JP6933391B2 - エアマットレス - Google Patents

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Description

本発明は、床ずれ(褥瘡)防止用のエアセルマットレスに関する。
床ずれ(褥瘡)とは、多くの場合、体重を受ける骨突出部等の局所の皮膚組織が圧迫され続けて虚血を起こすことにより発生する、局所の皮膚圧迫潰瘍のことである。病気や怪我、老衰などにより、寝たきり又は身体を動かすことが困難な状態の人にとって、床ずれを防止することは非常に重要である。
床ずれ防止用のエアマットレスとしては、筒状に成形されたエアセルにエアを封入し、ベッドの長手方向と直交する向きに複数本並設したものが知られている(例えば特許文献1〜3参照)。床ずれ防止用のエアマットレスにおいては、通常、各エアセル内の空気圧を、使用者の身体が沈み込む程度に低圧に維持することにより、身体への接触圧を低減し、床ずれ防止を図っている。
特許文献1には、細長い袋状のエアセルをベッドの長手方向と直交する向きに寝かせた状態でベッドの長手方向に沿って複数本並設したエアマットレスにおいて、各エアセルを、袋状の内部空間を上下に二分する仕切り板を長手方向の両端部近傍まで側壁間に掛け渡して設けた構成とすることが開示されている。
特許文献2には、並設されたエアセルを複数の系統に分け、エアセルを系統ごとに順に膨張、収縮させることにより、エアセルを波動させる技術が開示されている。このようにエアセル内の圧力を順次変化させるエアマットレスは圧切替型と呼ばれる。なお、圧切替型エアマットレスは、医療機器ではなく、介護保険の適用のある「床ずれ防止用具」と称される福祉用具である。また、使用中にエアセル内の圧力を変化させないエアマットレスは静止型と呼ばれる。
特許文献3には、細長い平面形状をなす膨張可能なマットレスであって、マットレスの長手方向の軸に沿って延びる列に連続して配置され、各々が細長い形状をなす膨張可能な複数のセルを備えるエアマットレスが開示されている。また、特許文献3には、外側シートに内側シートをスポット溶接で固定することにより、エアセルを膨張させた際に、エアセルの支持面にプリーツを形成することが開示されている。
特開2005−6939号公報 特開2011−160894号公報 米国特許第5704084号明細書
エアセルの内圧を低圧に維持して使用する、所謂低圧保持型のエアマットレスの場合、身体の一部分に体重が集中すると、この身体の一部分がエアマットレスに極端に沈み込み、いわば、エアセル表面のシートで身体の一部分を吊り下げているような状態(ハンモック現象ともいわれる)になってしまう。このような状態になると、当該身体部分への接触圧がかえって大きくなってしまう。他方、人の体重の分布は、一般に、頭部に約7%、胸部及び腹部に約33%、臀部に約44%、下肢部に約16%となっている。そのため、低圧保持型のエアマットレスにおいては使用者の臀部が深く沈み込み易く、その結果、エアマットレスを使用しているにもかかわらず、仰臥位においては特に仙骨部、側臥位においては特に大転子部など、臀部の骨突出部への接触圧が大きくなり、床ずれが生じ易くなってしまう。
人の体重の分布の偏りを考慮し、臀部のエアマットレスへの過度な沈み込みを抑制するためには、エアマットレスを構成するエアセル間におけるエアの流通を遮断し、臀部が乗せられる部分におけるエアセル内のエアが、他の部分におけるエアセルに逃げないようにすることが考えられる。しかしながら、この場合、エアマットレスを構成するエアセル1つひとつにエアを供給し、各エアセルの内圧を個別に管理する必要が生じるため、エアの管理が煩雑である。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、煩雑なエアの管理を要することなく、身体の各部分のエアマットレスへの過度な沈み込みを抑制し、身体の各部分がエアマットレスから受ける接触圧を低減することができる床ずれ防止用のエアマットレスを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様であるエアマットレスは、複数のエアセルが並設されたエアマットレスであって、当該エアマットレスの長手方向の中心を含む第1の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行に並設された複数の第1のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより細長い形状に膨張する、複数の第1のエアセルと、前記第1の領域の一方の側において隣接する第2の領域と、前記第1の領域の他方の側において隣接する第3の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行にそれぞれ並設された複数の第2及び第3のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより細長い形状に膨張し、使用者の身体が乗せられる面である支持面への荷重に対して当該支持面の形状を維持する性能である各々の保持力が、前記複数の第1のエアセルの各々の保持力よりも大きい、複数の第2及び第3のエアセルと、を備えるものである。
上記エアマットレスにおいて、前記複数の第1のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、互いに対向する2つの側壁を有し、内部にエアを封入することにより膨張する第1の袋体と、可撓性を有する材料により形成され、前記第1の袋体の内部に配置され、前記第1の袋体の2つの側壁に複数の接続箇所において交互に接続された第1の接続部材と、を備え、前記複数の第2のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、互いに対向する2つの側壁を有し、内部にエアを封入することにより膨張する第2の袋体と、可撓性を有する材料により形成され、前記第2の袋体の内部に配置され、前記第2の袋体の2つの側壁に複数の接続箇所において交互に接続された第2の接続部材と、を備え、前記複数の第3のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、互いに対向する2つの側壁を有し、内部にエアを封入することにより膨張する第3の袋体と、可撓性を有する材料により形成され、前記第3の袋体の内部に配置され、前記第3の袋体の2つの側壁に複数の接続箇所において交互に接続された第3の接続部材と、を備え、前記第2の袋体への前記第2の接続部材の接続箇所の数及び前記第3の袋体への前記第3の接続部材の接続箇所の数は、前記第1の袋体への前記第1の接続部材の接続箇所の数よりも多いものであっても良い。
上記エアマットレスにおいて、前記複数の第1のエアセルの各々において、前記複数の接続箇所は、当該第1のエアセルの長手方向に沿って所定の間隔で1段に並び、且つ、前記第1の袋体の2つの側壁のうちの一方の側壁及び他方の側壁に対して交互に配置され、前記第2及び第3のエアセルの各々において、前記複数の接続箇所は、当該第2及び第3のエアセルの長手方向に沿って所定の間隔で2段に並び、且つ、該複数の接続箇所のうちの各段の接続箇所は、前記第2及び第3の袋体の2つの側壁のうちの一方の側壁及び他方の側壁に対して交互に配置されると共に、該2つの側壁の各々において1段目の接続箇所と2段目の接続箇所とが互い違いに配置されていても良い。
上記エアマットレスにおいて、前記複数の第1のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、互いに対向する2つの側壁を有する第1の袋体と、可撓性を有する材料により形成され、前記第1の袋体の内部に配置され、前記第1の袋体の2つの側壁に複数の接続箇所において交互に接続された接続部材と、を備え、内部にエアを封入することにより前記支持面に複数のプリーツが形成され、前記複数の第2及び第3のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより筒状に膨張する第2の袋体を備えても良い。
上記エアマットレスにおいて、前記複数の第1、第2、第3のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより筒状に膨張する袋体を備え、前記複数の第1、第2、第3のエアセルを膨張させた場合に、前記複数の第1のエアセルの各々の前記支持面の曲率半径は、前記複数の第2及び第3のエアセルの各々の前記支持面の曲率半径よりも小さいものであってもよい。
上記エアマットレスは、前記第2の領域の前記第1の領域と反対側において隣接する第4の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行に並設された複数の第4のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより細長い形状に膨張し、各々の保持力が、前記複数の第2のエアセルの各々の保持力よりも小さい、複数の第4のエアセルと、前記第4の領域の前記第2の領域の反対側において隣接する第5の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行に並設された複数の第5のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより細長い形状に膨張し、各々の保持力が、前記複数の第4のエアセルの各々の保持力よりも大きい、複数の第5のエアセルと、をさらに備えても良い。
