JP6930155B2 - 容器 - Google Patents
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Description
本発明による容器は、バイオマス由来の1,3−プロパンジオールと、テレフタル酸との重縮合物であるポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を含む層(以下、場合により単に「PTT層」という)およびPTT層と隣合うポリエステル系樹脂層を少なくとも備えてなることを特徴とするものである。
本発明の容器は、PTT層およびポリエステル系樹脂層をそれぞれ2層以上備えていてもよい。この場合、各層の構成や厚さは同一であっても、異なっていてもよい。
例えば、容器を、図1に示すように、ポリエステル系樹脂層11/PTT層12/ポリエステル系樹脂層13からなる構成とすることができる。また、容器を、ポリエステル系樹脂層/PTT層/ポリエステル系樹脂層/PTT層/ポリエステル系樹脂層からなる構成とすることもできる(図示せず)。
PTTは、PET等のポリエステル系樹脂に近い構造および物性を有する。そのため、上記のような構成とすることにより、層間の剥離を防止することができる。この層間剥離は、炭酸水等の炭酸飲料を充填し、放置した場合に特に見られるが、上記構成の容器によれば、この層間剥離を顕著に防止することが可能である。
本発明のPTT層は、バイオマス由来の1,3−プロパンジオールと、テレフタル酸との重縮合物であるポリトリメチレンテレフタレート(PTT)を含むものである。
バイオマス由来の1,3−プロパンジオールは、トウモロコシ等の植物を発酵させることにより得られるグルコースを、大腸菌等により、グリセリンを経由して形質転換させることにより得ることができる。また、市販されるものを用いてもよい。
また、1,3−プロパンジオールとテレフタル酸との重縮合は、溶融重合や溶融加熱脱水縮合等の従来公知の方法により行うことができる。重合反応は、重合触媒の存在下に行うのが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
重合触媒としては、一般には、周期表で、水素、炭素を除く第1族〜第14族金属元素を含む化合物が挙げられる。具体的には、チタン、ジルコニウム、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム及びカリウムからなる群から選ばれた、少なくとも1種以上の金属を含むカルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩又はβ−ジケトナート塩等の有機基を含む化合物、更には前記した金属の酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物及びそれらの混合物が挙げられる。
PTTの含有量を上記数値範囲とすることにより、容器の機械的強度およびガスバリア性を向上させることができると共に、環境への負荷をより低減させることが可能となる。
例えば、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂や、塩化ビニルまたは酢酸ビニルと、エチレン等のその他の単量体との共重合体樹脂等のビニル系樹脂、セルロースアセテートやセルロースプロピオネート等のセルロース系樹脂、メタキシレンアジパミド(MXD−6)、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/ナイロン6,6共重合体等のポリアミド系樹脂、フェノールノボラック樹脂等のフェノール樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、アイオノマー樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
なお、本発明において、ナノファイバーとは、ナノオーダーの繊維片だけではなく、マイクロオーダーの繊維片も含まれうる。
具体的には、ナノファイバーの平均繊維長は、1nm以上、400μm以下であることが好ましく、平均繊維径は、0.5nm以上、40μm以下であることが好ましい。
ナノファイバーの平均繊維長および平均繊維径を上記の数値範囲とすることにより、PTT層におけるナノファイバーの分散性向上させることができ、ガスバリア性をより高めることができる。また、容器の透明性を向上させることができると共に、ブロー成形時において、ナノファイバーの配向を無くすことができ、容器の機械的強度を向上させることができる。
ナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長の測定は、ナノファイバーを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、画像のスケールから測定した(n=10)。
なお、ナノファイバーにおいて長径と短径が存在する場合、長径を繊維長とする。
これらの中でも、ガスバリア性および製造コストという観点からは、グラスファイバーが好ましい。また、リサイクル性という観点からは、セルロースファイバーが好ましい。
合成セルロース繊維としては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
ナノファイバーの含有量を上記数値範囲とすることにより、容器のガスバリア性をより向上させることができると共に、容器の透明性も維持することができる。さらに、ナノファイバーの含有量が上記数値範囲の容器は、リサイクル性に適していると共に、容器が多層構造からなる場合は、回収・粉砕時において各層の剥離を良好に行うことができる。
ポリエステル系樹脂層は、ポリエステル系樹脂を含んでなり、特に好ましくは、バイオマス由来ポリエステル系樹脂および/またはリサイクルポリエステル系樹脂を含んでなることが好ましい。これらは、環境適性が高く、化石燃料の使用量を削減することができる。
なお、本発明において、「バイオマス由来のポリエステル系樹脂」とは、ポリエステル系樹脂を構成するジオールがバイオマス由来のエチレングリコールであり、ジカルボン酸が化石燃料由来のジカルボン酸であるポリエステル樹脂をいうものとする。また、「リサイクルポリエステル系樹脂」とは、ポリエステル系樹脂を構成するジオールが化石燃料由来のジオールまたはバイオマス由来のエチレングリコールであり、ジカルボン酸単位が化石燃料由来のジカルボン酸であるポリエステル系樹脂からなる樹脂製品を使用した後に回収し再利用したものをいうものとする。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸及びイソフタル酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸の誘導体としては、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、具体的には、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸等の、通常炭素数が2以上、40以下の鎖状或いは脂環式ジカルボン酸が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸の誘導体として、上記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル及びブチルエステル等の低級アルキルエステルや例えば無水コハク酸等の上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物が挙げられる。
