JP6931980B2 - サーボ制御装置 - Google Patents

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本発明は、制御対象の位置を制御する位置制御系および制御対象の速度を制御する速度制御系を備えたサーボ制御装置に関するものである。
従来の最も基本的なサーボ制御装置200の構成を図10に示す。このサーボ制御装置200は、並進変位または回転変位で規定される位置xを制御量とする制御対象1と、位置xを所定のサンプリング周期で標本化し、更に所定の検出分解能で量子化して位置検出値104として出力する位置検出器2と、位置検出値104の擬似微分に基づいて制御対象1の速度推定値105を出力する速度推定器210(擬似微分器)と、外部から与えられる位置指令値101と位置検出値104とに基づいて、速度指令値102を演算して出力する位置制御器3と、速度指令値102と速度推定値105とに基づいて、制御指令値103を演算して出力する速度制御器4と、制御指令値103に基づいて、制御対象1に対して制御力または制御トルクを印加するアクチュエータ5で構成される。サーボ制御装置200では、制御系としての安定性、位置指令値101の変化に対する速応性、および定常状態における位置指令値101と位置検出値104との偏差、が所望の性能を満足するように、速度制御器4によって制御系インナーループとしての速度制御系を設計し、更に位置制御器3によって制御系アウターループとしての位置制御系を設計する。
図10に記した記号の意味は以下の通りである。
Figure 0006931980
また、従来のサーボ制御装置200の他の例として、特許文献1に記載された位置制御装置がある。この位置制御装置において、制御対象1、位置検出器2、位置制御器3、速度制御器4、およびアクチュエータ5は、図1に示す最も基本的なサーボ制御装置200と同一構成となる。一方で、この位置制御装置では、位置検出値104のフィードバックループにカルマンフィルタおよび外乱推定器を付加しており、カルマンフィルタにおいて位置検出値104から制御対象1の位置推定値および速度推定値を推定し、外乱推定器において制御指令値103および速度推定値から制御対象1に加わる外乱推定値を推定している。その上で、位置推定値を位置制御器3にフィードバックすると共に、速度推定値を速度制御器4にフィードバックすることで、位置検出値104に重畳する観測ノイズの影響、量子化ノイズの影響、および速度推定器として擬似微分器を適用した場合に速度推定値に重畳する微分ノイズの影響を低減している。更に、外乱推定値を速度制御器4の出力から減じた信号を制御対象に対する制御指令値103とすることで、制御対象1に作用する外乱を補償し、その速度変動および位置変動を抑制している。
特開2000−148207号公報
このように最も基本的な従来のサーボ制御装置200では、速度推定器210として擬似微分器を適用し、位置検出器2によって検出された位置検出値104の擬似微分に基づいて、制御対象の速度推定値105を取得している。
しかしながら、このようなサーボ制御装置では、位置検出器2による量子化に起因して、真の位置xが一定値であっても、位置検出値104は位置検出器2の検出分解能を最小単位として矩形波状に変動し、更に速度推定値105には矩形波状に変動する位置検出値104の擬似微分によってスパイク状の速度推定誤差が発生する。したがって、速度推定器210として擬似微分器を適用した従来のサーボ制御装置200では、矩形波状に変動する位置検出値104とスパイク状の速度推定誤差が重畳した速度推定値105とをフィードバックして、位置制御および速度制御を行うため、特に制御対象1の動作速度が零近傍となる低速駆動領域において、位置制御精度および速度制御精度が劣化する、という問題があった。
また、このようなサーボ制御装置200において、低速駆動領域における位置制御精度および速度制御精度を向上させるためには、位置検出器2における検出分解能を向上させる必要がある。しかし、実現可能な検出分解能には限界があるため、位置制御精度および速度制御精度が位置検出器2の検出分解能によって制約を受ける、という問題もあった。
加えて、位置検出値104が真の位置xに同期した変動的な位置検出誤差を含む場合、この位置検出誤差も速度推定器210において擬似微分されるため、速度推定値105には位置検出誤差が増幅された変動的な速度推定誤差が重畳し、特に制御対象1の動作速度が中高速駆動となる領域において、サーボ制御装置200の速度制御精度が劣化する、という問題もあった。
上記問題に対して、特許文献1に記載された位置制御装置では、位置検出値104からカルマンフィルタによって制御対象1の位置推定値および速度推定値を推定することで、位置検出値104に重畳する誤差成分、および当該誤差成分の擬似微分に起因して重畳する速度推定値105の誤差成分を低減させている。
しかしながら、このような位置制御装置においても、カルマンフィルタが制御対象1の位置検出値104のみに基づいて位置推定値および速度推定値を推定しているため、その推定精度の向上には限界がある。つまり、位置制御装置が実現し得る位置制御精度および速度制御精度には限界がある、という問題があった。
加えて、位置検出器2の内部で発生するビット反転等に起因して、真の位置xに対する位置検出値104の誤差が一定期間拡大する場合、カルマンフィルタで推定した位置推定値および速度推定値にも誤差が重畳し、一時的にせよ位置制御精度および速度制御精度の劣化が避けられない、という問題もあった。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、低速駆動領域において位置検出値104の矩形波状変動の影響と速度推定値105に重畳するスパイク状速度推定誤差の影響とを極小化し、中高速駆動領域において位置検出値104および速度推定値105に重畳する変動的な位置検出誤差および速度推定誤差の影響を極小化し、全駆動領域において位置制御精度および速度制御精度を向上させたサーボ制御装置を実現することを目的としている。
また、位置検出器2の不良動作に起因して、真の位置xに対する位置検出値104の誤差が一定期間拡大する場合においても、真の位置xおよび真の速度を高精度に推定してサーボ制御装置へフィードバックすることで、当該期間中における位置制御精度および速度制御精度の劣化を抑制可能なサーボ制御装置の実現を目的としている。
加えて、実現すべき位置制御精度および速度制御精度が与えられた場合に、当該制御精度に基づいて位置検出器2に従来必要とされた検出分解能に対して、より低分解能な位置検出器を適用しても、当該制御精度を満足させることが可能なサーボ制御装置の実現を目的としている。
本発明のサーボ制御装置は、
並進変位または回転変位で規定される位置を制御量とする制御対象と、
上記制御対象の位置を検出して位置検出値として出力する位置検出器と、
少なくとも上記位置検出値に基づいて、上記制御対象の並進速度または回転速度で規定される速度を推定し、速度推定値として出力する速度推定器と、
外部から与えられる位置指令値と上記位置検出値とに基づいて、制御対象への速度指令値を演算して出力する位置制御器と、
上記速度指令値と上記速度推定値とに基づいて、制御対象への制御指令値を演算して出力する速度制御器と、
上記制御指令値に基づいて、上記制御対象に対して並進変位を制御するための制御力、または回転変位を制御するための制御トルク、を印加するアクチュエータと、を備える。
そして、上記速度推定器が、サーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域における、上記制御指令値から上記位置検出値までの動特性、に基づいたカルマンフィルタで構成され、上記位置検出値および上記制御指令値を入力として、上記制御対象の速度推定値を推定して出力することを特徴とする。
更に、上記速度推定器が、上記カルマンフィルタが定係数フィルタへ収束した後の定常カルマンゲインを適用した定常カルマンフィルタで構成され、上記位置検出値および上記制御指令値を入力として、上記制御対象の速度推定値を推定して出力するように構成しても良い。
また、上記速度推定器を構成するカルマンフィルタまたは定常カルマンフィルタが、上記速度推定値に加えて、上記制御対象の位置推定値を推定して出力するように構成しても良い。
その場合、上記サーボ制御装置は、更に、
上記位置推定値の遅延信号を生成して出力する遅延器と、
上記位置推定値と上記位置検出値とのいずれか一方を位置選択信号に基づいて選択し、位置フィードバック信号として出力する第1の位置信号選択器と、
上記遅延器から出力される上記位置推定値の遅延信号と上記位置検出値とのいずれか一方を位置選択信号に基づいて選択し、速度推定器入力信号として出力する第2の位置信号選択器と、
上記速度推定器入力信号と上記位置検出値とに基づいて、第1および第2の位置信号選択器に入力するための位置選択信号を生成して出力する位置選択信号制御器と、を備える。
そして、上記速度推定器を構成するカルマンフィルタまたは定常カルマンフィルタは,上記速度推定器入力信号と、上記制御指令値または上記速度指令値と上記速度推定値との速度偏差と、を入力として、上記制御対象の位置推定値および速度推定値を推定して出力する。また、上記位置制御器は、外部から与えられる上記位置指令値と、上記位置フィードバック信号とに基づいて、上記速度指令値を演算して出力する。
本発明のサーボ制御装置は、
並進変位または回転変位で規定される位置を制御量とする制御対象と、
上記制御対象の位置を検出して位置検出値として出力する位置検出器と、
少なくとも上記位置検出値に基づいて、上記制御対象の並進速度または回転速度で規定される速度および位置を推定し、速度推定値および位置推定値として出力する速度推定器と、
外部から与えられる位置指令値と上記位置検出値とに基づいて、制御対象への速度指令値を演算して出力する位置制御器と、
上記速度指令値と上記速度推定値とに基づいて、制御対象への制御指令値を演算して出力する速度制御器と、
上記制御指令値に基づいて、上記制御対象に対して並進変位を制御するための制御力、または、回転変位を制御するための制御トルクを印加するアクチュエータと、
上記位置推定値の遅延信号を生成して出力する第1の遅延器と、
上記位置検出値および上記第1の遅延器から出力される位置推定値の遅延信号に基づいて、上記制御対象へ作用する外乱を推定し、外乱推定値として出力する外乱推定器と、
上記制御指令値の遅延信号を生成して出力する第2の遅延器とを備える。
そして、上記速度推定器が、上記サーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域における、上記制御指令値から上記位置検出値までの動特性に基づいたカルマンフィルタで構成され、上記位置検出値、上記外乱推定値、および第2の遅延器から出力される制御指令値の遅延信号を入力として、上記制御対象の速度推定値および位置推定値を推定して出力することを特徴とする。
更に、上記速度推定器が、上記カルマンフィルタが定係数フィルタへ収束した後の定常カルマンゲインを適用した定常カルマンフィルタで構成され、上記位置検出値、上記外乱推定値、および第2の遅延器から出力される制御指令値の遅延信号を入力として、上記制御対象の速度推定値および位置推定値を推定して出力するように構成しても良い。
また、上記サーボ制御装置を以下のように構成しても良い。
上記外乱推定器が、外乱推定動作の実行または停止を位置選択信号に基づいて決定するように構成される。
上記サーボ制御装置が、更に、
上記位置検出値と上記位置推定値のいずれか一方を上記位置選択信号に基づいて選択し、上記位置制御器への位置フィードバック信号として出力する第1の位置信号選択器と、
上記位置検出値と上記第1の遅延器から出力される位置推定値の遅延信号とのいずれか一方を上記位置選択信号に基づいて選択し、速度推定器入力信号として出力する第2の位置信号選択器と、
上記位置検出値および上記第1の遅延器から出力される位置推定値の遅延信号に基づいて、上記第1の位置信号選択器、上記第2の位置信号選択器、および上記外乱推定器に入力するための上記位置選択信号を生成して出力する位置選択信号制御器とを備える。
上記速度推定器を構成するカルマンフィルタまたは定常カルマンフィルタが、上記第2の位置信号選択器からの上記速度推定器入力信号、上記外乱推定値、および上記第2の遅延器から出力される制御指令値または速度偏差の遅延信号を入力として、上記制御対象の速度推定値および位置推定値を推定して出力する。
上記位置制御器が、外部から与えられる上記位置指令値と、上記第1の位置信号選択器からの上記位置フィードバック信号とに基づいて、上記速度指令値を演算して出力する。
本発明によれば、速度推定器をカルマンフィルタで構成し、位置検出値および制御指令値に基づいて速度推定値を推定するため、真の速度に対する速度推定精度を高精度化することができ、低速および中高速を含む全駆動領域において、サーボ制御装置の位置制御精度および速度制御精度を向上させることが可能となる。
また、速度推定器を定常カルマンフィルタで構成し、位置検出値および制御指令値に基づいて速度推定値を推定することで、真の速度に対する速度推定精度と、サーボ制御装置の位置制御精度および速度制御精度を、カルマンフィルタ適用時と同等レベルに維持したまま、速度推定器における演算量を大幅に低減させることが可能となる。
