実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空間光送信器1の構成を示すブロック図である。空間光送信器1は、図1に示すように、光源10、IQ変調器11、スプリッタ12、偏波回転部13a、偏波回転部13b、コリメータ14a、コリメータ14b、光学系15aおよび光学系15bを備えている。
光源10は、単一波長の光を出力する光源であり、例えば、半導体レーザである。IQ変調器11は、光源10から出力された光を、送信する信号に応じて変調し、変調された単一偏波の光信号を生成する変調部である。例えば、送信する信号が4値位相変調信号である場合、IQ変調器11は、光源10から出力された光を、入力した4値位相変調信号に応じて変調する。以下、4値位相変調信号をQPSK信号と記載する。
スプリッタ12は、IQ変調器11によって変調された光信号を2つに分配する送信側分配部である。スプリッタ12は、IQ変調器11によって変調された光信号を偏波回転部13aと偏波回転部13bに分配する。偏波回転部13aおよび偏波回転部13bは、スプリッタ12によってそれぞれ分配された光信号の偏波を回転させる。偏波回転部13aから出力された光信号と偏波回転部13bから出力された光信号は、直交する2偏波の光信号であり、例えば、右円偏光と左円偏光である。
コリメータ14aは、偏波回転部13aによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。コリメータ14bは、偏波回転部13bによって偏波が回転された光信号を入力し、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。光学系15aは、偏波回転部13aによって偏波が回転され、コリメータ14aによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。光学系15bは、偏波回転部13bによって偏波が回転され、コリメータ14bによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。
光学系15aおよび光学系15bは、入力された光信号のビーム径を広げてから空間に送信する。光学系15aと光学系15bとの間の距離は、大気の揺らぎの強さを表す指標であるフリードパラメータよりも大きい値である。フリードパラメータは、光が伝播する大気の状態によって決定され、長さの単位を有している。光学系15aと光学系15bとの間がフリードパラメータよりも離れているので、光学系15aから送信された光信号と光学系15bから送信された光信号は、互いに異なる大気の影響を受けることになる。
光学系15aおよび光学系15bからそれぞれ送信された光が、コヒーレンシの高い光であったとしても、これらの光の偏波は直交しているため、互いに干渉せず、位相が反転しても打ち消し合わない。このため、光受信器側では、2個の受信側光学系を有する場合と同様のダイバーシティ効果が得られる。
また、光学系15aおよび光学系15bは、光信号のビーム径を広げてから空間に送信するので、光受信器に到達したときの両光信号のビーム径は、受信側光学系の開口よりも十分に広がっている。このように、空間光送信器1では、光受信器に送信する光信号の高精度な指向制御が不要である。一方、従来の光受信器では、2つの受信側光学系を用いてダイバーシティ効果を得ていたが、2つの受信側光学系のそれぞれで高精度な指向制御が必要となる。このため、光受信器の構成が複雑になる。これに対し、空間光送信器1は、光信号の高精度な指向制御が不要であるので、簡易な構成でダイバーシティ効果を実現できる。
光源10がコヒーレンシの高い光源である場合、同じ偏波の2つの光は干渉するため、ダイバーシティ効果が得られない。そこで、空間光送信器1では、偏波回転部13aおよび偏波回転部13bによって2つの光信号の偏波がそれぞれ回転され、直交する2偏波の光信号が空間に送信される。これにより、光源10がコヒーレンシの高い光源であっても、ダイバーシティ効果を実現できる。
以上のように、実施の形態1に係る空間光送信器1が、送信する信号に応じて単一波長の光信号を変調し、変調された光信号を2つに分配して、分配された2つの光信号の偏波を回転させ、直交する2偏波の光信号として空間に送信する。空間に送信された2つの光信号は偏波が直交しているため、互いに干渉せず、位相が反転しても打ち消し合わない。これにより、受信器側が2個の光学系を有する場合と同様のダイバーシティ効果が得られるので、システム規模の増大を抑えつつ、安定した空間光通信を行うことができる。
実施の形態2.
図2は、実施の形態2に係る空間光送信器1Aの構成を示すブロック図である。空間光送信器1Aは、図2に示すように、光源10a、IQ変調器11a、光源10b、IQ変調器11b、コリメータ14a、コリメータ14b、光学系15aおよび光学系15bを備えている。光源10aおよび光源10bは、互いに異なる単一波長の光を出力する光源であり、例えば、半導体レーザである。図2において、光源10aは、波長λ1の光を出力し、光源10bは、λ1とは異なる波長λ2の光を出力する。
IQ変調器11aは、光源10aから出力された光を、送信する信号に応じて変調し、変調された単一偏波の光信号を生成する変調部である。IQ変調器11bは、光源10bから出力された光を、送信する信号に応じて変調し、変調された単一偏波の光信号を生成する変調部である。例えば、送信する信号がQPSK信号である場合、IQ変調器11aは、光源10aから出力された光を同一のQPSK信号に変調することで、波長がλ1でX偏波の光信号を生成する。IQ変調器11bは、光源10bから出力された光を同一のQPSK信号に変調することで、波長がλ2でX偏波の光信号を生成する。
コリメータ14aは、IQ変調器11aによって変調された光信号を入力し、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。さらに、コリメータ14bは、IQ変調器11bによって変調された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。光学系15aは、IQ変調器11aによって変調され、コリメータ14aによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。光学系15bは、IQ変調器11bによって変調され、コリメータ14bによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。
光学系15aおよび光学系15bは、入力された光信号のビーム径を広げてから空間に送信する。光学系15aと光学系15bとの間の距離は、実施の形態1と同様に、フリードパラメータよりも大きい値である。なお、送信信号は、偏波多重信号であってもよい。偏波多重信号には、例えば、偏波多重QPSKがある。
また、図2には、空間光送信器1Aが、光源、IQ変調器、コリメータおよび光学系から構成されたユニットを2つ備える構成を示したが、空間光送信器1Aは、上記ユニットを3つ以上備えてもよい。この場合、複数のユニットのそれぞれが備える光源は、互いに異なる単一波長の光を出力する。
空間光送信器1Aでは、光学系15aおよび光学系15bからそれぞれ送信された光がコヒーレンシの高い光であっても、互いのキャリアの周波数が異なっているため、互いに干渉せず、位相が反転しても打ち消し合わない。このため、光受信器側では、2つの受信側光学系を有する場合と同様のダイバーシティ効果が得られる。
以上のように、実施の形態2に係る空間光送信器1Aにおいて、互いに異なる単一波長の光を、送信信号に応じて変調し、変調された複数の光信号をそれぞれ空間に送信する。空間に送信された2つの光信号はキャリアの周波数が異なるため、互いに干渉せず、位相が反転しても打ち消し合わない。このため、受信器側が2個の光学系を有する場合と同様のダイバーシティ効果が得られる。これにより、システム規模の増大を抑えつつ、安定した空間光通信を行うことができる。
実施の形態3.
図3は、実施の形態3に係る空間光送信器1Bの構成を示すブロック図である。空間光送信器1Bは、図3に示すように、光源10a、光源10b、IQ変調器11a、IQ変調器11b、スプリッタ12a、スプリッタ12b、偏波回転部13a、偏波回転部13b、偏波回転部13c、偏波回転部13d、コリメータ14a、コリメータ14b、コリメータ14c、コリメータ14d、光学系15a、光学系15b、光学系15cおよび光学系15dを備える。光源10aおよび光源10bは、互いに異なる単一波長の光を出力する光源であり、例えば、半導体レーザである。図3において、光源10aは、波長λ1の光を出力し、光源10bは、λ1とは異なる波長λ2の光を出力する。
IQ変調器11aは、光源10aから出力された光を、送信する信号に応じて変調し、変調された単一偏波の光信号を生成する変調部である。IQ変調器11bは、光源10bから出力された光を、送信する信号に応じて変調し、変調された単一偏波の光信号を生成する変調部である。実施の形態2と同様に、例えば、送信する信号がQPSK信号である場合、IQ変調器11aは、光源10aから出力された光を、同一のQPSK信号に変調することで、波長がλ1でX偏波の光信号を生成する。IQ変調器11bは、光源10bから出力された光を、同一のQPSK信号に変調することで、波長がλ2でX偏波の光信号を生成する。
スプリッタ12aは、IQ変調器11aによって変調された光信号を、2つに分配する送信側分配部である。スプリッタ12bは、IQ変調器11bによって変調された光信号を、2つに分配する送信側分配部である。スプリッタ12aは、IQ変調器11aによって変調された光信号を偏波回転部13aと偏波回転部13bに分配する。スプリッタ12bは、IQ変調器11bによって変調された光信号を偏波回転部13cと偏波回転部13dに分配する。
偏波回転部13aおよび偏波回転部13bは、スプリッタ12aによって分配された光信号の偏波を回転させる。偏波回転部13aから出力された光信号と偏波回転部13bから出力された光信号は、直交する2偏波の光信号であり、例えば、右円偏光と左円偏光である。偏波回転部13cおよび偏波回転部13dは、スプリッタ12bによって分配された光信号の偏波を回転させる。偏波回転部13cから出力された光信号と偏波回転部13dから出力された光信号は、直交する2偏波の光信号であり、例えば、右円偏光と左円偏光とする。
コリメータ14aは、偏波回転部13aによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。コリメータ14bは、偏波回転部13bによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。コリメータ14cは、偏波回転部13cによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する。コリメータ14dは、偏波回転部13dによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する。
光学系15aは、偏波回転部13aによって偏波が回転され、コリメータ14aによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。光学系15bは、偏波回転部13bによって偏波が回転され、コリメータ14bによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。光学系15cは、偏波回転部13cによって偏波が回転され、コリメータ14cによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。光学系15dは、偏波回転部13dによって偏波が回転され、コリメータ14dによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。
図3には、波長λ1の右円偏光が光学系15aから送信され、波長λ1の左円偏光が光学系15bから送信される。さらに、波長λ2の右円偏光が光学系15cから送信され、波長λ2の左円偏光が光学系15dから送信される。
光学系15a、光学系15b、光学系15cおよび光学系15dは、入力された光信号のビーム径を広げてから空間に送信する。また、光学系15a〜15dのそれぞれの間隔は、実施の形態1と同様に、フリードパラメータよりも大きい値である。
また、図3には、空間光送信器1Bが、光源、IQ変調器、スプリッタ、2つの偏波回転部、2つのコリメータおよび2つの光学系から構成されたユニットを2つ備える構成を示したが、空間光送信器1Bには、上記ユニットを3つ以上設けてもよい。
以上のように、実施の形態3に係る空間光送信器1Bにおいて、互いに異なる複数の単一波長の光を、送信信号に応じて変調し、変調された複数の単一偏波の光信号をそれぞれ2つに分配し、分配された複数の光信号のうち、同じ波長の2つの光信号の偏波を回転させて、複数の直交する2偏波の光信号を生成し、生成された複数の光信号をそれぞれ空間に送信する。空間にそれぞれ送信された複数の光信号のうち、波長が同じ複数の光信号は偏波が直交しており、互いに干渉せず、位相が反転しても打ち消し合わない。このため、受信器側が2個の光学系を有する場合と同様のダイバーシティ効果が得られる。これにより、システム規模の増大を抑えつつ、安定した空間光通信を行うことができる。
実施の形態4.
