JP6917763B2 - 大気放射能測定装置 - Google Patents

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Description

この発明は、大気放射能測定装置に関わり、特に、大気中に含まれる放射性核種から放出されるβ線を検出することで、その放射能濃度を測定する大気放射能測定装置に関するものである。
原子力発電所や核燃料工場等の原子力関連施設において、事故が発生すると、大気中に放射性物質が放出される。事故後、作業員や住民の避難が必要になった場合、適切な時間帯に安全な経路で避難するための情報を把握するため、外部被ばく防護のための空間線量率と、内部被ばく防護のための大気中放射能濃度の両方をリアルタイムで監視する必要がある。このうち、大気中の放射能濃度の監視は、放射性核種が付着した粒子等を空気とともにポンプで吸引してろ紙上に捕集し、ろ紙から放出される放射線を検出することにより行う。
測定対象の放射性核種は、セシウム137やヨウ素131などの核分裂生成物や放射化により生じた核種であり、その多くはβ線とγ線を放出する。そのため、大気中の放射能濃度の測定器は、主としてβ線を検出するタイプとγ線を検出するタイプがある。
一方で、環境中の大気放射能濃度を測定するためには、地表に付着した放射性物質からの放射線と明確に区別して測る必要がある。γ線は空気中を容易に透過できるため、γ線を検出するタイプでは、放射性物質が付着したろ紙からのγ線と外来のγ線を区別するため適切な遮蔽体が必要となるので、装置が大型化する。それに対し、β線の場合、地表に付着した放射性物質からのβ線のほとんどは空気中で停止するので、ろ紙からのβ線が効率良く検出器に入射するように配置すれば、大型の遮蔽体無しで地表由来の放射性物質による放射線を除去することができる。そのため、大気放射能測定装置ではβ線を検出するタイプが多く用いられる。
大気放射能測定装置はリアルタイムでの監視を要求されるため、放射能濃度に対する感度は高いものが要求される。空気中の放射能濃度に対する感度を高くするには、短時間に大量の空気を吸引して多くの放射性核種をろ紙に吸着させ、高感度の放射線検出器でろ紙からのβ線を測定する必要がある。短時間に大量の空気を吸引するにはポンプの流量を大きくする必要があるが、圧力損失を小さくするために捕集面積をある程度大きくする必要がある。
さらに、ろ紙に捕集された放射性核種からのβ線を効率良く測定するには、β線検出器の面積はろ紙の捕集面積と同程度を確保する必要がある。すなわち、比較的大面積のβ線検出器が必要となる。大面積のβ線検出器は、薄いプラスチックシンチレータと光電子増倍管の組み合わせで構成されることが多い。大面積の光電子増倍管は製作コストが高くなるため、比較的小面積の光電子増倍管と大面積のプラスチックシンチレータを、円錐台や角錐台のような形状をしたライトガイドを介して接続する形態(例えば、特許文献1、2参照)や、小面積のフォトダイオードと大面積のプラスチックシンチレータを、ライトガイドを介して接続する形態(例えば、特許文献3参照)が採用されることがある。
また、放射能測定装置がβ線を検出するタイプであっても、γ線のバックグラウンドが問題になる場合がある。例えば、場所や時間帯にもよるが、事故直後は空間線量率が10μSv/hを超え、さらには数mSv/hから数十mSv/hの高線量率になることも想定される。このような場合でも、大気中の放射性物質の濃度を10Bq/mから100Bq/m程度の低濃度から測定することが要求される。この場合、β線による信号に対しγ線の信号が無視できないほど大きくなることも想定される、β線を検出するタイプであっても、γ線の影響を除去することが必須となる。
代表的な方法としては、鉛等の必要な遮蔽体をβ線検出器の周囲に設け、外来のγ線を遮蔽することであるが、装置が大型化し重量も重くなるので、コスト増大や取扱いしにくくなるなどの問題が生じる。その対応策として、β線検出器に加え、バックグラウンドを測定する専用のγ線検出器を備え、γ線に相当する信号を差し引く(補償する)方法が採用されることがある(例えば、特許文献4、5参照)。
特開2016−223991号公報 特開2009−20046号公報 特開平9−257941号公報 特開2006−329784号公報 特開2006−90963号公報
バックグラウンドを測定する専用のγ線検出器を備えてγ線の影響を補償する場合、β線検出器とγ線検出器の場所が離れていると、周辺部材による散乱の影響などにより両者の場所は異なったγ線場となるため、γ線による信号を正確に補償することができない。特に、大面積のβ線検出器の場合、ライトガイドを含めた検出器全体が大きくなるため、有感部であるβ線検出器のプラスチックシンチレータとγ線検出器のプラスチックシンチレータを互いに近接して配置することは困難となる。