本発明によれば、エアマットレスの長手方向の中心を含む第1の領域に第1のエアセルを配置し、第1のエアセルよりも保持力が大きい第2及び第3のエアセルを、第1の領域を挟む第2及び第3の領域にそれぞれ配置するので、第1のエアセルに乗せられた身体の部位の周辺部位を第2及び第3のエアセルで支持することにより、第1のエアセルへの当該部位の荷重を分散させることができる。従って、煩雑なエアの管理を要することなく、身体の各部分のエアマットレスへの過度な沈み込みを抑制し、身体の各部分がエアマットレスから受ける接触圧を低減することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係るエアマットレスを模式的に示す上面図である。 本発明の第1の実施形態に係るエアマットレスを模式的に示す側面図である。 図1において頭部領域等に配置されているエアセルの縦断面図である。 図1において腰及び背部領域等に配置されているエアセル(エアを抜いた状態)の側面図である。 図4に示すエアセルの上面図である。 図5のA−A断面図である。 図1において臀部領域等に配置されているエアセル(エアを抜いた状態)の側面図である。 図7に示すエアセルの上面図である。 図8のB−B断面図である。 図1において下腿及び足部領域に配置されているエアセル(エアを抜いた状態)の側面図である。 図10に示すエアセルの上面図である。 図11のC−C断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るエアマットレスの仰臥位による使用状態を示す側面図である。 本発明の第1の実施形態に係るエアマットレスの側臥位による使用状態を示す側面図である。 本発明の第2の実施形態に係るエアマットレスを模式的に示す上面図である。 本発明の第3の実施形態に係るエアマットレスを模式的に示す上面図である。 本発明の第4の実施形態に係るエアマットレスを模式的に示す側面図である。 図17において臀部領域等に配置されているエアセルの斜視図である。 図17に示すエアセルの底面図である。 図18のD−D拡大断面図である。 本発明の第5の実施形態に係るエアマットレスを模式的に示す側面図である。 使用者の床ずれの経過観察結果を示す表である。 使用者の床ずれの経過観察結果を示す表である。 使用者の床ずれの経過観察結果を示す表である。 使用者の床ずれの経過観察結果を示す表である。 使用者の床ずれの経過観察結果を示す表である。 使用者の床ずれの経過観察結果を示す表である。
以下、本発明の実施の形態に係るエアマットレスについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。以下の説明において参照する図面は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、比率、及び位置関係を概略的に示しているに過ぎない。即ち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、比率、及び位置関係のみに限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るエアマットレスを模式的に示す上面図である。図2は、同エアマットレスを模式的に示す側面図である。図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係るエアマットレス1は、ベッドボトム100の上に並設された複数種類のエアセル10、20、30、40を備える。これらのエアセル10、20、30、40の各々は、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより細長い形状に膨張するものであり、当該エアマットレス1の短手方向と平行に配置されている。
ここで、マットレスが載置されるベッドフレームの分野においては、ベッドボトムの頭側の領域を立ち上げる「背上げ機能」や、背上げした際の身体のずり下がりを防止するため、膝部分のベッドボトムを山型に立ち上げる「膝上げ機能」が設けられた機種がある。本実施形態において使用されるベッドボトム100は、背上げ機能及び膝上げ機能に適合したベッドボトムであり、頭側に配置される背ボトム101と、背ボトム101に隣接する腰ボトム102と、腰ボトム102に隣接する脚ボトム103とを有する。背ボトム101と腰ボトム102との境界は、エアマットレス1の長手方向の概ね中央よりもやや頭側に位置しており、背ボトム101は、腰ボトム102との境界を軸として頭側の端部を立ち上げることができる。また、腰ボトム102と脚ボトム103との境界は、エアマットレス1の長手方向の脚側から概ね1/4〜1/6辺りに位置しており、腰ボトム102及び脚ボトム103は、両者の境界(概ね膝が乗る部分)が山の頂上となるように立ち上げることができる。
もっとも、本実施形態に係るエアマットレス1を載置可能なベッドボトムの構成は上述したものに限定されない。例えば、背ボトム101、腰ボトム102、脚ボトム103の3つの部分だけでなく、さらにボトムが細分化されたベッドボトムに対してエアマットレス1を使用しても良い。また、本実施形態に係るエアマットレス1は、背上げ機能及び膝上げ機能を有するベッドボトムに特に適合するものであるが、これらの機能を有しない(即ち、部分的に立ち上げることができない)ベッドボトムに対してエアマットレス1を使用しても良い。
エアセル10、20、30、40の長手方向の長さは、エアマットレス1の短手方向の長さと概ね同じである。各種エアセル10、20、30、40の高さHは、エアマットレス1の上面が全体として平らになるように、互いに同程度となっている。エアマットレス1を、ベッドボトム100の上に直接載置して使用する、所謂リプレイスメントタイプのマットレスとして使用する場合には、各種エアセルの10、20、30、40の高さHを16cm程度にすると良い。ここで、介護用のベッド及びその周辺用具に関し、JIS規格(JIS9254:2009)においては、安全性(ベッドからの転落防止)の観点から、圧縮されていない状態でのマットレスの上面からサイドレール又はベッド用グリップの一番高い箇所までの高さについて220mmを確保することが規定されている。上記高さHが16cm程度とは、一般的な介護用ベッドフレームにおいてこの規定を遵守でき、且つ、底付きすることなく使用者の身体を沈み込ませることにより床ずれ防止機能を発揮することができる値である。また、各種エアセル10、20、30、40の幅Wについては、互いに同程度であっても良いし、種類ごとに多少異なっていても良い。本実施形態においては、各種エアセル10、20、30、40の幅Wを7〜8cm程度としている。
4種類のエアセル10、20、30、40においては、使用者の身体が乗せられる面である支持面(図1で図示された面、図2の上側の面)への荷重に対して当該支持面の形状を維持する性能である保持力が互いに異なっている。即ち、これらのエアセル10、20、30、40の間では、同程度の荷重をかけた場合であっても、支持面の沈み込む量(深さ)が異なっている。具体的には、エアセル20、30、40の間では、保持力が大きい(沈み込み量が少ない)順から、エアセル20、エアセル40、エアセル30となっている。また、エアセル10と、エアセル20、40、30と、の間では、内圧にもよるが、エアマットレス1において通常使用される内圧の範囲では、エアセル10の方が保持力が大きい。各種エアセル10、20、30、40の構造については後述する。
エアマットレス1の長手方向の中央近傍の領域(第1の領域)は、通常、使用者の臀部が乗せられる領域である。以下、この領域のことを臀部領域という。臀部領域には、複数(図1及び図2においては4つ)のエアセル30が配置されている。上述したように、エアセル30は、4種類のエアセルのうち最も保持力が小さいエアセルである。
臀部領域の頭側に隣接する所定範囲の領域(第2の領域)は、通常、使用者の腰部及び背部が乗せられる領域である。以下、この領域のことを腰及び背部領域ともいう。腰及び背部領域には、臀部領域に配置されるエアセル30よりも保持力が大きい複数の(図1及び図2においては3つ)のエアセル20が配置されている。
臀部領域の脚側に隣接する所定範囲の領域(第3の領域)は、通常、使用者の大腿部が乗せられる領域である。以下、この領域のことを大腿部領域ともいう。大腿部領域には、臀部領域に配置されるエアセル30よりも保持力が大きい複数の(図1及び図2においては3つ)のエアセル20が配置されている。つまり、臀部領域及びその近傍においては、保持力が比較的小さい(即ち、沈み込み易い)エアセル30を、該エアセル30よりも保持力が大きいエアセル20で挟むように、各エアセルが配置されている。なお、腰及び背部領域に配置されるエアセルと、大腿部領域に配置されるエアセルの構造や保持力は必ずしも同一である必要はない。
