(実施形態1)
実施形態1の組立式容器について、図1〜図5に基づいて説明する。
図1には、実施形態1の組立式容器を斜視で示している。本実施形態の組立式容器は、合成樹脂製の板材を複数個所の折目部分で折り曲げることによって、いわゆる段ボール箱のような直方体(六面体)に組み立てることのできる組立式容器である。
図2は、本実施形態の組立式容器を折り畳んだ状態を示す平面図であり、図3は、本実施形態の組立式容器の展開図である。
図3に展開状態で示すように、本実施形態の組立式容器は、第二方向D2に沿って連続的につながる四枚の側板11,12,13,14と、四枚の側板11,12,13,14から第一方向D1の一側に延設される四枚の蓋フラップ21,22,23,24と、四枚の側板11,12,13,14から第一方向D1の他側に延設される四枚の底フラップ31,32,33,34を、一体に備える。第一方向D1と第二方向D2は、互いに直交する方向である。
四枚の側板11,12,13,14から蓋フラップ21,22,23,24が延設される側(第一方向D1の一側)と、四枚の側板11,12,13,14から底フラップ31,32,33,34が延設される側(第一方向D1の他側)は、互いに反対である。
各蓋フラップ21,22,23,24と各底フラップ31,32,33,34には、その端縁の全域に亘って端面封止を行っている。ここでの端面封止は、たとえば各フラップ21,22,23,24や各底フラップ31,32,33,34を構成する合成樹脂板の両側のスキン材同士を押し潰すように熱溶着させることで行う。
以下、本実施形態の組み立て容器の各構成について、さらに詳しく説明する。
各々が矩形板状である四枚の側板11,12,13,14は、第二方向D2に沿って無端状につながることで、矩形枠状の胴部1を形成する。側板11,13は胴部1の長辺側を構成する側板であり、側板12,14は胴部1の短辺側を構成する側板である。
本文では区別のため、側板11,13を長側板11,13と称し、側板12,14を短側板12,14と称する。また、本文で用いる上側および下側の文言は、使用時(蓋を上に位置させ、底を下に位置させた状態)を基準としたものである。
長側板11について説明する。
長側板11の第一方向D1の上側の端縁からは、一直線状の折目部分411を介して蓋フラップ21が第一方向D1に延設されている。長側板11の第一方向D1の下側の端縁からは、折目部分411と平行な一直線状の折目部分412を介して、底フラップ31が蓋フラップ21とは反対側に延設されている。
折目部分411,412は共に、第二方向D2に沿って伸びる一本の曲げ罫線から成る。蓋フラップ21は、折目部分411を一辺(長辺)とする矩形板状のフラップである。
底フラップ31は、折目部分412から第一方向D1に沿って離れるほど幅狭となるように形成された先細型(折目部分412を底辺とする略台型)の底フラップである。底フラップ31は、折目部分412から第一方向D1に沿って離れるほど互いに近づくように内側に傾いた側縁部315,316を、第二方向D2の両側に有する。底フラップ31は、先端部分から延長される差込片318をさらに有する。差込片318は、矩形状の外形を有し、折目部分412からの距離に関わらず幅が略同一に設けられている。
短側板12について説明する。
短側板12は、第一方向D1に伸びる折目部分5aを介して、長側板11に対して第二方向D2に連続する。短側板12の上側の端縁からは、一直線状の折目部分421を介して蓋フラップ22が延設されている。短側板12の下側の端縁からは、折目部分421と平行な一直線状の折目部分422を介して、底フラップ32が蓋フラップ22とは反対側に延設されている。
折目部分421,422は共に、第二方向D2に沿って伸びる一本の曲げ罫線から成る。蓋フラップ22は、折目部分421を一辺とする矩形板状のフラップである。
