以下、車両用開閉体制御装置をパワースライドドア装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、スライドドア1は、図示しない車両の側面に支持されて前後方向に移動することにより、その車両の側面に設けられたドア開口部を開閉する。具体的には、このスライドドア1は、車両前方側(同図中、左側)に移動することにより、そのドア開口部を閉塞する全閉状態となり、車両後方側(同図中、右側)に移動することにより、そのドア開口部を介して乗員が乗降可能な全開状態となるように構成されている。そして、このスライドドア1には、当該スライドドア1を開閉するためのドアハンドル3が設けられている。
また、このスライドドア1には、そのスライドドア1の移動位置に応じて車体側に設けられたストライカ(図示略)に係合するラッチ機構4を有した複数のロック装置5が設けられている。具体的には、このスライドドア1には、当該スライドドア1を全閉位置で保持する全閉ロックとしてのフロントロック5a及びリアロック5bが設けられている。更に、このスライドドア1には、当該スライドドア1を全開位置で保持するための全開ロック5cが設けられている。そして、これらのロック装置5は、リモコン6を介してドアハンドル3に連結されている。
即ち、本実施形態のスライドドア1は、そのドアハンドル(アウトサイドドアハンドル及びインサイドドアハンドル)3を操作することにより、上記各ロック装置5を構成するラッチ機構4の係合状態が解除されるようになっている。そして、そのドアハンドル3を把持部として、手動により開閉動作させることが可能となっている。
また、本実施形態のスライドドア1は、利用者が、ドアハンドル3や車室内、或いは携帯機等に設けられた操作入力部8を操作することによっても、そのロック装置5を構成するラッチ機構4の係合状態を解除することが可能になっている。そして、本実施形態のスライドドア1には、モータ10を駆動源として、このスライドドア1を開閉動作させるドアアクチュエータ11が設けられている。
具体的には、このドアアクチュエータ11は、図示しない駆動ケーブルを介してスライドドア1を開閉駆動する開閉駆動部12を備えている。また、本実施形態のスライドドア1において、このドアアクチュエータ11は、ドアECU15によって、その作動が制御されている。そして、本実施形態のスライドドア1は、これにより、そのモータ10の駆動力に基づいて開閉動作するパワースライドドア装置20として構成されている。
詳述すると、本実施形態のドアECU15は、操作入力部8から入力される操作入力信号Scrに基づいて、その利用者によるスライドドア1の作動要求を検知する。また、本実施形態のドアアクチュエータ11には、モータ10の回転に同期したパルス信号Spを出力するパルスセンサ21が設けられている。尚、本実施形態のモータ10には、ブラシレスモータが用いられている。そして、本実施形態のドアECU15は、このパルス信号Spをカウントとすることにより、そのスライドドア1の開閉動作位置Xd及び移動速度Vdを検出する。
また、本実施形態のドアECU15には、車速V等の車両状態量、及びイグニッション信号Sigやパーキングブレーキ信号Spbk等の制御信号が入力される。そして、本実施形態のドアECU15は、これらスライドドア1及び車両に関する各種の状態量及び制御信号に基づいて、そのスライドドア1の作動を制御する。
さらに詳述すると、図2に示すように、本実施形態のドアECU15は、モータ10の作動を制御するためのモータ制御信号Smcを生成するモータ制御部23と、このモータ制御信号Smcに基づいてモータ10に駆動電力を出力する駆動回路25と、を備えている。即ち、本実施形態のドアECU15は、モータ10に対する駆動電力の供給を通じてドアアクチュエータ11の作動を制御する。そして、これにより、その利用者の作動要求に基づいてスライドドア1を開閉動作させる構成になっている。
具体的には、本実施形態の駆動回路25には、モータ制御信号Smcに基づきオン/オフ動作する複数のスイッチング素子(FET:Field effect transistor)をブリッジ状に接続してなる周知のPWMインバータが用いられている。そして、モータ制御装置としてのドアECU15は、この駆動回路25を介して三相(U,V,W)の駆動電力を出力することにより、そのモータ10の作動を制御する。
即ち、本実施形態の駆動回路25は、モータ10の各相に対応する三列のスイッチングアーム30u,30v,30wを備えている。また、これらの各スイッチングアーム30u,30v,30wは、それぞれ、直列に接続された上下一対のFET31u,32u、FET31v,32v、及びFET31w,32wを有している。更に、この駆動回路25は、これらの各スイッチングアーム30u,30v,30wが並列に接続された構成を有している。そして、本実施形態の駆動回路25は、その各FET31u,32u間、FET31v,32v間、及びFET31w,32w間の各接続点33u,33v,33wが、それぞれ、その対応する各相のモータコイル34u,34v,34wに対して接続される構成になっている。
