JP6917151B2 - ポリフェノール低減飲料の製造方法 - Google Patents

ポリフェノール低減飲料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリフェノール低減飲料の製造方法に関する。
ポリフェノールは、その構造から様々な物質や官能基と相互作用をすることが知られており、その性質を利用したポリフェノールの低減・除去方法について、これまで様々な技術が開示されている。代表的な技術としてはポリフェノール含有飲料にポリビニルポリピロリドン(PVPP)を添加し、PVPPによりポリフェノールを低減・除去する技術が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
しかし、PVPPは不溶性の粉体であり、また、膨潤性を有するためハンドリングが容易ではなく、また、PVPPを用いたポリフェノールの低減・除去技術では、ポリフェノールを含有する飲料にPVPPを添加して一定時間接触させ、ポリフェノールを吸着したPVPPを飲料から除去する必要があった。このためPVPPを用いてポリフェノールを低減・除去する方法では、製造工程が複雑化し、製造効率は必ずしも良好とはいえなかった。また、上記方法ではPVPPを飲料から完全に除去するためのろ過装置や遠心分離装置などの専用設備が必要であり、さらに、PVPPは安価な吸着剤ではないため、コストが嵩むという問題もあった。
特開昭62−61569号公報 特開平8−28235号公報
本発明は、ポリフェノール除去効率に優れ、吸着素材のハンドリングが容易な、ポリフェノール含有量が低減された飲料の製造方法と、ポリフェノール含有飲料においてポリフェノール含有量を低減する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは今般、ナイロン基材に放射線グラフト重合法によって種々の重合性モノマーを重合させて得られたグラフト重合ナイロン繊維体と、緑茶抽出液とを接触させたところ、アクリルアミド系モノマー等をグラフト重合させてなるナイロン繊維体が優れたカテキン除去効果を有するとともに、処理後の飲料pHの変動幅が小さいことを見出した。本発明者らはまた、上記グラフト重合ナイロン繊維体によるポリフェノール除去効果が緑茶抽出液以外のポリフェノール含有飲料でも発揮されることを確認した。本発明者らはさらに、ポリフェノールを吸着した上記グラフト重合ナイロン繊維体を再生処理に付すことで、該繊維体を繰り返し使用できることを確認した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]ポリフェノール含有飲料またはその原料と、下記式(I):
Figure 0006917151
(上記式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは1または2以上の水酸基により置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは−O−または−N(−R)−を表し、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
で表される1種または2種以上の化合物を含む重合性モノマーをグラフト重合させてなる高分子基材とを接触させることを含んでなる、ポリフェノール含有量が低減された飲料の製造方法。
[2]式(I)の化合物が、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびN−イソプロピルアクリルアミドからなる群から選択される1種または2種以上である、上記[1]に記載の製造方法。
[3]重合性モノマーが、N−ビニル−アルキルアミドをさらに含んでなる、上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]高分子基材と接触させた後の飲料またはその原料のpHが接触前のpHに対して±0.3の範囲内にある、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]高分子基材が、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロースまたはウレタンである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]高分子基材が、繊維状、中空糸状、不織布状またはビーズ状である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]高分子基材が、再生処理に付された高分子基材である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]再生処理が、ポリフェノールを吸着した高分子基材を、中性再生剤、アルカリ性再生剤または酸性再生剤と接触させることにより行われる、上記[7]に記載の製造方法。
[9]ポリフェノール含有飲料が、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ブレンド茶、醸造酒、蒸留酒、野菜飲料、果実飲料、果実・野菜ミックスジュース、コーヒー飲料、穀物乳、酢飲料若しくはノンアルコールビールテイスト飲料またはこれらの組合せである、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]ポリフェノール含有飲料が、容器詰め飲料である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]下記式(I):
Figure 0006917151
(上記式中、R、RおよびXは、上記[1]において定義された内容と同義である。)