図4は、実施の形態4に係る空間光通信システムが備える光受信部2の構成を示すブロック図である。図5は、図4の追尾制御部23の構成を示すブロック図である。図6は、実施の形態4に係る空間光通信システムが備える受信DSP3の構成を示すブロック図である。実施の形態4に係る空間光通信システムは、空間光送信器と空間光受信器から構成される。空間光送信器は、実施の形態1に示した空間光送信器1である。送信信号は、例えばQPSK信号とする。空間光受信器は、光受信部2および受信DSP3を備える。
光受信部2は、空間光送信器1から送信され、大気中を伝播してきた光信号を受信する光受信部であり、図4に示すように、受信DSP3に接続されている。また、光受信部2は、光学系20、追尾ミラー21、ビームスプリッタ22、追尾制御部23、光ファイバ結合器24および偏波多重コヒーレント検波器25を備える。追尾制御部23は、図5に示すように、制御部230、イメージセンサ231および集光レンズ232を備える。受信DSP3は、光受信部2から入力した光信号をデジタル信号処理する受信信号処理部であり、図6に示すように、適応等化部30、搬送波推定部31およびデマッピング部32を備える。
光受信部2において、光学系20は、空間を伝播してきた光を集光する受信側光学系である。光学系20によって集光された光は、平行光として追尾ミラー21に出力される。追尾ミラー21は、光学系20によって集光された光信号の指向角度を変化させるミラーである。ビームスプリッタ22は、追尾ミラー21から出力された光信号を第3の光信号と第4の光信号に分配する受信側ビームスプリッタである。追尾制御部23は、ビームスプリッタ22によって分配された第3の光信号の指向ずれを検出し、検出された指向ずれが補償されるように追尾ミラー21を制御する。
光ファイバ結合器24は、追尾ミラー21を用いて指向ずれが補償された第4の光信号を、光ファイバに結合する。偏波多重コヒーレント検波器25は、光ファイバに結合された第4の光信号に多重されている2偏波の光信号のそれぞれに局発光を干渉させるコヒーレント検波を行って、直交する2偏波の光信号に対応する2つの電気信号を生成する。例えば、偏波多重コヒーレント検波器25によって右円偏光の電気信号と左円偏光の電気信号が生成され、これらの電気信号がそれぞれ受信DSP3に出力される。
追尾制御部23において、制御部230は、イメージセンサ231上の集光点の位置に応じて追尾ミラー21を制御する。イメージセンサ231は、集光レンズ232によって集光された光を受光するセンサである。集光レンズ232は、ビームスプリッタ22によって分配された第1の光信号を、イメージセンサ231上に集光するレンズである。
受信DSP3において、適応等化部30は、偏波多重コヒーレント検波器25によって生成された2偏波の電気信号を適応等化して1偏波の電気信号を生成する。例えば、適応等化部30は、2つの有限インパルス応答(FIR)フィルタから構成され、それぞれのフィルタの出力値の和が搬送波推定部31に出力される。搬送波推定部31は、適応等化部30によって生成された1偏波の電気信号に対して搬送波推定を行う。デマッピング部32は、搬送波推定部31によって搬送波推定が行われた電気信号をデマッピングする。
次に、追尾制御部23の動作について説明する。
図7は、追尾制御部23の動作を示すフローチャートである。
集光レンズ232が、ビームスプリッタ22によって分配された第3の光信号を、イメージセンサ231の受光面に集光させる。制御部230は、イメージセンサ231の受光面に設定されたx−y座標上の集光点の位置(Sx,Sy)を取得する(ステップST1)。例えば、第3の光信号に指向角度のずれがない場合、第3の光信号は、イメージセンサ231の受光面に設定されたx−y座標の原点の位置に集光されるものとする。
制御部230は、集光点の座標が(Sx,Sy)である場合に、追尾ミラー21の駆動機構を制御して、集光点のx方向の位置を−kSxだけ変位させ、集光点のy方向の位置を−kSyだけ変位させる(ステップST2)。追尾制御部23は、図7に示した動作を繰り返すことにより、第3の光信号が、イメージセンサ231の受光面に設定されたx−y座標の原点の位置に集光されるように、追尾ミラー21を制御する。これにより、第3の光信号および第4の光信号の指向ずれが補償される。
図8は、受信DSP3の動作を示すフローチャートである。
適応等化部30は、偏波多重コヒーレント検波器25によって生成された右円偏波の電気信号と左円偏波の電気信号を適応等化する(ステップST1a)。例えば、適応等化部30を構成する2つのFIRフィルタには、定包絡線基準アルゴリズムによって、2偏波の電気信号の線形の歪みが相殺されるタップ係数がそれぞれ設定される。これにより、SN比が最大となるように2つのFIRフィルタの出力値が合成されて、合成の結果として得られた1偏波の電気信号が、搬送波推定部31に出力される。
搬送波推定部31は、適応等化部30によって生成された1偏波の電気信号に対して搬送波推定を行う(ステップST2a)。例えば、搬送波推定部31は、1偏波の電気信号から光信号の搬送波を推定することで、空間光送信器1が備える光源10から出力された光信号と局発光との周波数差および位相差を補償する。
デマッピング部32は、搬送波推定部31によって搬送波推定が行われた電気信号に対してデマッピングを行う(ステップST3a)。デマッピングは、入力された電気信号から、受信された光信号に変調されたデータを復号するための処理である。
次に、追尾制御部23の機能を実現するハードウェア構成について説明する。
追尾制御部23における制御部230の機能は処理回路により実現される。すなわち、追尾制御部23は、図7のステップST1からステップST2までの処理を実行するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
図9Aは、追尾制御部23の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図9Bは、追尾制御部23の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。図9Aおよび図9Bにおいて、集光レンズ100は、図5に示した集光レンズ232であり、イメージセンサ101は、図5に示したイメージセンサ231である。イメージセンサ101は、例えば固体撮像素子である。
処理回路が図9Aに示す専用のハードウェアの処理回路102である場合、処理回路102は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。制御部230の機能を、別々の処理回路で実現してもよく、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
処理回路が図9Bに示すプロセッサ103である場合、制御部230の機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。なお、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ104に記憶される。
プロセッサ103は、メモリ104に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、制御部230の機能を実現する。例えば、追尾制御部23は、プロセッサ103によって実行されるときに、図7に示したフローチャートのステップST1からステップST2までの処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ104を備える。このプログラムは、制御部230の手順または方法をコンピュータに実行させる。メモリ104は、コンピュータを、追尾制御部23として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
メモリ104は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically−EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
制御部230の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせによって上記機能を実現することができる。
以上のように、実施の形態4に係る空間光通信システムにおいて、空間光送信器1から送信された光信号を、空間光受信器が備える光学系20で受光する。空間光受信器において、光学系20によって受光された光信号の指向ずれを補償し、指向ずれが補償された光信号にコヒーレント検波を行って直交する2偏波の光信号に対応する2つの電気信号を生成し、2偏波の電気信号を適応等化して1偏波の電気信号を生成し、1偏波の電気信号に対して搬送波推定を行い、搬送波推定が行われた電気信号をデマッピングする。空間光送信器1が備える光学系15aおよび15bから送信された2偏波の光信号は、互いに干渉せずに、光受信部2においてコヒーレント検波される。適応等化によって、2偏波の信号は、SN比が最大になるように合成されるため、空間光受信器では、ダイバーシティの効果が得られる。さらに、適応等化部30にFIRフィルタを用いることで、2つの光の時間軸上のずれも補償することができる。
実施の形態5.
図10は、実施の形態5に係る空間光通信システムが備える光受信部2Aの構成を示すブロック図である。図11は、実施の形態5に係る空間光通信システムが備える受信DSP3Aの構成を示すブロック図である。実施の形態5に係る空間光通信システムは、空間光送信器および空間光受信器から構成される。空間光送信器は、実施の形態2に示した空間光送信器1Aである。送信信号はQPSK信号とする。空間光受信器は、光受信部2Aおよび受信DSP3Aを備える。
光受信部2Aは、空間光送信器1Aから送信され、大気中を伝播してきた光信号を受信する光受信部であり、図10に示すように、受信DSP3Aに接続されている。光受信部2Aは、光学系20、追尾ミラー21、ビームスプリッタ22、追尾制御部23、光ファイバ結合器24およびコヒーレント検波器25Aを備える。受信DSP3Aは、光受信部2Aから入力された光信号をデジタル信号処理する受信信号処理部であり、図11に示すように、波長分離部33、周波数シフト部34a、周波数シフト部34b、適応等化部35a、適応等化部35b、搬送波推定部36a、搬送波推定部36b、合成部37およびデマッピング部38を備える。
光受信部2Aにおいて、光学系20は、空間を伝播してきた光を集光する受信側光学系である。光学系20によって集光された光は、平行光として追尾ミラー21に出力される。追尾ミラー21は、光学系20によって集光された光信号の指向角度を変化させるミラーである。ビームスプリッタ22は、追尾ミラー21から出力された光信号を第3の光信号と第4の光信号に分配する受信側ビームスプリッタである。追尾制御部23は、ビームスプリッタ22によって分配された第3の光信号の指向ずれを検出して、検出された指向ずれが補償されるように追尾ミラー21を制御する。光ファイバ結合器24は、追尾ミラー21を用いて指向ずれが補償された第4の光信号を、光ファイバに結合する。
コヒーレント検波器25Aは、光ファイバ結合器24によって光ファイバに結合された第4の光信号に局発光を干渉させるコヒーレント検波を行って電気信号を生成する。
例えば、コヒーレント検波器25Aによって、波長λ1のX偏光に対応する電気信号と波長λ2のX偏光に対応する電気信号が生成され、これらの電気信号が1つの信号として受信DSP3Aに出力される。
なお、空間光送信器から送信された光信号が単一偏波である場合、コヒーレント検波器25Aは、単一偏波のみをコヒーレント検波する。また、空間光送信器から送信された光信号が偏波多重信号である場合は、コヒーレント検波器25Aは、偏波多重コヒーレント検波器25と同様に、第4の光信号に多重された2偏波の光信号のそれぞれに対して局発光を干渉させるコヒーレント検波を行う。
受信DSP3Aにおいて、波長分離部33は、コヒーレント検波器に25Aよって生成された電気信号を、単一波長λ1とλ2のそれぞれに対応する周波数に応じて分離する。周波数シフト部34aは、波長分離部33によって波長λ1の周波数に応じて分離された電気信号を周波数シフトさせて、ベースバンド信号の電気信号を生成する。周波数シフト部34bは、波長分離部33によって波長λ2の周波数に応じて分離された電気信号を周波数シフトさせて、ベースバンド信号の電気信号を生成する。
適応等化部35aは、周波数シフト部34aによって生成された電気信号を適応等化する。適応等化部35bは、周波数シフト部34bによって生成された電気信号を適応等化する。搬送波推定部36aは、適応等化部35aによって適応等化が行われた電気信号に対して搬送波推定を行う。搬送波推定部36bは、適応等化部35bによって適応等化が行われた電気信号に対して搬送波推定を行う。合成部37は、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた電気信号と、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた電気信号とを合成して1つの電気信号を出力する。デマッピング部38は、合成部37によって合成された電気信号をデマッピングする。
図11には、受信DSP3Aが、波長分離部33の後段に、周波数シフト部、適応等化部および搬送波推定部から構成されたユニットを2つ備える構成を示した。
ただし、空間光送信器1Aが3つ以上の単一波長の光信号を送信する場合、受信DSP3Aは、送信波長である単一波長の数に応じて上記ユニットを3つ以上備えてもよい。
この場合、波長分離部33は、コヒーレント検波器25Aによってコヒーレント検波された受信信号をそれぞれの送信波長に対応した周波数に応じて分離し、分離された信号を複数の上記ユニットにそれぞれ出力する。それぞれの上記ユニットでは、周波数シフト部が、波長分離部33によって分離された3つ以上の単一波長のいずれかに対応する信号の周波数シフトを行って、ベースバンド信号に変換する。適応等化部が、3つ以上の単一波長のいずれかに対応するベースバンド信号をそれぞれ適応等化する。搬送波推定部が、適応等化部によって適応等化が行われた3つ以上の単一波長のいずれかに対応する電気信号に対して搬送波推定を行う。合成部37は、3つ以上の上記ユニットから出力された電気信号を合成する。デマッピング部は、合成部によって合成された信号のデマッピングを行う。
次に、受信DSP3Aの動作について説明する。
図12は、受信DSP3Aの動作を示すフローチャートである。
波長分離部33は、コヒーレント検波器に25Aよってコヒーレント検波された電気信号を、送信波長である単一波長λ1とλ2のそれぞれに対応する周波数に応じて分離する(ステップST1b)。例えば、波長分離部33は、波長λ1とλ2とのそれぞれに対応する周波数の信号を通過させるフィルタを用いて、送信波長λ1とλ2に対応した信号を分離する。
周波数シフト部34aは、波長分離部33によって分離された波長λ1に対応する電気信号を周波数シフトさせて、ベースバンド信号の電気信号を生成する(ステップST2b−1)。周波数シフト部34bは、波長分離部33によって分離された波長λ2に対応する電気信号を周波数シフトさせて、ベースバンド信号の電気信号を生成する(ステップST2b−2)。
続いて、適応等化部35aは、周波数シフト部34aによってベースバンド信号に変換された信号を適応等化して、当該信号中の線形の歪みを補償する(ステップST3b−1)。適応等化部35bは、周波数シフト部34bによってベースバンド信号に変換された信号を適応等化して、当該信号中の線形の歪みを補償する(ステップST3b−2)。
例えば、適応等化部35aおよび適応等化部35bは、FIRフィルタから構成され、定包絡線基準アルゴリズムによって電気信号の適応等化を行う。
搬送波推定部36aは、適応等化部35aによって適応等化が行われた波長λ1に対応する電気信号に対して搬送波推定を行う(ステップST4b−1)。搬送波推定部36bは、適応等化部35bによって適応等化が行われた波長λ2に対応する電気信号に対して搬送波推定を行う(ステップST4b−2)。例えば、搬送波推定部36aおよび搬送波推定部36bは、電気信号から光信号の搬送波を推定することで、空間光送信器1Aが備える光源10から出力された光信号と局発光との周波数差および位相差を補償する。
合成部37は、搬送波推定部36aから出力された波長λ1に対応する信号と、搬送波推定部36bから出力された波長λ2に対応する信号とを合成する(ステップST5b)。合成には、例えば、最大比合成が用いられる。波長λ1に対応する信号と波長λ2に対応する信号とが合成されたQPSK信号は、デマッピング部38に出力される。
デマッピング部38は、合成部37によって生成されたQPSK信号のデマッピングを行う(ステップST6b)。
以上のように、実施の形態5に係る空間光通信システムにおいて、受信DSP3Aが、光受信部2Aにおいてコヒーレント検波された受信信号の電気信号を、送信波長である複数の単一波長のそれぞれに対応する周波数に応じて分離し、分離された電気信号を周波数シフトさせた電気信号を適応等化し、適応等化が行われた複数の電気信号に対して搬送波推定を行い、搬送波推定が行われた複数の電気信号を1つの電気信号に合成し、合成された電気信号をデマッピングする。
空間光送信器1Aから送信された光信号は、キャリアの周波数が異なるため、互いに干渉せずに、光受信部2Aにおいてコヒーレント検波される。送信波長のそれぞれに対応する信号に対して適応等化および搬送波推定を行われてから、これらの信号が合成(例えば、最大比合成)されるので、SN比が最大になるように合成される。このため、空間光受信器では、ダイバーシティの効果が得られる。さらに、適応等化部35aおよび適応等化部35bにFIRフィルタを用いることで、光の時間軸上のずれも補償される。
これまで、実施の形態5に係る空間光通信システムが空間光送信器1Aを備える場合を示したが、空間光送信器1Aの代わりに、実施の形態3で示した空間光送信器1Bを備えてもよい。空間光受信器は、例えば、実施の形態4で示した光受信部2を備え、図11に示した受信DSP3Aを備える。受信DSP3Aは、図12に示した手順で動作するが、適応等化部35aおよび適応等化部35bは、それぞれ、2偏波の信号を適応等化して、単一偏波の信号を出力する。空間光送信器1Bの4つの光学系から送信された光信号は、同一波長に対応する信号の偏波が直交しているため、互いに干渉せずに、光受信部2においてコヒーレント検波される。送信波長のそれぞれに対応する信号に対して適応等化および搬送波推定が行われてから、これらの信号が合成(例えば、最大比合成)されるので、SN比が最大になるように合成される。このため、空間光受信器では、ダイバーシティの効果が得られる。さらに、適応等化部35aおよび適応等化部35bにFIRフィルタを用いることで、光の時間軸上のずれも補償される。
実施の形態6.
