図1は本発明に係る基板処理装置の一実施形態の概略構成を示す図である。より具体的には、図1(a)は本発明の一実施形態である基板処理装置1を示す平面図であり、図1(b)は基板処理装置1を示す側面図である。なお、これらの図は装置の外観を示すものではなく、装置の外壁パネルやその他の一部構成を除外することでその内部構造をわかりやすく示した模式図である。この基板処理装置1は、例えばクリーンルーム内に設置されて基板に対し所定の処理を施すための装置である。
ここで、本実施形態における「基板」としては、半導体基板、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板を適用可能である。以下では主として半導体基板の処理に用いられる基板処理装置を例に採って図面を参照して説明するが、上に例示した各種の基板の処理にも同様に適用可能である。
図1(a)に示すように、基板処理装置1は、基板Wに対して処理を施す基板処理部10と、この基板処理部10に結合されたインデクサ部20とを備えている。インデクサ部20は、基板Wを収容するための容器C(複数の基板Wを密閉した状態で収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、OC(Open Cassette)など)を複数個保持することができる容器保持部21と、この容器保持部21に保持された容器Cにアクセスして、未処理の基板Wを容器Cから取り出したり、処理済みの基板を容器Cに収納したりするためのインデクサロボット22と、ファンフィルタユニット23とを備えている。各容器Cには、複数枚の基板Wがほぼ水平な姿勢で収容されている。
ファンフィルタユニット23は、クリーンルーム内の雰囲気を取り込みさらに清浄化した上でインデクサ部20に導入することで、インデクサ部20に清浄空気のダウンフローを常時生じさせる。インデクサロボット22は、装置筐体に固定されたベース部221と、ベース部221に対し鉛直軸周りに回動可能に設けられた多関節アーム222と、多関節アーム222の先端に取り付けられたハンド223とを備える。ハンド223はその上面に基板Wを載置して保持することができる構造となっている。このような多関節アームおよび基板保持用のハンドを有するインデクサロボットは公知であるので詳しい説明を省略する。
基板処理部10は、平面視においてほぼ中央に配置されたセンターロボット15と、このセンターロボット15を取り囲むように配置された複数の基板処理ユニットとを備えている。具体的には、センターロボット15が配置された空間に面して複数の(この例では4つの)基板処理ユニット11A,12A,13A,14Aが配置されている。これらの基板処理ユニット11A〜14Aは、それぞれ基板Wに対して所定の処理を実行するものである。これらの機能は同一であってもよく、また異なっていてもよい。
後述するように、この実施形態の基板処理装置1は、基板Wの表面に昇華性物質を含む液体による液膜を形成してこれを凝固させることで基板Wの表面を昇華性物質の凝固膜で覆い、その後に凝固膜を昇華させることで基板を乾燥させる装置である。昇華乾燥技術は、例えば表面に微細な凹凸パターンが形成された基板から液体成分を除去し乾燥させる際に、液体の表面張力に起因するパターン倒壊を防止することのできる乾燥方法である。
4つの基板処理ユニットのうち2つの基板処理ユニット11A,12Aは、基板Wの表面に昇華性物質の凝固膜を形成するための処理(凝固処理)を担い、これを可能とするための構成を内部に備えている。また、他の2つの基板処理ユニット13A,14Aは、形成された昇華性物質の凝固膜を昇華させて基板Wを乾燥させるための処理(乾燥処理)を担い、これ可能とするための構成を内部に備えている。
各基板処理ユニット11A〜14Aでは、基板Wに対する処理を実行する基板処理主体が、センターロボット15に面する側面に開閉自在のシャッターが設けられた処理チャンバ内に収容されている。すなわち、基板処理ユニット11Aは、処理チャンバ110と、処理チャンバ110のセンターロボット15に面する側面に設けられたシャッター111とを有する。シャッター111は処理チャンバ110のセンターロボット15に面する側面に設けられた開口部(不図示)を覆うように設けられており、シャッター111が開かれると開口部が露出し、該開口部を介して基板Wの搬入および搬出が可能となる。また、処理チャンバ110内で基板Wに対する処理が実行される際には、シャッター111が閉じられることで、処理チャンバ110内の雰囲気が外部から遮断される。
同様に、基板処理ユニット12Aは、処理チャンバ120と、処理チャンバ120のセンターロボット15に面する側面に設けられたシャッター121とを有する。また、基板処理ユニット13Aは、処理チャンバ130と、処理チャンバ130のセンターロボット15に面する側面に設けられたシャッター131とを有する。また、基板処理ユニット14Aは、処理チャンバ140と、処理チャンバ140のセンターロボット15に面する側面に設けられたシャッター141とを有する。
