本発明を実施するための形態について説明する。尚、以下の説明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」と「メタクリル」のうち少なくとも一方を意味する。例えば、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートとのうち少なくとも一方を意味する。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物はカルボキシル基含有樹脂(A)と、エチレン性不飽和結合を一分子中に少なくとも一つ有する不飽和化合物(B)と、光重合開始剤(C)と、エポキシ化合物(D)とを含有する。エポキシ化合物(D)は融点100℃未満の結晶性エポキシ樹脂(d)を含有する。
カルボキシル基含有樹脂(A)は、カルボキシル基含有樹脂(A1)を含む。このカルボキシル基含有樹脂(A1)は、例えば、下記式(1)で示され、式(1)中、R1〜R8は各々独立に水素、炭素数1〜5のアルキル基又はハロゲンであるビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシ化合物(a1)と、不飽和基含有カルボン酸(a2)との反応物である中間体と、酸無水物との反応物である。
カルボキシル基含有樹脂(A1)は、エポキシ化合物(a1)と、不飽和基含有カルボン酸(a2)とを反応させ、それにより得られた中間体と、酸無水物とを反応させることで合成される。
本実施形態では、カルボキシル基含有樹脂(A1)がエポキシ化合物(a1)に由来する式(1)で示されるビスフェノールフルオレン骨格を有することで、カルボキシル基含有樹脂(A1)を含有する感光性樹脂組成物の硬化物に高い耐熱性及び絶縁信頼性を付与できる。
さらに、感光性樹脂組成物が融点100℃未満の結晶性エポキシ樹脂(d)を含有することにより、感光性樹脂組成物に熱硬化性を付与するとともに、感光性樹脂組成物の現像性を向上させることができる。
また、融点が100℃未満の結晶性エポキシ樹脂(d)は、感光性樹脂組成物中のエポキシ樹脂以外の成分や溶媒等との相溶性が高く、このため、感光性樹脂組成物中で分散して、均一化されやすい。さらに、感光性樹脂組成物が結晶性エポキシ樹脂(d)を含有すると、低温でも結晶化が生じにくい。このため、感光性樹脂組成物に高い保存安定性を付与することができる。
さらに、低温では感光性樹脂組成物中のカルボキシル基とエポキシ基の架橋反応が抑制されるため、良好な現像性を維持する観点からも、感光性樹脂組成物に高い保存安定性を付与することができる。
本発明の感光性樹脂組成物に含有される各成分について、より具体的に説明する。
カルボキシル基含有樹脂(A1)を合成するためには、まず式(1)で示されるビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシ化合物(a1)におけるエポキシ基(式(2)参照)の少なくとも一部と、不飽和基含有カルボン酸(a2)とを反応させることで、中間体を合成する。中間体は、エポキシ基と不飽和基含有カルボン酸(a2)との開環付加反応により生じた下記式(3)に示す構造を有する。すなわち、中間体は、式(3)に示す構造中に、エポキシ基と不飽和基含有カルボン酸(a2)との開環付加反応により生じた二級の水酸基を有する。式(3)において、Aは不飽和基含有カルボン酸残基である。
次に、中間体中の二級の水酸基と酸無水物とを反応させることによって、カルボキシル基含有樹脂(A1)を合成できる。酸無水物は、例えば酸二無水物(a3)と酸一無水物(a4)とのうち少なくとも一方を含有する。酸無水物が、酸二無水物(a3)と酸一無水物(a4)とを含有する場合は、中間体中の二級の水酸基のうちの一部と酸二無水物(a3)とが反応し、中間体中の二級の水酸基のうちの別の一部と酸一無水物(a4)とが反応する。
このため、カルボキシル基含有樹脂(A1)は、式(1)で示されるビスフェノールフルオレン骨格を有し、酸無水物が酸一無水物(a4)を含有する場合は下記式(4)に示す構造を有し、酸無水物が酸二無水物(a3)を含有する場合は、下記式(5)に示す構造も有する。
式(4)に示す構造は、中間体の式(3)で示す構造中の二級の水酸基と、酸一無水物(a4)における酸無水物基とが反応することで生じる。式(4)において、Aは不飽和基含有カルボン酸残基であり、Bは酸一無水物残基である。
式(5)に示す構造は、酸二無水物(a3)中の二つの酸無水物基と、中間体における二つの二級の水酸基とが、それぞれ反応することで生じる。すなわち、式(5)に示す構造は、二つの二級の水酸基同士を酸二無水物(a3)が架橋することで生成する。なお、中間体の一つの分子中に存在する二つの二級の水酸基同士が架橋される場合と、中間体の二つの分子中にそれぞれ存在する二つの二級の水酸基同士が架橋される場合とが、ありうる。中間体の二つの分子中にそれぞれ存在する二つの二級の水酸基同士が架橋されると、分子量の増大が得られる。式(5)において、Aは不飽和基含有カルボン酸残基であり、Dは酸二無水物残基である。
カルボキシル基含有樹脂(A1)が、更に下記式(6)で示す構造を有することもありうる。式(6)で示す構造は、酸二無水物(a3)中の二つの酸無水物基のうち、一つのみが、中間体における二級の水酸基と反応することで生じる。式(6)において、Aは不飽和基含有カルボン酸残基であり、Dは酸二無水物残基である。
中間体の合成時にエポキシ化合物(a1)中のエポキシ基の一部が未反応のまま残存する場合、カルボキシル基含有樹脂(A1)は式(2)に示す構造、すなわちエポキシ基を有することがありうる。また、中間体における式(3)に示す構造の一部が未反応のまま残存する場合に、カルボキシル基含有樹脂(A1)は式(3)に示す構造を有することもありうる。
ただし、本実施形態では、カルボキシル基含有樹脂(A1)の合成時の反応条件を最適化することで、カルボキシル基含有樹脂(A1)中の式(2)に示す構造、及び式(6)に示す構造を低減し、或いは殆どなくすことが可能である。
以上により、カルボキシル基含有樹脂(A1)は、式(1)で示されるビスフェノールフルオレン骨格を有し、酸無水物が酸二無水物(a3)を含有する場合は、式(4)に示す構造も有し、酸無水物が酸一無水物(a4)を含有する場合は、式(5)に示す構造も有する。さらに、カルボキシル基含有樹脂(A1)は、式(2)に示す構造と、式(3)に示す構造と、式(6)に示す構造とのうち少なくとも一種を有することがある。
また、エポキシ化合物(a1)自体が二級の水酸基を有する場合、すなわち例えば後述する式(7)においてn=1以上である場合には、カルボキシル基含有樹脂(A1)は、エポキシ化合物(a1)中の二級の水酸基と酸無水物とが反応することで生じる構造を有することもある。
なお、上述のカルボキシル基含有樹脂(A1)の構造は技術常識に基づいて合理的に類推されたものであり、カルボキシル基含有樹脂(A1)の構造を分析によって同定することは現実にはできない。その理由は次の通りである。エポキシ化合物(a1)自体が二級の水酸基を有する場合(例えば式(7)においてnが1以上である場合)には、エポキシ化合物(a1)中の二級の水酸基の数によってカルボキシル基含有樹脂(A1)の構造が大きく変化してしまう。また、中間体と酸二無水物(a3)とが反応する際には、上述の通り、中間体の一つの分子中に存在する二つの二級の水酸基同士が酸二無水物(a3)で架橋される場合と、中間体の二つの分子中にそれぞれ存在する二つの二級の水酸基同士が酸二無水物(a3)で架橋される場合とが、ありうる。このため、最終的に得られるカルボキシル基含有樹脂(A1)は、互いに構造の異なる複数の分子を含み、カルボキシル基含有樹脂(A1)を分析してもその構造を同定できなくなる。
カルボキシル基含有樹脂(A1)は、不飽和基含有カルボン酸(a2)に由来するエチレン性不飽和基を有することで光反応性を有する。このため、カルボキシル基含有樹脂(A1)は感光性樹脂組成物に感光性、具体的には紫外線硬化性、を付与できる。また、カルボキシル基含有樹脂(A1)は、酸無水物に由来するカルボキシル基を有することで、感光性樹脂組成物に、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物のうち少なくとも一方を含有するアルカリ性水溶液による現像性を付与できる。さらに、カルボキシル基含有樹脂(A1)は、酸無水物が酸二無水物(a3)を含有する場合は、酸二無水物(a3)によって架橋されていることで分子量が調整されている。このため、酸価と分子量とが適度に調整されたカルボキシル基含有樹脂(A1)が得られる。すなわち、酸無水物が酸二無水物(a3)及び酸一無水物(a4)を含む場合は、酸無水物の量、並びに酸二無水物(a3)に対する酸一無水物(a4)の量を制御することで、カルボキシル基含有樹脂(A1)の分子量及び酸価を容易に調整できる。
カルボキシル基含有樹脂(A1)の重量平均分子量は1000〜5000の範囲内であることが好ましい。重量平均分子量が1000以上であると、感光性樹脂組成物から形成される皮膜のタック性を更に抑制すると共に硬化物の絶縁信頼性及び耐メッキ性を更に向上できる。また、重量平均分子量が5000以下であると、感光性樹脂組成物のアルカリ性水溶液による現像性が特に向上する。なお、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィによる次の条件での分子量の測定結果から算出される。
GPC装置:昭和電工社製 SHODEX SYSTEM 11、
カラム:SHODEX KF−800P,KF−005,KF−003,KF−001の4本直列、
移動相:THF、
流量:1ml/分、
カラム温度:45℃、
検出器:RI、
