以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(1)走行車両1の概略構成
走行車両1の概略構成について、図1及び図2を中心に説明する。図1は、実施形態に係る走行車両の側面図である。図2は、実施形態に係る操縦装置を左上後側から視た斜視図である。本実施形態では、走行車両1としてトラクタが例示されている。
図面に示す矢印Xは、走行車両1の幅方向を示し、矢印Yは、走行車両1の前後方向を示し、矢印Zは、走行車両1の上下方向を示す。矢印X1は、走行車両1の右方向を示し、矢印X2は、走行車両1の左方向を示す。矢印Y1は、走行車両1の前方向(前進方向)を示し、矢印Y2は、走行車両1の後方向(後進方向)を示す。矢印Z1は、走行車両1の上方向を示し、矢印Z2は、走行車両1の下方向を示す。
走行車両1における幅方向Xの中央から右側又は左側へ向かう方向を外方向と称し、走行車両1における幅方向Xの右側又は左側から中央へ向かう方向を内方向と称する。従って、走行車両1における幅方向Xにおける中央を「車両内側」と称し、幅方向Xにおける中央よりも右側及び左側を「車両外側」と称することがある。
図1及び図2に示すように、走行車両1は、走行可能な車体2を有する。車体2は、エンジン3、ケース5、ケースカバー部材6と、操縦装置10を有する。
エンジン3は、ディーゼルエンジンである。エンジン3は、走行車両1の前部に位置し、ボンネットによって覆われている。エンジン3は、電動モータであってもよいし、ディーゼルエンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。
ケース5は、フライホイールハウジング、クラッチハウジング、ミッションケースを有する。フライホイールハウジングは、エンジン3の後部に連結されていて、フライホイールを収容している。クラッチハウジングは、フライホイールハウジングの後部に連結されていて、フライホイールを介して伝達されるエンジン3の動力を断続可能に伝達するクラッチを収容している。ミッションケースは、クラッチハウジングの後部に連結されている。
ケース5は、走行車両の前進と後進とを切り替える前後進切換装置20と、エンジン3からの動力を変速して駆動輪に伝達する変速装置30とを収容している。ケース5は、操縦装置10よりも上下方向Zの下側に配置されている。
ケースカバー部材6は、ケース5の上部をカバーする。ケースカバー部材6は、車両上面視において、ケース5の上部と重なる本体部6aと、本体部6aの幅方向Xの外側に配置されているサイド部6bと、を有する。本体部6aの上面は、サイド部6bの上面よりも高い位置にある(図2−4参照)。
ケースカバー部材6には、運転者の足が置かれる。ケースカバー部材6は、運転席9よりも前後方向Yの前側に配置されている。操縦台12よりも前後方向Xの後側に配置されている。
図1に示すように、走行車両1は、車体2を走行可能に支持する走行装置8を有する。走行装置8は、車体2の前部に設けた複数の前輪8Aと、車体2の後部に設けた複数の後輪8Bとを有する車輪型の走行装置である。複数の前輪8Aは、エンジン3の前方で支持された前車軸ケースの左側に支持された左前輪と、前車軸ケースの右側に支持された右前輪とを含む。複数の後輪8Bは、ケース5(ミッションケース等)の左側に支持され左後輪と、ケース5の右側に支持された右後輪とを含む。走行装置8は、セミクローラ型の走行装置(前輪8Aと、後輪8Bの代わりに採用されるクローラ式走行機構とを有する走行装置)であってもよい。
前輪8Aは、前車軸ケースの前部に配備されたステアリングシリンダのシリンダロッドの移動によって操向可能な操向輪である。前輪8Aを操向操作することにより、車体2の向きを変更可能(車体を操向可能)である。ステアリングシリンダは、油圧シリンダで構成される。
前輪8A及び後輪8Bのうち、少なくとも後輪8Bは駆動輪とされ、該駆動輪に変速装置30から出力された動力が伝達される。
車体2の後部には、運転者が着座する運転席9が搭載されている。運転席9の前方には、操縦カバー11によって一部が覆われた操縦装置10が設けられている。
(2)操縦装置10及び前後進切換装置20の詳細
操縦装置10及び前後進切換装置20の詳細について、図3から図11を中心に用いて説明する。図3及び図4は、実施形態に係る操縦装置の背面図である。ただし、図4では、図3から一部の部材(ケースカバー部材6、ペダル17、支持パイプ18、カバー部材124等)が省略されている。図5及び図6は、実施形態に係る操縦装置の左側面図である。図6では、図5から一部の部材(ケースカバー部材6、ペダル17、支持パイプ18、カバー部材124等)が省略されている。図7は、実施形態に係るシャトルレバー及びガイド板の拡大図である。図8は、実施形態に係るガイド板の拡大図である。図9は、実施形態に係るステアリング部の拡大図である。図10は、実施形態に係るケースの図11のB−B断面図である。図11は、実施形態に係るケースの図10のA−A断面図である。図12は、伝達部の動きを説明するための図である。図13は、伝達部の動きを説明するための図である。なお、各図において、適宜部材を省略していることがあるので留意すべきである。
