以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
まず、第1実施形態では、組電池1の構成について説明する。
図1、図2に示す本発明の第1実施形態に係わる組電池1は、電池群3とバスバユニット5とを有し、これらを筐体7に収容している。電池群3とバスバユニット5とで組電池本体8を構成している。なお、図1、図2中で、矢印Xで示す方向は、後述する複数の単電池9の積層方向と交差し、かつ、単電池9の長手方向に沿った方向を示している。同矢印Yで示す方向は、単電池9の積層方向と交差し、かつ、単電池9の短手方向に沿った方向を示している。同矢印Zで示す方向は、単電池9の積層方向を示している。
また、図1に示される状態において、左手前側を組電池1全体及び各構成部品の「前面側」といい、右手奥側を組電池1全体及び各構成部品の「背面側」といい、右手前側及び左手奥側を組電池1全体及び各構成部品の左右の「側方側」という。
単電池9は、例えば、扁平なリチウムイオン二次電池に相当する。単電池9は、図8A及び図8Bに示すように、発電要素9aを一対のラミネートフィルム11によって封止した電池本体15と、発電要素9aに電気的に接続され電池本体15から外部に導出された薄板状の電極端子となる電極タブ17と、を備えている。
発電要素9aは、正極と負極をセパレータで挟持したものを複数枚積層して構成している。発電要素9aは、外部から電力の供給を受けて充電した上で、外部の電気デバイスに対して放電しつつ電力を供給する。
ラミネートフィルム11は、絶縁性を備えたシートによって金属箔の両側を覆って構成している。一対のラミネートフィルム11は、発電要素9aを積層方向Zに沿った両側から被覆して、その四辺を封止している。一対のラミネートフィルム11は、図6A,図6Bに示すように、短手方向Yに沿った一端部11aの間から外部に向かって、電極タブ17を導出させている。ラミネートフィルム11は、長手方向Xに沿った両端部11c及び11dを、積層方向Zの上方に向かって折り曲げて形成している。
電極タブ17は、図6A,図6Bに示すように、アノード側電極タブ17A及びカソード側電極タブ17Kを備えている。アノード側電極タブ17Aは、発電要素9a中のアノード側の構成部材の特性に合わせて、アルミニウムからなる。カソード側電極タブ17Kは、発電要素9a中のカソード側の構成部材の特性に合わせて、銅からなる。
電池群3は、図5に示すように、電気的に並列接続した三つの単電池9からなる第1セルサブアッシ19と、電気的に並列接続した別の三つの単電池9からなる第2セルサブアッシ21と、をバスバ25によって直列に接続して構成している。第1セルサブアッシ19及び第2セルサブアッシ21の上面に位置する単電池9には、上方に積層する積層部材と接着する両面テープ27を貼り付けている。積層した複数の単電池9相互間には、短手方向Yに沿った位置にて一対のスペーサ29(第1スペーサ31、第2スペーサ33)を配置している。一対のスペーサ29については後述する。
第1セルサブアッシ19と第2セルサブアッシ21とは、アノード側電極タブ17Aとカソード側電極タブ17Kとの位置が逆になっている。すなわち、第1セルサブアッシ19は、図5中で左側にアノード側電極タブ17Aが位置し、右側にカソード側電極タブ17Kが位置している。第2セルサブアッシ21は、図5中で右側にアノード側電極タブ17Aが位置し、左側にカソード側電極タブ17Kが位置している。図6A,図6Bの単電池9は、第2セルサブアッシ21に対応している。
電極タブ17は、図8A、図8B及び図9に示すように、ラミネートフィルム11側の基端部17aと、基端部17aよりもラミネートフィルム11から離れた側の先端部17bとを備えている。基端部17aは、単電池9の積層方向Zに対して直交する方向に延在し、先端部17bは、基端部17aに対して90度の角度で図中の下方に向けて屈曲している。基端部17aは、単電池9の面方向に沿って延在する。先端部17bは、基端部17aの端縁で屈曲して単電池9の積層方向に沿って延在する。
電極タブ17の先端部17bに、バスバ25をレーザ溶接によって接合固定している。図5に示すように、バスバ25は、単電池9のアノード側電極タブ17Aとレーザ溶接するアノード側バスバ25Aと、積層方向Zに沿って隣り合う他の単電池9のカソード側電極タブ17Kとレーザ溶接するカソード側バスバ25Kとを、接合して一体的に構成している。
バスバ25は、導電性を備えた金属からなり、平板状に形成されて積層方向Zに沿って起立している。バスバ25は、図8Bに示すように異なる単電池9の電極タブ17の先端部17b同士を電気的に接続する。バスバユニット5は、図3及び図4に示すように、バスバ25を一体的に複数備えている。
アノード側バスバ25Aとカソード側バスバ25Kは、図4及び図5に示すように、同一の形状からなり、それぞれL字状に形成している。アノード側バスバ25Aとカソード側バスバ25Kは、天地を反転させて重ね合わせている。具体的には、バスバ25は、アノード側バスバ25Aの積層方向Zに沿った一端部の折り曲げた部分と、カソード側バスバ25Kの積層方向Zに沿った一端部の折り曲げた部分とを接合して、一体化している。アノード側バスバ25Aとカソード側バスバ25Kとは、図4に示すように、短手方向Yの一端から長手方向Xに沿って側部25cを備えている。側部25cは、バスバホルダ34に接合する。
アノード側バスバ25Aは、アノード側電極タブ17Aと同様に、アルミニウムからなる。カソード側バスバ25Kは、カソード側電極タブ17Kと同様に、銅からなる。異なる金属からなるアノード側バスバ25Aとカソード側バスバ25Kは、超音波接合によって互いに接合している。
バスバ25は、図5に示すように、組電池1が例えば三つの単電池9を並列接続したものを複数組にわたって直列接続して構成されたものである場合、アノード側バスバ25Aの部分を、積層方向Zに沿って互いに隣接している三つの単電池9のアノード側電極タブ17Aに対してレーザ溶接する。同様に、バスバ25は、カソード側バスバ25Kの部分を、積層方向Zに沿って互いに隣接している三つの単電池9のカソード側電極タブ17Kに対してレーザ溶接する。
