以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
(第1実施形態)
最初に、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る運用支援装置の模式的なブロック図である。図1に示すように、第1実施形態に係る運用支援装置10は、発電設備1の運用の支援を行う装置である。本実施形態における発電設備1は、火力発電設備、さらにいえばガスタービンを用いた発電設備である。ただし、発電設備1は、ガスタービンを用いた発電設備に限られず任意のものであってよい。
発電設備1は、通常、定格出力での運転や、定格出力より低い出力での運転を行っている。定格出力での運転は、ベースロード、定格負荷、又は100%負荷での運転と言い換えることもできる。さらに、発電設備1は、オーバーファイアリングでの運転を行う事も可能である。オーバーファイアリングとは、定格出力より高出力での運転であり、言い換えれば、ベースロード運転の負荷(100%負荷)より高い負荷(例えば110%負荷)での運転をいう。第1実施形態に係る運用支援装置10は、発電設備1のオーバーファイアリングの実行時期を設定する。
図2は、第1実施形態に係る運用支援装置のブロック図である。運用支援装置10は、例えばコンピュータであり、図2に示すように、入力部12、出力部14、記憶部16及び制御部18を有する。入力部12は、ユーザの入力を受け付ける装置であり、例えばマウス、キーボード、又はタッチパネル等である。出力部14は、制御部18の制御結果やユーザからの入力内容などを表示する装置であり、本実施形態では、ディスプレイやタッチパネルである。記憶部16は、制御部18の演算内容やプログラムの情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。制御部18は、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。なお、運用支援装置10は、外部機器と通信して情報の送受信を行う通信部(通信インターフェイス)を備えていてもよい。
制御部18は、時期情報取得部20と、寿命指標値取得部22と、貢献度取得部24と、出力パターン設定部26と、オーバーファイアリング設定部28と、ビッドブロック生成部30と、を有し、これらが実行する処理が、本実施形態の運用支援方法であるといえる。時期情報取得部20と、寿命指標値取得部22と、貢献度取得部24と、出力パターン設定部26と、オーバーファイアリング設定部28と、ビッドブロック生成部30とは、制御部18が記憶部16に記憶されたソフトウェア(プログラム)を読み出すことで実現されて、後述する処理を実行する。
時期情報取得部20は、開始時期と停止時期との情報、すなわち開始時期と停止時期とがいつであるかの情報を取得する。開始時期とは、現在より後の日時(タイミング)を指し、発電設備1の運転を開始する時期である。なお、開始時期から実際に発電設備1の運転が開始することに限られず、開始時期より前から発電設備1が運転されていてもよい。停止時期とは、開始時期より後の時期であり、発電設備1の運転の停止が予定されている時刻(タイミング)である。時期情報取得部20は、外部機器や発電設備1から、開始時期と停止時期との情報を取得してもよいし、例えばユーザの設定に基づき開始時期と停止時期とを設定してもよいし、記憶部16から読み出してもよい。なお、開始時期から停止時期までの長さは、例えば1年程度であるが、開始時期から停止時期までの長さは、任意に設定できる。
寿命指標値取得部22は、開始時期における寿命指標値を取得する。寿命指標値とは、発電設備1の寿命を示す指標であり、発電設備1の残寿命を指す指標である。さらに言えば、発電設備1の寿命は、発電設備1の劣化度合いであるということもでき、劣化が進むほど残寿命(寿命指標値)が少なくなる。寿命指標値は、発電設備1の運転によって値が一方向に変化するものであり、さらに言えば、発電設備1の出力に応じて、値が一方向に変化する。ここでは、値が一方向に変化するとは値が減少することを指すため、寿命指標値は、発電設備1の出力に応じて、値が減少するものといえ、値が増加するものではない。
寿命指標値は、発電設備1の出力が高いほど、減少量が大きくなる。ここで、単位時間における寿命指標値の減少量を、消費寿命値とする。この場合、消費寿命値は、発電設備1の単位時間における出力に応じて値が異なり、さらに言えば、発電設備1の単位時間における出力が高いほど、値が大きくなる。図3は、消費寿命値と出力との関係の一例を示すグラフである。図3の例では、発電設備1の出力が高くなるに従って、消費寿命値が大きくなっており、さらに言えば、発電設備1の出力が高くなるに従って、消費寿命値が二次曲線的に増加している。言い換えれば、消費寿命値の増加率は、発電設備1の出力が高くなるほど大きくなっている。
消費寿命値と発電設備1の出力との関係、すなわち寿命指標値の減少量と発電設備1の出力との関係は、予め設定されており、例えば解析や実験などに基づき設定されてよい。例えば、発電設備1のタービン翼は、周囲の温度に応じて劣化度合いが定まり、タービン翼の周囲の温度は、発電設備1の出力に依存する。従って、タービン翼の残寿命を寿命指標値とした場合、寿命指標値は、発電設備1の出力値に応じて減少することが分かる。ただし、寿命指標値はタービン翼の残寿命に限られず、寿命指標値は、例えば発電設備1の各装置の状況を総合的に勘案し、発電設備1の出力値に応じて減少するものとして設定してよい。なお、図3における消費寿命値と発電設備1の出力との関係においては、発電設備1の出力がゼロである場合に消費寿命値がゼロであり、発電設備1の出力が定格出力P1である場合に消費寿命値が1であり、発電設備の出力がオーバーファイアリング出力P2である場合に、消費寿命値が3.5であるが、図3における消費寿命値と発電設備1の出力との関係は、一例である。なお、定格出力P1とは、発電設備1の定格出力(100%負荷)を指し、オーバーファイアリング出力P2とは、発電設備1をオーバーファイアリング運転した場合の最大の出力(例えば110%負荷)を指す。
発電設備1が継続して運転される場合、寿命指標値は、単位時間が経過する毎に、消費寿命値の分だけ差し引かれる。例えば、停止時期における寿命指標値は、開始時期における寿命指標値から、開始時期から停止時期までのそれぞれの単位時間における消費寿命値の積算値を差し引いた値となる。従って、寿命指標値は、発電設備1の運転時間の経過に伴い、値が減少してゆき、消費寿命値が大きいほど、すなわち発電設備1の出力が高いほど、減少率が大きくなる。
寿命指標値取得部22は、開始時期における寿命指標値に加え、消費寿命値(寿命指標値の減少量)と発電設備1の出力との関係についても、取得する。寿命指標値取得部22は、開始時期における寿命指標値と、消費寿命値と発電設備1の出力との関係とを、外部機器や発電設備1から取得してもよいし、例えばユーザの設定に基づき設定してもよいし、記憶部16から読み出してもよい。例えば、開始時期における寿命指標値は、発電設備1に備えられたセンサの検出結果に基づき算出された値であってよい。以下、消費寿命値と発電設備1の出力との関係を、適宜、寿命出力関係と記載する。
なお、寿命指標値は、発電設備1の部品ごとに設定されてもよいし、発電設備1の全体で1つの値として設定されてもよい。発電設備1の部品ごとに設定される場合、消費寿命値が最も高い部品の寿命指標値を、発電設備1の寿命指標値とすることが好ましい。
図2に戻り、貢献度取得部24は、貢献度を取得する。貢献度とは、電力の安定供給に対する貢献度を示す指標であり、単位時間毎の電力供給量に対して割り当てられる。電力の安定供給とは、発電設備1が電力供給を行う系統における電力の需給バランスのずれや電圧及び周波数の変動などを抑制して、系統の電力供給を安定化することを意味する。貢献度は、単位時間毎の電力供給量に対して割り当てられる値であるため、単位時間毎に値が変化する。貢献度取得部24は、開始時期から停止時期までのそれぞれの単位時間毎の貢献度を取得する。なお、開始時期は現在以降、すなわち未来であるため、貢献度取得部24は、未来における貢献度の予測値を取得しているといえる。
図4Aは、貢献度の一例を示すグラフである。本実施形態に係る貢献度は、開始時期から停止時期までのそれぞれの単位時間毎の、電力の価格である。図4Aに示すように、単位時間毎の貢献度、すなわち電力価格は、単位時間毎に値が変動する。貢献度取得部24は、外部装置から、開始時期から停止時期までの貢献度を取得してもよいし、記憶部16に予め記憶された貢献度を取得してもよいし、貢献度を設定してもよい。
なお、開始時期から停止時期までにおける貢献度、すなわち電力価格は、過去の貢献度、すなわち過去の電力価格に基づき設定可能である。例えば、開始時期から停止時期までの貢献度は、過去の電力価格と、電力価格に影響するパラメータ(日時や気温や燃料価格など)とに基づき、予測値として算出可能である。すなわち、過去のデータをビッグデータとして解析を実行することで、開始時期から停止時期までの未来における貢献度が算出可能である。また、開始時期から停止時期までの電力価格は、開始時期から停止時期までの単位時間毎の電力需要量と、その単位時間における複数の発電設備の電力供給量および発電コストとに基づき算出することもできる。図4Bは、電力価格の設定方法の一例を示すグラフである。図4Bの例では、横軸が供給可能な電力量の積算値であり、縦軸が、電力価格である。発電設備1A、1B、1C、1D、1E、1Fは、この順で、発電した際の発電コストが高くなる。図4Bの例では、発電コストが低い発電設備から、電力供給量を積み上げていき、積み上げた電力供給量が電力需要量(線分D)に一致した点の発電コストPRを、その単位時間の電力価格として設定する。ただし、以上説明した電力価格の設定方法は、一例であり、他の方法を用いて開始時期から停止時期までの未来における電力価格を算出してもよい。
