以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による運転曲線作成装置の概要構成ブロック図である。本実施形態による運転曲線作成装置10は、入力部20と、抽出部30と、選択部40と、推奨運転曲線作成部50と、表示部60と、記憶部70とを備えている。
入力部20は、複数の走行実績データおよび制限情報を入力する。入力部20は、例えば、複数の走行実績データおよび制限情報を格納するストレージと通信接続されたインタフェースでよい。ストレージは、運転曲線作成装置10の内部または外部のいずれに設けられ、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Dive)等でよい。走行実績データは、或る区間を列車が走行したときに得られるパラメータの実績値(履歴)であり、所謂、KPI(Key Performance Indicator)である。走行実績データのパラメータは、例えば、列車を特定する列車番号、各走行を特定する走行識別情報、その区間を列車が走行したときの走行時間、走行時に周期的にサンプリングした列車の速度、該列車の運転手が使用したノッチの履歴、列車の消費エネルギー等である。走行実績データは、上記区間を列車が走行する度に各パラメータについて測定され、それらのパラメータの実測値として上記ストレージに格納される。走行実績データは、図3を参照して後で詳細に説明する。
パラメータの制限情報は、多数の走行実績データから一部の走行実績データを抽出するために用いられるパラメータの条件を示す情報である。例えば、制限情報は、走行時間が所定時間の±5秒の範囲内であること、最高速度が所定値以下であること、消費エネルギーが所定値以下であること、列車の走行時刻が1日の中で特定の時刻帯であること、列車が特定の列車番号に該当すること、あるいは、列車の運転手が特定の運転手であること等の条件を示す。制限情報は、ユーザが作成して上記ストレージに登録すればよい。
走行時間を所定時間の範囲内にすることによって、大きく遅延したときの走行実績データおよび大きく早着した走行実績データを排除することができる。最高速度を制限することによって、危険な運転に基づく走行実績データや消費エネルギーの大きな走行実績データを排除することができる。消費エネルギーを制限することによって、消費エネルギーの大きな走行実績データを排除(足切り)することができる。尚、後述するように、選択部40による推奨走行実績データの選択時に消費エネルギーが考慮されるが、制限情報に消費エネルギーの制限を付加することによって消費エネルギーの大きな走行実績データを予め足切りすることができる。列車の走行時刻を1日の中で特定の時刻帯に制限することによって、ラッシュアワーの走行実績データを抽出したり、逆に閑散時刻帯の走行実績データを抽出することができる。列車番号を特定の列車番号に制限することで、各列車の固有の特性に対応した走行実績データを抽出することができる。運転手を特定の運転手に制限することで、ベテランの運転手による走行実績データを抽出することができる。
抽出部30は、制限情報に従って走行実績データのパラメータに制限を加える。これにより、抽出部30は、複数の走行実績データの中から一部の走行実績データを抽出データとして抽出する。例えば、走行時間が所定時間の±5秒以内であることという制限情報がある場合、抽出部30は、走行時間が所定時間の±5秒以内である走行実績データを抽出データとして抽出し、走行時間が所定時間から5秒以上早着したあるいは遅延した走行実績データを抽出しない。抽出されなかった走行実績データは、推奨運転曲線を作成する際に用いられない。抽出データは、選択部40へ送られる。制限情報に従って走行実績データのパラメータに制限を加えることによって、異常な運転や危険な運転等に基づく異常かつ特殊な走行実績データが排除され、適切かつ妥当な走行実績データが抽出データとして抽出される。
選択部40は、抽出部30で抽出された抽出データの中から、消費エネルギーの観点に基づいて特定の走行実績データを選択する。例えば、選択部40は、抽出データの中から消費エネルギーにおいて最小の走行実績データを選択する。この選択された走行実績データは、推奨運転曲線を作成するために用いられる。走行実績データは、パラメータとして消費エネルギーの測定値のデータを有する。従って、選択部40は、抽出データの中から、消費エネルギーが最小である走行実績データを自動で選択することができる。このように選択された走行実績データは、制限情報の制限に適合し、かつ、消費エネルギーにおいても小さく好ましい走行実績データである。従って、以下、選択部40で選択された走行実績データを“推奨走行実績データ”と呼ぶ。尚、選択部40は、消費エネルギーの小さい走行実績データを複数選択し、その走行実績データの平均値を推奨走行実績データとしてもよい。
推奨運転曲線作成部50は、抽出データから選択された推奨走行実績データを用いて推奨運転曲線を作成する。運転曲線は、或る駅から次の駅までの区間における列車の速度やノッチを示す曲線である。推奨運転曲線は、推奨走行実績データを用いて作成された運転曲線である。推奨走行実績データは、列車が実際に走行したときに測定された各種パラメータの実績を示している。従って、推奨運転曲線は、実際の運転に適合した運転曲線であり、かつ、消費エネルギーにおいても小さい運転曲線となる。運転手は、推奨運転曲線の速度やノッチに従って列車を操作することによって、低消費エネルギーでかつほぼ計画ダイヤ通りに列車を走行させることができる。
