JP6519008B2 - 処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂製の被処理物を処理する処理装置に関する。
従来、熱可塑性樹脂から成る複数の被処理物どうしを超音波振動するホーンを用いた超音波溶着技術を利用して溶着する技術が知られている(例えば特許文献1,2参照)。特許文献1には、ホットメルト剤を間に挟んで重ね合わされた複数の被処理物(熱可塑性樹脂製品)の全幅に渡ってホーンの押圧面を一軸状に接触させることにより、熱可塑性樹脂製品の全幅に渡って一軸状に超音波振動を付与した状態で、熱可塑性樹脂製品を所定方向に連続的に移動させることによって、ホーンの押圧面から熱可塑性樹脂製品の接合が必要な箇所の全体に超音波振動を付与し、摩擦熱を生じさせることにより樹脂(ホットメルト剤)を溶融させて複数の被処理物どうしを接合する技術が開示されている。特許文献2には、重ね合わされた複数の樹脂フィルム(被処理物)どうしを、ホーンの押圧面から超音波振動を印加して摩擦熱を生じさせることによって溶着させるプレヒートを行った後に、プレヒートを行った箇所に対して仕上げのヒートシールを行うことにより、複数の樹脂フィルムの熱可塑性樹脂層どうしを溶着する技術が開示されている。
特開2005−224966号公報(段落0031,0036、図1,2、要約書など) 特開2015−13390号公報(段落0025,0030,0036、図2,3、要約書など)
ところで、超音波振動するホーンの押圧面から印加される超音波振動エネルギーの大きさを調整して被処理物の昇温状態を適切に管理するのは難しいため、超音波振動エネルギーの不足により被処理物が溶融不足になったり、過剰な超音波振動エネルギーにより被処理物が破損するなどの問題が生じるおそれがある。したがって、従来では、被処理物を超音波振動を用いて処理する際に、被処理物に印加される超音波振動エネルギーの大きさを該被処理物が破損しない程度の大きさに制限すると共に、ホットメルト剤等の補強剤や仕上げのヒートシール処理等の処理を併用することによって、超音波振動エネルギーの不足分を補っていた。
この発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、超音波振動エネルギーを印加することにより被処理物に生じた熱エネルギーを該被処理物内に閉じ込めることによって、被処理物が破損しない程度の適度な大きさの超音波振動エネルギーにより確実に被処理物を所定温度まで昇温させることができる技術を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明にかかる処理装置は、樹脂製の被処理物を処理する処理装置において、前記被処理物が当接する支持面を有する支持体と、前記被処理物を押圧する押圧面を有する押圧体と、前記押圧体に前記支持面に直交する押圧方向への超音波振動を印加する振動手段と、前記支持体の前記支持面と前記被処理物との間に、移動可能に配置された断熱フィルムから成り、前記被処理物に生じる熱の前記支持体への伝熱を遮蔽する支持体側遮蔽手段と、前記押圧体の前記押圧面と前記被処理物との間に、移動可能に配置された断熱フィルムから成り、前記被処理物に生じる熱の前記押圧体への伝熱を遮蔽する押圧体側遮蔽手段と、前記支持面と前記押圧面との間に樹脂製の被処理物を挟んだ状態で前記振動手段により前記押圧体を超音波振動させて、前記押圧面から前記被処理物に超音波振動エネルギーを印加することにより該被処理物を発熱させる制御手段とを備えることを特徴としている。
本発明によれば、超音波振動エネルギーを印加して樹脂分子を振動、回転させて分子運動を促進させることで被処理物を発熱させた際に、該被処理物に生じた熱が支持体および押圧体に伝導して逃げるのを防止することができるので、被処理物内に熱をこもらせることができる。したがって、被処理物に生じた熱エネルギーを該被処理物内に閉じ込めることができるので、過剰な超音波振動エネルギーを印加しなくても、被処理物が破損しない程度の適度な大きさの超音波振動エネルギーにより確実に被処理物を所定温度まで昇温させることができる。
本発明の第1実施形態にかかる処理装置を示す正面図である。 図1の処理装置を左側面側から見た要部拡大図である。 図2の要部を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態にかかる処理装置を示す正面図である。 本発明の第3実施形態にかかる処理装置のホーンを示す図である。 本発明の第4実施形態にかかる処理装置の支持体を示す図である。 本発明の第5実施形態にかかる処理装置を示す正面図である。 本発明の第6実施形態にかかる処理装置を示す正面図である。 本発明の第7実施形態にかかる処理装置の要部を示す斜視図である。 本発明の第8実施形態にかかる処理装置において処理される一方向強化繊維束および樹脂フィルムを示す横断面図である。
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態にかかる処理装置について図1〜図3を参照して説明する。図1は本発明の第1実施形態にかかる処理装置を示す正面図、図2は図1の処理装置を左側面側から見た要部拡大図、図3は図2の要部を示す斜視図である。なお、図3では一方向強化繊維束Bの下面側に配置される樹脂フィルムSと支持体2とが図示省略されている。また、図1〜図3では、本発明にかかる主要な構成のみが図示されており、説明を簡易なものとするために、その他の構成は図示省略されている。また、後の説明で参照する図4〜図10についても、図1〜図3と同様に主要な構成のみが図示されているが、以下の説明においてはその説明は省略する。
(処理装置)
