JP6933321B2 - 測定セル及び測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば溶液中で振動する振動子の周波数変化を測定するための測定セル及び測定装置に関する。
近年、化学、物理、生化学、薬学、材料等の分野においては、水晶振動子を溶液に浸した状態で発振させ、その共振周波数の変化に基づいて物質の質量変化や膜厚、粘弾性係数等を測定するQCM(Quartz Crystal Microbalance)という技術が用いられている。
例えば特許文献1には、表面及び裏面に第1の電極及び第2の電極がそれぞれ配置された振動子と、当該振動子を振動可能に保持するセル本体とを備え、第1の電極をセル本体に収容された溶液に接触させた状態で発振する振動子の共振周波数の変化に基づいて、第1の電極上への物質の吸着量等を分析する方法が開示されている。
特許第4009221号公報
共振周波数の変化に基づく電極上への物質の吸着量計測は、大気中及び溶液中のいずれでも可能ではあるが、溶液中では更に溶液の粘性変化、pH変化、導電率変化、誘電率変化なども周波数変化の要因となる。したがって、溶液中のQCM測定で精度よく測定を行う場合は、上記の変化(溶液の粘性、pH、導電率、誘電率など)が起きない条件を作る、あるいは、上記の変化の影響を受けないセンサを用いることが望ましい。
例えば、水晶振動子には計測中に漏れ電界が生じる。大気中ではその漏れ電界による大気の電気的特性が変化することはないため無視できる。しかし、溶液中では、漏れ電界により溶液の電気的特性が変化しやすいため、その変化分を周波数変化として検知してしまうという問題がある。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、水晶振動子からの漏れ電界による測定への影響を抑制することができる測定セル及び測定装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る測定セルは、振動子と、筒状のセル本体と、端子ユニットと、導電性の環状シールド層とを具備する。
上記振動子は、溶液に接触可能な第1の電極面と、上記第1の電極面とは反対の第2の電極面とを有する。
上記セル本体は、上記第1の電極面の周縁部を液密に支持する環状支持部を有し、上記振動子を振動可能に支持する。
上記端子ユニットは、上記第1の電極面と上記第2の電極面とに電気的に接続される複数の端子を有し、上記セル本体に取り付けられる。
上記環状シールド層は、上記振動子の周囲に配置され、上記振動子及び上記溶液とは非接触で上記セル本体に取り付けられる。
上記測定セルは、振動子の周囲に配置された導電性の環状シールド層を備えているため、振動子の外側を回り込む漏れ電界を遮蔽することができる。これにより、振動子からの漏れ電界による測定への影響を抑制することができる。
上記環状支持部体は、典型的には、シール部材を有する。上記シール部材は、上記第1の電極面の周縁部を弾性的に支持する。この場合、上記環状シールド層は、上記シール部材の周囲に配置されてもよい。
これにより、振動子の外側を回り込む漏れ電界を効果的に遮蔽することができる。
上記セル本体は、上記環状支持部を有する第1の本体部と、上記第1の本体部と接続される第2の本体部とを有し、上記環状シールド層は、上記第1の本体部と上記第2の本体部との間に挟持されてもよい。
これにより、環状シールド層をセル本体へ容易に組み付けることができる。
上記環状シールド層は、典型的には、金属箔、金属膜又は金属板で構成される。環状シールド層は、繊維状、メッシュ状等であってもよい。
上記セル本体は、上記第1の電極面と接触する溶液を収容可能な液室をさらに有してもよい。
以上述べたように、本発明によれば、振動子からの漏れ電界による測定への影響を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係る測定セルの断面構造とこれを備えた測定装置を示す概略構成図である。 上記測定セルにおける振動子の構成を示す図であって、Aは、第1の電極面から見たときの平面図、Bは、Aにおける[B]−[B]線方向断面図、Cは第2の電極面から見たときの平面図である。 環状シールド層を備えていない比較例に係る測定セルにおける振動子近傍の漏れ電界の様子を模式的に示す側断面図である。 図3に示す測定セルの概略的な等価回路図である。 図1に示す測定セルの概略的な等価回路図である。 振動子の共振周波数のコンダクタンス波形(基本波)を示す説明図である。 実験例における振動子の共振周波数(Fs)の時間変化を示す図である。 実験例における振動子の半値半幅周波数(Fw)の時間変化を示す図である。 