但し、マトリクス状に配設したバスバ25のうち、図3及び図4の図中右上に位置するバスバ25は、21個の単電池9(3並列7直列)のアノード側の終端に相当し、アノード側バスバ25Aのみから構成している。このアノード側バスバ25Aは、電池群3の最上部の三つの単電池9のアノード側電極タブ17Aに対してレーザ接合する。同様に、マトリクス状に配設したバスバ25のうち、図3及び図4の図中左下に位置するバスバ25は、21個の単電池9(3並列7直列)のカソード側の終端に相当し、カソード側バスバ25Kのみから構成している。このカソード側バスバ25Kは、電池群3の最下部の三つの単電池9のカソード側電極タブ17Kに対してレーザ接合する。
バスバホルダ34は、絶縁性を備えた樹脂からなり、図4に示すように枠状に形成している。バスバホルダ34は、図3に示すように、複数のバスバ25を、複数枚積層したそれぞれの単電池9の電極タブ17に対面するようにマトリクス状に一体的に保持している。
バスバホルダ34は、図4に示すように、積層方向Zに沿って起立した一対の支柱部34aを備えている。一対の支柱部34aは、単電池9の電極タブ17を支持している方の第1スペーサ31の長手方向の両側に位置する。一対の支柱部34aは、第1スペーサ31の長手方向両端部に形成された載置部31M及び31Nの側面に嵌合する。一対の支柱部34aは、積層方向Zに沿って視認した場合にL字状であって、積層方向Zに沿って延在した板状に形成している。バスバホルダ34は、第1スペーサ31の長手方向の中央付近に位置するように、積層方向Zに沿って起立した一対の補助支柱部34bを離間させて備えている。一対の補助支柱部34bは、積層方向Zに沿って延在した板状に形成している。
バスバホルダ34は、図4に示すように、積層方向Zに沿って隣り合うバスバ25の間にそれぞれ突出する絶縁部34cを備えている。絶縁部34cは、短手方向Yに沿って延在した板状に形成している。各々の絶縁部34cは、支柱部34aと補助支柱部34bとの間に水平に備えている。絶縁部34cは、積層方向Zに沿って隣り合う単電池9のバスバ25の間を絶縁することによって放電を防止する。
バスバホルダ34は、それぞれ独立して形成した支柱部34aと補助支柱部34b及び絶縁部34cを互いに接合して構成してもよいし、支柱部34aと補助支柱部34b及び絶縁部34cを一体的に成形して構成してもよい。
図3及び図4に示すように、複数のバスバ25のうち、アノード側の終端にはアノード側ターミナル35を取り付け、カソード側の終端にはカソード側ターミナル36を取り付けている。アノード側ターミナル35は、第1セルサブアッシ19と第2セルサブアッシ21とを交互に積層して構成した電池群3のアノード側の終端に相当する。アノード側ターミナル35は、マトリクス状に配設したバスバ25のうち、図3及び図4図中の右上に位置するアノード側バスバ25Aに接合する。
アノード側ターミナル35は、導電性を備えた金属板からなり、図4に示すように、短手方向Yに沿って視認した場合、中央部35aを基準にして、一端部35bと他端部35cとを積層方向Zに沿って異なる方向に屈曲させた形状からなる。一端部35bは、アノード側バスバ25Aにレーザ接合する。他端部35cは、中央に開口した端子接続孔35d(ネジ孔を含む)に、外部の入出力端子を接続させる。
図3及び図4に示すように、カソード側ターミナル36は、第1セルサブアッシ19と第2セルサブアッシ21とを交互に積層して構成した電池群3のカソード側の終端に相当する。カソード側ターミナル36は、マトリクス状に配設したバスバ25のうち、図3及び図4図中の左下に位置するカソード側バスバ25Kに接合する。カソード側ターミナル36は、アノード側ターミナル35と同様の構成からなる。
図3に示すように、保護カバー37は、平板状に形成し、積層方向Zに沿って起立していて、絶縁性を備えたプラスチックスからなる。保護カバー37は、側面37aの上端37bと下端37cを長手方向Xに沿って折り曲げた形状からなり、バスバユニット5に嵌合させる。図1〜図3に示すように、保護カバー37は、バスバユニット5を被覆することによって、バスバ25同士が短絡したり、バスバ25が外部の部材に接触して短絡したり漏電したりすることを抑制する。
図3に示すように、保護カバー37の側面37aは、バスバユニット5に備えられたアノード側ターミナル35に対応する位置に、当該アノード側ターミナル35よりも若干大きい矩形状の孔からなる第1開口37dを備えている。同様に、保護カバー37の側面37aは、バスバユニット5に備えられたカソード側ターミナル36に対応する位置に、当該カソード側ターミナル36よりも若干大きい矩形状の孔からなる第2開口37eを備えている。第1開口37dから、アノード側ターミナル35が外部に露出し、第2開口37eから、カソード側ターミナル36が外部に露出している。これにより、各々の単電池9の発電要素9aに充放電が可能となる。
図3及び図5に示すように、積層した単電池9相互間には、一対のスペーサ29(第1スペーサ31及び第2スペーサ33)を配置している。第1スペーサ31は、図6A及び図6Bに示すように、単電池9の電極タブ17を突出させたラミネートフィルム11の一端部11aに沿って配置している。第2スペーサ33は、図6A及び図6Bに示すように、ラミネートフィルム11の他端部11bに沿って配置している。
第2スペーサ33は、第1スペーサ31の形状を簡略した構成からなる。それぞれの単電池9は、第1スペーサ31及び第2スペーサ33を取り付けた上で、積層方向Zに沿って複数枚積層する。第1スペーサ31及び第2スペーサ33は、絶縁性を備えた強化プラスチックからなる。以下、第1スペーサ31の構成について説明した後に、第2スペーサ33の構成について第1スペーサ31の構成と比較しつつ説明する。
第1スペーサ31は、図6A、図6B及び図7に示すように、短手方向Yに沿って長尺な直方体形状としている。第1スペーサ31は、その長手方向(短手方向Y)の両端に載置部31M及び31Nを備えている。第1スペーサ31は、図8Bに示すように、単電池9に取り付けた状態で積層したとき、一の第1スペーサ31の載置部31M及び31Nの上面31aと、当該一の第1スペーサ31の上方に配置した他の第1スペーサ31の載置部31M及び31Nの下面31bと、が当接する。