図1および図2に示す処理装置1は、支持体2の支持面21と、支持面21に直交する押圧方向Zに超音波振動するホーン35の押圧面35aとの間に一方向強化繊維束Bを挟んだ状態で、一方向強化繊維束Bを長手方向Yに走行させることにより押圧面35aによる一方向強化繊維束Bの押圧箇所を一方向強化繊維束Bの長手方向Yに沿って移動させて、一方向強化繊維束Bに長手方向Yに沿って押圧面35aから押圧方向Zの超音波振動を印加することによって、一方向強化繊維束Bを長手方向Yに沿って連続的に開繊するものである。
このとき、処理装置1は、支持面21と押圧面35aとの間に、一方向強化繊維束Bを樹脂フィルムS(本発明の「被処理物」に相当)と重ねあわせて配置した状態で一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)を長手方向Yに走行させる。これにより、処理装置1は、一方向強化繊維束Bの両面それぞれに重ね合わせた樹脂フィルムSを超音波振動エネルギーを印加して発熱させることにより溶融させて含浸させながら一方向強化繊維束Bを開繊する。したがって、重ね合わされた一方向強化繊維束Bおよび樹脂フィルムSが処理装置1により処理されることによって、開繊された一方向強化繊維束Bの強化繊維のフィラメントが所定幅で一方向に引き揃えられた扁平な状態の帯状の繊維束B*(図3参照)に樹脂フィルムSの樹脂が含浸されて成る一方向プリプレグPが形成される。
処理装置1は、支持体2と、一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)に押圧方向Zの超音波振動(エネルギー)を印加する共振器31を備えるヘッド部3と、支持手段33に支持された共振器31を駆動して押圧方向Zに往復移動させる加圧手段4と、その両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた一方向強化繊維束Bをステージ2とヘッド部3との間に供給する供給手段5と、樹脂フィルムSから共振器31(ホーン35)への伝熱を遮蔽する押圧体側遮蔽手段6aと、処理装置1の各部の制御を行う制御装置7とを備えている。なお、一方向強化繊維束Bは、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維により形成され、マトリックス樹脂を成す樹脂フィルムSは、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリオレフィン系樹脂や脂肪族ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂により形成される。また、図3に示すように、樹脂フィルムSは、その幅Wsが一方向強化繊維束Bが開繊されて形成された帯状の繊維束B*の幅Wbよりも若干幅広のテープ状に形成されている。
支持体2は、ヘッド部3の下方に配置され、被処理物である樹脂フィルムSが当接する平面状の支持面21と、支持体2内に埋設されたヒータ22とを有し、両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた状態の一方向強化繊維束Bをヘッド部3が備えるホーン35の押圧面35aとの間に挟み込むものである。また、ヒータ22(本発明の「支持体側遮蔽手段」に相当)は、支持体2の本体を所定温度に昇温しておくことにより、超音波振動エネルギーが印加された際に樹脂フィルムSと支持体2との間に生じる熱勾配を緩和することで樹脂フィルムSから支持体2への伝熱を遮蔽する。なお、支持体2は、チタン、チタン合金、鉄、ステンレス、アルミニウム、ジュラルミン等のアルミニウム合金などの種々の金属材料、ガラス、セラミックスなど、適宜、種々の材料により形成される。
ヘッド部3は、共振器31に押圧方向Zへの超音波振動を印加する振動子32(振動手段)がその一方端に接続された共振器31と、共振器31を支持する支持手段33とを備え、振動子32が共振器31(ホーン35)を超音波振動させることにより押圧面35aから一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)に超音波振動(エネルギー)が印加される。
具体的には、共振器31は、制御装置7に制御された振動子32が生成する超音波振動に共振してその中心軸の方向(押圧方向Z)に超音波振動するものであって、ブースタ34とホーン35とを備え、ブースタ34の他方端とホーン35の一方端とが、互いの中心軸が同軸になるように無頭ねじにより連結されている。
ブースタ34は、この実施形態では、例えば図2中の矢印Z方向におけるそのほぼ中央の位置と、その両端位置とが最大振幅点となるように、共振周波数の一波長の長さに形成されている。このとき、矢印Z方向において各最大振幅点から1/4波長離れた2つの位置が、それぞれブースタ34の第1および第2最小振幅点に相当する。また、ブースタ34は、その断面形状が円形状である円柱状に形成されている。そして、ブースタ34の一方端に、ブースタ34の中心軸と同軸になるように振動子32が無頭ねじにより接続されている。
また、ブースタ34の第1および第2最小振幅点に相当する位置の外周面には、それぞれの周方向に沿って凹状の溝が形成されることによりブースタ34(共振器31)が支持手段33に把持されるための被把持部が形成されている。なお、この実施形態では、ブースタ34の中心軸にほぼ直交する断面形状が八角形状となるように被把持部が形成されているが、その断面形状が円形状やその他の多角形状となるように被把持部を形成してもよい。
ホーン35(本発明の「押圧体」に相当)は、一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)を支持体2の支持面21に直交する押圧方向Zに押圧する平面状の押圧面35aを有し、振動子32の振動に共振して超音波振動することにより押圧面35aから一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)に超音波振動(エネルギー)を印加するものである。ホーン35は、例えば図2中の矢印Z方向におけるその両端位置が最大振幅点となるように、共振周波数の半波長の長さに形成されている。このとき、矢印Z方向におけるホーン35のほぼ中央の位置が第3最小振幅点に相当する。また、図2および図3に示すように、ホーン35は、直方体状に形成されている。そして、ホーン35の押圧面35aは、樹脂フィルムS(開繊後の帯状の繊維束B*)に対して、押圧方向Zおよび長手方向Yにほぼ直交する幅方向Xにおいて幅広に形成されている(ホーン35の幅Wh≧樹脂フィルムSの幅Ws≧帯状の繊維束B*の幅Wb)。
