図1は、ガス燃焼装置の例として本実施例のガス炊飯器1の大まかな構成を示した説明図である。本実施例のガス炊飯器1は、調理容器としての炊飯釜2と、炊飯釜2を加熱する熱源として燃料ガスを燃焼させるメインバーナ3と、メインバーナ3の着火に用いる種火の燃焼を行うパイロットバーナ4と、パイロットバーナ4の火炎を検知するための熱電対5などを備えている。また、環状に形成されたメインバーナ3の中央から突出して熱応動装置6が設けられており、炊飯釜2の底部に当接した熱応動装置6が、炊飯の完了時に炊飯釜2の温度に反応して作動するようになっている。
メインバーナ3で燃焼させる燃料ガスは、ガス通路7を通じて供給される。本実施例のガス通路7には、それぞれ独立してガス通路7を開閉可能な3つの弁が設けられており、上流側から安全弁20、第1弁30、第2弁40の順で直列に配置されている。また、第1弁30と第2弁との間には、パイロットバーナ4に燃料ガスを導くパイロット通路8が接続されており、このパイロット通路8には、パイロットバーナ4に供給される燃料ガスの流量を変更可能なパイロット切替弁8aが設けられている。さらに、パイロット通路8には、パイロット切替弁8aをバイパスしてパイロットバーナ4に燃料ガスを供給可能なバイパス通路9が接続されている。
本実施例の安全弁20は、ソレノイドを有する電磁安全弁であり、このソレノイドと熱電対5とが電気的に接続されている。そして、本実施例のガス炊飯器1では、安全弁20、第1弁30、第2弁40、およびパイロット切替弁8aがバルブユニット10として一体に設けられている。本実施例のバルブユニット10については別図を用いて後述する。
また、ガス炊飯器1には、炊飯の開始に際して使用者が押圧操作を行う操作レバー50が設けられており、詳しくは後述するが、操作レバー50が回転すると、その動作が安全弁20、第1弁30、第2弁40、およびパイロット切替弁8aに伝わるようになっている。さらに、操作レバー50は、熱応動装置6と動作を伝達可能であり、炊飯の開始時や完了時に熱応動装置6と連動するようになっている。
図2は、本実施例のバルブユニット10の内部構造を示した断面図である。図では、バルブユニット10の横断面を表しており、前述したようにバルブユニット10には、安全弁20、第1弁30、第2弁40、およびパイロット切替弁8aが一体に設けられている。安全弁20は、弁室21を備えており、この弁室21には、燃料ガスが流入する流入通路7aと、第1弁30に連通する第1連絡通路7bとが接続され、第1連絡通路7bとの接続部分に弁孔22を有する弁座23が設けられている。
また、弁室21内には、弁座23に当接することで弁孔22を塞ぐ弁体24が設けられており、この弁体24は、ソレノイド26の可動軸に固定されると共に、付勢バネ25によって弁座23に当接する方向に付勢されている。図では、弁体24が弁座23に当接した閉弁状態を表している。ソレノイド26は、通電しても弁体24を弁座23から引き離すことはできないものの、外力で弁座23から離された状態の弁体24を電磁力で保持することが可能である。
さらに、安全弁20には、操作レバー50の動作を第1連絡通路7b側から弁体24に伝えるためのロッド27が、ソレノイド26の可動軸と同軸に沿って摺動可能に設けられている。このロッド27は、弁体24に固定されておらず、付勢バネ28によって弁体24から離れる方向(図中の下方向)に付勢されている。
第1弁30は、弁室31を備えており、この弁室31には、第1連絡通路7bと、第2弁40に連通する第2連絡通路7cとが接続され、第2連絡通路7cとの接続部分に弁孔32を有する弁座33が設けられている。また、弁室31内には、弁座33に当接することで弁孔32を塞ぐ弁体34と、弁体34を弁座33に当接する方向に付勢する付勢バネ35とが設けられている。図では、弁体34が弁座33に当接した閉弁状態を表している。
