発明の詳細な説明
定義
「ハロゲン」又は「ハロ」は、F、Cl、Br又はIを指す。加えて、例えば、「ハロアルキル」という用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むように意味する。
「アルキル」という用語は、飽和の直鎖又は分岐鎖で一価の炭化水素基を指し、ここで、アルキル基は、場合により置換されていてもよい。一例において、アルキル基は、1〜18個の炭素原子(C1〜C18)である。他の例では、アルキル基は、C0〜C6、C0〜C5、C0〜C3、C1〜C12、C1〜C10、C1〜C8、C1〜C6、C1〜C5、C1〜C4又はC1〜C3である。C0アルキルは、結合を指す。アルキル基の例は、メチル(Me、−CH3)、エチル(Et、−CH2CH3)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CH2CH2CH3)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH3)2)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CH2CH2CH2CH3)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CH2CH(CH3)2)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH3)CH2CH3)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH3)3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CH2CH2CH2CH2CH3)、2−ペンチル(−CH(CH3)CH2CH2CH3)、3−ペンチル(−CH(CH2CH3)2)、2−メチル−2−ブチル(−C(CH3)2CH2CH3)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH3)CH(CH3)2)、3−メチル−1−ブチル(−CH2CH2CH(CH3)2)、2−メチル−1−ブチル(−CH2CH(CH3)CH2CH3)、1−へキシル(−CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2−へキシル(−CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3−へキシル(−CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CH3)2CH2CH2CH3)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH3)CH2CH(CH3)2)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH3)(CH2CH3)2)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CH2CH3)CH(CH3)2)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CH3)2CH(CH3)2)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH3)C(CH3)3、1−ヘプチル及び1−オクチルを含む。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているアルキル」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルのうちの1〜4個の例を含み、ここで、それらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1〜4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。
「アリール」は、1つ以上の基に縮合しているか否かにかかわらず、指定された数の炭素原子を有するか、又は数が指定されない場合、14個までの炭素原子を有する、炭素環式芳香族基を指す。一例は、6〜14個の炭素原子を有するアリール基を含む。別の例は、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を含む。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントレニル、ナフタセニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル、1H−インデニル、2,3−ジヒドロ−1H−インデニル等を含む(例えば、Lang’s Handbook of Chemistry (Dean, J. A., ed.) 13th ed. Table 7-2 [1985]を参照のこと)。特定のアリールは、フェニルである。置換されているフェニル又は置換されているアリールは、例えば、本明細書中で特定された基(「場合により置換されている」の定義を参照のこと)(例えば、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル、ピペリジニル及びピリミジニル)から選択される、1、2、3、4又は5つの置換基(例えば、1〜2個、1〜3個又は1〜4個の置換基)で置換されているフェニル基又はアリール基を意味し、ここで、それらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1〜4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。「置換されているフェニル」という用語の例は、モノ−又はジ(ハロ)フェニル基、例えば、2−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、4−クロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3−クロロフェニル、3−ブロモフェニル、4−ブロモフェニル、3,4−ジブロモフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、2−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル等;モノ−又はジ(ヒドロキシ)フェニル基、例えば、4−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、2,4−ジヒドロキシフェニル、それらの保護されているヒドロキシ誘導体等;ニトロフェニル基、例えば、3−又は4−ニトロフェニル;シアノフェニル基、例えば、4−シアノフェニル;モノ−又はジ(アルキル)フェニル基、例えば、4−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、4−(イソプロピル)フェニル、4−エチルフェニル、3−(n−プロピル)フェニル等;モノ−又はジ(アルコキシ)フェニル基、例えば、3,4−ジメトキシフェニル、3−メトキシ−4−ベンジルオキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−(イソプロポキシ)フェニル、4−(t−ブトキシ)フェニル、3−エトキシ−4−メトキシフェニル等;3−又は4−トリフルオロメチルフェニル;4−カルボキシフェニルのようなモノ−若しくはジカルボキシフェニル又は(保護されているカルボキシ)フェニル基、3−(保護されているヒドロキシメチル)フェニル又は3,4−ジ(ヒドロキシメチル)フェニル等のモノ−若しくはジ(ヒドロキシメチル)フェニル又は(保護されているヒドロキシメチル)フェニル;モノ−若しくはジ(アミノメチル)フェニル又は(保護されているアミノメチル)フェニル、例えば、2−(アミノメチル)フェニル又は2,4−(保護されているアミノメチル)フェニル;或いは、モノ−又はジ(N−(メチルスルホニルアミノ))フェニル、例えば、3−(N−メチルスルホニルアミノ))フェニルを含む。また、「置換されているフェニル」という用語は、二置換されているフェニル基(ここで、置換基は異なる)(例えば、3−メチル−4−ヒドロキシフェニル、3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル、2−メトキシ−4−ブロモフェニル、4−エチル−2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル、2−ヒドロキシ−4−クロロフェニル、2−クロロ−5−ジフルオロメトキシ等)、並びに三置換されているフェニル基(ここで、置換基は異なる)(例えば、3−メトキシ−4−ベンジルオキシ−6−メチルスルホニルアミノ、3−メトキシ−4−ベンジルオキシ−6−フェニルスルホニルアミノ)及び四置換されているフェニル基(ここで、置換基は異なる)(例えば、3−メトキシ−4−ベンジルオキシ−5−メチル−6−フェニルスルホニルアミノ)を表わす。
「発明の化合物」及び「本発明の化合物」等の用語は、そうではないと指示されない限り、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ij)、(Ik)、(Im)、(In)で示される化合物及び本明細書中における実施例の化合物を含み、その立体異性体(アトロプ異性体を含む)、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝産物、同位体、塩(例えば、薬学的に許容し得る塩)及びプロドラッグを含む。幾つかの実施態様では、溶媒和物、代謝産物、同位体若しくはプロドラッグは除外されるか、又はその任意の組み合わせ。
「シクロアルキル」は、非芳香族で、飽和又は部分的に不飽和の炭化水素環基を指し、シクロアルキル基は、独立して、本明細書中で記載された1つ以上の置換基で場合により置換されていてもよい。一例において、シクロアルキル基は、3〜12個の炭素原子(C3〜C12)である。他の例では、シクロアルキルは、C3〜C8、C3〜C10又はC5〜C10である。他の例では、単環としてのシクロアルキル基は、C3〜C8、C3〜C6又はC5〜C6である。別の例では、二環としてのシクロアルキル基は、C7〜C12である。別の例では、スピロ系としてのシクロアルキル基は、C5〜C12である。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロへキシル、過重水素化されているシクロへキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシルを含む。7〜12個の環原子を有する二環式シクロアルキルの例示的な配置は、限定されるものではないが、[4,4]、[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]の環系を含む。例示的な架橋二環式シクロアルキルは、限定されるものではないが、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.2.2]ノナンを含む。スピロシクロアルキルの例は、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン及びスピロ[4.5]デカンを含む。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているシクロアルキル」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル、ピペリジニル及びピリミジニルのうちの1〜4個の例を含み、それらのアルキル、アリール及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1〜4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。
「複素環基」、「複素環式」、「複素環」、「ヘテロシクリル」又は「ヘテロシクロ」は互換可能に使用され、3〜20個の環原子を有する、任意の単環式、二環式、三環式又はスピロであり、飽和又は不飽和の芳香族(ヘテロアリール)又は非芳香族(例えば、ヘテロシクロアルキル)の環系を指し、ここで、環原子は、炭素であり、環又は環系における少なくとも1つの原子は、窒素、イオウ又は酸素から選択されるヘテロ原子である。環系の任意の環原子がヘテロ原子である場合、その系は、分子の残部に対する環系の結合点にかかわらず複素環である。一例において、ヘテロシクリルは、3〜10個の環原子(「員」)を含み、単環、二環、三環及びスピロ環系を含み、ここで、環原子は、炭素であり、環又は環系における少なくとも1つの原子は、窒素、イオウ又は酸素から選択されるヘテロ原子である。一例において、ヘテロシクリルは、1〜4個のヘテロ原子を含む。一例において、ヘテロシクリルは、1〜3個のヘテロ原子を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、イオウ又は酸素から選択される1〜2個、1〜3個又は1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、窒素、イオウ又は酸素から選択される1〜2個、1〜3個又は1〜4個のヘテロ原子を有する4〜6員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、3員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、4員の単環を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、5〜6員の単環(例えば、5〜6員のヘテロアリール)を含む。別の例では、ヘテロシクリルは、3〜11員のヘテロシクロアルキル(例えば、4〜11員のヘテロシクロアルキル)を含む。幾つかの実施態様では、ヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つの窒素を含む。一例において、ヘテロシクリル基は、0〜3個の二重結合を含む。任意の窒素又はイオウのヘテロ原子は、場合により酸化(例えば、NO、SO、SO2)されていてもよく、任意の窒素のヘテロ原子は、場合により四級化(例えば、[NR4]+Cl−、[NR4]+OH−)されていてもよい。複素環の例は、オキシラニル、アジリジニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、1,2−ジチエタニル、1,3−ジチエタニル、ピロリジニル、ジヒドロ−1H−ピロリル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ヘキサヒドロチオピラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、オキサジナニル、チアジナニル、チオキサニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、オキサゼパニル、ジアゼパニル、1,4−ジアゼパニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、チアゼパニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,1−ジオキソイソチアゾリジノニル、オキサゾリジノニル、イミダゾリジノニル、4,5,6,7−テトラヒドロ[2H]インダゾリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]イミダゾリル、1,6−ジヒドロイミダゾール[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジニル、チアジニル、オキサジニル、チアジアジニル、オキサジアジニル、ジチアジニル、ジオキサジニル、オキサチアジニル、チアトリアジニル、オキサトリアジニル、ジチアジアジニル、イミダゾリニル、ジヒドロピリミジル、テトラヒドロピリミジル、1−ピロリニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、チアピラニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ジチアニル、ジチオラニル、ピリミジノニル、ピリミジンジオニル、ピリミジン−2,4−ジオニル、ピペラジノニル、ピペラジンジオニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、6−アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3−アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、2−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、2−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、8−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザスピロ[3.5]ノナニル、アザスピロ[2.5]オクタニル、アザスピロ[4.5]デカニル、1−アザスピロ[4.5]デカン−2−オニル(1-azaspiro[4.5]decan-2-only)、アザスピロ[5.5]ウンデカニル、テトラヒドロインドリル、オクタヒドロインドリル、テトラヒドロイソインドリル、テトラヒドロインダゾリル、1,1−ジオキソヘキサヒドロチオピラニルである。