底フラップ32は、折目部分422から第一方向D1に沿って離れるほど幅狭となるように形成された先細型(折目部分422を底辺とする略台型)の底フラップである。底フラップ32は、第二方向D2の両側に側縁部325,326を有する。片側の側縁部325は、第一方向D1と平行に伸びるように形成されている。もう片側の側縁部326は、折目部分422から第一方向D1に沿って離れるほど側縁部325に近づくように内側に傾いている。底フラップ32は、先端部分から延長される引掛片328をさらに有する。引掛片328は、折目部分422から第一方向D1に沿って離れるほど幅広となるように形成されている。
長側板13について説明する。
長側板13は、第一方向D1に伸びる折目部分5bを介して、短側板12に対して第二方向D2に連続するように結合されている。長側板13は結合片135を有し、この結合片135と短側板12の側端部が、溶着等の手段で一体に結合される。結合片135が短側板12に結合された状態において、短側板12と長側板13は、折目部分5bを介して折り曲げ自在に連結される。
長側板13の上側の端縁からは、一直線状の折目部分431を介して蓋フラップ23が延設されている。長側板13の下側の端縁からは、折目部分431と平行な一直線状の折目部分432を介して、底フラップ33が蓋フラップ23とは反対側に延設されている。
折目部分431,432は共に、第二方向D2に沿って伸びる一本の曲げ罫線から成る。蓋フラップ23は、折目部分431を一辺(長辺)とする矩形板状のフラップである。
底フラップ33は、略矩形状の外形を有するフラップであり、折目部分432からの距離に関わらず幅が同一に設けられている。底フラップ33は、第二方向D2の両側に側縁部335,336を有する。両側の側縁部335,336は共に第一方向D1に沿って伸びるように形成されており、互いに平行である。底フラップ33の先端縁の一部には引掛溝338が設けられている。
短側板14について説明する。
短側板14は、第一方向D1に伸びる折目部分5cを介して、長側板13に対して第二方向D2に連続する。短側板14の上側の端縁からは、一直線状の折目部分441を介して蓋フラップ24が延設されている。短側板14の下側の端縁からは、折目部分441と平行な一直線状の折目部分442を介して、底フラップ34が蓋フラップ24とは反対側に延設されている。
折目部分441,442は共に、第二方向D2に沿って伸びる一本の曲げ罫線から成る。蓋フラップ24は、折目部分441を一辺とする矩形板状のフラップである。
底フラップ34は、折目部分442から第一方向D1に沿って離れるほど幅狭となるように形成された先細型(折目部分442を底辺とする略台型)の底フラップである。底フラップ34は、第二方向D2の両側に側縁部345,346を有する。片側の側縁部345は、折目部分442から第一方向D1に沿って離れるほど側縁部346に近づくように内側に傾いている。もう片側の側縁部346は、第一方向D1と平行に伸びるように形成されている。底フラップ34は、先端部分から延長される引掛片348をさらに有する。引掛片348は、折目部分442から第一方向D1に沿って離れるほど幅広となるように形成されている。
底フラップ34の形状は、本実施形態の組立式容器を平面上に展開した展開状態において、底フラップ32に対して線対称な形状である。この展開状態において、底フラップ32の引掛片328と底フラップ34の引掛片348は、互いに近づく方向に突出する。
また、本実施形態の組立式容器を組み立てた状態(つまり四枚の底フラップ31,32,33,34で底を構成した状態)においても、底フラップ34と底フラップ32は互いに線対称に配置される。このとき、底フラップ32の引掛片328と底フラップ34の引掛片348は、同一方向に突出する。