図13は、実施の形態6に係る空間光通信システムが備える光受信部2Bの構成を示すブロック図である。図14は、実施の形態6に係る空間光通信システムが備える受信DSP3Bの構成を示すブロック図である。実施の形態6に係る空間光通信システムは、空間光送信器および空間光受信器から構成される。空間光送信器は、実施の形態2に示した空間光送信器1Aである。送信信号は、QPSK信号とする。空間光受信器は、光受信部2Bおよび受信DSP3Bを備える。
光受信部2Bは、空間光送信器1Aから送信され、大気中を伝播してきた光信号を受信する光受信部であり、図13に示すように、受信DSP3Bに接続されている。光受信部2Bは、光学系20、追尾ミラー21、ビームスプリッタ22、追尾制御部23、光ファイバ結合器24、スプリッタ26、コヒーレント検波器27aおよびコヒーレント検波器27bを備える。受信DSP3Bは、光受信部2Bから入力された光信号をデジタル信号処理する受信信号処理部であり、図14に示すように、適応等化部35a、適応等化部35b、搬送波推定部36a、搬送波推定部36b、合成部37およびデマッピング部38を備える。
光受信部2Bにおいて、光学系20は、空間を伝播してきた光を集光する受信側光学系である。光学系20によって集光された光は、平行光として追尾ミラー21に出力される。追尾ミラー21は、光学系20によって集光された光信号の指向角度を変化させるミラーである。ビームスプリッタ22は、追尾ミラー21から出力された光信号を第3の光信号と第4の光信号に分配する受信側ビームスプリッタである。追尾制御部23は、ビームスプリッタ22によって分配された第3の光信号の指向ずれを検出して、検出された指向ずれが補償されるように追尾ミラー21を制御する。光ファイバ結合器24は、追尾ミラー21を用いて指向ずれが補償された第4の光信号を、光ファイバに結合する。
スプリッタ26は、光ファイバ結合器24によって光ファイバに結合された第4の光信号を、送信波長λ1と送信波長λ2のそれぞれに対応する2つの光信号に分配する受信側分配部である。コヒーレント検波器27aは、スプリッタ26によって第4の光信号から分配された波長λ1の光信号に対し同じ波長λ1の局発光を干渉させるコヒーレント検波を行って電気信号を生成する。同様に、コヒーレント検波器27bは、スプリッタ26によって第4の光信号から分配された波長λ2の光信号に対し同じ波長λ2の局発光を干渉させるコヒーレント検波を行って電気信号を生成する。
なお、空間光送信器から送信された光信号が単一偏波である場合、コヒーレント検波器27aおよびコヒーレント検波器27bは、単一偏波のみをコヒーレント検波する。
また、空間光送信器から送信された光信号が偏波多重信号であれば、コヒーレント検波器27aおよびコヒーレント検波器27bは、偏波多重コヒーレント検波器25と同様に、第4の光信号に多重された2偏波の光信号のそれぞれに対して局発光を干渉させるコヒーレント検波を行う。
受信DSP3Bにおいて、適応等化部35aは、コヒーレント検波器27aによってコヒーレント検波された波長λ1の信号を適応等化する。適応等化部35bは、コヒーレント検波器27bによってコヒーレント検波された波長λ2の信号を適応等化する。また、コヒーレント検波器27aおよびコヒーレント検波器27bによって、直交する2偏波の光信号に対応する2つの電気信号がそれぞれ生成された場合、適応等化部35aおよび適応等化部35bは2つの電気信号を適応等化して1偏波の電気信号をそれぞれ生成する。搬送波推定部36aは、適応等化部35aによって適応等化が行われた電気信号に対して搬送波推定を行う。また、搬送波推定部36bは、適応等化部35bによって適応等化が行われた電気信号に対して搬送波推定を行う。合成部37は、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた電気信号と、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた電気信号とを合成して1つの電気信号を出力する。デマッピング部38は、合成部37によって合成された電気信号をデマッピングする。
なお、図14には、受信DSP3Bが、適応等化部および搬送波推定部から構成されたユニットを2つ備える構成を示した。ただし、空間光送信器1Aが3つ以上の単一波長の光信号を送信する場合、受信DSP3Bは、送信波長である単一波長の数に応じて、上記ユニットを3つ以上備えてもよい。この場合、3つ以上の上記ユニットには、コヒーレント検波器に25Aよってコヒーレント検波された受信信号が送信波長ごとに入力される。それぞれの上記ユニットでは、適応等化部が、3つ以上の単一波長のいずれかに対応するベースバンド信号をそれぞれ適応等化する。搬送波推定部が、適応等化部によって適応等化が行われた3つ以上の単一波長のいずれかに対応する電気信号に対して搬送波推定を行う。合成部37は、3つ以上の上記ユニットから出力された電気信号を合成する。デマッピング部38は、合成部によって合成された信号のデマッピングを行う。
次に、受信DSP3Bの動作について説明する。
図15は、受信DSP3Bの動作を示すフローチャートである。
適応等化部35aは、コヒーレント検波器27aによってコヒーレント検波された波長λ1の信号を適応等化して、当該信号中の線形の歪みを補償する(ステップST1c−1)。適応等化部35bは、コヒーレント検波器27bによってコヒーレント検波された波長λ2の信号を適応等化して、当該信号中の線形の歪みを補償する(ステップST1c−2)。例えば、適応等化部35aおよび適応等化部35bは、FIRフィルタから構成され、定包絡線基準アルゴリズムによって電気信号の適応等化を行う。
搬送波推定部36aは、適応等化部35aによって適応等化が行われた波長λ1に対応する電気信号に対して搬送波推定を行う(ステップST2c−1)。搬送波推定部36bは、適応等化部35bによって適応等化が行われた波長λ2に対応する電気信号に対して搬送波推定を行う(ステップST2c−2)。例えば、搬送波推定部36aおよび搬送波推定部36bは、電気信号から光信号の搬送波を推定することで、空間光送信器1Aが備える光源10から出力された光信号と局発光との周波数差および位相差を補償する。
合成部37は、搬送波推定部36aから出力された波長λ1に対応する信号と、搬送波推定部36bから出力された波長λ2に対応する信号とを合成する(ステップST3c)。合成には、例えば、最大比合成が用いられる。波長λ1に対応する信号と波長λ2に対応する信号とが合成されたQPSK信号は、デマッピング部38に出力される。
デマッピング部38は、合成部37によって生成されたQPSK信号のデマッピングを行う(ステップST4c)。
以上のように、実施の形態6に係る空間光通信システムにおいて、受信DSP3Bが、光受信部2Bにおいてコヒーレント検波された受信信号の電気信号を適応等化し、適応等化が行われた複数の電気信号に対して搬送波推定を行い、搬送波推定が行われた複数の電気信号を1つの電気信号に合成し、合成された電気信号をデマッピングする。
空間光送信器1Aから送信された光信号はキャリアの周波数が異なるため、互いに干渉せずに、光受信部2Bにおいてコヒーレント検波される。送信波長のそれぞれに対応する信号に対して適応等化および搬送波推定を行われてから、これらの信号が合成(例えば、最大比合成)されるので、SN比が最大になるように合成される。このため、空間光受信器では、ダイバーシティの効果が得られる。さらに、適応等化部35aおよび適応等化部35bにFIRフィルタを用いることで、光の時間軸上のずれも補償される。
これまで、実施の形態6に係る空間光通信システムが空間光送信器1Aを備える場合を示したが、空間光送信器1Aの代わりに、実施の形態3で示した空間光送信器1Bを備えてもよい。空間光受信器は、実施の形態6で示した光受信部2Aを備え、図14に示した受信DSP3Bを備える。受信DSP3Bは、図15に示した手順で動作するが、適応等化部35aおよび適応等化部35bは、それぞれ、2偏波の信号を適応等化して、単一偏波の信号を出力する。空間光送信器1Bの4つの光学系から送信された光信号は、同一波長に対応する信号の偏波が直交しているため、互いに干渉せずに、光受信部2Aにおいてコヒーレント検波される。送信波長のそれぞれに対応する信号に対して適応等化および搬送波推定が行われてから、これらの信号が合成(例えば、最大比合成)されるので、SN比が最大になるように合成される。このため、空間光受信器では、ダイバーシティの効果が得られる。さらに、適応等化部35aおよび適応等化部35bにFIRフィルタを用いることで、光の時間軸上のずれも補償される。
実施の形態7.