で表される1種または2種以上の化合物を含む重合性モノマーをグラフト重合させてなる高分子基材を用いることを含んでなる、ポリフェノール含有量を低減する方法。
本発明によれば、グラフト重合させてなる高分子基材にポリフェノール含有飲料またはその原料液を接触させるだけで、高いポリフェノール除去率でポリフェノール含有量が低減された飲料を製造することができる。この高分子基材は繊維状など様々な形状に加工することができるとともに、ハンドリングの問題もなく、ポリフェノール含有量が低減された飲料を簡便に製造することができる。
図1は、緑茶抽出液と各種グラフト重合繊維体を接触させた場合の、グラフト重合繊維体の添加率(%)と総カテキン除去率(%)との関係を示した図である。黒菱形はN,N−ジメチルアクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、黒四角はN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、白丸はN−ビニル−2−ピロリドンとN,N−ジメチルアクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、それぞれ得られた結果を示す。 図2は、緑茶抽出液と各種グラフト重合繊維体を接触させた場合の、グラフト重合繊維体のグラフト率(%)と総カテキン除去率(%)との関係を示した図である。白丸はN−ビニル−2−ピロリドンとN,N−ジメチルアクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、白四角はN−ビニル−2−ピロリドンとN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、それぞれ得られた結果を示す。 図3は、緑茶抽出液と各種グラフト重合繊維体を接触させた場合の、グラフト重合繊維体の接触時間(分)と総カテキン除去率(%)との関係を示した図である。黒菱形はN,N−ジメチルアクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、黒四角はN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、白丸はN−ビニル−2−ピロリドンとN,N−ジメチルアクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、白四角はN−ビニル−2−ピロリドンとN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、黒三角はN−ビニル−2−ピロリドンとN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、それぞれ得られた結果を示す。 図4は、緑茶抽出液と各種グラフト重合繊維体を接触させた場合の、グラフト重合繊維体の接触温度(℃)と総カテキン除去率(%)との関係を示した図である。黒菱形はN,N−ジメチルアクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、黒四角はN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、白丸はN−ビニル−2−ピロリドンとN,N−ジメチルアクリルアミドをグラフト重合させた繊維体について、それぞれ得られた結果を示す。
発明の具体的説明
本発明の製造方法はポリフェノール含有飲料においてポリフェノール含有量の低減に用いることができる。適用される飲料はポリフェノールを含有する飲料である限り特に限定はされない。
ここで、「ポリフェノール」とは、分子内に複数のフェノール性水酸基を有する化合物の総称である。ポリフェノールには大きく分けて単量体ポリフェノール(例えば、アントシアニン、イソフラボン、カテキン類(例えば、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート)などに代表されるフラボノイド類や、カフェ酸、クロロゲン酸、セサミンなどに代表されるフェニルプロパノイド類)と、単量体ポリフェノールが重合してなる重合体ポリフェノールがあり、後者の重合体としては、プロアントシアニジン(特に、カテキン類が重合してなるプロシアニジン)のような縮合型タンニンや、ガロタンニンのような加水分解型タンニンが挙げられる。
ポリフェノールは、植物体の葉、茎、果実、果皮、種子、根などの部分に含まれており、ポリフェノール含有飲料は典型的には、茶葉、麦芽、ホップ、穀物、野菜、果実、コーヒー、カカオなどの植物原料を用いて製造される飲料である。本発明において「ポリフェノール含有飲料」を例示すると、茶飲料(例えば、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ブレンド茶)、醸造酒(例えば、ビールや発泡酒などの麦芽発酵飲料、日本酒、ワインやシードルなどの果実酒、梅酒などのリキュール)、蒸留酒(例えば、ウイスキー、焼酎、ブランデー)、野菜飲料(例えば、トマトジュース、にんじんジュース、トマトミックスジュース、にんじんミックスジュース)、果実飲料(例えば、リンゴジュース、オレンジジュース、果汁入り飲料)、果実・野菜ミックスジュース、コーヒー飲料、穀物乳(例えば、豆乳、ライスミルク、ココナッツミルク、アーモンドミルク)、酢飲料(例えば、果実酢飲料)およびノンアルコールビールテイスト飲料が挙げられる。また本発明で提供されるポリフェノール含有飲料は、上記飲料の2種またはそれ以上の組合せであってもよく、例えば、レモンティーのような茶飲料と果実飲料の組合せが挙げられる。
