JP6934961B2 - 色素含有組成物、インクジェット記録方法、記録物及び化合物 - Google Patents

色素含有組成物、インクジェット記録方法、記録物及び化合物 Download PDF

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Description

本開示は、色素含有組成物、インクジェット記録方法、記録物及び化合物に関する。
一般に、株券、債券、小切手、商品券、宝くじ、定期券等の証券類に記載される情報を光学的に読み取る手段として、バーコード、又は、光学式文字読取装置(OCR)を用いた読み取りが可能なコードパターンが設けられることが多い。また、光学的読み取りを利用したコードパターンとして、バーコードが主に物流管理システム等で広く利用されている。さらに、近年では、より膨大なデータ容量、高密度印字を可能とするコードパターンとして、データコード、ベリコード、コードワン、マキシコード、二次元バーコード(QRコ−ド(登録商標))といった2次元コードも普及しつつある。また、コードパターンとして、ドットパターンを用いた方法も知られている。
上述したコードパターンとしては、可視のコードパターンが一般的であり、印刷物のデザイン上の制約及び印字領域の確保といった種々の制約を印刷物にもたらす場合がある。このため、可視のコードパターンがもたらす制約を排除する要求が強まってきている。さらに、証券類の偽造防止目的のためにも、可視光領域に吸収帯を持たないインキを印刷することにより、コードパターンを透明化する試みがなされている。コードパターンの透明化により、印刷物のデザインの自由化、コードパターン印字のための印刷領域確保からの解放、コードパターンの目視による判定及び識別が困難となるといった利点がある。
この様な透明化(不可視化)の試みの1つとして、可視光線領域外の赤外線を主に吸収するインキを用いて、赤外線吸収パターンを形成することが知られている(特開2008−144004号公報参照)。
さらに、単一の化合物において、紫外、可視及び赤外の広い波長帯に光吸収性を有する化学的に安定な光吸収を示す材料が提案され、当該材料により、赤外域を含む光吸収性の薄膜を形成しうることが記載され、光吸収性を示す材料としてオキソノール化合物の例が開示されている(特開2016−185920号公報参照)
本発明者らの検討によれば、特開2008−144004号公報に記載のインクジェット記録用インクは、製造時の分散が容易に行えない場合があるため、界面活性剤等の分散剤を使用した上で、比較的長時間(例えば、3時間など)の分散が必要とされる場合があることが判明した。
また、特開2016−185920号公報に記載の光吸収性の化合物は、樹脂への分散性が良好で光吸収性の樹脂薄膜を形成しうるが、可視光域にも吸収を有するため不可視性の画像を形成するには適さない。また、特開2016−185920号公報においては、光吸収性の化合物の樹脂中への分散については検討されているが、水系の媒体を用いた場合の分散性については検討されていない。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、色素を含む色素含有組成物の保存安定性が良好であり、色素含有組成物自体が近赤外線吸収性を有するか、または、色素含有組成物の乾燥物としての近赤外線吸収性を有する画像を形成しうる色素含有組成物を提供することである。
本発明の別の実施形態が解決しようとする課題は、保存安定性が良好な色素含有組成物を用いたインクジェット記録方法、及び、保存安定性が良好な色素含有組成物の乾燥物である近赤外線吸収画像の不可視性に優れる記録物を提供することである。
本発明の別の実施形態が解決しようとする課題は、近赤外線吸収性の新規な化合物を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 下記一般式1で表される色素と、媒体と、を含む組成物。
Figure 0006934961

一般式1中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Y及びYはそれぞれ独立に、脂肪族環又はヘテロ環を形成する非金属原子群を表す。
は5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、上記メチン鎖の中央のメチン基に下記式Aで表される置換基を有する。
Figure 0006934961
式A中、Sは、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NRL1−、−S(=O)−、−ORL2−、又は、これらの少なくとも2つを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、RL2は、アルキレン基、アリーレン基又は二価のヘテロ環基を表し、Tは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、一価のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、*は上記メチン鎖の中央のメチン基との結合部位を表す。
<2> 分散組成物である<1>に記載の色素含有組成物。
<3> 上記一般式1で表される色素が、下記一般式2で表される色素である<1>又は<2>に記載の色素含有組成物。
Figure 0006934961
一般式2中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Lは5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、上記メチン鎖の中央のメチン基に上記式Aで表される置換基を有する。
、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、Xはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。
<4> 媒体が液体である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の色素含有組成物。
<5> 媒体が水を含む液体である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の色素含有組成物。
<6> 媒体が、水及び101.325kPa下における沸点が100℃以上の有機溶剤を含む<1>〜<5>のいずれか1つに記載の色素含有組成物。
<7> インク組成物である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の色素含有組成物。
<8> インクジェット記録用インク組成物である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の色素含有組成物。
<9> 基材に、<8>に記載の色素含有組成物を付与する工程を含むインクジェット記録方法。
<10> 基材と、基材上に配置された<8>に記載の色素含有組成物の乾燥物である近赤外線吸収画像と、を有する記録物。
<11> 基材と、基材上に配置された近赤外線吸収画像と、を有し、近赤外線吸収画像が、下記一般式1で表される色素を含み、近赤外線吸収画像の極大吸収波長が700nm〜1,200nmの範囲にある記録物。
Figure 0006934961

一般式1中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Y及びYはそれぞれ独立に、脂肪族環、又は、ヘテロ環を形成する非金属原子群を表す。
は5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、上記メチン鎖の中央のメチン基に下記式Aで表される置換基を有する。
Figure 0006934961
式A中、Sは、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NRL1−、−S(=O)−、−ORL2−、又は、これらの少なくとも2つを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、RL2は、アルキレン基、アリーレン基又は二価のヘテロ環基を表し、Tは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、一価のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、*は上記メチン鎖の中央のメチン基との結合部位を表す。
<12> 上記一般式1で表される色素が、下記一般式2で表される色素である<11>に記載の記録物。
Figure 0006934961

一般式2中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Lは5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、上記メチン鎖の中央のメチン基に上記式Aで表される置換基を有する。
、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、Xはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。
<13> 下記一般式2で表される化合物。
Figure 0006934961

一般式2中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Lは5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、上記メチン鎖の中央のメチン基に下記式Aで表される置換基を有する。
、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、Xはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。
Figure 0006934961
式A中、Sは、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NRL1−、−S(=O)−、−ORL2−、又は、これらの少なくとも2つを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、RL2は、アルキレン基、アリーレン基又は二価のヘテロ環基を表し、Tは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、一価のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、*は上記メチン鎖の中央のメチン基との結合部位を表す。
<14> 上記一般式2において、R、R、R及びRよりなる群から選ばれた少なくとも1つが水素原子である<13>に記載の化合物。
<15> 上記一般式2で表される化合物が、下記一般式3で表される化合物である<13>又は<14>に記載の化合物。
Figure 0006934961

一般式3中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Lは5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、上記メチン鎖の中央のメチン基に上記式Aにより表わされる置換基を有す。
、及び、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、R、及び、Rはそれぞれ独立に、アルキル基、ハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、一価のヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基、−ORL3、−C(=O)RL3、−C(=O)ORL3、−OC(=O)RL3、−N(RL3、−NHC(=O)RL3、−C(=O)N(RL3、−NHC(=O)ORL3、−OC(=O)N(RL3、−NHC(=O)N(RL3、−SRL3、−S(=O)L3、−S(=O)ORL3、−NHS(=O)L3、又は、−S(=O)N(RL3を表し、RL3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表す。
nはそれぞれ独立に、1〜5の整数を表し、Xはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。
<16> 上記一般式3において、R、R、R及びRよりなる群から選ばれた少なくとも1つが水素結合性基を含む<15>に記載の化合物。
本発明の一実施形態によれば、色素を含む色素含有組成物の保存安定性が良好であり、色素含有組成物自体が近赤外線吸収性を有するか、または、色素含有組成物の乾燥物としての近赤外線吸収性を有する画像を形成しうる色素含有組成物を提供することができる。
本発明の別の実施形態によれば、保存安定性が良好な色素含有組成物を用いたインクジェット記録方法、及び、保存安定性が良好な色素含有組成物の乾燥物である近赤外線吸収画像の不可視性に優れる記録物を提供することができる。
本発明の別の実施形態によれば、近赤外線吸収性の新規な化合物を提供することができる。
以下、本開示の内容について説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示は以下の実施態様に限定されない。
本明細書において「〜」を用いて記載した数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を表す。
本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本開示において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示における基(原子団)の表記において、特に断りのない限りは、無置換のもの、置換基を有するものをも包含する意味で用いられる。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)と、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)との双方を包含する意味で用いられる。その他の置換基についても同様である。
本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合がある。
なお、本開示において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれかを表し、“(メタ)アクリル”はアクリル及びメタクリルの少なくともいずれかを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイル及びメタクリロイルの少なくともいずれかを表す。
本明細書において、メチル基をMeと、エチル基をEtと、フェニル基をPhと、それぞれ略称することがある。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
<色素含有組成物>
本開示の色素含有組成物(以下、単に組成物と称することがある)は、下記一般式1で表される色素(以下、特定色素と称することがある)と、媒体と、を含む。
本開示の組成物は、特定色素が媒体中に分散された状態で含まれる分散組成物であることが好ましい。
Figure 0006934961

一般式1中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Y及びYはそれぞれ独立に、脂肪族環、又は、ヘテロ環を形成する非金属原子群を表す。
は5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、上記メチン鎖の中央のメチン基に下記式Aで表される置換基を有する。
Figure 0006934961

式A中、Sは、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NRL1−、−S(=O)−、−ORL2−、又は、これらの少なくとも2つを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、RL2は、アルキレン基、アリーレン基又は二価のヘテロ環基を表し、Tは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、一価のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、*は上記メチン鎖の中央のメチン基との結合部位を表す。
本開示の組成物は、特定色素を含む組成物の保存安定性に優れる。作用効果は明確ではないが、以下のように考えている。
特定色素は、対カチオンとして原子半径の大きいルビジウムイオン又はセシウムイオンを含む。このため、特定色素の構造において、カルボニル酸素部位に電子が局在化しにくくなり、特定色素における電子が非局在化される。
特定色素における電子が非局在化されることで、近傍に存在する複数の特定色素の分子間における水素結合の形成が阻害される。その結果、特定色素間の水素結合に起因する凝集、特定色素の結晶成長による粒子の成長などが生じ難くなり、調製された組成物に含まれる特定色素としての固体分散物の粒径の増大に起因する特定色素の安定性の低下が抑制され、且つ、特定色素を分散物として含む場合の分散組成物における分散性の低下が抑制され、組成物としての保存安定性が向上すると考えられる。さらに、水素結合の形成が阻害されることにより、特定色素自体の疎水性が向上する。このため、本開示の組成物として、媒体として水を含む液状媒体を用いて特定色素を含有する分散組成物とした場合、特定色素を含む組成物の保存安定性の効果が著しいと考えられる。
さらに、上記特定色素を含む色素含有組成物の乾燥物である画像は近赤外線領域に吸収を有し、可視光領域における吸収が低いために、本開示の組成物によれば、不可視性が良好な画像を形成しうる。
本明細書において「近赤外線」とは、700nm〜1,200nmの波長域の光を指す。
なお、本開示は、上記推定機構に何ら制限されない。
以下、本開示の組成物に含まれる各成分について説明する。
〔一般式1で表される色素〕
本開示の組成物は、上記一般式1で表される色素(特定色素)を含む。
〔M
特定色素は、Mで表される対カチオンとして、ルビジウムイオン(Rb)又はセシウムイオン(Cs)を有し、なかでも、セシウムイオンを有することが好ましい。
で表される対カチオンが存在することにより特定色素全体が電気的に中性となる。
また、既述のように、Rb又はCsの如き原子半径の大きな対イオンを含むことで、一般式1で表される構造において、バルビツール酸等の酸素部位において電子が非局在化し、水素結合の形成を阻害する。水素結合の形成が阻害されることにより、特定色素の粒子径向上に起因する保存安定性の低下が抑制される。
なお、組成物における特定色素が、対カチオンとしてRb又はCsを含むことは、以下の方法から確認することができる。
(特定色素における対カチオンの確認方法)
特定色素を、Ultra WAVE(マイルストーンゼネラル社製)を用い、70%硝酸を添加した条件で湿式灰化によって分解し、得られた分解物を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)質量分析装置で測定する。そして、絶対検量線法で特定色素が含有するルビジウム又はセシウム含有量の定量を行う。
特定色素に含まれるルビジウム又はセシウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られるルビジウム又はセシウム含有量の測定値が一致した場合、対カチオンがルビジウム又はセシウムであると判断する。
上記対イオンの機能に加え、さらに、後述するように、特定色素におけるLが5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表すこと、及び、上記メチン鎖の中央のメチン基が上記式Aにより表される置換基を有することにより、特定色素を含む本開示の組成物を乾燥させて得られる近赤外吸収画像は、良好な不可視性を示すと考えられる。
〔Y及びY
及びYは同一の非金属原子群であってもよいし、異なる非金属原子群であってもよい。なかでも、合成適性上、同一の非金属原子群であることが好ましい。
及びYが形成する脂肪族環の例としては、炭素数5〜10の脂肪族環が挙げられる。上記脂肪族環は置換基を有していてもよく、脂肪族環、芳香族環又は他のヘテロ環と縮合環を形成していてもよい。
及びYが形成する脂肪族環としては、例えば、1,3−インダンジオン環、及び、1,3−ベンゾインダンジオン環、2,3―ジヒドロ−1H−フェナレン1,3−ジオンが挙げられる。
及びYが形成するヘテロ環の例としては、5員環又は6員環であるヘテロ環が挙げられる。ヘテロ環に含まれるヘテロ原子としては、窒素原子(N原子)、酸素原子(O原子)、硫黄原子(S原子)等が挙げられるが、N原子が好ましい。上記脂肪族環は置換基を有していてもよく、脂肪族環、芳香族環又は、Y及びYが形成するヘテロ環以外のヘテロ環(以下、他のヘテロ環と称することがある)と縮合環を形成していてもよい。
一般式1中、Y及びYはそれぞれ独立に、ヘテロ環を形成する非金属原子群であることが好ましく、同一のヘテロ環を形成する非金属原子群であることがより好ましい。
及びYが形成するヘテロ環としては、例えば、5−ピラゾロン環、イソオキサゾロン環、バルビツール酸環、ピリドン環、ローダニン環、ピラゾリジンジオン環、ピラゾロピリドン環及びメルドラム酸環が挙げられ、不可視性の観点から、バルビツール酸環が好ましい。
〔L
一般式1におけるLは、5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、上記メチン鎖の中央のメチン基に以下に詳述する式Aにより表わされる置換基を有する。
メチン鎖の中央のメチン基に式Aにより表わされる置換基を有することで、特定色素の媒体中における分散性及び特定色素の会合安定性が良好となる。
は5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、5個のメチン基からなるメチン鎖を表すことが好ましい。
メチン鎖の中央のメチン基以外のメチン基は、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。なかでも、置換されていないことが好ましい。
メチン鎖は任意の位置で架橋構造を有していてもよい。例えば、メチン基の両隣の炭素が架橋されて環構造を形成していてもよい。なお、環構造を導入することにより、特定色素の吸収波長、本開示の組成物を用いて得られる近赤外線吸収画像の耐光性等を制御することができるため、環構造については、組成物の使用目的に応じて適宜決定すればよい。
メチン鎖が有しうる環構造としては、特に限定されない。なかでも、環構造としては、脂肪族環が好ましく、5員環又は6員環の脂肪族環が好ましい。
具体的には、Lは下記式L1−1、L1−2、L2−1又はL2−2により表される基であることが好ましく、下記式L1−1又は式L1−2により表される基であることがより好ましい。
Figure 0006934961