第1スペーサ31は、図8Bに示すように、一の第1スペーサ31の上面31aに備えられた位置決ピン31cと、他の第1スペーサ31の下面31bに開口し位置決ピン31cの位置に対応した位置決穴31dと、を嵌合させる。これにより、複数枚積層する単電池9の相対的な位置決めを行う。第1スペーサ31は、図7に示すように、載置部31M及び31Nにロケート孔31eが積層方向Zに沿ってそれぞれ開口している。ロケート孔31eには、積層方向Zに沿って連結する複数の組電池1同士を連結するボルトを挿通する。
第1スペーサ31は、図6B及び図7に示すように、載置部31Mと31Nとの間の部分を積層方向Zに沿って切り欠いたように形成している。当該切り欠いた部分は、第1スペーサ31の長手方向(単電池9の短手方向Y)に沿って第1支持面31g及び第2支持面31hを備えている。第1支持面31gは、第2支持面31hよりも、積層方向Zに沿って、図6B及び図7中で上方に高く形成し、かつ、単電池9側に位置している。
第1スペーサ31は、図6A及び図6Bに示すように、第1支持面31gによって、電極タブ17を突出させたラミネートフィルム11の一端部11aを載置して支持している。図7に示すように、第1スペーサ31は、第1支持面31gの両端から上方に突出した一対の連結ピン31iを備えている。第1支持面31gにラミネートフィルム11の一端部11aを載置した状態で、連結ピン31iが図6Bに示すラミネートフィルム11に挿通される。
第1スペーサ31は、図8B及び図9に示すように、電極タブ17の先端部17bにバスバ25と反対側から当接する先端支持部31jを備えている。先端支持部31jは、第2支持面31hと隣接し積層方向Zに沿った側面に設けられ、単電池9の電極タブ17の先端部17bを支持する。先端支持部31jは、バスバ25と共に電極タブ17の先端部17bを挟持して、先端部17bとバスバ25とが互いに充分に当接するようにしている。
第1スペーサ31の形状を簡略した構成の第2スペーサ33は、図6B及び図7に示すように、第1スペーサ31の一部を単電池9の短手方向Yに沿って削除した構成に相当する。具体的には、第2スペーサ33は、第1スペーサ31の第2支持面31h及び第1支持面31gを支持面33kに置き換えて構成している。第2スペーサ33は、第1スペーサ31と同様に、載置部33M及び33Nを備えている。
第2スペーサ33は、載置部33Mと33Nとの間の領域を積層方向Zの上側から切り欠いた部分に、支持面33kを備えている。支持面33kは、図6A及び図6Bに示すラミネートフィルム11の他端部11bを載置して支持している。第2スペーサ33は、第1スペーサ31と同様に、上面33aに設けた位置決ピン33c及び下面に設けた図示しない位置決穴、載置部33M,33Nに設けたロケート孔33e及び、支持面33kに設けた連結ピン33iを備えている。連結ピン33iは、図6Bに示すラミネートフィルム11の短手方向Yに沿った他端部11bの両端にそれぞれ備えた一対の連結孔11eに挿通する。
図1及び図2に示すように、筐体7は、電池群3を積層方向に沿って加圧した状態において収容している。筐体7は、上部加圧板39及び下部加圧板41を備え、上部加圧板39及び下部加圧板41によって、電池群3に備えられた各々の単電池9の発電要素9aを挟持しつつ加圧し、発電要素9aに適正な面圧を与える。
上部加圧板39は、電池群3の積層方向Zに沿った上方に配置している。上部加圧板39は、積層方向Zに沿って下方に突出した加圧面39aを、中央に備えている。加圧面39aによって、各々の単電池9の発電要素9aを下方に押圧する。上部加圧板39は、短手方向Yに沿った両側から、長手方向Xに沿って延在した保持部39bを備えている。
保持部39bは、第1スペーサ31の載置部31M及び31N、または第2スペーサ33の載置部33M及び33Nを被覆する。保持部39bの中央には、第1スペーサ31のロケート孔31eまたは第2スペーサ33のロケート孔33eと積層方向Zに沿って連通するロケート孔39cが開口している。ロケート孔39cは、組電池1同士を連結するボルトを挿通する。上部加圧板39は、充分な厚さを備えた金属板からなる。
下部加圧板41は、図1及び図2に示すように、上部加圧板39と同一の構成からなり、上部加圧板39の天地を逆転させている。下部加圧板41は、電池群3の積層方向Zに沿った下方に配置している。下部加圧板41は、積層方向Zに沿って上方に突出した加圧面41aによって、各々の単電池9の発電要素9aを上方に押圧する。下部加圧板41は、短手方向Yに沿った両側から、長手方向Xに沿って延在した保持部41bを備えている。
保持部41bは、第1スペーサ31の載置部31M及び31N、または第2スペーサ33の載置部33M及び33Nを被覆する。保持部41bの中央には、第1スペーサ31のロケート孔31eまたは第2スペーサ33のロケート孔33eと積層方向Zに沿って連通するロケート孔41cが開口している。ロケート孔41cは、組電池1同士を連結するボルトを挿通する。下部加圧板41は、充分な厚さを備えた金属板からなる。
図1及び図2に示すように、筐体7は一対の側板43を備えている。一対の側板43は、上部加圧板39と下部加圧板41とが互いに離間しないように、上部加圧板39及び下部加圧板41の相対位置を固定する。一対の側板43は、矩形状の金属板からなり、積層方向Zに沿って起立している。一対の側板43は、上部加圧板39及び下部加圧板41のそれぞれの側縁39d及び41dに対し、電池群3の短手方向Yの両側からレーザ溶接によって接合する。
各々の側板43は、上部加圧板39と当接している上部43aの部分に対し、長手方向Xに沿って、連続的または断続的に溶接がなされる。同様に、各々の側板43は、下部加圧板41と当接している下部43bの部分に対し、長手方向Xに沿って、連続的または断続的に溶接がなされる。一対の側板43は、電池群3の短手方向Yの両側を被覆して保護する。
電極タブ17は、図8B及び図9に示すように、基端部17aに積層方向に沿って開口する孔17eを備えている。孔17eは、図6Bに示すように、アノード側電極タブ17A及びカソード側電極タブ17Kにそれぞれ一つずつ設けている。孔17eは、長手方向Xに沿って長尺形状に形成してあり、電極タブ17の基端部17aから先端部17bまで延在している。一方、第1スペーサ31は、それぞれの孔17eに挿入する突起部としてのボス31rを第2支持面31hに備えている。