腰及び背部領域の頭側に隣接する所定範囲の領域(第4の領域)は、通常、使用者の肩部が乗せられる領域である。以下、この領域のことを肩部領域ともいう。肩部領域には、腰及び背部領域に配置されるエアセル20よりも保持力が小さい1つ以上(図1及び図2においては3つ)のエアセル30が配置されている。
肩部領域の頭側に隣接する所定範囲の領域(第5の領域)は、通常、使用者の頸部や頭部の一部が乗せられる領域である。以下、この領域のことを頸部領域ともいう。頸部領域には、肩部領域に配置されるエアセル30よりも保持力が大きい1つ以上(図1及び図2においては2つ)のエアセル20が配置されている。つまり、肩部領域及びその近傍においては、保持力が比較的小さいエアセル30を、該エアセル30よりも保持力が大きいエアセル20で挟むように、各エアセルが配置されている。
エアマットレス1の脚側の端部近傍の領域は、通常、使用者の下腿及び足部が乗せられる領域である。以下、この領域のことを下腿及び足部領域ともいう。下腿及び足部領域には、複数(図1及び図2においては4つ)のエアセル40が配置されている。
大腿部領域と下腿及び足部領域との間の領域であって、腰ボトム102と脚ボトム103との境界を近傍の領域は、ベッドボトムを膝上げした際に山の頂上となる領域である。この領域には、膝上げをした際に使用者の膝裏が当てられる。以下、この領域のことを膝部領域ともいう。膝部領域には、腰ボトム102と脚ボトム103との境界を挟むように、複数(図1及び図2においては2つ)のエアセル10が配置されている。エアセル10は、支持面にプリーツ等が形成されていない、表面が全体的にフラットなエアセルである。
エアマットレス1の頭側の端部近傍の領域は、通常、使用者の頭部が乗せられる領域である。以下、この領域のことを頭部領域ともいう。頭部領域には、端部側から、複数(図1及び図2においては2つ)のエアセル10とエアセル20とが配置されている。
次に、各種のエアセル10、20、30、40の構造について説明する。以下においては、エアセル10、20、30、40をベッドボトム100上に配置した状態で上下になる方向を、エアセルの上下方向という。従って、各エアセル10、20、30、40の上面が支持面となる。
図3は、図1において頭部領域及び膝部領域に配置されているエアセル10の縦断面図である。図3に示すように、エアセル10は、全体として1つの袋体11からなる1気室のエアセルである。袋体11は、ウレタン等の可撓性を有するシート材の周縁部同士を溶着することにより袋状に成形したものであり、エアを封入することにより筒状に膨張する。ここで、筒状とは、円柱、楕円柱、多角柱などの柱状の内部が中空となった形状のことである。袋体11の外側においては、シート材の端部の閉じ部に、エアセル10をベッドフレームに固定したりエアセル10同士を接続したりするためのホックが取り付けられていても良い。また、また、袋体11の底部(エアマットレスにおいて床側となる領域)には、エアセル10内にエアを注入するためのエア供給口が設けられている。
袋体11の内周面には、エアマットレスの床面と略平行な向きとなるように架け渡された接続部材(所謂、吊り)12が設けられている。接続部材12は、ウレタン等の可撓性を有するシート材により形成され、袋体11の上下方向の略半分の位置に溶着されることにより、袋体11の内周面のうち互いに対向する領域をつないでいる。このような接続部材12を設けることにより、エアセル10の支持面に荷重がかかった場合であっても、エアセル10が水平方向に膨らむのを防ぎ、エアセル10の厚さ方向における圧縮量を抑制することができる。
図4は、図1において腰及び背部領域、大腿部領域、並びに頸部領域に配置されているエアセル20の側面図である。図5は、同エアセル20の上面図である。図6は、図5のA−A断面図である。このうち、図4は、エアセル20からエアを抜いた状態を示している。図4〜図6に示すように、エアセル20は、互いに対向する第1及び第2の側壁21a、21bを有し、内部にエアを封入することにより膨張する袋体21と、袋体21の内部に配置され、2つの側壁21a、21bを接続する接続部材22とを備える。
袋体21は、ウレタン等の可撓性を有するシート材の周縁部同士を溶着することにより筒状に成形したものである。袋体21の両端には、シート材の端部の閉じ部24が突出しており、この閉じ部24に、エアセル20をベッドフレームに固定したりエアセル20同士を接続したりするためのホック25が取り付けられている。また、袋体21の底部には、エアセル20内にエアを注入するためのエア供給口26が設けられている。
接続部材22は、ウレタン等の可撓性を有するシート材により形成されている。なお、袋体21を形成する材料と、接続部材22を形成する材料とは、同じ材料であっても良いし、異なる材料であっても良い。
接続部材22は、エアセル20にエアが封入されていない状態では、袋体21の対向する側壁21a、21bと略平行になるように配置されている(図4参照)。そのため、エアセル20にエアを封入し、エアマットレスの一部として配置した状態では、接続部材22は上下方向に立つような姿勢となる(図6参照)。
接続部材22は、袋体21の対向する2つの側壁21a、21bに対し、主面の複数箇所において、溶着により接合されている。エアセル20にエアを封入せずに、接続部材22を平面状に配置した状態で(図4参照)、側壁21a、21bに対する接続部材22の接続箇所(溶着部23a、23b)は、エアセル20の長手方向に沿って所定の間隔で2段に並んでいる。
1段目の溶着部23a、23bは、側壁21a、21bに対して交互に配置されており、2段目の溶着部23a、23bも、側壁21a、21bに対して交互に配置されている。そして、一方の側壁21aにおいては、1段目の溶着部23aと2段目の溶着部23aとが互い違いに配置されている。他方の側壁21bにおいても同様に、1段目の溶着部23bと2段目の溶着部23bとが互い違いに配置されている。
各溶着部23a、23bの形状は、各側壁21a、21bにおいて2段の配置が可能となるように円形状となっている。なお、溶着部23a、23bの形状は、2段の配置が可能であれば円形状に限定されず、例えば、楕円形、正方形、長方形、その他の多角形等の形状であっても良い。また、溶着部23a、23bの数は特に限定されず、エアセル20のサイズや、エアを封入した際に形成される凹凸のサイズや大きさに応じて適宜決定すれば良い。例えば、溶着部23a、23bの数を増やした場合、エアセル20の上面には比較的細かい凹凸が数多く形成される。他方、溶着部23a、23bの数を減らした場合、エアセル20の上面には比較的大きな凹凸が形成される。
エアセル20にエアを封入すると、袋体21全体は膨張するが、側壁21a、21bのうち溶着部23a、23bの部分は接続部材22に引き寄せられるため、袋体21の長手方向の長さは、エアを封入していない状態よりも縮んだ状態となる。そして、袋体21の支持面に、膨張した凸部27と、溝状にくびれた凹部(皺)28とが形成され、全体として蛇腹のような凹凸(プリーツ)が生じる(図5参照)。この凹凸により、エアセル20のシート材を使用者の身体に緩く追従させることができ(所謂ルーズフィット)、使用者の身体を広い面積で支持して身体の各部に対する接触圧を低減させることができる。特に、局所的に突出する骨突出部についても、凹部28によって包み込むように個別に支持することができる。
また、エアセル20の上段と下段とでは、側壁21a側の溶着部23aの位置と、側壁21b側の溶着部23bの位置とがずれているため、側方に膨張する凸部27の位置も、上段と下段とでずれてくる。つまり、上段と下段では、側壁21a側と側壁21b側とが交互に膨らみ、蛇腹の向きが逆になる(図6参照)。それにより、エアセル20に、上方からの荷重に対して形状を保持し易い3次元的な構造が形成される。従って、エアセル20に使用者の身体が乗せられても、身体の過度な沈み込みを抑制することができる。つまり、エアセル20に身体を乗せた場合、凹部28によって骨突出部を包むように支持しつつ、骨突出部の周囲をエアセル20で保持して、骨突出部に集中しがちな支持面からの圧力を骨突出部の周辺に分散させることが可能となる。
なお、腰及び背部領域に配置されるエアセル20と、大腿部領域に配置されるエアセル20と、頸部領域に配置されるエアセル20とは、必ずしも同一の態様である必要はない。溶着部23a、23bの数や配置を変化させることにより、領域に応じて、保持力や支持面に形成されるプリーツの間隔などを調整しても良い。例えば、腰及び背部領域に配置されるエアセル20においては、使用者の腕が乗せられることを考慮して、溶着部23a、23bの数を増やして、やや細かいプリーツを形成することとしても良い。