式L1−1、式L1−2、式L2−1、及び、式L2−2中、Aは式Aにより表される置換基を表し、波線部は、それぞれ独立に、一般式1中のL以外の構造との結合位置を表す。
は脂肪族環、又は、ヘテロ環を形成する非金属原子群を表し、脂肪族環を形成する非金属原子群を表すことが好ましい。Yとしては、アルキレン基が好ましく、アルキレン基としては、例えば、−CHCH−、−CHC(Z)−CH−などが挙げられる。なお、Zについては後述する。
上記脂肪族環としては、5員環又は6員環が好ましい。
上記式L2−1又はL2−2により表される基としては、下記式L3−1〜式L3−4により表される基が好ましい。
Figure 0006934961
上記式L3−1〜式L3−4中、Aは式Aにより表される置換基を表し、波線部は、それぞれ独立に、一般式1中のL以外の構造との結合位置をそれぞれ表す。
Zは水素原子又はアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。2つのZは結合して環構造を形成してもよい。
−式Aにより表わされる置換基−
式A中、Sは単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NRL1−、−S(=O)−、−ORL2−、又は、これらの少なくとも2つを組み合わせてなる基を表し、得られる近赤外線吸収画像の不可視性向上の観点から、単結合、アルキレン基、アルケニレン基又はアルキニレン基であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
上記アルキレン基は、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、メチレン基又はエチレン基がさらに好ましい。
上記アルケニレン基は、炭素数2〜10のアルケニレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルケニレン基がより好ましく、炭素数2又は3のアルケニレン基がさらに好ましい。
上記アルキニレン基は、炭素数2〜10のアルキニレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルキニレン基がより好ましく、炭素数2又は3のアルキニレン基がさらに好ましい。
上記アルキレン基、アルケニレン基、及び、アルキニレン基は、直鎖状であっても分岐構造を有していてもよく、それぞれの基に含まれる炭素原子の一部又は全部が環状構造を形成していてもよい。上記内容は、本開示におけるアルキレン基、アルケニレン基、及び、アルキニレン基の記載において、特別の記載がない限り、同様である。
上記−C(=O)O−は、炭素原子がLとの結合側であり、かつ、酸素原子がTとの結合側であってもよいし、その逆であってもよい。
上記−C(=O)NRL1−は、炭素原子がLとの結合側であり、かつ、窒素原子がTとの結合側であってもよいし、その逆であってもよい。
上記RL1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、水素原子、アルキル基又はアリール基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がさらに好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状であっても分岐構造を有していてもよく、アルキル基に含まれる炭素原子の一部又は全部が環状構造を形成していてもよい。上記内容は、本開示におけるアルキル基の記載において、特別の記載がない限り、同様である。
上記アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。
本開示において、一価のヘテロ環基とは、ヘテロ環式化合物から1つの水素原子を除いた基をいい、二価のヘテロ環基とは、ヘテロ環式化合物から2つの水素原子を除いた基をいう。
上記一価のヘテロ環基におけるヘテロ環は、5員環又は6員環であることが好ましい。また、上記ヘテロ環は、脂肪族環、芳香族環又は他のヘテロ環と縮合環を形成していてもよい。
上記ヘテロ環におけるヘテロ原子としては、N原子、O原子、及びS原子が挙げられ、N原子が好ましい。
上記ヘテロ環としては、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環、フルフラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、ピロリドン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環及びチアジアゾール環が挙げられる。
L2は、アルキレン基、アリーレン基又は二価のヘテロ環基を表し、アルキレン基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキレン基がさらに好ましい。
上記アリーレン基は、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、フェニレン基又はナフチレン基がより好ましく、フェニレン基がさらに好ましい。
上記二価のヘテロ環基としては、RL1における一価のヘテロ環基からさらにもう一つ水素を除いた構造が好ましい。
式A中、Tは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、一価のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、アリール基、一価のヘテロ環基又はトリアルキルシリル基が好ましい。ヘテロ環基としては、酸素原子又は窒素原子を含むヘテロ環基が好ましい。Tとしては、フェニル基、モルホニル基及びピリジル基がさらに好ましい。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子(F原子)、塩素原子(Cl原子)、臭素原子(Br原子)及びヨウ素原子(I原子)が挙げられ、Cl原子又はBr原子が好ましく、Cl原子がより好ましい。
上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数1又は2のアルキル基がさらに好ましい。
がアルキル基を表す場合、Tはメチン鎖中の他の炭素原子と環構造を形成していてもよい。上記環構造としては、5員環又は6員環が好ましい。
がアリール基を表す場合、アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。また、アリール基は、さらに置換基を有していてもよい。アリール基に導入可能な置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、一価のヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基、−ORL3、−C(=O)RL3、−C(=O)ORL3、−OC(=O)RL3、−N(RL3、−NHC(=O)RL3、−C(=O)N(RL3、−NHC(=O)ORL3、−OC(=O)N(RL3、−NHC(=O)N(RL3、−SRL3、−S(=O)L3、−S(=O)ORL3、−NHS(=O)L3、又は、−S(=O)N(RL3等が挙げられ、アルキル基、アリール基、一価のヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基、−ORL3、−N(RL3、−NHC(=O)RL3、−C(=O)N(RL3、−NHC(=O)ORL3、−NHC(=O)N(RL3が好ましい。
L3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、水素原子、アルキル基、又は、アリール基が好ましい。
L3におけるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましい。
L3におけるアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましく、炭素数2又は3のアルケニル基がさらに好ましい。
L3におけるアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
L3における一価のヘテロ環基におけるヘテロ環は、5員環又は6員環であることが好ましい。また、上記ヘテロ環は、脂肪族環、芳香族環又は他のヘテロ環と縮合環を形成していてもよい。
上記一価のヘテロ環基におけるヘテロ環は、5員環又は6員環であることが好ましい。また、上記ヘテロ環は、脂肪族環、芳香族環又は他のヘテロ環と縮合環を形成していてもよい。
上記ヘテロ環におけるヘテロ原子としては、N原子、O原子、及びS原子が挙げられ、N原子が好ましい。
上記ヘテロ環としては、ピリジン環、トリアジン環、ピペリジン環、フラン環、フルフラン環、メルドラム酸環、バルビツール酸環、スクシンイミド環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、チオモルホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、ピロリドン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環及びチアジアゾール環が挙げられる。
上記ヘテロ環は塩構造を形成していてもよい。例えば、ピリジン環はピリジニウム塩を形成していてもよく、ピリジニウムイオンとして存在してもよい。
上記アリール基又は一価のヘテロ環基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、一価のヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基、−OR、−C(=O)R、−C(=O)OR、−OC(=O)R、−N(R、−NHC(=O)R、−C(=O)N(R、−NHC(=O)OR、−OC(=O)N(R、−NHC(=O)N(R、−SR、−S(=O)、−S(=O)OR、−NHS(=O)、又は、−S(=O)N(Rが挙げられる。
はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、水素原子、アルキル基、又は、アリール基が好ましい。
におけるアルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましい。
におけるアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
における一価のヘテロ環基におけるヘテロ環は、5員環又は6員環であることが好ましい。また、上記ヘテロ環は、脂肪族環、芳香族環又は他のヘテロ環と縮合環を形成していてもよい。
上記ヘテロ環におけるヘテロ原子としては、N原子、O原子、及びS原子が挙げられ、N原子が好ましい。
上記ヘテロ環としては、ピリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、フラン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、ピロリドン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環及びチアジアゾール環が挙げられる。
上記一価のヘテロ環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては、Rにより表される基が挙げられ、好ましい態様も同様である。
上記アミノ基としては、アミノ基、又は置換アミノ基が含まれ、ジアリールアミノ基又は、ジヘテロアリールアミノ基が好ましい。
置換アミノ基における置換基としては、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基が挙げられる。上記アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基は、Tにおけるアルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基と同義であり、好ましい態様も同様である
上記トリアルキルシリル基としては、アルキル基の炭素数が1〜10のトリアルキルシリル基が好ましく、アルキル基の炭素数が1〜4のトリアルキルシリル基がより好ましい。例えば、トリメチルシリル基、ジメチルブチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等が好ましく挙げられる。
トリアルコキシシリル基としては、アルコキシ基の炭素数が1〜10のトリアルコキシシリル基が好ましく、アルコキシ基の炭素数が1〜4のトリアルコキシシリル基がより好ましい。例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が好ましく挙げられる。
が単結合又はアルキレン基を表し、かつ、Tがアルキル基を表す場合は、SとTに含まれる炭素数の総和は、得られる近赤外線吸収画像の不可視性の観点から、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましい。
が単結合又はアルキレン基を表し、かつ、Tがアルキル基を表す場合に、炭素数の総和が3以上であれば、得られる近赤外線吸収画像の不可視性に優れる。
また、上記炭素数の総和は、分散性の観点から、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
なかでも、組成物の保存安定性の観点から、式A中、末端のTが窒素原子を含むヘテロ環、アリール基、及びハロゲン原子が好ましい。また、アルキル基、アリール基等がさらに置換基を有することで、分散性及び色素の吸収波長、なかでも極大吸収波長を好ましい範囲に調整し易い。
上記式Aにより表される置換基の具体例としては、下記置換基A−1〜A−48が挙げられる。ただし、本開示における置換基Aは、これに限定されるものではない。下記置換基A−1〜A−48中、i−C10はイソデシル基を表し、i−Cはイソオクチル基を表し、*は一般式1におけるLとの結合部位を示している。
下記置換基A−1〜A−48のうち、組成物の保存安定性の観点から、A−1、A−2、A−4、A−6、A−7、A−8、A−12、A−13、A−14、A−15、A−16、A−20、A−26、A−28、A−29、A−30、A−31、A−32、A−34、A−39、A−41、A−42、A−43、A−44、A−45、A−47、又は、A−48が好ましく、A−1、A−2、A−4、A−8、A−13、A−14、A−15、A−20、A−26、A−29、A−30、A−31、A−32、A−39、又は、A−42がより好ましい。
また、特定色素の吸収波長がより長波長側となるという観点から、A−1、A−2、A−4、A−5、A−6、A−7、A−8、A−20、A−34、A−39、A−41、A−42、A−45、又は、A−48が好ましく、A−1、A−2、A−4、A−8、A−39、又は、A−42がより好ましい。
Figure 0006934961
<一般式2で表される色素>
上記一般式1で表される特定色素は、下記一般式2により表される特定色素であることが好ましい。
組成物が一般式2で表される特定色素を含むことにより、組成物を用いて画像を形成した場合、より不可視性に優れた赤外線吸収画像が得られる。
Figure 0006934961

〔M、L
一般式2中、M及びLは、上記一般式1におけるM及びLと、それぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
〔R、R、R及びR
一般式2中、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、得られる近赤外線吸収画像の不可視性の観点からは、水素原子又はアリール基が好ましく、水素原子又はフェニル基が好ましい。
、R、R及びRにおけるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基がさらに好ましい。
上記アルキル基は、置換基を有していることが好ましい。置換基としては、後述するアリール基における置換基の例から、アルキル基、ニトロ基及びシアノ基を除いた基が挙げられ、好ましい態様も同様である。
、R、R及びRにおけるアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
上記アリール基は、無置換でもよいが、置換基を有していることが好ましい。置換基の導入位置としては、分散性及び会合安定性の観点から、一般式2における他の構造との結合部位に対して、メタ位、パラ位が好ましく、メタ位がより好ましい。なかでも、メタ位に極性基を有する態様がより好ましい。
アリール基に導入可能な置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、一価のヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基、−ORL3、−C(=O)RL3、−C(=O)ORL3、−OC(=O)RL3、−N(RL3、−NHC(=O)RL3、−C(=O)N(RL3、−NHC(=O)ORL3、−OC(=O)N(RL3、−NHC(=O)N(RL3、−SRL3、−S(=O)L3、−S(=O)ORL3、−NHS(=O)L3、又は、−S(=O)N(RL3が挙げられる。
組成物の保存安定性をより向上させるという観点から、置換基としては、極性が好ましい。極性基としては、上記例示した置換基の中でも、ニトロ基、シアノ基、−ORL3、−C(=O)RL3、−C(=O)ORL3、−OC(=O)RL3、−N(RL3、−NHC(=O)RL3、−C(=O)N(RL3、−NHC(=O)ORL3、−OC(=O)N(RL3、−NHC(=O)N(RL3、−SRL3、−S(=O)L3、−S(=O)ORL3、−NHS(=O)L3、又は、−S(=O)N(RL3が好ましく挙げられ、なかでも、−NHC(=O)RL3、−C(=O)N(RL3、−NHC(=O)ORL3、−OC(=O)N(RL3、−NHC(=O)N(RL3、−NHS(=O)L3、又は、−S(=O)N(RL3がより好ましい。
また、本開示の組成物をインク組成物に適用した場合、インク組成物の乾燥物である近赤外線吸収画像の耐光性及び耐湿熱性向上の観点から、置換基としては、水素結合性基が好ましい。水素結合性基としては、上記置換基の中でも、−OH、−C(=O)OH、−NHC(=O)RL3、−C(=O)N(RL3、−NHC(=O)ORL3、−OC(=O)N(RL3、−NHC(=O)N(RL3、−NHS(=O)L3、又は、−S(=O)N(RL3が好ましく挙げられ、−NHC(=O)ORL3がより好ましい。
一般式2におけるRL3は、既述の一般式1におけるRL3と同義であり、好ましい例も同様である。
L3が一価のヘテロ環基を表す場合、一価のヘテロ環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては、RL3により表される基が挙げられ、好ましい態様も同様である。
、R、R及びRにおける一価のヘテロ環基におけるヘテロ環は、5員環又は6員環であることが好ましい。また、上記ヘテロ環は、脂肪族環、芳香族環又は他のヘテロ環と縮合環を形成していてもよい。
上記ヘテロ環におけるヘテロ原子としては、N原子、O原子、及びS原子が挙げられ、N原子が好ましい。
上記ヘテロ環としては、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環、フルフラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、ピロリドン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環及びチアジアゾール環が挙げられる。
上記一価のヘテロ環基は、置換基を有していることが好ましい。置換基としては、上記R、R、R及びRがアリール基である場合の置換基と同様の基が挙げられ、好ましい態様も同様である。
また、特定色素を含む組成物の保存安定性の観点から、R、R、R及びRよりなる群から選ばれた少なくとも1つが水素原子であることが好ましく、R、R、R及びRよりなる群から選ばれた少なくとも2つが水素原子であることがより好ましく、R、R、R及びRよりなる群から選ばれた2つが水素原子であることがさらに好ましい。
、R、R及びRよりなる群から選ばれた2つが水素原子である場合、R及びRの一方と、R及びRの一方とが水素原子であることが好ましい。
さらに、組成物の保存安定性、及び組成物を分散組成物としてのインク組成物とした場合、インク組成物の乾燥物である近赤外線吸収画像の不可視性がより良好となるとの観点から、R及びRの一方と、R及びRの一方とが水素原子であり、R及びRの別の一方と、R及びRの別の一方とがフェニル基であることがより好ましい。上記フェニル基は、上述のとおり、置換基を有することがさらに好ましい。
上記R、R、R及びRの具体例としては、下記置換基R−1〜R−79が挙げられる。ただし、本開示におけるR、R、R及びRは、これらに限定されない。下記置換基R−1〜R−79中、波線部は一般式1における他の構造との結合部位を示している。
下記置換基R−1〜R−79のうち、組成物の保存安定性の観点からは、R−1、R−2、R−4,R−5、R−7、R−11、R−13、R−14、R−15、R−16、R−17、R−18、R−19、R−20、R−23、R−24、R−25、R−33、R−34、R−35、R−36、R−37、R−38、R−39、R−40、R−43、R−50、R−51、R−52、R−53、R−54、R−55、R−56、R−57、R−60、R−61、R−62、R−63、R−64、R−65、R−66、R−67、R−68、R−69、R−70、R−71、R−72、R−73、R−74、R−75、R−76、R−77、R−78、又は、R−79が好ましく、R−1、R−4、R−7、R−11、R−13、R−18、R−19、R−20、R−24、R−25、R−51、R−52、R−53、R−56、R−57、R−60、R−61、R−62、R−63、R−64、R−65、R−66、R−67、R−68、R−69、R−70、R−71、R−72、R−73、R−74、R−75、R−76、R−77、R−78、又は、R−79がより好ましい。
また、組成物により形成される画像の耐光性の観点から、R−1、R−2、R−3、R−4,R−5、R−7、R−11、R−13、R−14、R−15、R−18、R−19、R−20、R−22、R−50、R−51、R−52、R−53、R−56、R−57、R−60、R−61、R−62、R−63、R−64、R−65、R−66、R−67、R−68、R−69、R−70、R−71、R−72、R−73、R−74、R−75、R−76、R−77、R−78、又は、R−79が好ましく、R−1、R−2、R−4,R−7、R−11、R−13、R−14、R−15、R−18、R−19、R−51、R−52、R−53、R−56、R−57、R−60、R−61、R−62、R−63、R−64、又は、R−79がより好ましい。
下記置換基の構造中、Meはメチル基を表す。
Figure 0006934961