イオウ原子又は酸素原子、及び1〜3個の窒素原子を含有する5員の複素環の例は、チアゾリル(チアゾール−2−イル及びチアゾール−2−イル N−オキシドを含む)、チアジアゾリル(1,3,4−チアジアゾール−5−イル及び1,2,4−チアジアゾール−5−イルを含む)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール−2−イル)、並びにオキサジアゾリル(例えば、1,3,4−オキサジアゾール−5−イル及び1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)である。2〜4個の窒素原子を含有する5員環の複素環の例は、イミダゾリル、例えば、イミダゾール−2−イル;トリアゾリル(例えば、1,3,4−トリアゾール−5−イル;1,2,3−トリアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル)、及びテトラゾリル(例えば、1H−テトラゾール−5−イル)を含む。ベンゾ−縮合された5員の複素環の例は、ベンゾオキサゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル及びベンゾイミダゾール−2−イルである。1〜3個の窒素原子、及び場合によりイオウ原子又は酸素原子を含有する6員の複素環の例は、例えば、ピリジル、例えば、ピリダ−2−イル、ピリダ−3−イル及びピリダ−4−イル;ピリミジル、例えば、ピリミダ−2−イル及びピリミダ−4−イル;トリアジニル、例えば、1,3,4−トリアジン−2−イル及び1,3,5−トリアジン−4−イル;ピリダジニル(特に、ピリダジン−3−イル)、並びにピラジニルである。ピリジン N−オキシド及びピリダジン N−オキシド、並びにピリジル、ピリミダ−2−イル、ピリミダ−4−イル、ピリダジニル及び1,3,4−トリアジン−2−イル基は、他の例の複素環基である。複素環は、場合により置換されていてもよい。例えば、「場合により置換されている複素環」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル、ピペリジニル及びピリミジニルのうちの1〜4個の例を含み、ここで、それらのアルキル、アリール及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1〜4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、複素環基(例えば、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル)の置換基は、アミドを含む。例えば、複素環式(例えば、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル)置換基は、−(CH2)0−4CONR’R’’(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;置換されていないC1〜C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1〜C6アルキル、置換されていないC1〜C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1〜C6アルキル;置換されていないC1〜C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1〜C6アルキル、置換されていないC1〜C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1〜C6ヘテロアルキル;置換されていないC6〜C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1〜C6アルキル、置換されていないC1〜C6アルコキシ又はNR’R’’により置換されているC6〜C10アリール;置換されていない3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);及びハロゲン、OH、CN、置換されていないC1〜C6アルキル、置換されていないC1〜C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されている3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を意味するか;或いは、R’及びR’’は、窒素原子と組み合わさって、3−、4−、5−、6−又は7−員の環を形成することができ、ここで、環原子は、N、O又はSで場合により置換されており、ここで、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1〜C6アルキル、置換されていないC1〜C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’で場合により置換されている)であってもよい。
「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環が窒素、酸素及びイオウから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、5−又は6−員の芳香族環であり、例示的な実施態様では、少なくとも1つのヘテロ原子が窒素である、任意の単環、二環又は三環系を意味する。例えば、Lang’s Handbook of Chemistry (Dean, J. A., ed.) 13th ed. Table 7-2 [1985] を参照のこと。上記ヘテロアリール環のいずれかがアリール環に縮合している、任意の二環式基が定義に含まれ、ここで、アリール環又はヘテロアリール環は、分子の残部に結合している。一実施態様において、ヘテロアリールは、1つ以上の環原子が窒素、イオウ又は酸素である5〜6員の単環式芳香族基を含む。ヘテロアリール基の例は、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジニル、イミダゾール[1,2−a]ピリミジニル及びプリニル、並びにベンゾ−縮合誘導体(例えば、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル及びインドリル)を含む。ヘテロアリール基は、場合により置換されていることができる。幾つかの実施態様では、「場合により置換されているヘテロアリール」についての置換基は、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル、ピペリジニル及びピリミジニルのうちの1〜4個の例を含み、ここで、それらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、例えば、この同じ列記から選択される1〜4個の例の置換基により場合により置換されていてもよい。幾つかの実施態様では、ヘテロアリールの置換基は、アミドを含む。例えば、ヘテロアリール置換基は、−(CH2)0−4CONR’R’’(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立して、例えば、水素;置換されていないC1〜C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1〜C6アルキル、置換されていないC1〜C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1〜C6アルキル;置換されていないC1〜C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1〜C6アルキル、置換されていないC1〜C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されているC1〜C6ヘテロアルキル;置換されていないC6〜C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1〜C6アルキル、置換されていないC1〜C6アルコキシ又はNR’R’’により置換されているC6〜C10アリール;置換されていない3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);及びハロゲン、OH、CN、置換されていないC1〜C6アルキル、置換されていないC1〜C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’により置換されている3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール、又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル)を含む基を意味するか;或いは、R’及びR’’は、窒素原子と組み合わさって、3−、4−、5−、6−又は7−員の環を形成することができ、ここで、環原子は、N、O又はSで場合により置換されており、ここで、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1〜C6アルキル、置換されていないC1〜C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’で場合により置換されている)であってもよい。
特定の実施態様では、ヘテロシクリル基は、ヘテロシクリル基の炭素原子において結合している。一例として、炭素に結合するヘテロシクリル基は、ピリジン環の2、3、4、5若しくは6位、ピリダジン環の3、4、5若しくは6位、ピリミジン環の2、4、5若しくは6位、ピラジン環の2、3、5若しくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール若しくはテトラヒドロピロール環の2、3、4若しくは5位、オキサゾール、イミダゾール若しくはチアゾール環の2、4若しくは5位、イソオキサゾール、ピラゾール若しくはイソチアゾール環の3、4若しくは5位、アジリジン環の2若しくは3位、アゼチジン環の2、3若しくは4位、キノリン環の2、3、4、5、6、7若しくは8位、又はイソキノリン環の1、3、4、5、6、7若しくは8位の結合配置を含む。
ある実施態様では、ヘテロシクリル基は、N−結合している。一例として、窒素に結合するヘテロシクリル又はヘテロアリール基は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドール又はイソインドリンの2位、モルホリンの4位、及びカルバゾール又はβ−カルボリンの9位における結合配置を含む。
「アルコキシ」という用語は、式−OR(式中、Rは、本明細書中で定義されたアルキルである)により表わされる、直鎖又は分岐鎖で一価の基を指す。アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、モノ−、ジ−及びトリフルオロメトキシ、並びにシクロプロポキシを含む。
「アルカノイル」という用語は、基(アルキル)−C(=O)−(式中、アルキルは、本明細書中で定義されたとおりである)を指す。例えば、C1〜C6アルカノイルは、式(C1〜C5アルキル)−C(=O)−の基を指す。アルカノイル基は、ホルミル、アセチル、プロパノイル、イソプロパノイル、ブタノイル、イソブタノイル、ペンタノイル、3−メチルペンタノイル及びヘキサノイルを含む。
「場合により置換されている」は、そうではないと特定されない限り、基が置換されていなくてもよいし、その基について列記された1つ以上(例えば、0、1、2、3、4若しくは5個以上、又は本明細書中において導き出すことができる任意の範囲)の置換基(該置換基は、同じであってもよいし、異なっていてもよい)により置換されていてもよいことを意味する。実施態様において、場合により置換されている基は、1つの置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、2つの置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、3つの置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、4つの置換基を有する。別の実施態様では、場合により置換されている基は、5つの置換基を有する。
本明細書中で使用する場合、化学構造における結合と交差する波線
は、該化学構造において波状結合が接続されている原子の、分子の残部への又は分子の断片の残部への結合点を示す。幾つかの実施態様では、アスタリスクと一緒の矢印が、結合点を示すために波線のように用いられる。
ある実施態様では、二価の基は、具体的な結合配置なしで、一般的に記載される。一般的な記載は、そうではないと特定されない限り、両方の結合配置を含むことを意味すると理解される。例えば、基R1−R2−R3において、基R2が−CH2C(O)−と記載されている場合、この基は、そうではないと特定されない限り、R1−CH2C(O)−R3としてもR1−C(O)CH2−R3としても結合することができると理解される。
語句「薬学的に許容し得る」とは、必要に応じて、動物(例えば、ヒト等)に投与した場合に副作用、アレルギー反応又は他の有害反応を生じさせない分子全体及び組成物を指す。
本発明の化合物は、塩(例えば、薬学的に許容し得る塩)の形態であってもよい。「薬学的に許容し得る塩」は、酸及び塩基付加塩の両方を含む。「薬学的に許容し得る酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持しており、かつ、生物学的に又はその他の点で非所望ではない、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸等)、及び有機酸(脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸及びスルホン酸のクラスの有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等)から選択されてもよい)と形成される塩を意味する。
「薬学的に許容し得る塩基付加塩」は、無機塩基(例えば、ナトリウムの、カリウムの、リチウムの、アンモニウムの、カルシウムの、マグネシウムの、鉄の、亜鉛の、銅の、マンガンの、アルミニウムの塩等)から得られるものを含む。特定の塩基付加塩は、アンモニウムの、カリウムの、ナトリウムの、カルシウムの及びマグネシウムの塩である。薬学的に許容し得る有機の非毒性の塩基から得られる塩は、一級、二級及び三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トロメタミン、ジシクロへキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペリジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂等)の塩を含む。特定の有機の非毒性の塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トロメタミン、ジシクロへキシルアミン、コリン及びカフェインを含む。
幾つかの実施態様では、塩は、塩酸塩、臭化水素塩、トリフルオロ酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、重硫酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、マロン酸塩、キシナホ酸塩、アスコルビン酸塩、オレイン酸塩、ニコチン酸塩、サッカリン酸塩、アジピン酸塩、ギ酸塩、グリコール酸塩、パルミチン酸塩、L−乳酸塩、D−乳酸塩、アスパラギン酸塩、リンゴ酸塩、L−酒石酸塩、D−酒石酸塩、ステアリン酸塩、フロ酸塩(例えば、2−フロ酸塩又は3−フロ酸塩)、ナパジシル酸塩(ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩又はナフタレン−1−(スルホン酸)−5−スルホン酸塩)、エジシル酸塩(エタン−1,2−ジスルホン酸塩又はエタン−1−(スルホン酸)−2−スルホン酸塩)、イセチオン酸塩(2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩)、2−メシチレンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸塩、D−マンデル酸塩、L−マンデル酸塩、ケイヒ酸塩、安息香酸塩、アジピン酸塩、エシル酸塩、マロン酸塩、メシチル酸塩(2−メシチレンスルホン酸塩)、ナプシラート(2−ナフタレンスルホン酸塩)、カンシラート(カンフル−10−スルホン酸塩、例えば、(1S)−(+)−10−カンフルスルホン酸塩)、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、馬尿酸塩(2−(ベンゾイルアミノ)酢酸塩)、オロト酸塩、キシリル酸塩(p−キシレン−2−スルホン酸塩)及びパモ酸塩(2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ジナフチルメタン−3,3’−ジカルボキシラート)から選択される。
「滅菌」製剤は、無菌であるか、又は全ての生体微生物及びそれらの胞子を含まない。
「立体異性体」とは、同一の化学的構成を有するが、空間内の原子又は基の配置に関しては異なる化合物を指す。立体異性体は、ジアステレオマー、エナンチオマー、配座異性体等を含む。
