JP6916792B2 - シリコンウェーハ粗研磨用組成物の濃縮液 - Google Patents

シリコンウェーハ粗研磨用組成物の濃縮液 Download PDF

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Description

本発明は、シリコンウェーハ粗研磨用組成物の濃縮液に関する。
本出願は、2016年8月2日に出願された日本国特許出願2016−152324号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
半導体製品の製造等に用いられるシリコン基板の表面は、一般に、ラッピング工程とポリシング工程とを経て高品位の鏡面に仕上げられる。上記ポリシング工程は、典型的には、予備ポリシング工程と仕上げポリシング工程とを含む。なお、予備ポリシング工程は粗研磨工程ともいう。仕上げポリシング工程は仕上げ研磨工程ともいう。この種の研磨用組成物は、製造や流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から、研磨対象物に供給される前には濃縮された形態であり得る。すなわち、上記研磨用組成物は、研磨液の濃縮液の形態であり得る。調製された濃縮液は、水等で希釈された後、研磨に用いられる。この種の従来技術を開示する文献として、特許文献1が挙げられる。特許文献2は、研磨用組成物に用いられるヒドロキシセルロースの慣性半径を開示する文献である。
日本国特許出願公開2012−89862号公報 日本国特許出願公開2015−124231号公報
本発明者らは、シリコンウェーハ粗研磨用組成物の性能向上について検討を行った結果、水溶性高分子を添加し、かつその慣性半径が大きいほど、研磨性能が改善されるという知見を得た。ここでいう研磨性能は、典型的には平坦度、例えばGBIR(Global Backside Ideal Range)である。しかしその一方で、水溶性高分子の慣性半径が大きすぎると、濃縮液の段階での安定性が低下傾向となる。具体的には、上記濃縮液は、砥粒、水溶性高分子等の成分を使用時よりも高濃度で含有するため、含有成分が分離、凝集するなど良好な安定性が得られないおそれがある。高濃度の濃縮液の形態においても、安定性に優れ、かつ希釈後には良好な研磨性能を発揮し得る研磨用組成物が提供されれば、利便性、コスト低減等の点でも有利であり、実用上の利点は大きい。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、希釈後には良好な研磨性能を発揮することが可能であり、かつ安定性に優れたシリコンウェーハ粗研磨用組成物の濃縮液を提供することを目的とする。
本発明によると、砥粒、塩基性化合物および水溶性高分子を含むシリコンウェーハ粗研磨用組成物の濃縮液が提供される。前記濃縮液中における前記砥粒の粒子間距離d[nm]に対する前記水溶性高分子の慣性半径rg[nm]の比[rg/d]は4.7以下である。かかる構成の濃縮液は、優れた安定性を示し、希釈後には良好な研磨性能を発揮することができる。上記研磨性能は、典型的には平坦度改善効果である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
<研磨用組成物の濃縮液>
(特性)
ここに開示される研磨用組成物の濃縮液は砥粒と水溶性高分子とを含む。上記研磨用組成物の濃縮液は、以下、単に「濃縮液」と略す場合がある。そして、かかる濃縮液は、砥粒の粒子間距離d[nm]に対する水溶性高分子の慣性半径rg[nm]の比[rg/d]が4.7以下であることによって特徴づけられる。上記特性を満足する濃縮液は優れた安定性を示す。その理由としては、特に限定して解釈されるものではないが、上記比[rg/d]を満足することにより、濃縮液中にて水溶性高分子が砥粒粒子間に安定して存在することができ、濃縮液の主たる含有成分である砥粒粒子および水溶性高分子が、濃縮液中で安定して分散することができるためと考えられる。また、当該濃縮液を希釈して研磨液として用いたときには、上記水溶性高分子を含むことにより、研磨対象基板、すなわちシリコンウェーハ、に対して良好な研磨性能を発揮することができる。上記研磨性能は、具体的には平坦度向上効果である。上記比[rg/d]は、安定性向上の観点から、好ましくは3.8以下、より好ましくは2.8以下、さらに好ましくは2.5以下、特に好ましくは1.9以下である。特に好ましい一態様において、上記比[rg/d]は、典型的には1.0以下である。上記比[rg/d]の下限は、特に限定されず、濃縮液の濃縮効率や研磨性能等の観点から、通常は凡そ0.3以上、例えば0.6以上であり得る。砥粒の粒子間距離d[nm]および水溶性高分子の慣性半径rg[nm]は、後述の方法で測定される。
(砥粒)
ここに開示される砥粒は、砥粒粒子の粒子間距離d[nm]が上記比[rg/d]を満足する含有量で濃縮液中に含まれている。好ましい一態様では、上記砥粒の粒子間距離dは200nm以下である。ここに開示される技術によると、上記のように砥粒の粒子間距離dが所定値以下であり、濃縮液中において砥粒粒子が比較的近接した状態であっても、優れた安定性を実現することができる。上記粒子間距離dは、濃縮液の濃縮効率の観点から、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下、特に好ましくは80nm以下である。特に好ましい一態様において、上記粒子間距離dは、典型的には70nm以下である。さらには、上記比[rg/d]を満足する範囲内において、上記粒子間距離dは、例えば60nm以下、さらには40nm以下であってもよい。
なお、本明細書において砥粒粒子の粒子間距離d[nm]は、濃縮液中に含まれる砥粒粒子が均一分散していると仮定して、球の最密充填率[74%]に基づき、式:
d[nm]=R×2−D1
;から求められる理論値である。ここで、Rは、一の砥粒粒子を中心とし、隣接する砥粒粒子の対応する球と外接する球の半径[nm]であり、D1は砥粒粒子の平均一次粒子径[nm]である。Rは、濃縮液において一の砥粒粒子に割り当てられる濃縮液の体積を有する球の半径[nm]と言い換えることができ、次の方法で求められる。具体的には、単位体積、例えば1L、の濃縮液の体積に充填率74%を乗じた値を、該単位体積の濃縮液に含まれる砥粒粒子の個数で除して、一の砥粒粒子が占め得る最大サイズの球の体積Vを求め、式:V=4/3×πR ;からRは求められる。単位体積の濃縮液に含まれる砥粒粒子の個数は、単位体積、例えば1L、の濃縮液当たりの砥粒の重量[g/L]を砥粒粒子1個当たりの重量[g]で除することにより求められる。単位体積の濃縮液当たりの砥粒の重量は、濃縮液中の砥粒粒子の含有量および比重、ならびに濃縮液に含まれる砥粒以外の成分の含有量および比重から求められる。砥粒の比重は、例えばシリカ砥粒の場合、2.2g/cmである。濃縮液に含まれる砥粒以外の成分は、通常は水系溶媒を主成分とする。砥粒粒子1個当たりの重量[g]は、砥粒粒子の平均一次粒子径[nm]から、一次粒子を真球とみなしたときの球体積と砥粒粒子の比重とから求められる。