逆に、両検出器のプラスチックシンチレータを近づけるために、薄いプラスチックシンチレータの側面、または、プラスチックシンチレータに取り付けられた薄いライトガイドの側面に光検出器を接続し、薄いプラスチックシンチレータ同士を近接させることが考えられるが、この場合、光検出器から遠い側での光の収集効率が顕著に悪化するため、検出器の感度の位置特性が均一にならず、γ線を正しく補償することができなくなる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、β線用検出部の位置特性の均一性と、γ線補償の精度確保の両方を同時に満足し、高感度かつγ線バックグラウンドの影響を高精度に除去できる大気放射能測定装置を提供することを目的とするものである。
この発明に係わる大気放射能測定装置は、大気中の粒子を捕捉するためのろ紙と、粒子から放出される放射線を検出する検出部を有した大気放射能測定装置において、検出部はβ線用検出部とγ線用検出部を備え、β線用検出部とγ線用検出部は、シンチレータと光検出器とシンチレータで発生した光を光検出器に導くライトガイドで構成され、β線用検出部のシンチレータはろ紙に対向して配置され、β線用検出部とγ線用検出部のライトガイドは、ライトガイドの各面のうち、シンチレータと接する面とは反対側の面同士が向き合うように配置され、β線用検出部の出力信号からγ線用検出部の出力信号を差し引き、γ線による信号を補償するようにしたものである。
この発明によれば、大面積β線用検出部の位置特性の均一性と、γ線補償の精度確保の両方を同時に満足し、高感度かつγ線バックグラウンドの影響を高精度に除去できるので
、γ線線量率が高い場合でも、γ線による信号を高精度に補償することができ、大気中の放射能濃度を高精度に測定することができる。
この発明の実施の形態1における大気放射能測定装置の構成を示す全体図である。 この発明の実施の形態1における大気放射能測定装置の検出部の構成を示す図である。 この発明の実施の形態1における大気放射能測定装置の検出部の部材を示す図である。 この発明の実施の形態1における大気放射能測定装置の検出部の構成と光の伝搬経路を示す図である。 この発明の実施の形態1における大気放射能測定装置の検出部内の線量分布を示す模式図である。 この発明の実施の形態2における大気放射能測定装置の検出部の構成を示す図である。 この発明の実施の形態2における大気放射能測定装置の検出部内の線量分布を示す模式図である。 この発明の実施の形態3における大気放射能測定装置の構成を示す全体図である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1に係る大気放射能測定装置について図1から図5に基づいて説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係わる大気放射能測定装置の全体構成を示している。この発明に係わる大気放射能測定装置は、屋外で、大気中に含まれる放射性核種から放出されるβ線を検出するのに適している。
この発明の実施の形態1における大気放射能測定装置は、図1に示すように、放射線が入射すると電気パルス信号を出力する検出部1と、電気パルス信号を増幅する増幅器2a、2bと、電気パルスを計数する計数部3a、3bと、電気パルスの計数率から放射能濃度を求める演算部4と、放射能濃度の測定結果を表示する表示部5と、大気中の粒子6を捕捉するためのろ紙7と、吸引する大気の流量を測定する流量計8と、大気を吸い込むためのポンプ9などから構成されている。
吸気口40から検出部1とろ紙7が収納された容器に大気が吸い込まれ、排気口50から排出されるが、大気の経路中にあるろ紙7を大気が通過する際に、放射性核種を含む粒子6がろ紙7に捕集される。ろ紙7に捕集された粒子6から放出されるβ線を検出部1で検出する。検出部1は、後述する2つの検出器から成り、それぞれの検出器で検出した電気パルス信号を増幅器2a、2bによって増幅し、計数部3a、3bにて電気パルスの数を数える。演算部4では、単位時間あたりのパルス数をろ紙7に吸着した放射能の量に換算し、ろ紙7を通過した空気の流量で除す等の所定の演算を行うことにより、単位体積当たりの大気中の放射能濃度を算出して、表示部5にて測定結果を表示する。
この発明の実施の形態1における大気放射能測定装置の測定方法について、図2を参照して説明する。図2はろ紙7から放出されるβ線を検出する検出部1の詳細を示した図である。