更に、本発明によれば、速度推定器における速度推定精度が高精度化するため、従来に比してより低分解能な位置検出器を適用したサーボ制御装置によって、従来と同等レベルの位置制御精度および速度制御精度を実現することが可能となる。
加えて、本発明によれば、位置検出器の不良動作に起因して、真の位置に対する位置検出値の誤差が一定期間拡大する場合においても、速度推定器を構成するカルマンフィルタまたは定常カルマンフィルタが、位置推定値の遅延信号と、制御指令値または速度偏差に基づいて、真の位置および真の速度を高精度に推定してサーボ制御装置へフィードバックする。そのため、当該期間中におけるサーボ制御装置の位置制御精度および速度制御精度の劣化を抑制することが可能となる。
本発明によれば、速度推定器をカルマンフィルタで構成し、位置検出値、外乱推定値、および制御指令値の遅延信号に基づいて速度推定値を推定するため、制御対象へ作用する外乱のレベルによらずに、真の速度に対する速度推定精度を高精度化することができる。そして、低速および中高速を含む全駆動領域において、サーボ制御装置の位置制御精度および速度制御精度を向上させることが可能となる。
また、速度推定器を定常カルマンフィルタで構成し、位置検出値、外乱推定値、および制御指令値の遅延信号に基づいて速度推定値を推定することで、真の速度に対する速度推定精度と、サーボ制御装置の位置制御精度および速度制御精度を、カルマンフィルタ適用時と同等レベルに維持したまま、速度推定器における演算量を大幅に低減させることが可能となる。
更に、本発明によれば、速度推定器における速度推定精度が高精度化するため、従来に比してより低分解能な位置検出器を適用したサーボ制御装置によって、従来と同等レベルの位置制御精度および速度制御精度を実現することが可能となる。
加えて、本発明によれば、位置検出器の不良動作に起因して、真の位置に対する位置検出値の誤差が一定期間拡大する場合においても、速度推定器を構成するカルマンフィルタまたは定常カルマンフィルタが、位置推定値の遅延信号と、外乱推定値と、制御指令値または速度偏差の遅延信号に基づいて、真の位置および真の速度を高精度に推定してサーボ制御装置へフィードバックする。そのため、当該期間中におけるサーボ制御装置の位置制御精度および速度制御精度の劣化を抑制することが可能となる。
実施の形態1によるサーボ制御装置100の構成を示すブロック線図である。 従来の基本的なサーボ制御装置200において、位置指令値を一定値とした場合の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。 実施の形態1によるサーボ制御装置100において、位置指令値を一定値とした場合の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。 従来の基本的なサーボ制御装置200において、位置指令値の時間変化率を所定の一定値とした場合の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。 実施の形態1によるサーボ制御装置100において、位置指令値の時間変化率を所定の一定値とした場合の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。 実施の形態2によるサーボ制御装置100の構成を示すブロック線図である。 実施の形態3によるサーボ制御装置100の構成を示すブロック線図である。 実施の形態2によるサーボ制御装置100において、位置検出値の誤差が一定期間拡大した場合の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。 実施の形態3によるサーボ制御装置100において、位置検出値の誤差が一定期間拡大した場合の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。 従来の基本的なサーボ制御装置200の構成を示すブロック線図である。 実施の形態4によるサーボ制御装置100の構成を示すブロック線図である。 従来の基本的なサーボ制御装置200において、位置指令値を一定値とした場合の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。 実施の形態4によるサーボ制御装置100において、位置指令値を一定値とした場合の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。 従来の基本的なサーボ制御装置200において、位置指令値の時間変化率を所定の一定値とした場合の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。 実施の形態4によるサーボ制御装置100において、位置指令値の時間変化率を所定の一定値とした場合の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。 実施の形態5によるサーボ制御装置100の構成を示すブロック線図である。 実施の形態6によるサーボ制御装置100の構成を示すブロック線図である。 実施の形態5によるサーボ制御装置100において、位置検出値の誤差が一定期間拡大した場合の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。 実施の形態6によるサーボ制御装置100において、位置検出値の誤差が一定期間拡大した場合の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
実施の形態1.
以下、図を用いて実施の形態1について説明する。
図1は、実施の形態1によるサーボ制御装置100の構成を示すブロック線図であり、図1において図10と同じ構成要素には同一番号を付している。図1に記した記号の意味は、図10における記号の意味と同じである。
図2は、従来の基本的なサーボ制御装置200において、位置指令値を一定値とした場合の制御指令値、真の速度および速度推定値、真の位置および位置検出値の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
図3は、実施の形態1によるサーボ制御装置100において、位置指令値を一定値とした場合の制御指令値、真の速度および速度推定値、真の位置および位置検出値の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
図4は、従来の基本的なサーボ制御装置200において、位置指令値の時間変化率を所定の一定値とした場合の制御指令値、真の速度および速度推定値、真の位置および位置検出値の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
図5は、実施の形態1によるサーボ制御装置100において、位置指令値の時間変化率を所定の一定値とした場合の制御指令値、真の速度および速度推定値、真の位置および位置検出値の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
図1に示したように、実施の形態1によるサーボ制御装置100では、制御対象1の制御量である位置x(並進変位または回転変位)を、位置検出器2においてサンプリング周期で標本化し、更に所定の検出分解能で量子化して位置検出値104として出力する。
位置制御器3では、外部から与えられる位置指令値101と位置検出器2から出力される位置検出値104との偏差に基づいて、サーボ制御装置100の速度指令値102を演算して出力する。
速度制御器4では、位置制御器3から出力される速度指令値102と速度推定器6aから出力される速度推定値105との偏差に基づいて、サーボ制御装置100の制御指令値を演算して出力し、更に制御指令リミッタ7aによって当該制御指令値にリミット処理を施した信号を最終的な制御指令値103として出力する。
アクチュエータ5では、制御指令リミッタ7aから出力される制御指令値103に基づいて、位置xを位置指令値101に追従させるような制御力または制御トルクを制御対象1に対して印加する。
速度推定器6aでは、位置検出器2から出力される位置検出値104、および制御指令リミッタ7aから出力される制御指令値103に基づいて、制御対象1の並進速度または回転速度で規定される速度を推定し、速度推定値105として出力する。
このとき、速度制御器4によってサーボ制御系インナーループとしての速度制御系を設計し、更に位置制御器3によってサーボ制御系アウターループとしての位置制御系を設計する。これにより、サーボ制御装置100における制御系としての安定性、位置指令値101の変化に対する位置検出値104の速応性、および定常状態における位置指令値101と位置検出値104との偏差、が所望の性能を満足するように調整することができる。
次に、従来の基本的なサーボ制御装置200(図10)における問題点を整理した上で、実施の形態1によるサーボ制御装置100の動作について説明する。図10に示す従来の基本的なサーボ制御装置200では、例えば、連続系伝達関数が以下の擬似微分器伝達関数で与えられる擬似微分器を双一次変換したIIRフィルタによって、速度推定器210を構成している。IIRは、Infinite Impulse Responseの略称である。
Figure 0006931980
このとき、真の位置xが一定であっても、位置検出器2による量子化に起因して、位置検出値104は位置検出器2の検出分解能(1LSB)を最小単位として矩形波状に変動する。LSBは、Least Significant Bitの略称である。
従来の基本的なサーボ制御装置200では、矩形波状に変動する位置検出値104の擬似微分によって推定される速度推定値105にはスパイク状の速度推定誤差が発生し、矩形波状に変動する位置検出値104と、スパイク状の速度推定誤差が重畳した速度推定値105と、をフィードバックして位置制御および速度制御を実施する。
したがって、従来の基本的なサーボ制御装置200では、特に、制御対象1の動作速度が零近傍となる低速駆動領域において、位置制御精度および速度制御精度が劣化する。
例として、従来の基本的なサーボ制御装置200において、位置指令値101を一定値とした場合の制御指令値103、真の速度および速度推定値105、真の位置xおよび位置検出値104の時間応答シミュレーション結果を図2に示す。
図2によれば、位置検出値104が検出分解能(1LSB)を振幅として矩形波状に変動して、速度推定値105にスパイク状の速度推定誤差が重畳した結果、本来ゼロとなるべき制御指令値103が変動し、本来ゼロとなるべき真の速度、および本来一定値となるべき真の位置xの制御精度が劣化していることがわかる。
また、位置検出器2から出力される位置検出値104が真の位置xに同期した変動的な位置検出誤差を含む場合、この位置検出誤差も速度推定器210によって擬似微分されるため、速度推定値105には位置検出誤差が増幅された変動的な速度推定誤差が重畳する。
従来の基本的なサーボ制御装置200では、真の位置xに同期した変動的な位置検出誤差を含む位置検出値104と、真の位置xに同期した変動的な速度推定誤差を含む速度推定値105と、をフィードバックして位置制御および速度制御を実施する。
このような従来の基本的なサーボ制御装置では、特に、制御対象1の動作速度が中高速駆動となる領域において、速度制御精度が劣化する。
例として、従来の基本的なサーボ制御装置200において、位置指令値101の時間変化率を所定の一定値とした場合の制御指令値103、真の速度および速度推定値105、真の位置xおよび位置検出値104の時間応答シミュレーション結果を図4に示す。
図4によれば、速度推定値105に対して、真の位置xに同期した変動的な位置検出誤差が増幅された速度推定誤差が重畳した結果、制御指令値103も特に速度推定誤差に同期して変動し、本来一定値となるべき真の速度の制御精度が劣化していることがわかる。
なお、図4において、実線で表記した真の位置xと、破線で表記した位置検出値104は互いに重なっている。
そこで、実施の形態1によるサーボ制御装置100(図1)では、制御指令値103から位置検出値104までの動特性、つまり、アクチュエータ5、制御対象1および位置検出器2の動特性が、サーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において剛体特性で近似できると仮定する。そして、速度推定器6aを、以下に示すカルマンゲイン、フィルタ方程式および誤差共分散行列方程式で与えられるカルマンフィルタで構成する。
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
このように、実施の形態1によるサーボ制御装置100では、速度推定器6aをサーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において制御指令値103から位置検出値104までの動特性を剛体特性で近似した等価慣性Aと、サーボ制御装置100のサンプリング周期Tとに基づいたカルマンフィルタで構成している。
この速度推定器6aでは、図1に示すように位置検出器2から出力される位置検出値104と、制御指令リミッタ7aから出力される制御指令値103とを入力として、制御対象1の速度推定値105を推定して速度制御器4へフィードバックする。
