JP6936015B2 - 非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池に関する。
非水電解質二次電池には、さらなる高エネルギー(energy)密度化が求められている。非水電解質二次電池においては、高電圧、例えば対極をLiとし、4.55V以上の電圧での充放電を行うことにより、高エネルギー密度化が達成可能な場合がある。
一方で、高温、高電圧下で充放電を行った場合、正極活物質の近傍において電解液の酸化分解が生じ、繰り返し充放電後の電池特性が極端に悪化する問題が指摘されている(例えば特許文献1)。このような問題に対処すべく、特許文献1には、正極活物質粒子の少なくとも一部表面に、有機コート層を被覆させた、リチウムイオン二次電池用の正極が開示されている。
特開2014−96343号公報
しかし、このような非水電解質二次電池は、依然として、高温、高電圧下でのサイクル(cycle)特性が十分に優れてはいなかった。また、依然として非水電解質二次電池のさらなる高容量化が求められている。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、高温、高電圧下でのサイクル寿命を改善することが可能であり、かつ高容量の非水電解質二次電池に利用可能な、新規かつ改良された非水電解質二次電池用正極及びこれを備えた非水電解質二次電池を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、集電体と、当該集電体に結着された正極活物質層とを有し、
前記正極活物質層は、以下の式(1):
LiCo (1)
前記式(1)中、Mは、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)からなる群から選択される1種以上の金属元素であり、x、y、zは、0.20≦x≦1.20、0.95≦y≦1.00、0.0≦z≦0.05かつy+z=1の範囲内の値である、
で示される組成を有する正極活物質粒子と、前記正極活物質粒子の少なくとも一部を覆い、少なくともリン酸リチウムおよび/またはリン酸金属リチウムを含む固体電解質層と、前記正極活物質粒子を覆う、アクリロニトリルをモノマー単位として含む高分子とを有する、非水電解質二次電池用正極が提供される。
本観点によれば、非水電解質二次電池の高容量化を達成できるとともに、非水電解質二次電池を高温、高電圧下で充放電した際のサイクル寿命を改善することができる。
ここで、前記リン酸金属リチウムは、アルミニウム、チタン、及びジルコニウムからなる群から選択される1種以上の金属を含んでもよい。
本観点によれば、非水電解質二次電池を高温、高電圧下で充放電した際のサイクル寿命を改善することができる。
また、前記固体電解質層は、前記正極活物質粒子に対し、0.1mol%以上1.0mol%以下のモル比で被覆していてもよい。
本観点によれば、非水電解質二次電池を高温、高電圧下で充放電した際のサイクル寿命を改善することができる。
また、前記高分子は、アクリロニトリルをモノマー単位として90mol%以上含んでもよい。
本観点によれば、非水電解質二次電池を高温、高電圧下で充放電した際のサイクル寿命を改善することができる。
また、前記高分子が、以下の式(2):
Figure 0006936015
前記式(2)中、l、mは、それぞれ自然数であり、RおよびRは水素またはメチル基である、
で表される構造を有してもよい。
本観点によれば、非水電解質二次電池を高温、高電圧下で充放電した際のサイクル寿命を改善することができる。
また、前記高分子の質量平均分子量が、200,000以上800,000以下であってもよい。
本観点によれば、非水電解質二次電池を高温、高電圧下で充放電した際のサイクル寿命を改善することができる。
本発明の他の観点によれば、上記の非水電解質二次電池用正極を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池が提供される。
本観点によれば非水電解質二次電池の高容量化を達成できるとともに、非水電解質二次電池を高温、高電圧下で充放電した際のサイクル寿命を改善することができる。
以上説明したように本発明によれば、非水電解質二次電池の高容量化を達成できるとともに、非水電解質二次電池を高温、高電圧下で充放電した際のサイクル寿命を改善することができる。
本発明の実施形態に係る非水電解質二次電池の概略構成を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.非水電解質二次電池の概観>
まず、本実施形態に係る非水電解質二次電池の概観について、本発明者らの本発明に至るまでの検討とともに説明する。
コバルト(Co)を主成分とするリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いた場合、対極をLiとし、充電終始電圧を4.55V以上に引き上げることにより、非水電解質二次電池の容量を200mAh/g以上とすることが可能である。これは、当該非水電解質二次電池の理論容量273mAh/gのうち、70%以上のLiの脱挿入が可能となるためである。
本発明者らは、この点に着目し、コバルトを主成分とするリチウム遷移金属複合酸化物の正極活物質としての利用を検討した。しかしながら、本発明者らは、コバルトを主成分とするリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として、上述したような4.55V以上の充電終始電圧で使用した場合、充電された正極活物質の酸化力が強まる結果、電解液の分解が加速されるのみならず、脱リチウム化された正極活物質自体の安定性が失われ、コバルトが電解液中に溶出する問題に直面した。このような場合、高温、高電圧下において、非水系二次電池のサイクル特性が急激に劣化する。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のコバルトを主成分とするリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として使用し、さらに、この正極活物質の粒子の少なくとも一部をリン酸リチウム化合物および/またはリン酸金属リチウムを含む固体電解質層で覆い、さらにその周囲をアクリロニトリルをモノマー単位として含む高分子で覆うことにより、電解液の酸化分解を防止するとともにコバルトの電解液への溶出を防止できることを見出した。