短側板14の側縁部は、長側板11が有する結合片115に対して、溶着等の手段で一体に結合される。短側板14が結合片115に結合された状態において、短側板14と長側板11は、第一方向D1に沿って伸びる折目部分5dを介して、折り曲げ自在に連結される。
次に、底フラップ31,32,33,34を組み合わせた組底について説明する。
図1に示すように、四枚の底フラップ31,32,33,34は、互いが組み合させることで、いわゆるアメリカンロック式の組底(地獄底)を構成する。このとき、長辺側の底フラップ31の差込片318が、長辺側の底フラップ33の引掛溝338に挿し込まれて引っ掛かる。短辺側の底フラップ32の引掛片328は、底フラップ33の引掛溝338の一方の隅部分に引っ掛かり、短辺側の底フラップ34の引掛片348は、底フラップ33の引掛溝338の他方の隅部分に引っ掛かる。
長辺側の底フラップ31は、短辺側の底フラップ32,34の各一部を外側から覆うように組み合わさる。短辺側の底フラップ32,34は、それぞれ長辺側の底フラップ33の一部を外側から覆うように組み合わさる。
次に、本実施形態の組立式容器の更なる特徴部分について説明する。
本実施形態の組立式容器においては、四箇所の折目部分5a,5b,5c,5dのそれぞれが、第一方向D1に沿って伸びる複数本(本実施形態では二本)の曲げ罫線61から成る複合罫線6を有する。二本の曲げ罫線61は互いに平行である。本実施形態では、複合罫線6の第二方向D2の両端に曲げ罫線61が位置するのみだが、複合罫線6が三本以上の曲げ罫線61から成る場合には、第二方向D2の両端の曲げ罫線61の間に、一本以上の曲げ罫線61がさらに位置する。
本実施形態の組立式容器を構成する合成樹脂製の板材は、反発力が高い性質を有するが、複合罫線6を各折目部分5a,5b,5c,5dに設けているので、折り癖が付きやすくなっている。
本実施形態の組立式容器に用いる合成樹脂製の板材は、ハニカム構造の中空構造を有する板材であるが、板材の中空構造はハニカム構造に限定されず、押し出し成形によってハーモニカの穴のように中空部分を一列に形成した構造や、柱体や錐体が多数並設された構造等の、多様な中空構造が採用可能である。また、合成樹脂製の板材として、発泡合成樹脂板等の他の板材を用いることも可能である。合成樹脂製の板材が有する各曲げ罫線61は、熱罫線加工によってV字状に設けられた切り込みであるが、切り込みの形状はV字状に限定されない。また、熱罫線加工以外の加工(たとえば一直線状に削り取る加工)で曲げ罫線61を形成することも可能である。
また、本実施形態の組立式容器では、四枚の底フラップ31,32,33,34のうち先細型(略台形型)の底フラップ31,32,34が有する側縁部315,316,326,345に、それぞれ拡張フラップ7が設けられている。図中では、理解を助けるために拡張フラップ7の領域にハッチングを施している。
より具体的には、差込片318を有する底フラップ31においては、折目部分5dの第一方向D1の下側の端縁上の点8dから伸びる側縁部315と、折目部分5aの第一方向D1の下側の端縁上の点8aから伸びる側縁部316の両方に、拡張フラップ7が設けられている。以下においては区別のため、側縁部315に設けられた拡張フラップ7に符号7dを付し、側縁部316に設けられた拡張フラップ7に符号7aを付す。
点8dは、折目部分5dの下側の端縁のうち、長側板11から最も離れて位置する点(複合罫線6を構成する複数の曲げ罫線61のうち最も長側板11から離れた曲げ罫線61と交差する点)である。
側縁部315は、この点8dを通過し且つ内側に(側縁部316に近づく側に)傾斜した仮想直線9dに沿って延長されており、この仮想直線9dよりも外側に(側縁部316から離れる側に)はみ出すように、拡張フラップ7dが形成されている。拡張フラップ7dは、側縁部315の全長に亘って形成されている。拡張フラップ7dの幅(仮想直線9dから外側にはみ出す幅)は、点8dの直近領域では点8dから離れるほど大きくなり、直近領域を超えれば点8dから離れるほど漸次小さくなる。
