JP6935141B2 - 構造物の振動抑制装置 - Google Patents

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Description

本発明は、粘性流体による減衰効果及び回転マスによる回転慣性効果を利用して、構造物の振動を抑制する構造物の振動抑制装置に関する。
従来、この種の振動抑制装置として、例えば本出願人が既に出願した特許文献1に記載されたものが知られている。この振動抑制装置は、減衰効果を有する制震壁と、回転慣性効果を有する回転マスダンパとを備えており、構造物において互いに平行に延びる上下の梁(以下、「上梁」及び「下梁」という)の間に設置されている。制震壁は、上方に開口する箱状に形成され、粘性流体が充填されるとともに下端部が下梁に固定された外壁と、この外壁に上方から挿入された状態で、上梁の長さ方向に移動自在に設けられ、又は上梁に固定された内壁などで構成されている。一方、回転マスダンパは、上梁と内壁又は外壁との変位を、回転運動に変換するねじ変換機構と、これによって回転駆動される付加錘などで構成されている。
このように構成された振動抑制装置において、例えば回転マスダンパを上梁と内壁との間に設置する場合、上梁に取付け支持部を設けるとともに、内壁に接続支持部を設け、これらの取付け支持部と接続支持部によって、回転マスダンパの両端部がそれぞれ固定される。
特開2017−218857号公報
しかし、上述した振動抑制装置では、構造物の上梁と下梁の間に、制震壁に加えて、1つ又は2つの回転マスダンパを設置するため、装置全体として大掛かりなものとなってしまう。加えて、回転マスダンパを設置するために、上梁及び制震壁にそれぞれ、取付け支持部及び接続支持部を設ける必要があり、その分、コストが上昇する。また、回転マスダンパは、多くの部品で構成されるとともにその構造も比較的複雑であり、製造コストが高い。このため、振動抑制装置全体としてコスト高になり、改善の余地がある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、減衰効果及び回転慣性効果によって、構造物の振動を効果的に抑制できるとともに、装置全体として簡素化及びコスト低減を図ることができる構造物の振動抑制装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、構造物において、互いに上下方向に間隔を隔てた状態で、水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に設けられ、構造物の振動を抑制するための構造物の振動抑制装置であって、上方に開口する開口部を有する箱状に形成され、内部に粘性流体が充填されるとともに、下端部に設けられた下側のフランジ部が下側構造材に連結された外壁と、この外壁に大部分が収容されるとともに、開口部を介して上方に突出した突出部の上端部に設けられた上側のフランジ部が上側構造材に連結され、下側構造材と上側構造材の相対変位に伴い、粘性流体によるせん断抵抗が作用することによって、外壁との相対変位を抑制する内壁とを有する制震壁と、外壁内における内壁の横幅方向の左右両側の左側所定部位と右側所定部位を連通する連通路と、この連通路の途中に設けられ、内壁の横幅方向の移動に伴い連通路内を流れる粘性流体の流動を回転運動に変換する歯車モータと、この歯車モータの回転軸に連結された回転マスとを有する歯車モータ機構と、を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、構造物の上側構造材と下側構造材の間に、制震壁及び歯車モータ機構を備えた振動抑制装置が設けられている。制震壁は、粘性流体が充填され、上記の下側のフランジ部が下側構造材に連結された、上記の開口部を有する箱状の外壁と、この外壁に大部分が収容され、開口部を介して上方に突出した突出部の上端部に設けられた上側のフランジ部が上側構造材に連結された内壁とを有している。一方、歯車モータ機構は、外壁内の左側所定部位と右側所定部位を連通する連通路と、その途中に設けられた歯車モータと、その回転軸に連結された回転マスとを有している。
例えば風揺れや地震などにより、構造物が振動する場合において、構造物の下側構造材と上側構造材の間でそれらの長さ方向に相対変位が生じると、それに伴い、内壁が外壁に対してその横幅方向に移動する。この場合、内壁には、その移動の際の速度に応じて、外壁内の粘性流体によるせん断抵抗が作用し、内壁の移動、すなわち外壁と内壁の相対変位が抑制され、それにより、外壁と内壁がそれぞれのフランジを介して連結された下側構造材と上側構造材の相対変位が抑制される。このように、制震壁は、構造物の振動エネルギーを粘性流体による抵抗力によって吸収し、構造物の振動を減衰させることによって、その振動を抑制することができる。