第1スペーサ31のボス31rは、先端支持部31jに近接した位置において、図6B及び図7に示すように短手方向Yに沿って、上記二つの孔17eに対応して二つ設けてある。ボス31rは、図9に示すように、基部31r1と、基部31r1の先端が潰されるようにして加締め加工された状態の膨大部としての加締め部31r2と、を備えている。なお、孔17eは、アノード側電極タブ17A及びカソード側電極タブ17Kにそれぞれ一つずつ設けているが、二つずつ以上設けてもよく、これに対応してボス31rも二つに限ることはない。
加締め部31r2を形成する際には、図11に示す加圧工具44を使用する。加圧工具44は、加工前のボス31Rの先端に押し当てる凹曲面状の押し当て部44aを備えており、加熱した状態で使用する。加熱した状態の加圧工具44を、加工前のボス31Rに押し当て加熱溶融させることによって、加締め部31r2となる溶融部が基部31r1よりも外側に向けて拡がり、電極タブ17の基端部17aの上面を覆う係止部31r3が形成される。係止部31r3は、図10Aに示すように、平面視でほぼ円形に形成され、孔17eの周縁を覆っている。
それぞれの単電池9について、図11のように、加工前のボス31Rを電極タブ17の孔17eに挿入しつつ、単電池9の下部に第1スペーサ31を配置した状態で加締め部31r2を形成する。それぞれの単電池9に加締め部31r2を形成した後に、単電池9を積層する。
第1スペーサ31は、図7、図9及び図11に示すように、ボス31rの基部31r1の周囲の先端支持部31j側を除いた部分に、円弧状に形成される基端支持部31sを備えている。基端支持部31sは、電極タブ17の基端部17aの下面に当接し、加圧工具44によるボス31rに対する加工時の台座としても機能する。
電極タブ17は、上面に当接する係止部31r3と下面に当接する基端支持部31sとの間に挟持されることになり、単電池9の積層方向Zの位置が規制される。すなわち、第1スペーサ31は、単電池9の積層方向Zに対する電極タブ17の位置を規制する位置規制部を備えている。このとき、当該位置規制部は、電極タブ17に対する上記した挟持作用によって電極タブ17に連結された状態となる。電極タブ17は、係止部31r3と基端支持部31sとの間に挟持された状態で、第1スペーサ31に対し、長手方向X及び短手方向Yを含む水平方向に相対移動自在である。つまり、係止部31r3及び基端支持部31sは、電極タブ17に対してほぼ接触した状態となっているが、電極タブ17を完全に加締め固定しているわけではなく、電極タブ17を移動自在に連結した状態である。
加圧工具44による加工前のボス31Rの形状は、図11及び図12に示すように、根元部から先端部までが平面視でほぼD字形状となっている。加工前のボス31RのD字形状部分は、単電池9側(図11及び図12中で右側)が、半円よりも円弧部分が多い断面円弧形状の円弧部31R1であり、バスバ25側(図11及び図12中で左側)が平面形状の平坦部31R2となっている。ボス31Rの基端支持部31sからの突出高さhは、図8Bに示す単電池9の厚さtの1/2以下としている。すなわち、h≦t×(1/2)である。
加工前のボス31Rは、図12に示すように円弧部31R1を含む円の中心Oが、図12中で長手方向Xに長い長孔形状の孔17eに対し、単電池9側(図12中で右側)に寄っている。この状態で、ボス31Rの円弧部31R1が孔17eの凹状の曲面部17e1にほぼ当接し、第1スペーサ31の先端支持部31jと電極タブ17の先端部17bとの間には、僅かな隙間Sが形成される。なお、円弧部31R1と曲面部17e1とは離間していてもよく、隙間Sはなくてもよい。このとき、加工前のボス31Rの平坦部31R2と、電極タブ17の先端部17bとは、図11及び図12に示すように平面視で離間している。
なお、電極タブ17と第1スペーサ31との長手方向Xに関する相対位置は、図11と、バスバ25を電極タブ17の先端部17bに接合した後の図9と、で異なっている。
図9に示すように、電極タブ17の先端部17bは、バスバ25と第1スペーサ31の先端支持部31jとの間で挟持固定されている。この状態で、バスバ25側からレーザ光Lを照射してレーザ溶接を実施し、バスバ25を電極タブ17の先端部17bに溶接固定する。バスバ25の電極タブ17への溶接固定は、図5に示したように、バスバ25のアノード側バスバ25A及びカソード側バスバ25Kを、アノード側電極タブ17A及びカソード側電極タブ17Kに対してそれぞれ実施する。
バスバ25を電極タブ17にレーザ溶接固定する際には、バスバ25と電極タブ17の先端部17bとを、より確実に当接させて密着させることが重要である。そのために図13及び図14に示すような方策を採っている。なお、図13の組電池1Aは、図1の組電池1の保護カバー37を取り付ける前の状態を示し、図14は、図13に対してバスバホルダ34を省略した状態の第1スペーサ31周辺を示す簡略化した平面図である。
図13の組電池1Aは、平板形状の基台45の上に設置してある。基台45の四隅には、上方に向けて立ち上がる長方形状の固定部材47(47a,47b,47c,47d)を設けている。基台45の四つの固定部材47の近傍には、上方に向けて延びるロケートピン48を設定している。4本のロケートピン48は、第1スペーサ31のロケート孔31eまたは第2スペーサ33のロケート孔33e、上部加圧板39のロケート孔39c及び下部加圧板41のロケート孔41cに挿入してある。
二つの固定部材47a,47bは、組電池1Aの短手方向Yに沿う部分の一方の端部付近に位置し、組電池1Aの長手方向Xに沿って配置してある矩形状の連結具49によりブラケット51を介して互いに連結している。他の二つの固定部材47c,47dは、組電池1Aの短手方向Yに沿う部分の他方の端部付近に位置し、組電池1Aの長手方向Xに沿って配置してある矩形状の連結具53によりブラケット55を介して互いに連結している。