そして、このように水平方向に配置された基板処理ユニットのセットが上下方向に複数段(この例では2段)配置されている。すなわち、図1(b)に示すように、基板処理ユニット11Aの下方には基板処理ユニット11Bが設けられている。基板処理ユニット11Bの構成および機能は、基板処理ユニット11Aと同じである。また、基板処理ユニット12Aの下方には、基板処理ユニット12Aと同一構成、同一機能の基板処理ユニット12Bが設けられている。同様に、基板処理ユニット13Aの下部にも基板処理ユニット13B(図2)が、また基板処理ユニット14Aの下部にも不図示の基板処理ユニットが設けられる。なお、基板処理ユニットの段数は、ここに例示する2に限定されず任意である。また1段当たりの基板処理ユニットの配設数も上記に限定されない。
図2はセンターロボットの構成および設置環境を示す図である。センターロボット15は、インデクサロボット22から未処理の基板Wを受け取ることができ、かつ処理済みの基板Wをインデクサロボット22に受け渡すことができる。より具体的には、センターロボット15は、基台部151と、昇降ベース152と、回転ベース153と、伸縮アーム154と、ハンド155とを備えている。基台部151は、基板処理部10の底部フレームに固定されており、センターロボット15の各構成を支持している。昇降ベース152は基台部151に取り付けられ、昇降ベース152の上部に回転ベース153が取り付けられている。昇降ベース152は鉛直方向に伸縮自在となっており、この伸縮運動により回転ベース153を昇降させる。
回転ベース153は、昇降ベース152に対して鉛直軸周りに回動可能となっている。回転ベース153には伸縮アーム154の基部が取り付けられ、伸縮アーム154の先端部にハンド155が取り付けられている。伸縮アーム154は水平方向に所定の範囲で伸縮する。ハンド155は、その上面に基板Wを載置して保持することができ、しかも、インデクサロボット22のハンド223との間で基板Wの受け渡しが可能な構造となっている。このような構造のハンド機構は公知であり、例えば本願出願人が先に開示した特開2014−063880号公報に記載されたものを適用することができる。
伸縮アーム154が水平方向に伸縮することで、ハンド155に保持した基板Wを水平方向に移動させることができる。また、回転ベース153が昇降ベース152に対し回動することで、基板Wの水平移動の方向を規定することができる。また、昇降ベース152が回転ベース153を昇降させることで、基板Wの高さ、すなわち鉛直方向位置を調整することができる。
上記のように構成された基板処理装置1では、次のようにして基板Wに対する処理が実行される。初期状態では、容器保持部21に載置された容器Cに未処理の基板Wが収容されている。インデクサロボット22は、容器Cから1枚の未処理基板Wを取り出してセンターロボット15に受け渡す。センターロボット15は、受け取った基板Wを、当該基板Wに対する処理を実行する基板処理ユニットに搬入する。
例えば基板処理ユニット11Aに基板Wを搬入する場合、図2に示すように、センターロボット15は、昇降ベース152により回転ベース153の高さを調整して、ハンド155に保持した基板Wを基板処理ユニット11Aの処理チャンバ110側面のシャッター111の高さに位置決めする。シャッター111が開かれ、伸縮アーム154が処理チャンバ110側面の開口部に向かって伸長することで、基板Wが処理チャンバ110へ搬入される。伸縮アーム154が退避した後、シャッター111が閉じられて、処理チャンバ110内で基板Wに対する処理が実行される。他の基板処理ユニットへの基板Wの搬入も同様にして行うことができる。
一方、基板処理ユニット11Aから処理済みの基板Wを取り出す際には、シャッター111が開かれた処理チャンバ110に伸縮アーム154が進入して処理済みの基板Wを取り出す。取り出された基板Wについては、他の基板処理ユニットに搬入されて新たな処理が実行されてもよく、またインデクサロボット22を介して容器Cに戻されてもよい。この実施形態における具体的な処理シーケンスについては後に詳しく説明する。
図2に示すように、センターロボット15は、側方および上方が隔壁101により外部空間から隔てられた搬送空間TSに設置されている。基板処理ユニット11Aは、処理チャンバ110のシャッター111等が設けられた側面を搬送空間TSに臨ませて隔壁101の側部に取り付けられている。他の基板処理ユニットも同様である。隔壁101の天井部分にはファンフィルタユニット102が設けられている。ファンフィルタユニット102は、クリーンルーム内の雰囲気を取り込みさらに清浄化した上で搬送空間TS内に導入することで、搬送空間TSに清浄空気のダウンフローを常時生じさせる。
また、搬送空間TS内でセンターロボット15の上方には、図示しない適宜の支持機構を介して冷却ユニット16が設けられている。冷却ユニット16は搬送空間TS外に設けられた圧空供給部171と接続されており、圧空供給部171から供給される圧縮空気を受け入れ熱分離により冷気と暖気とを出力する。概略筒状の冷却ユニット16のうち冷気を出力する一方端が下向きになるよう配置されており、冷却ユニット16から出力される冷気は下向きに吹き出される。一方、暖気を出力する他方端は適宜の配管を介して搬送空間TS外に設けられた排気部172に接続されており、出力される暖気は搬送空間TS外へ排出される。
図3は冷却ユニットの構成を示す図である。冷却ユニット16は、ボルテック・チューブ、ボルテックス・チューブ等と称される概略管状の部品であり、管内に送り込まれる圧縮空気が管内に生じさせる自由渦と強制渦とによる熱分離によって冷気と暖気とを生成するものである。次に説明するように、冷却ユニット16は可動部を持たず、また熱源を必要とせずに暖気と冷気とを生成することができるものである。
