以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る複合材料成形装置10(図3等参照)及び複合材料成形方法で成形される複合材料1の一例を示す概略図である。図2は、図1の複合材料1の断面図である。図2は、鉛直方向を含む断面における図1の複合材料1の断面図である。図1に示す複合材料1は、複合材料1に含まれる樹脂が反応前の状態の場合、処理前及び処理途中の状態を示しており、複合材料1に含まれる樹脂が反応後の状態の場合、処理後の状態を示している。図1に示す複合材料1は、強化繊維と、樹脂と、を有する。
複合材料1は、強化繊維を3次元形状に編んだプリフォームに熱可塑性樹脂を含浸させたプリフォーム材、強化繊維と熱可塑性樹脂繊維との混紡であるコミングル材、強化繊維と熱可塑性樹脂繊維とをニット状に織り込んだコミングルニット材、強化繊維に熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ、及び強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させて半硬化または硬化させた材料等が例示される。図1に示す複合材料1は、熱可塑性樹脂を使用した複合材料であることが好ましく、この場合、可塑性を利用して形状の微調整を行う事ができ、熱硬化性樹脂に比べて成形の時間的制約もない。また、複合材料1は、熱可塑性樹脂を使用した複合材料の中でも、プリフォーム材、コミングル材またはコミングルニット材であることがさらに好ましく、この場合、予め所望の形に形成しておくことができるので、第1の実施形態に係る複合材料成形方法によりしわができにくい。
複合材料1は、軽量性及び高い強度を有する。複合材料1に含まれる強化繊維は、第1の実施形態では炭素繊維が例示されるが、これに限定されることはなく、その他の金属繊維でもよい。
複合材料1に含まれる樹脂は、加熱されることで熱溶融反応する熱可塑性樹脂と、加熱されることで軟化状態または半硬化状態から硬化状態に熱硬化反応する熱硬化性樹脂と、が例示される。以下において、複合材料1に含まれる樹脂は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを区別しない場合には、熱可塑性樹脂の熱溶融反応と熱硬化性樹脂の熱硬化反応とを、単に反応と称する。
複合材料1に含まれる樹脂は、第1の実施形態では、熱可塑性樹脂である場合、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、及びポリフェニレンサルファイド(PPS)等が例示される。複合材料1に含まれる樹脂は、第1の実施形態では、熱硬化性樹脂である場合、エポキシ系樹脂を有する樹脂が例示される。複合材料1に含まれる樹脂がエポキシ系樹脂を有する場合、さらに軽量性及びさらに高い強度を有するので、好ましい。複合材料1に含まれる樹脂は、第1の実施形態では、熱硬化性樹脂である場合、他には、ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂が例示される。ただし、複合材料1に含まれる樹脂は、これらに限定されず、その他の樹脂でもよい。
複合材料1は、図1及び図2に示すように、所定の厚さを有する円錐曲面状に形成されており、頂点部分がフック2で上側から支持され、底部分が平面台3で下側から支持されている。複合材料1は、フック2で支持される穴部または被支持部材(いずれも、図示省略)が設けられている。フック2は、クレーンで上側から吊り下げられたものが例示される。平面台3は、複合材料1を下側から支持する水平面を有する台座が例示されるが、複合材料1を水平方向に固定する凹凸等が設けられていてもよい。
なお、複合材料1は、図1及び図2に示すようなフック2で支持される形態に限定されず、例えば、図示しない自動積層装置により、複合材料1を構成する複合部材が自動で積層されて設けられた形態であってもよい。この場合、複合材料1は、自動積層装置により設けられてからすぐに成形処理が施されるので、フック2で支持されることを要しない。
また、複合材料1は、一度様々な形状に成形された後に修理に供される形態であってもよい。この場合、複合材料1は、一度成形されているため、フック2で支持されることを要しない。その他、複合材料1は、成形処理を施すことが可能な種々の形態が例示される。
複合材料1は、図2に示すように、円錐曲面状の外側に開放空間を有し、円錐曲面状の内側に平面台3によって閉鎖された空間部分である閉鎖空間を有する。複合材料1は、この開放空間側に設けられた一方の面1aと、この閉鎖空間側に設けられた他方の面1bと、を有する。なお、複合材料1は、第1の実施形態では、図1及び図2に示す円錐曲面状であるが、この形状に限定されず、いかなる形状であってもよい。
図3は、本発明の第1の実施形態に係る複合材料成形装置10の概略構成図である。図4は、図3の複合材料成形装置10の別の概略構成図である。図4は、図3における複合材料1を、図2と同様に鉛直方向を含む断面における断面図として、複合材料1の閉鎖空間を可視化させた複合材料成形装置10の概略構成図である。複合材料成形装置10は、図3及び図4に示すように、ヘッド12と、裏当て部材14と、ロボットアーム16と、制御部18と、を含む。
ヘッド12は、ヘッド支持部としてのロボットアーム16によって複合材料1の一方の面1aに沿って移動可能に支持されており、複合材料1の一方の面1aにおいてヘッド12と対向する領域を加熱及び加圧する。ヘッド12は、クレーンのアームによって移動可能に支持されるコンパクションヘッドが例示される。裏当て部材14は、ヘッド12と複合材料1を介して複合材料1の厚さ方向に対向した状態で、複合材料1の他方の面1bに沿って移動可能に設けられ、複合材料1の他方の面1bにおいて裏当て部材14と対向する領域を加圧する。
ロボットアーム16は、複合材料1の開放空間、すなわち複合材料1の一方の面1a側の空間に設けられている。ロボットアーム16は、ヘッド12を複合材料1の一方の面1aに沿って移動可能に支持する。ロボットアーム16は、クレーンのアームが例示される。制御部18は、ヘッド12及びロボットアーム16と、電気的に接続されており、ヘッド12及びロボットアーム16を制御する。