図16は、実施の形態7に係る空間光通信システムが備える送信DSP4の構成を示すブロック図である。図17は、実施の形態7に係る空間光通信システムが備える光送信部5の構成を示すブロック図である。図18は、実施の形態7に係る空間光通信システムが備える受信DSP3Cの構成を示すブロック図である。実施の形態7に係る空間光通信システムは、空間光送信器と空間光受信器から構成される。空間光送信器は、図16に示す送信DSP4と、図17に示す光送信部5を備える。送信信号は、QPSK信号とする。空間光受信器は、図4に示した光受信部2と、図18に示す受信DSP3Bを備える。
送信DSP4は、空間に送信するデータをデジタル信号処理する送信信号処理部であり、図16に示すように、前方誤り訂正符号化部40、スクランブラ41a、スクランブラ41b、マッピング部42aおよびマッピング部42bを備える。以下、前方誤り訂正をFECと略して記載する。光送信部5は、送信DSP4によって生成されたQPSK信号を用いて、空間へ送信する光信号を生成する。光送信部5は、図17に示すように、光源50、スプリッタ51、IQ変調器52a、IQ変調器52b、偏波回転部53a、偏波回転部53b、コリメータ54a、コリメータ54b、光学系55aおよび光学系55bを備える。
受信DSP3Cは、光受信部2によって受信された光信号をデジタル信号処理する受信信号処理部であり、図18に示すように、適応等化部30、搬送波推定部31、デマッピング部32a、デマッピング部32b、デスクランブラ39a、デスクランブラ39b、尤度合成部60およびFEC復号部61を備える。
送信DSP4において、FEC符号化部40は、空間に送信するデータをFEC符号化する符号化部である。FEC符号化は、元のデータを複数のブロックに分割し、分割したブロック数よりも多いブロックに冗長に符号化することで、符号化された複数のブロック中の任意のブロックから、元のデータを復元できるようにした符号化方式である。
スクランブラ41aおよびスクランブラ41bは、FEC符号化部40によって符号化された信号に対して互いに異なるスクランブルを行う。例えば、特性多項式が異なる自己同期型スクランブルが用いられる。マッピング部42aは、スクランブラ41aによってスクランブルされた信号をQPSK信号にマッピングする。マッピング部42bは、スクランブラ41bによってスクランブルされた信号をQPSK信号にマッピングする。
なお、図16では、FEC符号化データに対して、互いに異なる2つのスクランブルを施す場合を示した。ただし、FEC符号化データに対して、互いに異なる3つ以上のスクランブルが施される場合、送信DSP4には、スクランブラおよびマッピング部から構成されたユニットを3つ以上設けてもよい。
光送信部5において、光源50は、単一波長の光を出力する光源であり、例えば、半導体レーザである。スプリッタ51は、光源50から出力された光を2つに分配する送信側分配部である。IQ変調器52aは、スプリッタ51によって分配された光を、マッピング部42aによってマッピングが行われたQPSK信号に応じて変調し、変調された光信号を生成する変調部である。IQ変調器52bは、スプリッタ51によって分配された光を、マッピング部42bによってマッピングが行われたQPSK信号に応じて変調して、変調された光信号を生成する変調部である。
偏波回転部53aは、IQ変調器52aによって変調された光信号の偏波を回転させ、直交する2偏波の光信号を生成する。偏波回転部53bは、IQ変調器52bによって変調された光信号の偏波を回転させ、直交する2偏波の光信号を生成する。直交する2偏波は、例えば、左円偏光および右円偏光である。コリメータ54aは、偏波回転部53aによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。コリメータ54bは、偏波回転部53bによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。
光学系55aは、偏波回転部53aによって偏波が回転され、コリメータ54aによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。光学系55bは、偏波回転部53bによって偏波が回転され、コリメータ54bによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。図17の例では、波長λ1の右円偏光であるQPSK信号が、光学系55aから送信され、波長λ1の左円偏光であるQPSK信号が、光学系55bから送信されている。なお、光学系55aおよび光学系55bは、入力された光信号のビーム径を広げてから空間に送信する。光学系55aと光学系55bとの間の距離は、大気の揺らぎの強さを表す指標であるフリードパラメータよりも大きい値である。
なお、図17では、互いに異なる2つのスクランブルが施されたFEC符号化データがそれぞれマッピングされた2つのQPSK信号について光信号を生成する構成を示した。ただし、FEC符号化データに対して、互いに異なる3つ以上のスクランブルが施される場合、光送信部5には、IQ変調器、偏波回転部、コリメータおよび光学系から構成されたユニットが3つ以上設けられる。
受信DSP3Cにおいて、適応等化部30は、光受信部2が備える偏波多重コヒーレント検波器25によってコヒーレント検波された2偏波の信号を適応等化する。例えば、適応等化部30は、2つのFIRフィルタから構成され、それぞれのフィルタの出力値が搬送波推定部31に出力される。搬送波推定部31は、適応等化部30によって生成された2つの電気信号に対して搬送波推定を行う。デマッピング部32aは、搬送波推定部31によって搬送波推定が行われた一方の電気信号をデマッピングし、デマッピング部32bは、搬送波推定部31によって搬送波推定が行われた他方の電気信号をデマッピングする。搬送波推定部31によって搬送波推定が行われた電気信号は、デマッピングによって当該電気信号の尤度に変換される。
デスクランブラ39aは、デマッピング部32aによって生成された尤度に対して、スクランブラ41aによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。デスクランブラ39bは、デマッピング部32bによって生成された尤度に対して、スクランブラ41bによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。尤度合成部60は、デスクランブラ39aおよびデスクランブラ39bによってそれぞれデスクランブルされた尤度を合成する。FEC復号部61は、尤度合成部60によって合成された尤度に対して前方誤り訂正復号(FEC復号)を行う復号部である。
次に、送信DSP4の動作について説明する。
図19は、送信DSP4の動作を示すフローチャートである。
FEC符号化部40が、空間に送信するデータをFEC符号化する(ステップST1d)。FEC符号化部40によってFEC符号化されたデータの一方は、スクランブラ41aに出力され、他方は、スクランブラ41bに出力される。
スクランブラ41aは、FEC符号化部40によって符号化されたデータにスクランブルを行う(ステップST2d−1)。また、スクランブラ41bは、FEC符号化部40によって符号化されたデータに対して、スクランブラ41aとは異なるスクランブルを行う(ステップST2d−2)。
マッピング部42aは、スクランブラ41aによってスクランブルされた信号をQPSK信号にマッピングする(ステップST3d−1)。マッピング部42bは、スクランブラ41bによってスクランブルされた信号をQPSK信号にマッピングする(ステップST3d−2)。マッピング部42aによってマッピングされたQPSK信号は、光送信部5が備えるIQ変調器52aに出力され、マッピング部42bによってマッピングされたQPSK信号は、IQ変調器52bに出力される。
次に、受信DSP3Cの動作について説明する。
図20は、受信DSP3Cの動作を示すフローチャートである。
適応等化部30は、偏波多重コヒーレント検波器25によってコヒーレント検波された2偏波の光信号をそれぞれ適応等化する(ステップST1e)。
続いて、搬送波推定部31は、適応等化部30によって生成された2偏波の電気信号に対して搬送波推定を行う(ステップST2e)。例えば、搬送波推定部31によって電気信号から光信号の搬送波が推定されて、光送信部5が備える光源50から出力された光と局発光との周波数差および位相差が補償される。
デマッピング部32aは、搬送波推定部31によって搬送波推定が行われた一方の電気信号をデマッピングし、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST3e−1)。デマッピング部32bは、搬送波推定部31によって搬送波推定が行われた他方の電気信号をデマッピングし、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST3e−2)。
デスクランブラ39aは、デマッピング部32aによって生成された尤度に対して、スクランブラ41aによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST4e−1)。デスクランブラ39bは、デマッピング部32bによって生成された尤度に対して、スクランブラ41bによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST4e−2)。
続いて、尤度合成部60は、デスクランブラ39aによってデスクランブルされた尤度と、デスクランブラ39bによってデスクランブルされた尤度とを合成する(ステップST5e)。次に、FEC復号部61は、尤度合成部60によって合成された尤度をFEC復号し、復号されたデータを出力する(ステップST6e)。
以上のように、実施の形態7に係る空間光通信システムにおいて、送信DSP4が、送信データをFEC符号化し、FEC符号化された信号に対して互いに異なるスクランブルを施し、スクランブルされた信号のそれぞれをマッピングする。受信DSP3Cが、偏波多重コヒーレント検波された2偏波の電気信号を適応等化し、適応等化が行われた2偏波の電気信号に対して搬送波推定を行い、搬送波推定が行われた2偏波の電気信号をそれぞれデマッピングする。そして、受信DSP3Cは、デマッピングによって生成された複数の尤度に対して互いに異なるスクランブルのそれぞれに対応したデスクランブルを行い、デスクランブルされた複数の尤度を合成し、合成された尤度に対してFEC復号を行う。光送信部5から送信された2偏波の光信号は、偏波が直交しているので、互い干渉せずに、光受信部2によって受信され、コヒーレント検波される。これにより、2偏波の信号をそれぞれ復調することができ、2偏波の信号のそれぞれの尤度が合成したデータから、送信データの復号が可能であり、ダイバーシティ効果が得られる。
また、FEC符号化された信号に対して互いに異なるスクランブルを施すことで、送信光の偏波状態はランダムに変動する。偏波多重コヒーレント検波器25がランダムな偏波状態を受信するように設計されている場合、偏波多重コヒーレント検波器25を、適切な条件で動作させることができるので、性能劣化を防ぐことができる。
さらに、空間光送信器に光アンプを用いた場合であっても、送信偏波の偏りを防ぐことができ、光アンプの偏波依存性の影響を抑えることができる。
さらに、光送信部5、光受信部2および伝播媒体において、パタン依存性の劣化要因があっても、2偏波の光信号で異なるパタンを用いることで、ダイバーシティ効果によってパタン依存性の劣化を軽減することができる。
実施の形態8.