ここに開示される技術において、濃縮液、当該濃縮液を希釈した研磨用組成物に含まれる砥粒の材質や性状は特に制限されず、使用目的や使用態様等に応じて適宜選択することができる。砥粒の例としては、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子が挙げられる。無機粒子の具体例としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、ベンガラ粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩等が挙げられる。有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子やポリ(メタ)アクリル酸粒子、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。このような砥粒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸を包括的に指す意味である。
上記砥粒としては、無機粒子が好ましく、なかでも金属または半金属の酸化物からなる粒子が好ましい。ここに開示される技術において特に好ましい砥粒として、シリカ粒子が挙げられる。ここに開示される技術は、例えば、上記砥粒が実質的にシリカ粒子からなる態様で好ましく実施され得る。ここで「実質的に」とは、砥粒を構成する粒子の95重量%以上、好ましくは98重量%以上、より好ましくは99重量%以上がシリカ粒子であることをいい、砥粒を構成する粒子の100重量%がシリカ粒子であってもよい。
シリカ粒子の具体例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、沈降シリカ等が挙げられる。シリカ粒子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。研磨対象物表面にスクラッチを生じにくく、かつ良好な研磨性能を発揮し得ることから、コロイダルシリカが特に好ましい。ここで良好な研磨性能とは、表面粗さを低下させる性能等を指す。コロイダルシリカとしては、例えば、イオン交換法により水ガラスを原料として作製されたコロイダルシリカや、アルコキシド法コロイダルシリカを好ましく採用することができる。なお、水ガラスは珪酸Naともいう。アルコキシド法コロイダルシリカとは、アルコキシシランの加水分解縮合反応により製造されたコロイダルシリカをいう。コロイダルシリカは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
シリカ粒子を構成するシリカの真比重は、1.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.6以上、さらに好ましくは1.7以上である。シリカの真比重の増大により、研磨レートは高くなる傾向にある。かかる観点から、真比重が2.0以上のシリカ粒子が特に好ましい。特に好ましい一態様において、上記真比重は、例えば2.1以上である。シリカの真比重の上限は特に限定されないが、典型的には2.3以下、例えば2.2以下である。シリカの真比重としては、置換液としてエタノールを用いた液体置換法による測定値を採用し得る。
ここに開示される砥粒の平均一次粒子径は特に限定されない。上記砥粒は、典型的にはシリカ粒子である。研磨レート等の観点から、上記平均一次粒子径は、5nm以上が適当であり、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは40nm以上、特に好ましくは45nm以上である。特に好ましい一態様において、上記平均一次粒子径は、例えば50nm以上である。また、スクラッチ防止等の観点から、砥粒の平均一次粒子径は、200nm以下程度とすることが適当であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは70nm以下である。特に好ましい一態様において、砥粒の平均一次粒子径は60nm以下、例えば55nm以下であり得る。
なお、本明細書において平均一次粒子径とは、BET法により測定される比表面積から、BET径[nm]=6000/(真密度[g/cm]×BET値[m/g])の式により算出される粒子径をいう。ここで、BET法により測定される比表面積のことをBET値という。例えばシリカ粒子の場合、BET径[nm]=2727/BET値[m/g]によりBET径を算出することができる。比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。
砥粒の形状は、球形であってもよく、非球形であってもよい。上記形状とは、外形のことである。非球形をなす粒子の具体例としては、ピーナッツ形状、繭型形状、金平糖形状、ラグビーボール形状等が挙げられる。ピーナッツ形状とは、すなわち、落花生の殻の形状のことである。例えば、粒子の多くがピーナッツ形状をした砥粒を好ましく採用し得る。
特に限定するものではないが、砥粒の長径/短径比の平均値は、原理的に1.0以上であり、好ましくは1.05以上、さらに好ましくは1.1以上である。砥粒の長径/短径比の平均値は、平均アスペクト比ともいう。平均アスペクト比の増大によって、より高い研磨レートが実現され得る。また、砥粒の平均アスペクト比は、スクラッチ低減等の観点から、好ましくは3.0以下であり、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。
砥粒の形状(外形)や平均アスペクト比は、例えば、電子顕微鏡観察により把握することができる。平均アスペクト比を把握する具体的な手順としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、独立した粒子の形状を認識できる所定個数のシリカ粒子について、各々の粒子画像に外接する最小の長方形を描く。ここで所定個数とは、例えば200個である。そして、各粒子画像に対して描かれた長方形について、その長辺の長さ(長径の値)を短辺の長さ(短径の値)で除した値を長径/短径比(アスペクト比)として算出する。上記所定個数の粒子のアスペクト比を算術平均することにより、平均アスペクト比を求めることができる。
ここに開示される濃縮液における砥粒の含有量(濃度)は、例えば50重量%以下とすることができる。濃縮液の安定性や濾過性等の観点から、通常は砥粒の含有量は、45重量%以下、例えば40重量%以下、典型的には35重量%以下とすることが適当である。上記砥粒の含有量は、好ましくは30重量%以下であり、より好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。さらに好ましい一態様において、上記砥粒の含有量は、例えば15重量%以下である。上記濃縮液における砥粒の含有量は、希釈後の研磨用組成物の砥粒濃度や、製造、流通、保存等の利便性等の観点から、通常は1重量%以上、例えば3重量%以上、典型的には5重量%以上とすることが適当である。上記砥粒の含有量は、好ましくは8重量%以上である。好ましい一態様において、上記砥粒の含有量は、例えば10重量%以上、さらには12重量%以上である。
(水溶性高分子)