なお、ヘッド12は、ロボットアーム16によって支持されている形態に限定されず、複合部材を自動で積層することで複合材料1を設ける図示しない自動積層装置において複合部材1を積層する積層ヘッド部で、複合材料1の一方の面に沿って移動可能に支持されている形態であってもよい。すなわち、ヘッド12を支持するヘッド支持部が、自動積層装置の積層ヘッド部であってもよい。この場合、ヘッド12は、自動積層装置によって複合部材を積層して設けられた複合材料に対して、すぐに、連続して、複合材料1を成形する処理を実行することができる。
また、ヘッド12は、ヘッド12を複合材料1の一方の面に沿って移動可能に支持する機構に対して着脱可能であり、携帯可能である形態であってもよい。この場合、ヘッド12は、様々な形状に成形された後の複合材料1の部分的な修理としての複合材料1の成形にも好適に使用することができる。
図5は、図3の複合材料成形装置10の要部の断面図である。図5は、複合材料1の母線方向を含む断面における複合材料成形装置10の要部の断面図である。ヘッド12は、図5に示すように、加熱部材22と、直流磁場部材24と、を有する。また、ヘッド12は、複合材料1の一方の面1aと対向する面12aを有する。加熱部材22は、複合材料1の一方の面1aのヘッド12における面12aが対向する領域を加熱する。直流磁場部材24は、複合材料1の一方の面1aにおけるヘッド12の面12aが対向する領域に向けて直流磁場を発生させる。加熱部材22と直流磁場部材24とは、いずれも、制御部18と電気的に接続されており、制御部18によって制御される。ヘッド12の面12aが複合材料1の一方の面1aと対向する表面、及び、加熱部材22と直流磁場部材24との間の領域等は、適宜、複合材料1の成形の際の加圧及び加熱に十分な耐圧性及び耐熱性を示し、かつ、直流磁場部材24及び磁場応答部材34等が発生する磁場に対して透明な材料、例えば、PEEK樹脂及びセラミックスなどの材料で適切に保護されていることが好ましい。
加熱部材22は、制御部18によって制御された可変な加熱温度で加熱することができる。加熱部材22は、第1の実施形態では、交流磁場を印加することで複合材料1の内部に渦電流を誘起することにより複合材料1を加熱する交流磁場印加部材が例示される。加熱部材22は、交流磁場印加部材である場合、複合材料1の一方の面1aにおけるヘッド12の面12aが対向する領域に向けて900kHz以上の高周波磁場を印加することが好ましい。加熱部材22は、これに限定されず、抵抗加熱により自らが発熱することで複合材料1を加熱する抵抗加熱ヒータ、電場を印加することで複合材料1を加熱する電場印加部材、超音波を発生させることで複合材料1を加熱する超音波発生部材、ミリ波を発生させることで複合材料1を加熱するミリ波発生部材、及び、電磁波を印加することでヘッド12または裏当て部材14に予め設けた微小金属等の電磁場発熱体を発熱することにより複合材料1を加熱する電磁波印加部材、等が好適なものとして例示される。なお、加熱部材22として用いられる交流磁場印加部材または電場印加部材は、ヘッド12または裏当て部材14に予め設けた微小金属等の電磁場発熱体を発熱することにより複合材料1を加熱する形態であってもよい。加熱部材22は、いずれの場合においても、加熱温度の分布を持たせることができる。
ここで、金属等の電磁場発熱体は、金属等の電磁場発熱体における所定の方向に沿った電場が印加されることで、分子運動量が増加して、金属等の電磁場発熱体の内部に発熱が誘起される。また、金属等の電磁場発熱体は、金属等の電磁場発熱体における所定の方向に直交する方向に沿った磁場が印加されることで、内部に電流が発生し、金属等の電磁場発熱体自体の電気抵抗によって発熱する。同様に、金属等の電磁場発熱体は、電磁波を吸収して、発熱する。金属等の電磁場発熱体は、例えば、溶液に分散して吹き付けることで塗布された金属等の電磁場発熱体シートとして、複合材料1、ヘッド12または裏当て部材14等に予め設けられることが好ましい。金属等の電磁場発熱体は、複合材料1、ヘッド12または裏当て部材14等に局所的または部分的に分布させて設けることで、局所的又は部分的な加熱を精度よく行うことを可能にする。
直流磁場部材24は、第1の実施形態では、制御部18によって制御された可変な直流磁場を印加することができる電磁石が例示される。直流磁場部材24は、制御部18によって制御される電磁石が用いられる場合、加熱部材22の発熱に応じて、制御部18によって電磁石に供給する電流値を高い値に制御することで、加熱部材22の発熱に依らず、電磁石が発生させる直流磁場を一定に保持し、これにより、後述するように直流磁場部材24と磁場応答部材34とによって複合材料1の対向する領域に印加される圧力を一定に保持することができる。また、直流磁場部材24は、制御部18によって制御される電磁石が用いられる場合、複合材料1の厚さに応じて、制御部18によって電磁石に供給する電流値を高い値に制御することで、複合材料1の対向する領域に印加される圧力を適切な値に制御することができる。また、直流磁場部材24は、発生させる直流磁場に分布を持たせてもよい。なお、直流磁場部材24は、これに限定されず、一般的な工業用の強力磁石が用いられてもよく、この場合には制御部18と電気的に接続されておらず、制御部18に制御されない。直流磁場部材24は、電磁石が採用される場合でも、一般的な工業用の強力磁石が採用される場合でも、印加する磁場が温度によって大きく変化しない形態であることが好ましい。
裏当て部材14は、図5に示すように、裏当て板32と、磁場応答部材34と、を有する。また、裏当て部材14は、複合材料1の他方の面1bと対向する面14aを有する。
裏当て部材14は、小さければ小さいほど好ましく、この場合、複合材料1の成形する形状の自由度を高めることができる。裏当て板32は、複合材料1の成形の際の加圧及び加熱に十分な耐圧性及び耐熱性を示し、かつ、加熱部材22、直流磁場部材24及び磁場応答部材34が発生する磁場に対して透明な材料、例えば、PEEK樹脂及びセラミックスなどの材料で形成された剛体の板が例示される。