なお、この実施形態では、共振器31は、その共振周波数が約15kHz〜約60kHz、その振動振幅(矢印Z方向における伸縮の振幅)が約2μm〜約300μmとなるように構成されており、振動子32により生成される超音波振動に共振して共振器31が超音波振動することによって、ホーン35の押圧面35aから一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)に対して押圧方向Zの超音波振動(エネルギー)が印加される。また、共振器31(ブースタ34、ホーン35)は、チタン、チタン合金、鉄、ステンレス、アルミニウム、ジュラルミン等のアルミニウム合金など、一般的に共振器を形成するのに用いられる種々の金属材料により形成される。
支持手段33は、基部36とクランプ手段37とを備え、クランプ手段37でブースタ34の被把持部を把持することにより共振器31を支持するものであり、基部36には、加圧手段4のボールねじ42に螺合するねじ穴が矢印Z方向に形成されている。
また、クランプ手段37は、ブースタ34に形成された2つの被把持部を把持できるように、基部36の2ヶ所に設けられており、それぞれ、ブースタ34の被把持部を挟持する第1および第2部材を備えている。具体的には、クランプ手段37の第1および第2の部材には、被把持部の断面形状に係合可能な形状を有する凹部がそれぞれ設けられている。そして、第1および第2部材の凹部でブースタ34の被把持部を狭持するように、被把持部を形成する凹状の溝に、基部36に支持されたクランプ手段37の第1および第2部材が嵌挿され、ボルトで第1および第2部材が固定されることにより、ブースタ34の被把持部がクランプ手段37により把持される。
なお、共振器31を支持する支持手段33の構成は、上記したように、ブースタ34に形成された被把持部を把持(クランプ)した状態でボルトにより固定されるクランプ手段37に限られず、例えば、電気制御可能に構成された機械的なクランプ機構や、ワンタッチで取り付け可能なクランプ機構など、ブースタ34の被把持部を支持することができる構成あればどのようなものであってもよい。
また、共振器31に形成される被把持部の位置は、最小振幅点に限らず、共振器31の任意の位置に被把持部を形成すればよい。また、被把持部の構成は、共振器31の外周面に周方向に沿って凹状の溝が形成された構成に限られず、例えば、共振器31の外周面に周方向に沿って凸状のフランジが形成された構成など、支持手段33により把持することができれば、被把持部がどのような形状に構成されてもよい。また、被把持部が支持手段33により、Oリングやダイアフラム等の弾性部材を介して支持されていてもよい。
加圧手段4は、ホーン35の押圧面35aが支持体2の支持面21と対向するように支持手段33に支持された共振器31を、押圧方向Zに駆動して支持体2に近接または支持体2から離間させるものであって、駆動モータ41とボールねじ42とを備えている。また、架台(図示省略)に立設された支柱(図示省略)にガイド43が結合されており、加圧手段4は、フレーム44を介して支柱およびガイド43に連結されている。
そして、制御装置7に制御されて駆動モータ41が回転することにより、ガイド43に矢印Z方向に設けられた凸状のレール43aと支持手段33に設けられたガイド(図示省略)とが摺接しつつ、ボールねじ42に螺合された支持手段33が移動方向Zにおいて上下動し、これにより、支持手段33に支持された共振器31が支持体2に近接しまたは支持体2から離間する。
また、加圧手段4は、制御装置7による制御に基づいて駆動モータ41の駆動トルクを調整することにより、所定の加圧力で支持手段33に支持された共振器31を支持体2に近接させることができるように構成されている。また、支柱にはリニアエンコーダ(図示省略)が設けられており、これにより矢印Z方向(押圧方向)におけるヘッド部3の高さが検出されて、リニアエンコーダの検出信号に基づいて制御装置7により駆動モータ41を制御することにより、ヘッド部3の高さを調整することができる。
そして、共振器31の中心軸の方向が基部36に形成されたねじ穴とほぼ同じ方向、すなわち、共振器31の中心軸の方向と加圧手段4による共振器31の移動方向(押圧方向Z)とがほぼ同方向となり、ホーン35の押圧面35aが支持体2と対向するように、支持手段33により共振器31が支持されている。したがって、加圧手段4により基部36が下動されることで共振器31(ホーン35)が押圧方向Zに駆動されて一体的に支持体2に近接し、これにより、加圧手段4による加圧力が押圧面35aから支持体2の支持面21に支持された一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)に加えられる。すなわち、加圧手段4により制御されることによって、超音波振動するホーン35の押圧面35aにより一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)が支持体2の支持面21に対して押圧されて加圧される。
