●移動棚装置●
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる移動棚装置の実施の形態について説明する。
●移動棚装置の構成
図1は、本発明にかかる移動棚装置の実施の形態を示す外観図である。
移動棚装置Sは、一対のレール1a,1b(図4参照)と、1つの固定棚2と、2つの移動棚3A,3Bと、を有してなる。
2つの移動棚3A,3Bの構成は、それぞれ共通する。以下の説明において、各移動棚3A,3Bのそれぞれを区別する必要がないとき、それぞれを「移動棚3」と総称する。各移動棚3A,3Bが備える構成要素を区別するとき、移動棚3Aが備える構成要素の符号には「(A)」を、移動棚3Bが備える構成要素の符号には「(B)」を、それぞれ付す。
移動棚装置Sは、電力により移動棚3のそれぞれを独立に移動させて、移動棚3の移動後に、移動前の移動棚3が占めていた空間(領域)に通路を形成する電動式の移動棚装置である。
「通路」は、固定棚2や各移動棚3A,3Bへの物品の出し入れ作業に支障のない幅を有する領域である。通路は、移動棚3の前後に形成可能である。図1に示される例では、通路は、各移動棚3A,3Bが固定棚2側に収束することにより、移動棚3Bと壁W1との間に形成されている。「収束」は、複数の移動棚3同士が、互いに最も近づいた状態で所定の位置に集まることをいう。
以下の説明において、「前方」は、移動棚3が固定棚2から離れる方向(図1の紙面左方)である。「後方」は、移動棚3が固定棚2に近づく方向(図1の紙面右方)である。各移動棚3A,3Bは、前方から順に、移動棚3B、移動棚3Aの順で前後方向に並んで配置される。固定棚2は、移動棚3Aの後方に配置される。すなわち、移動棚3Aは固定棚2の前方に固定棚2に隣接して配置され、移動棚3Bは移動棚3Aの前方に移動棚3Aに隣接して配置される。
レール1a,1b(図4参照)は、移動棚3の移動を案内する。レール1a,1bは、床面Fに相互に平行に敷設される。
なお、本発明におけるレールの数は、「2」に限定されない。すなわち、例えば、レールの数は、「3」以上でもよく、「0」でもよい。つなり、本発明にかかる移動棚装置は、レールを備えない無軌条式(レールレス)の移動棚装置でもよい。
固定棚2は、物品を収納すると共に、各移動棚3の動作を制御する。固定棚2は、本発明における制御棚である。固定棚2は、レール1a、1bの一方側(図1の紙面右側)の端部に配置される。固定棚2は、商用電源4に接続されて、移動棚3に電力を供給する給電装置としての機能も有する。固定棚2の構成については、後述する。
移動棚3は、物品を収納すると共に、移動棚3の利用者などの操作に従ってレール1a,1b(図4参照)上を前後方向に移動する。移動棚3Aは、本発明における第1移動棚または第2移動棚として機能する。移動棚3Bは、移動棚3Aが本発明における第1移動棚として機能するとき本発明における第2移動棚として機能し、移動棚3Aが本発明における第2移動棚として機能するとき本発明における第1移動棚として機能する。移動棚3は、レール1a,1b上を前後方向に移動可能な状態でレール1a,1b上に設置される。移動棚3の構成については、後述する。
通常、移動棚3は、移動棚装置Sを上方から見た状態において、移動棚3の開口面がレール1a、1b(図4参照)に直交した状態で移動する。移動棚3の「開口面」とは、移動棚3の移動方向(前後方向)に向いて、移動棚3に物品を収納するために開口する面である。
移動棚装置Sは、固定棚2と移動棚3Aとの間と、移動棚3Aと移動棚3Bとの間と、が電源ケーブルや通信ケーブルで接続されない、ケーブルレス式の移動棚装置である。
なお、本発明にかかる移動棚装置の構成は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、移動棚装置は、固定棚に代えて、本発明における移動棚を備えてもよい。この場合、この移動棚は、本発明における制御棚であり、商用電源に接続される。
また、本発明にかかる移動棚装置において、各移動棚は、固定棚の制御により移動してもよい。すなわち、例えば、各移動棚は、利用者により固定棚が操作されたとき、固定棚からの信号に基づいて、移動してもよい。
さらに、本発明における移動棚や固定棚の数は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、移動棚の数は、「3以上」でもよい。また、固定棚の数は、複数でもよい。この場合、例えば、2つの固定棚は、移動棚を挟んでレールの両端に配置される。
さらにまた、本発明における固定棚は、レールの端部に配置されなくともよい。すなわち、例えば、固定棚は、レールの長さ方向における中央付近に配置されてもよい。
さらにまた、本発明にかかる移動棚装置は、固定棚と移動棚との間と、移動棚と移動棚との間と、が電源ケーブルや通信ケーブルで接続される、ケーブル式の移動棚でもよい。
●固定棚の構成
次に、固定棚2の構成について説明する。
図2は、固定棚2を正面から見た状態を模式的に示す模式正面図である。
図3は、固定棚2の機能ブロック図である。
図3において、実線矢印は電力の流れを表し、破線矢印は信号の流れを表す。
固定棚2は、枠体21と、複数の棚板22(22a,22b,22c,22d,22e,22f)と、制御部23と、電力部24と、通信部25と、操作部26と、表示部27と、を備える。
枠体21は、棚板22を支持すると共に、物品を収容する。枠体21は、台枠211と、複数の支柱212(212a,212b,212c)と、天板213と、2つの側板214(214a,214b)と、を備える。
台枠211は、支柱212を支持する土台である。支柱212は、天板213と、複数の棚板22a−22fと、を支持する。支柱212は、台枠211の左右方向(図2の紙面左右方向)の両端と中央それぞれに垂直に立てた状態で、前後方向(図2の紙面手前奥方向)に複数(例えば、3つ)配置される。天板213は、固定棚2に収納される物品を埃などから保護する。天板213は、支柱212の上端に取り付けられる。台枠211と支柱212と天板213とは、枠体21の骨組みを構成する。側板214は、物品を埃などから保護する。側板214a,214bは、枠体21の骨組みの左側面と右側面とに取り付けられる。枠体21の前面は、開口面である。
「物品」は、例えば、書籍、書類、備品など固定棚2や移動棚3に収納可能な有体物である。
棚板22は、物品が置かれる板である。各棚板22a−22fは、複数の支柱212の間に、任意の高さに取り付けられる。各棚板22a−22fは、枠体21に着脱可能である。
なお、棚板の数は、固定棚に物品を収容可能であればよく、「6」に限定されない。すなわち、例えば、棚板の数は、「5」以下でもよく、「6」を超えてもよい。また、固定棚は、棚板に代えて、または棚板と共に、物品を収容する容器などを備えてもよい。
制御部23は、電力部24と通信部25と表示部27それぞれの動作などの固定棚2全体の動作や、移動棚3の動作(例えば、後述する動作モードの変更など)を制御する。制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのマイクロプロセッサと、RAM(Read Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などのストレージと、により構成される。制御部23は、例えば、枠体21に収容される。
電力部24は、固定棚2における電力の制御などを行う。電力部24は、受電部241と、蓄電部242と、給電部243と、を備える。
受電部241は、商用電源4(図1参照)に接続されて、商用電源4からの電力を受け取る。受電部241は、例えば、電力用のコネクタやプラグなどである。受電部241は、例えば、台枠211の後面に配置される。
なお、受電部は枠体の後部に配置されればよく、受電部の配置は、台枠の後面に限定されない。
蓄電部242は、受電部241からの電力を蓄える。蓄電部242は、例えば、リチウムイオン電池などの電力の充放電が可能な二次電池を含む蓄電モジュールである。蓄電部242は、例えば、台枠211に収容される。
なお、蓄電部は枠体に収容されればよく、蓄電部の収容位置は台枠に限定されない。
給電部243は、受電部241を介する商用電源からの電力、または蓄電部242に蓄えられた電力を、隣接する移動棚3Aの後述する受電部341(図5参照)に供給する。給電部243は、例えば、電力用のコネクタである。給電部243は、例えば、台枠211の前面に配置される。
なお、給電部は枠体の前部に配置されればよく、給電部の配置は、台枠の前面に限定されない。
通信部25は、後述する移動棚3の通信部35(図5参照)と通信する。通信部25は、例えば、ZigBeeなどの無線通信方式を用いて、全ての移動棚3と通信可能な無線通信回路である。通信部25は、例えば、枠体21に収容される。
なお、通信部の配置は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、通信部は、枠体の上部や側部に配置されてもよい。
操作部26は、例えば、移動棚装置Sの管理者の操作に応じた信号を制御部23に出力する。