図13において、図示しない押圧具によって筐体7の側板43を押し付けた状態で、側板43の図2示す上部43a及び下部43bを、筐体7の上部加圧板39及び下部加圧板41のそれぞれの側縁39d,41dに対してレーザ溶接して溶接固定する。
固定部材47aの固定部材47b側で第1スペーサ31の近傍には、引き込み治具61を配置している。引き込み治具61は、上下方向に長いほぼ直方体形状であり、図14に示すように、固定部材47aに対し、離間していて隙間63を形成している。隙間63は、図11及び図12に示した隙間Sよりも大きい。このとき、固定部材47aと、第1スペーサ31の載置部31M及び上部加圧板39の保持部39bとの間にも隙間64を形成している。隙間63と隙間64とはほぼ同等である。
図14に示すように、引き込み治具61の第1スペーサ31の載置部31Mに対向する面には、第1スペーサ31に向けて突出する係止凸部61aを設けている。係止凸部61aは、引き込み治具61の上下方向の長さのほぼ全域に形成している。
一方、上下方向に積層された電池群3におけるそれぞれの第1スペーサ31の載置部31Mの引き込み治具61に対向する面には、係止凹部31Maを形成している。第1スペーサ31の係止凹部31Maには、引き込み治具61の係止凸部61aが挿入され嵌合している。係止凸部61aは、係止凹部31Maに挿入した状態で、固定部材47a側の側面が係止凹部31Maの固定部材47a側の側面にほぼ当接している。
同様にして、固定部材47cの固定部材47d側で第1スペーサ31の近傍には、引き込み治具65を配置している。引き込み治具65は、上下方向に長いほぼ直方体形状であり、図14に示すように、固定部材47cの側面に対し、離間していて隙間67を形成している。隙間67は、隙間63とほぼ同等で、図11及び図12に示した隙間Sよりも大きい。このとき、固定部材47cと、第1スペーサ31の載置部31N及び上部加圧板39の保持部39bとの間にも隙間68を形成している。隙間67と隙間68とはほぼ同等である。
図14に示すように、引き込み治具65の第1スペーサ31の載置部31Nに対向する面には、第1スペーサ31に向けて突出する係止凸部65aを設けている。係止凸部65aは、引き込み治具65の上下方向の長さのほぼ全域に形成している。
一方、上下方向に積層された電池群3におけるそれぞれの第1スペーサ31の載置部31Nの引き込み治具65に対向する面には、係止凹部31Naを形成している。第1スペーサ31の係止凹部31Naには、引き込み治具65の係止凸部65aが挿入され嵌合している。係止凸部65aは、係止凹部31Naに挿入した状態で、固定部材47c側の側面が係止凹部31Naの固定部材47a側の側面にほぼ当接している。
図1、図2及び図14に示すように、上部加圧板39の短手方向Y両側に位置する保持部39bの外側の角部には、引き込み治具61または65に対応する切欠部39eをそれぞれ設けている。同様にして、下部加圧板41の短手方向Y両側に位置する保持部41bの外側の角部には、引き込み治具61または65に対応する切欠部41eをそれぞれ設けている。上部加圧板39及び下部加圧板41に切欠部39e及び41eをそれぞれ設けることで、引き込み治具61,65の係止凸部61a,65aを、第1スペーサ31の係止凹部31Ma,31Naにそれぞれ挿入することができる。
固定部材47aの引き込み治具61と反対側には、図13に示すように、積層方向Zに沿ってほぼ等間隔の三箇所に、締結ボルト69を取り付けている。締結ボルト69は、図14に示すように、固定部材47aのボルト挿入孔47ahに挿入し、引き込み治具61のねじ孔61bにねじ込んである。締結ボルト69は、引き込み治具61と固定部材47aとの間に隙間63を有する状態で、ねじ孔61bにさらにねじ込み可能である。
同様にして、固定部材47cの引き込み治具65と反対側には、図13に示すように、積層方向Zに沿ってほぼ等間隔の三箇所に、締結ボルト71を取り付けている。締結ボルト71は、図14に示すように、固定部材47cのボルト挿入孔47chに挿入し、引き込み治具65のねじ孔65bにねじ込んである。締結ボルト71は、引き込み治具65と固定部材47cとの間に隙間67を有する状態で、ねじ孔65bにさらにねじ込み可能である。
締結ボルト69,71を図14の状態からそれぞれねじ込むと、引き込み治具61,65が、隙間63,67を狭めるようにして、固定部材47a,47cにそれぞれ近付くように移動する。引き込み治具61,65は、係止凸部61a,65aが第1スペーサ31の係止凹部31Ma,31Naにそれぞれ嵌合しているので、第1スペーサ31は、引き込み治具61,65の移動に伴って、隙間64,68を狭めるようにして固定部材47a,47cにそれぞれ近付く方向に移動する。このとき、第1スペーサ31は、図11及び図12に示してある隙間Sを狭めるようにして電極タブ17に対して相対移動する。
これにより、第1スペーサ31の図9に示す先端支持部31jが、電極タブ17の先端部17bをバスバ25に向けて押し付け、先端部17bとバスバ25との間はより確実に当接して密着する。この状態で、図示しないレーザ発振器からのレーザ光Lをバスバ25の先端部17bに対応する部分に照射することで、電極タブ17の先端部17bとバスバ25とが強固に溶接固定される。
図11及び図12のように第1スペーサ31と電極タブ17の先端部17bとの間に隙間Sがある状態で、第1スペーサ31をバスバ25に向けて接近させるときに、第1スペーサ31は電極タブ17に対して長手方向Xに相対移動する。このとき、電極タブ17を外部に導出させているラミネートフィルム11は、図6A、図6B及び図7に示したように連結孔11eに第1スペーサ31の連結ピン31iが挿通されているが、ラミネートフィルム11が変形することによって第1スペーサ31と電極タブ17との相対移動が許容される。
本実施形態は、電極タブ17の基端部17aが、孔17eに挿入したボス31rの係止部31r3によって、第1スペーサ31に対する積層方向Zの移動が規制されている。このため、電極タブ17の基端部17aが第1スペーサ31から浮くようにして上方に離れる方向へ移動するのを抑制できる。その際、位置規制部を構成する加締め部31r2が、電極タブ17に連結されているので、電極タブ17の積層方向Zの移動規制をより確実にできる。その結果、図9のようにバスバ25に向けて照射したレーザ光Lを、電極タブ17の先端部17bに対してより正確に照射することができ、電極タブ17とバスバ25との接合が充分となり、電極タブ17とバスバ25との間の導電性をより高めることができる。