冷却ユニット16は内部に旋回室と呼ばれる空洞部161を有しており、空気導入口162を介して圧空供給部171から圧縮空気が空洞部161に送り込まれる。流入した空気は管部163の壁面に沿った旋回流(図に実線で示す)となって図の上向きに進行し、暖気吐出口164から外部へ放出される。気流の放出量はバルブ165によって制限されており、制限量を超える分の気流は管部163の軸心付近に生成される旋回流(図に破線で示す)として図の下向きに進行する。このときの旋回流は外側の旋回流に拘束される強制渦となり、自由渦との運動エネルギーの差が熱エネルギーとして放出される。これにより、外側の旋回流では温度上昇、内側の旋回流では温度低下がそれぞれ生じる。
このような原理により、冷却ユニット16の下端に開口する冷気吐出口166からは、熱エネルギーを失って低温となった空気(冷気)が搬送空間TS内でセンターロボット15の上方から下向きに吹き出される。詳しくは後述するが、こうして吹き出される冷気はセンターロボット15に保持される基板Wを冷却する作用を有する。一方、熱エネルギーを受け取って温まった空気(暖気)は暖気吐出口164から吹き出され、排気部172により図示しない配管を介して搬送空間TS外へ排出される。
暖気吐出口164から放出される空気の量はバルブ165の開度により制御され、これにより暖気の風量と冷気の風量との比率を変化させることができる。熱エネルギー保存則から明らかなように、冷気の温度を低くすると風量は少なくなり、風量を多くすると温度は高くなる。現在実用化されている製品では、室温よりも最大で数十度(摂氏温度)低い冷気を出力させることが可能である。後述するように、この実施形態では、低温状態の基板Wおよびその表面に形成された凝固膜の温度上昇を抑制する目的で冷却ユニット16が使用されており、液膜を凝固させるだけの冷却能力は必要とされない。上記原理の冷却ユニットはこのような用途に好適に使用可能である。
上記の他、基板処理装置1には、装置各部の動作を制御するための制御ユニット90が設けられている。制御ユニット90は、少なくともCPU(Central Processing Unit)91と、メモリ92とを含む。CPU91は、予め用意された制御プログラムを実行することで、装置各部に所定の動作を実行させる。また、メモリ92は、CPU91が実行すべき制御プログラムや、その実行により生じるデータ等を記憶する。上記したインデクサロボット22およびセンターロボット15の動作、各処理チャンバにおけるシャッターの開閉、圧空供給部171、排気部172等の動作は、制御プログラムを実行するCPU91によって制御される。
図4は凝固処理を実行する基板処理ユニットを示す図である。より具体的には、図4(a)は基板処理ユニット11Aの構成を示す図であり、図4(b)および図4(c)は基板処理ユニット11Aの動作を説明するための図である。ここでは基板処理ユニット11Aの構成について説明するが、凝固処理を実行する他の基板処理ユニット11B,12A等の構成も基本的に同じである。
基板処理ユニット11Aは、基板処理主体としての凝固膜形成部30を処理チャンバ110内に備えている。凝固膜形成部30は、基板Wの上面に昇華性物質を含む液体の液膜を形成しこれを凝固させることで基板Wの上面に昇華性物質の凝固膜を形成する凝固処理を、基板処理として実行する装置である。
凝固膜形成部30は、基板保持部31、スプラッシュガード32、液供給部33および冷却ガス供給部34を備えている。これらの動作は制御ユニット90により制御される。基板保持部31は、基板Wとほぼ同等の直径を有する円板状のスピンチャック311を有し、スピンチャック311の周縁部には複数のチャックピン312が設けられている。チャックピン312が基板Wの周縁部に当接して基板Wを支持することにより、スピンチャック311はその上面から離間させた状態で基板Wを水平姿勢に保持することができる。
スピンチャック311はその下面中央部から下向きに延びる回転支軸313により上面が水平となるように支持されている。回転支軸313は処理チャンバ110の底部に取り付けられた回転機構314により回転自在に支持されている。回転機構314は図示しない回転モータを内蔵しており、制御ユニット90からの制御指令に応じて回転モータが回転することで、回転支軸313に直結されたスピンチャック311が1点鎖線で示す鉛直軸周りに回転する。図4においては上下方向が鉛直方向である。これにより、基板Wが水平姿勢のまま鉛直軸周りに回転される。
基板保持部31を側方から取り囲むように、スプラッシュガード32が設けられる。スプラッシュガード32は、スピンチャック311の周縁部を覆うように設けられた概略筒状のカップ321と、カップ321の外周部の下方に設けられた液受け部322とを有している。カップ321は制御ユニット90からの制御指令に応じて昇降する。カップ321は、図4(a)に示すようにカップ321の上端部がスピンチャック311に保持された基板Wの周縁部よりも下方まで下降した下方位置と、図4(b)に示すようにカップ321の上端部が基板Wの周縁部よりも上方に位置する上方位置との間で昇降移動する。
カップ321が下方位置にあるときには、図4(a)に示すように、スピンチャック311に保持される基板Wがカップ321外に露出した状態になっている。このため、例えばスピンチャック311への基板Wの搬入および搬出時にカップ321が障害となることが防止される。