また、上述した内壁の移動に伴い、外壁内における内壁の横幅方向の左右両側に位置する粘性流体の一部が、左側及び右側所定部位の一方から、連通路を介して、左側及び右側所定部位の他方に流れる。この場合、連通路内を流れる粘性流体の流動により、歯車モータが回転するとともに、その回転軸に連結された回転マスも回転する。このように、歯車モータ機構は、構造物の振動エネルギーを回転マスの回転によって吸収し、その回転マスによる回転慣性効果を得ることができる。また、本発明の歯車モータ機構は、従来の回転マスダンパに比べて、比較的簡易に構成することが可能であり、加えて、制震壁に直接、取り付けることができるので、従来の振動抑制装置と異なり、構造物の構造材側に取付け支持部などを設ける必要がなく、その分、コストを抑制することができる。
以上のように、本発明の振動抑制装置によれば、制震壁による減衰効果と、歯車モータ機構による回転慣性効果が相まって、構造物の振動を効果的に抑制でき、また、装置全体として、構成を簡素化できるとともに、従来に比べてコストを低減することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構造物の振動抑制装置において、外壁の内部は、内壁の横幅方向の左右両端部間に存在する中央室と、この中央室の左右両側にそれぞれ隣接し、中央室に対し水密な状態で仕切られ、左側所定部位及び右側所定部位に対応する左室及び右室とを有していることを特徴とする。
この構成によれば、外壁の内部は、内壁の横幅方向の左右両端部間に存在する中央室と、その左右両側にそれぞれ隣接する左室及び右室とを有している。上記の中央室と左室及び右室とは水密な状態で仕切られており、また、左室及び右室は、互いに連通する左側所定部位及び右側所定部位に対応している。前述したように、外壁内において、内壁が横幅方向に移動する場合、その内壁には、中央室内の粘性流体によるせん断抵抗が作用することで、内壁の移動を抑制する機能(内壁移動抑制機能)を発揮させることができる一方、左室及び右室の一方の粘性流体が内壁に押圧されることで、連通路を介して、左室及び右室の他方に流れ、その流動によって、歯車モータが回転することで、回転マスを回転させる機能(回転マス駆動機能)を発揮させることができる。したがって、中央室と、左室及び右室とにそれぞれ、上述した内壁移動抑制機能及び回転マス駆動機能を発揮させるのに適した粘性流体を充填することにより、それらの機能をより効果的に得ることができる。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の構造物の振動抑制装置において、左室及び右室はいずれも、連通路との接続部位を除いて、密閉されていることを特徴とする。
この構成によれば、左室及び右室が、連通路との接続部位を除いて密閉されているので、外壁内における内壁の移動によって、左室内又は右室内を加圧し、それにより、両室内に充填されている粘性流体を、連通路側に容易に送り出すことができる。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の構造物の振動抑制装置において、内壁は、中央室に収容された内壁本体と、この内壁本体の横幅方向の左右両端部にそれぞれ設けられ、中央室と左室及び右室とを仕切る左右のピストン部と、を有していることを特徴とする。
この構成によれば、内壁本体の横幅方向の左右両端部にそれぞれ、左右のピストン部が設けられているので、外壁内の内壁が横幅方向に移動する際に、左右のピストン部により、左室内又は右室内を容易に加圧することができる。また、内壁の左右のピストン部によって、外壁内が中央室と左室及び右室とに仕切られるので、外壁内を別個の仕切壁で仕切る場合に比べて、外壁内の構造を簡素化することができる。
請求項5に係る発明は、請求項3に記載の構造物の振動抑制装置において、内壁は、中央室に収容された内壁本体と、この内壁本体の横幅方向の左右両端部からそれぞれ突出した左右のロッド部と、左室及び右室にそれぞれ収容され、左右のロッド部を介して内壁本体に連結された左右のピストン部と、を有していることを特徴とする。
この構成によれば、内壁本体が中央室に収容される一方、左右のピストン部がそれぞれ左室及び右室に収容され、これら左右のピストン部がそれぞれ左右のロッド部を介して内壁本体に連結されている。これにより、外壁内の内壁が横幅方向に移動する際に、左右のピストン部により、左室内又は右室内の粘性流体を押圧し、連通路側に容易に送り出すことができる。