図7は、図1において臀部領域及び肩部領域に配置されているエアセル30の側面図である。図8は、同エアセル30の上面図である。図9は、図8のB−B断面図である。このうち、図7は、エアセル30からエアを抜いた状態を示している。図7〜図9に示すように、エアセル30は、互いに対向する2つの側壁31a、31bを有し、内部にエアを封入することにより膨張する袋体31と、袋体31の内部に配置され、2つの側壁31a、31bを接続する接続部材32とを備える。
袋体31は、ウレタン等の可撓性を有するシート材の周縁部同士を溶着することにより筒状に成形したものである。袋体31の両端には、シート材の端部の閉じ部34が突出しており、この閉じ部34に、エアセル30をベッドフレームに固定したりエアセル30同士を接続したりするためのホック35等を取り付けても良い。また、袋体31の底部には、エア供給管を接続するためのエア供給口36が設けられている。
接続部材32は、ウレタン等の可撓性を有するシート材により形成されている。接続部材32は、エアセル30にエアが封入されていない状態では、袋体31の対向する側壁31a、31bと略平行になるように配置されている(図7参照)。そのため、エアセル30にエアを封入し、エアマットレスの一部として配置した状態では、接続部材32は上下方向に立つような姿勢となる(図9参照)。
接続部材32は、袋体31の対向する2つの側壁31a、31bに対し、主面の複数箇所において溶着により接合されている。エアセル30にエアを封入せずに、接続部材32を平面状に配置した状態で(図7参照)、側壁31a、31bに対する接続部材32の接続箇所(溶着部33a、33b)は、エアセル30の長手方向に沿って所定の間隔で1段に並んでおり、且つ、側壁31a、31bに対して交互に配置されている。
各溶着部33a、33bの形状は、エアセル20における溶着部23a、23bと同様、略円形状となっている。なお、溶着部33a、33bの形状は、接続部材32の上下方向の中央近傍において袋体31と接続することができれば円形状に限定されず、例えば、楕円形、正方形、横長の長方形、その他の多角形等の形状であっても良い。
エアセル30にエアを封入すると、袋体31全体が膨張すると共に、接続部材32により側壁31a、31b同士が引き寄せられる(図8参照)。そのため、袋体31の長手方向の長さは、エアを封入していない状態よりも縮んだ状態となり、その分、袋体31の支持面や側面が部分的に膨らむ。支持面においては、膨張した凸部37と、溝状にくびれた凹部(皺)38とが形成され、全体として蛇腹のような凹凸(プリーツ)が生じる。
接続部材32は、1段で並ぶ溶着部33a、33bにおいて側壁31a、31bと接続されているので、エアセル30に身体を乗せた際の沈み込みは、荷重が同じ場合であっても、エアセル20よりも深くなる。つまり、エアセル30においては、身体を沈み込ませることにより広い面積で身体を支持することができる。また、仙骨部や大転子部のような骨突出部位についても、表面に生じたプリーツによって包み込むように支持することができる。
なお、臀部領域に配置されるエアセル30と、肩部領域に配置されるエアセル30とは、必ずしも同一の態様である必要はない。例えば、溶着部33a、33bの数や配置を変化させることにより、領域に応じて、保持力や支持面に形成されるプリーツの間隔などを調整しても良い。
図10は、図1において下腿及び足部領域に配置されているエアセル40の側面図である。図11は、同エアセル40の上面図である。図12は、図11のC−C断面図である。このうち図10は、エアセル40からエアを抜いた状態を示している。図10〜図12に示すように、エアセル40は、互いに対向する2つの側壁41a、41bを有し、内部にエアを封入することにより膨張する袋体41と、袋体41の内部に配置された接続部材42とを備える。
袋体41は、ウレタン等の可撓性を有するシート材の周縁部同士を溶着することにより筒状に成形したものである。袋体41の両端には、シート材の端部の閉じ部44が突出しており、この閉じ部44に、エアセル40をベッドフレームに固定したりエアセル40同士を接続したりするためのホック45等を取り付けても良い。また、袋体41の底部には、エア供給管を接続するためのエア供給口46が設けられている。
接続部材42は、ウレタン等の可撓性を有するシート材により形成されている。接続部材42は、側壁41a、41bよりもやや幅の狭い帯状に成形されている。接続部材42は、エアセル40にエアが封入されていない状態では、袋体41の対向する側壁41a、41bと略平行になるように配置されている(図10参照)。そのため、エアセル40にエアを封入し、エアマットレス1の一部として配置した状態では、接続部材42は上下方向に立つような姿勢となる(図12参照)。
接続部材42は、袋体41の対向する2つの側壁41a、41bに対し、主面の複数箇所において溶着により接合されている。エアセル40にエアを封入せずに、接続部材42を平面状に配置した状態で(図10参照)、側壁41a、41bに対する接続部材42の接続箇所(溶着部43a、43b)は、エアセル40の長手方向に沿って所定の間隔で1段に並んでおり、且つ、側壁41a、41bに対して交互に配置されている。各溶着部43a、43bの形状は、エアセル40の上下方向に伸びる細長い形状(例えば、長方形や長円形)となっている。
エアセル40にエアを封入すると、袋体41全体が膨張すると共に、接続部材42により側壁41a、41b同士が引き寄せられる(図11参照)。そのため、袋体41の長手方向の長さは、エアを封入していない状態と比較して縮んだ状態となり、その分、支持面や側面が部分的に膨らむ。支持面においては、膨張した凸部47と、溝状にくびれた凹部(皺)48とが形成され、全体として蛇腹のような凹凸(プリーツ)が生じる。
接続部材42は、上下方向に伸びる溶着部43a、43bにおいて側壁41a、41bと接続されているので、このようなエアセル40に身体を乗せると、身体は適度にエアセル40に沈み込みつつ、支持面に形成された凹凸によって包み込まれるように支持される。
なお、上記エアセル10、20、30、40においては、接続部材12、22、32、42を袋体11、21、31、41の側壁に溶着することとしたが、接続部材12、22、32、42を袋体11、21、31、41に接合する手段は、エアセルにエアを封入して荷重をかけた際の変形に耐える強度を得ることができれば、溶着に限定されず、例えば接着剤等を用いても良い。また、溶着方法についても特に限定されず、熱板溶着、高周波溶着など、公知の方法を用いることができる。
次に、エアセル10、20、30、40の保持力について説明する。エアセル10、20、30、40はいずれも、袋体11、21、31、41の両側壁を、内部に配置された接続部材12、22、32、42によって接続する構造を有している。しかしながら、これらのエアセル10、20、30、40の間では、接続部材12、22、32、42の配置並びに溶着部の配置及び形状(大きさ)が互いに異なっている。そのため、エアセル10、20、30、40内に同程度の内圧のエアを封入し、同程度の荷重を支持面にかけた場合であっても、支持面への荷重に対して当該支持面の形状を維持する性能である保持力、言い換えると、支持面の沈み込み易さに違いが生じる。
まず、エアセル20、30、40の接続部材22、32、42は、エアを抜いた状態では袋体の側壁と平行な向き、使用状態では上下方向に立つような向きで配置されている。これらのエアセル20、30、40の間では、接続部材22、32、42を袋体21、31、41の側壁に溶着する溶着部の配置及び形状(大きさ)が異なっている。
具体的には、エアセル30においては、溶着部33a、33bが1段で配置されているため、上方向からの荷重に対して比較的沈み込み易く、エアセル20、30、40のうちでは最も保持力が小さくなる。これに対し、エアセル40の溶着部43a、43bは、エアセル30の溶着部33a、33bよりも上下方向に長く伸びているため、エアセル40においては、溶着部43a、43bが支えとなり、上方向からの荷重に対して形状を保持し易くなる。従って、エアセル40の保持力は、エアセル30の保持力よりも大きくなる。
他方、エアセル20の溶着部23a、23bは2段で配置されているため、エアセル20の保持力は、単に溶着部33a、33bが1段で配置されているエアセル30の保持力よりも大きくなる。加えて、エアセル20においては、上段と下段とで、側壁21a側の溶着部23aと側壁21b側の溶着部23bとが互い違いに配置されているため、側方に膨らむ位置も上段と下段とで互い違いになる。それにより、エアセル20に、上方からの荷重に対して形状を保持し易い3次元的な構造が形成される。従って、エアセル20の保持力は、側壁41a側及び側壁41b側への膨らみが単に交互になるエアセル40の保持力よりも大きくなる。
エアセル10の支持面はプリーツのない、フラットな状態となっており、且つ、接続部材12によって袋体11の水平方向への拡がりが抑えられている。従って、エアセル10が十分に膨らむ状態までエアを封入した状態では、支持面にプリーツが形成されていることにより変形する余地が大きいエアセル20、30、40と比較して、エアセル10の保持力は大きい。