なお、この実施形態では、押圧面35aにより一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)が支持面21に対して所定の一定の加圧力で押圧されるように駆動モータ41が制御装置7により制御される。また、共振器31(基部36)の押圧方向Zにおける高さ位置が、図2中の矢印Lに示すように共振器31が最大に伸長したときの押圧面35aと支持面21との間隔が所定間隙Gとなる位置Hに達したときには、共振器31が位置Hを越えて支持体2側に移動しないように、駆動モータ41が制御装置7により制御される。なお、押圧面35aによる一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)に対する加圧力の大きさや、押圧面35aと支持面21との間隙Gの大きさは、開繊後の帯状の繊維束B*の幅や厚み、一方向プリプレグPの幅や厚みに応じて、適宜、最適な値を設定すればよい。例えば、一方向強化繊維束Bや樹脂フィルムSに対する処理試験を繰り返し行うことにより、最適な加圧力や間隙Gの値を設定してもよい。
供給手段5は、図1に示すように、一方向強化繊維束Bを巻回保持する第1の供給ローラ51と、それぞれ樹脂フィルムSを巻回保持する第2、第3の供給ローラ52,53と、引出ローラ54と、張力調整用ローラ55と、収納ローラ56とを備えている。一方向強化繊維束Bおよび両樹脂フィルムSそれぞれは、引出ローラ54の矢印方向に回転する駆動ローラ54aおよび従動ローラ54bによりニップされることによって、各供給ローラ51〜53から引き出されると共に、両樹脂フィルムS間に挟まれた状態の一方向強化繊維束Bがホーン35の押圧面35aと支持体2の支持面21との間に供給される。
このとき、両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた一方向強化繊維束Bは、ヘッド部3よりも下流側に配置された張力調整用ローラ55の矢印方向に回転する駆動ローラ55aおよび従動ローラ55bによりニップされることによって、その張力を調整されながら押圧面35aと支持面21との間に挟まれた状態で長手方向Yに走行する。したがって、この実施形態では、一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)とホーン35とが長手方向Yにおいて相対的に移動するので、一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)が押圧面35により所定の一定の加圧力で押圧される箇所が、一方向強化繊維束Bの長手方向Yに沿って移動する。そして、両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた一方向強化繊維束Bがホーン35の押圧面35aと支持体2の支持面21との間を通過することにより形成された一方向プリプレグPが、収納ローラ56に巻回されて収納される。なお、第2、第3の供給ローラ52,53のいずれか一方のみが設けられることにより、一方向強化繊維束Bの片面のみに樹脂フィルムSが重ね合わされるようにしてもよい。
押圧体側遮蔽手段6aは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等の各種のフッ素樹脂やガラス繊維入りのフッ素樹脂のような熱伝導率の小さい樹脂材料、熱伝導率の小さいニチアス株式会社製のパイロジェル(登録商標)など、熱伝導率の小さい材料により形成された帯状の断熱フィルムIaを巻回保持する供給ローラ61aと、収納ローラ62aとを備え、供給ローラ61aおよび収納ローラ62aそれぞれが矢印方向に回転することによって、供給ローラ61aから引き出された断熱フィルムIaをホーン35の押圧面35aと樹脂フィルムS(一方向強化繊維束B)との間に供給することにより、樹脂フィルムSから共振器31(ホーン35)への伝熱を遮蔽する。このとき、断熱フィルムIaは、両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた一方向強化繊維束Bとほぼ同じ速度で長手方向Yに走行するように供給ローラ61aから引き出されて収納ローラ62aに収納される。
なお、断熱フィルムIaを離型性に優れたフッ素樹脂等により形成することにより、ホーン35の押圧面35aに溶融した樹脂フィルムSが粘着等するのを防止することができ、両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた一方向強化繊維束B(一方向プリプレグP)を矢印Y方向に良好に走行させることができる。また、断熱フィルムIaを上記したように矢印Y方向に走行させずに、ホーン35の押圧面35aと樹脂フィルムS(一方向強化繊維束B)との間に断熱フィルムIaが固定配置されていてもよい。
制御装置7(本発明の「制御手段」に相当)は、上記したように処理装置1の各部の制御を行うことによって、支持体2の支持面21とホーン35の押圧面35aとの間に樹脂フィルムS(一方向繊維束B)を挟んだ状態で振動子32により共振器31(ホーン35)を超音波振動させる。これにより、制御装置7は、押圧面35aから樹脂フィルムSに超音波振動エネルギーを印加して樹脂フィルムSを発熱させて該樹脂フィルムSを溶融させる。なお、この実施形態では、ヒータ22により支持体2が昇温されているため、ホーン35の押圧面35aから樹脂フィルムSに印加された超音波振動エネルギーにヒータ22の熱エネルギーをかさ上げすることができるので、温度を十分に上昇させて樹脂フィルムSを確実に溶融することができる。
ところで、従来、ホーン35の押圧面35aから超音波振動が印加されると、重ね合わされた樹脂フィルムS等の樹脂製の被処理物どうしが擦り合わされて摩擦熱が生じ、樹脂が溶融すると考えられていた。本願発明者は、ホーン35の押圧面35aから超音波振動が印加されている樹脂製の被処理物をサーモグラフィにより観察し、被処理物の温度分布を詳細に検討した。その結果、本願発明者は、押圧面35aが接触していない被処理物の端縁部の温度も上昇していることを見出した。これは、電子レンジの原理と同様に、ホーン35の押圧面35aから超音波振動エネルギーが樹脂フィルムS等の被処理物に印加されることで、樹脂分子が振動、回転して分子運動が促進されて被処理物全体の温度が上昇するためと考えられる。