このように、貢献度取得部24は、開始時期から停止時期までの単位時間毎の貢献度として、単位時間毎の電力価格を取得する。電力市場においては、電力の安定供給に対する貢献度が大きいほど、電力価格が高く設定される傾向がある。従って、貢献度を、電力価格と言い換えることができる。なお、電力価格は、エネルギ市場(一日前市場、イントラデイ市場、及びリアルタイム市場など)、アンシラリサービス市場(予備力市場、及び調整力市場など)など、それぞれの電力市場毎に設定されてもよい。ただし、貢献度は、電力の安定供給に対する貢献度を示す指標であれば、電力価格に限られない。例えば、貢献度は、単位時間毎の系統周波数や、単位時間毎の系統電圧などであってもよい。
図2に戻り、出力パターン設定部26は、開始時期から停止時期までにおける、発電設備1による単位時間毎の電力供給量を算出する。発電設備1の電力供給量は、発電設備1の出力に依存するため、出力パターン設定部26は、開始時期から停止時期までにおける、発電設備1による単位時間毎の出力パターンを設定していると言える。
出力パターン設定部26は、寿命指標値取得部22が取得した、開始時期における寿命指標値及び寿命出力関係(消費寿命値と発電設備1の出力との関係)と、貢献度取得部24が取得した、開始時期から停止時期までの単位時間毎の貢献度と、発電設備1の性能のパラメータ値と、を取得する。発電設備1の性能のパラメータ値とは、発電設備1の性能を示すパラメータの値であり、発電設備1の出力パターンの設定に用いるパラメータの値である。発電設備1の性能のパラメータ値は、例えば、定格出力の値などである。出力パターン設定部26は、発電設備1の性能のパラメータ値を、外部機器や発電設備1から取得してもよいし、例えばユーザの設定に基づき設定してもよいし、記憶部16から読み出してもよい。
出力パターン設定部26は、発電設備1の性能のパラメータ値と、開始時期における寿命指標値と、寿命出力関係とに基づき、発電設備1による開始時期から停止時期までにおける単位時間毎の出力パターンを設定する。具体的には、出力パターン設定部26は、停止時期において寿命指標値が予め定めた所定寿命値になるように、開始時期から停止時期までにおける発電設備1の出力パターンを設定する。さらに言えば、出力パターン設定部26は、停止時期において寿命指標値が所定寿命値になり、かつ、開始時期から停止時期までの評価値が最大となるように、開始時期から停止時期までにおける発電設備1の出力パターンを設定する。以下、具体的に説明する。
図5は、開始時期から停止時期までにおける単位時間毎の出力パターンの一例を示しており、図6は、開始時期から停止時期までにおける寿命指標値の一例を示している。ここで、寿命指標値は、図6の例に示すように、単位時間が経過する毎に、消費寿命値の分ずつ減少してゆく。そして、消費寿命値は、寿命出力関係に基づき決まるため、単位時間毎の発電設備1の出力に基づき決まるといえる。従って、出力パターン設定部26は、図5の例に示すように、開始時期における寿命指標値と停止時期における所定寿命値との差分が、開始時期から停止時期までにおける消費寿命値の積算値となるような、出力パターンを設定することができる。このような出力パターンに設定されることで、停止時期における寿命指標値が、所定寿命値となる。
また、出力パターン設定部26は、発電設備1がオーバーファイアリング運転を行うことも許容する。すなわち、出力パターン設定部26は、停止時期における寿命指標値が所定寿命値となり、かつ、発電設備1の出力がオーバーファイアリング出力P2に収まるように、単位時間毎の出力パターンを設定しているといえる。
さらに言えば、停止時期における寿命指標値が所定寿命値となり、かつ、発電設備1の出力がオーバーファイアリング出力P2に収まるような単位時間毎の出力パターンの組み合わせは、1つでなく複数種類存在する。出力パターン設定部26は、停止時期におけるそのような出力パターンの組み合わせのうちから、開始時期から停止時期までの評価値が最大となるような発電設備1の出力パターンを選定し、選定した出力パターンを、開始時期から停止時期までにおける発電設備1の出力パターンとして選定する。ここで、評価値とは、単位時間毎の貢献度(電力価格)に基づいて決定される値である。評価値は、本実施形態では、発電設備1が電力供給した際の収益を指す。従って、開始時期から停止時期までの評価値とは、発電設備1が電力供給することにより得る収益の、開始時期から停止時期までの合計値を指す。すなわち、出力パターン設定部26は、停止時期における寿命指標値が所定寿命値となるような出力パターンの組み合わせのうちから、開始時期から停止時期までの収益の合計値が最大となる出力パターンを、開始時期から停止時期までにおける発電設備1の出力パターンとして選定する。言い換えれば、出力パターン設定部26は、停止時期における寿命指標値が所定寿命値となり、かつ、開始時期から停止時期までにおける電力供給による収益の合計値が最大となるように、開始時期から停止時期までにおける発電設備1の出力パターンを設定するといえる。さらに、出力パターン設定部26は、以上説明した設定方法に加えて、所定の制約条件を満たすように、開始時期から停止時期までにおける発電設備1の出力パターンを設定してもよい。所定の制約条件は、例えば、C2排出量を所定値以下とするなどが挙げられる。
なお、開始時期から停止時期までの評価値、ここでは収益は、単位時間毎の貢献度(電力価格)と、単位時間毎の電力供給量(単位時間毎の出力パターン)とに基づいて決定される値である。すなわち、単位時間毎の電力供給量に対し、その時間における電力価格を乗じて、単位時間毎の収益を算出し、単位時間毎の収益を合計することで、開始時期から停止時期までの収益が算出可能である。また、評価値は、収益から、電力供給に要した費用(燃料価格や人件費など)を差し引いた利益であってもよい。また、評価値は、収益や利益に限られず、単位時間毎の貢献度と、単位時間毎の電力供給量(単位時間毎の出力パターン)とに基づいて算出される値であればよい。
なお、本実施形態では、停止時期における所定寿命値は、ゼロであり、言い換えれば、出力パターン設定部26は、停止時期における寿命指標値がゼロとなるように、出力パターンを設定している。ただし、所定寿命値は、ゼロでなく任意の値であってよく、さらに、1つの値でなく所定の数値範囲であってもよい。
図5は、出力パターン設定部26が設定した出力パターンの一例である。図5においては、開始時期T0から停止時期Tまでにおける単位時間毎の出力パターンの例が示されている。図5に示すように、出力パターンは、発電設備1の出力がオーバーファイアリング出力P2に収まるように設定されている。また、出力パターン設定部26は、評価値、すなわち収益が最大となるように出力パターンを設定しているため、貢献度(電力価格)が高い時期における出力が高くなるように、出力パターンを設定している。例えば、貢献度(電力価格)が高い時期においては、定格出力P1より高くオーバーファイアリング出力P2以下の出力範囲で出力パターンが設定され、貢献度(電力価格)が低い時期においては、定格出力P1以下の出力範囲で出力パターンが設定される。また、図6は、図5のような出力パターンで運転したと仮定した場合の、開始時期T0から停止時期Tまでにおける寿命指標値の推移の例が示されている。図6では、発電設備1の出力が高い時間帯で寿命指標値の減少量が高くなっており、停止時期Tにおいて、寿命指標値がゼロとなっている例が示されている。なお、図5の出力パターンは一例である。例えば、出力パターン設定部26は、発電設備の出力や運転時間に応じた設備の劣化(効率、最高出力等)を考慮するロジックを含んでいてもよい。
図2に戻り、オーバーファイアリング設定部28は、出力パターン設定部26が設定した出力パターンに基づき、開始時期から停止時期までのうちから、オーバーファイアリングを実行する時期を設定する。上述のように、出力パターン設定部26が設定した出力パターンにおいては、オーバーファイアリング運転される時期が含まれる。オーバーファイアリング設定部28は、出力パターン設定部26が設定した開始時期T0から停止時期Tまでの出力パターンから、オーバーファイアリング運転が予定される時期、すなわち出力が定格出力P1より高くオーバーファイアリング出力P2以下となっている時期を抽出する。オーバーファイアリング設定部28は、その抽出した時期を、オーバーファイアリングを実行する時期として設定する。すなわち、図5の例では、時期(タイミング)TAからTBまでと、時期TCからTDまでと、時期TEからTFまでと、時期TGからTHまでとが、オーバーファイアリングを実行する時期として設定される。
オーバーファイアリング運転すると、電力供給量を多くすることができるため、収益を増加させることができる。しかし、オーバーファイアリング運転すると、発電設備1の寿命の減少量が増加する。従って、オーバーファイアリング運転を行い過ぎた場合、例えば、定期点検を行う停止時期が到来する前に、発電設備1の劣化が進行し過ぎての寿命が尽きてしまい、発電設備1に不具合が生じるおそれがある。一方、オーバーファイアリング運転を抑えた場合は、寿命が尽きることは抑制できるが、収益を増加する機会を逃すこととなる。従って、発電設備を適切に運用するために、オーバーファイアリング運転する時期を適切に設定することが求められている。