一実施形態において、本発明の多層容器の内面には、蒸着膜が形成されていてもよい。蒸着層を設けることにより、容器のガスバリア性をより一層向上させることができる。
一実施形態において、本発明の容器10は、図1に示すように、口部16と、口部16下方に設けられた首部17と、首部17下方に設けられた肩部18と、肩部18下方に設けられた、胴部19と、胴部19下方に設けられた底部20とを備えている。
なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ容器10を正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
内容物の充填後に容器を加温する場合、図2に示すような容器内方へ凹むパネル部21を各側面の胴部19に有することが好ましい。
また、容器10は、図2に示すように、その胴部19下方に円周方向に延びる横リブ22を有していることが好ましい。これにより、胴部19の強度を向上させることができる。
また、一実施形態において、容器10の変形防止という観点から、容器10の底部20は、図3に示すような補強溝23を有していることが好ましい。この補強溝23の本数は、5本以上、12本以下であることが好ましく、5本以上、7本以下であることがより好ましい。また、圧力分散という観点からは、補強溝の本数は、奇数であることが好ましい。
一実施形態において、本発明の容器は、PTTを少なくとも含む樹脂組成物と、ポリエステル系樹脂層を少なくとも含む樹脂組成物とを、共射出成形することによりプリフォームを作製する工程と、このプリフォームを2軸延伸ブロー成形する工程とを含んでなる方法により製造することができる。
射出成形時の温度は、260℃以上、310℃以下であることが好ましく、265℃以上、300℃以下であることがより好ましい。
プリフォームの加熱は、温風により行っても、赤外線により行ってもよく、従来公知の装置を使用して行うことができる。
また、プリフォームの2軸延伸ブロー成形も、従来公知の装置、例えば、KHS社製のLB01(商品名)を使用することにより行うことができる。
他の実施形態において、本発明の容器の製造に用いられるプリフォームは、金型内において、樹脂組成物を圧縮成形すること(コンプレッション成形)によっても製造することができる。
多層射出成形機により共射出成形し、ポリエチレンテレフタレート層/PTT層/ポリエチレンテレフタレート層の3層構成からなる多層プリフォームを得た。PTT層におけるPTTの含有量は、90質量%であり、さらにPETを10質量%含有させた。
PTT層に、ナノファイバーとして、平均繊維長10μm、平均繊維径1μmのガラスファイバーを5質量%含有させ、PTTの含有量を85質量%とした以外は、実施例2と同様にして容器を作製した。
ナノファイバーの含有量を10質量%に、PTTの含有量を80質量%に変更した以外は、実施例2と同様にして容器を作製した。
多層射出成形機により共射出成形し、ポリエチレンテレフタレート層/ガスバリア層/ポリエチレンテレフタレート層の3層構成を有する多層プリフォームを得た。なお、ガスバリアに層は、ガスバリア性樹脂として、MXD−6を100質量%含有させた。
酸素バリア試験
酸素透過試験器(MOCON社製、商品名:OXTRAN)を用いて、上記実施例および比較例にて得られた容器の酸素透過試験を行った。酸素透過試験は、22℃、湿度40%RHの環境下で行った。結果は表1に示される通りであった。
上記実施例および比較例にて得られた容器に4.0GV(ガスボリューム)の炭酸水をヘッドスペースが20mLとなるように充填した後にキャッピングをし、22℃、湿度40%RHの環境下で12週間放置した。12週後の炭酸水のGVを(株)ビスクル社製のダイレクトGV−1(商品名)を用いて測定し、GVの減少率を求めた。結果は表1に示される通りであった。
上記実施例および比較例にて得られた容器に炭酸水をヘッドスペースが20mLとなるように充填した後にキャッピングをし、1mの高さからコンクリート面に、向かい容器を横の状態で落下させ、多層容器の破損の有無を確認し、以下の評価項目に従い、容器の強度を評価した。結果を表1にまとめた。
評価項目
○:破損が全く見られなかった。
△:破損が少し見られた。
×:破損が多く見られた。
上記実施例および比較例にて得られた容器に4.0GV(ガスボリューム)の炭酸水を充填し、キャッピングした。炭酸水を充填した容器を38℃、湿度90%RHの条件下で放置した。7日後、30日後の層間の状態を以下の評価項目に従い、目視により評価した。
評価項目
○:層間に気泡の溜まりは全く見られなかった。
△:層間に多少の気泡の溜まりは見られたが、実用上問題ない程度であった。
×:層間に気泡の溜まりが見られ、層間剥離が開始していた。
11、13:ポリエステル系樹脂層
12:PTT層
16:口部
17:肩部
18:首部
19:胴部
20:底部
21:パネル部
22:横リブ
23:補強溝
Claims (8)
- バイオマス由来の1,3−プロパンジオールとテレフタル酸との重縮合物であるポリトリメチレンテレフタレートを含む層と、これと隣合うポリエステル系樹脂層とを備え、
ポリエステル系樹脂層/ポリトリメチレンテレフタレートを含む層/ポリエステル系樹脂層からなる多層構造を有する、容器。 - 前記ポリトリメチレンテレフタレートの含有量が、50質量%以上、95質量%以下である、請求項1に記載の容器。
- 前記ポリエステル系樹脂層はポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1または2に記載の容器。
- 前記ポリトリメチレンテレフタレートを含む層が、ナノファイバーを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器。
- 前記ナノファイバーの平均繊維長が、1nm以上、400μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器。
- 前記ナノファイバーの平均繊維径が、0.5nm以上、40μm以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の容器。
- 前記ナノファイバーの含有量が、1質量%以上、25質量%以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器。
- 前記ポリエステル系樹脂層が、バイオマス由来ポリエステル系樹脂および/またはリサイクルポリエステル系樹脂を含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の容器。
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