また、モータ制御部23は、モータ10の回転角(電気角)θに応じたモータ制御信号Smcを生成する。そして、本実施形態のドアECU15は、このモータ制御信号Smcの出力によって、順次、モータ10の通電相を切り替えることにより、そのモータ10を回転させる構成になっている。
詳述すると、図3に示すように、本実施形態のモータ制御部23は、モータ10に対して矩形波通電(120°通電)を行うべく、そのモータ制御信号Smcを生成する。即ち、モータ制御部23は、例えば、図3中、モータ10の回転角θが0°〜60°にある場合には、駆動回路25のU相上段のFET31u及びV相下段のFET32vがオンとなるようなモータ制御信号Smcを生成する(通電パターンP1)。また、モータ制御部23は、モータ10の回転角θが60°〜120°にある場合には、そのU相上段のFET31u及びW相下段のFET32wがオンとなるようなモータ制御信号Smcを生成する(通電パターンP2)。そして、モータ制御部23は、モータ10の回転角θが120°〜180°にある場合には、駆動回路25のV相上段のFET31v及びW相下段のFET32wがオンとなるようなモータ制御信号Smcを生成する(通電パターンP3)。
また、モータ制御部23は、モータ10の回転角θが180°〜240°にある場合には、そのV相上段のFET31v及びU相下段のFET32uがオンとなるようなモータ制御信号Smcを生成する(通電パターンP4)。更に、モータ制御部23は、モータ10の回転角θが240°〜300°にある場合には、駆動回路25のW相上段のFET31w及びU相下段のFET32uがオンとなるようなモータ制御信号Smcを生成する(通電パターンP5)。そして、モータ制御部23は、モータ10の回転角θが300°〜360°にある場合には、そのW相上段のFET31w及びV相下段のFET32vがオンとなるようなモータ制御信号Smcを生成する(通電パターンP6)
さらに詳述すると、図4のフローチャートに示すように、本実施形態のモータ制御部23は、回転角センサ35の出力信号に基づいて、モータ10の回転角θを検出する(ステップ101)。また、モータ制御部23は、PWM制御演算の実行により、そのモータ10の制御状況に応じたデューティ比(オンデューティ比)Dを決定する(ステップ102)。そして、モータ制御部23は、その検出されたモータ10の回転角θ及び制御状況に応じたデューティ比Dに基づいて、その駆動回路25に出力するモータ制御信号Smcを生成する(ステップ103)。
即ち、このモータ制御部23が出力するモータ制御信号Smcは、そのモータ10の回転角θに応じた上記各通電パターンP(P1〜P6)に対応する通電相の上段側FET及び下段側FETの組み合わせとともに(図2参照)、その設定されたデューティ比Dに対応したオン/オフタイミングを規定するPWM制御信号となっている。また、本実施形態の駆動回路25は、このモータ制御信号Smcに基づいて、通電相に対応する上段側のFETがオン状態のまま、その通電相に対応する下段側のFETがPWM制御によりオン/オフする。そして、本実施形態のドアECU15は、これにより、そのモータ10に供給する駆動電力を調整する構成になっている。
(スライドドア途中停止時の制動制御)
次に、開閉駆動中のスライドドア1を途中停止させる際、本実施形態のドアECU15が実行する制動制御の態様について説明する。
図5のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、スライドドア1の開閉駆動中(ステップ201:YES)、例えば、ドアハンドル3が操作された場合や異常発生時等、予め定められた途中停止条件が成立した場合(ステップ202:YES)には、そのスライドドア1の開閉駆動を停止する(ステップ203)。そして、このような場合には、ドアアクチュエータ11の駆動源であるモータ10の作動を制御することより、そのスライドドア1に制動力を付与する構成になっている(制動制御、ステップ204)。
具体的には、図6のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、スライドドア1を途中停止させる場合の制動制御時、そのスライドドア1の移動速度Vdを検出する(ステップ301)。更に、ドアECU15は、このスライドドア1の移動速度Vdが所定速度Vd0以上であるか否かを判定する(ステップ302)。そして、移動速度Vdが所定速度Vd0以上である場合(Vd≧Vd0、ステップ302:YES)には、駆動回路25を構成する各相下段のFET32u,32v,32wを全て「オン」、つまりモータ10の各相端子を短絡させる回生ブレーキ制御(ショートブレーキ制御)の実行により、そのスライドドア1に制動力を付与する(ステップ303)。
また、本実施形態のドアECU15は、スライドドア1の移動速度Vdが所定速度Vd0よりも低い場合(ステップ302:NO)には、そのスライドドア1の駆動源であるモータ10に対して通電相を固定した駆動電力の供給、つまり相固定通電制御(一相通電制御)を実行する(ステップ304)。即ち、駆動回路25から駆動電力が出力されるモータ10の通電相、つまり通電パターンP(P1〜P6)は、その駆動回路25を構成する各相上段側のFET31u,31v,31wの何れかに対応する高電位側通電相と各相下段側のFET31u,31v,31wの何れかに対応する低電位側通電相との組み合わせにより規定される(図3参照)。そして、これらの通電パターンP(P1〜P6)のうち、何れか一つを通電相に固定、つまり回転駆動時のような回転角θに応じた切替を行わないことにより、モータ10の回転が停止した状態においても、そのスライドドア1に制動力を付与することができる。
