JP6921742B2 - 独立気泡発泡シート、及び表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、独立気泡発泡シート、及び表示装置に関する。
ノート型パーソナルコンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の携帯機器は、薄型化及び軽量化が望まれており、中でもスマートフォンの薄型化及び軽量化の要求は年々高まっている。携帯機器の薄型化及び軽量化に伴い、表示装置の前面側に配置されるガラス板、アクリル板等により構成される前面板、及び表示パネルも薄型化されている。しかし、前面板及び表示パネルが薄型化されると、前面板及び表示パネルが割れやすくなる。
従来、携帯機器には、携帯する日常において繰り返して加えられる衝撃による表示装置の破損及び故障を防止するために、表示パネルの背面側の全面に渡って、又は周縁に衝撃吸収シートが配置されることが知られている。衝撃吸収シートは、繰り返して加えられる衝撃に対する衝撃吸収性を得るため、高い柔軟性等が求められており、発泡シートが広く使用されている。発泡シートとしては、例えば、特許文献1に記載されるように、多数の独立気泡を内包したポリエチレン系架橋発泡シートが知られている。また、ウレタン系発泡シートやゴム系発泡シート等も使用されている。
特開2014−214205号公報
ところで、上記スマートフォン等の携帯機器の表示装置としては、タッチパネル式のものが多く採用されるようになっている。タッチパネル式の液晶パネルは、その操作時の押圧が強くなると液晶の滲み(プーリング)が発生することがある。また、特にスマートフォンの場合、携帯ゲームの普及等に伴い、表示装置が高速で繰り返し強い力で押圧されることがあるが、その際にプーリングが目立つことがあるため、プーリングを抑制する要望が高まっている。
このように、表示装置に用いられる発泡シートには、日常生活において繰り返して加えられる衝撃に対する高い衝撃吸収性だけでなく、プーリングを早期に消失させる特性(すなわち、耐プーリング性)も求められるようになっている。
本発明は、以上の問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、高い衝撃吸収性だけでなく、優れた耐プーリング性を有する発泡シート、及びこれを備える表示装置を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち、本発明は、下記の発泡シート、及びこれを備える表示装置を提供するものである。
[1]開口部と、MD及びTDにおける平均気泡径が25〜330μmである気泡と、を有し、該開口部以外の部分の最小幅が、MDにおける平均気泡径とTDにおける平均気泡径の大きい方の平均気泡径に対して1.5〜60倍である独立気泡発泡シート。
[2]上記[1]に記載の独立気泡発泡シートと、表示パネルとを備える表示装置。
本発明では、高い衝撃吸収性だけでなく、優れた耐プーリング性を有する発泡シート、及びこれを備える表示装置を提供する。
本発明の独立気泡発泡シートの一態様を示す模式図である。 本発明の表示装置を示す模式的な断面図である。 衝撃吸収率を測定するための装置を示す模式的な断面図である。 実施例で用いた発泡シートを示す模式図である。
以下、本発明の独立気泡発泡シートについて説明する。なお、本明細書において、数値範囲の記載に関する「以上」「以下」の数値は任意に組み合わせできる数値である。また、本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示し、段階的に記載される最小値及び最大値は、任意に組み合わせてもよい。
[独立気泡発泡シート]
本発明の独立気泡発泡シート(以下、単に“発泡シート”ともいう)は、開口部と、MD及びTDにおける平均気泡径が25〜330μmである気泡と、を有し、該開口部以外の部分の最小幅が、MDにおける平均気泡径とTDにおける平均気泡径の大きい方の平均気泡径に対して1.5〜60倍である発泡シートである。なお、本発明において、開口部とは、発泡シートの一方の面側から他方の面側に貫通する貫通孔を意味する。本発明においては、開口部と所定の気泡とを有し、かつ該開口部以外の部分について、その最小幅と該気泡の平均気泡径とを所定の関係を有するという構成にすることで、25%圧縮強度を小さくして高い衝撃吸収性が得られるとともに、優れた耐プーリング性も得られる。より具体的には、発泡シート上に開口部を存在させることにより、発泡シート自体の25%圧縮強度が低減して適度に柔らかくなり、高い衝撃吸収性が得られ、また、該開口部以外の部分における最小幅と該気泡の平均気泡径とを所定の関係とすることにより、表示装置の操作の際に生じる応力が緩和され、優れた耐プーリング性が得られる。
開口部の、シートの上からみた形状(単に「形状」と称することがある。)は、特に制限はないが、正方形、長方形、平行四辺形、台形、及びこれに類する形状等の略四角形、円形、楕円形、及びこれに類する形状等の略円形、直線、曲線等の線状、正三角形、直角二等辺三角形、及びこれに類する形状等の略三角形、その他、五角形、六角形、及びこれに類する形状等の略多角形、及びこれらを組み合わせた形状から適宜選択して採用することができる。また、形状の種類としては単独でもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。例えば、略四角形の開口部が単独で存在していてもよいし、略四角形の開口部と円形の開口部とが同時に存在していてもよいし、正方形の開口部と長方形の開口部という異なる四角形の開口部が同時に存在していてもよい。
開口部の形状が線状を呈する場合、開口部の幅は0.1〜2mmが好ましく、0.3〜1.5mmがより好ましく、0.4〜1mmが更に好ましい。幅が上記範囲内であると、衝撃吸収性、及び耐プーリング性が向上し、開口部の加工も容易である。
また、開口部の形状が線状を呈する場合、該線状の開口部は、衝撃吸収性及び耐プーリング性がより向上する観点から、少なくとも2つの領域に渡って存在することが好ましい。
開口部の形状が略四角形の場合、一辺の長さは、0.1〜4.5mmが好ましく、0.2〜3mmがより好ましく、0.3〜2mmが更に好ましく、0.5〜1.5mmが特に好ましい。また、一辺の長さはシート全面の一辺の長さ(シート形状が四角形ではない場合は、外接する四角形の一辺の長さ)に対する割合としては、2〜90%の長さが好ましく、5〜60%の長さがより好ましく、15〜40%の長さが更に好ましい。
また、開口部の形状が線状、略四角形以外の形状、すなわち略円形、略三角形、略多角形等の場合、上記略四角形の中に内接する大きさであることが好ましい。
シート全面における開口部の面積比率は、1〜90%であることが好ましく、1〜85%であることがより好ましい。面積比率が1〜85%であれば、衝撃吸収性、耐プーリング性がより向上する。また、これと同様の観点から、開口部の形状が線状の場合の開口部の面積比率は3〜50%がより好ましく、5〜30%が更に好ましい。また、開口部の形状が線状以外の場合、開口部の面積比率は10〜80%がより好ましく、20〜70%が更に好ましい。