ここに開示される濃縮液に含まれる水溶性高分子としては、所定値以下の比[rg/d]を満足する慣性半径(rg:radius of gyration)を有するものが用いられる。かかる水溶性高分子を含む研磨スラリーは、研磨対象基板によく濡れて馴染み、その結果、研磨性能を改善することができる。ここでいう研磨性能は、典型的には平坦度である。なお、水溶性高分子の慣性半径rgは、当該高分子の親水性、分子量等によって主として決定され得る、水溶液における水溶性高分子一分子のサイズである。上記慣性半径rgの上限値は、比[rg/d]の上限が制限されていることから、上記粒子間距離dとの相対的関係において制限された値となる。一態様に係る水溶性高分子の慣性半径rgは、凡そ500nm以下であり、300nm以下程度であることが適当である。また、慣性半径rgが220nm以下、より好ましくは150nm以下の水溶性高分子を用いると、上記比[rg/d]は好ましく満足され得る。濃縮効率も改善される傾向がある。上記慣性半径rgは凡そ100nm以下、例えば70nm以下であってもよい。また、好ましい一態様では、水溶性高分子の慣性半径rgは30nm以上であり、より好ましくは50nm以上である。研磨対象基板の濡れ性の観点から、上記慣性半径rgは80nm以上がより好ましく、100nm以上がさらに好ましく、120nm以上が特に好ましい。特に好ましい一態様において、上記慣性半径rgは、例えば140nm以上である。ここに開示される技術によると、水溶性高分子の慣性半径rgが所定値以上であっても、濃縮液は優れた安定性を実現することができる。また、慣性半径rgが所定値以上の水溶性高分子を含む研磨液を使用すると、基板表面への濡れ性がよりよく発揮され、研磨性能がさらに改善する傾向がある。ここでいう研磨性能は、典型的には平坦度である。なお、本明細書における水溶性高分子の慣性半径rgは、後述の実施例に記載の方法で測定される。
ここに開示される濃縮液に含まれる水溶性高分子の種類は特に制限されず、研磨用組成物の分野において公知の水溶性高分子種のなかから適宜選択することができる。水溶性高分子は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。水溶性高分子の例としては、セルロース誘導体、デンプン誘導体、オキシアルキレン単位を含むポリマー、窒素原子を含有するポリマー、ポリビニルアルコール等が挙げられる。なかでも、平坦度向上の観点から、セルロース誘導体、デンプン誘導体が好ましく、セルロース誘導体がより好ましい。
セルロース誘導体は、主たる繰返し単位としてβ−グルコース単位を含むポリマーである。セルロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。なかでもHECが好ましい。
デンプン誘導体は、主たる繰返し単位としてα−グルコース単位を含むポリマーである。デンプン誘導体の具体例としては、アルファ化デンプン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、シクロデキストリン等が挙げられる。なかでもプルランが好ましい。
オキシアルキレン単位を含むポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド(PEO)や、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)とのブロック共重合体、EOとPOまたはBOとのランダム共重合体等が例示される。そのなかでも、EOとPOのブロック共重合体またはEOとPOのランダム共重合体が好ましい。EOとPOとのブロック共重合体は、PEOブロックとポリプロピレンオキサイド(PPO)ブロックとを含むジブロック体、トリブロック体等であり得る。上記トリブロック体の例には、PEO−PPO−PEO型トリブロック体およびPPO−PEO−PPO型トリブロック体が含まれる。通常は、PEO−PPO−PEO型トリブロック体がより好ましい。
EOとPOとのブロック共重合体またはランダム共重合体において、該共重合体を構成するEOとPOとのモル比[EO/PO]は、水への溶解性や洗浄性等の観点から、1より大きいことが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上であることがさらに好ましい。さらに好ましい一態様において、上記モル比[EO/PO]は、例えば5以上である。
窒素原子を含有するポリマーとしては、主鎖に窒素原子を含有するポリマーおよび側鎖官能基(ペンダント基)に窒素原子を有するポリマーのいずれも使用可能である。窒素原子を含有するポリマーを使用することで、基板の表面粗さを改善することができる。主鎖に窒素原子を含有するポリマーの例としては、N−アシルアルキレンイミン型モノマーの単独重合体および共重合体が挙げられる。N−アシルアルキレンイミン型モノマーの具体例としては、N−アセチルエチレンイミン、N−プロピオニルエチレンイミン等が挙げられる。ペンダント基に窒素原子を有するポリマーとしては、例えばN−ビニル型のモノマー単位を含むポリマー等が挙げられる。例えば、N−ビニルピロリドンの単独重合体および共重合体等を採用し得る。ここに開示される技術においては、N−ビニルピロリドンが50モル%以上の割合で重合されたN−ビニルピロリドンの単独重合体および共重合体の少なくとも1種(以下「PVP」ともいう。)が好ましく用いられる。
水溶性高分子としてポリビニルアルコールを用いる場合、該ポリビニルアルコールのけん化度は特に限定されない。
ここに開示される技術において、水溶性高分子の分子量は、所定値以下の比[rg/d]を満足する範囲で適切に設定され得る。水溶性高分子の重量平均分子量(Mw)は、安定性や濃縮効率等の観点から、凡そ200×10以下とすることができ、通常は150×10以下、例えば100×10以下が適当である。上記Mwは、例えば50×10以下、30×10以下であってもよい。また、基板表面の保護性や研磨性能向上の観点から、通常は、Mwは1×10以上が適当であり、10×10以上がより好ましく、20×10以上がさらに好ましい。上記Mwは、例えば50×10以上、100×10以上であってもよい。上記Mwは、セルロース誘導体に対して特に好ましく適用され得る。上記セルロース誘導体としては、例えばHECが挙げられる。
なお、水溶性高分子のMwとしては、水系のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)に基づく値(水系、ポリエチレンオキサイド換算)を採用することができる。
ここに開示される技術は、水溶性高分子を2種以上併用する態様で好ましく実施される。研磨性能(平坦度)と表面粗さとを両立する観点から、セルロース誘導体およびデンプン誘導体から選択される1種または2種以上の水溶性高分子P1と、セルロース誘導体およびデンプン誘導体以外の水溶性高分子P2の1種または2種以上との併用がより好ましい。水溶性高分子P1は、典型的にはセルロース誘導体、例えばHECである。水溶性高分子P2としては、主鎖に窒素原子を含有するポリマー、側鎖官能基(ペンダント基)に窒素原子を有するポリマーが好ましく、N−ビニル型のモノマー単位を含むポリマーがより好ましい。そのなかでも、N−ビニルピロリドンの単独重合体および共重合体(典型的にはPVP)等が特に好ましい。
ここに開示される技術において、水溶性高分子P1と水溶性高分子P2とを組み合わせて使用する場合、水溶性高分子P1と水溶性高分子P2との配合比率は特に限定されず、例えば、水溶性高分子P1の含有量に対する水溶性高分子P2の含有量の比[P2/P1]は、0.1以上とすることが適当である。上記比[P2/P1]は、例えば0.25以上、典型的には0.5以上である。また、上記比[P2/P1]は、凡そ10以下とすることが適当である。上記比[P2/P1]は、例えば2.5以下、典型的には1未満である。なお、上記水溶性高分子P1は、例えばHEC等のセルロース誘導体であり、上記水溶性高分子P2は、例えばPVP等のN−ビニル型のモノマー単位を含むポリマーである。
