JP6918513B2 - ステータおよび導線固定具 - Google Patents
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Description
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、コイル導線を適切に固定できるステータおよび導線固定具を提供することを目的とする。
図1は、本発明の一実施形態によるステータ1を上方から見た平面図である。
ステータ1は、車両用の回転電機に適用されるものであり、該回転電機のロータ2の配置位置を二点鎖線で示しておく。ステータ1は、3相18スロットの集中巻ステータであり、略円筒状のステータ・ホルダ3を有している。ステータ・ホルダ3の内周には、時計回りに、18個のステータ分割体5−1〜5−18(但し、これらの符号は一部のみ図示する)が順次配置されている。
図2においてステータ分割体5−1は、平面視略T字状の鉄心分割体20(鉄心)を有している。鉄心分割体20は、略T字状の電磁鋼板を積層したものであり、「T」字の上辺に相当するヨーク部26と、「T」字の縦棒に相当する磁極部28と、を有している。
以上、ステータ分割体5−1の構成について詳述したが、他のステータ分割体5−2〜5−18も、これと同様に構成されている。
キャップ6−1は、ステータ分割体5−1のコイル収納部32(図2参照)の前面を覆う前面板60と、前面板60の上端部から後方に向かって略T字状に突出した上面板62と、を有している。また、前面板60の後面の略中央部からは、後方に向かって突出する略矩形板状の突出部64u,64v,64wが下から上に向かって順次形成されている。また、上面板62の下面には、これら突出部64u,64v,64wと略同形の突出部64nが形成されている。
上述したように、渡り部12u〜12nは、それぞれ対応する収納溝58u〜58nに収納されている。そして、これら渡り部12u〜12nの外周側(図示の例では前方)に突出部64u,64v,64w,64nが各々配置される。これにより、突出部64u〜64nは、これらの内周端面位置Pよりも内周側に位置するように、渡り部12u〜12nの位置を規制する。
なお、キャップ6−1〜6−4は、実際は、図1に示したように円弧状に配置されるが、図5は、これらを平面(紙面)に沿って配置した状態を示す。先に図3において説明したように、キャップ6−1は、前面板60と、上面板62と、突出部64u〜64nと、を有している。
各引出穴66u,66v,66w,66nからは、対応する渡り部12u,12v,12w,12n(図1参照)が引き出される。そして、上述したように、これら渡り部12u〜12nの端部がロウ付けされ、これによって結合部14u〜14nが形成される。
図6に示すように、中性線引出穴66nの左右には9本ずつの中性線渡り部12nが水平方向に密着しつつ延設されており、中性線引出穴66nの箇所で合流している。これら中性線渡り部12nには、曲率半径が大きくなるように、すなわち外周側に膨らむように変形しようとする力が働く。しかし、最外周の中性線渡り部12nは、キャップ6−3,6−4の突出部64nおよびキャップ6−3の前面板60cによって係止されるため、中性線渡り部12nの変形が抑制される。
次に、本実施形態のステータ1の製造工程を説明する。
ステータ1は、以下列挙する工程S1〜S7を順次実行することによって製造される。
工程S1:個々のステータ分割体5−1〜5−18(図2参照)を製造する。
工程S2:図1に示すように、ステータ分割体5−1〜5−18を環状に組み合わせる。
工程S3:組み合わせたステータ分割体5−1〜5−18の各々のコイル導線10から渡り部12を引き出し、渡り部12を周回方向に沿ってコイル収納部32(図2参照)に埋設する。すなわち、渡り部12にテンションをかけつつ、収納溝58u〜58nに圧入する。また、渡り部12u,12v,12w,12nは、それぞれ図1に示す位置でまとめて、外側に引き出しておく。
工程S4:組み合わせたステータ分割体5−1〜5−18を、ステータ・ホルダ3に圧入する。
工程S6:図1および図4に示すように、各ステータ分割体5−1〜5−18に対して、対応するキャップ6−1〜6−18を嵌め込む。
工程S7:ステータ1の単品検査(抵抗測定等)を行う。
なお、工程S7以降は、ロータ2等を組み込み、回転電機を製造する等の工程が実行される。
次に、本実施形態の効果を明らかにするため、比較例のステータについて説明する。
本比較例によるステータの構成は、キャップ6−1〜6−18を有しない点除いて、上述した実施形態のものと同様である。また、製造工程についても、上述した工程S6を有しない点を除いて、上述した実施形態のものと同様である。
本比較例においても、導線保持板52〜56(図2参照)に設けられた凸部53a〜56a,52b〜55bや、渡り部12の自己融着によって、ある程度は渡り部12の変形を抑制することができる。しかし、これらによる変形の抑制効果が充分でなかった場合には、図7に示す中性線渡り部12nの例のように、最外周付近の渡り部12が、膨らむように変形することがある。