このように、本実施形態のドアECU15は、そのスライドドア1の移動速度Vdに応じて制動制御の態様を切り替える。そして、本実施形態のパワースライドドア装置20は、これにより、円滑に、その移動中のスライドドア1を減速させ、及び、その停止したスライドドア1の開閉動作位置Xdを保持する構成になっている。
また、図7に示すように、本実施形態のドアECU15は、上記のような相固定通電制御を実行する際(図6参照、ステップ304)、周期的に、その相固定通電制御に用いる通電相Pxを切り替える。具体的には、このドアECU15は、PWM制御の実行により、駆動回路25を構成する各相下段側のFET32u,32v,32wのうち、通電相Pxに対応するものを所定のデューティ比D(図4参照、ステップ102)でオン/オフさせつつ、その相固定通電制御を実行する。更に、このドアECU15は、この相固定通電制御に用いられる通電相Pxとして、予め、第1及び第2の固定通電相Pa,Pbを選定する。そして、本実施形態のドアECU15は、所定時間taが経過する毎に、これら第1及び第2の固定通電相Pa,Pbを切り替えながら、その相固定通電制御を実行する構成になっている。
例えば、この図7に示す例において、ドアECU15は、先ず、高電位側通電相を「V相」、低電位側通電相を「U相」とした第1の固定通電相Pa(図3参照、V→U通電、通電パターンP4)で、その相固定通電制御を実行する。また、ドアECU15は、所定時間taの経過後、高電位側通電相を「V相」、低電位側通電相を「W相」とした第2の固定通電相Pb(図3参照、V→W通電、通電パターンP3)で、その相固定通電制御を実行する。更に、ドアECU15は、この相固定通電制御に用いる通電相Pxの切替後、所定時間taを経過した後は、再び第1の固定通電相Paで相固定通電制御を実行する。そして、本実施形態のドアECU15は、予め設定された所定の通電終了条件が成立するまで、所定時間ta毎に、これら第1及び第2の固定通電相Pa,Pbを切り替えつつ、その相固定通電制御を実行する構成になっている。
詳述すると、図8のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、先ず、モータ10の回転角θを検出することにより(ステップ401)、その第1の固定通電相Paを選択する(ステップ402)。即ち、この第1の固定通電相Paには、モータ10の回転駆動時と同様、その検出時点の回転角θに応じた通電相(通電パターンP)が選択される(図3参照)。そして、本実施形態のドアECU15は、この第1の固定通電相Paと高電位側通電相が等しい通電相を第2の固定通電相Pbに選択する(ステップ403)。
具体的には、図9のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、図3中の通電パターンP1(U→V通電)を第1の固定通電相Paに選択した場合(ステップ501:YES)には、この通電パターンP1と高電位側通電相が同じ通電パターンP2(U→W通電)を第2の固定通電相Pbに選択する(ステップ502)。そして、通電パターンP2(U→W通電)を第1の固定通電相Paに選択した場合(ステップ503:YES)には、この通電パターンP2と高電位側通電相が同じ通電パターンP1(U→V通電)を第2の固定通電相Pbに選択する(ステップ504)。
また、ドアECU15は、通電パターンP3(V→W通電)を第1の固定通電相Paに選択した場合(ステップ505:YES)には、この通電パターンP3と高電位側通電相が同じ通電パターンP4(V→U通電)を第2の固定通電相Pbに選択する(ステップ506)。そして、通電パターンP4(V→U通電)を第1の固定通電相Paに選択した場合(ステップ507:YES)には、この通電パターンP4と高電位側通電相が同じ通電パターンP3(V→W通電)を第2の固定通電相Pbに選択する(ステップ508)。
更に、ドアECU15は、通電パターンP5(W→U通電)を第1の固定通電相Paに選択した場合(ステップ509:YES)には、この通電パターンP5と高電位側通電相が同じ通電パターンP6(W→V通電)を第2の固定通電相Pbに選択する(ステップ510)。そして、通電パターンP6(W→V通電)を第1の固定通電相Paに選択した場合(ステップ509:NO)には、この通電パターンP6と高電位側通電相が同じ通電パターンP5(W→U通電)を第2の固定通電相Pbに選択する(ステップ511)。
図8に示すように、本実施形態のドアECU15は、このようにして第1及び第2の固定通電相Pa,Pbを選択すると、先ず、その相固定通電制御に用いる通電相Pxの初期値に、第1の固定通電相Paを設定する(Px=Pa、ステップ404)。そして、計時用のタイマをセットして(t=0,ステップ405)、その相固定通電制御を実行する(ステップ406)。