また、本願発明者は、超音波処理後にホーン35の押圧面35aが被処理物から離間する際に、ホーン35が昇温したままの状態であることを見出した。これは、超音波振動エネルギーが印加されることにより被処理物において生じた熱エネルギーがホーン35に伝導して被処理物の外部に逃げたことによって該ホーン35が昇温したためと考えられる。これらの考察結果から、本願発明者は、ホーン35の押圧面35aから超音波振動エネルギーを印加して被処理物を処理する際に、超音波振動エネルギーを効率よく利用して被処理物を処理するためには、超音波振動エネルギーが印加されることにより被処理物全体で発生した熱エネルギーがホーン35や支持体2に逃げるのを防止し、発生した熱エネルギーを被処理物内に閉じ込めることが重要との知見を得た。
(開繊・含浸処理)
次に、処理装置1において実行される開繊・含浸処理の一例について説明する。
まず、所定の強化繊維の集合体から成る一方向強化繊維束Bを用意する。そして、その両面に所定の厚みの樹脂フィルムSを重ねあわせた状態で一方向強化繊維束Bを、超音波振動するホーン35の押圧面35aにより支持体2の支持面21に対して所定の加圧力で押圧しながら、長手方向Yに走行させることにより、図3に示すように、一方向強化繊維束Bの幅が幅Wbまで広げられ、その厚みが所定の値になるように薄く形成された帯状の繊維束B*に、樹脂フィルムSの樹脂が含浸されて成る一方向プリプレグPが形成される。
以上のように、この実施形態では、超音波振動エネルギーを印加して樹脂分子を振動、回転させて分子運動を促進させることで樹脂フィルムSを発熱させた際に、該樹脂フィルムSからホーン35および支持体2への伝熱が遮蔽されるので、樹脂フィルムSに生じた熱が支持体2およびホーン35に伝導して逃げるのを防止することができ、樹脂フィルムS内に熱をこもらせることができる。したがって、超音波振動が印加されることにより樹脂フィルムSに生じた熱エネルギーを該樹脂フィルムS内に閉じ込めることができ、その結果、過剰な超音波振動エネルギーを印加しなくても、樹脂フィルムSが破損しない程度の適度な大きさの超音波振動エネルギーにより確実に樹脂フィルムSを所定温度まで昇温させて溶融させることができる。
また、支持体2の支持面21と、超音波振動するホーン35の押圧面35aとの間に樹脂フィルムS(一方向強化繊維束B)を挟んだ状態で、押圧面35aによる押圧箇所を樹脂フィルムSの長手方向Yに沿って所定速度で連続的に移動させると、超音波振動エネルギーが印加(注入)される樹脂フィルムS上の位置が時々刻々と移動するが、従来の構成では、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーが支持体2やホーン35に伝導して逃げてしまうので、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムSの押圧面35aが接触した箇所の温度を上昇させることができない。一方、この実施形態のように、樹脂フィルムSからホーン35および支持体2への伝熱を遮蔽して該樹脂フィルムS内に熱エネルギーを閉じ込めることにより、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムSの押圧面35aが接触した箇所の温度を上昇させることができる。したがって、加熱が必要な範囲よりも小さい押圧面35aを有するホーン35を利用し、押圧面35aによる押圧箇所を連続的に移動させることによって、押圧面35aよりも大面積の樹脂フィルムS等の樹脂製の被処理物を処理することができる。
また、支持体2の支持面21と、該支持面21に直交する押圧方向Zに超音波振動するホーン35の押圧面35aとの間に一方向強化繊維束Bを挟んだ状態で、押圧面35aによる一方向強化繊維束Bの押圧箇所を一方向強化繊維束Bの長手方向Yに沿って移動させることにより、一方向強化繊維束Bを開繊することができる。したがって、例えば気流を利用した従来の公知技術と比較すると、開繊する際に一方向強化繊維束Bに強い張力を作用させることができるので、一方向強化繊維束Bを安定して高速に処理して開繊することができる。
また、一般的に、開繊後の帯状の繊維束B*は、不安定で絡まりやすいが、支持面21と押圧面35aとの間に一方向強化繊維束Bと樹脂フィルムSとを重ねあわせて配置した状態で、一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)を長手方向Yに走行させることによって、一方向強化繊維束Bを開繊すると同時に樹脂フィルムSを溶融させた樹脂を帯状の繊維束B*に含浸させることができる。したがって、従来必要であった含浸装置が不要であり、1工程で一方向プリプレグPを形成することができるので、一方向強化繊維束Bの処理コストを低減することができる。また、ホーン35から物理的な超音波振動が印加されながら樹脂フィルムSの樹脂と帯状の繊維束B*とが接触することにより、強化繊維の各フィラメントと樹脂との接合界面の反応を促進させて良好な接合状態にすることができ、樹脂フィルムSの樹脂を帯状の繊維束B*に良好に含浸させることができる。したがって、一方向プリプレグPを用いた成形品の物性を向上させることができる。また、開繊と同時に帯状の繊維束B*に樹脂が含浸されるので、開繊後の帯状の繊維束B*に毛羽等が発生するおそれがなく、開繊後の繊維束B*の取り扱いが容易である。
また、処理対象である一方向強化繊維束Bの太さや開繊処理後の帯状の繊維束B*の幅Wbや厚みの目標値に応じて予め設定された所定の加圧力で一方向強化繊維束Bを押圧しながら開繊することで、開繊後の繊維束B*の幅Wbおよび厚みを精度よく調整することができる。
