JP6653945B2 - 溶接方法および鋼材の溶接用治具 - Google Patents

溶接方法および鋼材の溶接用治具 Download PDF

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Description

本発明は、鋼管杭、鋼管矢板、ケーシングパイプ、H形鋼、丸鋼といった各種鋼材を継ぎ足す際の溶接に用いる溶接用治具(位置決め装置)と、この治具を用いた鋼材の溶接方法に関するものである。
鋼管杭、鋼管矢板、ケーシングパイプなどの鋼材の建込み工事や打設工事、埋設工事などでは、それらを構成する単材を現場に複数用意し、順次、溶接により縦継ぎしながら施工を進めている。
例えば、鋼管杭の縦継ぎ溶接の際には、上杭と下杭と突き合せた状態で、その突き合せ部位(継ぎ目)を円周溶接する。その際、従来では目違い(上杭と下杭の端面のずれ)を解消するため、エレクションピース等と称されるガイドプレートを、あらかじめ鋼管杭(主に下杭)の端側外周面に等間隔に溶接しておき、その溶接式のガイドによって上杭と下杭の位置合わせを行いつつ両者の端面を突き合せ、その状態で、上杭と下杭の突き合わせ部位を円周溶接している。
しかしながら、上記のように、エレクションピースなどのガイドプレートを鋼管杭(主に下杭)に溶接すると、プレートの溶接跡が残ったり、また、溶接・ガス切断の際の熱の影響を受け、鋼管接合部において鋼管杭の材質が変質するなどの問題が生じていた。
また、エレクションピースなどのガイドプレートの溶接やガス切断には、手間と時間がかかるため、縦継ぎ溶接の省力化と時間短縮を図れる新たな手段が望まれていた。
また、従来の円周溶接方法では、上杭・下杭の端面を相互に直接的に突き当てた状態で円周溶接していたため、溶接の際に適切なルート間隔(ルートギャップ)を確保することができないといった問題が生じていた。
上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、鋼管杭、鋼管矢板、ケーシングパイプ、H形鋼、丸鋼などの各種鋼材を継ぎ足す際の溶接において、鋼材に変質などの影響を残すことなく、鋼材接合部の目違いを簡単に解消でき、また、鋼材どうしの溶接を効率的に進めることができる溶接用治具(位置決め装置)とこれを用いた溶接方法を提供することにある。
上記目的は、
第一の鋼材と第二の鋼材の接合部(これから接合する部分)を巻き込むように取付けられる略バンド状の本体と、
前記バンド状本体を締め込むための締め込み手段と、
前記接合部を臨むように前記バンド状本体に形成された溶接用の開口部と、
を有する、鋼材の溶接用治具によって達成される。
前記バンド状本体の内周面側には、ルート間隔を確保するための突出部が設けられていることが好ましい。
また上記目的は、
第一の鋼材と第二の鋼材の接合部(接合予定部位)を巻込む位置に鋼材溶接用治具を取付ける工程と、
前記溶接用治具の前記バンド状本体を締め込む工程と、
前記溶接用治具のバンド状本体の開口部を介して、前記接合部を仮溶接する工程と、
前記鋼材溶接用治具を取り外した状態で前記接合部を本溶接する工程と、
を含むことを特徴とする鋼材の溶接方法によって達成される。
また上記目的は、
第一の鋼材と第二の鋼材の接合部を巻込む位置に鋼材溶接用治具を取付ける工程と、
前記溶接用治具のバンド状本体を締め込む工程と、
前記バンド状本体の開口部を介して前記接合部を仮溶接する工程と、
前記溶接用治具を直接的又は間接的な位置決め手段として利用し、溶接装置用のガイドレールを鋼材の所定位置に取り付ける工程と、
前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられた溶接装置を利用して、前記接合部を本溶接する工程と、
を含む鋼材の溶接方法によって達成される。
また上記目的は、
第一の鋼材と第二の鋼材の接合部(接合予定部位)を巻込む位置に鋼材溶接用治具を取付ける工程と、
前記溶接用治具のバンド状本体を締め込む工程と、
前記バンド状本体の開口部を介して前記接合部を仮溶接する工程と、
前記溶接用治具を利用して、位置決め部材を鋼材の所定位置に取り付ける工程と、
前記位置決め部材を利用して、溶接装置用のガイドレールを鋼材の所定位置に取り付ける工程と、
