JP7438926B2 - 取替炉心設計方法及び取替炉心設計システム - Google Patents
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Description
以下、本開示の取替炉心設計システムについて、図1~図6を参照しながら説明する。
(システム構成)
図1は、実施形態に係る取替炉心設計システムの一例を示す機能ブロック図である。
取替炉心設計システム100は、原子炉の取替炉心設計を支援するシステムである。取替炉心設計システム100は、運転中の原子力プラントについて、定期点検などで運転を停止したときの燃料集合体ごとの燃焼度を予測し、予測燃焼度に基づく取替炉心設計を可能にする。取替炉心設計システム100を用いることによって、原子力プラントが停止する前に取替炉心設計を開始することができる。取替炉心設計システム100は、燃料集合体の燃焼度を予測する燃焼度予測装置10と、取替炉心設計を行う取替炉心設計装置20とを備える。
燃焼度予測装置10は、設定受付部11と、燃焼度予測部12と、記憶部13と、出力部14とを備える。
設定受付部11は、燃焼度の予測に必要な各種情報の設定を受け付ける。例えば、設定受付部11は、燃焼度の予測に必要な核反応の断面積、原子力プラントの運転パラメータの設定を受け付ける。また、設定受付部11は、原子力プラントの運転停止予定日の設定を受け付ける。運転停止予定日とは、例えば、次の定期点検の開始日である。
出力部14は、燃焼度予測部12が予測した燃料集合体ごとの予測燃焼度を出力する。
取替炉心設計装置20は、データ取得部21と、設計部22と、記憶部23と、出力部24と、を備える。
データ取得部21は、取替炉心設計に必要なデータを取得する。例えば、データ取得部21は、燃焼度予測装置10が出力した予測燃焼度を取得する。
設計部22は、取替炉心設計に必要な各種処理を行う。例えば、設計部22は、燃料の取替にあたって要求される様々な条件を満たす、燃料の配置を定めた装荷パターンに基づく各種パラメータを計算する。様々な条件には、所定の安全基準が含まれる。設計部22は、計算した各種パラメータが所定の安全基準を満たすかどうかを判定する。
記憶部23は、取替炉心設計に必要な各種の情報を記憶する。例えば、記憶部23は、計算した装荷パターンで燃料を配置した場合の原子炉の動作、状態を計算する解析コードの入力および出力情報を記憶する。
出力部24は、安全基準を満たす装荷パターンおよび各種パラメータを出力する。
取替炉心設計装置20は、取替炉心設計用に提供されている一般的な取替炉心設計システムであってもよい。
比較のため、まず、図2Aを参照して、従来の取替炉心設計方法について説明する。
図2Aに示すように、従来、原子力プラントでは、定期点検のために前サイクルの運転を停止した後に、燃料の燃焼度を確定させる。そして、確定した燃焼度を入力条件として取替炉心設計を開始する。取替炉心設計には数カ月程度を要する。定期点検で行う作業項目の中には、取替炉心設計が終了しないと実施できない項目があり、定期点検も全体で数カ月程度を要する。原子力プラントの稼働率を上昇させるために、定期点検の期間を短縮することが求められている。本実施形態の取替炉心設計方法は、このような場合に有効である。
図3に示すように、予測モデルの入力は、中性子の核反応の割合を示す断面積と、運転パラメータである。運転パラメータとは、例えば、熱出力、制御棒の位置、温度等である。予測モデルの出力は、炉心の出力分布および燃焼度である。出力分布は、特定時点での炉心内の熱出力分布を示し、燃焼度は出力分布を時間で積算した値である。予測モデルによる予測精度向上の一例として、入力パラメータの断面積の値を調整する処理について図4を用いて説明する。
まず、ユーザは、月に1回行われる出力分布の実測値のうち最新のものを燃焼度予測装置10へ入力する。燃焼度予測装置10では、設定受付部11が入力された出力分布の実測値を取得し、記憶部13に記録する(ステップS1)。
次にユーザが、断面積の値を燃焼度予測装置10へ入力する。燃焼度予測装置10では、設定受付部11が入力された断面積の値を取得する。燃焼度予測部12は、入力された断面積を予測モデルの断面積に設定する(ステップS2)。また、ユーザは、対象期間における原子力プラントの運転パラメータ(熱出力、制御棒、温度)を入力する。設定受付部11は、入力された運転パラメータを取得する。燃焼度予測部12は、入力された運転パラメータの値を予測モデルの運転パラメータに設定する。