点8aは、折目部分5aの下側の端縁のうち、折目部分5aに設けられる両端の曲げ罫線61の間に位置する(図4A参照)。
本実施形態の組立式容器では、点8aを、両端の曲げ罫線61の中間位置(つまり両端の曲げ罫線61から等距離の位置)に設けているが、該中間位置よりも短側板11と底フラップ31から離れた領域R1のいずれかの位置に、点8aを設けることも好ましい。
側縁部316は、この点8aを通過し且つ内側に(側縁部315に近づく側に)傾斜した仮想直線9aに沿って延長されており、この仮想直線9aよりも外側に(側縁部315から離れる側に)はみ出すように、拡張フラップ7aが形成されている。拡張フラップ7aは、側縁部316の全長に亘って形成されている。拡張フラップ7aの幅(仮想直線9aから外側にはみ出す幅)は、点8aの直近領域では点8aから離れるほど大きくなり、直近領域を超えれば点8aから離れるほど漸次小さくなる。
引掛片328を有する底フラップ32においては、点8bから伸びる側縁部326に拡張フラップ7が設けられている。以下においては、側縁部326に設けられた拡張フラップ7に符号7bを付す。
側縁部326は、点8bを通過し且つ内側に(側縁部325に近づく側に)傾斜した仮想直線9bに沿って延長されており、この仮想直線9bよりも外側に(側縁部325から離れる側に)はみ出すように、拡張フラップ7bが形成されている。拡張フラップ7bは、側縁部326の全長に亘って形成されている。拡張フラップ7bの幅(仮想直線9bから外側にはみ出す幅)は、点8bの直近領域では点8bから離れるほど大きくなり、直近領域を超えれば点8bから離れるほど漸次小さくなる。
引掛片348を有する底フラップ34においては、折目部分5cの下側の端縁上の点8cから伸びる側縁部345に、拡張フラップ7が設けられている。以下においては、側縁部345に設けられた拡張フラップ7に符号7cを付す。
点8cは、折目部分5cの下側の端縁のうち、折目部分5cに設けられる両端の曲げ罫線61の間に位置する(図4B参照)。
本実施形態の組立式容器では、点8cを、両端の曲げ罫線61の中間位置に設けているが、該中間位置よりも長側板14と底フラップ34から離れた領域R2のいずれかの位置に、点8cを設けることも好ましい。
側縁部345は、この点8cを通過して内側に(側縁部346に近づく側に)傾斜した仮想直線9cに沿って延長されており、この仮想直線9cよりも外側に(側縁部346から離れる側に)はみ出すように、拡張フラップ7cが形成されている。拡張フラップ7cは、側縁部345の全長に亘って形成されている。拡張フラップ7cの幅(仮想直線9cから外側にはみ出す幅)は、点8cの直近領域では点8cから離れるほど大きくなり、直近領域を超えれば点8cから離れるほど漸次小さくなる。
本実施形態の組立式容器によれば、図1に示すように四枚の底フラップ31,32,33,34を組み合わせて底を構成したときに、隣接する底フラップ31,32間の境界部分(特に点8a近傍の部分)を拡張フラップ7aによって外側から余分に覆い、隣接する底フラップ32,33間の境界部分(特に点8b近傍の部分)を拡張フラップ7bによって外側から余分に覆い、隣接する底フラップ33,34間の境界部分(特に点8c近傍の部分)を拡張フラップ7cによって外側から余分に覆い、隣接する底フラップ34,31間の境界部分(特に点8d近傍の部分)を拡張フラップ7dによって外側から余分に覆うので、構成された底(特に各点8a,8b,8c,8d近傍の部分)に隙間が生じることが抑えられる。
加えて、本実施形態の組立式容器では、一枚の合成樹脂製板材の切れ込みに設定される点8aと点8cを、複合罫線6の両端の曲げ罫線61の間に位置するように設けている。一枚の合成樹脂製板材が複合罫線6(複数本の曲げ罫線61)で折り曲げられる場合、折り曲がる形態が一定となりづらく、たとえば両端の曲げ罫線61のうち一方の曲げ罫線61が主に折れ曲がる場合や、他方の曲げ罫線61が主に折れ曲がる場合や、両端の曲げ罫線61が同程度だけ折れ曲がる場合がある。
