JP6094068B2 - 受信信号処理装置、受信信号処理方法およびプログラム - Google Patents

受信信号処理装置、受信信号処理方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、受信信号処理装置、受信信号処理方法およびプログラムに関し、特に、偏波ダイバーシティ受信において最大比合成法を用いた受信信号処理装置、受信信号処理方法およびプログラムに関する。
長距離光伝送システムにおいては、伝送距離の長距離化、あるいは歪や揺らぎが多い環境下での良好な通信の実現が期待されている。これを実現するために、高受信感度を得ることが可能な、多値変調信号を用いたコヒーレント光通信方式を採用することが提案されている。このようなコヒーレント光通信方式の一例が非特許文献1に記載されている。
非特許文献1に記載されたコヒーレント光通信方式では、偏波状態に依存しない偏波ダイバーシティ受信方式を用いて通信品質の向上を図っている。この方式においては、偏波ビームスプリッタが多値変調光信号を直交する2つの偏波の光信号に分離する。次に90°ハイブリッド回路は分離された各光信号を局部発振器の発振光(局発光)と混合させ、各偏波について、それぞれ同相成分および直交成分に対応する光信号を出力する。フォトダイオードは各90°ハイブリッド回路の出力光信号を電気信号に変換する。
そして、偏波ダイバーシティ受信方式を実システムに適用するために、入力信号の偏波状態による受信感度の変化を、デジタル信号処理による最大比合成法(Maximal−Ratio−Combining:MRC)を用いて補正することとしている。
Satoshi Tsukamoto, Yuta Ishikawa, and Kazuro Kikuchi, "Optical Homodyne Receiver Comprising Phase and Polarization Diversities with Digital Signal Processing," European Conference on Optical Communications, 2006. ECOC 2006, 24-28 Sept. 2006 遠藤 一臣、橋本 陽一、福知 清「楕円偏波状態単一偏波QPSK信号に対する最大比合成法の性能検証」、2011年電子情報通信学会通信ソサイエティ大会、通信講演論文集1、2011年9月13日、B−2−26、p.257 Rene Schmogrow et al., "Error Vector Magnitude as a Performance Measure for Advanced Modulation Formats," Photonics Technology Letters, IEEE, vol.24, no.1, pp.61-63, Jan.1, 2012
上述した非特許文献1に記載された最大比合成法(MRC)を適用した、関連するコヒーレント光送受信システムについて検討する。図8に、関連するコヒーレント光送受信システム3000の構成の一例を示す。関連するコヒーレント光送受信システム3000においては、情報源300からのデータ系列が送信器310、伝送路ファイバ320、および受信器330を介して情報受信器340に伝送される。
送信器310は変調処理部311、増幅器312、および電気光変換器(EO変換器)313を有する。変調処理部311は、情報源300からのデータ系列に対して伝送方式に応じた信号変調処理を行う。増幅器312は信号強度を増幅する。電気光変換器(EO変換器)313は電気信号から光信号へ変換し、この光信号を伝送路ファイバ320に送出する。
受信器330は、光受信部331、光電気変換部(OE変換部)332、パワー比・位相差再生部333、MRC処理部334、および復調処理部335を有する。光受信部331は伝送路ファイバ320から入力される光信号を受信する。光電気変換部(OE変換部)332は光信号を電気信号へ変換する。パワー比・位相差再生部333は受信した電気信号からパワー比と位相差を再生する。MRC処理部334は最大比合成(MRC)演算処理を行う。そして復調処理部335は変調された信号の復調処理を行い、復調したデータ系列を情報受信器340に受け渡す。
次に、パワー比・位相差再生部333の動作について説明する。図9は、関連するパワー比・位相差再生部333の動作を説明するためのフローチャートである。
パワー比・位相差再生部333はまず、光電気変換部(OE変換部)332から出力信号X、X、Y、Yを取得する(ステップS31)。取得したX、X、Y、Yから下記の式(1)、(2)により複素数E、Eを求める(ステップS32)。