速度推定器6aによって速度推定値105を推定することで、位置検出値104が位置検出器2の検出分解能(1LSB)を最小単位として矩形波状に変動しても、速度推定値105にはスパイク状の速度推定誤差が発生せず、真の速度に対する速度推定精度を高精度化することができる。そのため、制御対象1の動作速度が零近傍となる低速駆動領域において、サーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度を向上させることが可能となる。
例として、実施の形態1によるサーボ制御装置100において、位置指令値101を一定値とした場合の制御指令値103、真の速度および速度推定値105、真の位置xおよび位置検出値104の時間応答シミュレーション結果を図3に示す。
なお、図3に関する時間応答シミュレーションと、従来の基本的なサーボ制御装置200の図2に関する時間応答シミュレーションとでは、縦軸が同一スケールであり、また、横軸が同一スケールである。サーボ制御装置の基本構成は速度推定器のみが異なっている。
図3において、実線で表記した真の速度と、破線で表記した速度推定値105と、が互いに重なっている。
図3によれば、位置検出値104が検出分解能(1LSB)を振幅として矩形波状に変動しても、速度推定器6aから出力される速度推定値105には、図2に見られたようなスパイク状の速度推定誤差が発生しておらず、真の速度が高精度に推定されている。その結果、制御指令値103の変動量が図2に比して大幅に抑制され、本来ゼロとなるべき真の速度、および本来一定値となるべき真の位置xの制御精度も大幅に向上していることがわかる。
また、位置検出器2から出力される位置検出値104が真の位置xに同期した変動的な位置検出誤差を含む場合においても、速度推定値105には位置検出誤差が増幅された変動的な速度推定誤差が発生せず、真の速度に対する速度推定精度を高精度化することができる。そのため、制御対象1の動作速度が中高速駆動となる領域において、サーボ制御装置100の速度制御精度を向上させることが可能となる。
例として、実施の形態1によるサーボ制御装置100において、位置指令値101の時間変化率を所定の一定値とした場合の制御指令値103、真の速度および速度推定値105、真の位置xおよび位置検出値104の時間応答シミュレーション結果を図5に示す。
なお、図5に関する時間応答シミュレーションと、従来の基本的なサーボ制御装置200の図4に関する時間応答シミュレーションとでは、縦軸が同一スケールであり、また、横軸が同一スケールである。サーボ制御装置の基本構成は速度推定器のみが異なっている。
図5において、実線で表記した真の速度と、破線で表記した速度推定値105と、が互いに重なっている。
図5によれば、速度推定値105には従来の基本的なサーボ制御装置200(図4)に見られた真の位置xに同期した変動的な速度推定誤差が発生しておらず、真の速度が高精度に推定されている。その結果、制御指令値103の変動量が図4に比して大幅に抑制され、本来一定値となるべき真の速度の制御精度も大幅に向上していることがわかる。
このように、実施の形態1によるサーボ制御装置100によれば、速度推定器6aにおいて真の速度に対する速度推定精度を高精度化することができ、低速および中高速を含む全駆動領域において、サーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度を向上させることが可能となる。換言すれば、従来に比してより低分解能な位置検出器2を適用したサーボ制御装置100によって、従来と同等レベルの位置制御精度および速度制御精度を実現することが可能となる。
ところで、上記実施の形態1はあくまでも一例である。例えば、図1に示した制御指令リミッタ7aは、必ずしも実装する必要が無いことは言うまでもない。
この実施の形態では、制御指令値から位置検出値までの動特性、つまり、アクチュエータ、制御対象および位置検出器の動特性が、サーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域において剛体特性で近似できる、と仮定して、速度推定器をカルマンフィルタで構成した。その上で、速度推定器において、位置検出値と制御指令値とを入力として制御対象の速度推定値を推定して、速度制御器へフィードバックするようにした。
これにより、位置検出値が位置検出器の検出分解能(1LSB)を最小単位として矩形波状に変動しても、速度推定値にはスパイク状の速度推定誤差が発生せず、真の速度に対する速度推定精度を高精度化することができる。そのため、制御対象の動作速度が零近傍となる低速駆動領域において、サーボ制御装置の位置制御精度および速度制御精度を向上させることが可能となる。
また、位置検出器による位置検出値が真の位置に同期した変動的な位置検出誤差を含む場合においても、速度推定値には位置検出誤差が増幅された変動的な速度推定誤差が発生せず、真の速度に対する速度推定精度を高精度化することができる。そのため、制御対象の動作速度が中高速駆動となる領域において、サーボ制御装置の速度制御精度を向上させることが可能となる。
したがって、低速および中高速を含む全駆動領域において、サーボ制御装置の位置制御精度および速度制御精度を向上させることが可能となる。換言すれば、従来に比してより低分解能な位置検出器を適用したサーボ制御装置によって、従来と同等レベルの位置制御精度および速度制御精度を実現することが可能となる。
特に、この実施の形態では、サーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域において制御指令値から位置検出値までの動特性を剛体特性で近似した等価慣性と、サーボ制御装置のサンプリング周期と、に基づいて構築したカルマンフィルタによって、速度推定器を構成するようにした。
このため、従来から精度の高い情報として得られるサーボ制御装置のサンプリング周期と、実機特性の計測結果に基づいて高精度に決定した等価慣性と、によってカルマンフィルタを構成することができ、速度推定器において、真の速度に対する速度推定精度をより高精度化することが可能となる。
実施の形態2.
以下、図を用いて実施の形態2について説明する。
図6は、実施の形態2によるサーボ制御装置100の構成を示すブロック線図である。図6において、図1と同じ構成要素には同一番号を付して説明は省略する。図6に記した記号の意味は以下の通りである。但し、図1と同じ記号の説明は省略する。
Figure 0006931980
図6に示したように、この実施の形態2によるサーボ制御装置100では、位置制御器3から出力される速度指令値102と速度推定器6bから出力される速度推定値105との速度偏差を速度偏差リミッタ7bに入力する。そして、当該速度偏差にリミット処理を施した速度偏差106を速度制御器4に入力する。
速度制御器4では、速度偏差リミッタ7bから出力されるリミット処理後の速度偏差106に基づいて、サーボ制御装置100の制御指令値103を演算して出力する。
速度推定器6bでは、位置検出器2から出力される位置検出値104と、速度偏差リミッタ7bから出力される速度偏差106とに基づいて、制御対象1の速度を推定して、速度推定値105として出力する。
次に、実施の形態2によるサーボ制御装置100の動作について説明する。
実施の形態2によるサーボ制御装置100(図6)では、速度偏差106から位置検出値104までの動特性、つまり、速度制御器4、アクチュエータ5、制御対象1および位置検出器2の動特性が、サーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において剛体特性で近似できると仮定する。そして、速度推定器6bを、以下に示すフィルタ方程式で与えられる定常カルマンフィルタで構成する。
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
一般に、制御対象1のシステムパラメータF,G,D,Hが時間に依存しない時不変システムF,G,D,Hとして与えられる場合、カルマンフィルタは、定係数の定常カルマンフィルタに収束する。特に、(F,G)が可安定であり、(H,F)が可検出であれば、定常カルマンフィルタは漸近安定となる。
実施の形態2によるサーボ制御装置100では、上記特性を利用して、カルマンフィルタが定係数フィルタへ収束した後の定常カルマンゲインを適用した。そして、定常カルマンフィルタによって速度推定器6bを構成した。
また、実施の形態2によるサーボ制御装置100では、速度偏差106から位置検出値104までの動特性、つまり、速度制御器4、アクチュエータ5、制御対象1および位置検出器2の動特性が、サーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において剛体特性で近似できると仮定した。そして、速度推定器6bを、サーボ制御装置100のサンプリング周期Tと、速度制御系ゲイン交点周波数ωrcと、に基づいた定常カルマンフィルタで構成している(上記フィルタ方程式(予測)の第3式)。
この速度推定器6bでは、図6に示すように位置検出器2から出力される位置検出値104と、速度偏差リミッタ7bから出力される速度偏差106と、を入力として、制御対象1の速度推定値105を推定して、速度偏差リミッタ7bへフィードバックする。
上記構成の速度推定器6bによって速度推定値105を推定することで、制御指令値103から位置検出値104までの動特性、つまり、アクチュエータ5、制御対象1および位置検出器2の動特性、を剛体特性で近似した等価慣性Aが変化する場合においても、速度制御器4によって常に一定の低周波域制御特性(速度制御系ゲイン交点周波数ωrc)が実現できれば、次のことが可能となる。つまり、定常カルマンフィルタが推定対象とするシステムを速度制御器4、アクチュエータ5、制御対象1および位置検出器2として、位置検出器2から出力される位置検出値104と、速度制御器4へ入力する速度偏差106と、を定常カルマンフィルタへの入力とすることで、任意の等価慣性Aにおいて真の速度に対する速度推定値105の推定精度を維持することが可能となる。加えて、この場合の定常カルマンフィルタは、サーボ制御装置100のサンプリング周期Tと、速度制御系ゲイン交点周波数ωrcとに基づいて構築することができる。
この場合、速度偏差リミッタ7bにおける速度偏差リミット値として、図1に示す制御指令リミッタ7aにおける制御指令リミット値を以下の式によって等価変換した値、を適用することで、制御指令値103の整合性を確保する必要がある。
Figure 0006931980
なお、上記実施の形態2はあくまでも一例である。例えば、図6に示した速度偏差リミッタ7bは、必ずしも実装する必要が無いことは言うまでもない。また、上記実施の形態2では、速度推定器6bを構成する定常カルマンフィルタをサーボ制御装置100のサンプリング周期Tと、速度制御系ゲイン交点周波数ωrcとに基づいて構築した。しかし、速度推定器6bを構成する定常カルマンフィルタを、サーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において制御指令値103から位置検出値104までの動特性を剛体特性で近似した等価慣性A、サーボ制御装置100のサンプリング周期T、および速度制御器4の比例制御ゲインKに基づいて構築しても良い(上記フィルタ方程式(予測)の第2式)。
この実施の形態では、速度偏差から位置検出値までの動特性、つまり、速度制御器、アクチュエータ、制御対象、および位置検出器の動特性が、サーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域において剛体特性で近似できると仮定した。そして、カルマンフィルタが定係数フィルタへ収束した後の定常カルマンゲイン、を適用した定常カルマンフィルタで速度推定器を構成した。その上で、速度推定器において、位置検出値と速度偏差とを入力として制御対象の速度推定値を推定して、速度偏差リミッタへフィードバックするようにした。
これにより、真の速度に対する速度推定値の推定精度、つまり、サーボ制御装置の位置制御精度および速度制御精度、をカルマンフィルタ適用時と同等レベルに維持したまま、速度推定器における演算量を大幅に低減させることが可能となる。
加えて、この実施の形態では、サーボ制御装置の速度制御器によって常に一定の低周波域制御特性(速度制御系ゲイン交点周波数)が実現できることを前提として、速度制御器、アクチュエータ、制御対象、および位置検出器、を対象システムとして定常カルマンフィルタを構築した。そして、この定常カルマンフィルタで構成された速度推定器において、位置検出値および速度偏差に基づいて、速度推定値を推定して出力する構成とした。
これにより、制御指令値から位置検出値までの動特性、つまり、アクチュエータ、制御対象、および位置検出器の動特性、を剛体特性で近似した等価慣性が変化する場合においても、任意の等価慣性を用いて、真の速度に対する速度推定値の制御精度を維持することが可能となる。
特に、この実施の形態では、サーボ制御装置のサンプリング周期と、速度制御系ゲイン交点周波数と、に基づいて構築した定常カルマンフィルタによって、速度推定器を構成するようにした。
このため、従来から精度の高い情報として得られるサーボ制御装置のサンプリング周期と、速度制御器を設計した後の実機特性に基づいて高精度に計測される速度制御系ゲイン交点周波数と、によって定常カルマンフィルタを構成することができる。そして、速度推定器において、真の速度に対する速度推定精度をより高精度化することが可能となる。
実施の形態3.