水溶性高分子P1,P2を併用する態様において、水溶性高分子P1の分子量は、所定値以下の比[rg/d]を満足する範囲で適切に設定され得る。水溶性高分子P1の重量平均分子量(Mw)は、安定性や濃縮効率等の観点から凡そ200×10以下とすることができ、通常は150×10以下、例えば100×10以下が適当である。上記Mwは、例えば50×10以下、30×10以下であってもよい。また、基板表面の保護性や研磨性能向上の観点から、通常は、Mwは1×10以上が適当であり、10×10以上がより好ましく、20×10以上がさらに好ましい。上記Mwは、例えば50×10以上、100×10以上であってもよい。上記Mwは、セルロース誘導体に対して特に好ましく適用され得る。上記セルロース誘導体は、例えばHECである。
また、水溶性高分子P2の分子量は、特に限定されない。水溶性高分子P2の重量平均分子量(Mw)は、凡そ300×10以下とすることができ、通常は150×10以下、例えば50×10以下が適当である。安定性等の観点から、上記Mwは、30×10以下、例えば5×10以下であってもよい。また、表面保護性向上の観点から、通常は、Mwが1×10以上が適当であり、2×10以上がより好ましく、3×10以上がさらに好ましい。上記Mwは、N−ビニルピロリドンの単独重合体および共重合体(典型的にはPVP)に対して特に好ましく適用され得る。
ここに開示される濃縮液における水溶性高分子の含有量(濃度)は特に制限されず、例えば0.0001重量%以上とすることができる。研磨性能向上等の観点から、好ましい含有量は0.001重量%以上であり、より好ましくは0.0025重量%以上、例えば0.005重量%以上である。上記研磨性能は、具体的には平坦度である。また、研磨レート等の観点から、上記含有量を1重量%以下とすることが好ましく、0.2重量%以下とすることがより好ましく、0.1重量%以下とすることがさらに好ましく、0.05重量%以下とすることが特に好ましい。特に好ましい一態様において、上記水溶性高分子の含有量は、例えば0.02重量%以下である。
また、ここに開示される濃縮液における水溶性高分子の含有量は、濃縮液に含まれる砥粒との相対的関係によっても特定され得る。具体的には、水溶性高分子の含有量は、砥粒100重量部に対して0.001重量部以上とすることが適当であり、研磨性能向上等の観点から、好ましくは0.005重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上、さらに好ましくは0.015重量部以上である。さらに好ましい一態様において、上記水溶性高分子の含有量は、砥粒100重量部に対して例えば0.03重量部以上である。
上記研磨性能は、具体的には平坦度である。また、安定性や研磨レート等の観点から、水溶性高分子の含有量は、砥粒100重量部に対して10重量部以下とすることが適当であり、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以下である。さらに好ましい一態様において、上記水溶性高分子の含有量は、砥粒100重量部に対して例えば0.05重量部以下である。
(塩基性化合物)
ここに開示される濃縮液は塩基性化合物を含有する。本明細書において塩基性化合物とは、水に溶解して水溶液のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。塩基性化合物としては、窒素を含む有機または無機の塩基性化合物、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、各種の炭酸塩や炭酸水素塩等を用いることができる。窒素を含む塩基性化合物の例としては、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物、アンモニア、アミン等が挙げられる。上記アミンは、好ましくは水溶性アミンである。このような塩基性化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属の水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。炭酸塩または炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類等が挙げられる。第四級ホスホニウム化合物の具体例としては、水酸化テトラメチルホスホニウム、水酸化テトラエチルホスホニウム等の水酸化第四級ホスホニウムが挙げられる。
第四級アンモニウム化合物としては、テトラアルキルアンモニウム塩、ヒドロキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩を好ましく用いることができる。上記第四級アンモニウム塩は、典型的には強塩基である。かかる第四級アンモニウム塩におけるアニオン成分は、例えば、OH、F、Cl、Br、I、ClO 、BH 等であり得る。なかでも好ましい例として、アニオンがOHである第四級アンモニウム塩、すなわち水酸化第四級アンモニウムが挙げられる。水酸化第四級アンモニウムの具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウムおよび水酸化テトラヘキシルアンモニウム等の水酸化テトラアルキルアンモニウム;水酸化2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム(コリンともいう。)等の水酸化ヒドロキシアルキルトリアルキルアンモニウム;等が挙げられる。これらのうち水酸化テトラアルキルアンモニウムが好ましく、なかでも水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)が好ましい。
ここに開示される濃縮液は、上述のような第四級アンモニウム化合物と弱酸塩とを組み合わせて含み得る。上記第四級アンモニウム化合物は、例えば、TMAH等の水酸化テトラアルキルアンモニウムである。弱酸塩としては、シリカ粒子を用いる研磨に使用可能であって、第四級アンモニウム化合物との組合せで所望の緩衝作用を発揮し得るものを適宜選択することができる。弱酸塩は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。弱酸塩の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、オルト珪酸ナトリウム、オルト珪酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト等が挙げられる。アニオン成分が炭酸イオンまたは炭酸水素イオンである弱酸塩が好ましく、アニオン成分が炭酸イオンである弱酸塩が特に好ましい。また、カチオン成分としては、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属イオンが好適である。特に好ましい弱酸塩として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸水素カリウムが挙げられる。なかでも炭酸カリウム(KCO)が好ましい。