また、処理対象である一方向強化繊維束Bの太さや開繊処理後の帯状の繊維束B*の厚みや幅Wbの目標値に応じて予め設定された所定間隙Gよりも支持面21との間隔が狭くならないように押圧面35aを配置した状態で一方向強化繊維束Bを開繊することで、開繊後の帯状の繊維束B*の厚みおよび幅Wbを精度よく調整することができる。なお、超音波振動するホーン35の最大伸長時の押圧面35aと支持面21との間隔が常に所定間隙Gとなるように、共振器31を押圧方向Zにおける位置Hに固定配置した状態で(図2参照)、一方向強化繊維束B(樹脂フィルムS)を長手方向Yに走行させてもよい。このようにしても、開繊後の帯状の繊維束B*の厚みおよび幅Wbを精度よく調整することができる。
<第2実施形態>
この発明の第2実施形態にかかる処理装置について図4を参照して説明する。図4は本発明の第2実施形態にかかる処理装置を示す正面図である。
図4に示す処理装置1aが上記した第1実施形態と異なるのは、図4に示すように、ヒータ22の代わりに支持体側遮蔽手段6bが設けられている点である。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
支持体側遮蔽手段6bは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等の各種のフッ素樹脂やガラス繊維入りのフッ素樹脂のような熱伝導率の小さい樹脂材料、熱伝導率の小さいニチアス株式会社製のパイロジェル(登録商標)など、熱伝導率の小さい材料により形成された帯状の断熱フィルムIbを巻回保持する供給ローラ61bと、収納ローラ62bとを備え、供給ローラ61bおよび収納ローラ62bそれぞれが矢印方向に回転することによって、供給ローラ61bから引き出された断熱フィルムIbを支持体2の支持面21と樹脂フィルムS(一方向強化繊維束B)との間に供給することにより、樹脂フィルムSから支持体2への伝熱を遮蔽する。このとき、断熱フィルムIbは、両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた一方向強化繊維束Bとほぼ同じ速度で長手方向Yに走行するように供給ローラ61bから引き出されて収納ローラ62bに収納される。
なお、断熱フィルムIbを離型性に優れたフッ素樹脂等により形成することにより、支持体2の支持面21に溶融した樹脂フィルムSが粘着等するのを防止することができ、両面に樹脂フィルムSが重ね合わされた一方向強化繊維束B(一方向プリプレグP)を矢印Y方向に良好に走行させることができる。また、断熱フィルムIbを上記したように矢印Y方向に走行させずに、支持体2の支持面21と樹脂フィルムS(一方向強化繊維束B)との間に断熱フィルムIbが固定配置されていてもよい。
このように構成しても、上記した第1実施形態と同様に、断熱フィルムIbにより樹脂フィルムSから支持体2への伝熱を遮蔽することができ、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーを樹脂フィルムS内に閉じ込めることができるので、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムSを処理することができる。
なお、図1に示す処理装置1と同様に、支持体2を所定温度に昇温するためのヒータ22が設けられていてもよい。このようにすると、発生した熱エネルギーをさらに確実に樹脂フィルムS内に閉じ込めることができる。
<第3実施形態>
この発明の第3実施形態にかかる処理装置について図5を参照して説明する。図5は本発明の第3実施形態にかかる処理装置のホーンを示す図である。
この実施形態のホーン35が上記した第1実施形態と異なるのは、図5に示すように、押圧体側遮蔽手段6aの代わりに、上記したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の各種のフッ素樹脂やジルコニア等の熱伝導率が小さい材質により形成された断熱層8(本発明の「押圧体側遮蔽手段」に相当)がホーン35(押圧面35a)の表面に形成されて、押圧面35aと樹脂フィルムS(一方向強化繊維束B)との間に断熱層8が配置されている点である。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
このように構成しても、上記した第1実施形態と同様に、断熱層8により樹脂フィルムSからホーン35への伝熱を遮蔽することができ、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーを樹脂フィルムS内に閉じ込めることができるので、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムSを処理することができる。
なお、図1に示す処理装置1と同様に、押圧体側遮蔽手段6aが設けられていてもよい。このようにすると、発生した熱エネルギーをさらに確実に樹脂フィルムS内に閉じ込めることができる。
<第4実施形態>
この発明の第4実施形態にかかる処理装置について図6を参照して説明する。図6は本発明の第4実施形態にかかる処理装置の支持体を示す図である。
この実施形態の支持体2が上記した第1実施形態と異なるのは、図6に示すように、ヒータ22の代わりに、上記したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の各種のフッ素樹脂やジルコニア、(ファイン)セラミックス、ガラス等の熱伝導率が小さい材質により形成された断熱層9(本発明の「支持体側遮蔽手段」に相当)が支持体2(支持面21)の表面に形成されて、支持面21と樹脂フィルムS(一方向強化繊維束B)との間に断熱層9が配置されている点である。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
このように構成しても、上記した第1実施形態と同様に、断熱層9によりにより樹脂フィルムSから支持体2への伝熱を遮蔽することができ、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーを樹脂フィルムS内に閉じ込めることができるので、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムSを処理することができる。