したがって、本発明に係る非水電解質二次電池用正極は、集電体と、当該集電体に結着された正極活物質層とを有し、
前記正極活物質層は、以下の式(1):
LiCo (1)
前記式(1)中、Mは、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)からなる群から選択される1種以上の金属元素であり、x、y、zは、0.20≦x≦1.20、0.95≦y≦1.00、0.0≦z≦0.05かつy+z=1の範囲内の値である、
で示される組成を有する正極活物質粒子と、前記正極活物質粒子の少なくとも一部を覆い、少なくともリン酸リチウムおよび/またはリン酸金属リチウムを含む固体電解質層と、前記正極活物質粒子を覆う、アクリロニトリルをモノマー単位として含む高分子とを有する。
<2.非水電解質二次電池の構成>
以下では、図1を参照して、上述した本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池10の具体的な構成について説明を行う。図1は、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の構成を説明する説明図である。
図1に示すように、非水電解質二次電池10は、正極20と、負極30と、セパレータ(separator)層40と、を備える。なお、非水電解質二次電池10の形態は、特に限定されない。例えば、非水電解質二次電池10は、円筒形、角形、ラミネート(laminate)形、ボタン(button)形等のいずれであってもよい。
正極20は、正極集電体21と正極活物質層22とを備える。正極集電体21は、例えばアルミニウム(aluminium)等で構成される。また、正極活物質層22は、少なくとも正極活物質粒子およびアクリロニトリルをモノマー単位として有する高分子(以下、「アクリロニトリル系高分子」ともいう)を含み、さらに導電助剤および/または結着剤を含んでいてもよい。
正極活物質粒子は、以下の式(1)で示される組成を有する。
LiCo (1)
式(1)中、Mは、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)からなる群から選択される1種以上の金属元素である。
また、x、y、zは、0.20≦x≦1.20、0.95≦y≦1.00、0.0≦z≦0.05かつy+z=1の範囲内の値である。
式(1)で表される正極活物質粒子は、例えば対極をLiとし、4.55Vといった高い駆動電圧において使用されることにより、非水電解質二次電池10の容量を十分に大きくすることができる。
また、正極活物質粒子の少なくとも一部の表面には、リン酸リチウムおよび/またはリン酸金属リチウムを含む固体電解質層が形成されている。固体電解質層は、後述する高分子とともに、電解液の正極活物質粒子との直接の接触を防止し、電解液の酸化分解を防止することができる。
リン酸金属リチウムに含まれる、リチウム以外の金属元素としては、特に限定されないが、例えば、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、ジルコニウム(Zr)等が挙げられる。なお、リン酸金属リチウムとして、2種以上のリン酸金属リチウムや、複数の金属元素によるリン酸金属リチウムを用いてもよい。上述した中でも、リン酸金属リチウムは、アルミニウム、チタン、及びジルコニウムからなる群から選択される1種以上の金属を含むことが好ましい。
また、固体電解質層において、リン酸リチウムおよび/またはリン酸金属リチウムは、例えば、LiMA(PO、Li(PO、MAO、LiMAO等として存在し得る。なお、上記式中「MA」は、上述した金属元素を示す。
また、固体電解質層は、正極活物質粒子に対し、好ましくは0.1mol%以上1.0mol%以下、より好ましくは0.1mol%以上0.8mol%以下のモル比で被覆している。これにより、非水電解質二次電池10のサイクル特性をより一層向上させることができる。また、固体電解質層の含有量を上記上限値以下とすることにより、放電容量の低下を防止することができる。また正極活物質表面の抵抗増加を防止することができ、高負荷特性の悪化を防止することができる。
また、固体電解質層の厚みは、特に限定されないが例えば1nm以上100nm以下、好ましくは1nm以上50nm以下である。これにより、非水電解質二次電池10のサイクル特性をより確実に向上させることができる。
また正極活物質粒子の表面には、アクリロニトリル系高分子が被覆している。このようなアクリロニトリル系高分子は、上述した固体電解質層とともに、コバルト等の正極活物質粒子の成分の電解液への溶出を防止する。なお、当該アクリロニトリル系高分子は、単独で正極活物質粒子の表面を覆っていてもよいし、後述する他の成分とともに正極活物質粒子を覆っていてもよい。
このようなアクリロニトリル系高分子は、アクリロニトリルをモノマー単位として含むものであればよいが、アクリロニトリルをモノマー単位として好ましくは90mol%以上、より好ましくは95mol%以上含む。アクリロニトリルをモノマー単位として100mol%含む場合、アクリロニトリル系高分子は、ポリアクリロニトリルである。
また、アクリロニトリル系高分子は、例えば、以下の式(2):
Figure 0006936015
前記式(2)中、l、mは、それぞれ自然数であり、RおよびRは水素またはメチル基である、
で表される構造を有することが好ましい。この場合において、アクリロニトリルをモノマー単位として90mol%以上含む場合、l>9.0×mの関係を満足することができる。アクリロニトリル系高分子は、好ましくは9.5×m<l<9.9×mの関係を満足する。