実験例における振動子の半値周波数(F2)の時間変化を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る測定セルの構成を示す概略断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る測定セルの構成を示す概略断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る測定セルの構成を示す概略断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る測定セルの構成を示す概略断面図である。 上記測定セルの概略的な等価回路図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る測定セル101の断面構造とこれを備えた測定装置100を示す概略構成図である。
[測定装置]
測定装置100は、測定セル101と、分析ユニット102と、制御ユニット103とを備える。
まず、測定装置100の概要について説明する。
測定セル101は、後述するように、測定対象である特定成分が溶解あるいは分散した溶液Lを収容し、溶液Lに一方の面(第1の電極面20A)が接する振動子20を発振可能に支持する。
分析ユニット102は、ネットワークアナライザやインピーダンスアナライザ等で構成され、制御ユニット103からの指令を受けて、測定セル101へ交流信号を印加し、振動子20を所定の共振周波数で発振させる。
溶液Lと接する振動子20の一方側の電極21は、溶液中に溶解あるいは分散した特定物質と反応し、あるいは当該特定物質を吸着することで、重量が増加する。これにより、振動子20の共振周波数が変化する。振動子20の周波数変化と吸着した特定物質の質量負荷との関係は、以下の(1)式(Sauerbreyの式)で表される。
Figure 0006933321
式(1)において、ΔFsは周波数変化量、Δmは質量変化量、f0は基本周波数、ρQは水晶の密度、μQは水晶のせん断応力、Aは電極面積、Nは定数をそれぞれ示している。
制御ユニット103は、典型的にはコンピュータで構成されており、分析ユニット102の動作を制御する。制御ユニット103は、分析ユニット102から測定セル101へ出力される周波数等を変化させることが可能に構成される。
制御ユニット103は、交流信号の周波数を所定範囲で変化させながら、コンダクタンスの最大値を所定の間隔で測定し、振動子20の共振周波数を求め、これらを記録する。なお、振動子20の共振状態では、コンダクタンスは極値をとる。
そして、制御ユニット103は、記録された共振周波数の測定値と共振周波数の初期値との差から得られる重量変動値に基づいて、溶液L中の特定成分の濃度を測定する。
[測定セル]
続いて、測定セル101の詳細について説明する。
測定セル101は、セル本体10と、振動子20と、端子ユニット30と、環状シールド層40とを有する。
セル本体10は、典型的には、合成樹脂材料等の電気絶縁材料で構成される。セル本体10は、全体的に筒状の形状を有し、本実施形態では、円筒形状に形成される。
セル本体10は、円筒状の第1の本体部11と、同じく円筒状の第2の本体部12とを有し、これらを軸方向に組み合わせることでセル本体10が構成される。第1の本体部11には溶液Lを収容する液室11sが形成され、第2の本体部12には端子ユニット30が着脱可能に取り付けられる。第1の本体部11と第2の本体部12との接続方法は特に限定されず、接着、溶着、ネジ止め、螺着等の適宜の手法が採用可能である。
第1の本体部11は、振動子20の周縁部を支持するための環状支持部13を有する。環状支持部13は、第1の本体部11における第2の本体部12との接続端部の近傍に設けられる。環状支持部13は、第1の本体部11の内周面から中心に向かって突出する環状のフランジ部で構成される。振動子20は、環状支持部13と端子ユニット30との間に挟持されることで、セル本体10に振動可能に支持されるとともに、液室11sの底部を形成する。
環状支持部13は、シール部材14を有する。シール部材14は、環状支持部13の底面に配置された環状の弾性体で構成される。環状支持部13は、シール部材14を介して振動子20の第1の電極面20Aの周縁部を弾性的かつ液密に支持する。
振動子20は、第1の電極21と、第2の電極22と、円板状の振動子本体23とを有する。第1の電極21は、振動子本体23の一方の主面に設けられ、第2の電極22は、振動子本体23の他方の主面に設けられる。振動子本体23の一方の主面と第1の電極21とにより第1の電極面20Aが構成され、振動子本体23の他方の主面と第2の電極22とにより第2の電極面20Bが構成される。
図2は、振動子20の構成を示す図であって、Aは、第1の電極面20Aから見たときの平面図、Bは、Aにおける[B]−[B]線方向断面図、Cは第2の電極面20Bから見たときの平面図である。
