JP6935677B2 - 静電荷像現像用圧力定着トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用圧力定着トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、静電荷像現像用圧力定着トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
電子写真法等、画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電及び静電荷像形成により、像保持体の表面に画像情報として静電荷像を形成する。そして、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面にトナー画像を形成し、このトナー画像を記録媒体に転写した後、トナー画像を記録媒体に定着する。これら工程を経て、画像情報を画像として可視化する。
例えば、特許文献1には、「コアシェル構造を有する樹脂粒子を凝集して得られるトナーであって、コアとシェルを構成する樹脂がいずれも非結晶性樹脂であり、コアを構成する樹脂のガラス転移温度とシェルを構成する樹脂のガラス転移温度とが20℃以上異なり、シェルを構成する樹脂中に、酸性若しくは塩基性の極性基、又は、アルコール性水酸基を含有する静電荷像現像用圧力定着用トナー」が開示されている。
また、特許文献2には、「結着樹脂が海島構造を形成し、海相を形成する樹脂のガラス転移温度と、島相を形成する樹脂のガラス転移温度との差が30℃以上であり、前記樹脂のガラス転移温度がいずれも55℃未満であり、前記島相の長径が150nm以下である圧力定着用静電荷像現像用トナー。」が開示されている。
また、特許文献3には、「ガラス転移温度の差が50〜200℃である少なくとも2種のブロックを有するブロック共重合体を含む圧力流動性トナー。」が開示されている。
特開2009−053318号公報 特開2009−244857号公報 特開2011−017915号公報
本発明の課題は、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含み、スチレン樹脂を含む海部と(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含む島部とで構成された海島構造を有し、スチレン樹脂よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂のガラス転移温度が30℃以上低い静電荷像現像用圧力定着トナーにおいて、島部の長径が200nm未満、又はガラス転移温度が50℃以上の樹脂を含むシェル層を有さない場合に比べ、トナーの変形を抑制する静電荷像現像用圧力定着トナーを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
に係る発明は、
スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含み、該スチレン樹脂を含む海部と該(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含む島部とで構成された海島構造を有し、該スチレン樹脂よりも該(メタ)アクリル酸エステル樹脂のガラス転移温度が30℃以上低く、該島部の長径が200nm以上500nm以下であるコア部と、
該コア部を被覆しガラス転移温度が50℃以上の樹脂を含むシェル層と、
を有する静電荷像現像用圧力定着トナー。
に係る発明は、
前記シェル層の厚さが、140nm以上550nm以下であるに記載の静電荷像現像用圧力定着トナー。
に係る発明は、
前記スチレン樹脂、前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂、及び前記シェル層の樹脂の少なくとも1つの樹脂が、シロキサン構造を有する樹脂である又はに記載の静電荷像現像用圧力定着トナー。
に係る発明は、
前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂が、シロキサン構造を有する樹脂であるに記載の静電荷像現像用圧力定着トナー。
に係る発明は、
前記シロキサン構造を有する樹脂において、樹脂に占める前記シロキサン構造の割合が質量比で1%以上20%以下である又はに記載の静電荷像現像用圧力定着トナー。
に係る発明は、
のいずれか1項に記載の静電荷像現像用圧力定着トナーを含む静電荷像現像剤。
に係る発明は、
のいずれか1項に記載の静電荷像現像用圧力定着トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
に係る発明は、
に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
10に係る発明は、
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
に係る発明によれば、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含み、スチレン樹脂を含む海部と(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含む島部とで構成された海島構造を有し、スチレン樹脂よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂のガラス転移温度が30℃以上低い静電荷像現像用圧力定着トナーにおいて、島部の長径が200nm未満、又はガラス転移温度が50℃以上の樹脂を含むシェル層を有さない場合に比べ、トナーの変形を抑制する静電荷像現像用圧力定着トナーが提供される。
に係る発明によれば、シェル層の厚さが20nm未満の場合に比べ、トナーの変形を抑制する静電荷像現像用圧力定着トナーが提供される。
に係る発明によれば、スチレン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、及びシェル層の樹脂のいずれの樹脂も、シロキサン構造を有さない樹脂である場合に比べ、トナー画像が定着された記録媒体を積み重ねたとき、記録媒体に定着後の定着画像が他の記録媒体へ移行する現象(以下「ドキュメントオフセット」とも称する)の発生を抑制する静電荷像現像用圧力定着トナーが提供される。
に係る発明は、スチレン樹脂、又はシェル層の樹脂がシロキサン構造を有する樹脂である場合に比べ、ドキュメントオフセットの発生を抑制する静電荷像現像用圧力定着トナーが提供される。
に係る発明は、シロキサン構造を有する樹脂における「樹脂に占めるシロキサン構造の割合」が質量比で1%未満である場合に比べ、ドキュメントオフセットの発生を抑制する静電荷像現像用圧力定着トナーが提供される。
、又は10に係る発明によれば、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含み、スチレン樹脂を含む海部と(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含む島部とで構成された海島構造を有し、スチレン樹脂よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂のガラス転移温度が30℃以上低い静電荷像現像用圧力定着トナーにおいて、島部の長径が200nm未満、又はガラス転移温度が50℃以上の樹脂を含むシェル層を有さない場合に比べ、トナーの変形を抑制する静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、又は画像形成方法を提供できる。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用圧力定着トナー(以下「トナー」又は「圧力定着トナー」とも称する)は、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含むコア部と、コア部(芯部)を被覆しガラス転移温度が50℃以上の樹脂を含むシェル層(被覆部)と、を有する。具体的には、圧力定着トナーは、コア部と被覆部とを持つトナー粒子を有する構成のトナーである。
そして、トナー粒子のコア部は、スチレン樹脂を含む海部と(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含む島部とで構成された海島構造を有し、スチレン樹脂よりも該(メタ)アクリル酸エステル樹脂のガラス転移温度が30℃以上低く、島部の長径が200nm以上500nm以下である。
本実施形態に係る圧力定着トナーは、上記構成により、トナーの変形(つまりトナー粒子の変形)が抑制される。その理由は、次の通り推測される。
圧力定着トナーは、加圧により可塑性を示すトナーである。その一つとして、スチレン樹脂とスチレン樹脂よりもガラス転移温度が30℃以上低い(メタ)アクリル酸エステル樹脂とを含み、スチレン樹脂を含む海部と(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含む島部とで構成された海島構造を持つトナー粒子を有する圧力定着トナーが知られている。
この海島構造を持つトナー粒子は、島部の長径(例えば150nm以下の長径)が小さい程、圧力可塑性が高く、優れた圧力定着性を示す。しかし、島部の長径が過度に小さいと、攪拌などの機械的な負荷が掛かるだけで、トナー粒子が変形することがある。
また、島部の長径(例えば150nm以下の長径)が小さい海島構造がトナー粒子の表面に露出していると、さらに、トナー粒子の変形が生じる傾向が高まる。
それに対して、島部の長径200nm以上500nm以下といった範囲にすると、圧力定着性を確保しつつ、大径化し、トナー粒子の機械的強度が高まる。その上で、この海島構造を持つ粒子をコア部とし、50℃以上の高いガラス転移温度の樹脂を含むシェル層で被覆したコア/シェル構造のトナー粒子にすると、海島構造の表面露出が抑えられる。それにより、トナー粒子の内部と共に表層の機械的強度も増し、トナー粒子全体としての機械的強度が高まる。
以上から、本実施形態に係る圧力定着トナーは、トナーの変形が抑制されると推測される。そして、例えば、トナーの変形に起因する、現像性の低下、クリーニング不良も抑制されると推測される。
本実施形態に係る圧力定着トナーにおいて、スチレン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、及びシェル層の樹脂の少なくとも1つの樹脂が、シロキサン構造を有する樹脂であることが好ましい。つまり、これらの少なくとも1つの樹脂が、シロキサン構造を有することが好ましい。
ここで、スチレン樹脂とスチレン樹脂よりもガラス転移温度が30℃以上低い(メタ)アクリル酸エステル樹脂とをトナー粒子に含む圧力定着トナーによる定着画像は、ガラス転移温度が低い樹脂を含むため、定着画像の強度が低下する傾向がある。また、定着画像の表層にガラス転移温度が低い(メタ)アクリル酸エステル樹脂が偏在し、定着画像の表面の粘着性が発現する傾向がある。そのため、ドキュメントオフセット(トナー画像が定着された記録媒体を積み重ねたとき、記録媒体に定着後の定着画像が他の記録媒体へ移行する現象)が生じることがある。
それに対して、上記3種の樹脂の少なくとも1つの樹脂として、シロキサン構造を有する樹脂を適用すると、ドキュメントオフセットが抑制される。これは、樹脂のシロキサン構造が定着画像の表面に偏在し、定着画像の離型性を高めるため(つまり定着画像の低摩擦化するため)と考えられる。