表示部27は、制御部23からの信号に基づいて、後述する各移動棚3の蓄電部342(図5参照)の蓄電量などを表示する。
操作部26と表示部27とは、例えば、1つのタッチパネル式の画面(モニタ、ディスプレイなど)で構成される。操作部26と表示部27とは、例えば、枠体21の側面に配置される。
●移動棚の構成
次に、移動棚3の構成について、移動棚3Aを例に挙げつつ説明する。
図4は、移動棚3を正面から見た状態を模式的に示す模式正面図である。
図5は、移動棚3の機能ブロック図である。
図5において、実線矢印は電力の流れを表し、破線矢印は信号の流れを表す。
移動棚3(3A)は、駆体31と、複数の棚板32(32a,32b,32c,32d,32e,32f)と、制御部33と、電力部34と、通信部35と、検知部36と、駆動部37と、操作部38と、を備える。
駆体31は、棚板32を支持すると共に、物品を収容する。駆体31は、台枠311と、複数の支柱312(312a,312b,312c)と、天板313と、2つの側板314(314a,314b)と、を備える。台枠311と支柱312と天板313と側板314それぞれの構成は、固定棚2の台枠211と支柱212と天板213と側板214それぞれの構成と共通する。
棚板32の構成は、固定棚2の棚板22の構成と共通する。
制御部33は、電力部34と通信部35と検知部36と駆動部37それぞれの動作など移動棚3全体の動作を制御すると共に、移動棚3の動作モードを切り替える。制御部33は、例えば、CPUなどのマイクロプロセッサと、RAM、ROMなどのストレージと、により構成される。動作モードについては、後述する。制御部33は、例えば、駆体31に収容される。
電力部34は、移動棚3における電力の受給や制御などを行う。電力部34は、受電部341と、蓄電部342と、給電部343と、電力制御部344と、を備える。
受電部341は、固定棚2の給電部243(隣接する移動棚3の給電部343)に接続するように構成され、給電部243からの電力を受け取る。受電部341は、例えば、電力用のコネクタなどである。受電部341は、例えば、台枠311の後面に配置される。
なお、受電部は駆体の後部に配置されればよく、受電部の配置は、台枠の後面に限定されない。
蓄電部342は、移動棚3の各構成(制御部33、通信部35、検知部36、駆動部37、操作部38)に供給される電力を蓄える。蓄電部342は、例えば、リチウムイオン電池などの電力の充放電が可能な二次電池を含む蓄電モジュールである。蓄電部342は、例えば、台枠311に収容される。蓄電部342は、本発明における第1蓄電池(第2蓄電池)の例である。
なお、蓄電部は駆体に収容されればよく、蓄電部の収容位置は台枠に限定されない。
給電部343は、受電部341を介する固定棚2(隣接する移動棚3)からの電力、または蓄電部342に蓄えられた電力を、隣接する移動棚3(3B)の受電部341(B)に供給する。給電部343は、例えば、電力用のコネクタである。給電部343は、例えば、台枠311の前面に配置される。
なお、給電部は枠体の前部に配置されればよく、給電部の配置は、台枠の前面に限定されない。
電力制御部344は、受電部341からの電力の蓄電部342への供給、蓄電部342に蓄えられた電力の給電部343への供給、蓄電部342に蓄えられた電力の制御部33と通信部35と検知部36と駆動部37とへの供給、を制御する。電力制御部344は、例えば、リレー回路などのスイッチ回路である。電力制御部344は、本発明における第1電力制御部(第2電力制御部)である。電力制御部344は、例えば、駆体31に収容される。
通信部35は、固定棚2と、隣接する移動棚と、通信する。通信部35は、主通信部351と副通信部352とを備える。通信部35は、例えば、駆体31に収容される。
主通信部351は、固定棚2の通信部25と通信する。主通信部351は、例えば、ZigBeeなどの無線通信方式を用いて通信可能な無線通信回路である。主通信部351は、本発明における第2通信装置として機能する場合がある。
副通信部352は、隣接する移動棚3(3B)の副通信部352(B)と通信する。副通信部352は、例えば、赤外線などの無線通信方式を用いて通信可能な無線通信回路である。すなわち、主通信部351と通信部25との間の通信の方式は、副通信部352(A)と副通信部352(B)との間の通信の方式と異なる。副通信部は、本発明における第1通信装置(第2通信装置)である。
なお、副通信部の通信の方式は、主通信部の通信の方式と同じでもよい。
また、通信部の配置は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、通信部は、駆体の上部や側部に配置されてもよい。
検知部36は、駆体31と、駆体31に隣接する隣接物(固定棚2、移動棚3B)と、の間の距離(以下「棚間隔」という。)を検知する。検知部36は、例えば、超音波センサである。検知部36は、本発明における第1センサ(第2センサ)である。検知部36の検知結果は、制御部33に送信される。検知部36は、例えば、駆体31の前部と後部それぞれに配置される。
「隣接物」は、移動棚3と共に移動棚3の前後に通路を形成する対象である。すなわち、例えば、移動棚3Aに対する隣接物は、移動棚3Aの前後方向に配置される棚(固定棚2、移動棚3B)である。一方、移動棚3Bに対する隣接物は、移動棚3Bの前後方向に配置される棚(移動棚3A)と、壁W1と、である。
なお、検知部は、後述する所定の測定頻度でのみ距離を測定してもよく、あるいは、制御部などの制御により測定頻度を変更して距離を測定しもよい。
駆動部37は、駆体31の移動と停止とを行う。駆動部37は、駆動制御回路371とモータ372とを備える。
駆動制御回路371は、制御部33からの信号(電力制御信号)に基づいて、モータ372の動作(回転数や回転方向など)を制御する。駆動制御回路371は、例えば、モータ372の制御基板である。駆動制御回路371は、本発明における第1駆動制御部(第2駆動制御部)である。駆動制御回路371は、例えば、モータ372に取り付けられる。
モータ372は、駆動制御回路371の制御に基づいて、駆体31を前後方向に移動させるために駆動する。モータ372は、例えば、DCモータである。モータ372は、本発明における第1モータ(第2モータ)である。モータ372は、例えば、台枠311に収容される。
操作部38は、移動棚3の前後に通路を形成するために移動棚装置Sの利用者により操作されるスイッチである。操作部38は、移動棚3の利用者の操作に応じた信号を制御部33に出力する。操作部38は、例えば、駆体31の左側の側板314aに配置される。操作部38は、前方移動スイッチ381と後方移動スイッチ382とを備える(図1参照)。
前方移動スイッチ381は、利用者が駆体31(移動棚3)の後方に通路を形成するときに、利用者に操作されるスイッチである。前方移動スイッチ381は、側板314a(図4参照)の後部であって利用者が操作しやすい高さに配置される。
後方移動スイッチ382は、利用者が駆体31(移動棚3)の前方に通路を形成するときに、利用者に操作されるスイッチである。後方移動スイッチ382は、図4に示されるように、側板314aの前部であって利用者が操作しやすい高さに配置される。
●移動棚装置の動作●
次に、移動棚装置Sの動作について、説明する。ただし、移動棚装置Sの動作は、以下の動作に限定されない。
●移動棚の動作モード
各移動棚3は、所定の動作モードに基づいて、蓄電部342の電力の管理を行う。動作モードは、待機モードと可動モードとを含む。動作モードは、例えば、制御部33により切り替えられる。
「可動モード」は、移動棚3が移動可能な状態となる動作モードである。移動棚3が可動モードのとき、蓄電部342からの電力は、制御部33と通信部35と操作部38とに加え、検知部36と駆動部37(駆動制御回路371)とにも供給される。換言すれば、電力制御部344は、動作モードが可動モードのとき、蓄電部342に蓄えられた電力を検知部36と駆動部37とに供給する。すなわち、動作モードが可動モードのとき、通信部35は固定棚2と隣接する移動棚3と通信可能な状態であり、検知部36は移動棚3と隣接物との間の距離を所定の測定頻度で測定可能な状態であり、駆動部37は駆体31を即時移動可能な状態である。
「所定の測定頻度で測定」は、検知部36が、移動棚3と隣接物との間の距離を、移動棚3が移動可能な測定頻度(時間間隔)で測定することをいう。移動棚3が移動可能な測定頻度は、例えば、10msecである。この場合、例えば、検知部36が10msec以下の測定頻度で距離を測定しているとき、検知部36は、所定の測定頻度で距離を測定している。一方、検知部36が10msecより長い測定頻度(例えば、1min)で距離を測定しているとき、あるいは、検知部36が距離を測定していないとき、検知部36は、所定の測定頻度で距離を測定してない。
「待機モード」は、移動棚3が移動不可能な状態となる動作モードである。移動棚3が待機モードのとき、蓄電部342からの電力は、制御部33と通信部35と操作部38とに供給される。すなわち、動作モードが待機モードのとき、移動棚3は、固定棚2と、隣接する他の移動棚3と、の間の通信を実行可能な状態(すなわち、主通信部351と副通信部352とが起動している状態)である。つまり、動作モードが待機モードのとき、通信部35は固定棚2と隣接する移動棚3と通信可能な状態であり、検知部36は移動棚3と隣接物との間の距離を所定の測定頻度で測定不可能な状態であり、駆動部37は駆体31を即時移動不可能な状態である。