以下、図を用いて実施の形態3について説明する。
図7は、実施の形態3によるサーボ制御装置100の構成を示すブロック線図である。図7において、図6と同じ構成要素には同一番号を付して説明は省略する。図7に記した記号の意味は以下の通りである。但し、図6と同じ記号の説明は省略する。
Figure 0006931980
図8は、実施の形態2によるサーボ制御装置100において、位置検出値の誤差が一定期間拡大した場合の制御指令値、真の速度および速度推定値、真の位置および位置検出値の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
図9は、実施の形態3によるサーボ制御装置100において、位置検出値の誤差が一定期間拡大した場合の制御指令値、真の速度および速度推定値、真の位置および位置検出値の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
図7に示したように、実施の形態3によるサーボ制御装置100では、速度推定器6bが、制御対象1の速度推定値105に加えて、位置推定値107も推定して出力する。
遅延器8では、速度推定器6bから出力される位置推定値107を入力とし、その1サンプリング遅延信号108を生成して出力する。
第1の位置信号選択器9では、速度推定器6bから出力される位置推定値107と、位置検出器2から出力される位置検出値104とのいずれか一方を、位置選択信号制御器11から出力される位置選択信号に基づいて選択して、位置フィードバック信号として出力する。
第2の位置信号選択器10では、遅延器8から出力される位置推定値の1サンプリング遅延信号108と、位置検出器2から出力される位置検出値104とのいずれか一方を、位置選択信号制御器11から出力される位置選択信号に基づいて選択して、速度推定器入力信号として出力する。
位置選択信号制御器11では、第2の位置信号選択器10から出力される速度推定器入力信号と、位置検出器2から出力される位置検出値104とに基づいて、第1の位置信号選択器9および第2の位置信号選択器10に入力するための位置選択信号、を生成して出力する。
速度推定器6bでは、第2の位置信号選択器10から出力される速度推定器入力信号と、速度偏差リミッタ7bから出力される速度偏差106とに基づいて、制御対象1の位置および速度を推定する。そして、速度推定器6bは、推定した位置を位置推定値107として出力し、推定した速度を速度推定値105として出力する。
位置制御器3では、外部から与えられる位置指令値101と第1の位置信号選択器9から出力される位置フィードバック信号との偏差に基づいて、サーボ制御装置100の速度指令値102を演算して出力する。
次に、実施の形態2によるサーボ制御装置100において位置検出値104の誤差が一定期間拡大した場合の動作を示した上で、実施の形態3によるサーボ制御装置100の動作について説明する。
図6に示す実施の形態2によるサーボ制御装置100において、位置検出器2の不良動作に起因して、真の位置xに対する位置検出値104の誤差が一定期間拡大した場合、定常カルマンフィルタで構成された速度推定器6bでは、過大な誤差が重畳した位置検出値104に基づいて速度推定値105を推定する。そのため、真の速度に対する速度推定精度が劣化する。このとき、サーボ制御装置100では、一定期間にせよ、過大な誤差が重畳した位置検出値104と、推定精度が劣化した速度推定値105とをフィードバックして、位置制御および速度制御を実施する。そのため、位置検出値104に一定期間重畳する誤差量に応じて、位置制御精度および速度制御精度が極度に劣化する。
例として、実施の形態2によるサーボ制御装置100において、位置指令値101の時間変化率を所定の一定値とした状態で、時刻0.1sから概ね50msの期間において、位置検出値104の誤差が拡大した場合の制御指令値103、真の速度および速度推定値105、真の位置xおよび位置検出値104の時間応答シミュレーション結果を図8に示す。
図8によれば、制御指令値103は速度偏差リミッタ7bに対応した制御指令リミット値まで到達している。つまり、位置検出値104に対する過大な誤差の重畳に応じて速度推定値105の推定精度が極度に劣化し、制御指令値103が大幅に乱される。そのため、位置検出値104における誤差拡大期間(50ms)に対して、サーボ制御装置100が正常動作に復帰するまでに、概ね0.3sの期間を要していることがわかる。
そこで、実施の形態3によるサーボ制御装置100(図7)では、速度推定器6bを構成する定常カルマンフィルタが、速度推定値105に加えて、位置推定値107も推定していること(実施の形態2で説明したフィルタ方程式(推定))を利用する。つまり、位置検出値104の誤差拡大期間において、速度推定器6bへの入力信号と、位置制御器3への位置フィードバック信号とに、位置推定値107を適用する。これにより、位置検出器2の不良動作に起因するサーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度の劣化を抑制している。
具体的には、定常カルマンフィルタで構成された速度推定器6bからは、実施の形態2で説明したフィルタ方程式(推定)に基づいて、制御対象1の速度推定値105に加えて、位置推定値107も出力される。この位置推定値107は、遅延器8においてサーボ制御装置100のサンプリング周期に対応する1サンプリング遅延信号108に変換されると共に、第1の位置信号選択器9に入力される。
第1の位置信号選択器9では、速度推定器6bから出力される位置推定値107と、位置検出器2から出力される位置検出値104とのいずれか一方を、位置選択信号制御器11から出力される位置選択信号に基づいて選択して、位置フィードバック信号として出力する。
第2の位置信号選択器10では、遅延器8から出力される位置推定値の1サンプリング遅延信号108と、位置検出器2から出力される位置検出値104とのいずれか一方を、位置選択信号制御器11から出力される位置選択信号に基づいて選択して、速度推定器入力信号として出力する。
位置選択信号制御器11では、第2の位置信号選択器10から出力される速度推定器入力信号と、位置検出器2から出力される位置検出値104とに基づいて、第1の位置信号選択器9および第2の位置信号選択器10に入力するための位置選択信号を、以下の条件に基づいて切り換えて保持する。
Figure 0006931980
Figure 0006931980
速度推定器6bでは、第2の位置信号選択器10から出力される速度推定器入力信号と、速度偏差リミッタ7bから出力される速度偏差106とに基づいて、制御対象1の位置および速度を推定する。そして、速度推定器6bは、推定した位置を位置推定値107として出力し、推定した速度を速度推定値105として出力する。
位置制御器3では、外部から与えられる位置指令値101と第1の位置信号選択器9から出力される位置フィードバック信号との偏差に基づいて、サーボ制御装置100の速度指令値102を演算して出力する。
これにより、位置検出器2が出力する位置検出値104が正常である場合、上記条件(2)または上記条件(3)に基づいて、位置制御器3へフィードバックされる位置フィードバック信号(第1の位置信号選択器9出力)、および、速度推定器6bへ入力される速度推定器入力信号(第2の位置信号選択器10出力)として、従来通り、位置検出値104が適用される。
一方、位置検出器2の不良動作に起因して位置検出値104の誤差が一定期間拡大した場合、上記条件(1)に基づいて、位置制御器3へフィードバックされる位置フィードバック信号(第1の位置信号選択器9出力)に、速度推定器6bから出力される位置推定値107を適用して、速度推定器6bへ入力される速度推定器入力信号(第2の位置信号選択器10出力)に、位置推定値の1サンプリング遅延信号108を適用する。これにより、位置検出器2の不良動作に起因するサーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度の劣化を抑制している。
例として、実施の形態3によるサーボ制御装置100において、位置指令値101の時間変化率を所定の一定値とした状態で、時刻0.1sから概ね50msの期間において位置検出値104の誤差が拡大した場合の制御指令値103、真の速度および速度推定値105、真の位置xおよび位置検出値104の時間応答シミュレーション結果を図9に示す。
なお、図9に関する時間応答シミュレーションと、図8に関する時間応答シミュレーションとでは、縦軸が同一スケールであり、また、横軸が同一スケールである。さらに、位置検出値104に重畳する誤差量も同一である。
図9において、実線で表記した真の速度と、破線で表記した速度推定値105とは、互いに重なっている。
図9によれば、位置検出器2の不良動作に起因して位置検出値104の誤差が一定期間拡大しても、速度推定器6bから出力される速度推定値105には、図8に見られたような速度推定精度の劣化が発生しておらず、真の速度が高精度に推定されている。
位置検出値104の誤差拡大期間において、位置推定値107と、速度推定精度が大幅に向上した速度推定値105と、を位置制御器3および速度偏差リミッタ7bへフィードバックすることで、制御指令値103の変動量も図8に比して大幅に抑制され、サーボ制御装置100の挙動がほぼ正常動作に維持されることがわかる。
なお、上記実施の形態3はあくまでも一例である。例えば、図7に示した速度偏差リミッタ7bは、必ずしも実装する必要が無いことは言うまでもない。また、上記実施の形態3では、遅延器8の構成をサーボ制御装置100のサンプリング周期に対応する1サンプリング遅延としたが、遅延器8の構成を必ずしも1サンプリング遅延とする必要は無い。つまり、遅延器8を任意の遅延量で構築しても良い。加えて、上記実施の形態3では、速度推定器6bを定常カルマンフィルタで構成したが、実施の形態1で説明したカルマンフィルタで速度推定器6bを構成しても良い。更に、速度推定器6bの入力を制御指令値および速度推定器入力信号で構成しても良い。
実施の形態3では、速度推定器を構成する定常カルマンフィルタが速度推定値に加えて位置推定値も推定していることを利用した。そして、位置検出値の誤差拡大期間において、位置制御器への位置フィードバック信号に、定常カルマンフィルタによって推定される位置推定値を適用して、速度推定器への入力信号に位置推定値の1サンプリング遅延信号を適用することで、位置検出器の不良動作に起因するサーボ制御装置の位置制御精度および速度制御精度の劣化を抑制するようにした。
これにより、位置検出器の不良動作に起因して、真の位置に対する位置検出値の誤差が一定期間拡大する場合においても、速度推定器を構成する定常カルマンフィルタが、位置推定値の1サンプリング遅延信号と速度偏差とに基づいて、真の位置および真の速度を高精度に推定してサーボ制御装置へフィードバックする。そのため、当該期間中におけるサーボ制御装置の位置制御精度および速度制御精度の劣化を抑制することが可能となる。
実施の形態3では、位置選択信号制御器によって、速度推定器入力信号と位置検出値との誤差絶対値が第1の閾値以上となった場合に、位置フィードバック信号(第1の位置信号選択器出力)に、速度推定器から出力される位置推定値を適用して、速度推定器へ入力される速度推定器入力信号(第2の位置信号選択器出力)に、位置推定値の1サンプリング遅延信号を適用した。更に、速度推定器入力信号と位置検出値との誤差絶対値が第2の閾値以下に収束した場合、または、予め設定した復帰時間が経過した場合に、位置フィードバック信号(第1の位置信号選択器出力)と、速度推定器入力信号(第2の位置信号選択器出力)との双方に、従来どおりの位置検出値を適用するようにした。
これにより、第1および第2の位置信号選択器における出力信号の切り換えに関して、位置検出値の誤差拡大検知による出力信号切換えと、位置検出器の正常動作復帰による出力信号切換えとの双方において、出力信号の不連続変化を極小化することができる。したがって、位置検出器の不良動作に起因するサーボ制御装置の位置制御精度および速度制御精度の劣化を極小化することが可能となる。加えて、位置検出器の正常動作復帰による出力信号切換えにおいて、予め設定した復帰時間が経過した場合にも出力信号切換えを実行することで、第1および第2の位置信号選択器における出力信号切換え動作を確実に実行することが可能となる。
実施の形態4.
