JP6929767B2 - 画像形成装置用転写ベルトおよびその製造方法 - Google Patents

画像形成装置用転写ベルトおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる電子写真感光体から一次転写されたトナー像を表面に担持し、紙等の転写媒体への二次転写領域まで搬送するための中間転写ベルトやトナー像が転写される紙等の転写媒体を表面に担持して搬送するための転写搬送ベルト等の画像形成装置用転写ベルトに関する。
フルカラー画像の複写やプリントが可能な電子写真方式の画像形成装置が実用化されている。これらの画像形成装置においては、感光ドラム等の静電潜像保持体表面に静電潜像が形成され、該静電潜像保持体上へトナーが供給されトナー像が形成される。中間転写方式では、このトナー像は静電潜像保持体から中間転写ベルトを介して紙等の被転写体へ転写され定着される。一方、転写搬送方式では、4色の各静電潜像保持体上の各トナー像を、転写搬送ベルトで搬送されている紙等の被転写体へ順次転写され定着される。
上記画像形成装置における転写ベルトは、転写性に優れていること、ベルト表面の磨耗や周長方向にクリープが生じないこと、表面が耐汚染性に優れ、トナーとの離型性が良いこと、ベルト表面の耐擦傷性に優れること等が求められている。このような転写性、耐磨耗性、耐汚染性、離型性、耐擦傷性を有する転写ベルトを得るために、ベルト表面に各種機能を付与した塗工剤を塗工することが行われている。
特許文献1には、エラストマーからなる基材層と水性の塗布液を塗布して形成されるシームレスベルトが記載されており、水性の塗布液としては、水性のポリウレタン樹脂系の塗布液が開示されている。
しかしながら、特許文献1記載の転写ベルトのように、転写ベルトの表面層にポリウレタン系の水性塗布液を使用すると、ベルト表面の摩擦係数が高いため、十分なトナーの離型性を得ることができない。
また、転写ベルトの技術分野ではないが、基材に塗布する水系コート剤に関する技術を紹介する。水系のコート剤から形成される表面層は、有機溶剤を用いないため、作業環境や安全性等の面から好ましい。例えば、特許文献2は、電子写真感光体の表面に塗布するコート剤として、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有したものが記載されている。特許文献3には、自動車等に使用するパッキンのシール部材用であるが、ゴム弾性体の表面に塗布するコート剤として、アクリル・シリコーン共重合体を含有したものが記載されている。
しかしながら、特許文献2及び3記載のシリコーン・アクリル共重合体からなるコート剤を転写ベルト表面に塗布した場合、摩擦係数は低い値を示すが、転写ベルトを折り曲げると、シワが発生したり、コート層に割れが発生したりするため、耐折性が悪く、転写ベルトに使用できない。
また、特許文献4には、アクリル系、ウレタン系、塩化ビニル系のエマルションの持つ性能を劣化させず、シリコーンの持つ性能を付与した(撥水性、耐熱性、耐候性、基材への密着性等)エマルション型コーティング組成物として、アクリル系樹脂エマルション、塩化ビニル系樹脂エマルション、ウレタン系樹脂エマルションから選ばれる樹脂エマルションに硬化性シリコーンエマルションを混合した基材表面へのコーティング組成物が記載されている。
しかしながら、ウレタン系樹脂エマルションに硬化性シリコーンエマルションを混合した塗布液を転写ベルト表面に塗布した場合、摩擦係数が高く、転写ベルトとしての性能が十分でなかった。また、アクリル系樹脂エマルションに硬化性シリコーンエマルションを混合した塗布液を転写ベルト表面に塗布した場合、樹脂エマルションで形成された表面層は摩擦係数が低い値を示すが、耐折性が悪かった。
以上から、耐擦傷性、滑り性、耐折性の全てを満足する転写ベルトは存在しなかった。
特開平9−136360号公報 特開2005−165146号公報 特開2006−152169号公報 特開2013−67787号公報
本発明は、上述した問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、耐擦傷性、滑り性、耐折性の全ての性能を満足する画像形成装置用転写ベルトを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
(1)シリコーン・アクリル共重合体樹脂とウレタン樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成された表面層を有することを特徴とする画像形成装置用転写ベルト;
(2)前記シリコーン・アクリル共重合体樹脂は、主鎖がアクリル樹脂、側鎖がシリコーン樹脂であるシリコーン・アクリルグラフト共重合体であることを特徴とする(1)記載の画像形成装置用転写ベルト;