また、本実施形態のドアECU15は、予め設定された所定の通電終了条件が成立したか否か(ステップ407)、及び、その相固定通電制御の実行時間tが所定時間taを経過したか否かを判定する(ステップ408)。そして、通電終了条件が成立せず(ステップ407:NO)、その相固定通電制御の実行時間tが所定時間taを経過していない場合(t<ta,ステップ408:NO)には、これらステップ406〜ステップ408の処理を繰り返し実行する。
次に、本実施形態のドアECU15は、上記ステップ408において、相固定通電制御の実行時間tが所定時間taを経過したと判定した場合(t≧ta,ステップ408:YES)、その相固定通電制御に用いる通電相を切り替える(ステップ409)。即ち、第1の固定通電相Paで相固定通電制御を実行していた場合には、その相固定通電制御に用いる通電相Pxを第2の固定通電相Pbに切り替え(Px=Pa→Pb)、第2の固定通電相Pbで相固定通電制御を実行していた場合には、その相固定通電制御に用いる通電相Pxを第1の固定通電相Paに切り替える(Px=Pb→Pa)。そして、本実施形態のドアECU15は、上記ステップ405において、再び計時用のタイマをセットした後(t=0,ステップ405)、上記ステップ406以降の各処理を実行する。
即ち、本実施形態のドアECU15は、所定の通電終了条件が成立しない限り、その相固定通電制御の実行時間tが所定時間taを経過したと判定されるまで、再び上記ステップ406〜ステップ408の各処理を繰り返す。そして、これにより、そのステップ409において切り替えられた新たな通電相Pxで相固定通電制御を実行する。
更に、ドアECU15は、この相固定通電制御の実行時間tが所定時間taを経過した場合には、再び通電相Pxを切り替えて、その相固定通電制御を実行する。そして、上記ステップ407において、その通電終了条件が成立した場合(ステップ407:YES)に、その相固定通電制御を終了する構成となっている(ステップ410)。
(スライドドアの停止判定)
次に、本実施形態のドアECU15が実行するスライドドア1の停止判定について説明する。
図10及び図11に示すように、本実施形態のドアECU15は、モータ10の回転に同期したパルス信号Spをカウントすることにより、所定の検出周期Taでスライドドア1の開閉動作位置Xdを検出する。そして、図1に示すように、本実施形態のドアECU15は、複数回の検出周期(本実施形態では、4回分)に亘って、その各検出周期において検出した開閉動作位置Xdを記憶領域40に保持する(保持値Xd1〜Xd4)。
また、図10及び図11に示すように、本実施形態のドアECU15は、これら開閉動作位置Xdの保持値Xd1〜Xd4のうち、所定回数前(本実施形態では、4回前)の保持値Xd4と今回の検出周期における開閉動作位置Xdの検出値との差分値(絶対値)を演算する。尚、本実施形態では、スライドドア1の開閉動作位置Xdは、そのパルス信号Spのカウント数(cnt)に示される。そして、本実施形態のドアECU15は、この差分値(|Xd−Xd4|)に示される所定時間Tbあたりの開閉動作位置変化量に基づいて、そのスライドドア1の停止判定を実行する構成になっている。
具体的には、図12のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、スライドドア1の開閉動作位置Xdを検出すると(ステップ601)、続いて、その記憶領域40に保持された所定回数前(4回前)の検出周期における開閉動作位置Xdの保持値Xd4を読み出す(ステップ602)。更に、ドアECU15は、これらの差分値(|Xd−Xd4|)が所定の閾値Xd0以下であるか否かを判定する(ステップ603)。尚、本実施形態のパワースライドドア装置20において、このスライドドア1の停止判定に用いられる閾値Xd0は、上記パルス信号Spのカウント数で「2cnt」に設定されている。そして、本実施形態のドアECU15は、この差分値(|Xd−Xd4|)が所定の閾値Xd0以下である場合(|Xd−Xd4|≦Xd0、ステップ603:YES)に、そのスライドドア1が停止状態にあると判定する(スライドドア停止検知、ステップ604)。
また、本実施形態のドアECU15は、上記ステップ603の停止判定処理を実行した後、ステップ601において検出した今回の検出周期における開閉動作位置Xd(検出値)に基づいて、その過去に検出された開閉動作位置Xdの各保持値Xd1〜Xd4を更新する(ステップ605)。尚、このステップ605における各保持値Xd1〜Xd4の更新処理は、それぞれ、その一回前の値を順次書き換えることにより行われる(Xd4=Xd3,Xd3=Xd2,Xd2=Xd1,Xd1=Xd)。そして、本実施形態のドアECU15は、これにより、そのスライドドア1の振動等を要因とした誤検知の発生を回避する構成になっている。
即ち、例えば、図10及び図11に示す例の場合、時間T1における所定回数前の保持値Xd4と今回の検出周期における開閉動作位置Xdの検出値との差分値(|Xd−Xd4|)は「3cnt」であり、その後、その値は、時間T2〜時間T4まで、それぞれ、「4cnt」「4cnt」「3cnt」と変化する。そして、時間T5において、この差分値(|Xd−Xd4|)が「2cnt」となることにより、そのスライドドア1の停止状態が検出される。