表示部60は、推奨運転曲線作成部50で作成された推奨運転曲線を表示する。表示部60は、入力された全ての走行実績データ、抽出データ、推奨走行実績データ、あるいは、制限情報を表示してもよい。
記憶部70は、推奨運転曲線作成部50で作成された推奨運転曲線を格納する。記憶部70は、例えば、HDD、SSD等でよい。記憶部70は、走行実績データおよび/または制限情報を格納してもよい。
本実施形態では、運転曲線作成を汎用的なパーソナルコンピュータ等で行うことを想定している。
図2は、運転曲線作成装置をパーソナルコンピュータで構成した場合の概要構成ブロック図である。
運転曲線作成装置10は、図2に示すように、運転曲線作成装置全体を制御するマイクロコンピュータとして構成される。MPU21は、抽出部30、選択部40および推奨運転曲線作成部50として機能する。ROM22は、制御プログラムを含む各種データを不揮発的に記憶するために用いられる。RAM23は、MPU21のワーキングエリアとして用いられ、各種データを一時的に記憶するために用いられる。記憶装置24は、走行実績データ、制限情報等の入力データを記憶するデータベース、並びに、推奨運転曲線作成部50で作成された運転曲線を記憶する記憶部70として機能する。キーボード27は、ユーザインタフェースとして用いられ、ユーザが制限情報等の各種情報を入力可能する。ディスプレイ28は、表示部60として機能する。ディスプレイ28をタッチパネル式ディスプレイとすれば、ディスプレイ28が表示部60およびユーザインタフェースとして機能するため、キーボード27は設けなくてもよい。通信インタフェースは、インターネット、LANなどの通信ネットワークを介して通信接続されている。走行実績データおよび制限情報は、記憶装置24に代えて、通信インタフェースを介して外部から入力してもよい。
図3は、走行実績データの一例を示す表である。走行実績データは、列車が上記区間を走行するごとに測定される。走行実績データは、駅間ごとにかつ走行ごとに区切られている。例えば、本実施形態による走行実績データは、CSV(Comma Separated Value)形式で記述されている。これにより、走行実績データの読み込み等が簡単になる。
例えば、図3では、第1駅と第2駅との駅間の10個の走行実績データが示されている。走行識別情報としての走行ID(runcurve0〜runcurve9)は、10回の走行のそれぞれの走行実績データの識別情報となる。図3では、各走行実績データに対応して、各パラメータが横並びに表示されている。
例えば、日付は、走行の日にちである。運転手IDは、各走行において列車を操作した運転手の識別情報である。列車番号は、各走行に用いられた列車の識別情報である。走行時間は、その区間の走行に要した時間である。最高速度は、その区間を走行したときの列車の最高速度である。ノッチオフ時点は、列車が駅を出発してから最初に惰行運転に切り替えるまでの時間である。力行時間は、力行状態のノッチ(力行ノッチ)を使用していたトータルの時間である。例えば、力行時間は、力行ノッチのサンプリング回数とサンプリング周期との乗算から求めることができる。惰行時間は、惰行状態のノッチ(ノッチオフ)を使用していたトータルの時間である。例えば、惰行時間は、ノッチオフのサンプリング回数とサンプリング周期との乗算から求めることができる。減速時間は、減速状態のノッチ(減速ノッチ)を使用していたトータルの時間である。例えば、減速時間は、減速ノッチのサンプリング回数とサンプリング周期との乗算から求めることができる。速度は、或る周期でサンプリングされた列車の速度である。速度の数値は、サンプリング数と同数列挙されている。速度の数値は、サンプリング数と同数列挙されている。位置は、速度およびノッチ番号をサンプリングしたときの列車の位置である。ノッチ履歴は、その区間を走行したときに運転手が使用したノッチの番号の履歴である。ノッチは、列車の速度を制御する刻み(段)であり、運転手がノッチの番号を切り替えることによって、列車を加速状態にしたり、惰行状態にしたり、あるいは、減速状態にすることができる。ノッチ履歴は、速度と同様に、或る周期でサンプリングされたノッチの番号であってもよく、あるいは、ノッチの切替え時にサンプリングされた切替え前または後のノッチの番号であってもよい。累積力行エネルギーは、力行状態において列車が消費したトータルの電力である。累積回生エネルギーは、惰行状態あるいは減速状態において列車で回生されたトータルの電力である。尚、累積力行エネルギーは正値として表され、累積回生エネルギーは負値として表されている。消費エネルギーは、累積力行エネルギーから累積回生エネルギーの絶対値を差し引いた値である。従って、消費エネルギーは、その区間の走行によって列車が実質的に消費する電力を示す。この消費エネルギーの値が小さい走行ほど、省エネ走行であると言うことができる。
次に、運転曲線作成装置10の動作を説明する。
図4は、第1実施形態による運転曲線作成装置の動作の一例を示すフロー図である。前提として、実際の走行において得られた多数の走行実績データ(KPI)が運転曲線作成装置10の内部または外部にあるデータベースに格納されている。また、ユーザによって作成された制限情報もそのデータベースあるいは別のストレージに格納されている。
