作動条件を通常作動条件とし、流体圧シリンダが休止状態にある場合には作動条件を休止作動条件とすることを特徴とする。
この発明では、稼働状態に切り換わる前の状態である暖機状態において、測定部の作動条件が通常作動条件となる。このように、流体圧シリンダの作動状態が稼働状態となる前に測定部を通常作動条件で作動させることで、流体圧シリンダが稼働状態となった際、速やかに流体漏れを検出することができる。
本発明は、判断部が、流体圧シリンダが休止状態にあると判断した場合には、休止状態の継続時間に応じて、異なる判断結果を条件設定部に出力し、条件設定部は、異なる判断結果に応じて、作動条件を異なる休止作動条件とすることを特徴とする。
この発明では、休止状態の継続時間が長いほど、測定部は、より作動頻度が低い条件で作動する。よって、不要なデータの収集と電力消費がより一層抑制される。
本発明は、測定ユニットが、所定の時間長を有し所定の時間間隔ごとに繰り返される測定サイクルごとに、所定のサンプリング周期によって温度を測定すると共に、所定のデータ容量としての送信容量だけ温度を測定すると測定結果をコントローラに送信し、作動条件には、測定サイクルの時間長、測定サイクルが繰り返される時間間隔、サンプリング周期、及び送信容量が含まれることを特徴とする。
本発明によれば、流体漏れ検出システムによる流体漏れの検出が効率化される。
本発明の実施形態に係る流体漏れ検出システムの構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る油圧シリンダの一部断面図である。 本発明の実施形態に係る油圧シリンダの拡大断面図である。 本発明の実施形態に係る流体漏れ検出システムの検出ユニットを示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る流体漏れ検出システムの制御ユニットを示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る流体漏れ検出システムの作動を説明するための模式的なグラフ図であり、縦軸がデータ保管部に蓄積されるデータ容量、横軸が時間を示す。 本発明の実施形態に係る流体漏れ検出システムの変更制御を説明するためのフローチャート図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る流体漏れ検出システム100について説明する。
まず、図1を参照して、流体漏れ検出システム100を備える流体圧システム101の全体構成について説明する。
流体圧システム101は、流体圧駆動機械としての建設機械、特に油圧ショベルに用いられる。流体圧システム101は、複数の流体圧シリンダに給排される作動流体の流れを制御して、流体圧シリンダを駆動させる。
流体圧システム101は、図1に示すように、ブーム,アーム,及びバケットといった駆動対象(図示省略)を駆動する流体圧シリンダとしての油圧シリンダ1と、油圧シリンダ1に給排される作動油(作動流体)を制御して油圧シリンダ1の作動を制御する流体圧制御装置102と、油圧シリンダ1に設けられるシール部材としてのロッドシール11(図3参照)を通じた油漏れを検出する流体漏れ検出システム100と、を備える。
図2に示すように、油圧シリンダ1は、筒状のシリンダチューブ2と、シリンダチューブ2に挿入されるピストンロッド3と、ピストンロッド3の基端に設けられるピストン4と、を備える。ピストン4は、シリンダチューブ2の内周面に沿って摺動自在に設けられる。シリンダチューブ2の内部は、ピストン4によってロッド側室(流体圧室)2aと反ロッド側室2bとに区画される。
ピストンロッド3は、先端がシリンダチューブ2の開口端から延出している。図示しない油圧源からロッド側室2a又は反ロッド側室2bに選択的に作動油が導かれると、ピストンロッド3は、シリンダチューブ2に対して移動する。これにより、油圧シリンダ1は伸縮作動する。
シリンダチューブ2の開口端には、ピストンロッド3が挿通するシリンダヘッド5が設けられる。シリンダヘッド5は、複数のボルト6を用いてシリンダチューブ2の開口端に締結される。
流体圧制御装置102は、公知の構成を採用できるため、詳細な図示及び説明を省略する。流体圧制御装置102は、油圧ポンプ(油圧源)から各油圧シリンダ1に導かれる作動油の流れを制御して、各油圧シリンダ1を作動させる。
次に、流体漏れ検出システム100について、具体的に説明する。
流体漏れ検出システム100は、油圧シリンダ1において、ロッド側室2aからピストンロッド3の外周面とシリンダヘッド5の内周面との間を通じて作動油が漏れ出す油漏れ(流体漏れ)の発生を検出する。
流体漏れ検出システム100は、図1,3に示すように、油圧シリンダ1に設けられピストンロッド3の外周面とシリンダヘッド5の内周面との間の環状の隙間(以下、「環状隙間8」と称する。)から漏れ出す作動油の状態量を測定する測定ユニット10と、測定ユニット10の測定結果に基づき油圧シリンダ1における油漏れの発生を判定する制御ユニット70と、を備える。
測定ユニット10は、図3に示すように、シリンダヘッド5に設けられピストンロッド3の外周面とシリンダヘッド5の内周面との間の環状隙間8を封止するロッドシール11と、ロッド側室2aからロッドシール11を超えて漏れる作動油が導かれる検出空間20と、シリンダヘッド5に設けられて環状隙間8を封止し、ロッドシール11と共に検出空間20を区画する検出シール12と、検出空間20に連通する連通路21と、連通路21の圧力がリリーフ圧に達すると開弁して連通路21の圧力を逃がすリリーフ弁30と、ロッドシール11を超えて検出空間20に漏れ出した作動油の状態量を測定する測定部50と、リリーフ弁30及び測定部50を収容するハウジング40と、を備える。