なお、動作モードが待機モードである移動棚において、蓄電部からの電力は、検知部に供給されてもよい。この場合、検知部は、所定の測定頻度で距離を測定してもよく、あるいは、所定の測定頻度で距離を測定しなくてもよい。また、検知部が所定の測定頻度で距離を測定していないとき、蓄電部からの電力は、駆動制御回路に供給されてもよい。
また、動作モードが待機モードである移動棚において、蓄電部からの電力は、制御部と通信部と操作部とのみに供給されてもよい。この場合、移動棚は、固定棚2と、隣接する他の移動棚3と、の間の通信のみを実行可能な状態である。
移動棚3の動作モードは、制御部33により、切り替えられる。すなわち、制御部33は、移動棚3の動作モードを切り替え可能である。動作モードは、通常、移動棚3が利用者に操作されていないとき、待機モードである。制御部33は、トリガとなる信号を受信したとき、動作モードを可動モードに切り替える。動作モードの切り替えの詳細と、トリガとなる信号と、については、後述する。
●移動棚装置の移動動作
次に、移動棚装置Sの移動動作について、固定棚2と移動棚3Aとの間に通路を形成する場合を例に説明する。
全ての移動棚3A,3Bが固定棚2に収束した状態(図1に示される状態)において、移動棚3Aの前方移動スイッチ381(A)が利用者により操作されたとき、移動棚3A,3Bは、前方(図1の紙面左方)に移動して、移動棚3Aと固定棚2との間に通路が形成される。このとき、各移動棚3A,3Bは、検知部36(A),36(B)(図5参照)の検知結果に基づいて、互いに所定の間隔を維持しながら移動する。
図6は、移動棚3Aと固定棚2との間に通路が形成された状態を示す外観図である。
図6に示される状態において、移動棚3Bの前方移動スイッチ381(B)が利用者により操作されたとき、移動棚3Bの前方(図6の紙面左方)に移動棚3Bが移動可能な空間が有れば、移動棚3Bが前方に移動して、移動棚3Bの後方(移動棚3Aの前方)に通路が形成される。一方、移動棚3Bの前方に移動棚3Bが移動可能な空間が無ければ、移動棚3Aと移動棚3Bとは移動せず、新たな通路は形成されない。
なお、移動棚3Bの前方に移動棚3Bが移動可能な空間が無い状態において、移動棚3Bの前方操作スイッチが利用者により操作されたとき、移動棚3Aが後方に移動して、移動棚3Bの後方(移動棚3Aの前方)に通路が形成されてもよい。
一方、図6に示される状態において、移動棚3Aの後方移動スイッチ382(A)が利用者により操作されたとき、移動棚3Aは、後方(図6の紙面右方)に移動して、移動棚3Aの前方(移動棚3Bの後方)に通路が形成される。
このように、前方移動スイッチ381(A),381(B)が利用者により操作されたとき、移動棚3の全部または一部は、前方移動スイッチ381(A),381(B)が操作された移動棚3の後方に通路を形成するように移動する。一方、後方移動スイッチ382(A),382(B)が利用者により操作されたとき、移動棚3の全部または一部は、後方移動スイッチ382(A),382(B)が操作された移動棚3の前方に通路を形成するように移動する。
なお、移動棚は、前方移動スイッチ、または後方移動スイッチが利用者により操作されている間のみ移動してもよく、前方移動スイッチ、または後方移動スイッチが利用者により一度操作(ワンタッチ)されたとき、所定の間隔の通路が形成されるまで移動してもよい。
●移動棚装置の給電動作
次に移動棚装置Sの給電動作について説明する。
移動棚装置Sは、利用者による操作、または、固定棚2の制御部23の制御により、各移動棚3を固定棚2に収束させて、各移動棚3の蓄電部342の充電を実行する給電動作を実行する。
給電動作において、固定棚2の給電部243は移動棚3Aの受電部341(A)に接続され、移動棚3Aの給電部343(A)は移動棚3Bの受電部341(B)と接続される。商用電源4または蓄電部242からの電力は、給電部243と受電部341(A)とを介して蓄電部342(A)に供給され、給電部343(A)と受電部341(B)とを介して蓄電部342(B)に供給される。このとき、商用電源4からの電力は、AC/DC変換器(不図示)により直流の電力に変換されて蓄電部242,342(A),342(B)に供給される。
●移動棚装置の通信
次に、移動棚装置Sの通信について、移動棚3Aの操作部38(例えば、前方移動スイッチ381)が利用者に操作される場合、すなわち、移動棚3Aが操作される場合を例に説明する。
図7は、移動棚装置Sの通信を説明する模式図である。
移動棚装置Sにおいて、固定棚2と移動棚3とは、通常、固定棚2の通信部25と、移動棚3Aの主通信部351(A)と移動棚3Bの主通信部351(B)それぞれと、の間の通信(以下「主通信」という。)により、通信する。主通信は、通信部25と主通信部351(A)との間の通信(以下「第1主通信」という。)と、通信部25と主通信部351(B)との間の通信(以下「第2主通信」という。)と、を含む。本実施形態において、副通信(赤外線など)の通信距離は、主通信(ZigBeeなど)の通信距離よりも短い。
一方、移動棚3Aと移動棚3Bとは、第1主通信と第2主通信との少なくともいずれか一方に異常が発生しているとき、副通信部352(A)と副通信部352(B)との間の通信(以下「副通信」という。)により、通信する。
「異常」は、通信部25と主通信部351(A)と主通信部351(B)のいずれかの故障や、携帯電話などからの電波の主通信への混信など、主通信が不通となる通信の態様(通信異常)である。
このように、移動棚装置Sの通信の態様は、主通信が正常に機能している場合と、主通信に異常が発生している場合と、で異なる。
●主通信が正常に機能している場合における移動棚装置の通信
先ず、主通信が正常に機能している場合における移動棚装置Sの通信について説明する。
図8は、主通信が正常に機能している場合における移動棚装置Sの通信のシーケンス図である。
移動棚3Aの操作部38(A)が利用者に操作される前、移動棚3Aと移動棚3Bそれぞれの動作モードは、待機モードである。
先ず、移動棚3Aの操作部38(A)が利用者に操作されたとき、制御部33(A)は、操作部38(A)が操作されたことを検知して、操作検知信号を生成する(S11A)。
「操作検知信号」は、移動棚3の操作部38が操作されたことを示す信号である。
次いで、制御部33(A)は、操作検知信号を主通信部351(A)に送信する。このとき、制御部33(A)は、操作検知信号を送信してからの時間のカウント(以下「第1カウント」という。)を開始する。
次いで、主通信部351(A)は、第1主通信により、操作検知信号を固定棚2の通信部25に送信する(S12A)。
なお、制御部は、操作部からの信号を受信したとき、移動棚の動作モードを待機モードから可動モードに切り替えてもよい。
次いで、操作検知信号を受信した通信部25は、操作検知信号を制御部23に送信する。操作検知信号を受信した制御部23は、復帰信号を生成して(S11)、復帰信号を通信部25に送信する。このとき、制御部23は、復帰信号を送信してからの時間のカウント(以下「第2カウント」という。)を開始する。
「復帰信号」は、いずれかの移動棚3が利用者により操作されたことを示す信号である。換言すれば、復帰信号は、固定棚2の指示により、移動棚3の動作モードを可動モードに切り替える信号である。復帰信号は、本発明における、操作部38が操作されたことに関連して生成される情報の例である。
次いで、通信部25は、第1主通信により復帰信号を移動棚3Aの主通信部351(A)に送信する(S12)と共に、第2主通信により復帰信号を移動棚3Bの主通信部351(B)に送信する(S13)。
次いで、復帰信号を受信した主通信部351(A)は、復帰信号を制御部33(A)に送信する。ここで、制御部33(A)は、復帰信号を受信する前に第1カウントが所定の閾値を超えたとき、第1主通信に異常が発生していることを検知する。一方、制御部33(A)は、第1カウントが所定の閾値を超える前に復帰信号を受信したとき、第1主通信は正常であることを検知する(S13A)。
復帰信号を受信した制御部33(A)は、移動棚3Aの動作モードを待機モードから可動モードに切り替える(S14A)。このとき、制御部33(A)は、第1カウントをリセットする。
また、動作モードが可動モードに切り替わったとき、蓄電部342(A)からの電力が検知部36(A)に供給されて、検知部36(A)は、所定の測定頻度で、移動棚3Aと固定棚2との間の距離と、移動棚3Aと移動棚3Bとの間の距離と、の測定を開始する(S15A)。駆動制御回路371(A)は、制御部33(A)からの電力制御信号に基づいて、モータ372(A)に電力を供給して、モータ372(A)の駆動を制御する。
次いで、制御部33(A)は、動作モードを可動モードに切り替えたことを示す応答信号を生成して(S16A)、応答信号を主通信部351(A)に送信する。主通信部351(A)は、第1主通信により、固定棚2の通信部25に応答信号を送信する(S17A)。