開口部以外の部分における最小幅は、開口部を1つ有する場合は、該開口部の周辺とシートの周辺との間の長さで最も小さい長さ(以後、「開口部シート間長さ」と称することがある。)のことであり、開口部を2つ以上有する場合は、開口部シート間長さで最も小さい長さと、1つの開口部の周辺と他の開口部の周辺との間の長さで最も小さい長さ(以後、「開口部間長さ」と称することがある。)の、いずれか短い長さを意味する。なお、これらの長さが同じ場合はいずれの長さとしてもよい。
本発明において、最小幅は、MDにおける平均気泡径とTDにおける平均気泡径の大きい方の平均気泡径(以後、単に「平均気泡径」と称することがある。)に対して1.5〜60倍であることを要する。開口部を設けること、及び平均気泡径との関係で、該開口部以外の部分の最小幅を所定の範囲とすることで、高い衝撃吸収性、及び優れた耐プーリング性が得られる。
本発明の独立気泡発泡体においては、衝撃吸収性、耐プーリング性をより向上させる観点から、開口部を少なくとも2つ有することが好ましく、この場合には、開口部間の幅が、MDにおける平均気泡径とTDにおける平均気泡径の大きい方の平均気泡径に対して1.5〜60倍である部分を複数有することが好ましい。
なお、開口部間の幅は、開口部間長さと同義である。
衝撃吸収性及び耐プーリング性を向上させる観点から、最小幅は、平均気泡径に対して2〜50倍が好ましく、5〜40倍がより好ましく、10〜30倍が更に好ましい。また、最小幅の絶対値としては、上記の平均気泡径に対する関係を満足していれば特に制限はないが、例えば、0.1〜250mmが好ましく、0.5〜200mmがより好ましく、1〜150mmが更に好ましい。
(独立気泡発泡シートの各種態様)
より具体的に、本発明の発泡シートの態様について図面を用いて説明する。図1に本発明の発泡シートの態様の一例を示す。図1に示される態様はあくまで一例を示すものであり、本発明の発泡シートは図1に示される態様に制限されることはない。
図1に示される各態様は、様々な開口部の形状を有する各種パターンの開口部を有するものであり、一辺5cmの正方形のシートを想定するものである。
1−aのシートは、シート内に正方形の開口部を有しており、額縁状の形状を呈するものである。開口部は一辺4cmの正方形であり、最小幅は開口部シート間長さで最も小さい長さ、すなわち額縁部分の幅の0.5cmとなる。
また、1−aのシートにおいて、開口部の面積は16cmとなるので、シート全面に対する開口部の面積比率は、64%である。
1−aのシートでは、開口部がシートの中央となるような態様となっているが、最小幅が平均気泡径に対して1.5〜60倍の範囲内にあれば、開口部はいずれか一方に偏って配置されていてもよい。
1−bのシートは、シート内に正方形の開口部を複数個(16個)、縦横均等に、格子状に有している。開口部は一辺1cmの正方形であり、開口部間長さで最も小さい長さ、及び該開口部シート間長さで最も小さい長さは等しく、いずれも0.2cmとなるので、最小幅は0.2cmとなる。また、シート全面に対する開口部の面積比率は、64%である。
1−bのシートで示されるように、同じ最小幅を有する部分が複数箇所ある、すなわち規則的なパターン状で開口部を有することは、万遍なく同じく高い衝撃吸収性及び優れた耐プーリング性が得られる観点から好ましい。1−bのシートでは開口部が正方形のため、最小幅を保持する部分が続くような態様となるが、例えば、1−cのシートのように、1−bのシートにおける正方形の開口部に内接する円形、また他の形状の開口部にかえてもよい。
例えば、開口部が円形の場合、1−cに示されるような千鳥抜のパターン等でもよく、60°の千鳥抜であると、隣合う開口部の開口部間長さの最も小さい長さは全て同じとなる。1−cのシートの、シート全面に対する開口部の面積比率は、44%である。また、千鳥抜のパターンで配列することは、開口部が円形の場合に限られるわけではなく、他の形状の開口部であっても可能である。
1−dのシートは、円形の開口部を複数個有するものである。1と2、2と4、6と7、6と8(各開口部の番号)とは、各々の開口部間長さが2mmとなるように配列されている。開口部は、直径1cmの円形(一辺1cmの正方形に内接する円形)であり、8個の円形の開口部と、2個の半円の開口部とを有している。このように、開口部は半円であってもよく、また不規則に配置されるものであってもよい。
1−dのシートにおける最小幅は、1と2、2と4、6と7、6と8の開口部間長さである2mmとなる。また、例えば、1と6、2と3、4と5、4と7、あるいは1と4、3と4、3と5、4と6、5と7、7と8の開口部間長さは最小幅とはならないが、平均気泡径によっては、平均気泡径に対して1.5〜60倍の範囲内に入る長さとなり得る場合がある。本発明においては、最小幅でなくても、開口部間長さ、あるいは開口部シート間長さが、平均気泡径に対して1.5〜60倍の範囲内に入る部分は、衝撃吸収性及び耐プーリング性を向上させることが可能であるため、開口部間の長さが平均気泡径の1.5〜60倍の範囲にある部分が複数存在することが好ましい。
本発明の発泡シートにおいて、最小幅、あるいは最小幅に限らず、開口部間長さ、又は開口部シート間長さが、平均気泡径に対して1.5〜60倍の範囲内である部分が、例えば上記1−a〜d、また後述する1−e〜hのシートに示されるように、一定の面積をもって複数存在することが好ましい。この場合、シート全面に対する該部分の面積比率は、5〜70%が好ましく、5〜60%がより好ましく、10〜50%が更に好ましい。
1−eのシートは、縦方向にシートを貫通するように直線の開口部を複数有している。このシートは、短冊状のシートの集合体ともいえるが、このように開口部がシートの周縁内に留まらず、周縁に至るようにして存在する態様も本発明の発泡シートに含まれる。より具体的には、1−eのシートは、幅9.2mm、長さ5cmの短冊状のシートが1mmの等間隔に配置されている。
この場合、最小幅は、開口部間長さで最も小さい長さ、及び開口部シート間長さで最も小さい長さは等しく、該短冊状のシートの幅である9.2mmとなる。また、シート全面に対する開口部の面積比率は、8%となる。
1−eのシートは、後述する、表示パネルの背面側に配置される衝撃吸収材として好適に用いられる。短冊状のシートを並べて一つのシートとして用いることで、高い衝撃吸収性及び優れた耐プーリング性が得られる。このような態様の発泡シートも、開口部を有すること、及び平均気泡径との関係で、所定の最小幅を有しているので、高い衝撃吸収性、及び優れた耐プーリング性が得られている。
1−fのシートは、直線の開口部を複数個有するものである。左右の開口部についての開口部シート間長さが5mmとなるように配置されており、右の開口部と真ん中の開口部の開口部間長さは1.5cmであり、左の開口部と真ん中の開口部の開口部間長さは2.1cmである。また、各開口部の幅は1mm、長さは3cmであり、シート全面に対する開口部の面積比率は、3.6%である。