Figure 0006934961
Figure 0006934961

〔X〕
一般式2中、Xはそれぞれ独立に、酸素原子(O原子)、硫黄原子(S原子)又はセシウム原子(Se原子)を表し、O原子又はS原子であることが好ましく、O原子であることがより好ましい。
<一般式3で表される色素>
上記一般式2で表される色素は、下記一般式3で表される色素であることが好ましい。特定色素が、一般式3で表される構造をとることで、吸収波長がより長波長側にシフトし、より不可視性に優れた近赤外線吸収性色素となる。
Figure 0006934961

〔M、L、X〕
一般式3中、M+、及びXは、上記一般式2におけるM+、及びXと、それぞれ同義であり、好ましい例も同じである。
〔R、R、R及びR
、及び、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、R、及び、Rはそれぞれ独立に、アルキル基、ハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、一価のヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基、−ORL3、−C(=O)RL3、−C(=O)ORL3、−OC(=O)RL3、−N(RL3、−NHC(=O)RL3、−C(=O)N(RL3、−NHC(=O)ORL3、−OC(=O)N(RL3、−NHC(=O)N(RL3、−SRL3、−S(=O)L3、−S(=O)ORL3、−NHS(=O)L3、又は、−S(=O)N(RL3を表し、RL3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表す。
nはそれぞれ独立に、1〜5の整数を表す。
、及び、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、水素原子が好ましい。
、及び、Rにおけるアルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基は、上記R、及び、Rにおけるアルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基同様であり、好ましい態様も同様である。
、及び、Rはそれぞれ独立に、アルキル基、ハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、一価のヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基、−ORL3、−C(=O)RL3、−C(=O)ORL3、−OC(=O)RL3、−N(RL3、−NHC(=O)RL3、−C(=O)N(RL3、−NHC(=O)ORL3、−OC(=O)N(RL3、−NHC(=O)N(RL3、−SRL3、−S(=O)L3、−S(=O)ORL3、−NHS(=O)L3、又は、−S(=O)N(RL3を表し、
上記RL3は、R〜RにおけるRL3と同義であり、好ましい態様も同様である。
組成物により形成される画像の耐光性及び耐湿熱性向上の観点から、R、及び、Rはそれぞれ独立に、水素結合性基が好ましい。水素結合性基としては、−OH、−C(=O)OH、−NHC(=O)RL3、−C(=O)N(RL3、−NHC(=O)ORL3、−OC(=O)N(RL3、−NHC(=O)N(RL3、−NHS(=O)L3、又は、−S(=O)N(RL3が好ましく挙げられ、−NHC(=O)ORL4がより好ましい。
上記RL3は、R〜RにおけるRL3と同義であり、好ましい態様も同様である。
上記RL4は、アルキル基を表し、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式3において、組成物により形成される画像の耐光性及び耐湿熱性向上の観点から、R、R、R及びRよりなる群から選ばれた少なくとも1つが水素結合性基を含むことが好ましく、R、R、R及びRよりなる群から選ばれた少なくとも2つが水素結合性基を含むことがより好ましくい。これは、水素結合性基を含むことで、特定色素がより会合体を形成しやすくなるためと考えられる。
また、合成適性上の観点から、RとR、RとRはそれぞれ同一の基であることが好ましい。
さらに、RとRのいずれもが水素原子であり、かつ、RとRが同一の水素結合性基であることが好ましい。
〔n〕
nはそれぞれ独立に、1〜5の整数を表し、分散容易性の観点から1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
(一般式1〜一般式3のいずれかで表される色素(特定色素)の製造方法)
本開示の組成物に含まれる特定色素は、例えば、特開2002−20648号公報およびエフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレイテッド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1964年刊に記載の方法を参考にすることにより合成することが可能である。
以下、特定色素の具体例(化合物1〜化合物234)を以下に記載する。なお、具体例中、化合物1〜化合物230は、下記表1〜表12において、一般式2における各置換基を明示することで表す。置換基を示す符号は、既述の置換基の例示に付した符号である。また、表1〜表12中、Hは水素原子を表す。
なお、本開示における特定色素は、以下に示す例示化合物に限定されない。
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化合物1〜化合物109、化合物116〜化合物224に関しては、保存安定性、不可視性、耐光性の観点から、例えば、保存安定性と極大吸収波長に優れた置換基A−1と保存安定性と会合安定性と耐光性に優れた置換基R−1との組み合わせ、置換基A−1と置換基R−7との組み合わせ置換基、A−4と置換基R−19との組み合わせ、置換基A−42と置換基R−63との組み合わせなどが好ましい。
末端アリール基の置換位置がメタ位であることが好ましい点は既述の通りであるが、化合物110や化合物225の如く、末端アリール基の置換位置がパラ位の化合物、さらに、バルビツール酸の置換基が全て水素以外である化合物111や化合物226、なども本開示の組成物に使用しうる。メチン鎖についても、化合物112〜化合物115、化合物227〜化合物230に記載の如く、種々のメチン鎖の構造を有する化合物はいずれも、本開示の組成物に使用しうる。メチン鎖の末端構造がバルビツール酸以外の化合物についても、化合物231〜化合物234に記載の如く、本開示の組成物に使用しうる。
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(極大吸収波長)
本開示の組成物の乾燥物である画像は、近赤外領域に吸収を有する。即ち、特定色素として、極大吸収波長が700nm〜1,200nmの範囲にあることが好ましい。また、本開示の組成物の乾燥物である画像もまた、上記波長の範囲に極大吸収波長を有することが好ましい。
上記極大吸収波長は、得られる記録物における画像の不可視性の観点から、710nm〜1,200nmであることがより好ましく、760nm〜1,200nmであることがさらに好ましく、800nm〜1,200nmであることが特に好ましい。
上記極大吸収波長が700nm〜1,200nmであることにより、組成物を用いて得られる近赤外線吸収画像の不可視性及び赤外光を用いた検出器による読み取り性により優れる。
本明細書における特定色素の極大吸収波長は、後述する乾燥物、即ち、形成された近赤外線吸収画像の極大吸収波長の測定と同様の方法により求められる。
本開示の組成物は、特定色素を1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。目的に応じて、極大吸収波長の互いに異なる2種以上の特定色素を組み合わせて用いることもできる。
(特定色素の含有量)
本開示の組成物における特定色素の含有量には特に制限はなく、組成物の用途により適宜決定することができる。
例えば、組成物を分散組成物として、インクジェット記録用インク組成物に用いる場合には、特定色素を、組成物の全質量に対し、0.01質量%〜30質量%含有することが好ましく、0.05質量%〜20質量%含有することがより好ましく、0.1質量%〜10質量%含有することがさらに好ましい。
組成物インク組成物として用いる場合、特定色素の含有量が組成物の全質量に対し、0.01質量%以上であれば、インク組成物により、より読み取り性に優れた近赤外線吸収画像が得られる。また、特定色素の含有量が30質量%以下であれば、より不可視性に優れた近赤外線吸収画像が得られる。
組成物を近赤外線吸収樹脂組成物として用いる場合には、特定色素を、組成物の全質量に対し、0.01質量%〜30質量%含有することが好ましく、0.05質量%〜20質量%含有することがより好ましく、0.1質量%〜10質量%含有することがさらに好ましい。
含有量が上記範囲において、近赤外線吸収性に優れた樹脂フィルム、樹脂成形体等を得ることができる。
〔媒体〕
本開示の組成物は媒体を含む。
媒体は、既述の特定色素を分散しうる媒体であれば特に制限はない。媒体としては、水、有機溶剤、樹脂などの高分子化合物が挙げられる。また、水、有機溶剤、及び高分子化合物から選ばれる2種以上の混合物であってもよい。混合物としては、例えば、水と有機溶剤との混合物、水と高分子化合物との混合物などが挙げられる。
媒体としては、液体が好ましく、水を含む液体であることがより好ましい。
媒体が液体であることで、本開示の組成物をインク組成物として用いることができる。また、媒体として水を含む液体を用いることで、本開示の組成物を水性のインク組成物、好ましくは、インクジェット記録用の水性インク組成物として用いることができる。
〔媒体が液体以外である場合〕
媒体が樹脂などの高分子化合物を含むことで、本開示の組成物を近赤外線吸収性樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物と称することがある)として用いることができる。近赤外線吸収性樹脂組成物により、近赤外線吸収性の樹脂フィルム、樹脂成形体等を製造しうる。
媒体として本開示の組成物に含みうる樹脂は、本開示の近赤外線吸収色素を含む組成物としての樹脂組成物を調製しうる限り、特に制限はない。本開示において、樹脂とは、一般的な合成樹脂を包含する。樹脂のなかでも、成形を容易に行いうる観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の例としては、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリアクリル、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリビニル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリオレフィンなどが挙げられ、ポリエステル、ポリアミド、及びポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂が好ましい。
樹脂は、樹脂組成物の用途に応じて適宜選択され、樹脂組成物の用途に適する強度、透明性など、所望の特性を有する樹脂であれば、制限なく使用することができる。なかでも、加工性、汎用性、耐久性、及びコストの観点から、樹脂組成物は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリスチレン、及びポリカーボネートから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリエステル、ポリアミド、及びポリウレタンから選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
ポリエステルとしては、テレフタル酸ジメチル又はテレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合で得られるポリエチレンテレフタレート(PET)、テレフタル酸ジメチルとブタンジオールとの重縮合で得られるポリブチレンテレフタレート(PBT)などが好ましく、特に、製造安定性、及び製造コストの観点から、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
また、ポリエステルとして、環境適性に優れた生分解性樹脂であるポリ乳酸を選択して用いてもよい。ポリ乳酸としては、一般的なポリL乳酸、ポリD乳酸に加え、両者を混合して得られるステレオコンプレックスなども有用である。
ポリエステルは、市販品を用いてもよい。
ポリエステルの市販品としては、ポリオール−ポリカルボン酸型ポリエステル樹脂である三井化学(株)製、「三井PET(商品名)」シリーズ(たとえば、品番:三井J125)、東洋紡(株)製、「バイロン」シリーズ等が挙げられる。
ポリ乳酸樹脂及びポリ乳酸を含む共重合樹脂から選ばれるポリエステルとしては、浙江海正生物材料股分有限公司(Zhejiang Hisun Biomaterials Co., Ltd)製、結晶性ポリ乳酸樹脂(「レヴォダ(REVODE)(登録商標)」シリーズ、L体/D体比=100/0〜85/5、たとえば、品番:レヴォダ101)、三井化学(株)製、ポリ乳酸樹脂である、植物澱粉を乳酸発酵して製造された「レイシア(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
ポリアミドとしては、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とを用いて得られるナイロン(登録商標)66、ε‐カプロラクタムを開環重合して得られるナイロン6などが好ましく、特にコストの点でナイロン6が好ましい。
ポリアミドは、市販品を用いてもよい。
ポリアミドの市販品としては、東レ(株)製のナイロン6、ナイロン66である「アミラン(登録商標)」シリーズ(たとえば、品番:CM1017)、旭化成(株)製のポリアミド66樹脂である「レオナ(登録商標)」シリーズ及び帝人(株)の「n−ナイロン」や「n,m−ナイロン」シリーズ等が挙げられる。
ポリウレタンとしては、イソシアネートとポリオールとを反応させて得られる共重合体であり、イソシアネート成分として芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートの単独又はこれらの混合物、例えば、トリレン2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネートなどを主成分として用い、必要に応じ3官能以上のポリイソシアネートを使用してもよい。また、ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、又はポリエステルポリオールを用いてもよい。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどを用い、ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジオールとアジピン酸、セバチン酸等の2塩酸との反応生成物やカプロラクトン等の開環重合物を用いることができる。
ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン及びペンテン等の単独重合体、又はこれらの共重合体を主成分とした樹脂である。
ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−メチルアクリレート共重合体、プロピレン−メチルメタクリレート共重合体、プロピレン−エチルアクリレート共重合体、ポリブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン共重合体、ポリ−4−メチル−1−ペンテン共重合体等が挙げられる。
これらの中でも安価かつ加工性に優れ、各種工業部品・家電製品などに幅広く使用されているポリプロピレン及びポリエチレンが好ましい。
市販のポリオレフィン系樹脂としては、プライムポリマー(株)製のポリプロピレン系樹脂「プライムポリプロ」、「ポリファイン」、「プライムTPO」の各シリーズ(たとえば、品番:J−700GP、J−966HP)、プライムポリマー(株)製の各種ポリエチレン樹脂「ハイゼックス」、「ネオゼックス」、「ウルトゼックス」、「モアテック」、「エボリュー」の各シリーズ(たとえば、高密度ポリエチレン樹脂、品番:2200J)、及び東ソー(株)製の低密度ポリエチレン「ペトロセン」シリーズ(たとえば、品番:ペトロセン190)等が挙げられる。
ポリカーボネートは、通常、二価フェノールとカーボネート前駆体を反応させて製造される樹脂である。二価フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAと略記する)、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−イソプロピルベンゼン、ヒドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン,ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどが挙げられる。カーボネート前駆体としては、ホスゲン;ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート、ハロホルメート、二価フェノールのジハロホルメートなどのジハロホルメート等が挙げられる。
市販の芳香族ポリカーボネート樹脂としては、出光興産(株)製の「タフロン」シリーズや帝人(株)製の「パンライト」シリーズ等が挙げられる。
ポリスチレン系樹脂は、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−tert−ブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、水素化ポリスチレン及びこれらの構造単位を含む共重合体等が挙げられる。
これらポリスチレン系樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
市販のポリスチレン系樹脂としては、PSジャパン(株)製、「PSJ−ポリスチレン」シリーズ(たとえば、品番:H8672)、東洋スチレン(株)製、「トーヨースチロール」シリーズ等が挙げられる。
樹脂は、市販の樹脂を用いることができ、市販の樹脂の前駆体モノマーを用いて形成された樹脂を用いることもできる。
樹脂組成物は、樹脂を1種のみ含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の樹脂を用いる場合、相溶性及び成形性の観点から、ガラス転移温度、溶解度パラメータ(SP値)等が近い樹脂同士を併用することが好ましい。
溶解度パラメータ〔単位:(cal/cm3)1/2〕(SP値)は、Fedors法によって計算される値であり、次式で表される。
SP値(δ)=(ΔH/V)1/2
式中、ΔHはモル蒸発熱[cal]を表し、Vはモル体積[cm]を表す。また、ΔH、Vとしては各々、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE, 1974, Vol.14, No.2, ROBERT F. FEDORS. (151〜153頁)」に記載の、原子団のモル蒸発熱(△ei)の合計ΣΔei(=ΔH)、モル体積(△vi)の合計ΣΔvi(V)を用いることができ、(ΣΔei/ΣΔvi)1/2から求められる。
本開示の組成物である樹脂組成物には、樹脂及び近赤外線吸収色素に加え、本開示の効果を損なわない限り、種々の添加剤を含有させることができる。
本開示に係る樹脂組成物は、着色剤を含んでもよい。
着色剤を配合することで、樹脂組成物及び樹脂組成物から作製される樹脂成形体に所望の色相を付与することができる。
着色剤としては、染料化合物や顔料化合物及びその分散物が挙げられる。着色剤は無機化合物であっても有機化合物であってもよい。
着色剤として顔料を用いてもよい。
着色剤として用いうる顔料について説明する。
黒色顔料としては、例えばアニリンブラック、アンスラキノンブラック、ペリレンブラック等の有機黒色顔料;カーボンブラック、ランプブラック、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ、マグネタイト、鉄−チタン複合酸化物、酸化コバルト、二酸化マンガン、硫化亜鉛、銅−クロム複合酸化物、スズ−アンチモン複合酸化物、チタン−バナジウム−アンチモン複合酸化物、コバルト−ニッケル複合酸化物、マンガン−鉄複合酸化物、鉄−コバルト−クロム複合酸化物、銅−クロム複合酸化物、鉄−コバルト複合酸化物、クロム−鉄−ニッケル複合酸化物、二硫化モリブデン、低次酸化チタン、窒化チタン、酸化クロム等の無機黒色顔料;が挙げられる。
有彩色顔料は、赤色顔料、黄色顔料、橙色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、褐色顔料等の顔料が好ましい。
赤色顔料としては、例えばナフトール系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール顔料等が挙げられる。黄色顔料としては、例えばアゾ系顔料、アントラキノン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料等の有機顔料;チタン−ニッケル−アンチモン複合酸化物、亜鉛―鉄複合酸化物等の無機顔料;が挙げられる。