また、バスバ25を、積層方向Zに向けて屈曲している先端部17bに向かい合わせた状態で接合するので、積層するそれぞれの単電池9の厚さにばらつきが生じている場合であっても、バスバ25と電極タブ17との接合が充分となって導電性を確保できる。このような導電性の確保は、積層した単電池9内にこもった熱を逃がすために、放熱板を単電池9相互間に配置する場合であっても、同様に達成できる。
本実施形態の電極タブ17は、積層方向Zに沿って開口する孔17eを備え、第1スペーサ31は、電極タブ17の孔17eに挿通されるボス31rを備え、ボス31rは、先端が位置規制部となる加締め部31r2を備える。この場合、加工前のボス31Rの先端を単に潰すようにして加締め加工するという簡単な作業で、電極タブ17の積層方向の位置規制を行うことができる。
本実施形態は、第1スペーサ31のボス31rが、先端が加締め加工される前の状態(ボス31R)で、バスバ25側に平坦部31R2を備える断面D字形状であり、電極タブ17の孔17eにおいて電池本体15側に位置している。これにより、ボス31Rの先端を加締め加工したときに外側へ拡がる部分の量を、電池本体15側よりも電極タブ17の先端部17b側を少なくすることができる。
その結果、ボス31Rの先端を加締め加工したときに外側へ拡がる部分が、電極タブ17の先端部17b側に向けて移動するのを抑制でき、先端部17bとバスバ25とをより確実に当接させることができる。ボス31Rの先端を加締め加工したときに外側へ拡がる部分が、先端部17bとバスバ25との間に介在していると、先端部17bとバスバ25との接合が不充分となり、先端部17bとバスバ25との間の導電性も低下してしまう。したがって、本実施形態では、電極タブ17とバスバ25との導電性をより高めることができる。
また、ボス31Rを断面D字形状とすることで、断面円形とした場合に比較して、ボス31Rに対する加熱溶融時の成形量がより少なくなり、加締め加工時おける電池本体15への熱伝播を抑えることができる。
本実施形態は、第1スペーサ31の加締め加工前のボス31Rの突出高さhは、単電池9の厚さtの1/2以下である。これにより、加締め加工前のボス31Rの突出高さが単電池9の厚さの1/2を超える場合に比較して、ボス31Rを加熱溶融させるときの成形量がより少なくなり、加締め加工時おける電池本体15への熱伝播を抑えることができる。
本実施形態は、第1スペーサ31が、電極タブ17の先端部17bを間にしてバスバ25と反対側に位置し、電極タブ17と第1スペーサ31とは、水平方向に相対移動自在である。この場合、電極タブ17とバスバ25とを溶接固定するにあたり、第1スペーサ31をバスバ25に近付けるように移動させることで、電極タブ17をバスバ25に押し付けることができる。これにより、電極タブ17の先端部17bとバスバ25とがより確実に当接して密着し、電極タブ17とバスバ25との間の導電性をより一層高めることができる。
電極タブ17と第1スペーサ31とを水平方向に相対移動自在とするために、電極タブ17をボス31rの加締め部31r2によって強固に固定しないようにしている。これにより、電極タブ17は、局所的な応力を受けることが抑制され亀裂発生などの不具合を抑制できる。
次に、第1スペーサ31の位置規制部としてボス31r(加締め部31r2)に代わる他の実施形態を図15A、図15B及び図15Cに基づき説明する。
図15Aは、第1スペーサ31Aが、電極タブ17の孔17eに挿入される基部31Aaと、基部31Aaの先端から図中で左右両側(短手方向Y)に突出する一対の係止爪31Abとを有して、スナップフィットを構成している。係止爪31Abは、上面にガイド面となる傾斜面31Acを備えている。
電極タブ17を、図15Aの二点鎖線で示す位置、すなわち孔17eの左右両側縁が傾斜面31Acに対応する位置から、傾斜面31Acに対して押し付けるようにして押圧力を付与することで、係止爪31Abが撓み、孔17eに基部31Aaが実線で示すように入り込んだ状態となる。このとき、電極タブ17は、係止爪31Abと第1スペーサ31Aの基端支持部31Asとの間で挟持され、位置規制部を構成する係止爪31Abに連結された状態となる。この場合の電極タブ17は、係止爪31Abによって積層方向Zの位置が規制されている。第1スペーサ31Aと電極タブ17とは水平方向に相対移動自在である。
図15Aの状態で、電極タブ17は、一対の係止爪31Abによって積層方向Zの位置規制がなされる。このため、電極タブ17の基端部17aが、第1スペーサ31Aから浮くようにして上方に離れる方向へ移動するのを抑制できる。その際、位置規制部を構成する係止爪31Abが、電極タブ17に連結されているので、電極タブ17の積層方向Zの移動規制をより確実にできる。その結果、レーザ光をバスバ25の電極タブ17の先端部17bに対応する部分に対してより正確に照射することができ、電極タブ17とバスバ25との接合が充分となり、電極タブ17とバスバ25との間の導電性をより高めることができる。
上記したように、第1スペーサ31Aの位置規制部は、一対の係止爪31Abを備えるスナップフィットで構成している。このため、第1スペーサ31Aと電極タブ17との組み付け作業は、電極タブ17を一対の係止爪31Abに対して押圧力を付与しつつ撓ませるという簡素な方法で実施できる。
図15Bは、第1スペーサ31Bに電極タブ17の短手方向Yの両端に係止する係止爪31Baを設けている。係止爪31Baは、図6A及び図6Bに示すアノード側電極タブ17A及びカソード側電極タブ17Kの短手方向Yの両端をそれぞれ係止する。したがって、係止爪31Baは、アノード側電極タブ17A及びカソード側電極タブ17Kに対応して二対設けている。