また、第1弁30には、操作レバー50の動作を第2連絡通路7c側から弁体34に伝えるロッド36が、弁孔32を通して摺動可能に設けられている。このロッド36は、弁体34に固定されており、付勢バネ35によって弁体34と共に付勢されている。
さらに、本実施例のバルブユニット10では、第2連絡通路7cに接続されたパイロット通路8の一部にロッド36が挿通されており、図2に示した例では、パイロット通路8が図面の手前側に屈曲して続いている。そして、パイロット通路8は、第2連絡通路7cと接続する側に設置されたOリング37と、このOリング37の内側に挿通されたロッド36とで構成されるパイロット切替弁8aを備えている。図では、Oリング37の内周とロッド36の外周とが気密に接してパイロット切替弁8aが閉弁した状態を表している。尚、本実施例のOリング37の内側は、本発明の「挿通孔」に相当している。
ロッド36の一部には、径を小さくした小径部36aが設けられており、ロッド36が軸方向に摺動するのに伴って小径部36aがOリング37の内側に位置すると、パイロット切替弁8aが開弁した状態となって、Oリング37とロッド36との隙間を通過した燃料ガスがパイロットバーナ4へと供給される。また、パイロット切替弁8aをバイパスして第2連絡通路7cからパイロット通路8に接続されたバイパス通路9が設けられており、パイロット切替弁8aの開閉に拘らず、このバイパス通路9を通じてパイロットバーナ4に燃料ガスの供給が可能である。ただし、バイパス通路9にはオリフィス9aが設けられており、燃料ガスの流量が絞られている。
第2弁40は、弁室41を備えており、この弁室41には、第2連絡通路7cと、燃料ガスが流出する流出通路7dとが接続され、流出通路7dとの接続部分に弁孔42を有する弁座43が設けられている。また、弁室41内には、弁座43に当接することで弁孔42を塞ぐ弁体44と、弁体44を弁座43に当接する方向に付勢する付勢バネ45とが設けられている。
また、第2弁40には、操作レバー50の動作を流出通路7d側から弁体44に伝えるためのロッド46が、弁孔42を通して摺動可能に設けられている。このロッド46は、弁体44に固定されており、付勢バネ45によって弁体44と共に付勢されている。図では、付勢バネ45の付勢力に抗してロッド46が押し込まれ、弁体44が弁座43から離れた開弁状態を表している。流出通路7dに流出した燃料ガスは、メインバーナ3へと供給される。
図3は、本実施例の操作レバー50の構造を示した斜視図である。本実施例の操作レバー50は、使用者によって押圧部50aが下方に押圧されることで、図示した初期位置から回転軸51を中心として下方に回転し、所定の押切位置まで回転すると、ストッパ(図示省略)によって回転が停止するようになっている。また、操作レバー50を初期位置に戻すための付勢部材として引張コイルバネ53が設けられており、この引張コイルバネ53は、一端が操作レバー50に固定され、他端が回転軸51と平行な固定軸52に固定されている。尚、以下では、操作レバー50の初期位置から押切位置への回転を「往動作」と称し、操作レバー50の押切位置から初期位置への回転を「復動作」と称することがある。
また、操作レバー50には、回転軸51を円弧の中心として扇形に形成された2つのカム部50b,50cが回転軸51の軸方向に位置を異ならせて設けられており、第1弁30のロッド36に対応する第1カム部50bと、第2弁40のロッド46に対応する第2カム部50cとで円弧部分の配置が異なっている。
そして、第1カム部50bと第1弁30のロッド36との間には、第1カム部50bの回転動作をロッド36に伝達する第1伝達板56が介設されており、第2カム部50cと第2弁40のロッド46との間には、第2カム部50cの回転動作をロッド46に伝達する第2伝達板57が介設されている。尚、図では、第1カム部50bおよび第2カム部50cが見えるように、第1伝達板56および第2伝達板57を透過させて破線で表している。本実施例の第1伝達板56および第2伝達板57には、板バネが採用されており、第1伝達板56は第1カム部50bに押し当てる方向に屈曲し、第2伝達板57は第2カム部50cに押し当てる方向に屈曲している。これら第1伝達板56と第2伝達板57とは、上下対称の関係に設置されている。