ポリフェノール含有飲料におけるポリフェノール含有量の測定は飲料の性質や飲料に含まれるポリフェノールの種類に応じて決定することができる。例えば、茶飲料の場合にはタンニン量をポリフェノール含有量とすることができ、茶類のポリフェノール量を評価する際の基準である酒石酸鉄法を用いてポリフェノール含有量を測定することができる。また、ビールなどの発酵麦芽飲料については、EBC法(EUROPEAN BREWERY CONVENTION. Analytica-EBC)に従って、さらに、ワインおよびリンゴ果汁などの果汁飲料や果実酒についてはフォーリン・チオカルト法に従って、それぞれポリフェノール含有量を測定することができる。あるいは後記実施例に記載されるように個々の具体的成分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定してもよい。
本発明の製造方法では、ポリフェノールの吸着素材として、アクリルアミド系モノマー等を含む重合性モノマーをグラフト重合させてなる高分子基材(以下、「本発明の高分子基材」ということがある)を用いることを特徴とする。
本発明においては、好ましくは放射線グラフト重合法、すなわち、放射線を基材に照射し、基材表面あるいは基材内部に生成したラジカルを利用して重合性モノマーを基材に重合させる方法によりグラフト重合を実施することができる。
高分子基材に照射する放射線は電離性放射線を用いることができ、例えば、α線、β線、γ線、電子線、中性子線などが挙げられるが、高分子基材の表面から深部まで透過する能力を有するγ線および電子線が好ましい。放射線の照射条件は、適度な官能基密度が達成される限り特に限定されないが、脱酸素状態で、5〜200kGyとすることができ、好ましくは30〜100kGyである。反応系を脱酸素状態にするための方法は当業者に知られており、例えば、窒素などの不活性ガスを反応系にバブリングするなどの処理を行うことができる。
高分子基材に電離性放射線を照射すると、高分子基材の表面および内部にラジカルが生成し、当該照射された基材を重合性モノマーと接触させると、発生したラジカルを開始点として該照射された基材にモノマーを重合させることができる。放射線グラフト重合は、例えば、重合性モノマーを希釈した溶液中に高分子基材を浸漬して実施することができる。
ここで、高分子基材はグラフト重合反応が進行し、かつ、ポリフェノール低減処理に使用できる高分子基材であれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン)、セルロースおよびウレタンが挙げられる。また、高分子基材の形状はポリフェノール低減処理を効率的に行う観点から、繊維状、中空糸状、不織布状またはビーズ状の形態とすることができる。
グラフト重合繊維の単位質量当たりの、グラフト重合した重合性モノマーの割合(官能基密度)は、重合性モノマーやグラフト重合条件に応じ任意に設定することができる。
本発明において、高分子基材とのグラフト重合反応に供される重合性モノマーとしては、前記式(I)で表される1種または2種以上の重合性モノマーを含むものが挙げられる。
本発明において、「炭素数1〜4のアルキル基」は、直鎖状、分岐鎖状、環状またはそれらの組み合わせのいずれであってもよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロブチル等が挙げられる。
本発明において、「1または2以上の水酸基により置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基」は、アルキル基上の1または2以上の水素原子が水酸基と置換されていてもよいことを意味する。この場合、アルキル基上の水酸基の数は、例えば、1個、2個または3個とすることができ、好ましくは1個または2個である。
式(I)においてRは、好ましくは水素原子またはメチルを表す。
式(I)においてRは、好ましくは1個または2個の水酸基により置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、より好ましくは1個または2個の水酸基により置換されていてもよいメチルまたはエチルを表す。
式(I)においてRは、好ましくは水素原子、メチルまたはエチルを表す。
式(I)の化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。
・Rが水素原子を表し、Rがヒドロキシメチルを表し、Xが−N(−H)−を表す、式(I)の化合物(N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド)
・Rが水素原子を表し、Rが2−ヒドロキシエチルを表し、Xが−N(−H)−を表す、式(I)の化合物(N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド)
・Rが水素原子を表し、Rがメチルを表し、Xが−N(−CH)−を表す、式(I)の化合物(N,N−ジメチルアクリルアミド)
・Rがメチルを表し、Rが2−ヒドロキシエチルを表し、Xが−O−を表す、式(I)の化合物(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)
・Rが水素原子を表し、Rがイソプロピルアクリルアミドを表し、Xが−N(−H)−を表す、式(I)の化合物(N−イソプロピルアクリルアミド)
・Rが水素原子を表し、Rがエチルを表し、Xが−N(−C)−を表す、式(I)の化合物(N,N−ジエチルアクリルアミド)
・Rが水素原子を表し、Rがtert−ブチルを表し、Xが−N(−H)−を表す、式(I)の化合物(N−tert−ブチルアクリルアミド)