これに対して、底フラップ31の側縁部316(拡張フラップ7a)は、複合罫線6の両端の曲げ罫線61の間の点8aから伸びているので、この複合罫線6がどのような形態で折れ曲がった場合でも、底フラップ31と底フラップ32の間で隙間を生じることが拡張フラップ7aにより効果的に抑えられ、且つ、底フラップ31の点8a近傍の角部分が胴部1から側方に飛び出して破損の原因になることも抑えられる。
同様に、底フラップ34の側縁部345(拡張フラップ7c)は、複合罫線6の両端の曲げ罫線61の間の点8cから伸びているので、この複合罫線6がどのような形態で折れ曲がった場合でも、底フラップ33と底フラップ34の間で隙間を生じることが拡張フラップ7cにより効果的に抑えられ、且つ、底フラップ34の点8c近傍の角部分が胴部1から側方に飛び出して破損の原因になることも抑えられる。
なお、折目部分5bにおいては、短側板12に対して結合片135が厚み方向に重なる部分が他の部分よりも高強度となるため、複合罫線6の折れ曲がる形態が安定化する(つまり、複合罫線6が有する片端の曲げ罫線61で安定的に折れ曲がる)。同様に、折目部分5dにおいては、短側板14に対して結合片115が厚み方向に重なる部分が他の部分よりも高強度となり、複合罫線6の折れ曲がる形態が安定化する。
(実施形態2)
実施形態2の組立式容器について、図6に基づいて説明する。なお、本実施形態の組立用容器の構成のうち、実施形態1の組立式容器と同様の構成については詳しい説明を省略する。
本実施形態の組立用容器は、実施形態1の組立用容器のように二枚の合成樹脂製の板材を結合させて全体を構成するのではなく、一枚の合成樹脂製の板材をトリミング等して全体を構成している。
この場合、折目部分5bにおいても折り曲がる形態が一定となりづらいので、底フラップ32の側縁部326の始点となる点8bを、複合罫線6の両端の曲げ罫線61の間に位置するように設定している。これにより、折目部分5bの複合罫線6がどのような形態で折れ曲がった場合でも、底フラップ32と底フラップ33の間で隙間を生じることが拡張フラップ7bによって効果的に抑えられ、且つ、底フラップ32の点8b近傍の角部分が胴部1から側方に飛び出すことも抑えられる。
本実施形態の組立式容器では、点8bを、両端の曲げ罫線61の中間位置に設けているが、該中間位置よりも長側板12と底フラップ32から離れた領域のいずれかの位置に、点8bを設けることも好ましい。
(効果)
以上、添付図面に基づいて説明したように、実施形態1,2の組立式容器は、第一方向D1に沿って伸びる四箇所の折目部分5a,5b,5c,5dを介して、第一方向D1とは直交する第二方向D2に無端状につながるように設けられた合成樹脂製の四枚の側板11,12,13,14と、四枚の側板11,12,13,14の各々における第一方向D1の端縁から折り曲げ自在に連設され、互いに組み合わさって底を構成する四枚の底フラップ31,32,33,34を備える。
四箇所の折目部分5a,5b,5c,5dのうち少なくとも一箇所の折目部分(実施形態1,2では折目部分5a,5b,5c,5d)は、第二方向D2に並んだ複数本の曲げ罫線61から成る複合罫線6を含む。
四枚の底フラップ31,32,33,34のうち少なくとも一枚の底フラップ(実施形態1,2では底フラップ31,32,34)は、先側部分が基側部分よりも幅狭に設けられた先細型の底フラップである。
実施形態1の組立式容器が平面上に展開された状態において、先細型の底フラップ31,34が有する側縁部316,345は、複合罫線6を含む折目部分5a,5cの第一方向D1の端縁のうち、第二方向D2の両端の曲げ罫線61の間に位置する点8a,8cから、点8a,8cを通過して内側に傾斜した仮想直線9a,9cに沿って延長され、且つ、仮想直線9a,9cよりも外側にはみ出す拡張フラップ7(7a,7c)を有する。