まず、入力部20は、走行実績データおよび制限情報を受け取る(S10)。入力部20は、走行実績データおよび制限情報を外部から受け取ってもよく、記憶部70から受け取ってもよい。走行実績データおよび制限情報は抽出部30へ転送される。走行実績データは、例えば、第1駅から第2駅までの同一区間の走行実績データである。走行実績データの数は特に限定しないが、例えば、10万としてもよい。
次に、抽出部30は、制限情報に従って走行実績データのパラメータに制限を加え、多数の走行実績データの中から一部の走行実績データを抽出データとして抽出する(S20)。例えば、計画ダイヤ上において第1駅から第2駅までの走行時間が120秒であるとし、制限情報が、走行時間に関して120秒±5秒以内という制限(条件)であるとする。この場合、抽出部30は、走行時間が120秒±5秒の範囲内にある走行実績データを抽出データとして抽出する。一方、抽出部30は、走行時間が115秒未満の走行実績データおよび125秒を超える走行実績データを除外する。図3では、抽出データは、runcurve0〜runcurve6、runcurve9となる。このように抽出された抽出データは、選択部40へ送られる。
制限情報は、他のパラメータの条件でもよい。例えば、図5(A)〜図5(D)は、走行実績データの各種パラメータを示すグラフである。このグラフの各点がそれぞれ走行実績データを示している。図5(A)〜図5(D)のグラフの縦軸は消費エネルギーを示す。図5(A)〜図5(D)のグラフの横軸は、それぞれ最高速度、ノッチオフ時間、力行時間、惰行時間である。
例えば、図5(A)を参照して分かるように、最高速度が80km/hを超える走行実績データでは、消費エネルギーが高くなる。従って、ユーザは、「最高速度は80km/h以下であること」を制限情報として登録してよい。この場合、図5(A)の破線Laよりも左側の集合Ma1が抽出データとなる。破線Laよりも右側の集合Ma2は、抽出されないデータとなる。
例えば、図5(B)を参照して分かるように、ノッチオフ時間が15秒を超える走行実績データでは、消費エネルギーが高くなる。従って、ユーザは、「ノッチオフ時間が15秒以下であること」を制限情報として登録してよい。この場合、図5(B)の破線Lbよりも左側の集合Mb1が抽出データとなる。破線Lbよりも右側の集合Mb2は、抽出されないデータとなる。
例えば、図5(C)を参照して分かるように、力行時間が70秒を超える走行実績データでは、消費エネルギーが高くなる。従って、ユーザは、「力行時間が70秒以下であること」を制限情報として登録してよい。この場合、図5(C)の破線Lcよりも左側の集合Mc1が抽出データとなる。破線Lcよりも右側の集合Mc2は、抽出されないデータとなる。
例えば、図5(D)を参照して分かるように、惰行時間が40秒を下回る走行実績データでは、消費エネルギーが高くなる。従って、ユーザは、「惰行時間が40秒以上であること」を制限情報として登録してよい。この場合、図5(D)の破線Ldよりも右側の集合Md1が抽出データとなる。破線Ldよりも左側の集合Md2は、抽出されないデータとなる。
例えば、ユーザは、「消費エネルギーは2kWh以下であること」を制限情報として登録してよい。この場合、図5(A)〜図5(D)において、消費エネルギーが2kWh以下の集合が抽出データとなり、2kWhを超える集合は抽出されない。
これらの制限情報は、それぞれ単独で用いられてもよく、複数組み合わせて用いられてもよい。これにより、多数の走行実績データから適切でない走行実績データを除去し、推奨運転曲線を作成するために適切な走行実績データを抽出データとして抽出することができる。
表示部60は、図5(A)〜図5(D)に示すグラフを表示してよい。このとき、表示部60は、制限情報を付加する前後のグラフを表示してもよい。これにより、ユーザは、制限情報が適切であるか否かを判断することができる。尚、制限情報が適切で無いとユーザが判断する場合には、制限情報を修正した上で、ステップS10およびS20を再度繰り返せばよい。
次に、選択部40は、抽出データの中から、消費エネルギーの観点に基づいて推奨走行実績データを選択する(S30)。例えば、選択部40は、図3の抽出データ(runcurve0〜runcurve6、runcurve9・・・)の中から消費エネルギーにおいて最小の走行実績データを選択する。即ち、選択部40は、図5(A)において、抽出データMa1の中から、消費エネルギーの最小の走行実績データPを選択する。この選択された走行実績データPは、推奨走行実績データとして推奨運転曲線を作成するために用いられる。
表示部60は、図5(A)〜図5(D)に示すグラフにおいて推奨走行実績データを表示してよい。このとき、表示部60は、全ての走行実績データまたは抽出データの中における推奨走行実績データの位置が分かるように表示する。これにより、ユーザは、推奨走行実績データが推奨運転曲線を作成するのに適切であるか否かを判断することができる。尚、推奨走行実績データが適切で無いとユーザが判断する場合には、制限情報を修正した上で、ステップS10〜S30を再度繰り返せばよい。