それに対し、本実施形態に係る運用支援装置10は、停止時期において寿命指標値が所定寿命値になるように出力パターンを設定し、その出力パターンに基づき、開始時期から停止時期までの期間におけるオーバーファイアリング運転する時期を設定している。従って、運用支援装置10によると、残寿命を想定しながらオーバーファイアリング運転する時期を設定することができるため、オーバーファイアリング運転をし過ぎて停止時期が到来する前に寿命が尽きてしまったり、オーバーファイアリング運転を少なくし過ぎて収益の機会を逃したりすることを抑制できる。さらに、開始時期から停止時期までの期間を見越してオーバーファイアリング運転する時期を設定しているため、オーバーファイアリング運転が必要な時期に、寿命が足りないためオーバーファイアリング運転する余裕がなくなっている状態になることを抑え、適切にオーバーファイアリング運転させることができる。
さらに、本実施形態においては、評価値、ここでは収益が最大となるように出力パターンを設定している。従って、収益が高くなると予測される時期に、オーバーファイアリング運転を行わせることが可能となり、発電設備を適切に運用することができる。なお、運用支援装置10が開始時期から停止時期までの出力パターンを設定した場合、発電設備1は、開始時期から、停止時期の前の中間時期までにおいて、その出力パターンで運転されてもよい。中間時期とは、開始時期と停止時期との間の時期であり、開始時期から所定時間後の時期である。この場合、運用支援装置10は、中間時期を新たに開始時期として、その新たな開始時期から停止時期までの出力パターンを再度設定する。そして、発電設備1は、新たな開始時期から、その新たな開始時期から所定時間経過後の中間時期までにおいて、設定し直された出力パターンで運転させてもよい。また、更にこのプロセスを繰り返してよい。例えば、開始時期が1月1日で停止時期が6月30日である場合、発電設備1は、1月1日から6月30日までの出力パターンに基づき、1月1日から1月2日まで、1日分運転する。そして、運用支援装置10は、1月2日から6月30日までの出力パターンを再度設定し、発電設備1は、1月2日から6月30日までの出力パターンに基づき、1月2日から1月3日まで、1日分運転する。このように、停止時期までにおいて、所定時間運転する毎に出力パターンを更新することにより、運用精度を高くすることができる。
また、運用支援装置10は、図2に示すビッドブロック生成部30により、発電設備1のビッドブロックを生成する。図7は、ビッドブロックの一例を示すグラフである。図7に示すように、ビッドブロックとは、単位時間における、発電設備1の出力毎の供給電力の価格を示す情報である。すなわち、ビッドブロックとは、発電設備1が供給する電力の値段を出力毎に示した情報であるといえる。
ビッドブロック生成部30は、出力パターン設定部26が設定した出力パターンに基づき、開始時期から停止時期までの間の単位時間におけるビッドブロックを生成する。ビッドブロック生成部30は、開始時期から停止時期までの間の全ての単位時間のビッドブロックを生成してもよいし、一部の単位時間におけるビッドブロックのみを生成してもよい。ビッドブロック生成部30は、定格出力P1までにおける出力毎の供給電力の価格を示す定格ビッドブロックと、定格出力P1からオーバーファイアリング出力P2までにおける出力毎の供給電力の価格を示す高出力ビッドブロックと、を生成する。すなわち、ビッドブロック生成部30が生成するビッドブロックは、定格ビッドブロックと高出力ビッドブロックを含む。
ビッドブロック生成部30は、発電設備1の出力効率に基づき、定格ビッドブロックを生成する。具体的には、ビッドブロック生成部30は、ビッドブロックの生成対象となる時期における発電設備1の出力効率を取得する。ここでの出力効率とは、入力と出力との関係を示す指標であり、出力効率が高いほど、低い入力で高い出力が得られることになる。ここでの入力は、例えば燃料の量などであり、出力は、発電設備1の出力である。発電設備1の出力効率は、例えば、発電設備1の劣化度合いを検出するセンサの検出値を、その検出値と出力効率との関係を示す算出式に代入することで算出される。ここでの算出式は、予め試験や解析などで設定される。ただし、出力効率は、このように算出されることに限られず、例えば、出力パターン設定部26が設定した出力パターンに基づき算出されてもよいし、過去の運用データから回帰的に導出されてもよいし、機械学習などにより導出されてもよい。
ビッドブロック生成部30は、さらに、ビッドブロックの生成対象となる時期における電力供給に必要な費用の予測値を取得する。電力供給に必要な費用とは、例えば燃料の費用や、排ガス処理等の薬剤費の費用や、人件費などである。電力供給に必要な費用の予測値は、任意の方法で取得されてよく、ビッドブロック生成部30が所定のアルゴリズムにて予測したものでもよいし、外部装置から取得したものであってもよい。ビッドブロック生成部30は、電力供給に必要な費用と、発電設備1の出力効率とに基づき、発電設備1の単位出力あたりに必要なコストを算出し、単位出力あたりに必要なコストに基づき、定格出力P1までにおける定格ビッドブロックを設定する。図7の例では、データB0が、最低出力P0から定格出力P1までにおける定格ビッドブロックを示している。
また、ビッドブロック生成部30は、高出力ビッドブロックを設定する。出力パターン設定部26が設定した出力パターンに基づき、定格出力P1からオーバーファイアリング出力P2までにおける高出力ビッドブロックを設定する。ビッドブロック生成部30は、ビッドブロックの設定対象となる時期が、出力パターン設定部26が設定した出力パターンにおいてオーバーファイアリング運転すると設定された時期であるかを判断し、オーバーファイアリング運転する時期である場合と、オーバーファイアリング運転する時期でない場合とで、高出力ビッドブロックを異ならせる。ビッドブロック生成部30は、オーバーファイアリング運転すると設定した場合には、オーバーファイアリング運転しないと設定された場合よりも、高出力ビッドブロックの電力価格を低くする。すなわち、ビッドブロック生成部30は、オーバーファイアリング運転しないと設定した時期における電力価格を高くすることで、オーバーファイアリング出力P2の電力が入札されることを防いで、その時期にオーバーファイアリング運転を行わせないようにする。
図7の例では、オーバーファイアリング運転しないと設定された時期における高出力ビッドブロックが、データB1となり、オーバーファイアリング運転すると設定された時期における高出力ビッドブロックが、データB2となる。データB2よりも、データB1の方が同じ出力における電力価格が高くなっている。さらに言えば、高出力ビッドブロックは、データB1とデータB2とのいずれにおいても、定格出力P1における供給電力の価格が、定格ビッドブロックにおける定格出力P1の電力価格と等しくなっている。そして、出力毎のデータB1同士を結んだ線分(図7の破線)の電力価格の出力に対する傾き(出力に対する電力価格の変化率)が、出力毎のデータB2同士を結んだ線分(図7の破線)の電力価格の出力に対する傾きよりも大きくなっている。なお、図7の例では、オーバーファイアリング運転すると設定された時期においては、高出力ビッドブロックにおける電力価格の出力に対する傾き(データB2同士を結んだ線分)は、定格ビッドブロックにおける電力価格の出力に対する傾き(データB0同士を結んだ線分)と同じとなっており、言い換えれば、データB0同士を結んだ線分とデータB2同士を結んだ線分とは連続している。ただし、オーバーファイアリング運転すると設定された時期の高出力ビッドブロックを、例えばデータB3同士のようにして、高出力ビッドブロックにおける電力価格の出力に対する傾き(データB3同士を結んだ線分)を定格ビッドブロックにおける電力価格の出力に対する傾きよりも大きくしてもよい。すなわち、定格出力P1における供給電力の価格に関わらず、オーバーファイアリング出力P2における電力の価格を、任意に設定してよい。
このように、本実施形態においては、ビッドブロック生成部30によってビッドブロックを生成している。このようにビッドブロックを生成することで、オーバーファイアリング出力P2までにおける電力価格を適切に設定することが可能となる。
運用支援装置10は、以上のような構成となっている。次に、運用支援装置10による処理フローを、フローチャートに基づき説明する。図8は、第1実施形態に係る運用支援装置の処理フローを説明するフローチャートである。図8に示すように、運用支援装置10は、時期情報取得部20により開始時期と停止時期とを取得し(ステップS10)、寿命指標値取得部22により、開始時期における寿命指標値を取得し(ステップS12)、貢献度取得部24により、開始時期から停止時期までにおける貢献度(ここでは電力価格)を取得する(ステップS14)。そして、運用支援装置10は、出力パターン設定部26により、停止時期において寿命指標値が所定寿命値になり、かつ、開始時期から停止時期までの評価値が最大となるように、開始時期から停止時期までにおける発電設備1の出力パターンを設定する(ステップS16)。開始時期から停止時期までにおける発電設備1の出力パターンは、オーバーファイアリング出力P2の範囲内となるように設定される。出力パターンを設定したら、運用支援装置10は、オーバーファイアリング設定部28により、出力パターンからオーバーファイアリングする時期を抽出して、抽出した時期を、オーバーファイアリング運転する時期として設定する(ステップS18)。オーバーファイアリング運転する時期を設定したら、運用支援装置10は、ビッドブロック生成部30により、ビッドブロックを生成する(ステップS20)。これにより、本処理は終了する。本処理は、開始時期を更新して複数回行われてもよい。これにより、最新の状況を反映してより適切な出力パターンを設定できる。なお、ビッドブロックの生成は、本処理において必須ではない。