次に、エアマットレス1における給排気システムについて説明する。基本的に、エアマットレス1は、エア供給系統を1つにして、内圧を変化させない静止型として使用することができる。この場合、全てのエアセル内の内圧は、均等且つ一定に維持される。しかしながら、エアマットレス1は、一部のエアセルの内圧を変化させる静止型−圧切替型のハイブリッドとして使用することもできる。この場合、図2に示すように、例えば4つのエア供給系統が設けても良い。即ち、所定の内圧となるまでエアを供給した後はエアの吸排気を遮断して内圧を変化させない静止系統、及び、エアの内圧を所定の周期で順に変化させる第1〜第3系統である。並設されたエアセル10、20、30、40のうち、頭部領域及び膝部領域のエアセル10と、腰及び背部領域並びに大腿部領域のエアセル20は、静止系統に接続され、それ以外の領域のエアセル30、40は第1系統〜第3系統に順に接続されている。
次に、エアマットレス1におけるエアセル10、20、30、40の作用について説明する。図13は、エアマットレス1の仰臥位による使用状態を示す側面図である。図14は、エアマットレス1の側臥位による使用状態を示す側面図である。上述したように、エアセル20、30、40の支持面には蛇腹のような凹凸(プリーツ)が形成されているため、これらのプリーツによって身体の各部を個別に包み込むよう支持することができる。そのため、骨突出部のように局所的に突出する部位であっても、当該部位に対する接触圧を低減させることができる。それに加え、エアマットレス1においては、保持力が異なる複数種類のエアセル10、20、30、40の配置から、以下に説明する作用が生じる。
ここで、一般的な床ずれ防止用のエアマットレスにおいては、身体をエアセルに沈み込ませ、エアセルの支持面を構成するシートにより身体を広い面積で包み込むことにより、接触圧をできるだけ小さくすることとしている。しかしながら、身体をエアセルに深く沈み込ませ過ぎると、エアセルを構成するシートで身体を吊り下げているような状態、所謂ハンモック現象が発生している状態となり、身体がシートから受ける接触圧がかえって大きくなってしまう。
そこで、エアマットレス1においては、身体の体重が最も集中する臀部が乗せられる臀部領域に、保持力の小さい複数のエアセル30が配置され、これらのエアセル30を挟む腰及び背部領域並びに大腿部領域に、エアセル30よりも保持力の大きい複数のエアセル20が配置されている。それにより、腰及び背部領域並びに大腿部領域においては、エアセル20が圧縮され過ぎることなく、身体をエアセル20の支持面に十分に接触させた状態で支持するので、臀部に集中しがちな体重を腰や大腿部に分散させることができる。そのため、臀部領域においては、身体をエアセル30に程よく沈み込ませつつも、過度な沈み込みを抑制し、ハンモック現象を防ぐことができる。つまり、躯幹部に対する体圧を分散させ、臀部の骨突出部(尾骨や大転子部)への体圧の集中を抑制することができる。併せて、エアセル20、30の支持面に形成されたプリーツにより、身体をその表面の凹凸に沿って広い面積で包み込むように支持することができる。
また、背ボトム101を立ち上げる背上げ機能を利用する際にも、腰及び背部領域に配置されたエアセル20が使用者の背面に十分に接触し、背面側から身体を支持している状態を維持することができる。これにより、上半身のずり下がりを防ぎ、上半身の体重が臀部に集中することを抑制することができる。
また、エアマットレス1においては、上半身の体重が集中し易い肩部領域に、保持力の小さい複数のエアセル30が配置され、これらのエアセル30を挟む腰及び背部領域並びに頸部領域に、エアセル30よりも保持力の大きい複数のエアセル20が配置されている。それにより、腰及び背部領域並びに頸部領域においては、エアセル20が圧縮され過ぎることなく、身体をエアセル20の支持面に十分に接触させた状態で支持するので、肩部に集中しがちな体重を背部や頸部に分散させることができる。そのため、肩部領域においては、身体をエアセル30に程よく沈み込ませつつも、過度な沈み込みを抑制し、ハンモック現象を防ぐことができる。併せて、エアセル20、30の支持面に形成されたプリーツにより、身体をその表面の凹凸に沿って広い面積で包み込むように支持することができる。
また、エアマットレス1においては、膝部領域に筒状の外面形状を有するエアセル10を配置するので、膝上げ機能を利用する際にも、腰ボトム102及び脚ボトム103の動作を妨げることなく、また、エアセル10の位置ずれを生じさせることなく、膝上げ状態に移行させることができる。
また、エアマットレス1においては、下腿及び足部領域に複数のエアセル40が配置されている。エアセル40の保持力は比較的小さいが、ある程度の保持力があり、エアセル40がふくらはぎなど下腿部全体に当接して支持するので、踵部や外踝部がエアセル40に沈み過ぎることはない。それにより、踵部や外踝部をエアセル40に程よく沈み込ませつつ、支持面のプリーツにより、広い面積で包み込むように下腿部全体を支持することができ、踵部や外踝部への体圧を分散させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、保持力の異なる複数種類のエアセル10、20、30、40を用いてエアマットレス1を構成するので、煩雑なエアの管理を要することなく、エアマットレスへの身体の過度な沈み込みを抑制し、身体の各部を部位に応じて適切に支持することができる。従って、荷重が集中し易い身体の部位であっても、ハンモック現象を生じさせることなく、身体を適度に沈み込ませた状態で支持することができるので、身体の各部への接触圧を低減させ、床ずれの発生を抑制することができる。
上述したように、エアマットレス1を構成するエアセル10、20、30、40の保持力の差異は、接続部材の配置や、袋体と接続部材との接合部の数、形状、配置といった構造の違いから生じている。そのため、エアマットレス1を構成する全てのエアセル10、20、30、40に1つの系統からエアを供給し、これらのエアセル10、20、30、40の間でエアが流通する状態であっても、各種エアセル間の保持力の差異は維持される。従って、エアマットレス1を静止型として使用した場合であっても、臀部や肩部に集中しがちな体圧を周辺の部位に分散させることができると共に、臀部や肩部の過度な沈み込みを抑制してハンモック現象を防ぐことが可能となる。それにより、身体の各部への接触圧を低減させることが可能となる。また、エアマットレス1の内圧の管理を簡素化することができるという利点もある。
また、エアマットレス1においては、各エアセル10、20、30、40へのエアの供給系統を適宜分けて使用することもできる。具体的には、肩部領域及び臀部領域に配置されたエアセル30並びに下腿及び足部領域に配置されたエアセル40の内圧を周期的に切り替えて使用することもできる。この場合、身体のうちでも比較的体圧が集中し易い肩部、臀部、足部等への継続的な圧迫をさらに抑制することができる。他方、頭部領域に配置されたエアセル10、20については、内圧を一定に保って使用することが好ましく、それにより、使用者の頭部が周期的に動かされることによる船酔い状態を抑制することができる。また、頸部領域、腰及び背部領域、並びに大腿部領域に配置されたエアセル20と、膝部領域に配置されたエアセル10とについても、内圧を一定に保って使用することが好ましく、この場合、圧切替による一時的な減圧時における底付きを防ぐことができる。
(第2の実施形態)
図15は、本発明の第2の実施形態に係るエアマットレスを模式的に示す上面図である。図15に示すように、本実施形態に係るエアマットレス2においては、図1に示すエアマットレス1の腰及び背部領域並びに大腿部領域に配置されたエアセル20の代わりに、エアセル10が配置されている。エアマットレス2の腰及び背部領域並びに大腿部領域以外の領域に配置されたエアセルの種類及び数については、エアマットレス1におけるものと同様である。
上述したように、エアセル10の保持力は、臀部領域及び肩部領域に配置されたエアセル30の保持力よりも大きい。そのため、腰及び背部領域並びに大腿部領域においては、エアセル10により使用者の身体が十分に支持されるので、臀部や肩部のエアセル30への過度な沈み込みを抑制し、ハンモック現象を抑制することが可能となる。従って、臀部や肩部をエアセル30に程よく沈み込ませ、広い面積でこれらの部位を支持し、体圧を分散させることが可能となる。
(第3の実施形態)
図16は、本発明の第3の実施形態に係るエアマットレスを模式的に示す上面図である。図16に示すように、本実施形態に係るエアマットレス3においては、図1に示すエアマットレス1の頭部領域の一部に配置されたエアセル10、20の代わりに、エアセル40が配置されている。エアマットレス2の頭部領域以外の領域に配置されたエアセルの種類及び数については、エアマットレス1におけるものと同様である。
上述したように、エアセル40の支持面にはプリーツが形成されているので、このプリーツにより使用者の頭部を広い面積で包み込むように支持することができる。また、頭部領域のエアセル10及び頸部領域のエアセル20の保持力は、エアセル40の保持力よりも大きいので、これらのエアセル10、20により使用者の頭頂部近傍や頸部近傍を支持することにより、頭部をエアセル40に程よく沈み込ませつつも、過度な沈み込みを抑制することができる。従って、頭部への体圧を分散させることが可能となる。