「キラル」とは、鏡像パートナーを重ねることができない性質を有する分子を指すが、用語「アキラル」とは、それらの鏡像パートナーに重ねることができる分子を指す。
「ジアステレオマー」とは、2個以上の不斉中心を有し、そして、それらの分子が互いの鏡像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物性(例えば、融点、沸点、スペクトル特性又は生物活性)を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びクロマトグラフィー(HPLC等)等の高解像度分析手順下で分離してもよい。
「エナンチオマー」とは、互いに重ねることができない鏡像である、化合物の2つの立体異性体を指す。
本明細書中で使用する立体化学的な定義及び慣行は、一般的に、S. P. Parker, Ed., McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company, New York;及びEliel, E. and Wilen, S., “Stereochemistry of Organic Compounds”, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994に従う。多くの有機化合物は、光学的活性型で存在する(即ち、平面偏光の平面を回転させる能力を有する)。光学的活性化合物の記載において、接頭辞D及びL、又はR及びSは、そのキラル中心について、中心とする分子の絶対配置を示すために用いられる。接頭辞d及びl、又は(+)及び(−)は、化合物による平面偏光の回転の記号を示すために用いられ、(−)又はlは、該化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdの接頭辞が付された化合物は、右旋性である。所与の化学構造について、これら立体異性体は、互いの鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体をエナンチオマーと称することもあり、そして、このような異性体の混合物は、エナンチオマー混合物と呼ばれることが多い。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と称され、これは、化学的な反応又はプロセスにおいて立体選択性又は立体特異性が存在しない場合に生じ得る。用語「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」は、光学活性を有しない、2つのエナンチオマー種の等モル混合物を指す。
用語「互変異性体」又は「互変異性型」とは、低エネルギー障壁を介して相互変換可能である、異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られている)は、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化等のプロトンの遊走を介する相互変換を含む。原子価互変異性体は、結合電子の幾つかの再構成による相互変換を含む。
本発明のある化合物は、非溶媒和形態、並びに溶媒和形態(水和形態を含む)でも存在し得る。「溶媒和物」とは、1個以上の溶媒分子と本発明の化合物との会合又は複合体を指す。溶媒和物を形成する溶媒の例は、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸及びエタノールアミンを含む。本発明のある化合物は、複数の結晶形又は非晶形で存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本発明の範囲内であることを意図する。用語「水和物」とは、溶媒分子が水である複合体を指す。
「代謝物」とは、特定の化合物又はその塩の、体内における代謝を通して産出された生成物を指す。このような生成物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、脱エステル化、酵素的切断等から得ることができる。
代謝産物は、典型的に、本発明の化合物の放射標識(例えば、14C又は3H)同位体を調製し、それを、検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kg超)でラット、マウス、モルモット、サル等の動物に又はヒトに投与し、代謝が生じるのに十分な時間(典型的に、約30秒間〜30時間)放置し、そして、尿、血液又は他の生体試料からその変換生成物を単離することによって同定される。これら生成物は、標識されているので容易に単離される(他のものは、代謝物中に残存しているエピトープに結合することが可能な抗体の使用によって単離される)。代謝物の構造は、例えば、MS、LC/MS又はNMR分析等の従来の方法で決定される。一般に、代謝物の分析は、当業者に周知の従来の薬物代謝試験と同じ方法で行われる。代謝産物は、インビボにおいて他の方法で見出されない限り、本発明の化合物の治療的投与についての診断アッセイにおいて有用である。
「アミノ保護基」とは、本明細書中で使用する場合、化合物の他の官能基で反応が行われている間、アミノ基をブロック又は保護するために一般的に使用される基の誘導体を指す。このような保護基の例は、カルバマート、アミド、アルキル及びアリールの基、並びにイミン、並びに、除去して所望のアミン基を再生することができる多くのN−ヘテロ原子誘導体を含む。具体的なアミノ保護基は、Pmb(p−メトキシベンジル)、Boc(tert−ブチルオキシカルボニル)、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)、及びCbz(カルボベンジルオキシ)である。これら基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protecting Groups in Organic Synthesis”, 3rd ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999にみられる。用語「保護アミノ」とは、上記アミノ保護基のうちの1つで置換されているアミノ基を指す。
「カルボキシ保護基」とは、本明細書中で使用する場合、分子の残部を破壊することなく適当な時点で除去して保護されていないカルボキシ基を得ることができる、分子の他の位置における後続反応の条件に対して安定である基を指す。カルボキシ保護基の例は、エステル基及びヘテロシクリル基を含む。カルボン酸基のエステル誘導体は、化合物の他の官能基で反応が行われている間、カルボン酸基をブロック又は保護するために用いられ得る。このようなエステル基の例は、置換ベンジルを含む置換アリールアルキル、例えば、4−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、2,4,6−トリメトキシベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、ペンタメチルベンジル、3,4−メチレンジオキシベンジル、ベンズヒドリル、4,4’−ジメトキシベンズヒドリル、2,2’,4,4’−テトラメトキシベンズヒドリル、アルキル又は置換アルキルエステル、例えば、メチル、エチル、t−ブチルアリル、又はt−アミル、トリフェニルメチル(トリチル)、4−メトキシトリチル、4,4’−ジメトキシトリチル、4,4’,4’’−トリメトキシトリチル、2−フェニルプロパ−2−イル、チオエステル、例えば、t−ブチルチオエステル、シリルエステル、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリルエステル、フェナシル、2,2,2−トリクロロエチル、ベータ−(トリメチルシリル)エチル、ベータ−(ジ(n−ブチル)メチルシリル)エチル、p−トルエンスルホニルエチル、4−ニトロベンジルスルホニルエチル、アリル、シンナミル、1−(トリメチルシリルメチル)プロパ−1−エン−3−イル、及び同様の部分を含む。カルボキシ保護基の別の例は、1,3−オキサゾリニル等のヘテロシクリル基である。これら基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protecting Groups in Organic Synthesis”, 3rd ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999にみられる。用語「保護カルボキシ」とは、上記カルボキシ保護基のうちの1つで置換されているカルボキシ基を指す。
「ヒドロキシ保護基」とは、本明細書中で使用する場合、化合物の他の官能基で反応が行われている間、ヒドロキシ基をブロック又は保護するために一般的に使用されるヒドロキシ基の誘導体を指す。このような保護基の例は、テトラヒドロピラニルオキシ、ベンゾイル、アセトキシ、カルバモイルオキシ、ベンジル、及びシリルエーテル(例えば、TBS、TBDPS)基を含む。これら基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protecting Groups in Organic Synthesis”, 3rd ed., John Wiley & Sons, Inc., 1999にみられる。用語「保護ヒドロキシ」とは、上記ヒドロキシ保護基のうちの1つで置換されているヒドロキシ基を指す。
本発明の化合物は、1個以上の不斉炭素原子を含有し得る。したがって、該化合物は、ジアステレオマー、エナンチオマー、又はそれらの混合物として存在し得る。該化合物の合成は、出発物質として又は中間体としてラセミ体、ジアステレオマー又はエナンチオマーを使用し得る。特定のジアステレオマー化合物の混合物は、クロマトグラフィー法若しくは結晶化法によって分離し得るか又は1つ以上の特定のジアステレオマーを濃縮し得る。同様に、エナンチオマー混合物も、同じ技術又は当技術分野において公知の他の技術を用いて分離又は鏡像異性的に濃縮することができる。不斉炭素原子又は不斉窒素原子は、それぞれ、R又はS配置であってもよく、そして、これら配置の両方が本発明の範囲内である。
本明細書中に示す構造では、任意の特定のキラル原子の立体化学が指定されていない場合、全ての立体異性体が意図され、そして、本発明の化合物として含まれる。特定の配置を表す濃いくさび又は点線によって立体化学が指定されている場合、その立体異性体は、そのように指定され、そして、規定される。そうではないと指定しない限り、濃いくさび又は点線が用いられる場合、相対立体化学が意図される。
別の態様は、生理学的条件下で放出されて(例えば、加水分解されて)本発明の化合物を得る公知のアミノ保護基及びカルボキシ保護基を含む、本発明の化合物のプロドラッグを含む。
用語「プロドラッグ」とは、親薬物に比べて患者に対する有効性が低く、そして、より活性の高い親型へ酵素的に又は加水分解的に活性化され又変換されることが可能な薬学的活性物質の前駆体又は誘導体の形態を指す。例えば、Wilman, “Prodrugs in Cancer Chemotherapy” Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast (1986)、及びStella et al., “Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,” Directed Drug Delivery, Borchardt et al., (ed.), pp. 247-267, Humana Press (1985)を参照。プロドラッグは、限定されるものではないが、ホスファート含有プロドラッグ、チオホスファート含有プロドラッグ、スルファート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、場合により置換されているフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、又は場合により置換されているフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、並びに5−フルオロシトシン及び5−フルオロウリジンのプロドラッグを含む。
プロドラッグの特定の分類は、アミノ、アミジノ、アミノアルキレンアミノ、イミノアルキレンアミノ又はグアニジドの基中の窒素原子が、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル(−CO−R)基、アルコキシカルボニル(−CO−OR)若しくはアシルオキシアルキル−アルコキシカルボニル(−CO−O−R−O−CO−R)基(式中、Rは、一価又は二価の基、例えば、アルキル、アルキレン又はアリールである)、又は式−C(O)−O−CP1P2−ハロアルキルを有する基(式中、P1及びP2は、同じであるか又は異なり、そして、水素、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロゲン、アルキル又はアリールである)で置換されている化合物である。特定の実施態様では、窒素原子は、本発明の化合物のアミジノ基の窒素原子のうちの1つである。プロドラッグは、本発明の化合物を活性化基(例えば、アシル基)と反応させて、(例えば、該化合物中の窒素原子を)活性化アシル基の例示的なカルボニルに結合させることによって調製し得る。活性化カルボニル化合物の例は、カルボニル基に結合している脱離基を含有するものであり、そして、例えば、アシルハロゲン化物、アシルアミン、アシルピリジニウム塩、アシルアルコキシド、アシルフェノキシド(例えば、p−ニトロフェノキシアシル、ジニトロフェノキシアシル、フルオロフェノキシアシル、及びジフルオロフェノキシアシル)を含む。該反応は、一般的に、−78〜約50℃等の低温で不活性溶媒中にて実施される。また、該反応は、無機塩基(例えば、炭酸カリウム又は重炭酸ナトリウム)又は有機塩基(例えば、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンを含むアミン)等の存在下で実施してもよい。
更なる種類のプロドラッグも包含される。例えば、本発明の化合物の遊離カルボキシル基は、アミド又はアルキルエステルとして誘導体化することができる。別の例として、遊離ヒドロキシ基を含む本発明の化合物は、Fleisher, D. et al., (1996) Improved oral drug delivery: solubility limitations overcome by the use of prodrugs Advanced Drug Delivery Reviews, 19:115に概説されているとおり、ヒドロキシ基を、限定されるものではないが、リン酸エステル、ヘミスクシナート、アミノ酢酸ジメチル、又はホスホリルオキシメチルオキシカルボニル基等の基に変換することによって、プロドラッグとして誘導体化され得る。ヒドロキシ基のカルボナートプロドラッグ、スルホン酸エステル及び硫酸エステルと同様に、ヒドロキシ及びアミノの基のカルバマートプロドラッグも含まれる。アシル基が、限定されるものではないが、エーテル、アミン及びカルボン酸の官能基を含む基で場合により置換されているアルキルエステルであり得るか、又はアシル基が上記のとおりアミノ酸エステルである、(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化も包含される。この種のプロドラッグは、J. Med. Chem., (1996), 39:10に記載されている。より具体的な例は、(C1−C6)アルカノイルオキシメチル、1−((C1−C6)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C1−C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1−C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C1−C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1−C6)アルカノイル、アルファ−アミノ(C1−C4)アルカノイル、アリールアシル及びアルファ−アミノアシル、又はアルファ−アミノアシル−アルファ−アミノアシル(各アルファ−アミノアシル基は、独立して、天然のL−アミノ酸、P(O)(OH)2、−P(O)(O(C1−C6)アルキル)2、又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去から得られる基)から選択される)等の基による、アルコール基の水素原子の置き換えを含む。
「脱離基」とは、化学反応における第1の反応物質から置き換えられる、該化学反応における第1の反応物質の部分を指す。脱離基の例は、限定されるものではないが、ハロゲン原子、アルコキシ基及びスルホニルオキシ基を含む。スルホニルオキシ基の例は、限定されるものではないが、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ(メシラート基)及びトリフルオロメチルスルホニルオキシ(トリフラート基))、及びアリールスルホニルオキシ基(例えば、p−トルエンスルホニルオキシ(トシラート基)及びp−ニトロスルホニルオキシ(ノシラート基))を含む。
「被験体」、「個体」又は「患者」は、脊椎動物である。ある実施態様では、脊椎動物は、哺乳類である。哺乳類は、限定されるものではないが、家畜(例えば、ウシ)、スポーツ動物、ペット(例えば、モルモット、ネコ、イヌ、ウサギ及びウマ)、霊長類、マウス及びラットを含む。ある実施態様では、哺乳類は、ヒトである。患者に化合物を投与することを含む実施態様では、該患者は、典型的には、それを必要としている。