シリンダヘッド5の内周には、ロッドシール11、ブッシュ13、検出シール12、ダストシール14が、基端側(図3中右側)から先端側(図3中左側)に向かってこの順で介装される。ロッドシール11、ブッシュ13、検出シール12、ダストシール14は、それぞれシリンダヘッド5の内周に形成される環状溝5a,5b,5c,5dに収容される。
ブッシュ13がピストンロッド3の外周面に摺接することにより、ピストンロッド3がシリンダチューブ2の軸方向に移動するように支持される。
ロッドシール11は、ピストンロッド3の外周とシリンダヘッド5の内周の環状溝5aとの間で圧縮されており、これにより環状隙間8を封止する。ロッドシール11は、ロッド側室2a(図2参照)に臨んでおり、ロッドシール11によって、ロッド側室2a内の作動油が外部に漏れることが防止される。ロッドシール11は、いわゆるUパッキンである。
ダストシール14は、シリンダチューブ2の外部に臨むようにシリンダヘッド5に設けられて、環状隙間8を封止する。ダストシール14は、ピストンロッド3の外周面に付着するダストをかき出して、外部からシリンダチューブ2内へのダストの侵入を防止する。
検出シール12は、ロッドシール11と同様に、ピストンロッド3の外周とシリンダヘッド5の内周の環状溝5cとの間で圧縮されており、これにより環状隙間8を封止する。検出シール12は、ロッドシール11とダストシール14の間に設けられて、ロッドシール11と共に検出空間20を区画する。つまり、検出空間20は、ピストンロッド3、シリンダヘッド5、ロッドシール11、及び検出シール12(本実施形態では、これに加えてブッシュ13)によって区画される空間である。検出シール12は、ロッドシール11と同様、Uパッキンである。
連通路21は、検出空間20に連通するように、シリンダヘッド5及びハウジング40にわたって形成される。連通路21は、シリンダヘッド5に形成され検出空間20に開口する第1連通路22と、ハウジング40に形成され第1連通路22に連通する第2連通路23と、を有する。連通路21には、ロッドシール11から漏れ出すロッド側室2aの作動油が環状隙間8及び検出空間20を通じて導かれる。
リリーフ弁30は、第2連通路23における作動油の圧力が所定の圧力(リリーフ圧)に達すると開弁し、第2連通路23を通じて検出空間20内の作動油を外部に排出する。これにより、検出空間20内の圧力は、リリーフ弁30によってリリーフ圧に制限される。リリーフ弁30の構造は、公知の構成を採用することができるため、詳細な図示及び説明は省略する。
ハウジング40は、シリンダヘッド5の端部に圧入により固定される。ハウジング40には、測定部50を収容するセンサ収容穴41と、リリーフ弁30を収容するバルブ収容穴42と、がさらに形成される。センサ収容穴41及びバルブ収容穴42は、それぞれ第2連通路23に連通し、バルブ収容穴42がセンサ収容穴41よりも第1連通路22側(上流側)において第2連通路23に連通している。
測定部50は、作動油の状態量としての圧力の測定と制御ユニット70への測定結果の出力とを所定の作動条件により実行する。言い換えれば、測定部50は、所定の作動条件に基づいて所定の作動頻度で圧力の測定と測定結果の出力とを実行する。作動頻度とは、測定部50が圧力を測定する測定頻度と、測定部50から制御ユニット70へ測定結果が送信される送信頻度と、を含むものである。また、測定部50は、検出空間20内の温度も測定可能に構成される。
測定部50は、図4に示すように、圧力及び温度を測定可能な圧力温度センサであるセンサ部51と、センサ部51に指令信号を出力すると共にセンサ部51の測定結果を取得するセンサコントローラ60と、無線通信により制御ユニット70と信号の送受信を行う第1通信部52と、センサ部51、センサコントローラ60、及び第1通信部52の電源(動力源)であるバッテリ54と、を有する。
測定部50は、センサ部51、センサコントローラ60、及びバッテリ54がそれぞれ同一の筐体内に組み込まれて構成されており、図3に示すように、ハウジング40に形成されるセンサ収容穴41に一部が収容される。また、測定部50は、ハウジング40の第2連通路23に連通するねじ孔24に螺合により固定される。
センサ部51は、検出空間20内の圧力及び温度を測定する。これにより、第1連通路22及び第2連通路23(図3参照)を通じて検出空間20に導かれる作動油の圧力及び温度が、センサ部51によって測定される。センサ部51の作動については、後に詳細に説明する。
バッテリ54は、センサコントローラ60、センサ部51、及び第1通信部52に電気的に接続される。センサコントローラ60、センサ部51、及び第1通信部52は、バッテリ54からの給電によりそれぞれ作動する。
センサコントローラ60は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。センサコントローラ60は、複数のマイクロコンピュータで構成されてもよい。センサコントローラ60は、少なくとも、本明細書に記載されるセンサコントローラ60による制御のために必要な処理を実行可能となるようにプログラムされている。なお、センサコントローラ60は一つの装置として構成されていても良いし、複数の装置に分けられ、センサコントローラ60による各制御を当該複数の装置で分散処理するように構成されていてもよい。