第1の電極21及び第2の電極22は、主電極部211,212と、接続端子部212,222と、連絡部213,223とを有する。主電極部211,212は、振動子本体23の中央部を挟んで相互に対向し、振動子本体23を圧電駆動させる電極層として構成される。接続端子部212,222は、第2の電極面20B上において振動子本体23の径方向に相互に対向し、端子ユニット30に電気的に接続可能に構成される。連絡部213,223は、主電極部211,212と接続端子部212,222との間をそれぞれ接続する。
なお、第1及び第2の電極21,22のパターン形状は図示の例に限られず、他の形状であってもよい。
振動子本体23は、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)等の圧電性を有する材料で構成され、本実施形態では水晶振動板で構成される。振動子本体23の基本周波数(固有振動数)は特に限定されず、例えば、4MHz〜64MHzである。
第1及び第2の電極21,22は、典型的には金属膜で構成され、例えば、金、銀、アルミニウム、チタン、クロム等で構成される。
なお振動子20には、弾性表面波素子(SAW:Surface Acoustic Wave)が採用されてもよい。
端子ユニット30は、端子台31と、複数の内部端子32と、複数の外部端子33とを有する。端子台31は、第2の本体部12の端部に着脱可能に取り付けられる。内部端子32は、端子台31の一方の面に接続され、振動子20の接続端子部212,222を介して第1及び第2の電極面20A,20Bに電気的に接続可能に構成される。内部端子32は、典型的には金属製コイルバネで構成され、振動子20をシール部材14に向けて押圧する付勢部材として機能する。外部端子33は、端子台31の他方の面に接続され、内部端子32を分析ユニット102へ電気的に接続する中継端子として機能する。
環状シールド層40は、振動子20の周囲に配置される。本実施形態において環状シールド層40は、第1の本体部11と第2の本体部12との間に配置されることで、シール部材14の外周側に位置する。これにより、環状シールド層40は、振動子20及び液室11s内の溶液Lとは非接触でセル本体10に取り付けられる。
環状シールド層40は、金属箔、金属膜、金属板等の導電性材料で構成され、本実施形態では銅箔である。環状シールド層40は、典型的には平面で形成されるが、曲面で形成されてもよい。さらに環状シールド層40は、周方向に連続して形成される場合に限られず、複数の導電性の小片が周方向に適宜の間隔をおいて配列されたものであってもよい。環状シールド層40が振動子20の周囲に配置されることで、振動子20の外側を回り込む第1及び第2の電極21,22間の電界の形成が阻止される。このように振動子20の外側に形成される電界ループの遮蔽作用が得られる限りにおいて、環状シールド層40は規則的あるいは不規則的な凹凸面(例えば、メッシュ状あるいは多孔性の面構造)を有していてもよい。
振動子20に対する環状シールド層40の相対位置は特に限定されず、振動子20の大きさ、環状シールド層40の幅(外径と内径との差)等に応じて適宜設定可能である。本実施形態において環状シールド層40は、測定セル101において、振動子20と同一の高さ位置に配置される。あるいは、環状シールド層40は、振動子20の高さ位置を基準として、例えば、±3mm以内の位置に配置される。これにより、振動子20の外側を回り込む漏れ電界のうち、電界密度が最も高い内周側の電気力線を効果的に遮蔽することができる。
環状シールド層40は、セル本体10とは別部材で構成されてもよいし、第1の本体部11あるいは第2の本体部12に一体的に設けられてもよい。環状シールド層40は、典型的には、図示しないグランドラインを介して接地電位に接続される。
環状シールド層40の内径及び外径は特に限定されず、本実施形態では、セル本体10の円筒部を構成する壁部の内径及び外径と同一又はほぼ同一の大きさに形成される。環状シールド層40の幅(外径と内径との差)は大きいほど好ましく、これにより振動子20の外側を回り込む電界のシールド効果を 高めることができる。環状シールド層40の厚みも特に限定されず、上述した電界の遮蔽作用が得られる範囲で適宜設定可能である。
図3は、環状シールド層40を備えていない測定セル200における振動子20近傍の漏れ電界の様子を模式的に示す側断面図である。図3に示すように振動子20の第1及び第2の電極21,22に交流信号を印加して振動子本体23を発振させたとき、第1及び第2の電極21,22の間には振動子20の内側に形成される漏れ電界E1(図中破線)と、振動子20の外側に形成される漏れ電界E2(図中二点鎖線)とが発生し得る。