また、操作レバー50に連動し、操作レバー50の動作を安全弁20のロッド27に伝達するための補助レバー54が、操作レバー50とは別体に設けられている。尚、図では、補助レバー54を透過させて破線で表している。本実施例の補助レバー54は、固定軸52を中心として回転する。
さらに、回転軸51を中心に回転可能な連結レバー58が、操作レバー50とは別体に設けられている。本実施例の連結レバー58は、回転軸51から下方に延びた垂下部58aと、垂下部58aの下端側から回転軸51と直交する横方向に延びた横設部58bとを備え、横設部58bの先端側で熱応動装置6と連結可能になっており、操作レバー50は、連結レバー58を介して熱応動装置6と動作を伝達可能である。また、操作レバー50には、連結レバー58の横設部58b側に向けて延ばしたアーム部50dが設けられており、アーム部50dの先端には、係合爪50eが垂下部58aと係合可能に形成されている。
図4は、操作レバー50の初期位置における第1弁30、パイロット切替弁8a、第2弁40、および安全弁20のそれぞれの状態を示す断面図である。まず、図4(a)には、第1弁30およびパイロット切替弁8aが示されており、図では、ロッド36を含む縦断面を表している。図示されるように屈曲した第1伝達板56は、扇形の第1カム部50bの円弧部分ではなく、半径部分(直線部分)に当接しており、ロッド36から離隔している。そのため、付勢バネ35の付勢力に抗してロッド36が押し込まれることはなく、第1弁30は、付勢バネ35の付勢力で弁体34が弁座33に当接した閉弁状態になっている。また、パイロット切替弁8aは、Oリング37の内周とロッド36の外周とが密接して閉弁状態になっている。さらに、連結レバー58は、横設部58bの先端側が垂下部58aの下端よりも下がった下降状態になっている。
一方、図4(b)には、第2弁40が示されており、図では、ロッド46を含む縦断面を表している。操作レバー50の初期位置では、扇形の第2カム部50cの円弧部分が第2伝達板57に当接して第2伝達板57の屈曲を押し延ばしており、この第2伝達板57によってロッド46が基端まで押し込まれている。そのため、第2弁40は、ロッド46に固定の弁体44が付勢バネ45の付勢力に抗して弁座43から離れた開弁状態になっている。
また、図4(c)には、安全弁20が示されており、図では、ロッド27を含む縦断面を表している。本実施例の補助レバー54は、捻りコイルバネ55を介して操作レバー50と連結されるようになっている。捻りコイルバネ55は、コイル部分に固定軸52が挿通されており、一端が補助レバー54に固定され、他端が操作レバー50と係合可能になっている。操作レバー50の初期位置では、捻りコイルバネ55に巻き込む力(荷重)がかかっていないことから、補助レバー54が付勢バネ28の付勢力に抗してロッド27を押し込むことはなく、弁体24からロッド27が離隔している。また、ソレノイド26に通電されていないため、安全弁20は、付勢バネ25の付勢力で弁体24が弁座23に当接した閉弁状態になっている。
図5は、操作レバー50の押切位置における第1弁30、パイロット切替弁8a、第2弁40、および安全弁20のそれぞれの状態を示す断面図である。まず、第1弁30およびパイロット切替弁8aでは、図5(a)に示されるように、操作レバー50の往動作に伴って扇形の第1カム部50bの円弧部分が第1伝達板56に当接して第1伝達板56の屈曲を押し延ばし、この第1伝達板56によってロッド36が基端まで押し込まれている。そのため、ロッド36に固定の弁体34が付勢バネ35の付勢力に抗して弁座33から離れて、第1弁30は開弁状態になっている。また、パイロット切替弁8aは、ロッド36の小径部36aがOリング37の内側に位置することにより、Oリング37とロッド36との間に隙間が生じて開弁状態になっている。