センサコントローラ60は、センサ部51に指令信号を出力する指令部61と、センサ部51の測定結果及びバッテリ54の電池残量を取得し蓄えるデータ保管部62と、を有する。
指令部61からの指令信号に基づき、センサ部51は所定の作動条件(測定頻度)で作動して、検出空間20圧力及び温度を測定する。センサ部51の測定結果は、データ保管部62に入力される。
データ保管部62は、センサ部51の測定結果とバッテリ54の電池残量を蓄積し、蓄積されたデータを所定の作動条件(送信頻度)で制御ユニット70に向け出力する。データ保管部62からデータを出力する送信頻度は、指令部61の指令信号に応じて変更可能である。
第1通信部52は、センサコントローラ60に電気的に接続され、センサコントローラ60との間で信号の送受信を行う。また、第1通信部52は、制御ユニット70との間で無線通信可能に構成される。
制御ユニット70は、例えば、建設機械の運転室(キャビン)内に配置される。制御ユニット70は、図5に示すように、測定部50の第1通信部52と無線通信により信号の送受信を行う第2通信部71と、第2通信部71を通じて測定ユニット10の測定部50との間で信号の送受信が行われるコントローラ80と、を備える。
コントローラ80は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。コントローラ80は、複数のマイクロコンピュータで構成されてもよい。コントローラ80は、少なくとも、本明細書に記載されるコントローラ80による制御のために必要な処理を実行可能となるようにプログラムされている。なお、コントローラ80は一つの装置として構成されていても良いし、複数の装置に分けられ、本実施形態における各制御を当該複数の装置で分散処理するように構成されていてもよい。
コントローラ80は、測定部50の測定結果を取得し、測定部50の測定結果に基づき油圧シリンダ1において油漏れが発生しているか否かを判定する。また、コントローラ80は、第2通信部71を通じて測定ユニット10の測定部50の作動条件を変更する。
コントローラ80は、測定部50の測定結果を記憶する記憶部81と、測定部50の測定結果に応じて油漏れの発生の有無を判定する漏れ判定部82と、測定部50の作動条件を設定する条件設定部83と、測定部50の測定結果に応じて、油圧シリンダ1が稼働しているかを判断する判断部84と、を有する。
測定部50のセンサコントローラ60から送信される情報(検出空間20の圧力及び温度、バッテリ54の電池残量)は、記憶部81に記憶されると共に、判断部84及び漏れ判定部82に入力される。
漏れ判定部82は、測定ユニット10のセンサ部51が測定する状態量としての圧力に基づき、油圧シリンダ1において油漏れが発生しているか否かを判定する。漏れ判定部82は、測定ユニット10の測定結果が入力されるごとに油漏れの発生を判定する。
判断部84は、測定ユニット10の測定部50が測定した温度(測定温度)に基づき、油圧シリンダ1が稼働しているかを判断する。具体的には、判断部84は、油圧シリンダ1が、稼働している稼働状態、稼働していない休止状態、及び稼働させる前の暖機が行われる暖機状態のいずれの状態にあるかを判断する。判断部84の判断結果は、条件設定部83に入力される。なお、稼働とは、実際に油圧シリンダ1が伸縮作動している状態のみをさすものではなく、流体圧制御装置102によって伸縮作動可能な状態にあることを指すものである。
条件設定部83は、第1,第2通信部52,71を通じて、センサコントローラ60の指令部61に対し、判断部84の判断結果に応じた作動条件で測定部50を作動させるような指令信号を送信する。センサコントローラ60の指令部61は、条件設定部83から指令信号を受信すると、指令信号に対応した作動条件で作動するようにセンサ部51及び/又はデータ保管部62に指令信号を出力する。判断部84及び条件設定部83の作動については、後により詳細に説明する。
また、流体漏れ検出システム100は、外気温情報を取得する外気温センサ55をさらに備える。外気温センサ55は、測定部50を収容する筐体内に設けられる。なお、これに限らず、外気温センサ55は、コントローラ80と同様、建設機械のキャビン側に設けられてもよい。
次に、流体漏れ検出システム100の作用について説明する。
まず、測定ユニット10の測定部50の作動について、具体的に説明する。
センサ部51は、所定の時間長を有し所定の時間間隔で繰り返される測定サイクルごとに、所定のサンプリング周期によって圧力及び温度を測定する。データ保管部62は、蓄積されたデータ(センサ部51の測定結果及びバッテリ54の電池残量)が所定のデータ容量に達すると、第1通信部52を通じて制御ユニット70に蓄積されたデータを送信する。以下では、測定サイクルの時間長(測定サイクルの開始から終了までの時間)を「測定時間Td」、ある測定サイクルの開始から次回の測定サイクルの開始までの時間間隔を「サイクル間隔CT」とする。また、センサ部51のサンプリング周期を「サンプリング周期SC」、データ保管部62が測定結果を送信(出力)するまでに蓄積するデータ容量を「送信容量Dc」とする。測定部50の作動条件とは、センサ部51が圧力及び温度を検出する条件である測定時間Td、サンプリング周期SC、サイクル間隔CT、及びセンサ部51の測定結果をデータ保管部62が制御ユニット70のコントローラ80に送信する送信容量Dcが含まれる。