次に、推奨運転曲線作成部50が、推奨走行実績データを用いて推奨運転曲線を作成する(S40)。図6は、第1駅から第2駅までの区間における推奨運転曲線を示すグラフである。縦軸は、列車の速度を示す。横軸は、上記区間における列車の位置(第1駅からの走行距離)を示す。例えば、図5(A)〜図5(D)に示すグラフにおいて、ユーザが、キーボード27またはタッチパネルディスプレイ28等を用いて推奨走行実績データを選択すると、図6に示す推奨運転曲線が表示される。
推奨走行実績データの速度は周期的にサンプリングされるので、その速度が測定された位置は、サンプリング周期と速度との乗算を累積することによって算出することができる。例えば、サンプリング周期が0.5秒であり、列車の秒速がx(m/s)である場合、列車は、或るサンプリングから次のサンプリングまで0.5×x(m)だけ進む。このようなサンプリングごとに進む距離を第1駅から累積すれば、列車の位置(第1駅からの走行距離)が算出され得る。これにより、推奨運転曲線は、推奨走行実績データから得ることができる。尚、ここでは、或るサンプリングから次のサンプリングまでは、列車は一定速度で移動するものとしている。従って、サンプリング周期が短いほど、列車の位置は正確に算出され得る。
次に、推奨運転曲線は表示部60に表示されるとともに、記憶部70に格納される(S50)。この推奨運転曲線は、運転手が第1駅から第2駅間を走行する際に列車内の運転支援装置に表示させ、実際の運転時に参照される。
本実施形態において、推奨運転曲線は、列車の位置に対する列車の速度で表現されている。しかし、推奨運転曲線は、列車の位置に対するノッチ番号で表現されていてもよい。この場合、運転手は推奨運転曲線を参照してより容易に列車を運転することができる。
以上のように、本実施形態による運転曲線作成装置10は、列車を実走させたときに得られる走行実績データに制限を加えて抽出データを抽出し、さらに抽出データから消費エネルギーに基づいて推奨走行実績データを選択する。このような推奨走行実績データは、パラメータの制限を付加しつつ、消費エネルギーを考慮したデータとなる。
一般に、運転曲線は、車両特性(車体重量、編成両数、列車長等)および地理的条件(駅間距離情報、区間位置、区間位置に対応する上限速度、速度制限情報、進行方向に対する勾配情報等)に基づいて所定の運動方程式を解くことによってシミュレーションによって算出される。シミュレーションで作成された運転曲線は、実際の運転には適さない場合がある。また、消費エネルギーをさらに考慮して、省エネ運転曲線を作成するためには、長い時間がかかる。
これに対し、本実施形態による推奨走行実績データは、実走時の走行実績データ(即ち、KPI)に基づくので、推奨運転曲線は、実際の走行に則した無理の無い運転曲線となる。また、運転曲線作成装置10は、多数の走行実績データから抽出および選択した推奨走行実績データから推奨運転曲線を得る。従って、本実施形態によれば、実際の走行に則した省エネな推奨運転曲線を容易にかつ短時間で得ることができる。
(変形例1)
上記実施形態では、選択部40が抽出データの中から推奨走行実績データを自動で選択している。これに対し、変形例1では、ユーザが抽出データの中から推奨走行実績データを選択してもよい。
この場合、図4のステップS30において、表示部60が抽出データを表示する。表示部60は、図5(A)〜図5(D)に示すように消費エネルギーと関連付けて抽出データを表示する。ユーザインタフェースとしてのキーボード27またはタッチパネルディスプレイ28は、ユーザが抽出データから任意の走行実績データを選択可能にしている。ユーザは、キーボード27またはタッチパネルディスプレイ28を操作して抽出データの中から推奨走行実績データを選択する。このとき、ユーザは、消費エネルギーを参考にして推奨走行実績データを選択してよい。本変形例のその他の動作は、第1実施形態の動作と同様でよい。
このようにユーザが抽出データから推奨走行実績データを選択しても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(変形例2)
上記実施形態では、消費エネルギーの実測値をそのまま用いている。これに対し、変形例2では、走行時間を所定時間に合わせた場合に換算される換算消費エネルギーを用いる。その他のパラメータは、実測値でよい。例えば、計画ダイヤにおける第1駅から第2駅までの走行時間が120秒とすると、抽出部30は、走行実績データの走行時間を120秒に合わせたときの換算消費エネルギーを算出する。選択部40は、この換算消費エネルギーを用いて推奨走行実績データを選択する。変形例2のその他の動作は、第1実施形態の動作と同様でよい。
図7(A)および図7(B)は、換算消費エネルギーの作成方法の一例を示すグラフである。図7(A)の破線Lsは、シミュレーションによって得られる消費エネルギーと走行時間の関係を示す。換算消費エネルギーを作成するために、様々な走行時間における消費エネルギーをシミュレーションで予め算出する。また、図7(A)の多数の点は、それぞれ走行実績データに対応する。これらの走行実績データの中で、走行時間が120秒である走行実績データの消費エネルギーはそのまま換算消費エネルギーとして用いる。一方、走行時間が120秒からずれている走行実績データの消費エネルギーは、図7(B)に示すように補正する。例えば、図7(B)の走行実績データD1の消費エネルギーを補正する場合、破線Lsが走行実績データD1を通過するように破線Lsを平行移動させる。破線Lsを平行移動させた線をLs1とする。走行時間が120秒になるように、走行実績データD1を破線Ls1上で移動させる。即ち、走行実績データD1をLsに沿って平行移動させる。このように移動させた走行実績データD1を換算実績データD1tとする。換算実績データD1tの消費エネルギーが換算消費エネルギーとなる。走行時間が120秒でない全ての走行実績データに対して同様の補正を行う。これにより、全ての走行実績データの走行時間を120秒にしたときの換算消費エネルギーが算出される。これにより、全ての走行実績データが図7(A)の破線L120上に重複する。換算消費エネルギーは、運転曲線作成装置10の外部のコンピュータで予め算出してもよく、あるいは、抽出部30において算出してもよい。