前回の運転開始時から前回出力分布の測定が行われたときまでの炉心の状態を模擬するよう指示する操作を燃焼度予測装置10へ入力する。この指示操作に基づいて、燃焼度予測部12は、予測モデルに前回の出力分布の測定日までの炉心の状態を模擬させる。予測モデルは、前回の運転開始時から出力分布測定日までの炉心の時刻歴解析を実行する。燃焼度予測部12は、予測モデルの解析結果から前回の測定日における出力分布の予測値を選択する。燃焼度予測部12は、ステップS1で取得した出力分布の実測値と選択した予測値の差を計算する(ステップS4)。
なお、予測精度の向上は、この方法に限定されない。例えば、ステップS4で計算した差の値を記憶部13に記憶させておき、予測モデルが予測した出力分布の値に、記憶した差の値を加算して補正し、補正後の出力分布を時間で積算して燃焼度を予測するようにしてもよい。何れの方法であっても、出力分布の実測値に基づいて予測精度を向上することにより、従来方法による燃焼度と同様の値を精度よく予測できる。
前提として、図4を用いて説明した処理などにより、燃焼度の予測精度の向上が実施されているとする。
ユーザは、原子力プラントの運転停止予定日を燃焼度予測装置10へ入力する。例えば、ユーザは、次の定期点検の開始日を入力する。燃焼度予測装置10では、設定受付部11が、入力された運転停止予定日を取得し(ステップS11)、記憶部13に記録する。次に燃焼度予測部12が、予測対象期間を設定する(ステップS12)。例えば、燃焼度予測部12は、運転停止予定日の前後1カ月を予測対象期間として設定する。予測対象期間を設定するのは、取替炉心設計の開始後に実際の運転停止日が変更になっても対応できるようにするためである。運転停止日が変わると燃料集合体の燃焼度も変化する。燃焼度が変更になると、取替炉心設計に影響する。そこで、本実施形態では、実際の運転停止日が変更されても対応できるように、予測対象期間内の所定の時間間隔ごとの燃焼度についても想定の範囲内として予測し、取替炉心設計を進める。ステップS12では、想定範囲を規定する予測対象期間を設定する。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、入出力インタフェース904、通信インタフェース905を備える。
上述の燃焼度予測装置10と取替炉心設計装置20はそれぞれ、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各機能は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
各実施形態に記載の取替炉心設計方法及び取替炉心設計システムは、例えば以下のように把握される。
原子炉の運転停止前に、前記取替炉心設計を実施するステップを開始することができるので、定期点検前に取替炉心設計を開始することができる。これにより、プラント停止後、取替炉心設計の完了までの期間を短縮できる。また、定期点検の期間を短縮できる可能性がある。さらに定期点検の期間が短縮できるので、プラントの稼働率を向上することが可能となる。
定期点検前に取替炉心設計を開始することができるので、開始タイミングを調整することで定期点検前に取替炉心設計を完了させることができる。これにより、プラント停止後、取替炉心設計の完了までの期間を無くすことができる。また、定期点検の期間を短縮できる可能性がある。さらに定期点検の期間が短縮できるので、プラントの稼働率を向上することが可能となる。
定期点検の開始日が変更されても、変更後の燃焼度を予測しているので取替炉心設計をやり直す必要が無い。
これにより、燃焼度の予測精度を確保することができる。
定期的に測定する原子炉の出力分布に基づく断面積を用いて予測モデルの精度を向上することができる。
これにより、取替炉心設計で設計した燃料集合体の装荷パターンの安全性を確認することができる。
これにより、発電計画の変更による原子炉の運転の変動を考慮して安全性の確認を行うことができる。
10・・・燃焼度予測装置
11・・・設定受付部
12・・・燃焼度予測部
13・・・記憶部
14・・・出力部
20・・・取替炉心設計装置
21・・・データ取得部
22・・・設計部
23・・・記憶部
24・・・出力部
900・・・コンピュータ
901・・・CPU、
902・・・主記憶装置、
903・・・補助記憶装置、
904・・・入出力インタフェース