請求項6に係る発明は、請求項2から5のいずれかに記載の構造物の振動抑制装置において、粘性流体は、中央室に充填された第1流体と、左室及び右室に充填されるとともに、連通路内を流動可能な第2流体と、を有し、第2流体は、第1流体よりも、粘度が低いことを特徴とする。
この構成によれば、外壁に充填される粘性流体は、第1流体及び第2流体を有しており、第1流体が中央室に充填され、第2流体が左室及び右室に充填されるとともに連通路内を流動可能になっている。第2流体は、第1流体よりも粘度が低いので、歯車モータ機構の連通路及び歯車モータ内を円滑に流れることができる。これにより、歯車モータの回転、及びこれに伴う回転マスの回転を確保することができる。
本発明の第1実施形態による振動抑制装置を、これを適用した建物の一部の構造材とともに概略的に示す図である。 図1の振動抑制装置を示す図であり、(a)は横断面図、(b)は正面図である。 (a)及び(b)は、図2(a)及び(b)にそれぞれ対応し、振動抑制装置の動作を説明するための図である。 第2実施形態による振動抑制装置を示す図である。 第3実施形態による振動抑制装置を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態による振動抑制装置を、これを適用した建物の一部の構造材とともに概略的に示している。同図に示す建物B(構造物)は、例えば高層のビルであり、複数の柱(左柱PL及び右柱PRのみ図示)と、梁(上梁BU及び下梁BDのみ図示)を井桁状に組み合わせたラーメン構造を有している。
図1及び図2に示すように、振動抑制装置1Aは、上梁BU(上側構造材)と下梁BD(下側構造材)の間に連結され、減衰効果を有する制震壁2と、この制震壁2内の後述する低粘度流体4Bの流動を回転運動に変換し、回転慣性効果を有する歯車モータ機構3とを備えている。
図2に示すように、制震壁2は、薄型箱状に形成され、内部に所定の粘性流体4が充填された外壁5と、この外壁5に大部分が収容された板状の内壁6とを有している。外壁5及び内壁6は、所定の形状及びサイズの複数の鋼板を溶接することなどによって構成されている。具体的には、外壁5は、正面形状が矩形状に形成され、比較的大きな所定の面積を有するとともに、互いに前後方向に所定間隔を隔てて平行に配置された前壁部11及び後壁部12と、これらの左端部同士及び右端部同士にそれぞれ連なり、互いに左右方向に所定距離を隔てて平行に配置された左壁部13及び右壁部14と、これらの壁部11〜14の下端部に連なりかつそれらよりも外方に突出し、平面形状が横長矩形状のフランジ部15と、上記の前後左右の壁部11〜14の上端部に連なり、開口部16aを有する上壁部16などで構成されている。
内壁6は、正面形状が矩形状に形成され、所定のサイズを有する内壁本体21と、この内壁本体21の左右の端部にそれぞれ設けられた左ピストン部22及び右ピストン部23と、内壁本体21の上端部に連なり、外壁5(上壁部16)の前記開口部16aを介して上方に所定長さ突出する突出部24と、この突出部24の上端部に連なり、平面形状が横長矩形状のフランジ部25などで構成されている。内壁6の内壁本体21は、その高さ寸法及び横幅寸法が、外壁5の前壁部11のそれらよりも小さく形成されている。また、左ピストン部22及び右ピストン部23はいずれも、外壁5内の縦断面とほぼ同じ縦長矩形状に形成されており、外周全体が外壁5の内面、具体的には、前壁部11、後壁部12、フランジ部15及び上壁部16の内面にシールされている。
そして、図2(a)に示すように、内壁6の左ピストン部22及び右ピストン部23により、外壁5内が、中央室17と、左室18及び右室19(左側所定部位及び右側所定部位)とに仕切られている。すなわち、左ピストン部22と右ピストン部23の間に中央室17が画成され、左ピストン部22の左方に左室18が、右ピストン部23の右方に右室19が画成されている。これらの左室18及び右室19は、後述する接続口13a、14aを除いて、密閉されている。
また、中央室17には粘度が比較的高い所定の粘性流体(以下、適宜「高粘度流体4A」という)が充填される一方、左室18及び右室19には粘度が比較的低い所定の粘性流体(以下、適宜「低粘度流体4B」という)が充填されている。なお、上記の高粘度流体4Aとして、例えばポリイソブチレンが採用可能であり、また、上記の低粘度流体4Bとして、例えば潤滑用油(オイルRO32、動粘度32mm2/s(40℃時))が採用可能である。
以上のように構成された制震壁2では、図1に示すように、外壁5がフランジ部15を介して下梁BDに連結される一方、内壁6がフランジ部25を介して上梁BUに連結されている。
