JP6923378B2 - 蓄熱材組成物 - Google Patents

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Description

本開示は、空調システム等で用いられる蓄熱材組成物に関する。
近年、冷房空調用途等に潜熱蓄熱材を用いた蓄熱システムが利用されてきており、例えば、商業施設或いは工場で夜間に蓄えた冷熱を昼間の空調に利用するシステム、車両の走行中に蓄えた冷熱をアイドルストップ時の空調に利用するシステム、等が提案されている。
冷房空調用途等に適した高い蓄熱密度と融点(例えば、5〜12℃)とを備えた蓄熱材として、臭化テトラn−ブチルアンモニウム(以下、TBABともいう)の包接水和物(TBABハイドレート)が知られているが、TBABハイドレートを冷却して冷熱を蓄熱する場合、融点以下でも結晶化が起こらない状態(過冷却状態)になり易く、所望の温度で冷熱を蓄熱することが困難である。
そのため、TBABハイドレートの過冷却を抑制する技術が必要であり、その一つとして、過冷却抑制剤として弗化テトラブチルアンモニウム(TBAF)を添加する方法(特許文献1参照)が挙げられる。
特開2009−79159号公報
しかしながら、従来の方法は、TBABハイドレート(例えば、調和融点12℃)に対して、より融点が高いTBAFハイドレート(例えば、調和融点25℃)を添加するため、過冷却抑制効果が得られるのと同時に、TBABハイドレートの融点が上昇し、所望の温度で蓄熱することが困難であった。
本開示は、前記従来の課題を解決するもので、TBABハイドレートの融点を変化させずに、優れた過冷却抑制効果を示す蓄熱材組成物を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本開示は、
水と臭化テトラn−ブチルアンモニウムとを主成分とし、
結晶性層状ケイ酸化合物を含有する、蓄熱材組成物を提案する。
本開示の蓄熱材組成物によれば、TBABハイドレートの融点を変化させずに、優れた過冷却抑制効果を得ることができる。TBABハイドレートに結晶性層状ケイ酸化合物を添加することによって、結晶性層状ケイ酸化合物の結晶構造がTBABの擬似核となり、TBABハイドレートの過冷却抑制剤として機能する。
図1は、本開示の比較例1における従来材料の示差操作熱量測定の結果を示す図である。 図2は、本開示の実施例において使用した冷却ブロックの斜視図である。 図3は、本開示の実施形態に係る蓄熱材組成物(二ケイ酸ナトリウム含有量:2000ppm)の示差操作熱量測定の結果を示す図である。 図4は、本開示の実施形態に係る蓄熱材組成物(二ケイ酸ナトリウム含有量:100ppm)の示差操作熱量測定の結果を示す図である。 図5は、本開示の実施形態に係る蓄熱材組成物(二ケイ酸ナトリウム含有量:500ppm)の示差操作熱量測定の結果を示す図である。 図6は、本開示の実施形態に係る蓄熱材組成物(二ケイ酸ナトリウム含有量:1000ppm)の示差操作熱量測定の結果を示す図である。 図7は、本開示の実施形態に係る蓄熱材組成物(二ケイ酸ナトリウム含有量:10000ppm)の示差操作熱量測定の結果を示す図である。
本開示において、TBABハイドレート(TBAB包接水和物)とは、複数の分子が適当な条件下で組み合わさって結晶ができるとき、一方の分子(ホスト分子)が籠状、トンネル形、層状または網状構造をつくり、その隙間に他の分子(ゲスト分子、すなわち、臭化テトラn−ブチルアンモニウム)が入りこんだ構造の化合物(包接化合物)のうち、ホスト分子が水分子であるものをいう。ホスト分子である水分子が構成する籠状、トンネル形、層状または網状構造が不完全であっても、その隙間に他の分子(ゲスト分子)が入りこんだ構造の化合物であればTBABハイドレートに含まれる。また、本開示において、「調和融点」とは原料溶液を冷却することにより水和物を生成させる際、水溶液(液相)から水和物(固相)に変相する前後の組成が変わらない場合(例えば、元の水溶液中のゲスト分子濃度と同じゲスト分子濃度の水和物が冷却されて生成するとき)の温度をいう。