「ヤヌスキナーゼ」という用語は、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2タンパク質キナーゼを意味する。幾つかの実施態様では、ヤヌスキナーゼは、JAK1、JAK2、JAK3又はTYK2のうちの1つとして更に定義してもよい。任意の実施態様では、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2のいずれか1つを、ヤヌスキナーゼとして具体的に除外してもよい。幾つかの実施態様では、ヤヌスキナーゼは、JAK1である。幾つかの実施態様では、ヤヌスキナーゼは、JAK1とJAK2との組み合わせである。
用語「阻害」及び「低減」、又はこれらの用語の任意の変形は、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。例えば、正常と比較して、約、最大約、又は少なくとも約、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%若しくはそれ以上、又はこの中で導き出し得る任意の範囲の減少、活性(例えば、JAK1活性)の減少であり得る。
幾つかの実施態様では、式(I)で示される化合物は、JAK3及びTYK2を上回ってJAK1の阻害に対して選択的である。幾つかの実施態様では、式(I)で示される化合物は、JAK2、JAK3若しくはTYK2、又はJAK2、JAK3若しくはTYK2の任意の組み合わせを上回ってJAK1の阻害に対して選択的である。幾つかの実施態様では、式(I)で示される化合物は、JAK3及びTYK2を上回ってJAK1及びJAK2の阻害に対して選択的である。幾つかの実施態様では、式(I)で示される化合物は、JAK3を上回ってJAK1の阻害に対して選択的である。「阻害に対して選択的である」は、本化合物が、別の特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK3)活性と比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%若しくは以上、又はそれから導き出すことができる任意の範囲で、特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK1)活性の優れた阻害剤であるか、或いは、別の特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK3)活性と比較して、少なくとも2−、3−、4−、5−、10−、25−、50−、100−、250−又は500−倍、特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK1)活性の優れた阻害剤であることを意味する。
「治療上有効量」は、(i)特定の疾患、病態若しくは障害を処置若しくは予防するか、又は(ii)特定の疾患、病態若しくは障害の1つ以上の症状を減弱、寛解若しくは排除し、そして、場合により(iii)本明細書中に記載される特定の疾患、病態若しくは障害の1つ以上の症状の発症を予防若しくは遅延する、本発明の化合物(例えば、式0、I、Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig若しくはIIで示される化合物、又は実施例1−1〜1−303、2−1〜2−486若しくは3−1のいずれかの化合物)の量を意味する。幾つかの実施態様では、治療上有効な量は、自己免疫又は炎症性の疾患(例えば、喘息)の症状を低減又は緩和するのに十分な量である。幾つかの実施態様では、治療上有効な量は、B細胞の活性又は数を著しく減少させるのに十分な、本明細書中に記載される化学実体の量である。ガンの場合、薬物の治療上有効な量は、ガン細胞の数を低減する;腫瘍サイズを低減する;ガン細胞の末梢器官への浸潤を阻害する(即ち、ある程度減速させ、そして、好ましくは停止させる);腫瘍の転移を阻害する(即ち、ある程度減速させ、そして、好ましくは停止させる);腫瘍の成長をある程度阻害する;又はガンに関連する症状のうちの1つ以上をある程度軽減することができる。薬物が既存のガン細胞の成長を妨げるか又は殺傷し得る程度に、該薬物は細胞増殖抑制性又は細胞毒性であり得る。ガン療法については、効果は、例えば、無増悪期間(TTP)を評価するか又は奏効率(RR)を決定することによって測定できる。
「処置」(及び「処置する」又は「処置している」等の変形)とは、処置される個体又は細胞の自然経過を変化させる試みにおける臨床的介入を指し、そして、予防のために又は臨床病理の経過中に実施してもよい。処置の望ましい効果は、疾患の発症又は再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学的帰結の減弱、疾患の安定化(即ち、悪化しない)状態、疾患増悪率の低減、疾患状態の寛解又は緩和、処置を受けなかった場合の予測生存期間と比べた生存期間の延長、及び緩解又は予後の改善を含む。幾つかの実施態様では、本発明の化合物は、疾患若しくは障害の発症を遅延させるか又は疾患若しくは障害の進行を減速させるために用いられる。処置を必要としているものは、既に病態若しくは障害を有しているもの、並びに病態若しくは障害を有しやすいもの(例えば、遺伝子の突然変異を通して)、又は病態若しくは障害が予防されるべきものを含む。
「炎症性障害」とは、過剰な又は未制御の炎症反応が、過剰な炎症症状、ホスト組織の損傷又は組織機能の喪失につながる任意の疾患、障害又は症候群を指す。また、「炎症性障害」とは、白血球の流入又は好中球の走化性によって媒介される病理学的状態を指す。
「炎症」とは、組織の傷害又は破壊によって誘発される局所的保護応答を指し、傷害性物質及び傷害組織の両方を破壊、希釈又は隔離(隔絶)する機能を有する。炎症は、白血球の流入又は好中球の走化性と明白に関連している。炎症は、病原体及びウイルスの感染から、そして、心筋梗塞又は脳卒中後の外傷又は再灌流、外来抗原に対する免疫応答、及び自己免疫応答等の非感染的手段から生じ得る。したがって、本発明の化合物(例えば、式0、I、Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig若しくはIIで示される化合物、又は実施例1−1〜1−303、2−1〜2−486若しくは3−1のいずれかの化合物)による処置が受け入れられる炎症性障害は、特異的防御系の反応に及び非特異的防御系の反応に関連する障害を包含する。
「特異的防御系」とは、特異的抗原の存在に反応する免疫系の成分を指す。特異的防御系の応答に起因する炎症の例は、外来抗原に対する古典的な応答、自己免疫疾患、及びT細胞によって媒介される遅延型過敏反応を含む。慢性炎症性疾患、固形の移植された組織及び器官(例えば、腎臓及び骨髄の移植片)の拒絶、並びに移植片対宿主病(GVHD)は、特異的防御系の炎症反応の更なる例である。
用語「非特異的防御系」とは、免疫記憶ができない白血球(例えば、顆粒球及びマクロファージ)によって媒介される炎症性障害を指す。少なくとも部分的に非特異的防御系の反応に起因する炎症の例は、成人(急性)呼吸促迫症候群(ARDS)又は多臓器損傷症候群;再灌流傷害;急性糸球体腎炎;反応性関節炎;急性炎症成分を伴う皮膚疾患;急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系炎症性障害(例えば、脳卒中);熱傷;炎症性腸疾患;顆粒球輸血関連症候群;及びサイトカイン誘発毒性等の病態に関連する炎症を含む。
「自己免疫疾患」とは、組織の傷害が身体そのものの構成成分に対する体液性又は細胞媒介性の応答に関連している任意の障害群を指す。自己免疫疾患の非限定的な例は、関節リウマチ、ループス及び多発性硬化症を含む。
「アレルギー疾患」とは、本明細書中で使用する場合、アレルギーに起因する任意の症状、組織の損傷、又は組織機能の喪失を指す。「関節疾患」とは、本明細書中で使用する場合、様々な病因に起因する関節の炎症性病変を特徴とする任意の疾患を指す。「皮膚炎」とは、本明細書中で使用する場合、様々な病因に起因する皮膚の炎症を特徴とする皮膚の疾患の大きなファミリーのいずれかを指す。「移植拒絶」とは、本明細書中で使用する場合、移植された組織及び周囲の組織の機能喪失、疼痛、膨潤、白血球増加症、及び血小板減少症を特徴とする、器官又は細胞(例えば、骨髄)等の移植された組織に対する任意の免疫反応を指す。本発明の治療法は、炎症細胞の活性化に関連する障害を処置する方法を含む。
「炎症細胞の活性化」とは、炎症細胞(単球、マクロファージ、Tリンパ球、Bリンパ球、顆粒球(即ち、限定されるものではないが、好中球、好塩基球及び好酸球等の多形核白血球)、マスト細胞、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、及び内皮細胞を含む)における、増殖性細胞応答の刺激(限定されるものではないが、サイトカイン、抗原又は自己抗体を含む)、可溶性メディエーター(限定されるものではないが、サイトカイン、酸素ラジカル、酵素、プロスタノイド又は血管作用性アミンを含む)の産生、又は新規の若しくは増加したメディエーター(限定されるものではないが、主要組織適合性抗原又は細胞接着分子を含む)の細胞表面の発現による誘導を指す。これら細胞におけるこれら表現型のうちの1つ又は組み合わせの活性化が、炎症性障害の発症、永続化又は増悪の一因となり得ることを当業者であれば理解するであろう。
幾つかの実施態様では、本発明の方法により処置することができる炎症性障害は、限定されるものではないが、喘息、鼻炎(例えば、アレルギー性鼻炎)、アレルギー性気道症候群、アトピー性皮膚炎、気管支炎、関節リウマチ、乾癬、接触皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、及び遅延型過敏反応を含む。
用語「ガン」及び「ガン性」、「新生物」及び「腫瘍」、並びに関連する用語は、典型的には未制御の細胞成長を特徴とする、哺乳類における生理学的病態を指すか又は説明する。「腫瘍」は、1つ以上のガン性細胞を含む。ガンの例は、癌腫、芽細胞腫、肉腫、精上皮腫、グリア芽細胞腫、黒色腫、白血病、及び骨髄性又はリンパ性の悪性腫瘍を含む。このようなガンのより特定の例は、扁平細胞ガン(例えば、扁平上皮細胞ガン)、並びに肺ガン(小細胞肺ガン、非小細胞肺ガン(「NSCLC」)、肺の腺ガン及び肺の扁平上皮癌腫を含む)を含む。他のガンは、皮膚、角化棘細胞腫、濾胞癌腫、ヘアリーセル白血病、口腔、咽頭(口腔)、口唇、舌、口、唾液腺、食道、喉頭、肝細胞、胃(gastric)、胃(stomach)、胃腸、小腸、大腸、膵臓、頸部、卵巣、肝臓、膀胱、肝ガン、乳、結腸、直腸、結腸直腸、泌尿生殖器、胆汁道、甲状腺、乳頭、肝臓、子宮内膜、子宮、唾液腺、腎臓又は腎、前立腺、精巣、外陰、腹膜、肛門、陰茎、骨、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、中枢神経系、脳、頭頸部、ホジキン、及び関連する転移を含む。新生物性障害の例は、骨髄増殖性障害、例えば、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症)、及び慢性骨髄性白血病(CML)を含む。
「化学療法剤」は、所与の障害、例えば、ガン又は炎症性障害の処置において有用な剤である。化学療法剤の例は、当技術分野において周知であり、そして、例えば、参照により本明細書中に援用される米国特許出願公開第2010/0048557号明細書に開示されているもの等の例を含む。更に、化学療法剤は、化学療法剤のいずれかの薬学的に許容し得る塩、酸又は誘導体、並びにこれらのうちの2つ以上の組み合わせを含む。
「添付文書」は、このような治療製品に関する、適応症、用法、用量、投与、禁忌又は警告についての情報を含有する治療製品の市販包装に慣例的に含まれる説明を指すのに使用される。
そうではないと指定しない限り、本明細書中に記載される構造は、同位体的に濃縮された1つ以上の原子の存在のみが異なる化合物を含むことも意味する。本発明の化合物に取り込むことができる例示的な同位体は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、イオウ、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体を含み、例えば、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I及び125I等である。同位体標識された化合物(例えば、3H及び14Cで標識されたもの)は、化合物又は基質の組織分布アッセイにおいて有用であり得る。トリチウム化(即ち、3H)及びカーボン−14(即ち、14C)の同位体は、調製及び検出可能性が容易であるため有用であり得る。更に、ジュウテリウム(即ち、2H)等のより重い同位体で置換すると、より高い代謝安定性に起因する、ある治療上の利点(例えば、インビボにおける半減期の増加又は必要投与量の低減等)を与え得る。幾つかの実施態様では、本発明の化合物において、1つ以上の炭素原子が13C若しくは14Cで濃縮された炭素によって置き換えられている。陽電子放出同位体(例えば、15O、13N、11C及び18F)は、基質の受容体占有について調べるための陽電子放出断層撮影(PET)試験に有用である。同位体標識された化合物は、一般的に、同位体標識された試薬を同位体標識されていない試薬の代わりに用いることによって、本明細書中のスキームに又は実施例に開示されるものと同様の手順により調製することができる。
本明細書中の1つの実施態様に関して論じられる任意の限定が、本明細書中の任意の他の実施態様にも適用され得ることが具体的に意図される。更に、本発明の任意の化合物又は組成物は、本発明の任意の方法で用いてもよく、そして、本発明の任意の方法を用いて、本発明の任意の化合物又は組成物を生成又は利用してもよい。
用語「又は」の使用は、選択肢のみを指すか又は選択肢が相互排他的であることを明示しない限り「及び/又は」を意味するために用いられるが、本開示は、選択肢のみ及び「及び/又は」を指す定義を支持する。
本願全体を通して、用語「約」は、値を決定するために用いられる装置又は方法の誤差の標準偏差を含む値を示すために用いられる。
本明細書中で使用するとき、「a」又は「an」は、そうではないと明示的に記載しない限り、1つ以上を意味する。本明細書中で使用するとき、「別の」は、少なくとも第2の又はそれ以上を意味する。
本明細書中で使用する標題は、構造化上の目的のためだけのものであることを意図する。
ヤヌスキナーゼ阻害剤
実施例1〜13から選択される化合物及びその塩も提供される。
一実施態様において、R1は、−(C0〜C3アルキル)NRaRbである。
一実施態様において、R1は、H又は−(C0〜C3アルキル)Raである。
一実施態様において、R1は、−(C0〜C3アルキル)C(O)Raである。
一実施態様において、R
1は、H、メチル、
からなる群より選択される。
一実施態様において、R
eは、メチル、エチル、
からなる群より選択される。
一実施態様において、R
eは、
からなる群より選択される。
一実施態様において、R2は、1〜5個のRnにより場合により置換されているフェニルである。
一実施態様において、R2は、1〜2個のRnにより場合により置換されているフェニルである。
一実施態様において、R3は、Hである。
一実施態様において、R4は、Hである。
一実施態様において、R5は、H、クロロ又はエチニルである。
一実施態様において、R3はHであり、R4はHであり、R5はHである。
一実施態様において、R3はHであり、R4はHであり、R5はクロロである。
一実施態様において、R3はHであり、R4はHであり、R5はエチニルである。
一実施態様において、R3は、−NH2である。別の実施態様では、R3は、−NH2ではない。
本発明の例示的な化合物は、以下
からなる群より選択される化合物、並びにその塩を含む。
また、当業者の知識と組み合わせた、本明細書中で提供されたものに類似する方法に従って調製することができる、下記式
で示される化合物も提供される。
一実施態様において、疾患又は症状は、ガン、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、関節リウマチ、炎症性腸症候群、クローン病、乾癬、接触性皮膚炎又は遅延型過敏反応である。
一実施態様において、ガン、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、関節リウマチ、炎症性腸症候群、クローン病、乾癬、接触性皮膚炎又は遅延型過敏反応を処置するための、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用が提供される。
一実施態様において、吸入による投与用に製剤化された組成物が提供される。
一実施態様において、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を含む、定量吸入器が提供される。
一実施態様において、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、JAK2の阻害剤としてよりもJAK1の阻害剤として、少なくとも5倍より強力である。
一実施態様において、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、JAK2の阻害剤としてよりもJAK1の阻害剤として、少なくとも10倍より強力である。