(第4の実施形態)
図17は、本発明の第4の実施形態に係るエアマットレスを模式的に示す側面図である。図17に示すように、本実施形態に係るエアマットレス4は、ベッドボトム100上に並設された複数のエアセル10と、エアセル10とは異なる構造を有する複数のエアセル50を備える。
図18は、図17において臀部領域等に配置されているエアセル50の斜視図である。図19は、同エアセル50の底面図である。図20は、図18のD−D拡大断面図である。エアセル50は、内部にエアを封入することにより筒状に膨張する4つの小セル511、512、521、522が、該小セルの長手方向と平行な1軸上の領域において互いに接続されたエアセルである。ここで、本出願における「1軸上の領域」とは、ある程度の幅や厚みを有する領域であっても良い。また、「1軸上の領域」は、必ずしも連続している必要はなく、1つの軸上であれば、一部が途切れていても良い。
詳細には、エアセル50は、可撓性を有する樹脂材料からなるシート材により形成された2つの袋体51、52を有する。これらの袋体51、52は積層され、袋体51、52の長手方向と平行なライン状をなす溶着部53により一体化されている。この溶着部53により袋体51、52の各々を分離することによって、4つの小セル511、512、521、522が形成される。溶着部53は、袋体51、52の短手方向の略中心部に設けられているため、膨張した状態での小セル511、512、521、522の径は、概ね互いに等しい。なお、図19においては、溶着部53が連続した1つの帯状の領域に設けられているが、同じ軸上の領域であれば、溶着部53を複数箇所に分けて設けても良い。
図19に示すように、ボトム面側の袋体51にはエア供給口54が設けられており、エア供給口54に接続されたエア供給路55からエアを注入することにより、袋体51にエアが充填される。この他、袋体51、52のいずれか又は両方に、エアセル50同士、又は、エアセル50と他のエアセルとを連結するためのホックやボタン等を設けても良い。
袋体51の長手方向の両端と、溶着部53との間にはギャップ領域513が設けられている。このギャップ領域513により、小セル511、512の間においてエアの流通が可能となる。これにより、エアセル50に荷重がかかった場合であっても、小セル511、512の内圧はほぼ均等となる。袋体52の構造も全体として袋体51と同様であり、小セル521、522の間においてはエアの流通が可能となっている。また、袋体51と袋体52との間においても、袋体51、52の一部に設けられた開口同士を接続することにより、エアが流通可能な状態になっている。
図20に示すように、エアセル50にエアを充填すると、4つの小セル511、512、521、522が膨張して隣接するセルと面状に接するようになり、下段側の小セル511、512により、接触面を介して上段側の小セル521、522を支持する構造が形成される。これらの小セル511、512、521、522は、あくまで、エアセル50の横断面の中心部の1軸上に設けられた溶着部53において互いに接続されている。つまり、小セル511、512、521、522は、隣接するセルとは面状には接続されておらず、溶着部53を回転軸として可動な状態になっている。
エアセル50のサイズは、エアを充填した状態で、その高さHがエアセル10の高さHと概ね等しくなるように設定されている。従って、各小セル511、512、521、522のサイズ(高さ及び幅)はエアセル10のサイズ(同上)よりも小さい。つまり、エアセル50のうち、使用者の身体が乗せられる支持面となる上段側の小セル521、522の上面の曲率半径は、エアセル10の支持面(上面)の曲率半径よりも小さい。
エアマットレス4においては、このようなエアセル50が臀部領域に配置され、これらを挟むように、エアセル10が腰及び背部領域並びに大腿部領域に配置されている。また、エアマットレス4において、エアセル50は肩部領域及び足部領域にも配置されており、このうち肩部領域に配置されたエアセル50を挟むように、頭頸部領域並びに腰及び背部領域にエアセル10が配置されている。これらのエアセル10、50は、全て同一のエア系統(静止系統)に接続され、内圧を一定に維持した状態で使用される。
ここで、内圧が等しく、断面の径が異なる円筒状の2つのエアセルの円周方向における釣り合いを考える。2つのエアセルのうち、第1のエアセルの直径をd、第1のエアセルに対する円周方向の外力をf、第2のエアセルの直径をd(d>d)、第2のエアセルに対する円周方向の外力をf、第1及び第2のエアセルの内圧をpとし、円筒の軸方向の単位長さをLとすると、次式(1)、(2)が成り立つ。
=πd・L・p …(1)
=πd・L・p …(2)
式(1)、(2)より、次式(3)が成り立つ。
/d=f/d …(3)
>dであるから、式(3)より、F>Fとなる。これは、円筒状のエアセルにおいては、内圧が同じ場合、直径が大きいほど、大きな外力に対して形状を維持することが可能となることを表す。言い換えると、直径が大きいほどエアセルの保持力が大きい。つまり、エアセル10、50の間においては、エアセル10の保持力は、エアセル50の各小セル521、522の保持力よりも大きいといえる。
エアマットレス4においては、保持力が比較的小さいエアセル50が臀部領域及び肩部領域に配置され、これらのエアセル50を挟むように、保持力が比較的大きいエアセル10が、頭頸部領域、腰及び背部領域、並びに大腿部領域に配置されているので、臀部や肩部のように荷重が集中し易い身体の部位であっても、ハンモック現象を生じさせることなく、身体を適度に沈み込ませた状態で支持することができる。従って、身体の各部への接触圧を低減させ、床ずれの発生を抑制することが可能となる。
また、各エアセル50においては、身体を支持する上段側の小セル521、522が、下段側の小セル511、512との接触面を介して、下段側の小セル511、512により2つの方向から支持される構造が形成されている。これにより、上方から小セル521、522にかかる荷重が、鉛直方向ではなく、2つの小セル511、512の方向に分散される。つまり、当該エアセル50に乗せられた身体の部分が、鉛直上方のみの力ではなく、2つの小セル511、512の方向から受ける力によって支持されるので、当該部分への接触圧が分散される。従って、床ずれ抑制効果をさらに高めることができる。また、エアセル50にかかる荷重が分散されることから、内圧を低めに設定した場合であっても、底付きを抑制することが可能となる。
さらに、エアマットレス4においては、保持力が比較的小さいエアセル50が足部領域に配置され、保持力が比較的大きいエアセル10が大腿部領域及び下腿部領域に配置されているので、下肢の体重を大腿部領域及び下腿部領域において分散して支持することができる。それにより、下肢の端部である足部への体重の集中を抑制することができるので、踵や踝など足部の骨突出部位への接触圧を低減させ、床ずれの発生を抑制することが可能となる。
(第5の実施形態)
図21は、本発明の第5の実施形態に係るエアマットレスを模式的に示す側面図である。図21に示すように、本実施形態に係るエアマットレス5は、ベッドボトム10に並設された複数のエアセル10、30、50を備える。
エアマットレス5においては、臀部領域並びに下腿及び足部領域に複数のエアセル30が配置されている。また、臀部領域に配置されたエアセル30を挟むように、腰部領域及び大腿部領域に複数のエアセル50が配置されている。頭部〜背部領域及び膝部領域には、複数のエアセル10が配置されている。
ここで、エアセル30及びエアセル50の支持面を対比すると、エアセル30の支持面にはプリーツが形成されている。これに対し、エアセル50の支持面はプリーツのない、フラットな状態となっている。そのため、プリーツによる変形する余地が大きいエアセル30と比較して、エアセル50の保持力は大きい。
エアマットレス5においては、保持力が比較的小さいエアセル30が臀部領域に配置され、これらのエアセル30を挟むように、保持力が比較的大きいエアセル50が腰部領域及び大腿部領域に配置されている。そのため、臀部のように荷重が集中し易い身体の部位であっても、ハンモック現象を生じさせることなく、身体を適度に沈み込ませた状態で支持することができる。従って、身体の各部への接触圧を低減させ、床ずれの発生を抑制することができる。
また、エアマットレス5においては、下腿及び足部領域にもエアセル30が配置されているので、踵や踝のように局所的に突出する部位であっても、支持面に形成された凹部によって包み込むように支持することができる。
(実施例)
床ずれが発生している3名の患者(使用者)に、医師による管理の下、実施例に係るエアマットレスを使用してもらい、床ずれの経過を観察した。