なお、既に動作モードが可動モードに切り替えられているとき、制御部は、改めて動作モードを可動モードに切り替えてもよく(この場合、この段階での制御部による動作モードの切り替えは、空振りとなる)、あるいは、動作モードを切り替えなくてもよい。
一方、復帰信号を受信した主通信部351(B)は、復帰信号を制御部33(B)に送信する。復帰信号を受信した制御部33(B)は、移動棚3Bの動作モードを待機モードから可動モードに切り替える(S11B)。
ここで、動作モードが可動モードに切り替わったとき、検知部36(B)は、所定の測定頻度で、移動棚3Bと移動棚3Aとの間の距離と、移動棚3Bと壁W1との間の距離と、の測定を開始する(S12B)。駆動制御回路371(B)は、制御部33(B)からの信号に基づいて、モータ372(B)に電力を供給して、モータ372(B)の駆動を制御する。
次いで、制御部33(B)は、動作モードを可動モードに切り替えたことを示す応答信号を生成して(S13B)、応答信号を主通信部351(B)に送信する。主通信部351(B)は、第2主通信により、固定棚2の通信部25に応答信号を送信する(S14B)。
次いで、応答信号を受信した通信部25は、応答信号を制御部23に送信する。応答信号を受信した制御部23は、第2カウントをリセットする。
ここで、制御部23は、応答信号を受信する前に第2カウントが所定の閾値を超えたとき、第2カウントに対応する主通信に異常が発生していること(通信の状態)を検知する(S14)。一方、制御部23は、第2カウントが所定の閾値を超える前に応答信号を受信したとき、第2カウントに対応する主通信が正常であること(通信の状態)を検知する(S14)。
次いで、制御部23は、第1主通信と第2主通信とが正常であることを示すシステム情報を生成して(S15)、同システム情報を通信部25に送信する。通信部25は、第1主通信により、システム情報を主通信部351(A)に送信する(S16)と共に、第2主通信により、システム情報を主通信部351(B)に送信する(S17)。
次いで、システム情報を受信した主通信部351(A)は、システム情報を制御部33(A)に送信する。システム情報を受信した制御部33(A)は、システム情報を解析して、第2主通信が正常であること(通信の状態)を検知する(S18A)。この場合、制御部33(A)は、副通信部352(A)による通信を行わない。
一方、システム情報を受信した主通信部351(B)は、システム情報を制御部33(B)に送信する。システム情報を受信した制御部33(B)は、システム情報を解析して、第1主通信が正常であること(通信の状態)を検知する(S15B)。この場合、制御部33(B)は、副通信部352(B)による通信を行わない。
●第1主通信に異常が発生している場合における移動棚装置の通信
次いで、第1主通信に異常が発生している場合における移動棚装置Sの通信について説明する。
図9は、第1主通信に異常が発生している場合における移動棚装置Sの通信のシーケンス図である。同図において、破線矢印に付した「×」は、異常が発生している主通信(本説明では、第1主通信)を表す(以下同じ)。
第1主通信と第2主通信とが正常な場合における移動棚装置Sの通信のうち、操作検知信号を送信するまでの移動棚3Aの動作(S11A−S12A)は、第1主通信に異常が発生している場合における移動棚装置Sの通信に共通するため、説明を省略する。
第1主通信に異常が発生している場合、主通信部351(A)からの操作検知信号は、通信部25に受信されない。そのため、固定棚2は、移動棚3Aの操作部38(A)が操作されたことを把握できず、復帰信号の送信も行わない。したがって、制御部33(A)は、復帰信号を受信せず、第1カウントを継続する。一方、制御部33(B)も復帰信号を受信せず、移動棚3Bの動作モードを待機モードに維持する。
制御部33(A)は、復帰信号を受信する前に第1カウントが所定の閾値を超えたとき、第1主通信に異常が発生していることを検知する(S21A)。その結果、制御部33(A)は、移動棚3Aの動作モードを待機モードから可動モードに切り替える(S22A)。
また、動作モードが可動モードに切り替わったとき、検知部36(A)は、所定の測定頻度で、移動棚3Aと固定棚2との間の距離と、移動棚3Aと移動棚3Bとの間の距離と、の測定を開始する(S23A)。駆動制御回路371(A)は、制御部33(A)からの信号に基づいて、モータ372(A)に電力を供給して、モータ372(A)の駆動を制御する。
次いで、制御部33(A)は、個別復帰信号を生成して(S24A)、個別復帰信号を副通信部352(A)に送信する。このとき、制御部33(A)は、第1カウントをリセットする。
「個別復帰信号」は、移動棚3の動作モードを可動モードに切り替える、隣接する移動棚3(操作部38が操作された移動棚3)からの信号である。個別復帰信号は、本発明における、操作部38が操作されたことに関連して生成される情報の例である。
次いで、副通信部352(A)は、副通信部352(A)と移動棚3Bの副通信部352(B)との間の通信(副通信)により、副通信部352(B)への個別復帰信号の送信を開始する(S25A)。
ここで、副通信は、主通信よりも通信距離が短い。そのため、移動棚3Bが副通信の通信を可能とする距離(以下「副通信可能距離」という。)よりも移動棚3Aから離れている場合、移動棚3Aからの個別復帰信号は、移動棚3Bに到達しない。すなわち、副通信は、開始されない。この場合、移動棚3Aは、利用者の操作により移動棚3Bに向けて移動する間、個別復帰信号を定期的に送信する。移動棚3Aと移動棚3Bとの間の距離が副通信可能距離以下となったとき、個別復帰信号は移動棚3Bに受信されて、副通信が開始される。
「副通信可能距離」は、副通信部352(A)と副通信部352(B)との間で副通信を可能とする距離である。すなわち、例えば、移動棚3Aと移動棚3Bとの間の距離が副通信可能距離より離れているとき、副通信は、接続されない(副通信は不可能な状態である)。一方、同距離が副通信可能距離以内のとき、副通信は、接続される(副通信は可能な状態である)。副通信可能距離は、例えば、後述する第1閾値α1より短く、かつ、後述する連動可能距離よりも長い距離である。
個別復帰信号を受信した副通信部352(B)は、個別復帰信号を制御部33(B)に送信する。制御部33(B)は、個別復帰信号を受信したとき、第2主通信に異常が発生していることを検知する(S21B)。
個別復帰信号を受信した制御部33(B)は、移動棚3Bの動作モードを待機モードから可動モードに切り替える(S22B)。このとき、制御部33(B)は、応答信号を主通信部351に送信しない。
動作モードが可動モードに切り替わったとき、検知部36(B)は、所定の測定頻度で、移動棚3Bと移動棚3Aとの間の距離と、移動棚3Bと壁W1との間の距離と、の測定を開始する(S23B)。駆動制御回路371(B)は、制御部33(B)からの信号に基づいて、モータ372(B)に電力を供給して、モータ372(B)の駆動を制御する。
なお、制御部は、主通信部を介して、応答信号を固定棚に送信してもよい。この場合、固定棚は、操作検知信号ではなく応答信号を移動棚から受信したことにより、いずれかの移動棚3との主通信(本実施の形態では、第1主通信)に異常が発生していることを検知可能である。
●第2主通信に異常が発生している場合における移動棚装置の通信
次いで、第2主通信に異常が発生している場合における移動棚装置Sの通信について説明する。
図10は、第2主通信に異常が発生している場合における移動棚装置Sの通信のシーケンス図である。
第1主通信と第2主通信とが正常な場合における移動棚装置Sの通信動作のうち、応答信号を送信するまでの移動棚3Aの動作(S11A−S17A)と、復帰信号を送信するまでの固定棚の動作(S11−S13)とは、第2主通信に異常が発生している場合における移動棚装置Sの通信動作に共通するため、説明を省略する。
第2主通信に異常が発生している場合、通信部25からの復帰信号は、主通信部351(B)に受信されない。そのため、移動棚3Bは、移動棚3Aの操作部38(A)が操作されたことを把握できず、動作モードの切り替えや応答信号の送信も行わない。したがって、制御部23は、応答信号を受信せず、第2カウントを継続する。
制御部23は、応答信号を受信する前に第2主通信に対応する第2カウントが所定の閾値を超えたとき、第2主通信に異常が発生していることを検知する。制御部23は、第1主通信は正常であるが第2主通信に異常が発生していることを示すシステム情報を生成して(S31)、同システム情報を通信部25に送信する。通信部25は、第1主通信により、システム情報を主通信部351(A)に送信する(S32)と共に、第2主通信により、システム情報を主通信部351(B)に送信する(S33)。
次いで、システム情報を受信した主通信部351(A)は、システム情報を制御部33(A)に送信する。システム情報を受信した制御部33(A)は、システム情報を解析して、第2主通信に異常が発生していることを検知する(S31A)。その結果、制御部33(A)は、個別復帰信号を生成して(S32A)、個別復帰信号を副通信部352(A)に送信する。このとき、制御部33(A)は、第1カウントをリセットする。