図6は、時間とデータ保管部62に蓄積される測定結果のデータ容量との関係を示す模式的なグラフ図である。図6に示すように、センサ部51は、測定時間Tdの間、サンプリング周期SCごとに検出空間20内の圧力及び温度を測定し、検出開始から測定時間Tdが経過すると、圧力及び温度の測定を終了する。圧力及び温度の測定の終了後は、センサ部51は、圧力及び温度を測定しない待機状態(スリープ状態)となる。
センサ部51の測定結果は、データ保管部62に蓄積される。データ保管部62は、送信容量Dc分だけ測定結果が蓄積されるごとに、蓄積されたデータを第1通信部52に出力する。図6では、5回分の測定結果のデータ容量が送信容量Dcに相当する。第1通信部52は、データ保管部62から出力されたデータをコントローラ80の第2通信部71に無線送信する。送信頻度は、測定部50におけるセンサコントローラ60のデータ保管部62からコントローラ80にデータが送信される送信容量Dcに応じて定められる。
なお、図6に示すように、データ保管部62は、蓄積されたデータを第1通信部52に出力するごとに蓄積されたデータを消去するが、これに限らず、データを蓄積し続けるものでもよい。
このように、センサ部51は、検出空間20内の圧力及び温度を常時(連続的に)測定するのではなく間欠的に測定する。また、センサ部51の測定結果は、直ちにコントローラ80に送信されるものではなく、送信容量Dcだけデータ保管部62に蓄積されると、コントローラ80に送信される。つまり、センサ部51の測定結果は、間欠的にコントローラ80に送信される。センサ部51による測定とデータ保管部62からの測定結果の送信が、それぞれ間欠的に実行されるため、消費電力を低減することができる。なお、センサ部51及びデータ保管部62は、それぞれ連続的な測定と測定結果の出力(データ送信)も実行可能である。
次に、コントローラ80による油漏れの判定について説明する。
油圧シリンダ1のロッドシール11の劣化が進行すると、ロッド側室2aの油圧がロッドシール11を超えて検出空間20内に導かれる。よって、ロッドシール11の劣化に伴い検出空間20の圧力及び温度は上昇する。流体漏れ検出システム100では、検出空間20内の圧力を測定ユニット10の測定部50により測定し、測定結果に基づいて制御ユニット70のコントローラ80で油漏れの発生の有無を判定することにより、油圧シリンダ1における油漏れが検出される。なお、本明細書においては、ロッドシール11の「劣化」とは、摩耗及び損傷を含むものである。摩耗とは、ピストンロッド3の往復動等の定常的な負荷に起因するものであり、寿命による劣化を指すものである。損傷とは、アクシデントなどによる偶発的な負荷に起因する劣化を指すものである。
油漏れの判定を具体的に説明すると、本実施形態では、検出空間20内の圧力に基づいて油漏れの判定が行われる。コントローラ80の漏れ判定部82は、センサコントローラ60のデータ保管部62からセンサ部51の測定結果が送信されるごとに、送信されたデータ群から圧力データとして最大圧力値を取得する。漏れ判定部82は、最大圧力値と予め定められる判定閾値とを比較し、最大圧力値が判定閾値以上であると油漏れが発生していると判定する。漏れ判定部82により油漏れが発生していると判定されると、判定結果が報知部(図示省略)に送信され、油漏れの発生が作業者に報知される。このようにして、油圧シリンダ1における油漏れが検出される。一方、最大圧力値が判定閾値よりも小さい場合には、漏れ判定部82は、油漏れが発生していないと判定する。
なお、本明細書における「油漏れが発生していない」とは、厳密な意味ではなく、ロッドシール11を超えて作動油が検出空間20内に全く漏れ出していないことのみを意味するものではない。例えば、作動油がロッド側室2aから検出空間20内に漏れ出した場合であっても、ロッドシール11の劣化(摩耗・損傷)が許容される程度である場合には、漏れ判定部82は「油漏れが発生していない」と判定する。つまり、「油漏れが発生している」とは、ロッドシール11の劣化(摩耗・損傷)が許容範囲を超えた状態を指すものである。よって、判定閾値は、許容されるロッドシール11の劣化(摩耗・損傷)の程度に応じて設定される。
また、油漏れの判定に使用する圧力データは、最大圧力値に限らず、その他のものでもよい。例えば、圧力データとして、最低圧力値や中央値など送信されるデータ群に含まれる一つの測定値であってもよいし、平均値のように測定値を演算して算出される値であってもよい。つまり、圧力データとは、センサ部51が測定した圧力の測定値そのもの、及び、測定値から得られる値も含むものである。
次に、測定部50の作動条件の変更について説明する。
センサ部51のサンプリング周期SC及びサイクル間隔CTが短く、測定時間Tdが長いほど、センサ部51の測定頻度が高くなる。これにより、圧力及び温度がより多く測定され、センサ部51により取得されるデータ容量が大きくなり、油漏れの検出精度が向上する。例えば、センサ部51が待機状態とならずに検出空間20内の圧力及び温度を常時検出する場合(言い換えれば、測定時間Td=サイクル間隔CTである場合)には、油漏れが発生すると速やかに油漏れの発生を検出することができる。また、送信容量Dcが小さいほど、送信頻度が高くなる。送信頻度が高くなることにより、頻繁に油漏れの発生が判定されるため、油漏れの検出精度が向上する。このように、測定部50の作動頻度(センサ部51の測定頻度及びデータ保管部62からの送信頻度)が高いほど、流体漏れ検出システム100による油漏れの検出精度が向上する。