上記3種の樹脂のうち、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、及びシェル層の樹脂の少なくとも1つの樹脂、特に、(メタ)アクリル酸エステル樹脂として、シロキサン構造を有する樹脂を適用すると、ドキュメントオフセットがより抑制されやすくなる。これは、(メタ)アクリル酸エステル樹脂及びシェル層の樹脂、特にガラス転移温度が低い(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、定着画像の表層に偏在しやすく、樹脂のシロキサン構造が効率良く定着画像の表面に偏在し、さらに、定着画像の離型性を高めるため(つまり定着画像の低摩擦化するため)と考えられる。
上記3種の樹脂に、シロキサン構造を導入するには、例えば、各々を合成する単量体と共に、シロキサン構造を有する単量体を使用する。なお、シロキサン構造を有する単量体については、後述する。
シロキサン構造を有する樹脂において、樹脂に占めるシロキサン構造の割合は、ドキュメントオフセット抑制の観点から、質量比で1%以上20%以下が好ましく、1%以上15%がより好ましく、2%以上10%がさらに好ましい。
以下、本実施形態に係る圧力定着トナーについて詳細に説明する。
本実施形態に係る圧力定着トナーは、トナー粒子を有する。トナーは、トナー粒子に外添される外添剤を有していてもよい。
[トナー粒子]
トナー粒子は、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含むコア部と、コア部を被覆しガラス転移温度が50℃以上の樹脂を含むシェル層と、を有する。
コア部には、結着樹脂として、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂以外に、着色剤、離型剤、その他添加剤を含んでもよい。
(コア部)
−海島構造−
コア部の海島構造は、スチレン樹脂を含む海部を連続相とし、(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含む島部が分散相として分散している構造を示す。
なお、海部は、スチレン樹脂と共に、他の成分(他の結着樹脂等)を含んでもよい。同様に、島部も、メタ)アクリル酸エステル樹脂と共に、他の成分(離型剤等)を含んでもよい。また、島部は、(メタ)アクリル酸エステル樹脂単独の島部、他の成分(離型剤等)単独の島部が混在していてもよい。
海島構造の島部の長径は、小さい程、圧力可塑性が高く、圧力定着性が向上する一方、トナー粒子の変形が生じやすくなる傾向があり、大きい程、圧力可塑性が低く、圧力定着性が低下する一方、トナー粒子の変形が生じやすくなる傾向がある。そのため、海島構造の島部の長径は、200nm以上500nm以下とする。海島構造の島部の長径は、トナーの変形抑制、及び圧力定着性の観点から、200nm以上450nm以下が好ましく、250nm以上400nm以下がより好ましい。
海島構造の島部の長径を上記200nm以上500nm以下の範囲にする方法としては、例えば、乳化凝集法のトナーの作製において、内部に(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散したスチレン樹脂粒子(つまり、スチレン樹脂を母材とし、その母材中に(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散した樹脂粒子)を使用する方法等が挙げられる。
海島構造の確認、及び島部の長径の測定は、次に示す方法により行う。
トナーをエポキシ樹脂に包埋した後、ダイヤモンドナイフ等で切片を作製し、作製した切片をデシケータ内で四酸化オスミウム又は四酸化ルテニウムを用いて染色し、染色された切片を透過型電子顕微鏡にて観察する。そして、海島構造の海部と島部とは、四酸化オスミウムによる樹脂の染色度合いに起因する濃淡で区別され、これを利用して、海島構造の有無を確認する。なお、離型剤を含む場合も、四酸化オスミウムによる染色度合いに起因する濃淡で区別できる。スチレン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、離型剤の染色度合いは、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン樹脂、離型剤の順で濃く染色される。
また、ルーゼックス画像解析装置を用いて、100個の島部を選択し、その長径の平均値を島部の長径として算出する。なお、島部の長径とは、島部の最大径を意味する。
−結着樹脂−
結着樹脂としては、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂が適用される。
そして、スチレン樹脂よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂のガラス転移温度は、30℃以上低い。つまり、スチレン樹脂と(メタ)アクリル酸エステル樹脂とのガラス転移温度の差は30℃以上であり、かつスチレン樹脂よりも(メタ)アクリル酸エステル樹脂のガラス転移温度が低い。
なお、明細書において、スチレン樹脂を「高Tgスチレン樹脂」、(メタ)アクリル酸エステル樹脂を「低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂」とも称する。
スチレン樹脂と(メタ)アクリル酸エステル樹脂とのガラス転移温度の差は、圧力定着性向上の観点から、35℃以上が好ましい。
スチレン樹脂のガラス転移温度は、圧力定着性向上の観点から、40℃以上が好ましく、40℃以上60℃未満がより好ましく、40℃以上55℃未満がさらに好ましい。
一方、(メタ)アクリル酸エステル樹脂のガラス転移温度は、圧力定着性向上の観点から、10℃未満が好ましく、−100℃以上10℃未満がより好ましく、−80℃以上10℃未満がさらに好ましい。
各樹脂のガラス転移温度は、主に、樹脂の主鎖中の、芳香環、シクロヘキサン環等の剛直な単位の密度によって制御できる。すなわち、ガラス転移温度は、主鎖中のメチレン基、エチレン基、オキシエチレン基等の柔軟な単位の密度が高ければ低下し、芳香環、シクロヘキサン環等の剛直な単位が多くなれば上昇する傾向がある。また、脂肪族等の側鎖の密度を高めると、ガラス転移温度は低下する傾向がある。これらを考慮することによって、様々なガラス転移温度の樹脂が得られる。
ここで、本明細書において、各樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
次に、スチレン樹脂の構成について説明する。
スチレン樹脂は、スチレン系単量体(スチレン骨格を有する単量体)を少なくとも重合した樹脂である。
スチレン樹脂は、スチレン系単量体単独重合体であってもよいし、スチレン系単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。
なお、スチレン樹脂と(メタ)アクリル酸エステル樹脂とはガラス転移温度が30℃以上の差を有していれば、同じ種類の樹脂(同じ単量体を重合した共重合体)であってもよい。つまり、スチレン樹脂と(メタ)アクリル酸エステル樹脂とは、いずれも、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルと少なくとも重合した共重合体であってもよい。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン;ビニルナフタレン;α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のアルキル置換スチレン;p−フェニルスチレン等のアリール置換スチレン;p−メトキシスチレン等のアルコキシ置換スチレン;p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、4−フルオロスチレン、2,5−ジフルオロスチレン等のハロゲン置換スチレン;m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のニトロ置換スチレン;などが挙げられる。
これらの中でも、スチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン等が好ましく、スチレンがより好ましい。
スチレン系単量体の全単量体成分に対する割合(すなわち、スチレン樹脂に対する、スチレン系単量体に由来する構成単位の割合)は、30質量%以上95質量%以下が好ましく、40質量%以上90質量%以下がより好ましい。
なお、これら単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
次に、(メタ)アクリル酸エステル樹脂の構成について説明する。
(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルを少なくとも重合した重合体である。
(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単独重合体であってもよいし、(メタ)アクリル酸エステルと他の樹脂とを重合した共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ジ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸カルボキシ置換アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシ置換アルキルエステル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸n−メチル、(メタ)アクリル酸n−エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸n−テトラデシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。
ジ(メタ)アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート、ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、ペンタンジオールジ(メタ)アクリラート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、ノナンジオールジ(メタ)アクリラート、デカンジオールジ(メタ)アクリラート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸カルボキシ置換アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシ置換アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルコキシ置換アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数2以上22以下のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルの全単量体成分に対する割合(すなわち、(メタ)アクリル酸エステル樹脂に対する、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の割合)は、10質量%以上100質量%以下が好ましく、20質量%以上100質量%以下がより好ましい。
次に、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂の他の単量体について説明する。