=X+iX (1)
=Y+iY (2)
次に、複素数E、Eの絶対値の大小を比較する(ステップS33)。
比較した結果、|E|<|E|である場合(ステップS33/YES)、下記の式(3)により複素数振幅比rを求める(ステップS34)。
r=E/E (3)
ここで求めた複素数振幅比rを用いて、下記の式(4)、(5)により光電気変換部(OE変換部)332の出力信号のパワー比αrepおよび位相差δを算出する(ステップS35)。
αrep=|r|/(1+|r|) (4)
δ=arg(r) (5)
一方、ステップS33における比較結果が|E|≧|E|である場合(ステップS33/NO)、パワー比・位相差再生部333は下記の式(6)により複素数振幅比irを求める(ステップS36)。
ir=E/E (6)
そして、ここで求めた複素数振幅比irを用いて、下記の式(7)、(8)によりパワー比αrepおよび位相差δを算出する(ステップS37)。
αrep=1/(1+|ir|) (7)
δ=−arg(ir) (8)
最後に、パワー比・位相差再生部333は算出したパワー比αrepおよびδをMRC処理部334に出力する(ステップS38)。
MRC処理部334は、光電気変換部(OE変換部)332からの出力信号E、Eを上述のパワー比αrep(=α)と位相差δを用いて、例えば非特許文献1に記載されているように、下記の式(9)に示す最大比合成を行うことによって元の光変調信号Eを再生する。
Figure 0006094068
しかしながら、上述した関連するパワー比・位相差再生部を用いた受信信号処理装置には、最大比合成(MRC)法によって光変調信号Eを正しく再生できない、という問題があった。これは、空間を通して大容量光通信を行う空間光伝送システムのように、ノイズや伝送路の歪が大きいシステムにおいては、上述のパワー比αもノイズや歪の影響を受けるためである。
このように、最大比合成法を用いた受信信号処理装置をノイズや伝送路の歪が大きいシステムに適用すると、適正な再生信号が得られない、という問題があった。
本発明の目的は、上述した課題である、最大比合成法を用いた受信信号処理装置をノイズや伝送路の歪が大きいシステムに適用すると、適正な再生信号が得られない、という課題を解決する受信信号処理装置、受信信号処理方法およびプログラムを提供することにある。
本発明の受信信号処理装置は、単一偏波信号を受信し、偏波方向が互いに直交する第1の偏波信号と第2の偏波信号を出力する偏波分離部と、第1の偏波信号と第2の偏波信号とのパワー比と位相差を算出するパワー比・位相差算出部と、パワー比の区間平均であるパワー比補正値を算出するパワー比補正部と、パワー比補正値と位相差を用いて、第1の偏波信号と第2の偏波信号を最大比合成法により合成する最大比合成部、とを有する。
本発明の受信信号処理方法は、単一偏波信号を取得し、偏波方向が互いに直交する第1の偏波信号と第2の偏波信号を出力し、第1の偏波信号と第2の偏波信号とのパワー比と位相差を算出し、パワー比の区間平均であるパワー比補正値を算出し、パワー比補正値と位相差を用いて、第1の偏波信号と第2の偏波信号を最大比合成法により合成する。
本発明のプログラムは、コンピュータに、単一偏波信号を取得し、偏波方向が互いに直交する第1の偏波信号と第2の偏波信号を出力する手順と、第1の偏波信号と第2の偏波信号とのパワー比と位相差を算出する手順と、パワー比の区間平均であるパワー比補正値を算出する手順と、パワー比補正値と位相差を用いて、第1の偏波信号と第2の偏波信号を最大比合成法により合成する手順を実行させる。
本発明の受信信号処理装置、受信信号処理方法およびプログラムによれば、最大比合成法を用いた受信信号処理装置をノイズや伝送路の歪が大きいシステムに適用した場合であっても、適正な再生信号が得られる。
本発明の第1の実施形態に係る受信信号処理装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る受信信号処理装置が備えるパワー比補正部の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るコヒーレント光送受信システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るコヒーレント光送受信システムの受信信号処理装置が備える偏波分離部の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るコヒーレント光送受信システムの受信信号処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係るコヒーレント光送受信システムにおける、高ノイズ付加環境下におけるQPSK受信信号のコンスタレーション図である。 関連するコヒーレント光送受信システムにおける、高ノイズ付加環境下におけるQPSK受信信号のコンスタレーション図である。 関連するコヒーレント光送受信システムの構成を示すブロック図である。 関連するパワー比・位相差再生部の動作を説明するためのフローチャートである。