本発明において、高分子基材とのグラフト重合反応に供される重合性モノマーは、式(I)で表される1種または2種以上の化合物からなるものであっても、式(I)で表される1種または2種以上の化合物と、式(I)で表される化合物以外の重合性モノマー(以下、単に「他の重合性モノマー」ということがある)とからなるものであってもよい。他の重合性モノマーとしては、例えば、N−ビニルアルキルアミドやグリシジルメタクリレートが挙げられる。本発明において、重合性モノマーとして、式(I)で表される1種または2種以上の化合物と、他の重合性モノマーとを含むものを使用した場合には、グラフト重合反応により得られる高分子基材は、複数種の重合性モノマーがグラフトされてなる共重合体である。
本発明において、N−ビニルアルキルアミドは下記式(II)で表すことができる。
11−C(=O)−N(−R12)−CH=CH (II)
(上記式中、R11は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、あるいは、R11およびR12は一緒になって炭素数3〜5のアルキレン基を表す。)
式(II)の化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。
・R11がメチル基を表し、R12が水素原子を表す、式(II)の化合物(N−ビニルアセタミド)
・R11とR12が一緒になって炭素数3のアルキレン基を表す、式(II)の化合物(N−ビニル−2−ピロリドン)
・R11とR12が一緒になって炭素数4のアルキレン基を表す、式(II)の化合物(N−ビニルピペリドン)
本発明において、高分子基材とのグラフト重合反応に供される重合性モノマーは、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアクリルアミドおよびN−tert−ブチルアクリルアミドからなる群から選択される1種または2種以上を含むものとすることができる。
本発明においてはまた、高分子基材とのグラフト重合反応に供される重合性モノマーは、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアクリルアミドおよびN−tert−ブチルアクリルアミドからなる群から選択される1種または2種以上と、他の重合性モノマー(好ましくは、N−ビニルアルキルアミド、より好ましくはN−ビニル−2−ピロリドン)とを含むものとすることができ、例えば、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミドおよびN−ビニル−2−ピロリドンを含むもの、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドおよびN−ビニル−2−ピロリドンを含むもの、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびN−ビニル−2−ピロリドンを含むもの、N−イソプロピルアクリルアミドおよびN−ビニル−2−ピロリドンを含むもの、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびN−ビニル−2−ピロリドンを含むもの、N,N−ジエチルアクリルアミドおよびN−ビニル−2−ピロリドンを含むもの、N−tert−ブチルアクリルアミドおよびN−ビニル−2−ピロリドンを含むものが挙げられる。
本発明の製造方法は、ポリフェノール含有飲料またはその原料と、本発明の高分子基材とを接触させる工程を有することを特徴とする。接触工程はポリフェノール含有飲料またはその原料に本発明の高分子基材を浸漬することにより行うことができるが、フィルタ状にした本発明の高分子基材や、本発明の高分子基材を充填したカラムにポリフェノール含有飲料またはその原料を通液することにより行うこともできる。
ポリフェノール含有飲料またはその原料と、本発明の高分子基材との接触時間と接触温度は後記実施例を参照しつつ、除去すべきポリフェノールの量に応じて適宜決定することができる。
本発明の製造方法によれば、ポリフェノール含有量が低減された飲料を製造することができる。ここで、「ポリフェノール含有量が低減された飲料」とは、本発明の高分子基材と接触させずに製造されたポリフェノール含有飲料と比較してポリフェノール含有量が低減された飲料を意味し、例えば、本発明の高分子基材と接触させずに製造された飲料のポリフェノール含有量の90%以下(好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下)のポリフェノール含有量を有する飲料が挙げられる。
本発明の製造方法では、本発明の高分子基材と接触させた後の飲料またはその原料のpHの変動幅が小さく抑えられるという特徴を有する。具体的には、本発明の高分子基材と接触させた後の飲料またはその原料のpHは接触前のpHに対して±0.3の範囲内(好ましくは±0.2の範囲内)を達成することができる。接触工程においてpHの変動が大きいとその後の工程においてpH調整剤等によりpHを調整する必要があり、pH調整剤等により飲料の香味が影響を受ける恐れがあるが、本発明の製造方法では本発明の高分子基材との接触後のpHの変動幅が小さいため、pH調整剤によるpH調整の必要が殆どなく、香味に優れた飲料を製造できる。ここで、pHの変動が±0.3の範囲内ということは、例えば、本発明の高分子基材と接触させる前の飲料またはその原料のpHが5.88であった場合には、接触後のpHが5.58〜6.18であることを意味する。
本発明の製造方法では、ポリフェノール含有飲料またはその原料を本発明の高分子基材と接触させるが、ポリフェノール含有飲料と接触させるか、その原料と接触させるかは、ポリフェノールの除去率、製造効率、香味への影響等を考慮し、飲料ごとに決定することができる。例えば、茶飲料やコーヒー飲料を製造する場合には、茶抽出液やコーヒー抽出液を本発明の高分子基材と接触させることができる。本発明において用いられる茶抽出液とは、茶葉から抽出した茶抽出液のみならず、ポリフェノン(三井農林社製)や、サンフェノン(太陽化学社製)およびテアフラン(伊藤園社製)などの市販品の茶エキスやパウダーを用いることができ、これらのエキスやパウダーを水や湯で溶解したものを使用してもよい。さらにこれらの濃縮茶抽出物や精製茶抽出物は、単独で使用しても、複数の種類を混合して用いてもよく、あるいは茶抽出液と混合して用いてもよい。