水溶液のゲスト分子の臭化テトラn−ブチルアンモニウムの濃度により包接水和物が生成する温度(融点)が変化するが、縦軸を融点温度、横軸を濃度とした状態図では極大点が調和融点となる。「過冷却」とは、原料溶液を冷却して、水和物生成温度(融点又は凝固点)に達してさらに低温になっても水和物が生成されず水溶液の状態を保っている状態又は現象をという。水和物を蓄熱剤に用いる場合にはこの過冷却の程度、即ち過冷却度が大きいと、原料溶液の冷却温度(冷媒により冷却している場合には冷媒温度)を低くしなければならず、また水和物の生成が遅延する等の問題が生じる。したがって、過冷却度をできるだけ小さくし、過冷却を防止又は抑制すること(以下、単に「過冷却防止」または「過冷却抑制」という場合がある)が重要である。
本開示の第1態様は、水とTBABとを主成分とし、結晶性層状ケイ酸化合物を含有する、蓄熱材組成物を提供する。本開示において、「主成分」とは、蓄熱剤が有する熱エネルギーを蓄積する効果又は性質の発現に寄与する又はその発現の原因となる当該蓄熱剤組成物の構成成分であって、蓄熱材組成物の全量において、一番多い成分を意味する。具体的には、水とTBABの合計量が、蓄熱材組成物の全量中、50wt%以上であってもよく、70wt%以上であってもよく、80wt%以上であってもよく、90wt%以上であってもよく、95wt%以上であってもよく、99wt%以上であってもよい。
第1態様によれば、結晶性層状ケイ酸化合物の結晶構造がTBABハイドレートの擬似核となり、TBABハイドレートの過冷却抑制剤として機能することで、TBABハイドレートに対して融点を変化させずに過冷却抑制の効果を得ることができる。
本開示の第2態様は、第1態様における結晶性層状ケイ酸化合物が、二ケイ酸アルカリ金属塩または水溶液中で二ケイ酸イオンを解離する化合物である、蓄熱材組成物を提供する。
第2態様によれば、二ケイ酸アルカリ金属塩または水溶液中で二ケイ酸イオンを解離する化合物の結晶構造がTBABハイドレートの擬似核となり、TBABハイドレートの過冷却抑制剤として機能することで、TBABハイドレートに対して融点を変化させずに高い過冷却抑制効果を得ることができる。一例を挙げると、TBABの濃度を40wt%に調製したTBABハイドレートの調和融点12℃に対して、7℃(過冷却度=5℃)での結晶化開始が可能となる。
本開示の第3態様は、第1態様または第2態様における結晶性層状ケイ酸化合物が二ケイ酸アルカリ金属塩であり、前記二ケイ酸アルカリ金属塩が、ケイ酸ナトリウム(Na2O・nSiO2〔n=2〜4〕)、ケイ酸カリウム(K2O・2SiO2・nH2O〔n=2〜4〕)、およびケイ酸リチウム(Li2O・2SiO2・nH2O〔n=2〜4〕)からなる群から選ばれる1少なくとも1種である、蓄熱材組成物を提供する。
第3態様によれば、ケイ酸アルカリ金属塩の結晶構造がTBABハイドレートの擬似核となり、TBABハイドレートの過冷却抑制剤として機能することで、TBABハイドレートに対して融点を変化させずに高い過冷却抑制効果を得ることができる。一例を挙げると、TBABの濃度を40wt%に調製したTBABハイドレートの調和融点12℃に対して、7℃(過冷却度=5℃)での結晶化開始が可能となる。
本開示の第4態様は、第1態様〜第3態様のいずれかにおいて、結晶性層状ケイ酸化合物が、二ケイ酸ナトリウム(Na2O・2SiO2)および四ケイ酸ナトリウム(Na2O・4SiO2)からなる群から選ばれる1少なくとも1種である、蓄熱材組成物を提供する。
第4態様によれば、二ケイ酸ナトリウム(Na2O・2SiO2)および四ケイ酸ナトリウム(Na2O・4SiO2)からなる群から選ばれる1少なくとも1種のケイ酸アルカリ金属塩の結晶構造がTBABハイドレートの擬似核となり、TBABハイドレートの過冷却抑制剤として機能することで、TBABハイドレートに対して融点を変化させずに高い過冷却抑制効果を得ることができる。一例を挙げると、TBABの濃度を40wt%に調製したTBABハイドレートの調和融点12℃に対して、7℃(過冷却度=5℃)での結晶化開始が可能となる。