橙色顔料としては、例えばナフトール系顔料、アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトロロピロール系顔料等が挙げられる。
紫色顔料としては、例えばアゾ系顔料、ローダミン系顔料、キナクリドン系顔料、カルバゾール系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料等が挙げられる。
青色顔料としては、例えばフタロシアニン系顔料等の有機顔料;コバルト−アルミニウム複合酸化物、コバルト−アルミ−クロム複合酸化物、群青等の無機顔料;が挙げられる。
緑色顔料としては、例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料;クロム酸化物、コバルト−クロム−アルミニウム複合酸化物、コバルト−ニッケル−亜鉛複合酸化物等の無機顔料;が挙げられる。
褐色顔料としては、アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料等の有機顔料;鉄酸化物、チタン−クロム−アンチモン複合酸化物等の無機顔料;が挙げられる。
樹脂組成物に用いる顔料の平均一次粒子径は、0.01μm〜5μmが好ましく、0.01μm〜3μmがさらに好ましい。
顔料の平均一次粒子径は、JIS Z8901−2006「試験用粉体及び試験用粒子」5.4.4.粒子径分布(c)顕微鏡法に準拠し、振掛け法によって準備した試料を透過型電子顕微鏡(日本電子社製)で5万〜100万倍程度に拡大して観察した画像(20〜50個程度)の粒子を観察して算出される円相当径の相加平均値である。
着色剤として染料を用いてもよい。
着色剤として用いうる染料について説明する。
染料は、酸性染料、直接染料、塩基性染料、造塩染料、油溶性染料、分散染料、反応染料、媒染染料、建染染料、硫化染料等が好ましい。
酸性染料としては、例えばアントラキノン系酸性染料、フタロシアニン系酸性染料、キノリン系酸性染料、アジン系酸性染料、インジゴイド系酸性染料、キサンテン系酸性染料、トリフェニルメタン系酸性染料等が挙げられる。
直接染料としては、例えばアゾ系直接染料、チアゾール系直接染料、アントラキノン系直接染料、オキサジン系直接染料、フタロシアニン系直接染料等が挙げられる。
塩基性染料としては、例えばアゾ系塩基性染料、アジン系塩基性染料、アクリジン系塩基性染料、メチン系塩基性染料、チアゾール系塩基性染料、チアジン系塩基性染料、オキサジン系塩基性染料、アントラキノン系塩基性染料、キサンテン系塩基性染料、トリアリールメタン系塩基性染料等が挙げられる。
油溶性染料としては、例えばアントラキノン系油溶性染料、フタロシアニン系油溶性染料、キノリン系油溶性染料、アジン系油溶性染料、インジゴイド系油溶性染料、メチン系油溶性染料、アゾ系油溶性染料、アミノケトン系油溶性染料、キサンテン系油溶性染料、トリフェニルメタン系油溶性染料等が挙げられる。
分散染料としては、例えばアントラキノン系分散染料、キノリン系分散染料、インジゴイド系分散染料、キノフタロン系分散染料、メチン系分散染料、アゾ系分散染料、アミノケトン系分散染料、キサンテン系分散染料等が挙げられる。
また、上記酸性染料とカチオン性化合物との造塩体、上記塩基性染料とアニオン性化合物との造塩体、又は酸性染料と塩基性染料との造塩体などの造塩染料を使用できる。このように染料は、単独又は2種類以上を併用できる。
樹脂組成物が着色剤を含む場合、着色剤は1種のみ含んでもよく、2種類以上を含んでもよい。
着色剤を用いる場合の含有量としては、樹脂組成物全量に対し、0.0001質量%〜20質量%であることが好ましく、0.001質量%〜10質量%がより好ましい。
樹脂組成物には、必要に応じて耐衝撃性、抗菌性、ガスバリア性、導電性、磁性、圧電性、制振性、遮音性、摺動性、電磁波吸収性、難燃性、脱水性、脱臭性、アンチブロッキング性、吸油性、吸水性、成形性等を向上させる目的で、さらに無機充填材を配合できる。
無機充填材は、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、ガラスフレーク、ゼオライト、マイカ、黒鉛、金属粉、フェライト、アルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、テフロン(登録商標)粉、タルク、木炭粉、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンマイクロコイル(CMC)、酸化アンチモン、水酸化アルミ、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、酸化カルシウム、シリカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。無機充填材は、後述する樹脂成形体の透明性を低下させない含有量にて配合することが好ましい。
また、本開示の樹脂組成物は、例えば、レベリング剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、粘性改質剤、耐光安定剤、耐熱安定剤、金属不活性剤、過酸化物分解剤、加工安定剤、核剤、結晶化促進剤、結晶化遅延剤、ゲル化防止剤、充填剤、補強剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、防錆剤、蛍光性増白剤、流動性改質剤、帯電防止剤等の公知添加剤を適宜選択して配合できる。
−樹脂組成物の調製方法−
本開示の組成物が、媒体として樹脂を含む樹脂組成物である場合の樹脂組成物の調製方法には特に制限はない。例えば、近赤外線吸収色素を含有させるため、樹脂原料となるマスターバッチ、樹脂ペレットに対し、近赤外線吸収色素を直接練り込み、混合して溶融成形して樹脂組成物を得てもよく、又は、樹脂に近赤外線吸収色素を塗布、浸漬などの方法で付着させて樹脂組成物を得てもよい。
なかでも、樹脂に対し、近赤外線吸収色素を直接練り込み、混練して溶融成形して得られた樹脂組成物が、樹脂表面から近赤外線吸収色素が離脱し難く、赤外線吸収能の耐久性持続性に優れるので好ましい。
近赤外線吸収色素は、樹脂成形体を形成する段階で、樹脂と混合し、均一に分散させてから成形体を形成することが好ましい。なお、混合としては、樹脂と近赤外線吸収色素とを加熱混練する方法、樹脂と近赤外線吸収色素と溶媒とを撹拌混合する方法などが挙げられる。
−樹脂成形体−
本開示に係る樹脂組成物を成形して樹脂成形体を得ることができる。本開示に係る樹脂組成物の硬化物である樹脂成形体は、一般式1で表される色素(特定色素)と、樹脂と、を含む。
樹脂成形体の形状、用途には特に制限なく、本開示に係る樹脂組成物は様々な成形体に加工できる。
樹脂成形体の態様としては、具体的には、例えば、樹脂フィルム;合成繊維;瓶、化粧品用容器、食品用容器等の樹脂製容器;樹脂板;レンズ;トナー;一般装飾品をはじめとする各種家電、電子デバイス等の外装部品;内装材、外装材等の住宅建材部品;航空機、車輛等の内外装部品;など、様々な用途に用いる樹脂成形体の態様が挙げられる。
さらに、樹脂成形体として、既述の各種樹脂成形体の原料として用いうる樹脂ペレット又は粒状樹脂等を挙げることができる。
なかでも、本開示に係る樹脂を用いて得られる樹脂成形体は、樹脂が有する色味が変化せず、赤外線吸収能が長時間維持され、加熱成形された樹脂成形体が良好な赤外線吸収能を維持することから、樹脂フィルム、合成繊維等に用いた場合、近赤外線吸収性の樹脂フィルム、近赤外線吸収性の合成繊維が得られ、本開示における効果が著しいといえる。
また、本開示に係る樹脂成形体は、加熱成形に供される樹脂原料としての樹脂ペレット又は樹脂粒子などにも好適に適用できる。
樹脂成形体の製造方法には特に制限はなく、公知の樹脂の成形方法を適宜適用することができる。
一例として、一般式1で表される近赤外線吸収色素と、樹脂チップとを所定の含有量で混合し、混合又は溶融混練等により、樹脂組成物を得て、得られた樹脂組成物を任意の方法で成形することができる。
なかでも、以下に述べる樹脂成形体の製造方法を適用することが好ましい。
−樹脂成形体の製造方法−
樹脂成形体の好ましい製造方法は、一般式1で表される色素と、樹脂と、を混練して樹脂混練物を得る工程、及び、得られた樹脂混練物を成形する工程と、を含む。
(一般式1で表される近赤外線吸収色素と、樹脂と、を混練して樹脂混練物を得る工程)
一般式1で表される近赤外線吸収色素と、樹脂チップ(例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、及びナイロン6などのポリアミドから選ばれる樹脂のチップ)と、を所定の含有量で混合し、溶融混練により、樹脂混練物を得ることができる。
得られた樹脂混練物は、まず、ペレット状、粉体状、顆粒状、ビーズ状等の形状に作製して、近赤外線吸収色素と樹脂とを含む固体状の樹脂組成物としてもよい。
混練には、例えば、バンバリーミキサー、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機、ニーダー等の公知の装置を使用できる。
(得られた樹脂混練物を成形する工程)
得られた固体状の樹脂組成物を溶融させ、溶融押出し機を用いて、溶融混練して樹脂混練物を得て、得られた樹脂混練物を、溶融押出し機からギアポンプや濾過器を通し、その後、所望により種々の成形体を製造することができる。
例えば、樹脂成形体としての樹脂フィルムを形成する場合には、溶融混練物を、ダイを介して冷却ロールに押出し、冷却固化させることで、未延伸の樹脂フィルムを得ることができる。
樹脂フィルムの形成に使用しうるフィルム成形としては、Tダイフィルム成形、インフレーション成形、カレンダー成形等が挙げられる。
また、溶融混練物を、溶融押出し機からギアポンプや濾過器を通したあと、細い孔が多数開いたノズル(口金)から繊維状に押し出すことで紡糸し、合成繊維を得ることができる。
(その他の製造方法)
固形状の樹脂組成物を原料とした樹脂成形体を得るための成形方法としては、上記フィルム形成、合成樹脂の紡糸、並びに、射出成形、真空成形、押出成形、ブロー成形(二軸延伸ブロー成形、ダイレクトブロー成形等)、回転成形等の種々の成形方法を適用することができる。
なかでも、樹脂成形体に適用しうる成形方法としては、射出成形、フィルム成形、ブロー成形等の成形方法が好ましい。
樹脂組成物を樹脂混練物の形成を経ない成形法に適用する場合の、樹脂組成物の混合は、公知の混合装置、例えばヘンシェルミキサー、タンブラー、ディスパー、ニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライター等の装置を使用できる。
このようにして得られた、近赤外線吸収色素と樹脂とを含有する樹脂成形体は、眼に見えない赤外領域に吸収を持つ特徴を活かした真贋判定用途への応用が期待できる。その他にも、近赤外吸収色素が持つ光熱変換性を利用して、蓄熱、保温効果の高い糸、繊維への応用が考えられる。
さらに、本開示の樹脂組成物に含まれる近赤外線吸収色素は不可視性に優れるため、得られた樹脂成形体は、樹脂本来の透明性が損なわれず、さらに着色剤を含む場合には、着色剤の色味が損なわれず、意匠性に優れた成形体、色相が良好な成形体、合成繊維などを得ることができる。
−媒体が液体である場合−
既述のように、本開示の組成物は、媒体として液体を含むことが好ましい。以下、媒体としての液体を液状媒体と称することがある。
組成物に含まれる液状媒体には、特に制限なく、組成物の使用目的に応じて適宜選択できる。なかでも、本開示の組成物を分散組成物とし、分散組成物をインク組成物、例えば、インクジェット記録用インク組成物に適用する場合には、インク組成物の技術分野において公知の液状媒体を使用することが可能である。液状媒体は水を含むことが好ましい。
液状媒体を含むことで、本開示の組成物を分散組成物としてのインク組成物とすることができる。好ましくは、本開示の組成物をインクジェット記録用インク組成物とすることができる。
以下、本開示の組成物の好ましい使用態様であるインク組成物を例に挙げて説明する。
組成物における液状媒体の含有量は、組成物、例えば、インク組成物の全質量に対し、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
液状媒体の含有量の上限は特に限定されず、他の成分の含有量により決定すればよい。特定色素を含有する効果を十分に得るという観点からは、液状媒体の含有量は99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがより好ましく、95質量%以下であることがさらに好ましい。
液状媒体における好ましい成分である水の含有量は、液状媒体の全質量に対し、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、使用態様によっては、液状媒体が水のみであってもよい。
本開示の組成物は、溶剤として、水と、101.325kPa下における沸点(以下、単に「沸点」ともいう。)が100℃以上の有機溶剤(以下、高沸点溶剤と称することがある)と、を含むことが好ましい。なお、101.325kPa下とは、一気圧下と同義である。
溶剤として、水と、高沸点溶剤とを含むことで、本発明の組成物をインクジェット記録用インク組成物に適用する場合にインクの吐出性がより向上する。
高沸点溶剤の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン、ブタンジオール、及びヘキサンジオールが挙げられる。
本開示の組成物が、高沸点溶剤を含む場合の、高沸点溶剤の含有量は、インクジェット記録用インク組成物としての組成物の全質量に対し、1質量%〜40質量%含有することが好ましく、2質量%〜30質量%含有することがより好ましい。
高沸点溶剤の含有量が上記範囲において、組成物を分散組成物とし、インクジェット記録用インク組成物に適用した際の添加効果が十分に得られ、吐出性がより良好となる。
〔J会合体〕
分散組成物を用いて近赤外線吸収画像を形成する場合、得られる画像の不可視性の観点から、本開示の組成物は、乾燥物において、上記一般式1で表される色素の少なくとも一部が、J会合体として存在することが好ましい。
J会合体としての色素は、いわゆるJバンドを形成するため、シャープな吸収スペクトルピークを示す。色素の会合とJバンドについては、文献(例えば、Photographic Science and Engineering Vol 18,No 323−335(1974))に詳細に記載されている。
J会合状態の特定色素の極大吸収波長は、分散組成物として媒体中に含まれる特定色素の極大吸収波長よりも長波長側に移動する。従って、色素がJ会合状態であるか、非会合状態であるかは、400nm〜1,200nmの波長域における極大吸収波長を測定することにより判断できる。
本開示においては、上述の近赤外線吸収画像とした場合の700nm〜1,200nmの波長域の範囲における極大吸収波長と、組成物中に含まれる特定色素を、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した溶解液の極大吸収波長との差が30nm以上であれば、近赤外線吸収画像とした場合に、特定色素が、J会合体であると判断する。
得られる近赤外線吸収画像の不可視性向上の観点から、上記差は、50nm以上であることが好ましく、70nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがさらに好ましい。
また、特定色素は、組成物中においてJ会合体を形成してもよいし、組成物中ではJ会合体を形成せず、インクジェット記録装置から吐出され、液滴となって基材上に到達する過程で、又は、基材上に到達した後に、近赤外線吸収画像中においてJ会合体を形成してもよい。なお、基材上に存在する全ての特定色素がJ会合体を形成している必要はなく、J会合状態の特定色素と分子分散状態の特定色素が画像中に混在していてもよい。
特定色素は、媒体に分散され、一部が媒体である水に溶解した際にJ会合体を形成することが好ましい。例えば、J会合体の形成を促進する目的で、組成物に添加剤を含有させて、組成物中、又は、近赤外線吸収画像中における会合体の形成を促進してもよい。会合体の形成を促進する添加剤としては、両性化合物(例えば、ゼラチン、低分子コラーゲン、オリゴペプチド、アミノ酸等、市販品としては、東亜合成化学(株)製、ジュリマー(登録商標)ET410等)、塩(例えば、塩化バリウム、塩化ストロンチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどのアルカリ金属塩、塩化アルミニウムなどの13族金属塩、酢酸アンモニウムなどの有機塩、ベタインなどの有機分子内塩、有機ポリカチオン又はポリアニオンを含む塩)、塩酸、硫酸などの無機酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機塩基、トリアルキルアミン、ピリジンなどの有機塩基等が挙げられる。
上記ゼラチン等の両性化合物の含有量は、分散組成物としてのインクジェット記録用インク組成物の全質量に対し、10ppm〜50000ppm(5質量%)が好ましく、30ppm〜20000ppm(2質量%)がより好ましい。
上記塩の含有量は、組成物の全質量に対し、10ppm〜50000ppm(5質量%)が好ましく、30ppm〜20000ppm(2質量%)がより好ましい。
上記酸および塩基の含有量は、組成物の全質量に対し、10ppm〜50000ppm(5質量%)が好ましく、30ppm〜20000ppm(2質量%)がより好ましい。
〔光学濃度〕
本開示の組成物をインク組成物に適用した場合、インク組成物により得られる近赤外線吸収画像の不可視性の観点から、乾燥物とした場合の波長450nmにおける光学濃度(OD)が、波長700nm〜1200nm領域(以下、近赤外領域と称することがある)の極大吸収波長における光学濃度の1/7以下であることが好ましい。
上記波長450nmにおける光学濃度は、近赤外領域の極大吸収波長における光学濃度の1/8以下であることがより好ましく、近赤外領域の極大吸収波長における光学濃度の1/9以下であることがさらに好ましい。
上記波長450nmにおける光学濃度(OD)が近赤外領域の極大吸収波長における光学濃度の1/7以下であることにより、得られる近赤外線吸収画像の不可視性により優れる。
上記波長450nmにおける光学濃度(OD)及び近赤外領域の極大吸収波長における光学濃度の値は、上述のJ会合状態であるか否かの判定における測定と同様の方法によって、乾燥物とした場合の波長450nmにおける光学濃度及び近赤外領域の極大吸収波長における光学濃度を測定することにより、測定される。
本明細書における光学濃度の測定は、150mmφ大形積分球付属装置LISR−3100(島津製作所社製)を備えた分光光度計UV−3100PC(島津製作所社製)を使用して行われる。
また、近赤外領域の極大吸収波長における光学濃度は、読み取り性の観点から、0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。
さらに、本開示のインク組成物としての組成物は、不可視性の観点から、乾燥物とした場合、即ち、形成された画像の波長400nm〜700nm(可視光領域)における光学濃度の最大値が、0.5以下であることが好ましい。組成物の乾燥物である画像の光学濃度の測定方法は上述の乾燥物とした場合の近赤外領域の極大吸収波長の測定方法と同様であり、光学濃度は、150mmφ大形積分球付属装置LISR−3100(島津製作所社製)を備えた分光光度計UV−3100PC(島津製作所社製)を使用して測定される。
〔その他の成分〕
組成物をインク組成物に適用する場合には、インク組成物に用いられる公知の添加剤をさらに含むことができる。
(2価のアルカリ金属元素及び3価の13族金属元素から選ばれる化合物)
本開示の組成物は、インク組成物とする場合、2価のアルカリ土類金属元素及び3価の13族金属元素の少なくとも一方を、組成物の全質量に対し、10ppm〜50,000ppm含有することが好ましい。
2価のアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムが挙げられる。
3価の13族金属元素としては、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムが挙げられる。
上記2価のアルカリ土類金属元素又は上記3価の13族金属元素は、それぞれ、上述のアルカリ土類金属塩又は上述の13族金属塩に由来する元素であることが好ましい。
上記2価のアルカリ金属元素及び上記3価の13族金属元素の総含有量は、インク組成物としての保存安定性及び吐出性の観点から、組成物の全質量に対し、10ppm〜50,000ppm(5質量%)が好ましく、10ppm〜10,000ppm(1質量%)がより好ましく、10ppm〜1,000ppm(0.1質量%)がさらに好ましく、10ppm〜100ppm(0.01質量%)が特に好ましい。
また、上記2価のアルカリ金属元素又は上記3価の13族金属元素の含有量は、特定色素に対するモル比として、0.01当量以上1当量以下であることが好ましく、0.1当量以上0.8当量以下であることがより好ましく、0.15当量以上0.6当量以下であることがよりさらに好ましい。
上記2価のアルカリ金属元素又は上記3価の13族金属元素の含有量は、特定色素に対するモル比が0.01当量であるとは、2価のアルカリ金属元素又は上記3価の13族金属元素のモル量/特定色素のモル量が0.01であることをいう。