以上説明したように、本実施形態に係る運用支援装置10は、発電設備1の定格出力P1より高出力での運転であるオーバーファイアリングの実行時期を設定するものであり、寿命指標値取得部22と、出力パターン設定部26と、オーバーファイアリング設定部28と、を有する。寿命指標値取得部22は、寿命指標値の、開始時期における値を取得する。寿命指標値は、発電設備1の寿命を示す指標であって、発電設備1の出力に応じて値が一方向に変化する。開始時期は、現在以降の所定の時期である。出力パターン設定部26は、開始時期における寿命指標値に基づき、開始時期より後の停止時期において寿命指標値が予め定めた所定値(所定寿命値)になるように、開始時期から停止時期までの発電設備1の単位時間毎の出力パターンを設定する。オーバーファイアリング設定部28は、出力パターンに基づき、開始時期から停止時期までのうちから、オーバーファイアリングを実行する時期を設定する。
本実施形態に係る運用支援装置10は、停止時期において寿命指標値が所定寿命値になるように出力パターンを設定し、その出力パターンに基づき、開始時期から停止時期までの期間におけるオーバーファイアリング運転する時期を設定している。従って、運用支援装置10によると、オーバーファイアリング運転をし過ぎて停止時期が到来する前に寿命が尽きてしまったり、オーバーファイアリング運転を少なくし過ぎて収益の機会を逃したりすることを抑制できる。さらに、オーバーファイアリング運転が必要な時期に、寿命が足りないためオーバーファイアリング運転ができなくなることを抑えることもできる。従って、この運用支援装置10によると、オーバーファイアリング運転の適切な時期を提示することにより、発電設備1の適切な運用を支援することができる。
また、運用支援装置10は、単位時間毎の電力供給量に対して割り当てられる電力の安定供給に対する貢献度を、開始時期から停止時期までのそれぞれの単位時間毎に取得する貢献度取得部24をさらに有する。出力パターン設定部26は、開始時期における寿命指標値と、開始時期から停止時期までの貢献度とに基づき、停止時期における寿命指標値が所定寿命値となり、かつ、開始時期から停止時期までの評価値が最大となるように、開始時期から停止時期までの発電設備1の単位時間毎の出力パターンを設定する。評価値は、単位時間毎の貢献度と電力供給量とに基づいた値である。この運用支援装置10は、評価値が最大となるように出力パターンを設定している。従って、例えば収益などの評価値が高くなると予測される時期に、オーバーファイアリング運転を行わせることが可能となり、発電設備1の適切な運用を支援することができる。
また、貢献度取得部24は、単位時間毎に設定された電力の価格を、貢献度として取得し、出力パターン設定部26は、発電設備1の発電による収益を、評価値とする。この運用支援装置10は、停止時期における寿命指標値が所定寿命値となり、かつ、開始時期から停止時期までの収益が最大となるように、出力パターンを設定する。従って、運用支援装置10によると、収益などの評価値が高くなると予測される時期に、オーバーファイアリング運転を行わせることが可能となり、発電設備1の適切な運用を支援することができる。
また、出力パターン設定部26は、貢献度が高い時期における発電設備1の出力が高くなるように、出力パターンを設定する。この運用支援装置10は、貢献度が高い時期における発電設備1の出力を高くするため、収益などの評価値が高くなると予測される時期に、オーバーファイアリング運転を行わせることが可能となり、発電設備1の適切な運用を支援することができる。
また、運用支援装置10は、出力パターンに基づきビッドブロックを生成するビッドブロック生成部30をさらに有する。ビッドブロックは、単位時間における、発電設備1の出力毎の供給電力の価格を示す情報である。この運用支援装置10は、このようにビッドブロックを生成することで、オーバーファイアリング出力P2までにおける電力価格を適切に設定することが可能となる。
また、ビッドブロック生成部30は、発電設備1の出力効率に基づき、定格出力P1までにおける出力毎の供給電力の価格を示す定格ビッドブロックを生成する。そして、ビッドブロック生成部30は、出力パターンで設定された発電設備1の出力に基づき、オーバーファイアリングを実行する際の出力毎の供給電力の価格を示す高出力ビッドブロックを生成する。この運用支援装置10は、このように定格ビッドブロックと高出力ビッドブロックとを生成することで、オーバーファイアリング出力P2までにおける電力価格を適切に設定することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る運用支援装置10aは、複数の候補停止時期のうちから停止時期を設定する点で、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
図9は、第2実施形態に係る運用支援装置のブロック図である。図9に示すように、第2実施形態に係る運用支援装置10aの制御部18aは、候補停止時期設定部40と、寿命指標値取得部42と、貢献度取得部44と、出力パターン設定部46と、停止時期設定部48とを有し、これらが実行する処理が、本実施形態の運用支援方法であるといえる。候補停止時期設定部40と、寿命指標値取得部42と、貢献度取得部44と、出力パターン設定部46と、停止時期設定部48とは、制御部18aが記憶部16に記憶されたソフトウェア(プログラム)を読み出すことで実現されて、後述する処理を実行する。
候補停止時期設定部40は、候補停止時期を設定する。また、候補停止時期設定部40は、開始時期の情報、すなわち開始時期がいつであるかの情報を取得する。開始時期とは、第1実施形態と同様に現在より後の日時(タイミング)である。候補停止時期は、停止時期の候補となる時期(タイミング)であり、開始時期より後の時期である。
候補停止時期設定部40は、候補停止時期を複数設定する。候補停止時期設定部40は、例えば、第1実施形態の時期情報取得部20が停止時期を取得した方法と同様の方法で、1つの候補停止時期を取得する。そして、その1つの候補停止時期から所定時間だけ時間をずらした時期(タイミング)を、他の候補停止時期として設定する。候補停止時期設定部40は、このようにして互いに時間がずれた複数の候補停止時期を設定する。ただし、候補停止時期の設定方法は、任意である。
寿命指標値取得部42は、開始時期における寿命指標値と、寿命出力関係(寿命指標値の減少量と発電設備1の出力との関係)と、を取得する。寿命指標値取得部42は、第1実施形態の寿命指標値取得部22と同じ方法で、開始時期における寿命指標値寿命出力関係とを取得する。
貢献度取得部44は、開始時期から候補停止時期までにおける貢献度(例えば単位時間毎の電力価格)を取得する。貢献度取得部44は、開始時期から停止時期ではなく開始時期から候補停止時期までの貢献度を取得している点以外は、第1実施形態の貢献度取得部24と同じ方法で、貢献度を取得する。
出力パターン設定部46は、寿命指標値取得部42が取得した、開始時期における寿命指標値及び寿命出力関係(消費寿命値と発電設備1の出力との関係)と、貢献度取得部44が取得した、開始時期から候補停止時期までの単位時間毎の貢献度と、発電設備1の性能のパラメータ値と、を取得する。出力パターン設定部46は、発電設備1の性能のパラメータ値と、開始時期における寿命指標値と、寿命出力関係とに基づき、発電設備1による開始時期から候補停止時期までにおける単位時間毎の出力パターンを設定する。具体的には、出力パターン設定部46は、候補停止時期において寿命指標値が予め定めた所定寿命値になるように、開始時期から停止時期までにおける発電設備1の出力パターンを設定する。さらに言えば、出力パターン設定部26は、候補停止時期において寿命指標値が所定寿命値になり、かつ、開始時期から候補停止時期までの評価値が最大となるように、開始時期から候補停止時期までにおける発電設備1の出力パターンを設定する。なお、第2実施形態における評価値は、第1実施形態の評価値(例えば収益)と同じものを指す。
出力パターン設定部46は、停止時期でなく候補停止時期までにおける発電設備1の出力パターンを設定する点で、第1実施形態の出力パターン設定部26と異なる。そして、停止時期設定部48は、出力パターン設定部46が設定した候補停止時期までにおける出力パターンに基づき、停止時期を設定する。以下で、開始時期から候補停止時期までにおける発電設備1の出力パターンの設定方法と、設定した出力パターンに基づく停止時期の設定方法の詳細について説明する。
ここで、複数の候補停止時期のうちの1つの候補停止時期を、第1候補停止時期とする。この場合、出力パターン設定部46は、第1候補停止時期における寿命指標値が所定寿命値となり、かつ、開始時期から第1候補停止時期までの評価値が最大となるように、開始時期から第1候補停止時期までにおける発電設備1の出力パターンを設定する。すなわち、出力パターン設定部46は、停止時期の代わりに第1候補停止時期を用いた点以外は、第1実施形態の出力パターン設定部46と同じ方法で、出力パターンを設定する。