1−fのシートの最小幅は、左右の開口部についての開口部シート間長さである、5mmとなる。また、最小幅とはならないものの、右の開口部と真ん中の開口部の開口部間長さは1.5cmであることから、平均気泡径によっては、平均気泡径の1.5〜60倍の範囲に入る場合がある。この場合、平均気泡径に対して1.5〜60倍の範囲内に入る部分は、衝撃吸収性及び耐プーリング性を向上させることが可能であるため、1−fのシートの衝撃吸収性及び耐プーリング性はより向上する。
また、左の開口部と真ん中の開口部の開口部間長さは2.1cmであることから、平均気泡径が30〜330μmの最大値の330μmであった場合でも、該平均気泡径の60倍を超える長さとなっているため、これらの開口部に挟まれた部分だけでは、高い衝撃吸収性及び優れた耐プーリング性は得られない。しかし、左の開口部とシートの周辺とで挟まれた部分、右の開口部とシートの周辺とで挟まれた部分、また平均気泡径の大きさによっては、右の開口部と真ん中の開口部とで挟まれた部分は、衝撃吸収性及び耐プーリング性を発現する。そのため、衝撃吸収性及び耐プーリング性が得られない部分を有していたとしても、これらの性能を有する部分が存在すれば、これらの性能を有しない部分を補うことができ、シート全体としては、高い衝撃吸収性及び耐プーリング性が得られる。ここで、これらの性能を有する部分のシート全面に対する面積比率は、上記の通りである。
1−gのシートは、S字型の曲線の開口部を複数有するものである。最小幅は、左から一番目の開口部と二番目の開口部の曲線が切り替わる部分で、2mmとなる。また、例えば、一番左の開口部についての開口部シート間長さ、互いの開口部の開口部間長さ、一番右の開口部についての開口部シート間長さも5mm以下の部分があり、これらの部分も最小値ではないものの、平均気泡径によっては、平均気泡径の1.5〜60倍の範囲に入る場合がある。1−gのシートの左上、右下には開口部が存在しない領域の広い部分があるが、最小幅を有する部分、あるいは最小幅ではないものの、平均気泡径によっては、平均気泡径の1.5〜60倍の範囲に入る部分により補われるため、シート全体としては、高い衝撃吸収性及び耐プーリング性が得られる。
1−hのシートは、S字型の曲線の開口部を複数有し、かつ円形の開口部を一つ有するものである。このように、本発明の発泡シートは、異なる形状の開口部を有するものであってもよい。
(独立気泡発泡シートの性能)
本発明の発泡シートは独立気泡体で構成される独立気泡発泡シートである。独立気泡体とは、独立気泡率が70%以上であることを意味する。すなわち、発泡シートの内部に包含された気泡は概ね独立気泡となっている。衝撃吸収性及び耐プーリング性を向上させる観点から、独立気泡率は、好ましくは90〜100%、より好ましくは95〜100%である。
独立気泡率は、下記の要領で測定できる。
まず、発泡シートから一辺が5cmの平面正方形状の試験片を切り出す。そして、試験片の厚みを測定して試験片の見掛け体積Vを算出すると共に、試験片の質量Wを測定する。次に、気泡の占める体積Vを下記式に基づいて算出する。なお、試験片を構成している樹脂材料の密度はρ(g/cm)とする。
気泡の占める体積V=V−W/ρ
続いて、試験片を23℃の蒸留水中に水面から100mmの深さに沈めて、試験片に15kPaの圧力を3分間にわたり加える。その後、水中で加圧から解放し、1分間静置した後、試験片を水中から取り出して試験片の表面に付着した水分を除去して試験片の質量Wを測定し、下記式に基づいて連続気泡率F及び独立気泡率Fを算出する。
連続気泡率F(%)=100×(W−W)/V
独立気泡率F(%)=100−F
発泡シート中の気泡が独立気泡であると、押圧に対する反発力が大きいため、一般的に耐プーリング性の発現に有効である。一方、反発力が大きすぎると、衝撃吸収性が低下する場合があり、衝撃吸収性と耐プーリング性とは相反する性能といえる。本発明においては、この独立気泡発泡シートに開口部を設けることにより、25%圧縮強度により指標される反発力を低減させることを見出し、独立気泡発泡シートであるにも関わらず、反発力が小さいものとすることで、特に衝撃吸収性を向上させ、また、開口部以外の部分における最小幅と気泡の平均気泡径とを所定の関係とすることにより、特に耐プーリング性を向上させることを可能とした。
発泡シートの25%圧縮強度は、開口部を設ける前の発泡シートについては、40〜200kPaが好ましく、50〜180kPaがより好ましく、60〜170kPaが更に好ましい。開口部を設けた後の、本発明の発泡シートの25%圧縮強度は、3〜90kPaが好ましい。さらに、15〜90kPaが好ましく、3〜70kPaが好ましく、20〜80kPaがより好ましく、30〜70kPaが更に好ましい。また、凹部を設ける前と後とにおける25%圧縮強度の低減率は、好ましくは15〜80%、より好ましくは30〜75%、更に好ましくは50〜70%の範囲となる。
このように、本発明の発泡シートは、開口部を設けることで、独立気泡であるにも関わらず25%圧縮強度が低減し、衝撃吸収性、及び耐プーリング性が向上する。本明細書において、25%圧縮強度は、JIS K 6767に準拠して測定される値である。また、25%圧縮強度の低減率は、下記の式で表される数値である。
Δ=(f−f)/f×100
Δ:25%圧縮強度の低減率(%)
:開口部を設ける前の発泡シートの25%圧縮強度(kPa)
:開口部を設けた後の発泡シートの25%圧縮強度(kPa)
発泡シートの厚みは、表示装置に用いる場合に所望される厚み、及び衝撃吸収性、耐プーリング性の得られやすさ等を考慮すると、0.03〜0.6mmが好ましく、0.05〜0.5mmがより好ましく、0.06〜0.3mmが更に好ましい。
発泡シートの密度は、衝撃吸収性、耐プーリング性を向上させる観点から、60〜600kg/mが好ましく、60〜400kg/mが好ましく、150〜600kg/mがより好ましく、180〜480kg/mが更に好ましい。
発泡シートにおける気泡の平均気泡径は、MD及びTDにおける平均気泡径が25〜330μmであることが好ましく、30〜330μmであることがより好ましい。より具体的には、MDにおいて25〜300μmが好ましく、35〜230μmがより好ましく、50〜180μmが更に好ましい。TDにおいては、30〜330μmが好ましく、50〜300μmがより好ましく、60〜250μmが更に好ましい。また、ZDにおいて10〜80μmが好ましく、15〜75μmがより好ましく、20〜70μmが更に好ましい。気泡の平均気泡径が上記範囲内であると、衝撃吸収性、耐プーリング性を向上させることができる。
発泡シートは、後述する樹脂材料の樹脂シート等を架橋、発泡することで得られるものである。発泡シートの架橋度は、通常、5〜60質量%程度となるものであるが、好ましくは10〜40質量%である。
架橋度は、以下の測定方法で測定されるものである。発泡シートから100mgの試験片を採取し、試験片の質量A(mg)を精秤する。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm3中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の質量B(mg)を精秤する。得られた値から、下記式により架橋度(質量%)を算出する。