図21は、実施の形態8に係る空間光通信システムが備える光送信部5Aの構成を示すブロック図である。図22は、実施の形態8に係る空間光通信システムが備える受信DSP3Dの構成を示すブロック図である。実施の形態8に係る空間光通信システムは、空間光送信器と空間光受信器から構成される。空間光送信器は、図16に示した送信DSP4と、図21に示す光送信部5Aを備える。送信信号は、QPSK信号とする。空間光受信器は、図10に示した光受信部2Aと、図22に示す受信DSP3Dを備える。
光送信部5Aは、図21に示すように、光源50a、光源50b、IQ変調器52a、IQ変調器52b、コリメータ54a、コリメータ54b、光学系55aおよび光学系55bを備えており、送信DSP4によって生成された信号(QPSK信号)を用いて、空間へ送信する光信号を生成する。受信DSP3Dは、光受信部2Aによって受信された光信号をデジタル信号処理する受信信号処理部であり、図22に示すように、波長分離部33、周波数シフト部34a、周波数シフト部34b、適応等化部35a、適応等化部35b、搬送波推定部36a、搬送波推定部36b、デマッピング部62a、デマッピング部62b、デスクランブラ63a、デスクランブラ63b、尤度合成部64、およびFEC復号部65を備える。
光送信部5Aにおいて、光源50aおよび光源50bは、互いに異なる単一波長の光を出力する光源であり、例えば、半導体レーザである。図21において、光源50aは、波長λ1の光を出力し、光源50bは、λ1とは異なる波長λ2の光を出力する。
IQ変調器52aは、光源50aから出力された光を、送信する信号に応じて変調し、変調された単一偏波の光信号を生成する変調部である。IQ変調器52bは、光源50bから出力された光を、送信する信号に応じて変調し、変調された単一偏波の光信号を生成する変調部である。例えば、送信する信号が、送信DSP4から入力されたQPSK信号である場合、IQ変調器52aは、光源50aから出力された光を同一のQPSK信号に変調することで、波長がλ1でX偏波の光信号を生成する。IQ変調器52bは、光源50bから出力された光を同一のQPSK信号に変調することで、波長がλ2でX偏波の光信号を生成する。
コリメータ54aは、IQ変調器52aによって変調された光信号を入力し、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。コリメータ54bは、IQ変調器52bによって変調された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。光学系55aは、IQ変調器52aによって変調され、コリメータ54aによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。光学系55bは、IQ変調器52bによって変調され、コリメータ54bによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。
光学系55aおよび光学系55bは、入力された光信号のビーム径を広げてから空間に送信する。光学系55aと光学系55bとの間の距離は、実施の形態1と同様に、フリードパラメータよりも大きい値である。なお、送信信号は、偏波多重信号であってもよい。偏波多重信号には、例えば、偏波多重QPSKがある。
なお、図21では、互いに異なる2つのスクランブルが施されたFEC符号化データがそれぞれマッピングされた2つのQPSK信号について光信号を生成する構成を示した。ただし、FEC符号化データに対して、互いに異なる3つ以上のスクランブルが施される場合、光送信部5Aに、光源、IQ変調器、コリメータおよび光学系から構成されたユニットを3つ以上設けてもよい。この場合、複数のユニットが備える光源は、互いに異なる単一波長の光をそれぞれ出力する。
光送信部5Aでは、光学系55aおよび光学系55bからそれぞれ送信された光がコヒーレンシの高い光であっても、互いのキャリアの周波数が異なっているため、互いに干渉せず、位相が反転しても打ち消し合わない。このため、光受信器側では、2つの受信側光学系を有する場合と同様のダイバーシティ効果が得られる。
受信DSP3Dにおいて、波長分離部33は、光受信部2Aが備えるコヒーレント検波器25Aによってコヒーレント検波された電気信号を、単一波長λ1とλ2のそれぞれに対応する周波数に応じて分離する。周波数シフト部34aは、波長分離部33によって波長λ1の周波数に応じて分離された電気信号を周波数シフトさせて、ベースバンド信号の電気信号を生成する。周波数シフト部34bは、波長分離部33によって波長λ2の周波数に応じて分離された電気信号を周波数シフトさせて、ベースバンド信号の電気信号を生成する。
適応等化部35aは、周波数シフト部34aによって生成された電気信号を適応等化する。適応等化部35bは、周波数シフト部34bによって生成された電気信号を適応等化する。搬送波推定部36aは、適応等化部35aによって適応等化が行われた電気信号に対して搬送波推定を行う。搬送波推定部36bは、適応等化部35bによって適応等化が行われた電気信号に対して搬送波推定を行う。デマッピング部62aは、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた電気信号をデマッピングし、デマッピング部62bは、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた電気信号をデマッピングする。搬送波推定部36aと搬送波推定部36bによってそれぞれ搬送波推定が行われた電気信号は、デマッピングによって当該電気信号の尤度に変換される。
デスクランブラ63aは、デマッピング部62aによって生成された尤度に対して、送信DSP4が備えるスクランブラ41aによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。デスクランブラ63bは、デマッピング部62bによって生成された尤度に対して、送信DSP4が備えるスクランブラ41bによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。尤度合成部64は、デスクランブラ63aおよびデスクランブラ63bによってそれぞれデスクランブルされた尤度を合成する。FEC復号部65は、尤度合成部64によって合成された尤度に対してFEC復号を行う復号部である。
また、図22には、受信DSP3Dが、波長分離部33の後段に、周波数シフト部、適応等化部、搬送波推定部、デマッピング部およびデスクランブラから構成されたユニットを2つ備える構成を示した。ただし、受信DSP3Dは、送信波長である単一波長の数に応じて上記ユニットを3つ以上備えてもよい。この場合、波長分離部33は、光受信部によってコヒーレント検波された受信信号を、それぞれの送信波長に対応した周波数に応じて分離し、分離された信号を複数の上記ユニットにそれぞれ出力する。
次に、受信DSP3Dの動作について説明する。
図23は、受信DSP3Dの動作を示すフローチャートである。
波長分離部33は、コヒーレント検波器に25Aによってコヒーレント検波された電気信号を、送信波長である単一波長λ1とλ2のそれぞれに対応する周波数に応じて分離する(ステップST1f)。例えば、波長分離部33は、波長λ1とλ2とのそれぞれに対応する周波数の信号を通過させるフィルタを用いて、送信波長λ1とλ2に対応した信号を分離する。
周波数シフト部34aは、波長分離部33によって分離された波長λ1に対応する電気信号を周波数シフトさせて、ベースバンド信号の電気信号を生成する(ステップST2f−1)。周波数シフト部34bは、波長分離部33によって分離された波長λ2に対応する電気信号を周波数シフトさせて、ベースバンド信号の電気信号を生成する(ステップST2f−2)。
続いて、適応等化部35aは、周波数シフト部34aによってベースバンド信号に変換された信号を適応等化して、当該信号中の線形の歪みを補償する(ステップST3f−1)。適応等化部35bは、周波数シフト部34bによってベースバンド信号に変換された信号を適応等化して、当該信号中の線形の歪みを補償する(ステップST3f−2)。
例えば、適応等化部35aおよび適応等化部35bは、FIRフィルタから構成され、定包絡線基準アルゴリズムによって電気信号の適応等化を行う。
搬送波推定部36aは、適応等化部35aによって適応等化が行われた電気信号(波長λ1に対応する電気信号)に対して搬送波推定を行う(ステップST4f−1)。搬送波推定部36bは、適応等化部35bによって適応等化が行われた電気信号(波長λ2に対応する電気信号)に対して搬送波推定を行う(ステップST4f−2)。例えば、搬送波推定部36aおよび搬送波推定部36bは、電気信号から光信号の搬送波を推定することで、光源50aおよび光源50bのそれぞれから出力された光と局発光との周波数差および位相差を補償する。
デマッピング部62aは、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた電気信号をデマッピングし、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST5f−1)。デマッピング部62bは、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた電気信号をデマッピングし、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST5f−2)。
デスクランブラ63aは、デマッピング部62aによって生成された尤度に対して、スクランブラ41aによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST6f−1)。デスクランブラ63bは、デマッピング部62bによって生成された尤度に対して、スクランブラ41bによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST6f−2)。
続いて、尤度合成部64は、デスクランブラ63aによってデスクランブルされた尤度と、デスクランブラ63bによってデスクランブルされた尤度とを合成する(ステップST7f)。次に、FEC復号部65は、尤度合成部64によって合成された尤度をFEC復号し、復号されたデータを出力する(ステップST8f)。
以上のように、実施の形態8に係る空間光通信システムにおいて、受信DSP3Dが、光受信部2Aによってコヒーレント検波された電気信号を、送信波長である複数の単一波長のそれぞれに対応する周波数に応じて分離し、分離された複数の電気信号のそれぞれに周波数シフトを行い、周波数シフトされた複数の電気信号を適応等化し、適応等化が行われた複数の電気信号に対してそれぞれ搬送波推定を行い、搬送波推定が行われた複数の電気信号をそれぞれデマッピングする。そして、受信DSP3Dは、デマッピングによって生成された複数の尤度に対して互いに異なるスクランブルのそれぞれに対応したデスクランブルを行い、デスクランブルされた複数の尤度を合成して、合成された尤度に対してFEC復号を行う。光送信部5Aから送信された複数の光信号は、キャリアの周波数が互いに異なるため、互いに干渉せずに光受信部2Bにおいてコヒーレント検波される。送信波長のそれぞれに対応する信号に対して適応等化および搬送波推定を行われてから、これらの信号が合成されるので、SN比が最大になるように合成される。このため、空間光受信器では、ダイバーシティ効果が得られる。
また、空間光送信器に光アンプを用いた場合であっても、送信偏波の偏りを防ぐことができ、光アンプの偏波依存性の影響を抑えることができる。
さらに、光送信部5A、光受信部2Aおよび伝播媒体において、パタン依存性の劣化要因があっても、2つの光信号で異なるパタンを用いることで、ダイバーシティ効果によってパタン依存性の劣化を軽減することができる。
実施の形態9.
図24は、実施の形態9に係る空間光通信システムが備える受信DSP3Eの構成を示すブロック図である。実施の形態9に係る空間光通信システムは、空間光送信器と空間光受信器から構成される。空間光送信器は、図16に示した送信DSP4と図21に示した光送信部5Aを備える。送信する信号は、例えばQPSK信号とする。空間光受信器は、図13に示した光受信部2Bと図24に示す受信DSP3Eを備える。
受信DSP3Eにおいて、適応等化部35aは、光受信部2Bが備えるコヒーレント検波器27aによってコヒーレント検波された波長λ1の信号を適応等化する。適応等化部35bは、光受信部2Bが備えるコヒーレント検波器27bによってコヒーレント検波された波長λ2の信号を適応等化する。搬送波推定部36aは、適応等化部35aによって適応等化が行われた電気信号に対して搬送波推定を行う。搬送波推定部36bは、適応等化部35bによって適応等化が行われた電気信号に対して搬送波推定を行う。
デマッピング部62aは、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた電気信号をデマッピングし、デマッピング部62bは、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた電気信号をデマッピングする。搬送波推定部36aと搬送波推定部36bによってそれぞれ搬送波推定が行われた電気信号は、デマッピングによって当該電気信号の尤度に変換される。
デスクランブラ63aは、デマッピング部62aによって生成された尤度に対して、送信DSP4が備えるスクランブラ41aによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。デスクランブラ63bは、デマッピング部62bによって生成された尤度に対して、送信DSP4が備えるスクランブラ41bによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。尤度合成部64は、デスクランブラ63aおよびデスクランブラ63bによってそれぞれデスクランブルされた尤度を合成する。FEC復号部65は、尤度合成部64によって合成された尤度に対してFEC復号を行う復号部である。
図24には、受信DSP3Eが、適応等化部、搬送波推定部、デマッピング部およびデスクランブラから構成されたユニットを2つ備える構成を示した。ただし、受信DSP3Eは、送信波長である単一波長の数に応じて上記ユニットを3つ以上備えてもよい。
次に、受信DSP3Eの動作について説明する。
図25は、受信DSP3Eの動作を示すフローチャートである。
適応等化部35aは、コヒーレント検波器27aによってコヒーレント検波された波長λ1の信号を適応等化して、当該信号中の線形の歪みを補償する(ステップST1g−1)。適応等化部35bは、コヒーレント検波器27bによってコヒーレント検波された波長λ2の信号を適応等化して、当該信号中の線形の歪みを補償する(ステップST1g−2)。例えば、適応等化部35aおよび適応等化部35bは、FIRフィルタから構成され、定包絡線基準アルゴリズムによって電気信号の適応等化を行う。
搬送波推定部36aは、適応等化部35aによって適応等化が行われた波長λ1に対応する電気信号に対して搬送波推定を行う(ステップST2g−1)。搬送波推定部36bは、適応等化部35bによって適応等化が行われた波長λ2に対応する電気信号に対して搬送波推定を行う(ステップST2g−2)。例えば、搬送波推定部36aおよび搬送波推定部36bは、電気信号から光信号の搬送波を推定することで、光送信部5Aが備える光源50aおよび50bから出力された光信号と局発光との周波数差および位相差を補償する。
デマッピング部62aは、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた電気信号をデマッピングし、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST3g−1)。デマッピング部62bは、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた電気信号をデマッピングし、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST3g−2)。
デスクランブラ63aは、デマッピング部62aによって生成された尤度に対して、スクランブラ41aによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST4g−1)。デスクランブラ63bは、デマッピング部62bによって生成された尤度に対して、スクランブラ41bによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST4g−2)。
続いて、尤度合成部64は、デスクランブラ63aによってデスクランブルされた尤度と、デスクランブラ63bによってデスクランブルされた尤度とを合成する(ステップST5g)。次に、FEC復号部65は、尤度合成部64によって合成された尤度をFEC復号し、復号されたデータを出力する(ステップST6g)。
以上のように、実施の形態9に係る空間光通信システムにおいて、受信DSP3Eが、光受信部2Bによってコヒーレント検波された複数の電気信号を適応等化し、適応等化が行われた複数の電気信号に対してそれぞれ搬送波推定を行い、搬送波推定が行われた複数の電気信号をそれぞれデマッピングする。そして、受信DSP3Eは、デマッピングによって生成された複数の尤度に対して互いに異なるスクランブルのそれぞれに対応したデスクランブルを行い、デスクランブルされた複数の尤度を合成して、合成された尤度に対してFEC復号を行う。光送信部5Aから送信された複数の光信号は、キャリアの周波数が互いに異なるため、互いに干渉せずに、光受信部2Bにおいてコヒーレント検波される。送信波長のそれぞれに対応する信号に対して適応等化および搬送波推定を行われてから、これらの信号が合成されるので、SN比が最大になるように合成される。このため、空間光受信器では、ダイバーシティ効果が得られる。
また、空間光送信器に光アンプを用いた場合であっても、送信偏波の偏りを防ぐことができ、光アンプの偏波依存性の影響を抑えることができる。
さらに、光送信部5A、光受信部2Bおよび伝播媒体において、パタン依存性の劣化要因があっても、2つの光信号で異なるパタンを用いることで、ダイバーシティ効果によってパタン依存性の劣化を軽減することができる。
実施の形態10.