実施形態2の組立式容器が平面上に展開された状態において、先細型の底フラップ31,32,34が有する側縁部316,326,345は、複合罫線6を含む折目部分5a,5b,5cの第一方向D1の端縁のうち、第二方向D2の両端の曲げ罫線61の間に位置する点8a,8b,8cから、点8a,8b,8cを通過して内側に傾斜した仮想直線9a,9b,9cに沿って延長され、且つ、仮想直線9a,9b,9cよりも外側にはみ出す拡張フラップ7(7a,7b,7c)を有する。
したがって、実施形態1,2の組立式容器によれば、複数本の曲げ罫線61から成る複合罫線6によって折り癖が付きやすく、加えて、四枚の底フラップ31,32,33,34を組み合わせて構成された底に隙間を生じることが抑えられ、且つ、該底のコーナーから角部分が側方に飛び出すことも抑えられる。ここでの角部分は、実施形態1の組立式容器では底フラップ31の点8a近傍の角部分と、底フラップ34の点8c近傍の角部分であり、実施形態2の組立式容器では底フラップ31の点8a近傍の角部分と、底フラップ32の点8b近傍の角部分と、底フラップ34の点8c近傍の角部分である。
また、実施形態1,2の組立式容器においては、四箇所の折目部分5a,5b,5c,5dの各々が、複合罫線6を含む。四箇所の折目部分5a,5b,5c,5dの各々の第一方向D1の端縁上の点8a,8b,8c,8dから、拡張フラップ7(7a,7b,7c,7d)を有する側縁部316,326,345,315が延長されている。
したがって、実施形態1,2の組立式容器によれば、さらに折り癖が付きやすく、また、四枚の底フラップ31,32,33,34で構成された底に隙間を生じることが、さらに効果的に抑えられる。
また、実施形態1,2の組立式容器において、四枚の底フラップ31,32,33,34は、互いに組み合わさってアメリカンロック式の組底を構成する。
したがって、実施形態1,2の組立式容器によれば、四枚の底フラップ31,32,33,34を組み合わせることによって、隙間を生じることが抑えられた高強度の底が得られる。
(変形例)
以上、実施形態1,2に基づいて組立式容器の構成を説明したが、組立式容器の構成はこれらの実施形態に限定されない。
たとえば、実施形態1,2の組立式容器では、拡張フラップ7aが側縁部316の全長に亘って形成されているが、側縁部316の一部分(たとえば点8a近傍の一部分)にだけ形成されてもよい。同様に、拡張フラップ7b,7c,7dのそれぞれが、対応する側縁部326,345,315の一部分(たとえば点8b,8c,8d近傍の一部分)にだけ形成されてもよい。
また、実施形態1,2の組立式容器では、四箇所の折目部分5a,5b,5c,5dの各々が複合罫線6を含んでいるが、四箇所の折目部分5a,5b,5c,5dのうち少なくとも一箇所の折目部分が複合罫線6を含めばよい。
また、実施形態1,2の組立式容器では、四枚の底フラップ31,32,33,34のうち三枚の底フラップ31,32,34が先細型の底フラップであるが、四枚の底フラップ31,32,33,34のうち少なくとも一枚の底フラップが先細型の底フラップであればよい。
また、実施形態1の組立容器では、拡張フラップ7を有する側縁部316,345の始点となる点8a,8cが、両端の曲げ罫線61の間に位置するように設けられ、実施形態2の組立容器では、拡張フラップ7を有する側縁部316,326,345の始点となる点8a,8b,8cが、両端の曲げ罫線61の間に位置するように設けられているが、これに限定されず、側縁部316,326,345,315の始点となる点8a,8b,8c,8dのうち少なくとも一つが、両端の曲げ罫線61の間に位置するように設けられていればよい。
