JP6914113B2 - 溶接方法、タンク構築方法 - Google Patents
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また、特許文献1記載の技術のように、仮止部材同士をボルトナット等の連結具で連結し、互いに隣り合う縦パネルの方形鋼材の端部同士を突き合わせる構成では、方形鋼材間の溶接開先にルート間隔を確保する場合には適用できず、開先形状の制約が大きい。
第一の態様は、施工面上に設置されるアニュラープレートが縦方向片端に固定された板材同士をそれぞれの左右両側に縦方向に延在する縁部の片方同士の突き合わせ溶接によって接合するための溶接方法であって、第一接続部材が溶接部となる前記縁部に沿って延び、基端部で固定されているとともに先端部が前記縁部から突出する前記板材である第一板材を前記アニュラープレートの施工面上への設置によって立設する第一板材設置工程と、第二接続部材が前記第一板材との溶接部となる前記縁部に沿って延び前記縁部から後退した位置に固定された前記板材であり、前記第二接続部材から前記第一板材側に突出する突出端部を有する第二板材を前記アニュラープレートの施工面上への設置によって立設し、前記第一接続部材の先端部に前記第二板材の突出端部を重ね合わせ、かつ前記第一板材の第一接続部材に前記第二接続部材を突き当てるようにして設置し、前記第一板材と前記第二板材との間に溶接開先を確保する第二板材設置工程と、第一接続部材と第二接続部材とを固定する接続部材固定工程と、前記接続部材同士が固定された状態で、前記溶接開先に対して溶接を行う溶接工程とを備え、前記第一接続部材は、その全長にわたって、基端部で前記第一板材の裏面に固定されているとともに先端部が前記第一板材の前記縁部から突出する第一部材固定板部と、前記第一部材固定板部の先端部から前記第一部材固定板部の前記第一板材とは逆の裏面側に突出するリブ状の第一部材接続用板部とが延在するアングル材であり、前記第二接続部材は、その全長にわたって、前記第二板材の前記第一板材に隣接配置された前記縁部から後退した位置の裏面に固定された第二部材固定板部と、前記第二部材固定板部の前記溶接部側の先端部から前記第二部材固定板部の前記第二板材とは逆の裏面側に突出するリブ状の第二部材接続用板部とが延在するアングル材であり、前記アニュラープレートは前記板材からその裏面側へ張り出す部分を有して前記板材に垂直に固定され、前記第二板材設置工程では、前記第二接続部材の前記第二部材接続用板部を前記第一接続部材の前記第一部材接続用板部に重ね合わせるようにして第二板材を設置し、前記接続部材固定工程では、前記第一接続部材の前記第一部材接続用板部と前記第二接続部材の第二部材接続用板部とをボルトを有する締結具によって締結固定することで前記第一接続部材と前記第二接続部材とを固定する。
第二の態様は、上記の溶接方法によってタンクを構築するタンク構築方法であって、左右方向の一側部に前記第一接続部材、一側部とは反対の他側部に前記第二接続部材がそれぞれ固定された前記板材を用い、先行する前記板材を前記第一板材、次に設置する前記板材を前記第二板材として、順次、前記第一板材設置工程、前記第二板材設置工程及び前記接続部材固定工程を実施し、周壁を構成する前記板材を環状に仮組する仮組工程と、前記仮組工程で仮組された前記板材同士を溶接する前記溶接工程と、仮組み工程の完了後、前記周壁に沿って複数環状配置された前記アニュラープレート及びその内側に設けられた複数の底板を溶接接合によって一体化して底壁を構築する底壁構築工程とを備える。
また、本発明によれば、互いに突き合わせた接続部材同士(第一接続部材及び第二接続部材)の固定(連結)により板材同士を連結することで、板材同士を互いに突き合わせることなく、板材間に所望の離隔距離を保ったまま溶接することを容易に実現できる。本発明によれば、互いに突き合わせた接続部材同士を固定(連結)するだけで、簡単かつ短時間(施工時間の短縮)で板材同士を所望の離隔距離を確保した状態に連結できる。しかも、本発明では、互いに突き合わせた接続部材同士の固定によって、板材間に所望の離隔距離を精度良く確保でき、接続部材同士の固定は板材の相対位置を安定維持できるため、板材同士を精度良く溶接でき、施工品質を向上できる。
タンク50は、地山上面等の施工面S上に立設した3以上(図1では16枚)の板材51を円形状に溶接接合して形成された周壁52と、周壁52の下側に設けられた底壁53と、周壁52上を覆う天蓋54とを有する。