電極タブ17が載置される第1スペーサ31Bの載置面31Bbの積層方向Z位置は、図9における基端支持部31sの上面に相当する。載置面31Bbと係止爪31Baとの間の積層方向Zの寸法は、電極タブ17の積層方向Zの厚さとほぼ同等である。一対の係止爪31Baの各脚部31Bc相互間の短手方向Yの寸法は、電極タブ17の短手方向Yの幅よりやや大きい。係止爪31Baは、上面にガイド面となる傾斜面31Bdを備えていてスナップフィットを構成している。
電極タブ17を、図15Bの二点鎖線で示す位置、すなわち電極タブ17の短手方向Yの両側縁が係止爪31Baの傾斜面31Bdに対応する位置から、傾斜面31Bdに対して押し付けるようにして押圧力を付与する。これにより、係止爪31Baが撓み、実線で示すように電極タブ17が係止爪31Baと載置面31Bbとの間に入り込んだ状態となる。このとき、電極タブ17は、係止爪31Baと載置面31Bbとの間で挟持され、位置規制部を構成する係止爪31Baに連結された状態となる。この場合の電極タブ17は、係止爪31Baによって積層方向Zの位置が規制されている。第1スペーサ31Bと電極タブ17とは水平方向に相対移動自在である。
図15Bの状態で、電極タブ17は、一対の係止爪31Baによって積層方向Zの位置規制がなされる。このため、電極タブ17の基端部17aが、第1スペーサ31Bから浮くようにして上方に離れる方向へ移動するのを抑制できる。その際、位置規制部を構成する係止爪31Baが、電極タブ17に連結されているので、電極タブ17の積層方向Zの移動規制をより確実にできる。その結果、レーザ光をバスバ25の電極タブ17の先端部17bに対応する部分に対してより正確に照射することができ、電極タブ17とバスバ25との接合が充分となり、電極タブ17とバスバ25との間の導電性をより高めることができる。
上記したように、第1スペーサ31Bの位置規制部は、一対の係止爪31Baを備えるスナップフィットで構成している。このため、第1スペーサ31Bと電極タブ17との組み付け作業は、電極タブ17を一対の係止爪31Baに押し付け撓ませて係止爪31Baと載置面31Bbとの間に押し込むという簡素な方法で実施できる。
図15Cは、第1スペーサ31Cに、電極タブ17が挿入される挿入孔31Caを設けている。挿入孔31Caは、短手方向Yに沿って二つ設けてあり、図6A及び図6Bに示すアノード側電極タブ17A及びカソード側電極タブ17Kがそれぞれ挿入される。挿入孔31Caは、短手方向Yの幅寸法が電極タブ17(17A,17K)の短手方向Yの幅よりやや大きい。挿入孔31Caは、積層方向Zの高さ寸法が電極タブ17の積層方向Zの厚さよりやや大きいが、上壁31Cbから下壁31Ccに向けて突出する二つの凸部31Cdを備えている。二つの凸部31Cdと下壁31Ccとの間の積層方向Zの寸法が、電極タブ17の積層方向Zの厚さとほぼ同等である。凸部31Cdは、二つに限らず三つ以上設けてもよい。
図15Cのように電極タブ17を挿入孔31Caに挿入した状態で、電極タブ17は、二つの凸部31Cdと下壁31Ccとの間で挟持され、位置規制部を構成する挿入孔31Caに連結された状態となる。この場合の電極タブ17は、二つの凸部31Cdによって積層方向Zの位置が規制されている。挿入孔31Caの下壁31Ccの積層方向Z位置は、図9における基端支持部31sの上面に相当する。第1スペーサ31Cと電極タブ17とは水平方向に相対移動自在である。
図15Cの状態で、電極タブ17は、凸部31Cdと下壁31Ccとの間で、積層方向Zの位置規制がなされる。このため、電極タブ17の基端部17aが第1スペーサ31Cから浮くようにして上方に離れる方向へ移動するのを抑制できる。その際、位置規制部を構成する挿入孔31Caが、電極タブ17に連結されているので、電極タブ17の積層方向Zの移動規制をより確実にできる。その結果、レーザ光をバスバ25の電極タブ17の先端部17bに対応する部分に対してより正確に照射することができ、電極タブ17とバスバ25との接合が充分となり、電極タブ17とバスバ25との間の導電性をより高めることができる。
上記したように、第1スペーサ31Cの位置規制部は、電極タブ17が挿入される挿入孔31Caを備えている。このため、第1スペーサ31Cと電極タブ17との組み付け作業は、電極タブ17を挿入孔31Caに挿入するという簡素な方法で実施できる。なお、電極タブ17を挿入孔31Caに挿入する作業は、先端部17bを基端部17aに対して折り曲げる前の状態、すなわち基端部17aに対して先端部17bが同一平面状となった状態で行う方がより容易である。
前述したように、図15A、図15B及び図15Cに示した例においても、第1スペーサ31A,31B及び31Cは、電極タブ17に対して水平方向に相対移動自在である。このため、図13及び図14に示した方策によって、第1スペーサ31A,31B及び31Cをバスバ25に近付ける方向に移動させ、電極タブ17の先端部17bをバスバ25に密着させることができる。
[第2実施形態]
次いで、本発明の第2実施形態に係わる単電池における電極タブとスペーサとの位置決めシステムおよび位置決め方法を説明する。
(位置決めシステムの構成)
図17,19に示すように、位置決めシステム101は、単電池9を保持する保持装置103と、電極タブ17と第1スペーサ31との相対的な位置決めを行う位置決め装置105と、を備える。
保持装置103は、単電池9の側部を抑える側面抑え部材107と、単電池9の上面を抑える上面抑え部材109と、を備える。矩形状の位置決めシステム101の角部に支持ピン110が配置されている。これらの支持ピン110が載置部31M,31Nの挿通孔に挿入されて保持される。
位置決め装置105は、図17,19の前後方向に沿って延在しており、左右両側にそれぞれ一対に配置されている。位置決め装置105は、基台111と、基台111から前後方向に出没可能に構成された左右一対のロッド113と、ロッド113の先端に取り付けた保持体115と、保持体115の先端に取り付けた押えパッド117と、を備える。
押えパッド117は、上下方向に延びる縦部材119と、縦部材119の上部で屈曲して単電池側に延びる横部材121と、を備える。これらの縦部材119および横部材121によって、押えパッド117を側方から見るとL字状に形成される。