前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられた溶接装置を利用して、前記接合部を本溶接する工程と、
を含む鋼材の溶接方法によって達成される。
本発明の溶接用治具は、第一鋼材と第二鋼材の接合部(接合予定部位)を巻き込むように取付けられる略バンド状の本体と、前記バンド状本体を締め込むための締め込み手段と、前記接合部を臨むように前記バンド状本体に形成された溶接用の開口部と、を有する。
鋼材を継ぎ足すための溶接の際にこのような溶接用治具を利用すれば、エレクションピースなどのガイドプレートを鋼材の端部外周面に溶接する必要が無くなるので、従来問題となっていた(溶接時の熱に起因する)鋼材の変質を招くことがない。
また、本発明の溶接用治具は、その使用に際して鋼材への溶着を必要としないので、取り付け・取り外しが簡単である。したがって、鋼材どうしを溶接するための作業が省力化され、また、その作業の時間短縮を図ることができる。
また、本発明の溶接用治具には、継ぎ足す鋼材の接合部(接合予定部位)を臨むように溶接用開口部(窓)が形成されている。この開口部の範囲では、鋼材どうしの接合部(つまり鋼材端面の対向部位の外縁)が露出している。したがって、バンド状本体を鋼材接合部に巻き付けたままでも、当該接合部外周を仮付け溶接することができる。
また、本発明の溶接用治具において、バンド状本体の内周面側には、溶接開先部に嵌合してルート間隔を確保する突出部が設けられている。この突出部は、接合部に食い込んで、向かい合う鋼材の端面の間に、所定の設計サイズの隙間を確保する。したがって、溶接の際に適切なルート間隔(ルートギャップ)を確保できるようになるので、鋼材の溶接品質を従来よりも向上させることが可能になる。
また、本発明の溶接方法では、下記の(a)−(d)の工程を経て、継ぎ足す鋼材を円周溶接する。
(a)第一の鋼材と第二の鋼材の接合予定部位を巻込む位置に、略バンド状の鋼材溶接用治具を仮付的に(緩めに)取付ける工程(仮締め工程)。
(b)第一および第二の鋼材の端部を突き合せた状態で、前記鋼材溶接用治具のバンド状本体を強く締め込む工程(本締め工程)。
(c)鋼材溶接用治具のバンド状本体の開口部を介して、第一および第二の鋼材の接合部を仮溶接する工程(仮溶接工程)。
(d)鋼材溶接用治具を取り外した状態で、第一および第二の鋼材の接合部を本溶接する工程(本溶接工程)。
上記の方法で用いるバンド状本体は、第一および第二の鋼材の接合部(継ぎ目)を跨ぐように、且つ、接合部を包囲して取り囲むように取り付けられる。そしてこの状態でバンド状本体を「鋼材の接合部を締め付ける」方向に締め込むことで、強制的に第一および第二の鋼材の端面の位置合わせ(位置決め)が行われ、鋼材接合部の目違い(継ぎ目のずれ)を解消できる。また、目違いが解消された同心位置に第一および第二の鋼材を確りと固定できる。
しかも、このような目違い解消や位置合わせのために、エレクションピースなどのガイドプレートを溶接する必要が無いので、従来必要だった溶接の手間が省けるとともに、鋼材に(溶接時の熱に起因する)変質を招くことがない。また、従来より短時間で溶接を完了することができる。
また、バンド状本体により第一および第二の鋼材を確りと固定し、その状態で接合部を仮溶接するので、仮溶接およびその後の本溶接の際に、第一および第二の鋼材に目違いが生じることが無い。
また本発明では、第一および第二の鋼材の一方の外周面にガイドレールを取り付けて、このガイドレールに沿って移動する溶接装置により、鋼材接合部を本溶接する。この方法で利用するガイドレールは、溶接用治具を直接的又は間接的な位置決め手段として利用して、ガイドレールを鋼材に取り付けるようになっている。ここでいう「溶接用治具を『直接的』な位置決め手段として利用」する場合とは、例えば、溶接用治具に隣接するように(つまり溶接用治具が直接的な位置決め部材となって)ガイドレールを所定位置に取り付けることをいう。また、「溶接用治具を『間接的』な位置決め手段として利用」する場合とは、例えばガイドレールと溶接用治具との間にスペーサや位置決め部材など、何らかの別部材が介在するように(この別部材が直接的な位置決め部材となって)、ガイドレールを所定位置に取り付けることをいう。
そして、このような溶接装置用ガイドレールを利用することで、本溶接の作業を自動化することができ、また、施工時間の短縮と省力化を図ることができる。