以下、図を用いて実施の形態4について説明する。
図11は、実施の形態4によるサーボ制御装置の構成を示すブロック線図であり、図11において図10と同じ構成要素には同一番号を付している。図11に記した記号の意味は以下の通りである。但し、図10と同じ記号の説明は省略する。なお、変数(記号)の右下添字kは、当該変数に対応する時刻kT(k=0,1,2,…)を表している。
Figure 0006931980
図12は、従来の基本的なサーボ制御装置200において、位置指令値を一定値とした場合の制御指令値、真の速度および速度推定値、真の位置および位置検出値の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
図13は、実施の形態4によるサーボ制御装置100において、位置指令値を一定値とした場合の制御指令値、真の速度および速度推定値、真の位置および位置検出値の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
図14は、従来の基本的なサーボ制御装置200において、位置指令値の時間変化率を所定の一定値とした場合の制御指令値、真の速度および速度推定値、真の位置および位置検出値の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
図15は、実施の形態4によるサーボ制御装置100において、位置指令値の時間変化率を所定の一定値とした場合の制御指令値、真の速度および速度推定値、真の位置および位置検出値の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
図11に示したように、この実施の形態4によるサーボ制御装置100では、制御対象1の制御量である位置xを、位置検出器2においてサンプリング周期Tで標本化し、更に所定の検出分解能で量子化して、時刻kTにおける位置検出値104として出力する。位置xは並進変位または回転変位で規定される。
位置制御器3では、外部から与えられる位置指令値101と、位置検出器2から出力される位置検出値104との偏差に基づいて、制御対象1への速度指令値102を演算して出力する。
速度制御器4では、位置制御器3から出力される速度指令値102と、速度推定器6aから出力される速度推定値105との偏差に基づいて、制御対象1への制御指令値を演算して出力し、更に制御指令リミッタ7aによって当該制御指令値にリミット処理を施した信号を、最終的な制御指令値103として出力する。
アクチュエータ5では、制御指令リミッタ7aから出力される制御指令値103に基づいて、位置xを位置指令値101に追従させるような制御力または制御トルクを制御対象1に対して印加する。
第1の遅延器8aでは、速度推定器6aから出力される位置推定値107を入力とし、サンプリング周期Tに対応する1サンプル遅延信号108aを生成して出力する。
外乱推定器12aでは、位置検出器2から出力される位置検出値104から第1の遅延器8aの出力である1サンプル遅延信号108aを減じた位置推定誤差に基づいて、制御対象1へ作用する外乱を推定し、外乱推定値109aとして出力する。
第2の遅延器8bでは、制御指令リミッタ7aから出力される制御指令値103を入力とし、サンプリング周期Tに対応する1サンプル遅延信号108bを生成して出力する。
速度推定器6aでは、位置検出器2から出力される位置検出値104、外乱推定器12aから出力される外乱推定値109a、および第2の遅延器8bから出力される1サンプル遅延信号108bを入力として、制御対象1の並進速度または回転速度で規定される速度を推定し、速度推定値105として出力する。さらに、速度推定器6aでは、制御対象1の位置xを推定し、位置推定値107として出力する。
このとき、速度制御器4によってサーボ制御系インナーループとしての速度制御系を設計し、更に位置制御器3によってサーボ制御系アウターループとしての位置制御系を設計する。これにより、サーボ制御装置100における制御系としての安定性、位置指令値101の変化に対する位置検出値104の速応性、および定常状態における位置指令値101と位置検出値104との偏差が、所望の性能を満足するように調整することができる。
次に、従来の基本的なサーボ制御装置200(図10)における問題点を整理した上で、実施の形態4によるサーボ制御装置100の動作について説明する。図10に示す従来の基本的なサーボ制御装置200では、例えば、連続系伝達関数が、以下の疑似微分器伝達関数で与えられる擬似微分器を双一次変換したIIRフィルタによって、速度推定器210を構成している。
Figure 0006931980
このとき、真の位置xが一定であっても、位置検出器2による量子化に起因して、位置検出値104は位置検出器2の検出分解能(1LSB)を最小単位として矩形波状に変動する。
従来の基本的なサーボ制御装置200では、矩形波状に変動する位置検出値104の擬似微分によって推定される速度推定値105にはスパイク状の速度推定誤差が発生し、矩形波状に変動する位置検出値104と、スパイク状の速度推定誤差が重畳した速度推定値105とをフィードバックして、位置制御および速度制御を実施する。
したがって、従来の基本的なサーボ制御装置200では、特に、制御対象1の動作速度が零近傍となる低速駆動領域において、位置制御精度および速度制御精度が劣化する。
例として、従来の基本的なサーボ制御装置200において、位置指令値101を一定値とした場合の制御指令値103、真の速度および速度推定値105、真の位置xおよび位置検出値104の時間応答シミュレーション結果を図12に示す。
図12によれば、位置検出値104が検出分解能(1LSB)を振幅として矩形波状に変動し、速度推定値105にスパイク状の速度推定誤差が重畳した結果、本来零となるべき制御指令値103が変動し、本来零となるべき真の速度、および本来一定値となるべき真の位置xの制御精度が劣化していることが分かる。
また、位置検出器2から出力される位置検出値104が真の位置xに同期した変動的な位置検出誤差を含む場合、この位置検出誤差も速度推定器210によって擬似微分されるため、速度推定値105には位置検出誤差が増幅された変動的な速度推定誤差が重畳する。
従来の基本的なサーボ制御装置200では、真の位置xに同期した変動的な位置検出誤差を含む位置検出値104と、真の位置xに同期した変動的な速度推定誤差を含む速度推定値105とをフィードバックして、位置制御および速度制御を実施する。
このような従来の基本的なサーボ制御装置では、特に、制御対象1の動作速度が中高速駆動となる領域において、速度制御精度が劣化する。
例として、従来の基本的なサーボ制御装置200において、位置指令値101の時間変化率を所定の一定値とした場合の制御指令値103、真の速度および速度推定値105、真の位置xおよび位置検出値104の時間応答シミュレーション結果を図14に示す。図14によれば、速度推定値105に対して、真の位置xに同期した変動的な位置検出誤差が増幅された速度推定誤差が重畳した結果、制御指令値103も特に速度推定誤差に同期して変動し、本来一定値となるべき真の速度の制御精度が劣化していることが分かる。
なお、図14において、実線で表記した真の位置xと、破線で表記した位置検出値104は互いに重なっている。
そこで、実施の形態4によるサーボ制御装置100(図11)では、制御指令値103から位置検出値104までの動特性、つまり、アクチュエータ5、制御対象1、および位置検出器2の動特性が、サーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において剛体特性で近似できると仮定する。
そして、速度推定器6aを、以下に示すカルマンゲイン、フィルタ方程式および誤差共分散行列方程式で与えられるカルマンフィルタで構成する。
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
Figure 0006931980
このように、実施の形態4によるサーボ制御装置100では、サーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において制御指令値103から位置検出値104までの動特性を剛体特性で近似した等価慣性Aと、サーボ制御装置100のサンプリング周期Tと、に基づいたカルマンフィルタで、速度推定器6aを構成している。
また、実施の形態4によるサーボ制御装置100(図11)では、連続系伝達関数がPI補償器と位相進み補償器との直列接続に相当する以下の外乱推定器伝達関数で与えられる推定器を双一次変換したIIRフィルタによって、外乱推定器12aを構成している。
Figure 0006931980
Figure 0006931980
速度推定器6aを構成するカルマンフィルタでは、制御対象1に作用する外乱は考慮されていない。そのため、外乱作用下では、位置検出値104に対して位置推定値107に誤差が発生する。外乱推定器12aでは、この位置推定誤差に基づいて外乱推定値109aを推定し、この外乱推定値109aと制御指令値との加算値を、新たな制御指令値として速度推定器6aに入力する。このような構成とすることで、位置検出値104に対する位置推定値107の推定誤差が零に収束し、制御対象1に作用する外乱の影響が補償される。
その上で、この実施の形態4によるサーボ制御装置100では、時刻kTにおける動作として、はじめに、位置検出器2によって制御対象1の位置検出値104を取得する。
次いで、当該位置検出値104から、第1の遅延器8aの出力である1サンプル遅延信号108a(前時刻(k−1)Tにおける位置推定値)を減じた位置推定誤差に基づいて、外乱推定器12aによって、制御対象1へ作用する外乱推定値109aを演算して出力する。
更に、位置検出値104、外乱推定値109a、および第2の遅延器8bから出力される1サンプル遅延信号108b(前時刻(k−1)Tにおける制御指令値)に基づいて、速度推定器6aによって、制御対象1の速度推定値105、および位置推定値107を演算して出力する。
位置制御器3では、位置指令値101と位置検出値104との偏差に基づいて、速度指令値102を演算して出力する。
最後に、速度指令値102と速度推定値105との偏差に基づいて、速度制御器4、および制御指令リミッタ7aによって、制御対象1への制御指令値103を算出して出力する。
このように、速度推定器6aによって速度推定値105を推定することで、位置検出値104が位置検出器2の検出分解能(1LSB)を最小単位として矩形波状に変動しても、速度推定値105にはスパイク状の速度推定誤差が発生せず、真の速度に対する速度推定精度を高精度化することができる。そのため、制御対象1の動作速度が零近傍となる低速駆動領域において、サーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度を向上させることが可能となる。
例として、実施の形態4によるサーボ制御装置100において、位置指令値101を一定値とした場合の制御指令値103、真の速度および速度推定値105、真の位置xおよび位置検出値104の時間応答シミュレーション結果を図13に示す。
なお、図13に関する時間応答シミュレーションと、従来の基本的なサーボ制御装置200の図12に関する時間応答シミュレーションとでは、縦軸が同一スケールであり、また、横軸が同一スケールである。
図13において、実線で表記した真の速度と、破線で表記した速度推定値105とが、互いに重なっている。
図13によれば、位置検出値104が検出分解能(1LSB)を振幅として矩形波状に変動しても、速度推定器6aから出力される速度推定値105には図12に見られたようなスパイク状の速度推定誤差が発生せず、真の速度が高精度に推定されている。その結果、制御指令値103の変動量が図12に比して大幅に抑制され、本来零となるべき真の速度、および本来一定値となるべき真の位置xの制御精度も大幅に向上していることが分かる。
また、位置検出器2から出力される位置検出値104が真の位置xに同期した変動的な位置検出誤差を含む場合においても、速度推定値105に重畳する変動的な速度推定誤差が抑制され、真の速度に対する速度推定精度を高精度化することができる。そのため、制御対象1の動作速度が中高速駆動となる領域において、サーボ制御装置100の速度制御精度を向上させることが可能となる。
例として、実施の形態4によるサーボ制御装置100において、位置指令値101の時間変化率を所定の一定値とした場合の制御指令値103、真の速度および速度推定値105、真の位置xおよび位置検出値104の時間応答シミュレーション結果を図15に示す。
なお、図15に関する時間応答シミュレーションと、従来の基本的なサーボ制御装置200の図14に関する時間応答シミュレーションとでは、縦軸が同一スケールであり、また、横軸が同一スケールである。
図15において、実線で表記した真の位置xと、破線で表記した位置検出値104とは、互いに重なっている。
図15によれば、速度推定値105に重畳する変動的な速度推定誤差が図14に比して抑制され、その結果として、制御指令値103の変動量も抑制される。これにより、本来一定値となるべき真の速度の制御精度も向上している。
このように、実施の形態4によるサーボ制御装置100によれば、外乱推定器12aによって制御対象1に作用する外乱を推定し、この外乱推定値109aと第2の遅延器8bから出力される1サンプル遅延信号108bとの加算値を新たな制御指令値として速度推定器6aに入力する。このような構成とすることで、制御対象1に作用する外乱の影響を補償することができる。したがって、制御対象1へ作用する外乱のレベルによらずに真の速度に対する速度推定精度を高精度化することができ、低速および中高速を含む全駆動領域において、サーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度を向上させることが可能となる。換言すれば、従来に比してより低分解能な位置検出器2を適用したサーボ制御装置100によって、従来と同等レベルの位置制御精度および速度制御精度を実現することが可能となる。
ところで、上記実施の形態4はあくまでも一例であって、例えば、図11に示した制御指令リミッタ7aは、必ずしも実装する必要が無いことは言うまでもない。
この実施の形態では、制御指令値103から位置検出値104までの動特性、つまりアクチュエータ5、制御対象1、および位置検出器2の動特性が、サーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において剛体特性で近似できると仮定し、速度推定器6aをカルマンフィルタで構成した。また、外乱推定器12aで制御対象1に作用する外乱を推定し、外乱推定値109aとして出力する構成とした。その上で、速度推定器6aにおいて、位置検出値104、外乱推定値109a、および前時刻(k−1)Tにおける制御指令値を入力として、制御対象1の速度推定値105を推定して速度制御器4へフィードバックするようにした。
これにより、位置検出値104が位置検出器2の検出分解能(1LSB)を最小単位として矩形波状に変動しても、速度推定値105にはスパイク状の速度推定誤差が発生せず、制御対象1へ作用する外乱のレベルによらずに真の速度に対する速度推定精度を高精度化することができる。そのため、制御対象1の動作速度が零近傍となる低速駆動領域において、サーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度を向上させることが可能となる。
また、位置検出器2による位置検出値104が真の位置xに同期した変動的な位置検出誤差を含む場合においても、速度推定値105に重畳する変動的な速度推定誤差が抑制され、制御対象1へ作用する外乱のレベルによらずに真の速度に対する速度推定精度を高精度化することができる。そのため、制御対象1の動作速度が中高速駆動となる領域において、サーボ制御装置100の速度制御精度を向上させることが可能となる。
したがって、低速および中高速を含む全駆動領域において、サーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度を向上させることが可能となる。換言すれば、従来に比してより低分解能な位置検出器2を適用したサーボ制御装置100によって、従来と同等レベルの位置制御精度および速度制御精度を実現することが可能となる。
特に、この実施の形態4では、サーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において、制御指令値103から位置検出値104までの動特性を剛体特性で近似した等価慣性Aと、サーボ制御装置100のサンプリング周期Tと、に基づいて構築したカルマンフィルタによって、速度推定器6aを構成するようにした。
このため、従来から精度の高い情報として得られるサーボ制御装置100のサンプリング周期Tと、実機特性の計測結果に基づいて高精度に決定した等価慣性Aとによってカルマンフィルタを構成することができる。そして、速度推定器6aにおいて、真の速度に対する速度推定精度をより高精度化することが可能となる。
実施の形態5.