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る受信信号処理装置100の構成を示すブロック図である。受信信号処理装置100は、偏波分離部110、パワー比・位相差算出部120、パワー比補正部130、および最大比合成部140を有する。
偏波分離部110は、単一偏波信号を受信し、偏波方向が互いに直交する第1の偏波信号Eと第2の偏波信号Eを出力する。パワー比・位相差算出部120は、第1の偏波信号Eと第2の偏波信号Eとのパワー比αrepと位相差δを算出する。パワー比補正部130は、パワー比αrepの区間平均であるパワー比補正値αaveを算出する。そして、最大比合成部140は、パワー比補正値αaveと位相差δを用いて、第1の偏波信号Eと第2の偏波信号Eを最大比合成法により合成する。
また、本実施形態による受信信号処理方法は、まず、単一偏波信号を取得し、偏波方向が互いに直交する第1の偏波信号と第2の偏波信号を出力する。この第1の偏波信号と第2の偏波信号とのパワー比と位相差を算出する。そして、パワー比の区間平均であるパワー比補正値を算出する。最後に、このパワー比補正値と位相差を用いて、第1の偏波信号と第2の偏波信号を最大比合成法により合成する。
このように、本実施形態の受信信号処理装置および受信信号処理方法においては、最大比合成法を用いて偏波信号を合成する構成において、パワー比の区間平均を算出し、算出した区間平均値によりパワー比の補正を行う構成としている。これにより、ノイズ等の影響による合成対象となる信号強度の変動に影響されない受信が可能になる。すなわち、本実施形態の受信信号処理装置100によれば、最大比合成法を用いた受信信号処理装置をノイズや伝送路の歪が大きいシステムに適用した場合であっても、適正な再生信号を得ることができる。
Figure 0006094068
ここでパワー比補正部130は、パワー比補正値αaveとしてパワー比αrepの算出対象となるパワー比αrep_nからみた過去値と未来値を用いたパワー比αrepの移動平均を算出する構成とすることができる。具体的には、下記の式(10)により、パワー比αrep_nにおける移動平均であるパワー比補正値αn_aveを算出することができる。
上記の式(10)中、Nは移動平均を算出する際のデータ量である。αrep_n-1は現在のパワー比αrep_nより一つ過去に算出されたパワー比αを表す。また、αrep_n+1は現在のパワー比αrep_nよりも一つ未来に算出されたパワー比αを表す。図2に、式(10)の演算式を実行するパワー比補正部130のブロック図を示す。
ここで、m、pは移動平均を算出する際における、算出対象となるパワー比αrep_nから見たパワー比αの過去値とパワー比αの未来値の割合比を表わす。具体的には、過去値の個数mと未来値pの個数の比は75対25から10対90の間であることが望ましい。また、データ量Nの大きさである過去値の個数mと未来値の個数pとの和が、約30以上かつ約300以下であることが望ましい。
なお、上記説明ではパワー比補正部130がパワー比補正値として移動平均を用いることとしたが、これに限らず、加重平均法等の連続して到着する信号系列の区間平均を算出することとしてもよい。
式(10)から算出される補正されたパワー比補正値αn_aveと算出された位相差δが、最大比合成部140に渡される。最大比合成部140は、パワー比αとしてのパワー比補正値αaveと位相差δを用いて、第1の偏波信号Eと第2の偏波信号Eを最大比合成法により合成する。このとき、最大比合成部140は、例えば非特許文献1に記載されているように、上述の式(9)に示す最大比合成を行うことによって元の信号Eを再生することができる。これに限らず、非特許文献2に記載された下記の式(11)に示されるように、第1の偏波信号Eと第2の偏波信号Eの双方に位相補正項を掛け、位相補正量がパワー比αに比例することとした最大比合成アルゴリズムを用いることとしてもよい。
Figure 0006094068
