以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、線状センサの一実施形態に相当する電線センサの断面図である。
図1に示す電線センサA1は、内部導体A11と、圧電体A12と、外部導体A13と、シースA14から構成されている。
内部導体A11は、直径が30μmのステンレスワイヤAsyを7本撚り合わせた撚り線A111を、正六角形の各頂点およびその正六角形の中心に配置した状態で、さらにこれらの撚り線A111を撚り合わせたものである。すなわち、7本の撚り線A111を1次撚り線として最密構造に配置し、これら7本の1次撚り線をさらに撚り合わせた2次撚り線になる。複数本の線状体を甘撚、あるいは中撚程度に撚っておくことで、撚りの方向とは逆方向の緩みを許容し、この緩みが柔軟性を与えることができる。特に、1次撚り線と2次撚り線といったように2段階に分けて撚っておくことで、柔軟性がさらに向上する。なお、2次撚り線を複数本用意してさらに撚り合わせて3次撚り線・・・といったように3段階以上の複数段階に分けて撚ってもよい。また、2次撚り線の撚り方向は、1次撚り線の撚り方向と同じ方向である。ただし、内部導体A11の柔軟性をさらに高めたい場合には、2次撚り線の撚り方向と1次撚り線の撚り方向とを逆方向にしてもよい。図1に示す内部導体A11全体の直径は、0.27mmであり、その内部導体A11の切断荷重は0.058kNになる。
1次撚り線を構成するステンレスワイヤAsyの本数は、7本に限らない。また、ステンレスワイヤAsy1本の直径は、10μm以上40μm以下であればよく、20μm以上30μm以下であることが好ましい。ステンレスワイヤは、細ければ細いほど柔軟性は高められるが強度が低下し、太ければ太いほど柔軟性は低下するが強度が高められる。直径が20μmのステンレスワイヤAsyを用いた場合には、内部導体A11の切断荷重は0.025kNになり、直径が40μmのステンレスワイヤAsyを用いた場合には、内部導体A11の切断荷重は0.107kNになる。また、内部導体全体の直径としては、0.15mm以上0.8mm以下であればよく、0.18mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
なお、1次撚り線の直径を異ならせてもよい。例えば、内部導体A11を構成する中央に位置する撚り線A111の直径を、その周囲に位置する撚り線A111よりも太くしてもよいし、あるいは反対に細くしてもよい。また、撚り線A111を構成するステンレスワイヤAsyの直径も、撚り線A111ごとに異ならせてもよい。例えば、太い撚り線A111を得るために、相対的に太いステンレスワイヤAsyを用いてもよいし、細い撚り線A111を得るために、相対的に細いステンレスワイヤAsyを用いてもよい。さらには、撚り線A111を構成するステンレスワイヤAsyの本数を、撚り線A111ごとに異ならせてもよい。例えば、太い撚り線A111を得るために、相対的に多数本のステンレスワイヤAsyを用いてもよいし、細い撚り線A111を得るために、相対的の少数本のステンレスワイヤAsyを用いてもよい。また、撚り線A111は、ステンレスワイヤAsyのみからなるものの他に、他の導電性材料の線とステンレスワイヤAsyを撚り合わせたものであってもよい。ここにいう導電性材料としては、ステンレスと、電気抵抗値が異なる材料であったり機械的強度が異なる材料であったりする。例えば、銅、チタン、マグネシウム等の一種類であってもよいし、これらの材料の組み合わせであってもよい。
さらに、内部導体A11は、撚り線A111のみから構成されたものであってもよいし、撚り線A111と他の金属線から構成されたものであってもよい。例えば、他の金属線として、ステンレスよりも電気抵抗が低い金属線を用いてもよいし、ステンレスよりも柔らかい金属線を用いてもよい。例えば、ステンレスよりも電気抵抗が低く、かつ柔らかい銅の金属線を用いてもよい。より具体的には、他の金属線として1本の銅線を用い、撚り線A111が正六角形の各頂点に配置されその正六角形の中心に1本の銅線が配置された状態で全体が撚られたものであってもよいし、撚り線A111が正六角形の頂点のうち一つおきに配置され残りの頂点には銅線が配置され、その正六角形の中心には銅線又は撚り線A111が配置された状態で全体が撚られたものであってもよい。あるいは、1本の銅線に代えて、複数の細い銅線を撚り合わせたものを用いてもよいし、細い銅線とステンレスワイヤAsyを撚り合わせたものを用いてもよい。さらには、銅に代えてチタンやマグネシウムを用いてもよいし、銅とチタン、銅とマグネシウム、チタンとマグネシウム、銅とチタンとマグネシウムといった異種金属の組み合わせであってもよく、以下の説明で、銅を例示した場合にも同じである。
また、内部導体A11を構成する中央に位置する線状体(図1では撚り線A111)と、その周囲に位置する線状体(図1では6本の撚り線A111)との隙間AS1に、線状体を配置してもよい。この隙間AS1に配置される線状体としては、1本の銅線であってもよいし、ステンレスワイヤAsyの撚り線であってもよいし、複数の細い銅線を撚り合わせた撚り線であってもよい。さらに、上記周囲に位置する線状体(図1では6本の撚り線A111)どうしの外側の隙間AS2にも、線状体を配置してもよい。この外側の隙間AS2に配置される線状体も、1本の銅線であってもよいし、ステンレスワイヤAsyの撚り線であってもよいし、複数の細い銅線を撚り合わせた撚り線であってもよい。ここで説明したように、内部導体A11を構成する線状体どうしの隙間に、さらに線状体を追加してもよい。
また、内部導体A11は、上記最密構造に限らず、1本の銅線を中心に、その周囲を、中心の銅線よりも細い撚り線A111で囲んだ構成であってもよいし、20μm以上30μm以下の1本のステンレスワイヤを中心に、その周囲を、中心のステンレスワイヤよりも細い銅線で囲んだ構成であってもよい。これらの例でも、内部導体A11を構成する線状体の太さを異ならせている。なお、ここで説明した1本の銅線は、複数の細い銅線を撚り合わせたものであってもよい。
圧電体A12は、幅3mmの帯状のピエゾフィルムから構成されたものである。このピエゾフィルムは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる。ポリフッ化ビニリデンは、高い電圧が付与されて分極すると圧電効果が発生する軽量の高分子材料であり、これに外力を加えると電圧が発生し、電圧を加えると歪が発生する特性を備えている。圧電体A12には分極処理が施されており、圧電体A12に外部から力が加わったときに内部導体A11と外部導体A13の間に電圧が誘起される。なお、内部導体A11と外部導体A13の間に電圧をかけると、圧電体A12に変形(歪み)が生じる。内部導体A11の外周面には、このピエゾフィルムが螺旋状に隙間なく巻き付けられている。すなわち、このピエゾフィルムを内部導体A11の外周面に螺旋状に巻き付ける際に、内部導体A11の延在方向に隣り合うピエゾフィルムの幅方向の一端と他端どうしを重ね合わせた状態で巻き付けていく。こうすることで、ピエゾフィルムの面積をなるべく大きくとることができ、センサ感度の向上につながる。帯状のピエゾフィルムの幅は、3mmに限られず、2mm以上5mm以下であればよく、3mm以上4mm以下が好ましい。ピエゾフィルムの幅が狭すぎると内部導体A11の外周面に螺旋状に巻き付ける際に内部導体A11の延在方向に隣り合うピエゾフィルムの間に隙間が生じやすくなってしまう。隙間が生じた箇所は、センシングできない箇所になってしまう。一方、ピエゾフィルムの幅が広すぎると内部導体A11の外周面に螺旋状に巻き付ける際に弛みが生じやすくなってしまう。
図1に示す圧電体A12を構成するピエゾフィルムの厚さは、28μmであるが、20μm以上100μm以下であればよく、25μm以上80μm以下であることが好ましい。ピエゾフィルムの厚さが薄すぎるとセンサとしての感度が不十分になってしまい、反対に厚すぎると電線センサA1が硬くなりすぎてしまい柔軟性に欠けてしまう。
さらに、圧電体A12に採用するピエゾフィルムは、ピエゾ特性が、長手方向(伸び方向)にしか対応していないものよりも、結晶の配向性により複数方向(伸び方向及び曲げ方向)に対応したものである方が好ましい。
外部導体A13は、圧電体A12の外周面に、1本の銅線を1列に螺旋状に巻き付けたものである。すなわち、横巻きシールドの構成である。銅線としては、直径50μmのスズメッキ軟銅線を用いる。なお、外部導体A13は、銅線に限らず、ステンレスワイヤの撚り線であってもよく、例えば、内部導体A11を構成する1次撚り線(撚り線A111)と同じものであってもよい。また、外部導体A13の厚さは、10μm以上120μm以下であればよく、25μm以上90μm以下であることが好ましい。すなわち、内部導体A11の直径よりも薄い。さらに、この外部導体A13は、圧電体A12の外周面に、導線をクロスして編み上げた編組シールドであってもよいし、テープ状の導体を螺旋状に巻き付けていったテープシールドであってもよい。ただし、横巻きシールドが最も柔軟性が高い。またさらに、外部導体A13は、複数本の導線を螺旋状に巻き付けていったものであってもよいし、複数本のテープ状の導体を螺旋状に巻き付けていったものであってもよい。
ここで、内部導体A11は、外部導体A13よりも機械的強度が高いものである。
シースA14は、外部導体A13を覆うものであり、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めるためのものである。シースA14は、ポリエステルテープであってもよく、その厚みは、20μm以上40μm以下であればよい。なお、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高める必要がなければ、シースA14を設けなくてもよい。
図1に示すシースA14は厚さが30μmの単層構造であるが、複層構造であってもよい。例えば、内層と外層とからなる2層構造であってもよく、内層は、外装に比べて柔らかい材質(例えば、ポリアミド合成樹脂やポリ塩化ビニル樹脂)で形成されており、外層は、内層に比べて耐摩耗性が高い材質(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)で形成されている。また、外層は、内層よりも厚くてもよい。さらに、内層は、可燃性材料で形成されていてもよいが、外層は、難燃性材料、不燃性材料、耐炎性材料で形成されていることが好ましい。
図1に示す電線センサA1は、全体の直径(太さ)が、0.378mmであり、十分に細いにもかかわらず、内部導体A11の切断荷重は0.058kNであるため、内部導体A11をピンと張った状態で、帯状のピエゾフィルムを巻き付けることができ、内部導体A11の外周面とピエゾフィルムとの間に隙間が生じてしまうことが抑えられ、電線センサA1を用いた正確な計測や検知が可能になる。
内部導体A11の外周面にピエゾフィルムを螺旋状に巻き付けると、ピエゾフィルムは内部導体A11の外周形状に馴染み、圧電体A12は、厳密には図1に示す2点鎖線のように内側に入り込んだ形状になる。特に、本実施形態の電線センサA1では、内部導体A11の外周面にピエゾフィルムを強く巻き付けることができるため、ピエゾフィルムは図1に示す2点鎖線のように外側の隙間AS2に入り込んだ形状になりやすい。
図2は、図1に示す電線センサを用いた帯状センサを模式的に示す図である。
図2に示す帯状センサA2は、斜め横方向に延在したものであり、図の左側が帯状センサA2の先端になり、図の右側に向かって延在したものであるが、図2では、帯状センサA2の先端部分しか示されていない。以下、帯状センサA2の延在方向を縦方向と称し、帯状センサA2の幅方向を横方向と称する場合がある。この帯状センサA2は、図1に示す電線センサA1が幅方向に5本、間隔をあけて並べられている。すなわち、電線センサA1は、縦方向に延在したものである。横方向に間隔をあけて隣り合う電線センサA1の間には、縦方向に延びた縦ワイヤA21が複数本配置されている。図2に示す縦ワイヤA21は、図1に示す内部導体A11と同じものであり、縦線状体の一例に相当する。なお、縦ワイヤA21は、図1に示す電線センサA1よりも機械的強度が高いものであってもよい。例えば、図1に示すステンレスワイヤAsyよりも太いステンレスワイヤによる1次撚り線を撚って2次撚り線としたものであってもよい。
図2では、間隔をあけて隣り合う電線センサA1の間に4本の縦ワイヤA21しか示されていないが、実際には、その間隔を埋めるように5本以上(例えば、12本)の縦ワイヤA21が配置されている。なお、その間隔には、縦ワイヤA21の他に非金属の線状体(例えば、化学繊維や天然繊維)も配置されてもよい。あるいは、縦ワイヤA21は、ステンレスワイヤと非金属製の線状体(例えば、化学繊維や天然繊維)を撚り合わせたものであってもよい。
また、横方向に延在する横撚糸A22が、縦方向に間隔をあけて複数本配置されている。この横撚糸A22は、ステンレスワイヤの撚り糸とポリテトラフルオロエチレンを撚り合わせたものであり、横線状体の一例に相当する。このステンレスワイヤの撚り糸は、図1に示す内部導体A11を構成する1次撚り線(撚り線A111)と同じものであり、帯状センサA2の機械的強度を出すためのものである。なお、ステンレスワイヤの撚り糸の他に、金属製の線状体を用いてもよい。また、ポリテトラフルオロエチレンは、帯状センサA2の柔軟性を出すためのものであり、ポリテトラフルオロエチレンに限らず、他の化学繊維であってもよいし、綿糸等の天然繊維であってもよい。図2では、帯状センサA2のおもて面が示されており、以下、帯状センサA2のおもて面側を単におもて面側と称し、帯状センサA2の裏面側を単に裏面側と称する。横撚糸A22は、電線センサA1と縦ワイヤA21を綴るものであり、おもて面側と裏面側を交互に通されている。すなわち、図2では、横撚糸A22が、1本の電線センサA1と左右に2本ずつ位置する縦ワイヤA21のおもて面側を通った後、その隣の、1本の電線センサA1と左右に2本ずつ位置する縦ワイヤA21の裏面側を通り、以降、これを繰り返すことで、電線センサA1と縦ワイヤA21を綴っている。
なお、帯状センサA2を製造した時点では、縦線状体である縦ワイヤA21と横線状体である横撚糸A22は直交関係にあるが、帯状センサA2の使用時には、帯状センサA2に様々な方向から張力がかかる場合があり、縦ワイヤA21と横撚糸A22は必ずしも直交関係にあるとは限らない。
図2に示す帯状センサA2では、図1に示す電線センサA1を用いたことで、縦方向の機械的強度に優れるとともに、電線センサA1が細く柔軟性があることから縦方向の途中で曲げられ、湾曲度合いが変化する場合であってもスムーズに追従することができる。しかも、複数本の縦ワイヤA21によって縦方向の機械的強度がさらに高められており、横撚糸A22によって横方向の柔軟性が確保されていることから、縦方向の途中で折り返されて使用される振動センサ等に好適である。しかも、電線センサA1が横方向に複数本(図2では5本)配置されていることから、信号強度が高くなり、センサの信頼性が高まる。