以下、図を用いて実施の形態5について説明する。
図16は、実施の形態5によるサーボ制御装置100の構成を示すブロック線図である。図16において、図11と同じ構成要素には同一番号を付して説明は省略する。図16に記した記号の意味は以下の通りである。但し、図11と同じ記号の説明は省略する。
Figure 0006931980
図16に示したように、この実施の形態5によるサーボ制御装置100では、位置制御器3から出力される速度指令値102と、速度推定器6bから出力される速度推定値105との速度偏差を速度偏差リミッタ7bに入力する。そして、当該速度偏差にリミット処理を施した速度偏差106を、速度制御器4に入力する。
速度制御器4では、速度偏差リミッタ7bから出力されるリミット処理後の速度偏差106に基づいて、サーボ制御装置100の制御指令値103を演算して出力する。
第1の遅延器8aでは、速度推定器6bから出力される位置推定値107を入力とし、サンプリング周期Tに対応する1サンプル遅延信号108aを生成して出力する。
外乱推定器12bでは、位置検出器2から出力される位置検出値104から、第1の遅延器8aの出力である1サンプル遅延信号108aを減じた位置推定誤差に基づいて、制御対象1へ作用する外乱を推定し、外乱推定値109bとして出力する。
第2の遅延器8cでは、速度偏差リミッタ7bから出力される速度偏差106を入力とし、サンプリング周期Tに対応する1サンプル遅延信号108cを生成して出力する。速度推定器6bでは、位置検出器2から出力される位置検出値104、外乱推定器12bから出力される外乱推定値109b、および第2の遅延器8cから出力される1サンプル遅延信号108cを入力として、制御対象1の速度および位置xを推定し、速度推定値105および位置推定値107として出力する。
次に、実施の形態5によるサーボ制御装置100の動作について説明する。
実施の形態5によるサーボ制御装置100(図16)では、速度偏差106から位置検出値104までの動特性、つまり、速度制御器4、アクチュエータ5、制御対象1、および位置検出器2の動特性が、サーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において剛体特性で近似できると仮定する。そして、速度推定器6bを、以下に示すフィルタ方程式で与えられる定常カルマンフィルタで構成する。
Figure 0006931980
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Figure 0006931980
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一般に、制御対象1のシステムパラメータF,G,D,Hが時間に依存しない時不変システムF,G,D,Hとして与えられる場合、カルマンフィルタは、定係数の定常カルマンフィルタに収束する。特に、(F,G)が可安定であり、(H,F)が可検出であれば、定常カルマンフィルタは漸近安定となる。
実施の形態5によるサーボ制御装置100では、上記特性を利用して、カルマンフィルタが定係数フィルタへ収束した後の定常カルマンゲインを適用した。そして、定常カルマンフィルタによって速度推定器6bを構成している。
また、実施の形態5によるサーボ制御装置100では、速度偏差106から位置検出値104までの動特性、つまり、速度制御器4、アクチュエータ5、制御対象1、および位置検出器2の動特性が、サーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において剛体特性で近似できると仮定した。そして、速度推定器6bをサーボ制御装置100のサンプリング周期Tと、速度制御系ゲイン交点周波数ωrcとに基づいた定常カルマンフィルタで構成している(上記フィルタ方程式(予測)の第3式)。
一方、実施の形態5によるサーボ制御装置100では、連続系伝達関数がPI補償器と位相進み補償器との直列接続に相当する外乱推定器伝達関数(実施の形態4を参照)で与えられる推定器を双一次変換したIIRフィルタによって、外乱推定器12bを構成している。
速度推定器6bを構成する定常カルマンフィルタでは、制御対象1に作用する外乱は考慮されていない。そのため、外乱作用下では、位置検出値104に対して位置推定値107に誤差が発生する。外乱推定器12bでは、この位置推定誤差に基づいて外乱推定値109bを推定し、この外乱推定値109bと速度偏差との加算値を、新たな速度偏差として速度推定器6bに入力する。このような構成とすることで、位置検出値104に対する位置推定値107の推定誤差が零に収束し、制御対象1に作用する外乱の影響が補償される。
その上で、この実施の形態5によるサーボ制御装置100では、時刻kTにおける動作として、はじめに、位置検出器2によって制御対象1の位置検出値104を取得する。
次いで、当該位置検出値104から、第1の遅延器8aの出力である1サンプル遅延信号108a(前時刻(k−1)Tにおける位置推定値)を減じた位置推定誤差に基づいて、外乱推定器12bによって制御対象1へ作用する外乱推定値109bを演算して出力する。
更に、位置検出値104、外乱推定値109b、および第2の遅延器8cから出力される1サンプル遅延信号108c(前時刻(k−1)Tにおける速度偏差)に基づいて、速度推定器6bによって、制御対象1の速度推定値105、および位置推定値107を演算して出力する。
位置制御器3では、位置指令値101と位置検出値104との偏差に基づいて、速度指令値102を演算して出力する。
次いで、速度指令値102と速度推定値105との偏差にリミット処理を施した信号を、速度偏差リミッタ7bから速度偏差106として出力する。
最後に、速度偏差106に基づいて、速度制御器4によって制御対象1への制御指令値103を算出して出力する。
このように、実施の形態5によるサーボ制御装置100によれば、上記構成の速度推定器6bによって速度推定値105を推定することで、制御指令値103から位置検出値104までの動特性、つまり、アクチュエータ5、制御対象1、および位置検出器2の動特性を剛体特性で近似した等価慣性Aが変化する場合においても、速度制御器4によって常に一定の低周波域制御特性(速度制御系ゲイン交点周波数ωrc)が実現できれば、次のことが可能となる。具体的には、定常カルマンフィルタへの入力を、位置検出器2から出力される位置検出値104、外乱推定器12bから出力される外乱推定値109b、および第2の遅延器8cから出力される速度偏差の1サンプル遅延信号108cとする。これにより、定常カルマンフィルタが推定対象とするシステムを速度制御器4、アクチュエータ5、制御対象1、および位置検出器2として、制御対象1へ作用する外乱のレベルによらず、任意の等価慣性Aにおいて真の速度に対する速度推定値105の推定精度を維持することが可能となる。
加えて、この場合の定常カルマンフィルタは、サーボ制御装置100のサンプリング周期Tと、速度制御系ゲイン交点周波数ωrcとに基づいて構築することができる。
この場合、速度偏差リミッタ7bにおける速度偏差リミット値として、図11に示す制御指令リミッタ7aにおける制御指令リミット値を、以下の式によって等価変換した値を適用することで、制御指令値103との整合性を確保する必要がある。
Figure 0006931980
ところで、上記実施の形態5はあくまでも一例であって、例えば、図16に示した速度偏差リミッタ7bは、必ずしも実装する必要が無いことは言うまでもない。また、上記実施の形態5では、速度推定器6bを構成する定常カルマンフィルタをサーボ制御装置100のサンプリング周期Tと、速度制御系ゲイン交点周波数ωrcとに基づいて構築した。しかし、サーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において、制御指令値103から位置検出値104までの動特性を剛体特性で近似した等価慣性A、サーボ制御装置100のサンプリング周期T、および速度制御器4の比例制御ゲインKに基づいて構築しても良い(上記フィルタ方程式(予測)の第2式)。
この実施の形態では、速度偏差106から位置検出値104までの動特性、つまり、速度制御器4、アクチュエータ5、制御対象1、および位置検出器2の動特性が、サーボ制御装置100の速度制御帯域を内包する周波数領域において剛体特性で近似できると仮定した。そして、カルマンフィルタが定係数フィルタへ収束した後の定常カルマンゲインを適用して定常カルマンフィルタで速度推定器6bを構成した。また、外乱推定器12bで制御対象1に作用する外乱を推定し、外乱推定値109bとして出力する構成とした。その上で、速度推定器6bにおいて、位置検出値104、外乱推定値109b、および前時刻(k−1)Tにおける速度偏差108cを入力として制御対象1の速度推定値105を推定し、速度偏差リミッタ7bへフィードバックするようにした。
これにより、真の速度に対する速度推定値105の推定精度、つまり、サーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度、をカルマンフィルタ適用時と同等レベルに維持したまま、速度推定器6bにおける演算量を大幅に低減させることが可能となる。
加えて、この実施の形態5では、サーボ制御装置100の速度制御器4によって常に一定の低周波域制御特性(速度制御系ゲイン交点周波数ωrc)が実現できることを前提として、速度制御器4、アクチュエータ5、制御対象1、および位置検出器2を対象システムとして定常カルマンフィルタを構築した。そして、この定常カルマンフィルタで構成された速度推定器6bにおいて、速度推定値105を推定して出力する構成とした。
これにより、制御指令値103から位置検出値104までの動特性、つまり、アクチュエータ5、制御対象1、および位置検出器2の動特性を剛体特性で近似した等価慣性Aが変化する場合においても、任意の等価慣性において真の速度に対する速度推定値105の制御精度を維持することが可能となる。
特に、この実施の形態では、サーボ制御装置100のサンプリング周期Tと、速度制御系ゲイン交点周波数ωrcとに基づいて構築した定常カルマンフィルタによって、速度推定器6bを構成するようにした。
このため、従来から精度の高い情報として得られるサーボ制御装置100のサンプリング周期Tと、速度制御器4を設計した後の実機特性に基づいて高精度に計測される速度制御系ゲイン交点周波数ωrcとによって定常カルマンフィルタを構成することができる。そして、速度推定器6bにおいて、真の速度に対する速度推定精度をより高精度化することが可能となる。
実施の形態6.