上記2価のアルカリ金属元素及び上記3価の13族金属元素は1種単独で含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
2価のアルカリ金属元素及び上記3価の13族金属元素を2種以上で含有する場合、上記含有量は、2種以上の合計含有量である。
上記含有量は、組成物をN−メチルピロリドンにより希釈し、特定色素を含有する組成物に完全に溶解させた溶液を、プラズマ発光分光発生装置(オプティマ7300DV パーキンエルマー社製)を用いて分析することにより定量される。
2価のアルカリ金属元素及び上記3価の13族金属元素の総含有量が上記範囲内であれば、2価又は3価の金属イオンがマイナスに帯電した複数の色素と結合し、色素間に部分的に橋渡し構造を形成することにより、インク組成物としての組成物の保存安定性がより向上すると推測している。
また、2価のアルカリ金属元素及び上記3価の13族金属元素の含有量が上記範囲内であれば、上記橋渡し構造の形成量が適切となり、色素同士が過剰に凝集することが抑制されるため、インク組成物をインクジェット記録用として使用した場合、吐出性が維持されると推測している。
(界面活性剤)
組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部とを合わせ持つ構造を有する化合物を有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及びベタイン系界面活性剤のいずれも使用することができる。
界面活性剤としては、インク組成物の打滴干渉抑制の観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましく、中でもアセチレングリコール誘導体(アセチレングリコール系界面活性剤)がより好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキシド付加物等を挙げることができ、これから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、日信化学工業社製のサーフィノール104PGなどのサーフィノールシリーズ、日信化学工業社製のオルフィンE1010などのEシリーズを挙げることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤以外の界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤が好ましい。フッ素系界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、及び、ベタイン系界面活性剤が挙げられ、この中でアニオン系界面活性剤がより好ましい。アニオン系界面活性剤の例としては、Capstone(登録商標) FS−63、Capstone FS−61(Dupont社製)、フタージェント(登録商標、以下同様)100、フタージェント110、フタージェント150(ネオス社製)、CHEMGUARD(登録商標) S−760P(Chemguard Inc.社製)等が挙げられる。
組成物が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量(2種以上である場合には総含有量)には特に限定はないが、インク組成物としての組成物の全質量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.1質量%〜10質量%がより好ましく、0.2質量%〜3質量%がさらに好ましい。
(その他の添加剤)
組成物をインク組成物に適用する場合には、さらに、インク組成物に使用される公知の添加剤、例えば、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の添加剤を含有してもよい。上記各成分については、特開2008−144004号公報の段落0044〜0050に記載の化合物を使用することが可能である。
(他の色素)
組成物をインク組成物に適用する場合、上記特定色素以外の他の色素を含有してもよい。他の色素としては、特に制限なく、インク組成物の分野で公知の色素が使用可能である。
得られる近赤外線吸収画像の不可視性の観点から、他の色素の含有量は、インク組成物の全質量に対し、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。
また、目的に応じて、可視光域に吸収を有する色素を併用し、近赤外線領域に吸収を有する可視画像を形成しうる組成物としてもよい。
<インク組成物の好ましい物性>
組成物をインク組成物に適用する場合、インク組成物の粘度は、0.5mPa・s〜10mPa・sが好ましく、1mPa・s〜7mPa・sがより好ましい。
上記粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて30℃の条件下で測定される。
また、インク組成物の25℃(±1℃)における表面張力としては、60mN/m以下であることが好ましく、20mN/m〜50mN/mであることがより好ましく、25mN/m〜45mN/mであることが更に好ましい。インク組成物の表面張力が上記範囲内であると、基材におけるカールの発生が抑えられ有利である。
インク組成物の表面張力は、Automatic Surface Tensiometer CBVP−Z(協和界面科学社製)を用い、プレート法によって測定される。
〔インク組成物の製造方法〕
本開示におけるインク組成物の製造方法は、特に限定されず、公知のインクの製造方法(調製方法)により製造(調製)することが可能である。
例えば、特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開平11−286637号、又は、同11−286637号の各公報に記載のインクの製造方法により製造することが可能である。
また、本開示の組成物をインクジェット記録用インク組成物に適用する場合、インクジェット記録用インク組成物の製造方法は、上述の特定色素を水に含む媒体に分散し、予備分散物を調製する工程、及び、得られた予備分散物とインク組成物に用いる他の成分と、を混合する工程を含むことが好ましい。
インクジェット記録用インク組成物の製造方法は、以下に示す第一の態様又は第二の態様であることが好ましい。
第一の態様:特定色素、及び、2価のアルカリ土類金属元素及び3価の13族金属元素の合計含有量がインク組成物の全質量に対して10ppm〜50,000ppmとなる量の2価のアルカリ土類金属塩及び3価の13族金属塩の少なくとも一方を水に分散して水分散物を調製する工程(「第一の調製工程」ともいう。)と、上記水分散物と、インク組成物の他の成分とを混合する工程(「第一の混合工程」ともいう。)と、を含む、インクジェット記録用インク組成物の製造方法。
第二の態様:特定色素を水に分散し、水分散物を調製する工程(第二の調製工程ともいう)と、上記水分散物、2価のアルカリ土類金属元素及び3価の13族金属元素の合計含有量がインク組成物の全質量に対して10ppm〜50,000ppmとなる量の2価のアルカリ土類金属塩及び3価の13族金属塩の少なくとも一方、及び、インク組成物の他の成分を混合する工程(第二の混合工程ともいう)と、を含む、インクジェット記録用インク組成物の製造方法。
上記第一の態様又は第二の態様によれば、保存安定性により優れたインクジェット記録用インク組成物が得られる。
以下、第一の態様及び第二の態様について詳細を説明する。
(第一の態様)
〔第一の調製工程〕
第一の調製工程は、特定色素、及び、2価のアルカリ土類金属元素及び3価の13族金属元素の合計含有量がインク組成物の全質量に対して10ppm〜50,000ppmとなる量の2価のアルカリ土類金属塩及び3価の13族金属塩の少なくとも一方を水に分散して水分散物(特定色素を含む分散組成物)を調製する工程である。
上記水分散物における特定色素の含有量は、水分散物の全質量に対し、0.1〜70質量%であることが好ましく、1.0〜30質量%であることがより好ましい。
上記水分散物における2価のアルカリ土類金属塩及び3価の13族金属塩の含有量は、水分散物の全質量に対し、20〜100,000ppmであることが好ましい。
また、水分散物を調製する際に、分散性の向上のため、さらに界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、上述のインク組成物に含有される界面活性剤が挙げられる。
上記水分散物における界面活性剤の含有量は、水分散物の全質量に対し、0.1〜5質量%であることが好ましい。
分散方法としては、公知の分散方法が特に制限なく使用可能であり、一例としては、ペイントシェイカーを用いた分散方法が挙げられる。
〔第一の混合工程〕
第一の混合工程は、上記水分散物と、インク組成物の他の成分とを混合する工程である。
第一の混合工程により、本開示に係るインクジェット記録用インク組成物が得られる。
第一の混合工程後、得られた混合後の液をフィルターろ過することにより、本開示に係るインクジェット記録用インク組成物としてもよい。
インク組成物の他の成分としては、他の色素、水等の溶剤、界面活性剤、その他の成分等の、上述のインク組成物が含有する成分が挙げられる。
第一の混合工程においては、上記水分散物の含有量を、インク組成物の全質量に対し、10〜90質量%とすることが好ましい。
混合方法としては、公知の混合方法が特に制限なく使用することができ、一例としては、各成分を容器中で撹拌する方法が挙げられる。
(第二の態様)
〔第二の調製工程〕
第二の調製工程は、特定色素を水に分散し、水分散物を調製する工程である。
第二の調製工程の好ましい態様は、2価のアルカリ土類金属塩及び3価の13族金属塩を含有しないこと以外は第一の調製工程と同様である。
〔第二の混合工程〕
第二の混合工程は、上記水分散物、2価のアルカリ土類金属元素及び3価の13族金属元素の合計含有量がインク組成物の全質量に対して10ppm〜50,000ppmとなる量の2価のアルカリ土類金属塩及び3価の13族金属塩の少なくとも一方、及び、インク組成物の他の成分を混合する工程である。
第二の調製工程の好ましい態様は、2価のアルカリ土類金属塩及び3価の13族金属塩をさらに混合すること以外は第一の調製工程と同様である。
<インクジェット記録方法>
本開示のインクジェット記録方法は、基材上に、既述の本開示の組成物であるインクジェット記録用インク組成物を付与する工程を含む。
基材上に付与された組成物の乾燥物が近赤外線吸収画像となる。
基材に、本開示の組成物であるインクジェット記録用インク組成物をインクジェット法によって付与する工程によれば、基材上に選択的にインク組成物を付与でき、所望の近赤外線吸収画像を簡易に形成できる。
(基材)
近赤外線吸収画像が形成される基材としては、近赤外線吸収画像を形成しうるものであれば特に制限はなく、紙、布、木材、金属板、プラスチックフィルム、等が挙げられる。
紙としては、普通紙、再生紙、コート紙、インクジェット記録用紙等を特に制限なく用いることができる。
上記基材には、インクジェット法、又は、その他の公知の方法により、可視画像が形成されていてもよい。
近赤外線吸収画像としては特に制限はないが、複数の要素パターン(例えば、ドットパターン、ラインパターン、等)からなる近赤外線吸収画像、言い換えれば複数の要素パターンの集合である近赤外線吸収画像が好ましい。
ドットパターンの直径は、25μm〜70μmが好ましく、30μm〜60μmがより好ましい。
インクジェット法の方式には特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインク組成物を吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインク組成物に照射して放射圧を利用してインク組成物を吐出させる音響インクジェット方式、及びインク組成物を加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
インクジェット法としては、特に、特開昭54−59936号公報に記載の方法で、熱エネルギーの作用を受けたインク組成物が急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インク組成物をノズルから吐出させるインクジェット法を有効に利用することができる。
また、インクジェット法については、特開2003−306623号公報の段落0093〜0105に記載の方法も参照できる。
インクジェット法に用いるインクジェットヘッドとしては、短尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを基材の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式と、基材の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とが挙げられる。
ライン方式では、記録素子の配列方向と交差する方向に基材を走査させることで基材の全面にパターン形成を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。
また、キャリッジの移動と基材との複雑な走査制御が不要になり、基材だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
本開示のインクジェット記録方法は、これらのいずれにも適用可能であるが、ライン方式が好ましい。
インクジェットヘッドから吐出されるインク組成物の液滴量としては、高精細なパターンを得る観点で、1pL(ピコリットル、以下同様)〜10pLが好ましく、1.5pL〜6pLがより好ましい。
近赤外線吸収画像における、特定色素の単位面積当たりの付与量は、0.05g/m〜1.0g/mであることが好ましく、0.1g/m〜0.5g/mであることがより好ましい。
基材上に付与されたインク組成物(本開示の組成物)の乾燥物は、基材上に付与されたインク組成物を公知の乾燥方法により乾燥することで形成される。
本開示において、「乾燥」とは、インク組成物中の水、有機溶剤等の媒体の少なくとも一部を揮発させて除去することをいい、インク組成物を乾燥させて得られたものを「乾燥物」という。
乾燥方法としては、自然乾燥でもよく、温風の吹き付けなどの加熱乾燥でもよい。
なお、上記インクジェット記録方法により得られた近赤外線吸収画像の極大吸収波長を測定する試料は、インク組成物をOKトップコート紙(王子製紙社製)上に0.20g/mで打滴し、50℃にて10分間送風乾燥させて得た乾燥物を使用する。
本開示において、乾燥物、即ち、形成された近赤外線吸収画像の極大吸収波長は、150mmφ大形積分球付属装置LISR−3100(島津製作所社製)を備えた分光光度計UV−3100PC(島津製作所社製)を用いて反射スペクトルを測定することにより求められる。
<記録物>
本開示の記録物の第一の態様は、基材と、基材上に配置された既述の本開示の組成物であるインク組成物の乾燥物である近赤外線吸収画像と、を有する記録物である。
本開示の記録物の第二の態様は、基材と、基材上に配置された近赤外線吸収画像とを有し、上記近赤外線吸収画像は、上記一般式1で表される色素、即ち、特定色素を含み、近赤外線吸収画像の極大吸収波長が700nm〜1,200nmの範囲にある記録物である。
なお、上記記録物における上記一般式1で表される色素は、上記一般式2で表される色素であることが好ましい。
本開示のインク組成物は、得られる近赤外線吸収画像の不可視性及び読み取り性の観点から、乾燥物とした場合の400nm〜1,200nmの範囲における極大吸収波長が700nm〜1,200nmの範囲であることが好ましい。
上述の乾燥物とした場合の極大吸収波長の測定と同様の方法によって、光学濃度を400nm〜1,200nmの範囲において測定することにより、上記極大吸収波長の値を測定することが可能である。光学濃度の測定は、150mmφ大形積分球付属装置LISR−3100(島津製作所社製)を備えた分光光度計UV−3100PC(島津製作所社製)を使用して行われる。
本開示の記録物は、上記いずれの態様においても、本開示のインクジェット記録方法により得られる記録物であることが好ましい。
なお、本明細書において「記録物」とは、基材と、上記基材上に配置されたインク組成物の乾燥物である画像とを有する態様を意味する。即ち、「記録物」とは、被記録媒体である任意の基材上に、本開示の組成物であるインク組成物を用いて得られた画像を有する印刷物などを包含する意味で用いられる。
〔記録物の第一の態様〕
(基材)
本開示の記録物の第一の態様における基材は、本開示のインクジェット記録方法における基材と同様であり、好ましい態様も同様である。
(近赤外線吸収画像)
本開示の記録物の第一の態様における近赤外線吸収画像は、本開示の組成物であるインク組成物の乾燥物である。
本開示のインク組成物としての組成物を乾燥物とする方法としては、特に制限はなく、上記インクジェット記録方法にて開示したより乾燥物とすることが可能である。
また、本開示の記録物の第一の態様における近赤外線吸収画像の極大吸収波長は、700nm〜1,200nmの範囲にあることが好ましく、710nm〜1,200nmの範囲にあることがより好ましく、760nm〜1,200nmの範囲にあることが更に好ましく、800nm〜1,200nmの範囲にあることが特に好ましい。
上記極大吸収波長は、本開示のインクジェット記録用インク組成物の、乾燥物とした場合の極大吸収波長を測定する方法と同様の方法により測定される。
また、近赤外線吸収画像の不可視性及び読み取り性の観点から、本開示の記録物の第一の態様における近赤外線吸収画像において、400nm〜1,200nmの波長域で測定された場合の極大吸収波長が700nm〜1,200nmの波長の範囲にあることが、画像の赤外線吸収性の観点から好ましい。
上記極大吸収波長は、本開示のインクジェット記録用インク組成物の、乾燥物とした場合の極大吸収波長を測定する方法と同様の方法により測定される。
近赤外線吸収画像の不可視性の観点から、本開示の記録物の第一の態様における近赤外線吸収画像において、450nmにおける光学濃度(OD)が、既述の方法で測定された極大吸収波長における光学濃度の1/7以下であることが好ましい。上記光学濃度は、極大吸収波長における光学濃度の1/8以下であることがより好ましく、極大吸収波長における光学濃度の1/9以下であることがさらに好ましい。
また、上記近赤外線吸収画像の極大吸収波長における光学濃度は、読み取り性の観点から、0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。
上記光学濃度は、本開示における上記近赤外線吸収画像(インク組成物の乾燥物)の光学濃度を測定する方法と同様の方法により測定される。
本開示の記録物の第一の態様における近赤外線吸収画像において、特定色素の単位面積当たりの含有量は、0.05g/m〜1.0g/mであることが好ましく、0.1g/m〜0.5g/mであることがより好ましい。
〔記録物の第二の態様〕
(基材)
本開示の記録物の第二の態様における基材は、本開示のインクジェット記録方法において述べた基材と同様であり、好ましい態様も同様である。
(近赤外線吸収画像)
本開示の記録物の第二の態様における近赤外線吸収画像に含まれる、特定色素は、本開示の組成物に含まれる特定色素(上記一般式1で表される色素)と同義であり、好ましい態様も同様である。また、より好ましい態様である上記一般式2で表される特定色素もまた、既述の一般式2で表される色素と同義であり、好ましい態様も同様である。
本開示の記録物における近赤外線吸収画像は、上記特定色素が、J会合体の状態で含まれることが好ましい。J会合体であることの確認は、本開示のインクジェット記録用インク組成物の、乾燥物とした場合の色素がJ会合状態であるか、非会合状態であるかを判断する方法と同様の方法により判断することが可能である。
その他、本開示の記録物の第二の態様における近赤外線吸収画像において、近赤外線吸収画像の極大吸収波長、400nm〜1,200nmの波長の範囲における極大吸収波長、極大吸収波長における光学濃度に対する450nmにおける光学濃度(OD)の割合、極大吸収波長における光学濃度、及び、特定色素の単位面積当たりの含有量は、本開示の記録物の第一の態様における事項と、それぞれと同義であり、好ましい態様も同様である。
(近赤外線吸収画像を読み取る方法)
本開示の記録物に含まれる近赤外線吸収画像に対し、赤外線読み取り方法を適用することで、形成された画像が近赤外線吸収性の画像であるか否かを確認することができ、不可視の画像である場合も、近赤外線吸収画像を読み取ることができる。
近赤外線吸収画像を読み取る方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
例えば、近赤外線吸収画像に斜めから赤外線を照射し、反射光を赤外線出力部の近傍にある受光器により読み取り、照射光と読み取られた反射光とを対比することにより、赤外線の吸収の有無を判定し、近赤外線吸収画像を読み取る方法が挙げられる。
近赤外線吸収画像の読み取りに用いられる光源としては、例えば、レーザー、又は、発光ダイオード(LED)が使用される。
近赤外線吸収画像の読み取りに用いられる波長としては、700nm〜1,200nmの範囲内であればよい。近赤外線吸収画像は、例えば、汎用LEDの波長である850nmの光源を用いて読み取ることが好ましい。
本開示の分散物に含まれる特定色素としての一般式2で表される化合物は、新規化合物である。
<一般式2で表される化合物>
本開示の化合物は、下記一般式2で表される。
Figure 0006934961