図1−6に示すように、操縦装置10は、操縦台12、シャトルレバー13、ガイド板14、伝達部15、ステアリング部16、ペダル17、及び支持パイプ18を有する。
図1に示すように、操縦台12は、固定ブラケット122とカバー部材124とを有する。
固定ブラケット122は、車体2(ケース5)に立設されている。固定ブラケット122には、伝達部15及びステアリング部16が支持されている。
図3に示すように、固定ブラケット122は、第1側壁1221と、第1側壁に対向する第2側壁1222とを有する。第1側壁1221及び第2側壁1222は、幅方向Xにおいて、伝達部7よりも外側に配置されている。第1側壁1221及び第2側壁1222は、上下方向Zに延びる板状の部材である。
第1側壁1221及び第2側壁1222は、幅方向Xで並べて配置(幅方向Xで対向配置)されている。第1側壁1221は、車体2における幅方向Xの中心から左側に配置され、第2側壁1222は、車体2における車幅方向の中心から右側に配置されている。
第1側壁1221と第2側壁1222とは、第1連結部材1223、第2連結部材1224により連結されている。
第1連結部材1223の左端部が第1側壁1221に固定され、第1連結部材1223の右端部が第2側壁1222に固定(連結)されている。第1連結部材1223は、ステアリングポスト164が貫通する貫通孔1223aを有し、ステアリングコントローラ166が固定されている。
第2連結部材1224の左端部が第1側壁1221に固定され、第2連結部材1224の右端部が第2側壁1222に固定(連結)されている。第2連結部材1224は、第1側壁1221及び第2側壁1222のそれぞれの前部において、第1側壁1221及び第2側壁1222を固定している。
固定ブラケット122は、オイルタンク168を支持する第3側壁1225を有する。第3側壁1225は、第2側壁1222の上部に固定されている。
固定ブラケット122は、固定板1226を有する。固定板1226には貫通孔が形成されている。当該貫通孔には、伝達部15(具体的には、シャトルシャフト152及び支持筒153)が挿入されている。固定板1226は、第1側壁1221に固定されている。
カバー部材124は、ステアリングコントローラ166の後側をカバーする。カバー部材124は、第1側壁1221と第2側壁1222とに連結されている。
シャトルレバー13は、車体2の走行方向を切り換える操作を行う部材である。シャトルレバー13を前又は後に操作することにより、伝達部15を介してシャトルレバー13の操作が前後進切換装置20に伝達される。これにより、車体2の走行方向(進行方向)が前進方向又は後進方向に切り換えられる。
図3−図8に示すように、シャトルレバー13は、レバー本体131と、レバー本体131の上端部131aに接続されたグリップ132とを有する。
ガイド板14は、シャトルレバー13をガイドする。ガイド板14は、1枚の板状の部材である。ガイド板14は、上面視において矩形状である(図8参照)。ガイド板14は、幅方向Xに延びる。ガイド板14は、ガイド穴142と、挿入孔144とを有する。ガイド穴142は、シャトルレバー13(レバー本体131の下端部131b)が挿入されている穴であり、ガイド板14を貫通する貫通孔である。
ガイド穴142は、ガイド板14の上面視において、円弧状の円弧部142Aと、円弧部142Aの前後方向Yの中央から幅方向Xに突出する突部142Bと、を有する。
挿入孔144は、伝達部15が挿入されており、ガイド板14を貫通する貫通孔である。挿入孔144に伝達部15が挿入されることで、伝達部15を固定することができる。挿入孔144は、ガイド穴142よりも幅方向Xの内側に位置している。
図3−図8に示すように、ガイド板14は、幅方向Xの内側から外側へ延びている。ガイド板14の幅方向Xの端部141は、幅方向Xにおいて第1側壁1221よりも外側に位置する。円弧部142Aは、第1側壁1221よりも外側に位置してもよい。
ガイド板14は、支持部材145により支持される。ガイド板14は、支持部材145に固定されている。支持部材145は、支持体146から操縦装置10へ延びている。従って、ガイド板14は、操縦装置10を構成する側壁(例えば、第1側壁1221)を介して固定されていない。従って、ガイド板14は、第1側壁1221に固定されかつ上下方向Zに延びる部材により構成されていない。従って、ガイド板14の位置は、第1側壁1221の位置に影響を受けることなく、自由に設計可能である。
一般的に、既存のガイド板が第1側壁1221に固定される場合、通常、ガイド板は、第1側壁1221から上下方向Zの上側に延びる第1部分と、第1部分の上端部から幅方向Xの内側へ延びる第2部分とにより構成される。このため、シャトルレバーをガイドする第2部分の長さを確保するために、第1側壁1221から第2側壁1222までの幅方向Xの長さを必要以上に小さくすることができない。