反対に、サンプリング周期SC及びサイクル間隔CTが長く、測定時間Tdが短いほど、センサ部51の測定頻度が低く、測定される圧力及び温度のデータ容量は小さい。また、送信容量Dcが大きいほど送信頻度が低い。つまり、センサコントローラ60から測定結果が出力される回数が少ないため、コントローラ80により油漏れの発生が判定される回数が少ない。よって、測定部50の作動頻度が低いほど、油漏れの検出精度は低下するが、データの処理負荷は低減され、バッテリ54の消費電力を抑制することができる。
このように、油漏れの検出精度を向上させるためには、測定部50の作動頻度(センサ部51の測定頻度とデータ保管部62からの送信頻度)が高いほうが好ましい。その一方で、測定部50の作動頻度を高くすると、例えば、建設機械や油圧シリンダ1が作動していない状態のデータなど、不要なデータを収集することがある。また、測定頻度や送信頻度が高いと、センサ部51、第1通信部52、及びセンサコントローラ60によるバッテリ54の消費電力も大きくなる。
そこで、本実施形態に係る流体漏れ検出システム100では、状況に応じて測定部50の作動条件を変更する変更制御が実行される。
変更制御は、測定サイクルごとに実行される。つまり、変更制御の実行間隔は、サイクル間隔CTに相当する。変更制御は、例えば、図6に示すように、測定サイクルが終了する際、つまり、測定サイクルにおける最後の測定が実行された際に実行される。
変更制御では、油圧シリンダ1(建設機械)の運転状態に応じて測定部50の作動条件を変更することで、油圧シリンダ1が稼働していない状態での不要なデータの収集を抑制し、消費電力を抑制する。
油圧シリンダ1の作動状態には、上述のように、油圧シリンダ1が稼働する稼働状態と、油圧シリンダ1が稼働していない休止状態と、油圧シリンダ1を稼働させる前の暖機が行われる暖機状態と、が含まれる。
油圧シリンダ1が稼働状態または暖機状態である場合には、測定部50が通常作動条件で作動するよう、条件設定部83は、指令部61に指令信号を出力する。また、油圧シリンダ1が休止状態の場合には、条件設定部83は、測定部50が休止作動条件で作動するよう指令部61に指令信号を出力する。休止作動条件は、通常作動条件よりも作動頻度が低い作動条件である。
また、油圧シリンダ1の休止状態の継続時間は、油圧シリンダ1が搭載される建設機械がどのように使用されるかなどの事情に応じて異なる。よって、例えば、休止状態が比較的短い場合にサイクル間隔CTを大きくしすぎると、稼働状態となっても圧力が測定されず、油漏れの検出ができないことがある。そこで、本実施形態では、変更制御を実行する回数をカウンタ値Cとして計測し、カウンタ値Cの値に基づいて、休止状態の継続時間を計測する。油圧シリンダ1が休止状態にある際、計測した休止状態の継続時間に応じて、休止作動条件として、第1休止条件、第2休止条件、及び第3休止条件のいずれかが作動条件として設定される。第1休止条件、第2休止条件、第3休止条件は、この順で作動頻度が低い作動条件である。
以下、図7のフローチャート図を参照して、コントローラ80が実行する変更制御について説明する。
ステップ10では、センサ部51が測定した温度(以下、「測定温度Tn」とする。)を取得する。
ステップ11では、ステップ10で取得した測定温度Tnと、油圧シリンダ1が稼働しているか否かを判定するための温度閾値である稼働閾値Tcと、を比較する。測定温度Tnが稼働閾値Tc以上であれば、ステップ12にて油圧シリンダ1が稼働状態であると判断し、ステップ13においてカウンタ値Cを初期値である「0」に設定(カウンタ値Cをリセット)する。その後、ステップ14に進み、測定部50の作動条件を通常作動条件に設定する。
稼働閾値Tcは、外気温センサ55によって取得される外気温に応じて設定される。例えば、外気温センサ55が測定する外気温と稼働閾値Tcとの対応関係を示すマップをあらかじめ記憶部81に記憶しておき、当該マップに基づき判断部84が稼働閾値Tcを設定する。稼働閾値Tcが外気温に基づいて設定されることで、測定温度Tnを利用した油圧シリンダ1の状態の判断に対する外気温の影響を抑制することができる。
ステップ11にて、測定温度Tnが稼働閾値Tcよりも小さいと判定されると、ステップ15において検出空間20内の温度上昇が生じているかが判定される。具体的には、ステップ11で取得した測定温度Tnと、当該測定温度Tnの直前に測定された測定温度(以下、「測定温度Tn-1」とする。)と、を比較する。
ここで、油圧シリンダ1が休止状態から稼働状態に切り換わる間には、建設機械や流体圧制御装置102を暖機させる必要がある。このような暖機状態では、一般的には、流体圧制御装置102などからの伝熱により油漏れが発生していなくても検出空間20の温度は上昇するが、測定温度Tnは稼働閾値Tcよりも小さい。しかし、暖機後には、油圧シリンダ1は稼働状態となるため、暖機状態において測定部50の作動頻度を低減することは非効率である。そこで、本実施形態では、ステップ15において今回の測定温度Tnが前回の測定温度Tn-1よりも大きければ、温度上昇が生じていると判定する。この場合には、油圧シリンダ1は、暖機状態であると判定し、ステップ14にて測定部50の作動条件を稼働状態と同じ通常作動条件に設定する。