換算:ポリスチレン。
また、カルボキシル基含有樹脂(A1)の固形分酸価は60〜140mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の現像性が特に向上する。酸価が80〜135mgKOH/gの範囲内であればより好ましく、酸価が90〜130mgKOH/gの範囲内であれば更に好ましい。
カルボキシル基含有樹脂(A1)の原料、並びにカルボキシル基含有樹脂(A1)の合成時の反応条件について詳しく説明する。
エポキシ化合物(a1)は、例えば下記式(7)に示す構造を有する。式(7)中のnは、例えば0〜20の範囲内の数である。カルボキシル基含有樹脂(A1)の分子量を適切に制御するためには、nの平均は0〜1の範囲内であることが特に好ましい。nの平均が0〜1の範囲内であれば、特に、酸無水物が酸二無水物(a3)を含有する場合は、酸二無水物(a3)の付加による過剰な分子量の増大が抑制されやすくなる。
不飽和基含有カルボン酸(a2)は、例えばエチレン性不飽和基を1個のみ有する化合物を含有できる。より具体的には、不飽和基含有カルボン酸(a2)は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、クロトン酸、桂皮酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−メタクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、及び2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸からなる群から選択される一種以上の化合物を含有できる。好ましくは、不飽和基含有カルボン酸(a2)がアクリル酸を含有する。
エポキシ化合物(a1)と不飽和基含有カルボン酸(a2)とを反応させるに当たっては、公知の方法が採用され得る。例えばエポキシ化合物(a1)の溶剤溶液に不飽和基含有カルボン酸(a2)を加え、更に必要に応じて熱重合禁止剤及び触媒を加えて攪拌混合することで、反応性溶液を得る。この反応性溶液を常法により好ましくは60〜150℃、特に好ましくは80〜120℃の温度で反応させることで、中間体を得ることができる。溶剤は、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、及びトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、及び酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類、及びジアルキルグリコールエーテル類からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。熱重合禁止剤は例えばハイドロキノン及びハイドロキノンモノメチルエーテルのうち少なくとも一方を含有する。触媒は例えばベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン等の第3級アミン類、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類、トリフェニルフォスフィン、及びトリフェニルスチビンからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
触媒が特にトリフェニルフォスフィンを含有することが好ましい。すなわち、トリフェニルフォスフィンの存在下で、エポキシ化合物(a1)と不飽和基含有カルボン酸(a2)とを反応させることが好ましい。この場合、エポキシ化合物(a1)におけるエポキシ基と不飽和基含有カルボン酸(a2)との開環付加反応が特に促進され、95%以上、或いは97%以上、或いはほぼ100%の反応率(転化率)を達成することが可能である。このため、式(3)に示す構造を有する中間体が高い収率で得られる。また、感光性樹脂組成物の硬化物を含む層におけるイオンマイグレーションの発生が抑制され、硬化物を含む層の絶縁信頼性が更に向上する。
エポキシ化合物(a1)と不飽和基含有カルボン酸(a2)とを反応させる際のエポキシ化合物(a1)のエポキシ基1モルに対する不飽和基含有カルボン酸(a2)の量は0.8〜1.2モルの範囲内であることが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の優れた感光性と保存安定性が得られる。
エポキシ化合物(a1)と不飽和基含有カルボン酸(a2)とを、エアバブリング下で反応させることも好ましい。この場合、不飽和基の付加重合反応を抑制して、中間体の分子量の増大及び中間体の溶液のゲル化を抑制できる。また、最終生成物であるカルボキシル基含有樹脂(A1)の過度な着色を抑制できる。
このようにして得られる中間体は、エポキシ化合物(a1)におけるエポキシ基と不飽和基含有カルボン酸(a2)におけるカルボキシル基とが反応することで生成した水酸基を備える。
酸二無水物(a3)は酸無水物基を二つ有する化合物である。酸二無水物(a3)は、テトラカルボン酸の無水物を含有することが好ましい。酸二無水物は、例えば1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、9,9’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト〔1,2−c〕フラン−1,3−ジオン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。特に酸二無水物(a3)が3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含有することが好ましい。すなわち、式(5)及び式(6)におけるDが3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物残基を含むことが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の良好な現像性を確保しながら、感光性樹脂組成物から形成される皮膜のタック性を更に抑制すると共に硬化物の絶縁信頼性及び耐メッキ性を更に向上できる。酸二無水物(a3)全体に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は20〜100モル%の範囲内であることが好ましく、40〜100モル%の範囲内であることがより好ましいが、これに限られない。
酸一無水物(a4)は、酸無水物基を一つ有する化合物である。酸一無水物(a4)は、ジカルボン酸の無水物を含有することが好ましい。酸一無水物(a4)は、例えばフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、グルタル酸無水物、及びイタコン酸無水物からなる群から選択される一種以上の化合物を含有できる。特に、酸一無水物(a4)が1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸を含有することが好ましい。すなわち、式(4)におけるBが1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸残基を含むことが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の良好な現像性を確保しながら、感光性樹脂組成物から形成される皮膜のタック性を更に抑制すると共に硬化物の絶縁信頼性及び耐メッキ性を更に向上できる。酸一無水物(a4)全体に対して、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸は20〜100モル%の範囲内であることが好ましく、40〜100モル%の範囲内であることがより好ましいが、これに限られない。
中間体と酸無水物とを反応させるに当たっては、公知の方法が採用され得る。例えば中間体の溶剤溶液に酸無水物を加え、更に必要に応じて熱重合禁止剤及び触媒を加えて攪拌混合することで、反応性溶液を得る。この反応性溶液を常法により好ましくは60〜150℃、特に好ましくは80〜120℃の温度で反応させることで、カルボキシル基含有樹脂(A1)を得ることができる。溶剤、触媒及び重合禁止剤としては、適宜のものが使用でき、中間体の合成時に使用した溶剤、触媒及び重合禁止剤をそのまま使用することもできる。
触媒が特にトリフェニルフォスフィンを含有することが好ましい。すなわち、トリフェニルフォスフィンの存在下で、中間体と、酸無水物とを反応させることが好ましい。この場合、中間体における二級の水酸基と酸無水物との反応が特に促進され、90%以上、95%以上、97%以上、或いはほぼ100%の反応率(転化率)を達成することが可能である。このため、式(4)に示す構造及び式(5)に示す構造を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)が高い収率で得られる。また、感光性樹脂組成物の硬化物を含む層におけるイオンマイグレーションの発生が抑制され、硬化物を含む層の絶縁信頼性が更に向上する。
中間体と、酸無水物とを、エアバブリング下で反応させることも好ましい。この場合、生成されるカルボキシル基含有樹脂(A1)の過度な分子量増大が抑制されることで、感光性樹脂組成物のアルカリ性水溶液による現像性が特に向上する。
中間体と、酸無水物とを反応させる際、エポキシ化合物(a1)のエポキシ基1モルに対して、酸二無水物(a3)の量は、0.05〜0.24モルの範囲内であることが好ましい。また、エポキシ化合物(a1)のエポキシ基1モルに対して、酸一無水物(a4)の量は0.3〜0.7モルの範囲内であることが好ましい。この場合、酸価と分子量とが適度に調整されたカルボキシル基含有樹脂(A1)が容易に得られる。また、生成されるカルボキシル基含有樹脂(A1)の過度な分子量増大が抑制されることで、感光性樹脂組成物のアルカリ性水溶液による現像性が特に向上する。