また、以上説明したアクリロニトリル系高分子の質量平均分子量は、例えば、200,000以上800,000以下、好ましくは400,000以上800,000以下である。アクリロニトリル系高分子の質量平均分子量が上記上限値以下であると、常温での流動性を十分なものとすることができる。一方で、アクリロニトリル系高分子の質量平均分子量が上記下限値以上であると、アクリロニトリル系高分子の被覆効果を十分に得ることができる。以上、アクリロニトリル系高分子の質量平均分子量を上述した範囲内とすることにより、サイクル特性をより一層向上させることができる。また、高分子の質量平均分子量は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化 飛行時間型質量分析法(MALDI TOF−MS、例えばSHIMADZU AXIMA)により求めることができる。
また、アクリロニトリル系高分子の正極活物質層22の中の含有量は、正極活物質粒子の質量に対し、例えば0.5質量%以上2質量%以下、好ましくは1質量%以上2質量%以下であることができる。
導電助剤としては、例えば、ケッチェンブラック(ketjen black)、アセチレンブラック(acetylene black)、ファーネスブラック(furnace black)等のカーボンブラック(carbon black)が挙げられる。これらのうち、いずれか1種以上のカーボンブラックが含まれていてもよい。これらのカーボンブラックのうち、好ましい例はアセチレンブラックである。アセチレンブラックは、他のカーボンブラックに比べて欠陥の数が少ない。カーボンブラックの欠陥部分は、非水電解質二次電池10を高電圧下で充放電した際に電解液と反応する可能性がある。当該反応が起こると、ガスが発生し、非水電解質二次電池10の膨張等が起こりうる。このような観点からは、カーボンブラックはアセチレンブラックであることが好ましい。
結着剤は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(ethylene−propylene−diene terpolymer)、スチレンブタジエンゴム(styrene−butadiene rubber)、アクリロニトリルブタジエンゴム(acrylonitrile−butadiene rubber)、フッ素ゴム(fluoroelastomer)、ポリ酢酸ビニル(polyvinyl acetate)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate)、ポリエチレン(polyethylene)、ニトロセルロース(nitrocellulose)等である。なお、結着材は、正極活物質および導電助剤を正極集電体21上に結着させることができるものであれば、特に制限されない。また、結着剤の含有量は、特に制限されず、非水電解質二次電池の正極活物質層に適用される含有量であればいずれであってもよい。
正極活物質層22は、例えば、適当な有機溶媒(例えばN−メチル−2−ピロリドン(N−methyl−2−pyrrolidone))に正極活物質、導電助剤、および結着剤を分散させたスラリー(slurry)を正極集電体21上に塗工し、乾燥、圧延することで形成される。
負極30は、負極集電体31と、負極活物質層32とを含む。負極集電体31は、例えば、銅(cupper)、ニッケル等で構成される。
負極活物質層32は、非水電解質二次電池の負極活物質層として使用されるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、負極活物質層32は、負極活物質を含み、結着剤をさらに含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、黒鉛活物質(人造黒鉛、天然黒鉛、人造黒鉛と天然黒鉛との混合物、人造黒鉛を被覆した天然黒鉛等)、ケイ素(Si)もしくはスズ(Sn)もしくはそれらの酸化物の微粒子と黒鉛活物質との混合物、ケイ素もしくはスズの微粒子、ケイ素もしくはスズを基本材料とした合金、およびLiTi12等の酸化チタン(TiO)系化合物等を使用することができる。なお、ケイ素の酸化物は、SiO(0≦x≦2)で表される。また、負極活物質としては、これらの他に、例えば金属リチウム等を使用することができる。
また、結着剤は、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)などが用いられる。なお、負極活物質と結着剤との質量比は特に制限されず、従来の非水電解質二次電池で採用される質量比が本発明でも適用可能である。
セパレータ層40は、セパレータと、電解液とを含む。
セパレータ層40に含まれるセパレータは、特に制限されない。セパレータ層40に含まれるセパレータは、非水電解質二次電池のセパレータとして使用されるものであれば、どのようなものでも使用可能である。例えば、セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。セパレータを構成する材料としては、例えば、ポリエチレン(polyethylene),ポリプロピレン(polypropylene)等に代表されるポリオレフィン(polyolefin)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate),ポリブチレンテレフタレート(polybuthylene terephthalate)等に代表されるポリエステル(polyester)系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene difluoride)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(hexafluoropropylene)共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル(perfluorovinylether)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン(tetrafluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン(trifluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン(fluoroethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン(hexafluoroacetone)共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン(ethylene)共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン(propylene)共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン(trifluoropropylene)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を使用することができる。なお、セパレータの気孔率も特に制限されず、非水電解質二次電池のセパレータが有する気孔率が任意に適用可能である。
また、セパレータは、無機フィラーを含むコーティング層を有していてもよい。具体的には、コーティング層は、Mg(OH)またはAlの少なくともどちらか一方を無機フィラーとして含んでいてもよい。かかる構成によれば、無機フィラーを含むコーティング層は、正極とセパレータとの直接の接触を防止するため、高温保存時に正極表面で発生する電解液の酸化、分解を防止し、電解液の分解生成物であるガスの発生を抑制することができる。
ここで、無機フィラーを含むコーティング層は、セパレータの両面に形成されてもよく、セパレータの正極側の片面のみに形成されてもよい。無機フィラーを含むコーティング層は、少なくとも正極側に形成されていれば、正極と電解液との直接の接触を防止することができる。
また、本発明は、上記例示に限定されない。例えば、無機フィラーを含むコーティング層は、セパレータ上ではなく、正極上に形成されてもよい。かかる場合、無機フィラーを含むコーティング層は、正極の両面に形成されることによって、正極とセパレータとの直接の接触を防止することができる。なお、無機フィラーを含むコーティング層は、正極上およびセパレータ上の両方に形成されていてもよいことは言うまでもない。
電解液は、従来からリチウム二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定されることなく使用することができる。ここで、電解液は、非水溶媒に電解質塩を含有させた組成を有する。非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(propylene carbonate)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)、ブチレンカーボネート(buthylene carbonate)、クロロエチレンカーボネート(chloroethylene carbonate)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate)等の環状炭酸エステル(ester)類;γ−ブチロラクトン(butyrolactone)、γ−バレロラクトン(valerolactone)等の環状エステル類;ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate)、ジエチルカーボネート(diethyl carbonate)、エチルメチルカーボネート(ethylmethyl carbonate)等の鎖状カーボネート(carbonate)類;ギ酸メチル(methyl formate)、酢酸メチル(methyl acetate)、酪酸メチル(methyl butyrate)等の鎖状エステル類;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)又はその誘導体;1,3−ジオキサン(1,3−dioxane)、1,4−ジオキサン(1,4−dioxane)、1,2−ジメトキシエタン(1,2−dimethoxyethane)、1,4−ジブトキシエタン(1,4−dibutoxyethane)、メチルジグライム(methyldiglyme)等のエーテル(ether)類;アセトニトリル(acetonitrile)、ベンゾニトリル(benzonitrile)等のニトリル(nitrile)類;ジオキソラン(dioxolane)又はその誘導体;エチレンスルフィド(ethylene sulfide)、スルホラン(sulfolane)、スルトン(sultone)又はその誘導体等を単独で、又はそれら2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
また、電解質塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF、LiSCN、LiBr、LiI、LiSO、Li10Cl10、NaClO、NaI、NaSCN、NaBr、KClO、KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、(CHNBF、(CHNBr、(CNClO、(CNI、(CNBr、(n−CNClO、(n−CNI、(CN−maleate、(CN−benzoate、(CN−phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム(lithium stearyl sulfate)、オクチルスルホン酸リチウム(lithium octyl sulfate)、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(lithium dodecylbenzene sulphonate)等の有機イオン塩等を使用することができる。なお、これらのイオン性化合物は、単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。また、電解質塩の濃度は、従来のリチウム二次電池で使用される非水電解液と同様でよく、特に制限はない。本発明では、適当なリチウム化合物(電解質塩)を0.5〜2.0mol/L程度の濃度で含有させた電解液を使用することができる。