図26は、実施の形態10に係る空間光通信システムが備える送信DSP4Aの構成を示すブロック図である。図27は、実施の形態10に係る空間光通信システムが備える光送信部5Bの構成を示すブロック図である。図28は、実施の形態10に係る空間光通信システムが備える受信DSP3Fの構成を示すブロック図である。実施の形態10に係る空間光通信システムは、空間光送信器と空間光受信器から構成される。空間光送信器は、図26に示す送信DSP4Aおよび図27に示す光送信部5Bを備えている。送信する信号は、例えばQPSK信号とする。空間光受信器は、図4に示した光受信部2と図28に示す受信DSP3Fを備える。
送信DSP4Aは、空間に送信するデータをデジタル信号処理する送信信号処理部であり、図26に示すように、FEC符号化部40、スクランブラ41a、スクランブラ41b、スクランブラ41c、スクランブラ41d、マッピング部42a、マッピング部42b、マッピング部42cおよびマッピング部42dを備えている。
光送信部5Bは、送信DSP4Aによって生成されたQPSK信号を用いて空間へ送信する光信号を生成する。光送信部5Bは、図27に示すように、光源50a、光源50b、スプリッタ56a、スプリッタ56b、IQ変調器52a、IQ変調器52b、IQ変調器52c、IQ変調器52d、偏波回転部53a、偏波回転部53b、偏波回転部53c、偏波回転部53d、コリメータ54a、コリメータ54b、コリメータ54c、コリメータ54d、光学系55a、光学系55b、光学系55cおよび光学系55dを備えている。
受信DSP3Fは、光受信部2によって受信された光信号をデジタル信号処理する受信信号処理部であり、図28に示すように、波長分離部33、周波数シフト部34a、周波数シフト部34b、適応等化部35a、適応等化部35b、搬送波推定部36a、搬送波推定部36b、デマッピング部62a、デマッピング部62b、デマッピング部62c、デマッピング部62d、デスクランブラ63a、デスクランブラ63b、デスクランブラ63c、デスクランブラ63d、尤度合成部64およびFEC復号部65を備える。
送信DSP4Aにおいて、FEC符号化部40は、空間に送信するデータをFEC符号化する符号化部である。FEC符号化部40によって符号化されたデータは、スクランブラ41a〜41dにそれぞれ出力される。スクランブラ41a〜41dは、FEC符号化部40によって符号化された信号に対して、互いに異なるスクランブルを施す。例えば、特性多項式が異なる自己同期型スクランブルが用いられる。マッピング部42a〜42dは、スクランブラ41a〜42dによってスクランブルされた信号をQPSK信号にマッピングする。
なお、図26では、FEC符号化データに対して、互いに異なる4つのスクランブルを施す場合を示したが、送信DSP4Aは、互いに異なる2つ以上のスクランブラを備えていればよい。例えば、FEC符号化データに対して互いに異なる5つ以上のスクランブルを施す場合、送信DSP4Aには、スクランブラおよびマッピング部から構成されたユニットを5つ以上設けられる。
光送信部5Bにおいて、光源50aおよび光源50bは、互いに異なる単一波長の光を出力する光源であり、例えば、半導体レーザである。スプリッタ56aは、光源50aから出力された光を2つに分配する送信側分配部である。スプリッタ56bは、光源50bから出力された光を2つに分配する送信側分配部である。
IQ変調器52aは、スプリッタ56aによって分配され光を、マッピング部42aによってマッピングが行われたQPSK信号に応じて変調し、変調された光信号を生成する変調部である。また、IQ変調器52bは、スプリッタ56aによって分配された光を、マッピング部42bによってマッピングが行われたQPSK信号に応じて変調し、変調された光信号を生成する変調部である。IQ変調器52cは、スプリッタ56bによって分配された光を、マッピング部42cによってマッピングが行われたQPSK信号に応じて変調し、変調された光信号を生成する変調部である。また、IQ変調器52dは、スプリッタ56bによって分配された光を、マッピング部42dによってマッピングが行われたQPSK信号に応じて変調し、変調された光信号を生成する変調部である。
偏波回転部53aは、IQ変調器52aによって変調された光信号の偏波を回転させ、直交する2偏波の光信号を生成する。偏波回転部53bは、IQ変調器52bによって変調された光信号の偏波を回転させ、直交する2偏波の光信号を生成する。偏波回転部53cは、IQ変調器52cによって変調された光信号の偏波を回転させ、直交する2偏波の光信号を生成する。偏波回転部53dは、IQ変調器52dによって変調された光信号の偏波を回転させ、直交する2偏波の光信号を生成する。直交する2偏波は、例えば、左円偏光および右円偏光である。
コリメータ54aは、偏波回転部53aによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。コリメータ54bは、偏波回転部53bによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。コリメータ54cは、偏波回転部53cによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。コリメータ54dは、偏波回転部53dによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。
光学系55aは、偏波回転部53aによって偏波が回転され、コリメータ54aによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。光学系55bは、偏波回転部53bによって偏波が回転され、コリメータ54bによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。光学系55cは、偏波回転部53cによって偏波が回転され、コリメータ54cによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。光学系55dは、偏波回転部53dによって偏波が回転され、コリメータ54dによって平行光に変換された光信号を、空間に送信する送信側光学系である。
図27では、波長λ1の右円偏光であるQPSK信号が、光学系55aから送信され、波長λ1の左円偏光であるQPSK信号が、光学系55bから送信されている。波長λ2の右円偏光であるQPSK信号が、光学系55cから送信され、波長λ2の左円偏光であるQPSK信号が、光学系55dから送信されている。
なお、光学系55a〜55dは、それぞれ、入力された光信号のビーム径を広げてから空間に送信する。光学系55a〜55dにおける光学系間の距離は、大気の揺らぎの強さを表す指標であるフリードパラメータよりも大きい値である。
なお、図27では、互いに異なる4つのスクランブルが施されたFEC符号化データがそれぞれマッピングされた2つのQPSK信号について光信号を生成する構成を示した。ただし、FEC符号化データに対して、互いに異なる5つ以上のスクランブルが施される場合、光送信部5Bに、IQ変調器、偏波回転部、コリメータおよび光学系から構成されたユニットが5つ以上設けられる。
受信DSP3Fにおいて、波長分離部33は、光受信部2が備える偏波多重コヒーレント検波器25によってコヒーレント検波された信号を、送信波長である単一波長λ1とλ2に対応する周波数に応じて分離する。
周波数シフト部34aは、波長分離部33によって波長λ1に対応する周波数に応じて分離された2つの電気信号を周波数シフトさせて、ベースバンド信号の電気信号をそれぞれ生成する。周波数シフト部34bは、波長分離部33によって波長λ2の周波数に応じて分離された2つの電気信号を周波数シフトさせて、ベースバンド信号の電気信号をそれぞれ生成する。
適応等化部35aは、周波数シフト部34aによって生成された2つの電気信号を適応等化する。適応等化部35bは、周波数シフト部34bによって生成された2つの電気信号を適応等化する。搬送波推定部36aは、適応等化部35aによって適応等化が行われた2つの電気信号に対して搬送波推定を行う。搬送波推定部36bは、適応等化部35bによって適応等化が行われた2つの電気信号に対して搬送波推定を行う。
デマッピング部62aは、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた2つの電気信号のうちの一方をデマッピングし、デマッピング部62bは、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた2つの電気信号のうちの他方をデマッピングする。さらに、デマッピング部62cは、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた2つの電気信号のうちの一方をデマッピングし、デマッピング部62dは、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた2つの電気信号のうちの他方をデマッピングする。
搬送波推定部36aと搬送波推定部36bによってそれぞれ搬送波推定が行われた4つの電気信号は、デマッピングによって、4つの電気信号のそれぞれの尤度に変換される。
デスクランブラ63aは、デマッピング部62aによって生成された尤度に対して、送信DSP4Aが備えるスクランブラ41aによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。デスクランブラ63bは、デマッピング部62bによって生成された尤度に対して、送信DSP4Aが備えるスクランブラ41bによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。デスクランブラ63cは、デマッピング部62cによって生成された尤度に対して、送信DSP4Aが備えるスクランブラ41cによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。デスクランブラ63dは、デマッピング部62dによって生成された尤度に対して、送信DSP4Aが備えるスクランブラ41dによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。
尤度合成部64は、デスクランブラ63a〜63dによってそれぞれデスクランブルされた尤度を合成する。FEC復号部65は、尤度合成部64によって合成された尤度に対してFEC復号を行う復号部である。
なお、図28には、受信DSP3Fが、適応等化部、搬送波推定部、2つのデマッピング部、および2つのデスクランブラから構成されたユニットを2つ備える構成を示した。
ただし、受信DSP3Fは、送信波長である単一波長の数に応じて上記ユニットを3つ以上備えてもよい。
次に、送信DSP4Aの動作について説明する。
図29は、送信DSP4Aの動作を示すフローチャートである。
FEC符号化部40が、空間に送信するデータをFEC符号化する(ステップST1h)。FEC符号化部40によってFEC符号化されたデータは、スクランブラ41a〜41dにそれぞれ出力される。
スクランブラ41a〜41dのそれぞれは、FEC符号化部40によってFEC符号化されたデータに対して互いに異なるスクランブルを行う(ステップST2h−1〜ステップST2h−4)。マッピング部42a〜42dは、スクランブラ41a〜42dによってそれぞれスクランブルされた信号をQPSK信号にマッピングする(ステップST3h−1〜ステップST3h−4)。
マッピング部42aによってマッピングされたQPSK信号は、光送信部5Aが備えるIQ変調器52aに出力され、マッピング部42bによってマッピングされたQPSK信号は、IQ変調器52bに出力され、マッピング部42cによってマッピングされたQPSK信号は、IQ変調器52cに出力され、マッピング部42dによってマッピングされたQPSK信号は、IQ変調器52dに出力される。
次に、受信DSP3Fの動作について説明する。
図30は、受信DSP3Fの動作を示すフローチャートである。
波長分離部33は、偏波多重コヒーレント検波器に25によってコヒーレント検波された4つの電気信号を、送信波長である単一波長λ1とλ2のそれぞれに対応する周波数に応じて分離する(ステップST1i)。例えば、波長分離部33は、波長λ1とλ2とのそれぞれに対応する周波数の信号を通過させるフィルタを用いて、送信波長λ1とλ2に対応した信号を分離する。
周波数シフト部34aは、波長分離部33によって分離された波長λ1に対応する2つの電気信号を周波数シフトさせて、ベースバンド信号の電気信号を生成する(ステップST2i−1)。周波数シフト部34bは、波長分離部33によって分離された波長λ2に対応する2つの電気信号を周波数シフトさせて、ベースバンド信号の電気信号を生成する(ステップST2i−2)。
続いて、適応等化部35aは、周波数シフト部34aによってベースバンド信号に変換された2つの信号を適応等化し、当該信号中の線形の歪みを補償する(ステップST3i−1)。適応等化部35bは、周波数シフト部34bによってベースバンド信号に変換された2つの信号を適応等化し、当該信号中の線形の歪みを補償する(ステップST3i−2)。例えば、適応等化部35aおよび適応等化部35bは、FIRフィルタから構成され、定包絡線基準アルゴリズムによって電気信号の適応等化を行う。
搬送波推定部36aは、適応等化部35aによって適応等化が行われた2つの電気信号(波長λ1に対応する電気信号)に対して搬送波推定を行う(ステップST4i−1)。搬送波推定部36bは、適応等化部35bによって適応等化が行われた2つの電気信号(波長λ2に対応する電気信号)に対して搬送波推定を行う(ステップST4i−2)。例えば、搬送波推定部36aおよび搬送波推定部36bは、電気信号から光信号の搬送波を推定することで、光送信部5Bが備える光源50aおよび光源50bのそれぞれから出力された光と局発光との周波数差および位相差を補償する。
デマッピング部62aは、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた電気信号の一方をデマッピングして、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST5i−1)。デマッピング部62bは、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた電気信号の他方をデマッピングして、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST5i−2)。
さらに、デマッピング部62cは、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた電気信号の一方をデマッピングして、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST5i−3)。デマッピング部62dは、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた電気信号の他方をデマッピングして、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST5i−4)。
デスクランブラ63aは、デマッピング部62aによって生成された尤度に対して、スクランブラ41aによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST6i−1)。デスクランブラ63bは、デマッピング部62bによって生成された尤度に対して、スクランブラ41bによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST6i−2)。
デスクランブラ63cは、デマッピング部62cによって生成された尤度に対して、スクランブラ41cによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST6i−3)。デスクランブラ63dは、デマッピング部62dによって生成された尤度に対して、スクランブラ41dによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST6i−4)。
続いて、尤度合成部64は、デスクランブラ63a〜63dによってそれぞれデスクランブルされた尤度を合成する(ステップST7i)。次に、FEC復号部65は、尤度合成部64によって合成された尤度をFEC復号し、復号されたデータを出力する(ステップST8i)。
以上のように、実施の形態10に係る空間光通信システムにおいて、受信DSP3Fが、光受信部2によってコヒーレント検波された複数の電気信号を適応等化し、適応等化が行われた複数の電気信号に対してそれぞれ搬送波推定を行い、搬送波推定が行われた複数の電気信号をそれぞれデマッピングする。そして、受信DSP3Fは、デマッピングによって生成された複数の尤度に対して互いに異なるスクランブルのそれぞれに対応したデスクランブルを行い、デスクランブルされた複数の尤度を合成して、合成された尤度に対してFEC復号を行う。光送信部5Bから送信された複数の光信号は、偏波が直交しているため、互いに干渉せずに、光受信部2においてコヒーレント検波される。送信波長のそれぞれに対応する2つの信号に対して適応等化および搬送波推定を行われてから、全ての信号が合成されるので、SN比が最大になるように合成される。このため、空間光受信器は、実施の形態7から実施の形態9までに示した空間光受信器よりも、多くのダイバーシティ効果が得られる。
実施の形態11.