次いで、制御部33(A)は、個別復帰信号を副通信部352(A)に送信する。副通信部352(A)は、副通信部352(A)と移動棚3Bの副通信部352(B)との間の通信(副通信)により、副通信部352(B)への個別復帰信号の送信を開始する(S33A)。
個別復帰信号を受信した副通信部352(B)は、個別復帰信号を制御部33(B)に送信する。個別復帰信号を受信した制御部33(B)は、個別復帰信号を受信したとき、第2主通信に異常が発生していることを検知する(S31B)。
ここで、制御部33(B)は、移動棚3Bの動作モードを待機モードから可動モードに切り替える(S32B)。このとき、制御部33(B)は、応答信号を主通信部351に送信しない。
移動棚3Bの動作モードが可動モードに切り替わったとき、検知部36(B)は、所定の測定頻度で、移動棚3Bと移動棚3Aとの間の距離と、移動棚3Bと壁W1との間の距離と、の測定を開始する(S33B)。駆動制御回路371(B)は、制御部33(B)からの信号に基づいて、モータ372(B)に電力を供給して、モータ372(B)の駆動を制御する。
なお、移動棚3Aの制御部は、主通信部を介して、応答信号を固定棚に送信してもよい。この場合、固定棚は、操作検知信号ではなく応答信号を移動棚から受信したことにより、いずれかの移動棚3との主通信(本実施の形態では、第1主通信)に異常が発生していることを検知してもよい。
このように、主通信が正常の場合、固定棚2は、主通信により、移動棚3と通信する。このとき、移動棚3同士は、通信しない。一方、主通信に異常が発生している場合、固定棚2は、主通信により、主通信が正常な移動棚3と通信する。このとき、主通信に異常が発生している移動棚3は、副通信により、同移動棚3に隣接する主通信が正常な移動棚3と通信する。その結果、主通信の全部または一部に異常が発生している場合でも、移動棚装置Sは、主通信が正常な場合と同様に、移動棚3を動作させることを可能とする。
なお、以上説明した移動棚装置の通信は、利用者により移動棚(3B)が操作された場合においても、同様に動作する。
また、以上説明した移動棚装置の通信において、個別復帰信号を受信した移動棚の制御部は、同個別復帰信号に対する応答信号を生成して、副通信により、同個別復帰信号を送信した移動棚に送信してもよい。この場合、個別復帰信号を送信した移動棚の制御部は、個別復帰信号を送信してからの時間をカウントして、同カウントと所定の閾値との比較により、副通信の状態(正常または異常の発生)を検知してもよい。個別復帰信号を送信した移動棚の制御部は、カウントが所定の閾値を超えても応答信号を受信しないとき、副通信に異常が発生していることを検知して、駆動制御回路にモータの駆動を停止する処理を実行させてもよい。
さらに、以上説明した移動棚装置の通信において、移動棚の制御部は、個別復帰信号と共に操作検知信号を生成して、副通信により、個別復帰信号と操作検知信号とを隣接する移動棚に送信してもよい。この場合、操作検知信号を受信した移動棚は、隣接する移動棚の操作部が操作されたことを検知可能である。
●移動棚の動作
次に、移動棚3の動作について説明する。移動棚3の動作は、利用者により操作される移動棚3の動作(単独動作)と、単独動作している移動棚3に連動する動作(連動動作)と、を含む。以下の説明において、移動棚3Aは本発明における第1移動棚として動作し、移動棚3Bは本発明における第2移動棚として動作する。ここで、前述のとおり、移動棚3が利用者に操作される前、移動棚3Aと移動棚3Bそれぞれの動作モードは、待機モードである。
図11は、移動棚3の動作の例を示すフローチャートである。
先ず、制御部33は、トリガとなる信号の有無を検知する(S101)。
「トリガとなる信号」は、例えば、操作部38からの信号や、固定棚2からの復帰信号や隣接する移動棚3からの個別復帰信号などの動作モードを切り替える必要のある信号と、固定棚2からのステータス情報取得信号などの動作モードを切り替える必要のない信号と、を含む。
「ステータス情報」は、例えば、蓄電部342の蓄電量や、通信部35の状態などの移動棚3の状態を示す情報である。
トリガとなる信号を検知しないとき(S101の「No」)、制御部33は、動作モードを待機モードに維持して、トリガとなる信号の有無の検知を続ける。
トリガとなる信号を検知したとき(S101の「Yes」)、制御部33は、トリガとなる信号の内容を判定する(S102)。
トリガとなる信号が操作部38からの信号のとき(S102の「操作」)、制御部33は、移動棚3Aの単独動作を実行する(S200)。
トリガとなる信号が復帰信号または個別復帰信号のとき(S102の「(個別)復帰信号」)、制御部33は、移動棚3Aの連動動作を実行する(S300)。
一方、トリガとなる信号が操作部38からの信号、復帰信号または個別復帰信号ではないとき(S102の「No」)、制御部33は、待機モードを維持して、受信した信号に応じた動作を実行する(S400)。
●単独動作
次いで、移動棚3が単独動作する場合について説明する。以下の説明において、説明の便宜上、操作部38が信号を送信して、固定棚2が復帰信号を送信するまでの処理は、省略する。
図12は、移動棚3が単独動作する場合の例を示すフローチャートである。
先ず、制御部33は、前述した第1カウントが所定の閾値を超える前に固定棚2からの復帰信号を受信したか否かを判定する(S201)。
第1カウントが所定の閾置を超える前に復帰信号を受信したとき(S201の「Yes」)、制御部33は、主通信(第1主通信)が正常であることを検知して(S202)、第1カウントをリセットする。次いで、制御部33は、動作モードを待機モードから可動モードに切り替えて、第1主通信により、応答信号を固定棚2に送信する(S203)。
一方、第1カウントが所定の閾値を超える前に復帰信号を受信しなかったとき(S201の「No」)、制御部33は、主通信(第1主通信)に異常が発生していることを検知して(S204)、第1カウントをリセットする。次いで、制御部33は、動作モードを待機モードから可動モードに切り替えて、副通信により、個別復帰信号を隣接する移動棚3に送信する(S205)。
移動棚3の動作モードが可動モードに切り替わったとき、電力制御部344は、検知部36と駆動制御回路371とに電力を供給する。検知部36は、移動棚3と隣接物(固定棚2,移動棚3,壁W1)との間の距離の測定を開始する(S206)。検知部36は、所定の測定頻度で距離を測定する。
次いで、制御部33は、移動棚3と隣接物との間の距離と、第1閾値α1と、を比較する(S207)。
「第1閾値α1」は、移動棚3と隣接物との間に、移動棚3が十分な速度で移動可能な間隔(例えば、移動棚3が最高速度で移動可能な間隔)の限界を示す閾値である。換言すれば、第1閾値α1は、移動棚3と隣接物との間に、移動棚3が十分に移動可能な間隔が有るか否かを分ける境界値である。第1閾値α1は、例えば、制御部33のストレージに予め記憶されている。
移動棚3と隣接物との間の距離が第1閾値α1よりも長いとき(S207の「Yes」)、駆動制御回路371は、蓄電部342に蓄えられた電力をモータ372に供給して、モータ372の駆動(移動棚3の移動)を開始して、加速処理を実行する(S208)。
「加速処理」は、電力制御部344が制御部33からの電力制御信号に基づいてモータ372への電力の供給を制御することにより、移動棚3の移動速度を最高速度まで上げる処理である。加速処理は、利用者による操作部38の操作が終了する(S209の「操作終了」)、移動棚3の移動速度が最高速度へ到達する(S209の「速度」)、または、移動棚3と隣接物との間の距離が第1閾値α1以下となる(S209の「距離≦α1」)、のいずれかの条件が満たされるまで実行される(S209の「No」)。
「電力制御信号」は、電力制御部344のモータ372への電力の供給を制御する信号である。制御部33は、移動棚3と隣接物との間の距離に基づいて、電力制御信号を生成する。電力制御部344は、電力制御信号に基づいて、蓄電部342に蓄えられた電力をモータ372に供給する。
なお、「最高速度」は、移動棚3の移動速度のうち、安全マージンが考慮された速度範囲内における最高速度である。
移動棚3の移動速度が最高速度へ到達したとき(S209の「速度」)、駆動制御回路371は、利用者による操作部38の操作が終了する(S211の「操作終了」)、または、移動棚3と隣接物との間の距離が第1閾値α1以下となる(S211の「距離≦α1」)、のいずれかの条件が満たされるまで等速処理を実行する(S210)。
「等速処理」は、移動棚3の移動速度を最高速度に維持する処理である。
なお、加速処理や等速処理は、移動棚の移動速度が最高速度よりも遅い速度に維持されるように処理されてもよい。
移動棚3と隣接物との間の距離が第1閾値α1以下となったとき(S211の「距離≦α1」)、駆動制御回路371は、蓄電部342に蓄えられた電力のモータ372への供給を制御して、減速処理を実行する(S212)。