このように、押えパッド117は、電極タブ17の基端部17aおよび先端部17bを押す部材である。押えパッド117は、電極タブ17の基端部17aを押圧する横部材121を有する。横部材121の底部123は、水平面125と、ガイド面127と、を有する。水平面125は、電極タブ17の基端部17aに沿って延在する。ガイド面127は、水平面125の先端側に配設され、先端側に向かうにつれて電極タブ17の基端部17aから離間するように斜めに延在する。
また、押えパッド117は、電極タブ17の先端部17bを押圧する縦部材119を有する。縦部材119は、電極タブ17の先端部17bに沿って延在する縦面129を有する。
押えパッド117の横部材121は、互いに離間した一対の脚部131によって二股状に形成される。これらの脚部同士の間に切欠部133が形成され、切欠部133は、第1スペーサ31のボス31R(突起部)を挿入および保持可能に構成されている。なお、第1スペーサ31の下面は、設備側に設けられた受け台140の上面に当接している。これにより、第1スペーサ31が受け台140によって支持されている。
以下に、第2実施形態に係わる位置決め装置105の作用効果を説明する。
(1)横部材121の底部123は、先端側に向かうにつれて電極タブ17の基端部17aから離間するように斜めに延在するガイド面127を有する。このように、ガイド面127は傾斜面のため、押えパッド117を移動させて電極タブ17の基端部17aを押圧することを効率的に行うことができる。即ち、押えパッド117が移動するときに、ガイド面127が基端部17aに当たることなく、スムーズに基端部17aを押圧することができる。
(2)縦部材119は、電極タブ17の先端部17bに沿って延在する縦面129を有する。このように、縦部材119および横部材121によって、押えパッド117は側方から見てL字状に形成される。従って、1つの押えパッド117の1方向の移動によって、L字状の電極タブ17における基端部17aと先端部17bを、第1スペーサ31の基端部支持面100と先端支持部31jとにそれぞれ押し付ける位置決めを行うことができる。
(3)押えパッド117の横部材121は、互いに離間した一対の脚部131によって二股状に形成され、これらの脚部同士の間に切欠部133が形成されている。
一対の脚部131の間の切欠部133にボス31Rを挿入および保持した状態で加締め加工を行うため、電極タブ17と第1スペーサ31との加締め加工を効率に行うことができる。
(電極タブとスペーサとの位置決め方法)
第2実施形態に係わる単電池9における電極タブ17と第1スペーサ31との位置決め方法を説明する。図18,19に示すように、第1スペーサ31のボス31R(突起部)を電極タブ17の端部の孔17eに挿入して電極タブ17の基端部17aを第1スペーサ31の基端部支持面100に載置させる第1工程と、電極タブ17の先端部17bを第1スペーサ31の先端支持部31jに当接させる第2工程と、を有する。
なお、電極タブ17と第1スペーサ31との位置決めを行った後に、加熱した状態の加圧工具44を、ボス31Rに押し当て加熱溶融させることによって、電極タブ17と第1スペーサ31とを加締める加締め加工を行う。
以下に、第2実施形態に係わる電極タブ17と第1スペーサ31との位置決め方法の作用効果を説明する。
電極タブ17の先端部17bを第1スペーサ31の先端支持部31jに当接させるため、電極タブ17と第1スペーサ31との上下方向の位置決めに加えて、前後方向(横方向)の位置決めを確実に行うことができる。従って、電極タブ17の端部を第1スペーサ31の端部に隙間がない状態で加締め加工を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された単なる例示に過ぎず、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的範囲は、上記実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、そこから容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含む。
例えば、図16に示すように、第1スペーサ310から上方に向けて突出するボス310aに対して加締め加工せずに、ボス310aの突出方向前方(上方)に位置する第1スペーサ310の下面に、位置規制部310bを設けてもよい。位置規制部310bは、下方の第1スペーサ310のボス310aが挿入されて嵌合する凹部310b1を備え、凹部310b1周囲の下端が電極タブ17の上面を押さえ付けるようにして積層方向Zの位置を規制する。この場合、位置規制部310bの内側の凹部310b1に下方のボス310aが嵌合することで、位置規制部310bは電極タブ17に連結された状態となる。
図16に示すように、最上部の第1スペーサ310は、図8Bと同様に加締められたボス31rを備えている。しかし、ボス31rを備える第1スペーサ310の上方に位置規制部310bと同様な形状部分を設定できれば、最上部の第1スペーサ310もボス310aを備える構成とすることができる。図16の例においても、第1スペーサ310と電極タブ17とは水平方向に相対移動自在である。
上記した各実施形態では、第1スペーサ31,31A,31B,31C,310と電極タブ17とを水平方向に相対移動自在としているが、固定した状態でもよい。この場合、図3に示すバスバユニット5を電池群3に取り付けたときに、バスバ25が電極タブ17の先端部17bにより確実に当接させる工夫が必要である。例えば、先端部17bの基端部17aに対する屈曲角度を90度よりもやや大きくする。これにより、バスバユニット5を電池群3に取り付けたときに、バスバ25が先端部17bを押し付けて弾性変形させることにより、バスバ25と先端部17bとがより確実に当接する。
また、ボス31Rの断面形状はD字形状に限るものではなく、例えば断面円形でもよい。さらに、図15Cの例では、凸部31Cdを設けずに、上壁31Cbが電極タブ17の上面にほぼ当接するように、上壁31Cbと下壁31Ccとの間隔が電極タブ17の厚さとほぼ同等となるようにしてもよい。
上記した実施形態では、第1セルサブアッシ19及び第2セルサブアッシ21をそれぞれ三つの単電池9から構成しているが、三つに限るものではなく、例えば二つでもよい。