また、カップ321が上方位置にあるときには、図4(b)に示すように、スピンチャック311に保持される基板Wの周縁部を取り囲むことになる。これにより、後述する液供給時に基板Wの周縁部から振り切られる処理液がチャンバ110内に飛散することが防止され、処理液を確実に回収することが可能となる。すなわち、基板Wが回転することで基板Wの周縁部から振り切られる処理液の液滴はカップ321の内壁に付着して下方へ流下し、カップ321の下方に配置された液受け部322により集められて回収される。複数の処理液を個別に回収するために、複数段のカップが同心に設けられてもよい。
液供給部33は、処理チャンバ110に固定されたベース331に対し回動自在に設けられた回動支軸332から水平に伸びるアーム333の先端にノズル334が取り付けられた構造を有している。回動支軸332が制御ユニット90からの制御指令に応じて回動することによりアーム333が揺動し、アーム333先端のノズル334が、図4(a)に示すように基板Wの上方から側方へ退避した退避位置と、図4(b)に示すように基板W上方の処理位置との間を移動する。
ノズル334は制御ユニット90に設けられた処理液供給部(図示省略)に接続されており、処理液供給部から適宜の処理液が送出されるとノズル334から基板Wに向けて処理液が吐出される。図4(b)に示すように、スピンチャック311が比較的低速で回転することで基板Wを回転させながら、基板Wの回転中心の上方に位置決めされたノズル33から処理液Lqを供給することで、基板Wの上面に処理液Lqによる液膜LFを形成することができる。
こうして基板上面Waに液膜LFが形成されると、図4(c)に示すように、ノズル33に代わって、冷却ガス供給部34のノズル344が基板Wの回転中心上方に位置決めされる。冷却ガス供給部34は、処理チャンバ110に固定されたベース341に対し回動自在に設けられた回動支軸342から水平に伸びるアーム343の先端にノズル344が取り付けられた構造を有している。液供給部33と同様に、回動支軸342が制御ユニット90からの制御指令に応じて回動することによりアーム343が揺動し、アーム343先端のノズル344が基板Wの上方から側方へ退避した退避位置と基板W上方の処理位置との間を移動する。
ノズル344は制御ユニット90に設けられた冷却ガス供給部(図示省略)に接続されており、冷却ガス供給部から供給される、処理液Lqの凝固点よりも低温の冷却ガスGがノズル344から基板Wに向けて吐出される。図4(c)に示すように、液膜LFが形成された基板上面Waに低温の冷却ガスGを吐出するノズル344が基板Wの外周部に向けて走査移動することで、基板上面Waの液膜LFが中心部から順次凝固し、最終的には基板上面Waの液膜LF全体が、処理液Lqが凝固してなる凝固膜FFに転換する。
このように上面Waが凝固膜で覆われた状態で搬出される基板Wは基板処理ユニット13Aに搬送されて昇華処理を受ける。すなわち基板処理ユニット13Aは、水平姿勢で搬入される基板Wの上面Waに形成された凝固膜FFを構成する昇華性物質を昇華させることで基板Wから除去して基板Wを乾燥させる昇華処理を、基板処理として実行する機能を有する。ここでは基板処理ユニット13Aの構成について説明するが、昇華処理を実行する他の基板処理ユニット13B,14A等の構成も基本的に同じである。
図5は昇華処理を実行する基板処理ユニットを示す図である。より具体的には、図5(a)は基板処理ユニット13Aの内部構造を示す側面断面図であり、図5(b)は基板処理ユニット13Aの主要部の動作を示す図である。図5(a)に示すように、基板処理ユニット13Aは、基板処理主体としての昇華乾燥部40を処理チャンバ130内に備えている。昇華乾燥部40は、基板Wの上面Waに形成された昇華性物質の凝固膜を昇華させて基板Wから除去する昇華処理を、基板処理として実行する装置である。
昇華乾燥部40は、処理チャンバ130内に設けられた基板保持部41およびランプ加熱部42を備えている。これらの動作は制御ユニット90により制御されている。基板保持部41は、基板Wより一回り小さい直径を有する円板状の支持プレート411を有しており、支持プレート411の上面411aが搬入される基板Wの下面に密着することにより、基板Wを水平姿勢に保持することができる。図示を省略しているが、支持プレート411の上面411aには吸着孔または吸着溝が設けられており、制御ユニット90から負圧が与えられることにより、基板保持部41は基板Wの下面Wbを支持プレート411の上面411aに密着させた状態でしっかりと水平姿勢に保持することができる。
支持プレート411にはヒーター412が内蔵されており、ヒーター412は制御ユニット90により制御される。制御ユニット90はヒーターを発熱させて支持プレート411を昇温させ、その上面温度を所定温度に維持する。したがって、基板Wが支持プレート411に載置されると支持プレート411の熱が基板Wに移動し、基板Wが温められる。なお、支持プレートを昇温させるための構成については、ヒーターを内蔵させるものに限定されず任意である。例えば支持プレート自体が抵抗体により形成された構成や、誘導加熱により支持プレートが発熱するような構成であってもよい。また支持プレートの上面が所定温度に維持されれば足り、支持プレート全体が同じ温度であることを要するものではない。