図22〜図27は、使用者の床ずれの経過観察結果を示すグラフである。このうち、図22、図24、図26は、皮膚が欠損している部分(創)のサイズの変化を示す。図23、図25、図27は、創の周囲のポケットのサイズの変化を示す。ここで、ポケットとは、「皮膚欠損部より広い創腔」のことである(一般社団法人日本褥瘡学会ホームページより。<http://www.jspu.org/jpn/journal/yougo.html#pocket>)。図22〜図27の縦軸は、創又はポケットの長径(mm)と短径(mm)を掛け合わせた面積値(mm2)を示す。また、図22〜図27の横軸は、実施例及び比較例に係るエアマットレスを使用した経過日数を示し、実施例に係るエアマットレスの使用開始日をゼロとしている。即ち、経過日数がマイナスの時期は、比較例に係るエアマットレスを使用していた時期であり、経過日数がプラスの時期は、実施例に係るエアマットレスを使用していた時期である。なお、図22〜図27に示すグラフのうち、破線で示す部分は、測定を行わなかったためデータが得られていない部分である。
図22及び図23は、使用者Aさんの床ずれの経過観察結果を示すグラフである。
使用者Aさんが使用した実施例1に係るエアマットレスの構成は以下のとおりである。
頭部領域〜頸部領域 :エアセル40(5本、図10〜図12参照)
肩部領域 :エアセル30(3本、図7〜図9参照)
腰及び背部領域 :エアセル20(3本、図4〜図6参照)
臀部領域 :エアセル30(4本、図7〜図9参照)
大腿部領域〜膝部領域:エアセル20(5本、図4〜図6参照)
下腿及び足部領域 :エアセル40(4本、図10〜図12参照)
各エアセルの厚さは13cmであり、全てのエアセルの内圧を均等且つ一定に維持した。
また、使用者Aさんは、実施例1に係るエアマットレスを使用する前に、比較例に係るエアマットレスとしてX社製のエアマットレス製品x1を約1年間使用していた。製品x1は、球面状の凸部が表面全体に形成されたマットレスが3層に重ねられた製品であり、トータルの厚みは16cmである。製品x1は、最上層及び2番目の層の内圧を順次切り替える圧切替型として使用される。
Aさんには、床ずれの測定を開始した当初(経過日数=−294)、仙骨部に創サイズが40mm2、ポケットのサイズが598mm2の床ずれが発生していた。製品x1を使用している間の一時期、改善の傾向が見られたが、その後、再び創及びポケットのサイズが拡大してしまった。しかしながら、使用するエアマットレスを実施例1に係るエアマットレスに交換したところ、図22及び図23に示すように、創サイズ及びポケットのサイズ共に、急速に縮小した。
図24及び図25は、使用者Bさんの床ずれの経過観察結果を示すグラフである。
使用者Bさんが使用した実施例2に係るエアマットレスの構成は以下のとおりである。
頭部領域〜頸部領域 :エアセル20(5本、図4〜図6参照)
肩部領域 :エアセル30(2本、図7〜図9参照)
腰及び背部領域 :エアセル20(3本、図4〜図6参照)
臀部領域 :エアセル30(4本、図7〜図9参照)
大腿部領域〜足部領域:エアセル20(9本、図4〜図6参照)
各エアセルの厚さは16cmであり、全てのエアセルの内圧を均等且つ一定に維持した。
また、使用者Bさんは、実施例2に係るエアマットレスを使用する前に、比較例に係るエアマットレスとしてY社製のエアマットレス製品yを約3週間使用していた。製品yは、図3に示すエアセル10と同様、2層構造を有するエアセルがマットレス全体に並設された製品であり、厚みは16cmである。製品yは、各エアセルの内圧を順次切り替える圧切替型として使用される。
Bさんには、床ずれの測定を開始した当初(経過日数=−21)、仙骨部に創サイズが1116mm2、ポケットのサイズが2800mm2の床ずれが発生しており、比較例に係るエアマットレスを使用している間、大きな改善は見られなかった。しかしながら、使用するエアマットレスを実施例2に係るエアマットレスに交換したところ、図24及び図25に示すように、創サイズは順調に縮小し、ポケットのサイズは急速に縮小した。そして、実施例2に係るエアマットレスの使用を開始してから42日経過時点で、創サイズが200mm2まで縮小し、ポケットについてはほぼ消失した。
図26及び図27は、使用者Cさんの床ずれの経過観察結果を示すグラフである。
使用者Cさんが使用した実施例3に係るエアマットレスの構成は以下のとおりである。
頭部領域 :エアセル40(3本、図10〜図12参照)
肩部領域〜腰及び背部領域:エアセル10(7本、図3参照)
臀部領域 :エアセル40(4本、図10〜図12参照)
大腿部領域〜足部領域 :エアセル10(9本、図3参照)
各エアセルの厚さは13cmであり、全てのエアセルの内圧を均等且つ一定に維持した。また、実施例3においては、臀部領域〜大腿部領域にかけて配置されたエアセル40及び4本のエアセル10の下方であって、隣接するエアセルの境界下の隙間に、直径約3cmの筒状のエアセルを配置した。
また、使用者Cさんは、実施例3に係るエアマットレスを使用する前に、比較例に係るエアマットレスとして、X社製のエアマットレス製品x2を約3ヶ月使用し、その後、Y社製のエアマットレス製品yを約3ヶ月使用していた。製品x2は、上述した製品x1と同様の構造を有し、自動体位変換機能が追加された製品である。
Cさんには、床ずれの測定を開始した当初(経過日数=−182)、仙骨部に創サイズが1026mm2、ポケットのサイズが5775mm2の床ずれが発生しており、比較例に係るエアマットレスを使用している間、改善しては再び拡大し、という状態を繰り返していた。使用するエアマットレスを製品x2から製品yに切り替えた際(経過日数=−98)、仙骨部の創サイズは1296mm2、ポケットのサイズは3190mm2であった。その後、使用するエアマットレスを実施例3に係るエアマットレスに交換したところ、図26及び図27に示すように、創サイズ及びポケットのサイズ共に、縮小傾向が続いている。
以上説明した本発明は、上記第1〜第5の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、上記第1〜第5の実施形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を構成することができる。例えば、上記第1〜第5の実施形態及び変形例に示した全構成要素からいくつかの構成要素を除外して良いし、上記第1〜第5の実施形態及び変形例に示した構成要素を適宜組み合わせても良い。
1、2、3、4、5 エアマットレス
10、20、30、40、50 エアセル
11、21、31、41、51、52 袋体
12、22、32、42 接続部材
21a、21b、31a、31b、41a、41b 側壁
23a、23b、33a、33b、43a、43b 溶着部
24、34、44 閉じ部
25、35、45 ホック
26、36、46 エア供給口
27、37、47 凸部
28、38、48…凹部
53 ギャップ領域
54 エア供給口
55 エア供給路
100 ベッドボトム
101 背ボトム
102 腰ボトム
103 脚ボトム
511、512、521、522 小セル

Claims (6)

  1. 複数のエアセルが並設されたエアマットレスであって、
    当該エアマットレスの長手方向の中心を含む第1の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行に並設された複数の第1のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、互いに対向する2つの側壁を有し、内部にエアを封入することにより当該エアマットレスの短手方向に細長い形状に膨張する袋体と、可撓性を有する材料により形成され、該袋体の内部に配置されて該2つの側壁に接続された接続部材と、を有する複数の第1のエアセルと、
    前記第1の領域の一方の側において隣接する第2の領域と、前記第1の領域の他方の側において隣接する第3の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行にそれぞれ並設された複数の第2及び第3のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、互いに対向する2つの側壁を有し、内部にエアを封入することにより当該エアマットレスの短手方向に細長い形状に膨張する袋体と、可撓性を有する材料により形成され、該袋体の内部に配置されて該2つの側壁に接続された接続部材と、を有する複数の第2及び第3のエアセルと、
    を備え、
    前記第1のエアセルと前記第2及び第3のエアセルとは、互いに、各接続部材が各袋体の2つの側壁に対して接続された位置、接続箇所の数、接続箇所の形状又は大きさ、及び接続された向きの少なくともいずれかにおいて異なっており、
    エアセル内に同じ内圧のエアを封入して使用者の身体が乗せられる面である支持面に同じ荷重をかけた場合に当該支持面の形状を維持する性能である保持力に関し、前記複数の第2及び第3のエアセルの各々の保持力が、前記複数の第1のエアセルの各々の保持力よりも大きい、エアマットレス。
  2. 複数のエアセルが並設されたエアマットレスであって、