(3)前記ウレタン樹脂は、ポリイソシアネートとカーボネート系のポリオールとの反応生成物であるウレタン樹脂であることを特徴とする(1)または(2)のいずれか記載の画像形成装置用転写ベルト;
(4)画像形成装置用転写ベルトは、基材層、表面層から構成されるものであって、前記基材層の引張弾性率が700MPa以上であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか記載の画像形成装置用転写ベルト;
(5)画像形成装置用転写ベルトは、基材層、弾性層、表面層から構成されるものであって、前記基材層の引張弾性率が700MPa以上であり、かつ前記弾性層は、ショアA硬度が80以下の熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂組成物からなることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか記載の画像形成装置用転写ベルト;
(6)画像形成装置用転写ベルト原反の表面に、シリコーン・アクリル共重合体エマルションとウレタン系樹脂エマルションを含有する樹脂エマルションを主成分とする塗工剤を塗布し、加熱することにより表面層を形成することを特徴とする画像形成装置用転写ベルトの製造方法;
を要旨とするものである。
本発明の画像形成装置用転写ベルトは、表面層に特定の樹脂を用いることにより、表面層の摩擦係数が小さく、トナーとの離型性に優れ、高いクリーニング性を有し、耐折性が良好であるという特徴を有する。さらに、耐擦傷性に優れているため、ブレードクリーニングで転写ベルト表面をクリーニングする際に問題なくクリーニングを行うことができる。ブレードクリーニングは、安価で画像形成と並行してクリーニングを行うことができるため、画像形成の高速化に対応可能である。
[画像形成装置用転写ベルト]
本発明の画像形成装置用転写ベルトは、転写ベルト原反の表面に、上述した塗工液を塗布、硬化させてなる表面層を有するものである。転写ベルト原反は、例えば、基材層あるいは基材層と弾性層の構成を有するチューブ状のベルトである。また、基材層や弾性層が単層構成でも多層構成でもよく、基材層と弾性層以外の他の樹脂層を形成してもよい。本発明の画像形成装置用転写ベルトは、電子写真方式のプリンター、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に組み込まれて中間転写ベルトや転写搬送ベルトとして使用される。
[表面層]
本発明の表面層は、シリコーン・アクリル共重合体とウレタン樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成されることが特徴である。なお、本発明において、「主成分とする」とは、樹脂組成物を構成する樹脂成分のうち、構成比率が50重量%以上であることを意味するものであり、好ましくは60重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上である。
シリコーン・アクリル共重合体樹脂は、シリコーン樹脂とアクリル樹脂の性能を併せ持った性能を示す。本発明におけるシリコーン樹脂とは、シロキサン結合に有機官能基が付いたオルガノポリシロキサンを主鎖とした重合体のことである。例えば、有機官能基が水酸基、アルキル基、アミノ基が挙げられる。また、本発明におけるアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系単量体を用いた重合体のことである。(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」の用語は、アクリル、メタクリル又はこれらの両方の総称として使用する。
シリコーン・アクリル共重合体の種類としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が例示される。シリコーン樹脂とアクリル樹脂の両方が存在するため、シリコーン樹脂が部分的にベルトの最表面に移行し表面層自体の摩擦係数も小さくなる効果を有する。特に、主鎖がアクリル樹脂、側鎖がシリコーン樹脂のアクリル・シリコーングラフト共重合体がより好ましい。その理由は、側鎖がシリコーン樹脂であるため、シリコーン樹脂がベルトの最表面に移行しやすく、表面層自体の摩擦係数がさらに小さくなる。また、ウレタン樹脂と相溶性が高いアクリルを主鎖に有するため、主鎖のアクリル樹脂がウレタン樹脂とよく相溶する。よって、ウレタン樹脂とアクリル・シリコーングラフト共重合体との密着性が向上し、単にシリコーン樹脂を表層に形成しているものに比べ、表面に存在しているシリコーン樹脂が脱落し難いという効果を有する。