架橋度(質量%)=100×(B/A)
(原料樹脂)
本発明の独立気泡発泡シートを構成する原料樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂のいずれであってもよく、衝撃吸収性及び耐プーリング性を考慮すると、ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。
本発明において好ましい材料である、ポリオレフィン系樹脂について説明する。
発泡シートを形成するために使用されるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはこれらの混合物が挙げられ、衝撃吸収性及び耐プーリング性を向上させる観点から、これらの中ではポリエチレン系樹脂が好ましい。より具体的には、チーグラー・ナッタ化合物、メタロセン化合物、酸化クロム化合物等の重合触媒で重合されたポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はこれらの混合物が挙げられ、これらの中では、メタロセン化合物の重合触媒で重合されたポリエチレン系樹脂が好ましい。
ポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体でもよいが、エチレンと必要に応じて少量(例えば、全モノマーの30質量%以下、好ましくは1〜10質量%)のα−オレフィンとを共重合することにより得られるポリエチレン系樹脂が好ましく、その中でも、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
メタロセン化合物の重合触媒により得られた、ポリエチレン系樹脂、特に直鎖状低密度ポリエチレンを用いることにより、柔軟性、機械強度、耐プーリング性を向上させた発泡シートを得やすくなる。また、後述するように、発泡シートを薄厚にしても高い性能を維持しやすくなる。
ポリエチレン系樹脂を構成するα−オレフィンとして、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテン等が挙げられる。なかでも、炭素数4〜10のα−オレフィンが好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体も好ましく用いられる。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、通常、エチレン単位を50質量%以上含有する共重合体である。
メタロセン化合物の重合触媒により得られたポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又はこれらの混合物は、発泡シートにおいて樹脂全量に対して好ましくは50質量%以上含有され、さらに好ましくは60質量%以上、最も好ましくは100質量%含有される。
また、ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン単位を50質量%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は複数種を併用してもよい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられ、これらの中では、炭素数6〜12のα−オレフィンが好ましい。
好適なメタロセン化合物としては、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造を有するビス(シクロペンタジエニル)金属錯体等の化合物が挙げられる。より具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、及び白金等の四価の遷移金属に、1又は2以上のシクロペンタジエニル環又はその類縁体がリガンド(配位子)として存在する化合物が挙げられる。
このようなメタロセン化合物は、活性点の性質が均一であり各活性点が同じ活性度を備えている。メタロセン化合物を用いて合成した重合体は、分子量、分子量分布、組成、組成分布等の均一性が高くなるため、メタロセン化合物を用いて合成した重合体を含むシートを架橋した場合には、架橋が均一に進行する。均一に架橋されたシートは、均一に延伸しやすくなるため、架橋ポリオレフィン樹脂発泡シートの厚みを均一にしやすくなり、薄厚にしても高い性能を維持しやすくなる。
リガンドとしては、例えば、シクロペンタジエニル環、インデニル環等が挙げられる。これらの環式化合物は、炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素−置換メタロイド基により置換されていてもよい。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種アミル基、各種ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種セチル基、フェニル基等が挙げられる。なお、「各種」とは、n−、sec−、tert−、iso−を含む各種異性体を意味する。
また、環式化合物をオリゴマーとして重合したものをリガンドとして用いてもよい。
更に、π電子系の不飽和化合物以外にも、塩素や臭素等の一価のアニオンリガンド又は二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、アリールアミド、ホスフィド、アリールホスフィド等を用いてもよい。
四価の遷移金属やリガンドを含むメタロセン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
メタロセン化合物は、特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることにより、各種オレフィンの重合の際に触媒としての作用を発揮する。具体的な共触媒としては、メチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物等が挙げられる。なお、メタロセン化合物に対する共触媒の使用割合は、10〜100万モル倍が好ましく、50〜5,000モル倍がより好ましい。
チーグラー・ナッタ化合物は、トリエチルアルミニウム−四塩化チタン固体複合物であって、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と、有機アルミニウム化合物と、芳香族カルボン酸エステルとを組み合わせる方法(特開昭56−100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照)、及びハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させる担持型触媒の方法(特開昭57−63310号、特開昭63−43915号、特開昭63−83116号の各公報参照)等で製造されたものが好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂としては、発泡シートの柔軟性、機械強度、及び回復速度を高めるために、低密度であることが好ましい。上記ポリエチレン系樹脂の密度は、具体的には、0.920g/cm以下が好ましく、より好ましくは0.880〜0.915g/cm、更に好ましくは0.885〜0.910g/cmである。なお、密度はASTM D792に準拠して測定したものである。