本開示の第5態様は、第1態様〜第3態様のいずれかにおいて、結晶性層状ケイ酸化合物が、二ケイ酸ナトリウム(Na2O・2SiO2)である、蓄熱材組成物を提供する。
第5態様によれば、二ケイ酸ナトリウム(Na2O・2SiO2)の結晶構造がTBABハイドレートの擬似核となり、TBABハイドレートの過冷却抑制剤として機能することで、TBABハイドレートに対して融点を変化させずに高い過冷却抑制効果を得ることができる。一例を挙げると、TBABの濃度を40wt%に調製したTBABハイドレートの調和融点12℃に対して、7℃(過冷却度=5℃)での結晶化開始が可能となる。
本開示の第6態様は、第1態様または第2態様における結晶性層状ケイ酸化合物が水溶液中で二ケイ酸イオンを解離する化合物であり、前記水溶液中で二ケイ酸イオンを解離する化合物が、カネマイト(NaHSi25・3H2O)、マカタイト(NaHSi49・5H2O)、アイラアイト(NaHSi817・XH2O)、マガディアイト(Na2HSi1429・XH2O)、及びケニヤアイト(Na2HSi2041・XH2O)からなる群から選ばれる1少なくとも1種である、蓄熱材組成物を提供する。
第6態様によればカネマイト(NaHSi25・3H2O)、マカタイト(NaHSi49・5H2O)、アイラアイト(NaHSi817・XH2O)、マガディアイト(Na2HSi1429・XH2O)、及びケニヤアイト(Na2HSi2041・XH2O)からなる群から選ばれる1少なくとも1種の結晶構造がTBABハイドレートの擬似核となり、TBABハイドレートの過冷却抑制剤として機能することで、TBABハイドレートに対して融点を変化させずに高い過冷却抑制効果を得ることができる。一例を挙げると、TBABの濃度を40wt%に調製したTBABハイドレートの調和融点12℃に対して、7℃(過冷却度=5℃)での結晶化開始が可能となる。
本開示の第7態様は、第1態様〜第3態様のいずれかにおいて、結晶性層状ケイ酸化合物の含有量が、500ppm以上10000ppm以下である、蓄熱材組成物を提供する。
第7態様によれば、高い過冷却抑制効果を得ることができる。一例を挙げると、TBABの濃度を40wt%に調製したTBABハイドレートの調和融点12℃に対して、7℃(過冷却度=5℃)での結晶化開始が可能となる。すなわち、結晶性層状ケイ酸化合物の含有量が500ppm未満であれば、含有量が少なくなるに従って結晶化開始温度が低下傾向となっていることから、擬似核の濃度が低いと擬似核間での結晶成長速度が遅くなり、過冷却抑制の効果が小さくなる。また、結晶性層状ケイ酸化合物の含有量が10000ppmより大きい場合は、溶解度以上の含有量となるため、結晶性層状ケイ酸化合物の沈殿物の析出が認められ、沈殿物の影響により冷却面と水溶液界面での熱交換性能が低下するため、過冷却抑制の効果が小さくなる。
本開示の第8態様は、第1態様〜第5態様のいずれかにおけるケイ素化合物が二ケイ酸アルカリ金属塩であり、前記二ケイ酸アルカリ金属塩の含有量を1000ppm以上3000ppm以下である蓄熱材組成物を提供する。
第8態様によれば、高い過冷却抑制効果を得ることができる。一例を挙げると、TBABの濃度を40wt%に調製したTBABハイドレートの調和融点12℃に対して、5℃(過冷却度=7℃)〜7℃(過冷却度=5℃)での結晶化開始が可能となる。すなわち、二ケイ酸アルカリ金属塩の含有量が1000ppm以上であれば、擬似核間での結晶成長速度を向上させることができ、過冷却抑制の効果が大きくなる。また、二ケイ酸アルカリ金属塩の含有量が3000ppm以下であれば、二ケイ酸アルカリ金属塩の沈殿物の析出がほとんどみられず、沈殿物の影響により冷却面と水溶液界面での熱交換性能が低下することがなく、より大きな過冷却抑制効果が得られる。