渡り部12が所期の位置からずれると、コンタミネーション・アタックにより、短絡等が生じることもある。
以上のように本実施形態のステータによれば、鉄心(20)の周回方向に沿って形成され鉄心(20)の半径方向に凹んだ複数の収納溝(58u〜58n)を有するコイル収納部(32)と、少なくとも一部の渡り部(12)に向かって突出する突出部(64u,64v,64w,64n)を有する少なくとも一のキャップ(6−1〜6−18)と、を備え、突出部(64u,64v,64w,64n)は、対応する渡り部(12)が、突出部の先端部よりも外周側にはみ出ないように(内周側に収まるように)、対応する渡り部(12)の位置を規制する。これにより、コイル導線(10)を適切に固定できる。
さらに、複数のキャップ(6−1〜6−18)は、鉄心(20)の周回方向に沿って一周するように配置されているため、渡り部(12)の固定のみならず、渡り部(12)の絶縁保護も実現できる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記実施形態の構成に他の構成を追加してもよく、構成の一部について他の構成に置換をすることも可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
図示のように、凹部69にコイル収納部32の支持板50の上端部が嵌合すると、キャップ7−1に対して外力が加わった際、キャップ7−1がコイル収納部32から抜けることを防止できる。
このように、本変形例によるキャップ7−1は、コイル収納部32に係合することにより、コイル収納部32に対する相対位置を規制する係合部68を有するため、キャップ7−1の抜けを防止できる。
例えば、図1において、
・U相渡り部12uが反時計方向に膨らむことを防止したい、
・中性線渡り部12nが時計方向に膨らむことを防止したい、および
・ステータ分割体5−12の付近での渡り部12の膨らみを防止したい、
という要望があり、その他の箇所では、渡り部12が多少膨らんでも容認できると仮定する。このような場合は、3個のキャップ6−1,6−4,6−12のみを装着し、他の15個のキャップを省略してもよい。
(5)上記実施形態におけるステータ1は、車両用の回転電機に限らず、種々の装置における回転電機に適用してもよい。
6−1〜6−18 キャップ(導線固定具)
7−1 キャップ
10 コイル導線
11 巻回部
12 渡り部
20 鉄心分割体(鉄心)
28 磁極部
30 インシュレータ
32 コイル収納部
58u〜58n 収納溝
60,60a〜60e 前面板
64u,64v,64w,64n 突出部
68 係合部
Claims (3)
- 複数の磁極部を有する円環状の鉄心と、
前記鉄心の周回方向に沿って形成され前記鉄心の半径方向に凹んだ複数の収納溝を有するコイル収納部と、
前記鉄心に巻回される巻回部と、前記収納溝に収納される渡り部と、をそれぞれが備える複数のコイル導線と、
少なくとも一部の前記渡り部に向かって突出する突出部をそれぞれが有し、前記鉄心の周回方向に沿って一周するように配置されている複数のキャップと、
を備え、
前記突出部は、対応する前記渡り部が、前記突出部の先端部よりも内周側に収まるように、対応する前記渡り部の位置を規制するものであり、
複数の前記キャップは、前記渡り部を引き出すための引出穴を有する第1のキャップを含み、
前記第1のキャップは、前記コイル収納部の前面を覆うとともに周回方向に直交する方向に沿って分割された第1の板部材と第2の板部材とを備え、
前記第1の板部材は矩形板状に形成され、
前記第2の板部材は矩形板のうち前記引出穴に対応する部分の端部を切り欠いた形状を有する
ことを特徴とするステータ。 - 前記コイル収納部は、前記収納溝よりも内周側に設けられた支持板をさらに備え、
前記キャップは、前記支持板に向かって突出し、前記支持板に係合することにより、前記コイル収納部に対する相対位置を規制する係合部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のステータ。 - インシュレータに形成された複数の収納溝を有するコイル収納部に、コイル導線の渡り部を固定するための導線固定具であって、
少なくとも一部の前記渡り部に向かって突出する突出部をそれぞれが有し、鉄心の周回方向に沿って一周するように配置されている複数のキャップを有し、
前記突出部は、対応する前記渡り部が、前記突出部の先端部よりも内周側に収まるように、対応する前記渡り部の位置を規制するものであり、
複数の前記キャップは、前記渡り部を引き出すための引出穴を有する第1のキャップを含み、
前記第1のキャップは、前記コイル収納部の前面を覆うとともに周回方向に直交する方向に沿って分割された第1の板部材と第2の板部材とを備え、
前記第1の板部材は矩形板状に形成され、
前記第2の板部材は矩形板のうち前記引出穴に対応する部分の端部を切り欠いた形状を有する
ことを特徴とする導線固定具。
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