一方、歯車モータ機構3は、図2に示すように、外壁5の左室18と右室19を連通する連通路31と、この連通路31の途中に設けられた歯車モータ32と、この歯車モータ32に連結された回転マス33とを有している。連通路31は、外壁5の左壁部13に連結された左通路部31aと、右壁部14に連結された右通路部31bとで構成されている。具体的には、左壁部13及び右壁部14の所定位置にはそれぞれ、貫通した接続口13a、14aが設けられており、左壁部13の接続口13aに、連通路31の左通路部31aが接続され、右壁部14の接続口14aに、連通路31の右通路部31bが接続されている。
歯車モータ32は、外接歯車型のものであり、ケーシング35と、これに収容されかつ互いに噛み合う第1ギヤ36及び第2ギヤ37などで構成されている。ケーシング35は、台座38を介して、外壁5の前壁部11に取り付けられるとともに、連通路31の中央部に一体に設けられている。そして、ケーシング35の内部が、互いに反対の所定位置に位置する左右2つの出入り口35a、35bを介して、連通路31の左通路部31a及び右通路部31bに連なっている。
また、第1ギヤ36は、スパーギヤで構成され、第1回転軸36aに一体に設けられている。この第1回転軸36aは、連通路31に直交しかつ水平に延び、ケーシング35に回転自在に支持されており、そのケーシング35の前方(図2(a)の下方)に若干、突出している。第2ギヤ37は、第1ギヤ36と同様、スパーギヤで構成され、第1回転軸36aと平行に延びかつケーシング35に回転自在に支持された第2回転軸37aに一体に設けられている。
回転マス33は、比重が比較的大きな材料、例えば鉄からなる円板で構成されている。また、回転マス33は、歯車モータ32の第1回転軸36aに同心状に固定された状態で、前壁部11の前方に配置され、第1ギヤ36と一体に回転可能になっている。
次に、図3を参照して、上記のように構成された振動抑制装置1Aの動作について説明する。例えば、風揺れや地震などによる振動に伴い、建物Bにおける上梁BUと下梁BDの間で水平方向に相対変位が発生すると、上梁BUに連結された制震壁2の内壁6が、下梁BDに連結された外壁5に対して水平方向に移動する。図3は、内壁6が外壁5に対し左方に移動した状態を示している。この場合、内壁6の内壁本体21には、その移動の際の速度に応じて、外壁5の中央室17内の高粘度流体4Aによるせん断抵抗が作用し、内壁6の移動、すなわち外壁5と内壁6の相対変位が抑制され、それにより、内壁6と外壁5がそれぞれ連結された上下の梁BU、BDの相対変位が抑制される。
また、この場合、内壁6の左ピストン部22により、外壁5の左室18内が加圧されながら、その内部の低粘度流体4Bが押圧され、左室18に接続された連通路31の左通路部31aに押し出される。押し出された低粘度流体4Bは、歯車モータ32及び連通路31の右通路部31bを通って、右室19に流入する。この低粘度流体4Bの流動により、歯車モータ32の第1ギヤ36が回転し、これと一体に、回転マス33が、図3(b)の時計方向に回転する。
一方、上記とは逆に、図3に示す内壁6が外壁5に対し右方に移動した場合には、内壁6の右ピストン部23により、外壁5の右室19内が加圧されながら、その内部の低粘度流体4Bが押圧され、右室19に接続された連通路31の右通路部31bに押し出される。押し出された低粘度流体4Bは、歯車モータ32及び連通路31の左通路部31aを通って、左室18に流入する。この低粘度流体4Bの流動により、歯車モータ32の第1ギヤ36が上記と逆方向に回転し、これと一体に、回転マス33が、図3(b)の反時計方向に回転する。
以上のように、本実施形態によれば、例えば地震などにより、建物Bが振動する場合において、振動抑制装置1Aの制震壁2は、建物Bの振動エネルギーを高粘度流体4Aによる抵抗力によって吸収し、建物Bの振動を減衰させることによって、その振動を抑制することができる。加えて、振動抑制装置1Aの歯車モータ機構3は、建物Bの振動エネルギーを回転マス33の回転によって吸収し、その回転マス33の回転慣性効果により、建物Bの振動を抑制することができる。このように、振動抑制装置1Aでは、制震壁2による減衰効果と、歯車モータ機構3による回転慣性効果が相まって、建物Bの振動を効果的に抑制することができる。また、振動抑制装置1Aの歯車モータ機構3は、従来の回転マスダンパに比べて、比較的簡易に構成することが可能であり、加えて、制震壁2に直接、取り付けることができるので、従来の振動抑制装置と異なり、建物Bの構造材側に取付け支持部などを設ける必要がなく、その分、コストを抑制することができる。