また、上記のような手順で溶接装置用のガイドレールを取り付けることで、ガイドレールおよび溶接装置を所定位置に簡単かつ正確に位置決めできる。ここでいう「所定位置」とは、設計位置のことであり、例えば、溶接棒の先端部などが接合部(円周溶接部)に確実に点接触するような位置である。
本発明に係る鋼材溶接用治具の平面図と側面図である。 図1(a)に示す鋼材溶接用治具を分解した様子を示す平面図である。 鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 図3Aの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 図3Bの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 図3Cの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 図3Dの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 図3Eの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 上側の鋼管類をバンド状本体に挿入している様子を示す断面図である。 上下の鋼管類を鋼材溶接用治具で固定した様子を示す断面図である。 鋼材溶接用治具の開口部を介して、上下鋼管類の接合部を仮付け溶接している様子を示す断面図である。 鋼材(鋼管類)の溶接手順の他の実施形態を示す図である。 図3Aの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 図3Bの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 図3Cの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 図3Dの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 図3Eの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 図3Fの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 図3Gの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 図3Hの続きであって、鋼材(鋼管類)の溶接手順を示す図である。 ガイドレールの取り付け方の他の実施形態を示す図である。
(鋼材溶接用治具の構成)
はじめに、図1及び図2に基づいて、鋼材溶接用治具1の構成について説明する。
以下、鋼材の代表例として、鋼管類または鋼管杭を挙げて、本発明の実施形態について説明する。
鋼材溶接用治具1は、図1に示すように、主として、
縦継ぎする2本の鋼管類の接合部を巻き込むように(すなわち、2つの鋼材の継ぎ目を取り巻くことができるような位置に)取付けられる略バンド状の本体2と、
バンド状本体2を締め込むための締め込み手段をなすボルト4およびナット5と、
鋼管類の接合部(仮付け溶接予定部位)を臨む位置に形成された仮付け溶接用の窓7と、を有している。
バンド状本体2は、図2に示すように、複数体に分割可能に構成されている。本実施形態では、一例として2分割可能な構成を採用している。バンド状本体2を構成する半割れ部材21,31は、ボルト4が挿通可能なブラケット(フランジ)24,34と、ヒンジの一部を構成するヒンジプレート26,36を一体的に具備している。図1に示すように、アイボルト6によって連結されたヒンジプレート26,36は、全体としてヒンジ8を構成している。
上記構成のバンド状本体2は、縦継ぎする上下鋼管類の接合部(溶接予定部位)を包囲する位置に取り付けられる。後述する仮付け溶接の際には(図3E参照)、バンド状本体2の内周面は、下側鋼管類の上端側外周面に密着すると同時に、上側鋼管類の下端側外周面にも密着する。
緊締手段を構成するボルト4とナット5は、このバンド状本体2を「接合部締め付け方向」に締め込む役割を担っている。ナット5に螺合したボルト4を締め込むことで、バンド状本体2の内側が徐々に狭まるので、その動きに応じて、上下鋼管類の外周面が揃うように位置合わせされ、徐々に心ズレが無くなり、最終的に上下の鋼管類端部の目違いが解消される。なお、本実施形態では締め込み手段の一例としてボルトとナットを採用しているが、バンド状本体2を締め込むことが可能な構成であれば、他の手段を採用することも可能である。