さらに詳述すると、図13のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、車両が停車中であり(ステップ701:YES)、且つスライドドア1の制動制御が行われていない場合(ステップ702:NO)に、そのスライドドア1の停止判定を実行する(ステップ703)。更に、本実施形態のドアECU15は、利用者の操作入力がないにも関わらず(ステップ704:NO)、上記ステップ703の停止判定において、そのスライドドア1が停止状態にないと判定された場合(ステップ705:NO)には、モータ10の各相端子を短絡させる回生ブレーキ制御を実行する(ステップ706)。そして、本実施形態のパワースライドドア装置20は、これにより、そのスライドドア1に制動力を付与することで、例えば、路面の傾斜によりスライドドア1が動き出した場合においても、自重によって緩やかに、そのスライドドア1が全閉位置又は全開位置に移動する構成になっている。
(車両走行中、スライドドアが開動作状態にある場合の制動制御)
次に、車両走行中、スライドドア1が開動作状態にある場合に、本実施形態のドアECU15が実行する制動制御の態様について説明する。
図14に示すように、本実施形態のドアECU15は、車両走行中(ステップ801:YES)、スライドドア1が開動作状態にあるか否かを判定する(ステップ802)。更に、ドアECU15は、そのスライドドア1が開動作状態にあると判定した場合(ステップ802:YES)には、このスライドドア1の駆動源であるモータ10に対して通電相を固定した駆動電力の供給、即ち相固定通電制御を実行する(ステップ803)。そして、本実施形態のドアECU15は、これにより、そのスライドドア1の開閉動作位置Xdを保持する構成になっている。
また、図15に示すように、本実施形態のドアECU15は、このような車両走行中にスライドドア1の開閉動作位置Xdを保持するための相固定通電制御を実行する際には、車両の加速度(前後方向加速度)Gを検出する(ステップ901)。尚、本実施形態のドアECU15は、車両に設けられた加速度センサ45の出力信号に基づいて、その車両の加速度Gを検出する(図1参照)。次に、本実施形態のドアECU15は、その検出された車両の加速度(絶対値)Gを所定の切替閾値TH1と比較する(ステップ902)。そして、本実施形態のドアECU15は、この比較結果に基づいて、そのモータ10に供給する駆動電力を調整するPWM制御のデューティ比D(図4参照、ステップ102)を変更する構成になっている。
具体的には、本実施形態のドアECU15は、検出された車両の加速度Gが切替閾値TH1以下である場合(|G|≦TH1、ステップ902:YES)には、そのPWM制御のデューティ比Dを第1の値Daに設定する(第1デューティ比、D=Da、ステップ903)。尚、本実施形態のドアECU15は、この車両走行中の制動制御においてもまた、上記のように、その相固定通電制御に用いられる通電相Pxを周期的に切り替える(図7及び図8参照)。そして、車両の加速度Gが切替閾値TH1を超える場合(|G|>TH1、ステップ902:NO)には、そのPWM制御のデューティ比Dを上記第1の値Daよりも大きな第2の値Dbに設定する(第2デューティ比、D=Db>Da、ステップ903)。
即ち、図16に示すように、例えば、車両の発進時(時間T1〜T4)には、そのスライドドア1の開閉動作方向が設定された車両の前後方向に大きな加速度Gが発生する。そして、これにより、スライドドア1には、このスライドドア1を開閉動作方向に移動させようとする大きな力(慣性力)が働くことになる。
しかしながら、本実施形態のパワースライドドア装置20では、このような場合においても、車両の加速度Gが切替閾値TH1を超えることで(時間T2〜時間T3)、その相固定通電制御の実行により制動力を発生するモータ10に対して、より大きな駆動電力が供給される(D=Db)。そして、本実施形態のパワースライドドア装置20は、これにより、モータ10が発生する制動力を強化することで、そのスライドドア1の開閉動作位置Xdを安定的に保持することが可能になっている。
また、その後、車両の加速度Gが再び切替閾値TH1以下に低下することで(時間T3〜時間T7)、そのモータ10に対する駆動電力の供給が低減される(D=Da<Db)。そして、本実施形態のパワースライドドア装置20は、これにより、その相固定通電による制動制御時の発熱を抑制することで、安定的に、その制動制御を継続することが可能になっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)制動制御部50としてのドアECU15は、開閉体としてのスライドドア1の駆動源となるモータ10に対して通電相を固定した駆動電力の供給を行うことにより、そのスライドドア1に制動力を付与する。そして、PWM制御部60aとしてのドアECU15は、PWM制御の実行により、そのモータ10に供給する駆動電力を調整する。また、加速度検出部60bとしてのドアECU15は、車両の加速度Gを検出する。更に、PWM制御部60aとしてのドアECU15は、相固定通電制御の実行時、車両の加速度Gが所定の切替閾値TH1以下である場合には、そのPWM制御のデューティ比Dを第1の値Daに設定する(|G|≦TH1、D=Da)。そして、ドアECU15は、車両の加速度Gが切替閾値TH1を超える場合には、そのPWM制御のデューティ比Dを上記第1の値Daよりも高い第2の値Dbに設定する(|G|>TH1、D=Da>Db)。