検出部1は2つの部分に大別される。一方は、ろ紙7に捕集された放射性核種を含む粒子6から放出されるβ線を検出するための部分であり、β線用シンチレータ11a、ライ
トガイド12a、光検出器13aから成るもので、これを「β線用検出部」と呼ぶこととする。他方は、ろ紙7とは反対側の位置にあるγ線用シンチレータ11b、ライトガイド12b、光検出器13bから成るものであり、これを「γ線用検出部」と呼ぶこととする。
シンチレータ11a、11bは、粒子6等から放出された放射線を入射して、放射線との相互作用でシンチレーション光を発光する。β線用検出部のβ線用シンチレータ11aは、ろ紙7に対向して配置されて大気中のβ線を検出するためのものである。一方、γ線用検出部のγ線用シンチレータ11bは、バックグラウンドのγ線を検出してγ線による信号を補償するためのものである。
β線用シンチレータ11aおよびγ線用シンチレータ11bは、厚さがおよそ0.5mm以下のプラスチックシンチレータが好ましい。β線用シンチレータ11aとγ線用シンチレータ11bは同じ寸法であることが望ましいが、同一である必要は無い。
ライトガイド12a、12bは、シンチレータ11a、11bで発生した光を光検出器13a、13bに導光するもので、アクリルやガラスなど、シンチレータ11で発生する光の波長に対して透明であればよい。光検出器13a、13bは光電子増倍管のほか、PINフォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、MPPC(マルチピクセルフォトンカウンタ)など、放射線による微弱光を電気信号に変換するものであれば、いずれでもよい。なお、以下の説明では、上記した添字a、bは総称する場合は省略する。
ライトガイド12a、12b(12)は、例えば図3に示すように、直角三角柱121の部分と四角錐台122の部分を組み合わせた形状であり、それぞれ別々の部材をつなぎ合わせて作成してもよいし、大きな部材から削り出して作成された一つの部材であってもよい。
図3では、直角三角柱121の部分は矩形のシンチレータ11と、四角錐台122の部分は光検出器13の光電変換面とそれぞれ結合し、各部材はオプティカルセメントなどの接着剤で光学的に結合されている。ライトガイド12のうち、シンチレータ11と結合する面と、光検出器13に結合する面以外の表面には、炭酸マグネシウムや白色ペイントなど、乱反射する反射率の高い材料が塗布されている。
ライトガイド12がこのような形状をしている理由は、光検出器13のシンチレータ面(シンチレータ11がライトガイド12と接する面)に垂直な方向(図のZ軸方向)の厚さを薄くすることと、シンチレータ11から発生した光を効率良く光検出器13に伝送することを両立するためである。
シンチレータ面に垂直な方向(Z軸方向)の厚さを薄くするためには、光検出器13はシンチレータ11からX軸方向に離れた位置に直角(シンチレータ面と光検出器13の光電変換面が直交する)に配置することが有効である。
図4(a)は、シンチレータ11と、シンチレータ面に直交する光電変換面14を持つ光検出器13を、直方体の形状をしたライトガイド12で結合する場合を示している。シンチレータ11で発生した光は四方八方に放射するが、例えば図4(a)で示した矢印方向に発生した光が光検出器13の光電変換面14に向かう場合、光は複数回の反射をしなければ光電変換面14に到達できない。ライトガイド12の各面は白色乱反射面としているため反射率は90%以上と比較的高いものの、反射回数が多ければ反射を重ねるごとに光量は少なくなっていく。その結果、光検出器13に到達する光量が少なくなり、光の収率が低下してしまう。
これにより、光検出器13から遠い側の光の収集効率が顕著に悪化するため、光検出器13の感度の位置依存性が均一にならず、β線またはγ線の入射位置によって感度が変化してしまう。
それに対し、図4(b)のように、シンチレータ11と光検出器13を、三角柱の形状をしたライトガイド12で結合する場合を考える。シンチレータ11で発生した光のうち、図4(a)と同様の矢印方向に発生した光が光検出器13の光電変換面14に向かう場合、反射回数はほぼ1回で済む。そのため、光量の低下を最小限に抑えることができる。
すなわち、三角柱の形状をしたライトガイド12のように、ライトガイド12のシンチレータ11と接する面(シンチレータ面)とは反対側の面は、シンチレータ面に対して斜めに交わる面を持つライトガイド12とすることで、シンチレータ11で発生した光を効率よく光検出器13に伝送することができる。その結果、β線またはγ線がどの位置に入射したとしても、光の反射回数がおよそ1回となるため、光の収集効率の低下はほとんど無く、位置依存性がほとんど無い均一な感度の光検出器が得られる。