なお、ここでは図1に示す電線センサA1を用いたが、複数本の縦ワイヤA21によって縦方向の機械的強度が高められ、横撚糸A22によって横方向の柔軟性が確保されることに着目し、電線センサが太くなってもよい態様では、電線センサの内部導体を1本の太めの銅線等の金属導線に代えることでも対応することができる。
図3は、図1に示す電線センサを用いた面状センサを模式的に示す図である。
図3に示す面状センサA3は、第1センサ体A31と第2センサ体A32とからなる二重構造のものである。第1センサ体A31は、図1に示す電線センサA1の径方向(Y軸方向)に間隔をあけて電線センサA1を複数本配置したものである。第1センサ体A31を構成する電線センサA1を、以下、第1電線センサA1aと称する。図3に示す第1センサ体A31では、隣り合う第1電線センサA1aの間に、その第1電線センサA1aの延在方向(X軸方向)と同じ方向に延びた第1繊維A311が複数本配置されている。この図3では、間隔をあけて隣り合う第1電線センサA1aの間に2本の第1繊維A311しか示されていないが、実際には、その間隔を埋めるように3本以上の第1繊維A311が配置されている。第1繊維A311は、第1電線センサA1aよりも柔らかなものであり、第1線状体の一例に相当する。
一方、第2センサ体A32は、第1センサ体A31の下に設けられたものであり、第1センサ体A31に配置された第1電線センサA1aの延在方向に間隔をあけて、別途、電線センサA1を複数本配置したものになる。第2センサ体A32を構成する電線センサA1を、以下、第2電線センサA1bと称する。
図4は、図3に示す面状センサA3の二重構造をわかりやすく示した拡大図である。この図4では、紙面の左右方向が、第1電線センサA1aの延在方向になる。
第2電線センサA1bは、第1電線センサA1aと直交しており、図4では、左右方向(X軸方向)に延びる1本の第1電線センサA1aが示されているのに対して、第2電線センサA1bは、第1電線センサA1aの延在方向(X軸方向)に間隔をあけて3本示されている。なお、面状センサA3を製造した時点では、第1電線センサA1aと第2電線センサA1bは直交関係にあるが、面状センサA3の使用時には、面状センサA3に様々な方向から張力がかかる場合があり、第1電線センサA1aと第2電線センサA1bは必ずしも直交関係にあるとは限らない。第2センサ体A32では、隣り合う第2電線センサA1bの間に、その第2電線センサA1bの延在方向(Y軸方向)と同じ方向に延びた第2繊維A321が複数本配置されている。図3では、間隔をあけて隣り合う第2電線センサA1bの間に2本の第2繊維A321しか示されていないが、図4では、その間隔を埋めるように4本の第2繊維A321が配置されている。第2繊維A321は、第2電線センサA1bよりも柔らかなものであり、第2線状体の一例に相当する。なお、第2繊維A321は、上記間隔を埋めるように5本以上配置されてもよい。
第1繊維A311にしても第2繊維A321にしても、直径が0.3mm以上1.2mm以下の、ポリアミドやレーヨンといった合成繊維の撚糸であってもよいし、綿等の天然繊維の撚糸であってもよい。第1繊維A311も第2繊維A321も、電線センサA1よりも柔らかく、力がかかると、電線センサA1はつぶれにくいが、第1繊維A311や第2繊維A321はつぶれやすい。このため、第1繊維A311がつぶれて第1電線センサA1aのみが突出した状態になってしまったり、第2繊維A321がつぶれて第2電線センサA1bのみが突出した状態になってしまうと、肌触り(触感)が悪化してしまうことが考えられる。そこで、第1繊維A311は、第1電線センサA1aよりも直径が大きなものとし(例えば、直径0.5mm)、第1繊維A311が押しつぶされても、第1電線センサA1aの太さ未満までつぶされることがないようにして、第1電線センサA1aが突出しにくい構造となっている。また、第2繊維A321は、第2電線センサA1bよりも直径が大きなものとし(例えば、直径0.5mm)、第2繊維A321が押しつぶされても、第2電線センサA1bの太さ未満までつぶされることがないようにして、第2電線センサA1bが突出しにくい構造となっている。このため、本実施形態の面状センサA3は、肌触りが良好なものである。
第1センサ体A31と第2センサ体A32は、分離不能に重ね合わされたものであり、本実施形態では、第1繊維A311とは別に、専用の第1結合繊維A331が設けられており、第2繊維A321とは別に、専用の第2結合繊維A332が設けられている。第1結合繊維A331にしても、第2結合繊維A332にしても、面状センサA3におけるおもて面(第1センサ体A31側の面)と、面状センサA3における裏面(第2センサ体A32側の面)とを交互に通ることで、第1結合繊維A331によって、第2電線センサA1bおよび第2繊維A321が綴られ、第2結合繊維A332によって、第1電線センサA1aおよび第1繊維A311が綴られている。第1結合繊維A331は第1電線センサA1aよりも細く、第1結合繊維A331の直径は、第1電線センサA1aの直径の1/5以上1/3以下であってもよい。また、第2結合繊維A332も第2電線センサA1bよりも細く、第2結合繊維A332の直径も、第2電線センサA1bの直径の1/5以上1/3以下であってもよい。第1結合繊維A331にしても第2結合繊維A332にしても、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、レーヨンといった合成繊維や、綿等の天然繊維が用いられており、電線センサA1よりも柔軟である。
X軸方向に延びる電線センサ(第1電線センサA1a)自身と、Y軸方向に延びる電線センサ(第2電線センサA1b)自身を直接編み込んだものでは、第1電線センサA1aに第2電線センサA1bが重なる箇所と、第2電線センサA1bに第1電線センサA1aが重なる箇所が交互に存在することになり、第1電線センサA1aに第2電線センサA1bが重なる箇所では一方側に突出し、第2電線センサA1bに第1電線センサA1aが重なる箇所では他方側に突出することで、凹凸感が出てしまい、肌触り(触感)が悪化してしまう。一方、本実施形態の面状センサA3は、第1センサ体A31と第2センサ体A32がZ軸方向に重ね合わされた構成であるため、第1電線センサA1aと第2電線センサA1bとのZ軸方向の位置関係は変化しない。また、第1センサ体A31と第2センサ体A32を結合する第1結合繊維A331にしても第2結合繊維A332にしても、電線センサA1よりも遥かに細く、また柔軟であるため、凹凸感が出にくく、この意味でも肌触りが良好である。
なお、第1結合繊維A331や第2結合繊維A332を設けずに、複数本ある第1繊維A311の一部又は全部によって第2電線センサA1bおよび第2繊維A321を綴ることもでき、複数本ある第2繊維A321の一部又は全部によって、第1電線センサA1aおよび第1繊維A311を綴ることもできる。
また、第1センサ体A31と第2センサ体A32の他に、図1に示す電線センサA1が配置された他のセンサ体が1又は複数さらに備えられていてもよい。
図3に示す面状センサA3を、触感センサに利用する場合、制御部が備えられる。この制御部には、検出回路、A/D変換回路、CPU、CPUが実行するプログラムを記憶したROM、CPUの処理に使用されるデータなどを一時的に記憶するRAM等が設けられている。検出回路は、インピーダンス変換回路、増幅回路およびローパスフィルタを有する。この検出回路は、面状センサA3から送られる出力信号のレベルを所定のレベルに整合したのちに増幅するとともに、システム応答の限界である遮断周波数よりも高い周波数の成分を減衰させて遮断し遮断周波数よりも低い周波数の成分をA/D変換回路に送る。A/D変換回路は、検出回路から送られた信号をデジタル信号に変換してCPUに送る。CPUは、各種演算処理を行う。例えば、面状センサA3に圧力が加わったときに、第1電線センサA1aと第2電線センサA1bに発生するピエゾ電気から、電圧を生じた第1電線センサA1aと第2電線センサA1bそれぞれの位置と電圧の大きさを算出することで、面状センサA3のどの部分にどの程度の圧力が加わったのかを求める。
また、制御部では、第1電線センサA1aと第2電線センサA1bの交点を検出点として取り扱う。この際、第1電線センサA1aからの出力信号の値(X)と、第2電線センサA1bからの出力信号の値(Y)を、単に乗算(X×Y)するのではなく、指数関数(ex+y)として扱う。こうすることで、ノイズとわずかな押圧力での接触とを区別することができるようになる。
また、第1電線センサA1aと第2電線センサA1bを一定時間で走査したときに検出された信号を時間で積分することで、面状センサA3に接触したものの形状や圧力のピークの位置を判定することができる。
また、電線センサA1は、圧力がかかって変形が生じたときに信号を発生するが、圧力がかかった同じ状態が続くと信号を発生しなくなる。面状センサA3では、圧力がかからず信号が発生されていない外側に位置する電線センサA1から測定し、圧力がかかった部分との臨界点を求めていくことが好ましい。すなわち、信号が発生していない外側の電線センサA1から走査して圧力がかかった部分の輪郭を求め、次に走査する際には、その部分に圧力がかかっているものとして、求めた輪郭の近傍に位置する電線センサA1を走査して圧力がかかった輪郭を求めていく。こうすることで、圧力がかかった範囲が変化しても対応することがきでる。また、最も外側の検出点の値を時間微分することで、圧力がかかった部分の形状を求めることができる。
また、1次判定では、出力信号が出ていないエリアを特定し、そのエリアの内側を、ものが接触している接触エリアとする。2次判定では、その接触エリアを詳細に判定することで、効率のよい検出が可能になる。例えば、面状センサA3を用いた検出では、1次判定で、n本(例えば、n=5)おきに第1電線センサA1aからの出力信号の有無を判定するとともに、第2電線センサA1bでもn本おきに出力信号の有無を判定することで接触エリアの絞り込みが可能になる。接触エリアが特定できた後は、その接触エリアを通過する全ての第1電線センサA1aからの出力信号の値(X)と、接触エリアを通過する全ての第2電線センサA1bからの出力信号の値(Y)を、指数関数として扱う。
続いて、図1に示す電線センサA1の他の利用例について説明する。
図1に示す電線センサA1は、従来のセンサよりも柔軟性が高いことから、溶解可能な基線の周囲に電線センサA1を螺旋状に巻き付けていき、基線を溶解させて消失させれば、最終的には螺旋状に周回した電線センサA1を得ることができる。この螺旋状に周回した電線センサA1は、周回部分が伸縮自在であり、伸縮することでセンシングするセンサとして機能する。また、溶解させる基線の太さをかえることで、伸縮の程度を調整することができる。また、溶解させる基線に対して、単位長当たりの巻き数を変えることで、センサ感度を調整することができる。すなわち、巻き数が多くなればなるほどセンサ感度は上がる。さらに、螺旋状に周回した電線センサA1を、帯状センサA2に利用したり、面状センサA3に利用することもできる。帯状センサA2に利用した場合には、横撚糸A22によって螺旋状の形状が維持されやすい。また、面状センサA3に利用した場合には、第1電線センサA1aとして利用した螺旋状に周回した電線センサA1は、第2繊維A321や第2結合繊維A332によって螺旋状の形状が維持されやすく、第2電線センサA1bとして利用した螺旋状に周回した電線センサA1は、第1繊維A311や第1結合繊維A331によって螺旋状の形状が維持されやすい。加えて、面状センサA3に利用した場合には、溶解させる基線の太さを異ならせた2種類の電線センサA1を用いることもできる。すなわち、一方の種類の電線センサA1で第1センサ体A31を構成させ、もう一方の種類の電線センサA1で第2センサ体A32を構成させることができる。あるいは、第1センサ体A31に、溶解させる基線に対する巻き数を異ならせた複数種類の電線センサA1を使用したり、基線の太さを異ならせた複数種類の電線センサA1を使用してもよいし、第2センサ体A32にも、基線に対する巻き数を異ならせた複数種類の電線センサA1を使用したり、基線の太さを異ならせた複数種類の電線センサA1を使用してもよい。
また、電線センサA1を織物のように織ることで帯状センサや面状センサを製作することもできるが、電線センサA1を編み物のように、伏せ止めしてもよいし、メリヤス編みしてもよい。
図5は、図1に示す電線センサA1の他の利用例等について説明するための図である。
本実施形態の電線センサA1は、従来のセンサよりも柔軟性が高いことから、図5(a)に示すように、電線センサA1によって、ループ部分Arを連続して複数形成しておき、ループ部分Arどうしを絡め合わせることで編物状のセンサになっている。この編物状のセンサでは、これらのループ部分Arを使って伸縮性を実現し、伸縮することでセンシングするセンサとして機能させることもできる。さらに、各電線センサA1は結び目を形成するように、曲がりくねっているため、変形しやすくなり、これによって検出感度が向上する。また、ループ部分Arにおける伸縮性により、半球状や球状の被検出物の表面に対しても沿えるようになり、処理できる被処理物の範囲が広がる。
また、センサ感度は、ピエゾフィルムの面積に比例し、面積が大きければ大きいほどセンサ感度は良くなる。本実施形態の電線センサA1は、可能な限り細くすることを目的としているが、センサ感動を高めたい場合には、細い電線センサA1に、太い内部導体を有する電線センサを混ぜて、センサ感動と柔軟性のバランスをとりながら、帯状センサや面状センサを製作すればよい。
また、内部導体A11の外周面に帯状のピエゾフィルムを螺旋状に巻き付けるにあたり、図5(b)に示すように、内部導体A11を長手方向に引っ張りながら(図中の白抜きの矢印参照)、2枚の帯状のピエゾフィルムAF,AFを180度ずらしながら同じ方向に巻き付けていってもよい。帯状のピエゾフィルムAFを巻き付ける際に、弛みが生じないようにピエゾフィルムAFにも張力がかかっているため、一方向に引っ張られてバランスが狂ってしまうことが考えられるが、2枚の帯状のピエゾフィルムAF,AFを180度ずらしながら同じ方向に巻き付けていくことで、一方向と正反対の方向にも張力がかかり、バランスを丁度とることができる。さらに、内部導体A11は、複数本の1次撚り線をさらに撚り合わせた2次撚り線であるが、その2次撚り線の撚り方向と、ピエゾフィルムAFを巻き付けていく方向は同じ方向である。ただし、内部導体A11の柔軟性をさらに高めたい場合には、2次撚り線の撚り方向とピエゾフィルムAFを巻き付けていく方向とを逆方向にしてもよい。
また、電線センサA1を、センサ部と、出力信号の送信線とに分けて使用することもできる。電線センサA1のうち、キュリー温度を超えるまで加熱された箇所はピエゾ特性が著しく低下するため、電線センサA1のうち、キュリー温度を超えるまで加熱された箇所が送信線として機能し、それ以外の箇所がセンサ部として機能する。例えば、電線センサA1を70°C以上150°C以下の加熱温度で10秒以上10分以下、好ましくは80°C以上120°C以下の加熱温度で10秒以上60秒以下の加熱処理を行えばよい。
