JP6934580B1 - 水溶性クーラントの再生方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 使用済みクーラントを油相、水相及び固形物に分離しやすい状態に変化させる水溶性クーラントの再生方法を提供する。【解決手段】 水粒子微細化部11において水粒子が細かくなったクーラントは、圧力開放部16において、内部に微小気泡が発生し、さらにノズル17を通過することで発生した微小気泡は更に細かくなる。このように、水粒子を細かくし、内部に微細気泡を発生させることで、使用済みクーラントは、水粒子と油および固形物との結合力が弱くなり、油相、水相および固形物に分離しやすくなる。【選択図】 図2

Description

本発明は、使用済み水溶性クーラント(切削油)などの再生方法に関する。
特許文献1には、機能水の製造方法として、メッシュや繊維などを充填した微小気泡発生部に水を通すことで水中に直径500nm以上の微小気泡を発生させ、この微小気泡を含む水をアルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、第8〜10属元素の酸化物の少なくとも1つからなるセラミックに接触させることで金属イオンを溶解させ、この金属イオンと微小気泡が含まれる水をノズルから噴出するとともに水中の微小気泡に縮小する力を作用させて直径500nm未満のナノサイズの気泡とする内容が記載されている。
特許文献2には、遊離砥粒式ワイヤソーから排出されたスラリー廃液を遠心分離装置で砥粒を含む固形分とクーラント廃液に分離し、このクーラント廃液をセラミックろ過装置を介して再生クーラントとして回収することが開示されている。
特許文献3には、ワイヤソーの廃スラッジからクーラント成分(プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの有機溶媒)を、振動しつつ加熱する振動加熱手段を用いて抽出し、これを新たなスラリーと混合して再利用することが記載されている。
特許文献4には、研削機で使用したクーラント液を第1の造水器及び第2の造水器を通して再生し、新たなクーラント液と混ぜて再利用することが記載されている。
具体的には、第1の造水器では、化学成分がSIO2:73〜77%、Al2O3:13〜15%、CaO:1〜2%、MnO:0.65〜0.77%、その他7.3〜9%である多孔質の鉱石を充填した1次フィルタと、前記化学成分の前記多孔質の鉱石から生成したセラミックボールを充填した2次フィルタを備え、第2の造水器では前記化学成分のセラミックボールにナノ銀を担持させたフィルタを備えている。そして、これらセラミックボールに水が接触することで水を改質して平均粒子径を5nm〜80nmと微細化することが記載されている。
特許文献5には、備長炭を素材としたマドラーが開示されている。この文献には、備長炭は吸着効果による有害物質の吸着の他にクラスター分解効果を有し、水を軟水に変える機能があることが記載されている。
特許第6127196号公報 特開2014−210296号公報 特開2003−225700号公報 特開2016−168640号公報 特開2002−85235号公報
特許文献1に開示される機能水の製造方法をクーラントの再生回収に応用した場合、メッシュや繊維などを充填した微小気泡発生部において目詰まりを起こす。そこで、微小気泡発生部をなくしアルカリ金属の酸化物などを含むセラミックに使用済みクーラントを接触させてみたが、使用済みクーラントに含まれる油および微細な固形物(切粉など)を分離することはできなかった、
特許文献2に開示されるクーラント回収方法にあっては、切粉などの固形分を分離するために遠心分離装置を必要とし、またセラミックろ過装置のセラミック膜を逆洗する装置が必要になるなど、装置が大掛かりとなる。
特許文献3に開示される装置にあっては、水溶性クーラントの水については何ら考慮していない。水溶性クーラントは一般に5%程度が油(プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの有機溶媒)であり、この油と水分との分離は行っていない。
特許文献4に開示されるように、水粒子(水分子ではなく水分子が集まった集合体:クラスター)を細かくすることによって、研削加工の加工点へのクーラントの浸透性が高くなり、また蒸発しやすくなるため冷却効果が高くなる。
この特許文献4では、キャビテーション効果によってクーラント中に微細気泡を発生させることで、水粒子の径を50〜70nmまで微細化し、更にナノ銀によって40〜60nmまで微細化することが記載され、更に段落(032)では水粒子は10nm或いは5nmまで微細化されると記載されている。