カルボキシル基含有樹脂(A)は、カルボキシル基含有樹脂(A1)のみを含有してもよく、カルボキシル基含有樹脂(A1)以外のカルボキシル基含有樹脂(以下、カルボキシル基含有樹脂(F)ともいう)を更に含有してもよい。
カルボキシル基含有樹脂(F)は、例えば、カルボキシル基を有し光重合性を有さない化合物(以下、(F1)成分という)を含有できる。(F1)成分は、例えばカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を含むエチレン性不飽和単量体の重合体を含有する。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート等の化合物を含有できる。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等と二塩基酸無水物との反応物も含有できる。エチレン性不飽和単量体は、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、直鎖又は分岐の脂肪族或いは脂環族(但し、環中に一部不飽和結合を有してもよい)の(メタ)アクリル酸エステル等の、カルボキシル基を有さないエチレン性不飽和化合物を更に含有してもよい。
カルボキシル基含有樹脂(F)は、カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、(F2)成分という)を含有してもよい。(F2)成分は、例えば一分子中に二個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(g1)とエチレン性不飽和化合物(g2)との反応物である中間体と、多価カルボン酸及びその無水物の群から選択される少なくとも一種の化合物(g3)との反応物である樹脂(第一の樹脂(g)という)を含有する。第一の樹脂(g)は、例えばエポキシ化合物(g1)中のエポキシ基と、エチレン性不飽和化合物(g2)中のカルボキシル基とを反応させて得られた中間体に化合物(g3)を付加させて得られる。エポキシ化合物(g1)は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の適宜のエポキシ樹脂を含有できる。エポキシ化合物(g1)は、エチレン性不飽和化合物(h)の重合体を含有してもよい。エチレン性不飽和化合物(h)は、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する化合物(h1)を含有し、或いは更に2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート等のエポキシ基を有さない化合物(h2)を含有する。エチレン性不飽和化合物(g2)は、アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一方を含有することが好ましい。化合物(g3)は、例えばフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸と、これらの多価カルボン酸の無水物とからなる群から選択される一種以上の化合物を含有する。
(F2)成分は、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物を含有するエチレン性不飽和単量体の重合体とエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物との反応物である樹脂(第二の樹脂(i)という)を含有してもよい。エチレン性不飽和単量体はカルボキシル基を有さないエチレン性不飽和化合物を更に含有してもよい。第二の樹脂(i)は、重合体におけるカルボキシル基の一部にエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させることで得られる。エチレン性不飽和単量体は、カルボキシル基を有さないエチレン性不飽和化合物を更に含有してもよい。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等の化合物を含有する。カルボキシル基を有さないエチレン性不飽和化合物は、例えば2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタレート、直鎖又は分岐の脂肪族或いは脂環族(但し、環中に一部不飽和結合を有してもよい)の(メタ)アクリル酸エステル等の化合物を含有する。エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物は、グリシジル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
カルボキシル基含有樹脂(A)は、カルボキシル基含有樹脂(A1)のみ、又はカルボキシル基含有樹脂(A1)とカルボキシル基含有樹脂(F)とを含有する。カルボキシル基含有樹脂(A)は、カルボキシル基含有樹脂(A1)を30質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することがより好ましく、100質量%含有することが更に好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の硬化物の耐熱性及び絶縁信頼性を特に向上させることができる。また、感光性樹脂組成物から形成される皮膜のタック性を十分に抑制することができる。さらに、感光性樹脂組成物のアルカリ性水溶液による現像性を確保することができる。
感光性樹脂組成物中の不飽和化合物(B)について具体的に説明する。
不飽和化合物(B)は、感光性樹脂組成物に光硬化性を付与できる。不飽和化合物(B)は、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;並びにジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε―カプロラクトン変性ペンタエリストールヘキサアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
不飽和化合物(B)が、三官能の化合物、すなわち一分子中に不飽和結合を3つ有する化合物を含有することが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物から形成される皮膜を露光・現像する場合の解像性が向上すると共に、感光性樹脂組成物のアルカリ性水溶液による現像性が特に向上する。三官能の化合物は、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート及びε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート及びエトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。
不飽和化合物(B)が、リン含有化合物(リン含有不飽和化合物)を含有することも好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の硬化物の難燃性が向上する。リン含有不飽和化合物は、例えば2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート(具体例として共栄社化学株式会社製の品番ライトエステルP−1M、及びライトエステルP−2M)、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(具体例として共栄社化学株式会社製の品番ライトアクリレートP−1A)、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルフォスフェート(具体例として大八工業株式会社製の品番MR−260)、並びに昭和高分子株式会社製のHFAシリーズ(具体例としてジペンタエリストールヘキサアクリレートとHCAとの付加反応物である品番HFAー6003、及びHFA−6007、カプロラクトン変性ジペンタエリストールヘキサアクリレートとHCAとの付加反応物である品番HFAー3003、及びHFA−6127等)からなる群から選択される一種以上の化合物を含有できる。
不飽和化合物(B)が、プレポリマーを含有してもよい。プレポリマーは、例えばエチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてからエチレン性不飽和基を付加して得られるプレポリマー、並びにオリゴ(メタ)アクリレートプレポリマー類からなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有できる。オリゴ(メタ)アクリレートプレポリマー類は、例えばエポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、アルキド樹脂(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂(メタ)アクリレート、及びスピラン樹脂(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
感光性樹脂組成物中の光重合開始剤(C)について具体的に説明する。