図31は、実施の形態11に係る空間光通信システムが備える受信DSP3Gの構成を示すブロック図である。実施の形態11に係る空間光通信システムは、空間光送信器と空間光受信器から構成される。空間光送信器は、図26に示した送信DSP4Aと図27に示した光送信部5Bを備える。送信する信号は、例えばQPSK信号とする。空間光受信器は、図13に示した光受信部2Bと図31に示す受信DSP3Gを備える。
受信DSP3Gにおいて、適応等化部35aは、光受信部2Bが備えるコヒーレント検波器27aによってコヒーレント検波された波長λ1の2偏波の信号を適応等化する。適応等化部35bは、光受信部2Bが備えるコヒーレント検波器27bによってコヒーレント検波された波長λ2の2偏波の信号を適応等化する。搬送波推定部36aは、適応等化部35aによって適応等化が行われた2つの電気信号に対して搬送波推定を行う。搬送波推定部36bは、適応等化部35bによって適応等化が行われた2つの電気信号に対して搬送波推定を行う。
デマッピング部62aは、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた2つの電気信号のうちの一方をデマッピングし、デマッピング部62bは、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた2つの電気信号のうちの他方をデマッピングする。デマッピング部62cは、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた2つの電気信号のうちの一方をデマッピングし、デマッピング部62dは、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた2つの電気信号のうちの他方をデマッピングする。搬送波推定部36aと搬送波推定部36bによってそれぞれ搬送波推定が行われた4つの電気信号は、デマッピングによって、4つの電気信号のそれぞれの尤度に変換される。
デスクランブラ63aは、デマッピング部62aによって生成された尤度に対して、送信DSP4Aが備えるスクランブラ41aによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。デスクランブラ63bは、デマッピング部62bによって生成された尤度に対して、送信DSP4Aが備えるスクランブラ41bによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。
デスクランブラ63cは、デマッピング部62cによって生成された尤度に対して、送信DSP4Aが備えるスクランブラ41cによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。デスクランブラ63dは、デマッピング部62dによって生成された尤度に対して、送信DSP4Aが備えるスクランブラ41dによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う。
尤度合成部64は、デスクランブラ63a〜63dによってそれぞれデスクランブルされた尤度を合成する。FEC復号部65は、尤度合成部64によって合成された尤度に対してFEC復号を行う復号部である。
なお、図31には、受信DSP3Gが、適応等化部、搬送波推定部、2つのデマッピング部、および2つのデスクランブラから構成されたユニットを2つ備える構成を示した。
ただし、受信DSP3Gは、送信波長である単一波長の数に応じて上記ユニットを3つ以上備えてもよい。
次に、受信DSP3Gの動作について説明する。
図32は、受信DSP3Gの動作を示すフローチャートである。
適応等化部35aは、コヒーレント検波器27aによってコヒーレント検波された2つの信号を適応等化し、当該信号中の線形の歪みを補償する(ステップST1j−1)。適応等化部35bは、コヒーレント検波器27bによってコヒーレント検波された2つの信号を適応等化し、当該信号中の線形の歪みを補償する(ステップST1j−2)。
例えば、適応等化部35aおよび適応等化部35bは、FIRフィルタから構成され、定包絡線基準アルゴリズムによって電気信号の適応等化を行う。
搬送波推定部36aは、適応等化部35aによって適応等化が行われた2つの電気信号(波長λ1に対応する電気信号)に対して搬送波推定を行う(ステップST2j−1)。搬送波推定部36bは、適応等化部35bによって適応等化が行われた2つの電気信号(波長λ2に対応する電気信号)に対して搬送波推定を行う(ステップST2j−2)。例えば、搬送波推定部36aおよび搬送波推定部36bは、電気信号から光信号の搬送波を推定することで、光送信部5Bが備える光源50aおよび光源50bのそれぞれから出力された光と局発光との周波数差および位相差を補償する。
デマッピング部62aは、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた電気信号の一方をデマッピングして、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST3j−1)。デマッピング部62bは、搬送波推定部36aによって搬送波推定が行われた電気信号の他方をデマッピングして、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST3j−2)。
さらに、デマッピング部62cは、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた電気信号の一方をデマッピングして、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST3j−3)。デマッピング部62dは、搬送波推定部36bによって搬送波推定が行われた電気信号の他方をデマッピングして、当該電気信号を尤度に変換する(ステップST3j−4)。
デスクランブラ63aは、デマッピング部62aによって生成された尤度に対して、スクランブラ41aによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST4j−1)。デスクランブラ63bは、デマッピング部62bによって生成された尤度に対して、スクランブラ41bによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST4j−2)。
デスクランブラ63cは、デマッピング部62cによって生成された尤度に対して、スクランブラ41cによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST4j−3)。デスクランブラ63dは、デマッピング部62dによって生成された尤度に対して、スクランブラ41dによって行われたスクランブルに対応したデスクランブルを行う(ステップST4j−4)。
続いて、尤度合成部64は、デスクランブラ63a〜63dによってそれぞれデスクランブルされた尤度を合成する(ステップST5j)。次に、FEC復号部65は、尤度合成部64によって合成された尤度をFEC復号し、復号されたデータを出力する(ステップST6j)。
以上のように、実施の形態11に係る空間光通信システムにおいて、受信DSP3Gが、光受信部2Bによってコヒーレント検波された複数の電気信号を適応等化し、適応等化が行われた複数の電気信号に対してそれぞれ搬送波推定を行い、搬送波推定が行われた複数の電気信号をそれぞれデマッピングする。そして、受信DSP3Gは、デマッピングによって生成された複数の尤度に対して、互いに異なるスクランブルのそれぞれに対応したデスクランブルを行い、デスクランブルされた複数の尤度を合成して、合成された尤度に対してFEC復号を行う。光送信部5Bから送信された複数の光信号は、偏波が直交しているため、互いに干渉せずに、光受信部2Bにおいてコヒーレント検波される。送信波長のそれぞれに対応する2つの信号に対して適応等化および搬送波推定を行われてから、全ての信号が合成されるので、SN比が最大になるように合成される。このため、空間光受信器は、実施の形態7から実施の形態9までに示した空間光受信器よりも、多くのダイバーシティ効果が得られる。
実施の形態12.
図33は、実施の形態12に係る空間光送信器1Cの構成を示すブロック図である。
図33に示すように、空間光送信器1Cは、光源50a、光源50b、IQ変調器52a、IQ変調器52b、スプリッタ56a、スプリッタ56b、偏波回転部53a、偏波回転部53b、偏波回転部53c、偏波回転部53d、コリメータ54a、コリメータ54b、コリメータ54c、コリメータ54d、第1の指向制御ミラー57a、第2の指向制御ミラー57b、第3の指向制御ミラー57c、光学系55a、光学系55b、光学系55c、光学系55d、指向制御部58、ビームスプリッタ59a、ビームスプリッタ59b、ビームスプリッタ59cおよびビームスプリッタ59dを備える。光源50aおよび光源50bは、互いに異なる単一波長の光を出力する光源であり、例えば、半導体レーザである。図3において、光源50aは、波長λ1の光を出力し、光源50bは、λ1とは異なる波長λ2の光を出力する。
IQ変調器52aは、光源50aから出力された光を、送信する信号に応じて変調し、変調された単一偏波の光信号を生成する変調部である。IQ変調器52bは、光源10bから出力された光を、送信する信号に応じて変調し、変調された単一偏波の光信号を生成する変調部である。実施の形態2と同様に、例えば、送信する信号がQPSK信号である場合、IQ変調器52aは、光源50aから出力された光を、同一のQPSK信号に変調することで、波長がλ1でX偏波の光信号を生成する。IQ変調器52bは、光源50bから出力された光を、同一のQPSK信号に変調することで、波長がλ2でX偏波の光信号を生成する。
スプリッタ56aは、IQ変調器52aによって変調された光信号を、2つに分配する送信側分配部である。スプリッタ56bは、IQ変調器52bによって変調された光信号を、2つに分配する送信側分配部である。スプリッタ56aは、IQ変調器52aによって変調された光信号を偏波回転部53aと偏波回転部53bに分配する。スプリッタ56bは、IQ変調器52bによって変調された光信号を偏波回転部53cと偏波回転部53dに分配する。
偏波回転部53aおよび偏波回転部53bは、スプリッタ56aによって分配された光信号の偏波を回転させる。偏波回転部53aから出力された光信号と偏波回転部53bから出力された光信号は、直交する2偏波の光信号であり、例えば、右円偏光と左円偏光である。さらに、偏波回転部53cおよび偏波回転部53dは、スプリッタ56bによって分配された光信号の偏波を回転させる。偏波回転部53cから出力された光信号と偏波回転部53dから出力された光信号は、直交する2偏波の光信号であり、例えば、右円偏光と左円偏光である。
コリメータ54aは、偏波回転部53aによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。コリメータ54bは、偏波回転部53bによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する送信側光学系である。コリメータ54cは、偏波回転部53cによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する。コリメータ54dは、偏波回転部53dによって偏波が回転された光信号を入力して、入力された光信号を平行光に変換する。
第1の指向制御ミラー57aは、送信側光学系であるコリメータ54bから出力された光信号の指向を制御する指向制御ミラーである。第2の指向制御ミラー57bは、送信側光学系であるコリメータ54cから出力された光信号の指向を制御する指向制御ミラーである。第3の指向制御ミラー57cは、送信側光学系であるコリメータ54dから出力された光信号の指向を制御する指向制御ミラーである。指向制御部58は、ビームスプリッタ59a〜59dのそれぞれによって分配された光信号の指向ずれを検出して、検出された指向ずれが補償されるように、第1の指向制御ミラー57a、第2の指向制御ミラー57bおよび第3の指向制御ミラー57cを制御する。
また、光学系15aは、偏波回転部53aによって偏波が回転され、コリメータ54aによって平行光に変換された光信号を、ビームスプリッタ59aに出力する送信側光学系である。光学系15bは、偏波回転部53bによって偏波が回転され、コリメータ54bによって平行光に変換され、第1の指向制御ミラー57aを通った光信号を、ビームスプリッタ59bに出力する送信側光学系である。光学系15cは、偏波回転部53cによって偏波が回転され、コリメータ54cによって平行光に変換され、第2の指向制御ミラー57bを通った光信号を、ビームスプリッタ59cに出力する送信側光学系である。光学系15dは、偏波回転部53dによって偏波が回転され、コリメータ54dによって平行光に変換され、第3の指向制御ミラー57cを通った光信号を、ビームスプリッタ59dに出力する送信側光学系である。
ビームスプリッタ59aは、偏波回転部53aによって偏波が回転され、コリメータ54aによって平行光に変換された光信号を、第1の光信号と第2の光信号に分配し、第1の信号を空間に送信し、第2の光信号を指向制御部58に出力する送信側ビームスプリッタである。ビームスプリッタ59bは、第1の指向制御ミラー57aによって指向が制御された光信号を第1の光信号と第2の光信号に分配し、第1の信号を空間に送信し、第2の光信号を指向制御部58に出力する送信側ビームスプリッタである。ビームスプリッタ59cは、第2の指向制御ミラー57bによって指向が制御された光信号を第1の光信号と第2の光信号に分配し、第1の信号を空間に送信し、第2の光信号を指向制御部58に出力する送信側ビームスプリッタである。ビームスプリッタ59dは、第3の指向制御ミラー57cによって指向が制御された光信号を第1の光信号と第2の光信号に分配し、第1の信号を空間に送信し、第2の光信号を指向制御部58に出力する送信側ビームスプリッタである。
図33では、波長λ1の右円偏光がビームスプリッタ59aから送信され、波長λ1の左円偏光がビームスプリッタ59bから送信される。波長λ2の右円偏光がビームスプリッタ59cから送信され、波長λ2の左円偏光がビームスプリッタ59dから送信されている。
光学系15a、光学系15b、光学系15cおよび光学系15dは、入力された光信号のビーム径を広げてから空間に送信する。また、光学系15a〜15dのそれぞれの間隔は、実施の形態1と同様に、フリードパラメータよりも大きい値である。
また、図33には、4つの光学系に対して3つの指向制御ミラーを有した空間光送信器1Cを示した。ただし、空間光送信器1CがN(Nは2以上の自然数)個の光学系を有する場合、(N−1)個の指向制御ミラーが、(N−1)個のコリメータと(N−1)個の光学系との間に配置される。