変形例2では、このように得られた換算消費エネルギーを図3に示す走行実績データの消費エネルギーに代えて用いる。変形例2のその他の動作は、第1実施形態と同様でよい。従って、制限情報に含まれる消費エネルギーや選択部40において用いられる消費エネルギーは、換算消費エネルギーとなる。
走行実績データのサンプル数が多い場合には、第1実施形態のように走行実績データの消費エネルギーをそのまま用いても問題ない。しかし、走行実績データのサンプル数が少ない場合、制限情報として走行時間を例えば120秒±5秒に制限すると、抽出データに含まれる走行実績データが非常に少なくなり、あるいは、無くなってしまう可能性がある。これに対し、変形例2では、シミュレーションの結果に基づいて、走行時間を所定時間に適合させた換算消費エネルギーを算出しているので、走行実績データのサンプル数が少ない場合であっても、走行実績データが制限情報によって除外されることを抑制できる。従って、走行実績データのサンプル数が少ない場合であっても、選択部40は、抽出データに含まれる走行実績データを低減させず、比較的多くの走行実績データから推奨走行実績データを選択することができる。
尚、変形例2では、走行時間を所定時間に適合させて、消費エネルギーを換算している。しかし、走行時間以外のパラメータを所定値に適合させて、消費エネルギーを換算してもよい。これにより、走行時間以外のパラメータについても、換算消費エネルギーを算出することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、抽出部30は、例えば、第1駅から第2駅までの区間の複数の地点における速度の分散および平均値を算出する。抽出部30は、この速度の分散が第1所定値以下となる地点を特徴点とする。さらに、抽出部30は、特徴点における速度とその特徴点における平均値との差が閾値以下である走行実績データを抽出データとして抽出する。第2実施形態の構成およびその他の動作は、第1実施形態の構成および動作と同様でよい。
図8は、第2実施形態による抽出データの抽出方法の一例を示すグラフである。縦軸は、列車の速度を示している。横軸は、第1駅からの列車の距離を示している。0mが第1駅に対応し、1630mが第2駅に対応している。点で構成された線Lavgは、複数の走行実績データの平均速度を示している。線Ld1、Ld2がそれぞれ速度の分散の上限値と下限値を示している。従って、線Ld1とLd2との縦方向の幅が速度の分散値となる。
列車の速度は所定の周期でサンプリングされるので、複数の走行実績データにおいてサンプリング時の列車の位置が一致せずにずれる場合がある。例えば、図9は、サンプリング時の列車の位置がずれている場合を示すグラフである。L11の走行実績データは、L10の走行実績データよりも速度において速い。従って、サンプリング周期が同一であっても、L11に対応する列車は、L10に対応する列車よりも先の位置を走行している。このような場合、例えば、L11において隣接する複数の点を線形補間することによって、L11の各サンプリングの位置を補正して、L10の各サンプリングの位置に一致させればよい。逆に、L10の各サンプリングの位置をL11の各サンプリングの位置に一致させてもよい。図9において、実線の三角がL11の補間前のサンプリング速度であり、破線の三角がL11の補間後(補正後)の速度である。このように、抽出部30は、複数の走行実績データについて各地点に対応する速度を求めることができる。
図10は、第2実施形態による運転曲線作成装置の動作の一例を示すフロー図である。
まず、抽出部30は、第1駅から第2駅までの区間の各地点における速度の分散および平均値を算出する(S12)。このとき、図9を参照して説明したように、複数の走行実績データについて、各地点に対応する速度が算出されているので、抽出部30は、図8に示すように、各地点での速度の分散および平均値を算出することができる。
次に、抽出部30は、分散が第1所定値Dth以下となる地点を探し、その地点を特徴点とする(S22)。例えば、抽出部30は、分散値(図8のLd1とLd2との間の幅)が第1所定値Dth以下となる地点を探す。図8では、0m〜約200mに含まれる各地点、約800m〜約1000mに含まれる各地点、並びに、約1400m〜1630mに含まれる各地点が特徴点となる。それ以外の地点では、分散値が第1所定値Dthよりも大きいので、特徴点とはならない。
次に、抽出部30は、特徴点の各地点における速度と各地点における平均値Lavgとの差(以下、速度差という)を算出する(S24)。