<3.非水電解質二次電池の製造方法>
(3−1.正極活物質の製造方法)
まず、正極活物質の製造方法について説明する。正極活物質は、正極活物質粒子を合成し、さらにこれに対して固体電解質層形成することにより得ることができる。
正極活物質粒子の合成方法は、特に制限されないが、例えば、共沈法を用いることできる。具体的には、まず、共沈法により正極活物質前駆体粒子を合成する。得られた乾燥粉末と、リチウム源、例えば炭酸リチウム(LiCO)とを混合することで、混合粉体を生成する。得られた混合粉体について、例えば大気雰囲気下中950〜1050℃で6時間焼成を行い、正極活物質粒子を合成することができる。ここで、LiとCo+M(=Me)とのモル比は、リチウムコバルト複合酸化物の組成に応じて決定される。例えば、Li1.00Co0.99Al0.0025Mg0.005Ti0.0025を製造する場合、LiとMeとのモル比Li:Meは1.00:1.00となる。得られたリチウムコバルト複合酸化物のLi:Me比率については、ICP−OES(例えば、HORIBA ULTIMA2)で確認し、焼成後のLi:Me比率が1.00:1.00となるように、あらかじめ炭酸リチウム量を調整し製造を行うことができる。
固体電解質層は、固体電解質層の構成材料および正極活物質粒子を分散媒中において混合したスラリーについて、スプレードライまたはエバポレータにより分散媒を除去し、焼成を行うことにより正極活物質粒子の表面上に形成される。
一例としては、イソプロパノールを分散媒とし、これに固体電解質層の構成材料を添加して混合液を得る。固体電解質層の構成材料は、例えば固体電解質がリン酸リチウム(LiPO)である場合、P、CHOLiを1:3のモル比で用いる。例えば固体電解質がLZP(LiZr(PO)である場合、CHOLi、70%ジルコニウムプロポキシド、Pを1:2:3のモル比で用いる。また、例えば固体電解質がLTP(LiTi(PO)である場合、CHOLi、オルトチタン酸テトライソプロピル、Pを1:2:3のモル比で用いる。
この固体電解質層の構成材料を混合した混合液に対し、正極活物質粒子を添加して、撹拌を行う。その後、スプレードライまたはエバポレータにより分散媒を除去する。
最後に焼成を行って、正極活物質粒子の表面上に固体電解質層を形成する。焼成条件は、例えば大気雰囲気下中700〜800℃で6時間とすることができる。
(3−2.非水電解質二次電池の製造方法)
続いて、非水電解質二次電池10の製造方法の一例について説明する。なお、以下に説明する製造方法はあくまで一例であり、他の方法で非水電解質二次電池10を製造可能であることはもちろんである。
正極20は、以下のように製造される。まず、正極活物質層22を構成する材料(例えば、正極活物質、導電助剤、および結着剤)を有機溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン)に分散させることでスラリーを形成する。
具体的には、結着剤を有機溶媒に溶解させた溶液に対し、アクリロニトリル系高分子を溶解させた溶液を混合する。さらに必要に応じて導電助剤を添加する。
次いで、得られた混合物を固練り混合し、さらに正極活物質粒子を添加して固練り混合を行う。最後に有機溶媒を添加して粘度調整を行い、スラリーを得る。
次に、スラリーを正極集電体21上に塗工し、乾燥させることで、正極活物質層22を形成する。なお、この際に正極活物質粒子の表面に上記アクリロニトリル系高分子が被覆する。さらに、圧縮機により正極活物質層22を所望の厚さとなるように圧縮する。これにより、正極20が製造される。ここで、正極活物質層22の厚さは特に制限されず、非水電解質二次電池の正極活物質層が有する厚さであればよい。なお、正極活物質を集電体に塗布する工程は、ドライ環境下で行っても良い。
負極30は、まず負極活物質、カルボキシメチルセルロース(CMC)及び導電助剤を所望の割合で混合したものを、イオン交換水を所定量加えて固練り混合する。その後、さらにイオン交換水を加えて粘度を調整し、スチレンブタジエンゴム(SBR)バインダを加え、負極スラリーを形成する。次に、スラリーを負極集電体31上に塗工し、乾燥させることで、負極活物質層32を形成する。さらに、圧縮機により負極活物質層32を所望の厚さとなるように圧縮する。これにより、負極30が製造される。ここで、負極活物質層32の厚さは特に制限されず、非水電解質二次電池の負極活物質層が有する厚さであればよい。また、負極活物質層32として金属リチウムを用いる場合、負極集電体31に金属リチウム箔を重ねれば良い。
続いて、セパレータを正極20および負極30で挟むことで、電極構造体を製造する。次に、電極構造体を所望の形態(例えば、円筒形、角形、ラミネート形、ボタン形等)に加工し、当該形態の容器に挿入する。さらに、当該容器内に所望の組成の電解液を注入することで、セパレータ内の各気孔に電解液を含浸させる。これにより、非水電解質二次電池10が製造される。
以下では、本実施形態に係る実施例について説明する。
<1.セルの製造>
(実施例1)
(正極活物質の作製)