バンド状本体2の内周面側には、上下鋼管類の接合箇所の溶接開先部に嵌合する突出部9が設けられている。この突出部9はテーパー面91を有しており(図4参照)、後述するように、仮付け溶接の際には、このテーパー面91に上側鋼管類の下端の開先面が乗るようになっている。このような構成の突出部9は、後述するように、溶接開先部に嵌合してルート間隔を確保する役割を担っている(図5,図6参照)。つまり、この突出部9が介在するために、縦継ぎ溶接の際に上下鋼管類の端面は、設計サイズの隙間を隔てて対向することになる。
また、バンド状本体2には、仮付け溶接用の窓7(開口部)が形成されている。本実施形態では、一例として、6つの窓が周方向に等間隔に形成されている。これらの窓7,7…は、それぞれ、上下鋼管類の接合部(継ぎ目)を臨む位置に形成されている。つまり、窓7が形成された範囲では、上下鋼管類の端部の対向部分(仮付け溶接予定部位)が窓から露出している。したがって、仮付け溶接の際に、上下鋼管類の接合部に対して窓7を介して溶接を施すことが可能になる。
本実施形態において、バンド状本体2は、図2に示すように2分割することが可能である。同図に示すように分割した状態から、ヒンジプレート24,34をアイボルト6で連結してヒンジを構成すると、バンド状本体2の内径が拡縮するような開閉動作が可能になる。さらに、ブラケット24,34にボルト4を通し、ナット5に螺合した状態で該ボルトを締め込むと、バンド状本体2の内側が徐々に狭まって、縦継ぎする鋼管類に対して鋼管類溶接用治具1を確りと固定することができる。
(鋼材溶接用治具を用いた円周溶接方法の第1実施形態)
次に、主として図3A〜図3Fに示す手順図に基づいて、鋼管類の円周溶接方法の一例について説明する。なお、以下説明する手順A〜Fは、それぞれ、図3A〜図3Fに対応している。また、以下の実施形態では、鋼材の代表例として鋼管杭を例示する。
<手順A> 裏当てリングの取り付け
図3Aに示すように、縦継ぎする上下鋼管杭の下杭12の方に、点付け溶接により裏当てリング13を取り付ける。裏当てリング13は、下杭12の上端側の内周面に内接する径を有している。この裏当てリング13が、下杭上端から部分的に突き出るように、該リングを下杭上端の内周面に溶接する。
<手順B> 鋼材溶接用治具の取り付け
この工程では、鋼材溶接用治具1を、図3Bに示すように下杭12の上端に取り付ける。鋼材溶接用治具1の取り付けにあたっては、図2に示す分解状態の溶接用治具の半割れ部材21,31を、それぞれ、下杭上端側の外周面に宛がい、その状態でアイボルト6をヒンジプレート26,36に通して両ヒンジプレートを連結する。
その際、すべての窓7から下杭12の上端を目視できるような高さ位置に(つまり、窓7から下杭12の上端外縁部が露出する位置に)、半割れ部材21,31を位置決めする。
続いて、半割れ部材21,31のブラケット24,34にボルト4を通してナット5を螺合させるとともに、ボルト4を軽く締めておく。これにより、鋼材溶接用治具1が、下杭12の上端に仮固定される(緩めに固定される)。
<手順C> 上杭の挿入
続いて、上記手順で緩めに取り付けた溶接用治具のバンド状本体2に、上杭11を挿入する。この挿入の過程で、上杭11は、はじめに図4に示すように外側のバンド状本体2によってガイドされ、さらに下杭12に接近すると、内側の裏当てリング13によってもガイドされる。そして、バンド状本体2および裏当てリング13によるガイドを経て、最終的に、上杭下端の開先面15が突出部9のテーパー面91に乗って荷重を預けることになる。
このように本実施形態では、上杭11をバンド状本体2に挿入して吊り降ろす過程で、この上杭11がバンド状本体2および裏当てリング13によってガイドされるので(つまり外側と内側の両側でガイドされるので)、縦継ぎする上下鋼管杭11,12の暫定的な位置決めが容易である。