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態においては、コヒーレント光送受信システムに受信信号処理装置を用いる場合について説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係るコヒーレント光送受信システム1000の構成を示すブロック図である。コヒーレント光送受信システム1000においては、情報源200からのデータ系列が送信器210、伝送路ファイバ220、および受信器230を介して情報受信器240に伝送される。
送信器210は変調処理部211、増幅器212、および電気光変換器(EO変換器)213を有する。変調処理部211は、情報源200からのデータ系列に対して伝送方式に応じた信号変調処理を行う。増幅器212は信号強度を増幅する。電気光変換器(EO変換器)213は電気信号から光信号へ変換し、この光信号を伝送路ファイバ220に送出する。
受信器230は受信信号処理装置100と復調処理部235を有する。受信信号処理装置100は第1の実施形態におけるものと同様の構成であり、偏波分離部110を構成する光受信部111と光電気変換部(OE変換部)115、パワー比・位相差算出部120、パワー比補正部130、および最大比合成部140を有する。
光受信部111は伝送路ファイバ320から入力される光信号を受信する。ここで光信号は単一偏波信号であり、本実施形態では光搬送波が多値位相変調された単一偏波光信号とした。また、光電気変換部(OE変換部)115は光信号を電気信号へ変換する。
図4に、本実施形態における偏波分離部110の構成を示す。偏波分離部110は光受信部111と光電気変換部(OE変換部)115を備える。
光受信部111は、偏光ビームスプリッタ112、90度ハイブリッド回路113、および局部発振器114を含んで構成される。
偏光ビームスプリッタ112は伝送路ファイバ220から多値位相変調された単一偏波光信号を受信し、第1の偏波光信号Xと、第1の偏波光信号Xと偏光方向が直交する第2の偏波光信号Yに分離する。
90度ハイブリッド回路113は、第1の偏波光信号Xと第2の偏波光信号Yを局部発振器114の発振光(連続光)とそれぞれ干渉させ、第1の偏波光信号Xと第2の偏波光信号Yをそれぞれ同相成分と直交成分に分離して出力する。局部発振器114には、例えば、分布帰還型レーザダイオードを用いることができる。
光電気変換部(OE変換部)115は光電変換器116〜119を備える。光電変換器116〜119は、90度ハイブリッド回路113の出力を光電変換し、それぞれ同相成分と直交成分からなる第1の偏波信号および第2の偏波信号として出力する。すなわち、光電変換器116は、第1の偏波光信号Xの同相成分に対応する光信号を受信して同相ベースバンド信号Xを出力する。光電変換器117は、第1の偏波光信号Xの直交成分に対応する光信号を受信して直交ベースバンド信号Xを出力する。同様に、光電変換器118は、第2の偏波光信号Yの同相成分に対応する光信号を受信して同相ベースバンド信号Yを出力する。光電変換器119は、第2の偏波光信号Yの直交成分に対応する光信号を受信して直交ベースバンド信号Yを出力する。
再び図3を参照し、パワー比・位相差算出部120は各ベースバンド信号X、X、Y、Yに基づいて、第1の偏波光信号Xと第2の偏波光信号Yとのパワー比αrepおよび位相差δを算出する。パワー比補正部130は、パワー比αrepの区間平均であるパワー比補正値αaveを算出する。
最大比合成部140は、算出されたパワー比補正値αaveと位相差δに基づいて最大比合成(MRC)演算処理を行い、同相ベースバンド信号Eおよび直交ベースバンド信号Eを算出する。そして復調処理部235は変調された信号の復調処理を行い、復調したデータ系列を情報受信器240に受け渡す。
なお上述した説明では、コヒーレント光送受信システム1000は情報源200および情報受信器240を配置した構成としたが、これに限らず、他のネットワーク装置と接続するためのクライアントインタフェースを備える構成であってもよい。
次に、パワー比・位相差算出部120およびパワー比補正部130の動作について説明する。図5は、パワー比・位相差算出部120およびパワー比補正部130の動作を説明するためのフローチャートである。
パワー比・位相差算出部120はまず、光電気変換部(OE変換部)115から出力信号X、X、Y、Yを取得する(ステップS11)。取得したX、X、Y、Yから下記の式(12)、(13)により複素数E、Eを求める(ステップS12)。
=X+iX (12)
=Y+iY (13)