「減速処理」は、電力制御部344が制御部33からの信号に基づいてモータ372への電力の供給を制御することにより、移動棚3の移動速度を下げる処理である。
次いで、制御部33は、移動棚3と隣接物との間の距離と第2閾値α2とを比較する(S213)。
「第2閾値α2」は、移動棚3と隣接物との間に、移動棚3が僅かに(低速で)移動可能な間隔が存在することを示す閾値である。ここで、α2<α1である。第2閾値α2は、例えば、制御部33のストレージに予め記憶されている。
減速処理は、利用者による操作部38の操作が終了する(S213の「操作終了」)、または、移動棚3と隣接物との間の距離が第2閾値α2以下となる(S213の「距離≦α2」)まで実行される(S213の「No」)。
一方、移動棚3と隣接物との間の距離が第1閾値α1以下であるとき(S207の「No」)、制御部33は、移動棚3と隣接物との間の距離と第2閾値α2とを比較する(S214)。
移動棚3と隣接物との間の距離が第2閾値α2より長いとき(S214の「No」)、駆動制御回路371は、蓄電部342からの電力をモータ372に供給して、モータ372の駆動(移動棚3の移動)を開始して、移動棚3の移動速度を調節する速度調節処理を実行する(S215)。
「速度調節処理」は、移動棚3と隣接物との間の距離に基づいて、減速を考慮しながら移動棚3の移動速度を上下させる処理である。速度調節処理において、移動棚3の移動速度は、最高速度に到達しない。速度調節処理は、利用者による操作部38の操作が終了する(S216の「Yes」)、または、移動棚3と隣接物との間の距離が第2閾値α2以下となる(S216の「Yes」)、のいずれかの条件が満たされるまで実行される(S216の「No」)。
利用者による操作部38の操作が終了したとき(S209の「操作終了」,S211の「操作終了」,S213の「操作終了」,S214の「Yes」,S216の「Yes」)、または、移動棚3と隣接物との間の距離が第2閾値α2以下となったとき(S213の「距離≦α2」,S214の「Yes」,S216の「Yes」)、駆動制御回路371は、蓄電部342からモータ372への電力の供給を制御して停止処理を実行する(S217)。
「停止処理」は、移動棚3の速度に応じてモータ372への電力の供給を制御することにより、移動棚3を十分に減速させた後に、移動棚3の移動を停止させる処理である。
●連動動作
次いで、移動棚3が連動動作する場合について説明する。
図13は、移動棚3が連動動作する場合の例を示すフローチャートである。
先ず、制御部33は、トリガとなる信号が復帰信号か否かを判定する(S301)。
トリガとなる信号が復帰信号であるとき(S301の「Yes」)、制御部33は、主通信(第1主通信)が正常であることを検知する(S302)。次いで、制御部33は、動作モードを待機モードから可動モードに切り替えて、応答信号を固定棚2に送信する(S303)。
一方、トリガとなる信号が復帰信号でない(トリガとなる信号が個別復帰信号である)とき(S301の「No」)、制御部33は、主通信(第1主通信)に異常が発生していることを検知する(S304)。次いで、制御部33は、動作モードを待機モードから可動モードに切り替える(S305)。
動作モードが可動モードに切り替わったとき、電力制御部344は、検知部36と駆動制御回路371とに電力を供給する。検知部36は、移動棚3と隣接物(固定棚2,移動棚3,壁W1)との間の距離の測定を開始する(S306)。検知部36は、所定の測定頻度で距離を測定する。このとき、移動棚3が測定する距離は、隣接する移動棚3が接近してくる側の距離(以下「接近側距離」という。)と、その反対側の距離(以下「反対側距離」という。)と、を含む。
次いで、制御部33は、移動棚3と隣接物(移動棚3)との間の距離に変動があるか否かを判定する(S307)。同距離に変動がないとき(S307の「No」)、制御部33は、判定を続ける。同距離に変動があるとき(S307の「Yes」)、制御部33は、変動がある距離を接近側距離と判定して、接近側距離と第3閾値α3とを比較する(S308)。
「第3閾値α3」は、移動棚3と隣接物との間の距離(第1距離)が、連動開始距離となったことを示す閾値である。第3閾値α3は、例えば、制御部33のストレージに予め記憶されている。
「連動開始距離」は、接近してくる移動棚3に対して、移動棚3が連動する移動を開始する距離である。すなわち、連動開始距離は、移動棚3と、同移動棚3に接近してくる移動棚3との連動が開始される距離である。つまり、移動棚3は、連動開始距離まで隣接する移動棚3が接近してきたとき、同移動棚3に連動する移動を開始する。
接近側距離が第3閾値α3より長いとき(S308の「No」)、制御部33は、現状を維持する。接近側距離が第3閾値α3以下のとき(S308の「Yes」)、制御部33は、反対側距離と第1閾値α1とを比較する(S309)。
反対側距離が第1閾値α1より長いとき(S309の「Yes」)、駆動制御回路371は、モータ372に電力を供給して、加速・等速処理を実行して接近側距離が連動開始距離となる状態を維持するようにモータ372を駆動させる(S310)。
なお、駆動制御部は、移動棚3の加速時間を加味して、接近側距離が連動開始距離よりも少し短い距離となる状態を維持するようにモータを駆動させてもよい。
次いで、制御部33は、接近側距離と第3閾値α3とを比較すると共に、反対側距離と第1閾値α1とを比較する(S311)。接近側距離が第3閾値α3以下、かつ、反対側距離が第1閾値α1より長いとき(S311の「Yes」)、電力制御部344は、モータ372への電力の供給を維持する(隣接する移動棚3との連動を維持する)。
反対側距離が第1閾値α1以下となったとき(S311の「反対側距離≦α1」)、駆動制御回路371は、蓄電部342からの電力の供給を制御して、減速処理(S312)と停止処理(S316)とを実行する。減速処理から停止処理に至る移動棚3の動作は、単独動作における減速処理から停止処理に至る移動棚3の動作(S212,S213,S217)と同様である。
接近側距離が第3閾値α3より長くなったとき(S311の「接近側距離>α3」)、駆動制御回路371は、モータ372への電力の供給を制御して、停止処理を実行する(S316)。
一方、反対側距離が第1閾値α1以下であるとき(S309の「No」)、制御部33は、反対側距離と第2閾値α2とを比較する(S313)。
反対側距離が第2閾値α2より長いとき(S313の「Yes」)、駆動制御回路371は、速度調節処理を実行する(S314)。速度調節処理は、反対側距離が第2閾値α2以下となるまで実行される(S315の「No」)。
反対側距離が第2閾値α2以下であったとき(S313の「No」)、または、反対側距離が第2閾値α2以下となったとき(S315の「Yes」)、駆動制御回路371は、停止処理を実行する(S316)。速度調節処理から停止処理に至る移動棚3の動作は、単独動作における速度調節処理から停止処理に至る移動棚3の動作(S215−S217)と同様である。
なお、移動棚は、隣接する移動棚から個別復帰信号と共に操作検知信号を受信して、隣接する移動棚が自ら(移動棚)に接近するための操作を受けたことを検知してもよい。この場合、例えば、移動棚は、移動棚と操作された移動棚との間の間隔が第2閾値以下であり、かつ、その反対側の間隔が第2閾値より長いとき(移動棚が反対側に移動可能なとき)、操作された移動棚よりも先に移動を開始してもよい。次いで、移動棚は、移動棚と操作された移動棚との間の間隔を接近側間隔として、一部の連動動作(例えば、処理(S309−S316))を実行してもよい。
●主通信に異常が発生している場合における移動棚装置の動作
次に、主通信に異常が発生している場合における移動棚装置Sの動作について説明する。以下の説明において、第2主通信に異常が発生しており、移動棚3Aと移動棚3Bとの間の距離は副通信可能距離より長く、移動棚3Bと壁W1との間の距離は第1閾値α1より長く、各移動棚3A,3Bの動作モードは待機モードであり、利用者により移動棚3Aの前方移動スイッチ381(A)が操作されるものとする。この場合、前方移動スイッチ381(A)は、移動棚3Aを移動棚3Bに向かう方向に移動させるために操作される操作部として機能する。
図14は、主通信に異常が発生している場合における移動棚装置の動作の処理のうち、一部の処理を示すシーケンス図である。
利用者により移動棚3Aの前方移動スイッチ381(A)の操作が開始されると、制御部33(A)は、操作検知信号を生成する(S401A)。副通信部352(A)は、第1主通信により、操作検知信号を固定棚2に送信する(S402A)。このとき、制御部33(A)は、第1カウントを開始する。
次いで、操作検知信号を受信した制御部23は、復帰信号を生成する(S401)。通信部25は、第1主通信により、復帰信号を移動棚3Aに送信する(S402)と共に、第2主通信により、復帰信号を移動棚3Bに送信する(S403)。このとき、制御部23は、第2カウントを開始する。
次いで、復帰信号を受信した制御部33(A)は、第1主通信が正常であることを検知する(S403A)と共に、第1カウントをリセットする。このとき、制御部33(A)は、移動棚3Aの動作モードを待機モードから可動モードに切り替える(S404A)。