そして上杭11の挿入を続けると、バンド状本体2および裏当て部材13によってガイドされた上杭11は、図5に示すように、突出部9のテーパー面91に突き当たる。つまり、上下の鋼管杭11,12の間に突出部9が介在した状態で、鋼管杭の上端・下端が対向している。また、突出部9が形成されてない部位(つまり窓7によって治具の外部に露出した部位)では、鋼管杭11,12の上端・下端は、設計サイズの隙間を隔てて対向している。この隙間は、後述する仮付け溶接においてルート間隔(ルートギャップ)としての役割を担う。
<手順D> バンド状本体の締め付けによる目違い解消
上述した手順Cを終えた段階では、縦継ぎする上下鋼管杭11,12の暫定的な位置決め(だいたいの位置決め)が完了しているが、バンド状本体2は緩めに締め込んであるので、上杭11の挿入完了時点で目違い(上杭11と下杭12の端面のずれ)が残っている可能性がある。そこで、この手順Dでは、ボルト4を更に強く締め込んで、バンド状本体2の締め付け力を大きくする。
バンド状本体2は、上杭下端と下杭上端に跨って両者の接合部(継ぎ目)を取り囲むように取り付けてあるので、このバンド状本体2を強く締め込むことで、その湾曲した平坦な内壁面が上下鋼管杭の接合部(継ぎ目)を強制的に圧締する。その結果、強制的な圧締作用を受けて、上杭下端側と下杭上端側の外周面が揃うように上杭下端と下杭上端が同心位置に向かって位置ずれし、最終的に両者の周面が揃って目違いが解消されることになる。
したがって、突出部9によって高さ方向の位置合わせが行われ、また、締め込んだバンド状本体2によって水平方向の位置合わせが行われるので、上下の鋼管杭11,12を簡単に設計位置に位置決めすることができる。なお、テーパーが付いた突出部9によって所定のルート間隔(つまり上下方向の所定サイズの離隔)を確保する効果が達成され、また、バンド状本体2の締め込みによって目違いを解消する効果が達成される。
<手順E> 仮付け溶接
上記手順で目違いを解消したら、続いて、鋼材溶接用治具1を取り付けた状態のままで、上杭下端と下杭上端を仮付け溶接する。この仮付け溶接では、図6に示すように、窓7を介して溶接棒などを挿し込む。上下鋼管杭11,12の接合部(継ぎ目)は、窓7から露出しているので、溶接用治具1を取り付けた状態のままで、上杭11と下杭12を仮付け溶接することができる。
なお、手順Eにおいて、上杭下端の開先面15は、突出部9のテーパー面91に乗っているので(つまり、上杭下端と下杭上端とは突き当たっていないので)、この仮付け溶接では設計どおりのルート間隔が確保される。
<手順F> 本溶接
上記手順で仮付け溶接が完了したら、前述した手順Bとは逆の手順で、鋼管杭11,12から鋼材溶接用治具1を取り外す。なお、この時点で既に仮付け溶接が完了しているので、鋼材溶接用治具1を取り外しても、目違いを招くことはない。また、上杭下端と下杭上端との間には、所定の隙間(ここに突出部9が嵌合していた)が確保されているとともに、仮付け溶接によってこの状態が維持されているので、本溶接においても、設計どおりのルート間隔が確保される。
そして、鋼材溶接用治具1を取り外した後、上杭11と下杭12の接合部周囲を本溶接して、鋼管杭の溶接が完了する。
上述した手順A〜Fを含む溶接方法によれば、縦継ぎする鋼管杭11,12の目違い解消や位置合わせのために、エレクションピースなどのガイドプレートを溶接する必要が無いので、従来必要だった溶接の手間が省ける。
また、縦継ぎする鋼管杭11,12に(溶接時の熱に起因する)変質を招くことがない。
また、従来より短時間で縦継ぎ溶接を完了することができる。
また、バンド状本体2により上下鋼管杭11,12を確りと固定し、その状態で接合部を仮溶接するので、仮溶接およびその後の本溶接の際に、上下鋼管杭に目違いが生じることが無い。
(鋼材溶接用治具を用いた円周溶接方法の第2実施形態)
次に、図7A〜図7Iに示す手順図に基づいて、鋼管杭の円周溶接方法の第2実施形態について説明する。
図7A〜図7Iに示す手順のうち、図7A〜図7Eは、それぞれ、図3A〜図3Eに示す手順と同様である。すなわち、第2実施形態の溶接方法は、仮付け溶接までは、前述した第1実施形態の手順と同様である。したがって、図7A〜図7Eに関する手順の詳細については、前述した実施形態の<手順A>〜<手順E>を参照されたい。
以下、図7F〜図Iに示す手順について詳細に説明する。なお、以下説明する手順F〜Iは、それぞれ、図7F〜図7Iに対応している。また、以下の実施形態では、鋼材の代表例として鋼管杭を例示する。