また、図3に示す面状センサA3は、X軸方向には伸縮することはなく、Y軸方向にも伸縮することはないが、対角線方向には伸縮可能であり、図5(c)に示すように90度回転させた状態で使用すれば、白抜きの矢印方向に伸縮可能な面状センサA3になる。さらに、第1電線センサA1aがX軸方向に延在し第2電線センサA1bがY軸方向に延在した面状センサと、図5(c)に示す面状センサを重ねて配置すれば、X軸方向にも、Y軸方向にも、対角線方向にも伸縮するセンサを実現することができる。
また、図2に示す帯状センサA2を、溶接された配管に巻き付け、溶接部の欠陥検査に利用することができる。帯状センサA2は、溶接部から漏れ出した流体による振動を検出したり、あるいは、気体の漏洩による空気振動を検出することもできる。
また、風船や気球といった浮上体の表面に、図3に示す面状センサA3を配置し、手や工具が届かない高い場所(例えば、トンネルの天井)まで、その浮上体を浮上させ、浮上体の表面に配置されている面状センサA3を、検出対象の場所に押し付けることで、その場所における振動を検出することができるようになる。
さらに、車等のシートベルトやハンドルに、図2に示す帯状センサA2あるいは図3に示す面状センサA3を配置しておけば、運転者の心拍や呼吸を振動として検出することで、その運転者の健康状態を監視することができる。また、肌着や帽子に図3に示す面状センサA3を配置したり、あるいは肌着や帽子自体を図3に示す面状センサA3で縫製しておけば、その肌着を着ている人やその帽子を被っている人の心拍や呼吸を振動として検出することで健康状態を監視することができる。
また、図3に示す面状センサA3が、人の心拍や呼吸を振動として検出することができることを利用して、車等の座席の座面や背もたれにその面状センサA3を配置しておけば、その座席に位置するものが人なのか物体なのかを識別することができる。
また、ベッドシートや枕カバーの下に、図3に示す面状センサA3を入れておけば、その面状センサA3は非侵襲性の心拍または/および呼吸センサとして機能する。また、高齢者や病人の、存在確認用や動作確認用の見守りセンサとしても機能する。しかも、面状センサA3は柔軟性が高いため、寝ている人が痛い思いをすることがない。これらの点につき、さらに詳細に説明すると、面状センサA3は柔軟であって、織物であることから、通気性が良く、裁断や縫製が可能という特徴を持ち、更に低コストで大面積の生産も可能である。面状センサA3をベッドシーツの下に敷くことで、患者や要介護者の離床警報だけでなく、呼吸(無呼吸)の自動監視や寝返り、排泄等の自動監視や、寝返り補助ベッドなどの自動制御への応用が可能である。さらには、面状センサA3は、足裏応力センサーとして歩行バランスの監視に利用することもでき、車いすの座面に面状センサA3を敷けば座圧バランスの監視などへの応用も可能になる。
また、図2に示す帯状センサや図3に示す面状センサA3をペットの首輪に巻き付けたり、面状センサA3をペットの洋服に配置すれば、ペットの活動量のモニタや睡眠モニタとして利用することができる。さらに、インターネットサービスとスマートフォンを連携すれば、留守番中のペットの状態を出先から見守ることも可能になる。
また、図3に示す面状センサA3を手袋に配置させてもよい。例えば、指先には高密度(例えば、1mm間隔)に図1に示す電線センサA1を配置した面状センサを配置し、指の第2関節から第3関節にかけては中密度(例えば、4mm以上6mm以下の間隔)に電線センサA1を配置した面状センサを配置し、手のひらには中低密度(例えば、5mm以上8mm以下)に電線センサA1を配置した面状センサを配置してもよい。特に、指先に高密度な面状センサを配置することによって、指先触感センサーを実現することができる。面状センサは、手袋繊維の上に縫い付けたり、接着剤で接着する。あるいは、手袋自体を面状センサで縫製してもよい。さらに、手袋の手の甲の部分に、マイコン等の制御基板を配置すればよい。
面状センサA3が配置された手袋は、人の手を模したロボットの手(ロボットハンド)に装着してもよい。この場合、ロボットの手が剛体であれば、手袋繊維には、柔軟物質を含浸したり、塗布しておき、手袋繊維が、面状センサの変形を許容できるように柔らかであることが好ましい。面状センサA3が配置された手袋を人の手を模したロボットの手に装着することで、ロボットの手の把持力を制御することができる。
また、面状センサA3が配置された手袋を、人に装着させて、各種作業等における把持力等のデータ取りに用いてもよい。こうして得られたデータは、データ取りした作業をロボットに行わせる際の、ロボットの手の動きのプログラミングに利用することができる。さらに、面状センサA3が配置された手袋を、手指のリハビリ用手袋として用い、例えば、把持動作を行ってもらうことで、手指の筋肉や関節の固さを計測することができたり、リハビリの効果や到達度を判断するためのデータ取りを行うこともできる。また、通話困難者の手文字の読み取り装置としても利用することができる。すなわち、手のひらに書いた文字の座標を読み取りテキストデータへ変換したり、このテキストデータを発話変換して、会話サポート機能デバイスとして利用することも可能である。
また、手指の拘縮患者ためのリハビリ用のグリップにも応用することができる。片麻痺、廃用症候群などによって拘縮した手に、ピエゾ電線センサによる高感度感触センサを応用したグリップ状器具を握ってもらう。このグリップ状器具は、エア圧によって膨らむ膨張体の表面に、図3に示す面状センサA3を配置したものであり、膨張体を膨らませた状態で、患者が握ることで、手指の開き具合や関節の曲げ角度を面状センサA3で計測することができ、手指の筋肉や関節の固さを解析することに役立つ。また、過去のデータを記録しておくことで、回復状態を確認することができる。さらに、面状センサA3からの出力信号を監視しておくことで、手指の過度な運動を抑制させることができる。また、膨張体へのエア圧を調整することで、手指や手首を痛めることのない手指の開き方、強度によって、自然に安全に手指の開閉動作を行い、拘縮緩和を進められるリハビリを実現することができる。
図6は、ロボットハンドの指に図3に示す面状センサを適用した例を示す図である。
図6(a)に示すロボットハンドの指A4は、骨部A41、弾性部A42、図3に示す面状センサA3、および外皮部A43の4つの構成要素からなる。骨部A41は剛体であり、これら4つの構成要素の中で最も硬いものである。外皮部A43は、面状センサA3の摩耗を防止する耐摩耗性に優れた材質(例えば、ポリウレタン)である一方、想定される接触物の柔らかさよりも柔らかい材質である。接触物に触れた場合に、外皮部A43が弾性変形することで、その内側にある面状センサA3が押される。また、外皮部A43が柔らかいと、人に触れた場合に痛くない。弾性部A42は、面状センサA3が押されて面状センサA3が変形することを許容する柔らかさをもったものである。ただし、弾性部A42の内側には骨部A41があるため、弾性部A42の弾性変形は一定の範囲で止まる。この結果、外皮部A43に接触物が触れた場合に、外皮部A43が弾性変形することで、その内側にある面状センサA3が押され、弾性部A42も骨部A41に内側から支持されながら弾性変形可能であることによって、面状センサA3が変形可能であり、接触物がどの位置でどれだけの接触圧で接触したかを検知することができる。図6(a)に示すロボットハンドの指A4の構造は、内側から剛体の骨部A41で支持した状態で、弾性変形可能な材料(外皮部A43,弾性部A42)で面状センサA3を挟み込んだ構造である。なお、外皮部A43を相対的に薄く、弾性部A42を相対的に厚くしておくことで、外皮部A43に接触したことが即座に面状センサA3に伝わりやすくなり、また、面状センサA3は内側(骨部A41側)へより変形しやすくなって検出感度が向上する。
また、外皮部A43を人の皮膚よりも柔らかくすると、人への接触がより安全になる。例えば、外皮部A43を、面状センサA3にシリコンゴムを塗布することで形成してもよい。この場合には、骨部A41を剛体ではなく、弾性変形可能なものとし、指A4全体が弾性変形可能なものとする。こうした場合でも、シリコンゴムの外皮部A43に接触物が触れると、面状センサA3も曲がり、接触物がどの位置でどれだけの接触圧で接触したかを検知することができる。
図6(b)に示すロボットハンドの指A4’は、骨部A41、弾性部A42、第1面状センサA3a、第2面状センサA3b、外皮部A43、および爪部A44からなる。すなわち、爪部A44を有する点が、図6(a)に示すロボットハンドの指A4とは異なっている。以下、図6(a)に示すロボットハンドの指A4との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
爪部A44は、根本A441を回動支点にして回動可能なものであり、図6(b)では、実線で爪部A44の初期姿勢を示し、2点鎖線で爪部A44の回動姿勢を示している。第1面状センサA3aも第2面状センサA3bも、図3に示す面状センサA3であるが、第1面状センサA3aは、指の腹側に配置されたものであり、図6(a)に示す面状センサA3と同じ機能を有する。一方、第2面状センサA3bは、爪部A44の、回動支点になる根本A441の内側に配置されており、爪部A44が回動すると、根本A441に押されて出力信号を出力する。したがって、図6(b)に示すロボットハンドの指A4’では、爪部A44の動きも検知することができる。
なお、これまで説明した実施形態や、図1に示す電線センサA1の他の利用例は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、これまで説明したことを含めた技術的思想を記す。
これまで説明した第1の特徴的な線状センサは、
複数本のステンレスワイヤを撚り合わせた撚り線を複数本配置した内部導体と、
前記内部導体の外周面に螺旋状に巻き付けられた帯状のピエゾフィルムと、
前記ピエゾフィルムの外周面に配置された外部導体とを有することを特徴とする。
例えば、内部導体である銅線の外周面に、帯状のピエゾフィルムを螺旋状に巻き付ける際に弛みがあると、その弛みによって、芯線の外周面とピエゾフィルムとの間に隙間が生じてしまう。線状センサに力がかかるとその隙間がつぶれ、その際に振動が発生し、ノイズとして出力信号に重畳してしまう。帯状のピエゾフィルムの弛みをなくすには、銅線をある程度の張力で引っ張った状態でピエゾフィルムを巻き付けていくことが必要になる。
しかしながら、銅線では、引張強度が低く、十分にピンと張った状態を維持することが難しい傾向にある。特に、細い線状センサを得るために銅線の直径を小さなものにすると、引張強度が低下し、この傾向が強くなり、結局は、細い線状センサを得ることができない。
一方、上記第1の特徴的な線状センサは、内部導体としてステンレスワイヤが使用され、しかも撚り線が複数本配置されていることから、内部導体全体の直径を小さくしても十分な引張強度を得ることができる。この結果、内部導体をピンと張った状態で、帯状のピエゾフィルムを巻き付けることができ、線状センサを可能な限り細くすることが可能になる。
前記ステンレスワイヤ1本の直径は、10μm以上40μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であることが好ましい。ステンレスワイヤは、細ければ細いほど柔軟性は高められるが強度が低下し、太ければ太いほど柔軟性は低下するが強度が高められる。
前記内部導体は、断面形状が、前記撚り線が正六角形の各頂点および該正六角形の中心に配置されたものであってもよい。すなわち、最密構造のものであってもよい。また、前記内部導体自体も撚り線構造であってもよい。すなわち、前記撚り線が正六角形の各頂点および該正六角形の中心に配置された状態で全体が撚られたものであってもよい。
さらに、前記内部導体は、前記撚り線のみから構成されたものであってもよいし、前記撚り線と他の金属線から構成されたものであってもよい。例えば、前記撚り線が正六角形の各頂点に配置され該正六角形の中心に銅線が配置された状態で全体が撚られたものであってもよいし、前記撚り線が正六角形の頂点のうち一つおきに配置され残りの頂点には銅線が配置され、該正六角形の中心には銅線又は前記撚り線が配置された状態で全体が撚られたものであってもよい。
前記内部導体の直径は、0.15mm以上0.8mm以下であってもよく、0.18mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
前記ピエゾフィルムは、幅が2mm以上5mm以下のものであって、好ましくは3mm以上4mm以下のものである。前記ピエゾフィルムは、前記内部導体の外周面に螺旋状に巻き付ける際に該内部導体の延在方向に隣り合うピエゾフィルムの幅方向の一端と他端どうしを重ね合わせた状態で巻き付けていき、隙間が生じないようにする。ピエゾフィルムの幅が狭すぎると前記内部導体の外周面に螺旋状に巻き付ける際に該内部導体の延在方向に隣り合うピエゾフィルムの間に隙間が生じやすくなってしまう。隙間が生じた箇所は、センシングできない箇所になってしまう。一方、ピエゾフィルムの幅が広すぎると前記内部導体の外周面に螺旋状に巻き付ける際に弛みが生じやすくなってしまう。なお、ピエゾフィルムの幅方向の一端と他端どうしを重ね合わせることでピエゾフィルムの面積をなるべく大きくとることができ、センサ感度の向上につながる。
前記ピエゾフィルムの厚さは、20μm以上100μm以下であって、25μm以上80μm以下であることが好ましい。前記ピエゾフィルムの厚さが薄すぎるとセンサとしての感度が不十分になってしまい、反対に厚すぎると線状センサが硬くなりすぎてしまい柔軟性に欠けてしまう。
前記ピエゾフィルムは、ピエゾ特性が、長手方向(伸び方向)にしか対応していないものよりも、結晶の配向性により複数方向(伸び方向及び曲げ方向)に対応したものである方が好ましい。
前記外部導体は、銅線(例えば、スズメッキ銅線)であってもよいが、ステンレスワイヤであってもよい。例えば、前記撚り線であってもよい。前記外部導体の厚さは、10μm以上120μm以下であり、25μm以上90μm以下であることが好ましい。すなわち、前記内部導体の直径よりも細かったり薄かったりする。この外部導体は、前記ピエゾフィルムの外周面に、導線をクロスして編み上げた編組シールドであってもよいし、導線を1列に螺旋状に巻き付けていった横巻きシールドでもよい。また、外部導体は、前記ピエゾフィルムの外周面に、テープ状(帯状)の導体を螺旋状に巻き付けていったテープシールドであってもよい。ただし、横巻きシールドが最も柔軟性が高い。またさらに、外部導体は、複数本の導線を螺旋状に巻き付けていったものであってもよいし、複数本のテープ状(帯状)の導体を螺旋状に巻き付けていったものであってもよい。