一般式2中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Lは5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、上記メチン鎖の中央のメチン基に下記式Aで表される置換基を有する。
、R、R及びRはR、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、Xはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。
Figure 0006934961


式A中、Sは、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NRL1−、−S(=O)−、−ORL2−、又は、これらの少なくとも2つを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、RL2は、アルキレン基、アリーレン基又は二価のヘテロ環基を表し、Tは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、一価のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、*は上記メチン鎖の中央のメチン基との結合部位を表す。
なかでも、上記一般式2において、R、R、R及びRよりなる群から選ばれた少なくとも1つが水素原子である化合物が好ましい。
さらに、上記一般式2で表される化合物は、下記一般式3で表される化合物であることがより好ましい。
一般式2で表される化合物が、一般式3で表される構造をとることで、吸収波長がより長波長側にシフトし、より不可視性に優れた近赤外線吸収性色素となる。
Figure 0006934961

一般式3におけるM、L、R、R、R、R、n及びXは、既述の一般式3で表される色素におけるM、L、R、R、R、R、n及びXとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
なかでも、上記一般式3において、R、R、R及びRよりなる群から選ばれた少なくとも1つが水素結合性基を含むことが好ましい。R、R、R及びRよりなる群から選ばれた少なくとも1つが水素結合性基を含むことにより、形成される画像の耐光性、耐湿熱性がより向上する。
なお、一般式3における各基の詳細及び好ましい態様は既述の通りである。
<一般式2又は一般式3で表される化合物の合成>
一般式2又は一般式3で表される特定色素は、既述の文献に記載のスキームを参照して合成することができる。但し、本開示に係る新規な化合物は、反応に使用する塩基を酢酸ルビジウム又は酢酸セシウムとすることで、対カチオンがルビジウム又はセシウムである特定色素を高純度で合成できることが、既述の公知文献の合成方法とは異なる。
具体的な化合物の合成例及び同定データついては、実施例の欄にて詳述する。
以下、実施例を挙げて本開示を詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、以下の実施例において、「部」、「%」とは、特に断りのない限り、「質量部」、「質量%」を意味する。
以下、実施例における化合物1〜化合物234は、それぞれ上記一般式1で表される特定色素の具体例に示した化合物1〜化合物234と同様の化合物を示す。
(実施例1)
<化合物1の合成>
一般式2において、Mがルビジウムイオン、LがL1−1、式Aで表される置換基がA−1、R、及びRが水素原子、R及びRがいずれもR−1であり、Xが酸素原子である化合物1を以下のスキームに従い合成した。
Figure 0006934961

フラスコに3’−アミノアセトアニリドを225.0g、メタノールを594.0g、シアン化ナトリウムを139.7g、水を1350g、及び酢酸(AcOH)を135.3g加えて、20℃で1時間撹拌した。反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物1−Aを216.6g得た。
フラスコに、得られた化合物1−Aを215.0g、メタノール(MeOH)を3020g、マロン酸ジエチル(CH(COET))を178.2g、及びナトリウムメトキシド28%メタノール溶液(SM−28)を214.6g加えて、65℃で6時間撹拌した。得られた反応液を20℃に戻して、反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物1−Bを198.0g得た。
フラスコに、得られた化合物1−Bを195.0g、水を975.0g加えた後、反応液のpHが2.0になるまで5%塩酸水溶液を加え、20℃で1時間撹拌した。反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物1−Cを175.0g得た。
フラスコに、得られた化合物1−Cを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を136.2g、及び酢酸ルビジウム(RbOAc)を27.8g加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物1−Dを15.7g加えて、20℃で4時間撹拌した。
得られた反応液に水(超純水、Super Pure Water:SPW)を156.3g加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5を加えて、20℃で1時間撹拌した。反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物1を30.3g得た。
(化合物1の確認)
化合物1のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、10.0(2H、s)、8.7(2H、m)、7.9−7.6(2H、m)、7.6−7.0(10H、m)、6.9−6.7(2H、m)、2.0(6H、s)
NMRスペクトルにより、得られた化合物1は、既述の例示化合物である化合物1の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物1を、UltraWAVE(マイルストーンゼネラル社製)を用い、70%硝酸を添加した条件で湿式灰化によって分解し、得られた分解物をICP質量分析装置(アジレントテクノロジー社製Agilent7700s)にて測定した。そして、絶対検量線法で特定色素が含有するルビジウム含有量の定量を行った。
特定色素に含まれるルビジウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたルビジウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物1の対カチオンはルビジウムであることが確認された。
(化合物2〜化合物234の合成)
化合物1の合成において、3´−アミノアセトアニリドおよび化合物1−Dおよび酢酸ルビジウムを対応する構造、対金属種へ換えて、同様の合成をおこなうことで、化合物2〜化合物234を得た。
〔化合物2の合成〕
化合物2は、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961

既述の化合物1の合成と同様にして、中間体である化合物1−Aを得た。
フラスコに、化合物1−Aを225.0g、2−プロパノール(IPA)を1190g、及び35%塩酸を850g加えて、65℃で12時間撹拌した。
得られた反応液を20℃に戻して、反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物2−Aを199.0g得た。
フラスコに、得られた化合物2−Aを195.0g、及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を733.0g、トリエチルアミン(EtN)を105.0g加えた後、0℃でプロピオニルクロリド(nPrCOCl)を113.0g加えて、室温で1時間撹拌した。
得られた反応液に水を4875g加えて30分撹拌した後、反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物2−Bを223.0g得た。
フラスコに、得られた化合物2−Bを200.0g、メタノールを2800g、マロン酸ジエチルを434.3g、及びナトリウムメトキシド28%メタノール溶液を523.2g加えて、65℃で4時間撹拌した。
得られた反応液を20℃に戻した後、酢酸エチル9500gを加えて30分撹拌した。反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物2−Cを248.5g得た。
フラスコに、得られた化合物2−Cを200.0g、及び水を1000g加えた後、反応液のpHが2.0になるまで5%塩酸水溶液を加え、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物2−Dを182.0g得た。
フラスコに、得られた化合物2−Dを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド136.2g、及び酢酸ルビジウム25.0gを加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物1−Dを14.1g加えて、20℃で4時間撹拌した。得られた反応液に水156.3gを加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5gを加えて、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物2を29.9g得た。
(化合物2の確認)
化合物2のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、9.9(2H、s)、8.7(2H、m)、7.9−7.6(2H、m)、7.6−7.1(10H、m)、6.9−6.7(2H、m)、2.3(4H、t、J=7.0Hz)、1.6(4H、m)、0.9(6H、t、J=8.0Hz)
NMRスペクトルにより、得られた化合物2は、既述の例示化合物である化合物2の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物2を、化合物1と同様の方法でルビジウム含有量の定量を行った。その結果、化合物2に含まれるルビジウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたルビジウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物2の対カチオンはルビジウムであることが確認された。
〔化合物3の合成〕
化合物3は、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961