即ち、例えば、発進時等、スライドドア1には、車両が加速(又は減速)することによって、そのスライドドア1を開閉動作方向に移動させようとする力(慣性力)が働く。しかしながら、上記構成によれば、車両の加速度Gが切替閾値TH1を超えることで、その相固定通電制御の実行により制動力を発生するモータ10に対して、より大きな駆動電力が供給される。そして、これにより、モータ10が発生する制動力を強化することで、そのスライドドア1の開閉動作位置Xdを安定的に保持することができる。
更に、車両の加速度Gが切替閾値TH1以下の場合には、そのモータ10に供給される駆動電力が低く抑えられる。つまり、車両の加速又は減速によって、そのスライドドア1に働く当該スライドドア1を開閉動作方向に移動させる力が小さい状況においては、その相固定通電による制動制御時の発熱を抑制することができる。そして、これにより、安定的に、その制動制御を継続することができる。
(2)制動制御部50としてのドアECU15は、相固定通電制御の実行時間tが所定時間taを経過した場合(t≧ta、ステップ408:YES)には、その相固定通電制御に用いる通電相Pxを切り替える(ステップ409)。
即ち、相固定通電制御に用いる通電相Pxを所定時間taの経過で切り替えることにより、その相固定通電制御の実行による発熱箇所を複数相に分散させることができる。そして、これにより、相固定通電による制動制御時の発熱を抑制することができる。その結果、安定的に、その制動制御を継続することができる。
(3)制動制御部50としてのドアECU15は、所定時間ta毎にその相固定通電制御に用いる通電相Pxを切り替える。
即ち、相固定通電制御の実行時、周期的に通電相Pxを切り替える構成を採用することで、その通電相Pxの切替周期となる所定時間ta、つまりは、一つの通電相Pxに対する連続通電時間を短くすることができる。そして、これにより、より効果的に、相固定通電による制動制御時の発熱を抑制することができる。その結果、より安定的に、その制動制御を継続することができる。
(4)制動制御部50としてのドアECU15は、モータ10の回転角θに応じた第1の固定通電相Paを選択する(ステップ402)。また、ドアECU15は、この第1の固定通電相Paと高電位側通電相が等しい通電相を第2の固定通電相Pbに選択する(ステップ403)。そして、ドアECU15は、その第1の固定通電相Paと第2の固定通電相Pbとの間で、相固定通電制御に用いる通電相Pxを切り替える(Px=Pa→Pb、又はPx=Pb→Pa)。
上記構成によれば、相固定通電制御の実行及びその通電相Pxを切り替えることにより生ずるモータ10の回転角変化を最小に抑えることができる。そして、これにより、より安定的に、そのスライドドア1の開閉動作位置Xdを保持することができる。
特に、本実施形態の駆動回路25は、通電相Pxに対応する上段側のFETがオン状態のまま、その通電相Pxに対応する下段側のFETがPWM制御によりオン/オフする。このため、上記のように高電位側通電相が互いに等しい第1の固定通電相Paと第2の固定通電相Pbとの間で通電相Pxの切り替えを行うことにより、駆動回路25においては、そのPWM制御によりオン/オフする下段側のFETが切り替わることになる。そして、これにより、より効果的に、相固定通電による制動制御時の発熱を抑えることができる。
(5)開閉制御部51としてのドアECU15は、モータ10を回転させることにより、そのドアアクチュエータ11の作動を制御してスライドドアを開閉駆動する。また、制動制御部50としてのドアECU15は、スライドドア1の開閉駆動が途中で停止した場合(図5参照、ステップ203)には、モータ10の作動を制御することより、そのスライドドア1に制動力を付与する(ステップ204)。更に、ドアECU15は、このスライドドア1の制動制御において、スライドドア1の移動速度Vdが所定速度Vd0以上である場合(図6参照、Vd≧Vd0、ステップ302:YES)には、モータ10の各相端子を短絡させる回生ブレーキ制御(ショートブレーキ制御)の実行により、そのスライドドア1に制動力を付与する(ステップ303)。そして、スライドドア1の移動速度Vdが所定速度Vd0よりも低い場合(ステップ302:NO)には、相固定通電制御の実行により、そのスライドドア1に制動力を付与する(ステップ304)。
即ち、回生ブレーキ制御を実行することで、スライドドア1の移動によりモータ10に生ずる回生電流に基づいて、このスライドドア1に制動力を付与することができる。そして、これにより、円滑に、その移動中のスライドドア1を減速させることができる。また、相固定通電制御を実行することで、モータ10の回転が停止した状態においても、そのスライドドア1に制動力を付与することができる。そして、これにより、その停止したスライドドア1の開閉動作位置Xdを安定的に保持することができる。