以下の方法により、Li1.00Co0.99Al0.0025Mg0.005Ti0.0025の組成式を有する、正極活物質粒子を合成した。まず、共沈法により組成式Co0.99Al0.0025Mg0.005Ti0.0025(OH)で示される組成の正極活物質前駆体粒子を合成した。得られた乾燥粉末と、炭酸リチウム(LiCO)とを混合することで、混合粉体を生成する。得られた粉体について、大気雰囲気下中950〜1050℃で6時間焼成を行い、正極活物質粒子を合成した。ここで、LiとCo+M(=Me)とのモル比は、リチウムコバルト複合酸化物の組成に応じて決定されるため、Li1.00Co0.99Al0.0025Mg0.005Ti0.0025を製造する場合、LiとMeとのモル比Li:Meは1.00:1.00となる。得られたリチウムコバルト複合酸化物のLi:Me比率については、ICP−OES(例えば、HORIBA ULTIMA2)で確認し、焼成後のLi:Me比率が1.00:1.00となるように、あらかじめ炭酸リチウム量を調整し製造を行った。例えば、LiとMeとのモル比を1.03:1.00〜1.07:1.00の間で調整し、焼成後のLi:Me比率が1.00:1.00となるように製造を行った。
正極活物質粒子の平均粒径(球相当径の算術平均値)は、SEM画像を解析することで算出した。すなわち、複数個の正極活物質の球相当径をSEM画像に基づいて算出し、これらの算術平均値を平均粒径とした。この結果、平均粒径は15μmであった。
次いで、イソプロパノール中に固体電解質層の構成材料として、CHOLi、70%ジルコニウムプロポキシド、Pを1:2:3のモル比で加えた。次いで、合成した正極活物質粒子を混合液中に加え、撹拌した。なお、正極活物質粒子の添加量は、得られる固体電解質層が、正極活物質粒子に対し0.2mol%となるように調整した。次いでスプレードライヤーによって、イソプロパノールを除去し、粉体を得た。
得られた粉体について、大気雰囲気下中700〜800℃で6時間焼成を行い、正極活物質粒子の表面上に固体電解質層としてのLZP(LiZr(PO)層を形成した。
(コインハーフセルの作製)
以下の処理によりコインハーフセルを作製した。まず、正極活物質粒子、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンおよびアクリロニトリル系高分子を96:2:1:1の質量比で混合した。この混合物(正極合剤)をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリーを形成した。なお、アクリロニトリル系高分子は、アクリロニトリルおよびアクリル酸を単量体として有し、これらのモル比は、アクリロニトリル:アクリル酸=97.5:2.5である。また、アクリロニトリル系高分子の質量平均分子量は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化 飛行時間型質量分析法(MALDI TOF−MS)により測定したところ、500,000であった。
スラリーを正極集電体21上に塗工し、乾燥させることで、正極活物質層22を形成した。そして、正極活物質層22の厚さが50μmとなるように圧延することで、正極20を作製した。なお、正極活物質層22の体積密度は4.0g/ccであり、面積密度は、20mg/cmであった。
負極30は、負極集電体31である銅箔上に、グラファイトをイオン交換水に分散させた負極スラリーを塗工し、乾燥させることで作製した。そして、セパレータとして厚さ12μmの多孔質ポリプロピレンフィルム(両面に水酸化マグネシウムコーティングがなされたもの。帝人社製。)を用意し、セパレータを正極20と負極30との間に配置することで、電極構造体を製造した。次に、電極構造体をコインハーフセルの大きさに加工し、コインハーフセルの容器に収納した。
ついで、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを3:7の体積比で混合した非水溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウムを1.3Mの濃度で溶解することで、電解液を製造した。ついで、電解液をコインハーフセルに注入して電解液をセパレータに含浸させることで、実施例1に係るコインハーフセルを作製した。
(コインフルセルの作製)
コインハーフセルと同様にして電極構造体を製造した。ついで、電極構造体をコインフルセルの大きさに加工し、コインフルセルの容器に収納した。
ついで、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを3:7の体積比で混合した非水溶媒に、ヘキサフルオロリン酸リチウムを1.3Mの濃度で溶解することで、電解液を製造した。ついで、電解液をコインフルセルに注入して電解液をセパレータに含浸させることで、実施例1に係るコインフルセルを作製した。
(実施例2〜4)
固体電解質層の被覆量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。
(実施例5〜11)
固体電解質層の組成および被覆量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。なお、実施例11については、加えて正極活物質粒子の平均粒径が5μmとなるように合成を行った。
(比較例1)
正極活物質層の構成材料として、正極活物質粒子、アセチレンブラックおよびポリフッ化ビニリデンを96:2:2の質量比で用い、アクリロニトリル系高分子を用いなかった以外は、実施例2と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。
(比較例2)
正極活物質層の構成材料として、正極活物質粒子、アセチレンブラックおよびポリフッ化ビニリデンを96:2:2の質量比で用い、アクリロニトリル系高分子を用いなかった以外は、実施例6と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。
(比較例3)
正極活物質層の構成材料として、正極活物質粒子、アセチレンブラックおよびポリフッ化ビニリデンを96:2:2の質量比で用い、アクリロニトリル系高分子を用いなかった以外は、実施例8と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。
(比較例4、5)