光重合開始剤(C)は、例えばアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(C1)を含有する。すなわち、感光性樹脂組成物は例えばアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(C1)を含有する。この場合、感光性樹脂組成物がカルボキシル基含有樹脂(A1)を含有するにもかかわらず、感光性樹脂組成物を紫外線で露光する場合に感光性樹脂組成物に高い感光性を付与できる。また、感光性樹脂組成物の硬化物を含む層におけるイオンマイグレーションの発生が抑制され、硬化物を含む層の絶縁信頼性が更に向上する。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(C1)は、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−エチル−フェニル−フォスフィネート等のモノアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、並びにビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される一種以上の成分を含有できる。特にアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(C1)が2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを含有することが好ましく、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(C1)が2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドのみを含有することも好ましい。
光重合開始剤(C)がアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(C1)に加えてヒドロキシケトン系光重合開始剤(C2)を含有することが好ましい。すなわち感光性樹脂組成物がヒドロキシケトン系光重合開始剤(C2)を含有することが好ましい。この場合、ヒドロキシケトン系光重合開始剤(C2)を含有しない場合と比べて、感光性樹脂組成物に更に高い感光性を付与できる。これにより、感光性樹脂組成物から形成される塗膜に紫外線を照射して硬化させる場合、塗膜をその表面から深部に亘って十分に硬化させることが可能となる。ヒドロキシケトン系光重合開始剤(C2)としては、例えば1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、フェニルグリオキシックアシッドメチルエステル、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンが挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(C1)とヒドロキシケトン系光重合開始剤(C2)との質量比は、1:0.01〜1:10の範囲内であることが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物から形成される塗膜の表面付近における硬化性と深部における硬化性とを、バランス良く向上させることができる。
光重合開始剤(C)がビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)を含有することも好ましい。すなわち、感光性樹脂組成物がアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(C1)及びビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)を含有し、或いはアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(C1)、ヒドロキシケトン系光重合開始剤(C2)及びビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)を含有することも好ましい。この場合、感光性樹脂組成物から形成される塗膜を部分的に露光してから現像する場合、露光されない部分の硬化が抑制されることで、解像性が特に高くなる。このため感光性樹脂組成物の硬化物で非常に微細なパターンを形成することが可能となる。特に、感光性樹脂組成物から多層プリント配線板の層間絶縁層を作製すると共にこの層間絶縁層にスルーホールのための小径の穴をフォトリソグラフィー法で設ける場合(図1参照)、小径の穴を精密且つ容易に形成することが可能となる。
ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)は、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(C1)に対して0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましい。ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)が0.5質量%以上であると、解像性が特に高くなる。また、ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)が20質量%以下であると、感光性樹脂組成物の硬化物の電気絶縁性をビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(C3)が阻害しにくい。
感光性樹脂組成物は、更に公知の光重合促進剤、増感剤等を含有してもよい。例えば感光性樹脂組成物は、ベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等のベンゾフェノン類;2,4−ジイソプロピルキサントン等のキサントン類;並びに2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン等の窒素原子を含む化合物からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。感光性樹脂組成物が、光重合開始剤(C)と共に、p−ジメチル安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート等の第三級アミン系等の公知の光重合促進剤や増感剤等を含有してもよい。感光性樹脂組成物が、必要に応じて、可視光露光用の光重合開始剤及び近赤外線露光用の光重合開始剤のうちの少なくとも一種を含有してもよい。感光性樹脂組成物が、光重合開始剤(C)と共に、レーザ露光法用増感剤である7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン等のクマリン誘導体、カルボシアニン色素系、キサンテン色素系等を含有してもよい。
感光性樹脂組成物中のエポキシ化合物(D)について具体的に説明する。
エポキシ化合物(D)は、感光性樹脂組成物に熱硬化性を付与できる。エポキシ化合物(D)は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有することが好ましい。エポキシ化合物(D)は、溶剤難溶性エポキシ化合物であってもよく、汎用の溶剤可溶性エポキシ化合物であってもよい。エポキシ化合物(D)はフェノールノボラック型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON N−775)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON N−695)、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON N−865)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(具体例として三菱化学株式会社製の品番jER1001)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(具体例として三菱化学株式会社製の品番jER4004P)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON EXA−1514)、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂(具体例として三菱化学株式会社製の品番YX4000)、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(具体例として日本化薬株式会社製の品番NC−3000)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(具体例として新日鉄住金化学株式会社製の品番ST−4000D)、ナフタレン型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON HP−4032、EPICLON HP−4700、EPICLON HP−4770)、ハイドロキノン型エポキシ樹脂(具体例として新日鉄住金化学社製の品番YDC−1312)、ターシャリーブチルカテコール型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON HP−820)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(具体例としてDIC製の品番EPICLON HP−7200)、アダマンタン型エポキシ樹脂(具体例として出光興産株式会社製の品番ADAMANTATE X−E−201)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(具体例として新日鉄住金化学製の品番YSLV−80XY)、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂(具体例として新日鉄住金化学株式会社製の品番YSLV−80DE)、ビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂(具体例として式(7)に示す構造を有するエポキシ樹脂)、並びに特殊二官能型エポキシ樹脂(具体例として、三菱化学株式会社製の品番YL7175−500、及びYL7175−1000;DIC株式会社製の品番EPICLON TSR−960、EPICLON TER−601、EPICLON TSR−250−80BX、EPICLON 1650−75MPX、EPICLON EXA−4850、EPICLON EXA−4816、EPICLON EXA−4822、及びEPICLON EXA−9726;新日鉄住金化学株式会社製の品番YSLV−120TE)からなる群から選択される一種以上の成分を含有することが好ましい。