他の単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;イソプレン、ブテン、ブタジエンなどのオレフィンが挙げられる。
なお、スチレン樹脂としては、上述した(メタ)アクリル酸エステルも挙げられる。一方、(メタ)アクリル酸エステル樹脂の他の単量体としては、上述したスチレン系単量体も挙げられる。
ここで、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂には、酸性極性基(カルボキシ基、スルホン酸基、酸無水物等)、塩基性極性基(アミノ基、アミド基、ヒドラジド基等)、アルコール性水酸基を有していてもよい。
そのため、他の単量体としては、酸性極性基を有する単量体、塩基性基を有する単量体、アルコール性水酸基を有する単量体も挙げられる。
酸性極性基を有する単量体としては、α,β−エチレン性不飽和化合物(アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、スルホン化スチレン、アリルスルホコハク酸等)等が挙げられる。
塩基性極性基を有する単量体としては、該窒素原子を有する単量体(例えば、(メタ)アクリル酸アミド化合物、(メタ)アクリル酸ヒドラジド化合物又は(メタ)アクリル酸アミノアルキルが好ましく挙げられる。
(メタ)アクリル酸アミド化合物としては、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリル酸メチルアミド、メタクリル酸メチルアミド、アクリル酸ジメチルアミド、アクリル酸ジエチルアミド、アクリル酸フェニルアミド、アクリル酸ベンジルアミド等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドラジド化合物としては、アクリル酸ヒドラジド、メタクリル酸ヒドラジド、アクリル酸メチルヒドラジド、メタクリル酸メチルヒドラジド、アクリル酸ジメチルヒドラジド、アクリル酸フェニルヒドラジド等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アミノアルキルとしては、(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル(例えばアクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸2−アミノエチル等)、メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル(例えば、(メタ)アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル等)等が挙げられる。
アルコール性水酸基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルで例示した(メタ)アクリル酸ヒドロキシ置換アルキルエステルが挙げられる。
また、他の単量体としては、シロキサン構造を有する単量体(以下、「シリコーン化合物」とも称する)も挙げられる。
ここで、シロキサン構造(ポリシロキサン鎖)としては、式:−(O−Si(R−で示されるシロキサン構造が挙げられる。
式中、2つのRは、各々独立に、水素原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、又はフェニル基を示し、メチル基、エチル基、又はフェニル基を示すことが好ましい。
nは、1以上の整数を示し、1以上3以下の整数を示すことが好ましい。
シリコーン化合物は、モノマーであってもよいし、マクロモノマーであってもよい。この「マクロモノマー」とは、重合性官能基を持ったオリゴマー(重合度2以上300以下程度)あるいはポリマーの総称であり、高分子と単量体(モノマー)との両方の性質を有するものである。また、シロキサン構造を有する単量体は1種単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。
直鎖型のシリコーン化合物としては、例えば、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーン化合物(下記構造式(1)で表されるシリコーン化合物:例えば、JNC社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越化学工業社製:X−22−174BX、X−22−174DX,X−22−2426,X−22−2475等)が挙げられる。
分岐型のシリコーン化合物としては、例えば、下記構造式(2)〜(7)で表されるシリコーン化合物等が挙げられる。
Figure 0006935677

構造式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。R’は、水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。mは自然数(例えば1以上1000以下、好ましくは3以上100以下)を表す。xは1以上3以下の整数を示す。
Figure 0006935677


Figure 0006935677


Figure 0006935677

構造式(2)、(3)、(5)、(6)、(7)中、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、又は炭素数1以上4以下のフルオロアルキル基を表す。Rは、水素原子、又はメチル基を表す。p、q及びrはそれぞれ独立に、1以上1000以下の整数を表す。xは、1以上3以下の整数を表す。
構造式(4)中、R’は、水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。mは自然数(例えば1以上1000以下、好ましくは3以上100以下)を表す。xは1以上3以下の整数を示す。
構造式(2)及び(5)で表されるシリコーン化合物は、R及びRがブチル基で、R、R、R、R及びRがメチル基で、Rがメチル基で、p及びqがそれぞれ独立に1以上5以下の整数で、xが1以上3以下の整数である態様が好ましい。
構造式(3)及び(6)で表されるシリコーン化合物は、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10がメチル基で、Rが水素原子又はメチル基で、p、q及びrがそれぞれ独立に1以上3以下の整数で、xが1以上3以下の整数である態様が好ましい。
構造式(7)で表されるシリコーン化合物は、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10がメチル基で、Rが水素原子又はメチル基で、p及びqがそれぞれ独立に1以上5以下の整数で、xが1以上3以下の整数である態様が好ましい。
構造式(2)で表されるシリコーン化合物としては、例えば、Gelest社製のMCS−M11、MFS−M15等が挙げられる。構造式(3)で表されるシリコーン化合物としては、例えば、Gelest社製のRTT−1011、信越化学工業社製のX22−2404等が挙げられる。構造式(4)で表されるシリコーン化合物としては、例えば、Gelest社製のMCR−V21等が挙げられる。構造式(5)で表されるシリコーン化合物としては、例えば、Gelest社製のMCS−V12等が挙げられる。構造式(6)で表されるシリコーン化合物としては、例えば、Gelest社製のVTT−106等が挙げられる。構造式(7)で表されるシリコーン化合物としては、例えば、Gelest社製のRMS−044、RMS−033、RMS−083等が挙げられる。以下にこれらのシリコーン化合物の代表的な構造式を示す。
Figure 0006935677

MCS−M11は、上記の構造式においてm及びnがそれぞれ独立に2以上4以下の整数であり、その分子量が800以上1000以下である。
Figure 0006935677

RTT−1011は、上記の構造式で表わされる化合物である。
Figure 0006935677

X22−2404は、上記の構造式で表わされる化合物である。
Figure 0006935677

MCR−V21は、上記の構造式においてmが72以上85以下の整数であり、その分子量が5500以上6500以下である。
Figure 0006935677


MCS−V12は、上記の構造式においてm及びnが6以上10以下の整数であり、その分子量が1200以上1400以下である。
Figure 0006935677

VTT−106は、上記の構造式で表わされる化合物である。
なお、各樹脂にシロキサン構造を導入する方法は、シロキサン構造と共に上記(メタ)アクリロイル基を持つシリコーン化合物を使用する方法に限られず、シロキサン構造と共に上記(メタ)アクリロイル基を持つシリコーン化合物とグリシジル(メタ)アクリレート又はイソシアネート系モノマー(昭和電工:カレンズAOI、カレンズMOI)との少なくとも2成分を重合した共重合体、シロキサン構造と共にエポキシ基を持つシリコーン化合物(信越化学工業社製:X−22−173DX等)等の、シロキサン構造と共に各種反応性基を持つシリコーン化合物を使用する方法もある。
なお、以上説明した各単量体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
次に、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステルの含有量、その他特性について説明する。
スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂の合計の割合(全結着樹脂に対する割合)は、例えば、85質量%以上がよく、好ましくは95質量%以上、より好ましくは100質量%である。
スチレン樹脂に対する(メタ)アクリル酸エステル樹脂の質量比「(メタ)アクリル酸エステル樹脂/スチレン樹脂)」は、トナーの変形抑制、及び圧力定着性の観点から、0.25以上が好ましく、は0.3以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましく、0.5以上が特に好ましい。ただし、この質量比は、トナーの常温(例えば25℃)での可塑化抑制の観点から、1.5未満であることが好ましい。
なお、シェル層の樹脂として、スチレン(メタ)アクリル樹脂を適用する場合、スチレン(メタ)アクリル樹脂の含有量は、コア部及びシェル層の合計含有量を意味する。
スチレン樹脂の重量平均分子量は、圧力定着性、及び定着画像の強度の観点から、3,000〜50,000が好ましく、5,000〜40,000がより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル樹脂の重量平均分子量は、圧力定着性、及び像保持体のトナーフィルミング(像保持体の表面にトナーが薄膜状に付着する現像)抑制の観点
から、3,000〜50,000が好ましく、5,000〜40,000がより好ましい。
樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
次に、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂以外の他の結着樹脂について説明する。
結着樹脂としては、スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂以外に他の結着樹脂を併用してもよい。
他の結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