図2、図3は、板材51同士を溶接接合する溶接方法を説明する図、図4は溶接構造1を示す図である。
図2〜図4においては、互いに溶接する板材51の一方に符号11、他方に符号21を付記した。また、図1(a)、(b)において、板材51は円形状の周壁52をその周方向に分割した湾曲板であるが、図2〜図4においては、板材11、21の互いに溶接される端部を平板状に簡略化して図示している。
また、図4は、図3の状態から板材11、12同士を突き合わせ溶接して溶接構造1を構成した状態を示す。
第一板材11及び第二板材21は例えば鋼板等の金属製板材である。
第一板材11と第二板材21とは、互いに接近させた縁部同士の突き合わせ溶接によって接合されている。第一板材11と第二板材21とはそれぞれの縁部間に形成された溶接部3を介して互いに接合されている。
図4に示す溶接構造1は、第一接続部材12と第二接続部材22とを締結固定(すなわち機械的固定)する、ボルトナット等の締結具31も有している。
図3に示す溶接開先2は、端面同士を互いに接近配置した第一板材11及び第二板材21の一面側から一面側とは反対の他面側に向かって次第に溝幅が狭くなる断面テーパ状の主溝部2aを有する。溶接開先2について、主溝部2aの溝幅が大きい側の開口を、以下、開先開口部、とも言う。以下、第一板材11及び第二板材21について、開先開口部が位置する側(一面側)の面をおもて面、おもて面とは反対の側(他面側)の面を裏面とも言う。
また、図3に示す連結完了状態の第一、第二板材11、12及び第一、第二接続部材12、22を含む連結部4、図4の溶接構造1について、以下、第一板材11及び第二板材21のおもて面側をおもて面側、第一板材11及び第二板材21の裏面側を裏面側、として説明する。
図1(b)、図5(b)に示すように、第一接続部材12は板材51の左右方向両端部の一方に縦方向に沿って設けられている。第二接続部材22は板材51の左右方向両端部の他方に縦方向に沿って設けられている。
第一接続部材12は、第一板材11の裏面に固定された固定板部12aと、固定板部12aからその裏面側(第一板部11とは反対の側)に突出するリブ状の接続用板部12b(接続用突部)とを有する。
固定板部12a(以下、第一部材固定板部、とも言う)は、第一板材11の裏面に重ね合わせて第一板材11に溶接等により固定された基端部12cと、第一板材11の溶接部3側の縁部から左右方向に突出する先端部12dとを有する。
接続用板部12b(以下、第一部材接続用板部、とも言う)は、第一部材固定板部12aの第一板材11から突出する先端部12dの突端から第一部材固定板部12aに垂直に突出されている。
固定板部22a(以下、第二部材固定板部、とも言う)は、その全体を第二板材21の裏面に重ね合わせて第二板材21に溶接等により固定されている。また、第二部材固定板部22aは、第二板材21の溶接部3側の縁部から若干離隔させて第二板材21に固定されている。第二板材21には、第二接続部材22から溶接部3側(第一板材11側)に突出する突出端部21aが確保されている。
接続用板部22b(以下、第二部材接続用板部、とも言う)は、第二部材固定板部22aの溶接部3側の先端から第二部材固定板部22aに垂直に突出されている。
また、第二接続部材22について、固定板部22aの溶接部3側を、以下、先端側、として扱う。
図4の溶接構造1において、第一接続部材12及び第二接続部材22は、それぞれの先端側の接続用板部12b、22b同士を重ね合せて互いに突き合わされている。第一接続部材12及び第二接続部材22の接続用板部12b、22bは互いに重ね合わされる当接面12f、22fを形成している。
第一接続部材12及び第二接続部材22の接続用板部12b、22bには、締結具31のボルト32のねじ軸部32aを通すためのボルト孔12h、22hがそれぞれの板厚を貫通させて形成されている。
溶接部3は第一部材固定板部12aの先端部12dのおもて面側に位置する。
第一部材固定板部12aの先端部12dは、第二板材突出端部21aの裏面に当接させて第一板材11と第二板材21との間の溶接部3の裏面側に配置されている。
連結部4は、溶接部3が形成されていない点だけが図4の溶接構造1と異なり、溶接部3以外の構成は図4の溶接構造1と同様である。
図3の連結部4は、第一、第二板材11、12の端部と、第一、第二接続部材12、22と、締結具31とで構成されている。