エポキシ化合物(D)がトリグリシジルイソシアヌレートを含有してもよい。トリグリシジルイソシアヌレートとしては、特にS−トリアジン環骨格面に対し3個のエポキシ基が同一方向に結合した構造をもつβ体が好ましく、或いはこのβ体と、S−トリアジン環骨格面に対し1個のエポキシ基が他の2個のエポキシ基と異なる方向に結合した構造をもつα体との混合物が好ましい。
エポキシ化合物(D)がリン含有エポキシ樹脂を含有してもよい。この場合、感光性樹脂組成物の硬化物の難燃性が向上する。リン含有エポキシ樹脂としては、リン酸変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON EXA−9726、及びEPICLON EXA−9710)、新日鉄住金化学株式会社製の品番エポトートFX−305等が挙げられる。
上述の通り、エポキシ化合物(D)は融点100℃未満の結晶性エポキシ樹脂(d)を含有する。エポキシ化合物(D)は結晶性エポキシ樹脂(d)のみを含有できる。また、エポキシ化合物(D)は、融点100℃以上の結晶性エポキシ樹脂、非晶性のエポキシ樹脂などの結晶性エポキシ樹脂(d)以外の化合物を更に含有してもよい。
なお、結晶性エポキシ樹脂とは、融点を有するエポキシ樹脂であり、非晶性のエポキシ樹脂とは、融点を有さないエポキシ樹脂である。
結晶性エポキシ樹脂(d)は、例えば、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂(具体例として新日鉄住金化学株式会社製の品番YSLV−80DE)、及びビスフェノール型エポキシ樹脂(具体例として新日鉄住金化学製の品番YSLV−80XY)、ビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂(具体例として式(7)に示す構造を有するエポキシ樹脂)からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有できる。
結晶性エポキシ樹脂(d)に含まれるエポキシ基の当量は、カルボキシル基含有樹脂(A)に含まれるカルボキシル基1当量に対して、0.2〜2.0の範囲内であれば好ましく、0.25〜1.7の範囲内であればより好ましく、0.3〜1.5の範囲内であれば更に好ましい。
融点が100℃以上の結晶性エポキシ樹脂は、例えば、テトラキスフェノールエタン型結晶性エポキシ樹脂(具体例として日本化薬株式会社製の品番GTR−1800)、1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ハイドロキノン型結晶性エポキシ樹脂(具体例として新日鉄住金化学株式会社製の品名YDC−1312)、ビフェニル型エポキシ樹脂(具体例として三菱化学株式会社製の品番YX4000)等が挙げられる。
非晶性のエポキシ樹脂は、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON N−775)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON N−695)、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON N−865)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(具体例として三菱化学株式会社製の品番jER1001)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(具体例として三菱化学株式会社製の品番jER4004P)、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON EXA−1514)、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(具体例として日本化薬株式会社製の品番NC−3000)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(具体例として新日鉄住金化学株式会社製の品番ST−4000D)、ナフタレン型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON HP−4032、EPICLON HP−4700、EPICLON HP−4770)、ターシャリーブチルカテコール型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON HP−820)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(具体例としてDIC製の品番EPICLON HP−7200)、アダマンタン型エポキシ樹脂(具体例として出光興産株式会社製の品番ADAMANTATE X−E−201)、ビスフェノールフルオレン骨格を有するエポキシ樹脂(具体例として式(7)に示す構造を有するエポキシ樹脂)、特殊二官能型エポキシ樹脂(具体例として、三菱化学株式会社製の品番YL7175−500、及びYL7175−1000;DIC株式会社製の品番EPICLON TSR−960、EPICLON TER−601、EPICLON TSR−250−80BX、EPICLON 1650−75MPX、EPICLON EXA−4850、EPICLON EXA−4822、及びEPICLON EXA−9726;新日鉄住金化学株式会社製の品番YSLV−120TE)、長鎖炭素鎖含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂(具体例としてDIC株式会社製の品番EPICLON EXA−4816)、ゴム状コアシェルポリマー変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(具体例として株式会社カネカ製の品番MX−156)、並びに、ゴム状コアシェルポリマー変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂(具体例として株式会社カネカ製の品番MX−136)からなる群から選択される一種以上の成分を含有することができる。
感光性樹脂組成物はメラミン(E)を含有してもよい。この場合、感光性樹脂組成物の硬化物と銅などの金属との間の密着性が高くなる。このため、感光性樹脂組成物が、プリント配線板用の絶縁材料として特に適する。また、感光性樹脂組成物の硬化物の耐メッキ性、すなわち無電解ニッケル/金メッキ処理時の白化耐性が向上する。
感光性樹脂組成物は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、感光性樹脂組成物の液状化又はワニス化、粘度調整、塗布性の調整、造膜性の調整などの目的で使用される。
有機溶剤は、例えばエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ヘキサノール、エチレングリコール等の直鎖、分岐、2級或いは多価のアルコール類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;スワゾールシリーズ(丸善石油化学社製)、ソルベッソシリーズ(エクソン・ケミカル社製)等の石油系芳香族系混合溶剤;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリプロピレングリコールアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類;並びにジアルキルグリコールエーテル類からなる群から選択される一種以上の化合物を含有できる。感光性樹脂組成物中の成分の量は、感光性樹脂組成物が光硬化性を有し、アルカリ性溶液で現像可能であるように、適宜調整される。
カルボキシル基含有樹脂(A)は、感光性樹脂組成物の固形分量に対して5〜85質量%の範囲内であれば好ましく、10〜75質量%の範囲内であればより好ましく、30〜60質量%の範囲内であれば更に好ましい。
不飽和化合物(B)は、カルボキシル基含有樹脂(A)に対して1〜50質量%の範囲内であれば好ましく、10〜45質量%の範囲内であればより好ましく、21〜40質量%の範囲内であれば更に好ましい。
光重合開始剤(C)は、カルボキシル基含有樹脂(A)に対して0.1〜30質量%の範囲内であることが好ましく、1〜25質量%の範囲内であれば更に好ましい。