他の結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの他の結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂の含有量としては、例えば,トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
−着色剤−
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−離型剤−
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
(シェル層)
シェル層は、ガラス転移温度が50℃以上の樹脂を含む。
シェル層の樹脂のガラス転移温度は、トナーの変形抑制、及び圧力定着性の観点から、50℃以上110℃以下が好ましく、50℃以上90℃以下がより好ましい。
被覆層の樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
周知の結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に、被覆層の樹脂は、トナーの変形抑制、及び圧力定着性の観点からコア部のスチレン樹脂を適用することが好ましい。
シェル層の厚さは、トナーの変形抑制、低温定着性の観点から、140nm以上550nm以下が好ましく、140nm以上500nm以下がより好ましく、140nm以上400nm以下がより好ましい。
シェル層の厚さは、次の方法により測定される。トナー粒子をエポキシ樹脂などに包埋し、ダイヤモンドナイフなどで切削することで薄切片を作製する。この薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)などで観察、複数のトナー粒子の断面画像を撮影する。トナー粒子の断面画像からシェル層の厚みを20か所測定して、その平均値を採用する。断面画像において被覆層の観察が難しい場合は、染色を行って観察してもよい。
(トナー粒子の特性等)
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
トナー粒子の平均円形度としては、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA−3000)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理をおこなって外添剤を除去したトナー粒子を得る。
トナー粒子(トナー)は、加熱していない状態においても圧力に対し可塑挙動を示し、定められた圧力以上の加圧下において流動性を示す。具体的には、トナー粒子は、下記式を満たすことが好ましい。
・式1:20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)
式1において、T(1MPa)は、フローテスターを用いて測定した、印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度を表し、T(10MPa)は、フローテスターを用いて測定した、印加圧力10MPaにおいて粘度が10Pa・sになるときの温度を表す。
T(1MPa)−T(10MPa)で表される温度差(以下「温度差ΔT」とも称す)は、20℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましく、60℃以上が特に好ましい。温度差ΔTが20℃以上であれば、圧力に対する可塑挙動が十分となり圧力定着性が向上する。
また、温度差ΔTは、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。温度差ΔTが120℃以下であることにより、トナー粒子が柔らかくなりすぎず、定着部材の汚れの発生が抑制される。
T(10MPa)の値は、140℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、120℃以下がさらに好ましい。T(10MPa)の値が140℃以下であれば、過度な圧力を付与することなく、圧力定着が容易となる。
T(10MPa)の値は、60℃以上が好ましく、65℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。T(10MPa)の値が60℃以上であれば、記録媒体に対する密着性が高まる。
温度差ΔTの測定は、フローテスターを用いた方法により行う。フローテスターとしては、例えば、(株)島津製作所製フローテスターCFT−500が挙げられる。
温度差ΔTの具体的な測定方法は、下記の通りである。
トナー粒子(トナー)を圧縮固化してペレット状の試料を作製する。作製した試料をフローテスターにセットして、測定温度を50℃以上150℃以下の範囲で50℃から徐々に加熱し(+1℃/minの昇温速度)、定められた押し出し圧力を印加した条件下で、試料の粘度を測定する。印加圧力を1MPaに固定して、1MPaにおける温度に対する粘度を測定する。得られた粘度のグラフから、印加圧力1MPaにおいて粘度が10Pa・sになるときの温度T(1MPa)を決定する。印加圧力1MPaを10MPaとした以外は、T(1MPa)と同様の方法により、T(10MPa)を決定する。得られたT(1MPa)及びT(10MPa)から差をとり、温度差ΔT(T(1MPa)−T(10MPa))を算出する。
[外添剤]
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
具体的には、例えば、上記構成のトナー粒子(コア・シェル構造のトナー粒子)を凝集合一法により製造する場合、
コア部の結着樹脂となるコア部用樹脂粒子が分散されたコア部用樹脂粒子分散液を準備する工程(コア部用樹脂粒子分散液準備工程)と;
シェル層の樹脂となるシェル層用樹脂粒子が分散されたシェル層用樹脂粒子分散液を準備する工程(シェル層用樹脂粒子分散液準備工程)と、
前記コア部用樹脂粒子分散液中で(必要に応じて着色剤、離型剤等の他の粒子分散液も混合した分散液中で)、コア部用樹脂粒子を(必要に応じて他の粒子も)凝集させ、第1凝集粒子を形成する工程(第1凝集粒子形成工程)と;
第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液と、シェル層用樹脂粒子分散液とを混合し、第1凝集粒子の表面にシェル層用樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程(第2凝集粒子形成工程)と;
第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液を加熱し、第2凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と;
を経て、トナー粒子を製造することが好ましい。
そして、コア部用樹脂粒子分散液として、内部に(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散したスチレン樹脂粒子(つまり、スチレン樹脂を母材とし、その母材中に(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散した樹脂粒子)が分散された樹脂粒子分散液を使用する。
一方、シェル層用樹脂粒子として、ガラス転移温度が50℃以上の樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を使用する。
以下、凝集合一法の各工程の詳細について説明する。以下の説明では、着色剤、離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
−分散液準備工程−
まず、コア部用樹脂粒子分散液、シェル層用樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液を準備する。
なお、以下、各樹脂粒子が分散された各樹脂粒子分散液を「樹脂粒子分散液」と称して説明する。
コア部用樹脂粒子分散液は、例えば、次の通り調製する。まず、コア部用樹脂(コア部の結着樹脂)のうち、スチレン樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させる。
スチレン樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤;などが挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
スチレン樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば、回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等を用いた一般的な分散方法が挙げられる。ほかに、転相乳化法によって分散媒にスチレン樹脂粒子を分散させてもよい。転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて中和したのち、水(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの転相を行い、樹脂を水系媒体中に粒子状に分散する方法である。
次に、スチレン樹脂粒子が分散された分散液中に、(メタ)アクリル酸エステル樹脂を合成するための単量体(モノマー)、重合開始剤等の成分を添加する。そして、分散液を攪拌する。この攪拌は、例えば、1時間以上15時間以下の範囲で長時間行う。
すると、スチレン樹脂粒子中に、(メタ)アクリル酸エステル樹脂を合成するための単量体(モノマー)、重合開始剤等の成分が含浸する。その状態で、(メタ)アクリル酸エステル樹脂を合成するための単量体(モノマー)を重合する。
すると、内部に(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散したスチレン樹脂粒子(つまり、スチレン樹脂を母材とし、その母材中に(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散した樹脂粒子)が分散された樹脂粒子分散液が得られる。そして、この樹脂粒子分散液をコア部用樹脂粒子分散液として利用する。
コア部用樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径は、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下が更に好ましい。
コア部用樹脂粒子分散液の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を描き、全粒子に対して体積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
コア部用樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
コア部用樹脂粒子分散液の製造過程で得られるスチレン樹脂と同様にして、シェル部用樹脂粒子分散液、着色剤分散液、離型剤粒子分散液も調製される。また、コア部用樹脂粒子分散液における、分散媒、分散方法、粒子の体積平均粒径、及び粒子の含有量は、着色剤分散液、離型剤粒子分散液においても同様である。
−第1凝集粒子形成工程−