905・・・通信インタフェース
Claims (7)
- 原子炉の運転停止時期を設定するステップと、
前記原子炉の運転停止前に予測モデルに基づいて、前記運転停止時期における前記原子炉の燃料の燃焼度を予測するステップと、
予測された前記燃焼度に基づいて、取替炉心設計を実施するステップと、
を有し、
前記原子炉の運転停止前に、前記取替炉心設計を実施するステップを開始し、
前記予測するステップでは、前記運転停止時期前後の所定の期間について、前記期間を所定の間隔で区切った時期ごとに、前記予測モデルに基づく前記燃焼度の予測を行い、
前記取替炉心設計を実施するステップでは、前記時期の中から一つを選択して、選択した前記時期における前記燃焼度に基づいて、前記燃料の装荷パターンを計算し、選択した前記時期に前記原子炉の運転を停止し、計算した前記装荷パターンで前記燃料を配置して前記原子炉の運転を再開したときの前記原子炉の特性を示すパラメータを算出し、前記パラメータに基づいて安全性の確認を行い、安全性が確認できる場合には、選択した前記時期を前記間隔ずつ変動させた他の前記時期ごとに前記安全性の確認を行い、すべての前記時期について前記安全性が確認できる場合、計算した前記装荷パターンを採用し、前記安全性が確認できない場合には、前記安全性が確認できる他の装荷パターンが見つかるまで、前記他の装荷パターンを計算する、
取替炉心設計方法。 - 前記原子炉の運転停止前に前記取替炉心設計を完了する、
請求項1に記載の取替炉心設計方法。 - 前記予測するステップでは、前記時期ごとの前記燃焼度の予測に前記原子炉の運転計画の変動の影響による燃焼度の変動分として前記予測モデルに入力する、前記原子炉の運転に関する入力パラメータを変動させたうえで前記時期ごとに前記予測モデルに基づく前記燃焼度の予測を行うことで、前記時期ごとの前記燃焼度の変動の範囲を算出し、
前記取替炉心設計を実施するステップでは、前記時期の中から一つを選択して、選択した前記時期における前記燃焼度の変動の範囲に基づいて、前記燃料の装荷パターンを計算し、当該装荷パターンの前記安全性を確認する、
請求項1又は請求項2に記載の取替炉心設計方法。 - 前記燃焼度を予測するステップでは、
前記原子炉の出力分布の実測値と、前記予測モデルが予測する前記原子炉の出力分布との差が所定の範囲内となるように前記予測モデルのパラメータを調整する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の取替炉心設計方法。 - 前記パラメータは、中性子の核反応の割合を示す断面積である、
請求項4に記載の取替炉心設計方法。 - 前記原子炉の特性を示すパラメータを算出するにあたり、前記原子炉の発電計画が変更となった場合の前記パラメータの変動を算出し、
前記安全性の確認を行うにあたり、前記パラメータが変動した場合を含めて安全性の確認を行う、
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の取替炉心設計方法。 - 原子炉の運転停止時期の設定を受け付ける設定受付部と、
前記原子炉の運転停止前に予測モデルに基づいて、前記運転停止時期における前記原子炉の燃料の燃焼度を予測する燃焼度予測部と、
予測された前記燃焼度に基づいて、取替炉心設計を実施する設計部と、
を有し、
前記設計部は、前記原子炉の運転停止前に前記取替炉心設計を開始し、
前記燃焼度予測部は、前記運転停止時期前後の所定の期間について、前記期間を所定の間隔で区切った時期ごとに、前記予測モデルに基づく前記燃焼度の予測を行い、
前記設計部は、前記時期の中から一つを選択して、選択した前記時期における前記燃焼度に基づいて、前記燃料の装荷パターンを計算し、選択した前記時期に前記原子炉の運転を停止し、計算した前記装荷パターンで前記燃料を配置して前記原子炉の運転を再開したときの前記原子炉の特性を示すパラメータを算出し、前記パラメータに基づいて安全性の確認を行い、安全性が確認できる場合には、選択した前記時期を前記間隔ずつ変動させた他の前記時期ごとに前記安全性の確認を行い、すべての前記時期について前記安全性が確認できる場合、計算した前記装荷パターンを採用し、前記安全性が確認できない場合には、前記安全性が確認できる他の装荷パターンが見つかるまで、前記他の装荷パターンを計算する、
取替炉心設計システム。
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