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態による振動抑制装置1Bについて説明する。なお、以下の説明では、上述した第1実施形態の振動抑制装置1Aと同じ構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略し、相違点のみを説明するものとする。
図4に示すように、この振動抑制装置1Bは、前述した第1実施形態の振動抑制装置1Aに対し、歯車モータ機構3の連通路31と外壁5との連結位置のみが異なっている。すなわち、本実施形態の振動抑制装置1Bでは、歯車モータ機構3の連通路31が、前壁部11に連結されている。
具体的には、外壁5の前壁部11には、内壁6の左ピストン部22よりも左方の所定位置に、貫通した左接続口11aが設けられており、この左接続口11aに、連通路31の左連通部31aが接続されている。同様に、前壁部11の右端部には、内壁6の右ピストン部23よりも右方の所定位置に、貫通した右接接続口11bが設けられており、この接続口11bに、連通路31の右連通部31bが接続されている。
このように構成された振動抑制装置1Bは、前述した第1実施形態の振動抑制装置1Aと同様の前述した作用、効果を得ることができる。また、本実施形態の振動抑制装置1Bでは、第1実施形態の振動抑制装置1Aに比べて、歯車モータ機構3の連通路31の長さを短くでき、加えて、歯車モータ機構3全体を前壁部11にのみ設けるので、外壁5の周囲をコンパクトにかつ簡易に構成することができる。
次に、図5を参照して、本発明の第3実施形態による振動抑制装置1Cについて説明する。図5に示すように、この振動抑制装置1Cでは、制震壁2の外壁5の内部が、左仕切壁10a及び右仕切壁10bによって仕切られ、これら左右の仕切壁10a及び10bの間に中央室17が、左仕切壁10aの左方に左室18が、右仕切壁10bの右方に右室19が画成されている。
また、制震壁2の内壁6は、中央室17の横幅よりも短い所定の横幅寸法を有する内壁本体21と、左室18及び右室19内にそれぞれ収容された左ピストン部22及び右ピストン部23とを有しており、これらの左右のピストン部22、23が、左右方向に延びる左ロッド部21a及び右ロッド部21bを介して、内壁本体21に連結されている。上記の左ロッド部21aは、左仕切壁10aを貫通し、その貫通部分がシールされている。同様に、右ロッド部21bは、右仕切壁10bを貫通し、その貫通部分がシールされている。
また、この振動抑制装置1Cでは、前述した第1実施形態の振動抑制装置1Aと同様の歯車モータ機構3を備えているのに加えて、外壁5の後壁部12に、左室18と右室19を直接、連通するサブ連通路41が設けられている。具体的には、後壁部12には、左室18に対応しかつ左ピストン部22よりも右方の所定位置に、貫通した左接続口12aが設けられる一方、右室19に対応しかつ右ピストン部23よりも左方の所定位置に、貫通した右接続口12bが設けられており、これら左右の接続口12a、12bに、サブ連通路41が接続されている。
このように構成された振動抑制装置1Cでは、前述した第1実施形態の振動抑制装置1Aと同様にして、左室18及び右室19内の低粘度流体4Bが、連通路31を介して、左室18及び右室19の一方から他方に流れる。この場合、左室18及び右室19内の中央室17寄りの低粘度流体4Bは、サブ連通路41を介して、左室18及び右室19の他方から一方に流れる。
このように構成された振動抑制装置1Cは、前述した第1実施形態の振動抑制装置1Aと同様の前述した作用、効果を得ることができる。また、本実施形態の振動抑制装置1Cでは、外壁5の内部が左右の仕切壁10a、10bで仕切られ、左室18及び右室19にそれぞれ、内壁6の左ピストン部22及び右ピストン部23が収容されているので、第1及び第2実施形態の振動抑制装置1A、1Bに比べて、左室18と右室19の間で、低粘度流体4Bを効率良く流動させることできる。それにより、歯車モータ機構3による回転慣性効果を、より効果的に得ることができる。
なお、本発明は、説明した第1〜第3実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、振動抑制装置1A〜1Cの制震壁2の外壁5及び内壁6の形状やサイズ、さらには粘性流体4(高粘度流体4A及び低粘度流体4B)は、要求される減衰効果や設置スペースなどに応じて適宜、設定することが可能である。また、歯車モータ機構3の連通路31及び回転マス33の径についても、要求される回転慣性効果や設置スペースなどに応じて適宜、設定することが可能である。さらに、制震壁2では、内壁6の内壁本体21として単一のものを採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の内壁本体を、互いに前後方向に所定間隔を隔てて平行に配置するように構成することも可能である。また、歯車モータ32として外接歯車型のものを例示したが、歯車モータ機構3の歯車モータとして、内接歯車型のものを使用することももちろん可能である。