前記内部導体は、前記外部導体よりも機械的強度が高いものであってもよい。
前記外部導体を覆うシースが設けられたものであってもよい。このシースは、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めるためのものである。シースは複層構造であってもよい。シースを含めた線状センサの直径は0.6mm未満であり、0.5mm未満(例えば、0.4mm以上0.5mm未満)であることが好ましい。なお、シースの厚みは20μm以上40μm以下程度である。
これまで説明した第1の特徴的な帯状センサは、
上記第1の特徴的な線状センサと、
前記線状センサの延在方向と同じ方向に延びた金属製の縦線状体と、
前記線状センサの幅方向に延び、該線状センサと前記縦線状体を綴る横線状体とを有することを特徴とする。
金属製の縦線状体は、機械的強度を出すためのものであり、例えば、ステンレスワイヤを含んだものであってもよい。より具体的には、ステンレスワイヤの撚り線であってもよいし、ステンレスワイヤと非金属製の線状体を撚り合わせたものであってもよい。さらに、金属製の縦線状体は、第1の特徴的な帯状センサよりも機械的強度が高いものであってもよい。また、前記線状センサが1本ではなく、複数本、間隔をあけて配置され、該間隔に前記縦線状体が配置された構成であってもよい。この場合、前記間隔に、前記縦線状体のみが配置された態様であってもよいし、前記縦線状体と非金属性の線状体が配置された態様であってもよい。
また、前記横線状体が、ステンレスワイヤと非金属製の線状体を撚り合わせたものであってもよい。
ここで説明した非金属性の線状体は、樹脂製の線状体であってもよいし、綿糸等の天然繊維であってもよい。すなわち、前記非金属性の線状体は、化学繊維であってもよいし天然繊維であってもよい。
これまで説明した第1の特徴的な面状センサは、
上記第1の特徴的な線状センサを第1線状センサとし、該第1線状センサの径方向に間隔をあけて該第1線状センサを複数本配置した第1センサ体と、
隣り合う前記第1線状センサの間に配置され、該第1線状センサの延在方向と同じ方向に延びた、該第1線状センサよりも柔らかな第1線状体と、
上記第1の特徴的な線状センサを第2線状センサとし、前記第1線状センサの延在方向に間隔をあけて該第2線状センサを複数本配置した第2センサ体と、
隣り合う前記第2線状センサの間に配置され、該第2線状センサの延在方向と同じ方向に延びた、該第2線状センサよりも柔らかな第2線状体とを備え、
前記第1センサ体と前記第2センサ体は、分離不能に重ね合わされたものであることを特徴とする。
前記第1センサ体と前記第2センサ体を結合する結合手段が備えられており、該結合手段は、前記第1線状体の一部又は全部であってもよいし、前記第2線状体の一部又は全部であってもよい。例えば、前記第1線状体によって、前記第2線状センサおよび前記第2線状体が綴られ、前記第2線状体によって、前記第1線状センサおよび前記第1線状体が綴られていてもよい。あるいは、前記第2線状センサおよび前記第2線状体を綴る第1結合用線状体と、前記第1線状センサおよび前記第1線状体を綴る第2結合用線状体を備えていてもよい。
この第1結合用線状体は上記第1の特徴的な線状センサよりも細く、第1結合用線状体の直径は、上記第1の特徴的な線状センサの直径の1/5以上1/3以下であってもよい。また、第2結合用線状体も上記第1の特徴的な線状センサよりも細く、第2結合用線状体の直径も、上記第1の特徴的な線状センサの直径の1/5以上1/3以下であってもよい。
前記第1線状体は、前記第1線状センサよりも直径が大きなものであり、前記第2線状体は、前記第2線状センサよりも直径が大きなものであってもよい。
前記第1センサ体と前記第2センサ体の他に、上記第1の特徴的な線状センサが配置されたセンサ体が1又は複数備えられていてもよい。
以上説明した技術的思想によれば、可能な限り細くすることができる線状センサと、その線状センサを用いた、帯状センサおよび面状センサを提供することができる。
続いて、線状センサの別の実施形態について説明する。
図7は、分散態様の電線センサの斜視図であり、図8(a)は、図7に示す電線センサの断面図を模式的に示す図である。
図7に示す電線センサB1は、7本の導体線B111を撚り合わせた第1導体B11を有する。7本の導体線B111は、直径が20μmのステンレスワイヤの導体線B111Sが4本と、直径が20μmの銅の導体線B111Cが3本で構成されている。銅の導体線B111Cは、ステンレスワイヤの導体線B111Sに比べて、電気抵抗が低く、かつ柔らかい。反対に、ステンレスワイヤの導体線B111Sは、銅の導体線B111Cに比べて、電気抵抗は高くなるが、機械的強度(例えば、引張強度等)は高くなる。第1導体B11は、これらの導体線B111を、正六角形の各頂点およびその正六角形の中心に配置した状態で撚り合わせたものである。すなわち、第1導体B11は、7本の導体線B111を最密構造に配置した上で撚り合わせたものである。複数本の導体線B111を甘撚、あるいは中撚程度に撚っておくことで、撚りの方向とは逆方向の緩みを許容し、この緩みが柔軟性を与えることができる。以下、正六角形の各頂点に配置された6本の導体線B111と、正六角形の中心に配置された1本の導体線B111を区別して称する必要がある場合には、前者の6本の導体線B111を外側導体線B1111と称し、後者の1本の導体線B111を中心導体線B1112と称する。中心導体線B1112には、ステンレスワイヤの導体線B111Sが用いられている。一方、外側導体線B1111には、ステンレスワイヤの導体線B111Sと銅の導体線B111Cが用いられている。すなわち、中心導体線B1112の周囲には、ステンレスワイヤの導体線B111Sと銅の導体線B111Cが周方向に交互に配置されている。なお、図8(a)では、左下がりのハッチングを施した導体線がステンレスワイヤの導体線B111Sであり、右下がりのハッチングを施した導体線が銅の導体線B111Cである。
導体線B111は直径は20μmに限られず、10μm以上40μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であることが好ましい。導体線B111は、細ければ細いほど柔軟性は高められるが強度が低下し、太ければ太いほど柔軟性は低下するが強度が高められる。また、20μm以上であれば、低コストで製造することができたり製造が容易である。
図7では、電線センサB1は、第1導体B11のみから構成されているように見えるが、図8(a)に模式的に示すように、7本の導体線B111のすべての導体線B111の全周面には圧電体であるピエゾコート層B12が形成されている。また、各導体線B111におけるピエゾコート層B12の上には、第2導体である第2導体層B13が設けられている。すなわち、ピエゾコート層B12の外側には第2導体が配置されており、ピエゾコート層B12は、導体線B111と第2導体層B13の間に設けられている。したがって、隣り合う導体線B111の間に、ピエゾコート層B12と第2導体層B13が介在しており、各導体線B111は分散配置されている。
図8(a)に示すピエゾコート層B12は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のピエゾ材料が塗布されることで形成された層である。ポリフッ化ビニリデンは、高い電圧が付与されて分極すると圧電効果が発生する軽量の高分子材料であり、これに外力を加えると電圧が発生し、電圧を加えると歪が発生する特性を備えている。ピエゾコート層B12には分極処理が施されており、ピエゾコート層B12に外部から力が加わったときに導体線B111と第2導体層B13の間に電圧が誘起される。なお、導体線B111と第2導体層B13の間に電圧をかけると、ピエゾコート層B12に変形(歪み)が生じる。ピエゾ材料としては、ポリフッ化ビニリデンの他に、トリフルオロエチレン(TrEF)や、PVDFとTrEFの混晶材料や、ポリ乳酸、ポリ尿酸、ポリアミノ酸等の双極子モーメントをもつ高分子材料があげられる。また、ピエゾ材料を塗布する方式としては、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいしスプレー等による吹き付け塗装であってもよいし含浸塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。ピエゾコート層B12の厚みは、導体線B111の直径以上であることが好ましく、図8(a)に示すピエゾコート層B12の厚さは、20μmであるが、10μm以上50μm以下であればよい。なお、ピエゾコート層B12の厚さは、厚ければ厚いほどセンサ感度が良好になるが、ピエゾコート層B12の厚さの限界値は、塗布するピエゾ材料の粘度や塗布方法によって決まってくる。また、ピエゾコート層B12の厚さが厚すぎると電線センサB1が硬くなりすぎてしまい柔軟性に欠けてしまうといった欠点もある。
図8(a)に示す第2導体層B13は、カーボンナノチューブ等のカーボンを含む高分子導電性材料が塗布されることで形成された層である。第2導体層B13を形成する導電性材料としては、銀の微粒子を含む高分子導電性材料や銀ペースト等であってもよい。また、この導電性材料を塗布する方式としては、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいしスプレー等による吹き付け塗装であってもよいし含浸塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。第2導体層B13の厚さは、導体線B111の直径以下であることが好ましく、また、ピエゾコート層B12の厚さ以下であることも好ましい。図8(a)に示す第2導体層B13の厚さは、10μmであるが、5μm以上50μm以下であればよい。
7本の導体線B111を撚り合わせる前に、各導体線B111の全周面に、ピエゾコート層B12を形成し、次いで第2導体層B13を形成し、最後に、7本の導体線B111を撚り合わせることで、図7に示す電線センサB1が完成する。
以上の説明では、第1導体B11を構成する導体線B111として、機械的強度や電気抵抗が異なる複数種類の導体線が用いられているが、柔らかさや柔軟性をさらに高める場合や、電気抵抗をさらに低くする場合には、中心導体線B1112を、銅の導体線B111Cに代えてもよい。あるいは、7本の導体線B111を全て銅の導体線B111Cにしてもよい。反対に、機械的強度をさらに高める場合には、7本の導体線B111を全てステンレスワイヤの導体線B111Sにしてもよい。また、ステンレスワイヤの導体線B111Sに代えてタングステン、タングステン及びその合金等の高張力鋼材あるいは超高張力鋼からなる導体線を用いてもよいし、銅の導体線B111Cに代えて、チタンやチタン合金あるいはマグネシウムやマグネシウム合金等からなる導体線を用いてもよい。
さらに、これまでの導体線B111は、一本の導線構造であったが、導体線B111自身も撚り線構造であってもよい。
図8(b)は、一本のステンレスワイヤの導体線B111Sを、7本のステンレスワイヤBsyの撚り線構造とした例を示す図である。
図8(b)の右側に示す導体線は、直径が30μmのステンレスワイヤBsyを7本撚り合わせた撚り線であり、導体線が太くなる。図8(b)の右側に示す導体線を用いた第1導体では、7本の導体線それぞれを1次撚り線として、その1次撚り線の全周面に、ピエゾコート層B12を形成し、次いで第2導体層B13を形成した上で、これら1次撚り線を最密構造に配置する。第1導体は、ピエゾコート層B12と第2導体層B13がそれぞれに形成された7本の1次撚り線をさらに撚り合わせた2次撚り線になる。2次撚り線の撚り方向は、1次撚り線の撚り方向と同じ方向である。ただし、第1導体B11の柔軟性をさらに高めたい場合には、2次撚り線の撚り方向と1次撚り線の撚り方向とを逆方向にしてもよい。図8(b)に示すの右側に示す導体線B111sを7本用いた第1導体B11の切断荷重は0.058kNになる。
なお、1次撚り線を構成するステンレスワイヤBsyの本数は、7本に限らない。また、ステンレスワイヤBsy1本の直径は、10μm以上40μm以下であればよく、20μm以上30μm以下であることが好ましい。ステンレスワイヤは、細ければ細いほど柔軟性は高められるが強度が低下し、太ければ太いほど柔軟性は低下するが強度が高められる。直径が20μmのステンレスワイヤBsyを用いた場合には、第1導体B11の切断荷重は0.025kNになり、直径が40μmのステンレスワイヤBsyを用いた場合には、第1導体B11の切断荷重は0.107kNになる。また、1次撚り線を構成するステンレスワイヤBsyの直径も、導体線B111ごとに異ならせてもよい。例えば、太い1次撚り線を得るために、相対的に太いステンレスワイヤBsyを用いてもよいし、細い1次撚り線を得るために、相対的に細いステンレスワイヤBsyを用いてもよい。さらには、1次撚り線を構成するステンレスワイヤBsyの本数を、導体線B111ごとに異ならせてもよい。例えば、太い1次撚り線を得るために、相対的に多数本のステンレスワイヤBsyを用いてもよいし、細い1次撚り線を得るために、相対的に少数本のステンレスワイヤBsyを用いてもよい。また、1次撚り線は、ステンレスワイヤBsyのみからなるものの他に、他の導電性材料の線とステンレスワイヤBsyを撚り合わせたものであってもよい。ここにいう導電性材料としては、ステンレスと、電気抵抗値が異なる材料であったり機械的強度が異なる材料であったりする。例えば、銅、チタン、マグネシウム等の一種類であってもよいし、これらの材料の組み合わせであってもよい。さらに、第1導体B11は、1次撚り線の導体線のみから構成されたものであってもよいし、1次撚り線の導体線と、図8(b)の左側に示す導体線B111のように、撚り線構造ではない1本の金属製の導体線とから構成されたものであってもよい。より具体的には、外側導体線B1111として1次撚り線の導体線を用い、中心導体線B1112として撚り線構造ではない導体線を用いてもよいし、あるいはその逆で、外側導体線B1111として撚り線構造ではない導体線を用い、中心導体線B1112として1次撚り線の導体線を用いてもよいし、外側導体線B1111として、1次撚り線の導体線と撚り線構造ではない導体線を周方向に交互に配置し、中心導体線B1112として1次撚り線の導体線あるいは撚り線構造ではない導体線を用いてもよい。
また、図7及び図8を用いて説明した第1導体B11については、様々な変形が可能である。まず、中心導体線B1112にも、ピエゾコート層B12および第2導体層B13が形成されているが、中心導体線B1112には、ピエゾコート層B12および第2導体層B13が形成されていない導体線を用いてもよい。あるいは、中心導体線B1112は、ピエゾコート層B12は形成されているが第2導体層B13は形成されていない導体線であっても、外側導体線B1111の第2導体層B13を利用して中心導体線B1112におけるセンシングが可能になる。