支持プレート411はその下面中央部から下向きに延びる回転支軸413により上面411aが水平となるように支持されている。回転支軸413は処理チャンバ130の底部に取り付けられた回転機構414により回転自在に支持されている。回転機構414は図示しない回転モータを内蔵しており、回転モータが制御ユニット90からの制御指令に応じて回転することで、回転支軸413に直結された支持プレート411が1点鎖線で示す鉛直軸周りに回転する。図5においては上下方向が鉛直方向である。これにより、基板Wが水平姿勢のまま鉛直軸周りに回転される。
基板支持部41に支持される基板Wの上方に、ランプ加熱部42が配置される。具体的には、例えば石英ガラス製の透明隔壁421により、チャンバ内の上部空間S1が下部空間S2から隔離されており、上部空間S1に加熱用ランプ422としての例えばキセノンランプが水平方向に複数配列されている。加熱用ランプ422の上方には反射板423が配置される。加熱用ランプ422は制御ユニット90により点灯制御される。制御融ニット90からの制御指令に応じて各ランプ422が一斉に点灯すると、図5(b)に示すように、ランプ422から出射された赤外線成分を多く含む光が直接、あるいは反射板423により反射されて基板Wの上面Waに向けて照射される。このような構成により、基板Wの上面Waを短時間で急激に昇温させることができる。
また、処理チャンバ130の側面には気体導入口133が設けられており、気体導入口133は、制御ユニット90に設けられた雰囲気制御部(図示省略)に連通している。雰囲気制御部は必要に応じて、気体導入口133を介して基板Wの乾燥を促進させる乾燥促進流体としての乾燥ガスを処理チャンバ130内に供給する。乾燥ガスとしては例えば適宜の温度に昇温された高温窒素ガスを用いることができる。昇温された乾燥ガスを用いることで、基板W周辺を高温環境に維持して溶媒や昇華性物質の蒸発を促進することができ、また気化したこれらの成分を基板Wの周辺から素早く除去することにより、さらに乾燥が促進される。
処理チャンバ130の側面のうち、基板保持部41を挟んで気体導入口133とは反対側に排気口134が設けられている。排気口134は制御ユニット90の雰囲気制御部に連通しており、雰囲気制御部は必要に応じて排気口134から処理チャンバ130内の雰囲気を排気する。気体導入口133から導入された乾燥ガスが基板保持部41に保持される基板Wの上面Waに沿って流れ排気口134から排出されるように、気体導入口133および排気口134の配設位置が定められる。
上記のように、この基板処理装置1では、基板処理ユニット11Aで基板Wに昇華性物質の膜を形成し、基板処理ユニット13Aで昇華性物質を昇華させることにより、基板Wを良好に乾燥させることができる。このような昇華乾燥を実現させるための処理液Lqの材料としては、例えば以下のようなものを用いることができるが、これらに限定されるものではなく任意である。例えば昇華性物質としては、ナフタレン、ケイフッ化アンモニウム、フッ化炭素化合物、各種の熱分解性ポリマーなどを用いることができる。また、昇華性物質を溶解させる溶媒としては、常温で液体の純水、DIW(De-ionized Water;脱イオン水)、IPA(イソプロピルアルコール)またはこれらの混合物等であって昇華性物質を高い溶解度で溶解することのできるものを適宜選択して使用可能である。本実施形態の処理は使用される材料の種類に依存するものではなく、温度や時間などの処理条件を調整することで種々の材料を使用可能である。
次に、上記のように構成された基板処理装置1の動作について説明する。これまでに説明したように、この基板処理装置1は基板Wに対し昇華乾燥処理を実行する装置である。この昇華乾燥処理の主な流れは、凝固処理を実行する基板処理ユニットに基板Wを搬送して昇華性物質による凝固膜を形成し、昇華処理を実行する基板処理ユニットにこの基板Wを搬送して凝固膜を昇華させる、というものである。以下、その具体的な処理内容について説明する。ここでは1つの基板Wに対し基板処理ユニット11Aが凝固処理を実行し、基板処理ユニット13Aが昇華処理を実行するものとして説明するが、凝固処理を実行する基板処理ユニットと昇華処理を実行する基板処理ユニットとの組み合わせはこれに限定されるものではなく任意である。
図6はこの基板処理装置の動作を示すフローチャートである。この動作は、CPU91が予め準備された制御プログラムを実行して装置各部に所定の動作を行わせることにより実現される。最初に、インデクサロボット22が未処理基板を収容する容器Cの1つから1枚の未処理基板Wを取り出す(ステップS101)。そして、基板Wはインデクサロボット22からセンターロボット15に受け渡され(ステップS102)、センターロボット15は凝固処理を実行する基板処理ユニット11Aに基板Wを搬入する(ステップS103)。
基板Wが搬入された基板処理ユニット11Aは、基板Wに対し凝固処理を実行する(ステップS104)。凝固処理の内容は先に説明した通りである。凝固処理により上面Waに昇華性物質の凝固膜FFが形成された基板Wは、センターロボット15により基板処理ユニット11Aから取り出され(ステップS106)、昇華処理を実行する基板処理ユニット13Aに搬入されるが(ステップS107)、それらに先立って、冷却ユニット16から冷気の吐出が開始される(ステップS105)。また、基板処理ユニット13Aへの基板Wの搬入後、冷却ユニット16からの冷気の吐出は停止される(ステップS108)。