移動棚3Aの動作モードが可動モードに切り替わったとき、電力制御部344(A)は、蓄電部342(A)に蓄えられた電力を検知部36(A)と駆動制御回路371(A)とに供給する。その結果、検知部36(A)は、所定の測定頻度で、移動棚3Aと移動棚3Bとの間の距離(以下「第1距離」という。)と、移動棚3Aと固定棚2との間の距離(以下「第2距離」という。)と、の測定を開始する(S405A)。
また、制御部33(A)は、検知部36(A)の測定の結果(第1距離)に基づいて、電力制御部344(A)に電力制御信号を送信する。電力制御部344(A)は、制御部33(A)からの電力制御信号に基づいて、蓄電部342(A)に蓄えられた電力をモータ372(A)に供給し、モータ372(A)の駆動を開始する。その結果、移動棚3Aは、移動棚3Bに向かって移動を開始する(S406A)。
次いで、制御部33(A)は、応答信号を生成する(S407A)。副通信部352(A)は、第1主通信により応答信号を固定棚2に送信する(S408A)。
一方、第2主通信に異常が発生しているため、前述のとおり、移動棚3Bの制御部33(B)は復帰信号を受信せず、応答信号も送信しない。すなわち、移動棚3Bは、待機モードを維持する。
次いで、移動棚3Aからの応答信号のみを受信した制御部23は、第1主通信が正常であり、第2主通信に異常が発生していることを検知する(S404)。このとき、制御部23は、第2カウントをリセットする。
次いで、制御部23は、第1主通信は正常であり、かつ、第2主通信に異常が発生していることを示すシステム情報を生成する(S405)。通信部25は、第1主通信により、システム情報を移動棚3Aに送信する(S406)と共に、第2主通信により、システム情報を移動棚3Bに送信する(S407)。
図15は、主通信に異常が発生している場合における移動棚装置の動作の処理のうち、別の一部の処理を示すシーケンス図である。
次いで、システム情報を受信した制御部33(A)は、システム情報を解析して、第2主通信に異常が発生していることを検知する(S409A)。このとき、制御部33(A)は、個別復帰信号を生成する(S410A)。副通信部352(A)は、副通信により、個別復帰信号の送信を開始する(S411A)。
第1距離が副通信可能距離に到達するまで、移動棚3Aは移動棚3Bに向かって移動し、移動棚3Bは待機モードを維持する。
移動棚3Aがさらに移動して、第1距離が副通信可能距離に到達したとき(第1距離が副通信可能距離以下となったとき)、個別復帰信号が副通信部352(B)に受信され、副通信が開始される。副通信が開始されると、制御部33(B)は、個別復帰信号を受信する。個別復帰信号を受信した制御部33(B)は、第2主通信に異常が発生していることを検知する(S401B)。次いで、制御部33(B)は、移動棚3Bの動作モードを待機モードから可動モードに切り替える(S402B)。換言すれば、制御部33(B)は、検知部36(A)が測定した第1距離に基づいて、移動棚3Bの動作モードを待機モードから可動モードに切り替える。
移動棚3Bの動作モードが可動モードに切り替わったとき、電力制御部344(B)は、蓄電部342(B)に蓄えられた電力を検知部36(B)と駆動制御回路371(B)とに供給する。その結果、検知部36(B)は、所定の測定頻度で、移動棚3Bと移動棚3Aとの間の距離(第1距離)と、移動棚3Bと壁W1との間の距離(以下「第3距離」という。)と、の測定を開始する(S403B)。
移動棚3Aがさらに移動して、第1距離が連動開始距離(第3閾値α3)以下となったとき、制御部33(B)は、第1距離に基づいて、電力制御信号を電力制御部344(B)に送信する。電力制御部344(B)は、電力制御信号に基づいて、蓄電部342(B)に蓄えられた電力をモータ372(B)に供給する。その結果、移動棚3Aは、壁W1に向かって移動を開始する(S404B)。
このとき、電力制御部344は、制御部33(B)からの電力制御信号に基づいて(すなわち、第1距離に基づいて)、第1距離が連動開始距離となる状態を維持するように、蓄電部342(B)に蓄えられた電力をモータ372(B)に供給する。その結果、移動棚3Aは単独動作し、移動棚3Bは移動棚3Aと連動動作する。
次いで、利用者による前方移動スイッチ381(A)の操作が停止されると、前方移動スイッチ381(A)は、自らの操作が停止されたことを示す信号を制御部33(A)に送信する。
次いで、前方移動スイッチ381(A)からの信号を受信した制御部33(A)は、停止処理を実行する(S412A)。すなわち、制御部33(A)は、停止処理を実行するための電力制御信号を電力制御部344(A)に送信する。電力制御部344(A)は、電力制御信号に基づいて、蓄電部342(A)に蓄えられた電力のモータ372(A)への供給を制御して、モータ372(A)を減速させて、モータ372(A)の駆動を停止させる。その結果、移動棚3Aの移動は、停止する(S413A)。
次いで、制御部33(A)は、移動棚3Aの動作モードを可動モードから待機モードに切り替える(S414A)。換言すれば、制御部33(A)は、利用者による操作部38(A)の操作が停止されると、移動棚3Aの動作モードを可動モードから待機モードに切り替える。
移動棚3Aの移動が停止されたとき、第1距離は、連動開始距離よりも長くなる。その結果、移動棚3Bは、連動動作を終了して、停止処理を実行する(S405B)。すなわち、制御部33(B)は、停止処理を実行するための電力制御信号を電力制御部344(B)に送信する。電力制御部344(B)は、電力制御信号に基づいて、蓄電部342(B)に蓄えられた電力のモータ372(B)への供給を制御して、モータ372(B)を減速させて、モータ372(B)の駆動を停止させる。その結果、移動棚3Bの移動は、停止する(S406B)。
次いで、制御部33(B)は、移動棚3Bの動作モードを可動モードから待機モードに切り替える(S407B)。すなわち、制御部33(B)は、第1距離に基づいて、移動棚3Bの動作モードを可動モードから待機モードに切り替える。換言すれば、制御部33(B)は、利用者による操作部38(A)の操作が停止されると、移動棚3Bの動作モードを可動モードから待機モードに切り替える。
なお、単独動作する移動棚(3A)の移動が停止されたとき、同移動棚(3A)は、連動動作している移動棚(3B)と副通信により、その旨を通信してもよい。この場合、連動動作している移動棚は、同通信に基づいて、連動動作を終了してもよい。
このように、移動棚装置Sにおいて、移動棚3は、主通信に異常が発生しているとき、副通信により隣接する移動棚3と通信する。その結果、移動棚装置Sにおいて、主通信に異常が発生している場合であっても、各移動棚3は、主通信が正常な場合と同様に動作可能である。
●まとめ●
以上説明した実施の形態によれば、各移動棚3の動作モードが待機モードのとき、いずれかの移動棚3の操作部38の操作が開始されると、各移動棚3の制御部33は、動作モードを待機モードから可動モードに切り替える。一方、操作部38の操作が終了すると、各移動棚3の制御部33は、動作モードを可動モードから待機モードに切り替える。すなわち、移動棚装置Sでは、各移動棚3は、操作部38が操作されている間(動作モードが可動モードの間)のみ、検知部36と電力制御部344とに電力を供給する。つまり、移動棚装置Sでは、操作部38が操作されている間のみ、各移動棚3の検知部36は移動棚3と隣接物との間の距離を測定可能であり、各移動棚3のモータ372は駆動可能である。その結果、操作部38の操作の有無に関わらずセンサとモータとに電力が供給される場合と比較して、移動棚装置Sの省電力性能は、向上する。
また、以上説明した実施の形態によれば、主通信(第2主通信)に異常が発生しているとき、操作部38(A)の操作が開始されると、制御部33(A)は、移動棚3Aの動作モードを待機モードから可動モードに切り替える。一方、制御部33(B)は、第1距離に基づいて、移動棚3Bの動作モードを待機モードから可動モードに切り替える。すなわち、移動棚3は、いずれかの移動棚3の操作部38が操作されているとき、検知部36と電力制御部344とに電力を供給する。つまり、移動棚装置Sでは、主通信に異常が発生しているときにおいても、操作部38が操作されている間のみ、各移動棚3の検知部36は移動棚3と隣接物との間の距離を測定可能であり、各移動棚3のモータ372は駆動可能である。したがって、移動棚装置Sの省電力性能は、向上する。
さらに、以上説明した実施の形態によれば、主通信(第2主通信)に異常が発生し、かつ、第1距離が副通信可能距離以下になったとき、副通信は、開始される。次いで、制御部33(B)は、移動棚3Bの動作モードを待機モードから可動モードに切り替える。すなわち、移動棚装置Sでは、主通信に異常が発生しているとき、主通信に異常が発生している移動棚3の制御部33(B)は、主通信が正常な移動棚3Aの検知部36(A)による測定の結果(第1距離)に基づいて、移動棚3Bの動作モードを待機モードから可動モードに切り替える。一方、同制御部33(B)は、検知部36(B)による測定の結果(第1距離)に基づいて、移動棚3Bの動作モードを可動モードから待機モードに切り替える。このように、移動棚装置Sにおいて、移動棚3の動作モードは、主通信の異常の有無に関わらず、操作部38が操作されている間のみ、可動モードに切り替わる。その結果、移動棚装置Sの省電力性能は、向上する。