磁場応答部材34は、ヘッド12の直流磁場部材24と対称となるように配置して設けられる。具体的には、磁場応答部材34は、裏当て部材14の面14aとヘッド12の面12aとが複合材料1を介して複合材料1の厚さ方向に対向した状態において、複合材料1の厚さ方向に直流磁場部材24と対向する位置に設けられる。磁場応答部材34は、第1の実施形態では、その全部が直流磁場部材24の全部と対向する位置に設けられているが、これに限定されず、その一部が直流磁場部材24の一部または全部と対向する位置に設けられた形態であってもよい。
磁場応答部材34は、複合材料1の裏当て部材14の面14aが対向する領域を介して、ヘッド12の直流磁場部材24が印加する直流磁場に応じて、直流磁場部材24に対して引力を発生させる。磁場応答部材34は、具体的には、直流磁場部材24が印加する直流磁場と極性の方向が異なる工業用の磁石が例示される。磁場応答部材34は、工業用の磁石が採用される場合、直流磁場部材24に対して発生させる引力が温度によって大きく変化しない形態であることが好ましい。
ヘッド12と裏当て部材14とが複合材料1を介して複合材料1の厚さ方向に対向した状態において、直流磁場部材24と磁場応答部材34とが複合材料1を介して複合材料1の厚さ方向に対向した状態となる。このとき、直流磁場部材24と磁場応答部材34とは、複合材料1を介して複合材料1の厚さ方向に、互いに引力で引き合っている。この引力により、裏当て部材14は、複合材料1の他方の面1bに沿って移動可能に支持されている。また、この引力により、ヘッド12の面12aが複合材料1の一方の面1a側から、裏当て部材14が複合材料1の他方の面1b側から、複合材料1のそれぞれの面12a,14aが対向する領域を複合材料1の厚さ方向に挟み込むことで、加圧する。直流磁場部材24と磁場応答部材34とは、複合材料1の対向する領域に対して、50kPa以上3000kPa以下で加圧することが好ましく、50kPa以上500kPa以下で加圧することが可能な引力を発生させていることがより好ましい。また、この引力により、ロボットアーム16によりヘッド12を複合材料1の一方の面1aに沿って滑りながら移動することに応じて、裏当て部材14がヘッド12に追従して複合材料1の他方の面1bに沿って滑りながら移動する。なお、ヘッド12の直流磁場部材24の部分は、複合材料1の一方の面1aに接触していなくてもよく、また、裏当て部材14の磁場応答部材34の部分は、複合材料1の他方の面1bに接触していなくてもよく、ヘッド12と裏当て部材14とが互いに引力で引き合うことが可能な形状であればよい。
図6は、図3の複合材料成形装置10のヘッド12の複合材料1と対向する面12aの一例を示す平面図である。図7は、図3の複合材料成形装置10の裏当て部材14の複合材料1と対向する面14aの一例を示す平面図である。ヘッド12は、図6に示すように、正方形状の面12aの4辺全てにおける中央領域に、正方形状の加熱部材22が設けられており、正方形状の面12aの4辺全てにおける端部領域に、正方形状の加熱部材22の四方を囲うように直流磁場部材24が設けられている。裏当て部材14は、図7に示すように、正方形状の面14aにおける中央領域に、正方形状の裏当て板32が設けられており、正方形状の面14aにおける4辺全ての端部領域に、正方形状の裏当て板32の四方を囲うように磁場応答部材34が設けられている。
図8は、図3の複合材料成形装置10のヘッド12の複合材料1と対向する面12aの変形例を示す平面図である。図9は、図3の複合材料成形装置10の裏当て部材14の複合材料1と対向する面14aの変形例を示す平面図である。ヘッド12の変形例は、図8に示すように、正方形状の面12aの対向する2辺における中央領域に、その2辺の延びる方向に長い長方形状に加熱部材22が設けられており、正方形状の面12aの対向する2辺における端部領域に、長方形状の加熱部材22のその2辺の方向を挟むように直流磁場部材24が設けられている。裏当て部材14の変形例は、図9に示すように、正方形状の対向する2辺における中央領域に、その2辺の延びる方向に長い長方形状に裏当て板32が設けられており、正方形状の面14aにおける対向する2辺の端部領域に、長方形状の裏当て板32のその2辺の方向を挟むように磁場応答部材34が設けられている。
いずれにしても、ヘッド12の面12aの形状にかかわらず、ヘッド12は、面12aの中央領域に加熱部材22が設けられており、面12aの端部領域に直流磁場部材24が設けられていることが好ましい。また、裏当て部材14の面14aの形状にかかわらず、面14aの中央領域に裏当て板32が設けられており、面14aの端部領域に磁場応答部材34が設けられていることが好ましい。
一般に磁力は温度が上昇することに伴い低下する傾向があるが、直流磁場部材24と磁場応答部材34とがいずれも端部領域に設けられている場合、周囲の空気により好適に冷却できるので、直流磁場部材24と磁場応答部材34との間に働く引力を保持しやすくすることができる。また、直流磁場部材24と磁場応答部材34との間に働く引力を端部領域で発生させるため、ヘッド12と裏当て部材14との対向した状態をより高い精度で安定して、維持することができる。また、加熱部材22が中央領域に設けられている場合、ヘッド12の中央領域で加熱するため、加熱温度をより高い精度で安定して、維持することができる。
また、加熱部材22として交流磁場印加部材が用いられている場合、加熱部材22による中央領域磁場と、直流磁場部材24及び磁場応答部材34による端部領域磁場とが干渉する場合がある。しかし、加熱部材22が中央領域に設けられており、かつ、直流磁場部材24と磁場応答部材34とがいずれも端部領域に設けられている場合、加熱温度をより高い精度で安定させて維持したい中央領域における中央部分では、端部領域磁場の影響が小さいため好ましい。また、この場合、周囲の空気による直流磁場部材24と磁場応答部材34との冷却に寄与でき、かつ、ヘッド12と裏当て部材14との対向した状態をより高い精度で安定して維持することに直流磁場部材24と磁場応答部材34との引力が寄与できる、端部領域における端部部分では、中央領域磁場の影響が小さいため好ましい。