エポキシ化合物(D)の量に関しては、エポキシ化合物(D)に含まれるエポキシ基の当量の合計が、カルボキシル基含有樹脂(A)に含まれるカルボキシル基1当量に対して0.7〜2.5の範囲内であることが好ましく、0.7〜2.3の範囲内であればより好ましく、0.7〜2.0の範囲内であれば更に好ましい。
感光性樹脂組成物がメラミン(E)を含有する場合、メラミン(E)はカルボキシル基含有樹脂(A)に対して0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲内であれば更に好ましい。
感光性樹脂組成物が有機溶剤を含有する場合、有機溶剤の量は、感光性樹脂組成物から形成される塗膜を乾燥させる際に速やかに有機溶剤が揮散するように、すなわち有機溶剤が乾燥膜に残存しないように、調整されることが好ましい。特に、感光性樹脂組成物全体に対して、有機溶剤が0〜99.5質量%の範囲内であることが好ましく、15〜60質量%の範囲内であれば更に好ましい。なお、有機溶剤の好適な割合は、塗布方法などにより異なるので、塗布方法に応じて割合が適宜調節されることが好ましい。
なお、固形分量とは、感光性樹脂組成物から溶剤などの揮発性成分を除いた、全成分の合計量のことである。
本発明の主旨を逸脱しない限りにおいて、感光性樹脂組成物は、上記成分以外の成分を更に含有してもよい。
例えば、感光性樹脂組成物が無機充填材を含有してもよい。この場合、感光性樹脂組成物から形成される膜の硬化収縮が低減する。無機充填材は、例えば硫酸バリウム、結晶性シリカ、ナノシリカ、カーボンナノチューブ、タルク、ベントナイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び酸化チタンからなる群から選択される一種以上の材料を含有できる。無機充填材に酸化チタン、酸化亜鉛等の白色の材料を含有させることで、感光性樹脂組成物及びその硬化物を白色化してもよい。感光性樹脂組成物中の無機充填材の割合は適宜設定されるが、カルボキシル基含有樹脂(A)に対して0〜300質量%の範囲内であることが好ましい。
感光性樹脂組成物は、カプロラクタム、オキシム、マロン酸エステル等でブロックされたトリレンジイソシアネート系、モルホリンジイソシアネート系、イソホロンジイソシアネート系及びヘキサメチレンジイソシアネート系のブロックドイソシアネート;メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂、ブチル化尿素樹脂、ブチル化メラミン尿素共縮合樹脂、ベンゾグアナミン系共縮合樹脂等のアミノ樹脂;前記以外の各種熱硬化性樹脂;紫外線硬化性エポキシ(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、脂環型等のエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加して得られる樹脂;並びにジアリルフタレート樹脂、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の高分子化合物からなる群から選択される一種以上の樹脂を含有してもよい。
感光性樹脂組成物は、エポキシ化合物(D)を硬化させるための硬化剤を含有してもよい。硬化剤は、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物;アジピン酸ヒドラジド、セバシン酸ヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルフォスフィン等のリン化合物;酸無水物;フェノール;メルカプタン;ルイス酸アミン錯体;及びオニウム塩からなる群から選択される一種以上の成分を含有できる。これらの成分の市販品の例として、四国化成株式会社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ株式会社製のU−CAT3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)が挙げられる。
感光性樹脂組成物は、メラミン(E)以外の密着性付与剤を含有してもよい。密着性付与剤としては、例えばグアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、並びに2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体が、挙げられる。
感光性樹脂組成物は、硬化促進剤;着色剤;シリコーン、アクリレート等の共重合体;レベリング剤;シランカップリング剤等の密着性付与剤;チクソトロピー剤;重合禁止剤;ハレーション防止剤;難燃剤;消泡剤;酸化防止剤;界面活性剤;並びに高分子分散剤からなる群から選択される一種以上の成分を含有してもよい。
感光性樹脂組成物中のアミン化合物の含有量はできるだけ少ないことが好ましい。この場合、感光性樹脂組成物の硬化物からなる層の電気絶縁性が損なわれにくい。特にカルボキシル基含有樹脂(A)に対してアミン化合物が6質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であれば更に好ましい。
上記のような感光性樹脂組成物の原料が配合され、例えば三本ロール、ボールミル、サンドミル等を用いる公知の混練方法によって混練されることにより、感光性樹脂組成物が調製され得る。感光性樹脂組成物の原料に液状の成分、粘度の低い成分等が含まれる場合には、原料のうち液状の成分、粘度の低い成分等を除く部分をまず混練し、得られた混合物に、液状の成分、粘度の低い成分等を加えて混合することで、感光性樹脂組成物を調整してもよい。
保存安定性等を考慮して、感光性樹脂組成物の成分の一部を混合することで第一剤を調製し、成分の残部を混合することで第二剤を調製してもよい。すなわち、感光性樹脂組成物は、第一剤と第二剤とを備えてもよい。この場合、例えば、感光性樹脂組成物の成分のうち不飽和化合物(B)及び有機溶剤の一部及び熱硬化性成分を予め混合して分散させることで第一剤を調製し、感光性樹脂組成物の成分のうち残部を混合して分散させることで第二剤を調製してもよい。この場合、適時必要量の第一剤と第二剤とを混合して混合液を調製し、この混合液を硬化させて硬化物を得ることができる。
本実施形態による感光性樹脂組成物は、プリント配線板用の電気絶縁性材料として適している。特に感光性樹脂組成物は、ソルダーレジスト層、メッキレジスト層、エッチングレジスト層、層間絶縁層等の、電気絶縁性の層を形成するために適している。
感光性樹脂組成物が厚み25μmの皮膜に成形された場合に、皮膜が炭酸ナトリウム水溶液で現像可能であることが好ましい。この場合、十分に厚みの大きい電気絶縁性の層を感光性樹脂組成物からフォトリソグラフィー法で作製することが可能であるため、感光性樹脂組成物を、プリント配線板における層間絶縁層、ソルダーレジスト層等を作製するために広く適用可能である。勿論、感光性樹脂組成物から厚み25μmより薄い電気絶縁性を作製することも可能である。
皮膜が炭酸ナトリウム水溶液で現像可能であることは、次の方法で確認できる。適当な基材上に感光性樹脂組成物を塗布することで湿潤塗膜を形成し、この湿潤塗膜を80℃で40分加熱することで、厚み25μmの皮膜を形成する。この皮膜に紫外線を透過する露光部と紫外線を遮蔽する非露光部とを有するネガマスクを直接当てがった状態で、ネガマスクを介して皮膜に500mJ/cm2の条件で紫外線を照射する。露光後の皮膜に30℃の1%Na2CO3水溶液を0.2MPaの噴射圧で90秒間噴射してから、純水を0.2MPaの噴射圧で90秒間噴射する。この処理後の皮膜を観察した結果、皮膜における非露光部に対応する部分が除去されて残渣が認められない場合に、現像可能であると判断できる。
以下に、本実施形態による感光性樹脂組成物から形成された層間絶縁層を備えるプリント配線板を製造する方法の一例を、図1Aから図1Eを参照して説明する。本方法では、層間絶縁層にフォトリソグラフィー法でスルーホールを形成する。
まず、図1Aに示すようにコア材1を用意する。コア材1は、例えば少なくとも一つの絶縁層2と少なくとも一つの導体配線3とを備える。コア材1の一面上に設けられている導体配線3を、以下、第一の導体配線3という。図1Bに示すように、コア材1の第一の導体配線3が設けられている面上に、感光性樹脂組成物から皮膜4を形成する。皮膜4の形成方法として、塗布法とドライフィルム法が挙げられる。
塗布法では、例えばコア材1上に感光性樹脂組成物を塗布して湿潤塗膜を形成する。感光性樹脂組成物の塗布方法は、公知の方法、例えば浸漬法、スプレー法、スピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、及びスクリーン印刷法からなる群から選択される。続いて、感光性樹脂組成物中の有機溶剤を揮発させるために、例えば60〜120℃の範囲内の温度下で湿潤塗膜を乾燥させて、皮膜4を得ることができる。
ドライフィルム法では、まずポリエステル製などの適宜の支持体上に感光性樹脂組成物を塗布してから乾燥することで、支持体上に感光性樹脂組成物を含むドライフィルムを形成する。これにより、ドライフィルムと、ドライフィルムを支持する支持体とを備える支持体付きドライフィルムが得られる。この支持体付きドライフィルムにおけるドライフィルムをコア材1に重ねてから、ドライフィルムとコア材1に圧力をかけ、続いて支持体をドライフィルムから剥離することで、ドライフィルムを支持体上からコア材1上へ転写する。これにより、コア材1上に、ドライフィルムからなる皮膜4が設けられる。