なお、ポリオレフィン系樹脂としては、上記したポリオレフィン系樹脂以外の樹脂も使用可能であり、ポリエチレン系樹脂およびポリプロピレン系樹脂以外の樹脂を、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂にさらに混合して使用してもよい。
さらに、ポリオレフィン系樹脂には、後述する各種添加剤やその他の成分を混合してもよく、発泡シートは、添加剤、その他の成分等を含むポリオレフィン系樹脂を架橋、発泡されたものであることが好ましい。
発泡シートに含有されるその他の成分としては、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂、ゴムが挙げられ、これらは合計で、ポリオレフィン系樹脂よりも含有量が少なく、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、通常50質量部以下、好ましくは30質量部以下程度である。
(発泡シートの製造方法)
本発明の発泡シートの製造方法は、特に限定されないが、例えば以下の工程(1)〜(5)を含む方法が挙げられる。
工程(1):原料樹脂、熱分解型発泡剤等の添加剤、及び必要に応じて添加される他の添加剤等の樹脂材料を、熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度で溶融、混練して公知の成形方法により樹脂シートに成形する工程
工程(2):工程(1)で得られた樹脂シートを架橋する工程
工程(3):樹脂シートを、熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させる工程
工程(4):樹脂シートを、延伸する工程
工程(5):延伸した樹脂シートに開口部を形成する工程
以上の工程(1)〜(5)は、この工程順に行ってもよいが、必ずしもこの工程順に行う必要はなく、例えば工程(4)の後に工程(3)を行ってもよい。また、2つの工程を同時に行ってもよく、例えば、工程(3)と(4)を同時に行ってもよい。
(工程(1))
工程(1)では、原料樹脂、熱分解型発泡剤等の添加剤、及び他の添加剤等の樹脂材料を、単軸押出機、二軸押出機等の押出機等に供給して、熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度で溶融、混練して、押出成形等により押し出して、樹脂材料をシート状の樹脂シートとする。
ここで、熱分解型発泡剤以外の他の添加剤としては、分解温度調節剤、架橋助剤、酸化防止剤、気泡核剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材等が挙げられる。また、原料樹脂は、上記したようにポリオレフィン系樹脂が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹脂以外の樹脂成分との混合物でもよいし、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂成分であってもよい。
熱分解型発泡剤としては、例えば、原料樹脂の溶融温度より高い分解温度を有するものを使用することができる。例えば、分解温度が160〜270℃の有機系又は無機系の化学発泡剤を用いることができる。
有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物;ヒドラゾジカルボンアミド、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体;トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等、が挙げられる。
無機系発泡剤としては、酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物、ニトロソ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンがより好ましく、アゾジカルボンアミドが更に好ましい。これらの熱分解型発泡剤は、単独で又は複数種を組み合わせて使用する。ことができる
熱分解型発泡剤の添加量は、原料樹脂(例えば、ポリオレフィン系樹脂)100質量部に対して1〜10質量部が好ましく、1.5〜5質量部がより好ましく、1.5〜3質量部が更に好ましい。
他の添加剤として用い得る分解温度調節剤は、熱分解型発泡剤の分解温度を低くしたり、分解速度を速めたり調節するものとして配合されるものである。具体的な化合物としては、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素等が挙げられる。分解温度調節剤は、発泡シートの表面状態等を調整するために、例えば原料樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部配合する。
架橋助剤としては、多官能モノマー等が挙げられる。架橋助剤をポリオレフィン系樹脂に添加することによって、後述する工程(2)において照射する電離性放射線量を低減して、電離性放射線の照射に伴う樹脂分子の切断、劣化を防止する。
架橋助剤としては、具体的には、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート等の1分子中に3個の官能基を持つ化合物;1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジビニルベンゼン等の1分子中に2個の官能基を持つ化合物;フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等、が挙げられる。これらの架橋助剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用する。
架橋助剤の添加量は、原料樹脂100質量部に対して0.2〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.5〜5質量部が更に好ましい。該添加量が0.2質量部以上であると発泡シートが所望する架橋度を安定して得ることが可能となり、10質量部以下であると発泡シートの架橋度の制御が容易となる。
また、酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等のフェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
(工程(2))