塩基性化合物として、第四級アンモニウム化合物と、弱酸塩とを組み合わせて使用する場合、第四級アンモニウム化合物と弱酸塩との配合比率は特に限定されず、例えば、第四級アンモニウム化合物:弱酸塩を1:9〜9:1とすることが適当であり、好ましくは3:7〜8:2、より好ましくは5:5〜7:3である。上記第四級アンモニウム化合物は、例えば、TMAH等の水酸化テトラアルキルアンモニウムである。弱酸塩は、例えば、KCO等のアニオン成分が炭酸イオンである弱酸塩である。
ここに開示される濃縮液における塩基性化合物の含有量(濃度)は、濃縮液の安定性、希釈後の研磨用組成物による研磨レート向上等の観点から、例えば0.1重量%以上、典型的には0.3重量%以上とすることが適当であり、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは0.6重量%以上、さらに好ましくは0.8重量%以上である。さらに好ましい一態様において、上記塩基性化合物の含有量は、例えば1.0重量%以上、典型的には1.2重量%以上である。例えば、濃縮液を高倍率で希釈して使用する場合には、希釈後における砥粒濃度は相対的に低くなり、砥粒による加工力も低下傾向となる場合がある。そのような場合においても、濃縮液の段階で塩基性化合物を増量しておくことで、希釈後における化学的研磨を強化することができる。上記濃縮液における塩基性化合物の含有量の上限は、保存安定性や表面品質等の観点から、10重量%以下とすることが適当であり、好ましくは5重量%以下である。好ましい一態様において、上記塩基性化合物の含有量は、例えば3重量%以下である。
また、濃縮液における塩基性化合物の含有量は、濃縮液に含まれる砥粒との相対的関係によっても特定され得る。具体的には、濃縮液における塩基性化合物の含有量は、砥粒100重量部に対して0.1重量部以上とすることが適当であり、研磨レート向上等の観点から、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、さらに好ましくは6重量部以上である。上記濃縮液における塩基性化合物の含有量は、例えば凡そ12重量部以上、22重量部以上であってもよい。また、安定性や表面品質等の観点から、塩基性化合物の含有量は、砥粒100重量部に対して50重量部以下とすることが適当であり、好ましくは30重量部以下である。上記濃縮液における塩基性化合物の含有量は、砥粒100重量部に対して、例えば20重量部以下、10重量部以下であってもよい。
(水)
ここに開示される濃縮液は、典型的には水を含む。水としては、イオン交換水(脱イオン水)、純水、超純水、蒸留水等を好ましく用いることができる。使用する水は、濃縮液に含まれる他の成分の働きが阻害されることを極力回避するため、例えば遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下であることが好ましい。例えば、イオン交換樹脂による不純物イオンの除去、フィルタによる異物の除去、蒸留等の操作によって水の純度を高めることができる。また、ここに開示される濃縮液は、必要に応じて、水と均一に混合し得る有機溶剤をさらに含有してもよい。上記有機溶剤は、低級アルコール、低級ケトン等である。通常は、濃縮液に含まれる溶媒の90体積%以上が水であることが好ましく、95体積%以上が水であることがより好ましい。より好ましい一態様において、典型的には、濃縮液に含まれる溶媒の99〜100体積%が水である。なお本明細書では、上記溶媒および水を包含する総称として水系溶媒という語を用いる場合がある。
(キレート剤)
ここに開示される濃縮液には、任意成分として、キレート剤を含有させることができる。キレート剤は、濃縮液中に含まれ得る金属不純物と錯イオンを形成してこれを捕捉することにより、金属不純物による研磨対象物の汚染を抑制する働きをする。キレート剤の例としては、アミノカルボン酸系キレート剤および有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。アミノカルボン酸系キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸アンモニウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、トリエチレンテトラミン六酢酸およびトリエチレンテトラミン六酢酸ナトリウムが含まれる。有機ホスホン酸系キレート剤の例には、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸およびα−メチルホスホノコハク酸が含まれる。これらのうち有機ホスホン酸系キレート剤がより好ましい。なかでも好ましいものとして、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミン五酢酸が挙げられる。特に好ましいキレート剤として、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。キレート剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(その他の成分)
ここに開示される濃縮液は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、界面活性剤、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、防腐剤、防カビ剤等の、研磨スラリーに用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性等の各種界面活性剤を使用することができる。なかでも、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子の析出を防止する観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。上記研磨スラリーは、典型的には、シリコン基板のポリシング工程に用いられる研磨スラリーである。
ここに開示される濃縮液は、酸化剤を実質的に含まないことが好ましい。濃縮液中に酸化剤が含まれていると、当該濃縮液を希釈した後の研磨スラリーが研磨対象物(ここではシリコン基板)に供給されることで該研磨対象物の表面が酸化されて酸化膜が生じ、これにより研磨レートが低下してしまうことがあり得るためである。ここでいう酸化剤の具体例としては、過酸化水素(H)、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等が挙げられる。なお、濃縮液が酸化剤を実質的に含まないとは、少なくとも意図的には酸化剤を含有させないことをいう。
(pH)
ここに開示される濃縮液のpHは、典型的には8.0以上であり、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.0以上、さらに好ましくは9.5以上、例えば10.0以上であり、特に好ましくは10.5以上である。濃縮液のpHが高くなると、希釈後の研磨液のpHも高くなり、研磨性能が向上する傾向にある。一方、砥粒の溶解を防ぎ、該砥粒による機械的な研磨作用の低下を抑制する観点から、濃縮液のpHは、12.0以下であることが適当であり、11.8以下であることが好ましく、11.5以下であることがより好ましい。上記砥粒は、例えばシリカ粒子である。