皮膜4を露光することで図1Cに示すように部分的に光硬化させる。そのために、例えばネガマスクを皮膜4に当てがってから、ネガマスクを介して皮膜4に紫外線を照射する。ネガマスクは、紫外線を透過させる露光部と紫外線を遮蔽する非露光部とを備え、非露光部はスルーホール10の位置と合致する位置に設けられる。ネガマスクは、例えばマスクフィルム、乾板等のフォトツールである。紫外線の光源は、例えばケミカルランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ及びメタルハライドランプからなる群から選択される。
なお、露光方法として、ネガマスクを用いる方法以外の方法が採用されてもよい。例えば光源から発せられる紫外線を皮膜4上の露光すべき部分のみに照射する直接描画法で皮膜を露光してもよい。直接描画法に適用される光源は、例えば高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、g線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)、並びにg線、h線及びi線のうちの二種以上の組み合わせからなる群から選択される。
また、ドライフィルム法では、支持体付きドライフィルムにおけるドライフィルムをコア材1に重ねてから、支持体を剥離することなく、支持体を透過させて紫外線をドライフィルムからなる皮膜4に照射することで皮膜4を露光し、続いて現像処理前に皮膜4から支持体を剥離してもよい。
続いて、皮膜4に現像処理を施すことで、図1Cに示す皮膜4の露光されていない部分5を除去し、これにより、図1Dに示すようにスルーホール10が形成される位置に穴6を設ける。現像処理では、感光性樹脂組成物の組成に応じた適宜の現像液を使用できる。現像液は、例えばアルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物のうち少なくとも一方を含有するアルカリ性水溶液、又は有機アミンである。アルカリ性水溶液は、より具体的には例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム及び水酸化リチウムからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。アルカリ性水溶液中の溶媒は、水のみであっても、水と低級アルコール類等の親水性有機溶媒との混合物であってもよい。有機アミンは、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン及びトリイソプロパノールアミンからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含有する。
現像液は、アルカリ金属塩及びアルカリ金属水酸化物のうち少なくとも一方を含有するアルカリ性水溶液であることが好ましく、炭酸ナトリウム水溶液であることが特に好ましい。この場合、作業環境の向上及び廃棄物処理の負担軽減を達成できる。
続いて、皮膜4を加熱することで熱硬化させる。加熱の条件は、例えば加熱温度120〜200℃の範囲内、加熱時間30〜120分間の範囲内である。このようにして皮膜4を熱硬化させると、層間絶縁層7の強度、硬度、耐薬品性等の性能が向上する。
必要により、加熱前と加熱後のうちの一方又は両方で、皮膜4に更に紫外線を照射してもよい。この場合、皮膜4の光硬化を更に進行させることができる。
以上により、コア材1上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなる層間絶縁層7が設けられる。この層間絶縁層7上に、アディティブ法などの公知の方法で、第二の導体配線8及びホールめっき9を設けることができる。これにより、図1Eに示すように、第一の導体配線3、第二の導体配線8、第一の導体配線3と第二の導体配線8との間に介在する層間絶縁層7、並びに第一の導体配線3と第二の導体配線8とを電気的に接続するスルーホール10を備えるプリント配線板11が得られる。なお、図1Eにおいて、ホールめっき9は穴6の内面を覆う筒状の形状を有するが、穴6の内側全体にホールめっき9が充填されていてもよい。
本実施形態による感光性樹脂組成物から形成されたソルダーレジスト層を備えるプリント配線板を製造する方法の一例を説明する。
まず、コア材を用意する。コア材は、例えば少なくとも一つの絶縁層と少なくとも一つの導体配線とを備える。コア材の導体配線が設けられている面上に、感光性樹脂組成物から皮膜を形成する。皮膜の形成方法として、塗布法とドライフィルム法が挙げられる。塗布法とドライフィルム法としては、上記の層間絶縁層を形成する場合と同じ方法を採用できる。皮膜を露光することで部分的に光硬化させる。露光方法も、上記の層間絶縁層を形成する場合と同じ方法を採用できる。続いて、皮膜に現像処理を施すことで、皮膜の露光されていない部分を除去し、これにより、コア材上に、皮膜の露光された部分が残存する。続いて、コア材上の皮膜を加熱することで熱硬化させる。現像方法及び加熱方法も、上記の層間絶縁層を形成する場合と同じ方法を採用できる。必要により、加熱前と加熱後のうちの一方又は両方で、皮膜に更に紫外線を照射してもよい。この場合、皮膜の光硬化を更に進行させることができる。
以上により、コア材上に、感光性樹脂組成物の硬化物からなるソルダーレレジスト層が設けられる。これにより、絶縁層とその上の導体配線とを備えるコア材、並びにコア材における導体配線が設けられている面を部分的に覆うソルダーレジスト層を備える、プリント配線板が得られる。
(1)カルボキシル基含有樹脂の合成
(合成例A−1〜A−9及びB−2)
還流冷却器、温度計、空気吹き込み管及び攪拌機を取付けた四つ口フラスコ内に、表1中の「第一反応」欄に示す成分を加えて、これらをエアバブリング下で撹拌することで混合物を調製した。この混合物をフラスコ内でエアバブリング下で攪拌しながら、「反応条件」欄に示す反応温度及び反応時間で加熱した。これにより、中間体の溶液を調整した。
続いて、フラスコ内の中間体の溶液に表1の「第二反応」欄に示す成分を投入し、エアバブリング下で攪拌しながら「反応条件(1)」欄に示す反応温度及び反応時間で加熱した。続いて、合成例B−2を除き、エアバブリング下で攪拌しながら「反応条件(2)」欄に示す反応温度及び反応時間で加熱した。これによりカルボキシル基含有樹脂の65%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量及び酸価は表1に示した。成分間のモル比も表1に示している。
なお、表1中の(a1)欄に示す成分の詳細は次の通りである。
・エポキシ化合物1:式(7)で示され、式(7)中のR1〜R8はすべて水素であるエポキシ当量250g/eqのビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物。
・エポキシ化合物2:式(7)で示され、式(7)中のR1及びR5がいずれもメチル基、R2〜R4及びR6〜R8がいずれも水素である、エポキシ当量279g/eqのビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物。
(合成例B−1)
還流冷却器、温度計、窒素置換基用ガラス管及び攪拌機を取付けた四つ口フラスコ内に、メタクリル酸48質量部、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート(東亞合成株式会社製のアロニックスM−5300)50質量部、メチルメタクリレート92質量部、スチレン10質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル430質量部、及び、アゾビスイソブチロニトリル3.5質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下で75℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、濃度32%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液にハイドロキノン0.1質量部、グリシジルメタクリレート64質量部及びジメチルベンジルアミン0.8質量部を加え、80℃で24時間加熱することで付加反応を進行させた。これにより、カルボキシル基含有樹脂の38質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂の酸価は67mgKOH/gであった。
(2)感光性樹脂組成物の調製
後掲の表に示す成分を、3本ロールで混練してから、フラスコ内で撹拌混合することで、感光性樹脂組成物を得た。なお、表に示される成分の詳細は次の通りである。
・不飽和化合物A:トリメチロールプロパントリアクリレート。
・不飽和化合物B:ε−カプロラクトン変性ペンタエリストールヘキサアクリレート、日本化薬株式会社製、品番DPCA−60。
・不飽和化合物C:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、新中村化学工業株式会社、品番A−DCP。
・光重合開始剤A:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、BASF社製、品番Irgacure TPO。
・光重合開始剤B:1−ヒドロキシ-シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASF社製、品番Irgacure 184。
・光重合開始剤C:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン。
・結晶性エポキシ樹脂A:ビスフェノール型結晶性エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製、品番YSLV−80XY、融点75〜85℃、エポキシ当量192g/eq。