<手順F> バンド状スペーサの取り付け
図7Eに示す手順での仮付け溶接が完了したら、続いて、鋼材溶接用治具1を鋼管杭11,12の接合部(継ぎ目部分)に固定したままで、その溶接用治具1の真上にバンド状スペーサ41を載せてこれを固定する。このバンド状スペーサ41(位置決め部材)は、後述するガイドレールを所定の設計位置に位置決めするための位置決め部材である。バンド状スペーサ41は、鋼材やゴム材などからなる2つの半割れ部分と、この半割れ部分をリング状に連結するとともに縮径方向に締め込むボルト43を有している。
このバンド状スペーサ41を取り付ける際には、各半割れ部分を鋼材溶接用治具1の上端部の真上に載置するとともに、上側鋼管杭11の外周面に宛がう。続いて、複数のボルト43で2つの半割れ部分を連結するとともに、各ボルト43を締め込んでバンド状スペーサ41を上側鋼管杭11の外周面に固定する。
<手順G> ガイドレールの取り付け
続いて、手順Fで固定したバンド状スペーサ41の真上に、溶接装置ガイド用のガイドレール51(走行レール)を取り付ける。このガイドレール51は、上側鋼管杭11の外周面を取り巻くように形成された帯状部分と、この帯状部分を鋼管杭に対し固定するためのボルト53を有している。
このように、固定された鋼材溶接用治具1を基準位置としてガイドレール51を取り付けることで、鋼管杭11,12の接合部(継ぎ目)とガイドレール51との間の距離を、設計どおりの離隔距離に保持することができる。
<手順H> 鋼材溶接用治具とバンド状スペーサの取外し
手順Gでガイドレール51を上側鋼管杭11に対し確りと固定したら、続いて、鋼材溶接用治具1とバンド状スペーサ41を取り外す。なお、この時点で既に仮付け溶接が完了しているので、鋼材溶接用治具1を取り外しても、鋼管杭11,12の間に目違いを招くことはない。また、ガイドレール51は確りと固定されているので、バンド状スペーサ41を取り外しても、このガイドレール51に位置ズレを招くことはない。
<手順I> 溶接装置の取り付け及びこれを利用した円周溶接
続いて、手順Hで取り付けたガイドレール51に、溶接装置61をセットする。図7Iに示す溶接装置61は、一例として、ガイドレール51に沿って走行可能な溶接台車63と、この溶接台車63によって所定高さ位置で支えられた溶接トーチ65とを具備している。
図7Iに示すように、溶接台車63と溶接トーチ65を取り付けたら、溶接装置61の高さ、離れ、角度の調整を行う。続いて、電気を入れず、溶接台車63を動かし、溶接トーチ65の通りを確認する。
以上の準備を完了したら、ガイドレール51に沿って走行可能な溶接装置61を使って、鋼管杭11,12の接合部(継ぎ目)に対して本溶接を行う。この本溶接において、溶接トーチ65の先端部は、ぶれることなく鋼管杭11,12の接合部(継ぎ目)に沿って移動するので、ズレることなく該接合部を正確に本溶接することができる。
なお、本実施形態では、図7Gに示すように、バンド状スペーサ41を利用して、ガイドレール51を設計位置に位置決めしていたが、このようなバンド状スペーサを省くことも可能である。つまり、図8に示すように、鋼材溶接用治具1自体を、ガイドレール用の位置決め手段として利用し、この鋼材溶接用治具1の真上に載せるようにして、ガイドレール51が設計位置にくるように取り付けることも可能である。
ただし、溶接装置の形状や寸法などの仕様が変更した場合には、鋼材溶接用治具1の真上にガイドレール51を載せると、ガイドレールを設計高さ位置に位置決めできなくなる虞があるが、そのような場合には、前述したバンド状スペーサのような位置決め部材を利用することで、ガイドレール51を簡単に設計どおりの高さ位置に取り付けることができる。
以上、鋼材の溶接用治具および溶接方法の実施形態について説明したが、上述した実施形態は一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、鋼材の一例として鋼管類(鋼管杭)を挙げているが、鋼管矢板やケーシングパイプなどの円形断面の鋼管類にも、本発明の溶接用治具および溶接方法を適用することが可能である。また、上記鋼管類に限らず、角形鋼管、H形鋼などといった各種鋼材を、継ぎ足す際(接合する際)の溶接にも適用することができる。また、上述の実施形態では一例として第一および第二の鋼材が同一断面である場合を挙げているが、2つの鋼材が異なる断面を有する場合でも、組み合わせる鋼材専用の溶接用治具を用いればよく、また、必要な場合は、溶接用治具のバンド状本体の内側に適宜スペーサを別途挿入固定するなどして、2つの鋼材の接合位置を確保することができる。