また、第1導体B11を構成する導体線B111の本数は、7本に限られず、さらには、最密構造の配置でなくてもよい。例えば、一本の中心導体線B1112に代えて内側導体線を複数本配置してもよい。あるいは、中心導体線B1112の周囲を、7本以上の外側導体線B1111で囲んだ構成であってもよいし、5本以下の外側導体線B1111で囲んだ構成であってもよい。
さらに、第1導体B11を構成する導体線B111の直径を異ならせてもよい。例えば、中心導体線B1112の直径を外側導体線B1111の直径よりも大きくしてもよいし、あるいは反対に小さくしてもよい。
また、図8に示す、中心導体線B1112と外側導体線B1111との隙間BS1(隣り合う外側導体線B1111どうしの間のうち内側の間)に、導線を配置してもよい。この隙間BS1に配置される導線としては、1本の銅線であってもよいし、ステンレスワイヤBsyの撚り線であってもよいし、複数の細い銅線を撚り合わせた撚り線であってもよい。さらに、隣り合う外側導体線B1111どうしの隙間のうち外側の隙間BS2にも、導線を配置してもよい。この外側の隙間BS2に配置される線状体も、1本の銅線であってもよいし、ステンレスワイヤBsyの撚り線であってもよいし、複数の細い銅線を撚り合わせた撚り線であってもよい。ここで説明したように、第1導体B11を構成する導体線B111どうしの隙間に、さらに導線を追加してもよい。
また、圧電体であるピエゾコート層B12に代えて、帯状のピエゾフィルムを螺旋状に巻き付けてもよい。例えば、幅0.07mmの帯状のポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなるピエゾフィルムを導体線B111の周面に螺旋状に巻き付ける際に、導体線B111の延在方向に隣り合うピエゾフィルムの幅方向の一端と他端どうしを重ね合わせた状態で巻き付けてもよい。こうすることで、ピエゾフィルムの面積をなるべく大きくとることができ、センサ感度の向上につながる。帯状のピエゾフィルムの幅は、0.07mmに限られず、0.03mm以上2mm以下であればよく、0.05mm以上1.0mm以下が好ましい。ピエゾフィルムの幅が狭すぎると導体線B111の周面に螺旋状に巻き付ける際に導体線B111の延在方向に隣り合うピエゾフィルムの間に隙間が生じやすくなってしまう。隙間が生じた箇所は、センシングできない箇所になってしまうと同時に外側に配置された第2導体層B13とショートしてまうためセンサ信号が取れなくなってしまうといった不都合が生じる。一方、ピエゾフィルムの幅が広すぎると導体線B111の外周面に螺旋状に巻き付ける際に弛みが生じやすくなってしまう。また、ピエゾフィルムの厚さは、20μm以上100μm以下であって、25μm以上80μm以下であることが好ましい。ピエゾフィルムの厚さが薄すぎるとセンサとしての感度が不十分になってしまい、反対に厚すぎると線状センサが硬くなりすぎてしまい柔軟性に欠けてしまう。さらに、ピエゾフィルムは、ピエゾ特性が、長手方向(伸び方向)にしか対応していないものよりも、結晶の配向性により複数方向(伸び方向及び曲げ方向)に対応したものである方が好ましい。
以上、圧電体を、ピエゾコート層B12に代えて、帯状のピエゾフィルムを螺旋状に巻き付ける例を説明したが、フィルムを巻き付けるよりも塗布の方が、圧電体の厚さを薄くすることが容易であり、電線センサB1を細くすることができる。
また、ピエゾコート層B12あるいはピエゾフィルムの外側に、第2導体である第2導体層B13に代えて1本の導線を1列に螺旋状に巻き付けたものであってもよい。すなわち、横巻きシールドの構成である。ここでの導線としては、直径50μmのスズメッキ軟銅線を用いてもよい。なお、銅線に限らず、ステンレスワイヤの撚り線であってもよい。さらに、ピエゾコート層B12あるいはピエゾフィルムの外側に、導線をクロスして編み上げた編組シールドであってもよいし、テープ状の導体を螺旋状に巻き付けていったテープシールドであってもよい。ただし、横巻きシールドが最も柔軟性が高い。またさらに、複数本の導線をピエゾコート層B12あるいはピエゾフィルムの外側に螺旋状に巻き付けていったものであってもよいし、複数本のテープ状の導体を螺旋状に巻き付けていったものであってもよい。ここで、導体線B111は、第2導体よりも機械的強度が高いものである。
以上、第2導体を、第2導体層B13に代えて、導線を用いる例を説明したが、導線を用いるよりも導電性材料を塗布した方が、第2導体の厚さを薄くすることが容易であり、電線センサB1を細くすることができる。
図7及び図8(a)に示す電線センサB1の直径は、0.24mmである。
また、図7に示す電線センサB1は、第2導体のさらに外側にシースを設けてもよい。シースは、第2導体を覆うものであり、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めるためのものである。シースも、塗布によって形成されたシース層である。ここにいう塗布とは、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいし吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。また、ピンホールが発生することを考慮して複数回塗布することが好ましい。例えば、厚さが6μmのシース層を2回塗布してもよい。また、シース層は、単層構造であってもよいし、複層構造であってもよい。例えば、内層と外層とからなる2層構造であってもよく、内層は、外装に比べて柔らかい材料(例えば、ポリアミド合成樹脂やポリ塩化ビニル樹脂)を塗布することで形成し、外層は、内層に比べて耐摩耗性が高い材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4フッ化・6フッ化プロピレン フッ素樹脂(FEP)、4フッ化エチレンエチレン共重合(EPFE)、4フッ化エチレンパーフロロアルコキシエチレン共重合 フッ素樹脂(PFA))を塗布することで形成してもよい。また、外層は、内層よりも厚くてもよい。さらに、内層は、可燃性材料で形成されていてもよいが、外層は、難燃性材料、不燃性材料、耐炎性材料で形成されていることが好ましい。シース層全体の厚みは5μm以上50μm以下程度である。
なお、シースは、ポリエステルテープやチューブタイプのものであってもよく、その厚みは、20μm以上50μm以下であればよい。テープやチューブタイプであっても、単層構造にしてもよいし、複層構造にしてもよい。ただし、テープやチューブタイプよりも、シース層を塗布により形成した方が、シースの厚さを薄くすることが容易であり、電線センサB1を細くすることができる。また、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高める必要がなければ、シースを設けなくてもよい。
さらに、図7に示すように、第1導体B11は、7本の導体線B111を撚り合わせたものであったが、複数の導体線が直線状に束になったものであってもよい。このように複数の導体線が直線状に束になったものは、シースによって束ねることができる。
以上説明した、図7及び図8の第1導体B11についての様々な変形は、図9以降の図面を用いて説明する各種センサにも技術的矛盾が生じないない限り適用可能である。
続いて、ここで説明する電線センサの作用効果について説明する。
図9は、ここで説明する電線センサの作用効果を説明するための図である。
図9(a)には、太目の第1導体B11fとその周囲を覆うピエゾ材料BPが示されている。図9(a)に示す第1導体B11fの半径を5とし、ピエゾ材料BPの厚さを1とする。図9(a)に示す第1導体B11fとその周囲を覆うピエゾ材料BP全体の太さは12になり、図9(a)に示すピエゾ材料BPの断面積は11πになる。
ピエゾ材料を塗布する場合には、ピエゾ材料の厚さの限界値は、ピエゾ材料の粘度や塗布方法によって決まってくる。図9(b)に示す例では、ピエゾ材料BPの厚さを1に保つことができ、ピエゾ材料BPの厚さを同じにしたまま第1導体を細くした例が示されている。図9(b)に示す第1導体B11tの半径は4である。図9(b)に示す第1導体B11tとその周囲を覆うピエゾ材料BP全体の太さは10になり、図9(b)に示すピエゾ材料BPの断面積は9πになる。ピエゾ材料BPの厚さを同じに保ったまま第1導体を細くすると、ピエゾ材料BPの断面積が減少することがわかる。
図9(c)には、7本の導体線からなる第1導体が示されている。各導体線B111tの半径は2/3である。また、各導体線B111tの周囲を覆うピエゾ材料BPの厚さも1に保つことができ、図9(a)や同図(b)に示すピエゾ材料BPの厚さと同じである。図9(c)に示す全体の太さも10であるのに対して、図9(c)に示す、7本の導体線B111tそれぞれの周囲を覆うピエゾ材料BPの総断面積は、およそ16.3π(2.3π×7)になり、図9(a)の断面積である11πよりも大きい。このことから、1本の導体線を細くするよりも、複数本の導体線に分け、各導体線の周囲に、同じ厚さのピエゾ材料BPを担持させた方が、ピエゾ材料BPの断面積は合計では大きくなり、センサ感度が低下しないことがわかる。
図9(1)は、電線センサB1を上下方向にカットした断面斜視図である。なお、第2導体は図示省略されている。この図9(1)に示す電線センサB1に下側から上側に向かって力がかかり、電線センサB1は上側を凸にした湾曲形状に変形する。
図9(2)は、上側を凸にした湾曲形状に変化した電線センサB1を、図9(1)に示す側面側とは反対の反側面側から見た図である。すなわち、図9(1)に示す矢印の方向に見た図である。
図9(2)に示す電線センサB1では、導体線B111よりもピエゾ材料BPの方が柔らかいことから、上側のピエゾ材料BPは伸び、下側のピエゾ材料BPは縮む傾向にある。この伸縮関係によって、上側と下側とでは電荷の発生が相殺される場合があると考えられる。そうなったときでも、図9(1)に示す側面側(図9(2)では紙面奥側)と反側面側(図9(2)では紙面手前側)とで、電荷が発生し、センサ信号が出力されると考えられる。そのため、側面側と反側面側におけるピエゾ材料BPの厚さは重要になる。実際には、どの方向が側面側と反側面側になるか定まっていないため、ピエゾ材料BPの厚さをどの方向にもできるだけ厚くしておくことが必要になる。図9(c)に示す態様では、1本の導体線の太さに対するピエゾ材料BPの厚みの割合が、図9(a)や同図(b)に示す例よりも高い。すなわち、ピエゾ材料の厚さは導体線の直径以上であることが好ましい。
図10は、7本の導体線B111を撚り合わせた後に、ピエゾコート層B12’を形成し、次いで第2導体層B13’を形成した集合態様の電線センサの例を示す図である。
図10(a)は、最密構造に配置された7本の導体線B111が撚り合わせた後の様子を示す図である。図10(a)に示す第1導体B11には、ステンレスワイヤの導体線B111Sと銅の導体線B111Cが用いられている。すなわち、図10(a)に示す第1導体B11は、異なる種類の導体線を撚り合わせたものである。図10(a)に示す隣り合う導体線B111は互いに接している。図10(a)に示す導体線B111は、1本が直径10μmであり、第1導体B11の太さは30μmになる。図10(a)に示す第1導体B11は、内部導体の一例に相当する。
図10(b)は、図10(a)に示す撚り合わされた7本の導体線B111にポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のピエゾ材料を塗布した状態を示す図である。
図10(b)に示す外側導体線B1111のうち外側に面する部分にピエゾ材料が担持されている。すなわち、外側導体線B1111のうち外側に面する部分のみにピエゾコート層B12’が形成されている。図10(b)に示すピエゾコート層B12’には、6か所に窪みBDが形成されている。この窪みBDは、撚り線構造ではなく1本の導体線からなる第1導体にピエゾ材料を塗布しても形成されないものである。この窪みBDによってピエゾ材料の厚さに変化が生じている。すなわち、窪みDが形成された部分のピエゾ材料の厚さtdは、窪みBDと窪みBDのちょうど中間の部分のピエゾ材料の厚さt2よりも厚くなっている。したがって、窪みBDが形成された部分では、ピエゾ材料の体積が大きいことからセンサ感度が他の部分よりも良好である。そして窪みBDは、周方向に均等に設けられており、どの方向に曲げられても高感度な電線センサとして機能する要因になる。
図10(b)に示すピエゾコート層B12’の厚さ(t2)は10μmである。また、図10(a)に示す隣り合う導体線B111は互いに接していたが、毛細管現象によりピエゾ材料が、中心導体線B1112と外側導体線B1111との隙間BS1(隣り合う外側導体線B1111どうしの間のうち内側の間)に浸透し、その隙間BS1はピエゾ材料によって埋められている。ただし、ピエゾ材料の粘度や塗布方法によっては、ピエゾ材料が上記隙間BS1に浸透せず、外側導体線B1111の周面のうち外側に面する部分のみにピエゾ材料が担持された形態になる場合もある。
図10(c)は、図10(b)に示す、外側導体線B1111のうち外側に面する部分のみにピエゾコート層B12’が形成されたものに、カーボンナノチューブ等のカーボンを含む高分子導電性材料を塗布した状態を示す図である。
図10(c)に示すピエゾコート層B12’の外側には第2導体層B13’が形成されており、ピエゾコート層B12’は第2導体層B13’によって覆われている。すなわち、第2導体層B13’からなる第2導体は、外側導体線B1111の周面に担持されたピエゾ材料のうち外側に面する部分のみに担持されている。図10(c)に示す第2導体層B13’からなる第2導体は、外部導体の一例に相当する。図10(c)に示す第2導体層B13’の厚さ(t3)は5μmである。なお、中心導体線B1112と外側導体線B1111との隙間BS1は、上述の如くピエゾ材料によって埋められているため、高分子導電性材料が入り込む余地はない。一方、上記隙間BS1がピエゾ材料によって埋められていない場合には、毛細管現象により高分子導電性材料がその隙間BS1に浸透し、その隙間BS1が高分子導電性材料によって埋められる場合もある。ただし、高分子導電性材料の粘度や塗布方法によっては、高分子導電性材料も上記隙間BS1に浸透せず、その隙間BS1が空間として残る場合もある。
こうして、図10(c)に示す電線センサB1が完成する。図10(c)に示す電線センサは、図8(a)に示す電線センサと同じものではないが、符号は共通して「1」を用いる。図10(c)に示す電線センサB1の構成は、最も細くすることができる構成であり、第2導体層B13’までの太さが60μmである。これに、シース層を二重構造で設けても0.1mmの電線センサB1を実現することができる。
また、製造が容易で低コストに得ることができる電線センサB1としては、直径20μmの導体線B111を用い、太さが60μmの第1導体B11に、厚さが20μmのピエゾコート層B12’を形成し、さらに、厚さが10μmの第2導体層B13’を形成する。この構成では、第2導体層B13’までの太さが0.12mmである。これに、シース層を二重構造で設けても0.15mm以下の電線センサB1を実現することができる。