次に、コア部用樹脂粒子分散液と、着色剤分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、コア部用樹脂粒子と着色剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とする径を持つ、コア部用樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子分散液とを含む第1凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、コア部用樹脂粒子のガラス転移温度に近い温度(具体的には、例えば、コア部用樹脂のガラス転移温度の−30℃以上且つガラス転移温度の−10℃以下)に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、第1凝集粒子を形成する。
第1凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に含まれる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、例えば、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。凝集剤として金属錯体を用いた場合には、凝集剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤と共に、該凝集剤の金属イオンと錯体又は類似の結合を形成する添加剤を用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩;ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体;などが挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸;イミノ二酢酸(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミノカルボン酸;などが挙げられる。
キレート剤の添加量は、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
−第2凝集粒子形成工程−
第1凝集粒子が分散された第1凝集粒子分散液を得た後、第1凝集粒子分散液と、シェル層用樹脂粒子分散液をさらに混合する。
そして、混合分散液中で、第1凝集粒子の表面にシェル層用樹脂粒子が付着するようにヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子径に近い径を持つ、第2凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、第1凝集粒子形成工程において、第1凝集粒子が目的とする粒径に達したときに、第1凝集粒子分散液に、シェル層用樹脂粒子分散液を混合する。次いで、この混合分散液を、シェル層用樹脂粒子のガラス転移温度以下で加熱し、混合分散液のpHを例えば6.5以上8.5以下程度の範囲に調整し、凝集の進行を停止させる。
これにより、第1凝集粒子の表面にシェル層用樹脂粒子及び離型剤粒子が付着するようにして凝集した第2凝集粒子が得られる。
−融合・合一工程−
次に、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液を、例えば、シェル層用樹脂のガラス転移温度以上(例えば、シェル層用樹脂のガラス転移温度より10℃乃至50℃高い温度以上)に加熱して、第2凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液を得た後、当該第2凝集粒子分散液と、ガラス転移温度が50℃以上の樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、第2凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第3凝集粒子を形成する工程と、第3凝集粒子が分散された第3凝集粒子分散液に対して加熱をし、第3凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
融合・合一工程の終了後、溶液中に形成されたトナー粒子に、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を施し、乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から、イオン交換水による置換洗浄を充分に施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から、吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から、凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えば、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。さらに、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置において、定着手段は、一対の定着部材(ロール/ロール、ベルト/ロール)間の圧力により、圧力定着トナーによるトナー画像を記録媒体に定着する手段が挙げられる。なお、定着手段には、圧力定着性を高める目的で、補助的に、圧力定着トナーによるトナー画像を加熱するための加熱源を有していてもよい。ただし、定着手段は、加熱源は有さず(つまり加熱せず)、圧力のみで定着する方式の装置であることがよい。
なお、加熱源は有さず(つまり加熱せず)とは、定着手段以外の動力の発する熱等により、機内の温度が環境温度以上となることを妨げることを意味するわけではない。
定着手段において、定着圧力は、1.5MPa以上10MPa以下であることが好ましく、2MPa以上8MPa以下が好ましく、3MPa以上7MPa以下がより好ましい。
定着圧力が1.5MPa以上であると、十分な定着性が得られやすくなる。また、定着圧圧力が10MPa以下であると、オフセット(トナー画像の一部が定着部材に移行する現状)の発生等による、画像汚れ、定着ロール汚染、用紙の巻き付きの発生、定着後の記録媒体のカール(記録媒体が曲がる現象)が抑制されやすくなる。
定着圧力とは、加圧定着時の最大定着圧力を意味する。
ここで、一対の定着部材間の圧力分布は、市販の圧力分布測定センサーにより測定できる。具体的には、蒲田工業(株)製、ローラー間圧力測定システム等により測定できる。そして、加圧定着時の最大圧力とは、記録媒体進行方向における一対の定着部材の接触部(ニップ)の入り口から出口に至る圧力の変化における最大値を表す。
定着するときに加熱もする場合、定着温度は、15℃以上50℃以下が好ましく、15℃以上45℃以下がより好ましく、15℃以上40℃以下がさらに好ましい。定着温度が上記範囲内であると、良好な定着性を得ることができるので好ましい。
定着部材としては、例えば、上記範囲の定着圧力をトナー画像に印加可能な範囲で、従来公知の定着部材を適宜選択して使用する。
例えば、定着部材のうち、トナー画像に接触する側の定着部材としては、円筒の芯金上に、フッ素系樹脂(例えばテフロン(登録商標))、シリコーン系樹脂、パーフルオロアルキレート樹脂等の樹脂層が被覆された定着ロールが挙げられる。また、高い定着圧力を得るためには、SUS製の基材を有する定着ロールが適している。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
ここで、クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、クリーニングブラシ等により、像保持体の表面をクリーニングする方式の手段が挙げられる。
ただし、クリーニングブレードによるクリーニングでは、像保持体の表面に残留した圧力定着トナーがクリーニングブレードによる圧力により可塑化し、像保持体の表面に膜状に付着する現象が生じることがかる。そのため、クリーニング手段は、個々の圧力定着トナーへの応力が少ないクリーニングブラシにより、像保持体の表面をクリーニングする方式の手段であることが好ましい。
クリーニングブラシとしては、刷毛等の固定ブラシ、繊維を円筒状に配した回転ブラシなどがある。また、導電性の繊維を使用し、電圧の印加により静電的にトナーをクリーニングする導電性ブラシもある。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。なお、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体は記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑が好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、量を示す「部」及び「%」とは、特に断りがない限り、質量基準である。
<コア部用樹脂粒子の調製>
(コア部用樹脂粒子分散液(A1)の調製)
・スチレン: 450部
・n−ブチルアクリレート: 135部
・アクリル酸: 12部
・ドデカンチオール: 9部
前記成分を混合溶解して溶液を調製した。
他方、アニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製、DOWFAX2A1)10部をイオン交換水250部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し、乳化した(単量体乳化液A)。
さらに、同じくアニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製、DOWFAX2A1)1部を555部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。
重合用フラスコに還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと撹拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウォーターバスで加熱し、保持した。
過硫酸アンモニウム9部をイオン交換水43部に溶解し、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aを、定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、撹拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して1段階目の重合を終了した。これにより粒子の中心径が190nm、ガラス転移温度が53℃、重量平均分子量が33,000のコア部用樹脂粒子分散液(A1)前駆体が得られた。
次に、室温まで温度が低下した後、重合用フラスコにアクリル酸2−エチルヘキシル600部、イオン交換水1500部を加え、ゆっくりと2時間撹拌した。その後、撹拌を続けながら70℃に昇温し、過硫酸アンモニウム4.5部およびイオン交換水110部を定量ポンプを介して20分かけて滴下した。その後、撹拌を続けながら3時間保持して重合を終了した。以上工程を経て、中心径が260nm、重量平均分子量が200,000,固形分量33%のコア部用樹脂粒子分散液(A1)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子を乾燥し、乾燥した樹脂粒子をエポキシ樹脂に包埋した試料を作製した。そして、ダイヤモンドナイフにより試料を切断し、樹脂粒子の断面切片を作製した。そして、試料の切断面を、四酸化ルテニウム蒸気中で染色した後、透過型電子顕微鏡観察により確認した。そして、樹脂粒子の断面観察の結果、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−70℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、53℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:123℃)。