1 鋼材の溶接用治具(位置決め装置)
2 略バンド状の本体(バンド状本体)
4 ボルト(締め込み手段)
5 ナット(締め込み手段)
6 アイボルト
7 窓(開口部)
8 ヒンジ
9 突出部
11 上杭(鋼管類/第一の鋼材)
12 下杭(鋼管類/第二の鋼材)
13 裏当てリング(裏当て部材)
15 開先面
21 半割れ部材
24 ブラケット(フランジ)
26 ヒンジプレート
31 半割れ部材
34 ブラケット(フランジ)
36 ヒンジプレート
41 バンド状スペーサ(位置決め部材/位置決めバンド/仮受けバンド)
43 ボルト
51 ガイドレール(ガイド部材/走行レール)
53 ボルト
61 溶接装置
63 溶接台車
65 溶接トーチ
91 テーパー面

Claims (5)

  1. (a) 第一の鋼材と第二の鋼材の接合部を巻込む位置に鋼材溶接用治具を取付けて固定する工程と、
    (b) 前記溶接用治具のバンド状本体の開口部を介して、前記接合部を仮溶接する工程と、
    (c) 前記溶接用治具を直接的又は間接的な位置決め手段として利用し、溶接装置用のガイドレールを鋼材の所定位置に取り付ける工程と、
    (d) 前記溶接用治具を取り外した状態で、前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられた溶接装置を利用して、前記接合部を本溶接する工程と、を含んでおり、
    前記工程(c)において、前記第一の鋼材と前記第二の鋼材の接合部と、前記ガイドレールとの間の距離が、設計どおりの距離になるように、前記工程(a)で固定した前記溶接用治具を基準位置として前記ガイドレールを取り付ける、ことを特徴とする鋼材の溶接方法。
  2. (a) 第一の鋼材と第二の鋼材の接合部を巻込む位置に鋼材溶接用治具を取付けて固定する工程と、
    (b) 前記溶接用治具のバンド状本体の開口部を介して、前記接合部を仮溶接する工程と、
    (c) 前記溶接用治具を利用して、位置決め部材を鋼材の所定位置に取り付ける工程と、
    (d) 前記位置決め部材を利用して、溶接装置用のガイドレールを鋼材の所定位置に取り付ける工程と、
    (e) 前記溶接用治具を取り外した状態で、前記ガイドレールに沿って移動可能に設けられた溶接装置を利用して、前記接合部を本溶接する工程と、を含んでおり、
    前記工程(c)と前記工程(d)を通じて、前記第一の鋼材と前記第二の鋼材の接合部と、前記ガイドレールとの間の距離が、設計どおりの距離になるように、前記工程(a)で固定した前記溶接用治具を基準位置として前記ガイドレールを取り付ける、ことを特徴とする鋼材の溶接方法。
  3. 請求項1又は2に記載の鋼材溶接用治具であって、
    第一の鋼材と第二の鋼材の接合部を巻込むように取付けられる略バンド状の本体と、
    前記バンド状本体を締め込むための締め込み手段と、
    前記接合部を臨むように前記バンド状本体に形成された溶接用の開口部と、
    を有する、鋼材の溶接用治具。
  4. 前記バンド状本体の内周面側には、ルート間隔を確保するための突出部が設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載の溶接用治具。
  5. (a) 第一の鋼材と第二の鋼材の接合部を巻込む位置に鋼材溶接用治具を取付けて固定する工程と、
    (b) 前記溶接用治具のバンド状本体の開口部を介して、前記接合部を仮溶接する工程と、
    (c) 前記溶接用治具を取り外した状態で、ガイドレールに沿って移動可能に設けられた溶接装置を利用して、前記接合部を本溶接する工程と、を含んでおり、
    前記工程(c)において、前記第一の鋼材と前記第二の鋼材の接合部と、前記ガイドレールとの間の距離が、設計どおりの距離になるように、前記工程(a)で固定した前記溶接用治具を基準位置として前記ガイドレールが取り付けられている、ことを特徴とする鋼材の溶接方法。
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