ウレタン樹脂は、柔軟性を示すため、転写ベルトの耐折性に寄与する。ウレタン樹脂とは、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物のことであり、特に、ジイソシアネートとジオールとの反応物であることが好ましい。また、ポリオールとしては、エーテル系、エステル系、エーテル・エステル系、カーボネート系等が例示され、特に好ましいのはポリイソシアネートとカーボネート系のポリオールとの反応生成物(カーボネート系ウレタン樹脂)からなることが好ましい。カーボネート系ウレタン樹脂は、他のポリオールからなるウレタン樹脂と比べて、強靭性が高く、耐擦傷性が良好である。
また、シリコーン・アクリル共重合体樹脂とウレタン樹脂の配合比は、固形分割合で1:9〜9:1が好ましく、特に2:8〜8:2が好ましい。上記配合比率であれば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂のそれぞれの性能を十分発揮することができる。
一方、シリコーン・アクリル共重合体のみから形成した表面層を有する転写ベルトを作成すると、折り曲げによりワレが発生するため、転写ベルトとして使用できない。また、ウレタン樹脂のみから形成した表面層を有する転写ベルトを作成すると、滑り性が悪く転写ベルト表面が粘着性を有するためトナーが剥離せず、画像形成装置用として使用できない。
また、表面層に、さらに撥水剤、レベリング剤、導電性付与剤、光増感剤、安定剤、重合禁止剤、消泡剤、改質剤、可塑剤、増粘剤、顔料、染料、難燃剤等を適宜配合することができる。
本発明の表面層には、転写ベルトに耐擦傷性を付与するために、フィラーを配合してもよい。フィラーの粒径については特に制限はないものの、分散性や得られた転写ベルトの表面粗さを考慮すると、0.02μm〜3.00μmの範囲が好ましい。これらのフィラーは、滑り性を阻害しない範囲で分散性を向上させる等の目的のために表面処理を行っても良い。また、転写ベルトとしての特性に支障を起こさない範囲で分散剤を使用することができる。フィラーの含有量としては、表面層全体に対して、0〜40重量部が好ましく、特に1〜30重量部が好ましい。
フィラーとしては、例えば、フッ素ゴム、黒鉛やグラファイトにフッ素が結合したフッ化炭素及びポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素含有樹脂の粉末、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂の樹脂粉末、シリカ、アルミナ、酸化チタン及び酸化マグネシウム等の無機粉末等が挙げられる。これらのフィラーは、塗工剤中への分散性を向上させるために表面処理を施しても良く、単独または併用して使用することもできる。
表面層の厚みは、0.2μm〜8.0μmが好ましく、さらには0.4μm〜5.0μmであることが好ましい。表面層の厚みが薄すぎると耐久性に問題が生じ、逆に厚すぎると表面層に割れが発生しやすくなり、耐屈曲性が悪くなるため好ましくない。
本発明の表面層の形成方法は、シリコーン・アクリル共重合体樹脂を水に分散させた樹脂エマルションとウレタン樹脂を水に分散させた樹脂エマルションを主成分とする塗工剤を塗布して加熱することにより得られる。樹脂エマルションは、樹脂と水を混合させて得ることができ、界面活性剤を乳化剤として使用する強制乳化型と、樹脂中に親水基を導入する自己乳化型がある。乾燥後に界面活性剤がブリードアウトする懸念のない自己乳化型が好ましい。自己乳化型の親水基は、アニオン系、カチオン系またはノニオン系を用いても良い。また、塗工剤の調整方法は、特に限定されないが、例えば、シリコーン・アクリル共重合体樹脂エマルションとウレタン樹脂エマルションと水を混合し、3分〜1時間攪拌する。塗布方法は、特に制限はないが、ロールコート、バーコート、ディップコート、スプレーコート等が挙げられ、特にロールコート、スプレーコートが好ましい。
[基材層]
本発明の基材層に用いられる材料としては、特に制限はないが、例えば、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等を挙げることができ、これらを単独で、または2種以上の材料をブレンドして用いても良く、更には、多層にして用いてもよい。基材層の引張弾性率を上げるために、平板状フィラー、ウィスカー等の補強材を添加することもできる。また、基材層の厚みは、50〜300μmが好ましく、70〜200μmがより好ましい。