図10は、開始時期から第1候補停止時期までにおける単位時間毎の出力パターンの一例を示しており、図11は、図10の出力パターンとした場合の寿命指標値の一例を示している。図10は、開始時期T0から第1候補停止時期Taまでにおける発電設備1の出力パターンの一例を示している。停止時期設定部48は、出力パターン設定部46が設定した、開始時期から第1候補停止時期までにおける発電設備1の出力パターンに基づき、停止時期を設定する。さらに言えば、停止時期設定部48は、出力パターン設定部46が設定した出力パターンで開始時期T0から第1候補停止時期Taまで運転した場合における、発電設備1の運用指標を算出する。運用指標とは、発電設備1の運用状態を示す指標値であり、本実施形態では、発電設備1の収益と、発電設備1の寿命指標値を収益に換算した値とを含む。従って、開始時期T0から第1候補停止時期Taまで運転した場合における発電設備1の運用指標は、開始時期T0から第1候補停止時期Taまで運転した場合における発電設備1の合計収益と、第1候補停止時期Taの時点での発電設備1の寿命指標値を収益に換算した値と、の合計値であるといえる。なお、開始時期T0から第1候補停止時期Taまで運転した場合における発電設備1の収益は、第1候補停止時期Taに発電設備1を停止することにより得られない収益と、開始時期T0から第1候補停止時期Taまで発電設備1を運転することにより得られる収益と、を含んでよい。なお、寿命指標値がゼロより大きい場合、すなわち発電設備1の寿命が残っている場合、設備を他で再利用したり、残寿命が無くなるまで発電設備1を運転したりすることが可能である。従って、例えば、再利用したり残寿命が無くなるまで運転したりした場合の収益を、寿命指標値を収益に換算した値として算出できる。ただし、運用指標は、発電設備1の収益と、発電設備1の寿命指標値を収益に換算した値との合計値に限られず、任意に設定できる。例えば、運用指標は、発電設備1の収益と、発電設備1の寿命指標値を収益に換算した値との少なくとも1つを含んでいてよい。
また、複数の候補停止時期のうち、第1候補停止時期Ta以外の候補停止時期を、第2候補停止時期とする。停止時期設定部48は、出力パターン設定部46が設定した出力パターン、すなわち、開始時期から第1候補停止時期Taまでにおける発電設備1の出力パターンに基づき、開始時期T0から第2候補停止時期まで運転した場合における、発電設備1の運用指標を算出する。すなわち、停止時期設定部48は、第1候補停止時期Taに基づき設定した出力パターンを用いて、第1候補停止時期Ta以外の候補停止時期における発電設備1の運用指標についても、算出する。図10の例では、第2候補停止時期Ta1、Ta2が設定されている。この場合、停止時期設定部48は、開始時期から第1候補停止時期Taまでにおける発電設備1の出力パターンに基づき、開始時期T0から第2候補停止時期Ta1まで運転した場合における運用指標と、開始時期T0から第2候補停止時期Ta2まで運転した場合における運用指標と、を算出する。
停止時期設定部48は、第1候補停止時期についての出力パターンに基づき、第1候補停止時期と第2候補停止時期とのうちから、停止時期を設定する。具体的には、停止時期設定部48は、候補停止時期毎の運用指標を比較して、比較した結果に基づき、停止時期を設定する。本実施形態では、停止時期設定部48は、候補停止時期毎の運用指標のうち、最も運用指標の値が高い候補停止時期を、停止時期として設定する。図10の例では、停止時期設定部48は、第1候補停止時期Taと第2候補停止時期Ta1と第2候補停止時期Ta2とのうち、最も運用指標の値が高いものを、停止時期として設定する。なお、図10の例では、第1候補停止時期Taまで運転する方が収益は高くなるが、図11に示すように、第2候補停止時期Ta1、Ta2の方が、寿命指標値が高くなり、その分寿命指標値を収益に換算した値が高くなる。従って、運用指標に寿命指標値まで含まることで、寿命まで考慮して、適切な時期を停止時期に設定することができる。
以上説明したように、停止時期設定部48は、第1候補停止時期Taについての出力パターンに基づき、第1候補停止時期Taに発電設備1を停止することにより得られない収益、開始時期T0から第1候補停止時期Taまで発電設備1を運転することにより得られる収益、及び第1候補停止時期Taにおける寿命指標値を、運用指標として算出する。そして、停止時期設定部48は、第1候補停止時期Taについての出力パターンに基づき、第2候補停止時期Ta1、Ta2に発電設備1を停止することにより得られない収益、及び、開始時期T0から第2候補停止時期Ta1、Ta2まで発電設備1を運転することにより得られる収益、及び第2候補停止時期Ta1、Ta2における寿命指標値を、運用指標として算出する。そして、停止時期設定部48は、これらの運用指標を比較し、比較した結果に基づき、第1候補停止時期Taと第2候補停止時期Ta1、Ta2とのうちから、停止時期を設定する。
なお、図10の例では、候補停止時期が3つ、すなわち1つの第1候補停止時期と2つの第2候補停止時期が設定されているが、候補停止時期の数は3つに限られず任意である。また、図10の例では、第2候補停止時期を、第1候補停止時期より前の時期として設定しているが、第2候補停止時期を第1候補停止時期より後の時期に設定してよい。ただし、第1候補停止時期までの出力パターンに基づき停止時期を設定しているため、第2候補停止時期を、第1候補停止時期より前の時期に設定することが好ましい。
以上の説明では、1つの候補停止時期(第1候補停止時期Ta)についての出力パターンに基づき停止時期を設定していたが、複数の候補停止時期のそれぞれについて出力パターンを算出し、それらの出力パターンに基づき停止時期を設定してもよい。この場合について以下で説明する。
図12は、それぞれの候補停止時期についての出力パターンの例を示しており、図13は、図12の出力パターンとした場合の寿命指標値の例を示している。この例においては、出力パターン設定部46は、複数の候補停止時期のそれぞれについて、候補停止時期における寿命指標値が所定寿命値となり、かつ、開始時期から候補停止時期までの評価値が最大となるように、開始時期から候補停止時期までにおける発電設備1の出力パターンを設定する。図12の例では、出力パターン設定部46は、第1候補停止時期Ta、第2候補停止時期Ta1、Ta2のそれぞれについて出力パターンを算出している。このように出力パターンを設定しているため、図13の例に示すように、それぞれの出力パターンにおいて、それぞれの候補停止時期(図13では第1候補停止時期Ta、第2候補停止時期Ta1、Ta2)における寿命指標値は、所定寿命値(ここではゼロ)となっている。
停止時期設定部48は、出力パターン設定部46が設定した候補停止時期毎の出力パターンに基づき、複数の候補停止時期のうちから、停止時期を設定する。ここでは、停止時期設定部48は、出力パターン設定部46が設定した出力パターンに基づき、その出力パターンに用いた候補停止時期についての運用指標を算出することで、それぞれの候補停止時期について、運用指標を算出する。図12の例によると、停止時期設定部48は、開始時期T0から第1候補停止時期Taまでの出力パターンに基づき、第1候補停止時期Taについての運用指標を算出し、開始時期T0から第2候補停止時期Ta1までの出力パターンに基づき、第2候補停止時期Ta1についての運用指標を算出し、開始時期T0から第2候補停止時期Ta2までの出力パターンに基づき、第2候補停止時期Ta2についての運用指標を算出する。
停止時期設定部48は、候補停止時期毎の運用指標を比較して、比較した結果に基づき、停止時期を設定する。本実施形態では、停止時期設定部48は、候補停止時期毎の運用指標のうち、最も運用指標の値が高い候補停止時期を、停止時期として設定する。図12の例では、停止時期設定部48は、第1候補停止時期Taと第2候補停止時期Ta1と第2候補停止時期Ta2とのうち、最も運用指標の値が高いものを、停止時期として設定する。なお、ここでの運用指標は、その候補停止時期まで運転した場合の収益の合計値である。ここでの運用指標は、候補停止時期に発電設備1を停止することにより得られない収益と、開始時期から候補停止時期まで発電設備1を運転することにより得られる収益と、を含んでよい。なお、候補停止時期における寿命指標値も、運用指標に含めてもよいが、この例では候補停止時期毎に寿命指標値が同じ(所定寿命値)となるため、寿命指標値を運用指標に含まなくてよい。
このように、候補停止時期のそれぞれについて出力パターンを設定する場合、停止時期設定部48は、候補停止時期に発電設備1を停止することにより得られない収益と、開始時期から候補停止時期まで発電設備1を運転することにより得られる収益とを、複数の候補停止時期毎に比較し、比較した結果に基づき、複数の候補停止時期のうちから停止時期を設定する。
なお、第2実施形態に係る出力パターン設定部46は、第1実施形態と同様に、発電設備1がオーバーファイアリング運転を行うことも許容して、出力パターンを設定する。すなわち、出力パターン設定部46は、発電設備1の出力がオーバーファイアリング出力P2に収まるように、出力パターンを設定しているといえる。ただし、第2実施形態に係る出力パターン設定部46は、オーバーファイアリング運転を行うことを許容せず、発電設備1の出力が定格出力P1に収まるように、出力パターンを設定してもよい。