なお、図10(a)に示す第1導体B11は、7本の導体線B111を撚り合わせたものであったが、撚り合わせずに複数の導体線が直線状に束になったものであってもよい。この場合であっても、ピエゾ材料を塗布することや、導電性材料を塗布することで、複数の導体線どうしが互いに接着され、束ねられる。あるいは、シースによっても束ねられる。
図11は、それぞれピエゾコート層B12が形成されている7本の導体線B111を撚り合わせた後に、第2導体層B13’を形成した分散態様の電線センサの例を示す図である。
図11(a)に示す7本の導体線B111それぞれの周面には、ピエゾコート層B12が形成されている。なお、中心導体線B1112には、ピエゾコート層B12が形成されていない導体線を用いてもよい。また、ピエゾコート層B12に代えて、帯状のピエゾフィルムが螺旋状に巻き付けられた導体線であってもよい。これら7本の導体線B111は、最密構造に配置された状態で撚り合わされており、図11(a)に示す隣り合う導体線B111の周面に形成されているピエゾコート層B12は互いに接している。図11(a)に示す隣り合う導体線B111の間に、ピエゾコート層B12が介在しており、各導体線B111は分散配置されている。また、図11(a)に示す導体線B111は、1本が直径10μmであり、ピエゾコート層B12の厚さも10μmである。
図11(b)は、図11(a)に示す撚り合わされた7本の導体線B111にカーボンナノチューブ等のカーボンを含む高分子導電性材料を塗布した状態を示す図である。
図11(b)に示す外側導体線B1111の周面に形成されたピエゾコート層B12のうち、外側に面する部分にのみ第2導体層B13’が形成されている。図11(b)に示す第2導体層B13’の厚さ(t3)は5μmである。また、図11(a)に示す隣り合う導体線B111の周面に形成されているピエゾコート層B12は互いに接していたが、毛細管現象により高分子導電性材料が、中心導体線B1112と外側導体線B1111との隙間BS1(隣り合う外側導体線B1111どうしの間のうち内側の間)に浸透し、その隙間BS1は高分子導電性材料によって埋められている。ただしここでも、高分子導電性材料の粘度や塗布方法によっては、高分子導電性材料が上記隙間BS1に浸透しない場合もある。また、外側導体線B1111どうしの隙間のうち外側の隙間BS2は、厳密には図11(b)に2点鎖線で示すように高分子導電性材料で埋められる場合がある。こうして、図11(b)に示す電線センサB1が完成する。なお、図11(b)に示す電線センサは、図8(a)に示す電線センサと同じものではないが、ここでも符号は共通して「1」を用いる。図11(b)に示す電線センサB1では、第2導体層B13’までの太さが0.1mmである。
また、製造が容易で低コストに得ることができる電線センサB1としては、直径20μmの導体線B111を用い、厚さが20μmのピエゾコート層B12を形成し、さらに、厚さが10μmの第2導体層B13’を形成する。この構成では、第2導体層B13’までの太さが0.2mmである。
なお、ここでの例でも、それぞれピエゾコート層B12が形成されている7本の導体線B111を撚り合わせているが、撚り合わせずに、複数の導体線が直線状に束になったものであってもよい。この場合であっても、導電性材料を塗布することで、複数の導体線どうしが互いに接着され、束ねられる。あるいは、シースを設ければ、そのシースによっても束ねられる。
図7から図11を用いて説明した電線センサB1は、十分に細いため、血管の中に通すことができる。電線センサB1の先端に接触子を設け、接触子から血管内に挿入し、臓器の壁面に接触子を接触させてその壁面の硬さを測定することができる。臓器の壁面の硬さを測定することができれば、癌細胞の発見につなげることができる。
また、シースを設けた図7から図11の電線センサB1を複数本用意し、それら複数本の電線センサB1をシースでさらに被覆して線状センサとしてもよい。例えば、シースを設けた電線センサB1を7本用意し、それら7本の電線センサB1を最密構造に配置した状態で撚り合わせた上で、シースでさらに被覆してもよい。1本1本の電線センサB1では、シースが破れてしまうと、水等が侵入して腐食してしまったり、電流がリークしてしまう場合があるが、シースを設けた電線センサB1が複数本あり、それらがシースでさらに被覆されていると、1本の電線センサB1のシースが破れても、他の電線センサB1のセンサ信号を得ることができ、耐久性や信頼性が向上する。図7から図11を用いて説明した電線センサB1は十分に細くすることができるものであるため、このように複数本の電線センサB1をシースでさらに被覆しても従来よりも全体の太さを抑えた線状センサを得ることができる。
また、図2に示す帯状センサA2では、電線センサA1に代えて、図7から図11を用いて説明した電線センサB1を用いてもよい。なお、図2に示す縦ワイヤA21を、ステンレスワイヤを7本撚り合わせた1次撚り線を最密構造に配置した状態でさらに撚り合わせた2次撚り線にしてもよい。この縦ワイヤA21は、縦線状体の一例に相当する。
また、図3に示す面状センサA3でも、電線センサA1に代えて、図7から図11を用いて説明した電線センサB1を用いてもよい。
なお、電線センサB1が細くて柔らかくなると(例えば、太さが2mm以下になると)、他の繊維と一緒に一般的な織り方(例えば、平織りや綾織等)で織ることができる。
また、図3に示す面状センサA3の電線センサA1に代えて、図7から図11を用いて説明した電線センサB1を用い、触感センサに利用する場合においても、制御部が備えられる。ここでの制御部も、図3に示す面状センサA3を触感センサに利用した場合に備えられる制御部と同じであり、先に説明した制御部に関する説明や判定の説明と同じであるため説明を省略する。
また、図7から図11を用いて説明した電線センサB1は、図5および図6等を用いて説明した電線センサA1の他の利用例にも利用することができる。すなわち、螺旋状に周回した電線センサB1として利用することもできるし、電線センサB1を織物のように織ることで帯状センサや面状センサを製作することもできるが、電線センサB1を編み物のように、伏せ止めしてもよいし、メリヤス編みしてもよい。
また、電線センサB1は、従来のセンサよりも細くすることで柔軟性を高めることができることから、図5(a)を用いて説明した編物状のセンサとしても利用することができる。
また、圧電体であるピエゾコート層B12に代えて、帯状のピエゾフィルムを螺旋状に巻き付けるにあたり、図5(b)を用いて説明したようにして、導体線B111にピエゾフィルムを巻き付けていけばよい。
また、電線センサB1も、キュリー温度を超えるまで部分的に加熱することで、センサ部と、出力信号の送信線とに分けて使用することができる。
さらに、電線センサB1を用いた面状センサも、図3に示す面状センサと同じく、X軸方向には伸縮することはなく、Y軸方向にも伸縮することはないが、対角線方向には伸縮可能であり、図5(c)に示すように90度回転させた状態で使用すれば、白抜きの矢印方向に伸縮可能な面状センサになる。さらに、第1電線センサがX軸方向に延在し第2電線センサがY軸方向に延在した面状センサと、電線センサB1を用いて図5(c)に示す面状センサに適用したものを重ねて配置すれば、X軸方向にも、Y軸方向にも、対角線方向にも伸縮するセンサを実現することができる。
また、電線センサB1を用いた帯状センサも、溶接された配管に巻き付け、溶接部の欠陥検査に利用することができる。
さらに、電線センサB1を用いた面状センサも、高所において振動を検出するものや、人の心拍や呼吸を振動として検出するものや、介護等の各種の監視や、ペットの監視に利用することもできる。
また、電線センサB1を用いた面状センサを配置した手袋を、ロボットハンドに装着してもよいし、人に装着させて、各種作業等における把持力等のデータ取りに用いてもよい。
また、電線センサB1を用いた面状センサも、手指の拘縮患者ためのリハビリ用のグリップに応用することができる。
さらに、電線センサB1を用いた面状センサも、図6を用いて説明したようにロボットハンドに適用させることができる。
なお、これまで説明した実施形態や、図7から図11を用いて説明した電線センサB1の他の利用例は適宜組み合わせることが可能である。
以下に、図7から図11を用いて説明したことを含めた技術的思想を記す。
図7から図11を用いて説明した第2の特徴的な線状センサは、
複数の導体線を有する第1導体と、
第2導体とを備え、
前記複数の導体線のうち、少なくとも前記第1導体の外周面を構成する外側導体線が、周面にピエゾ材料を担持したものであり、
前記第2導体が、少なくとも、前記外側導体線の周面に担持されたピエゾ材料の外側に配置されたものであることを特徴とする。
従来より、第1導体の外周面にピエゾ材料(圧電材料)が配置された線状センサが知られている(例えば、特開2008−151638号公報等参照)。この線状センサは、触覚センサや振動センサ等に利用することができる。触覚センサは、人が触れる態様で使用されることがあり、センサ自身に柔らかい触感が求められる場合がある。また、振動センサとして利用する場合にも、センサを対象物に巻き付けたり、センサ自身が曲げられた状態で使用されることもあり、柔軟性が求められる場合がある。柔らかい触感や柔軟性を得るためには、第1導体を細くすることが考えられる。また、これまでは太すぎて線状センサを挿入して検査することができなかった箇所でも、線状センサを細くすることができれば検査が可能となる場合もある。
しかしながら、ピエゾ材料の厚みを同じにしたまま第1導体を細くしようとすると、ピエゾ材料の単位長さ当りの体積が減少してしまう。センサ感度は、ピエゾ材料の体積に比例し、体積が小さくなればなるほどセンサ感度は低下してしまう。
一方、上記第2の特徴的な線状センサによれば、前記第1導体を構成する複数の導体線ごとにピエゾ材料が担持されているため、ピエゾ材料の厚みを同じにしたまま該第1導体を細くしても、ピエゾ材料の単位長さ当りの体積が減少してしまうことがないか、体積の減少が抑えられる。したがって、前記第1導体を細くしてもセンサ感度が低下しない、あるいはセンサ感度の低下が抑えられた線状センサを実現することができる。
前記第1導体は、前記複数の導体線が一つにまとまった集合態様であってもよいし、該複数の導体線が分散配置された分散態様であってもよい。
集合態様では、前記複数の導体線が直線状に束になったものであってもよいし、前記複数の導体線が撚られたものであってもよい。
前記複数の導体線が撚られたものである場合には、ステンレスワイヤを撚り合わせた撚り線であってもよい。このステンレスワイヤ1本の直径は、10μm以上40μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であることが好ましい。ステンレスワイヤは、細ければ細いほど柔軟性は高められるが強度が低下し、太ければ太いほど柔軟性は低下するが強度が高められる。
前記第1導体は、断面形状が、前記撚り線が正六角形の各頂点および該正六角形の中心に配置された状態で全体が撚られたものであってもよい。すなわち、最密構造のものであってもよい。
さらに、前記第1導体は、前記撚り線のみから構成されたものであってもよいし、前記撚り線と他の金属線から構成されたものであってもよい。例えば、前記撚り線が正六角形の各頂点に配置され該正六角形の中心に銅線が配置された状態で全体が撚られたものであってもよいし、前記撚り線が正六角形の頂点のうち一つおきに配置され残りの頂点には銅線が配置され、該正六角形の中心には銅線又は前記撚り線が配置された状態で全体が撚られたものであってもよい。
前記第1導体の直径は、0.03mm以上0.8mm以下であってもよく、0.06mm以上であることが低コストで製造することができたり製造が容易であり、0.5mm以下であることが細さの面では好ましい。
前記第1導体は、中心に位置する中心導体線の周囲に前記外側導体線が配置されたものを撚った構造のものであってもよい。前記中心導体線も、周面にピエゾ材料を担持したものであってもよく、この場合には第1導体は分散態様になる。一方、前記中心導体線は、周面にピエゾ材料を担持していないものであってもよく、この場合には第1導体は集合態様になる。第1導体が分散態様であっても集合態様であっても、前記中心導体線は、ステンレスワイヤやタングステン等の高張力鋼材、超高張力鋼、タングステン及びその合金、チタン及びその合金、Mg及びその合金等の材料等の導線からなるものであってもよいし、前記外側導体線よりも機械的強度が高いものであってもよい。また、前記外側導体線は、銅からなるものであってもよく、前記中心導体線よりも電気抵抗が低く、かつ柔らかいものであってもよい。あるいは、前記外側導体線は、相対的に電気抵抗が低くかつ柔らかいものと、相対的に電気抵抗が高くかつ機械的強度が高いものの2種類を用意し、これら2種類の外側導体線を周方向に交互に配置したものであってもよい。
前記外側導体線が、全周面にピエゾ材料を担持したものであってもよいし、周面のうち外側に面する部分のみにピエゾ材料を担持したものであってもよい。
前記ピエゾ材料は、帯状のピエゾフィルムであってもよい。すなわち、前記複数の導体線を撚り合わせる前に、各導体線の周面に帯状のピエゾフィルムを螺旋状に巻き付けておき、各導体線の周面にピエゾ材料を担持させた構造としてもよい。この構造の場合には、第1導体は分散態様になる。前記ピエゾフィルムは、幅が0.03mm以上2mm以下のものであって、好ましくは0.05mm以上1.0mm以下のものである。前記ピエゾフィルムは、前記導体線の周面に螺旋状に巻き付ける際に該導体線の延在方向に隣り合うピエゾフィルムの幅方向の一端と他端どうしを重ね合わせた状態で巻き付けていき、隙間が生じないようにする。ピエゾフィルムの幅が狭すぎると前記導体線の外周面に螺旋状に巻き付ける際に該導体線の延在方向に隣り合うピエゾフィルムの間に隙間が生じやすくなってしまう。隙間が生じた箇所は、センシングできない箇所になってしまうと同時に外側に配置された前記第2導体とショートしてまうためセンサ信号が取れなくなってしまうという不都合が生じる。一方、ピエゾフィルムの幅が広すぎると前記導体線の周面に螺旋状に巻き付ける際に弛みが生じやすくなってしまう。なお、ピエゾフィルムの幅方向の一端と他端どうしを重ね合わせることでピエゾフィルムの面積をなるべく大きくとることができ、センサ感度の向上につながる。前記ピエゾフィルムの厚さは、20μm以上100μm以下であって、25μm以上80μm以下であることが好ましい。前記ピエゾフィルムの厚さが薄すぎるとセンサとしての感度が不十分になってしまい、反対に厚すぎると線状センサが硬くなりすぎてしまい柔軟性に欠けてしまう。前記ピエゾフィルムは、ピエゾ特性が、長手方向(伸び方向)にしか対応していないものよりも、結晶の配向性により複数方向(伸び方向及び曲げ方向)に対応したものである方が好ましい。