一方で、本実施形態に係るガイド板14は、第1側壁1221に固定されていないため、第1側壁1221よりも幅方向Xの外側にまで延ばすことができる。従って、運転者の足下のスペースを広げるために、第1側壁1221から第2側壁1222までの幅方向Xの長さを小さくしたとしても、ガイド板14の幅方向Xの長さを確保することができる。これにより、シャトルレバー13の操作に影響を与えずに、運転者の足下のスペースを広げることができる。
支持部材145は、前後方向Yにおいて、操縦装置10よりも前側に位置する支持体146に固定されている。支持体146は、ボンネット内に配置されている。支持体146は、ケース5に固定されていない。
支持部材145は、ガイド板14が直接固定される第1支持部材145Aと、第1支持部材145Aを介してガイド板14を支持する第2支持部材145Bと、を有する。
第1支持部材145Aは、板状の部材である。第1支持部材145Aは、前後方向Yの後側において、ステアリングポスト164に沿った円弧状の第1端部145Ae1と、第1端部145Ae1から後方向Y2へ延びる第2端部145Ae2とを有する(図8参照)。第1支持部材145Aは、ステアリングポスト164に当接していてもよい。第1支持部材145Aは、右側部145ARに比べて、左側部145ALの方が前後方向Yに長い。これにより、例えば、シャトルレバー13の操作により、右方向X1への力がガイド板14に加わったとしても、右側部145AR(第2端部145Ae2)がステアリングポスト164に当たるため、ガイド板14が移動することを抑制できる。従って、ガイド板14をしっかりと固定することができる。また、右側部145ARの幅方向Xの外側の端部は、前後方向Yの後側へ延びている。これにより、左方向X2への力がガイド板14に加わったとしても、右側部145ARがステアリングポスト164に当たるため、ガイド板14が移動することを抑制できる。
ガイド板14は、幅方向Xの内側において、第1支持部材145Aと固定されている。具体的には、第1支持部材145Aは、幅方向Xの外側において、ボルト及びナットによりガイド板14と固定される。従って、第1支持部材145Aの左側部145ALの上側において、ガイド板14が固定されている。第1支持部材145Aは、第1支持部材145Aの前部において、ボルト及びナットにより第2支持部材145Bと固定される。
第2支持部材145Bは、前後方向Yに延びる部材である。第2支持部材145Bは、前記第2支持部材145Bの後部において、ボルト及びナットにより第1支持部材145Aと固定される。第2支持部材145Bは、前記第2支持部材145Bの前部において、ボルト及びナットにより支持体146と固定される。
図4,6,12,13等に示すように、伝達部15は、シャトルレバー13の操作を前後進切換装置20へ伝達する部材である。前後方向Yにおいて、伝達部15は、カバー部材124よりも前側に位置する。
伝達部15は、取付部材151、シャトルシャフト152、支持筒153、連動ロッド154、接続部材155、シャトルアーム156、及び係合部157を有する。
取付部材151は、シャトルレバー13に取り付けられた部材である。具体的には、取付部材151の左端部にレバー本体131が固定されている。具体的には、取付部材151の左端部にレバー本体131が固定されている。取付部材151は、ボルト及びナットによってシャトルシャフト152に支持されている。取付部材151(すなわち、シャトルレバー13)は、ボルトを軸として上下方向Zに揺動可能である。
シャトルシャフト152は、シャトルレバー13によって軸進回りに回転操作可能である。シャトルシャフト152の上部152Aは、支持筒153から上方に突出している。上部152Aは、挿入孔144に挿入されている。上部152Aは、取付部材151に取り付けられ、取付部材151を支持している。
シャトルシャフト152の下部152Bは、支持筒153から下方に突出している。下部152Bは、幅方向Xに折り曲げられている。下部152Bの端部は、連動ロッド154に接続されている。
支持筒153は、上下方向Zに延びるように縦向きに配置されている。支持筒153は、幅方向Xにおいて、第1側壁1221と第2側壁1222との間に位置する。支持筒153は、前後方向Yにおいて、第2連結部材1224とカバー部材124との間に位置する。支持筒153は、固定板1226に形成された貫通孔に挿入され、固定板1226を介して固定されている。従って、支持筒153は、固定ブラケット122に固定されている。
連動ロッド154は、前後方向Yに延びる部材である。連動ロッド154の前端部154Aは、ボルト及びナットによってシャトルシャフト152と接続されている。連動ロッド154の後端部154Bは、ボルト及びナットによって接続部材155と接続されている。従って、連動ロッド154は、接続部材155を介してシャトルアーム156と接続されている。
接続部材155は、連動ロッド154とシャトルアーム156とを接続する。接続部材155の内端部は、ボルト及びナットによって連動ロッド154と接続されている。接続部材155の外端部は、シャトルアーム156と直接固定されている。
シャトルアーム156は、上下方向Zに延びる。シャトルアーム156は、アーム本体156Aと、アーム筒156Bと、を有する。