本開示の第9態様は、第1態様〜第5態様のいずれかにおけるケイ素化合物が二ケイ酸アルカリ金属塩であり、前記二ケイ酸アルカリ金属塩の含有量を1500ppm以上2500ppm以下である蓄熱材組成物を提供する。
第9態様によれば、より高い過冷却抑制効果を得ることができる。一例を挙げると、TBABの濃度を40wt%に調製したTBABハイドレートの調和融点12℃に対して、7℃(過冷却度=5℃)での結晶化開始が可能となる。すなわち、二ケイ酸アルカリ金属塩の含有量が1500pm以上であれば、擬似核間での結晶成長速度をより向上させることができ、過冷却抑制の効果が大きくなる。また、二ケイ酸アルカリ金属塩の含有量が2500ppm以下であれば、二ケイ酸アルカリ金属塩の沈殿物の析出がほとんどみられず、沈殿物の影響により冷却面と水溶液界面での熱交換性能が低下することがなく、より大きな過冷却抑制効果が得られる。
本開示の第10態様は、第1態様〜第5態様のいずれかにおけるケイ素化合物が二ケイ酸アルカリ金属塩であり、前記二ケイ酸アルカリ金属塩の含有量を2000ppmである蓄熱材組成物を提供する。
第10態様によれば、より高い過冷却抑制効果を得ることができる。一例を挙げると、TBABの濃度を40wt%に調製したTBABハイドレートの調和融点12℃に対して、7℃(過冷却度=5℃)での結晶化開始が可能となる。すなわち、二ケイ酸アルカリ金属塩の含有量を2000ppmとすることで、擬似核間での結晶成長速度をより向上させることができ、かつ、二ケイ酸アルカリ金属塩の沈殿物の析出を抑制できるため、沈殿物の影響により冷却面と水溶液界面での熱交換性能も抑制でき、より大きな過冷却抑制効果が得られる。
上記したいずれかの実施形態に係る蓄熱材組成物は、TBABの濃度に係わらず、過冷却抑制の効果を得ることができる。例えば、TBABの濃度が20wt%(融点8℃)、TBABの濃度が30wt%(融点11℃)の蓄熱材組成物に対しても、過冷却抑制の効果を得ることができる。
本開示の蓄熱材組成物は、結晶性層状ケイ酸化合物を含有する。結晶性層状ケイ酸化合物としては、二ケイ酸アルカリ金属塩、水溶液中で二ケイ酸イオンを解離する化合物が挙げられる。結晶性層状ケイ酸化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本開示の蓄熱材組成物に含まれる結晶性層状ケイ酸化合物は、AlおよびMgを含まないものであってもよい。
前記二ケイ酸アルカリ金属塩としては、酸化ケイ素(SiO2)と酸化ナトリウム(Na2O)の構成モル比率が2≦(SiO2/Na2O)≦4であるケイ酸ナトリウム(Na2O・nSiO2〔n=2〜4〕)、酸化ケイ素(SiO2)と酸化カリウム(K2O)の構成モル比率が2≦(SiO2/K2O)≦4であるケイ酸カリウム(K2O・2SiO2〔n=2〜4〕)、酸化ケイ素(SiO2)と酸化リチウム(Li2O)の構成モル比率が2≦(SiO2/Li2O)≦4であるケイ酸リチウム(Li2O・nSiO2〔n=2〜4〕)等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ケイ酸ナトリウム(Na2O・nSiO2〔n=2〜4〕としては、二ケイ酸ナトリウム(Na2Si25;Na2O・2SiO2)、四ケイ酸ナトリウム(Na2Si49;Na2O・4SiO2)等が挙げられる。二ケイ酸ナトリウム(Na2Si25)は、α−Na2Si25、β−Na2Si25、δ−Na2Si25、γ−Na2Si25等が挙げられる。ケイ酸カリウムとしては、二ケイ酸カリウム(K2Si25;K2O・2SiO2)、四ケイ酸カリウム(K2Si49;K2O・4SiO2)等が挙げられる。ケイ酸リチウムとしては、二ケイ酸リチウム(Li2Si25;Li2O・2SiO2)、四ケイ酸リチウム(Li2Si49;Li2O・4SiO2)等が挙げられる。