既述の化合物2の合成と同様にして、中間体である化合物2−Aを得た。
フラスコに、化合物2−Aを180.0g、及びN,N−ジメチルアセトアミドを676.8g、トリエチルアミンを97.1g加えた後、0℃で塩化ベンゾイル(BzCl)を134.9g加えて、室温で1時間撹拌した。
得られた反応液に水を4500g加えて30分撹拌した後、反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物3−Aを235.2g得た。
フラスコに、得られた化合物3−Aを200.0g、メタノールを2800g、マロン酸ジエチルを376.5g、及びナトリウムメトキシド28%メタノール溶液を453.5g加えて、65℃で4時間撹拌した。
得られた反応液を20℃に戻した後、酢酸エチル9500gを加えて30分撹拌した。反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物3−Bを238.2g得た。
フラスコに、得られた化合物3−Bを200.0g、及び水を1000g加えた後、反応液のpHが2.0になるまで5%塩酸水溶液を加え、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物3−Cを183.5g得た。
フラスコに、得られた化合物3−Cを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド136.2g、及び酢酸ルビジウム22.3gを加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物1−Dを12.6g加えて、20℃で4時間撹拌した。得られた反応液に水156.3gを加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5gを加えて、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物3を30.7g得た。
(化合物3の確認)
化合物3のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、10.3(2H、s)、8.7(2H、m)、8.0−7.9(4H、m)、7.9−7.7(4H、m)、7.7−7.5(8H、m)、7.5−7.1(6H、m)、7.0−6.8(2H、m)
NMRスペクトルにより、得られた化合物3は、既述の例示化合物である化合物3の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物3を、化合物1と同様の方法でルビジウム含有量の定量を行った。その結果、化合物3に含まれるルビジウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたルビジウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物3の対カチオンはルビジウムであることが確認された。
〔化合物4の合成〕
化合物4は、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961
既述の化合物2の合成と同様にして、中間体である化合物2−Aを得た。
フラスコに、化合物2−Aを190.0g、及びN,N−ジメチルアセトアミドを714.4g、トリエチルアミンを102.5g加えた後、0℃でイソニコチノイルクロリド塩酸塩を180.3g加えて、室温で1時間撹拌した。
得られた反応液に水を4500g加えて30分撹拌した後、反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物4−Aを235.2g得た。
フラスコに、得られた化合物4−Aを200.0g、メタノールを2800g、マロン酸ジエチルを375.0g、及びナトリウムメトキシド28%メタノール溶液を451.7g加えて、65℃で4時間撹拌した。
得られた反応液を20℃に戻した後、酢酸エチル9500gを加えて30分撹拌した。反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物4−Bを243.0g得た。
フラスコに、得られた化合物4−Bを200.0g、及び水を1000g加えた後、反応液のpHが2.0になるまで5%塩酸水溶液を加え、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物4−Cを168.5g得た。
フラスコに、得られた化合物4−Cを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド136.2g、及び酢酸ルビジウム22.3gを加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物1−Dを12.6g加えて、20℃で4時間撹拌した。得られた反応液に水156.3gを加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5gを加えて、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物4を28.4g得た。
(化合物4の確認)
化合物4のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、10.3(2H、s)、8.7(2H、m)、8.0−7.9(4H、m)、7.9−7.7(4H、m)、7.7−7.5(8H、m)、7.5−7.1(6H、m)、7.0−6.8(2H、m)
NMRスペクトルにより、得られた化合物4は、既述の例示化合物である化合物4の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物4を、化合物1と同様の方法でルビジウム含有量の定量を行った。その結果、化合物4に含まれるルビジウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたルビジウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物4の対カチオンはルビジウムであることが確認された。
〔化合物7の合成〕
化合物7は、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961

既述の化合物2の合成と同様にして、中間体である化合物2−Aを得た。
フラスコに、化合物2−Aを170.0g、及びN,N−ジメチルアセトアミドを639.2g、トリエチルアミンを97.1g加えた後、0℃でイソシアン酸フェニルを107.9g加えて、室温で1時間撹拌した。
得られた反応液に水を4500g加えて30分撹拌した後、反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物7−Aを225.3g得た。
フラスコに、得られた化合物7−Aを200.0g、メタノールを2800g、マロン酸ジエチルを355.6g、及びナトリウムメトキシド28%メタノール溶液を428.3g加えて、65℃で4時間撹拌した。
得られた反応液を20℃に戻した後、酢酸エチル9500gを加えて30分撹拌した。反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物7−Bを235.3g得た。
フラスコに、得られた化合物7−Bを200.0g、及び水を1000g加えた後、反応液のpHが2.0になるまで5%塩酸水溶液を加え、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物7−Cを182.2g得た。
フラスコに、得られた化合物7−Cを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド136.2g、及び酢酸ルビジウム21.5gを加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物1−Dを12.1g加えて、20℃で4時間撹拌した。得られた反応液に水156.3gを加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5gを加えて、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物7を29.3g得た。
(化合物7の確認)
化合物7のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、8.7−8.6(6H、m)、7.9−7.7(2H、m)、7.5−7.1(18H、m)、7.0−6.9(2H、m)、6.9−6.7(2H、m)
NMRスペクトルにより、得られた化合物7は、既述の例示化合物である化合物7の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物7を、化合物1と同様の方法でルビジウム含有量の定量を行った。その結果、化合物7に含まれるルビジウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたルビジウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物7の対カチオンはルビジウムであることが確認された。
〔化合物11の合成〕
化合物11は、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961
既述の化合物2の合成と同様にして、中間体である化合物2−Aを得た。
フラスコに、化合物2−Aを160.0g、及びN,N−ジメチルアセトアミドを601.6g、トリエチルアミンを86.3g加えた後、0℃で4−フルオロベンゾイルクロリドを135.2g加えて、室温で1時間撹拌した。
得られた反応液に水を4000g加えて30分撹拌した後、反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物11−Aを221.5g得た。
フラスコに、得られた化合物11−Aを200.0g、メタノールを2800g、マロン酸ジエチルを351.7g、及びナトリウムメトキシド28%メタノール溶液を423.6g加えて、65℃で4時間撹拌した。
得られた反応液を20℃に戻した後、酢酸エチル9500gを加えて30分撹拌した。反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物11−Bを225.0g得た。
フラスコに、得られた化合物11−Bを200.0g、及び水を1000g加えた後、反応液のpHが2.0になるまで5%塩酸水溶液を加え、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ取することで、化合物11−Cを176.6g得た。
フラスコに、得られた化合物11−Cを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド136.2g、及び酢酸ルビジウム21.2gを加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物1−Dを11.9g加えて、20℃で4時間撹拌した。得られた反応液に水156.3gを加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5gを加えて、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物11を28.9g得た。
(化合物11の確認)
化合物11のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、10.3(2H、s)、8.7(2H、m)、8.0(4H,m)、7.9−7.7(4H、m)、7.6−7.5(2H、m)7.5−7.1(10H、m)、7.0−6.8(2H、m)
NMRスペクトルにより、得られた化合物11は、既述の例示化合物である化合物11の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物11を、化合物1と同様の方法でルビジウム含有量の定量を行った。その結果、化合物11に含まれるルビジウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたルビジウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物11の対カチオンはルビジウムであることが確認された。
〔化合物37の合成〕
化合物37は、特開2009−191213号公報の段落番号[0074]及び同[0084]の記載を参照し、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961
既述の化合物1の合成と同様にして、中間体である化合物1−Cを得た。
フラスコに、得られた化合物1−Cを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド136.2g、及び酢酸ルビジウム27.6gを加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物37−Aを15.5g加えて、20℃で4時間撹拌した。得られた反応液に水156.3gを加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5gを加えて、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物37を31.2g得た。
(化合物37の確認)
化合物37のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、10.0(2H、s)、8.0−7.6(2H、m)、7.6−7.1(13H、m)、6.9−6.7(2H、m)、2.0(6H、s)
NMRスペクトルにより、得られた化合物37は、既述の例示化合物である化合物37の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物37を、化合物1と同様の方法でルビジウム含有量の定量を行った。その結果、化合物37に含まれるルビジウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたルビジウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物37の対カチオンはルビジウムであることが確認された。
〔化合物116の合成〕
化合物116は、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961
既述の化合物1の合成と同様にして、中間体である化合物1−Cを得た。
フラスコに、得られた化合物1−Cを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミドを136.2g、及び酢酸セシウムを36.9g加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物1−Dを15.7g加えて、20℃で4時間撹拌した。
得られた反応液に水を156.3g加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5を加えて、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物116を32.9g得た。
化合物116のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、10.0(2H、s)、8.7(2H、m)、7.9−7.6(2H、m)、7.6−7.0(10H、m)、6.9−6.7(2H、m)、2.0(6H、s)
NMRスペクトルにより、得られた化合物116は、既述の例示化合物である化合物116の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物116を、UltraWAVE(マイルストーンゼネラル社製)を用い、70%硝酸を添加した条件で湿式灰化によって分解し、得られた分解物をICP質量分析装置(アジレントテクノロジー社製Agilent7700s)にて測定した。そして、絶対検量線法で特定色素が含有するセシウム含有量の定量を行った。
特定色素に含まれるセシウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたセシウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物116の対カチオンはセシウムであることが確認された。
〔化合物117の合成〕
化合物117は、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961
既述の化合物2の合成と同様にして、中間体である化合物2−Dを得た。
フラスコに、得られた化合物2−Dを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド136.2g、及び酢酸セシウム33.2gを加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物1−Dを14.1g加えて、20℃で4時間撹拌した。得られた反応液に水156.3gを加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5gを加えて、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物117を32.6g得た。
(化合物117の確認)
化合物117のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、9.9(2H、s)、8.7(2H、m)、7.9−7.6(2H、m)、7.6−7.1(10H、m)、6.9−6.7(2H、m)、2.3(4H、t、J=7.0Hz)、1.6(4H、m)、0.9(6H、t、J=8.0Hz)
NMRスペクトルにより、得られた化合物117は、既述の例示化合物である化合物117の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物117を、化合物116と同様の方法でルビジウム含有量の定量を行った。その結果、化合物117に含まれるセシウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたセシウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物177の対カチオンはセシウムであることが確認された。
〔化合物118の合成〕
化合物118は、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961
既述の化合物3の合成と同様にして、中間体である化合物3−Cを得た。
フラスコに、得られた化合物3−Cを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド136.2g、及び酢酸ルビジウム29.6gを加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物1−Dを12.6g加えて、20℃で4時間撹拌した。得られた反応液に水156.3gを加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5gを加えて、20℃で1時間撹拌した。なお、化合物1−Dは、既述の化合物1の合成と同様にして得た。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物118を32.7g得た。
(化合物118の確認)
化合物118のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、10.3(2H、s)、8.7(2H、m)、8.0−7.9(4H、m)、7.9−7.7(4H、m)、7.7−7.5(8H、m)、7.5−7.1(6H、m)、7.0−6.8(2H、m)
NMRスペクトルにより、得られた化合物118は、既述の例示化合物である化合物118の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物118を、化合物116と同様の方法でセシウム含有量の定量を行った。その結果、化合物118に含まれるルビジウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたセシウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物118の対カチオンはセシウムであることが確認された。
〔化合物119の合成〕
化合物119は、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961
既述の化合物4の合成と同様にして、中間体である化合物4−Cを得た。
フラスコに、得られた化合物4−Cを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド136.2g、及び酢酸ルビジウム29.6gを加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物1−Dを12.6g加えて、20℃で4時間撹拌した。得られた反応液に水156.3gを加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5gを加えて、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物119を30.8g得た。
(化合物119の確認)
化合物119のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、10.3(2H、s)、8.7(2H、m)、8.0−7.9(4H、m)、7.9−7.7(4H、m)、7.7−7.5(8H、m)、7.5−7.1(6H、m)、7.0−6.8(2H、m)
NMRスペクトルにより、得られた化合物119は、既述の例示化合物である化合物119の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物119を、化合物116と同様の方法でセシウム含有量の定量を行った。その結果、化合物119に含まれるセシウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたセシウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物119の対カチオンはセシウムであることが確認された。
〔化合物122の合成〕
化合物122は、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961
既述の化合物7の合成と同様にして、中間体である化合物7−Cを得た。
フラスコに、得られた化合物7−Cを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド136.2g、及び酢酸ルビジウム28.6gを加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物1−Dを12.1g加えて、20℃で4時間撹拌した。得られた反応液に水156.3gを加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5gを加えて、20℃で1時間撹拌した。なお、化合物1−Dは、既述の化合物1の合成と同様にして得た。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物122を30.6g得た。
(化合物122の確認)
化合物122のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、8.7−8.6(6H、m)、7.9−7.7(2H、m)、7.5−7.1(18H、m)、7.0−6.9(2H、m)、6.9−6.7(2H、m)
NMRスペクトルにより、得られた化合物122は、既述の例示化合物である化合物122の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物122を、化合物116と同様の方法でセシウム含有量の定量を行った。その結果、化合物122に含まれるセシウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたセシウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物122の対カチオンはセシウムであることが確認された。
〔化合物126の合成〕
化合物126は、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961
既述の化合物11の合成と同様にして、中間体である化合物11−Cを得た。
フラスコに、得られた化合物11−Cを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド136.2g、及び酢酸ルビジウム28.2gを加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物1−Dを11.9g加えて、20℃で4時間撹拌した。得られた反応液に水156.3gを加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5gを加えて、20℃で1時間撹拌した。なお、化合物1−Dは、既述の化合物1の合成と同様にして得た。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物126を31.5g得た。
(化合物126の確認)
化合物126のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、10.3(2H、s)、8.7(2H、m)、8.0(4H,m)、7.9−7.7(4H、m)、7.6−7.5(2H、m)7.5−7.1(10H、m)、7.0−6.8(2H、m)
NMRスペクトルにより、得られた化合物126は、既述の例示化合物である化合物126の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物126を、化合物116と同様の方法でセシウム含有量の定量を行った。その結果、化合物126に含まれるセシウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたセシウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物126の対カチオンはセシウムであることが確認された。
〔化合物152の合成〕
化合物152は、以下のスキームに従い、合成した。
Figure 0006934961
既述の化合物1の合成と同様にして、中間体である化合物1−Cを得た。
フラスコに、得られた化合物1−Cを25.0g、N,N−ジメチルホルムアミド136.2g、及び酢酸ルビジウム36.7gを加えて、20℃で10分撹拌した後、化合物37−Aを15.5g加えて、20℃で4時間撹拌した。得られた反応液に水156.3gを加えて、20℃で1時間撹拌した後、メタノール247.5gを加えて、20℃で1時間撹拌した。
反応液中で析出した結晶をろ過することで、化合物152を33.8g得た。
(化合物152の確認)
化合物152のNMRスペクトル:H NMR (重DMSO) δ 10.7(2H、s)、10.0(2H、s)、8.0−7.6(2H、m)、7.6−7.1(13H、m)、6.9−6.7(2H、m)、2.0(6H、s)
NMRスペクトルにより、得られた化合物152は、既述の例示化合物である化合物152の構造を有することを確認した。
また、得られた化合物152を、化合物116と同様の方法でセシウム含有量の定量を行った。その結果、化合物152に含まれるセシウム含有量の理論値と、ICP質量分析装置により得られたセシウム含有量の測定値がよく一致したため、化合物152の対カチオンはセシウムであることが確認された。
<組成物:インク組成物の調製>
得られた化合物1を用い、下記組成に記載の各成分を、以下に示す(分散法1)、(分散法2)及び(分散法3)に従って分散処理を行い、特定色素を含む3種のインク組成物を得た。
−組成−
・特定色素(化合物1):0.5質量部
・超純水(比抵抗値18MΩ・cm以上):78.8質量部
・プロピレングリコール:19.7質量部
・オルフィンE1010:1質量部
ここで、オルフィンE1010は、日信化学社製のアセチレングリコール系界面活性剤である。
(分散法1)
上記組成の各成分を、スターラー及び撹拌子を用いて、25℃(常温)で2時間の撹拌を行い、インク組成物を得た。
(分散法2)
上記組成の各成分を、ペイントシェイカーを用いて、25℃(常温)で2時間の撹拌を行い、インク組成物を得た。
(分散法3)
上記組成の各成分を、ペイントシェイカーを用いて、25℃(常温)で5時間の撹拌を行い、インク組成物を得た。
(実施例2〜実施例234)
上記の組成にて用いた化合物1を化合物2〜化合物234にそれぞれ変更した以外は、実施例1のインク組成物の調製と同様にして、実施例2〜実施例234のインク組成物をそれぞれ3種類ずつ調製した。
(比較例1)
特開2008−144004号公報の実施例1と同様の方法により、比較例1のインク組成物を調製した。比較例1のインク組成物に含まれる色素(特開2008−144004号公報の段落〔0030〕に記載の色素(20))は、対カチオンが1/2Mg2+であること以外は、一般式1で表される構造を有する色素である。
(比較例2)
特開2002−294107号公報の実施例に記載のインクI−1と同様の方法により、比較例2のインク組成物を調製した。
(比較例3)
実施例1において、化合物1を下記固体分散染料1に変更した以外は同様にして、比較例3のインク組成物を調製した。下記固体分散染料1は、特開平11−282136号公報に記載の方法と同様に合成した。
Figure 0006934961
<記録物の作製>
既述の方法で得られた実施例1〜実施例234及び比較例1〜比較例3のインク組成物を、インクジェット記録装置(FUJIFILM DIMATIX社製、DMP−2831)のインクタンクに装填し、インクジェットヘッドからOKトップコート紙(王子製紙社製)に付与することで、ベタ画像を記録し、記録物A−1〜記録物A−234、及び、比較用記録物CA−1〜比較用記録物CA−3をそれぞれ得た。
なお、「ベタ画像」(Solid image)とは、網点率100%でインク組成物を付与して形成された面画像を意味する。
<評価>
〔特性の測定〕
得られた実施例1〜実施例234のインク組成物及び比較例1〜比較例3のインク組成物並びに記録物A−1〜A−234及び比較用記録物CA−1〜CA−3に対して、以下の測定及び評価を行った。測定及び評価の結果は下記表13〜表25に記載した。
なお、分散性以外の評価については、分散法3を適用して調製した各インク組成物を用いた。
表13〜表25中、使用化合物の欄には、インク組成物中に含まれる特定色素の種類を、例示化合物の符号により記載した。また、比較例1〜比較例3のインク組成物には特定色素が含まれないため、含有しないことを示す「−」を記載した。
〔保存安定性〕
得られたインク組成物 25gを、容量が30mL(ミリリットル)のポリエチレン製ボトルに入れて蓋をし、恒温槽にて、温度25℃の条件下で1週間放置した。25℃で1週間放置した後の体積平均粒子径(Mv)の上昇率が50%未満の試料については、別途、インク組成物25gを入れたポリエチレン製ボトルを、恒温槽にて温度40℃の条件下で、同様に1週間放置する試験を行ない、同様に評価した。
放置の前後でインク組成物中の色素の体積平均粒子径(Mv)を測定し、放置の前後による体積平均粒子径(Mv)上昇率(%)(即ち、放置前のMvに対する放置後のMvの割合:%)を求め、下記評価基準に従ってインク組成物の保存安定性を評価した。
また、インクのMvは、粒径測定機としてNanotrac(登録商標)150(Microtrac社製)を用い、液温25℃の条件で測定した。
−評価基準−
A:25℃で1週間放置した後のMvの上昇率が50%未満であり、かつ、40℃で1週間放置した後のMvの上昇率が50%未満である。
B:25℃で1週間放置した後のMvの上昇率が50%未満であり、かつ、40℃で1週間放置した後のMvの上昇率が50%以上である。
C:25℃で1週間放置した後のMvの上昇率が50%以上200%未満である。
D:25℃で1週間放置した後のMvの上昇率が、200%以上である。
E:25℃で1週間放置した後に目視て確認できる沈殿が生じる。
〔分散性〕
上記分散法1〜分散法3により作製した分散物を用いて得た各インク組成物を、インクジェット記録装置(FUJIFILM DIMATIX社製DMP−2831)のインクタンクに装填し、下記方法により、インク吐出性を評価することにより、分散性の指標とした。
インクジェットヘッドからのインク組成物の吐出中、インクジェットヘッドのインク組成物吐出部を目視により観察し、下記評価基準に従ってインクの吐出性を評価した。
以下において、「不吐出ノズル数割合(%)」は、全ノズル数に対する不吐出ノズル数の割合(%)を意味する。
−インク吐出性の評価基準−
1:不吐出ノズル数割合が10%未満である。
2:不吐出ノズル数割合が10%以上である。
−分散性の評価基準−
A:いずれの分散法を適用した場合でも、インク吐出性が1である。
B:いずれかの分散法のうち2つで、インク吐出性が1である。
C:いずれかの分散法のうち1つで、インク吐出性が1である。
D:いずれの分散方法を用いても、インク吐出性が2である。
〔不可視性〕
記録物A−1〜記録物A−234及び比較用記録物CA−1〜比較用記録物CA−3を用いて、不可視性の評価を行った。不可視性は、450nmにおける画像の光学濃度(OD)、及び、近赤外領域の極大吸収波長における画像の光学濃度を、150mmφ大形積分球付属装置LISR−3100(島津製作所社製)を備えた分光光度計UV−3100PC(島津製作所社製)を用いて測定し、下記評価基準により判定した。結果を表2に記載した。
評価結果がA、B又はCであれば、実用上問題はなく、A又はBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。
−評価基準−
A:「450nmの光学濃度/近赤外領域の極大吸収波長の光学濃度」が1/10(0.1)以下である。
B:「450nmの光学濃度/近赤外領域の極大吸収波長の光学濃度」が1/10を超え1/7(0.14)以下である。
C:「450nmの光学濃度/近赤外領域の極大吸収波長の光学濃度」が1/7を超え1/5以下(0.2)である。
D:(450nmの光学濃度/近赤外領域の極大吸収波長の光学濃度)が1/5を超える。
〔耐光性〕
記録物A−1〜記録物A−234及び比較用記録物CA−1〜比較用記録物CA−3と同様に、各インク組成物を用いて、極大吸収波長における光学濃度(OD、反射濃度)が0.5、1及び1.5となるような3種の記録物をそれぞれ作製した。インクジェット記録用インク組成物の吐出量を調整することにより、上記光学濃度を調整することが可能である。
各記録物に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85,000lx)を6日間照射した。キセノン照射前後の記録物について、極大吸収波長における光学濃度を測定し、〔(照射後の光学濃度)/(照射前の光学濃度)〕=色素残存率として評価した。
全ての光学濃度は、島津製作所社製150mmφ大形積分球付属装置LISR−3100を備えた分光光度計UV−3100PCを用いて測定した。
評価結果がA、B又はCであれば、実用上問題はなく、A又はBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。
−評価基準−
A:いずれの濃度においても色素残存率が90%以上である。
B:いずれの濃度においても色素残存率が75%以上90%未満である。
C:少なくとも1点の濃度において色素残存率が75%未満であるが、いずれの濃度においても60%以上である。
D:少なくとも1点の濃度において色素残存率が60%未満である。
〔耐湿熱性〕
上記耐光性の評価における記録物の作製と同様の方法により、極大吸収波長における光学濃度(OD、反射濃度)が0.5、1及び1.5となるような3種の記録物をそれぞれ作製した。
各記録物を、60℃、90%の湿度に設定されたボックス内に7日間放置し、放置後の画像の光学濃度を測定し、(放置後の光学濃度)/(放置前の光学濃度)=色素残存率として評価した。
全ての光学濃度は、150mmφ大形積分球付属装置LISR−3100(島津製作所社製)を備えた分光光度計UV−3100PC(島津製作所社製)を用いて測定した。
評価結果がA、B又はCであれば、実用上問題はなく、A又はBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。
−評価基準−
A:いずれの濃度においても色素残存率が90%以上である。
B:いずれの濃度においても色素残存率が75%以上90%未満である。
C:少なくとも1点の濃度において色素残存率が75%未満であるが、いずれの濃度においても60%以上である。
D:少なくとも1点の濃度において色素残存率が60%未満である。
Figure 0006934961
Figure 0006934961