なお、図1に示す処理装置1と同様に、ヒータ22が設けられていてもよいし、図4に示す処理装置1aと同様に、支持体側遮蔽手段6bが設けられていてもよい。このようにすると、発生した熱エネルギーをさらに確実に樹脂フィルムS内に閉じ込めることができる。
<第5実施形態>
この発明の第5実施形態にかかる処理装置について図7を参照して説明する。図7は本発明の第5実施形態にかかる処理装置を示す正面図である。
この実施形態の処理装置1bが上記した第1実施形態と異なるのは、図7に示すように、押圧体側遮蔽手段6aの代わりに、共振器31(ホーン35)を加熱するヒータ38が設けられている点である。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
ヒータ38(本発明の「押圧体側遮蔽手段」に相当)は、共振器31(ホーン35)を所定温度に昇温しておくことにより、超音波振動エネルギーが印加された際に樹脂フィルムSと共振器31(ホーン35)との間に生じる熱勾配を緩和することで樹脂フィルムSから共振器31(ホーン35)への伝熱を遮蔽する。なお、この実施形態では、ヒータ38により共振器31(ホーン35)が昇温されているため、ホーン35の押圧面35aから樹脂フィルムSに印加された超音波振動エネルギーにヒータ38の熱エネルギーをかさ上げすることができるので、温度を十分に上昇させて樹脂フィルムSを確実に溶融することができる。
このように構成しても、上記した第1実施形態と同様に、ヒータ38により樹脂フィルムSからホーン35への伝熱を遮蔽することができ、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーを樹脂フィルムS内に閉じ込めることができるので、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムSを処理することができる。
なお、図1に示す処理装置1と同様に、押圧体側遮蔽手段6aが設けられていてもよいし、図5に示すホーン35と同様に、断熱層8が設けられていてもよい。このようにすると、発生した熱エネルギーをさらに確実に樹脂フィルムS内に閉じ込めることができる。
<第6実施形態>
この発明の第6実施形態にかかる処理装置について図8を参照して説明する。図8は本発明の第6実施形態にかかる処理装置を示す正面図である。
この実施形態の処理装置1cが上記した第1実施形態と異なるのは、図8に示すように、押圧体側遮蔽手段6aおよびヒータ22が設けられておらず、共振器31(ホーン35)および支持体2が、いずれも、熱伝導率が小さいチタン合金(例えば熱伝導率が7.5/(m・K)のTi−6Al−4V)により形成されている点である。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
このように構成しても、共振器31(ホーン35)および支持体2の熱伝導率が、いずれも小さく設定されているため、上記した第1実施形態と同様に、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーが樹脂フィルムSからホーン35および支持体2に伝導して逃げるのを防止できる。したがって、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーを樹脂フィルムS内に閉じ込めることができるので、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムSを処理することができる。
なお、共振器31(ホーン35)および支持体2の熱伝導率が、いずれも、10W/(m・K)よりも小さく設定されていればよく、例えば、水晶(8W/(m・K))、ガラス(1W/(m・K))、ファインセラミックス(ムライト、フォルステライト、コージライト、ジルコニア、ステアタイト等)などの材質により支持体2が形成されてもよい。
また、上記した第1〜第5実施形態において、この実施形態のように、共振器31(ホーン35)および支持体2の少なくともいずれか一方の熱伝導率が、10W/(m・K)よりも小さく設定されていてもよい。このようにすると、発生した熱エネルギーをさらに確実に樹脂フィルムS内に閉じ込めることができる。また、共振器31(ホーン35)および支持体2のいずれか一方の熱伝導率を10W/(m・K)よりも小さく設定し、他方に、ヒータ22,38や遮蔽手段6a,6b、断熱層8,9などを設けるようにしてもよい。
<第7実施形態>
この発明の第7実施形態にかかる処理装置について図9を参照して説明する。図9は本発明の第7実施形態にかかる処理装置の要部を示す斜視図である。なお、図9では、図3と同様に帯状の繊維束B*の下面側に配置される樹脂フィルムSと、支持体2とが図示省略されている。
この実施形態の処理装置1dが上記した第1実施形態と異なるのは、図9に示すように、含浸手段10において含浸処理が行われる点である。すなわち、樹脂フィルムSが重ね合わされていない状態で押圧面35aと支持面21との間を通過することにより一方向強化繊維束Bが開繊された後に、帯状の繊維束B*に樹脂フィルムSが重ね合わされて含浸手段10において含浸処理が行われる。その他の構成および動作は、上記した第1実施形態の構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
含浸手段10は、図9に示すように、開繊処理に用いられるホーン35とほぼ同様の構成のホーン135を備えている。そして、含浸手段10のホーン135の押圧面135aと、支持体2の支持面21との間を、樹脂フィルムSが重ね合わされた帯状の繊維束B*が通過することにより、上記した第1実施形態と同様に、押圧面135aから超音波振動が印加されて溶融した樹脂フィルムSの樹脂が帯状の繊維束B*に含浸されて、プリプレグPが形成される。