ここで説明するタンク構築方法は、図3に示す連結部4を組み立てた状態で第一板材11と第二板材21とを溶接接合し、図4に示す溶接構造1を構築する溶接方法を適用するものである。
第一接続部材12は、板材51(第一板材11)の左右方向一端(縁部)から突出する先端部12dを確保して板材51の左右方向一端側の端部(一側部)に固定されている。
第二接続部材22は、板材51(第二板材21)の左右方向他端(縁部)から一端側へ若干後退(離隔)させて板材51の左右方向一端側とは反対側の端部(他側部)に固定されている。第二接続部材22を板材51の左右方向他端から若干後退させて固定した固定したことにより、板材51には、左右方向において第二接続部材22から突出する突出端部21aが確保されている。
図1(a)、図5(a)に示すように、アニュラープレート55(詳細には板材51の湾曲内周側に張り出された部分)は、タンク50の底壁53の一部を構成する。
図1(a)に示すように、底壁53は、タンク周壁52に沿って複数環状配置されたアニュラープレート55と、その内側に設けられた複数の底板57とを有し、これらを溶接接合によって一体化したものである。
次いで、縦パネル56を1枚ずつ施工面S上に建て込んでいき、タンク周壁52を構成する板材51を環状に仮組する仮組み工程を行う。
第二板材設置工程にて設置する縦パネル56の板材51(第二板材)の突出端部21a(図3参照)は、先行設置した縦パネル56の第一部材固定板部12aの先端部12dのおもて面側に重ね合わせるように配置する(図3参照)。第二板材設置工程にて設置する縦パネル56は、第二接続部材22先端側の接続用板部22bを、先行設置した縦パネル56の第一接続部材12先端側の接続用板部12bに重ね合わせる(突き合わせる)ようにして配置する(図3参照)。第一接続部材12及び第二接続部材22の接続用板部12b、22b同士の重ね合わせは、具体的には、接続用板部12b、22bの当接面12f、22fの重ね合わせである。
その結果、互いに隣接する縦パネル56の第一接続部材12及び第二接続部材22同士の突き合わせ(図3では具体的には第一板材11及び第二板材21の接続用板部12b、22b同士の突き合わせ)によって板材51間の距離が決まり、所望の形状、寸法の溶接開先2が確保される。
また、図3に示すように、連結部4において、互いに隣接する板材51間の溶接開先2の裏面側は、第一部材固定板部12aの先端部12dによって塞がれる。第一部材固定板部12aの先端部12dは、溶接開先2の裏当て材の役割も果たす。
溶接工程では、例えば、上下方向に延びる溶接開先2に沿ってレールを設置し、このレールを走行する自走式溶接機によって溶接開先2の全長を溶接する。
タンク周壁52が完成したら、次いで、タンク周壁52上に天蓋54を施工する天蓋施工工程を実施する。
全ての支保用バー58の撤去が完了したら、各縦パネル56のアニュラープレート55及び底板57を溶接接合して底壁53を構築する底壁構築工程を行う。
底壁構築工程の実施は、仮組み工程の完了後、天蓋施工工程の前、天蓋施工工程の後のいずれでも良く、また、天蓋施工工程と並行して行っても良い。
このため、図3に示すように、互いに隣接する板材51間(第一、第二板材11、21間)にルート間隔gを確保した溶接開先2の形成も可能であり、また、溶接工程の完了まで連結部4の溶接開先2に確保したルート間隔gを安定かつ確実に維持できる。その結果、上述した溶接方法、タンク構築方法によれば、互いに隣接する板材51間の溶接、及びそれによるタンク周壁52の構築を精度良く行うことができ、施工品質を向上できる。
また、上述した溶接方法、タンク構築方法は、互いに突き合わせた接続部材(第一、第二接続部材12、22)同士を固定(連結)するだけで、簡単かつ短時間(施工時間の短縮)で板材51同士を所望の離隔距離を確保した状態に連結できる。このため、上述した溶接方法、タンク構築方法は、工期短縮の点で有利である。
このため、上述した溶接方法、タンク構築方法によれば、板材51間(第一板材と第二板材との間)の開先2の設計自由度を向上できる。その結果、溶接部3の設計自由度、板材の板厚等の寸法自由度も向上できる。