また、連結レバー58は、垂下部58aが操作レバー50に押されることによって、回転軸51を中心として回転し、横設部58bの先端側が押し上げられる。前述したように連結レバー58は、横設部58bの先端側で熱応動装置6と連結可能になっている。本実施例の熱応動装置6は、図示しない感温フェライトと永久磁石とを備えており、操作レバー50の押切位置で横設部58bの先端側が押し上げられると、感温フェライトと永久磁石とが接近し、強磁性体の感温フェライトが永久磁石に吸着する。
一方、第2弁40では、図5(b)に示されるように、操作レバー50の往動作に伴って第2カム部50cが第2伝達板57から離隔し、第2伝達板57は、屈曲が復元することでロッド46からも離隔している。そのため、ロッド46が押し込まれることはなく、第2弁40は、付勢バネ45の付勢力によって弁体44が弁座43に当接した閉弁状態になっている。
また、図5(c)に示されるように安全弁20では、捻りコイルバネ55に操作レバー50が係合して捻りコイルバネ55に巻き込む力(荷重)がかかり、この捻りコイルバネ55の復元力によって補助レバー54が付勢バネ28の付勢力に抗してロッド27を押し込む。すると、ロッド27が弁体24に当接し、さらに付勢バネ25の付勢力に抗して弁体24を弁座23から離隔させることから、安全弁20は開弁状態になっている。
こうして安全弁20が開弁状態になると、流入通路7aの燃料ガスが開弁状態の安全弁20および第1弁30を介して第2連絡通路7cに流れ込み、さらに、パイロット切替弁8aが開弁したパイロット通路8およびバイパス通路9を通って燃料ガスがパイロットバーナ4へと供給される(図2参照)。また、本実施例のガス炊飯器1では、操作レバー50が押切位置に達すると、図示しない点火プラグで火花を飛ばすことにより、パイロットバーナ4で種火の点火を行うようになっている。そして、パイロットバーナ4の種火で熱電対5の先端が加熱されることにより、起電力が発生するので、熱電対5と接続された安全弁20のソレノイド26は、種火が消えるまで通電状態となる。
図6は、操作レバー50が押切位置から初期位置に戻るまでの中間位置における第1弁30、パイロット切替弁8a、第2弁40、および安全弁20のそれぞれの状態を示す断面図である。まず、図6(a)に示されるように連結レバー58は、熱応動装置6の感温フェライトが永久磁石に吸着したのに伴い、横設部58bの先端側が垂下部58aの下端よりも上に位置する上昇状態に保持される。また、操作レバー50は、引張コイルバネ53の付勢力で押切位置から戻ろうとすると、アーム部50dの係合爪50eが連結レバー58の垂下部58aに係合することにより、図示した中間位置で停止する。
そして、第1弁30およびパイロット切替弁8aでは、操作レバー50の復動作に伴って、扇形の第1カム部50bの角部分(円弧の端部)と第1伝達板56との当接位置が第1伝達板56の屈曲した基端側へと移動することにより、第1伝達板56の屈曲が復元していき第1伝達板56によるロッド36の押し込み量が減少する。それに伴い、付勢バネ35の付勢力によって弁体34が弁座33に近付くことから、第1弁30は開弁状態であるものの、その開度(弁座33と弁体34との隙間)は、図5(a)の押切位置に比べて小さくなっている。また、パイロット切替弁8aは、ロッド36の小径部36aがOリング37から離れることにより、Oリング37の内周とロッド36の外周とが密接して閉弁状態になっている。
一方、第2弁40では、図6(b)に示されるように、操作レバー50の復動作に伴って扇形の第2カム部50cの角部分(円弧の端部)が第2伝達板57に当接して第2伝達板57の屈曲を押し戻すことにより、付勢バネ45の付勢力に抗して第2伝達板57がロッド46を押し込んでいく。それに伴い、ロッド46に固定の弁体44が弁座43から離れるので、第2弁40は開弁状態になっている。尚、このときの第2弁40の開度(弁座43と弁体44との隙間)は、図4(b)の初期位置に比べて小さくなっている。