このような構造をした「β線用検出部」と「γ線用検出部」は、図2のように、ライトガイド12の各面のうち、シンチレータ11と接する面とは反対側の面は、シンチレータ面に対して斜めに交わる面とし、この面同士が互いに向き合うように配置すれば、シンチレータ11aと11bはほぼ平行となる。
なお、「β線用検出部」と「γ線用検出部」は光学的に絶縁されており、一方のシンチレータ11で発生した光は、他方の光検出器13に到達することはない。β線のアクリル中の飛程は数mm程度であるので、シンチレータ11aと11bの距離Lを約10mmから数十mmとすれば、ろ紙7に捕集された粒子6から放出するβ線は、β線用シンチレータ11aには入射するが、γ線用シンチレータ11bには入射することができない。したがって、ろ紙7上の粒子6からのβ線は、「β線検出部」では検出するが、「γ線検出部」では検出しない。
ところで、プラスチックのシンチレータ11は、β線を効率良く検出する放射線検出器であるが、γ線に対しても感度を持つ。そのため、外来γ線のバックグラウンドによる信号が問題となる場合がある。特に、原子力施設の事故直後は空間線量率が10μmSv/hを超え、さらには数mSv/hから数十mSv/hの高線量率になることも想定されるが、このような場合でも、γ線バックグラウンドの影響を極力低減することが必要である。
そのための1つの有効な対策としては、空間γ線線量率を測定する別の検出器を備え、γ線の寄与を差し引く、すなわち補償する方法がある。ただし、この場合、差し引くべきγ線量が、β線用検出器により測定されたγ線量と同一であることが前提であり、これはすなわち、両検出器の位置におけるγ線線量率(γ線場)が同一でなければならない。
一般に、γ線は周辺に配置されている物体により散乱される。例えば、室内ではコンクリートの壁や構造体により散乱され、その影響は無視できないことが多い。そのため、両検出器の場所が異なると、周辺部材の配置が異なるため散乱特性が変化してしまうため、同一のγ線場とみなすことが困難となる。そのため、両検出器をできるだけ近くに配置することが重要となる。
図2のような配置の場合、有感部である両シンチレータ11の間には、ライトガイド12が介在する。しかし、ライトガイド12の代表的な材料であるアクリルの場合、エネルギーにもよるが、γ線の平均自由行程は数十mmから数百mmである。両シンチレータ11の距離Lを数十mm以下とすれば、アクリルによるγ線の減衰は無視できるほど小さくなり、ほとんど同一場とみなすことができる。
なお、両検出器(シンチレータ11)の位置でのγ線場の同一度をさらに上げ、高精度なγ線補償を行うためには、以下の考え方を適用し、適切に設計すればよい。
ある物体がγ線に照射されたとき、その物体内部の線量分布は一般に図5のように、最大となる点が存在する。例えば、放射線防護における周辺線量当量H*(10)は、人体を
模擬したICRU球の深さ10mmにおける線量と定義されている。これは、深さ約10mmにおける吸収線量がほぼ最大となるので、放射線管理上、安全側の評価を与えるためである。実際にはエネルギーにより最大線量となる深さは若干変わるが、おおよそ深さ10mm程度であるとしてよい。
図5のように、深さ10mm付近で吸収線量が最大となるので、表面(深さ0)付近の線量と同等の線量となる深さdが存在するはずである。両シンチレータの距離Lを、この深さdと同程度になるように設計すれば、両シンチレータ11の位置では、同じγ線線量とすることができる。その結果、差し引く(補償する)γ線量が、β線検出器により測定されるγ線量と同等になるので、高精度なγ線補償が可能となる。
なお、両シンチレータ11の寸法は同一であることが好ましいが、必ずしも同一である必要はない。異なる寸法の場合、γ線に対する計数率は当然異なるが、それぞれの光検出器13のγ線量に対する計数率、すなわち感度換算係数を求めておけば、計数率をγ線量率に換算することで両者を差し引くことができる。重要なことは、両シンチレータ11の位置でのγ線線量率(γ線場)を同一にすることである。