固体電解質層の組成および被覆量を表1に示すように変更し、アクリロニトリル系高分子として質量平均分子量が650,000のものを用いた以外は、実施例1と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。
(比較例6)
固体電解質層を形成せず、アクリロニトリル系高分子として質量平均分子量が650,000のものを用いた以外は、実施例1と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。
(比較例7)
固体電解質層を形成せず、正極活物質層の構成材料として正極活物質粒子、アセチレンブラックおよびポリフッ化ビニリデンを96:2:2の質量比で用い、アクリロニトリル系高分子を用いなかった以外は、実施例1と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。
(比較例8)
正極活物質粒子の平均粒径が5μmとなるように合成を行ない、固体電解質層を形成せず、正極活物質層の構成材料として正極活物質粒子、アセチレンブラックおよびポリフッ化ビニリデンを96:2:2の質量比で用い、アクリロニトリル系高分子を用いなかった以外は、実施例1と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。
(比較例8)
正極活物質層の構成材料として正極活物質粒子、アセチレンブラックおよびポリフッ化ビニリデンを96:2:2の質量比で用い、アクリロニトリル系高分子を用いなかった以外は、実施例11と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。
(参考例1)
まず、正極活物質粒子の組成をLiNi0.88Co0.1Al0.01Mg0.01、平均粒径を12μmとし、Ni0.88Co0.1Al0.01Mg0.01(OH)前駆体と、水酸化リチウム(LiOH)とを混合した粉体について、酸素雰囲気下中750〜800℃で6時間焼成を行った以外は実施例1と同様にして正極活物質粒子を合成した。次いで、固体電解質層を形成せず、正極活物質層の構成材料として正極活物質粒子、アセチレンブラックおよびポリフッ化ビニリデンを96:2:2の質量比で用い、アクリロニトリル系高分子を用いなかった。スラリーを正極集電体21上に塗工し、乾燥させることで、正極活物質層22を形成した。そして、正極活物質層22の厚さが55μmとなるように圧延することで、正極20を作製した。なお、正極活物質層22の体積密度は3.6g/ccであり、面積密度は、20mg/cmであった。それ以外は、実施例1と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。
(参考例2)
まず、参考例1と同様にして正極活物質粒子を合成した。次いで、被覆量を0.2mol%とし、得られた粉体について、酸素雰囲気下中500〜600℃で6時間焼成を行った以外は実施例1と同様にして、正極活物質粒子の表面上に固体電解質層としてのLZP(LiZr(PO)層を形成した。さらに、正極活物質層の構成材料として正極活物質粒子、アセチレンブラックおよびポリフッ化ビニリデンを96:2:2の質量比で用い、アクリロニトリル系高分子を用いなかった以外は、参考例1と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。
(参考例3)
まず、参考例1と同様にして正極活物質粒子を合成した。次いで、被覆量を0.2mol%とし、得られた粉体について、酸素雰囲気下中500〜600℃で6時間焼成を行った以外は実施例1と同様にして、正極活物質粒子の表面上に固体電解質層としてのLZP(LiZr(PO)層を形成した以外は、参考例1と同様にしてコインハーフセルおよびコインフルセルを作成した。
以上の各実施例、比較例および参考例における製造条件を表1にまとめて示す。
Figure 0006936015
<2.評価>
次に、各実施例、比較例および参考例において得られたコインハーフセルおよびコインフルセルを用いて、放電容量、初期効率およびサイクル特性の評価を行った。
(放電容量および初期効率)
各実施例および比較例において得られたコインハーフセルについて、以下の表2に示す充放電レート(rate)、カットオフ(cut off)電圧(単位はV)にて充放電を行った。充放電時の温度は室温(25℃)とした。CC−CVは定電流定電圧を意味し、CCは定電流を意味する。そして、1サイクル目の放電容量を測定し、この値を初期放電容量とし、1サイクル目(0.1C)の充電容量に対する1サイクル目(0.1C)の放電容量の容量維持率で初期効率を評価した。
Figure 0006936015
(充放電サイクル試験)
以下の表3に示す充放電レート(rate)、カットオフ(cut off)電圧(単位はV)にてフルセルの充放電を行った。充放電時の温度は高温(45℃)とした。CC−CVは定電流定電圧を意味し、CCは定電流を意味する。そして、2サイクル目の放電容量を測定し、この値を初期容量とし、52サイクル目の放電容量を測定し、この値を50サイクル目の容量とした。2サイクル目(0.2C)の放電容量に対する52サイクル目(0.2C)の放電容量の容量維持率でサイクル特性を評価した。
Figure 0006936015
(放電容量および初期効率)
次に、参考例において得られたコインハーフセルについて、以下の表4に示す充放電レート(rate)、カットオフ(cut off)電圧(単位はV)にて充放電を行った。充放電時の温度は室温(25℃)とした。CC−CVは定電流定電圧を意味し、CCは定電流を意味する。そして、1サイクル目の放電容量を測定し、この値を初期放電容量とし、1サイクル目(0.1C)の充電容量に対する1サイクル目(0.1C)の放電容量の容量維持率で初期効率を評価した。
Figure 0006936015
(充放電サイクル試験)