制御部18は、記憶部と、処理部と、を備える。記憶部は、例えばRAM、ROM及びフラッシュメモリー等の記憶装置を有し、処理部により処理されるソフトウェア・プログラム及びこのソフトウェア・プログラムにより参照されるデータ等を記憶する。また、記憶部は、処理部が処理結果等を一時的に記憶する記憶領域としても機能する。処理部は、記憶部からソフトウェア・プログラム等を読み出して処理することで、ソフトウェア・プログラムの内容に応じた機能、具体的には、複合材料成形装置10によって実行される複合材料成形方法の実行を可能にする種々の機能を発揮する。
制御部18は、ロボットアーム16等のヘッド支持部の作動を制御することで、ヘッド12及び裏当て部材14の位置並びに移動速度を制御する。制御部18は、加熱部材22を制御することで、複合材料1の対向する領域に対する加熱温度を制御する。このように、制御部18は、複合材料1の具体的な樹脂の組成等に応じて、複合材料1を加熱する加熱温度、昇温速度、及び加熱時間を制御することができる。制御部18は、直流磁場部材24として電磁石が用いられている場合、さらに直流磁場部材24を制御することで、加熱温度に応じて、直流磁場部材24と磁場応答部材34とによる複合材料1の対向する領域に対して印加する圧力を制御することができる。
図10は、本発明の第1の実施形態に係る複合材料成形方法のフローチャートである。第1の実施形態に係る複合材料成形方法について、図10を用いて説明する。第1の実施形態に係る複合材料成形方法は、複合材料成形装置10によって実行される。第1の実施形態に係る複合材料成形方法は、図10に示すように、配置ステップS12と、加熱ステップS14と、移動ステップS16と、を有する。
配置ステップS12は、複合材料1の所定の領域、具体的には複合材料1の成形処理を開始する領域を介して、ヘッド12と、裏当て部材14とを、直流磁場部材24と磁場応答部材34とが複合材料1を介して複合材料1の厚さ方向に対向した状態に配置するステップである。配置ステップS12では、詳細には、まず、制御部18がロボットアーム16を制御することで、ヘッド12の面12aを、複合材料1の所定の領域における一方の面1aに対向させた位置に移動する。配置ステップS12では、次に、別途設けられた裏当て部材14を把持する把持装置または作業者により、裏当て部材14の面14aを、複合材料1の所定の領域における他方の面1bに対向させた位置に移動する。配置ステップS12では、さらに、制御部18が直流磁場部材24を制御することで、直流磁場部材24と磁場応答部材34との間に引力を発生させて、ヘッド12の面12aと裏当て部材14の面14aとで複合材料1の所定の領域を複合材料1の厚さ方向に挟み込み、加圧した状態とする。
加熱ステップS14は、配置ステップS12により、ヘッド12の面12aと裏当て部材14の面14aとで複合材料1の厚さ方向に挟み込み、加圧した複合材料1の所定の領域を、加熱部材22により加熱するステップである。加熱ステップS14では、詳細には、制御部18が加熱部材22を制御することで、ヘッド12と裏当て部材14とで加圧した複合材料1の所定の領域を所定の温度で加熱して、樹脂を反応させて成形する。
移動ステップS16は、加熱ステップS14と並行して実行され、配置ステップS12で配置したヘッド12を、複合材料1の一方の面1aに沿って移動させることで、直流磁場部材24と磁場応答部材34との間の引力により、裏当て部材14をヘッド12に追従して複合材料1の他方の面1bに沿って移動させるステップである。移動ステップS16では、具体的には、制御部18が直流磁場部材24を制御して直流磁場部材24と磁場応答部材34との間に引力を発生させた状態を維持したまま、制御部18がロボットアーム16を制御してヘッド12を所定の方向に滑りながら移動させることで、裏当て部材14をヘッド12に追従して滑りながら移動させる。加熱ステップS14を実行しながら移動ステップS16で複合材料1の全面にヘッド12と裏当て部材14とを共に滑りながら移動させることで、複合材料1の全領域を成形する。
第1の実施形態では、図3から図5に示すように、円錐曲面状の複合材料1のうち平面台3と近接する下側において配置ステップS12を実行し、移動ステップS16で、制御部18がロボットアーム16を制御して、下側からフック2で支持される上側に向かって、複合材料1の一方の面1aにおける加熱部材22の軌跡が隙間を作らないように、例えば螺旋状に、ヘッド12と裏当て部材14とを移動させる。円錐曲面状の複合材料1は、図3から図5では、移動ステップS16で、平面台3から高さHの位置までヘッド12と裏当て部材14とを移動させた状態が示されており、高さHより下側の領域が、加熱ステップS14が実行されて成形された領域となっており、高さHより上側の領域が、加熱ステップS14が実行されておらずこれから成形される予定の領域となっている。第1の実施形態では、このように複合材料1の下側から上側に向かってヘッド12と裏当て部材14とを移動させるので、複合材料1の下側から上側に向かって成形されて安定化するため、複合材料1の成形の精度を向上させることができる。なお、ヘッド12と裏当て部材14との移動経路は、第1の実施形態では、円錐曲面状に沿う螺旋状であるが、この経路に限定されず、いかなる経路であってもよい。また、ヘッド12と裏当て部材14との移動経路は、複合材料1の形状に応じて、適宜決めることができる。
なお、仮にヘッド12の面12aが複合材料1の一方の面1a側から離れすぎてしまうことに伴い、裏当て部材14の磁場応答部材34が、直流磁場部材24が印加する直流磁場に応じて直流磁場部材24に対して十分な引力を発生させることができなくなり、これにより、裏当て部材14が、複合材料1の他方の面1bに沿って移動可能に支持されていない状態となり、平面台3に向けて落下してしまう場合がある。この場合には、制御部18が一旦、加熱部材22及び直流磁場部材24をオフに切り替えて、改めて、裏当て部材14がヘッド12と対向した状態が維持できなくなった時点の位置において配置ステップS12を実行し、順次、加熱ステップS14、移動ステップS16と処理を実行することで、第1の実施形態に係る複合材料成形方法を途中から再開することができる。