第2実施形態に係る運用支援装置10aは、以上のような構成となっている。次に、運用支援装置10aによる処理フロー、すなわち発電設備1の運用支援方法を、フローチャートに基づき説明する。図14は、第2実施形態に係る運用支援装置の処理フローを説明するフローチャートである。図14に示すように、運用支援装置10aは、候補停止時期設定部40により、開始時期を取得して、候補停止時期を設定し(ステップS30)、寿命指標値取得部42により、開始時期における寿命指標値を取得し(ステップS32)、貢献度取得部44により、開始時期から候補停止時期までにおける貢献度(ここでは電力価格)を取得する(ステップS34)。そして、運用支援装置10aは、出力パターン設定部46により、候補停止時期において寿命指標値が所定寿命値になり、かつ、開始時期から候補停止時期までの評価値(例えば収益)が最大となるように、開始時期から候補停止時期までにおける発電設備1の出力パターンを設定する(ステップS16)。出力パターンを設定したら、運用支援装置10aは、停止時期設定部48により、出力パターンに基づき、候補停止時期から停止時期を設定する(ステップS18)。上述のように、停止時期設定部48は、1つの候補停止時期(第1候補停止時期Ta)についての出力パターンに基づき、停止時期を設定してもよいし、候補停止時期毎の出力パターンに基づき、停止時期を設定してもよい。
以上説明したように、第2実施形態に係る運用支援装置10aは、発電設備1の運転を停止する停止時期を設定するものであり、候補停止時期設定部40と、寿命指標値取得部42と、貢献度取得部44と、出力パターン設定部46と、停止時期設定部48とを有する。候補停止時期設定部40は、停止時期の候補となる候補停止時期を設定する。寿命指標値取得部42は、寿命指標値の開始時期における値を取得する。貢献度取得部44は、電力の安定供給に対する貢献度を、開始時期から候補停止時期までのそれぞれの単位時間毎に取得する。出力パターン設定部46は、開始時期における寿命指標値と、開始時期から候補停止時期までの貢献度とに基づき、候補停止時期における寿命指標値が所定寿命値となり、かつ、開始時期から候補停止時期までの評価値が最大となるように、開始時期から候補停止時期までの発電設備1の単位時間毎の出力パターンを設定する。停止時期設定部48は、出力パターンに基づき、停止時期を設定する。
発電設備1は、例えばメンテナンスのために運転を停止する停止時期が設定されるが、発電設備1を適切に運用するためには、停止時期を適切に設定することが求められる。すなわち、停止時期が遅くなり過ぎると、発電設備1の部品の劣化を検知できずに、発電設備1の不具合が発生するおそれがある。一方、停止時期を早くし過ぎると、停止している期間において収益を得る機会を失うおそれがある。それに対し、本実施形態に係る運用支援装置10aは、候補停止時期を設定して、候補停止時期において寿命指標値が所定寿命値になり、かつ、評価値が最大となるように、出力パターンを設定する。そして、その出力パターンに基づき、停止時期を設定する。従って、この運用支援装置10aによると、残寿命を想定した出力パターンから停止時期を設定するため、停止時期を適切に設定して、発電設備1を適切に運用することができる。また、評価値を収益とすることで、残寿命と収益とを考慮して、停止時期を適切に設定することができる。
また、出力パターン設定部46は、開始時期から候補停止時期までの間に、定格出力P1より高出力での運転であるオーバーファイアリングを実行するように、出力パターンを設定する。この運用支援装置10aによると、オーバーファイアリングも見越して出力パターンを設定するため、残寿命と収益とを更に適切に考慮して、停止時期を適切に設定することができる。
また、候補停止時期設定部40は、複数の候補停止時期を設定し、出力パターン設定部46は、複数の候補停止時期のそれぞれについて、出力パターンを設定する。停止時期設定部48は、候補停止時期毎の出力パターンに基づき、複数の候補停止時期のうちから、停止時期を設定する。この運用支援装置10aによると、複数の候補停止時期毎に出力パターンを設定することで、停止時期をより適切に設定できる。
また、停止時期設定部48は、候補停止時期に発電設備1を停止することにより得られない収益と、開始時期から候補停止時期まで発電設備1を運転することにより得られる収益とを、複数の候補停止時期毎に比較する。そして、停止時期設定部48は、比較した結果に基づき、複数の候補停止時期のうちから、停止時期を設定する。この運用支援装置10aによると、停止による収益を得る機会の損失と、停止しないことにより得られる収益機会とを考慮することで、停止時期をより適切に設定できる。
また、出力パターン設定部46は、1つの候補停止時期である第1候補停止時期Taについての出力パターンを設定する。停止時期設定部48は、第1候補停止時期Taについての出力パターンに基づき、第1候補停止時期Taと、第1候補停止時期Ta以外で停止時期の候補となる第2候補停止時期Ta1、Ta2とのうちから、停止時期を設定する。この運用支援装置10aによると、1つの候補停止時期の出力パターンに基づき停止時期を設定するため、計算負荷を低減させつつ、停止時期を適切に設定できる。
また、停止時期設定部48は、第1候補停止時期Taについての出力パターンに基づき、第1候補停止時期Taに発電設備1を停止することにより得られない収益、開始時期T0から第1候補停止時期Taまで発電設備1を運転することにより得られる収益、及び第1候補停止時期Taにおける寿命指標値を、運用指標として算出する。そして、停止時期設定部48は、第1候補停止時期Taについての出力パターンに基づき、第2候補停止時期Ta1、Ta2に発電設備1を停止することにより得られない収益、及び、開始時期T0から第2候補停止時期Ta1、Ta2まで発電設備1を運転することにより得られる収益、及び第2候補停止時期Ta1、Ta2における寿命指標値を、運用指標として算出する。そして、停止時期設定部48は、これらの運用指標を比較し、比較した結果に基づき、第1候補停止時期Taと第2候補停止時期Ta1、Ta2とのうちから、停止時期を設定する。この運用支援装置10aによると、停止による収益を得る機会の損失と、停止しないことにより得られる収益機会と、残寿命とを考慮することで、停止時期をより適切に設定できる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る運用支援装置10bは、外部環境状態値に基づき発電設備の最大出力を設定する点で、第1実施形態とは異なる。第3実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
図15は、第3実施形態に係る運用支援装置のブロック図である。運用支援装置10bは、現在より後の所定の時期(タイミング)である所定時期における発電設備1の出力を設定する。図15に示すように、第3実施形態に係る運用支援装置10bの制御部18bは、外部環境取得部50と、出力値設定部52と、通知制御部54と、ビッドブロック設定部56とを有し、これらが実行する処理が、本実施形態の運用支援方法であるといえる。外部環境取得部50と、出力値設定部52と、通知制御部54と、ビッドブロック設定部56とは、制御部18bが記憶部16に記憶されたソフトウェア(プログラム)を読み出すことで実現されて、後述する処理を実行する。
外部環境取得部50は、発電設備の最大出力の設定対象となる時期である所定時期における外部環境状態値を取得する。外部環境状態値とは、所定時期における発電設備1の外部環境の状態の予測を示す値であり、さらに言えば、発電設備1の最大出力に影響を及ぼす外部環境の状態についての、予測値である。外部環境状態値は、例えば、所定時期における気温である。ただし、外部環境状態値は、気温に限られず、例えば、湿度や大気圧などであってもよい。外部環境取得部50は、例えば、外部装置から、所定時期における外部環境状態値を取得してよいし、所定の演算により外部環境状態値を算出してもよい。
出力値設定部52は、外部環境取得部50が取得した外部環境状態値に基づき、所定時期における設定最大出力値を設定する。設定最大出力値は、発電設備1の外部環境が外部環境状態値になったと仮定した場合における、発電設備1の出力の最大値(発電設備1の最大出力)である。ここでの発電設備1の出力の最大値は、定格出力(ベースロード、定格負荷、又は100%負荷での出力)を意味するため、設定最大出力値は、発電設備1の外部環境が外部環境状態値になったと仮定した場合における定格出力を指している。設定最大出力値と外部環境状態値との関係は、予め設定されており、例えば解析や実験などに基づき設定されてよい。出力値設定部52は、設定最大出力値と外部環境状態値との関係において、外部環境取得部50が取得した外部環境状態値と関連付けられた設定最大出力値を、設定最大出力値として設定する。
図16は、設定最大出力値と外部環境状態値との関係の一例を示すグラフである。図16の例では、外部環境状態値(ここでは気温)が高くなるほど、設定最大出力値が低くなっている。例えば、発電設備1がガスタービンである場合、気温が高いほど、出力可能な最大値、ここでは定格出力が小さくなる。従って、設定最大出力値と外部環境状態値との関係は、予め設定可能である。ただし、図16の設定最大出力値と外部環境状態値との関係は、一例である。