これらは、いずれも1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記水溶液中で二ケイ酸イオンを解離する化合物としては、カネマイト(NaHSi25・3H2O)、マカタイト(Na2Si49・5H2O)、アイラアイト(NaHSi817・XH2O)、マガディアイト(Na2HSi1429・XH2O)、ケニヤアイト(Na2HSi2041・XH2O)等の結晶性層状ケイ酸ナトリウム等の鉱物が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示の蓄熱材組成物において、結晶性層状ケイ酸化合物の含有量は、500ppm以上10000ppm以下であってもよく、1000ppm以上3000ppm以下であってもよく、1500ppm以上2500ppm以下であってもよく、2000ppmであってもよい。なお、本開示において、ppmは質量ppmを表す。
本開示の蓄熱材組成物において、TBABハイドレートの融点を変化させずに優れた過冷却抑制効果を示す点から、結晶性層状ケイ酸化合物が二ケイ酸アルカリ金属塩である場合、前記二ケイ酸アルカリ金属塩の含有量は、1000ppm以上3000ppm以下であってもよく、1500ppm以上2500ppm以下であってもよく、2000ppmであってもよい。
本開示の蓄熱材組成物において、結晶性層状ケイ酸化合物は、過冷却防止効果のみならず、腐食抑制効果を備える。そのため、本開示の蓄熱材組成物は、腐食防止剤又は腐食抑制剤を含むものを除外しないが、含めなくても腐食抑制効果を奏することができる。腐食防止剤又は腐食抑制剤としては、例えば、亜硫酸塩、チオ硫酸塩のナトリウム塩、リチウム塩、ポリリン酸塩、トリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩、燐酸水素二塩、ピロ燐酸塩またはメタ珪酸塩のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、リチウム塩が挙げられる。
本開示の蓄熱材組成物において、臭化テトラn−ブチルアンモニウム(TBAB)の含有量は、例えば、30〜40wt%であってもよく、35〜40wt%であってもよい。
本実施形態に係る蓄熱材組成物は、公知の各種添加剤を含有してもよい。添加材としては、例えば、防腐剤、粘土調整剤、酸化防止剤、脱泡剤、砥粒、充填剤、着色剤、増粘剤、界面活性剤、難燃剤等の公知の添加剤を使用できる。これらは、1種を単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。これらの添加剤の種類及び使用量は、本開示の蓄熱装置の目的が損なわれない限り、制限されない。
本実施形態に係る蓄熱材組成物における融解開始点(言い換えると融点開始温度)、および吸放熱ピークは、JIS K 7121(2012)に準じて示差走査熱量測定(DSC)によって測定できる。示差走査熱量測定には、公知の示差走査熱量計を使用できる。示差走査熱量計としては、例えば、Perkin Elmer Japan社の入力補償型ダブルファーネスDSC8500を使用できる。測定結果から、図1に示されるように、融解開始点103、吸放熱ピーク104を特定することができる。吸放熱ピークとは、示差走査熱量測定(DSC)の測定結果において、熱量変化によりベースラインから下に凸の形状の下至点として表れるピークのことを意味する。
図1では、示差走査熱量測定の降温曲線101を破線で示し、示差走査熱量測定の昇温曲線102を実線で示す。
本開示の実施形態を、実施例を用いて詳細に説明する。なお、これらの実施例により本開示が限定されるものではない。
次に、実施例を挙げて本開示をさらに具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、本開示の技術的思想内で多くの変形が当分野において通常の知識を有する者により可能である。
[実施例1〜8]
9ccのガラス製のサンプル瓶に、40wt%のTBABハイドレート6.0gとなるように、TBAB2.4gとイオン交換水3.6gを調製し、十分に攪拌させた後に、下記表1に示されるように、100ppm〜10000ppmの二ケイ酸ナトリウム(δ−Na2Si25)を添加し、さらに十分に攪拌した水溶液を調製した。