ここで、ヘッド12が、ロボットアーム16によって支持されている形態に限定されず、複合部材を自動で積層することで複合材料1を設ける図示しない自動積層装置において複合部材1を積層する積層ヘッド部で、複合材料1の一方の面に沿って移動可能に支持されている形態である場合、配置ステップS12及び移動ステップS16は、次のように部分的に変更される。この場合の配置ステップS12は、積層ヘッド部で複合材料1の所定の領域を積層することで、ヘッド12が、複合材料1の所定の領域に対し、複合材料1の厚さ方向に対向した状態に配置されることとなるステップとなる。この場合の移動ステップS16は、積層ヘッド部による複合材料1の積層と、ヘッド12の移動とが順次並行して、連続して実行するステップとなる。
また、ヘッド12が、ヘッド12を複合材料1の一方の面に沿って移動可能に支持する機構に対して着脱可能であり、携帯可能である形態である場合、配置ステップS12、加熱ステップS14及び移動ステップS16は、次のように部分的に変更される。この場合の配置ステップS12は、ヘッド12を、様々な形状に成形された後の複合材料1の部分に沿って移動可能に支持する支持部に取り付けるか、あるいは、様々な形状に成形された後の複合材料1の部分に向けて手動で配置するステップとなる。この場合の加熱ステップS14は、複合材料1に熱可塑性樹脂が含まれる場合、様々な形状に成形された後の複合材料1の部分を加熱することで、この部分の熱可塑性樹脂を再反応させることで、この部分を再成形して、この部分を修理することができるステップとなる。この場合の移動ステップS16は、ヘッド12を、様々な形状に成形された後の複合材料1の部分に移動させるステップとなる。
第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、以上のような構成を有するので、ヘッド12と裏当て部材14とで複合材料1の対向する領域を複合材料1の厚さ方向に挟み込むことで加圧しながら、ヘッド12の加熱部材22で加熱することができるとともに、直流磁場部材24と磁場応答部材34との間に働く引力によりヘッド12と裏当て部材14とが同期して移動することができるため、成形コアのような型を必要とせずに複合材料1を成形することができる。これにより、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、複合材料1のサイズが大きい場合でも、成形にかかるコストを低減することができる。また、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、複合材料1の成形する形状を自由にすることができる。
第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、ヘッド12を複合材料1の一方の面1aに沿って移動可能に支持するヘッド支持部としてのロボットアーム16をさらに含む。このため、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、ヘッド12と裏当て部材14との移動を自動で制御することができるので、複合材料1のサイズが大きい場合でも、成形にかかるコストをさらに低減することができる。
第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、ヘッド12が、複合部材1を自動で積層することで複合材料1を設ける自動積層装置において複合部材1を積層する積層ヘッド部で、複合材料1の一方の面に沿って移動可能に支持されていることが好ましい。この場合、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、複合部材1を積層して複合材料1を設ける処理と、複合材料1を成形する処理と、を連続して実行することができるので、複合材料1の成形の精度を高めることができる。
第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、ヘッド12が、ヘッド12を複合材料1の一方の面に沿って移動可能に支持する機構に対して着脱可能であり、携帯可能であることが好ましい。この場合、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、様々な形状に成形された後の複合材料1の部分的な修理としての複合材料1の成形にも好適に使用することができるので、複合材料1の修理にかかるコストを低減することができる。
第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、加熱部材22が、ヘッド12の複合材料1の一方の面1aと対向する面12aにおける中央領域に設けられ、直流磁場部材24が、ヘッド12の複合材料1の一方の面1aと対向する面12aにおける端部領域に設けられている。このため、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、直流磁場部材24と磁場応答部材34とが端部領域に設けられているため、周囲の空気により好適に冷却できるので、直流磁場部材24と磁場応答部材34との間に働く引力を保持しやすくすることができる。また、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、直流磁場部材24と磁場応答部材34との間に働く引力を端部領域で発生させるため、ヘッド12と裏当て部材14との対向した状態をより高い精度で安定して、維持することができる。また、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、ヘッド12の中央領域で加熱するため、加熱温度をより高い精度で安定して、維持することができる。
第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、加熱部材22の加熱温度と、直流磁場部材24の直流磁場とを制御する制御部18と、をさらに有する。このため、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、加熱温度を好適に制御することができるとともに、ヘッド12及び裏当て部材14の温度に応じて直流磁場が変化しないように直流磁場を制御することができる。