また、発酵麦芽飲料や果実酒などの醸造酒を製造する場合には、発酵前液あるいは醸造後の発酵液を本発明の高分子基材と接触させることができるが、製造効率の観点から発酵液を本発明の高分子基材と接触させることが好ましい。また、果実飲料や野菜飲料を製造する場合には、濃縮果汁や濃縮野菜汁を本発明の高分子基材と接触させることができる。
本発明の製造方法では、ポリフェノール含有飲料またはその原料と、本発明の高分子基材とを接触させること以外は、通常の飲料の製造手順に従って実施することができる。
例えば、茶飲料やコーヒー飲料を製造する場合には、本発明の高分子基材と接触させた茶抽出液やコーヒー抽出液に、必要に応じて、通常の茶飲料およびコーヒー飲料の製造に用いられる配合成分を添加することにより茶飲料やコーヒー飲料を製造することができる。上記配合成分としては、例えば、甘味料、酸味料、香料、色素、苦味料、保存料、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、食物繊維、pH調整剤、酵素、強化剤等の食品添加剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、発酵麦芽飲料や果実酒などの醸造酒を製造する場合には、本発明の高分子基材と接触させた醸造後の発酵液に、必要に応じて、通常の醸造酒の製造に用いられる配合成分を添加することにより醸造酒を製造することができる。上記配合成分としては、例えば、甘味料、酸味料、香料、色素、起泡・泡持ち向上剤、苦味料、保存料、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、食物繊維、pH調整剤、酵素、強化剤等の食品添加剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明により製造されたポリフェノール含有量が低減された飲料は、上記配合工程に加え、充填工程、殺菌工程などの工程を経て容器詰め飲料として提供することができる。例えば、上記配合工程で得られた配合液を常法に従って殺菌し、容器に充填することができる。殺菌は容器への充填前であっても充填後であってもよい。充填工程および殺菌工程は当業界に公知であり、液種に応じて適宜決定することができる。
本発明により製造された飲料に使用される容器は、飲料の充填に通常使用される容器であればよく、液種に応じて適宜選択することができる。容器の例としては、金属缶、樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル、カップ)、紙容器、瓶、パウチ容器等が挙げられるが、好ましくは、金属缶・樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル)、瓶が挙げられる。容器詰め飲料では長期間の保存によっても混濁や沈殿等が発生するという問題があったが、本発明の製造方法ではポリフェノールを効率的に除去できるため、容器詰め飲料の製造に好適である。
本発明の製造方法では、ポリフェノールの吸着に使用した高分子基材を再生処理に付すことによって、ポリフェノールの吸着機能が再生した高分子基材を準備し、再生処理に付された該高分子基材を、再度、ポリフェノールの吸着に使用してもよい。すなわち、本発明の製造方法は、ポリフェノール吸着後の高分子基材を再生剤と接触させ、次いで、ポリフェノール吸着能が再生した高分子基材を得る工程を含んでいてもよい。また、ポリフェノール吸着後の高分子基材を再生剤と接触させた後に、高分子基材から溶離したポリフェノールを回収する工程をさらに含んでいてもよい。使用済み高分子基材からポリフェノールを脱離させる再生剤は、食品衛生上許容されるものであれば中性再生剤、アルカリ性再生剤、酸性再生剤のいずれであってもよい。中性再生剤としては、例えば、イオン交換水が挙げられ、アルカリ性再生剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの1種または2種以上のアルカリ成分を主成分とする水溶液が挙げられ、酸性再生剤としては、例えば、リン酸、塩酸、硝酸、硫酸、クエン酸、次亜塩素酸などの1種または2種以上の酸を主成分とする水溶液が挙げられる。このように本発明の製造方法で使用する高分子基材は再生利用が可能であるので、繰り返し使え、廃棄が不要であるため、製造コストを低廉化できる点で有利である。
本発明の製造方法で使用する高分子基材はまた、繊維状など様々な形状に加工することができるため、ハンドリングの問題もなく、ポリフェノール含有量が低減された飲料を簡便に製造することができる。また、本発明の高分子基材との接触工程においては維持工程やろ過工程が不要なため、工程が単純化され、製造効率が向上する点でも有利である。さらに、本発明の高分子基材は固体状であるため、膨潤性の問題がない点でも有利である。
本発明の別の面によれば、式(I)で表される1種または2種以上の化合物を含む重合性モノマーをグラフト重合させてなる高分子基材を用いることを含んでなる、ポリフェノール含有量を低減する方法が提供される。本発明のポリフェノール含有量低減方法は、ポリフェノール含有飲料およびその原料などのポリフェノール含有物に対して用いることができる。例えば、本発明によれば、ポリフェノール含有飲料またはその原料と、前記式(I)(式中、R、RおよびXは、前記[1]において定義された内容と同義である。)で表される1種または2種以上の化合物を含む重合性モノマーをグラフト重合させてなる高分子基材とを接触させることを含んでなる、ポリフェノール含有飲料またはその原料においてポリフェノール含有量を低減する方法が提供される。本発明のポリフェノール含有量低減方法は、本発明の製造方法の記載内容に従って実施することができる。