以下、図を用いて実施の形態6について説明する。
図17は、実施の形態6によるサーボ制御装置100の構成を示すブロック線図である。図17において、図16と同じ構成要素には同一番号を付して説明は省略する。
図18は、実施の形態5によるサーボ制御装置100において、位置検出値の誤差が一定期間拡大した場合の制御指令値、真の速度および速度推定値、真の位置および位置検出値の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
図19は、実施の形態6によるサーボ制御装置100において、位置検出値の誤差が一定期間拡大した場合の制御指令値、真の速度および速度推定値、真の位置および位置検出値の時間応答特性シミュレーション結果を示す時間波形図である。
図17に示したように、この実施の形態6によるサーボ制御装置100では、第1の位置信号選択器9によって、位置検出器2から出力される位置検出値104と速度推定器6bから出力される位置推定値107とのいずれか一方を、位置選択信号制御器11から出力される位置選択信号に基づいて選択し、位置制御器3への位置フィードバック信号として出力する。
第2の位置信号選択器10では、位置検出器2から出力される位置検出値104と、第1の遅延器8aから出力される位置推定値の1サンプル遅延信号108aとのいずれか一方を、位置選択信号制御器11から出力される位置選択信号に基づいて選択し、速度推定器入力信号として出力する。
位置選択信号制御器11では、位置検出器2から出力される位置検出値104と第1の遅延器8aから出力される位置推定値の1サンプル遅延信号108aとに基づいて、第1の位置信号選択器9、第2の位置信号選択器10、および外乱推定器12bに入力するための位置選択信号を生成して出力する。
外乱推定器12bでは、位置選択信号制御器11から出力される位置選択信号に基づいて、外乱推定動作の実行または停止を決定する。
速度推定器6bでは、第2の位置信号選択器10から出力される速度推定器入力信号、外乱推定器12bから出力される外乱推定値109b、および第2の遅延器8cから出力される速度偏差の1サンプル遅延信号108cに基づいて、制御対象1の速度および位置を推定し、速度推定値105および位置推定値107として出力する。
位置制御器3では、外部から与えられる位置指令値101と、第1の位置信号選択器9から出力される位置フィードバック信号との偏差に基づいて、サーボ制御装置100の速度指令値102を演算して出力する。
次に、実施の形態5によるサーボ制御装置100において、真の位置xに対する位置検出値104の誤差が一定期間拡大した場合の動作を示した上で、実施の形態6によるサーボ制御装置100の動作について説明する。
図16に示す実施の形態5によるサーボ制御装置100において、位置検出器2の不良動作に起因して、真の位置xに対する位置検出値104の誤差が一定期間拡大した場合、定常カルマンフィルタで構成された速度推定器6bでは、過大な誤差が重畳した位置検出値104に基づいて速度推定値105を推定する。このとき、サーボ制御装置100では、一定期間にせよ、過大な誤差が重畳した位置検出値104、および過大な誤差が重畳した位置検出値104に基づいて推定した速度推定値105をフィードバックして位置制御、および速度制御を実施する。そのため、位置検出値104に一定期間重畳する誤差量に応じて、位置制御精度および速度制御精度が極度に劣化する。
例として、実施の形態5によるサーボ制御装置100において、位置指令値101の時間変化率を所定の一定値とした状態で、時刻0.1sから概ね50msの期間において、位置検出値104の誤差が拡大した場合の制御指令値103、真の速度および速度推定値105、真の位置xおよび位置検出値104の時間応答シミュレーション結果を図18に示す。
図18によれば、位置検出値104に対する過大な誤差の重畳に応じて、制御指令値103が大幅に乱される。図18では,制御指令値103は速度偏差リミッタ7bに対応した制御指令リミット値まで到達している。そのため、位置検出値104における誤差拡大期間(50ms)に対して、サーボ制御装置100が正常動作に復帰するまでに、概ね0.15sの期間を要していることがわかる。
そこで、実施の形態6によるサーボ制御装置100(図17)では、位置検出値104の誤差拡大期間において、外乱推定器12bにおける外乱推定動作を停止し、位置制御器3への位置フィードバック信号に位置推定値107を適用し、速度推定器6bへの速度推定器入力信号に位置推定値の1サンプル遅延信号108aを適用する。これにより、位置検出器2の不良動作に起因するサーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度の劣化を抑制している。
具体的には、位置選択信号制御器11によって、位置検出器2から出力される位置検出値104、および第1の遅延器8aから出力される位置推定値の1サンプル遅延信号108aに基づいて、位置選択信号を以下のように切り換える。
位置選択信号が“正常”状態において、以下の条件が成立した場合に、位置選択信号制御器11によって、位置選択信号を“正常”から“異常”に切り換えて保持する。
Figure 0006931980
位置選択信号が“異常”状態に切り換えられた後において、以下の条件が成立した場合に、位置選択信号制御器11によって、位置選択信号を“異常”から“正常”に切り換えて保持する。
Figure 0006931980
外乱推定器12bでは、位置選択信号制御器11から出力される位置選択信号が“正常”である場合に、実施の形態5と同様の外乱推定動作を実行して外乱推定値109bを出力する。
一方で、時刻kTにおいて位置選択信号が“異常”に切り換わった場合、外乱推定器12bでは、切り換え直前(k−1)Tの外乱推定値109bを保持した状態で、外乱推定動作を停止する。
第1の位置信号選択器9では、位置選択信号制御器11から出力される位置選択信号に基づいて、その出力である位置フィードバック信号を以下の式にしたがって選択する。
Figure 0006931980
第2の位置信号選択器10では、位置選択信号制御器11から出力される位置選択信号に基づいて、その出力である速度推定器入力信号を以下の式にしたがって選択する。
Figure 0006931980
速度推定器6bでは、第2の位置信号選択器10から出力される速度推定器入力信号、外乱推定器12bから出力される外乱推定値109b、および第2の遅延器8cから出力される速度偏差の1サンプル遅延信号108cに基づいて、制御対象1の速度推定値105、および位置推定値107を推定して出力する。
位置制御器3では、外部から与えられる位置指令値101と、第1の位置信号選択器9から出力される位置フィードバック信号との偏差に基づいて、サーボ制御装置100の速度指令値102を演算して出力する。
これにより、位置検出器2が出力する位置検出値104が正常である場合は、位置制御器3に対する位置フィードバック信号(第1の位置信号選択器9の出力)、および速度推定器6bに対する速度推定器入力信号(第2の位置信号選択器10の出力)として、従来通りに位置検出値104が適用される。
一方、位置検出器2の不良動作に起因して位置検出値104の誤差が一定期間拡大した場合は、位置制御器3に対する位置フィードバック信号(第1の位置信号選択器9の出力)に位置推定値107を適用し、速度推定器6bに対する速度推定器入力信号(第2の位置信号選択器10の出力)に位置推定値の1サンプル遅延信号108aを適用することで、位置検出器2の不良動作に起因するサーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度の劣化を抑制している。
例として、実施の形態6によるサーボ制御装置100において、位置指令値101の時間変化率を所定の一定値とした状態で、時刻0.1sから概ね50msの期間において位置検出値104の誤差が拡大した場合の制御指令値103、真の速度および速度推定値105、真の位置xおよび位置検出値104の時間応答シミュレーション結果を図19に示す。
なお,図19に関する時間応答シミュレーションと、図18に関する時間応答シミュレーションとでは、縦軸が同一スケールであり、横軸が同一スケールである。さらに、位置検出値104に重畳する誤差量も同一である。
図19によれば、位置検出器2の不良動作に起因して位置検出値104の誤差が一定期間拡大しても、速度推定器6bから出力される速度推定値105には推定精度の劣化が発生しない
位置検出値104の誤差拡大期間において、位置推定値107、および速度推定精度の劣化を抑制した速度推定値105を位置制御器3、および速度偏差リミッタ7bへフィードバックすることで、制御指令値103の変動量も図18に比して大幅に抑制され、サーボ制御装置100の挙動がほぼ正常動作に維持されることがわかる。
なお、上記実施の形態6はあくまでも一例であって、例えば、図17に示した速度偏差リミッタ7bは、必ずしも実装する必要が無いことは言うまでもない。また、上記実施の形態6では速度推定器6bを定常カルマンフィルタで構成したが、速度推定器6bを実施の形態4で説明したカルマンフィルタで構成しても良い。更に、速度推定器6bの入力信号を、制御指令値の1サンプル遅延信号108b、外乱推定値109a、および速度推定器入力信号で構成しても良い。
この実施の形態6では、位置検出値104の誤差拡大期間において、外乱推定器12bにおける外乱推定動作を停止し、位置制御器3への位置フィードバック信号に位置推定値107を適用し、速度推定器6bへの速度推定器入力信号に位置推定値の1サンプル遅延信号108aを適用することで、位置検出器2の不良動作に起因するサーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度の劣化を抑制するようにした。
これにより、位置検出器2の不良動作に起因して,真の位置xに対する位置検出値104の誤差が一定期間拡大する場合においても、速度推定器6bを構成する定常カルマンフィルタが、真の位置xおよび真の速度を高精度に推定してサーボ制御装置100へフィードバックする。そのため、当該期間中におけるサーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度の劣化を抑制することが可能となる。
特に、この実施の形態6では、位置選択信号制御器11において、位置検出値104と位置推定値の1サンプル遅延信号108aとの誤差絶対値が第1の閾値以上となった場合に、位置選択信号を“正常”から“異常”に切り換えて保持する。更に、位置検出値104と位置推定値の1サンプル遅延信号108aとの誤差絶対値が第2の閾値以下に収束した場合、または、予め設定した復帰時間が経過した場合に、位置選択信号を“異常”から“正常”に切り換えて保持する。
これにより、位置検出値104の誤差拡大検知による切り換えタイミング、および位置検出器2の正常動作復帰による切り換えタイミングの双方において、外乱推定器12bの動作切り換えにおける不連続変化、および第1および第2の位置信号選択器の出力信号切り換えにおける不連続変化を極小化することができる。したがって、位置検出器2の不良動作に起因するサーボ制御装置100の位置制御精度および速度制御精度の劣化を極小化することが可能となる。加えて、予め設定した復帰時間が経過した場合にも位置検出器2の正常動作復帰を実行することで、外乱推定器12bの動作切り換え、および第1および第2の位置信号選択器における出力信号切り換えを確実に実行することが可能となる。
1 制御対象、2 位置検出器、3 位置制御器、4 速度制御器、5 アクチュエータ、6a 速度推定器、6b 速度推定器、7a 制御指令リミッタ、7b 速度偏差リミッタ、8 遅延器、8a 第1の遅延器、8b,8c 第2の遅延器、9 第1の位置信号選択器、10 第2の位置信号選択器、11 位置選択信号制御器、12a,12b 外乱推定器、100 サーボ制御装置、101 位置指令値、102 速度指令値、103 制御指令値、104 位置検出値、105 速度推定値、106 速度偏差、107 位置推定値、108 1サンプリング遅延信号、108a,108b,108c 1サンプル遅延信号、109a,109b 外乱推定値、200 サーボ制御装置、210 速度推定器。

Claims (21)

  1. 並進変位または回転変位で規定される位置を制御量とする制御対象と、
    上記制御対象の位置を検出して位置検出値として出力する位置検出器と、
    少なくとも上記位置検出値に基づいて、上記制御対象の並進速度または回転速度で規定される速度を推定し、速度推定値として出力する速度推定器と、
    外部から与えられる位置指令値と上記位置検出値とに基づいて、制御対象への速度指令値を演算して出力する位置制御器と、
    上記速度指令値と上記速度推定値とに基づいて、制御対象への制御指令値を演算して出力する速度制御器と、
    上記制御指令値に基づいて、上記制御対象に対して並進変位を制御するための制御力、または、回転変位を制御するための制御トルクを印加するアクチュエータと
    を備えたサーボ制御装置であって、
    上記速度推定器が、
    上記サーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域における、上記制御指令値から上記位置検出値までの動特性、を剛体特性で近似した等価慣性と、上記サーボ制御装置のサンプリング周期と、に基づいたカルマンフィルタで構成され、
    上記位置検出値および上記制御指令値を入力として、上記制御対象の上記速度を推定し、上記速度推定値として出力することを特徴とするサーボ制御装置。
  2. 上記速度推定器が、
    上記カルマンフィルタが定係数フィルタへ収束した後の定常カルマンゲインを適用した定常カルマンフィルタで構成され、
    上記位置検出値および上記制御指令値を入力として、上記制御対象の上記速度を推定し、上記速度推定値として出力することを特徴とする請求項1記載のサーボ制御装置。
  3. 並進変位または回転変位で規定される位置を制御量とする制御対象と、
    上記制御対象の位置を検出して位置検出値として出力する位置検出器と、
    少なくとも上記位置検出値に基づいて、上記制御対象の並進速度または回転速度で規定される速度を推定し、速度推定値として出力する速度推定器と、
    外部から与えられる位置指令値と上記位置検出値とに基づいて、制御対象への速度指令値を演算して出力する位置制御器と、
    上記速度指令値と上記速度推定値との速度偏差に基づいて、制御対象への制御指令値を演算して出力する速度制御器と、
    上記制御指令値に基づいて、上記制御対象に対して並進変位を制御するための制御力、または、回転変位を制御するための制御トルクを印加するアクチュエータと
    を備えたサーボ制御装置であって、
    上記速度推定器が、
    上記サーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域における、上記制御指令値から上記位置検出値までの動特性、に基づいたカルマンフィルタで構成され、
    上記位置検出値と上記速度偏差とを入力として、上記制御対象の上記速度を推定し、上記速度推定値として出力することを特徴とするサーボ制御装置。