また、図示省略されているが、ホーン135に対して、押圧体側遮蔽手段6aや断熱層8、ヒータ38が設けられたり、ホーン135が、例えばチタン合金により形成されてその熱伝導率が10W/(m・K)よりも小さく設定されることによって、超音波振動エネルギーが印加されることにより発生した熱エネルギーが、樹脂シートSからホーン135に伝導して逃げるのが防止されている。
このように構成しても、超音波振動エネルギーが印加されることにより生じた熱エネルギーが樹脂フィルムSからホーン35および支持体2に伝導して逃げるのを防止して、該熱エネルギーを樹脂フィルムS内に閉じ込めることができるので、超音波振動エネルギーを効率よく利用して樹脂フィルムSを処理することができる。
<第8実施形態>
この発明の第8実施形態にかかる処理装置について図10を参照して説明する。図10は本発明の第8実施形態にかかる処理装置において処理される一方向強化繊維束および樹脂フィルムを示す横断面図である。
この実施形態が上記した第1〜第7実施形態と異なるのは、図10に示すように、2束の一方向強化繊維束B、または、2束の開繊後の帯状の繊維束B*により樹脂フィルムSが挟み込まれた状態で含浸処理が実行される点である。その他の構成および動作は、上記した第1〜第7実施形態のうちのいずれかの構成および動作と同様であるため同一符号を引用することによりその構成および動作の説明を省略する。
このように、一方向強化繊維束B(帯状の繊維束B*)と樹脂フィルムSとを図10に示すように重ねあわせても、上記した各実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、上記した各実施形態の構成をどのように組み合わせてもよい。例えば、本発明の樹脂製の被処理物は上記した例に限られるものではなく、重ね合わされた複数の樹脂フィルム(樹脂シート、樹脂テープ)を本発明の被処理物として処理することにより、樹脂フィルム(樹脂シート、樹脂テープ)どうしを互いに溶着したり、複数の樹脂構造体を本発明の被処理物をして処理することにより、複数の樹脂構造体どうしを互いに溶着するようにしてもよく、被処理物は、樹脂製であればその形状や材質はどのように形成されていてもよい。
また、例えば、ホーン35(共振器31)を長手方向Yに移動させることにより、ホーン35の押圧面35aによる樹脂フィルムS(一方向強化繊維束B)の押圧箇所が移動するようにしてもよい。また、ホーン35(共振器31)および樹脂フィルムS(一方向強化繊維束B)の両方を相対的に長手方向Yに移動させることにより、ホーン35の押圧面35aによる樹脂フィルムS(一方向強化繊維束B)の押圧箇所が移動するようにしてもよい。
また、上記した加圧手段4にシリンダを追加することにより、シリンダの差圧を利用してホーン35の押圧面35aによる樹脂フィルムS(一方向強化繊維束B)に対する加圧力を設定するようにしてもよい。
また、押圧体および押圧面の形状等の構成は上記したホーン35の構成に限定されるものではなく、平面状や曲面状の押圧面を有し、樹脂フィルムS等の樹脂製の被処理物を支持面21に対して押圧面により押圧できる構成であれば、押圧体をどのような形状に構成してもよい。例えば、その側面視形状が押圧面35a,135aに向ってくちばし状に先細りする形状にホーン35,135を構成することができる。また、例えば、押圧面が、被処理物を幅方向に渡って一軸状に支持面21に対して押圧できる構成であれば、押圧面による被処理物の押圧箇所を所定方向(例えば押圧面の長手方向にほぼ直交する方向)に1回スキャン(移動)するだけで、被処理物を全面に渡って処理することができる。
また、上記した加圧手段4は上記した構成に限られるものではなく、共振器31を移動させることができれば、リニアモータやシリンダ等の周知のアクチュエータを用いるなど、どのように加圧手段4を構成してもよい。
また、押圧体および支持体それぞれの配置位置は、図1の紙面に向かって上下方向に並べて配置された上記した例に限定されるものではなく、押圧体および支持体の上下方向の位置を入れ換えて配置してもよいし、押圧体および支持体を図1の紙面に向かって左右方向に並べて配置してもよい。
また、押圧体の押圧面と支持体の支持面との間に樹脂性の被処理物が固定配置し、押圧面による被処理物の押圧箇所が移動しないようにして該被処理物に超音波振動エネルギーを印加して処理するようにしてもよい。
そして、樹脂製の被処理物を処理する処理装置に本発明を広く適用することができる。
1,1a,1b,1c,1d…処理装置
2…支持体
21…支持面
22…ヒータ(支持体側遮蔽手段)
32…振動子(振動手段)
35…ホーン(押圧体)
35a…押圧面
38…ヒータ(押圧体側遮蔽手段)
6a…押圧体側遮蔽手段
6b…支持体側遮蔽手段
7…制御装置(制御手段)
8…断熱層(押圧体側遮蔽手段)
9…断熱層(支持体側遮蔽手段)
S…樹脂フィルム(被処理物)
Z…押圧方向

Claims (1)

  1. 樹脂製の被処理物を処理する処理装置において、
    前記被処理物が当接する支持面を有する支持体と、
    前記被処理物を押圧する押圧面を有する押圧体と、
    前記押圧体に前記支持面に直交する押圧方向への超音波振動を印加する振動手段と、
    前記支持体の前記支持面と前記被処理物との間に、移動可能に配置された断熱フィルムから成り、前記被処理物に生じる熱の前記支持体への伝熱を遮蔽する支持体側遮蔽手段と、
    前記押圧体の前記押圧面と前記被処理物との間に、移動可能に配置された断熱フィルムから成り、前記被処理物に生じる熱の前記押圧体への伝熱を遮蔽する押圧体側遮蔽手段と、
    前記支持面と前記押圧面との間に樹脂製の被処理物を挟んだ状態で前記振動手段により前記押圧体を超音波振動させて、前記押圧面から前記被処理物に超音波振動エネルギーを印加することにより該被処理物を発熱させる制御手段と
    を備えることを特徴とする処理装置。
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