漏れ電界E1,E2はいずれも溶液Lを通過するため、溶液Lの粘性変化やpH変化、導電率変化、誘電率変化などの影響を受け易く、振動子20の共振周波数の測定精度に与える影響が大きい。測定精度の向上を実現するためには、これら漏れ電界による影響を低減できることが望ましい。
本実施形態では、振動子20の外側に配置された環状シールド層40により振動子20の外側に形成される漏れ電界E2を遮蔽することが可能に構成される。これにより、溶液Lの粘性変化やpH変化、導電率変化、誘電率変化などの影響を低減して、振動子20の共振周波数の測定精度を高めることが可能となる。
図4は、図3に示す測定セル200の概略的な等価回路図であり、ブロックE10は漏れ電界E1に相当し、ブロックE20は漏れ電界E2に相当する。
なお、ブロックE10,E20は必ずしも厳密な等価回路ではなく、図示せずとも誘導成分(インダクタンス成分)が含まれてもよいし、容量成分及び抵抗成分の一部が誘導成分に置き換えられてもよい。
図5は、本実施形態の測定セル101の概略的な等価回路図である。図4と比較すると、ブロックE20の代わりに、環状シールド層40に相当するブロックE40が追加される。これにより、ブロックE20に起因する溶液の電気的な特性変動成分が分析ユニット102に入力されることを阻止して、振動子20の共振周波数の変化を高精度に測定することが可能となる。
[実験例]
本発明者らは、図1に示す本実施形態の測定セル101と、比較例として図3に示す(環状シール層を備えていない)測定セル200とを用いて、これら2つの測定セルにおける振動子20の共振周波数の測定精度の違いを評価した。ここでは、溶液に純水と食塩水とを用い、純水に食塩水を添加して溶液の導電率を高くしたときの振動子の周波数変化を測定した。電極への吸着が生じない(質量変化が起きない)実験系であり、得られる周波数変化は漏れ電界の電荷量と相関があることから、各測定セルの漏れ電界による電荷量の相対比較が可能である。
実験に用いた振動子20は、直径8.9mmの水晶振動板であり、その基本周波数は27MHz、主電極部211,212の直径は2.5mmである。測定セル101における環状シールド層40は、内径9mm、外径14mm、厚み0.2mmの銅箔とした。
図6は、振動子20の共振周波数のコンダクタンス波形(基本波)を示す説明図である。同図においてFsは共振周波数(コンダクタンスピーク)、F1及びF2は共振周波数Fsの半値コンダクタンスを与える半値周波数、Fwは共振周波数Fsのコンダクタンスの半値半幅をそれぞれ示している。
まず、各測定セルの液室に純水200μL注入して振動子20の周波数を測定し、周波数が安定したら純水に5Mの食塩水を5μL添加し、そのときの振動子20の周波数変化量を測定した。その結果を図7〜9に示す。
図7〜9において実線で示す「シールド層なし」は、比較例に係る測定セル200による測定結果を示し、破線で示す「シールド層あり」は、本実施形態に係る測定セル101による測定結果を示している。
純水に食塩水を添加したことで、溶液の導電率及び誘電率の値が変化する。比較例に係る測定セル200では、この変化が共振周波数Fsの変化として検知され、その変化量は約−200Hz程度であったのに対して、本実施形態の測定セル101では、共振周波数Fsの変化量は約−150Hz程度であった。
一方、共振周波数Fsの半値半幅周波数Fwによって、溶液の粘性変化を測定することができる。図8に示すように、半値半幅周波数Fwは、本実施形態及び比較例のいずれについても、約−110Hz程度とほぼ同じ値を示した。これは、溶液の導電率や誘電率の変化を検知せず、5Mの食塩水を5μL添加することで生じた溶液の粘性変化のみを測定しているため、どちらの測定セルでも同じ周波数値を示したものと考えられる。
さらに、高周波数側の半値周波数F2については、図9に示すように、比較例が−100Hz程度の変化を示したときに、本実施形態はその半分以下の約−40Hzの周波数変化量であった。F2は、溶液(ニュートン流体)の粘性変化を受けず、質量変化を主に検知する特長をもつ周波数である。この実験例は質量変化を伴う実験系ではないことから、Fs、F2は溶液が導電率・誘電率の値などが変化した影響で周波数変化を起こしていることがわかる。ただし、Fsは溶液の粘性変化の影響も加算されて受けている。
以上のとおり、本実施形態によれば、比較例に対して、溶液の電気的特性が変化したときの周波数変化量をFsで3/4以下、F2で1/2以下にすることができる。このことから、溶液の粘性変化や物質の吸着量、あるいは溶液の濃度等を精度よく分析することが可能となる。
<第2の実施形態>
図10は、本発明の第2の実施形態に係る測定セル201の構成を示す概略断面図である。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