例1:重合性モノマーの種類と緑茶中のカテキン除去特性
(1)緑茶抽出液の調製
緑茶葉10gに対して70℃の熱水400gを添加し、10分間抽出した。抽出後に目開き100μmのメッシュを通し、氷上で20℃まで急速冷却し、緑茶抽出液を得た。
(2)グラフト重合ナイロン繊維体の作成
基材となるナイロン繊維に40kGyの電子線を照射してラジカルを発生させた後、下記表2に記載の種々の重合性モノマー水溶液(10%(v/v))に、40℃、6時間の条件で浸漬させ、グラフト重合ナイロン繊維体を得た。N,N−ジメチルアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびN,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドンをグラフト重合させた繊維体のグラフト率はそれぞれ、179%、224%、226%、210%、160%、139%、78%であった。また、グリシジルメタクリレート、トリエチレンジアミン、イミノ二酢酸ナトリウム、ジメチルアミノエチルメタクリレートをグラフト重合させた繊維体の官能基密度はそれぞれ、4.0mmol/g、2.0mmol/g、1.9mmol/g、2.5mmol/gであった。
グラフト率とは、基材となるナイロンに対するモノマーが重合することできたグラフト鎖の質量増加率であり、下記式に従って算出する。
Figure 0006917151
また、官能基密度とは、グラフト重合繊維質量あたりの官能基量であり、下記式に従って算出する。
Figure 0006917151
(3)緑茶抽出液へのグラフト重合繊維体処理
上記(1)で得られた緑茶抽出液に、上記(2)で得られたグラフト重合繊維体を、抽出液に対し1質量%となるように添加し、所定温度(20℃)で1〜3時間振とう接触させた。その後、グラフト重合繊維体を除去し、緑茶処理液を得た。
(4)総カテキン濃度の測定
上記(3)で得られた緑茶処理液を、メンブレンフィルター(DISMIC 親水性PTFE、0.45μm、アドバンテック社製)で濾過した後、表1に示すHPLC分析条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供し、総カテキン濃度を測定した。
ここでいう総カテキンとは、一般的に緑茶中に存在するカテキン類の合計で、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキンガレート(EGCg)、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)の8種類の合計をいう。
グラフト重合繊維体処理前後の緑茶抽出液の総カテキン濃度から、グラフト重合繊維体に吸着された総カテキン量を総カテキン除去率として算出した。
グラフト重合繊維体処理前の緑茶抽出液の総カテキン濃度は188〜272mg/100mlであった。
Figure 0006917151
(5)pH測定
上記(3)で得られた緑茶処理液について、それぞれpHメーター(クボタ社製)を用いて測定し、グラフト重合繊維体処理前後のpH変化をΔpHとして算出した。グラフト重合繊維体処理前の緑茶抽出液のpHは5.66〜5.88であった。
(6)結果
各種グラフト重合繊維体による総カテキン除去率、ΔpH、総合評価は表2に示される通りであった。
Figure 0006917151
種々の重合性モノマーのうち、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびN,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドンを重合させた繊維体が、カテキン吸着能が高く、かつ、接触後のpH変動が小さく良好な結果が得られることが判明した。緑茶を容器詰め飲料として製造する場合、pHを調整するための添加物が香味に影響を及ぼすことから、香味の良好な飲料を製造するためには、処理液のpHの変動の小さい重合性モノマーを選択することが望ましい。N,N−ジメチルアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびN,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびN−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよびN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドンを重合させた繊維体はpH変動が小さく、かつ、カテキン除去率も高いことから、他の重合繊維体と比較して非常に有利であることが判明した。
例2:グラフト重合繊維体の添加率と緑茶中のカテキン除去特性
(1)緑茶抽出液の調製
例1の(1)と同様に緑茶抽出液を得た。
(2)グラフト重合ナイロン繊維体の作成
例1の(2)と同様に、基材となるナイロン繊維に40kGyの電子線を照射してラジカルを発生させた後、下記表3に記載の種々の重合性のモノマー溶液(10%(v/v))に、40℃、6時間の条件で浸漬させ、グラフト重合ナイロン繊維体を得た。
(3)緑茶抽出液へのグラフト重合繊維体処理
上記(2)によって得られたグラフト重合繊維体を、異なる添加率で緑茶抽出液に添加し、所定温度(20℃)で3時間振とう接触させた後、グラフト重合繊維体を除去し、緑茶処理液を得た。
(4)総カテキン濃度の測定