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、動作モードが可動モードに切り替わった後の各移動棚3は、固定棚2や他の移動棚3と通信することなく、単独動作、連動動作可能である。その結果、移動棚装置Sの動作の安定性は、向上する。また、移動棚3において、通信に関連する電力の消費が抑えられ、移動棚装置Sの省電力性能は、向上する。
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、検知部36の測定頻度が変更可能なとき、検知部36は、可動モードのときのみ所定の測定頻度で距離を測定する。そのため、待機モードにおける検知部36の消費電力を最低限に抑えつつ、移動棚装置Sは、安定的に動作可能である。すなわち、移動棚3において、検知部36に関連する電力の消費が抑えられ、移動棚装置Sの省電力性能は、向上する。
なお、以上説明した実施の形態では、固定棚2と移動棚3Aとの間の通信の方式は、固定棚2と移動棚3Bとの間の通信の方式と同じであった。これに代えて、固定棚と移動棚3Aとの間の通信の方式は、固定棚と移動棚3Bとの通信の方式と異なってもよい。
また、本発明における各移動棚は、移動棚と隣接する移動棚との間に形成される領域の物体(例えば、人や物などの障害物)の有無を検知する物体検知センサを備えてもよい。物体検知センサは、例えば、赤外線センサや超音波センサなどである。この場合、駆動制御回路は、物体検知センサの検知結果に基づいて、モータの駆動を制御してもよい。すなわち、例えば、移動棚の単独動作や連動動作において、駆動制御回路は、物体検知センサが物体を検知したとき、制御部からの信号に基づいて、モータの駆動を停止してもよい。また、例えば、移動棚装置の通信において、副通信部は、物体検知センサが物体を検知しないときのみ、隣接する移動棚の副通信部との間の通信を開始してもよい。このような構成によれば、移動棚装置は移動棚間に物体が無いときのみモータや副通信部に電力を供給するため、移動棚装置の省電力性能は、向上する。
さらに、例えば、移動棚が物体検知センサを備える場合において、電力制御部は、移動棚の動作モードが可動モードのときのみ、物体検知センサに電力を供給してもよい。この場合、移動棚装置の省電力性能は、更に向上する。
さらにまた、例えば、物体検知センサは、移動棚と隣接物との間の距離を測定するセンサとして機能してもよい。
以下、これまで説明した本発明にかかる移動棚装置の特徴をまとめて記載しておく。
(特徴1)
第1移動棚(例えば、移動棚3(3A))と、
前記第1移動棚に隣接して配置される第2移動棚(例えば、移動棚3(3B))と、
を有してなり、
前記第1移動棚は、
前記第1移動棚を前記第2移動棚に向かう方向に移動させるために操作される操作部(例えば、前方移動スイッチ381(A))と、
前記第1移動棚の動作モードを切り替える第1制御部(例えば、制御部33(A))と、
を備え、
前記第2移動棚は、
前記第2移動棚の動作モードを切り替える第2制御部(例えば、制御部33(A))、
を備え、
前記第1移動棚の前記動作モードは、
前記第1移動棚が移動可能な可動モードと、
前記第1移動棚が移動不可能な待機モードと、
を含み、
前記第2移動棚の前記動作モードは、
前記第2移動棚が移動可能な可動モードと、
前記第2移動棚が移動不可能な待機モードと、
を含み、
前記第1移動棚と前記第2移動棚それぞれの前記動作モードが前記待機モードのとき、前記操作部の操作が開始されると、
前記第1制御部は、前記第1移動棚の前記動作モードを前記可動モードに切り替えて、
前記第2制御部は、前記第2移動棚の前記動作モードを前記可動モードに切り替える、
ことを特徴とする移動棚装置。
(特徴2)
前記第1移動棚は、
前記第1移動棚と前記第2移動棚との間の距離を測定する第1センサ(例えば、検知部36(A))、
を備え、
前記第2移動棚は、
前記距離を測定する第2センサ(例えば、検知部36(B))、
を備える、
特徴1記載の移動棚装置。
(特徴3)
前記第1移動棚は、
前記第1移動棚を移動させるために駆動される第1モータ(例えば、モータ372(A))と、
前記第1モータの駆動を制御する第1駆動制御部(例えば、駆動制御回路371(A))と、
を備え、
前記第2移動棚は、
前記第2移動棚を移動させるために駆動される第2モータ(例えば、モータ372(B))と、
前記第2モータの駆動を制御する第2駆動制御部(例えば、駆動制御回路371(B))と、
を備え、
前記第1駆動制御部は、前記第1センサにより測定された前記距離に基づいて、前記第1モータの駆動を制御し、
前記第2駆動制御部は、前記第2センサにより測定された前記距離に基づいて、前記第2モータの駆動を制御する、
特徴2記載の移動棚装置。
(特徴4)
前記第2駆動制御部は、前記第2センサにより測定された前記距離が前記第2移動棚と前記第1移動棚との連動が開始される距離(例えば、連動開始距離)以下となったとき、前記第2モータの駆動を開始する、
特徴3記載の移動棚装置。
(特徴5)
前記第1移動棚は、
前記第1センサに供給される電力が蓄えられる第1蓄電池(例えば、蓄電部342(A))と、
前記第1蓄電池に蓄えられた電力の前記第1センサへの供給を制御する第1電力制御部(例えば、電力制御部344(A))と、
を備え、
前記第2移動棚は、
前記第2センサに供給される電力が蓄えられる第2蓄電池(例えば、蓄電部342(B))と、
前記第2蓄電池に蓄えられた電力の前記第2センサへの供給を制御する第2電力制御部(例えば、電力制御部344(B))と、
を備え、
前記第1電力制御部は、前記第1移動棚が前記可動モードのときにのみ、前記第1蓄電池に蓄えられた電力を、前記第1センサに供給し、
前記第2電力制御部は、前記第2移動棚が前記可動モードのときにのみ、前記第2蓄電池に蓄えられた電力を、前記第2センサに供給する、
特徴2記載の移動棚装置。
(特徴6)
前記第1制御部は、前記操作部の操作が停止されると、前記第1移動棚の前記動作モードを前記待機モードに切り替える、
特徴1記載の移動棚装置。
(特徴7)
前記第1制御部は、前記第1移動棚の移動が停止すると、前記第1移動棚の前記動作モードを前記待機モードに切り替える、
特徴6記載の移動棚装置。
(特徴8)
前記第2制御部は、前記操作部の操作が停止されると、前記第2移動棚の前記動作モードを前記待機モードに切り替える、
特徴1記載の移動棚装置。
(特徴9)
前記第2制御部は、前記第1移動棚の移動が停止すると、前記第2移動棚の前記動作モードを前記待機モードに切り替える、
特徴8記載の移動棚装置。
(特徴10)
前記第2移動棚は、
前記第1移動棚と前記第2移動棚との間の距離を測定する第2センサ、
を備え、
前記第2制御部は、前記第2センサにより測定された前記距離に基づいて、前記第2移動棚の前記動作モードを前記待機モードに切り替える、
特徴1または9記載の移動棚装置。
(特徴11)
前記第2移動棚は、
前記操作部が操作されたことに関連して生成される情報(例えば、復帰信号や個別復帰信号)を受信する第2通信装置(例えば、主通信部351(B)や副通信部352(B))、
を備え、
前記第2制御部は、前記第2通信装置が前記情報を受信したとき、前記第2移動棚の前記動作モードを前記可動モードに切り替える、
特徴1記載の移動棚装置。
(特徴12)
前記第1移動棚は、
前記第2通信装置と通信する第1通信装置(例えば、副通信部352(A))、
を備え、
前記第1通信装置と前記第2通信装置(例えば、副通信部352(B))との間の通信(副通信)は、前記操作部の操作に基づいて、開始される、
特徴11記載の移動棚装置。
(特徴13)
前記第2制御部は、前記第1センサにより測定された前記距離に基づいて、前記第2移動棚の前記動作モードを前記可動モードに切り替える、
特徴2記載の移動棚装置。
(特徴14)
前記第1移動棚は、
前記第2移動棚と通信する第1通信装置(例えば、副通信部352(A))、
を備え、
前記第2移動棚は、
前記第1移動棚と通信する第2通信装置(例えば、副通信部352(B))、
を備え、
前記第1通信装置と前記第2通信装置との間の通信(副通信)は、前記第1移動棚が移動して前記第1センサにより測定された前記距離が前記通信を可能とする距離(例えば、副通信可能距離)以下となったとき、開始され、
前記第2制御部は、前記通信が開始されると、前記第2移動棚の前記動作モードを前記可動モードに切り替える、
特徴13記載の移動棚装置。
(特徴15)
前記第1移動棚は、
前記第1移動棚と前記第2移動棚との間に形成される領域内の物体の有無を検知する物体検知センサ、
を有してなり、
前記第1駆動制御部は、前記物体検知センサの検知結果に基づいて、前記第1モータの駆動を制御する、
特徴3記載の移動棚装置。
(特徴16)
前記第1駆動制御部は、前記物体検知センサが前記物体を検知したとき、前記第1モータの駆動を停止する、
特徴15記載の移動棚装置。