基板処理ユニット11Aから取り出される基板Wは、上面Waに昇華性物質の凝固膜FFが形成された状態である。このような基板Wが常温の搬送空間TSに取り出されると、凝固膜FFが不適切な融解や昇華の進行により変質してしまうおそれがある。このことは処理結果の品質を低下させる原因となる。そこで、センターロボット15の上方に配置された冷却ユニット16から低温の冷気を吐出させる。こうすることで、基板処理ユニット11Aから取り出されセンターロボット15のハンド155に保持される基板Wの周囲雰囲気を低温に維持することが可能となる。これにより、凝固膜FFの不適切な融解や昇華が抑制され、処理品質を良好なものとすることができる。
周囲雰囲気より低温の冷気がそれ自体下方へ流れることに加え、搬送空間TSには常時ダウンフローが形成されているので、冷却ユニット16の下方でハンド155に保持される基板Wを効率よく冷却することが可能である。
上記した原理の冷却ユニット16では、圧縮空気を入力することで直ちに冷気を出力させることが可能である。このため、時間的には少なくとも凝固膜FFが形成された基板Wが搬送空間TSに露出している期間だけ、また空間的には基板Wの近傍だけに冷却ユニット16から冷気が供給されるようにすることができる。したがって、搬送空間TSを常時冷却しておく必要はない。また、搬送空間TSの全体を冷却しておく必要もない。
搬送空間TSの全体を常時冷却する構成や、外部から冷気を搬送空間TSに導入する構成では、消費エネルギーが大きくなり、また搬送空間TS内に結露や着霜が発生するおそれがある。これに対し、この実施形態では、常温の圧縮空気を入力することで冷気を得ているため、搬送空間TS内で生成した冷気を特定の期間、領域だけに供給することができる。このため、エネルギー効率が非常に高く、また結露や着霜に起因する不具合も生じない。
基板Wが搬入された基板処理ユニット13Aは、基板Wに対して昇華処理を実行する(ステップS109)。昇華処理の内容は先に説明した通りである。処理後の基板Wはセンターロボット15により基板処理ユニット13Aから取り出されるが(ステップS110)、基板Wは既に乾燥した状態となっているためこのとき冷気の供給は不要である。取り出された処理後の基板Wはセンターロボット15からインデクサロボット22へ受け渡され(ステップS111)、インデクサロボット22は基板Wを容器Cの1つへ収容する(ステップS112)。処理済みの基板Wが収容される容器Cは、未処理状態の当該基板Wが収容されていた容器でもよく、また別容器でもよい。
さらに処理すべき基板がある場合には(ステップS113においてYES)、ステップS101に戻り、次の基板Wに対し上記した処理が実行される。処理すべき基板がなければ(ステップS113においてNO)、処理は終了する。
以上、1枚の基板Wを処理する場合の流れについて説明したが、実際の装置では複数基板に対する処理が並行して実行される。すなわち、1枚の基板Wが1つの基板処理ユニット内で処理を受けている間、同時にインデクサロボット22およびセンターロボット15による他の基板の搬送、ならびに他の基板処理ユニットによる基板処理の少なくとも1つを並行して実行することが可能である。
より具体的には、例えばステップS102において基板Wがインデクサロボット22からセンターロボット15に受け渡された後では、インデクサロボット22は新たに容器Cにアクセスして他の基板を取り出すことが可能である。また例えば、ステップS103において1枚の基板Wが基板処理ユニット11Aに搬入された後、センターロボット15は他の基板を他の基板処理ユニットに搬入する、あるいは他の基板処理ユニットで処理された他の基板を搬出することが可能である。
したがって、複数枚の基板Wに対し順次処理を行う必要がある場合には、各基板Wを処理するための装置各部の動作シーケンスを適宜に調節することで、複数枚の基板への処理を並行して進行させる。こうすることで、基板処理装置1全体としての処理のスループットを向上させることが可能となる。具体的な動作シーケンスは、処理の仕様、上記各ステップの所要時間や同時処理の可否等に応じて適切に定められる必要がある。
ところで、そのようにして最適化された動作シーケンスにおいて、センターロボット15が処理途中の基板Wを保持したまましばらく待機する必要が生じる場合もあり得る。例えば凝固処理の所要時間よりも昇華処理の所要時間の方が長い場合、凝固処理を行う基板処理ユニットから取り出された基板Wが昇華処理を行う基板処理ユニットに搬入されるまでの間に待機時間が生じることがある。この場合、待機中に基板Wの温度、より具体的には基板Wに担持された凝固膜FFの温度が上昇すると、処理品質に悪影響を及ぼすことがある。本実施形態では、このような場合に冷却ユニット16から冷気を吐出するようにすれば、上記の問題を解消することができる。
次に、上記実施形態の変形例について説明する。上記実施形態の基板処理装置1は、容器Cから取り出した基板Wに昇華性物質の凝固膜を形成し、これを昇華させることで基板Wを乾燥させる昇華乾燥処理を装置内で完結させることのできるものである。一方、凝固膜の形成とその後の処理とが異なる処理装置で実行されることが必要となる場合もある。次に説明する変形例は、このようなケースに対応するものである。