アーム本体156Aの上端部は、接続部材155と固定されている。アーム本体156Aは、接続部材155の回転に従って、アーム本体156Aも回転する。アーム本体156Aの下端部は、係合部157と固定されている。
アーム筒156Bは、アーム本体156Aが挿入されている。アーム筒156Bは、接続部材155と接続されておらず、ケース5と接続されている。
係合部157は、シフトフォーク21に当接する部材である。係合部157は、アーム本体156Aと固定されている。係合部157の動きに合わせて、シフトフォーク21が移動する。係合部157は、幅方向Xの内側でアーム本体156Aと固定され、幅方向Xの外側でシフトフォーク21(第3フォーク部213)と係合する。
ステアリング部16は、ステアリングハンドル162、ステアリングポスト164、ステアリングコントローラ166、オイルタンク168を有する。
ステアリングハンドル162は、運転者により操作される部材である。ステアリングハンドル162は、車体2のステアリングを操作する部材であり、運転者によって手動操作される。
ステアリングポスト164は、ステアリングハンドル162及びステアリングコントローラ166を支持する。ステアリングポスト164は、ステアリングシャフト(軸)が挿入されている。ステアリングポスト164は、ステアリングハンドル162による操作を、ステアリングシャフトを介してステアリングコントローラ166へ伝える。
ステアリングコントローラ166は、ステアリングハンドル162の操作により走行車両1のステアリングが制御される。ステアリングコントローラ166は、油圧式である。ステアリングコントローラ166は、ステアリングシリンダを制御するバルブである。ステアリングコントローラ166は、ステアリングハンドル162によって操作されて作動油の流量を制御すると共に作動油の方向を切り換えるロータリバルブである。言い換えると、ステアリングコントローラ166は、ステアリングハンドル162のステアリングを伝達する作動油を出力可能なバルブである。ステアリングコントローラ166は、ステアリングハンドル162の操作量に応じた作動油を操作方向に対応するポートから出力する。ステアリングコントローラ166から出力された作動油は、ステアリングシリンダに送られて、該ステアリングシリンダのシリンダロッドを移動させる。これにより、ステアリングハンドル162の回転操作に応じて左前輪及び右前輪がステアリング操作される。
図4,6,9に示すように、ステアリングコントローラ166には、複数の油圧ホース(第1ホースH1−第4ホースH4)が接続されている。
第1ホースH1は、走行車両1に装備された油圧ポンプPから吐出する作動油をステアリングコントローラ166に供給する油圧ホースである。油圧ポンプPはボンネット内に設けられる。油圧ポンプPは、エンジン3の動力によって駆動される。
第2ホースH2は、作動油(ミッションオイル)を貯留するケース5へ作動油を供給(排出)する油圧ホースである。第2ホースH2は、ステアリングコントローラ166からオイルタンク168までの第1ホース部H2Aと、オイルタンク168からケース5までの第2ホース部H2Bと、を有する。
第2ホースH2は、ステアリングコントローラ166とタンクポートTとの間を繋ぐ流路に対応する。第2ホースH2には、作動油が流れる。なお、タンクポートTは、ケース5である。より具体的には、タンクポートTは、後述する第1収容室51(及び第2収容室52)である。
図9に示すように、オイルタンク168は、第2ホースH2の途中に配置されている。オイルタンク168には、走行車両1のエンジン3が停止中において、作動油が貯められる。なお、オイルタンク168には、エンジン3が稼働中においても、作動油が貯められている。
オイルタンク168は、ステアリングハンドル162の下側に配置されている。これにより、第2ホース部H2Bの流路の長さを短くすることができる。
オイルタンク168は、流入口168Aと流出口168Bとを有する。流入口168Aは、オイルタンク168へ作動油が流入する入り口である。流出口168Bは、オイルタンク168から作動油が流出する出口である。流出口168Bは、流入口168Aよりも高い位置に配置されている。図9に示すように、流出口168Bは、オイルタンク168の内部に配置されていてもよい。具体的には、流出口168Bは、オイルタンク168の内部には、流出口168Bを有する筒部1682が配置されていてもよい。この場合、筒部1682の上端が流出口168Bに対応する。筒部1682は、オイルタンク168の下面168Lから上面168Uへ向かって延びる。オイルタンク168に貯まった作動油は、流出口168Bの高さを超えると、流出口168Bから重力によって第2ホースH2へ流れ込んでいく。
オイルタンク168は、作動油が貯められる空間168sを有する。オイルタンク168において、空間168sの下面168Lは、ステアリングコントローラ166から流路(第2ホースH2)へ作動油が流入する流入口H2Ainよりも高い位置に配置されている。
オイルタンク168が設けられることにより、ステアリングコントローラ166において油圧保持状態とすることができる。