これらの中で、フッ素系樹脂は、他の樹脂とは異なりそれ自身が難燃性を有し、且つ押出し成形が容易であり、画像形成装置に用いられる転写ベルトの基材に好適である。このようなフッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリヘキサフルオロプロピレン、エチレン−フッ化ビニリデン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。なお、これらのフッ素系樹脂は、単独或は2種以上を混合使用してもよい。
画像形成装置用転写ベルトには、転写ベルト駆動時に転写ベルトが伸びて、転写位置がずれないように比較的高い引張弾性率が要求されている。この観点より、基材層の引張弾性率(測定条件:試料幅10mm、チェック間100mm、引張速度50mm/min)は700MPa以上であることが好ましく、さらには1000MPa以上が特に好ましい。
[弾性層]
本発明の画像形成装置用転写ベルトは、基材層と表面層の間に弾性層を設けても良い。弾性層は、ショアA硬度が80以下の材料であるものが好ましい。弾性層に用いることができる材料としては、熱可塑性エラストマー、ゴム等上記特性を満たせば、必要に応じて適宜選択することができる。
弾性層に用いられる熱可塑性エラストマーとしては、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ジエン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、熱可塑性樹脂とゴムとの混合物等が例示できる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独でも、必要に応じて2種以上を混合使用してもよい。
弾性層に用いられるゴムとしては、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、EPDM、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等が挙げられる。
弾性層に用いられる熱可塑性エラストマーやゴムは、ショアA硬度が80以下のものが好ましく、ショアA硬度が70以下のものがさらに好ましい。弾性層のショアA硬度が高すぎる場合は、厚さ方向の圧縮弾性率が高いためトナーに圧力がかかり、転写効率が悪くなる。弾性層の厚みは、80μm〜600μmが好ましく、さらに200μm〜500μmが好ましい。ショアA硬度は、例えばデューロメータ タイプA(上島製作所製)を用いて測定する。
弾性層に用いられる熱可塑性エラストマーは、特に限定はされないが、ポリウレタン系エラストマー、アクリル系エラストマー、スチレン系エラストマーが好ましく、これらの熱可塑性エラストマーは、単独或は2種以上を混合使用してもよい。
[画像形成装置用弾性層付き転写ベルトの体積抵抗]
本発明の画像形成装置用弾性層付き転写ベルトを電子写真方式のプリンター、コピー機等の中間転写ベルト、転写搬送ベルト、搬送ベルトとして用いるには、その体積抵抗率を半導電性領域(1×10〜1×1013Ω・cm)にすることが求められる。体積抵抗率が1×10Ω・cm未満の転写ベルトの場合、転写ベルトの片面から電圧を印加してベルトを帯電させてもベルト上の電荷が直ちに放電してしまい、電荷によって用紙やトナーを吸着するという転写ベルトとしての機能を発揮できない。また、体積抵抗率が1×1013Ω・cmを超える転写ベルトの場合、ベルト上に発生させた電荷がいつまでもベルト上に残留し、用紙やトナーを吸着し続けるので用紙やトナーを脱着するという転写ベルトとしての機能を発揮できない。
本発明の転写ベルトは、体積抵抗率が1×107〜1×1012Ω・cmであることが好ましい。特に転写ベルトの体積抵抗率を上記の範囲に制御するために、本発明の目的を妨げない範囲で基材層及び/又は弾性層に導電性物質を配合することができる。導電性物質には、電子導電性物質とイオン導電性物質があり、電子導電性物質としては、例えばカーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等のカーボン系材料、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子、導電性無機粒子が挙げられる。
導電性無機粒子としては、例えばアルミニウム・亜鉛酸化物、アンチモン・スズ酸化物、インジウム・スズ酸化物、カーボンブラック等で表面処理された無機粒子等が挙げられる。