また、第3実施形態では、後壁部12に、左室18と右室19を直接、連通するサブ連通路41を設けたが、前壁部11側に加えて、後壁部12側にも、歯車モータ32及び回転マス33を設けることも可能である。また、第3実施形態において、サブ連通路41にリリーフ弁を設け、左室18及び右室19内の低粘度流体4Bが所定の設定圧力を超えたときに、その低粘度流体4Bがサブ連通路41に流れるようにしてもよい。この場合、上記の設定圧力を超えるまでは、制震壁2の内壁6が不動であるので、振動抑制装置1Cにおける抵抗力をより一層高めることができる。
さらに、実施形態で示した振動抑制装置1A、1B及び1C、並びに制震壁2及び歯車モータ機構3の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
1A 第1実施形態の振動抑制装置
1B 第2実施形態の振動抑制装置
1C 第3実施形態の振動抑制装置
2 制震壁
3 歯車モータ機構
4 粘性流体
4A 高粘度流体
4B 低粘度流体
5 外壁
6 内壁
17 中央室
18 左室(左側所定部位)
19 右室(右側所定部位)
21 内壁本体
21a 左ロッド部
21b 右ロッド部
22 左ピストン部
23 右ピストン部
31 連通路
31a 左通路部
31b 右通路部
32 歯車モータ
33 回転マス
36 第1ギヤ
36a 第1回転軸(回転軸)
41 サブ連通路
B 建物(構造物)
PL 左柱
PR 右柱
BU 上梁(上側構造材)
BD 下梁(下側構造材)

Claims (6)

  1. 構造物において、互いに上下方向に間隔を隔てた状態で、水平にかつ平行に延びる上側構造材と下側構造材の間に設けられ、当該構造物の振動を抑制するための構造物の振動抑制装置であって、
    上方に開口する開口部を有する箱状に形成され、内部に粘性流体が充填されるとともに、下端部に設けられた下側のフランジ部が前記下側構造材に連結された外壁と、この外壁に大部分が収容されるとともに、前記開口部を介して上方に突出した突出部の上端部に設けられた上側のフランジ部が前記上側構造材に連結され、前記下側構造材と前記上側構造材の相対変位に伴い、前記粘性流体によるせん断抵抗が作用することによって、前記外壁との相対変位を抑制する内壁とを有する制震壁と、
    前記外壁内における前記内壁の横幅方向の左右両側の左側所定部位と右側所定部位を連通する連通路と、この連通路の途中に設けられ、前記内壁の横幅方向の移動に伴い当該連通路内を流れる前記粘性流体の流動を回転運動に変換する歯車モータと、この歯車モータの回転軸に連結された回転マスとを有する歯車モータ機構と、
    を備えていることを特徴とする構造物の振動抑制装置。
  2. 前記外壁の内部は、前記内壁の横幅方向の左右両端部間に存在する中央室と、この中央室の左右両側にそれぞれ隣接し、当該中央室に対し水密な状態で仕切られ、前記左側所定部位及び前記右側所定部位に対応する左室及び右室とを有していることを特徴とする請求項1に記載の構造物の振動抑制装置。
  3. 前記左室及び右室はいずれも、前記連通路との接続部位を除いて、密閉されていることを特徴とする請求項2に記載の構造物の振動抑制装置。
  4. 前記内壁は、
    前記中央室に収容された内壁本体と、
    この内壁本体の横幅方向の左右両端部にそれぞれ設けられ、前記中央室と前記左室及び右室とを仕切る左右のピストン部と、
    を有していることを特徴とする請求項3に記載の構造物の振動抑制装置。
  5. 前記内壁は
    前記中央室に収容された内壁本体と、
    この内壁本体の横幅方向の左右両端部からそれぞれ突出した左右のロッド部と、
    前記左室及び前記右室にそれぞれ収容され、前記左右のロッド部を介して前記内壁本体に連結された左右のピストン部と、
    を有していることを特徴とする請求項3に記載の構造物の振動抑制装置。
  6. 前記粘性流体は、
    前記中央室に充填された第1流体と、
    前記左室及び右室に充填されるとともに、前記連通路内を流動可能な第2流体と、
    を有し、
    前記第2流体は、前記第1流体よりも、粘度が低いことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の構造物の振動抑制装置。
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