・結晶性エポキシ樹脂B:ジフェニルエーテル型結晶性エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製、品番YSLV−80DE、融点80〜90℃、エポキシ当量163g/eq。
・結晶性エポキシ樹脂C:ビフェニル型結晶性エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製の品名YX−4000、融点105℃、エポキシ当量187g/eq。
・結晶性エポキシ樹脂D:ハイドロキノン型結晶性エポキシ樹脂、新日鉄住金化学株式会社製の品名YDC−1312、融点138〜145℃、エポキシ当量176g/eq。
・非結晶性エポキシ樹脂溶液A:非晶性のビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製の品名NC−3000、軟化点53〜63℃、エポキシ当量280g/eqを固形分80%でジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解した溶液(固形分80%換算のエポキシ当量は、350g/eq)。
・非結晶性エポキシ樹脂溶液B:長鎖炭素鎖型含有ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC株式会社製、品番EPICLON EXA−4816、液状樹脂、エポキシ当量410g/eqを固形分90%でジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解した溶液(固形分80%換算のエポキシ当量は、455.56g/eq)。
・メラミン分散ワニス:日産化学工業株式会社製、微粉メラミンの分散ワニス。微粉メラミン1.5部、不飽和化合物トリメチロールプロパントリアクリレート3.5部をビーズミルにて分散。
・酸化防止剤:ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製、品番IRGANOX 1010。
・青色顔料:フタロシアニンブルー。
・黄色顔料:1,1’−[(6−フェニル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ビス(イミノ)]ビス(9,10−アントラセンジオン)。
・硫酸バリウム:堺化学工業株式会社製、品番バリエースB31。
・タルク:日本タルク社製、品番SG−2000。
・ベントナイト:レオックス社製、品番ベントンSD−2。
・界面活性剤:DIC製、品番メガファックF−477。
・レオロジーコントロール剤:ビッグケミー・ジャパン株式会社製、品番BYK−430。
・溶剤:メチルエチルケトン。
(3)テストピースの作製
各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を用いる場合は、次のようにしてテストピースを作製した。
感光性樹脂組成物を、ポリエチレンテレフタレート製のフィルム上にアプリケータで塗布してから、95℃で25分加熱することで乾燥させることにより、フィルム上に厚み25μmのドライフィルムを形成した。
厚み35μmの銅箔を備えるガラスエポキシ銅張積層板(FR−4タイプ)を用意した。このガラスエポキシ銅張積層板にサブトラクティブ法で導体配線としてライン幅/スペース幅が50μm/50μmであるくし形電極を形成し、これによりコア材を得た。
このコア材にドライフィルムを加熱ラミネートした。加熱ラミネートは、真空ラミネーターで0.5MPa、80℃、1分の条件で行った。これによりコア材上に厚み25μmの皮膜を形成した。
この皮膜に直径50μm及び70μmの円形状を含むパターンを有する非露光部を有するネガマスクを直接当てがった状態で、ネガマスクを介して皮膜に500mJ/cm2の条件で紫外線を照射した。露光後、ポリエチレンテレフタレート製のフィルムを剥がした後、皮膜に1%Na2CO3水溶液にて30℃、0.2MPa、90秒の条件で現像処理を施し、続いて、純水にて0.2MPa、90秒の条件で皮膜を洗浄した。続いて、皮膜を160℃で60分間加熱した後、さらに1000mJ/cm2の紫外線を照射した。これにより、コア材上に感光性樹脂組成物の硬化物からなる層を形成した。これによりテストピースを得た。
(4)評価試験
(4−1)現像性
各実施例及び比較例について、プリント配線板の一面全面に感光性樹脂組成物をスピンコート法で塗布することで、湿潤塗膜を形成した。この湿潤塗膜を80℃で40分又は60分加熱することで、厚み25μmの皮膜を形成した。この皮膜に、露光することなく現像処理を施した。現像処理に当たっては、皮膜に30℃の1%Na2CO3水溶液を0.2MPaの噴射圧で90秒間噴射してから、純水を0.2MPaの噴射圧で90秒間噴射した。処理後のプリント配線板を観察し、その結果を次のように評価した。
A:湿潤塗膜の加熱時間が40分、60分のいずれの場合でも、皮膜が全て除去されている。
B:湿潤塗膜の加熱時間が40分である場合には皮膜が全て除去されたが、60分では皮膜の一部がプリント配線板上に残存した。
C:湿潤塗膜の加熱時間が40分、60分のいずれの場合でも、皮膜の一部がプリント配線板上に残存した。
なお、現像性評価がCである比較例1及び2ついては、(4−2)〜(4−7)の評価を行っていない。
(4−2)解像性
各実施例及び比較例について、テストピースにおける硬化物からなる層に形成された穴を観察し、その結果を次のように評価した。
A:50μmの円形状の非露光部が開口している。
B:70μmの円形状の非露光部が開口しているが、50μmの円形状の非露光部は開口していない。
C:70μmの円形状の非露光部が開口していない。
(4−3)耐メッキ性
各実施例及び比較例のテストピースの導体配線における外部に露出する部分の上に、市販の無電解ニッケルメッキ浴を用いてニッケルメッキ層を形成してから、市販の無電解金メッキ浴を用いて金メッキ層を形成した。これにより、ニッケルメッキ層及び金メッキ層からなる金属層を形成した。硬化物からなる層及び金属層を目視で観察した。また、硬化物からなる層金属層に対してセロハン粘着テープ剥離試験をおこなった。その結果を次のように評価した。
A:硬化物からなる層及び金属層の外観に異常は認められず、セロハン粘着テープ剥離試験による硬化物からなる層の剥離は生じなかった。
B:硬化物からなる層に変色が認められるが、セロハン粘着テープ剥離試験による硬化物からなる層の剥離は生じなかった。
C:硬化物からなる層の浮き上がりが認められ、セロハン粘着テープ剥離試験による硬化物からなる層の剥離が生じた。
(4−4)線間絶縁性
各実施例及び比較例のテストピースにおける導体配線(くし型電極)にDC30Vのバイアス電圧を印加しながら、テストピースを121℃、97%R.H.の試験環境下に150時間曝露した。この試験環境下における硬化物からなる層のくし型電極間の電気抵抗値を常時測定し、その結果を次の評価基準により評価した。
A:試験開始時から150時間経過するまでの間、電気抵抗値が常に106Ω以上を維持した。
B:試験開始時から100時間経過するまでは電気抵抗値が常に106Ω以上を維持したが、試験開始時から150時間経過する前に電気抵抗値が106Ω未満となった。
C:試験開始時から100時間経過する前に電気抵抗値が106Ω未満となった。
(4−5)層間絶縁性
各実施例及び比較例のテストピースにおける硬化物からなる層の上に導電テープを貼り付けた。この導電テープにDC100Vのバイアス電圧を印加しながら、テストピースを121℃、97%R.H.の試験環境下に60時間曝露した。この試験環境下における硬化物からなる層の導体配線と導電テープとの間の電気抵抗値を常時測定し、その結果を次の評価基準により評価した。
A:試験開始時から60時間経過するまでの間、電気抵抗値が常に106Ω以上を維持した。
B:試験開始時から50時間経過するまでは電気抵抗値が常に106Ω以上を維持したが、試験開始時から60時間経過する前に電気抵抗値が106Ω未満となった。
C:試験開始時から50時間経過する前に電気抵抗値が106Ω未満となった。
(4−6)PCT
各実施例及び比較例のテストピースを121℃、100%R.H.の環境下で100時間放置した後、硬化物からなる層の外観を次の評価基準により評価した。
A:硬化物からなる層に異常は見られなかった。
B:硬化物からなる層に変色が見られた。
C:硬化物からなる層に大きな変色が見られ、一部膨れが発生していた。
(4−7)低温安定性
各実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を3℃で7日間保管した。保管開始から、1日経過時、5日経過時、7日経過時に感光性樹脂中の結晶性エポキシ樹脂の結晶化の有無を確認し、次の評価基準により評価した。
A:7日経過時、結晶性エポキシ樹脂の結晶化は認められず、感光性樹脂組成物が均一な状態を保っている。
B:1日経過時には結晶化は認められず、感光性樹脂組成物が均一な状態を保っていたが、5日経過時には、結晶化が認められ、感光性組成物が不均一な状態になっている。
C:3℃、1日経過時には結晶化が認められ、感光性樹脂組成物が不均一な状態になっている。
以上の評価試験の結果を下記表2及び表3に示す。
なお、表中の「融点100℃未満の結晶性エポキシE/A」はカルボキシル基含有樹脂(A)に対する、融点100℃未満の結晶性エポキシ樹脂(d)に含まれるエポキシ基の当量、「融点100℃以上の結晶性エポキシE/A」は、カルボキシル基含有樹脂(A)に含まれるカルボキシル基1当量に対する、融点100℃以上の結晶性エポキシ樹脂(d)に含まれるエポキシ基の当量、「エポキシ全体E/A」はカルボキシル基含有樹脂(A)に対する、エポキシ化合物(D)に含まれるエポキシ基の当量である。