一実施態様において、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、JAK3の阻害剤としてよりもJAK1の阻害剤として、少なくとも5倍より強力である。
一実施態様において、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、JAK3の阻害剤としてよりもJAK1の阻害剤として、少なくとも10倍より強力である。
一実施態様において、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩を哺乳類に投与することを含む、哺乳類における脱毛を処置するための方法が提供される。
一実施態様において、脱毛を処置するための、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用が提供される。
一実施態様において、哺乳類における脱毛を処置するための医薬を調製するための、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用が提供される。
ヤヌスキナーゼ阻害剤化合物の合成
本発明の化合物を、本明細書中で記載された合成経路により合成してもよい。特定の実施態様では、本明細書中に含有される説明に加えて、又は同説明を考慮して、化学分野において周知のプロセスを使用することができる。出発材料は、商業的な供給元、例えば、Aldrich Chemicals(Milwaukee, Wis.)から一般に入手できるか、又は当業者に周知の方法を使用して容易に調製される(例えば、Louis F. Fieser and Mary Fieser, Reagents for Organic Synthesis, v. 1-19, Wiley, N.Y. (1967-1999 ed.) Beilsteins Handbuch der organischen Chemie, 4, Aufl. ed. Springer-Verlag, Berlin(補足を含む)(Beilsteinオンラインデータベースを介しても入手できる)又はComprehensive Heterocyclic Chemistry, Editors Katrizky and Rees, Pergamon Press, 1984に一般的に記載されている方法により調製される)。
化合物を、単独で又は少なくとも2つ(例えば、5〜1,000個の化合物若しくは10〜100個の化合物)を含む化合物ライブラリとして調製してもよい。化合物ライブラリを、コンビナトリアル「分割及び混合」アプローチにより、又は液相若しくは固相化学のいずれかを使用する複数のパラレル合成により、当業者に公知の手法によって調製してもよい。このため、本発明の更なる態様によれば、少なくとも2つの本発明の化合物(例えば、式0、I、Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig若しくはIIで示される化合物、又は実施例1−1〜1−303、2−1〜2−486若しくは3−1のいずれかの化合物)を含む化合物ライブラリが提供される。
例証の目的で、以下の反応スキームにより、本発明の化合物及び重要な中間体を合成するための経路が提供される。個々の反応工程のより詳細な説明については、以下の実施例セクションを参照のこと。当業者であれば、他の合成経路を使用してもよいことを理解するであろう。幾つかの具体的な出発材料及び試薬がスキームにおいて示され、以下で検討されるが、他の出発材料及び試薬を様々な誘導体又は反応条件を提供するために置換することができる。加えて、以下で記載された方法により調製された多くの化合物を、本開示を考慮し、当業者に周知の従来の化学を使用して更に修飾することができる。
本発明の化合物の調製において、中間体の離れている官能基(例えば、一級又は二級アミン)の保護が必要であり得る。このような保護についての必要性は、離れている官能基の性質及び調製法の条件に応じて変化するであろう。好適なアミノ保護基は、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、フェニルスルホニル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)を含む。このような保護についての必要性は、当業者により容易に決定される。保護基及びそれらの使用の一般的な記載については、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照のこと。
本発明の化合物の合成において一般的に使用される他の変換、及び様々な試薬及び条件を使用して行うことができるものは、下記:
(1)カルボン酸をアミンと反応させてアミドを形成すること。このような変換を当業者に公知の種々の試薬を使用して達成することができるが、包括的なレビューは、Tetrahedron, 2005, 61, 10827-10852に見出すことができる。
(2)一級又は二級アミンをアリールハロゲン化物又は擬ハロゲン化物(例えば、トリフラート)と反応させること(「Buchwald−Hartwigクロスカップリング」として一般に公知)は、様々な触媒、リガンド及び塩基を使用して達成することができる。これらの方法のレビューは、Comprehensive Organic Name Reactions and Reagents, 2010, 575-581に提供される)。
(3)アリールハロゲン化物とビニルボロン酸又はボロナートエステルとの間でのパラジウムクロスカップリング反応。この変換は、ある種の「Suzuki−Miyauraクロスカップリング」であり、Chemical Reviews, 1995, 95(7), 2457-2483に十分にレビューされている分類の反応である。
(4)エステルを加水分解して、対応するカルボン酸を得ることは、当業者に周知であり、条件は:メチル及びエチルエステルについて、水性の強塩基(例えば、リチウム、ナトリウム若しくはカリウムの水酸化物、又は水性の強鉱酸(例えば、HCl)を使用すること;tert−ブチルエステルについて、加水分解は、ジオキサン中の酸(例えば、HCl)又はジクロロメタン(DCM)中のトリフルオロ酢酸(TFA)を使用して行われることを含む。
スキーム1に示されたように、タイプ1の化合物からニトロ還元によって、タイプ2の化合物にアクセスしてもよい。2と3との間でのアミド結合形成により、タイプ4の化合物が提供され、次いで、これを、酸性条件下で脱保護して、タイプ5の化合物を得てもよい。適切な求電子剤及び塩基によるピラゾールのアルキル化により、タイプ6の化合物が提供される。
スキーム2に示されたように、フェノール(例えば、1)を2−クロロ−2,2−ジフルオロ酢酸ナトリウムとともに、塩基及び熱の存在下、適切な溶媒中で処理することによって、タイプ2の化合物にアクセスしてもよい。2と3との間でのPd媒介性カップリングにより、タイプ4の化合物が提供される。ニトロ還元により、5が提供され、これをタイプ6の化合物に適切なアミド結合形成条件下でカップリングして、7を提供してもよい。7をPd媒介性チオール置換により、8に変換してもよく、次いで、8を酸性条件での処理により、9に変換することができる。
スキーム3に示されたように、タイプ1の化合物のPd媒介性チオール置換によって、タイプ2の化合物にアクセスしてもよい。ニトロ還元により、タイプ5bの化合物が提供され、次いで、これをタイプ6の化合物に適切なアミド結合形成条件下でカップリングさせて、タイプ7の化合物を提供してもよい。酸性脱保護により、タイプ8の化合物が提供される。
スキーム4に示されたように、塩基の存在下、適切な求電子剤を用いたピラゾールのアルキル化により、タイプ2の化合物にアクセスしてもよい。酸性脱保護、続けて、アミド結合形成により、タイプ4の化合物が提供される。
スキーム5に示されたように、ハロアセチルハロゲン化物(haloacetayl halides)と適切なアミンとの反応により、タイプ3の化合物にアクセスしてもよい。塩基の存在下における3と1との組み合わせにより、ピラゾールのアルキル化がもたらされ、タイプ4の化合物を提供する。
スキーム6に示されたように、塩基の存在下、適切な求電子剤を用いてタイプ1のピラゾールをアルキル化することによって、タイプ2の化合物にアクセスしてもよい。アミン脱保護、続けて、アルキル化又は還元的アミノ化により、タイプ4の化合物が提供された。
手法及びLCMS条件 方法A
実験をShim−Pack XR−ODSカラム(50×3mm、粒径2.2μm)を備えたSHIMADZU 20A HPLCにおいて、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶離により行った。勾配:
方法B
実験をShim−Pack XR−ODSカラム(50×3mm、粒径2.2μm)を備えたSHIMADZU 20A HPLCにおいて、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶離により行った。勾配:
方法C
実験をAscentis Express C18カラム(30×2.1mm、粒径2.7μm)を備えたSHIMADZU 20A HPLCにおいて、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶離により行った。勾配:
方法D
実験をShim−Pack XR−ODSカラム(50×3mm、粒径2.2μm)を備えたSHIMADZU 20A HPLCにおいて、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶離により行った。勾配:
方法E
実験をPoroshell HPH−C18カラム(50×3mm、粒径2.7μm)を備えたSHIMADZU 20A HPLCにおいて、溶媒A:水/5mM NH4HCO3;溶媒B:アセトニトリルによる溶離により行った。勾配:
方法F
実験をAscentis Express C18カラム(30×2.1mm、粒径2.7μm)を備えたSHIMADZU 20A HPLCにおいて、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶離により行った。勾配:
方法G
実験をAscentis Express C18カラム(30×2.1mm、粒径2.7μm)を備えたSHIMADZU 20A HPLCにおいて、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶離により行った。勾配:
方法H
実験をAscentis Express C18カラム(30×2.1mm、粒径2.7μm)を備えたSHIMADZU 20A HPLCにおいて、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶離により行った。勾配:
方法I
実験をShim−Pack XR−ODSカラム(50×3mm、粒径2.2μm)を備えたSHIMADZU 20A HPLCにおいて、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶離により行った。勾配:
方法J
実験をC18−逆相カラム(50×3mm Xtimate TM−C18、粒径2.2μm)を備えたSHIMADZU 20A HPLC、移動相:溶媒A:水+0.1%ギ酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%ギ酸において行った。勾配:
方法K
実験をイオン化源としてESIを使用するAgilent MSD(6140)質量分光器と接続したAgilent 1290 UHPLCにおいて行った。LC分離をPhenomenex XB−C18 1.7mm、50×2.1mmカラム(流速0.4mL/分で)を使用して行った。溶媒Aは、0.1%ギ酸を含む水とし、溶媒Bは、0.1%ギ酸を含むアセトニトリルとする。勾配は、7分にわたる2〜98%の溶媒B、そして、1.5分間 98%のB保持、その後、1.5分間平衡とした。LCカラム温度は、40℃とする。UV吸光度を220nm及び254nmで集め、質量スペクトルの全スキャンを全ての実験に適用した。
実施例1
N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−[4−[メチル(オキセタン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド
2−ブロモアセチルブロミド(285mg、1.41mmol)のジクロロメタン(4.0mL)中溶液を、N−メチル−N−(オキセタン−3−イル)ピペリジン−4−アミン(200mg、1.18mmol)のジクロロメタン(10mL)及び飽和炭酸ナトリウム(10mL)中混合物に0℃で滴下して加えた。次に、反応混合物を室温で1時間撹拌した。相を分離した。水相をジクロロメタン(3×30mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。これにより、2−ブロモ−1−[4−[メチル(オキセタン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル]エタン−1−オン(200mg)を淡黄色の固体として得、これを精製しないで用いた。
2−ブロモ−1−4−[メチル(オキセタン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−イルエタン−1−オン(86.0mg、0.295mmol)のDMF(2.0mL)中溶液を、N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(100mg、0.247mmol)とCs2CO3(160mg、0.491mmol)とのN,N−ジメチルホルムアミド(5.0mL)中混合物に65℃で滴下して加えた。反応混合物を65℃で5時間撹拌した。水(20mL)を加えた。得られた混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を、以下の条件[カラム:XBridge Prep C18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相A:水(0.1% NH4HCO3)、移動相B:ACN;流速:30mL/分;勾配:8分で25%のB〜45%のB;254/220nm 検出器]で分取HPLCにより精製した これにより、N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−[4−[メチル(オキセタン−3−イル)アミノ]ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(15.9mg)を白色の固体として得た。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=615.3、RT=1.39分;1H NMR (400 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 8.59 (dd, J = 4.8, 1.6 Hz, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.44 (s, 1H), 8.27 (dd, J = 9.4, 1.4 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.54 - 7.47 (m, 2H), 6.81 (t, J = 73.4 Hz, 1H), 5.34 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 4.68-4.66 (m, 4H), 4.63 - 4.60 (m, 1H), 4.11 - 4.03 (m, 2H), 3.26 - 3.10 (m, 1H), 2.75 - 2.63 (m, 2H), 2.23 (s, 3H), 1.81 - 1.75 (m, 2H), 1.64 - 1.46 (m, 2H)。
実施例3
N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]−6−エチニル−イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド
6−クロロイミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボン酸(500mg、2.53mmol)のDMF(10ml)中溶液に、HATU(1060mg、2.78mmol)、DIPEA(1330mg、10.1mmol)及び5−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール−4−アミン(987mg、2.53mmol)を加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物をヘプタン/酢酸エチル(100/0〜0/100)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、6−クロロ−N−[5−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(17mg(20%))を固体として得た。LC/MS(方法J、ESI):[M+H]
+=569.0、R
T=1.65分;