(6)開閉動作位置検出部52aとしてのドアECU15は、モータ10の回転に同期したパルス信号Spをカウントすることによりスライドドア1の開閉動作位置Xdを検出する。また、開閉動作位置保持部52bとしてのドアECU15は、複数回の検出周期に亘って、その各検出周期において検出した開閉動作位置Xdを記憶領域40に保持する(保持値Xd1〜Xd4)。そして、停止判定部52cとしてのドアECU15は、所定回数前(4回前)の検出周期において検出された開閉動作位置Xdの保持値Xd4と今回の検出周期における開閉動作位置Xdの検出値との差分値(|Xd−Xd4|)に基づいて、スライドドア1の停止判定を実行する(図12参照)。
上記構成によれば、パルス信号Spの分解能が高い場合であっても、そのスライドドア1の振動等を要因とした誤検知の発生を回避することができる。そして、これにより、精度よく、スライドドア1の停止状態を検知することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、開閉体としてのスライドドア1をモータ駆動により開閉作動させるパワースライドドア装置20に具体化した。しかし、これに限らず、相固定通電制御の実行により制動力を付与するものであれば、スライドドア1以外の開閉体を対象とする車両用開閉体制御装置に適用してもよい。
・上記実施形態では、ドアECU15は、所定時間ta毎に、その相固定通電制御に用いる通電相Pxを切り替えることとしたが、例えば、切替回数が一回である場合等、必ずしも周期的でなくともよい。
・上記実施形態では、ドアECU15は、所定時間ta毎に、その相固定通電制御を開始する前に予め選択した第1及び第2の固定通電相Pa,Pbを交互に切り替える。そして、ドアECU15は、モータ10の回転角θに応じて、その第1の固定通電相Paを選択することとした。しかし、これに限らず、モータ10の回転角θに関わらず、その選択される第1及び第2の固定通電相Pa,Pbが予め定められている構成であってもよい。
・また、上記実施形態では、第1の固定通電相Paと高電位側通電相が等しい通電相を第2の固定通電相Pbに選択することとしたが、低電位側通電相が等しい通電相を第2の固定通電相Pbに選択する構成としてもよい。このような構成としても、その通電相Pxを切り替えることにより生ずるモータ10の回転角変化を最小に抑えることができる。
特に、PWM制御によって、通電相Pxに対応する下段側のFETがオン状態のまま、その通電相Pxに対応する上段側のFETがPWM制御によりオン/オフする構成では、このような構成を採用することで、そのPWM制御によりオン/オフする上段側のFETが切り替わることになる。そして、これにより、上記実施形態と同様、より効果的に、その相固定通電による制動制御時の発熱を抑えることができる。
・更に、相固定通電制御の実行中に、その通電相Pxの切替候補を決定する構成としてもよい。そして、その切替候補の決定方法についてもまた、例えば、無作為(ランダム)に選択する等、任意に変更してもよい。
・上記実施形態では、矩形波通電(120°通電)によって、そのモータ10を回転駆動することとしたが、モータ10の回転駆動方法は、正弦波通電(180°通電)等であってもよい。
・上記実施形態では、ドアECU15は、スライドドア1の停止判定において、4回分の検出周期に亘って、その各検出周期において検出した開閉動作位置Xdを記憶領域40に保持する(保持値Xd1〜Xd4)。そして、その最も古い4回前の保持値Xd4と今回の検出周期における開閉動作位置Xdの検出値との差分値(絶対値)を演算することとした。しかし、これに限らず、その差分値演算に用いる開閉動作位置Xdの記録を何回前の保持値とするかは任意に設定してもよい。そして、その記憶領域40に保持する検出周期の回数についてもまた、任意に変更してもよい。
・上記実施形態では、加速度センサ45の出力信号に基づいて、その車両の加速度Gを検出することとしたが、車速Vの変化から演算する構成であってもよい。
・上記実施形態では、車両の加速度Gを所定の切替閾値TH1と比較することにより、二段階で、モータ10に供給する駆動電力を調整するPWM制御のデューティ比Dを変更することとした。しかし、これに限らず、複数の閾値を用いることにより、その車両の加速度Gに応じた複数段階で、そのPWM制御のデューティ比Dを増大させる構成であってもよい。そして、マップ演算を用いる等により、無段階で連続的に、その車両の加速度Gが高いほど、そのPWM制御のデューティ比Dを増大させる構成であってもよい。
・また、図16及び図17のフローチャートに示すように、検出した車両の加速度Gを、上記切替閾値TH1よりも低い値に設定された所定の解除閾値TH2と比較する(ステップ1002)。そして、その車両の加速度Gが解除閾値TH2以下である場合(ステップ1002:YES)には、PWM制御のデューティ比Dを「0%」に設定、つまりは、その相固定通電制御を実行しない構成としてもよい(制動解除、ステップ1003)。
即ち、車両が定常走行状態にある場合(図16中、時間t5〜時間t6)、その車両の加速度Gは小さな値となっている。つまり、このような場合には、その相固定通電制御の実行による制動力の付与を解除しても、スライドドア1はほとんど動かないと考えられる。従って、上記構成によれば、スライドドア1の変位を抑えつつ、より効果的に、相固定通電による制動制御時の発熱を抑制することができる。