次に、抽出部30は、速度差が閾値以下である走行実績データを抽出データとして抽出する(S26)。例えば、抽出部30は、ステップS24で算出された速度差が予め設定された閾値以下である走行実績データを抽出データとする。
その後、選択部40や推奨運転曲線作成部50等の動作は第1実施形態のそれらの動作と同様でよい(図1のS30〜S50)。尚、選択部40は、抽出データから平均値に最も近い走行実績データを推奨走行実績データとして選択してもよい。また、表示部60は、抽出データの走行実績データを、速度差の小さい順に表示してもよい。これにより、ユーザが任意の走行実績データを推奨走行実績データとして選択することが容易になる。
このように、第2実施形態による運転曲線作成装置10は、パラメータの分散の比較的小さな走行実績データから推奨走行実績データを選択し、その推奨走行実績データを用いて推奨運転曲線を作成することができる。
パラメータの分散が比較的小さな特徴点では、多くの走行実績データに対応する走行において、運転手は、ほぼ同様の運転を行っていると推測できる。例えば、0m〜約190mの区間では、ほとんどの走行において、運転手は最大加速のノッチで列車を加速している。約1400m〜約1630mの区間では、ほとんどの走行において、運転手は最大減速のノッチで列車を制動している。さらに、約800m〜約1000mの区間では、多くの走行において、運転手は惰行ノッチ(ノッチオフ)を選択している。このように、特徴点では、多くの走行において、運転手が同様に列車を操作している。
このような特徴点を検出し、その特徴点で走行実績データを抽出することによって、少なくとも特徴点における異常値を排除することができ、特徴点において運転手が適切かつ妥当な運転を行っている走行実績データを抽出データとすることができる。これにより、抽出データから選択された推奨走行実績データは、適切かつ妥当な走行実績データであり、かつ、消費エネルギーについても小さな走行実績データとすることができる。
さらに、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果も得ることができる。上記変形例1、2は、第2実施形態に適用してもよい。
また、第2実施形態は、第1実施形態と組み合わせてもよい。例えば、抽出部30は、第1実施形態と同様の制限情報を用いて一部の走行実績データを抽出し、この一部の走行実績データについてパラメータの分散および平均値を算出し特徴点を求めてもよい。その後、ステップS24、S26、S30〜S50を実行する。あるいは、逆に、抽出部30は、走行実績データについてパラメータの分散および平均値を算出し特徴点を求め、その特徴点に対応する走行実績データから制限情報を用いて抽出データを抽出てもよい。その後、ステップS30〜S50を実行する。
(変形例3)
第2実施形態では、抽出部30は、速度の分散および平均値を求め、速度の分散および平均値を用いて特徴点や抽出データを生成している。これに対し、変形例3では、ノッチ番号の分散および平均値を求め、ノッチ番号の分散および平均値を用いて特徴点や抽出データを生成している。
図11は、変形例3による抽出データの抽出方法の一例を示すグラフである。縦軸は、列車のノッチ番号を示している。横軸は、第1駅からの列車の距離を示している。点で構成された線Lavg11は、複数の走行実績データの平均ノッチ番号を示している。線Ld11、Ld12はそれぞれノッチ番号の分散の上限値と下限値を示している。従って、線Ld11とLd12との縦方向の幅がノッチ番号の分散値となる。尚、ノッチ番号についても複数の走行実績データにおいてサンプリング時の列車の位置が一致していない場合、抽出部30は、線形補間法等を用いて、各地点に対応するノッチ番号を求めればよい。
変形例3による運転曲線作成装置10の動作フローは、図10に示すフローを参照すれば容易に理解できるので、その図示を省略する。図10の「速度」を「ノッチ番号」または「ノッチ」と換言すればよい。
まず、抽出部30は、第1駅から第2駅までの区間の各地点におけるノッチ番号の分散および平均値を算出する(図10のS12参照)。
次に、抽出部30は、分散が第1所定値Dth11以下となる地点を探し、その地点を特徴点とする(S22参照)。例えば、抽出部30は、分散値(図11のLd11とLd12との間の幅)が第1所定値Dth11以下となる地点を探す。図11では、0m〜約80mに含まれる各地点、約280m〜約400mに含まれる各地点、約1050m〜約1400mに含まれる各地点、並びに、約1600m〜約1630mに含まれる各地点が特徴点となる。それ以外の地点では、分散値が第1所定値Dth11よりも大きいので、特徴点とはならない。
次に、抽出部30は、特徴点の各地点におけるノッチ番号と各地点におけるノッチ番号の平均値Lavg11との差(以下、ノッチ差という)を算出する(S24参照)。
次に、抽出部30は、ノッチ差が閾値以下である走行実績データを抽出データとして抽出する(S26参照)。例えば、抽出部30は、ステップS24で算出されたノッチ差が予め設定された閾値以下である走行実績データを抽出データとする。
その後、選択部40や推奨運転曲線作成部50等の動作は第2実施形態のそれらの動作と同様でよい。
このように、抽出部30は、ノッチ番号を用いて特徴点を検出してもよい。これにより、変形例3は、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