図7は基板処理装置の動作の変形例を示すフローチャートである。この動作では、基板処理装置11A等で凝固膜FFが形成された基板Wがそのまま容器Cに収容され、その後の処理は容器Cが移送される他の処理装置において実行される。基板処理ユニット11A等で基板Wに対する凝固処理が実行され、冷却ユニット16から冷気が吐出された状態で基板Wが取り出されるところまでは(ステップS201〜S206)、上記した動作のステップS101〜S106と同じである。
一方、センターロボット15により取り出された基板Wは他の基板処理ユニットではなく、インデクサロボット22に受け渡される(ステップS207)。受け渡しの終了後、冷却ユニット16からの冷気の吐出は停止される(ステップS208)。基板Wを受け取ったインデクサロボット22は、上面Waに凝固膜FFが形成された状態の基板Wを容器Cに収容する(ステップS209)。処理すべき基板がさらにあれば(ステップS210においてYES)、上記処理が繰り返される。
この場合、容器Cのうち少なくとも処理済みの基板Wを受け入れるものは、それ自身が冷却機能を有する、または冷却機能を有するキャビネット等に保管されていることが好ましい。こうすることで、上面Waに凝固膜FFが維持された状態で基板Wを外部装置へ搬送することができる。
また、インデクサロボット22での搬送の間における基板Wの温度上昇を抑制するために、インデクサロボット22の上方にも冷却ユニット16と同様の冷却ユニットが設けられることがより好ましい。この場合、冷却ユニットは基板Wの搬送経路に沿って複数設けられてもよい。なお、複数の冷却ユニットが同時に作動する必要は必ずしもなく、基板Wが下方位置を通過する冷却ユニットのみが作動して冷気を吐出する構成であってもよい。
図8は基板処理装置の他の変形例の主要部を示す図である。上記実施形態では搬送空間TS内でセンターロボット15の上方位置に冷却ユニット16が固定されているが、図8に示す変形例では、冷却ユニットがセンターロボットに取り付けられている。具体的には、この変形例に係るセンターロボット15aの回転ベース153には、伸縮アーム154の伸びる方向(図において左方)とは反対側(図において右側)に支持部材156が取り付けられている。支持部材156は回転ベース153からハンド155よりも上方まで延び、その先端に冷却ユニット16aが取り付けられる。
冷却ユニット16aの構造は、図3に示す冷却ユニット16と同じである。ただし、圧空供給部171および排気部172と冷却ユニット16aとをそれぞれ結ぶ配管にはフレキシブル配管が用いられる。これらの点を除く各部の構成および動作は、上記実施形態のものと同じである。
上記実施形態の冷却ユニット16は搬送空間TS内でセンターロボット15の上方に固定されている。一方、センターロボット15は回転ベース153を昇降させる昇降ベース152を有しており、これらに支持されるハンド155およびハンド155に支持される基板Wの高さは随時変化する。このため、冷却されるべき基板Wと冷却ユニット16との距離が大きくなると、冷気による冷却効果が弱くなることも考えられる。本変形例の冷却ユニット16aは回転ベース153とともに昇降するので、ハンド155に保持される基板Wと冷却ユニット16aとの距離は一定である。このため、冷却ユニット16aによる安定した冷却効果が得られる。なお、冷却ユニット16aの配設位置は上記に限定されず、例えば冷却ユニット16aが昇降ベース152の上部に取り付けられ、回転しない態様であってもよい。また、搬送空間TS内に固定された冷却ユニットとセンターロボットに取り付けられた冷却ユニットとが併用される態様であってもよい。
以上のように、この実施形態においては、一の基板処理ユニット内で基板Wに形成した液膜LFを冷却して凝固させることにより凝固膜FFを形成する。凝固膜FFが形成された基板Wを他の基板処理ユニットまたは外部へ搬送する際に、基板Wの温度上昇に起因する凝固膜の変質を抑制するために、基板Wを取り出すセンターロボット15の上方に設けられた冷却ユニット26から冷気が吐出されている。これにより基板Wの温度上昇を抑えて凝固膜の変質を防止することで、処理品質を良好なものとすることができる。
冷却する期間および空間範囲を、凝固膜FFを担持する基板Wが搬送される範囲の近傍に限定することで、エネルギー消費量を低減することができ、また搬送空間TS内での結露や着霜に起因する不具合も効果的に防止することができる。冷却ユニットは可動部を持たないため、基板Wに落下して汚染原因となるパーティクルの発生も抑えることができる。
以上説明したように、上記実施形態においては、基板処理ユニット11Aの凝固膜形成部30が本発明の「凝固処理ユニット」として機能しており、処理チャンバ110が本発明の「処理チャンバ」として機能する。一方、基板処理ユニット13Aの処理チャンバ130が、昇華処理を本発明の「後処理」として実行する「第2の処理チャンバ」として機能している。また、上記実施形態では、センターロボット15が本発明の「搬送機構」として機能している。
また、冷却ユニット16,16aが本発明の「冷気発生器」として機能しており、これらの冷却ユニットと圧空供給部171および排気部172が一体として、本発明の「冷却部」として機能している。
また、図7に示す変形例においては、冷却機能を有する容器Cが本発明の「基板格納容器」に相当しており、インデクサロボット22とセンターロボット15とが一体として本発明の「搬送機構」として機能する。また、基板Wの搬送経路に配置される各冷却ユニットがそれぞれ本発明の「冷却部」として機能する。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態は、基板に昇華性物質による凝固膜を形成しこれを昇華させることで基板を乾燥させる、昇華乾燥処理を実行する基板処理装置である。基板に形成した液膜を凝固させるプロセスを含む処理としては、上記以外のものも知られており、例えば凍結洗浄処理がこれに該当する。