    当該エアマットレスの長手方向の中心を含む第1の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行に並設された複数の第1のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより当該エアマットレスの短手方向に細長い形状に膨張する、複数の第1のエアセルと、
    前記第1の領域の一方の側において隣接する第2の領域と、前記第1の領域の他方の側において隣接する第3の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行にそれぞれ並設された複数の第2及び第3のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより当該エアマットレスの短手方向に細長い形状に膨張する複数の第2及び第3のエアセルと、
    を備え、
    エアセル内に同じ内圧のエアを封入して使用者の身体が乗せられる面である支持面に同じ荷重をかけた場合に当該支持面の形状を維持する性能である保持力に関し、前記複数の第2及び第3のエアセルの各々の保持力が、前記複数の第1のエアセルの各々の保持力よりも大きく、
    前記複数の第1のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、互いに対向する2つの側壁を有し、内部にエアを封入することにより膨張する第1の袋体と、可撓性を有する材料により形成され、前記第1の袋体の内部に配置され、前記第1の袋体の2つの側壁に複数の接続箇所において交互に接続された第1の接続部材と、を備え、
    前記複数の第2のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、互いに対向する2つの側壁を有し、内部にエアを封入することにより膨張する第2の袋体と、可撓性を有する材料により形成され、前記第2の袋体の内部に配置され、前記第2の袋体の2つの側壁に複数の接続箇所において交互に接続された第2の接続部材と、を備え、
    前記複数の第3のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、互いに対向する2つの側壁を有し、内部にエアを封入することにより膨張する第3の袋体と、可撓性を有する材料により形成され、前記第3の袋体の内部に配置され、前記第3の袋体の2つの側壁に複数の接続箇所において交互に接続された第3の接続部材と、を備え、
    前記第2の袋体への前記第2の接続部材の接続箇所の数及び前記第3の袋体への前記第3の接続部材の接続箇所の数は、前記第1の袋体への前記第1の接続部材の接続箇所の数よりも多い、エアマットレス。
  3. 前記複数の第1のエアセルの各々において、前記複数の接続箇所は、当該第1のエアセルの長手方向に沿って所定の間隔で1段に並び、且つ、前記第1の袋体の2つの側壁のうちの一方の側壁及び他方の側壁に対して交互に配置され、
    前記第2及び第3のエアセルの各々において、前記複数の接続箇所は、当該第2及び第3のエアセルの長手方向に沿って所定の間隔で2段に並び、且つ、該複数の接続箇所のうちの各段の接続箇所は、前記第2及び第3の袋体の2つの側壁のうちの一方の側壁及び他方の側壁に対して交互に配置されると共に、該2つの側壁の各々において1段目の接続箇所と2段目の接続箇所とが互い違いに配置されている、請求項2に記載のエアマットレス。
  4. 複数のエアセルが並設されたエアマットレスであって、
    当該エアマットレスの長手方向の中心を含む第1の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行に並設された複数の第1のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより当該エアマットレスの短手方向に細長い形状に膨張する、複数の第1のエアセルと、
    前記第1の領域の一方の側において隣接する第2の領域と、前記第1の領域の他方の側において隣接する第3の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行にそれぞれ並設された複数の第2及び第3のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより当該エアマットレスの短手方向に細長い形状に膨張する複数の第2及び第3のエアセルと、
    を備え、
    エアセル内に同じ内圧のエアを封入して使用者の身体が乗せられる面である支持面に同じ荷重をかけた場合に当該支持面の形状を維持する性能である保持力に関し、前記複数の第2及び第3のエアセルの各々の保持力が、前記複数の第1のエアセルの各々の保持力よりも大きく、
    前記複数の第1のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、互いに対向する2つの側壁を有する第1の袋体と、可撓性を有する材料により形成され、前記第1の袋体の内部に配置され、前記第1の袋体の2つの側壁に複数の接続箇所において交互に接続された接続部材と、を備え、内部にエアを封入することにより前記支持面に複数のプリーツが形成され、
    前記複数の第2及び第3のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより筒状に膨張する第2の袋体であって、当該エアマットレスの床面と略平行な向きとなるように該第2の袋体の内周面に架け渡され、該内周面のうち互いに対向する領域をつなぐ第2の接続部材が設けられた第2の袋体を備える、エアマットレス。
  5. 複数のエアセルが並設されたエアマットレスであって、
    当該エアマットレスの長手方向の中心を含む第1の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行に並設された複数の第1のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより当該エアマットレスの短手方向に細長い形状に膨張する、複数の第1のエアセルと、
    前記第1の領域の一方の側において隣接する第2の領域と、前記第1の領域の他方の側において隣接する第3の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行にそれぞれ並設された複数の第2及び第3のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより当該エアマットレスの短手方向に細長い形状に膨張する複数の第2及び第3のエアセルと、
    を備え、
    エアセル内に同じ内圧のエアを封入して使用者の身体が乗せられる面である支持面に同じ荷重をかけた場合に当該支持面の形状を維持する性能である保持力に関し、前記複数の第2及び第3のエアセルの各々の保持力が、前記複数の第1のエアセルの各々の保持力よりも大きく、
    前記複数の第2、第3のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより筒状に膨張する袋体を備え、
    前記複数の第1のエアセルの各々は、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより筒状に膨張する複数の袋体を備え、且つ、該膨張する複数の袋体は、前記複数の第2及び第3のエアセルのサイズよりもサイズが小さい小セルを用いて構成され、
    前記複数の第1、第2、第3のエアセルを膨張させた場合に、前記複数の第1のエアセルの各々における前記小セルの前記支持面の当該エアマットレスの短手方向に垂直な断面における曲率半径は、前記複数の第2及び第3のエアセルの各々の前記支持面の当該エアマットレスの短手方向に垂直な断面における曲率半径よりも小さい、エアマットレス。
  6. 前記第2の領域の前記第1の領域と反対側において隣接する第4の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行に並設された複数の第4のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより当該エアマットレスの短手方向に細長い形状に膨張し、各々の保持力が、前記複数の第2のエアセルの各々の保持力よりも小さい、複数の第4のエアセルと、
    前記第4の領域の前記第2の領域の反対側において隣接する第5の領域に、当該エアマットレスの短手方向と平行に並設された複数の第5のエアセルであって、各々が、可撓性を有するシート材により形成され、内部にエアを封入することにより当該エアマットレスの短手方向に細長い形状に膨張し、各々の保持力が、前記複数の第4のエアセルの各々の保持力よりも大きい、複数の第5のエアセルと、
    をさらに備える請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアマットレス。
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