また、図6(c)に示されるように安全弁20では、操作レバー50の復動作に伴って捻りコイルバネ55と操作レバー50との係合が解除され、捻りコイルバネ55に巻き込む力(荷重)がかからなくなることから、補助レバー54がロッド27を押し込むことはなく、付勢バネ28の付勢力でロッド27は弁体24から離隔する。ただし、弁体24は、通電状態のソレノイド26の電磁力によって弁座23から離れた状態で保持されるため、安全弁20は開弁状態のままになっている。
図7は、本実施例の操作レバー50の位置と、第1弁30、パイロット切替弁8a、第2弁40、および安全弁20のそれぞれの状態との関係を一覧にまとめた説明図である。まず、操作レバー50の初期位置では、ガス通路7に直列に配置された3つの弁のうち、最下流の第2弁40は大開度で開弁しているものの、上流側の安全弁20および第1弁30が共に閉弁していることから、燃料ガスはパイロットバーナ4およびメインバーナ3の何れにも供給されない。また、パイロット通路8のパイロット切替弁8aも閉弁している。
次に、使用者が操作レバー50を押圧し、往動作で操作レバー50が中間位置になると、第1弁30および第2弁40が共に小開度で開弁する(図6(a),図6(b)参照)。ただし、操作レバー50の動作は安全弁20のロッド27に未だ伝わっておらず、安全弁20は閉弁したままであるため、パイロットバーナ4およびメインバーナ3の何れにも依然として燃料ガスは供給されない。また、パイロット切替弁8aも閉弁したままである(図6(a)参照)。
そして、操作レバー50が押切位置に達すると、安全弁20が開弁すると共に、第1弁30が大開度で開弁し、これにより、パイロットバーナ4に燃料ガスが供給されるので、点火プラグの火花によってパイロットバーナ4の種火に点火することができる。このとき、パイロット切替弁8aも開弁しており、バイパス通路9に加えてパイロット通路8のパイロット切替弁8aを通って燃料ガスが供給されるので、バイパス通路9だけよりもパイロットバーナ4に供給される燃料ガスの流量が大きくなっている。一方、第2弁40は閉弁するので、メインバーナ3に燃料ガスが供給されることはない。尚、パイロット切替弁8aが開弁したパイロット通路8およびバイパス通路9を通じてパイロットバーナ4に供給される燃料ガスの流量は、ガス通路7を通じてメインバーナ3に供給可能な燃料ガスの流量に比べて小さく制限されている。
続いて、使用者が操作レバー50を離し、復動作で操作レバー50が中間位置に停止すると、安全弁20はソレノイド26の電磁力によって開弁が保持されたまま、第1弁30および第2弁40が共に小開度で開弁した状態となるので、パイロットバーナ4に加えてメインバーナ3にも燃料ガスが供給されるようになり、パイロットバーナ4の種火からの火移りでメインバーナ3の主燃焼に着火することができる。このとき、パイロット切替弁8aは閉弁しており、バイパス通路9のみを通じてパイロットバーナ4に供給される燃料ガスの流量は、操作レバー50の押切位置(パイロットバーナ4の種火の点火時)に比べて小さくなっている。
尚、本実施例のガス炊飯器1では、メインバーナ3へと燃料ガスを導くガス通路7の出口側が、小開度で開弁した第1弁30や第2弁40に比べて絞られていることから、操作レバー50の中間位置で第1弁30および第2弁40を小開度で開弁しておけば、メインバーナ3の主燃焼に必要な燃料ガスの流量(ガス圧)を十分に確保できる。