尚、速度またはノッチ番号以外のパラメータについても、第2実施形態を適用することができる。この場合、抽出部30は、そのパラメータの分散および平均値を求め、そのパラメータの分散および平均値を用いて特徴点や抽出データを生成すればよい。
さらに、抽出部30は、複数のパラメータの特徴点を組み合わせて抽出データを抽出してもよい。例えば、抽出部30は、第1パラメータの特徴点から閾値を用いて第1抽出データを抽出し、第2パラメータの特徴点から閾値を用いて第2抽出データを抽出する。そして、選択部40は、第1および第2抽出データの両方に含まれる走行実績データから推奨走行実績データを選択する。あるいは、選択部40は、第1および第2抽出データのいずれか一方に含まれる走行実績データから推奨走行実績データを選択する。このようにしても、第2実施形態の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
第2実施形態では、抽出部30は、第1駅から第2駅までの区間の複数の「地点」における速度の分散および平均値を算出する。これに対し、第3実施形態による抽出部30は、第1駅から第2駅までの走行時間の複数の「時点」における速度の分散および平均値を算出する。抽出部30は、この速度の分散が第1所定値以下となる時点を特徴点とする。さらに、抽出部30は、特徴点における速度とその特徴点における平均値との差が閾値以下である走行実績データを抽出データとして抽出する。
図12は、第3実施形態による抽出データの抽出方法の一例を示すグラフである。縦軸は、列車の速度を示している。横軸は、第1駅から第2駅までの列車の走行時点を示している。従って、0秒が第1駅を出発する時点であり、120秒が第2駅に到着した時点である。点で構成された線Lavg30は、複数の走行実績データの平均速度を示している。線Ld31、Ld32がそれぞれ速度の分散の上限値と下限値を示している。従って、線Ld31とLd32との縦方向の幅が速度の分散値となる。
図13は、第3実施形態による運転曲線作成装置の動作の一例を示すフロー図である。
まず、抽出部30は、第1駅から第2駅までの区間の各時点における速度の分散および平均値を算出する(S13)。このとき、複数の走行実績データについて、各時点に対応する速度が算出されているので、抽出部30は、図12に示すように、各時点での速度の分散および平均値を算出することができる。
次に、抽出部30は、分散が第1所定値Dth以下となる時点(サンプリング時点)を探し、その時点を特徴点とする(S23)。例えば、抽出部30は、分散値(図12のLd31とLd32との間の縦方向の幅)が第1所定値Dth30以下となる時点を探す。図12では、0秒〜約18秒に含まれる各時点、約65秒〜約78秒に含まれる各時点、並びに、約105秒〜120秒に含まれる各時点が特徴点となる。それ以外の時点では、分散値が第1所定値Dth30よりも大きいので、特徴点とはならない。
次に、抽出部30は、特徴点の各時点における速度とその各時点における平均値Lavg30との差(速度差)を算出する(S25)。
次に、抽出部30は、速度差が閾値以下である走行実績データを抽出データとして抽出する(S27)。例えば、抽出部30は、ステップS24で算出された速度差が予め設定された閾値以下である走行実績データを抽出データとする。
その後、選択部40や推奨運転曲線作成部50等の動作は第1実施形態のそれらの動作と同様である(図1のS30〜S50)。
このように、第3実施形態による運転曲線作成装置10は、パラメータの分散の比較的小さな走行実績データから推奨走行実績データを選択し、その推奨走行実績データを用いて推奨運転曲線を作成することができる。
パラメータの分散が比較的小さな特徴点では、多くの走行実績データに対応する走行において、運転手は、ほぼ同様の運転を行っていると推測できる。従って、このような特徴点を検出し、その特徴点で走行実績データを抽出することによって、少なくとも特徴点における異常値を排除することができ、特徴点において運転手が適切かつ妥当な運転を行っている走行実績データを抽出データとすることができる。これにより、抽出データから選択された推奨走行実績データは、適切かつ妥当な走行実績データであり、かつ、消費エネルギーについても小さな走行実績データとすることができる。
さらに、第3実施形態は、第1実施形態と同様の効果も得ることができる。上記変形例1、2は、第3実施形態に適用してもよい。また、第3実施形態は、第2実施形態と同様に、第1実施形態と組み合わせてもよい。
(変形例4)
第3実施形態では、抽出部30は、速度の分散および平均値を求め、速度の分散および平均値を用いて特徴点や抽出データを生成している。これに対し、変形例4では、各時点での列車の位置の分散および平均値を求め、列車の位置の分散および平均値を用いて特徴点や抽出データを生成している。
図14は、変形例4による抽出データの抽出方法の一例を示すグラフである。縦軸は、列車の位置を示している。横軸は、第1駅から第2駅までの列車の走行時点を示している。点で構成された線Lavg40は、複数の走行実績データの平均位置を示している。線Ld41、Ld42はそれぞれ位置の分散の上限値と下限値を示している。従って、線Ld41とLd42との縦方向の幅が位置の分散値となる。