ステップ15にて今回の測定温度Tnが前回の測定温度Tn-1より小さい場合には、ステップ17にて油圧シリンダ1は休止状態であると判定して、ステップ18に進む。ステップ18では、休止状態の継続時間を計測するためのカウンタ値Cに「1」を加算して、ステップ19に進む。
ステップ19からステップ23では、カウンタ値Cに基づいて、休止状態の継続時間に基づき、作動条件を決定する。
ステップ19では、カウンタ値Cが閾値C1よも大きいか否かが判定される。カウンタ値Cが閾値C1よりも小さい場合には、ステップ20に進み、測定部50の作動条件が第1休止条件に設定される。
ステップ19において、カウンタ値Cが閾値C1よりも大きい場合には、ステップ21において、閾値C1よりも大きな閾値C2とカウンタ値Cとが比較される。カウンタ値Cが閾値C2よりも小さい場合には、ステップ22に進み、測定部50の作動条件が第1休止条件より作動頻度が低い第2休止条件に設定される。
ステップ21において、カウンタ値Cが閾値C2よりも大きい場合には、ステップ23に進み、測定部50の作動条件が第2休止条件より作動頻度が低い第3休止条件に設定される。
このように、測定部50の作動条件は、カウンタ値Cの値(言い換えれば、休止状態の継続時間)が大きいほど、より作動頻度が低い条件に設定される。つまり、判断部84は、休止状態の継続時間に応じて、異なる判断結果を条件設定部83に出力し、条件設定部83は、異なる判断結果に応じて、作動条件を異なる休止作動条件とする。
ステップ14,20,22,23における作動条件の設定は、条件設定部83が、センサコントローラ60の指令部61に対して決定された作動条件に対応する指令信号を出力することで実行される。
センサコントローラ60の指令部61は、コントローラ80の条件設定部83から指令信号が入力されると、その作動条件で作動するように、測定部50のセンサ部51及びデータ保管部62に指令信号を出力する。これにより、測定部50(センサ部51,データ保管部62)は、新たな作動条件により作動する。
なお、油圧シリンダ1の状態(稼働状態、暖機状態、休止状態)が変わらず、測定部50の作動条件を変更する必要がない場合には、条件設定部83は新たに指令信号を出力しなくてもよいし、変わらない作動条件に対応する指令信号を出力してもよい。
ステップ14,20,22,23において、作動条件が設定されると、処理を終了する。
このように、本実施形態では、測定部50は、油圧シリンダ1が稼働する稼働状態及び稼働状態の前段階である暖機状態では、作動頻度が比較的高い通常作動条件で作動する。また、測定部50は、油圧シリンダ1が休止状態では、作動頻度が比較的低い休止作動条件で作動する。流体漏れ検出システム100では、油圧シリンダ1の状態に応じて最適な作動条件で測定部50が作動するため、不要なデータの収集と電力消費が抑制される。したがって、油漏れの検出が効率化される。
また、本実施形態では、変更制御の実行回数をカウントすることで、休止状態が継続される継続時間が測定される。休止状態の継続時間が長いほど、測定部50は、より作動頻度が低い条件で作動する。よって、不要なデータの収集と電力消費がより一層抑制され、油漏れの検出がさらに効率化される。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、休止状態の継続時間に応じて、測定部50の作動条件は、第1休止条件、第2休止条件、及び第3休止条件のいずれかに設定される。これに対し、油圧シリンダ1が休止状態である場合には、測定部50の作動条件は、継続時間に応じて、休止作動条件として2つの作動条件または4つ以上の作動条件に設定されるものでもよい。この場合には、継続時間が長いほど、作動頻度が低い作動条件とすることが望ましい。また、休止状態の継続時間に関わらず、測定部50が一つの休止作動条件に設定されてもよい。
また、上記実施形態では、油圧シリンダ1が稼働状態であると判断されると、カウンタ値Cがリセット(「0」に設定)される。これに対し、カウンタ値Cは、特定の信号を受信するとリセットされるものでもよい。例えば、作業者がボタン等の操作部を操作することによる信号、コントローラ80の電源のオン信号、建設機械のイグニッションスイッチのオン信号を受信すると、カウンタ値Cをリセットするものでもよい。
また、上記実施形態では、図7に示すステップ15において、今回の測定温度Tnと前回の測定温度Tn−1の大小を比較することで、温度が上昇したかを判定する。これに対し、例えば、今回の測定温度Tnと前回の測定温度Tn−1との差分が、所定の温度上昇閾値以上であれば、温度が上昇して、暖機状態であると判定してもよい。
また、上記実施形態では、センサ部51は、作動油の漏れの検出に用いられる状態量として圧力を測定する。コントローラ80の漏れ判定部82は、センサ部51が測定した圧力に基づいて、作動油の漏れを判定する。これに対し、センサ部51は、圧力以外の状態量を測定し、漏れ判定部82はセンサ部51が測定した状態量に基づき、作動油の漏れを判定するものでもよい。例えば、センサ部51は、検出空間20に導かれる作動油の誘電率を状態量として測定し、漏れ判定部82は、誘電率に基づいて作動油の漏れを判定してもよい。
また、上記実施形態では、センサ部51は、圧力及び温度の両方を検出可能な圧力温度センサである。センサ部51は、作動油の漏れの検出に用いられる状態量として圧力を測定すると共に、油圧シリンダ1の稼働状態を判定するために温度を測定する。このように、測定部50は、圧力(状態量)及び温度をそれぞれ測定可能に構成される。これに対し、測定部50は、作動油の漏れの検出のために用いられる状態量を測定するセンサと、油圧シリンダ1の稼働状態を判定するために用いられる温度を測定するセンサと、をそれぞれ独立して有していてもよい。測定部50は、このような構成により、状態量と温度とを測定するものでもよい。