尚、上記のように、車両の走行中、スライドドア1に付与する制動力を解除する構成を含め、相固定通電制御の実行時、車両の加速度Gに応じてPWM制御のデューティ比Dを変更する構成を採用する場合には、例えば、スライドドア1の移動をトリガとして、そのスライドドア1に制動力を付与する構成等と併用するとよい。これにより、より高い安全性を確保することができる。
・また、切替閾値TH1については、デューティ比Dの切替特性にヒステリシスを持たせるように、その加速度Gの変化方向(上昇方向及び減少方向)で異なる二値を設定してもよい。そして、上記解除閾値TH2についても同様に、その加速度Gの変化方向で異なる二値を設定してもよい。
・上記実施形態では、車両走行中、スライドドア1が開動作状態にある場合の相固定通電制御において、その車両の加速度Gに応じてPWM制御のデューティ比Dを変更する構成と、所定時間taの経過によって、その相固定通電制御に用いる通電相Pxを切り替える構成とが併用されることとした。しかし、これに限らず、デューティ比Dの可変制御を実行する場合には、その相固定通電制御に用いる通電相Pxの切替制御を行わない構成であってもよい。
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
(イ)前記制動制御部は、前記所定時間毎に前記相固定通電制御に用いる通電相を切り替えること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
即ち、相固定通電制御の実行時、周期的に通電相を切り替える構成を採用することで、その通電相の切替周期となる所定時間、つまりは、一つの通電相に対する連続通電時間を短くすることができる。そして、これにより、より効果的に、相固定通電による制動制御時の発熱を抑制することができる。その結果、より安定的に、その制動制御を継続することができる。
(ロ)前記駆動電力が供給される前記モータの通電相は、高電位側通電相と低電位側通電相との組み合わせにより規定されるものであって、前記制動制御部は、前記高電位側通電相又は低電位側通電相が互いに等しい第1及び第2の固定通電相を選択して、前記相固定通電制御に用いる通電相を切り替えること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
上記構成によれば、相固定通電制御に用いる通電相を切り替えることにより生ずるモータの回転角変化を最小に抑えることができる。そして、これにより、より安定的に、その開閉体の開閉動作位置を保持することができる。
(ハ)前記モータを回転させることにより前記開閉体を開閉駆動する開閉制御部を備え、前記制動制御部は、前記開閉体の開閉駆動が途中で停止した場合には、前記モータの各相端子を短絡させる回生ブレーキ制御の実行により前記開閉体に制動力を付与するとともに、前記開閉体の移動速度が所定速度よりも低い場合には、前記相固定通電制御を実行すること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
即ち、回生ブレーキ制御を実行することで、開閉体の移動によりモータに生ずる回生電流に基づいて、この開閉体に制動力を付与することができる。そして、これにより、円滑に、その移動中の開閉体を減速させることができる。また、相固定通電制御を実行することで、モータの回転が停止した状態においても、その開閉体に制動力を付与することができる。そして、これにより、その停止した開閉体の開閉動作位置を安定的に保持することができる。
(ニ)前記制動制御部は、前記モータの回転角に応じた第1の固定通電相を選択すること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。これにより、その相固定通電制御の実行により生ずるモータの回転角変化を最小に抑えることができる。
(ホ)前記駆動電力を生成する駆動回路の高電位側スイッチング素子及び低電位側スイッチング素子の何れか一方側をPWM制御するPWM制御部を備え、前記制動制御部は、前記PWM制御されるスイッチング素子が切り替わるように前記第1及び第2の固定通電相を選択すること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。これにより、より効果的に、相固定通電による制動制御時の発熱を抑えることができる。
(ヘ)開閉体の駆動源となるモータの回転に同期したパルス信号をカウントすることにより前記開閉体の開閉動作位置を検出する開閉動作位置検出部と、複数回の検出周期に亘って該各検出周期において検出された前記開閉動作位置を保持する開閉動作位置保持部と、所定回数前の検出周期において検出された前記開閉動作位置の保持値と今回の検出周期における前記開閉動作位置の検出値との差分値に基づいて、前記開閉体の停止判定を行う停止判定部と、を備える車両用開閉体制御装置。
上記構成によれば、パルス信号の分解能が高い場合であっても、その開閉体の振動等を要因とした誤検知の発生を回避することができる。そして、これにより、精度よく、開閉体の停止状態を検知することができる。