6−クロロ−N−[5−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(600mg、1.05mmol)のテトラヒドロフラン(4.2mL)中溶液に、窒素下、室温で、ヨウ化第一銅(40.1mg、0.00713mL、0.211mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(122mg、0.105mmol)、エチニル(トリメチル)シラン(124mg、0.179mL、1.26mmol)及びトリエチルアミン(213mg、0.294mL、2.11mmol)を続けて加えた。得られた溶液を窒素下、60℃で一晩撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物をヘプタン/酢酸エチル(100/0〜50/50)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、N−[5−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール−4−イル]−6−(2−トリメチルシリルエチニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(226mg(34%))を油状物として得た。LC/MS(方法J、ESI):[M+H]+=631.1、RT=2.12分;
N−[5−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール−4−イル]−6−(2−トリメチルシリルエチニル)イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(220mg、0.349mmol)のジクロロメタン(1mL)中溶液に、THF中のフッ化テトラブチルアンモニウム(1M、0.7mL)を室温で加えた。得られた溶液を1時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物をヘプタン/酢酸エチル(100/0〜0/100)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、N−[5−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール−4−イル]−6−エチニル−イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(112mg(57%))を油状物として得た。LC/MS(方法J、ESI):[M+H]+=559.0、RT=1.59分;
室温で、N−[5−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−トリメチルシリルエトキシメチル)ピラゾール−4−イル]−6−エチニル−イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(110mg、0.197mmol)の塩酸/1,4−ジオキサン(4M、0.5mL)中溶液。得られた溶液を1時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物をヘプタン/酢酸エチル(100/0〜0/100)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]−6−エチニル−イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(112mg(57%))を油状物として得た。LC/MS(方法K、ESI):[M+H]+=429.1、RT=4.01分。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.18 (s, 1H), 10.05 (s, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.44 - 8.35 (m, 2H), 7.71 - 7.53 (m, 3H), 7.44 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.10 (t, J = 73.3 Hz, 1H), 3.57 (s, 1H)。
実施例4
N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[2−[4−(モルホリン−4−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド
N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(130mg、0.321mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(18mL)中溶液に、Cs
2CO
3(300mg、0.921mmol)及び2−ブロモ−1−[4−(モルホリン−4−イル)ピペリジン−1−イル]エタン−1−オン(130mg、0.446mmol)を加えた。反応混合物を65℃で3時間撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。水(30mL)を加えた。得られた溶液を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を、以下の条件[カラム:XBridge Prep C18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相A:水(0.1% NH
4HCO
3)、移動相B:ACN;流速:30mL/分;勾配:8分で25%のB〜45%のB;254/220nm;検出器]で分取HPLCにより精製して、N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[2−[4−(モルホリン−4−イル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(32.7mg(17%))を白色の固体として得た。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]
+=615.3、R
T=1.39分;
1H NMR (400 MHz, CD
3OD-d
4): δ (ppm) 8.58 (dd, J = 4.8, 1.6 Hz, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.43 (s, 1H), 8.27 (dd, J = 9.4, 1.6 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 8.8, 2.8 Hz, 1H), 7.52 - 7.47 (m, 2H), 6.81 (t, J = 73.6 Hz, 1H), 5.34 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 5.23 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 4.59 - 4.55 (m, 1H), 4.11 - 4.08 (m, 1H), 3.72 (t, J = 4.4 Hz, 4H), 3.25 - 3.19 (m, 1H), 2.84 - 2.79 (m, 1H), 2.63 (t, J = 4.4 Hz, 4H), 2.58 - 2.52 (m, 1H), 2.01 - 1.98 (m, 2H), 1.57 - 1.47 (m, 2H)。
実施例5
N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[2−(4−[[(1−シアノシクロプロピル)−メチル]アミノ]ピペリジン−1−イル)−2−オキソエチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド
4−オキソピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(300mg、1.51mmol)のジクロロメタン(30mL)中溶液に、1−(アミノメチル)シクロプロパン−1−カルボニトリル塩酸塩(216mg、1.63mmol)及びNaOAc(120mg、1.46mmol)を加えた。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。次に、NaBH(OAc)
3(636mg、3.00mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、次に、飽和炭酸ナトリウム(50mL)を加えた。相を分離し、水相をジクロロメタン(3×50mL)で抽出して、有機層を合わせた。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、4−[[(1−シアノシクロプロピル)メチル]アミノ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(300mg)を無色の油状物として得た。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]
+=280.1、R
T=0.55分。
4−[[(1−シアノシクロプロピル)メチル]アミノ]ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(200mg、0.716mmol)のジクロロメタン(10mL)中溶液に、トリフルオロ酢酸(3.0mL)を0〜5℃で撹拌しながら滴下して加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮して、1−[[(ピペリジン−4−イル)アミノ]メチル]シクロプロパン−1−カルボニトリルトリフルオロ酢酸塩(200mg)(粗製物)を黄色の油状物として得た。LC/MS(方法I、ESI):[M+H]+=180.1 RT=0.16分。
N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(200mg、0.494mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(5.0mL)中溶液に、2−ブロモ酢酸tert−ブチル(105mg、0.538mmol)及びCs2CO3(321mg、0.985mmol)を加えた。得られた混合物を65℃で2時間撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。水(30mL)を加えた。得られた混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル及び石油エーテルの勾配(0〜60% 酢酸エチル)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、2−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸tert−ブチル(200mg(78%))を黄色の固体として得た。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]+=519.0、RT=0.97分。
4N HClのジオキサン(10mL)中溶液に、2−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸tert−ブチル(200mg、0.385mmol)を、室温で加えた。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮して、2−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸(150mg)を得、これを更に精製することなく次の工程に用いた。LC/MS(方法I、ESI):[M+H]+=463.2 RT=0.76分。
2−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]酢酸(80.00mg、0.173mmol)のDMA(10mL)中溶液に、この実施例中の工程2からの1−{[(ピペリジン−4−イル)アミノ]メチル}シクロプロパン−1−カルボニトリルトリフルオロ酢酸塩(44.8mg、0.207mmol)、(7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム へキサフルオロホスファート(PyAOP)(135mg、0.259mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(2.11mg、0.0173mmol)及びDIPEA(67mg、0.52mmol)を加えた。得られた溶液を65℃で5時間撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。水(30mL)を加えた。得られた混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル及び石油エーテルの勾配(0〜80% 酢酸エチル)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮した。残留物を、以下の条件[カラム:XBridge Prep C18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相A:水(0.1% NH4HCO3)、移動相B:ACN;流速:30mL/分;勾配:8分で25%のB〜45%のB;254/220nm;検出器]で分取HPLCにより更に精製して、N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[2−(4−[[(1−シアノシクロプロピル)メチル]アミノ]ピペリジン−1−イル)−2−オキソエチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(4.10mg)を白色の固体として得た。LC/MS(方法E、ESI):[M+H]+=624.2、RT=1.24分;1H NMR (400 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 8.58 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.43 (s, 1H), 8.27 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 8.8, 2.8 Hz, 1H), 7.52 - 7.47 (m, 2H), 6.80 (t, J = 73.6 Hz, 1H), 5.32 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 5.26 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 4.45 - 4.41 (m, 1H), 4.05 - 3.98 (m, 1H), 3.07 - 2.81 (m, 2H), 2.77 (s, 2H), 2.09 - 1.96 (m, 2H), 1.55 - 1.29 (m, 3H), 1.27 - 1.22 (m, 2H), 1.05 - 0.97 (m, 2H)。
実施例7
N−[1−(2−アミノエチル)−3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド
N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(200mg、0.494mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中溶液に、N−(2−ブロモエチル)カルバミン酸tert−ブチル(120mg、0.535mmol)及びCs
2CO
3(320mg、0.982mmol)を加えた。反応混合物を60℃で4時間撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。水(100mL)を加えた。得られた混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル及び石油エーテルの勾配(0〜40% 酢酸エチル)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、N−(2−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]エチル)カルバミン酸tert−ブチル(200mg(74%))を黄色の固体として得た。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]
+=548.1、R
T=0.91分。