第3ホースH3及び第4ホースH4は、ステアリングシリンダに接続されている。第3ホースH3は、左旋回用の油圧ホースである。第3ホースH3を流通して供給される作動油によって、左前輪及び右前輪を左に操向するようにステアリングシリンダが作動する。第4ホースH4は、右旋回用の油圧ホースである。第4ホースH4を流通して供給される作動油によって、左前輪及び右前輪を左に操向するようにステアリングシリンダが作動する。
ペダル17は、運転者の足下で操作されるものである。図2,3,5に示すように、ペダル17は、操縦台12よりも幅方向Xの外側に配置されている。ペダル17は、クラッチペダル171、第1ブレーキペダル172、第2ブレーキペダル173を有する。
クラッチペダル171は、クラッチを操作するためのペダルである。クラッチペダル171は、ペダルプレート部171aとペダル本体171bとを有する。ペダルプレート部171aの一方の端部は、支持パイプ18に連結されている。ペダルプレート部171aの他方の端部は、ペダル本体171bに連結されている。ペダル本体171bは、運転者が操作する際に、運転者の足裏で踏まれる部分である。
第1ブレーキペダル172及び第2ブレーキペダル173は、走行装置8を制動するブレーキを操作するペダルである。第1ブレーキペダル172は、ペダルプレート部172aとペダル本体172bとを有する。ペダルプレート部172aの一方の端部は、支持パイプ18に連結されている。ペダルプレート部12aの他方の端部は、ペダル本体172bに連結されている。第2ブレーキペダル173は、第1ブレーキペダル172と同様の構成を有する。ペダル本体172bは、運転者が操作する際に、運転者の足裏で踏まれる部分である。
クラッチペダル171は、操縦台12よりも左側に配置されている。第1ブレーキペダル172及び第2ブレーキペダル173は、操縦台12よりも右側に配置されている。第2ブレーキペダル173は、第1ブレーキペダル172よりも右側に配置されている。
支持パイプ18は、ペダル17を支持するパイプである。支持パイプ18は、操縦台12に固定(連結)されている。支持パイプ18は、幅方向Xに延びるパイプである。
図10及び図11に示すように、ケース5は、前後進切換装置20が収容される第1収容室51と、変速装置30が収容される第2収容室52と、クラッチが収容される第3収容室53と、を有する。
第1収容室51は、前後方向Yにおいて、第2収容室52と第3収容室53との間に配置されている。第1収容室51は、操縦装置10の下側に配置されている。従って、前後進切換装置20は、操縦装置10の下側に配置されている。
ケース5は、ケース上部51A、ケース下部51B、ケース左部51C、ケース右部51D、第1ケース壁部55、第2ケース壁部56、を有する。
ケース上部51Aは、第1収容室51の上側に位置する。従って、ケース上部51Aは、第1収容室51を構成する空間の上側に配置されている部分である。ケース下部51Bは、第1収容室51の下側に位置する。ケース左部51Cは、第1収容室51の左側に位置する。ケース右部51Dは、第1収容室51の右側に位置する。
ケース5は、ケース上部51Aを貫通し、かつ伝達部15が挿入されている貫通孔51Aaを有する。具体的には、貫通孔51Aaには、アーム本体156Aが挿入されている。
図5に示すように、ペダル17(例えば、クラッチペダル171)は、前後方向Yにおいて、貫通孔51Aaよりも運転席9から近い位置に配置されている。具体的には、ペダル本体171bの後側の端部は、前後方向Yにおいて、貫通孔51Aaよりも近い位置に配置されている。また、ペダル本体171bの後側の端部は、前後方向Yにおいて、前後方向Yにおいて、伝達部15自身よりも近い位置に配置されている。なお、ペダル17は、運転者が操作していない状態(ノーマル状態)において、貫通孔51Aa及び伝達部15よりも運転席から近い位置に配置されていてもよい。運転者の操作によりペダルが踏み込まれた場合には、貫通孔51Aa及び伝達部15がペダル17よりも運転席から近い位置に配置されていてもよい。
図2及び図5に示すように、貫通孔51Aa(及び伝達部15)前後方向Yの後側には、ケースカバー部材6の前後方向Yの前側の端部が位置してもよい。より詳細には、貫通孔51Aa(及び伝達部15)前後方向Yの後側には、ケースカバー部材6の本体部6aの前側の端部が位置してもよい。このため、ケースカバー部材6は、伝達部15を覆っていないことが分かる。なお、貫通孔51Aa(及び伝達部15)前後方向Yの後側に、ケースカバー部材6のサイド部6bの前側の端部が位置してもよく、位置しなくてもよい。
図3及び図4に示すように、貫通孔51Aa及び伝達部15は、第1側壁1221及び第2側壁1222の幅方向Xの内側に位置してもよい。これにより、運転者の足が伝達部15へ当たることを抑制できる。また、伝達部15は、ケースカバー部材6のサイド部6bよりも幅方向Xの内側に位置してもよい。伝達部15は、幅方向Xにおいて、ケースカバー部材6の本体部6aの外側の端部よりも幅方向Xの内側に位置してもよい。ペダル17(例えば、クラッチペダル171)は、ケースカバー部材6の本体部6aよりも幅方向Xの内側に位置してもよい。このような構成とすることで、ペダル17(例えば、クラッチペダル171)と伝達部15との幅方向Xの距離を確保することができる。