上記のように調製した水溶液を含んだサンプル瓶を、12℃の温度に制御したペルチェ冷却プレートの上に10分間静置させ、目視で結晶化開始の有無について判定を行った。その際に、サンプル瓶の底面からのみではなく、サンプル瓶の側面からも冷却できるように、ペルチェ冷却プレートの上に、図2に示すアルミニウム製の冷却ブロック200を載せて、冷却ブロックに形成された穴の中にサンプル瓶を静置させて、観察用スリット201から結晶化開始の有無について判断を行った。
結晶化の開始が見られなかった場合は、ペルチェ冷却プレートの温度を1℃下げて、再び10分間静置させた際の、結晶化開始の有無について判定を行い、最終的に結晶化が開始した時の温度を測定した。また、結晶化開始温度のサンプルによるばらつきを考慮して、それぞれの二ケイ酸ナトリウムの含有量を変えたサンプルに対し、評価を行った。表1にそれぞれの結果を示す。
[比較例1]
実施例1〜8と同様にして、9ccのガラス製のサンプル瓶に、40wt%のTBABハイドレート6.0gとなるように、TBAB2.4gとイオン交換水3.6gを調整し、十分に攪拌させた。二ケイ酸ナトリウム(δ−Na2Si25)を添加せずに、サンプル瓶を12℃の温度に制御したペルチェ冷却プレートの上に10分間静置させ、アルミニウム製の冷却ブロック200を載せて、冷却ブロックに形成された穴の中にサンプル瓶を静置させて、観察用スリット201から結晶化開始の有無について判定を行った。結晶化の開始が見られなかった場合は、ペルチェ冷却プレートの温度を1℃下げて、再び10分間静置させた際の、結晶化開始の有無について判定を行い、最終的に結晶化が開始した時の温度を測定した。その結果、過冷却抑制剤として、二ケイ酸ナトリウム(Na2Si25)を添加していないTBABハイドレートでは、結晶化開始温度は−3℃であった。
[比較例2]
二ケイ酸ナトリウム(Na2Si25)の代わりに、10000ppmのメタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、水溶液を調製した。調製した水溶液を用いて、実施例1と同様に、結晶化開始の有無について判定を行い、最終的に結晶化が開始した時の温度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0006923378
表1の結果より、二ケイ酸ナトリウムの含有量が2000ppmの場合、最も結晶化温度が高い(=過冷却度が低い)結果が得られた。
二ケイ酸ナトリウムの含有量が多くなるに従って、1000ppm以上の場合、より高い過冷却抑制効果が得られた。
また、二ケイ酸ナトリウムの含有量が4000ppmを上回る場合は、2000〜3000ppmを含有する場合の結晶化開始温度よりは2℃程度低いものの、高い過冷却抑制の効果が得られた。
次に、本開示による過冷却抑制効果が、蓄熱材組成物の融点上昇に起因する見掛け上の過冷却抑制では無いことを明らかにするために、DSC(Differential Scanning Calorimetry)による熱分析を行った。
40wt%に調製したTBABハイドレート、すなわち比較例1のDSC分析結果では、図1に示す吸放熱ピークが得られた。図1では、吸熱波形の融解開始温度が13.11℃であり、吸熱ピーク温度が14.68℃であり、蓄熱密度が193J/gであった。これに対し、40wt%に調製したTBABハイドレートに二ケイ酸ナトリウムを2000ppm含有する蓄熱材組成物では、図3に示す吸放熱ピークが得られた。図3では、吸熱波形の融解開始温度が10.97℃、吸熱ピーク温度が13.49℃、蓄熱密度が211J/gの結果であった。図1と図3を対比すると、吸放熱ピークがシフトしていないことから、結晶性層状ケイ酸化合物の影響による融点上昇は見られず、蓄熱密度の低下は見られなかった。また、特許文献1(特開2009−79159号公報)の図1では、吸放熱ピークが右側にシフトしており、融点上昇が見られていた。