Figure 0006934961
Figure 0006934961

Figure 0006934961
Figure 0006934961
Figure 0006934961

Figure 0006934961

Figure 0006934961
Figure 0006934961
Figure 0006934961
Figure 0006934961

Figure 0006934961
表13〜表25の結果より、実施例1〜実施例234のインク組成物(本開示の組成物)は、分散方法の異なる3種類のインクのいずれにおいても特定色素を含む分散組成物の分散性、及び組成物の保存安定性が良好である。また、実施例1〜実施例234のインク組成物の乾燥物である記録物における画像は、近赤外領域に吸収を有する画像であり、いずれも不可視性に優れていた。さらに、得られた画像の耐光性、耐湿熱性についても、実用上問題のないレベルであることが確認された。
一般式1と類似の構造を有し、近赤外領域に吸収を有する色素を含む比較例1のインク組成物により得られた画像は、不可視性、耐光性、及び耐湿熱性は良好であるが、対カチオンがルビジウムイオン又はセシウムイオンではない色素を含むため、実用上問題のないレベルではあるが、インク組成物としての保存安定性は実施例に対しやや劣ることがわかる。
<樹脂混練物の作製>
(実施例235)
化合物1を0.02g、及びポリエチレンテレフタラート樹脂(Tg:60℃)を10g、二軸混練機にセットし、120℃、200回転で5分間混練操作を行い、樹脂混練物(本開示の組成物)を作製した。
得られた樹脂混練物の吸収スペクトルは、極大吸収波長が800nm以上であり、且つ、(450nmにおける光学濃)/(極大吸収波長における光学濃度)の値が1/10(0.1)以下であり、優れた近赤外吸収性と不可視性を示した。
(実施例236)
化合物116を0.02g、及びポリエチレンテレフタラート樹脂(Tg:60℃)を10g、二軸混練機にセットし、120℃、200回転で5分間混練操作を行い、樹脂混練物(本開示の組成物)を作製した。
得られた樹脂混練物の吸収スペクトルは、極大吸収波長が800nm以上であり、且つ、(450nmにおける光学濃度)/(極大吸収波長における光学濃度)の値が1/10(0.1)以下であり、優れた近赤外吸収性と不可視性を示した。
2018年2月19日に出願された日本国特許出願2018−027439の開示は参照により本開示に取り込まれる。
本開示に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本開示中に参照により取り込まれる。

Claims (18)

  1. 下記一般式1で表される色素と、媒体と、を含む色素含有組成物。
    Figure 0006934961



    一般式1中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Y及びYはそれぞれ独立に、脂肪族環、又は、ヘテロ環を形成する非金属原子群を表す。
    は5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、前記メチン鎖の中央のメチン基に下記式Aで表される置換基を有する。
    Figure 0006934961



    式A中、Sは、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NRL1−、−S(=O)−、−ORL2−、又は、これらの少なくとも2つを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、RL2は、アルキレン基、アリーレン基又は二価のヘテロ環基を表し、Tは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、一価のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、*は前記メチン鎖の中央のメチン基との結合部位を表す。
  2. 前記式A中、T は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、一価のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルコキシシリル基を表す請求項1に記載の色素含有組成物。
  3. 前記式Aで表される置換基は、下記置換基A−1〜A−48からなる群より選ばれる請求項1又は請求項2に記載の色素含有組成物。
    下記置換基A−1〜A−48中、i−C 10 はイソデシル基を表し、i−C はイソオクチル基を表し、*は一般式1におけるL との結合部位を示す。
    Figure 0006934961
  4. 分散組成物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の色素含有組成物。
  5. 前記一般式1で表される色素が、下記一般式2で表される色素である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の色素含有組成物。
    Figure 0006934961



    一般式中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Lは5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、前記メチン鎖の中央のメチン基に前記式Aで表される置換基を有する。
    、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、Xはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。
  6. 前記媒体が液体である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の色素含有組成物。
  7. 前記媒体が水を含む液体である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の色素含有組成物。
  8. 前記媒体が、水及び101.325kPa下における沸点が100℃以上の有機溶剤を含む請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の色素含有組成物。
  9. インク組成物である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の色素含有組成物。
  10. インクジェット記録用インク組成物である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の色素含有組成物。
  11. 基材に、請求項10に記載の色素含有組成物を付与する工程を含むインクジェット記録方法。
  12. 基材と、基材上に配置された請求項10に記載の色素含有組成物の乾燥物である近赤外線吸収画像と、を有する記録物。
  13. 基材と、
    前記基材上に配置された近赤外線吸収画像と、を有し、
    前記近赤外線吸収画像が、下記一般式1で表される色素を含み、
    前記近赤外線吸収画像の極大吸収波長が700nm〜1,200nmの範囲にある記録物。
    Figure 0006934961



    一般式1中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Y及びYはそれぞれ独立に、脂肪族環、又は、ヘテロ環を形成する非金属原子群を表す。
    は5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、前記メチン鎖の中央のメチン基に下記式Aで表される置換基を有する。
    Figure 0006934961



    式A中、Sは、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NRL1−、−S(=O)−、−ORL2−、又は、これらの少なくとも2つを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、RL2は、アルキレン基、アリーレン基又は二価のヘテロ環基を表し、Tは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、一価のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、*は前記メチン鎖の中央のメチン基との結合部位を表す。
  14. 前記一般式1で表される色素が、下記一般式2で表される色素である請求項13に記載の記録物。
    Figure 0006934961



    一般式2中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Lは5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、前記メチン鎖の中央のメチン基に前記式Aで表される置換基を有する。
    、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、Xはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。
  15. 下記一般式2で表される化合物。
    Figure 0006934961



    一般式2中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Lは5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、前記メチン鎖の中央のメチン基に下記式Aで表される置換基を有する。
    、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、Xはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。
    Figure 0006934961



    式A中、Sは、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−O−、−S−、−NRL1−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NRL1−、−S(=O)−、−ORL2−、又は、これらの少なくとも2つを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、RL2は、アルキレン基、アリーレン基又は二価のヘテロ環基を表し、Tは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、一価のヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、トリアルキルシリル基又はトリアルコキシシリル基を表し、*は前記メチン鎖の中央のメチン基との結合部位を表す。
  16. 前記一般式2において、R、R、R及びRよりなる群から選ばれた少なくとも1つが水素原子である請求項15に記載の化合物。
  17. 前記一般式2で表される化合物が、下記一般式3で表される化合物である請求項15又は請求項16に記載の化合物。
    Figure 0006934961



    一般式3中、Mはルビジウムイオン又はセシウムイオンを表し、Lは5個又は7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、前記メチン鎖の中央のメチン基に前記式Aにより表わされる置換基を有す。
    、及び、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表し、R、及び、Rはそれぞれ独立に、アルキル基、ハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、一価のヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基、−ORL3、−C(=O)RL3、−C(=O)ORL3、−OC(=O)RL3、−N(RL3、−NHC(=O)RL3、−C(=O)N(RL3、−NHC(=O)ORL3、−OC(=O)N(RL3、−NHC(=O)N(RL3、−SRL3、−S(=O)L3、−S(=O)ORL3、−NHS(=O)L3、又は、−S(=O)N(RL3を表し、RL3はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は一価のヘテロ環基を表す。
    nはそれぞれ独立に、1〜5の整数を表し、Xはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又はセレン原子を表す。
  18. 前記一般式3において、R、R、R及びRよりなる群から選ばれた少なくとも1つが水素結合性基を含む請求項17に記載の化合物。
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