また、上記実施形態では、測定部50は、所定の作動条件により、検出空間20の圧力及び温度を測定し、測定結果を送信する。つまり、測定部50は、圧力の測定及び送信と温度の測定及び送信とを同一の条件で実行する。これに対し、特に測定部50が状態量を測定するセンサと温度を測定するセンサとを独立して有するような場合などには、状態量の測定と温度の測定とにおける作動条件は同一でなくてもよい。上記のように、変更制御が測定サイクルの最後に実行される場合には、測定サイクルにおける最後の測定の際だけ温度を測定するようにしてもよい。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
流体漏れ検出システム100では、測定部50が測定した温度によって判断部84が油圧シリンダ1の作動状態を判断し、判断部84により油圧シリンダ1が作動していないと判断されると、測定部50の作動頻度が低減する。これにより、油圧シリンダ1が作動していない状態の不要なデータを収集することが抑制される。したがって、流体漏れ検出システム100による油漏れの検出が効率化される。
また、流体漏れ検出システム100では、測定部50は、油圧シリンダ1が稼働する稼働状態及び稼働状態の前段階である暖機状態では、作動頻度が比較的高い通常作動条件で作動する。測定部50は、油圧シリンダ1が休止状態では、作動頻度が比較的低い休止作動条件で作動する。このように、流体漏れ検出システム100では、油圧シリンダ1の作動状態に応じて最適な作動条件で測定部50が作動するため、不要なデータの収集と電力消費が抑制される。したがって、油漏れの検出が効率化される。
また、流体漏れ検出システム100では、変更制御の実行回数をカウントすることで、休止状態が継続される継続時間が測定される。休止状態の継続時間が長いほど、測定部50は、より作動頻度が低い条件で作動する。よって、不要なデータの収集と電力消費がより一層抑制され、油漏れの検出がさらに効率化される。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
シリンダチューブ2から延出するピストンロッド3と、ピストンロッド3が挿通しシリンダチューブ2に設けられるシリンダヘッド5と、を有する油圧シリンダ1においてピストンロッド3とシリンダヘッド5との間の環状隙間8を通じた作動油の漏れを検出するための流体漏れ検出システム100は、油圧シリンダ1に設けられピストンロッド3とシリンダヘッド5との間の環状隙間8を通じて漏れる作動油の圧力を測定する測定ユニット10と、測定ユニット10の測定結果を取得するコントローラ80と、を備え、測定ユニット10は、シリンダヘッド5に設けられピストンロッド3とシリンダヘッド5との間の環状隙間8を封止するロッドシール11と、ロッドシール11から漏れる作動油が導かれる検出空間20と、検出空間20の作動油の圧力の測定と測定結果の出力とを所定の作動条件で実行する測定部50と、を有し、測定部50は、作動油の漏れを検出するための圧力と、検出空間20内の温度と、を測定可能に構成され、コントローラ80は、測定部50が測定した測定温度に応じて油圧シリンダ1が稼働しているかを判断する判断部84と、判断部84の判断結果に応じて、測定部50の作動条件を設定する条件設定部83と、を有し、条件設定部83は、判断部84によって油圧シリンダ1が稼働する稼働状態と判断されると、作動条件を通常作動条件とし、判断部84によって油圧シリンダ1が稼働していない休止状態と判断されると、作動条件を通常作動条件よりも測定部50の作動頻度が低い休止作動条件とする。
また、流体漏れ検出システム100では、判断部84は、測定温度と所定の温度閾値とを比較して、油圧シリンダ1が稼働しているかを判断する。
これらの構成では、測定ユニット10が測定した温度に基づき、判断部84は、油圧シリンダ1が稼働しているか判断する。判断部84により油圧シリンダ1が稼働していないと判断されると、測定ユニット10の作動頻度が低減する。これにより、油圧シリンダ1が稼働していない状態の不要なデータを収集することが抑制される。したがって、流体漏れ検出システム100による流体漏れの検出が効率化される。
また、流体漏れ検出システム100では、判断部84は、外気温に基づいて温度閾値を設定し、油圧シリンダ1の稼働状態を判断する。
この構成では、油圧シリンダ1の稼働状態を判断する際、外気温の影響を抑制することができる。よって、油圧シリンダ1の稼働状態の判断をより正確に行うことができる。
また、流体漏れ検出システム100では、判断部84は、測定温度が温度閾値以上であれば油圧シリンダ1は稼働状態であると判断し、測定温度が温度閾値未満であって測定温度が測定された温度よりも上昇している場合には油圧シリンダ1は暖機状態であると判断し、測定温度が温度閾値未満であって測定温度が前回測定された温度以下の場合には油圧シリンダ1は休止状態であると判断し、条件設定部83は、油圧シリンダ1が稼働状態又は暖機状態である場合には作動条件を通常作動条件とし、油圧シリンダ1が休止状態である場合には作動条件を休止作動条件とする。
この構成では、稼働状態に切り換わる前の状態である暖機状態において、測定部50の作動条件が通常作動条件となる。このように、油圧シリンダ1の作動状態が稼働状態となる前に測定部50を通常作動条件で作動させることで、油圧シリンダ1が稼働状態となった際、速やかに油漏れを検出することができる。