40wt%に調製したTBABハイドレートに二ケイ酸ナトリウムを100、500、1000ppm含有する実施例1〜3のDSC分析結果を、それぞれ図4〜6に示す。また、40wt%に調製したTBABハイドレートに二ケイ酸ナトリウムを10000ppm含有する実施例8のDSC分析結果を、それぞれ図7に示す。これらの実施例では、融点上昇は見られず、蓄熱密度の低下は見られなかった。また、40wt%に調製したTBABハイドレートに二ケイ酸ナトリウムを3000、4000、5000ppm含有する実施例5〜7においても、融点上昇は見られず、蓄熱密度の低下は見られなかった(図示せず)。すべての実施例において、結晶性層状ケイ酸化合物の影響による融点上昇は見られず、蓄熱密度の低下は見られなかった。
以上のように、本開示にかかる蓄熱材組成物は、冷房で使用する温度帯の蓄熱材の過冷却を大幅に抑制することができるため、商業施設或いは工場における夜間電力を有効利用するエアコンシステム、アイドルストップ車におけるエアコンシステム、等の用途で利用することができる。
101 示差走査熱量測定の降温曲線
102 示差走査熱量測定の昇温曲線
103 融解開始点
104 吸放熱ピーク
200 アルミニウム製冷却ブロック
201 観察用スリット

Claims (7)

  1. 水と臭化テトラn−ブチルアンモニウムとを主成分とし、
    結晶性層状ケイ酸化合物を含有し、
    前記結晶性層状ケイ酸化合物が、二ケイ酸アルカリ金属塩または水溶液中で二ケイ酸イオンを解離する化合物であり、
    前記結晶性層状ケイ酸化合物が二ケイ酸アルカリ金属塩であり、前記二ケイ酸アルカリ金属塩が、ケイ酸ナトリウム(Na 2 O・nSiO 2 〔n=2〜4〕)、ケイ酸カリウム(K 2 O・2SiO 2 ・nH 2 O〔n=2〜4〕)、およびケイ酸リチウム(Li 2 O・2SiO 2 ・nH 2 O〔n=2〜4〕)からなる群から選ばれる1少なくとも1種であり、
    前記結晶性層状ケイ酸化合物が水溶液中で二ケイ酸イオンを解離する化合物であり、前記水溶液中で二ケイ酸イオンを解離する化合物が、カネマイト(NaHSi 2 5 ・3H 2 O)、マカタイト(NaHSi 4 9 ・5H 2 O)、アイラアイト(NaHSi 8 17 ・XH 2 O)、マガディアイト(Na 2 HSi 14 29 ・XH 2 O)、及びケニヤアイト(Na 2 HSi 20 41 ・XH 2 O)からなる群から選ばれる1少なくとも1種である、
    蓄熱材組成物。
  2. 前記結晶性層状ケイ酸化合物が、二ケイ酸ナトリウム(Na2O・2SiO2)および四ケイ酸ナトリウム(Na2O・4SiO2)からなる群から選ばれる1少なくとも1種である、請求項1に記載の蓄熱材組成物。
  3. 前記結晶性層状ケイ酸化合物が、二ケイ酸ナトリウム(Na2O・2SiO2)である、請求項1または2に記載の蓄熱材組成物。
  4. 前記結晶性層状ケイ酸化合物の含有量が、500ppm以上10000ppm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物。
  5. 前記結晶性層状ケイ酸化合物が二ケイ酸アルカリ金属塩であり、前記二ケイ酸アルカリ金属塩の含有量が、1000ppm以上3000ppm以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物。
  6. 前記ケイ素化合物が二ケイ酸アルカリ金属塩であり、前記二ケイ酸アルカリ金属塩の含有量が、1500ppm以上2500ppm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物。
  7. 前記ケイ素化合物が二ケイ酸アルカリ金属塩であり、前記二ケイ酸アルカリ金属塩の含有量が、2000ppmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄熱材組成物。
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