なお、ここに開示される技術において、液状の組成物のpHは、pHメーターを使用し、標準緩衝液を用いて3点校正した後で、ガラス電極を測定対象の組成物に入れて、2分以上経過して安定した後の値を測定することにより把握することができる。上記液状の組成物は、研磨スラリー、その濃縮液等であり得る。また、pHメーターとしては、例えば、堀場製作所製のガラス電極式水素イオン濃度指示計(型番F−23)を使用する。さらに、標準緩衝液は、フタル酸塩pH緩衝液 pH:4.01(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液 pH:6.86(25℃)、炭酸塩pH緩衝液 pH:10.01(25℃)である。
濃縮液の調製方法は特に限定されない。例えば、翼式攪拌機、超音波分散機、ホモミキサー等の周知の混合装置を用いて、濃縮液に含まれる各成分を混合するとよい。これらの成分を混合する態様は特に限定されず、例えば全成分を一度に混合してもよく、適宜設定した順序で混合してもよい。後述の研磨用組成物についても、濃縮液の希釈前後において、同様の混合方法が適宜採用され得る。
(希釈)
ここに開示される研磨用組成物の濃縮液は、体積基準で5倍よりも大きい倍率で希釈されて研磨液として調製された後、研磨対象基板の粗研磨に用いられる。研磨対象基板は、具体的にはシリコンウェーハである。このように所定以上の倍率で希釈される濃縮液は、含有成分が高濃度になりがちであるため、当該成分が分離、凝集しやすく良好な安定性が得られ難い。このような構成において、上記比[rg/d]を所定値以下となるように濃縮液を調製することにより、当該濃縮液は優れた安定性を示す。ここに開示される技術によると、体積基準で10倍よりも大きい倍率で希釈する濃縮液を用いる構成においても、当該濃縮液のときには優れた安定性を示し、かつ希釈後の研磨用組成物は良好な研磨性能を実現することができる。上記希釈倍率は、体積基準で15倍以上、例えば25倍以上であってもよい。上記希釈倍率の上限は特に制限されないが、体積基準で凡そ50倍以下、例えば40倍以下、典型的には35倍以下であり得る。
上記希釈は、所望のタイミングで行うことができる。典型的には、上記希釈は、上記濃縮液に上述の水系溶媒を加えて混合することにより行うことができる。水系溶媒は、典型的には水である。希釈に用いられる液体としては、取扱い性、作業性等の観点から、実質的に水からなる水系溶媒の使用が好ましい。水は、典型的にはイオン交換水である。上記水系溶媒は、例えば、99.5〜100体積%が水である水系溶媒である。また、上記水系溶媒が混合溶媒である場合、該水系溶媒の構成成分のうち一部の成分のみを加えて希釈してもよく、それらの構成成分を上記水系溶媒とは異なる量比で含む混合溶媒を加えて希釈してもよい。
<研磨用組成物>
ここに開示される研磨用組成物は、上述の濃縮液に含まれる砥粒、水溶性高分子および塩基性化合物を含む。また、典型的には水を含み、さらに任意成分として、キレート剤、その他の成分を含み得る。それらの具体例については、上述のとおりであるので、ここでは説明は繰り返さない。なお、研磨用組成物は、研磨液または研磨用スラリーともいう。
ここに開示される濃縮液を希釈して得られる研磨用組成物における砥粒の含有量は、濃縮液における砥粒濃度および希釈倍率によって決定され得る。一態様において、上記含有量は、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.3重量%以上である。さらに好ましい一態様において、上記含有量は、例えば0.5重量%以上である。砥粒の含有量の増大によって、より高い研磨レートが実現され得る。また、研磨対象物からの除去性等の観点から、上記含有量は、通常、10重量%以下が適当であり、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。さらに好ましい一態様において、上記含有量は、例えば2重量%以下である。
上記研磨用組成物における水溶性高分子の含有量は、研磨性能や表面品質向上等の観点から、1×10−5重量%以上、例えば5×10−5重量%以上とすることが適当であり、好ましくは1×10−4重量%以上である。好ましい一態様において、上記水溶性高分子の含有量は、例えば2×10−4重量%以上である。上記研磨用組成物における水溶性高分子の含有量の上限は、例えば1重量%以下とすることができる。濃縮液の安定性や研磨レート、洗浄性等の観点から、水溶性高分子の含有量は、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下である。さらに好ましい一態様において、上記水溶性高分子の含有量は、例えば0.01重量%以下、典型的には0.005重量%以下である。
また、研磨用組成物における水溶性高分子の含有量は、砥粒100重量部に対して0.001重量部以上とすることが適当であり、研磨性能向上等の観点から、好ましくは0.005重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上、さらに好ましくは0.015重量部以上である。さらに好ましい一態様において、研磨用組成物における水溶性高分子の含有量は、砥粒100重量部に対して例えば0.03重量部以上である。上記研磨性能は、具体的には平坦度である。また、安定性や研磨レート等の観点から、水溶性高分子の含有量は、砥粒100重量部に対して10重量部以下とすることが適当であり、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以下である。さらに好ましい一態様において、水溶性高分子の含有量は、砥粒100重量部に対して例えば0.05重量部以下である。
ここに開示される技術において、研磨用組成物中の塩基性化合物の含有量は、例えば0.001重量%以上、典型的には0.01重量%以上とすることが適当であり、研磨レート向上等の観点から、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.07重量%以上、さらに好ましくは0.09重量%以上である。塩基性化合物の含有量の増加によって、安定性も向上し得る。上記塩基性化合物の含有量の上限は、5重量%以下とすることが適当であり、表面品質等の観点から、好ましくは1重量%以下である。好ましい一態様において、上記塩基性化合物の含有量は、例えば0.5重量%以下、典型的には0.2重量%以下である。
ここに開示される技術における研磨用組成物のpHは、8.0以上、例えば8.5以上であることが好ましく、より好ましくは9.0以上、さらに好ましくは9.5以上である。さらに好ましい一態様において、上記pHは、例えば10.0以上である。研磨液のpHが高くなると、研磨レートが向上する傾向にある。研磨液のpHの上限値は特に制限されないが、研磨対象物をよりよく研磨する観点から、12.0以下、例えば11.5以下であることが好ましく、11.0以下であることがより好ましい。表面品質向上の観点から、上記pHは、10.8以下とすることがさらに好ましい。さらに好ましい一態様において、上記pHは、例えば10.6以下、典型的には10.5以下である。なお、上記表面品質向上は、典型的には表面粗さ低減である。上記pHは、例えば、シリコンウェーハの研磨に用いられる研磨液に好ましく適用され得る。上記研磨液は、例えば粗研磨用の研磨液である。
<用途>
ここに開示される技術は、シリコン基板(特にシリコンウェーハ)を研磨対象物とする研磨に好ましく適用される。ここでいうシリコンウェーハの典型例はシリコン単結晶ウェーハであり、例えば、シリコン単結晶インゴットをスライスして得られたシリコン単結晶ウェーハである。ここに開示される技術における研磨対象面は、典型的には、シリコンからなる表面である。