しかしながら、特許文献4に開示される方法では水粒子の径を40nm以下にすることはできず、水粒子と油及び固形物との結合力を十分に弱めることができず、長時間静置してもこれらを分離することができない。
特許文献5に記載されるように、備長炭はクラスターを小さくする効果をはっきするが、備長炭それ自体では効果が小さく、油分が混じったクーラントを短時間のうちに分離することはできない。
本発明者は使用済みの水溶性クーラントをセラミックに接触させるだけでなく、クーラントを備長炭に接触させ更に微細気泡を発生さることで水粒子と油及び固形物との結合力が弱まることを見出して本発明をなした。
本発明に係る水溶性クーラント再生方法は、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、第8〜10属元素の酸化物の少なくとも1つを含むセラミック材料と鉄分を含む備長炭を焼成した灰とを所定割合(例えば0.5〜5.0wt%)で混合して造粒したセラミック粒子に、使用済み水溶性クーラントを接触させて水粒子の微細化を図り、更に水粒子が微細化された水溶性クーラントにキャビテーションによって微細気泡を発生させて水溶性クーラント中の水粒子と油粒子及び固形物との結合力を弱めることで使用済み水溶性クーラントを油相、水相及び固形物(砥粒、切粉など)に分離するようにした。
本発明は、使用済み水溶性クーラントを油相、水相及び固形物に分離し、このうちの水相を回収して再利用することを目的としているので、前記備長炭の灰分の他に焼成した木節粘土を添加し、油分を分解してもよい。
またキャビテーションによって生じた微細粒子を更に小さくすることで水粒子と油及び固形物との結合力を更に弱めるようにしてもよい。
本発明によれば、水溶性クーラントを遠心分離機や化学薬剤を用いることなく、簡単に油相、水相および固形分に分離することができる。また、分離した水相は再度利用することができるので、コスト的に有利である。
本発明によれば、使用済みの水溶性クーラントを構成する水粒子が、セラミック粒子に取り込まれた備長炭灰分の鉄ミネラルなどに接触することで40nmよりも小さい粒子となり、この小さい粒子からなる水に更に微細気泡を発生させることで、短時間のうちに使用済みの水溶性クーラントを油相、水相および固形分に分離することができる。
また、クーラントを構成する水の粒子を小さくすることで、工作部における摩擦抵抗の軽減、加工時間の短縮、工具寿命の延長或いはクーラントの交換サイクルの延長が図れる。
本発明方法を実施する再生装置の一例を示す図 水粒子を微細化する処理装置の内部構造を示す図 処理装置の出口に装着されるノズルを流れの上流側から見た図 本発明方法を実施した研削加工を示す写真 本発明方法によって処理された使用済みクーラントが分離された状態を示す写真。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図中1は研削装置(NCマシーン)であり、研削刃の部分に水溶性クーラントが供給される。水溶性クーラントは5%程度の潤滑油と水から構成される。
研削装置1の下方には受部2が設けられ、使用済みのクーラントを受部2で受け、戻り管3を介してタンク4に使用済みのクーラントを送り込む。戻り管3には大きな異物を除去するためのフィルタ5が設けられ、この下流にポンプ6が設けられる。
タンク4内の使用済みクーラントは配管7を介してタンク8に送り込まれる。配管7にはポンプ9及び処理装置10が設けられる。
処理装置10は図2に示すように上流部分を水粒子微細化部11とし、この水粒子微細化部11内にセラミック粒子12が充填されている。セラミック粒子としては、シリカSiOおよびアルミナAlを主体とし、これにアルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、第8〜10属元素の酸化物の少なくとも1つを含むセラミック材料に、少なくとも鉄ミネラルを多く含む備長炭を燃やしてできた灰を加えて造粒したものを用いる。
備長炭の焼成温度は1250℃〜1330℃とするのが好ましく、セラミック材料への添加割合は重量比で0.5%〜5%の割合とするのが好ましく、備長炭灰分を混練して造粒したものを用いる。
備長炭の灰の代わりに、焼成しない備長炭の粉末を混合して造粒したセラミック粒子、及び、備長炭の灰の代わりに市販の鉄粉を混合して造粒したセラミック粒子では水粒子を十分に小さくすることはできなかった。