第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、配置ステップS12では、ヘッド12を複合材料1の開放空間側の面1aに沿って設け、裏当て部材14を複合材料1の閉鎖空間側の面1bに沿って設け、移動ステップS16では、ヘッド12を複合材料1の開放空間側の面1aに沿って移動させ、裏当て部材14を複合材料1の閉鎖空間側の面1bに沿って移動させる。このため、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法は、複合材料1がさらに狭い空間部分を有する場合でも、成形コアのような型を必要とせずに複合材料1を成形することができるとともに、成形にかかるコストを低減することができる。
[第2の実施形態]
図11は、本発明の第2の実施形態に係る複合材料成形装置40の要部の断面図である。図12は、本発明の第2の実施形態に係る複合材料成形装置40の要部の別の断面における断面図である。図11は、複合材料1の母線方向を含む断面における複合材料成形装置40の要部の断面図である。図12は、複合材料1の延びる方向の面及び図11の紙面に概ね直交する方向に沿った、複合材料成形装置40よりも複合材料1の頂点側を通過する断面における複合材料成形装置40の要部の断面図である。第2の実施形態に係る複合材料成形装置40は、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10に対して、ヘッド12及び裏当て部材14の形状を変更したものである。なお、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40は、他の構成については、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10と同様である。以下、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40におけるヘッド42及び裏当て部材44について、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10におけるヘッド12及び裏当て部材14と区別するため、異なる符号を付して説明する。第2の実施形態に係る複合材料成形装置40は、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10と同様の構成に第1の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
複合材料成形装置40は、図11及び図12に示すように、ヘッド42と、裏当て部材44と、制御部18と、を含む。複合材料成形装置40は、第1の実施形態に係るヘッド支持部としてのロボットアーム16をさらに含んでいる構成であるが、これに限定されず、複合部材1を自動で積層することで複合材料1を設ける自動積層装置において複合部材1を積層する積層ヘッド部でヘッド42を支持する形態であってもよいし、ヘッド42がヘッド42を複合材料1の一方の面に沿って移動可能に支持する機構に対して着脱可能な形態であってもよい。
ヘッド42は、図11に示すように、加熱部材52と、直流磁場部材54と、を有する。また、ヘッド42は、複合材料1の一方の面1aと対向する面42aを有する。ヘッド42は、図11及び図12に示すように、複合材料1の母線方向に延びて形成されており、面42aは、ヘッド42の延びる方向に延びた長方形状に形成されている。ヘッド42は、長方形状の面42aのうち母線方向の上下方向の対向する2辺における中央領域に、長方形状の加熱部材52が設けられており、長方形状の面42aのうち母線方向に対向する2辺における端部領域に、長方形状の加熱部材52を母線方向に挟み込むように直流磁場部材54が設けられている。ヘッド42、加熱部材52及び直流磁場部材54は、その他の構成については、第1の実施形態に係るヘッド12、加熱部材22及び直流磁場部材24と同様である。
裏当て部材44は、図11に示すように、裏当てローラ62と、磁場応答部材64と、を有する。裏当てローラ62は、移動方向に対して無端の形状であるローラ状に形成されている。詳細には、裏当てローラ62は、裏当てローラ軸66が概ね母線方向に沿って配置され、裏当てローラ軸66の延びる方向に延びて形成された円柱状のローラである。裏当てローラ62は、裏当てローラ軸66を中心に回転しながら、複合材料1の他方の面1bに沿って、母線方向に概ね直交する方向に移動する。磁場応答部材64は、裏当てローラ62のうち裏当てローラ軸66の両端に、裏当てローラ62を裏当てローラ軸66方向に挟み込むように設けられている。磁場応答部材64は、ローラ状に形成されておらず、裏当てローラ62が裏当てローラ軸66を中心に回転しながら複合材料1の他方の面1bに沿って移動する際に、複合材料1の他方の面1bに沿って滑りながら移動する。
裏当て部材44は、複合材料1の他方の面1bと対向する面44aを有する。裏当て部材44は、図11及び図12に示すように、母線方向に延びて形成されており、面44aは、裏当て部材44の延びる方向に延びた裏当てローラ62による接面と、裏当てローラ62による接面の延びる方向の両端部に設けられた磁場応答部材64による接面と、を有して形成されている。裏当て部材44、裏当てローラ62及び磁場応答部材64は、その他の構成については、第1の実施形態に係る裏当て部材14、裏当て板32及び磁場応答部材34と同様である。
なお、裏当て部材44は、裏当てローラ62が、移動方向に対して無端の形状であるローラ状に形成されているが、これに限定されず、磁場応答部材64以外の部分が、移動方向に対して無端の形状であるその他のいかなる形状に形成されていてもよい。例えば、裏当て部材44は、磁場応答部材64以外の部分が、クローラ状に形成されていてもよい。クローラ状に形成された裏当て部材44は、磁場応答部材64以外の部分が、無端のベルトと、無端のベルトの内側に平行に配列された複数のローラと、を有する構成が例示され、この場合、無端のベルトの回転に伴って複数のローラが回転しながら、複合材料1の他方の面1bに沿って、複数のローラの軸の方向に概ね直交する方向に移動する。クローラ状に形成された裏当て部材44は、裏当てローラ62を有する場合と比較して、複合材料1の他方の面1bと対向する面が広くなるので、より広範囲に安定に加圧することができる。