4N HClのジオキサン(10mL)中溶液に、N−(2−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]エチル)カルバミン酸tert−ブチル(150mg、0.274mmol)を、数回に分けて加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を、以下の条件[カラム:XBridge Prep C18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相A:水(0.1% NH4HCO3)、移動相B:ACN;流速:30mL/分;勾配:8分で25%のB〜45%のB;254/220nm 検出器]で分取HPLCにより精製して、N−[1−(2−アミノエチル)−3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(49.1mg(40%))を白色の固体として得た。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=448.1、RT=1.28分;1H NMR (400 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 8.59 (dd, J = 4.4, 1.6 Hz, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.41 (s, 1H), 8.27 (dd, J = 9.2, 1.6 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 7.52 - 7.45 (m, 2H), 6.82 (t, J = 73.6 Hz, 1H), 4.32 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 3.18 (t, J = 6.0 Hz, 2H)。
実施例8
N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド
5−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(4.60g、11.0mmol)のエタノール(50mL)及び水(5mL)中溶液に、鉄粉末(6.12g、110mmol)及びNH
4Cl(2.93g、54.78mmol)を加えた。得られた混合物を窒素下、還流下で3時間撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。固体を濾別し、EtOHで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物をEtOAcとブラインとの間で分配した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、5−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミン(4.01g(94%))を黄色の油状物として得た。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]
+=390.1、RT=0.89分。
5−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミン(4.01g、10.3mmol)のDMA(40mL)中溶液に、イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボン酸(1.80g、11.03mmol)、(7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム へキサフルオロホスファート(PyAOP)(6.30g、12.1mmol)、DIPEA(4.00g、30.9mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(120mg、0.982mmol)を続けて加えた。反応混合物を60℃で一晩撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。水(100mL)を加えた。得られた混合物を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機抽出物をブライン(1×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル及び石油エーテルの勾配(0〜60% 酢酸エチル)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、N−[5−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(5.02g(91%))を黄色の固体として得た。LC/MS(方法H、ESI、m/z):[M+H]+=535.2、RT=1.07分。
4N HClのジオキサン(40mL)中溶液に、N−[5−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(4.00g、7.48mmol)を、数回に分けて加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、次に、減圧下で濃縮した。10%重炭酸ナトリウム水溶液を、pHが〜9になるまで加えた。固体を濾過により回収し、水により洗浄し、減圧下で乾燥して、N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(3.01g(99%))をオフホワイトの固体として得た。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]=405.0、RT=0.77分。
ヨードメタン(28mg、0.197mmol)を、N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(100mg、0.247mmol)とCs2CO3(80.0mg、0.246mmol)とのN,N−ジメチルホルムアミド(5.0mL)中混合物に加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌した。水(20mL)を加えた。得られた溶液を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を以下の条件[カラム:XBridge Prep C18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相A:水(0.1% NH4HCO3)、移動相B:ACN;流速:30mL/分;勾配:8分で25%のB〜45%のB;254/220nm;検出器]で分取HPLCにより精製して、N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(16.0mg(15%))を白色の固体として得た。LC/MS(方法D、ESI):[M+H]+=419.1、RT=1.47分;1H NMR (400 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 8.59 (dd, J = 4.4, 1.6 Hz, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.35 (s, 1H), 8.27 (dd, J = 9.2, 1.6 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 8.8, 2.8 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 9.2, 4.8 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.81 (t, J = 73.6 Hz, 1H), 4.02 (s, 3H)。
実施例9
N−[3−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド
シクロプロパンチオール(46.0mg、0.620mmol)のトルエン(15mL)中溶液に、水素化ナトリウム(24.0mg、1.00mmol)を窒素下で加えた。得られた溶液を窒素下、室温で1時間撹拌した。
窒素下、上記溶液に、N−[5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(100mg、0.173mmol)、Pd2(dba)3.CHCl3(10mg、0.0966mmol)及びXantPhos(10mg、0.0173mmol)を加えた。反応混合物を85℃で一晩撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル及び石油エーテルの勾配(0〜90% EtOAc)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮した。これにより、N−[5−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(90.1mg(91%))を黄色の固体として得た。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]+=573.3、RT=1.13分。
メタノール(2.0mL)と濃HCl(2.0mL、12N)との混合物に、N−[5−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(90.0mg、0.157mmol)を、数回に分けて加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を、以下の条件[カラム:XBridge Prep C18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相A:水(0.1% NH4HCO3)、移動相B:ACN;流速:30mL/分;勾配:8分で25%のB〜45%のB;254/220nm;検出器]で分取HPLCにより精製して、N−[3−[5−(シクロプロピルスルファニル)−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(18.1mg(26%))を白色の固体として得た。LC/MS(方法C、ESI):[M+H]+=443.1、RT=1.15分;1H NMR (400 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 8.59 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 8.46 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 8.25 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.56 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.49 (dd, J = 8.8, 4.4 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.73 (t, J = 73.7 Hz, 1H), 2.33 - 2.22 (m, 1H), 1.18 - 1.06 (m, 2H), 0.69 - 0.57 (m, 2H)。
実施例10
N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド
鉄粉末(480mg、8.60mmol)及びNH
4Cl(250mg)を、5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(400mg、0.861mmol)のエタノール(20mL)及び水(2mL)中溶液に加えた。反応混合物を窒素下、還流下で3時間撹拌した。固体を濾別し、エタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物をEtOAcとブラインとの間で分配した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。これにより、5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミン(400mg)(粗製物)を淡黄色の油状物として得た。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]
+=434.0、R
T=0.90分。
5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミン(400mg、0.921mmol)のDMA(30mL)中溶液に、イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボン酸(160mg、0.981mmol)、(7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム へキサフルオロホスファート(PyAOP)(572mg、1.10mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(11.0mg、0.0901mmol)及びDIPEA(355mg、2.75mmol)を加えた。得られた溶液を60℃で一晩撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。水(100ml)を加えた。得られた混合物を酢酸エチル(3×300mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機相をブライン(1×100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル及び石油エーテルの勾配(0〜70% EtOAc)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、N−[5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(300mg(56%))を黄色の固体として得た。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]+=581.1、RT=1.08分。
N−[5−[5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(120mg、0.207mmol)のトルエン(10mL)中溶液に、(プロパン−2−イルスルファニル)ナトリウム(60.0mg、0.611mmol)、Pd2(dba)3.CHCl3(11.0mg、0.0106mmol)及びXantPhos(11.0mg、0.0190mmol)を、窒素下で加えた。得られた混合物を窒素下、80℃で一晩撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。得られた混合物を減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル及び石油エーテルの勾配(0〜70% EtOAc)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、N−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(100mg(84%))を白色の固体として得た。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]+=575.2、RT=1.15分。
メタノール(5.0mL)と濃HCl(5.0mL、12N)との混合物に、N−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(120mg、0.209mmol)を加えた。得られた溶液を室温で2時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を以下の条件[カラム:XBridge Prep C18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相A:水(0.1% NH4HCO3)、移動相B:ACN;流速:30mL/分;勾配:8分で25%のB〜45%のB;254/220nm 検出器]で分取HPLCにより精製して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(プロパン−2−イルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(7.70mg)を白色の固体として得た。LC/MS(方法B、ESI):[M+H]+=445.2、RT=2.56分;1H NMR (300 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 8.56 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 8.45 (s, 1H), 8.36 (s, 1H), 8.24 (dd, J = 9.2, 1.4 Hz, 1H), 7.64 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.48 (dd, J = 9.3, 4.5 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.76 (t, J = 73.5 Hz, 1H), 3.49 - 3.43 (m, 1H), 1.28 (d, J = 6.3 Hz, 6H)。
実施例11
N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[2−[4−([4−[(ジメチルカルバモイル)メチル]ピペラジン−1−イル]メチル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