あるいは、前記複数の導体線を撚り合わせる前に、該導体線の周面にピエゾ材料を塗布しておき、該導体線の周面にピエゾ材料を担持させた構造としてもよい。ここにいう塗布とは、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいし吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。さらには、前記外側導体線自身も、撚り線構造である場合には、ピエゾ材料を含浸させ、毛細管現象で該外側導体線内部までピエゾ材料が浸透したものであってもよい。この場合にも、第1導体は分散態様になる。
また、前記複数の導体線を撚り合わせた後に、前記第1導体の外周面にピエゾ材料を塗布することで、前記外側導体線の周面にピエゾ材料を担持させた構造としてもよい。ここにいう塗布とは、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいし吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。さらには、前記第1導体にピエゾ材料を含浸させ、毛細管現象で該第1導体の内部までピエゾ材料が浸透したものであってもよい。この場合には、第1導体は集合態様になる。
塗布されたピエゾ材料の厚さは前記導体線の直径以上であることが好ましく、例えば、0.01mm以上0.05mm以下である。
前記第2導体を覆うシースが設けられたものであってもよい。このシースは、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めるためのものである。シースも、塗布によって形成されたものであってもよく、さらには、複層構造であってもよい。ここにいう塗布とは、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいし吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。また、ピンホールが発生することを考慮して複数回塗りすることが好ましい。なお、シースの厚みは5μm以上50μm以下程度である。シースを含めた線状センサの直径は0.1mmにすることも可能である。
また、
前記第1導体は、前記複数の導体線を撚り合わせたものであってもよい。
前記複数の導体線を甘撚、あるいは中撚程度に撚っておくことで、撚りの方向とは逆方向の緩みを許容し、この緩みが柔軟性を与えることができる。
また、
隣り合う前記外側導体線どうしの間に、ピエゾ材料が充填されていることを特徴とする態様であってもよい。
この態様は、前記複数の導体線を撚り合わせた後に、前記第1導体の外周面にピエゾ材料を塗布することで実現することができる態様である。
なお、隣り合う前記外側導体線どうしの間のうち、外側の間にのみピエゾ材料が充填されていてもよいし、内側の間にのみピエゾ材料が充填されていてもよいし、外側の間と内側の間の両方にピエゾ材料が充填されていてもよい。隣り合う前記外側導体線どうしの間のうち内側の間に充填されたピエゾ材料は、毛細管現象で浸透したピエゾ材料である。
また、
前記第2導体が、前記外側導体線の周面に担持されたピエゾ材料のうち、少なくとも外側に面する部分に担持されたものであってもよい。
前記第2導体が、前記外側導体線の周面に担持されたピエゾ材料のうち外側に面する部分のみに担持されたものであってもよいし、前記外側導体線の全周面に担持されたピエゾ材料全体に担持されたものであってもよい。
また、前記第2導体は、導電性材料を塗布することで形成されたものであってもよい。ここにいう塗布とは、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいし吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。
塗布された、前記第2導体を形成する導電性材料の厚さは、前記導体線の直径以下であることが好ましく、また、塗布されたピエゾ材料の厚さ以下であることも好ましい。この導電性材料の厚さは、例えば、5μm以上50μm以下である。
なお、この第2導体は、前記ピエゾ材料の外側に、導線をクロスして編み上げた編組シールドであってもよいし、導線を1列に螺旋状に巻き付けていった横巻きシールドでもよい。また、第2導体は、前記ピエゾ材料の外側に、テープ状(帯状)の導体を螺旋状に巻き付けていったテープシールドであってもよい。ただし、横巻きシールドが最も柔軟性が高い。またさらに、第2導体は、複数本の導線を螺旋状に巻き付けていったものであってもよいし、複数本のテープ状(帯状)の導体を螺旋状に巻き付けていったものであってもよい。
これまで説明した第2の特徴的な帯状センサは、
上記第2の特徴的な線状センサと、
前記線状センサの延在方向と同じ方向に延びた金属製の縦線状体と、
前記線状センサの幅方向に延び、該線状センサと前記縦線状体を綴る横線状体とを有することを特徴とする。
金属製の縦線状体は、機械的強度を出すためのものであり、例えば、ステンレスワイヤを含んだものであってもよい。より具体的には、ステンレスワイヤの撚り線であってもよいし、ステンレスワイヤと非金属製の線状体を撚り合わせたものであってもよい。さらに、金属製の縦線状体は、上記第2の特徴的な線状センサよりも機械的強度が高いものであってもよい。また、前記線状センサが1本ではなく、複数本、間隔をあけて配置され、該間隔に前記縦線状体が配置された構成であってもよい。この場合、前記間隔に、前記縦線状体のみが配置された態様であってもよいし、前記縦線状体と非金属性の線状体が配置された態様であってもよい。
また、前記横線状体が、ステンレスワイヤと非金属製の線状体を撚り合わせたものであってもよい。
ここで説明した非金属性の線状体は、樹脂製の線状体であってもよいし、綿糸等の天然繊維であってもよい。すなわち、前記非金属性の線状体は、化学繊維であってもよいし天然繊維であってもよい。
これまで説明した第2の特徴的な面状センサは、
上記第2の特徴的な線状センサを第1線状センサとし、該第1線状センサの径方向に間隔をあけて該第1線状センサを複数本配置した第1センサ体と、
隣り合う前記第1線状センサの間に配置され、該第1線状センサの延在方向と同じ方向に延びた、該第1線状センサよりも柔らかな第1線状体と、
上記第2の特徴的な線状センサを第2線状センサとし、前記第1線状センサの延在方向に間隔をあけて該第2線状センサを複数本配置した第2センサ体と、
隣り合う前記第2線状センサの間に配置され、該第2線状センサの延在方向と同じ方向に延びた、該第2線状センサよりも柔らかな第2線状体とを備え、
前記第1センサ体と前記第2センサ体は、分離不能に重ね合わされたものであることを特徴とする。
前記第1センサ体と前記第2センサ体を結合する結合手段が備えられており、該結合手段は、前記第1線状体の一部又は全部であってもよいし、前記第2線状体の一部又は全部であってもよい。例えば、前記第1線状体によって、前記第2線状センサおよび前記第2線状体が綴られ、前記第2線状体によって、前記第1線状センサおよび前記第1線状体が綴られていてもよい。あるいは、前記第2線状センサおよび前記第2線状体を綴る第1結合用線状体と、前記第1線状センサおよび前記第1線状体を綴る第2結合用線状体を備えていてもよい。
この第1結合用線状体は上記第2の特徴的な線状センサよりも細く、第1結合用線状体の直径は、上記第2の特徴的な線状センサの直径の1/5以上1/3以下であってもよい。また、第2結合用線状体も上記第2の特徴的な線状センサよりも細く、第2結合用線状体の直径も、上記第2の特徴的な線状センサの直径の1/5以上1/3以下であってもよい。
前記第1線状体は、前記第1線状センサよりも直径が大きなものであり、前記第2線状体は、前記第2線状センサよりも直径が大きなものであってもよい。
前記第1センサ体と前記第2センサ体の他に、上記第2の特徴的な線状センサが配置されたセンサ体が1又は複数備えられていてもよい。
以上説明した技術的思想によれば、第1導体を細くしてもセンサ感度が低下しない、あるいはセンサ感度の低下が抑えられた線状センサと、その線状センサを用いた、帯状センサおよび面状センサを提供することができる。
次いで、線状センサのさらに別の実施形態について説明する。
図12は、2種類の電線センサの断面図である。
この図12に示す2種類の電線センサC1はいずれも、内部導体C11と、圧電体C12と、外部導体C13と、シースC14から構成されている。
内部導体C11は、中心を通る中心導体線C1112と、その中心導体線C1112を取り囲む外側導体線C1111を有する。
図12(a)に示す電線センサC1は、撚り線構造をもたない電線センサである。すなわち、中心導体線C1112にしても、外側導体線C1111にしても撚り線ではなく、1本の導体線である。図12(a)に示す中心導体線C1112は、ステンレンス製の導体線であり、図12(a)に示す外側導体線C1111は、銅製の導体線である。図12(a)に示す中心導体線C1112は、図12(a)に示す外側導体線C1111よりも太く、例えば、外側導体線C1111の2倍以上太い。なお、図12(a)に示す外側導体線C1111は、20μm弱程度の太さであり、図12(a)に示す中心導体線C1112は、その外側導体線C1111よりも5倍程度太い。中心導体線C1112の太さは、電線センサC1に要求される機械的強度によって決められる。図12(a)に示す電線センサC1では、外側導体線C1111が19本設けられている。なお、外側導体線C1111の本数は19本に限定されない。銅は、ステンレンスよりも電気抵抗値が低く、導電性に優れており、この例では、中心側で機械的強度を確保し、電流が流れやすい外側で導電性を確保している。中心導体線C1112は間隔をあけることなく、隣り合う中心導体線C1112どうしは接触した状態で配置されている。1本の中心導体線C1112と、19本の外側導体線C1111は、直線状に束になったものであり、図12(a)に示す内部導体C11は、撚り線構造ではない。
なお、ステンレスの代わりに、タングステン、あるいはチタンを用いてもよく、さらには、金属に限らず、導電性を有する高張力繊維(例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミドや、アラミド繊維等)を用いてもよい。このことは、中心導体線C1112に限らず、ステンレス製のものであれば同じことであり、図1からこれまでの説明においても同じであり、以下の説明においても同じである。また、19本の外側導体線C1111は、中心導体線C1112と同じ方向を向いて束ねられていたが、中心導体線C1112に1本の外側導体線C1111を1列に螺旋状に巻き付けてもよい。すなわち、外側導体線C1111を横巻きに配置してもよい。外側導体線C1111を横巻きに配置する構造の場合、外側導体線C1111は15μm以上40μm以下(例えば、30μm)の太さのものを用い、中心導体線C1112は、その外側導体線C1111よりも2倍以上4倍以下(例えば、3倍)の太さのものを用いてもよい。また、外側導体線C1111を銅製のものから、チタン製、白金製、あるいは銀製のものに代えてもよいし、カーボンナノファイバーを含有した高分子材料のものに代えてもよいし、導電性高分子のものに代えてもよい。このことは、外側導体線C1111に限らず、銅製のものであれば同じことであり、図1からこれまでの説明においても同じであり、以下の説明においても同じである。また、図12(a)に示す電線センサC1では、内部導体C11は撚り線構造ではなかったが、中心導体線C1112を中心に外側導体線C1111を撚ってもよい。さらに、外側導体線C1111をなくし、中心導体線C1112の外周面に、窒素含有ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の硬質膜を設けてもよい。窒素含有ダイヤモンドライクカーボン(DLC)は、導電性が良好であり、中心導体線C1112の外周面にプラズマ蒸着によって設けることができる。あるいは、外側導体線C1111をなくし、中心導体線C1112の外周面に、銅メッキや銅蒸着を施してもよいし、銅箔を担持させてもよい。
また、図12(a)に示す中心導体線C1112を銅線にしてもよいし、図12(a)に示す外側導体線C1111をステンレス製の導体線にしてもよい。
図12(b)に示す電線センサC1は、撚り線構造をもった電線センサである。すなわち、中心導体線C1112は、ステンレンス製の1本の導体線であるが、外側導体線C1111は、7本の銅製の導体線C1111cを撚り合わせたものである。1本の導体線C1111cは直径15μmである。7本の導体線C1111cは、正六角形の各頂点およびその正六角形の中心に配置した状態で撚り合わせたものである。すなわち、外側導体線C1111は、7本の導体線C1111cを最密構造に配置した上で撚り合わせたものである。複数本の導体線C1111cを甘撚、あるいは中撚程度に撚っておくことで、撚りの方向とは逆方向の緩みを許容し、この緩みが柔軟性を与えることができる。図12(b)に示す外側導体線C1111の直径は45μmになる。また、図12(b)に示す中心導体線C1112も、直径が45μmである。
図12(b)に示す1本の中心導体線C1112と、図12(b)に示す外側導体線C1111は、直線状に束になったものであり、撚り線構造ではない。ただし、図12(b)に示す中心導体線C1112を中心に図12(b)に示す外側導体線C1111を撚ってもよい。
なお、外側導体線C1111を構成する導体線C1111cの本数は、7本に限らない。また、7本の銅製の導体線C1111cのうち、少なくとも外側の6本の導体線として、銅以外の材質、好ましくは、ステンレスよりも柔らかい材質の表面に、窒素含有ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の硬質膜を設けたもの、あるいは、銅メッキや銅蒸着を施したものや銅箔を担持させたものを用いてもよい。また、少なくとも外側の6本の導体線として、カーボンナノファイバーを含有した高分子材料の導体線に代えてもよいし、導電性高分子の導体線に代えてもよい。
また、図12(b)に示す中心導体線C1112を銅線にしてもよいし、図12(b)に示す外側導体線C1111をステンレスワイヤの撚り線にしてもよい。
以上説明したように、中心導体線C1112は撚り線ではなく、1本の導体線であってもよく、このことは、図1からこれまで説明した電線センサA1,B1でも言えることである。また、その1本の導体線は、ステンレス製のものであってもよいし、タングステン製のものであってもよいし、さらには、金属に限らず、導電性を有する高張力繊維(例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミドや、アラミド繊維等)製のものであってもよい。
図12に示す2種類の内部導体のうち、同図(a)に示す内部導体C11は、ステンレスの占める割合が、銅の占める割合よりも高く、同図(b)に示す内部導体C11は、反対に、ステンレスの占める割合が、銅の占める割合よりも低い。ここにいう割合とは、断面積の割合になる。機械的強度の高さや、曲げ回数が多い場合には、ステンレスの占める割合を高くし、柔軟性や導電性を優先する場合には、銅の占める割合を高くする。