本実施形態の測定セル201は、第1の本体部221と第2の本体部222とを有する円筒形状のセル本体220を有する点で第1の実施形態と共通するが、第1の本体部221の内径は第2の本体部222の内径よりも小さく形成されている点で、第1の実施形態と異なる。
セル本体220は、第1の本体部221と第2の本体部222との間の段差部が、振動子20の周縁部を支持する環状支持部223として構成される。振動子20は環状のシール部材224を介して環状支持部223に弾性的かつ液密に支持される。端子ユニット30は、第2の本体部222の内部に装着され、振動子20と電気的・機械的に接続される。環状シールド層240は、第1の実施形態と同様に、金属箔、金属膜、金属板等の導電材料で構成され、典型的には、接地電位に接続される。
環状シールド層240は、第1の本体部221と第2の本体部222との間に配置される。環状シールド層240は、第1の本体部221の第2の本体部222との接続端部に配置され、シール部材224の上面の一部に接している。つまり、環状シールド層240の内径は、シール部材224の外径よりも小さく設定されており、これにより環状シールド層240が振動子20及び溶液Lに対して非接触でセル本体220に装着されるとともに、環状シールド層240による漏れ電界の遮蔽面積の拡大が図られる。
以上のように構成される本実施形態の測定セル201によっても上述の第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。本実施形態によれば、環状シールド層40の幅(外径と内径との差)を大きくとることができるため、測定セルの大型化を回避しつつ外側への漏れ電界を効果的に遮蔽することができる。
<第3の実施形態>
図11は、本発明の第3の実施形態に係る測定セル301の構成を示す概略断面図である。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
本実施形態の測定セル301は、セル本体320が溶液Lを収容する容器Vの底部にシールリングSを介して液密に取り付けられる点で第1の実施形態と異なる。
セル本体320は、振動子20を支持する環状支持部323を有し、環状支持部323は、環状のシール部材324を介して振動子20の周縁部を弾性的かつ液密に支持する。環状シールド層340は、シール部材324の外側に配置され、振動子20及び溶液Lと非接触状態でセル本体320に取り付けられる。環状シールド層340は、第1の実施形態と同様に、金属箔、金属膜、金属板等の導電材料で構成され、典型的には、接地電位に接続される。
測定セル301は、容器Vの底部に取り付けられる例に限られず、容器Vの側部に取り付けられてもよい。つまり、容器V内の溶液Lに振動子20が接する位置であれば、測定セル301の容器Vへの取り付け位置は特に限定されない。
以上のように構成される本実施形態の測定セル301によっても上述の第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。本実施形態によれば、測定セル301を容器Vに取り付けて使用されるため、溶液Lを収容する独自の液室を不要とすることができる。これにより、測定セル301の小型化を図ることができる。
<第4の実施形態>
図12は、本発明の第4の実施形態に係る測定セル401の構成を示す概略断面図である。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
本実施形態の測定セル401は、セル本体420が溶液Lの液面Lsに設置されるように構成される点で、第1の実施形態と異なる。測定セル401は、溶液Lの液面Lsから所定の深さだけ浸漬させた状態で使用される。図示せずとも、測定セル401を液面Lsの上方で保持する治具が設置されてもよい。
セル本体420は、第1の本体部421と、第2の本体部422と、第3の本体部423との組み合わせ体で構成される。
第1の本体部421は、円筒形状を有する。第2の本体部422は、第1の本体部421の内部に嵌合する円筒部422aと、円筒部422aの一端部から径外方へ突出するフランジ部422bと、円筒部422aの一端部から径内方へ突出する環状支持部422cとを有する。フランジ部422bは、第1の本体部421の底部にシールリング425を介して取り付けられる。環状支持部422cは、環状のシール部材424を介して振動子20の第1の電極面(溶液Lと接する側の電極面)の周縁部を液密に支持する。フランジ部422bは、複数の締結具426を介して第1の本体部421に固定される。
第3の本体部423は、第2の本体部422の円筒部422aの内部に嵌合する中空円盤形状を有する。第3の本体部423の中空部には、振動子20が収容される。第3の本体部423は、第2の本体部422の環状支持部422cに対向するとともに、振動子20をシール部材424に向けて押圧する複数の端子430(端子ユニット)を支持する。第3の本体部423は必ずしも中空形状に形成される必要はなく、振動子20を収容する有底の凹部のみが形成されてもよい。