上記シリコン基板には、ここに開示される研磨液を用いた研磨工程の前に、ラッピングやエッチング等の、粗研磨工程より上流の工程においてシリコン基板に適用され得る一般的な処理が施されていてもよい。また、ここに開示される技術においては、上記研磨液を用いた研磨工程の後に、シリコン基板に対して仕上げ研磨工程が実施され得る。上記仕上げ工程は、1または2以上のポリシング工程を含み、ファイナルポリシングを経て、シリコンウェーハは高品質な鏡面に仕上げられる。なお、ファイナルポリシングとは、目的物の製造プロセスにおける最後のポリシング工程を指す。すなわち、ファイナルポリシングとは、その工程の後にはさらなるポリシングを行わない工程を指す。したがって、ここに開示される研磨液や、希釈前の濃縮液は、ラッピングを経たシリコンウェーハのポリシングに用いられ得る。また、上記研磨液や濃縮液は、シリコンウェーハのファイナルポリシング前に行われる粗研磨に用いられ得る。粗研磨は、予備ポリシングともいう。
<研磨>
研磨対象物の研磨は、例えば以下のようにして行うことができる。すなわち、ここに開示される濃縮液を希釈して研磨用組成物(研磨スラリー)を用意する。次いで、その研磨スラリー(ワーキングスラリー)を研磨対象物に供給し、常法により研磨する。シリコンウェーハの粗研磨においては、典型的には、ラッピング工程を経た研磨対象物(シリコンウェーハ)を研磨装置にセットし、該研磨装置の定盤(研磨定盤)に固定された研磨パッドを通じて上記研磨対象物の表面(研磨対象面)に研磨スラリーを供給する。典型的には、上記研磨スラリーを連続的に供給しつつ、研磨対象物の表面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動させる。上記移動は、例えば回転移動である。かかる研磨工程を経て研磨対象物の研磨が完了する。
上記研磨工程で使用される研磨パッドは特に限定されない。例えば、発泡ポリウレタンタイプ、不織布タイプ、スウェードタイプ等の研磨パッドを用いることができる。各研磨パッドは、砥粒を含んでもよく、砥粒を含まなくてもよい。
研磨装置としては、研磨対象物の両面を同時に研磨する両面研磨装置を用いてもよく、研磨対象物の片面のみを研磨する片面研磨装置を用いてもよい。特に限定するものではないが、例えば、粗研磨工程においては両面研磨装置を好ましく採用し得る。両面研磨装置は、例えば、バッチ式の両面研磨装置である。研磨装置は、一度に一枚の研磨対象物を研磨するように構成された枚葉式の研磨装置でもよく、同一の定盤上で複数の研磨対象物を同時に研磨し得るバッチ式の研磨装置でもよい。
<洗浄>
粗研磨工程を終えた研磨対象物は、仕上げ研磨工程を開始する前に、典型的には洗浄される。この洗浄は、適当な洗浄液を用いて行うことができる。使用する洗浄液は特に限定されず、例えば、半導体等の分野において一般的なSC−1洗浄液、SC−2洗浄液等を用いることができる。SC−1洗浄液は、水酸化アンモニウム(NHOH)と過酸化水素(H)と水(HO)との混合液である。SC−2洗浄液は、HClとHとHOとの混合液である。洗浄液の温度は、例えば室温以上、約90℃程度までの範囲とすることができる。ここで室温とは、典型的には約15℃〜25℃をいう。洗浄効果を向上させる観点から、50℃〜85℃程度の洗浄液を好ましく使用し得る。
上述のような粗研磨工程や、洗浄工程、仕上げ研磨工程を経て、研磨対象物の研磨が完了する。上記研磨対象物は、ここではシリコン基板、典型的にはシリコン単結晶ウェーハである。したがって、この明細書によると、上記研磨工程を含む研磨物の製造方法が提供される。上記製造方法は、具体的には、シリコンウェーハの製造方法である。
以上、本実施形態によると、砥粒、塩基性化合物および水溶性高分子を含むシリコンウェーハ粗研磨用組成物の濃縮液が提供される。前記濃縮液中における前記砥粒の粒子間距離d[nm]に対する前記水溶性高分子の慣性半径rg[nm]の比[rg/d]は4.7以下である。かかる構成の濃縮液は、優れた安定性を示し、希釈後には良好な研磨性能を発揮することができる。上記研磨性能は、典型的には平坦度改善効果である。
ここに開示される濃縮液の好ましい一態様では、前記比[rg/d]は2.5以下である。このように構成することで、より優れた安定性が実現される。
ここに開示される濃縮液の好ましい一態様では、前記砥粒の粒子間距離dは200nm以下である。ここに開示される技術によると、上記のように砥粒の粒子間距離dが所定値以下であっても、優れた安定性を実現することができる。また、上記のように粒子間距離dが所定値以下の濃縮液は、高濃度に濃縮されたものであり得るので、利便性やコスト低減の点で有利である。
ここに開示される濃縮液の好ましい一態様では、前記水溶性高分子の慣性半径rgは30nm以上である。ここに開示される技術によると、上記のように水溶性高分子の慣性半径が所定値以上であっても、濃縮液は優れた安定性を実現することができる。また、上記のように水溶性高分子の慣性半径が所定値以上の研磨液は、より優れた研磨性能を発揮することができる。上記研磨性能は、典型的には平坦度改善効果である。
ここに開示される濃縮液の好ましい一態様では、前記砥粒の濃度は5重量%以上である。ここに開示される技術によると、上記のように砥粒濃度が所定値以上であっても、優れた安定性を実現することができる。また、上記のように所定値以上の砥粒濃度を有する濃縮液は、高濃度に濃縮されたものであり得るので、利便性やコスト低減の点で有利である。
ここに開示される濃縮液の好ましい一態様では、前記水溶性高分子の濃度は0.001〜0.05重量%の範囲内である。水溶性高分子の濃度を上記の範囲とすることで、濃縮液は安定性に優れる傾向があり、また希釈後の研磨液はより良好な研磨性能を発揮しやすい。
ここに開示される好ましい一態様では、前記濃縮液は、体積基準で10倍よりも大きい倍率で希釈されてシリコンウェーハの粗研磨に使用される。ここに開示される技術によると、所定以上の倍率で希釈されるような高濃縮倍率であっても、濃縮液は安定性に優れる。また、上記のように所定以上の濃度に濃縮された濃縮液は、利便性やコスト低減の点で有利である。
ここに開示される典型的な一態様では、前記濃縮液は、ラッピングを経たシリコンウェーハのポリシングに用いられる。より具体的には、上記濃縮液は、シリコンウェーハのファイナルポリシング前に行われる粗研磨に用いられる。粗研磨は予備ポリシングともいう。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
≪実験1≫
<実施例1−1〜1−11および比較例1−1>
[研磨用組成物の濃縮液の調製]
砥粒としてのコロイダルシリカ(平均一次粒子径54nm)と、水溶性高分子(HEC、PVP)と、TMAHと、KCOと、イオン交換水とを混合することにより、実施例1−1〜1−11および比較例1−1に係る研磨用組成物の濃縮液をそれぞれ調製した。各例の濃縮液における砥粒および水溶性高分子の濃度は表1に示すとおりであり、TMAHおよびKCOの濃度は、それぞれ1.62%および1.05%である。各例に係る濃縮液につき、砥粒の粒子間距離d[nm]を求め、また水溶性高分子の慣性半径rg[nm]を下記の方法で測定し、得られた値から、粒子間距離d[nm]に対する水溶性高分子の慣性半径rg[nm]の比[rg/d]を求めた。各例における砥粒の粒子間距離d[nm]、水溶性高分子の慣性半径rg[nm]および比[rg/d]を表1に示す。