工程(2)では、工程(1)で得た樹脂シートを架橋する。工程(2)における架橋は、電離性放射線を樹脂シートに照射して行うことが好ましい。電離性放射線としては、α線、β線、γ線、電子線等が挙げられるが、電子線がより好ましい。樹脂シートに対する電離性放射線の照射量は、1〜10Mradが好ましく、1.5〜8Mradがより好ましい。また、架橋助剤を用いる場合の電離性放射線の照射量は0.3〜8Mradが好ましく、0.5〜5.5Mradがより好ましい。
電離性放射線の照射量は、上記下限値以上とすることで、樹脂シートの発泡に必要な剪断粘度を付与しやすくなる。また、上記上限値以下とすることで樹脂シートの剪断粘度が高くなりすぎず発泡性が良好になる。そのため、上記した密度の発泡シートを得やすくなり、さらには発泡シートの外観も良好となる。
ただし、架橋の進行度は、通常、原料樹脂、添加剤の種類等により影響されるため、電離性放射線の照射量は、通常は架橋度を測定しながら調整し、上記した架橋度となるようにする。
(工程(3))
工程(3)では、樹脂シートを、熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡する。通常、本工程(3)は、上記工程(2)の後に実施する。
加熱発泡させる温度は、熱分解型発泡剤の分解温度によるが、通常140〜300℃、好ましくは160〜260℃である。また、樹脂シートを発泡させる方法としては、特に制限はなく、例えば、熱風により加熱する方法、赤外線により加熱する方法、塩浴による方法、オイルバスによる方法等が挙げられ、これらは併用してもよい。
(工程(4))
工程(4)では、樹脂シートを、延伸する。延伸により、得られる発泡シートの気泡の平均気泡径、気泡数、発泡シートの厚み等を調整することができる。延伸は、樹脂シートを発泡させた後に行ってもよいし、樹脂シートを発泡させつつ行ってもよい。延伸は、例えば一軸延伸機、二軸延伸機等の公知の装置で行うとよい。
なお、樹脂シートを発泡させた後に延伸を行う場合には、樹脂シートを冷却することなく発泡時の溶融状態を維持したまま続けて延伸したほうがよいが、樹脂シートを冷却した後、再度、加熱して溶融又は軟化状態とした上で延伸してもよい。
また、上記では架橋を電離性放射線を使用して行う例を説明したが、ポリオレフィン系樹脂に、添加剤として有機過酸化物等の架橋剤を配合しておき、ポリオレフィン系樹脂を加熱して有機過酸化物を分解させる方法等で行ってもよい。そのような有機過酸化物としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等が挙げられる。
有機過酸化物の添加量は、原料樹脂100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。有機過酸化物の添加量が上記範囲内であると、樹脂材料の架橋が進行しやすく、また、発泡シート中における有機過酸化物の分解残渣の量を抑制する。
また、樹脂材料は、上記発泡剤を使用する代わりに、炭酸ガスやブタンガスに代表されるガス発泡により発泡させてもよいし、メカニカルフロス法により発泡させてもよい。
(工程(5))
工程(5)では、樹脂シートを延伸して得られた発泡シートに開口部を形成する。開口部は、発泡シートの一方の面側から他方の面側に貫通している。開口物を形成する方法は特に限定されず、例えば、打ち抜き型等を用いることで、開口物を形成することができる。
本発明は、上記した発明に加えて、以下のような態様の発明も含む。
[3]2以上の開口部と、MD及びTDにおける平均気泡径が25〜330μmである気泡と、を有し、開口部間長さが、MDにおける平均気泡径とTDにおける平均気泡径の大きい方の平均気泡径に対して1.5〜60倍の長さである独立気泡発泡シート。
このような独立気泡発泡シートは、優れた衝撃吸収性、優れた耐プーリング性を有する。発泡シートには、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上の開口部を有する。開口部の数の上限は特に制限されないが、好ましくは100個以下、より好ましくは50個以下である。
開口部間長さは、MDにおける平均気泡径とTDにおける平均気泡径の大きい方の平均気泡径に対して好ましくは、2〜50倍が好ましく、5〜40倍がより好ましく、10〜30倍がさらに好ましい。
さらに、別態様の発明としては、以下の[4]の発明が挙げられる。
[4]開口部と、MD及びTDにおける平均気泡径が25〜330μmである気泡と、を有し、下記式で定められる25%圧縮強度の低減率(fΔ)が15〜80%である独立気泡発泡シート。
Δ=(f−f)/f×100
Δ:25%圧縮強度の低減率(%)
:開口部を設ける前の発泡シートの25%圧縮強度(kPa)
:開口部を設けた後の発泡シートの25%圧縮強度(kPa)
このような独立気泡発泡シートは、優れた衝撃吸収性、優れた耐プーリング性を有する。
衝撃吸収性、耐プーリング性をよい優れたものとする観点から、25%圧縮強度の低減率は、好ましくは30〜75%、より好ましくは50〜70%である。
発泡シートの25%圧縮強度は、開口部を設ける前の発泡シートについては、40〜200kPaが好ましく、50〜180kPaがより好ましく、60〜170kPaが更に好ましい。開口部を設けた後の、本発明の発泡シートの25%圧縮強度は、3〜90kPaが好ましい。さらに、15〜90kPaが好ましく、3〜70kPaが好ましく、20〜80kPaがより好ましく、30〜70kPaが更に好ましい。
(発泡シートの使用形態及び用途)
本発明の発泡シートは、そのままで用いることもできるが、いずれか一方の面又は両面に粘着剤層を設けて用いてもよい。粘着剤層の厚みは、好ましくは5〜200μmであり、より好ましくは7〜150μmである。
発泡シートの一方の面又は両面に設けられる粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限はなく、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。
発泡シートに粘着剤層を設ける方法としては、例えば、発泡シートの少なくとも一方の面にコーター等の塗工機を用いて粘着剤を塗布する方法、発泡シートの少なくとも一方の面にスプレーを用いて粘着剤を噴霧、塗布する方法、発泡シートの一方の面に刷毛を用いて粘着剤を塗布する方法等が挙げられる。
本発明の発泡シートは、例えば、液晶パネル等の表示パネルの衝撃吸収材として使用することができる。表示パネルの衝撃吸収材は、表示パネルの背面側に配置され、表示パネルに作用される衝撃を吸収して、表示パネルの破損、故障を防止するというものである。本発明の発泡シートは、衝撃吸収性とともに、耐プーリング性も有するため、表示パネルの背面側に衝撃吸収材として配置されることで、表示パネルの表面が押圧されることで生じるプーリングの発生をも防止し得る。