図34は、指向制御部58の構成を示すブロック図である。図34において、指向制御部58は、ビームコンバイナ580〜582、集光レンズ583、イメージセンサ584および制御部585を備える。ビームコンバイナ580は、ビームスプリッタ59cによって分配された波長λ2の右円偏光とビームスプリッタ59dによって分配された波長λ2の左円偏光とを合波してビームコンバイナ581に出力する。ビームコンバイナ581は、ビームコンバイナ580から入力した光信号とビームスプリッタ59bによって分配された波長λ1の左円偏光とを合波してビームコンバイナ582に出力する。ビームコンバイナ582は、ビームコンバイナ581から入力した光信号とビームスプリッタ59aによって分配された波長λ1の右円偏光とを合波して集光レンズ583に出力する。
集光レンズ583は、ビームコンバイナ582から入力した光信号を、イメージセンサ584上に集光するレンズである。イメージセンサ584は、集光レンズ583によって集光された光を受光するセンサである。制御部585は、イメージセンサ584上の集光点の位置に応じて、第1の指向制御ミラー57a、第2の指向制御ミラー57bおよび第3の指向制御ミラー57cを制御する。
次に、指向制御部58の動作について説明する。
図35は、指向制御部58の動作を示すフローチャートである。
ビームスプリッタ59a〜59dによって指向制御部58に分配された4つの光信号(波長λ1の左円偏光、波長λ1の右円偏光、波長λ2の左円偏光、波長λ2の右円偏光)は、ビームコンバイナ580〜582によって合波される。集光レンズ583は、ビームコンバイナ582から入力した光信号を、イメージセンサ584の受光面に集光させる。制御部585は、イメージセンサ584の受光面上の集光点の位置を取得する。
制御部585は、イメージセンサ584の受光面上の4つの信号光に対応する集光点の相互のずれを検出して、4つの集光点が一致するように、第1の指向制御ミラー57a、第2の指向制御ミラー57bおよび第3の指向制御ミラー57cを制御する。
まず、制御部585は、第2の指向制御ミラー57bと第3の指向制御ミラー57cの駆動機構を制御して、波長λ2の左円偏光および波長λ2の右円偏光の集光点を、イメージセンサ584の範囲外(受光面外)に移動させる(ステップST1k)。
次に、制御部585は、波長λ1の左円偏光の集光点と波長λ1の右円偏光の集光点がイメージセンサ584の受光面上で一致するように、第1の指向制御ミラー57aの駆動機構を制御する(ステップST2k)。
制御部585は、波長λ1の左円偏光の集光点と波長λ1の右円偏光の集光点がイメージセンサ584の受光面上で一致したときの第1の指向制御ミラー57aの制御値を記録する(ステップST3k)。例えば、第1の指向制御ミラー57aの制御値は、制御部585から読み書き可能なメモリに記録される。
続いて、制御部585は、第1の指向制御ミラー57aと第3の指向制御ミラー57cの駆動機構を制御して、波長λ1の左円偏光および波長λ2の左円偏光の集光点を、イメージセンサ584の範囲外に移動させる(ステップST4k)。
次に、制御部585は、波長λ1の右円偏光の集光点と波長λ2の右円偏光の集光点がイメージセンサ584の受光面上で一致するように、第2の指向制御ミラー57bの駆動機構を制御する(ステップST5k)。
制御部585は、波長λ1の右円偏光の集光点と波長λ2の右円偏光の集光点がイメージセンサ584の受光面上で一致したときの第2の指向制御ミラー57bの制御値を記録する(ステップST6k)。
続いて、制御部585は、第1の指向制御ミラー57aと第2の指向制御ミラー57bの駆動機構を制御して、波長λ1の左円偏光および波長λ2の右円偏光の集光点を、イメージセンサ584の範囲外に移動させる(ステップST7k)。
次に、制御部585は、波長λ1の右円偏光の集光点と波長λ2の左円偏光の集光点がイメージセンサ584の受光面上で一致するように、第3の指向制御ミラー57cの駆動機構を制御する(ステップST8k)。
この後、制御部585は、波長λ1の右円偏光の集光点と波長λ2の左円偏光の集光点がイメージセンサ584の受光面上で一致したときの第3の指向制御ミラー57cの制御値Aを記録する(ステップST9k)。さらに、制御部585は、第1の指向制御ミラー57aと第2の指向制御ミラー57bの駆動機構の制御値として、ステップST9kにて記録された制御値Aを設定する(ステップST10k)。制御値Aで第1の指向制御ミラー57aと第2の指向制御ミラー57bを制御することで、波長λ1の左円偏光、波長λ1の右円偏光、波長λ2の左円偏光および波長λ2の右円偏光の指向ずれを補償することができる。
次に、指向制御部58の機能を実現するハードウェア構成について説明する。
指向制御部58における制御部585の機能は処理回路により実現される。すなわち、指向制御部58は、図35のステップST1kからステップST10kまでの処理を実行するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPUであってもよい。
図36Aは、指向制御部58の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図36Bは、指向制御部58の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。図36Aおよび図36Bにおいて、集光レンズ200は、図34に示した集光レンズ583である。イメージセンサ201は、図34に示したイメージセンサ584である。イメージセンサ584は、例えば固体撮像素子である。ビームコンバイナ202は、図34に示したビームコンバイナ580〜582である。
処理回路が図36Aに示す専用のハードウェアの処理回路203である場合、処理回路203は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。制御部585の機能を、別々の処理回路で実現してもよく、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
処理回路が図36Bに示すプロセッサ204である場合、制御部585の機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。なお、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ205に記憶される。
プロセッサ204は、メモリ205に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、制御部585の機能を実現する。例えば、指向制御部58は、プロセッサ204によって実行されるときに、図35に示したフローチャートのステップST1kからステップST10kまでの処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ205を備える。このプログラムは、制御部585の手順または方法をコンピュータに実行させる。メモリ205は、コンピュータを、指向制御部58として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
メモリ205は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
制御部585の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせによって上記機能を実現することができる。
これまで、図33を用いて、指向制御ミラー、指向制御部およびビームスプリッタを、実施の形態3で示した空間光送信器(図3)に追加した構成を説明した。ただし、これは一例であり、指向制御ミラー、指向制御部およびビームスプリッタは、実施の形態1で示した空間光送信器(図1)に追加することもできるし、実施の形態2で示した空間光送信器(図2)に追加することもできる。さらに、指向制御ミラー、指向制御部およびビームスプリッタは、実施の形態7から実施の形態11までに示した光送信部5、光送信部5Aおよび光送信部5Bに追加することができる。いずれにおいても、指向制御ミラーは、コリメータと光学系との間に配置される。ビームスプリッタは、光学系の後段に配置され、光学系から出力された光の一部を指向制御部に分配し、残りの光を空間に送信する。
以上のように、実施の形態12に係る空間光送信器1Cは、第1の指向制御ミラー57a、第2の指向制御ミラー57b、第3の指向制御ミラー57c、指向制御部58、ビームスプリッタ59a〜59dを備える。この構成を有することで、空間光送信器1Cは、空間に送信する光信号の指向ずれを補償することができる。
例えば、送信側光学系から空間へ送信される光信号に指向ずれがある場合、全ての送信側光学系から光を受信器側に伝播させるためには、光信号のビームの広がりを指向ずれよりも大きくする必要があった。これに対して、空間光送信器1Cでは、空間へ送信される光信号の指向ずれを補償するので、光信号のビームの広がりを小さくしても、受信器側に効率的に伝播させることができる。
ここで、実施の形態7から実施の形態12までに示した空間光送信器の機能を実現するハードウェア構成について説明する。空間光送信器における送信DSPの機能は処理回路により実現される。すなわち、空間光送信器は、前述した送信DSPによる処理を実行するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPUであってもよい。
図37Aは、実施の形態7から実施の形態12までのそれぞれの光送信部および送信DSPの機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図37Bは、実施の形態7から実施の形態12までのそれぞれの光送信部および送信DSPの機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。図37Aおよび図37Bにおいて、光送信装置300は、実施の形態7から実施の形態12までに示した光送信部である。
処理回路が図37Aに示す専用のハードウェアの処理回路301である場合、処理回路301は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。送信DSPの機能を、別々の処理回路で実現してもよく、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
処理回路が図37Bに示すプロセッサ302である場合、送信DSPの機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。なお、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ303に記憶される。
プロセッサ302は、メモリ303に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、送信DSPの機能を実現する。例えば、送信DSPは、プロセッサ302によって実行されるときに、図19に示したフローチャートのステップST1dからの処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ303を備える。このプログラムは、送信DSPの手順または方法をコンピュータに実行させる。メモリ303は、コンピュータを、送信DSPとして機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
メモリ303は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
送信DSPの機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせによって上記機能を実現することができる。
続いて、実施の形態7から実施の形態12までに示した空間光受信器の機能を実現するハードウェア構成について説明する。空間光受信器における受信DSPの機能は処理回路により実現される。すなわち、空間光受信器は、前述した受信DSPによる処理を実行するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPUであってもよい。
図38Aは、実施の形態5から実施の形態12までのそれぞれの光受信部および受信DSPの機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図38Bは、実施の形態5から実施の形態12までのそれぞれの光受信部および受信DSPの機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。図38Aおよび図38Bにおいて、光受信装置400は、実施の形態5から実施の形態12までに示した光受信部である。
処理回路が図38Aに示す専用のハードウェアの処理回路401である場合、処理回路401は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。受信DSPの機能を、別々の処理回路で実現してもよく、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
処理回路が図38Bに示すプロセッサ402である場合、受信DSPの機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。なお、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ403に記憶される。
プロセッサ402は、メモリ403に記憶されたプログラムを読み出して実行することで、受信DSPの機能を実現する。例えば、受信DSPは、プロセッサ402によって実行されるときに、図12に示したフローチャートのステップST1bからの処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ403を備える。このプログラムは、受信DSPの手順または方法をコンピュータに実行させる。メモリ403は、コンピュータを、受信DSPとして機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
メモリ403は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
受信DSPの機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせによって上記機能を実現することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、実施の形態のそれぞれの自由な組み合わせまたは実施の形態のそれぞれの任意の構成要素の変形もしくは実施の形態のそれぞれにおいて任意の構成要素の省略が可能である。