以下の表5に示す充放電レート(rate)、カットオフ(cut off)電圧(単位はV)にてフルセルの充放電を行った。充放電時の温度は高温(45℃)とした。CC−CVは定電流定電圧を意味し、CCは定電流を意味する。そして、3サイクル目の放電容量を測定し、この値を初期容量とし、101サイクル目の放電容量を測定し、この値を100サイクル目の容量とした。3サイクル目(1.0C)の放電容量に対する101サイクル目(1.0C)の放電容量の容量維持率でサイクル特性を評価した。
Figure 0006936015
以上の結果を表1に合わせて示す。
<3.対比>
まず、実施例1〜11と比較例1〜9とを比較すると、実施例1〜11に係るコインフルセルは、比較例1〜9に係るコインフルセルよりも高温(45℃)下におけるサイクル特性が著しく向上した。具体的には、まず、実施例1〜10と比較例7、実施例11と比較例8とを比較すると、固体電解質層を形成し、アクリロニトリル系高分子を正極活物質粒子に被覆させた場合、放電容量および初期効率の低下を防止しつつ、サイクル特性を劇的に向上させることができた。
また、実施例2と比較例1、実施例6と比較例2、実施例8と比較例3、実施例10と比較例9とを比較すると、アクリロニトリル系高分子が正極活物質粒子に被覆していない場合、サイクル特性が十分に向上しないことが観察された。
また、実施例1〜11と、比較例4〜6とを比較すると、アクリロニトリル系高分子を正極活物質粒子に被覆させた場合であっても、固体電解質層を形成しなかったり(比較例6)、固体電解質層の構成材料としてリン酸リチウムまたはリン酸金属リチウムを用いなかった際(比較例4、5)には、サイクル特性が十分に向上しなかった。
実施例1〜4を比較すると、固体電解質層の構成材料としてLZPを使用した場合にはその被覆量の増加に伴ってサイクル特性が向上する一方で、放電容量および初期効率が若干低下する傾向にある。一方で、実施例9、10により、固体電解質層の構成材料としてリン酸リチウムを使用した場合には、固体電解質層の被覆量を増加させても、放電容量および初期容量の低下がほとんどなく、一方でサイクル特性を向上させることが可能であった。
また、比較例7、8の比較から理解できるように正極活物質粒子の粒径が小さくなると、一般にはサイクル特性の急激な低下がみられる。一方で、本発明に係る実施例10、11のコインフルセルを比較すると、正極活物質粒子の粒径が小さくなった場合であっても、サイクル特性が低下しなかった。このことから、本願発明のサイクル特性の向上効果は、比較的小粒径の正極活物質粒子を用いた場合に顕著に発揮されることが推測される。
また、参考例1〜3を比較すると、コバルトを主体としないLiNi0.88Co0.1Al0.01Mg0.01を正極活物質粒子として用いた場合、固体電解質層を形成したり、アクリロニトリル系高分子を正極活物質粒子に被覆させたりすると、放電容量および初期効率は低下しなかったが、サイクル特性はLZP被覆による改善傾向が見られず、アクリロニトリル系高分子を用いても改善しなかった。このことから、上述した、特定の固体電解質層およびアクリロニトリル系高分子による効果は、本願発明において規定されるようなコバルトを主体とした正極活物質粒子に特有に発現するものであることが推測された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 非水電解質二次電池
20 正極
21 正極集電体
22 正極活物質層
30 負極
31 負極集電体
32 負極活物質層
40 セパレータ層

Claims (7)

  1. 集電体と、当該集電体に結着された正極活物質層とを有し、
    前記正極活物質層は、以下の式(1):
    LiCo (1)
    前記式(1)中、Mは、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)、セリウム(Ce)からなる群から選択される1種以上の金属元素であり、x、y、zは、0.20≦x≦1.20、0.95≦y≦1.00、0.0≦z≦0.05かつy+z=1の範囲内の値である、
    で示される組成を有する正極活物質粒子と、前記正極活物質粒子の少なくとも一部を覆い、少なくともリン酸金属リチウムを含み、前記リン酸金属リチウムは、マグネシウム、アルミニウム、チタン、及びジルコニウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む固体電解質層と、前記正極活物質粒子を覆う、アクリロニトリルをモノマー単位として含む高分子とを有する、非水電解質二次電池用正極。
  2. 前記リン酸金属リチウムは、アルミニウム、チタン、及びジルコニウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極。
  3. 前記固体電解質層は、前記正極活物質粒子に対し、0.1mol%以上1.0mol%以下のモル比で被覆している、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用正極。
  4. 前記高分子が、アクリロニトリルをモノマー単位として90mol%以上含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用正極。
  5. 前記高分子が、以下の式(2):
    Figure 0006936015

    前記式(2)中、l、mは、それぞれ自然数であり、R1およびR2は水素またはメチル基である、
    で表される構造を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用正極。
  6. 前記高分子の質量平均分子量が、200,000以上800,000以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用正極。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極を含む、非水電解質二次電池。
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