第2の実施形態に係る制御部18は、第1の実施形態に係る制御部18に対し、制御する部材が加熱部材22及び直流磁場部材24から加熱部材52及び直流磁場部材54に変更されたものである。第2の実施形態に係る制御部18は、他の構成については、第1の実施形態に係る制御部18と同様である。
以上のような構成を有する第2の実施形態に係る複合材料成形装置40の作用について以下に説明する。第2の実施形態に係る複合材料成形装置40によって実行される処理方法である第2の実施形態に係る複合材料成形方法は、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10によって実行される複合材料成形方法に対して、移動ステップS16が次のように変更された構成である。第2の実施形態に係る移動ステップS16では、第1の実施形態に係る移動ステップS16において裏当て部材14をヘッド12に追従して滑りながら移動させることを、裏当て部材44のうち磁場応答部材64についてはヘッド42に追従して滑りながら移動させ、裏当て部材44のうち裏当てローラ62についてはヘッド42に追従して裏当てローラ軸66を中心に回転しながら移動させることに変更したものである。また、裏当て部材64の磁場応答部材64以外の部分がクローラ状に形成されている場合、第2の実施形態に係る移動ステップS16では、裏当て部材44のうち磁場応答部材64についてはヘッド42に追従して滑りながら移動させ、裏当て部材44のうち磁場応答部材64以外の部分についてはヘッド42に追従して無端のベルトの回転に伴って複数のローラが回転しながら移動させることに変更したものである。
第2の実施形態に係る複合材料成形装置40及び複合材料成形装置40による複合材料成形方法は、以上のような構成を有するので、第1の実施形態に係る複合材料成形装置10及び複合材料成形装置10による複合材料成形方法と同様の作用効果を奏する。加えて、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40及び複合材料成形装置40による複合材料成形方法は、複合材料1の他方の面1bに沿って移動可能な無端の形状に形成されている。ヘッド42に追従する裏当て部材44を円滑に移動させることができる。また、これにより、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40及び複合材料成形装置40による複合材料成形方法は、ヘッド42と裏当て部材44との対向した状態をより高い精度で安定して、維持することができる。
第2の実施形態に係る複合材料成形装置40及び複合材料成形装置40による複合材料成形方法は、裏当て部材44が、複合材料1の他方の面1bに沿って移動可能なローラ状に形成された裏当てローラ62となっていることが好ましい。この場合、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40及び複合材料成形装置40による複合材料成形方法は、複合材料に対して安定した加圧をしながら、安定した裏当て部材の移動を実現することができる。
なお、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40及び複合材料成形装置40による複合材料成形方法では、裏当てローラ62を1個有する裏当て部材44と、裏当て部材44に対応するヘッド42とを有する構成としたが、これに限定されず、裏当てローラを複数配列した裏当て部材と、この裏当て部材に対応するヘッドとを有する構成とすることもできる。この場合、裏当て部材の複合材料1の他方の面1bと対向する面を大きくすることができるので、より効率よく複合材料1を成形することができる。
第2の実施形態に係る複合材料成形装置40及び複合材料成形装置40による複合材料成形方法は、裏当て部材44が、磁場応答部材64以外の部分が、クローラ状に形成されていることが好ましい。この場合、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40及び複合材料成形装置40による複合材料成形方法は、複合材料に対して安定した加圧をしながら、安定した裏当て部材の移動を実現することができる。また、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40及び複合材料成形装置40による複合材料成形方法は、裏当てローラ62を有する場合と比較して、複合材料1の他方の面1bと対向する面が広くなるので、より広範囲に安定に加圧することができる。
図13は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70の要部の断面図である。図14は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70の要部の別の断面における断面図である。図13は、複合材料1の母線方向を含む断面における複合材料成形装置70の要部の断面図である。図14は、複合材料1の延びる方向の面及び図13の紙面に概ね直交する方向に沿った、複合材料成形装置70よりも複合材料1の頂点側を通過する断面における複合材料成形装置70の要部の断面図である。本発明の第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70は、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40に対して、裏当て部材44の構成を変更したものである。なお、第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70は、他の構成については、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40と同様である。以下、第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70における裏当て部材74について、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40における裏当て部材44と区別するため、異なる符号を付して説明する。第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70は、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40と同様の構成に第2の実施形態と同一の符号群を用い、その詳細な説明を省略する。