また、流体漏れ検出システム100では、判断部84は、油圧シリンダ1が休止状態であると判断した場合には、休止状態の継続時間に応じて、異なる判断結果を条件設定部83に出力し、条件設定部83は、異なる判断結果に応じて、作動条件を異なる休止作動条件とする。
この構成では、休止状態の継続時間が長いほど、測定部50は、より作動頻度が低い条件で作動する。よって、不要なデータの収集と電力消費がより一層抑制され、油漏れの検出がさらに効率化される。
また、流体漏れ検出システム100では、測定ユニット10は、所定の時間長を有し所定の時間間隔ごとに繰り返される測定サイクルごとに、所定のサンプリング周期SCによって圧力及び温度の少なくともいずれかを測定すると共に、所定のデータ容量である送信容量Dcだけ温度を測定すると測定結果をコントローラ80に送信し、作動条件には、測定サイクルの時間長、測定サイクルが繰り返される時間間隔、サンプリング周期SC、及び送信容量Dcが含まれる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
1…油圧シリンダ(流体圧シリンダ)、2…シリンダチューブ、3…ピストンロッド、5…シリンダヘッド、8…環状隙間(隙間)、10…測定ユニット、11…ロッドシール、50…測定部、54…バッテリ、80…コントローラ、83…条件設定部、84…判断部、100…流体漏れ検出システム

Claims (6)

  1. シリンダチューブから延出するピストンロッドと、前記ピストンロッドが挿通し前記シリンダチューブに設けられるシリンダヘッドと、を有する流体圧シリンダにおいて前記ピストンロッドと前記シリンダヘッドとの間の隙間を通じた作動流体の漏れを検出するための流体漏れ検出システムであって、
    前記流体圧シリンダに設けられ、前記ピストンロッドと前記シリンダヘッドとの間の前記隙間を通じて漏れる作動流体の状態量を測定する測定ユニットと、
    前記測定ユニットの測定結果を取得するコントローラと、を備え、
    前記測定ユニットは、
    前記シリンダヘッドに設けられ前記ピストンロッドと前記シリンダヘッドとの間の前記隙間を封止するロッドシールと、
    前記ロッドシールから漏れる作動流体が導かれる検出空間と、
    前記検出空間の作動流体の前記状態量の測定と測定結果の出力とを所定の作動条件で実行する測定部と、を有し、
    前記測定部は、作動流体の漏れを検出するための前記状態量と、前記検出空間内の温度と、を測定可能に構成され、
    前記コントローラは、
    前記測定部が測定した測定温度に応じて、前記流体圧シリンダが稼働しているかを判断する判断部と、
    前記判断部の判断結果に応じて、前記測定部の前記作動条件を設定する条件設定部と、を有し、
    前記条件設定部は、前記判断部が前記流体圧シリンダは稼働状態にあると判断されると、前記作動条件を通常作動条件とし、前記判断部によって前記流体圧シリンダが稼働していない休止状態にあると判断されると、前記作動条件を前記通常作動条件よりも前記測定部の作動頻度が低い休止作動条件とすることを特徴とする流体漏れ検出システム。
  2. 前記判断部は、前記測定温度と所定の温度閾値とを比較して、前記流体圧シリンダが稼働しているかを判断することを特徴とする請求項1に記載の流体漏れ検出システム。
  3. 前記判断部は、外気温に基づいて前記温度閾値を設定して前記流体圧シリンダが稼働しているかを判断することを特徴とする請求項2に記載の流体漏れ検出システム。
  4. 前記判断部は、前記測定温度が前記温度閾値以上であれば前記流体圧シリンダは前記稼働状態にあると判断し、前記測定温度が前記温度閾値未満であって前記測定温度が前回測定された温度よりも上昇している場合には前記流体圧シリンダは暖機状態にあると判断し、前記測定温度が前記温度閾値未満であって前記測定温度が前回測定された温度以下の場合には前記流体圧シリンダは前記休止状態にあると判断し、
    前記条件設定部は、前記流体圧シリンダが前記稼働状態又は前記暖機状態にある場合には前記作動条件を前記通常作動条件とし、前記流体圧シリンダが前記休止状態にある場合には前記作動条件を前記休止作動条件とすることを特徴とする請求項2または3に記載の流体漏れ検出システム。
  5. 前記判断部は、前記流体圧シリンダが前記休止状態にあると判断した場合には、前記休止状態の継続時間に応じて、異なる判断結果を前記条件設定部に出力し、
    前記条件設定部は、前記異なる判断結果に応じて、前記作動条件を異なる前記休止作動条件とすることを特徴とする請求項4に記載の流体漏れ検出システム。
  6. 前記測定ユニットは、所定の時間長を有し所定の時間間隔ごとに繰り返される測定サイクルごとに、所定のサンプリング周期によって温度を測定すると共に、所定のデータ容量としての送信容量だけ温度を測定すると測定結果を前記コントローラに送信し、
    前記作動条件には、前記測定サイクルの時間長、前記測定サイクルが繰り返される時間間隔、前記サンプリング周期、及び前記送信容量が含まれることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の流体漏れ検出システム。
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