変形例4による運転曲線作成装置10の動作フローは、図13に示すフローを参照すれば容易に理解できるので、その図示を省略する。図13の「速度」を「列車の位置」と換言すればよい。
まず、抽出部30は、第1駅から第2駅までの区間の各時点における列車の位置の分散および平均値を算出する(図13のS13参照)。
次に、抽出部30は、分散が第1所定値Dth40以下となる時点(サンプリング時点)を探し、その時点を特徴点とする(S23参照)。例えば、抽出部30は、分散値(図14のLd41とLd42との間の幅)が第1所定値Dth40以下となる時点を探す。図14では、0秒〜約25秒に含まれる各時点、約65秒〜約75秒に含まれる各時点、並びに、約105秒〜約120秒に含まれる各時点が特徴点となる。それ以外の時点では、分散値が第1所定値Dth40よりも大きいので、特徴点とはならない。
次に、抽出部30は、特徴点の各時点における列車の位置と各時点における平均値Lavg40との差(以下、位置差という)を算出する(S25参照)。
次に、抽出部30は、位置差が閾値以下である走行実績データを抽出データとして抽出する(S27参照)。例えば、抽出部30は、ステップS25で算出された位置差が予め設定された閾値以下である走行実績データを抽出データとする。
その後、選択部40や推奨運転曲線作成部50等の動作は第3実施形態のそれらの動作と同様でよい。
このように、抽出部30は、列車の位置を用いて特徴点を検出してもよい。これにより、変形例4は、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
尚、速度または列車の位置以外のパラメータについても、第3実施形態を適用することができる。この場合、抽出部30は、そのパラメータの分散および平均値を求め、そのパラメータの分散を用いて特徴点を検出すればよい。
さらに、抽出部30は、変形例3と同様に、複数のパラメータの特徴点を組み合わせて抽出データを抽出してもよい。
(第4実施形態)
上記実施形態において、選択部40は、消費エネルギーに基づいて抽出データから複数の走行実績データを選択し、これらの複数の走行実績データを特徴点でつなぎ合わせることによって1つの補正走行実績データを作成する。推奨運転曲線作成部50は、この補正走行実績データを用いて推奨運転曲線を作成する。
図15は、第4実施形態による抽出データの抽出方法の一例を示すグラフである。縦軸は、列車の位置を示している。横軸は、第1駅から第2駅までの列車の走行時点を示している。選択部40は、抽出データの中から消費エネルギーが低くかつ特徴点で交差する複数の走行実績データを選択する。L51、L52は、選択部40において抽出データから選択された2つの走行実績データ(第1走行実績データ、第2走行実績データ)を示している。尚、選択部40は、消費エネルギーに基づいて、交差する3つ以上の走行実績データを選択してもよい。
ここで、800m〜1000mの範囲の地点が特徴点であるとする。特徴点は、第3実施形態で説明したように分散を用いて検出すればよい。特徴点においては、分散が比較的小さいので、抽出データの中には、等しい速度を有する複数の走行実績データがある場合がある。選択部40は、第1および第2走行実績データL51、L52のように交差する複数の走行実績データを選択する。第1および第2走行実績データL51、L52のように交差する特徴点をCとすると、第1および第2走行実績データL51、L52は、それぞれ特徴点Cにおいて2つのデータ部分に分離することができる。例えば、第1走行実績データL51は、特徴点Cより前のデータ部分L51aと、特徴点C以降のデータ部分L51bとに分けることができる。第2走行実績データL52は、特徴点Cより前のデータ部分L52aと、特徴点C以降のデータ部分L52bとに分けることができる。
選択部40は、データ部分L51aとデータ部分L52bとを結合し、あるいは、データ部分L52aとデータ部分L51bとを結合して1つの補正走行実績データを生成する。例えば、第1および第2走行実績データL51、L52の消費エネルギーは低いものの、走行時間において所定時間(例えば、120秒)から大きくずれているものとする。この場合、選択部40は、上記のようにデータ部分を結合して走行時間が所定時間(例えば、120秒)に近い補正走行実績データを生成することができる。
推奨運転曲線作成部50は、補正走行実績データを用いて推奨運転曲線を作成する。これにより、推奨運転曲線作成部50は、消費エネルギーを考慮しつつ、走行時間が所定時間に近い推奨運転曲線を得ることができる。
尚、上記制限情報および/または特徴点は、走行実績データを用いて生成した後、シミュレーションで運転曲線を作成する際に制約として用いてもよい。このとき、運転曲線は、既存のシミュレーションで作成してよい。例えば、運転曲線は、コンピュータを用いて特許文献1に記載された方法で算出してもよい。
本実施形態による運転曲線作成装置10におけるデータ処理方法の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、データ処理方法の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。また、データ処理方法の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。