イオン導電性物質としては、例えばポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド共重合体、部分架橋ポリエチレンオキサイド共重合体、イオン電解質等が挙げられ、これらを単独で、あるいは2種類以上併用することができる。さらに、イオン電解質としては、アルカリ金属のチオシアン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ハロゲン含有酸素酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩を単独、あるいは複数種組み合わせて用いることができ、特に、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウムが好ましい。
[画像形成装置用転写ベルトの製造方法]
以下に、本発明の画像形成装置用転写ベルトの製造方法を説明する。
まず、画像形成装置用転写ベルト原反は、例えば、押出成形法、遠心成形法等で製造することができる。押出成形法について具体的に説明すると、環状ダイを装着した押出機を用い、基材層用の樹脂組成物をチューブ状に押出した後、得られたチューブを所定長さにカットすることにより画像形成装置用転写ベルト原反を得ることができる。また、基材層と弾性層を積層した画像形成装置用転写ベルト原反の場合は、2台以上の押出機に多層の環状ダイを装着し、基材層を形成する樹脂組成物と弾性層を形成する樹脂組成物とを、基材層を最内層としてチューブ状に共押出し、得られたチューブを所定長さにカットすることにより画像形成装置用転写ベルト原反を得ることができる。
そして、得られた上記画像形成装置用転写ベルト原反の表面に、上述した塗工剤をロールコート、バーコート、ディップコート、スプレーコート等、好ましくはロールコート、スプレーコートにより塗布し、加熱硬化させることにより表面層を形成する。
以下、本発明について、実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例、および比較例で作製した画像形成装置用転写ベルトは、以下の項目について評価し、その結果を表1に示す。
(1) 滑り性
転写ベルトの滑り性は、転写ベルトの表面層側の摩擦係数で示した。
摩擦係数は、新東科学社製のポータブル摩擦計トライボギアミューズ94i−IIを用いて、同一転写ベルト内で周方向に等間隔で6分割した領域内で任意の1点を選び、合計6点測定し、その平均値を摩擦係数とした。
(2)耐折性
転写ベルトを表面層面へ10回、90°屈曲させ、表面層のシワ・割れの発生度合いを以下の基準で示した。
○ ・・・シワ・割れなし
△ ・・・屈曲時のみシワが発生
× ・・・屈曲時にシワが発生し、元に戻してもシワが残る
××・・・割れが発生
(3)耐擦傷性
転写ベルトの耐擦傷性は、転写ベルトの表面層側の鉛筆硬度で示した。
鉛筆硬度の評価は、JIS K 5600−5−4に準拠し、各種硬度の鉛筆を45°の角度で表面層側にあて、荷重750gfをかけて引っ掻き試験を行い、傷がつかない最も硬い鉛筆の硬さとした。
(4)樹脂エマルションの伸度
樹脂エマルションの膜厚500μmの乾燥皮膜を作成し、試料幅10mm、チャック間100mm、引張速度50mm/minで伸度(%)を測定した。
原料としては、下記のものを用いた。
<基材層の原料>
原料1−1:
二軸混練機を用いて、ポリフッ化ビニリデン96重量%に対し、ポリエチレンオキシド3.5重量%、過塩素酸リチウム0.5重量%を溶融混練して原料1−1とした。
原料1−1から得た基材層の引張弾性率は1400MPaであった。
<弾性層の原料>
原料2−1:
二軸混練機を用いて、エステル系の熱可塑性ポリウレタン(ショアA硬度:60)99重量%に対し、ポリエチレンオキシド0.9重量%、過塩素酸リチウム0.1重量%を溶融混練して原料2−1とした。
<表面層の原料>
原料3−1:シリコーン・アクリルグラフト共重合体樹脂エマルション(固形分濃度:45重量%、Si含有量:19.6質量%)
原料3−2:シリコーン・ウレタンブロック共重合体樹脂エマルション(固形分濃度:35重量%、Si含有量:2.7質量%)
原料3−3:シリコーン樹脂エマルションとエステル系ウレタン樹脂エマルションのブレンド物(固形分濃度:30重量%、Si含有量:1.4質量%)
原料3−4:エーテル系ウレタン樹脂エマルション(第一工業製薬社製、スーパーフレックスSFE−4800、固形分濃度:40重量%、伸度:720%)
原料3−5:エステル系ウレタン樹脂エマルション(第一工業製薬社製、スーパーフレックスSF210、固形分濃度:35重量%、伸度:5%)
原料3−6:エステル・エーテル系ウレタン樹脂エマルション(第一工業製薬社製、スーパーフレックスSF170、固形分濃度:33重量%、伸度:50%)
原料3−7:カーボネート系ウレタン樹脂エマルション(第一工業製薬社製、スーパーフレックスSF460、固形分濃度:38重量%、伸度:750%)
原料3−8:フッ素系樹脂エマルション(明成化学工業社製、アサヒガードAG−E550D、固形分濃度:30重量%)