このように、第3実施形態に係る運用支援装置10bは、現在より後の所定時期における発電設備1の出力を設定するものであって、所定時期における発電設備1の外部環境状態値を取得する外部環境取得部50と、外部環境状態値に基づき、発電設備1の出力の最大値とする設定最大出力値を設定する出力値設定部52と、を有する。未来の発電設備1の出力を予測して発電設備1の運用を支援する場合において、発電設備1の最大出力を適切に予測できないと、発電設備1の運用を適切に支援できなくなるおそれがある。それに対し、本実施形態に係る運用支援装置10bは、未来の外部環境の予測値に基づき発電設備1の出力の最大値を設定するため、発電設備1の最大出力を高精度に予測することが可能となり、発電設備1の運用を適切に支援することができる。なお、運用支援装置10bは、外部環境状態値に基づいて発電設備1の最大出力を設定する方法と同じ方法で、発電設備1の他のパラメータを設定(予測)してもよい。例えば、運用支援装置10bは、外部環境状態値に基づいて、所定時期における発電設備1の発電効率などを設定(予測)してもよい。
ただし、外部環境状態値は、確率分布を伴って値が異なる場合がある。すなわち、外部環境状態値は、予測値であるため、実際の値とはずれる場合があり、設定最大出力も値がずれるおそれがある。その場合に備えて、運用支援装置10bは、次の例に示すように設定最大出力を設定してもよい。
この例において、外部環境取得部50は、所定時刻における外部環境状態値を、複数取得する。ここでの複数の外部環境状態値は、同じ外部環境の状態に対する予測値であるが、互いに値が異なるものである。例えば、外部環境の状態が気温である場合、外部環境状態値は、23℃、24℃などになる。また、外部環境取得部50は、それぞれの外部環境状態値に確率分布を含めて取得してもよい。すなわち、外部環境取得部50は、外部環境状態値が予測通りとなる確率を、外部環境状態値と関連付けて取得してもよい。
出力値設定部52は、それぞれの外部環境状態値に基づき、所定時期における設定最大出力値を設定する。すなわち、出力値設定部52は、外部環境状態値ごとに、設定最大出力値を設定する。なお、設定最大出力値は、上述のように、定格出力である。
また、この例において、運用支援装置10bの制御部18bは、図示しない差分取得部を有している。差分取得部は、定格出力と、オーバーファイアリング運転における出力の最大値であるオーバーファイアリング出力との差分値を取得する。オーバーファイアリング出力とは、発電設備1をオーバーファイアリング運転した場合の最大の出力(例えば110%負荷)を指す。定格出力とオーバーファイアリング出力との差分値は、予め設定されていてもよい。また、オーバーファイアリング出力が定格出力に比例する場合、差分値は、定格出力に基づき算出されてもよい。すなわちこの場合、差分取得部は、出力値設定部52が設定した設定最大出力を定格出力として、設定最大出力に基づき、差分値を算出してもよい。差分取得部は、例えば、外部環境状態値ごとの設定最大出力のうち、値が最小となる設定最大出力を用いて、差分値を算出してよい。
出力値設定部52は、外部環境状態値ごとの設定最大出力値に基づき、修正設定最大出力値を設定する。出力値設定部52は、外部環境状態値ごとの設定最大出力値のうち、値が最大となる設定最大出力値よりも低い値を、修正設定最大出力値とする。さらに言えば、出力値設定部52は、外部環境状態値ごとの設定最大出力値のうち、値が最小となる設定最大出力に対し、差分取得部が取得した差分値を加えた値を、修正設定最大出力値とすることが好ましい。
図17は、修正設定最大出力値の一例を示すグラフである。例えば、図17において、定格出力P1b0の電力供給が可能と想定した場合を考える。しかし、例えば、実際の電力供給時における外部環境状態に影響されて、実際の定格出力が定格出力PbXとなった場合、定格出力P1bXに対し、差分出力ΔPXだけ足りなくなる。この場合、想定した定格出力P1b0に到達するには、差分出力ΔPXだけ余分に出力する必要がある。すなわち、差分出力ΔPXだけ、一時的に定格出力より高い出力とする必要が生じる。この場合において、発電設備1のスペックが足りずに、差分出力ΔPXだけ余分に出力できないと、定格出力P1b0に到達できず、定格出力P1b0分の電力供給ができない。この場合、運転計画を達成できないことになるし、例えば電力自由化市場においては、ペナルティが発生してしまう。それに対し、出力値設定部52は、外部環境状態に基づき予測される設定最大出力値のうちの最小値に差分値ΔPを加えた値を、修正設定最大出力P1b1として設定する。図17の例では、説明の便宜上、外部環境状態に基づき予測される設定最大出力値のうちの最小値が、定格出力P1bXに相当するとしている。なお、外部環境状態に基づき予測される設定最大出力値のうちの最小値は、外部環境状態が出力に不利な場合を想定しているため、実際の定格出力である定格出力P1bXに近くなる。また、差分値ΔPは、定格出力とオーバーファイアリング出力との差分値、すなわちオーバーファイアリング出力によってカバーできる出力である。すなわち、差分値ΔPは、定格出力に対しさらに余分に出力できる値といえる。このように、出力値設定部52は、外部環境状態に基づき予測される最小の出力に対し、オーバーファイアリング出力でカバーできる差分値ΔPを加えた値を、修正設定最大出力P1b1として設定している。修正設定最大出力P1b1をビッドブロック定格最大値として入札することで、オーバーファイアリングによる余裕分を含めて設定されることになり、実際の定格出力が変動しても、発電設備1がオーバーファイアリング出力することで、修正設定最大出力P1b1の出力が可能となる。
図15に戻り、通知制御部54は、出力値設定部52が設定した設定最大出力値を用いることを推奨する旨を、すなわち出力値設定部52が設定した設定最大出力値を用いて発電設備1の運用を支援することを推奨する旨を、出力部14に通知させる。これにより、ユーザは、高精度に予測された発電設備1の最大出力を参照して、発電設備1の運用を支援することができる。
さらに、運用支援装置10bは、外部環境状態値に基づき設定した設定最大出力値に基づき、ビッドブロックを設定してもよい。これにより、ビッドブロックを適切に設定することができる。運用支援装置10bのビッドブロック設定部56は、出力値設定部52が設定した設定最大出力値に基づき、所定時期におけるビッドブロックを設定する。ビッドブロックとは、第1実施形態でも説明したように、単位時間における、発電設備1の出力毎の供給電力の価格を示す情報である。ただし、本実施形態においても、ビッドブロックの生成は必須ではない。
図18は、第3実施形態に係るビッドブロックの一例を示すグラフである。ビッドブロック設定部56は、定格ビッドブロックと高出力ビッドブロックとを含むビッドブロックを生成する。ビッドブロック設定部56は、出力値設定部52が設定した設定最大出力値に基づき、ビッドブロック定格最大値P1bを設定して、定格ビッドブロックを生成する。ビッドブロック定格最大値P1bとは、ビッドブロックにおいて発電設備1の出力の最大値として設定される出力値であり、さらに詳しくは、定格ビッドブロックにおいて発電設備1の出力の最大値として設定される出力値である。本実施形態においては、ビッドブロック設定部56は、出力値設定部52が設定した設定最大出力値、すなわち外部環境状態値に基づいた定格出力の予測値を、ビッドブロック定格最大値P1bとする。
また、ビッドブロック設定部56は、所定時期における、電力供給に必要な費用の予測値を取得する。電力供給に必要な費用の予測値は、第1実施形態に係るビッドブロック生成部30と同様の手法で取得される。
ビッドブロック設定部56は、ビッドブロック定格最大値P1bと、電力供給に必要な費用の予測値とに基づき、定格ビッドブロックを設定する。ビッドブロック設定部56は、図18のデータB1bに示すように、発電設備1の出力が最低出力P0である場合の供給電力の価格が価格C0となり、発電設備1の出力がビッドブロック定格最大値P1bである場合の供給電力の価格が価格C1bとなり、かつ、供給電力の価格が発電設備1の出力に比例(ここでは一次比例し)するように、定格ビッドブロックを設定する。価格C1bは、例えば、ビッドブロック定格最大値P1bに、単位出力あたりの電力供給に必要な費用の予測値を乗じた値であるが、この値にさらに所定値を加えた値や、この値に所定係数を乗じた値を、価格C1bとしてもよい。なお、定格ビッドブロックの設定方法はこれに限られず任意であり、定格ビッドブロックの出力の最大値がビッドブロック定格最大値P1bであればよい。
また、ビッドブロック設定部56は、ビッドブロック定格最大値P1bに基づき、高出力ビッドブロックを生成する。定格ビッドブロックが、最低出力P0からビッドブロック定格最大値P1bまでの出力範囲におけるビッドブロックであるのに対し、高出力ビッドブロックは、ビッドブロック定格最大値P1b以上の出力範囲におけるビッドブロックである。ビッドブロック設定部56は、ビッドブロック定格最大値P1bにおける供給電力の価格を価格C1b(すなわち定格ビッドブロックと同じ価格)とし、出力に対する電力価格の変化率が、定格ビッドブロックにおける出力に対する電力価格の変化率よりも高くなるように、高出力ビッドブロックを設定する。すなわち、図17のデータB2b同士を結んだ線分に示すように、高出力ビッドブロックの出力に対する電力価格の傾きは、データB1b同士を結んだ線分に示した低出力ビッドブロックの出力に対する電力価格の傾きよりも、大きくなる。そして、図18に示すように、ビッドブロック定格最大値P1bは、発電設備1の出力に対する供給電力の価格の変化率が変化する変曲点に位置しているといえる。図18の例での高出力ビッドブロックは、高出力ビッドブロックにおける出力の最大値P2bにおいて、価格C2bとなっている。