また、実施形態1,2の組立式容器では、拡張フラップ7を側縁部316,326,345,315に設けているが、これに限定されず、四枚の底フラップ31,32,33,34のうち先細型の底フラップの両側または片側の側縁部に拡張フラップ7が形成されていればよい。
また、実施形態1,2の組立式容器では、四枚の底フラップ31,32,33,34が互いに組み合わさってアメリカンロック式の組底を構成するが、これに限定されず、他の形態の組底を構成することも可能である。
また、実施形態1,2の組立式容器において、各蓋フラップ21,22,23,24と各底フラップ31,32,33,34の端縁の全域または一部領域に、凸部と凹部が交互に連続する滑り止め用の微細な波型形状を設けることも可能である。この場合、各蓋フラップ21,22,23,24と各底フラップ31,32,33,34において端面封止を施した部分(両側のスキン材同士を熱溶着させた部分)に、滑り止め用の波型形状を設けることが好ましい。
また、図7に示す変形例1(実施形態1の変形例)の組立式容器のように、底フラップ31の点8a近傍の箇所に、第一方向D1と平行(または略平行)に切り込み35を設けてもよい。切り込み35は、端縁部316の縁上の一点から、両端の曲げ罫線61のうち底フラップ31に近い側の曲げ罫線61の端(または該端の近傍)の一点に至るまで、一直線状に切り込まれている。
このような切り込み35を底フラップ31に設け、切り込み35を介して底フラップ31を分断することで、底フラップ31の点8a近傍の角部分が胴部1から側方に飛び出すことが更に抑えられる。同様の切り込み35を底フラップ34の点8c近傍の箇所に設けることや、実施形態2の組立式容器において、同様の切り込み35を底フラップ32の点8b近傍の箇所に設けることも好ましい。
また、図8に示す変形例2(実施形態1の変形例)の組立式容器のように、折目部分5aの複合罫線6を介して第二方向D2に連続する側板11,12において、一方の側板11から下側に延設される底フラップ31の側縁部316を、この複合罫線6の両側の曲げ罫線61の間の点8aから延長させ、他方の側板12から上側に延設される蓋フラップ22の側縁部225を、この複合罫線6の両側の曲げ罫線61の間の点8Aから延長させることも好ましい。変形例2では、底フラップ32の側縁部325は、側板12に近い側の曲げ罫線61の端部から延長させ、蓋フラップ21の側縁部216は、側板11に近い側の曲げ罫線61の端部から延長させている。
このようにすれば、複合罫線6で折り曲げたときに、上側の領域では側板11に近い曲げ罫線61(この曲げ罫線61の上側の部分P1)が主に折れ曲がり、下側の領域では側板12に近い曲げ罫線61(この曲げ罫線61の下側の部分P2)が主に折れ曲がり、複合罫線6全体に捻りが生じやすくなる。そのため、両端の曲げ罫線61のうち一方の曲げ罫線61だけで折れ曲がることが抑えられる。
たとえば、側板11に近い側の曲げ罫線61だけで折れ曲がったときには、組底のコーナーに隙間を生じることがより確実に抑制されるが、その代わりに、底フラップ31の角部分が側方に飛び出しやすくなる。また、側板12に近い側の曲げ罫線61だけで折れ曲がったときには、底フラップ31の角部分が側方に飛び出すことがより確実に抑制されるが、その代わりに、組底のコーナーに隙間が生じやすくなる。
これに対して、変形例2では複合罫線6全体に捻りが生じるので、組底のコーナーに隙間が生じることを抑制する効果と、該組底のコーナーから角部分が側方に飛び出すことを抑制する効果が、バランスよく得られる。図8に示す構造と同様の構造を、折目部分5aに限らず他の折目部分5b,5c,5dに設けることも好ましい。
その他、実施形態1,2の組立式容器において適宜の設計変更を行うことや、実施形態1,2の組立式容器において適宜の公知技術を組み合わせることや、実施形態1,2の組立式容器の各構成を適宜組み合わせて適用することが可能である。