なお、Si含有量は、SEM−EDS分析装置(日本電子社のJSM−6510LV)を用いて確認した。
[実施例1乃至5、比較例1乃至8]
シリンダー径50mmの押出機2台の先端に2層の環状ダイを装着した装置を用い、基材層を形成する原料(原料1−1)と弾性層を形成する原料(原料2−1)を、弾性層が外側、基材層が内側に形成されるように別々の押出機に供給し、環状ダイスにより共押出して、チューブ状に成形後、長さ400mmにカットし、内層である基材層の厚さ120μm、弾性層の厚さ270μm、周長850mm、幅400mmの転写ベルト原反を得た。
次いで、転写ベルト原反の弾性層表面に塗工剤を塗布し、加熱乾燥させることにより厚さ3μmの表面層を形成した。なお、表面層の材料については、下記表1に示す。
Figure 0006929767
表1に示すように、シリコーン・アクリルグラフト共重合体樹脂とカーボネート系ウレタン樹脂からなる表面層を設けた実施例1乃至3の転写ベルトは、摩擦係数が0.7未満、鉛筆硬度がBを示し、耐折性評価でもワレ・シワの発生がなく、良好であった。摩擦係数が0.7未満であれば、トナーとの離型性が良好なり、鉛筆硬度がB以上であればブレードでのクリーニングでも十分使用可能な転写ベルトを得ることができる。特に、シリコーン・アクリルグラフト共重合体樹脂とウレタン樹脂を固形分割合5:5で配合した樹脂組成物からなる表面層を設けた実施例2のベルトは、滑り性、耐折性、耐擦傷性が特に良好であった。
一方、シリコーン・アクリルグラフト共重合体樹脂からなる表面層を設けた比較例1の転写ベルトは、摩擦係数は良好な値(0.7未満)を示したが、耐折性評価でワレが発生した。シリコーン・ウレタンブロック共重合体樹脂からなる表面層を設けた比較例2及びシリコーン樹脂とウレタン樹脂からなる表面層を設けた比較例3の転写ベルトは、耐折性、鉛筆硬度は良好な値を示したが、摩擦係数は高い値(0.7以上)を示した。このため、比較例2及び比較例3の転写ベルトは、十分なトナーとの離型性を得ることができない。
エステル系ウレタン樹脂からなる表面層を設けた比較例5、及びエステル・エーテル系ウレタンからなる表面層を設けた比較例6の転写ベルトは、伸度が小さいため耐折性評価でワレが発生した。また、エーテル系ウレタン樹脂からなる表面層を設けた比較例4及びカーボネート系ウレタン樹脂からなる表面層を設けた比較例7の転写ベルトは、伸度が大きいため耐折性評価は良好であったが、摩擦係数は測定できないほど非常に高くなった(測定不可)。このため、比較例4及び比較例7の転写ベルトは、十分なトナーとの離型性を得ることはできない。
また、フッ素系樹脂からなる表面層を設けた比較例8の転写ベルトは、耐折性は比較的良好なものの、摩擦係数が高くなった。このため、比較例8の転写ベルトは十分なトナーとの離型性を得ることはできない。

Claims (6)

  1. シリコーン・アクリル共重合体樹脂とウレタン樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成された表面層を有することを特徴とする画像形成装置用転写ベルト。
  2. 前記シリコーン・アクリル共重合体樹脂は、主鎖がアクリル樹脂、側鎖がシリコーン樹脂であるシリコーン・アクリルグラフト共重合体であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置用転写ベルト。
  3. 前記ウレタン樹脂は、ポリイソシアネートとカーボネート系のポリオールとの反応生成物であるウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の画像形成装置用転写ベルト。
  4. 画像形成装置用転写ベルトは、基材層、表面層から構成されるものであって、前記基材層の引張弾性率が700MPa以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の画像形成装置用転写ベルト。
  5. 画像形成装置用転写ベルトは、基材層、弾性層、表面層から構成されるものであって、前記基材層の引張弾性率が700MPa以上であり、かつ前記弾性層は、ショアA硬度が80以下の熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の画像形成装置用転写ベルト。
  6. 画像形成装置用転写ベルト原反の表面に、シリコーン・アクリル共重合体エマルションとウレタン系樹脂エマルションを含有する樹脂エマルションを主成分とする塗工剤を塗布し、加熱することにより表面層を形成することを特徴とする画像形成装置用転写ベルトの製造方法。


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