備長炭だけでなく木節粘土の灰分を加えて造粒焼成したものを加えてもよい。木節粘度は花崗岩の風化物であるカオリナイト(AlSl(OH))が沼地の植物や流木とともに埋没沈積したものであり、他の鉱物に比較して有機物の他に微量ではあるがNiやPtなどの触媒金属を含んでいるため、油濁物(固形油分+液体油)を分解する浄化材として機能する。
水粒子微細化部11の下流側には絞り部15を設け、この絞り部15の下流側をキャビテーションによってクーラント中に微細気泡を発生させる圧力開放部16とし、更に圧力開放部16の下流側にノズル17を取り付けている。
ノズル17は図2及び図3に示すように、下流側が解放されたキャップ部18と、キャップ部18の上流側(図2の左側)に取付けられる円板19からなり、円板19には複数の円形穴20が形成され、またキャップ部18にも外側と内側をつなぐ小孔21が形成されている。
水粒子微細化部11において水粒子が細かくなったクーラントは、圧力開放部16において、内部に微小気泡が発生し、さらにノズル17を通過することで発生した微小気泡は更に細かく(40nmよりも小)なる。
このように、水粒子を細かくし、内部に微細気泡を発生させることで、使用済みクーラントは、水粒子と油および固形物との結合力が弱くなり、油相、水相および固形物に分離しやすくなる。
実施例にあっては、タンク8に隣接して分離用のタンク22を設け、このタンク22に前記タンク8内の処理済みクーラントを移し、静置して3層に分離した後、中間層の水を再び新たなクーラントと混ぜて使用する。
タンク22を設ける代わりに、1つのタンクを用いて循環処理してもよい。
また、備長炭灰を添加したことで、低圧水流でも微細化効果を発揮できるので、処理装置10としては、圧力開放部16を上流側に、水粒子微細化部11を下流側に配置してもよい。
図4は本発明方法を実施した研削加工を示す写真であり、従来の研削加工では研削刃を冷却するため、研削部に大量のクーラントを流し込んでいるが、本発明のクーラントは水粒子が小さいため、冷却効果が高く、写真に示すように研削刃に供給するクーラントの量は点滴程度で足り、使用するクーラントの量を大幅に削減することができる。
図5は図4で示した処理後のクーラントを30分間静置した状態を示し、この写真から分かるように本発明方法によって処置することで、使用済みクーラントは、明確に油相、水相及び固形物に分離する。
1…研削装置、2…受部、3…戻り管、4…タンク、5…フィルタ、6…ポンプ、7…配管、8…タンク、9…ポンプ、10…処理装置、11…水粒子微細化部、12…セラミック粒子、15…絞り部、16…圧力開放部、17…ノズル、18…キャップ部、19…円板、20…円形穴、21…小孔、22…分離用のタンク。

Claims (4)

  1. 筒状処理装置の一端を水溶性クーラントの流入口、他端を水溶性クーラントの流出口とし、前記筒状処理装置内の上流部を水粒子細化部とし、筒状処理装置内の中間部に絞り部を設け、この絞り部の下流側を圧力開放部とし、前記水粒子細化部内にアルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、第8〜10属元素の酸化物の少なくとも1つを含むセラミック材料と、少なくともミネラル分として鉄分を含む備長炭を焼成した灰分との混合物を造粒・焼成してなるにセラミック粒子とを充填し、前記処理装置の流入口から使用済み水溶性クーラントを水粒子細化部に流入させ、充填したセラミック粒子表面に使用済み水溶性クーラントを接触させて使用済み水溶性クーラントを構成する水粒子の微細化を図り、更に水粒子が微細化された水溶性クーラントに前記圧力開放部でキャビテーションによって微細気泡を発生させて水溶性クーラント中の水粒子と油粒子及び固形物との結合力を弱め、使用済み水溶性クーラントを油相、水相及び固形物に分離することを特徴とする水溶性クーラントの再生方法。
  2. 請求項1に記載の水溶性クーラントの再生方法において、前記備長炭を焼成温度は1250℃〜1330℃であり、微細化された水粒子の径は40nmより小さいことを特徴とする水溶性クーラントの再生方法。
  3. 請求項1または2に記載の水溶性クーラントの再生方法において、前記セラミック粒子に備長炭の他に木節粘土を加えることを特徴とする水溶性クーラントの再生方法。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の水溶性クーラントの再生方法において、前記キャビテーションによって生じた水溶性クーラント中の微細気泡は、ノズル部において更に微細化されることを特徴とする水溶性クーラントの再生方法。
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