以上のように、実施の形態1による大気放射能測定装置は、大面積β線検出部の位置特性の均一性と、γ線補償の精度確保の両方を同時に満足し、高感度かつγ線バックグラウンドの影響を高精度に除去できるので、周辺のγ線線量率が高い場合でも、γ線による信号を高精度に補償することができ、大気中の放射能濃度を高精度に測定することができる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る大気放射能測定装置について図6および図7に基づいて説明する。図6は、実施の形態1による図2の構成に、β線検出部用散乱体20aとγ線検出部用散乱体20bを追加したものであり、その他の構成は図2と同一である。図6において、図2と同じまたは相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
ここで、γ線検出部用散乱体20bの厚さをa、ろ紙7の厚さをb、β線検出部用散乱体20aの厚さをcとする。そしてγ線検出部用散乱体20bの厚さaは、ろ紙7の厚さbとβ線検出部用散乱体20aの厚さcの和と同じにしておく。
図6では、検出部1の外側にβ線検出部用散乱体20aとγ線検出部用散乱体20bを配置することによって、散乱体20a、20b、シンチレータ11a、11b、ライトガイド12a、12bなどから成る構造体内の線量分布が、図7のようになる。
すなわち、例えばγ線が図6の上方から飛来する場合、深さaのところにγ線用シンチレータ11bが、深さ(a+L)のところにβ線用シンチレータ11aがある。
同様にγ線が図6の下方から飛来する場合、深さ(b+c)のところにβ線用シンチレータ11aが、深さ(b+c+L)のところにγ線用シンチレータ11bがある。
なお、散乱体20、シンチレータ11、ライトガイド12以外のところは空気であり、空気の密度はこれら構造体の1/1000程度なので、相互作用する確率も1/1000程度となるため、深さについて議論するときは空気の厚さを無視しても差し支えない。
図6のような構成の場合、シンチレータ11の位置における吸収線量が、図5の場合に比べ、最大値により近くなる。その結果、図7に示すように、シンチレータ11の位置では線量分布の傾きが緩やかとなる。これにより、γ線のエネルギーが例えばE1からE2へ変化したとしても、シンチレータ11の位置における吸収線量の変化量を小さく抑えることができる。
また、γ線の入射方向が変化した場合でも同様のことが言える。すなわち、γ線が斜めから入射した場合、γ線の透過長は垂直に入射したときよりも長くなるが、シンチレータ11の位置は線量分布の傾きが緩やかなところなので、透過長(実質的には深さ)が変化したとしても、線量の変化は小さくなる。よって、γ線の入射方向が変化しても、シンチレータ11の位置における吸収線量の変化量を小さく抑えることができる。
以上のように、実施の形態2による大気放射能測定装置は、様々なエネルギーの、かつ、様々な方向からの周辺γ線に対してもγ線補償を高精度に行うことができるので、大気中の放射能濃度を高精度に測定することができる。
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3に係る大気放射能測定装置について図8に基づいて説明する。図8は、実施の形態1による図1の構成に、同時計数回路30と計数部3cを追加したものであり、その他の構成は図1と同一である。図8において、図1と同じまたは相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
同時計数回路30は、β線用検出部の出力信号とγ線用検出部の出力信号の2つの信号が同時に入力された場合のみ、出力信号を発生するものである。したがって、計数部3cは、2つの信号が同時に入力されたイベントを数えることになる。計数部3cの情報は演算部4に入力される。なお、ここで言う「同時」とは、検出する電圧パルスの幅程度の時間差が許容され、概ね数マイクロ秒程度の間に2つの信号の入力があった場合は「同時」とみなされる。
ここで、計数部3aの出力をA、計数部3bの出力をB、計数部3cの出力をCとする。演算部4では、各計数部で得られた出力から、A−B+Cの値を得る。すなわち、実施の形態1または2で演算される、γ線による信号が補償されたβ線用検出部の信号(A−B)に、同時に計数されたイベントを1回分足し合わせる。
同時に計数されたイベントを1回分足す理由は以下による。ろ紙7に捕集された放射性核種を含む粒子6からはβ線が放出するが、放射性核種の多くはβ線と同時にγ線も放出する。例えば、セシウム137は、最大エネルギー514keVのβ線と、662keVのγ線を、1壊変あたり0.85の割合でほぼ同時に放出する。β線用検出部で粒子6から放出されたβ線を測定すると同時に、γ線用検出部で粒子6から放出されたγ線を測定する場合、同時計数回路30が無ければ、β線用検出部の信号からγ線用検出部の信号を差し引くことになり、計数値がゼロとなってしまう。