圧電体C12は、図1を用いて説明した圧電体A12と同じであり、幅3mmの帯状のピエゾフィルムから構成されたものである。
図13は、内部導体C11の外周面にピエゾフィルムを巻き付けていく様子を示す図である。
ピエゾフィルムCFは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる。このピエゾフィルムCFを内部導体C11の外周面に螺旋状に巻き付ける際に、内部導体C11の延在方向に隣り合うピエゾフィルムCFの幅方向の一端と他端どうしを重ね合わせた状態で巻き付けていく。こうすることで、電線センサC1が曲げられた場合であっても、内部導体C11の延在方向に隣り合うピエゾフィルムCFの間に隙間が生じにくい。なお、隙間が生じた箇所は、センシングできない箇所になってしまう。また、ピエゾフィルムCFの面積をなるべく大きくとることができ、センサ感度の向上につながる。重ね合わせ幅は、ピエゾフィルムCFの幅の1/4以上3/4以下が好ましい。1/4未満であった場合には、電線センサC1の曲げ伸ばしが繰り返されると、隙間が生じる恐れがある。一方、3/4を超えると、ピエゾフィルムCFを使用する量が増えすぎてしまいコストアップにつながってしまう。さらに、重ね合わせ幅を、ピエゾフィルムCFの幅の1/2にすると、2重巻きになり、隙間がより生じにくくなる。
ピエゾフィルムCFの幅は、2mm以上5mm以下であればよく、3mm以上4mm以下が好ましい。ピエゾフィルムCFの幅が狭すぎると内部導体C11の外周面に螺旋状に巻き付ける際に内部導体C11の延在方向に隣り合うピエゾフィルムCFの間に隙間が生じやすくなってしまう。一方、ピエゾフィルムCFの幅が広すぎると内部導体C11の外周面に螺旋状に巻き付ける際に弛みが生じやすくなってしまう。
内部導体C11の外周面にピエゾフィルムCFを螺旋状に巻き付けると、ピエゾフィルムは内部導体C11の外周形状に馴染み、図12(b)に示す圧電体C12は、厳密には2点鎖線のように内側に入り込んだ形状になる。
また、ピエゾフィルムCFの厚さは、20μm以上100μm以下であればよく、25μm以上80μm以下であることが好ましい。ピエゾフィルムCFの厚さが薄すぎるとセンサとしての感度が不十分になってしまい、反対に厚すぎると電線センサC1が硬くなりすぎてしまい柔軟性に欠けてしまう。
さらに、ピエゾフィルムCFの巻き付け角度θは、10°以上50°以下であることが好ましい。ピエゾフィルムCFを巻き付けていく場合に、すでに巻き付けが完了した側を上流側と称し、これから巻き付ける側を下流側と称した場合、ここにいう巻き付け角度θとは、内部導体C11と、ピエゾフィルムCFの下流側の縁CF1との角度になる。50°を超えると、ピエゾフィルムCFを使用する量が増えすぎてしまいコストアップにつながってしまう。一方、10°未満であると、ピエゾフィルムCFの重なりがなくなる方向に、巻き付けたピエゾフィルムCFがズレやすくなってしまう。
さらに、圧電体C12に採用するピエゾフィルムCFは、ピエゾ特性が、長手方向(伸び方向)にしか対応していないものよりも、結晶の配向性により複数方向(伸び方向及び曲げ方向)に対応したものである方が好ましい。
このように、圧電体C12としてピエゾフィルムCFを採用することで熱をかける必要がなくなり、キュリー温度を超えるまで加熱される恐れがなく、ピエゾ特性に影響が及ぼされない。ただし、圧電材料を内部導体C11の外周面に溶着することも可能である。例えば、フッ化ビニリデン(VDF)と三フッ化エチレン(TrFE)の共重合体P(VDF/TrFE)を熱で溶融させておき、そこに内部導体C11を通せば、内部導体C11の外周面に圧電材料が担持される。この場合には、後から高電場を印加し、分極処理を行う。また、圧電材料を内部導体C11の外周面に塗布することも可能である。上述のごとく、ピエゾフィルムCFを螺旋状に巻き付けた場合であっても、ピエゾフィルムCFは内部導体C11の外周形状に馴染み、図12(b)に示す2点鎖線のように内側に入り込んだ形状になるが、圧電材料を溶着させた場合、あるいは塗布した場合には、周方向に隣り合う外側導体線C1111と外側導体線C1111との間に圧電材料が入り込み、その間が圧電材料で埋められ、圧電材料の内部導体C11との密着性が向上する。密着性が向上すると、内部導体C11の表面、すなわち外側導体線C1111の外側表面に誘起される電荷が発生しやすくなって、信号強度が高まり、センサとしての性能向上が期待できる。
外部導体C13は、図1を用いて説明した外部導体A13と同じであり、圧電体C12の外周面に、1本の銅線を1列に螺旋状に巻き付けたものである。すなわち、横巻きシールドの構成である。銅線としては、直径50μmのスズメッキ軟銅線を用いる。なお、外部導体C13は、銅線に限らず、ステンレスワイヤの撚り線であってもよい。また、外部導体C13の厚さは、10μm以上120μm以下であればよく、25μm以上90μm以下であることが好ましい。すなわち、内部導体C11の直径よりも薄い。さらに、この外部導体C13は、圧電体C12の外周面に、導線をクロスして編み上げた編組シールドであってもよいし、テープ状の導体を螺旋状に巻き付けていったテープシールドであってもよい。またさらに、外部導体C13は、複数本の導線を螺旋状に巻き付けていったものであってもよいし、複数本のテープ状の導体を螺旋状に巻き付けていったものであってもよい。
ここで、内部導体C11は、外部導体C13よりも機械的強度が高いものである。
なお、外部導体C13を銅線から、カーボンナノファイバーを含有した高分子材料のものに代えてもよいし、導電性高分子のものに代えてもよい。また、圧電体C12の外周面に、窒素含有ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の硬質膜を設けて外部導体C13としてもよいし、銅メッキや銅蒸着を施して外部導体C13としてもよいし、銅箔を担持させて外部導体C13としてもよい。
シースC14は、図1を用いて説明したシースA14と同じであり、外部導体C13を覆うものであり、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めるためのものである。シースC14は、ポリエステルテープであってもよく、その厚みは、20μm以上40μm以下であればよい。なお、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高める必要がなければ、シースC14を設けなくてもよい。
図12に示すシースC14は厚さが30μmの単層構造であるが、複層構造であってもよい。例えば、内層と外層とからなる2層構造であってもよく、内層は、外装に比べて柔らかい材質(例えば、ポリアミド合成樹脂やポリ塩化ビニル樹脂)で形成されており、外層は、内層に比べて耐摩耗性が高い材質(例えば、ポリテトラフルオロエチレン)で形成されている。また、外層は、内層よりも厚くてもよい。さらに、内層は、可燃性材料で形成されていてもよいが、外層は、難燃性材料、不燃性材料、耐炎性材料で形成されていることが好ましい。
またさらに、導電材料を担持した材料と耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高める材料との2層構造であってもよい。例えば、銅メッキや銅蒸着を施した帯状のPETフィルムを外部導体C13の外周面に、上述したピエゾフィルムCFと同じように重ね合わせながら巻き付けていき、さらにその上から帯状のポリエステルテープを同じく重ね合わせながら巻き付けていってもよい。銅を担持したフィルムによってシールド効果が得られる。
図14は、図12に示す電線センサC1を用いた面状センサの分解斜視図である。
この面状センサC3は、メッシュ生地C30を基材として有する。このメッシュ生地C30は、面状体の一例に相当する。図12に示す電線センサC1は、その電線センサC1の幅方向(Y軸方向)に間隔をあけてメッシュ生地C30になみ縫いされている。図14では、7本の電線センサC1がなみ縫いされており、灰色で示されている。以下、灰色で示されたこれら7本の電線センサC1を第1電線センサC31と称する。また、メッシュ生地C30には、これらの第1電線センサC31の延在方向(X軸方向)に間隔をあけて図12に示す電線センサC1がなみ縫いされている。図14では、9本の電線センサC1がなみ縫いされており、黒色で示されている。以下、黒色で示されたこれら9本の電線センサC1を第2電線センサC32と称する。メッシュ生地は、網の目が粗く、第1電線センサC31および第2電線センサC32を網の目に通しやすく縫いやすい。第1電線センサC31と第2電線センサC32の関係は、メッシュ生地C30の、第1電線センサC31がメッシュ生地C30の裏側を通っている部分では、第2電線センサC32がメッシュ生地C30の表側を通っており、メッシュ生地C30の、第2電線センサC32がメッシュ生地C30の裏側を通っている部分では、第1電線センサC31がメッシュ生地C30の表側を通っている。また、第1電線センサC31の、メッシュ生地C30の表側を通っている部分と、その第1電線センサC31に隣り合う第1電線センサC31の、メッシュ生地C30の表側を通っている部分との間では、第2電線センサC32がメッシュ生地C30の表側を通っており、第2電線センサC32の、メッシュ生地C30の表側を通っている部分と、その第2電線センサC32に隣り合う第2電線センサC32の、メッシュ生地C30の表側を通っている部分との間では、第1電線センサC31がメッシュ生地C30の表側を通っている。これの関係によって、メッシュ生地C30を挟んで、第1電線センサC31と第2電線センサC32が重なっている点が形成されている。
第1電線センサC31が変形することで、変形した第1電線センサC31から信号が出力され、同じく、第2電線センサC32が変形することで、変形した第2電線センサC32から信号が出力される。図14に示す面状センサC3では、信号が送られてきた第1電線センサC31と、同じく変形することで信号が送られてきた第2電線センサC32とによって、変形した領域を検出することができる。
さらに、図14に示す面状センサC3は、メッシュ生地C30を表側から覆う表側シート体C33と、メッシュ生地C30を裏側から覆う裏側シート体C34を有する。表側シート体C33も裏側シート体C34も、綿布であり、メッシュ生地C30とは異なる材質である。綿布はメッシュ生地よりも肌触りが良い材質であるのに対して、メッシュ生地は綿布より目が粗い材質である。ただし、表側シート体C33も裏側シート体C34もメッシュ生地であってもよい。
図14では、メッシュ生地C30と、表側シート体C33と、裏側シート体C34とをバラバラに示しているが、完成した面状センサC3では、表側シート体C33と裏側シート体C34の間にメッシュ生地C30が挟み込まれ、これら3つ(C30,C33,C34)が一体になっている。例えば、表側シート体C33と裏側シート体C34の方が、メッシュ生地C30よりも大きく、表側シート体C33の外周部分と裏側シート体C34の外周部分を縫い合わせてもよい。さらに、表側シート体C33と裏側シート体C34の間でメッシュ生地C30がズレないように、表側シート体C33とメッシュ生地C30と裏側シート体C34を中央部分で綴じてもよい。
なお、メッシュ生地C30に代えて、綿布、サテン生地、あるいは不織布であるフェルトを基材として用いてもよい。また、ここでは、電線センサとして図12に示す電線センサC1を用いているが、この電線センサC1に代えて、図1に示す電線センサA1や、図7から図11それぞれに示す電線センサB1を用いてもよい。
さらに、電線センサC1を用いた面状センサC3も、図3に示す面状センサA3と同じく、X軸方向には伸縮することはなく、Y軸方向にも伸縮することはないが、対角線方向には伸縮可能であり、図5(c)に示すように90度回転させた状態で使用すれば、白抜きの矢印方向に伸縮可能な面状センサになる。さらに、第1電線センサC31がX軸方向に延在し第2電線センサC32がY軸方向に延在した面状センサと、電線センサC1を用いて図5(c)に示す面状センサに適用したものを重ねて配置すれば、X軸方向にも、Y軸方向にも、対角線方向にも伸縮するセンサを実現することができる。
さらに、電線センサC1を用いた面状センサC3も、高所において振動を検出するものや、人の心拍や呼吸を振動として検出するものや、介護等の各種の監視や、ペットの監視に利用することもできる。
また、電線センサC1を用いた面状センサC3を配置した手袋を、ロボットハンドに装着してもよいし、人に装着させて、各種作業等における把持力等のデータ取りに用いてもよい。
また、電線センサC1を用いた面状センサC3も、手指の拘縮患者ためのリハビリ用のグリップに応用することができる。
さらに、電線センサC1を用いた面状センサC3も、図6を用いて説明したようにロボットハンドに適用させることができる。
また、図2に示す帯状センサA2では、電線センサA1に代えて、図12を用いて説明した電線センサC1を用いてもよい。電線センサC1を用いた帯状センサも、溶接された配管に巻き付け、溶接部の欠陥検査に利用することができる。
また、図12を用いて説明した電線センサC1は、図5および図6等を用いて説明した電線センサA1の他の利用例にも利用することができる。すなわち、螺旋状に周回した電線センサC1として利用することもできるし、電線センサC1を織物のように織ることで帯状センサや面状センサを製作することもできるが、電線センサC1を編み物のように、伏せ止めしてもよいし、メリヤス編みしてもよい。
また、電線センサC1は、従来のセンサよりも細くすることで柔軟性を高めることができる。このことから、図5(a)を用いて説明した編物状のセンサとしても利用することができる。
また、図12を用いて説明した電線センサC1も、キュリー温度を超えるまで部分的に加熱することで、センサ部と、出力信号の送信線とに分けて使用することができる。あるいは、出力信号の送信線となる部分には、圧電体C12となるピエゾフィルムCFに代えて、絶縁フィルムを設けてもよい。絶縁フィルムを設けた部分でも、内部導体C11と外部導体C13の構成は、ピエゾフィルムCFを設けた部分の内部導体C11と外部導体C13の構成と同じにする。すなわち、ピエゾフィルムCFが巻き付けられた内部導体C11は延在し、絶縁フィルムが巻き付けられ、ピエゾフィルムCFの外周面に設けられた外部導体C13も延在し、絶縁フィルムの外周面にも設けられている。こうすることで、センサ部におけるインピーダンスと、出力信号の送信線におけるインピーダンスが同じになり好ましい。なお、圧電材料を塗布したり溶着する場合にも、内部導体C11と外部導体C13は同じにしたまま、絶縁材料を塗布したり溶着すればよい。
なお、図12〜図14を用いて説明した事項は、図1〜図11を用いて説明した実施形態にも適用することができる。