[慣性半径の測定方法]
水溶性高分子の慣性半径rgの測定は、まず、水溶性高分子の濃度が0.1〜1mg/mLの範囲になるように水溶液を調製し、調製した各サンプルにつき光散乱光度計「DLS−8000」(大塚電子社製)を用い、測定角度20〜150度の範囲で10度毎に測定を行い、1濃法プロット解析により慣性半径[nm]の算出を行った。研磨用組成物の濃縮液中に複数種の水溶性高分子が含まれる場合は、その濃度比となるように水溶性高分子量を調節して測定を行った。
[安定性]
各例に係る濃縮液100gを直径2.5cm、高さ25cmのガラス管に入れ、25℃で静置して保管した。保管開始から24時間経過後における上記濃縮液中の水溶性高分子の分離の有無を目視にて下記5基準で評価した。すなわち、水溶性高分子の分離が認められなかった場合は「A」と評価し、分離が認められた場合は、上澄み液の層が2mm未満であった場合を「B」と評価し、上澄み液の層が2mm以上4mm未満であった場合を「C」と評価し、上澄み液の層が4mm以上5mm未満であった場合を「D」と評価し、上澄み液の層が5mm以上であった場合を「E」と評価した。A〜Dは実用上合格レベルであり、Eは不合格とみなした。結果を表1に示す。
Figure 0006916792
≪実験2≫
<実施例2−1〜2−14および比較例2−1〜2−2>
[研磨用組成物の濃縮液の調製]
砥粒としてのコロイダルシリカ(平均一次粒子径54nm)と、水溶性高分子(HEC、PVP、PVA)と、TMAHと、KCOと、イオン交換水とを混合することにより、実施例2−1〜2−14および比較例2−1〜2−2に係る研磨用組成物の濃縮液を調製した。各例の濃縮液における砥粒および水溶性高分子の濃度は表2に示すとおりであり、TMAHおよびKCOは、希釈後の研磨用組成物(研磨液)中にそれぞれ0.067%および0.043%となるように濃縮液に添加されている。実施例2−14の研磨用組成物については、ノニオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレンラウリルエーテルを0.001%の濃度となるよう添加した。各例に係る濃縮液につき、砥粒の粒子間距離d[nm]を求め、また水溶性高分子の慣性半径rg[nm]を実験1と同じ方法で測定し、得られた値から、粒子間距離d[nm]に対する水溶性高分子の慣性半径rg[nm]の比[rg/d]を求めた。また、濃縮液の安定性についても、実験1と同様の方法で評価を行った。粒子間距離d[nm]、水溶性高分子の慣性半径rg[nm]、比[rg/d]および濃縮液安定性の評価結果を表2に示す。
[シリコンウェーハの研磨]
各例に係る濃縮液を、イオン交換水を用いて表2に示す希釈倍率(体積基準)で希釈し、研磨液(ワーキングスラリー)を得た。これを用いて下記の条件で粗研磨を実施した。
(研磨条件)
研磨装置:日本エンギス社製の片面研磨装置、型式「EJ−380IN」
研磨パッド:ニッタハース社製、商品名「MH S−15A」
研磨圧力:26.6kPa
スラリー流量:100mL/分
定盤回転数:50rpm
ヘッド回転数:50rpm
研磨量:8μm
ワーク種:Bare Si P<100>
ワークサイズ:□60mm×60mm
[研磨性能(平坦度)]
GBIRの代替評価として、下記の方法で平坦度を評価した。具体的には、ニコン社製の評価機「DIGIMICRO MH−15M」を用いて、研磨後のウェーハ面につき、縦横ともに6点ずつ等間隔で36点の厚みを測定し、その最大値と最小値の差をウェーハ厚み差と定義し、各例におけるウェーハ厚み差の値を下記の4基準で評価した。すなわち、ウェーハ厚み差が2.5μm未満であった場合を「A」と評価し、ウェーハ厚み差が2.5μm以上3.0μm未満であった場合を「B」と評価し、ウェーハ厚み差が3.0μm以上3.2μm以下であった場合を「C」と評価し、ウェーハ厚み差が3.2μmよりも大きかった場合を「D」と評価した。A〜Cは実用上合格レベルであり、Dは不合格とみなした。結果を表2に示す。
[研磨性能(表面粗さRa)]
各例に係る粗研磨後のシリコンウェーハ(粗研磨およびその後の洗浄を終えた試験片)につき、非接触表面形状測定機(商品名「NewView 5032」、Zygo社製)を用いて表面粗さRa(算術平均表面粗さ)を測定した。得られた測定値を、比較例2−1の表面粗さRaを100%とする相対値に換算して以下の2段階で評価した。結果を表2に示す。
A:100%以下
B:100%超
[濃縮効率]
各例に係る濃縮液の希釈倍率を濃縮効率(濃縮可能倍率)とみなし、下記の3基準で分類した。すなわち、濃縮可能倍率が20倍よりも大きい場合を「A」とし、濃縮可能倍率が10倍よりも大きく20倍以下である場合を「B」とし、濃縮可能倍率が10倍以下の場合を「C」とした。結果を表2に示す。
Figure 0006916792
表1に示されるように、実験1において、砥粒の粒子間距離d[nm]に対する水溶性高分子の慣性半径rg[nm]の比[rg/d]が4.7以下であった実施例1−1〜1−11に係る濃縮液は、安定性の評価が合格レベルであった。特に、上記比[rg/d]が2.5以下であった実施例1−1〜1−7および1−11では、安定性の評価結果がAまたはBであり、より優れた安定性を達成することができた。一方、上記比[rg/d]が4.7よりも大きかった比較例1−1では、濃縮液の安定性は不合格レベルであった。
また、表2に示されるように、実験2においても、上記比[rg/d]が4.7以下であった実施例2−1〜2−14に係る濃縮液は、安定性の評価が合格レベルであった。特に、上記比[rg/d]が2.5以下であった実施例2−1〜2−10、2−13および2−14では、安定性の評価結果がAまたはBであり、より優れた安定性を達成することができた。一方、上記比[rg/d]が4.7よりも大きかった比較例2−1では、濃縮液の安定性は不合格レベルであった。また、水溶性高分子を含む濃縮液を用いた実施例2−1〜2−14では、研磨性能(具体的には平坦度)はいずれも合格レベルであったのに対し、水溶性高分子を使用しなかった比較例2−2では、良好な研磨性能(具体的には平坦度)を得ることができなかった。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

Claims (6)

  1. 砥粒、塩基性化合物および水溶性高分子を含むシリコンウェーハ粗研磨用組成物の濃縮液であって、
    前記砥粒の粒子間距離dは100nm以下であり、
    前記濃縮液中における前記砥粒の粒子間距離d[nm]に対する前記水溶性高分子の慣性半径rg[nm]の比[rg/d]は4.7以下である、シリコンウェーハ粗研磨用組成物の濃縮液。
  2. 前記比[rg/d]は2.5以下である、請求項1に記載の濃縮液。
  3. 前記水溶性高分子の慣性半径rgは30nm以上である、請求項1または2に記載の濃縮液。
  4. 前記砥粒の濃度は5重量%以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載に記載の濃縮液。
  5. 前記水溶性高分子の濃度は0.001〜0.05重量%の範囲内である、請求項1〜のいずれか一項に記載の濃縮液。
  6. 体積基準で10倍よりも大きい倍率で希釈されてシリコンウェーハの粗研磨に使用される、請求項1〜のいずれか一項に記載の濃縮液。
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