また、本発明の発泡シートは、アクリル板、ガラス板等の前面板、又は該前面板に設けられるタッチパネルと表示装置の本体とを接着するための接着材として用いることもできる。この場合、発泡シートは額縁状となるように開口部を設けて用いる、又は所望の形状、例えば短冊型にカットして用いることができる。本発明の発泡シートを接着材として用いる場合、発泡シートが独立気泡体であり、気泡が連通していないことから、フレームに応力が加わった際に、該フレームと前面板との間に生じるギャップからの埃、水分等の浸入を抑制することも可能となる。また、衝撃吸収性により、前面板の破損を抑制する効果も得られる。
なお、上記の表示装置を構成する表示パネル、衝撃吸収材、前面板、タッチパネル、接着材については、後述する。
[表示装置]
本発明の表示装置は、本発明の独立気泡発泡シートと、表示パネルとを備えるものであり、本発明の発泡シートは、後述する衝撃吸収材13に好適に用いられる。本発明の表示装置の一例を、図2を用いて説明する。
図2に示される表示装置10は、表示パネル11、表示パネル11の前面側に設けられる前面板12、該前面板12とフレーム15とを接着する接着材16、表示パネル11の背面側に配置される衝撃吸収材13等を備えている。
表示パネル11は、衝撃吸収材13の上に配置されており、2枚のガラス基材間に、液晶層等を配置した液晶表示素子、有機EL表示素子等の表示素子を少なくとも含むユニットであるが、表示素子以外にも、保護フィルム、偏光素子、位相差フィルム等が積層されたものであってもよい。また、表示パネル11は、表示素子が液晶表示素子である場合等には、表示素子の背面側に設けられたバックライトユニットをさらに備える。なお、表示パネル11は、液晶表示素子を含むことが好ましい。
前面板12は、表示パネル11等を保護するためのカバー板材を含む。カバー板材は、光透過性を有していれば特に限定されないが、アクリル板、ガラス板等が挙げられる。前面板12は、カバー板材以外の部材をさらに含んでいてもよく、例えば、表示装置10がタッチパネル式のものである場合には、カバー板材の下面側にタッチパネルユニット(図示せず)が積層されていてもよい。
衝撃吸収材13は、表示パネル11及び前面板12に衝撃が加わったときに、その衝撃を吸収するために設けられるものであり、通常発泡シートが用いられる。この発泡シートとしては、高い衝撃吸収性を有する本発明の独立気泡発泡シートが好適に用いられる。また、本発明の発泡シートは耐プーリング性に優れることから、衝撃吸収材13に該発泡シートを用いると、前面板12を通じて表示パネル11が押圧されることで生じるプーリングの発生をも防止し得る。
前面板12は、フレーム15によって支持される。フレーム15は、四角枠状を呈するとともに、内周側の高さが低くなって嵌合部15Aが設けられている。前面板12は、嵌合部15Aに嵌合されるように配置される。なお、前面板12は、嵌合部15Aに配置された接着材16により嵌合部15Aに接着されることでフレーム15に固定される。接着材16には、基材の両面に粘着剤層が設けられた両面テープ等が用いられる。この両面テープの基材としては、本発明の発泡シートを用いてもよい。
表示パネル11は、接着層17を介して前面板12の背面に接着され、それにより、前面板20と一体となりフレーム15により支持される。なお、接着層17は、OCA(Optically Clear Adhesive)と呼ばれる光透過性を有する接着剤層、又は粘着剤層により構成される。
また、表示パネル11の背面側には、表示パネル11と一定の間隔を置いて配置されるプレート18が設けられる。プレート18は、フレーム15に固定されている。プレート18の表面上には、発泡シート13が配置される。なお、発泡シート13と表示パネル11との間には、クリアランスが設けられていてもよい。
本発明の表示装置は、ノート型パーソナルコンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の携帯機器に好適に設けられる。
また、本発明の表示装置は、タッチパネルユニットを備える、タッチパネル式のものであってもよい。タッチパネルの表面は、高速で繰り返し押圧されるが、衝撃吸収材13として本発明の発泡シートを用いた場合、プーリングの発生を抑制するので、表示装置の表示性能が改善される。
なお、本発明の表示装置について、図2を用いて説明してきたが、図2に示される表示装置は、本発明の表示装置の一例を示すものであって、種々の改変が可能である。例えば、表示パネル11及び前面板12は、フレーム15以外の部材によって支持されていてもよいし、衝撃吸収材13は、プレート18以外の部材の上に配置されていてもよい。また、各部材に用いられる材料も、一例を記載したにすぎず、これらの部材に通常用いられる材料からなるものを用いることができる。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、本明細書における各種物性、評価方法は、以下のとおりである。
<厚み>
JIS K6767の方法に従って測定した。
<密度>
JIS K6767の方法に従って測定した。
<25%圧縮強度>
発泡シートの25%圧縮強度は、JIS K6767の方法に従い、具体的には、測定装置(ORIENTEC社製、製品名「TENSILON RTG−1250」)を用いて、3回繰り返して測定し、その平均値を25%圧縮強度とした。
<平均気泡径>
発泡シートを50mm四方にカットし、液体窒素に1分間浸した後にMD及びTDそれぞれに沿って厚み方向に切断して、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、製品名「VHX−900」)を用いて200倍の拡大写真を撮り、MD、TDそれぞれにおける長さ2mm分の切断面に存在する全ての気泡についてMD、ZDの気泡径、及びTD、ZDの気泡径を測定し、その操作を5回繰り返した。そして、全ての気泡のMD、TDそれぞれの気泡径の平均値をMD、TDの平均気泡径とするとともに、以上の操作によって測定された全てのZDの気泡径の平均値をZDの平均気泡径とした。
<独立気泡率>
発泡シートの独立気泡率は、明細書記載の方法で測定したものである。
[衝撃吸収性評価(ガラス割れ高さ)]
図3に示すように、一方の面に加速度センサーを設けたアクリル板(10cm×10cm、厚み:1cm)の、他方の面の中央に発泡シート(30mm×30mm)を配置して、重さ4.5gの鉄球(φ10mm)を、高さ300mmから自然落下させた。これを10回繰り返した後、更に該鉄球を自然落下させた際の加速度を測定し、これを5回繰り返し、5回分の加速度の平均値を用いて、以下の数式により衝撃吸収率を算出し、下記の基準で評価した。衝撃吸収率が大きいほど、繰り返し加えられる衝撃に対する衝撃吸収性に優れることを意味する。
衝撃吸収率(%)=(発泡シートがないときの加速度−発泡シート配置したときの加速度)/(発泡シートがないときの加速度)×100
厚みが
A:衝撃吸収率が12%以上であった。
B:衝撃吸収率が7%以上12%未満であった。
C:衝撃吸収率が7%未満であった。
[耐プーリング性評価]
50mm×70mmの発泡シートの上に4.7インチの液晶パネルを配置させ、液晶パネルの表面に押し棒を用いて荷重をかけて、以下の基準で評価した。ここで、押し棒はφ15mmであり、その先端にはゴム(硬度:30)を設け、人間の指で押すことを想定した押し棒とした。