N,N−ジメチル−2−[4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル]アセトアミド(300mg、1.12mmol)のジクロロメタン(10mL)及び飽和炭酸ナトリウム(3.8mL)中溶液に、2−ブロモアセチルブロミド(335mg、1.66mmol)を、内部温度を5℃未満に保持する速度で氷浴冷却下で滴下して加えた。得られた溶液を氷水浴冷却下で1時間撹拌した。得られた溶液をジクロロメタン(3×50mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で加熱しないで濃縮した。これにより、2−(4−[[1−(2−ブロモアセチル)ピペリジン−4−イル]メチル]ピペラジン−1−イル)−N,N−ジメチルアセトアミド(300mg)を黄色の油状物として得、これを更に精製することなく用いた。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]
+=389.2、R
T=0.17分。
粗製の2−(4−[1−(2−ブロモアセチル)ピペリジン−4−イル]メチルピペラジン−1−イル)−N,N−ジメチルアセトアミド(120mg)のDMF(2.0mL)中溶液を、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(120mg、0.288mmol)とCs2CO3(400mg、1.23mmol)とのN,N−ジメチルホルムアミド(8.0mL)中混合物に、65℃で滴下して加えた。反応混合物を65℃で2時間撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。水(20mL)を加えた。得られた混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を以下の条件[カラム:XBridge Prep C18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相A:水(0.1% NH4HCO3)、移動相B:ACN;流速:30mL/分;勾配:8分で25%のB〜45%のB;254/220nm 検出器]で分取HPLCにより精製して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[2−[4−([4−[(ジメチルカルバモイル)メチル]ピペラジン−1−イル]メチル)ピペリジン−1−イル]−2−オキソエチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(6.20mg)を白色の固体として得た。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=725.4、RT=1.38分;1H NMR (400 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 8.58 (dd, J = 4.8, 1.6 Hz, 1H), 8.47 (s, 1H), 8.43 (s, 1H), 8.26 (dd, J = 9.4, 1.4 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.52 - 7.49 (m, 2H), 7.42 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.74 (t, J = 73.8 Hz, 1H), 5.31 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 5.22 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 4.54 - 4.51 (m, 1H), 4.05 - 4.01 (m, 1H), 3.24 (s, 2H), 3.22 - 3.14 (m, 1H), 3.11 (s, 3H), 2.95 (s, 3H), 2.87 - 2.70 (m, 1H), 2.68 - 2.45 (m, 11H), 2.27 - 2.25 (m, 2H), 1.93 - 1.84 (m, 3H), 1.38 - 1.14 (m, 2H)。
実施例12
N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−[4−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド
氷浴冷却下、4−[2−(ピペラジン−1−イル)エチル]モルホリン(200mg、1.00mmol)、ジクロロメタン(10mL)、飽和炭酸ナトリウム(4.2mL)の撹拌した混合物に、2−ブロモアセチルブロミド(243mg、1.20mmol)を、内部温度を5℃未満に保持する速度で滴下して加えた。次に、反応混合物を室温で更に30分撹拌した。相を分離し、水相をジクロロメタン(3×20mL)で抽出して、有機層を合わせた。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、粗製の2−ブロモ−1−[4−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]ピペラジン−1−イル]エタン−1−オン(200mg)を得、これを更に精製することなくすぐに次の工程に用いた。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]
+=320.1、R
T=0.28分。
前工程からの粗製の2−ブロモ−1−4−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]ピペラジン−1−イルエタン−1−オン(94.9mg)のDMF(2mL)中溶液を、N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(100mg、0.247mmol)とCs2CO3(161mg、0.494mmol)とのDMF(10mL)中混合物に加えた。反応混合物を65℃で2時間撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。水(20mL)を加えた。得られた混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル及び石油エーテルの勾配(0〜90% 酢酸エチル)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮した。残留物を、以下の条件[カラム:XBridge Prep C18 OBD Column、5um、19*150mm;移動相A:水(0.1% NH4HCO3)、移動相B:ACN;流速:30mL/分;勾配:8分で25%のB〜45%のB;254/220nm 検出器]で分取HPLCにより更に精製して、N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−[4−[2−(モルホリン−4−イル)エチル]ピペラジン−1−イル]−2−オキソエチル)−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(3.40mg)をオフホワイトの固体として得た。LC/MS(方法F、ESI):[M+H]+=644.3、RT=0.95分;1H NMR (400 MHz, CD3OD-d4): δ (ppm) 8.59 (dd, J = 4.4, 1.6 Hz, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.43 (s, 1H), 8.27 (dd, J = 9.4, 1.4 Hz, 1H), 7.72 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.52 - 7.47 (m, 2H), 6.80 (t, J = 73.6 Hz, 1H), 5.28 (s, 2H), 3.79 - 3.61 (m, 8H), 2.66 - 2.45 (m, 12H)。
実施例13
N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド
鉄粉末(647mg)及びNH
4Cl(310mg、5.79mmol)を、5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(500mg、1.16mmol)のエタノール(10mL)及び水(1.0mL)中溶液に加えた。反応混合物を窒素下、還流下で4時間撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。固体を濾別し、エタノールで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物をEtOAcとブラインとの間で分配した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミン(400mg)を淡黄色の油状物として得た。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]
+=402.0、R
T=0.80分。
5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミン(150mg、0.374mmol、)のDMA(5.0mL)中溶液に、イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボン酸(73.1mg、0.448mmol)、(7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム へキサフルオロホスファート(PyAOP)(234mg、0.448mmol)、DIPEA(145mg、1.12mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(4.56mg、0.0373mmol)を加えた。反応混合物を60℃で一晩撹拌し、室温まで冷めるにまかせた。水(50mL)を加えた。得られた溶液を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、有機層を合わせた。有機抽出物をブライン(1×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチル及び石油エーテルの勾配(0〜50% EtOAc)で溶離するシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。適切な画分を合わせ、減圧下で濃縮して、N−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(150mg(73%))を黄色の固体として得た。LC/MS(方法H、ESI):[M+H]+=547.2、RT=1.07分。
メタノール(5.0mL)と濃HCl水溶液(5.0mL、12N)との混合物に、N−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(120mg、0.220mmol)を、数回に分けて加えた。得られた溶液を室温で3時間撹拌し、減圧下で濃縮した(過剰なHCl及びMeOHを除去するために)。20%炭酸ナトリウム水溶液を、pHが9になるまで混合物に加えた。固体を濾過により回収し、水で洗浄し、乾燥して、N−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルファニル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−カルボキサミド(50.1mg(55%))を褐色の固体として得た。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=417.1、RT=1.61分;1HNMR (400 MHz, CDCl3): δ (ppm) 10.58 (s, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.53 (s, 1H), 8.48 (dd, J = 4.4, 1.2 Hz, 1H), 8.17 (dd, J = 9.4, 1.4 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.39 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.27 (dd, J = 9.2, 4.4 Hz, 1H), 6.44 (t, J = 73.6 Hz, 1H), 2.53 (s, 3H)。
表1は、同様の手順を用いて調製した本発明の他の代表的な化合物とともに、上記化合物のリストを提供する。
酵素アッセイ
JAK酵素アッセイを以下のように行った:
単離されたリコンビナントJAK1及びJAK2キナーゼドメインの活性を、Caliper LabChip(登録商標)技術(Caliper Life Sciences, Hopkinton, MA)を使用して、JAK3から得られたペプチド(5−カルボキシフルオレセインを用いてN末端に蛍光ラベルしたVal−Ala−Leu−Val−Asp−Gly−Tyr−Phe−Arg−Leu−Thr−Thr)のリン酸化をモニタリングすることにより測定した。阻害定数(Ki)を決定するために、化合物をDMSO中で系列希釈し、DMSO終濃度2%で、キナーゼ反応物(精製酵素(1.5nM JAK1又は0.2nM JAK2)、100mM HEPESバッファー(pH7.2)、0.015% Brij−35、1.5μM ペプチド基質、ATP(25μM)、10mM MgCl2、4mM DTTを含有する) 50μLに加えた。反応物を22℃で384ウェルのポリプロピレンマイクロタイタープレートにおいて30分間インキュベーションし、次いで、EDTA含有溶液(100mM HEPESバッファー(pH7.2)、0.015% Brij−35、150mM EDTA) 25μLの添加により停止させ、EDTAの終濃度を50mMにした。キナーゼ反応の終了後、リン酸化生成物の割合を、Caliper LabChip(登録商標)3000を使用し、製造元の仕様書に従って、総ペプチド基質の百分率として決定した。次いで、Ki値をATP競合阻害用に改変されたMorrison tight bindingモデル(Morrison, J.F., Biochim. Biophys. Acta. 185:269-296 (1969);William, J.W. and Morrison, J.F., Meth. Enzymol., 63:437-467 (1979))を使用して決定した[Ki=Ki,app/(1+[ATP]/Km,app)]。
細胞株におけるJAK1経路アッセイを以下のように行った:
阻害活性(EC50)を、JAK1依存性STATリン酸化を測定するように設計された細胞系アッセイにおいて決定した。上記されたように、Jak/Statシグナル伝達経路を遮断することによるIL−4、IL−13及びIL−9シグナル伝達の阻害により、前臨床肺炎症モデルにおける喘息症候を緩和することができる(非特許文献13、14)。
1つのアッセイアプローチにおいて、American Type Culture Collection(ATCC; Manassas, VA)から得られたTF−1ヒト赤白血病細胞を、IL−13刺激の下流のJAK1依存性STAT6リン酸化を測定するのに使用した。アッセイに使用する前に、TF−1細胞を、0.5%木炭/デキストラン処理済の牛胎児血清(FBS)、0.1mM 非必須アミノ酸(NEAA)及び1mM ピルビン酸ナトリウムを添加したOptiMEM培地(Life Technologies, Grand Island, NY)中で一晩GM−CSF飢餓にした。アッセイを384ウェルプレートにおいて、血清を含まないOptiMEM培地中、ウェル当たりに300,000個の細胞を使用して行った。第2のアッセイアプローチにおいて、実験の1日前に、ATCCから得られたBEAS−2Bヒト気管支上皮細胞を、96ウェルプレートのウェル当たりに100,000個で播種した。BEAS−2Bアッセイを完全な増殖培地(bulletkitを加えた気管支上皮基礎培地;Lonza;Basel, Switzerland)において行った。
試験化合物をDMSO中で1:2系列希釈し、次いで、使用直前に培地中で1:50希釈した。希釈した化合物を細胞にDMSO終濃度0.2%で加え、37℃で(TF−1アッセイについて)30分間又は(BEAS−2Bアッセイについて)1時間インキュベーションした。次いで、細胞をヒトリコンビナントサイトカインにより、各個々のロットについて予め決定されたとおりのそれらのそれぞれのEC90濃度で刺激した。細胞をIL−13(R&D Systems, Minneapolis, MN)により37℃で15分間刺激した。TF−1細胞反応を10×溶解バッファー(Cell Signaling Technologies, Danvers, MA)の直接添加により停止させ、一方で、BEAS−2B細胞インキュベーションを培地の除去及び1×溶解バッファーの添加により停止させた。得られたサンプルをプレートにおいて−80℃で凍結させた。STAT6リン酸化の化合物媒介性阻害を細胞ライゼートにおいてMesoScale Discovery(MSD)技術(Gaithersburg, MD)を使用して測定した。EC50値を、DMSO対照について測定されたものに対してSTATリン酸化を50%阻害するのに必要とされる化合物濃度として決定した。
表2に、記載された実施例についてのJAK1 Ki、JAK2 Ki及びIL−13−pSTAT6 IC50情報を提供する。