次に、複素数E、Eの絶対値の大小を比較する(ステップS13)。
比較した結果、|E|<|E|である場合(ステップS13/YES)、下記の式(14)により複素数振幅比rを求める(ステップS14)。
r=E/E (14)
ここで求めた複素数振幅比rを用いて、下記の式(15)、(16)により光電気変換部(OE変換部)115の出力信号のパワー比αrepおよび位相差δを算出する(ステップS15)。
αrep=|r|/(1+|r|) (15)
δ=arg(r) (16)
一方、ステップS13における比較結果が|E|≧|E|である場合(ステップS13/NO)、パワー比・位相差算出部120は下記の式(17)により複素数振幅比irを求める(ステップS16)。
ir=E/E (17)
そして、ここで求めた複素数振幅比irを用いて、下記の式(18)、(19)によりパワー比αrepおよび位相差δを算出する(ステップS17)。
αrep=1/(1+|ir|) (18)
δ=−arg(ir) (19)
次に、パワー比補正部130はパワー比αrepの区間平均であるパワー比補正値αaveを算出する。このとき、第1の実施形態と同様に、パワー比補正部130はパワー比αrepの移動平均を算出する構成とすることができる。すなわち、パワー比補正部130はパワー比補正値αaveとしてパワー比αrepの算出対象となるパワー比αrep_nからみた過去値と未来値を用いたパワー比αrepの移動平均を算出する構成とすることができる。具体的には、上述した式(10)により、パワー比αrep_nにおける移動平均であるパワー比補正値αn_aveを算出する(ステップS18)。
最後に、パワー比補正部130は算出したパワー比補正値αn_aveおよびδを最大比合成部140に出力する(ステップS19)。
最大比合成部140は、算出されたパワー比補正値αaveをパワー比αとして用い、これと位相差δに基づいて最大比合成(MRC)演算処理を行う。この処理によって、同相ベースバンド信号Eおよび直交ベースバンド信号Eを算出する。このとき、第1の実施形態と同様に、上述した式(9)または式(11)により最大比合成を行うことができる。
図6に、本実施形態による受信信号処理装置100を用いたときの、高ノイズ付加環境下におけるQPSK受信信号のコンスタレーションを示す。図7は、関連する光受信器における、同じく高ノイズ付加環境下におけるQPSK受信信号のコンスタレーション図である。
図6の結果を図7と比較すると明らかなように、本実施形態による受信信号処理装置100を用いることにより、コンスタレーションが集中し、良好な受信特性が得られることがわかる。この結果を定量的に比較するため、両者におけるエラー・ベクトル振幅(Error Vector Magnitude:EVM)を算出した結果を以下に示す。ここでEVMとは、理想信号と実信号との差分から信号品質を測る指標である(例えば、非特許文献3を参照)。
本実施形態による受信信号処理装置100を用いた場合(図6)、EVM値は17.5%であり、関連する光受信器による場合(図7)は20.7%であった。これより、本実施形態によればEVM値が約3%(約1.2倍)向上することがわかる。また、非特許文献3より、QPSK信号を受信する場合、EVM値が20.7%のときのビット・エラー・レート(Bit Error Rate:BER)値は1×10−6であるのに対し、EVM値が17.5%のときのBER値は1×10−8となる。よって、BER値からも本実施形態による受信信号処理装置100によって受信信号品質が向上することがわかる。
本実施形態においては、コヒーレント光送受信システムに受信信号処理装置を用いる場合について説明した。しかし、これに限らず、無線伝送システムの受信側ベースバンド処理においても、本実施形態による受信信号処理装置を適用することができる。
なお、上述した実施形態による受信信号処理装置100は、ハードウェア装置、例えば、電子回路装置を用いて実装することができる。しかし、これに限らず、例えば、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)などのコンピュータにプログラムを実行させることによっても実現することが出来る。すなわち、コンピュータに、単一偏波信号を取得し、偏波方向が互いに直交する第1の偏波信号と第2の偏波信号を出力する手順と、第1の偏波信号と第2の偏波信号とのパワー比と位相差を算出する手順と、パワー比の区間平均であるパワー比補正値を算出する手順と、パワー比補正値と位相差を用いて、第1の偏波信号と第2の偏波信号を最大比合成法により合成する手順、を実行させることが出来る。