ビッドブロック設定部56は、以上のようにして所定時期におけるビッドブロックを生成する。なお、ビッドブロック設定部56は、一日前市場についてのビッドブロックを生成するが、その他の電力市場、例えばイントラデイ市場、リアルタイム市場などについての、ビッドブロックを生成してもよい。この場合、外部環境取得部50は、対象とする電力市場の締め切り時刻の直近における、所定時期での外部環境状態値の予測値を取得し、ビッドブロック設定部56は、その直近の外部環境状態値に基づいた設定最大出力値を用いて、ビッドブロックを生成する。また、複数の電力市場のビッドブロックを生成して比較可能としてもよい。
また、図15に示す通知制御部56は、所定時期における供給電力の価格の予測値が所定価格以上である場合に、ビッドブロック設定部54が生成するビッドブロックの採用を推奨することを、出力部14に通知させてもよい。すなわち、通知制御部56は、ビッドブロック設定部54が生成したビッドブロックに基づき、所定時期における供給電力の価格を取得し、供給電力の価格が、予め設定した所定価格より高いかを判断する。通知制御部56は、所定時期における供給電力の価格が所定価格より高い場合は、出力部14にビッドブロック設定部54が生成するビッドブロックの採用を推奨する旨を、出力させる。このように出力部14に通知させることで、価格が高く収益が高くなる機会をユーザに認識させることができる。また、運用支援装置10bは、第1実施形態で説明したような寿命指標値取得部22を有していてもよい。通知制御部56は、寿命指標値取得部22が取得した寿命指標値が所定値以上である場合に、出力部14にビッドブロック設定部54が生成するビッドブロックの採用を推奨する旨を、出力させてよい。すなわち、寿命指標値が所定値以上の場合は、残寿命に余裕があり、オーバーファイアリング出力を行う余裕がある。このような場合にビッドブロックの採用を推奨する旨を通知することで、発電設備1の不具合を抑制しつつ、収益が高くなる機会をユーザに認識させることができる。
運用支援装置10bは、以上のように設定最大出力を設定し、ビッドブロックを生成する。次に、本実施形態に係る運用支援装置10bの処理フローを、フローチャートに基づき説明する。図19は、第3実施形態に係る処理フローを説明するフローチャートである。図19に示すように、運用支援装置10bは、外部環境取得部50により、所定時期における外部環境状態値を取得し(ステップS40)、出力値設定部52により、外部環境状態値に基づき、設定最大出力値を算出する(ステップS42)。そして、運用支援装置10bは、ビッドブロック設定部56により、設定最大出力値に基づき、ビッドブロック定格最大値P1bを設定して、ビッドブロックを生成する(ステップS44)。
上述のように、本実施形態に係る運用支援装置10bは、未来の外部環境の予測値に基づき発電設備1の出力の最大値を設定するため、発電設備1の最大出力を高精度に予測することが可能となり、発電設備1の運用を適切に支援することができる。
またここで、ビッドブロックは、発電設備1が電力を供給する際の価格を示すものであるため、ビッドブロックは発電設備1の収益に影響を及ぼす。例えば、価格が高すぎると買い手がつかなくなったり、価格が低すぎると、例え買い手がついても収益が低下したりする。さらに、例えば定格出力よりも高い出力分の買い手がついた場合、定格出力より高い出力を行う必要が生じ、オーバーファイアリングによって寿命が低下してしまったり、出力が不足して要求される電力が供給できず、ペナルティが発生したりする場合もある。さらに、ビッドブロックは、対象となる時期より前に提出の締め切りがあるため、対象となる時期より前にビッドブロックの設定が必要となり、適切なビッドブロックの設定は困難となる。従って、発電設備1の収益を適切に確保して発電設備1の適切な運用を支援するために、ビッドブロックを適切に設定することが求められている。
それに対し、本実施形態に係る運用支援装置10bは、外部環境状態値に基づいて設定された設定最大出力値に基づき、ビッドブロック定格最大値P1bを設定している。従って、ビッドブロック定格最大値P1bが、実際に電力供給する時期における定格出力から乖離することを抑制し、適切にビッドブロックを生成することができる。また、電力自由化地域でビッドブロックが採用されている市場において、外部環境状態値を考慮した最大出力値を用いてビッドブロックを生成することで、発電設備1の収益を適切に確保することができる。
また、外部環境状態値の予測が外れた場合に備えた設定最大出力を用いて、ビッドブロックを生成してもよい。図20は、第3実施形態の他の例に係る処理フローを説明するフローチャートである。図20に示すように、この場合、運用支援装置10bは、外部環境取得部50により、所定時期における外部環境状態値を複数取得し(ステップS50)、出力値設定部52により、外部環境状態値毎に、設定最大出力値を算出し(ステップS52)、差分取得部により、定格出力とオーバーファイアリング出力との差分値を取得する(ステップS54)。そして、運用支援装置10bは、ビッドブロック設定部56により、設定最大出力値の最小値に差分値を加えた値をビッドブロック定格最大値P1bに設定して、ビッドブロックを生成する(ステップS56)。すなわち、ビッドブロック設定部54は、修正設定最大出力値(設定最大出力値の最小値に差分値を加えた値)をビッドブロック定格最大値P1bとして、上記の説明と同様の方法で、ビッドブロックを生成する。ビッドブロック設定部54は、このようにビッドブロックを生成することで、実際の定格出力が変動にも対応可能なビッドブロックとすることができる。
以上説明したように、第3実施形態に係る運用支援装置10bは、現在より後の所定時期における、発電設備1の出力毎の供給電力の価格を示すビッドブロックを設定するものであり、外部環境取得部50と、出力値設定部52と、ビッドブロック設定部56とを有する。外部環境取得部50は、所定時期における発電設備1の外部環境の状態の予測を示す外部環境状態値を取得する。出力値設定部52は、外部環境状態値に基づき、発電設備1の出力の最大値とする設定最大出力値を設定する。ビッドブロック設定部56は、設定最大出力値に基づき、ビッドブロック定格最大値P1b(ビッドブロックにおける発電設備1の出力の最大値)を設定することで、所定時期におけるビッドブロックを設定する。
本実施形態に係る運用支援装置10bは、外部環境状態値に基づいて設定された設定最大出力値に基づき、ビッドブロック定格最大値P1bを設定している。従って、運用支援装置10bによると、ビッドブロック定格最大値P1bが定格出力から乖離することを抑制し、適切にビッドブロックを生成することで、発電設備の適切な運用を支援することができる。
また、外部環境取得部50は、確率分布を伴って値が異なる複数の外部環境状態値を取得する。出力値設定部52は、それぞれの外部環境状態値に基づいて算出された設定最大出力値のうち、値が最大となる設定最大出力値よりも低い値を、発電設備1の出力の最大値とするとする。この運用支援装置10bによると、発電設備1の出力の最大値を、外部環境状態値に基づき算出された設定最大出力値のうちの最大値より小さいものとして設定する。従って、例えば外部環境状態値、すなわち予測値が実際の値からずれて、設定最大出力値が定格出力から乖離する場合も、例えばオーバーファイアリングなどで出力を補填することが可能となり、発電設備の適切な運用を支援することができる。
また、発電設備1は、定格出力より高出力での運転であるオーバーファイアリング運転を実行可能であり、運用支援装置10bは、定格出力とオーバーファイアリング出力との差分値を取得する差分値取得部をさらに有する。そして、外部環境取得部50は、確率分布を伴って値が異なる複数の外部環境状態値を取得し、出力値設定部52は、設定最大出力値として、外部環境状態値毎の定格出力を算出する。出力値設定部52は、外部環境状態値毎の設定最大出力値のうちの最も値が小さい設定最大出力値に対し、差分値を加えた値を、発電設備1の出力の最大値(修正設定最大出力値)とする。この運用支援装置10bによると、修正設定最大出力値をオーバーファイアリングで達成可能な出力とすることで、例えば外部環境状態値、すなわち予測値が実際の値からずれても、修正設定最大出力値を出力可能とすることができる。従って、この運用支援装置10bによると、発電設備の適切な運用を支援することができる。
また、運用支援装置10bは、寿命指標値取得部22と通知制御部54をさらに有する。通知制御部54は、所定時期での寿命指標値が所定値以上である場合に、出力値設定部52が設定する設定最大出力値の採用を推奨する旨を通知させる。運用支援装置10bは、寿命指標値が所定値以上、すなわち残寿命に余裕がある場合に、設定最大出力値の採用を促すことで、発電設備1の不具合を抑制しつつ、収益を得る機会をユーザに適切に提供することができる。
また、通知制御部54は、所定時期における電力の価格の予測値が所定価格以上である場合に、出力値設定部52が設定する設定最大出力値の採用を推奨する旨を通知させる。運用支援装置10bは、電力価格が高くなると予測される際に設定最大出力値の採用を促すことで価格が高く収益が高くなる機会をユーザに認識させることができる。
また、外部環境状態値は、気温、湿度、及び大気圧の少なくとも1つである。運用支援装置10bは、外部環境状態値としてこのようなパラメータを用いることで、ビッドブロックを高精度に生成することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。