この処理では、基板に形成された液膜を凝固させた後、これを洗浄液に溶解させて除去することで、基板の洗浄を行う。この処理においても、例えばエネルギー効率やスループット等の観点から、液膜を凝固させるプロセスと、凝固膜を除去するプロセスとが異なるユニットまたは装置で実行される場合がある。このような場合、上記実施形態と同様に、凝固膜を担持した基板をユニット間または装置間で移送するというプロセスが存在する。この間の基板の温度上昇も処理品質の低下の原因となり得る。このような処理に上記の技術思想を適用すれば、搬送中の基板の温度上昇を抑えて良好な品質で基板を処理することが可能となる。
また、上記実施形態の基板処理装置1は、凝固処理および昇華処理という異なる2種類の処理を実行する2種類の基板処理ユニットを同数有しているが、これに限定されるものではない。すなわち、異なる処理間でそれを実行する基板処理ユニットの数が同数でなくてもよく、また3種類以上の異なる基板処理ユニットが1つの基板処理装置に設けられてもよい。本発明の技術思想は、基板に凝固膜を形成する処理ユニットを少なくとも1つ有する基板処理装置に適用可能である。したがって、基板処理ユニットの全てが凝固膜を形成する処理ユニットであってもよい。この意味では基板処理ユニットは1つであってもよい。
また、上記実施形態のセンターロボット15は伸縮アーム154およびハンド155を1組のみ備えるものであるが、アームおよびハンドが2組以上設けられたロボットも実用化されており、本発明はこのようなロボットを「搬送機構」として備える基板処理装置にも有効である。このうち、基板を保持するハンドが上下に配置されたものでは、凝固膜を担持する基板が最上部のハンドで保持されるように動作シーケンスが設定されることが望ましい。このような構成によれば、上方から供給される冷気により、凝固膜を担持する基板を効率よく冷却することができる一方、凝固膜を担持しない基板が冷却されることが回避される。
また、上記実施形態の基板処理装置1は、容器Cへのアクセスを担うインデクサロボット22と基板処理ユニットへのアクセスを担うセンターロボット15とを備えるものであるが、これらの機能が同一のロボットによって実現される基板処理装置においても、上記と同様にして基板を冷却することが可能である。
また、上記実施形態は冷却ユニット16としてボルテック・チューブの原理を利用したものが適用されているが、冷気を生じさせるための構成はこれに限定されるものではない。ただし、基板Wの汚染を防止するためには、基板Wの上方に可動部を有するものや、基板Wの上方で結露、着霜等を生じるおそれのあるものは避けることが望ましい。
また、上記実施形態において冷却ユニット16から吐出される暖気は排気部172によって外部へ排出される。しかしながら、暖気が基板Wの温度上昇の原因となることが防止されれば足りるので、例えば基板処理ユニットよりも低い位置で暖気が搬送空間TS内に放出されることは許容される。搬送空間TSにダウンフローが形成されていることで、排出された暖気は下方へ流れ、基板Wに悪影響を与えない。
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、本発明においては例えば、搬送機構は、側方および上方を壁面で囲まれてダウンフローが供給される搬送空間内に設置され、冷却部は搬送空間内で搬送機構の上方に配置されてよい。このような構成によれば、搬送機構の上方から下向きに流れる冷気により、搬送機構に保持される基板を効率よく冷却することができる。
また例えば、冷却部が搬送機構の上部に取り付けられた構成であってよい。このような構成によれば、搬送機構の動作に伴う基板の動きに冷却部を連動させることが可能となるので、冷却部から供給される冷気をより効率よく基板の冷却に利用することができる。
また例えば、冷却部は、筒内に圧縮空気を受け入れて強制渦を発生させることで冷気と暖気とを生成する冷気発生器を備え、冷気発生器から出力される冷気を基板に供給する構成であってよい。このような構成によれば、外部の熱源を必要とせず、また必要な時だけ冷気を発生させることができるので、処理に伴うエネルギー消費を低減することができる。
具体的には、冷気発生器は、少なくとも搬送機構が凝固処理を実行された基板を保持している間、冷気を出力する構成であってよい。このような構成によれば、基板が搬送機構に保持されている間は確実に基板を冷却することができる。これ以外の期間については、例えば冷気の出力を停止すれば無用なエネルギー消費を抑えることが可能である。
また例えば、搬送機構が凝固処理を実行された基板を第2の処理チャンバに搬送し、その内部で基板に対し所定の後処理が実行される構成であってよい。このような構成によれば、凝固処理を実行する処理チャンバから後処理を実行する第2の処理チャンバに搬送される基板を冷却することで、搬送中の基板の温度上昇を抑えて、処理品質を向上させることが可能である。
また例えば、搬送機構は、処理チャンバから搬出した基板を、冷却機能を有する基板格納容器に搬入する構成であってよい。このような構成によれば、冷却された基板の温度上昇を抑えながら基板を外部へ搬送することが可能である。