このとき、このプログラムは、例えば、受信器の内部に設けた記憶媒体または受信器の外部に設置した記憶媒体に記憶され、コンピュータによって読み出されて実行される構成とすることができる。受信器内部の記憶媒体には、例えば、ROM(Read Only Memory)素子やハードディスク装置等を用いることができる。また、受信器の外部に設置される記憶媒体としては、例えば、リムーバブルメディアやリムーバブルディスク等を用いることができる。
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
1000 コヒーレント光送受信システム
100 受信信号処理装置
110 偏波分離部
111 光受信部
112 偏光ビームスプリッタ
113 90度ハイブリッド回路
114 局部発振器
115 光電気変換部(OE変換部)
116、117、118、119 光電変換器
120 パワー比・位相差算出部
130 パワー比補正部
140 最大比合成部
200、300 情報源
210、310 送信器
211、311 変調処理部
212、312 増幅器
213、313 電気光変換器(EO変換器)
220、320 伝送路ファイバ
230 受信器
235 復調処理部
240 情報受信器
3000 関連するコヒーレント光送受信システム
330 受信器
331 光受信部
332 光電気変換部(OE変換部)
333 パワー比・位相差再生部
334 MRC処理部
335 復調処理部
340 情報受信器

Claims (9)

  1. 単一偏波信号を受信し、偏波方向が互いに直交する第1の偏波信号と第2の偏波信号を出力する偏波分離部と、
    前記第1の偏波信号と前記第2の偏波信号とのパワー比と位相差を算出するパワー比・位相差算出部と、
    前記パワー比の区間平均であるパワー比補正値を算出するパワー比補正部と、
    前記パワー比補正値と前記位相差を用いて、前記第1の偏波信号と前記第2の偏波信号を最大比合成法により合成する最大比合成部、とを有する
    受信信号処理装置。
  2. 前記パワー比補正値は、前記パワー比の算出対象からみた過去値と未来値を用いた前記パワー比の移動平均である
    請求項1に記載した受信信号処理装置。
  3. 前記過去値の個数と前記未来値の個数の比が、75対25から10対90の間である
    請求項2に記載した受信信号処理装置。
  4. 前記過去値の個数と前記未来値の個数との和が、30以上かつ300以下である
    請求項2または3に記載した受信信号処理装置。
  5. 前記単一偏波信号は、光搬送波が多値位相変調された単一偏波光信号である
    請求項1から4のいずれか一項に記載した受信信号処理装置。
  6. 前記偏波分離部は、偏光ビームスプリッタと、90度ハイブリッド回路と、局部発振器と、光電変換器、とを備え、
    前記偏光ビームスプリッタは、前記単一偏波光信号を第1の偏波光信号と、前記第1の偏波光信号と偏光方向が直交する第2の偏波光信号に分離し、
    前記90度ハイブリッド回路は、前記第1の偏波光信号と前記第2の偏波光信号を前記局部発振器の発振光とそれぞれ干渉させ、前記第1の偏波光信号と前記第2の偏波光信号をそれぞれ同相成分と直交成分に分離して出力し、
    前記光電変換器は、前記90度ハイブリッド回路の出力を光電変換し、それぞれ同相成分と直交成分からなる前記第1の偏波信号および前記第2の偏波信号として出力する
    請求項5に記載した受信信号処理装置。
  7. 単一偏波信号を取得し、偏波方向が互いに直交する第1の偏波信号と第2の偏波信号を出力し、
    前記第1の偏波信号と前記第2の偏波信号とのパワー比と位相差を算出し、
    前記パワー比の区間平均であるパワー比補正値を算出し、
    前記パワー比補正値と前記位相差を用いて、前記第1の偏波信号と前記第2の偏波信号を最大比合成法により合成する
    受信信号処理方法。
  8. 前記パワー比補正値の算出において、前記パワー比の算出対象からみた過去値と未来値を用いて前記パワー比の移動平均を算出する
    請求項7に記載した受信信号処理方法。
  9. 前記パワー比の移動平均の算出において、前記過去値の個数と前記未来値の個数の比が、75対25から10対90の間であり、前記過去値の個数と前記未来値の個数との和が、30以上かつ300以下である
    請求項8に記載した受信信号処理方法。
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