第1ケース壁部55は、第1収容室51と第2収容室52との間に位置する。第1ケース壁部55は、第1収容室51と第2収容室52とを分ける。第2ケース壁部56は、第1収容室51と第3収容室53との間に位置する。第2ケース壁部56は、第1収容室51と第3収容室53とを分ける。
第1収容室51には、第2ホースH2を流通した作動油が通る排出管512が配置されている。排出管512は、作動油(オイル)が排出される排出口512aを有する。排出口512aから油圧機器(具体的には、ステアリングコントローラ166)から排出される作動油が排出される。
排出口512aは、前後進切換装置20の上側に配置されている。排出口512aは、上下方向Zにおいて、前後進切換装置20と重なる。具体的には、排出口512aは、シャフト22と重なる。
排出口510aは、前後進切換装置20の上側に配置されており、タンクポートT、すなわち、ケース5(具体的には、第1収容室51)内の作動油には油圧が働かない。従って、タンクポートTでは、作動油へ掛かる油圧が開放されている。タンクポートTは、開放状態である。
図10及び図11において、エンジン停止中の油面がS1であり、エンジン回転中の油面がS2である。
エンジン3が回転中の場合、ステアリングコントローラ166からの作動油が排出口512aを通じて第1収容室51に供給される。これにより、第1収容室51では、エンジン3が回転中は、油面がS2まで上がる。
また、エンジン3が回転中の場合、第2収容室52に貯まっているオイルは、油圧機器へ供給される。一方で、第1ケース壁部55には、各シャフト(例えば、シャフト22)が挿入される貫通孔が形成されている。このため、第1収容室51は密閉されてなく、ベアリングの隙間から貫通孔を通じて第1収容室51から第2収容室52へオイルが流れ込む。これにより、第2収容室52では、エンジン3が回転中は、第2収容室52からオイルがなくならず、油面がS2まで下がる。
エンジン3が停止中の場合、作動油が第1収容室に供給されない。このため、エンジン3が停止中は、油面がS1まで下がる。
図10に示すように、第1ケース壁部55の上部には、第1収容室51と第2収容室52とを繋ぐ開口552が形成されている。具体的には、シャフト22よりも上側の第1ケース壁部55の位置には、開口552が形成されている。これにより、第1収容室51に貯まるオイルがシャフト22を超えると、開口552を通じて第2収容室へ流入する。これにより、第1収容室51に必要以上にオイルが貯まることを抑制できる。
前後進切換装置20は、シフトフォーク21、シャフト22、シフタ23、フォークロッド24、前進ギア25、及び後進ギア26を有する。
シフトフォーク21は、シャトルレバーの操作により伝達部15を介して移動可能である。シフトフォーク21は、一対の第1フォーク部211(211U、211L)と、第2フォーク部212と、第3フォーク部213と、を有する。
第1フォーク部211は、シフタ23に連結される。これにより、シフトフォーク21(第1フォーク部211)の移動と共にシフタ23も移動する。
一対の第1フォーク部211は、上側に配置されている上側フォーク部211Uと、下側に配置されている下側フォーク部211Lとを有する。一対の第1フォーク部211は、第2フォーク部212から延びている。具体的には、上側フォーク部211Uは、第2フォーク部212から上方向へ延びている。下側フォーク部211Lは、第2フォーク部212から幅方向Xの内側へ延びている。
第2フォーク部212は、一対の第1フォーク部211の間に存在する。第2フォーク部212には、フォークロッド24が挿入される貫通孔が形成されている。
第3フォーク部213は、伝達部15と係合している。第3フォーク部213は、一対の第1フォーク部211のうち上側フォーク部211Uに接続されている。具体的には、第3フォーク部213は、上側フォーク部211Uの上端部に接続されている。これにより、伝達部15と係合している第3フォーク部213が上側に配置されているため、伝達部15の長さを短くすることができる。その結果、変速フィーリングの悪化を抑制できる。
シャフト22には、前進ギア25及び後進ギア26が取り付けられている。シャフト22の中心軸22cは、ケース下部51Bよりもケース上部51Aに近い。これにより、ケース5に挿入された伝達部15から前後進切換装置20までの距離を短くすることができる。
シフタ23は、前進ギア25と後進ギア26との間でシャフト22に沿って移動可能である。シフタ23は、前進ギア25と後進ギア26との接続(噛み合い)を変更する。
フォークロッド24には、シフトフォーク21が取り付けられる。
変速装置30は、主変速部と、副変速部とを有する。主変速部は、推進軸から入力された回転を変更して出力する(変速する)。副変速部は、主変速部から入力された回転を変更して出力する(変速する)。
上述の構成によれば、ケース上部51Aには、伝達部15が挿入される貫通孔51Aaが形成されている。これにより、ケース5の側面から伝達部15を挿入する場合と比べて、ケース5の側面にまで、伝達部15を持ってくる必要がなくなる。このため、足下のスペースを広くすることができる。また、伝達部15をカバーするために、幅方向Xに長いカバーを設ける必要がなくなる。従って、運転者の足下のスペースを広げることができる。