(コア部用樹脂粒子分散液(A2)の調製)
アクリル酸2−エチルヘキシル600部の代わりにn−ブチルアクリレート600部を使用したこと以外は、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径265nm、固形分量33%のコア部用樹脂粒子分散液(A2)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−55℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、53℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:108℃)。
(コア部用樹脂粒子分散液(A3)の調製)
アクリル酸2−エチルヘキシル600部の代わりにエチルアクリレート600部を使用したこと以外は、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径268nm、固形分量33%のコア部用樹脂粒子分散液(A3)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−20℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、53℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:73℃)。
(コア部用樹脂粒子分散液(A4)の調製)
コア部用樹脂粒子分散液(1)前駆体を調製し、その後アクリル酸2−エチルヘキシル600部を900部、イオン交換水1500部を2100部、過硫酸アンモニウム4.5部を5.6部使用したこと以外は、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径265nm、固形分量33%のコア部用樹脂粒子分散液(A4)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−70℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、53℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:123℃)。
(コア部用樹脂粒子分散液(A5)の調製)
コア部用樹脂粒子分散液(1)前駆体を調製し、その後アクリル酸2−エチルヘキシル600部を400部、イオン交換水1500部を1100部、過硫酸アンモニウム4.5部を3部使用したこと以外は、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径264nm、固形分量33%のコア部用樹脂粒子分散液(A5)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−70℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、53℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:123℃)。
(コア部用樹脂粒子分散液(A6)の調製)
コア部用樹脂粒子分散液(1)前駆体を調製し、その後アクリル酸2−エチルヘキシル600部の代わりにアクリル酸2-エチルヘキシル588部、シリコーン化合物(商品名X−22−174BX、信越化学工業社製)12部を使用したこと以外は、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径260nm、固形分量33%のコア部用樹脂粒子分散液(A6)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−72℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、53℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:125℃)。
(コア部用樹脂粒子分散液(A7)の調製)
コア部用樹脂粒子分散液(1)前駆体のn−ブチルアクリレート135部の代わりに、n−ブチルアクリレート123部、シリコーン化合物(商品名X−22−174BX、信越化学工業社製)12部を使用したこと以外は、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径261nm、固形分量33%のコア部用樹脂粒子分散液(A7)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−72℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、50℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:122℃)。
(コア部用樹脂粒子分散液(A8)の調製)
コア部用樹脂粒子分散液(1)前駆体を調製し、その後アクリル酸2−エチルヘキシル600部の代わりにアクリル酸2-エチルヘキシル594部、シリコーン化合物(商品名X−22−174BX、信越化学工業社製)6部を使用したこと以外は、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径264nm、固形分量33%のコア部用樹脂粒子分散液(A8)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−71℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、53℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:124℃)。
(コア部用樹脂粒子分散液(A9)の調製)
コア部用樹脂粒子分散液(1)前駆体を調製し、その後アクリル酸2−エチルヘキシル600部の代わりにアクリル酸2-エチルヘキシル570部、シリコーン化合物(商品名X−22−174BX、信越化学工業社製)30部を使用したこと以外は、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径264nm、固形分量33%のコア部用樹脂粒子分散液(A9)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−75℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、53℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:128℃)。
(比較コア部用樹脂粒子分散液(AC1)の調製:特開2009−053318号公報の実施例1で使用した分散液)
丸型ガラスフラスコ中に、300部のイオン交換水と1.5部のTTAB(テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、シグマアルドリッチ社製)を入れ、20分間、窒素バブリングを実施し、撹拌しながら65℃まで昇温した。n−ブチルアクリレートモノマー40部を加え、更に20分間撹拌を行った。開始剤V−50(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、和光純薬工業(株)製)0.5部を予め、10部のイオン交換水に溶解後、フラスコ中に投入した。65℃で、3時間保持し、スチレンモノマー55部と、n−ブチルアクリレートモノマー15部、アクリル酸2.5部及び0.8部のドデカンチオールを0.5部のTTABを溶解したイオン交換水100部に乳化した乳化液を2時間かけて定量ポンプを用いてフラスコ中に連続的に投入した。温度を70℃に昇温、更に2時間保持して、重合を完了した。
以上の工程を経て、体積平均粒径150nm、固形分量25%の比較コア部用樹脂粒子分散液(AC1)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、スチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(高Tgスチレン樹脂)をコア部とし、コア部がポリブチルアクリレート樹脂(低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂)で被覆されたコアシェル構造であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でTg挙動を分析すると、−50℃にポリブチルアクリレート(低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂)によるガラス転移が観測され、また、56℃にスチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体(高Tgスチレン樹脂)によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:106℃)。
(比較コア部用樹脂粒子分散液(AC21)の調製:特開2009−244857号公報の実施例1で使用した分散液の2種のうち1つ)
・スチレン: 450部
・n−ブチルアクリレート: 150部
・アクリル酸: 12部
・ドデカンチオール : 9部
上記成分を混合溶解して溶液を調製した。
他方、アニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製、DOWFAX2A1)20部をイオン交換水250部に溶解し、上記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した(単量体乳化液A)。
さらに、同じくアニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製、DOWFAX2A1)3部を555部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。
重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと撹拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウォーターバスで加熱し、保持した。
過硫酸アンモニウム9部をイオン交換水43部に溶解し、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aを、定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、ゆっくりと撹拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了した。
以上の工程を経て、体積平均粒径75nm、ガラス転移温度が51℃、重量平均分子量が29,000、固形分量が25%の比較コア部用樹脂粒子分散液(AC21)を得た。
(比較コア部用樹脂粒子分散液(AC22)の調製:特開2009−244857号公報の実施例1で使用した分散液の2種のうち1つ)
・スチレン: 100部
・n−ブチルアクリレート: 500部
・アクリル酸: 12部
・ドデカンチオール: 9部
上記成分を混合溶解して溶液を調製した。