A:荷重6N以上で、プーリングは発生しなかった。
B:荷重3N以上5N未満で、わずかにプーリングが発生した。
C:荷重3N未満でプーリングが発生した。
[実施例1]
ポリエチレン系樹脂としてのメタロセン化合物を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレン(エクソン・ケミカル社製、商品名「EXACT3027」)100質量部と、発泡剤としてのアゾジカルボンアミド2質量部と、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3質量部と、酸化亜鉛1質量部とを押出機に供給して130℃で溶融混練し、その後、厚み約0.2mmの樹脂シートとして押出した。
次に、樹脂シートを、その両面に加速電圧800kVの電子線を5Mrad照射して架橋した後、熱風及び赤外線ヒーターにより250℃に保持された発泡炉内に連続的に送り込んで加熱して発泡させるとともに、発泡させながらMDの延伸倍率1.3倍、TDの延伸倍率2.0倍で延伸させて、厚み0.06mmの発泡シートを得た。得られた発泡シートの架橋度は25%であり、25%圧縮強度は118kPaだった。この発泡シートを5cm×5cmの正方形にカットし、図4の4−aで示されるパターンとなるよう、打抜き型を用いて縦横5列で25個の四角形の開口部(縦横0.8cmの四角形の開口部を25個、最小幅:1.7mm(開口部間長さ:1.7mm)、開口部面積比率:64%)を設けて、実施例1の発泡シートとした。実施例1の発泡シートについて、上記の方法により、厚み、密度、加工前及び加工後の25%圧縮強度、独立気泡率、平均気泡径(MD、TD、ZD)を測定した。測定値を表1に示す。また、上記の方法により、衝撃吸収性、耐プーリング性を評価した。その結果を表1に示す。
[実施例2〜6]
実施例2〜6について、表1の密度、MD、TD、ZDの気泡径となるように、発泡剤の質量部、MDの延伸倍率及びTDの延伸倍率を調整した点、及び、開口部のパターンを各々図4の4−b(実施例2)、4−b(実施例3)、4−b(実施例4)、4−c(実施例5)、及び4−d(実施例6)とした点以外は、実施例1と同様に実施した。ただし、実施例6においては、さらに、照射される電子線を7Mradに変更した。なお、図4の4−bは、縦横0.8cmの四角形の開口部を縦横4列で16個、最小幅:3.6mm(開口部間長さ:3.6mm)、開口部面積比率:41%のシートであり、4−cは、直径0.8cmの四角形の開口部を縦横4列で16個、最小幅:3.6mm(開口部間長さ:3.6mm)、開口部面積比率:32%のシートであり、4−dは、直径0.9cmの四角形の開口部を縦横5列で25個、最小幅:0.8mm(開口部間長さ:0.8mm)、開口部面積比率:64%のシートである。
[比較例1、2]
表1の密度、MD、TD、ZDの気泡径となるように、発泡剤の質量部、MDの延伸倍率及びTDの延伸倍率を調整した点、及び開口部を設けなかった点以外は、実施例1と同様に発泡シートを作製し、上記の方法により、各性状を測定し、衝撃吸収性、耐プーリングの評価をした。
[比較例3、4]
比較例3、4では、発泡シートとして市販品であるSCF400(日東電工社製)、Poron(株式会社ロジャースイノアック社製)について、上記の方法により、各性状を測定し、また評価した。
[比較例5]
実施例1で、開口部を設けなかった点以外は、実施例1と同様に発泡シートを作製し、各性状を測定し、評価した。
[比較例6]
実施例1で、発泡シートとして市販品であるPoron(株式会社ロジャースイノアック社製)を用いた以外は、実施例1と同様に発泡シートを作製し、各性状を測定し、また評価した。
Figure 0006921742
以上の実施例1〜6から明らかなように、本発明の発泡シートは、高い衝撃吸収性と優れた耐プーリング性を有することが確認された。一方、開口部を有しない比較例1及び2の発泡シートは、実施例の発泡シートに比べて、衝撃吸収性、耐プーリング性の点で十分な性能を有しておらず、実施例1で用いた発泡シートであって開口部を設けなかった発泡シートを用いた比較例5についても、衝撃吸収性、耐プーリング性の点で十分な性能を有していないことが確認された。連続気泡の発泡シートを用いた比較例3及び4では、衝撃吸収性が不足しており、同じく連続気泡の発泡シートを用い、開口部を設けた発泡シートを用いた比較例6でも、衝撃吸収性が不足していることが確認された。また、比較例6の結果から、連続気泡の発泡シートに開口部を設けても、25%圧縮強度はほとんど低減せず、25%圧縮強度の低減効果は、独立気泡の発泡シートに特有の現象であることが確認された。
10 表示装置
11 表示パネル
12 前面板
13 衝撃吸収材
15 フレーム
16 接着材
17 接着層
18 プレート

Claims (10)

  1. 開口部と、MD及びTDにおける平均気泡径が25〜330μmである気泡と、を有し、該開口部以外の部分の最小幅が、MDにおける平均気泡径とTDにおける平均気泡径の大きい方の平均気泡径に対して1.5〜60倍の長さである独立気泡発泡シートであって、
    前記独立気泡発泡シートを構成する原料樹脂がポリオレフィン系樹脂である、表示装置用独立気泡発泡シート
  2. 前記開口部を少なくとも2つ有する請求項1に記載の表示装置用独立気泡発泡シート。
  3. 前記開口部間の幅が、MDにおける平均気泡径とTDにおける平均気泡径の大きい方の平均気泡径に対して1.5〜60倍である部分を複数有する請求項2に記載の表示装置用独立気泡発泡シート。
  4. 前記開口部の形状が、略四角形、略円形、及び線状から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置用独立気泡発泡シート。
  5. シート全面に対する前記開口部の面積比率が、1〜90%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置用独立気泡発泡シート。
  6. 密度が、60〜600kg/mである請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置用独立気泡発泡シート。
  7. 独立気泡率が、90〜100%である請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示装置用独立気泡発泡シート。
  8. 25%圧縮強度が、3〜90kPaである請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示装置用独立気泡発泡シート。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示装置用独立気泡発泡シートと、表示パネルとを備える表示装置。
  10. 前記表示パネルが、前記表示装置用独立気泡発泡シートの上に配置される請求項9に記載の表示装置。
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