例1の(4)と同様に、総カテキン濃度を測定し、総カテキン除去率を算出した。グラフト重合繊維体処理前の緑茶抽出液の総カテキン濃度は267.2mg/100mlであった。
(5)結果
各種グラフト重合繊維体のグラフト率、添加率、処理後の総カテキン除去率は表3に示される通りであった。また、グラフト重合繊維体の添加率(%)と総カテキン除去率(%)の関係は図1に示される通りであった。
Figure 0006917151
グラフト重合繊維体の添加率が増加するにつれて、総カテキンの除去率が高くなることが判明した。
例3:グラフト重合繊維体のグラフト率と緑茶中のカテキン除去特性
(1)緑茶抽出液の調製
例1の(1)と同様に緑茶抽出液を得た。
(2)グラフト重合ナイロン繊維体の作成
例1の(2)と同様に、基材となるナイロン繊維に40kGyの電子線を照射してラジカルを発生させた後、下記表4に記載の種々の重合性のモノマー溶液(10%(v/v))に、40℃で所定の時間浸漬させ、グラフト率の異なるグラフト重合ナイロン繊維体を得た。
(3)緑茶抽出液へのグラフト重合繊維体処理
上記(1)で得られた緑茶抽出液に、上記(2)で得られたグラフト重合繊維体を、抽出液に対し1質量%となるように添加し、所定温度(20℃)で3時間振とう接触させた後、グラフト重合繊維体を除去し、緑茶処理液を得た。
(4)総カテキン濃度の測定
例1の(4)と同様に、総カテキン濃度を測定し、総カテキン除去率を算出した。グラフト重合繊維体処理前の緑茶抽出液の総カテキン濃度は271.5mg/100mlであった。
(5)結果
各種グラフト重合繊維体のグラフト率、処理後の総カテキン除去率は表4に示される通りであった。また、グラフト重合繊維体のグラフト率(%)と総カテキン除去率(%)の関係は図2に示される通りであった。
Figure 0006917151
グラフト重合繊維体のグラフト率が上がるにつれて、総カテキンの除去率が高くなることが判明した。
例4:接触時間と緑茶中のカテキン除去特性
(1)緑茶抽出液の調製
例1の(1)と同様に緑茶抽出液を得た。
(2)グラフト重合ナイロン繊維体の作成
例1の(2)と同様に、基材となるナイロン繊維に40kGyの電子線を照射してラジカルを発生させた後、下記表5に記載の種々の重合性のモノマー溶液(10%(v/v))に、40℃、6時間の条件で浸漬させ、グラフト重合ナイロン繊維体を得た。
(3)緑茶抽出液へのグラフト重合繊維体処理
上記(1)で得られた緑茶抽出液に、上記(2)で得られたグラフト重合繊維体を、抽出液に対し1質量%となるように添加し、所定温度(20℃)で種々の接触時間となるように、緑茶抽出液と振とう接触させた後、グラフト重合繊維体を除去し、緑茶処理液を得た。
(4)総カテキン濃度の測定
例1の(4)と同様に、総カテキン濃度を測定し、総カテキン除去率を算出した。グラフト重合繊維体処理前の緑茶抽出液の総カテキン濃度は210〜287mg/100mlであった。
(5)結果
各種グラフト重合繊維体のグラフト率、接触時間、処理後の総カテキン除去率は表5に示される通りであった。また、グラフト重合繊維体の接触時間(分)と総カテキン除去率(%)の関係は図3に示される通りであった。
Figure 0006917151
Figure 0006917151
グラフト重合繊維体の接触時間が長いほど、総カテキンの除去率が高くなることが判明した。
例5:接触温度と緑茶中のカテキン除去特性
(1)緑茶抽出液の調製
例1の(1)と同様に緑茶抽出液を得た。
(2)グラフト重合ナイロン繊維体の作成
例1の(2)と同様に、基材となるナイロン繊維に40kGyの電子線を照射してラジカルを発生させた後、下記表6に記載の種々の重合性のモノマー溶液(10%(v/v))に、40℃、6時間の条件で浸漬させ、グラフト重合ナイロン繊維体を得た。
(3)緑茶抽出液へのグラフト重合繊維体処理
上記(1)で得られた緑茶抽出液に、上記(2)で得られたグラフト重合繊維体を、抽出液に対し1質量%となるように添加し、種々の温度条件下で3時間振とう接触させた後、グラフト重合繊維体を除去し、緑茶処理液を得た。
(4)総カテキン濃度の測定
例1の(4)と同様に、総カテキン濃度を測定し、総カテキン除去率を算出した。グラフト重合繊維体処理前の緑茶抽出液の総カテキン濃度は267.2 mg/100mlであった。
(5)結果
各種グラフト重合繊維体のグラフト率、接触温度、処理後の総カテキン除去率は表6に示される通りであった。また、グラフト重合繊維体の接触温度(℃)と総カテキン除去率(%)の関係は図4に示される通りであった。
Figure 0006917151
グラフト重合繊維体の接触温度による総カテキンの除去率への影響は、導入するモノマーによって異なる特性があることが判明した。
例6:再生処理条件とポリフェノール除去特性
(1)緑茶抽出液の調製
例1の(1)と同様に緑茶抽出液を得た。
(2)グラフト重合ナイロン繊維体の作成
例1の(2)と同様に、基材となるナイロン繊維に40kGyの電子線を照射してラジカルを発生させた後、下記表7に記載の種々の重合性のモノマー溶液(10%(v/v))に、40℃、6時間の条件で浸漬させ、グラフト重合ナイロン繊維体を得た。
(3)緑茶抽出液へのグラフト重合繊維体処理
上記(1)で得られた緑茶抽出液に、上記(2)で得られたグラフト重合繊維体を、抽出液に対し1質量%となるように添加し、所定温度(20〜24℃)条件下で所定時間、緑茶抽出液と振とう接触させた後、グラフト重合繊維体を除去し、緑茶処理液を得た。
(4)再生処理
上記(3)で緑茶抽出液と接触させたグラフト重合繊維体について、水酸化ナトリウム溶液を用い、所定の温度で5〜30分間洗浄し再生処理を行った。さらに20〜25℃のイオン交換水で中和洗浄を行った。再生処理を行った後のグラフト重合ナイロン繊維体について、それぞれ、上記(3)と同様の条件で再度、処理前の緑茶抽出液と接触させ、緑茶処理液を得た。