他方、アニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製、DOWFAX2A1)20部をイオン交換水250部に溶解し、上記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化した(単量体乳化液B)。
さらに、同じくアニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製、DOWFAX2A1)3部を555部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。
重合用フラスコを密栓し、還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと撹拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウォーターバスで加熱し、保持した。
過硫酸アンモニウム9部をイオン交換水43部に溶解し、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Bを、定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、ゆっくりと撹拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して重合を終了した。
以上の工程を経て、体積平均粒径50nm、ガラス転移温度10℃、重量平均分子量26,000、固形分量26%の比較コア部用樹脂粒子分散液(AC21)を得た。
(比較コア部用樹脂粒子分散液(AC3)の調製)
コア部用樹脂粒子分散液(1)前駆体を調製し、その後アクリル酸2−エチルヘキシル600部を1400部、イオン交換水1500部を3100部、過硫酸アンモニウム4.5部を10.5部使用したこと以外は、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径263nm、固形分量33%の比較コア部用樹脂粒子分散液(AC3)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−70℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、53℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:123℃)。
(比較コア部用樹脂粒子分散液(AC4)の調製)
コア部用樹脂粒子分散液(1)前駆体を調製し、その後アクリル酸2−エチルヘキシル600部を260部、イオン交換水1500部を810部、過硫酸アンモニウム4.5部を2部使用したこと以外は、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径261nm、固形分量33%の比較コア部用樹脂粒子分散液(AC4)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−70℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、53℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:123℃)。
(比較コア部用樹脂粒子分散液(AC5)の調製)
コア部用樹脂粒子分散液(1)前駆体を調製し、その後アクリル酸2−エチルヘキシル600部の代わりにアクリル酸2-エチルヘキシル597部、シリコーン化合物(商品名X−22−174BX、信越化学工業社製)3部を使用したこと以外は、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径264nm、固形分量33%の比較コア部用樹脂粒子分散液(AC5)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−70.5℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、53℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:123.5℃)。
(比較コア部用樹脂粒子分散液(AC6)の調製)
コア部用樹脂粒子分散液(1)前駆体を調製し、その後アクリル酸2−エチルヘキシル600部の代わりにアクリル酸2-エチルヘキシル362部、シリコーン化合物(商品名X−22−174BX、信越化学工業社製)138部を使用したこと以外は、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、体積平均粒径265nm、固形分量33%の比較コア部用樹脂粒子分散液(AC5)を得た。
得られたコア部用樹脂粒子分散液の樹脂粒子について、コア部用樹脂粒子分散液(A1)と同様にして、樹脂粒子の断面観察したところ、樹脂粒子は、母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成であることが確認された。
また、乾燥した樹脂粒子について、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でガラス転移温度Tg挙動を分析すると、−80℃に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂によるガラス転移が観測された。また、53℃に高Tgスチレン樹脂によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:133℃)。
<シェル部用樹脂粒子分散液の調製>
(シェル部用樹脂粒子分散液(B1)の調製)
・スチレン: 450部
・n−ブチルアクリレート: 135部
・アクリル酸: 12部
・ドデカンチオール: 9部
前記成分を混合溶解して溶液を調製した。
他方、アニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製、DOWFAX2A1)10部をイオン交換水250部に溶解し、前記溶液を加えてフラスコ中で分散し、乳化した(単量体乳化液A)。
さらに、同じくアニオン性界面活性剤(ダウ・ケミカル社製、DOWFAX2A1)1部を555部のイオン交換水に溶解し、重合用フラスコに仕込んだ。
重合用フラスコに還流管を設置し、窒素を注入しながら、ゆっくりと撹拌しながら、75℃まで重合用フラスコをウォーターバスで加熱し、保持した。
過硫酸アンモニウム9部をイオン交換水43部に溶解し、重合用フラスコ中に定量ポンプを介して、20分かけて滴下した後、単量体乳化液Aを、定量ポンプを介して200分かけて滴下した。
その後、撹拌を続けながら重合用フラスコを75℃に、3時間保持して1段階目の重合を終了した。これにより粒子の中心径が190nm、ガラス転移温度が53℃、重量平均分子量が33,000、固形分量42%のシェル部用樹脂粒子分散液(B1)を得た。
(シェル部用樹脂粒子分散液(B2)の調製)
スチレン450部を440部、n−ブチルアクリレート135部を145部に変更したこと以外はシェル部用樹脂粒子分散液(B1)と同様の方法で、ガラス転移温度50℃、重量平均分子量Mw32,000、体積平均粒径190nm、固形分量42%のシェル部用樹脂粒子分散液(B2)を得た。
(シェル部用樹脂粒子分散液(B3)の調製)
スチレン450部を480部、n−ブチルアクリレート135部を105部に変更したこと以外はシェル部用樹脂粒子分散液(B1)と同様の方法で、ガラス転移温度60℃、重量平均分子量Mw31,000、体積平均粒径195nm、固形分量42%のシェル部用樹脂粒子分散液(B3)を得た。
(シェル部用樹脂粒子分散液(B4)の調製)
n−ブチルアクリレート135部の代わりにn−ブチルアクリレート123部、、シリコーン化合物(商品名X−22−174BX、信越化学工業社製)12部を使用したこと以外はシェル部用樹脂粒子分散液(B1)と同様の方法で、ガラス転移温度50℃、重量平均分子量Mw31,000、体積平均粒径192nm、固形分量42%のシェル部用樹脂粒子分散液(B4)を得た。
(比較シェル部用樹脂粒子分散液(BC1)の調製)
スチレン450部を425部、n−ブチルアクリレート135部を160部に変更したこと以外はシェル部用樹脂粒子分散液(B1)と同様の方法で、ガラス転移温度47℃、重量平均分子量Mw34,000、体積平均粒径190nm、固形分量42%のシェル部用樹脂粒子分散液(BC1)を得た。
<着色剤粒子分散液の調製>
・シアン顔料: 1000部
(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)
・アニオン性界面活性剤: 15部
(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR)
・イオン交換水: 9000部
上記成分を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて1時間分散して、着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤粒子分散液を調製した。着色剤粒子分散液における着色剤(シアン顔料)の体積平均粒径は160nm、固形分濃度は20%であった。
<実施例1>
・コア部用樹脂粒子分散液(A1): 504部
・着色剤粒子分散液: 63部
・イオン交換水: 710部
・アニオン性界面活性剤 : 1部
(ダウケミカル社製、Dowfax2A1)
コア部形成用材料として上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、温度25℃にて、1.0%硝酸を加えてpHを3.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン(株)製:ウルトラタラクスT50)にて5,000rpmで分散しながら、調製した硫酸アルミニウム水溶液を23部添加して6分間分散した。
その後、反応容器に攪拌器、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、コールター社製)にて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになったところで温度を保持し、シェル部形成用材料としてシェル部用樹脂粒子分散液(B1)170部を5分かけて投入した。30分間保持した後、1%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0にした。その後、5℃ごとにpHが6.0になるように同様にして調整しながら、昇温速度1℃/分で90℃まで昇温し、96℃で保持した。光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて粒子形状及び表面性を観察したところ、10.0時間目で粒子の合一が確認されたので、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
冷却後のスラリーを、目開き15μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過した。ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した。引き続き、アスピレータで減圧ろ過し、ろ紙上に残ったトナーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで減圧ろ過し、ろ液の電気伝導度を測定した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナーを洗浄した。洗浄されたトナーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、25℃の乾燥器で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子は、体積平均粒径が5.8μmであった。