その後、炊飯が完了して炊飯釜2の温度が急上昇すると、炊飯釜2の底部に当接した熱応動装置6で感温フェライトが強磁性体の性質を失い、永久磁石に吸着しなくなるので、感温フェライトと永久磁石とが離隔するのに伴い、連結レバー58は下降状態に戻る。すると、操作レバー50が引張コイルバネ53の付勢力で初期位置に戻され、第1弁30が閉弁することにより、パイロットバーナ4およびメインバーナ3への燃料ガスの供給が遮断されるので、パイロットバーナ4の種火およびメインバーナ3の主燃焼の両方が消える。そして、種火および主燃焼が消えると、熱電対5から安全弁20のソレノイド26への通電が停止するため、安全弁20は、付勢バネ25の付勢力で弁体24が弁座23に当接して閉弁状態に戻る。また、炊飯が完了する前に使用者が強制的に操作レバー50を初期位置に戻した場合にも同様に、第1弁30に閉弁によって種火および主燃焼が消えた後、安全弁20が閉弁する。
以上に説明したように本実施例のガス炊飯器1では、メインバーナ3に燃料ガスを供給するガス通路7に、安全弁20に加えて、第1弁30および第2弁40が直列に設置されており、使用者が操作レバー50を押圧して初期位置から押切位置へと回転させると、最下流の第2弁40が閉弁した状態で、上流側の安全弁20および第1弁30が開弁した状態になることで、第1弁30と第2弁40との間からパイロット通路8を通じてパイロットバーナ4に燃料ガスが供給されて、まず種火の点火を行う。その後、使用者が操作レバー50を離して操作レバー50が押切位置から初期位置に戻るまでの中間位置では、安全弁20および第1弁30に加えて、第2弁40も開弁した状態になることで、メインバーナ3にも燃料ガスが供給され、種火からの火移りで主燃焼の着火を行うようになっており、燃焼開始時の爆発的な着火を防止している。そして、パイロット通路8には、パイロット切替弁8aが設置されると共に、このパイロット切替弁8aをバイパスするバイパス通路9が接続されており、パイロット切替弁8aは、操作レバー50の押切位置では開弁した状態になるのに対し、操作レバー50の中間位置では閉弁した状態となる。
このような本実施例のガス炊飯器1では、ガス炊飯器1の設置後に配管内の空気を燃料ガスに置換(エアパージ)する際に、操作レバー50の押切位置でパイロット切替弁8aが開弁した状態となり、パイロット通路8のパイロット切替弁8aおよびバイパス通路9の両方を通って燃料ガスが供給されるので、パイロット切替弁8aが閉弁している(バイパス通路9だけで燃料ガスが供給される)場合に比べて、パイロットバーナ4に供給される燃料ガスの流量が増加する。これにより、メインバーナ3への燃料ガスの供給を遮断したままパイロットバーナ4から速やかに空気を抜くことが可能となり、エアパージに要する時間を短縮することができる。また、パイロットバーナ4に供給される燃料ガスの流量が増加するとは言え、ガス通路7を通じてメインバーナ3に供給される燃料ガスの流量に比べると小さく制限されているので、メインバーナ3に燃料ガスを供給しながらエアパージを行った場合に起こり得るような爆発的な着火を抑制することができる。
そして、パイロットバーナ4の種火の点火後に、操作レバー50の復動作の中間位置でパイロット切替弁8aが閉弁した状態になり、それ以降は、燃料ガスがバイパス通路9を通って供給されるだけとなって、パイロットバーナ4に供給される燃料ガスの流量が減少する。これにより、パイロットバーナ4の種火の火力が弱まるので、メインバーナ3の主燃焼の熱量にパイロットバーナ4の種火の熱量が加わることによる炊飯釜2の過熱を抑制することができる。結果として、ガス炊飯器1における焦げなどの炊飯の不具合を抑制することが可能となる。
また、本実施例のガス炊飯器1では、操作レバー50の動作を第1弁30の弁体34に伝えるロッド36と、ロッド36が挿通されるOリング37とでパイロット切替弁8aが構成されており、ロッド36に設けられた小径部36aがOリング37の内側に位置することでパイロット切替弁8aが開弁し、Oリング37とロッド36との隙間を通って燃料ガスがパイロットバーナ4へと供給される。このようにすれば、第1弁30を開閉する機構の一部(ロッド36)を流用して、パイロット切替弁8aの開閉を実現できるので、装置の簡素化を図ることが可能となる。