  4. 上記速度推定器を構成するカルマンフィルタが
    記サーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域における、上記制御指令値から上記位置検出値までの動特性を剛体特性で近似した等価慣性と、
    上記サーボ制御装置のサンプリング周期と、
    上記速度制御器における比例制御ゲインとに基づいて構成された
    ことを特徴とする請求項3に記載のサーボ制御装置。
  5. 上記速度推定器を構成するカルマンフィルタが
    上記速度制御器で実現する速度制御系ゲイン交点周波数と、
    上記サーボ制御装置のサンプリング周期と、
    に基づいて構成されたことを特徴とする請求項3記載のサーボ制御装置。
  6. 並進変位または回転変位で規定される位置を制御量とする制御対象と、
    上記制御対象の位置を検出して位置検出値として出力する位置検出器と、
    少なくとも上記位置検出値に基づいて、上記制御対象の並進速度または回転速度で規定される速度を推定し、速度推定値として出力する速度推定器と、
    外部から与えられる位置指令値と上記位置検出値とに基づいて、制御対象への速度指令値を演算して出力する位置制御器と、
    上記速度指令値と上記速度推定値とに基づいて、制御対象への制御指令値を演算して出力する速度制御器と、
    上記制御指令値に基づいて、上記制御対象に対して並進変位を制御するための制御力、または、回転変位を制御するための制御トルクを印加するアクチュエータと
    を備えたサーボ制御装置であって、
    上記速度推定器が、
    上記サーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域における、上記制御指令値から上記位置検出値までの動特性、に基づいたカルマンフィルタで構成され、上記速度推定値に加えて、上記制御対象の位置を推定し、位置推定値として出力し、
    上記サーボ制御装置が、更に、
    上記位置推定値の遅延信号を生成して出力する遅延器と、
    上記位置推定値と上記位置検出値とのいずれか一方を位置選択信号に基づいて選択し、位置フィードバック信号として出力する第1の位置信号選択器と、
    上記遅延器から出力される上記位置推定値の遅延信号と上記位置検出値とのいずれか一方を上記位置選択信号に基づいて選択し、速度推定器入力信号として出力する第2の位置信号選択器と、
    上記速度推定器入力信号と上記位置検出値とに基づいて、上記第1の位置信号選択器および上記第2の位置信号選択器に入力するための上記位置選択信号を生成して出力する位置選択信号制御器と、
    を備え、
    上記速度推定器を構成するカルマンフィルタが、
    上記速度推定器入力信号と、
    上記速度指令値と上記速度推定値との速度偏差、を入力として、上記制御対象の上記位置および上記速度を推定し、上記位置推定値および上記速度推定値として出力し、
    上記位置制御器が、
    外部から与えられる上記位置指令値と、上記位置フィードバック信号とに基づいて、上記速度指令値を演算して出力する
    ことを特徴とするサーボ制御装置。
  7. 上記遅延器が、
    上記位置推定値の遅延信号として、上記サーボ制御装置のサンプリング周期に対応する1サンプル遅延信号を生成して出力するように構成されたことを特徴とする請求項6記載のサーボ制御装置。
  8. 上記位置選択信号制御器が、
    上記速度推定器入力信号と上記位置検出値との誤差絶対値が第1の閾値以上となった場合に、
    上記第1の位置信号選択器が、上記位置フィードバック信号として上記位置推定値を選択して出力し、
    上記第2の位置信号選択器が,上記速度推定器入力信号として上記位置推定値の遅延信号を選択して出力する
    ように上記位置選択信号を切り換えて保持し、
    更に、上記速度推定器入力信号と上記位置検出値との誤差絶対値が第2の閾値以下に収束した場合、または、予め設定した時間が経過した場合に、
    上記第1の位置信号選択器が、上記位置フィードバック信号として上記位置検出値を選択して出力し、
    上記第2の位置信号選択器が、上記速度推定器入力信号として上記位置検出値を選択して出力する
    ように上記位置選択信号を切り換えて保持する
    ように構成されたことを特徴とする請求項6記載のサーボ制御装置。
  9. 並進変位または回転変位で規定される位置を制御量とする制御対象と、
    上記制御対象の位置を検出して位置検出値として出力する位置検出器と、
    少なくとも上記位置検出値に基づいて、上記制御対象の並進速度または回転速度で規定される速度および位置を推定し、速度推定値および位置推定値として出力する速度推定器と、
    外部から与えられる位置指令値と上記位置検出値とに基づいて、制御対象への速度指令値を演算して出力する位置制御器と、
    上記速度指令値と上記速度推定値とに基づいて、制御対象への制御指令値を演算して出力する速度制御器と、
    上記制御指令値に基づいて、上記制御対象に対して並進変位を制御するための制御力、または、回転変位を制御するための制御トルクを印加するアクチュエータと、
    上記位置推定値の遅延信号を生成して出力する第1の遅延器と、
    上記位置検出値および上記第1の遅延器から出力される位置推定値の遅延信号に基づいて、上記制御対象へ作用する外乱を推定し、外乱推定値として出力する外乱推定器と、
    上記制御指令値の遅延信号を生成して出力する第2の遅延器と、
    を備えたサーボ制御装置において、
    上記速度推定器が、
    上記サーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域における、上記制御指令値か
    ら上記位置検出値までの動特性に基づいたカルマンフィルタで構成され、
    上記位置検出値、上記外乱推定値、および第2の遅延器から出力される制御指令値の遅延信号を入力として、上記制御対象の上記速度および上記位置を推定し、上記速度推定値および上記位置推定値として出力することを特徴とするサーボ制御装置。
  10. 上記速度推定器が、
    上記カルマンフィルタが定係数フィルタへ収束した後の定常カルマンゲインを適用した定常カルマンフィルタで構成され、
    上記位置検出値、上記外乱推定値、および第2の遅延器から出力される制御指令値の遅延信号を入力として、上記制御対象の上記速度および上記位置を推定し、上記速度推定値および上記位置推定値として出力することを特徴とする請求項9記載のサーボ制御装置。
  11. 上記速度推定器を構成するカルマンフィルタが
    ーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域における、上記制御指令値から上記位置検出値までの動特性を剛体特性で近似した等価慣性と、
    サーボ制御装置のサンプリング周期とに基づいて構成されことを特徴とする請求項9または請求項10に記載のサーボ制御装置。
  12. 上記第1の遅延器が、
    上記位置推定値の遅延信号として、上記サーボ制御装置のサンプリング周期に対応する1サンプル遅延信号を生成して出力するように構成されたことを特徴とする請求項9記載のサーボ制御装置。
  13. 上記第2の遅延器が、
    上記制御指令値の遅延信号として、上記サーボ制御装置のサンプリング周期に対応する1サンプル遅延信号を生成して出力するように構成されたことを特徴とする請求項9記載のサーボ制御装置。
  14. 上記外乱推定器が、
    PI補償器と位相進み補償器との直列接続で構成され、
    上記位置検出値から上記位置推定値の遅延信号を減じた位置推定誤差を入力として、上記制御対象へ作用する外乱推定値を推定して出力することを特徴とする請求項9または請求項10に記載のサーボ制御装置。
  15. 並進変位または回転変位で規定される位置を制御量とする制御対象と、
    上記制御対象の位置を検出して位置検出値として出力する位置検出器と、
    少なくとも上記位置検出値に基づいて、上記制御対象の並進速度または回転速度で規定される速度および位置を推定し、速度推定値および位置推定値として出力する速度推定器と、
    外部から与えられる位置指令値と上記位置検出値とに基づいて、制御対象への速度指令値を演算して出力する位置制御器と、
    上記速度指令値と上記速度推定値とに基づいて、制御対象への制御指令値を演算して出力する速度制御器と、
    上記制御指令値に基づいて、上記制御対象に対して並進変位を制御するための制御力、または、回転変位を制御するための制御トルクを印加するアクチュエータと、
    上記位置推定値の遅延信号を生成して出力する第1の遅延器と、
    上記位置検出値および上記第1の遅延器から出力される位置推定値の遅延信号に基づいて、上記制御対象へ作用する外乱を推定し、外乱推定値として出力する外乱推定器と、
    上記速度指令値から上記速度推定値を減じた速度偏差を入力として、上記速度偏差の遅延信号を生成して出力する第2の遅延器と、
    を備えたサーボ制御装置において、
    上記速度推定器が、
    上記サーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域における、上記制御指令値から上記位置検出値までの動特性に基づいたカルマンフィルタで構成され、
    上記位置検出値、上記外乱推定値、および第2の遅延器から出力される速度偏差の遅延信号を入力として、上記制御対象の上記速度および上記位置を推定し、上記速度推定値および上記位置推定値として出力することを特徴とするサーボ制御装置。
  16. 上記速度推定器を構成するカルマンフィルタが、
    ーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域における、上記制御指令値から上記位置検出値までの動特性を剛体特性で近似した等価慣性と、
    サーボ制御装置のサンプリング周期と、
    上記速度制御器における比例制御ゲインとに基づいて構成された
    ことを特徴とする請求項15記載のサーボ制御装置。
  17. 上記速度推定器を構成するカルマンフィルタまたは定常カルマンフィルタが、
    上記速度制御器で実現する速度制御系ゲイン交点周波数と、
    上記サーボ制御装置のサンプリング周期と、
    に基づいて構成されたことを特徴とする請求項15記載のサーボ制御装置。
  18. 上記第2の遅延器が
    度偏差の遅延信号として、上記サーボ制御装置のサンプリング周期に対応する1サンプル遅延信号を生成して出力するように構成されたことを特徴とする請求項15記載のサーボ制御装置。
  19. 上記外乱推定器が、
    PI補償器と位相進み補償器との直列接続で構成され、
    上記位置検出値から上記位置推定値の遅延信号を減じた位置推定誤差を入力として、上記制御対象へ作用する外乱推定値を推定して出力することを特徴とする請求項15記載のサーボ制御装置。
  20. 並進変位または回転変位で規定される位置を制御量とする制御対象と、
    上記制御対象の位置を検出して位置検出値として出力する位置検出器と、
    少なくとも上記位置検出値に基づいて、上記制御対象の並進速度または回転速度で規定される速度および位置を推定し、速度推定値および位置推定値として出力する速度推定器と、
    外部から与えられる位置指令値と上記位置検出値とに基づいて、制御対象への速度指令値を演算して出力する位置制御器と、
    上記速度指令値と上記速度推定値とに基づいて、制御対象への制御指令値を演算して出力する速度制御器と、
    上記制御指令値に基づいて、上記制御対象に対して並進変位を制御するための制御力、または、回転変位を制御するための制御トルクを印加するアクチュエータと、
    上記位置推定値の遅延信号を生成して出力する第1の遅延器と、
    上記位置検出値および上記第1の遅延器から出力される位置推定値の遅延信号に基づいて、上記制御対象へ作用する外乱を推定し、外乱推定値として出力する外乱推定器と、
    上記制御指令値の遅延信号を生成して出力する第2の遅延器と、
    を備えたサーボ制御装置において、
    上記速度推定器が、
    上記サーボ制御装置の速度制御帯域を内包する周波数領域における、上記制御指令値から上記位置検出値までの動特性に基づいたカルマンフィルタで構成され、
    上記外乱推定器が、
    外乱推定動作の実行または停止を位置選択信号に基づいて決定するように構成され、
    上記サーボ制御装置が、更に、
    上記位置検出値と上記位置推定値とのいずれか一方を上記位置選択信号に基づいて選択し、上記位置制御器への位置フィードバック信号として出力する第1の位置信号選択器と、
    上記位置検出値と上記第1の遅延器から出力される位置推定値の遅延信号とのいずれか一方を上記位置選択信号に基づいて選択し、速度推定器入力信号として出力する第2の位置信号選択器と、
    上記位置検出値および上記第1の遅延器から出力される位置推定値の遅延信号に基づいて、上記第1の位置信号選択器、上記第2の位置信号選択器、および上記外乱推定器に入力するための上記位置選択信号を生成して出力する位置選択信号制御器と、
    を備え、
    上記速度推定器を構成するカルマンフィルタが、
    上記第2の位置信号選択器からの上記速度推定器入力信号、上記外乱推定値、および速度偏差の遅延信号を入力として、上記制御対象の上記速度および上記位置を推定し、上記速度推定値および上記位置推定値として出力し、
    上記位置制御器が、
    外部から与えられる上記位置指令値と、上記第1の位置信号選択器からの上記位置フィードバック信号とに基づいて、上記速度指令値を演算して出力する
    ことを特徴とするサーボ制御装置。
  21. 上記位置選択信号制御器が、
    上記位置検出値と上記第1の遅延器から出力される位置推定値の遅延信号との誤差絶対値が第1の閾値以上となった場合に、
    上記外乱推定器が、直前の外乱推定値を保持した状態で外乱推定動作を停止し、
    上記第1の位置信号選択器が、上記位置推定値を選択して出力し、
    上記第2の位置信号選択器が、上記第1の遅延器から出力される位置推定値の遅延信号を選択して出力する
    ように上記位置選択信号を切り換えて保持し、
    上記位置選択信号を切り換えた後に、上記位置検出値と上記第1の遅延器から出力される位置推定値の遅延信号との誤差絶対値が第2の閾値以下に収束した場合、または、上記位置選択信号を切り換えた後に、予め設定した時間が経過した場合に、
    上記外乱推定器が、外乱推定動作を実行し、
    上記第1の位置信号選択器が、上記位置検出値を選択して出力し、
    上記第2の位置信号選択器が、上記位置検出値を選択して出力する
    ように上記位置選択信号を切り換えて保持する
    ことを特徴とする請求項20記載のサーボ制御装置。
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