次に、得られたトナー粒子100部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製、RY50)1.5部を加え、サンプルミルを用いて13000rpmで30秒間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、実施例1のトナーを得た。
<実施例2〜14、比較例1〜6>
表2に従って、コア形成用材料(コア部用樹脂粒子分散液)、シェル形成用材料(シェル部形成用樹脂粒子分散液)の種類及び部数を変更した以外は、実施例1のトナーと同様の方法で、各々、各例のトナーを得た。
なお、比較例1では、シェル形成用材料(シェル部形成用樹脂粒子分散液)として、比較コア部用樹脂粒子分散液(AC1)を使用した。
また、比較例2では、シェル形成用材料(シェル部形成用樹脂粒子分散液)は添加する処理を実施しなかった。
<測定>
各例で得られたトナーについて、海島構造の有無、島部の長径、シェル層の厚さを既述の方法に従って測定した。
なお、実施例のトナーは、高Tgスチレン樹脂を含む海部と低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含む島部とで構成された海島構造が確認された。
<評価>
(現像剤の作製)
各例のトナー36部とキャリア414部とを、2リットルのVブレンダーに入れ、20分間攪拌し、その後212μmで篩分して、各々、各例の現像剤を作製した。ただし、キャリアは、下記樹脂被覆キャリアを使用した。
−樹脂被覆キャリアの調製−
・Mn−Mg−Sr系フェライト粒子(平均粒径40μm):100部
・トルエン:14部
・ポリメタクリル酸メチル:2.0部
・カーボンブラック(VXC72:キャボット製):0.12部
フェライト粒子を除く上記成分及びガラスビーズ(φ1mm、トルエンと同量)を、関西ペイント株式会社製サンドミルを用いて1200rpmで30分間攪拌し、樹脂被覆層形成用溶液を得た。更に、この樹脂被覆層形成用溶液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、減圧し、トルエンを留去して乾燥することにより、樹脂被覆キャリアを調製した。
(評価機の準備)
各例の現像剤を、富士ゼロックス社製のDocuPrintC2425改造機の現像装置に収容した。この改造機は、最大定着圧力が、10MPa(100kgf/cm)となるように2ロール型の定着機を改造し、プロセススピードを60mm/secに調整した。なお、改造機は、定着装置に加熱源を有していない。また、感光体上の転写残トナーのクリーニングするブラシクリーナーを設けた。
この改造機を評価機として使用し、次の評価を実施した。その結果を表2に示す。
(トナーの変形の評価)
評価機を用い、A4サイズC2紙を使用し、ベタ画像時の単位面積当たりトナー質量4mg/cm、画像濃度100%のベタ画像を通紙し、100枚の連続プリントを行った。その後、現像剤を採取して、走査型電子顕微鏡(SEM)にてトナー粒子の形状を観察し、未使用のトナー粒子と比較して官能評価した。
そして、トナーの変形について、次の評価基準で評価した。
−評価基準−
A(○): 未使用のトナーと比べて形状の変化なし。
B(△): 一部のトナー(20%以下程度)に潰れが見られる。
C(×): 半分以上のトナーに潰れが見られる。実使用上許容できない。
(現像性の評価)
評価機を用い、高温高湿(32℃/85%RH)の環境下で10分間の現像器の空回しを行った後、現像器内の現像剤を採取した。次にジェットシーブを用いてトナーとキャリアを分離してトナーの粒径を測定した。
そして、現像性について、次の評価基準で評価した。
−評価基準−
A(◎): 粒径変動が5%以下。
B(○): 粒径変動が5%を超え10%未満。
C(△): 粒径変動が10%を超え20%未満、実用上の問題なし。
D(×): 粒径変動が20%以上、目視で非画像部のかぶり、画像の濃度ムラが確認でき、実使用上許容できない。
(クリーニング性の評価)
現像剤を現像器中に投入した状態で評価機を高温高湿(32℃/85%RH)の環境下に24時間放置した。その後、100枚の連続プリントを行い、感光体表面上のフィルミングの有無を目視で確認した。そして、現像性について、次の評価基準で評価した。
−評価基準−
A(◎): フィルミングは確認できない。
B(○): ルーペでフィルミングは確認できるが、画像への影響は見られない。
C(△): 目視でフィルミングは確認できるが、画像への影響は見られない。
D(×): 目視でフィルミングは確認でき、画像への影響があり、実使用上許容できない。
(圧力定着性の評価)
評価機を用い、A4サイズC2紙を使用し、ベタ画像時の単位面積当たりトナー質量4mg/cm、画像濃度100%のベタ画像を通紙し、100枚の連続プリントを行った。その後、布摺擦を行い、分光濃度計(X−Rite)を用いて摺擦前後での画像濃度を測定した。画像濃度比が1.0に近いほど定着強度が強く、圧力定着性に優れることを示す。そして、圧力定着性について、次の評価基準で評価した。
−評価基準−
A(◎): 画像濃度比が0.9以上
B(○): 画像濃度比が0.8以上0.9未満
C(△): 画像濃度比が0.7以上0.8未満
D(×): 画像濃度比が0.7未満。実使用上許容できない。
(ドキュメントオフセット(定着画像の裏移り)の評価)
評価機を用い、高温環境下(温度50℃、湿度50%RHの環境下)、ベタ画像時の単位面積当たりトナー重量4mg/cm、画像濃度100%のベタ画像を連続してA4サイズの用紙(坪量52g/mの薄紙)の両面に50枚出力し、画像が形成されたA4紙を重ねた。そして、5時間経過後、2枚目の出力した用紙の1枚目の用紙の画像と接触していた箇所を観察し、ドキュメントブロッキングについて、次の評価基準で評価した。
−評価基準−
A(◎):定着画像の裏移りが全く確認されず、非常に良好な画像を得ている。
B(○):用紙の部分的に極軽微な定着画像の裏移りは発生するが、画像欠損はなく、良好な画像を得ている。
C(△):用紙全面に軽微な定着画像の裏移りが発生しているが、画像欠損はなく、実使用上許容できる。
D(×):定着画像の裏移りが発生、かつ画像欠損が生じ、実使用上許容できない。
以下、各例の詳細を、表1〜表2に一覧にして示す。なお、表1〜表2において、略称等については、以下の通りである。
−粒子の内部状態の欄−
・DB:母材となる高Tgスチレン樹脂中に低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂のドメインが複数分散されている構成
−備考の欄−
・高Tg−S:高Tgスチレン樹脂がシロキサン構造を有している。括弧内は、樹脂に示すシロキサン構造の割合(質量%)を示す。
・低Tg−S:低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂がシロキサン構造を有している。括弧内は、樹脂に示すシロキサン構造の割合(質量%)を示す。
・S:シェル層の樹脂がシロキサン構造を有している。
なお、備考の欄の括弧内の数値は、樹脂に示すシロキサン構造の割合(質量%)を示す。
Figure 0006935677
Figure 0006935677
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、トナーの変形が抑えられていることがわかる。
また、本実施例は、現像性、クリーニング性、圧力定着性も良好であることもわかる。
また、シロキサン構造を有する樹脂(特に、シロキサン構造を有する低Tg(メタ)アクリル酸エステル樹脂)を適用した実施例は、他の実施例に比べ、ドキュメントオフセットが抑えられることがわかる。
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
107 感光体(像保持体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
118 露光のための開口部
117 筐体
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
P 記録紙(記録媒体の一例)

Claims (9)

  1. スチレン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含み、該スチレン樹脂を含む海部と該(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含む島部とで構成された海島構造を有し、該スチレン樹脂よりも該(メタ)アクリル酸エステル樹脂のガラス転移温度が30℃以上低く、該島部の長径が200nm以上500nm以下であるコア部と、
    該コア部を被覆しガラス転移温度が50℃以上の樹脂を含み、かつ厚さが140nm以上550nm以下であるシェル層と、
    を有する静電荷像現像用圧力定着トナー。
  2. 前記スチレン樹脂、前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂、及び前記シェル層の樹脂の少なくとも1つの樹脂が、シロキサン構造を有する樹脂である請求項1に記載の静電荷像現像用圧力定着トナー。
  3. 前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂が、シロキサン構造を有する樹脂である請求項に記載の静電荷像現像用圧力定着トナー。
  4. 前記シロキサン構造を有する樹脂において、樹脂に占める前記シロキサン構造の割合が質量比で1%以上20%以下である請求項又は請求項に記載の静電荷像現像用圧力定着トナー。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の静電荷像現像用圧力定着トナーを含む静電荷像現像剤。
  6. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の静電荷像現像用圧力定着トナーを収容し、
    画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
  7. 請求項に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
    画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
  8. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    請求項に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
    を備える画像形成装置。
  9. 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
    請求項に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
    を有する画像形成方法。
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