また、シャトルレバー13から前後進切換装置20までの伝達部15の距離を短くすることができるため、変速フィーリングを向上することができる。伝達部15の剛性を上げて変速フィーリングを向上させるのではなく、伝達部15の長さを短くして変速フィーリングを向上させているため、コストを低減できる。
上述の構成によれば、前後方向Yにおいて、伝達部15は、カバー部材124よりも前側に位置する。これにより、運転者の足下のスペースをより広げることが可能である。
上述の構成によれば、ペダル17は、前後方向Yにおいて、貫通孔51Aaよりも運転席9から近い位置に配置されている。これにより、ペダル17を操作する際に、貫通孔51Aaに挿入される伝達部15に当たり難くなり、運転者の足下のスペースを広げることができる。
上述の構成によれば、貫通孔51Aaの前後方向Yの後側には、ケースカバー部材6の前側の端部が位置する。ケース5とケースカバー部材6との間において、伝達部15をケース5の側面まで延ばすために、伝達部15を配置する必要がない。従って、上下方向Zにおいて、ケースカバー部材をケース5により近くに(すなわち、より下側に)配置することができるので、運転者の足下のスペースを増加させることができる。
上述の構成によれば、ガイド板14は、シャトルレバー13が挿入されているガイド穴142と、伝達部15(レバー本体131の下端部131b)が挿入されている挿入孔144とを有する。1枚のガイド板14にガイド穴142と挿入孔144とをまとめることで、操縦装置10の省スペースを図ることができる。
上述の構成によれば、ガイド板14は、支持体146から操縦装置10へ延びる支持部材145に固定されている。これにより、ガイド板14の位置は、操縦装置10を構成する側壁(例えば、第1側壁1221)を介して固定されていない。従って、ガイド板14の位置は、第1側壁1221の位置に影響を受けることなく、自由に設計可能である。
上述の構成によれば、ガイド板14の端部141は、第1側壁1221よりも幅方向Xの外側に位置する。これにより、運転者の足下のスペースを広げるために、第1側壁1221から第2側壁1222までの幅方向Xの長さを小さくしたとしても、ガイド板14の幅方向Xの長さを確保することができる。従って、シャトルレバー13の操作に影響を与えずに、運転者の足下のスペースを広げることができる。
上述の構成によれば、第1収容室51と第2収容室52とが分けられており、かつ第1収容室51には、ステアリングコントローラ166から排出される作動油の排出口512aが配置されている。これにより、第1収容室51に優先的にオイルが溜まる。従って、シャフト22の中心軸22cがケース上部51Aに近くても、第1収容室51に貯まったオイルにシャフト22が浸かり易いため、ミッションオイルの使用量を低減可能である。
上述の構成によれば、排出口512aは、前後進切換装置20の上側に配置されている。これにより、第1収容室51の油面が前後進切換装置20に到達する前であっても、前後進切換装置20にオイルをかけることができるため、前後進切換装置20の損傷を抑制できる。
上述の構成によれば、伝達部15(係合部157)と係合している第3フォーク部213は、上側フォーク部211Uに接続されている。これにより、伝達部15の長さをより短くすることができ、変速フィーリングをより向上することができる。
上述の構成によれば、上側フォーク部211Uの上端部に接続されている。これにより、伝達部15の長さをより短くすることができ、変速フィーリングをより向上することができる。
(3)伝達部15の動き
伝達部15の動きについて、図12及び図13を中心に用いて説明する。
図12において、シャトルレバー13は、中立位置に存在する。この中立位置では、シャトルレバー13(レバー本体131の下端部131b)が、ガイド穴142の突部142Bに位置する。この場合、シャトルレバー13を前後に操作することができない。また、シャトルレバー13が中立位置に位置しているときは、前後進切換装置20が動力切断状態(すなわち、シフタ23が前進ギア25にも後進ギア26にも接続されていない状態)であり、変速装置30から走行装置8へ動力が出力されない。
シャトルレバー13は、中立位置においてはバネの付勢力に抗して上方に揺動可能である。中立位置において、シャトルレバー13を上方に揺動すると、シャトルレバー13が、ガイド穴142の突部142Bから円弧部142Aへ移動する。シャトルレバー13を上方へ揺動させた状態では、シャトルレバー13は、ガイド穴142の円弧部142A内を移動可能である。従って、シャトルレバー13は、前後に揺動可能である。
シャトルレバー13を円弧部142Aに沿って方向F1(後方向Y2)に移動させると、シャトルレバー13が、中立位置から前進位置へ位置する。シャトルレバー13が前進位置に位置しているときは、前後進切換装置20が前進動力を伝達する状態であり、車体2の走行方向が前進方向に切り換えられる。