環状シールド層440は、第2の本体部422の環状支持部422cと第3の本体部423との間に配置される。環状シールド層440は、第1の実施形態と同様に、金属箔、金属膜、金属板等の導電材料で構成され、典型的には接地電位に接続される。
環状シールド層440は、第3の本体部423と同等の大きさの外径と、振動子20の外径よりも大きい内径とを有する。環状シールド層440は、シール部材424の外周側に配置される。これにより、環状シールド層440は、振動子20及び溶液Lに対して非接触でセル本体420に装着される。
以上のように構成される本実施形態の測定セル401によっても上述の第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。本実施形態によれば、測定セル401を容器Vに取り付けて使用されるため、溶液Lを収容する独自の液室を不要とすることができる。これにより、測定セル401の小型化を図ることができる。
<第5の実施形態>
図13は、本発明の第5の実施形態に係る測定セル501の構成を示す概略断面図である。以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
本実施形態の測定セル501は、振動子520の構成が第1の実施形態と異なる。本実施形態では、溶液Lと接する第1の電極521の直径は、反対側の第2の電極522の直径よりも大きく形成されている。これにより、振動子20の発振時において、振動子20の内側において溶液Lを通過する漏れ電界E1(図3参照)を遮蔽することが可能となる。一方、振動子20の外側に形成される漏れ電界(図3におけるE2)は第1の実施形態と同様に環状シールド層40により遮蔽される。
したがって、本実施形態の測定セル501によれば、溶液Lの粘性変化や導電率・誘電率変化の影響を受けることなく、振動子20の発振周波数の変化量を測定することが可能となる。測定セル501の概略的な等価回路を図14に示す。本実施形態によれば、図5と比較して、ブロックE10に相当する成分を除去されるため、測定精度の更なる向上を図ることが可能となる。
10,220,320,420…セル本体
11,221…第1の本体部
12,222…第2の本体部
13,223,323,422c…環状支持部
14,224,324,424…シール部材
20…振動子
20A…第1の電極面
20B…第2の電極面
21,521…第1の電極
22,522…第2の電極
23…振動子本体
30…端子ユニット
40,240,340,440…環状シールド層
100…測定装置
101,201,301,401…測定セル
102…分析ユニット
103…制御ユニット
L…溶液

Claims (6)

  1. 溶液に接触可能な第1の電極面と、前記第1の電極面とは反対の第2の電極面とを有する振動子と、
    前記第1の電極面の周縁部を液密に支持する環状支持部を有し、前記振動子を振動可能に支持する筒状のセル本体と、
    前記第1の電極面と前記第2の電極面とに電気的に接続される複数の端子を有し、前記セル本体に取り付けられる端子ユニットと、
    前記振動子の周囲に配置され、前記振動子及び前記溶液とは非接触で前記セル本体に取り付けられた導電性の環状シールド層と
    を具備する測定セル。
  2. 請求項1に記載の測定セルであって、
    前記環状支持部は、前記第1の電極面の周縁部を弾性的に支持するシール部材を有し、
    前記環状シールド層は、前記シール部材の周囲に配置される
    測定セル。
  3. 請求項1又は2に記載の測定セルであって、
    前記セル本体は、前記環状支持部を有する第1の本体部と、前記第1の本体部と接続される第2の本体部とを有し、
    前記環状シールド層は、前記第1の本体部と前記第2の本体部との間に挟持される
    測定セル。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の測定セルであって、
    前記環状シールド層は、金属箔、金属膜又は金属板で構成される
    測定セル。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の測定セルであって、
    前記セル本体は、前記第1の電極面と接触する溶液を収容可能な液室をさらに有する
    測定セル。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の測定セルを備えた測定装置。
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