複合材料成形装置70は、図13及び図14に示すように、ヘッド42と、裏当て部材74と、制御部18と、を含む。複合材料成形装置70は、第1の実施形態に係るロボットアーム16をさらに含んでいる構成である。裏当て部材74は、図13に示すように、裏当てローラ62と、磁場応答部材84と、を有する。磁場応答部材84は、ローラ状に形成されている。詳細には、磁場応答部材84は、裏当てローラ62と同様に、回転軸を裏当てローラ軸66として同軸に形成された円柱状のローラである。磁場応答部材84は、裏当てローラ62のうち裏当てローラ軸66の両端に、裏当てローラ62を裏当てローラ軸66方向に挟み込むように設けられている。磁場応答部材84は、図14に示すように、直流磁場部材54が印加する直流磁場と異なる極性が複合材料1の他方の面1bに向けられ、直流磁場部材54が印加する直流磁場と同じ極性が裏当てローラ軸66の内側に向けられて円柱状に形成された工業用の磁石が例示される。磁場応答部材84は、裏当てローラ62とともに裏当てローラ軸66を中心に回転しながら複合材料1の他方の面1bに沿って移動する。
裏当て部材74は、複合材料1の他方の面1bと対向する面74aを有する。裏当て部材74は、図13及び図14に示すように、母線方向に延びて形成されており、面74aは、裏当て部材74の延びる方向に延びた裏当てローラ62による接面と、裏当てローラ62による接面の延びる方向の両端部に設けられ、裏当てローラ62による接面と同様の幅を有する磁場応答部材84による接面と、を有して形成されている。裏当て部材74及び磁場応答部材84は、その他の構成については、第2の実施形態に係る裏当て部材44及び磁場応答部材64と同様である。
以上のような構成を有する第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70の作用について以下に説明する。第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70によって実行される処理方法である第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形方法は、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40によって実行される複合材料成形方法に対して、移動ステップS16が次のように変更された構成である。第2の実施形態の変形例に係る移動ステップS16では、第2の実施形態に係る移動ステップS16において裏当て部材44のうち磁場応答部材64についてはヘッド42に追従して滑りながら移動させ、裏当て部材44のうち裏当てローラ62についてはヘッド42に追従して裏当てローラ軸66を中心に回転しながら移動させることを、裏当て部材74のうち裏当てローラ62についても磁場応答部材84についてもヘッド42に追従して裏当てローラ軸66を中心に回転しながら移動させることに変更したものである。
第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70及び複合材料成形装置70による複合材料成形方法は、以上のような構成を有するので、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40及び複合材料成形装置40による複合材料成形方法と同様の作用効果を奏する。加えて、第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70及び複合材料成形装置70による複合材料成形方法は、裏当て部材74が、裏当てローラ62の部分だけでなく、磁場応答部材84の部分についても、複合材料1の他方の面1bに沿って移動可能なローラ状に形成されている。このため、第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70及び複合材料成形装置70による複合材料成形方法は、ヘッド42に追従する裏当て部材74をさらに円滑に移動させることができる。また、これにより、第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70及び複合材料成形装置70による複合材料成形方法は、ヘッド42と裏当て部材74との対向した状態をより高い精度で安定して、維持することができる。
なお、第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70及び複合材料成形装置70による複合材料成形方法では、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40及び複合材料成形装置40による複合材料成形方法と同様に、裏当てローラ62を1個有する裏当て部材74と、裏当て部材74に対応するヘッド42とを有する構成としたが、これに限定されず、裏当てローラを複数配列した裏当て部材と、この裏当て部材に対応するヘッドとを有する構成とすることもできる。この場合、第2の実施形態に係る複合材料成形装置40及び複合材料成形装置40による複合材料成形方法と同様に、裏当て部材の複合材料1の他方の面1bと対向する面を大きくすることができるので、より効率よく複合材料1を成形することができる。
また、第2の実施形態に対する変形は、裏当て部材44が、磁場応答部材64以外の部分が、クローラ状に形成されている形態に適用されてもよい。この場合も、第2の実施形態の変形例に係る複合材料成形装置70及び複合材料成形装置70による複合材料成形方法と同様の作用効果を奏する。