具体的には、シャトルレバー13がF1方向へ操作されると、シャトルシャフト152の上部152AがF2方向へ回転し、シャトルシャフト152の下部152BがF3方向へ移動する。これにより、連動ロッド154がF4方向(後方向Y2)へ移動し、接続部材155及びシャトルアーム156のそれぞれが、F5方向,F6方向へ回転する。シャトルアーム156の回転により、係合部157がF7方向へ移動し、シフトフォーク21が、シャフト22に沿ってF8方向(前方向Y1)へ移動する。その結果、シフタ23が、前進ギア25と接続し、前後進切換装置20が前進動力を伝達する状態へ切り替わる。
一方、シャトルレバー13を円弧部142Aに沿って方向R1(後方向Y2)に移動させると、シャトルレバー13が、中立位置から後進位置へ位置する。シャトルレバー13が後進位置に位置しているときは、前後進切換装置20が後進動力を伝達する状態であり、車体2の走行方向が後進方向に切り換えられる。
具体的には、シャトルレバー13がR1方向へ操作されると、シャトルシャフト152の上部152AがR2方向へ回転し、シャトルシャフト152の下部152BがR3方向へ移動する。これにより、連動ロッド154がR4方向(後方向Y2)へ移動し、接続部材155及びシャトルアーム156のそれぞれが、R5方向,R6方向へ回転する。シャトルアーム156の回転により、係合部157がR7方向へ移動し、シフトフォーク21が、シャフト22に沿ってR8方向(後方向Y2)へ移動する。その結果、シフタ23が、後進ギア26と接続し、前後進切換装置20が後進動力を伝達する状態へ切り替わる。
(4)エンジン停止中におけるステアリング操作
エンジン3の停止中におけるステアリング操作を、図14を中心に説明する。図14は、実施形態に係る油圧回路を説明するための図である。
図14では、エンジン停止中において、ステアリングハンドル162を運転者が左旋回したケースを例に挙げて説明する。ステアリングハンドル162を右旋回したケースは、ステアリングハンドル162が左旋回されるケースと同様であるため、説明を省略する。
運転者がエンジン3を停止した場合、第2ホース部H2Bへ存在する作動油は重力により、ケース5(タンクポートT)へ流れ落ちる。一方で、オイルタンク168には、作動油が貯まる。従って、第2ホース部H2Bにも作動油が存在する。
なお、オイルタンク168が存在しない場合には、ステアリングコントローラ166内の作動油は、第2ホースH2を通じてケース5へ流れ落ちる。加えて、右前輪用のシリンダロッドを移動させるステアリングシリンダへ連結されている第4ホースH4内の作動油もステアリングコントローラ166を経由して流れ落ちる。
この状態において、ステアリングハンドル162を右旋回することにより、ステアリングコントローラ166がポンプとして機能する。これにより、油圧ポンプPに繋がっているPポートは、閉回路である(すなわち、油圧が開放されていない)ため、負圧になる。これにより、第1ホースH1と第2ホースH2との間を繋ぐチェック弁Vが開き、第2ホースH2から第1ホースH1へ作動油が流入し、最終的に、第3ホースHを通じて、左旋回用のステアリングシリンダ(Lポート)へ作動油が送られる。その結果、エンジン停止中であっても、左旋回用のシリンダロッドが移動し、ステアリングハンドル162の回転操作に応じて左前輪がステアリング操作できる。
なお、チェック弁Vが開くことにより、オイルタンク168へ貯められている作動油だけでなく、右旋回用のステアリングシリンダ(Rポート)へ送られた作動油も第1ホースH1へ流入する。このため、オイルタンク168へ貯められる作動油の量、すなわち、オイルタンク168の容量は、左旋回用のステアリングシリンダ(Lポート)を全て満たす容量よりも少なくてもよい。
以上のように、エンジン3が停止中であっても、オイルタンク168には作動油が貯められているため、ステアリングコントローラ166内の作動油がタンクポートTへ全て排出されることを抑制できる。その結果、エンジン3が停止中であっても、走行車両1の車輪をステアリング操作可能である。
また、流入口H2Ainよりも高い位置において作動油が貯められるため、ステアリングコントローラ166内の作動油がタンクポートTへ全て排出されることを抑制できる。
また、流出口168Bは、流入口168Aよりも高い位置に配置されている。これにより、オイルタンクに作動油を貯めることができ、ステアリングコントローラ166内の作動油がタンクポートTへ全て排出されることを抑制できる。
オイルタンク168をステアリングコントローラ166の近くに配置できるため、ステアリングコントローラ166とオイルタンク168までの流路を短くすることができる。その結果、エンジン3の停止中において、流路に貯まる作動油を必要以上に多くせずにすみ、運用コストを低減できる。
(5)その他実施形態
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
例えば、オイルタンク168は、ステアリングコントローラ166よりも下側に配置されていたが、これに限られない。例えば、オイルタンク168は、ボンネット内に設けられてもよい。
上述において、油圧機器は、ステアリングコントローラ166であったが、他の油圧機器であってもよい。