(5)総カテキン濃度の測定
例1の(4)と同様に、総カテキン濃度を測定し、1回目の総カテキン除去率と、再生処理後の総カテキン除去率から、下記式に従って吸着再生率を算出した。
Figure 0006917151
グラフト重合繊維体処理前の緑茶抽出液の総カテキン濃度は191〜318g/100mlであった。
(6)結果
各種グラフト重合繊維体のグラフト率、再生回数、再生率は表7に示される通りであった。
Figure 0006917151
水酸化ナトリウム溶液を用いてグラフト重合繊維体の再生処理を実施することで、ポリフェノール除去能がほぼ100%回復することが判明した。
例7:緑茶以外の飲料に対するポリフェノール除去特性
(1)紅茶抽出液の調製
紅茶葉10gに対して90℃の熱水400gを添加し、10分間抽出した。抽出後に目開き100μmのメッシュを通し、氷上で20℃まで急速冷却し、紅茶抽出液を得、供試用サンプル液とした。
(2)グラフト重合ナイロン繊維体の作成
例1の(2)と同様に、基材となるナイロン繊維に40kGyの電子線を照射してラジカルを発生させた後、重合性のモノマー溶液(10%(v/v))に、40℃、6時間の条件で浸漬させ、グラフト重合ナイロン繊維体を得た。
(3)供試用サンプル液へのグラフト重合繊維体処理
上記(1)で得られた供試用サンプル液に、上記(2)で得られたグラフト重合繊維体を、サンプル液に対し1質量%となるように添加し、所定温度(20℃)で3時間振とう接触させた後、グラフト重合繊維体を除去し、サンプル処理液を得た。
(4)ポリフェノール濃度の測定
紅茶抽出液のポリフェノール濃度の測定には、酒石酸鉄法を用いた。酒石酸鉄法は、液中のポリフェノールと、酒石酸鉄試薬とを反応させて生じた紫色成分について、540nmで吸光度を測定する。没食子酸エチルなどの標準物質で同様の操作を行い、その化合物換算でポリフェノール量を定量する。グラフト重合繊維体処理前の紅茶抽出液の総ポリフェノール濃度は246.7mg/100mlであった。
(5)結果
供試用サンプル(紅茶)に接触させた各種グラフト重合繊維体のグラフト率とポリフェノール除去率は表8に示される通りであった。
Figure 0006917151

Claims (11)

  1. ポリフェノール含有飲料またはその原料と、下記式(I):
    Figure 0006917151
    (上記式中、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは1または2以上の水酸基により置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは−O−または−N(−R)−を表し、Rは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
    で表される1種または2種以上の化合物を含む重合性モノマーをグラフト重合させてなる高分子基材とを接触させることを含んでなる、ポリフェノール含有量が低減された飲料の製造方法であって、高分子基材が繊維状、中空糸状または不織布状である、製造方法
  2. 式(I)の化合物が、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレートおよびN−イソプロピルアクリルアミドからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 重合性モノマーが、N−ビニル−アルキルアミドをさらに含んでなる、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 高分子基材と接触させた後の飲料またはその原料のpHが接触前のpHに対して±0.3の範囲内にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 高分子基材が、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロースまたはウレタンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 高分子基材が、再生処理に付された高分子基材である、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 再生処理が、ポリフェノールを吸着した高分子基材を、中性再生剤、アルカリ性再生剤または酸性再生剤と接触させることにより行われる、請求項に記載の製造方法。
  8. ポリフェノール含有飲料が、茶飲料、醸造酒、蒸留酒、野菜飲料、果実飲料、果実・野菜ミックスジュース、コーヒー飲料、穀物乳、酢飲料若しくはノンアルコールビールテイスト飲料またはこれらの組合せである、請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 茶飲料が、緑茶、紅茶、ウーロン茶またはブレンド茶である、請求項8に記載の製造方法。
  10. ポリフェノール含有飲料が、容器詰め飲料である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 下記式(I):
    Figure 0006917151
    (上記式中、R、RおよびXは、請求項1において定義された内容と同義である。)
    で表される1種または2種以上の化合物を含む重合性モノマーをグラフト重合させてなる高分子基材を用いることを含んでなる、ポリフェノール含有飲料またはその原料においてポリフェノール含有量を低減する方法であって、高分子基材が繊維状、中空糸状または不織布状である、方法
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