すなわち、粒子6からのβ線を計数すべきところが、計数ゼロとなってしまう。これを回避するため、β線用検出部とγ線用検出部を同時に測定する場合は、粒子6からのβ線およびγ線による信号を検出したとみなし、これを計数する。これにより、同時計数したイベントも計数ロスすること無く測定できるので、ろ紙7に捕集された放射性物質が付着した粒子6によるβ線を精度良く測定することができる。
以上のように、実施の形態3による放射能測定装置は、大面積β線検出部の位置特性の均一性と、γ線補償の精度確保の両方を同時に満足し、高感度かつγ線バックグラウンドの影響を高精度に除去できると同時に、ろ紙に付着した放射性物質を高精度に測定できるので、周辺のγ線線量率が高い場合でも、大気中の放射能濃度を高精度に測定することができる。
以上、この発明の実施の形態を記述したが、この発明は実施の形態に限定されるものではなく、種々の設計変更を行うことが可能であり、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1:検出部、2a、2b:増幅器、3a、3b、3c:計数部、4:演算部、
5:表示部、6:粒子、7:ろ紙、8:流量計、9:ポンプ、
11a:β線用シンチレータ、11b:γ線用シンチレータ、11:シンチレータ、
12a、12b、12:ライトガイド、13a、13b、13:光検出器、
14:光電変換面、20a:β線検出部用散乱体、20b:γ線検出部用散乱体、
30:同時計数回路、40:吸口、50:排気口、121:直角三角柱、
122:四角錐台

Claims (8)

  1. 大気中の粒子を捕捉するためのろ紙と、前記粒子から放出される放射線を検出する検出部を有した大気放射能測定装置において、
    前記検出部はβ線用検出部とγ線用検出部を備え、前記β線用検出部と前記γ線用検出部は、シンチレータと光検出器と前記シンチレータで発生した光を前記光検出器に導くライトガイドで構成され、
    前記β線用検出部のシンチレータは前記ろ紙に対向して配置され、前記β線用検出部と前記γ線用検出部のライトガイドは、前記ライトガイドの各面のうち、前記シンチレータと接する面とは反対側の面同士が向き合うように配置され、
    前記β線用検出部の出力信号から前記γ線用検出部の出力信号を差し引き、γ線による信号を補償することを特徴とする大気放射能測定装置。
  2. 前記光検出器は、前記ライトガイドと接する前記シンチレータの面を貫く法線と交わらない位置に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の大気放射能測定装置。
  3. 前記ライトガイドの前記シンチレータと接する面とは反対側の面は、前記シンチレータ面に対して斜めに交わる面としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の大気放射能測定装置。
  4. 前記ライトガイドは、三角柱と角錐台の組み合わせで構成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の大気放射能測定装置。
  5. 前記β線用検出部のシンチレータと前記γ線用検出部のシンチレータとの間隔は、前記β線用検出部のシンチレータと前記γ線用検出部のシンチレータとの間に介在する物体がγ線に照射されたとき、前記物体表面での線量と同じ線量となる深さに合わせていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の大気放射能測定装置。
  6. 前記γ線用検出部のシンチレータに対向する位置に配置されたγ線検出部用散乱体と、前記ろ紙に対して前記β線用検出部のシンチレータと反対側に対向する位置に配置されたβ線検出部用散乱体を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の大気放射能測定装置。
  7. 前記γ線検出部用散乱体の厚さは、前記ろ紙の厚さと前記β線検出部用散乱体の厚さの和であることを特徴とする請求項6に記載の大気放射能測定装置。
  8. 前記β線用検出部の出力信号と前記γ線用検出部の出力信号を同時に計数する同時計数回路を備え、前記同時計数回路で同時計数した信号を、前記β線用検出部の出力信号から前記γ線用検出部の出力信号を差し引いたものに足し合わせることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の大気放射能測定装置。
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