本発明に係る溶接構造、溶接方法は、タンクの構築に限定されず、板材同士の突き合わせ溶接に広く適用できる。本発明の溶接構造、溶接方法は、第一接続部材が固定された第一板材と第二接続部材が固定された第二板材との突き合わせ溶接に広く適用可能である。この点、本発明の溶接構造、溶接方法は、板材51に第一、第二接続部材12、22が固定されたパネルの使用に限定されず、第一、第二接続部材のうち第一接続部材のみが固定された第一板材と第二接続部材のみが固定された第二板材との突き合わせ溶接にも適用可能である。
図7に示すように、第二接続部材は、第二板材21のその溶接部側の縁部(あるいは溶接部が形成される側の縁部)に沿った複数箇所に固定された構成も採用可能である。図7の第二接続部材に符号22Aを付記する。
図8に示すように、第一接続部材は、第一板材11にその溶接部側の縁部(あるいは溶接部が形成される側の縁部)に沿って固定された帯板状の第一部材固定板部12aの長手方向複数箇所の裏面(第一板材11とは反対側の面)に接続用突部12eが固定された構成も採用可能である。図8の第一接続部材に符号12Aを付記する。
溶接構造、溶接方法、タンク、タンク構築方法に用いるパネルは、例えば、上述の実施形態に例示した縦パネル56(板材51に第一、第二接続部材12、22及びアニュラープレート55を固定したもの)からアニュラープレートを省略した構成のものも採用可能である。
Claims (2)
- 施工面上に設置されるアニュラープレートが縦方向片端に固定された板材同士をそれぞれの左右両側に縦方向に延在する縁部の片方同士の突き合わせ溶接によって接合するための溶接方法であって、
第一接続部材が溶接部となる前記縁部に沿って延び、基端部で固定されているとともに先端部が前記縁部から突出する前記板材である第一板材を前記アニュラープレートの施工面上への設置によって立設する第一板材設置工程と、
第二接続部材が前記第一板材との溶接部となる前記縁部に沿って延び前記縁部から後退した位置に固定された前記板材であり、前記第二接続部材から前記第一板材側に突出する突出端部を有する第二板材を前記アニュラープレートの施工面上への設置によって立設し、前記第一接続部材の先端部に前記第二板材の突出端部を重ね合わせ、かつ前記第一板材の第一接続部材に前記第二接続部材を突き当てるようにして設置し、前記第一板材と前記第二板材との間に溶接開先を確保する第二板材設置工程と、
第一接続部材と第二接続部材とを固定する接続部材固定工程と、
前記接続部材同士が固定された状態で、前記溶接開先に対して溶接を行う溶接工程とを
備え、
前記第一接続部材は、その全長にわたって、基端部で前記第一板材の裏面に固定されているとともに先端部が前記第一板材の前記縁部から突出する第一部材固定板部と、前記第一部材固定板部の先端部から前記第一部材固定板部の前記第一板材とは逆の裏面側に突出するリブ状の第一部材接続用板部とが延在するアングル材であり、
前記第二接続部材は、その全長にわたって、前記第二板材の前記第一板材に隣接配置された前記縁部から後退した位置の裏面に固定された第二部材固定板部と、前記第二部材固定板部の前記溶接部側の先端部から前記第二部材固定板部の前記第二板材とは逆の裏面側に突出するリブ状の第二部材接続用板部とが延在するアングル材であり、
前記アニュラープレートは前記板材からその裏面側へ張り出す部分を有して前記板材に垂直に固定され、
前記第二板材設置工程では、前記第二接続部材の前記第二部材接続用板部を前記第一接続部材の前記第一部材接続用板部に重ね合わせるようにして第二板材を設置し、
前記接続部材固定工程では、前記第一接続部材の前記第一部材接続用板部と前記第二接続部材の第二部材接続用板部とをボルトを有する締結具によって締結固定することで前記第一接続部材と前記第二接続部材とを固定する溶接方法。 - 請求項1に記載の溶接方法によってタンクを構築するタンク構築方法であって、
左右方向の一側部に前記第一接続部材、一側部とは反対の他側部に前記第二接続部材がそれぞれ固定された前記板材を用い、先行する前記板材を前記第一板材、次に設置する前記板材を前記第二板材として、順次、前記第一板材設置工程、前記第二板材設置工程及び前記接続部材固定工程を実施し、周壁を構成する前記板材を環状に仮組する仮組工程と、
前記仮組工程で仮組された前記板材同士を溶接する前記溶接工程と、
仮組み工程の完了後、前記周壁に沿って複数環状配置された前記アニュラープレート及びその内側に設けられた複数の底板を溶接接合によって一体化して底壁を構築する底壁構築工程とを備えるタンク構築方法。
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