上述した本実施例のガス炊飯器1には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の実施例とは異なる点を中心に変形例について説明する。尚、変形例の説明では、上述の実施例と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図8は、変形例のパイロット通路8に設けられたパイロット切替弁8aを拡大して示した断面図であり、図では、ロッド36を含む縦断面を表している。変形例のバルブユニット10には、パイロット切替弁8aをバイパスするバイパス通路9(図2参照)が設けられておらず、その代わりとして、ロッド36には、小径部36aの弁体34側(図中の左側)に中径部36bが隣接して設けられている。この中径部36bの径は、小径部36aの径よりは大きく、且つ、ロッド36の外径よりは小さくなっている。
そして、操作レバー50の押切位置では、図8(a)に示されるように、ロッド36が基端まで押し込まれて、小径部36aがOリング37の内側に位置している。これに対して、操作レバー50の中間位置では、図8(b)に示されるように、ロッド36の押し込み量の減少に伴い、中径部36bがOリング37の内側に位置している。
図8(a)と図8(b)との比較から明らかなように、図8(a)の操作レバー50の押切位置では、図8(b)の操作レバー50の中間位置よりも、パイロット切替弁8aの開度(Oリング37とロッド36との隙間)が大きくなっているので、パイロットバーナ4に供給される燃料ガスの流量が大きくなる。
このような変形例のガス炊飯器1においても、前述した実施例と同様に、ガス炊飯器1の設置後のエアパージの際には、操作レバー50の押切位置でパイロットバーナ4に供給される燃料ガスの流量が増加することにより、エアパージに要する時間を短縮することができる。そして、パイロットバーナ4の種火の点火後は、操作レバー50の中間位置でパイロットバーナ4に供給される燃料ガスの流量が減少することにより、メインバーナ3の主燃焼の着火後にはパイロットバーナ4の種火による過熱を抑制することが可能となる。
以上、本実施例および変形例のガス炊飯器1について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
例えば、前述した実施例および変形例では、操作レバー50の復動作の中間位置においてもパイロットバーナ4への燃料ガスの供給を小流量で維持し、メインバーナ3の主燃焼の着火後もパイロットバーナ4で種火の燃焼を継続するようになっていた。しかし、前述した実施例のバイパス通路9、および変形例のロッド36の中径部36bの何れも設けることなく、操作レバー50の中間位置でパイロットバーナ4への燃料ガスの供給を遮断し、メインバーナ3の主燃焼の着火後はパイロットバーナ4の種火を消すようにしてもよい。ただし、前述した実施例や変形例のようにパイロットバーナ4で種火の燃焼を継続させておけば、何らかの理由でメインバーナ3の主燃焼が消えてしまった場合でも、種火からの火移りで速やかに主燃焼を回復することができる。
また、前述した実施例および変形例では、操作レバー50の動作を第1弁30の弁体34に伝えるロッド36を利用して、パイロット切替弁8aを開閉したり開度を変更したりするようになっていた。しかし、パイロット切替弁8aは、操作レバー50の押切位置と中間位置とで、パイロットバーナ4に供給される燃料ガスの流量を変更可能であれば、ロッド36とは独立して動作するように構成してもよい。
また、前述した実施例では、ガス燃焼装置としてガス炊飯器1を例に説明したが、ガス燃焼装置はガス炊飯器1に限られない。例えば、燃料ガスの燃焼開始に際して、種火の点火を行った後に、その種火を用いて主燃焼の着火を行うガスコンロであってもよく、本発明を好適に適用することができる。